説明

遊技媒体貸与装置および遊技媒体貸与システム

【課題】電子データで記憶されている遊技価値の一部を分割して他人に分け与える。
【解決手段】遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、その遊技価値に応じて遊技媒体の貸与を受けることが可能となり、遊技で遊技媒体を獲得した場合には、遊技媒体を計数して遊技価値に反映させる。そして、この遊技価値の中から一部を分割する旨の要求があった場合には、指定された量の遊技価値を、遊技客が投入した記憶媒体に書き込んで返却すると共に、残りの遊技価値は、予め内部に蓄えておいた記憶媒体の遊技価値に分配付与して、遊技を継続する。こうすれば、遊技価値の一部を分割して書き込んだ記憶媒体を、他人に分け与えることができる。この時、蓄えておいた記憶媒体ではなく、遊技客が投入した記憶媒体に書き込んで分け与えることで、遊技媒体貸与装置の構造や制御を簡単にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる遊技ホールやゲームセンター等の遊技場で遊技を行うために用いられる遊技媒体を貸与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台やスロットマシンなどの遊技台が複数設定された遊技ホールでは、専用の遊技媒体(遊技玉や遊技メダルなど)を借り受けて遊技を行うようになっている。遊技媒体を借り受ける際には遊技ホールに対して料金を支払う必要があるが、遊技によって獲得した遊技媒体は、再び遊技に使用することができる。従って、遊技媒体を使い尽くしてしまわない限りは、遊技を継続することが可能である。また、遊技中に遊技台を換わりたいと思った場合には、手元に残った遊技媒体を持って他の遊技台に移動することができる。尚、遊技媒体を残したまま遊技を終了する場合、後日の使用のために遊技媒体を持ち帰ることは許されないが、残った遊技媒体は景品に交換することができる。
【0003】
ここで、遊技客が獲得した遊技媒体が大量になると、遊技台を換わるために遊技媒体を持って移動したり、あるいは景品と交換するために遊技媒体を持って移動したりすることが困難となる。また、獲得した遊技媒体は景品と交換しない限り、獲得した遊技客の周りに積み上げられることになるので、遊技ホールの通路にはみ出すなどして他の遊技客の邪魔になってしまう。
【0004】
そこで、遊技客が獲得した遊技媒体を、電子データの形態で記憶しておくことが提案されている(例えば、特許文献1)。電子データの形態であれば嵩張る事がないので、大量の遊技媒体を獲得した場合でも遊技客の周りに積み上げておく必要がない。また、遊技台を移動する際には、遊技媒体を計数して得られた電子データを、カードやコインなどの記録媒体に書き込んで、その記録媒体を遊技客に払い出してやる。こうすれば、払い出された記憶媒体を持って他の遊技台に移動し、その記憶媒体を新たな遊技台に投入することで遊技を開始することができる。電子データが書き込まれた記録媒体であれば容易に持ち歩くことができるので、遊技台の移動や、景品との交換を容易に行うことが可能となる。
【0005】
あるいは、電子データが残っている状態で遊技を終了する場合に、残った電子データを遊技ホールに預けておくことができるようにした技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭51−17106号公報
【特許文献2】特開2002−273022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これら提案されている技術では、電子データの形態で記憶されている遊技媒体は、その遊技台での遊技を終了する際に、初めて記憶媒体に書き込まれて遊技客に払い出されるので、獲得した遊技媒体の一部を他の人に分け与えることができないという問題があった。例えば、友人と連れ立って遊技ホールを訪れた場合、貸与された遊技媒体を、各人がほぼ同時に使い切ることは極めて稀であり、大量の遊技媒体を獲得している者と、遊技媒体を使い切った者とが生じることが通常である。このような場合、獲得した遊技媒体の一部を分け与えて友人が遊技を継続できるようにしようとすると、電子データの形態で記憶されている遊技媒体を記憶媒体に書き込むために、遊技を一旦終了しなければならない。更に、電子データは1つの記憶媒体に書き込まれてしまうので、その記憶媒体を、例えば遊技ホールのカウンターに持ち込んで、記憶されている電子データを実際の遊技媒体に交換した後、交換した遊技媒体の一部を分け与える必要が生じる。このように、提案されている技術では、獲得した遊技媒体の一部を他の人に分け与えることが困難であるという問題があった。
【0008】
また、こうした問題は、遊技ホールでパチンコ台やスロットマシンなどの遊技台で遊技をする場合に限られたものではなく、ゲームセンターやカジノなどの遊技場で、各種の遊技機を用いて遊技を行う場合にも同様に生じ得る。
【0009】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、遊技によって獲得されて電子データの形態で記憶されている遊技媒体の一部を、容易に分割して分け与えることが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技媒体貸与装置は次の構成を採用した。すなわち、
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられて、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、該遊技媒体を該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与装置であって、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体から該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値を読み出し、該投入記憶媒体の遊技価値として記憶する遊技価値記憶手段と、
前記貸与される遊技媒体の払い出しを行う度に、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値から減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技台での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、該遊技媒体の獲得の状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記遊技装置毎に複数の前記記憶媒体を蓄えておく記憶媒体蓄積手段と、
前記投入記憶媒体の遊技価値の中から指定量の遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、該指定量の遊技価値を該投入記憶媒体に書き込んで該投入記憶媒体を返却すると共に、残りの遊技価値を、前記蓄えられている記憶媒体に対応付けられた遊技価値として記憶する遊技価値分配付与手段と
を備えることを要旨とする。
【0011】
このような本発明の遊技媒体貸与装置においては、遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、その投入記憶媒体から遊技価値を読み出して、投入記憶媒体の遊技価値として記憶する。ここで記憶媒体に書き込まれる遊技価値は、遊技価値そのものである場合に限られず、間接的に遊技価値に換算可能な情報であっても構わない。そして、遊技媒体の貸与を行う場合には、記憶している投入記憶媒体の遊技価値を、遊技媒体の払い出しの状態に対応する遊技価値だけ減少させ、また、遊技によって遊技媒体を獲得した場合には、遊技媒体の獲得状態に対応する遊技価値を計数して、計数した遊技価値だけ、投入記憶媒体の遊技価値を増加させる。こうして、貸与する遊技媒体の払い出しや、獲得した遊技媒体の計数がある度に、投入記憶媒体の遊技価値に反映させ、遊技の終了時には、その遊技価値を、遊技客が投入した投入記憶媒体に書き込んで返却する。また、本発明の遊技媒体貸与装置には、複数の記憶媒体が予め蓄えられており、記憶されている投入記憶媒体の遊技価値の中から、指定量の遊技価値を分割する旨の要求(分割要求)があると、指定量の遊技価値を、遊技客が投入した投入記憶媒体に書き込んで返却すると共に、残りの遊技価値を、蓄えられている記憶媒体の遊技価値として記憶するようになっている。すなわち、遊技価値を分割する旨の要求があると、その遊技価値を有する投入記憶媒体(原記憶媒体)は、分割する指定量の遊技価値を有する分割記憶媒体として排出される。そして、残りの遊技価値は、蓄えられていた記憶媒体に引き継がれて、その記憶媒体が原記憶媒体となる。尚、分割する遊技価値の大きさ(指定量)は、明示的に指定するようにしても良いが、予め標準の指定量を設定しておき、特に明示的な指定がなければ、標準の指定量が指定されたものとして、遊技価値を分割するようにしてもよい。
【0012】
こうすれば、遊技によって獲得した遊技媒体は、遊技価値に変換しておき、必要に応じて遊技価値を使って遊技媒体の貸与を受けることができるので、たとえ大量の遊技媒体を獲得した場合でも、手元には僅かな遊技媒体だけを残しておけばよい。また、必要に応じて、遊技価値の一部を分割して、投入記憶媒体に書き込んで返却させれば、遊技価値の一部を他人に分け与えることもできる。更に、この時、分割した遊技価値を、予め蓄えておいた記憶媒体ではなく、遊技客が投入した投入記憶媒体に書き込んで返却することとしている。詳細な理由については後述するが、このようにすることで、遊技媒体貸与装置の構造や制御を簡単にすることが可能となる。
【0013】
尚、「遊技価値」としては、遊技媒体の貸与を受けるための価値だけではなく、遊技装置での遊技に関連して遊技者に付与される特典とすることもできる。例えば、遊技によって獲得された遊技媒体の内容や数(パチンコ台の場合は持玉数)、獲得した遊技媒体を遊技場に預けておくことができる場合には、預けた遊技媒体の内容や数(パチンコ台の場合は貯玉の数)、ポイントの内容や数、アバターやキャラクターの内容や特性、数等のように、遊技装置の種類に応じて様々な特典とすることができる。また、「遊技媒体」としては、遊技装置で遊技を行うために用いられる媒体であり、例えば、玉、メダル等のように、遊技装置の種類に応じて様々な媒体を考えることができる。また、遊技価値の分割は、二分割に限らず、三以上の分割にも対応が可能である。更に、「遊技装置」としては、パチンコ台、スロットマシン、カジノ用マシン、アーケード用あるいは家庭用の各種のゲーム装置などとすることができる。
【0014】
また、今日の遊技ホールなどの遊技場では、遊技装置毎に設けられて遊技媒体の貸与を行う端末装置と、制御装置とが、通信回線を介して1つの遊技媒体貸与システムを構成していることが通常である。そして本発明は、このような遊技媒体貸与システムの態様でも把握することが可能である。すなわち、このような態様で把握された本発明の遊技媒体貸与システムは、
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられた端末装置と、該端末装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が前記端末装置に投入されると、該遊技媒体を、該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与システムであって、
前記端末装置は、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体を保持する記憶媒体保持部と、
前記記憶媒体保持部に保持されている前記投入記憶媒体から、該投入記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値と、該投入記憶媒体に付与された固有の識別コードとを読み出して、前記制御装置に出力する媒体情報出力手段と、
遊技客に貸与される遊技媒体を払い出すとともに、該遊技媒体の払い出しを前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する遊技価値を前記制御装置に出力する遊技媒体払出手段と、
前記遊技装置での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、その結果を前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の獲得状態に対応する遊技価値を計数して、前記制御装置に出力する遊技媒体計数手段と、
前記投入記憶媒体の排出要求を受け取ると、該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値についての出力を前記制御装置に対して要求し、該制御装置から受け取った遊技価値を、前記記憶媒体保持部に保持されている該投入記憶媒体に書き込んだ後、前記端末装置の外部に排出する記憶媒体排出手段と
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記記憶媒体についての前記識別コードと、該記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値とが対応付けられた管理テーブルを予め記憶している管理テーブル記憶手段と、
前記端末装置から前記識別コードおよび前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルに記憶されている前記識別コードおよび前記遊技価値に合致するか否かを判断して、合致していた場合には、該端末装置と該管理テーブルの遊技価値とを対応付ける遊技価値対応付け手段と、
前記端末装置から前記遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値から、該受け取った遊技価値を減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技装置での前記遊技媒体の獲得状態に対応して前記端末装置で計数された前記遊技価値を受け取ると、該受け取った遊技価値を、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記端末装置からの要求に応じて、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を、該端末装置に出力する遊技価値出力手段と
を備え、
前記端末装置には、
複数の前記記憶媒体を蓄えているとともに、該記憶媒体を供給する旨の要求を受け取ると、該記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する記憶媒体蓄積手段と、
指定量の前記遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、その旨と該指定量とを前記制御装置に出力するとともに、前記記憶媒体排出手段に対しては、該指定量を前記投入記憶媒体に書き込んで排出する旨の排出要求を出力し、更に、前記記憶媒体蓄積手段に対しては、蓄えられている前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する旨の供給要求を出力することによって、前記遊技価値の分割動作を実行する分割動作実行手段と
が設けられており、
前記制御装置には、
前記分割要求があった旨と前記指定量とを前記端末装置から受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を該指定量に書き換えて、その後、該端末装置から受け取った前記識別コードに対応付けて前記管理テーブルに記憶されている前記遊技価値を、書き換え前の該遊技価値から該指定量を減算した残余の遊技価値に書き換える遊技価値分配付与手段が設けられていることを要旨とする。
【0015】
このような本発明の遊技媒体貸与システムにおいても、従来の遊技媒体貸与システムと同様に、遊技装置毎に設けられた端末装置と、端末装置に通信回線を介して接続された制御装置とが設けられている。そして、端末装置では、記憶媒体が投入されると記憶媒体保持部に保持されて、遊技価値および識別コードが読み出され、読み出された遊技価値および識別コードが制御装置に出力される。尚、遊技媒体貸与システムにおいても、記憶媒体に書き込まれる遊技価値は、遊技価値そのものである場合に限られず、間接的に遊技価値に換算可能な情報であってもよい。制御装置には、複数の記憶媒体についての識別コードと、その記憶媒体に書き込まれた遊技価値とが対応付けられた管理テーブルが予め記憶されている。そして、端末装置から遊技価値および識別コードを受け取ると、それらが管理テーブルに記憶されている内容と合致するか否かを判断して、合致していた場合には、端末装置と、管理テーブルの遊技価値とを対応付ける。こうして、端末装置と、管理テーブルの遊技価値とが対応付けられた後は、端末装置で、遊技客に貸与される遊技媒体が払い出される度に、遊技媒体の払い出し状態に対応する遊技価値が制御装置に出力されて、管理テーブル中の端末装置に対応付けられた遊技価値に反映される。また、遊技によって遊技媒体が獲得されると、遊技媒体の獲得の状態に対応する遊技価値が計数されて、計数された遊技価値が制御装置に出力され、管理テーブル中の端末装置に対応付けられた遊技価値に反映される。そして、投入した記憶媒体を排出する際には、端末装置から制御装置に対して、投入記憶媒体に対応付けられた遊技価値に出力を要求し、制御装置から投入記憶媒体の遊技価値を受け取ると、端末装置では、受け取った遊技価値を、記憶媒体保持部に保持されている投入記憶媒体に書き込んで排出する。
【0016】
ここで、本発明の遊技媒体貸与システムにおいては、端末装置に対して、投入記憶媒体の遊技価値を分割する旨を指定することが可能となっている。そして、遊技価値を分割する旨を指定すると、端末装置および制御装置では次のような処理が行われる。先ず、端末装置では、遊技価値を分割する旨の要求を受け取ると、制御装置に向かって、その旨と分割する遊技媒体の指定量とを出力する。そして、遊技客が投入した投入記憶媒体に、指定量の遊技価値を書き込んで記憶媒体保持部から排出した後、排出した投入記憶媒体の代わりに、予め蓄えておいた記憶媒体を記憶媒体保持部に供給する。こうして遊技価値の分割動作が行われて、記憶媒体保持部に新たな記憶媒体が供給されると、その記憶媒体の遊技価値および識別コードが読み出されて制御装置に出力される。また、制御装置では、端末装置から遊技価値を分割する旨の要求を受け取ると、管理テーブル中の端末装置に対応付けられた遊技価値を、分割するよう指定された遊技価値量(指定量)に書き換える。そして、分割した残りの遊技価値は、その後、端末装置から受け取る識別コードに対応付けて管理テーブルに記憶することにより、遊技価値を他の記憶媒体に分配して付与する処理を行う。
【0017】
このような本発明の遊技媒体貸与システムにおいても、遊技によって獲得した遊技媒体は、遊技価値に変換しておき、必要に応じて遊技価値を使って遊技媒体の貸与を受けることができる。また、投入された記憶媒体の識別コードおよび遊技価値を管理テーブルと照合することで、不正な記憶媒体が投入された場合には、これを直ちに検知することができる。更に、必要に応じて、遊技価値の一部を分割して、投入記憶媒体に書き込んで排出することにより、遊技価値の一部を他人に分け与えることも可能となっている。この時、分割した遊技価値を、予め蓄えておいた記憶媒体に書き込んで分け与えるのではなく、投入した投入記憶媒体に書き込んで分け与えることとしているために、端末装置の構造や制御を簡単にすることができる。また、遊技価値の一部を分割して他人に分け与えた場合には、制御装置では、管理テーブル中で、投入記憶媒体の識別コードに対応付けられていた遊技価値が、別の記憶媒体の識別コードにも分配付与される。このため、投入した投入記憶媒体を他人に分け与えてしまっても、記憶媒体の識別コードと遊技価値との対応関係を、管理テーブルに正しく反映させておくことができる。その結果、遊技価値の分割を行いながらも、端末装置に記憶媒体が投入された場合には、その記憶媒体の識別コードおよび遊技価値を、管理テーブルと照合することで、投入された記憶媒体が適正なものであるか否かを直ちに検知することが可能となる。
【0018】
尚、上述した本発明の遊技媒体貸与装置は、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられて、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、該遊技媒体を該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与装置であって、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体から該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値を読み出し、該投入記憶媒体の遊技価値として記憶する遊技価値記憶手段と、
前記貸与される遊技媒体の払い出しを行う度に、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値から減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技台での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、該遊技媒体の獲得の状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記遊技装置毎に複数の前記記憶媒体を蓄えておく記憶媒体蓄積手段と、
前記投入記憶媒体の遊技価値の中から指定量の遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、該分割要求の際における投入記憶媒体の遊技価値を、前記投入記憶媒体と前記蓄えられている記憶媒体に分配すべく、該投入記憶媒体,該蓄えられている記憶媒体に対して、それぞれ、該指定量の遊技価値、前記分割要求の際における投入記憶媒体の遊技価値から該指定量の遊技価値を差し引いた残りの遊技価値を付与すると共に、前記投入記憶媒体に付与されていた該投入記憶媒体を特定する情報を、前記残りの遊技価値が付与された記憶媒体に付け替える
遊技媒体貸与装置として把握することも可能である。
【0019】
あるいは、上述した本発明の遊技媒体貸与装置は、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられて、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、該遊技媒体を該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与装置であって、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体から該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値と、該遊技価値を有する遊技客に関する情報である遊技客情報とを読み出し、該投入記憶媒体の遊技価値および遊技客情報として記憶する遊技価値記憶手段と、
前記貸与される遊技媒体の払い出しを行う度に、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値から減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技台での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、該遊技媒体の獲得の状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記遊技装置毎に複数の前記記憶媒体を蓄えておく記憶媒体蓄積手段と、
前記投入記憶媒体の遊技価値の中から指定量の遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、該分割要求の際における投入記憶媒体の遊技価値を、前記投入記憶媒体と前記蓄えられている記憶媒体に分配すべく、該投入記憶媒体,該蓄えられている記憶媒体に対して、それぞれ、該指定量の遊技価値、前記分割要求の際における投入記憶媒体の遊技価値から該指定量の遊技価値を差し引いた残りの遊技価値を付与すると共に、前記投入記憶媒体の前記遊技客情報を、前記残りの遊技価値が付与された記憶媒体に付け替える
遊技媒体貸与装置として把握することも可能である。
【0020】
尚、このような態様の遊技媒体貸与装置で用いられる遊技客情報とは、遊技価値を有する遊技客に関する情報であれば十分であり、たとえば遊技客自身が設定するニックネームや、イニシャル、数字やアルファベットなどを用いることができる。あるいは、遊技場側で、発行する会員番号などを用いることができる。更に、この会員番号は、発行に際して、氏名や生年月日などの個人を特定可能な情報(個人情報など)の登録が必要な会員番号であっても良いし、個人を特定するまでには到らないが大まかに本人を確認可能な情報(たとえば、電話番号、氏名のイニシャルなど)の登録で発行可能な簡易的な会員番号であっても構わない。
【0021】
更には、前述した本発明の遊技媒体貸与システムは、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられた端末装置と、該端末装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が前記端末装置に投入されると、該遊技媒体を、該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与システムであって、
前記端末装置は、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体を保持する記憶媒体保持部と、
前記記憶媒体保持部に保持されている前記投入記憶媒体から、該投入記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値と、該遊技価値を有する遊技客に関する情報である遊技客情報とを読み出して、前記制御装置に出力する媒体情報出力手段と、
遊技客に貸与される遊技媒体を払い出すとともに、該遊技媒体の払い出しを前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する遊技価値を前記制御装置に出力する遊技媒体払出手段と、
前記遊技装置での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、その結果を前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の獲得状態に対応する遊技価値を計数して、前記制御装置に出力する遊技媒体計数手段と、
前記投入記憶媒体の排出要求を受け取ると、該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値についての出力を前記制御装置に対して要求し、該制御装置から受け取った遊技価値を、前記記憶媒体保持部に保持されている該投入記憶媒体に書き込んだ後、前記端末装置の外部に排出する記憶媒体排出手段と
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記遊技媒体について、該記憶媒体に書き込まれた前記遊技客情報と、該遊技客情報に対応付けられた前記遊技価値とが対応付けられた管理テーブルを予め記憶している管理テーブル記憶手段と、
前記端末装置から前記遊技客情報および前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルに記憶されている前記遊技客情報および前記遊技価値に合致するか否かを判断して、合致していた場合には、該端末装置と該管理テーブルの遊技価値とを対応付ける遊技価値対応付け手段と、
前記端末装置から前記遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値から、該受け取った遊技価値を減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技装置での前記遊技媒体の獲得状態に対応して前記端末装置で計数された前記遊技価値を受け取ると、該受け取った遊技価値を、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記端末装置からの要求に応じて、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を、該端末装置に出力する遊技価値出力手段と
を備え、
前記端末装置には、
複数の前記記憶媒体を蓄えているとともに、該記憶媒体を供給する旨の要求を受け取ると、該記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する記憶媒体蓄積手段と、
指定量の前記遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、その旨と該指定量とを前記制御装置に出力するとともに、前記記憶媒体排出手段に対しては、該指定量を前記投入記憶媒体に書き込んで排出する旨の排出要求を出力し、更に、前記記憶媒体蓄積手段に対しては、蓄えられている前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する旨の供給要求を出力することによって、前記遊技価値の分割動作を実行する分割動作実行手段と
が設けられており、
前記制御装置には、
前記分割要求があった旨と前記指定量とを前記端末装置から受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を該指定量に書き換えて、その後、該端末装置から受け取った前記遊技客情報に対応付けて前記管理テーブルに記憶されている前記遊技価値を、書き換え前の該遊技価値から該指定量を減算した残余の遊技価値に書き換える遊技価値分配付与手段が設けられている遊技媒体貸与システムとして把握することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】遊技台10と玉貸機20とが隣接して設置されている様子を示した説明図である。
【図2】玉貸機20を側面側から見て内部構造を示した説明図である。
【図3】第1実施例の玉貸機20が行うコインを用いた持玉管理処理のフローチャートである。
【図4】玉貸機20に搭載されたコインユニット120の内部構造を示した説明図である。
【図5】コイン投入口26からコインユニット120に投入されたコインの動きを示す説明図である。
【図6】精算処理によって持玉数データが書き込まれたコインがコイン返却口28から排出される様子を示した説明図である。
【図7】第1実施例の玉貸機20で行われる持玉分割処理のフローチャートである。
【図8】液晶モニター22の画面上に表示される持玉分割用の画面を例示した説明図である。
【図9】持玉分割を行うことでコインと持玉数データとの対応関係の分配付与が発生する様子を示した説明図である。
【図10】コインと持玉数データとの対応関係の変更が不要なコインユニット130の構造を示した説明図である。
【図11】複数の玉貸機20がネットワークで接続されて貸玉システム200を構成している様子を概念的に示した説明図である。
【図12】第2実施例の貸玉システム200がコインを用いて行う持玉管理の概要を示したブロック図である。
【図13】サーバー210に記憶されている管理テーブルを概念的に示した説明図である。
【図14】第2実施例の貸玉システム200において持玉分割を行うために玉貸機20およびサーバー210が行う処理を示したブロック図である。
【図15】第2実施例の貸玉システムで持玉分割を行う際に管理テーブル内で持玉数データの分配付与が発生する様子を示した説明図である。
【図16】異なる通路構成を有するコインユニット160の内部構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
A−2.第1実施例におけるコインを用いた持玉管理処理:
A−3.第1実施例の持玉分割処理:
B.第2実施例:
B−1.システム構成:
B−2.第2実施例におけるコインを用いた持玉管理処理:
B−3.第2実施例の持玉分割処理:
【0024】
A.第1実施例 :
A−1.装置構成 :
図1は、遊技ホールに設置されている遊技台10と、遊技台10の隣に設置された玉貸機20とを示した説明図である。以下に説明する第1実施例では、この玉貸機20が遊技媒体貸与装置に該当する。周知のように、遊技台10には、中央に大きな遊技盤12が設けられており、この遊技盤12に遊技球を発射することによって遊技を行う。遊技球を発射するためには、遊技盤12の下部から手前側に突設された上皿14に遊技球を投入し、右斜め下側に設けられた発射ハンドル16を時計回りに回転させる。すると、発射ハンドル16の回転角度に応じた強さで、自動的に遊技盤12に向けて遊技球が発射されていく。また、遊技によって獲得された遊技球(出玉)は、上皿14の下方に設けられた下皿18に払い出されるようになっている。
【0025】
遊技台10の隣には、それぞれの遊技台10に1台ずつ玉貸機20が設置されている。図示されているように、玉貸機20の前面側(遊技客に面した側)には、液晶モニター22や、カード挿入口24、操作ボタン類25、玉払出ノズル40、コイン投入口26、コイン返却口28、玉計数口50などが設けられている。液晶モニター22は、いわゆるタッチパネル式のモニターとなっており、遊技客がパネルを操作することによって、各種の遊技データを表示させたり、玉貸機20に動作を指示したり、あるいは玉貸機20をインターネットに接続して各種の情報を表示したりすることが可能である。また、カード挿入口24は、プリペイドカードや会員カードなどの各種カード類が挿入可能となっており、遊技客がこれらカードを挿入すると、カードに記録されたデータが、玉貸機20によって自動的に読み取られるようになっている。操作ボタン類25は、貸与される遊技球(貸玉)の払出や、投入したカードの返却、更には、遊技の終了に伴う持玉の精算など、玉貸機20の基本的な操作を行うために設けられている。操作ボタン類25を操作することによって貸与された貸玉は、玉払出ノズル40から遊技台10の上皿14に払い出されるようになっている。
【0026】
こうして貸与された貸玉を用いて遊技を行い、その結果として獲得された遊技球(出玉)は下皿18に払い出される。下皿18に溜められる遊技球の個数には限りがあるが、下皿18に設けられたレバー(図示は省略)を操作すると、下皿18に溜まった遊技球が玉計数口50に投入されて、玉貸機20に搭載された各台計数ユニットで計数される。こうして計数された遊技球の玉数は、持玉の電子的なデータ(以下、持玉数データと呼ぶ)として記憶され、持玉が残っている範囲であれば、上述した操作ボタン類25を操作することにより、貸玉の払い出しを受けることが可能となる。また、遊技を終了して別の遊技台10に移動したい場合には、上述した操作ボタン類25を操作して持玉の精算を指定すると、コイン返却口28からコインが1枚払い出されるようになっている。このコインにはICチップが内蔵されており、遊技客の獲得した持玉数データが書き込まれている。このため、払い出されたコインを持って他の遊技台10に移動した後、その遊技台10に隣接して設けられた玉貸機20のコイン投入口26からコインを投入すると、コインのICチップに書き込まれた持玉数データが読み出されて、新たな遊技台10で遊技を開始することが可能となる。
【0027】
尚、本明細書中では、説明が煩雑となることを避けるため、持玉数データは、遊技球の個数のデータであるものとして説明する。しかし実際には、持玉数データは、間接的に遊技球の個数に換算可能なデータであれば十分であり、必ずしも遊技球の個数のデータである必要はない。持玉数データを、このような抽象的な価値を表すデータとしておけば、次のような利点を得ることができる。すなわち、今日では、同じ料金でも貸与される遊技球の個数が遊技台に応じて異なって設定されている遊技ホールや、遊技球を用いて遊技が行われる遊技台だけでなく、遊技メダルを用いて遊技が行われる遊技台も設置されている遊技ホールが、多くなっている。このような遊技ホールでは、持玉数データを抽象的な価値を表すデータとしておけば、例えば遊技球で遊技を行う遊技台の持玉数データをコインに書き込んで、遊技メダルで遊技を行う遊技台に移動して遊技を開始したり、あるいは、同じ料金でも貸与される遊技球の個数が異なる遊技台に移動して遊技を開始したりすることが可能となる。
【0028】
図2は、玉貸機20を側面側から見て、玉貸機20の内部構造を示した説明図である。図示されるように、玉貸機20の内部には、玉払出ノズル40に遊技球を供給するための玉供給機構140や、投入されたコインの受付や返却などを行うためのコインユニット120、玉計数口50に投入された遊技球の玉数を計数するための玉計数ユニット150、玉貸機20の全体の制御を司る制御ユニット100などが搭載されている。このうち、玉供給機構140は、玉貸機20の上面に開口した玉取入口から取り込んだ遊技球を、玉払出ノズル40に供給する遊技球供給通路142を中心として構成されており、遊技球供給通路142の途中には、遊技球を所定個数ずつ供給する玉切り装置144や、玉切り装置144に供給する遊技球の有無を検出する玉有り検出センサー146、玉切り装置144の下流側で遊技球の球詰まり発生の有無を検出する玉詰まり検出センサー148などが設けられている。また、制御ユニット100には、CPUや、ROM、RAMなどの各種LSIチップが搭載されている。更に、コインユニット120の内部には、コイン投入口26から投入されたコインをコイン返却口28に導くコイン通路が形成されており、また、複数枚のコインを予め内部にストックしておくことも可能となっている。コインユニット120の内部構造については、後ほど詳しく説明する。
【0029】
上述したように、玉貸機20では、遊技によって獲得した出玉を、持玉数データとしてコインに書き込んで払い出したり、投入されたコインから持玉数データを読み出して貸玉を払い出したりすることができる。そして、第1実施例の玉貸機20では、このようなコインを用いて持玉を管理する処理を、玉貸機20単独で実行することが可能となっている。以下では、こうしたことを実現するために、第1実施例の玉貸機20の内部で行われている処理(持玉管理処理)について説明する。
【0030】
A−2.第1実施例におけるコインを用いた持玉管理処理 :
図3は、コインによる持玉管理のために第1実施例の玉貸機20の内部で行われる持玉管理処理を示したフローチャートである。この処理は、玉貸機20内に搭載された制御ユニット100を中心として実行される処理である。以下では、図3のフローチャートに従って、第1実施例におけるコインを用いた持玉管理処理の内容を説明する。
【0031】
図示されるように、第1実施例の持玉管理処理では、先ず初めに、コイン投入口26からコインが投入されたか否かが判断される(ステップS100)。コイン投入口26の内部には、図示しないセンサーが設けられており、コインが投入されると直ちに検出することが可能となっている。コインが投入されていないと判断された場合は(S100:no)、今度は、玉貸機20に搭載された玉計数口50に遊技球(出玉)が投入されたか否かを判断する(ステップS102)。玉計数口50に投入された遊技球は、通路を通って玉計数ユニット150に導かれるが、この通路の途中にはセンサー(図示は省略)が設けられており、玉計数口50に遊技球が投入されたことを直ちに検出可能となっている。その結果、玉計数口50に遊技球が投入されていないと判断された場合は(ステップS102:no)、再び先頭に戻って、コインが投入されたか否かを判断する(ステップS100)。
【0032】
第1実施例におけるコインを用いた持玉管理処理では、コイン投入口26にコインが投入されるか、玉計数口50に遊技球が投入されるまで、このような判断を繰り返し行う。そして、コインが投入されたと判断された場合には(ステップS100:yes)、コインのICチップに書き込まれた持玉数データを読み出す処理を行う(ステップS104)。ここで、コインユニット120の内部構造について説明しておく。
【0033】
図4は、本実施例の玉貸機20に搭載されたコインユニット120の内部構造を示した説明図である。図示されるように、コインユニット120の内部には、コイン投入口26とコイン返却口28との間を「逆コの字型」に大きく迂回して接続するコイン通路124が形成されている。また、コイン通路124のコイン投入口26から少し入った位置からは、短いコイン通路122が分岐しており、このコイン通路122は、コイン返却口28の少し手前の位置で、コイン通路124に合流するようになっている。2つのコイン通路122,124が分岐する箇所には、それぞれのコイン通路124への入口に、シャッター126A,126Bが設けられている。また、2つのコイン通路122,124が合流する箇所には、大きく迂回してきたコイン通路124の側だけにシャッター126Cが設けられている。更に、合流箇所とコイン返却口28との間にもシャッター126Dが設けられている。
【0034】
シャッター126Cは、通常時は閉じた状態となっている。このため、コイン通路124のシャッター126Cより上流側の部分は、コインをストックしておく機能を有している。すなわち、2つのコイン通路122,124が分岐する箇所に設けられた2つのシャッター126A、126Bのうち、短いコイン通路122側のシャッター126Aを閉じ、大きく迂回するコイン通路124側のシャッター126Bを開いた状態で、コイン投入口26からコインを投入する。すると、投入されたコインはコイン通路124に導かれて、シャッター126Cの上流側にストックされた状態となる。図4中に細い破線で示された丸い図形は、シャッター126Cの上流側に複数枚のコインがストックされる様子を表している。
【0035】
また、2つのコイン通路122,124の合流箇所(シャッター126C、シャッター126Dの間)には、コインのICチップに対して非接触でデータの読み書きを行うことが可能な記録ヘッド128が搭載されている。
【0036】
図5は、コイン投入口26からコインユニット120に投入されたコインの動きを表した説明図である。通常の状態では、シャッター126Aは開いた状態となっており、シャッター126Bは閉じた状態となっている。このため、コイン投入口26から投入されたコインは、シャッター126Aからコイン通路122を通って、コイン通路124との合流箇所へと導かれる。図5中に太い破線で示した矢印は、コイン投入口26から投入されたコインの動きを表している。また、上述したように、コイン通路122,124の合流箇所には、記録ヘッド128が設けられているため、投入したコインのICチップから、持玉数データを読み出すことができる。こうしてコインから読み出された持玉数データは、制御ユニット100に搭載されたRAMの所定アドレスに記憶される。尚、コインユニット120内で、2つのコイン通路122,124が合流する箇所は、コイン投入口26から投入されたコインが保持される箇所であるから、以下では、この箇所を「投入コイン保持部」と呼ぶことがあるものとする。
【0037】
図3に示したコインによる持玉管理処理では、以上のようにして、コイン投入口26から投入されたコインの持玉数データを読み出すか(ステップS104)、玉計数口50に遊技球(出玉)が投入されたと判断すると(ステップS102:yes)、出玉計数処理(ステップS106)あるいは貸玉払出処理(ステップS108)を開始する。
【0038】
ここで、出玉計数処理とは、玉計数口50に投入された遊技球(出玉)を玉計数ユニット150で計数する処理である。出玉計数処理(ステップS106)では、先ず初めに玉計数口50に投入された遊技球の有無を検出して、遊技球が検出されなかった場合には、計数すべき遊技球が存在しないのであるから、そのまま出玉計数処理(ステップS106)を終了して、次の貸玉払出処理(ステップS108)に移行する。これに対して、玉計数口50に投入された遊技球(出玉)が検出された場合には、玉計数ユニット150で得られた計数値を、持玉数データの値に加算する処理を行う。
【0039】
例えば、コイン投入口26からコインが投入されて、コインの持玉数データが読み出されてRAMに記憶されていた場合には、その持玉数データに、玉計数ユニット150で得られた計数値を加算して、新たな持玉数データとしてRAMに記憶する。あるいは、既に出玉の計数が行われて、その結果が持玉数データとしてRAMに記憶されていた場合には、新たに得られた計数値を加算して、得られた値を新たな持玉数データとしてRAMに記憶する。もちろん、そのような持玉数データが、まだRAMに記憶されていない場合には、玉計数ユニット150で得られた計数値を、新たな持玉数データとして記憶する。ステップS106の出玉計数処理では、以上のように、玉計数口50に遊技球(出玉)が投入されたか否かを判断して、遊技球が投入されていた場合には、玉計数ユニット150で得られた計数値を持玉数データとして累積する処理を行う。また、玉計数口50に遊技球が投入されていない場合は、出玉計数処理を直ちに終了して、以下に説明する貸玉払出処理(ステップS108)を開始する。
【0040】
貸玉払出処理(ステップS108)では、遊技客によって行われた操作ボタン類25の操作に応じて、玉払出ノズル40から貸玉を払い出す処理を行う。すなわち、先ず初めに、操作ボタン類25が操作されて貸玉の払い出しが要求されたか否かを判断する。その結果、貸玉の払い出しを要求する旨の操作が行われていない場合は、貸玉を払い出す必要はないので、直ちに貸玉払出処理を終了する。これに対して、遊技客によって、貸玉の払い出しを要求する旨の操作が行われていた場合には、玉貸機20の制御ユニット100は、払い出し要求された貸玉数と、RAMに記憶されている持玉数データとを比較する。そして、貸玉数が持玉数データよりも少なければ、要求された個数の遊技球を貸玉として玉払出ノズル40から払い出すとともに、払い出した個数に応じて持玉数データを減算する処理を行う。一方、払い出し要求された貸玉数が、RAMに記憶されている持玉数データよりも大きかった場合には、払い出し不能である旨を、音声あるいはランプ等で報知した後、貸玉払出処理(ステップS108)を終了する。
【0041】
以上のようにして、出玉計数処理(ステップS106)および貸玉払出処理(ステップS108)を終了したら、持玉分割を行うか否かを判断する(ステップS110)。ここで「持玉分割」とは、制御ユニット100のRAMに持玉数データとして記憶されている持玉の一部を取り出して、取り出した玉数に相当する持玉数データを書き込んだコインを、コイン返却口28から排出する動作をいう。遊技台10で遊技を行うと、上述した出玉計数処理(ステップS106)や貸玉払出処理(ステップS108)によって持玉数データは増減し得るが、通常は、どれだけ持玉数データが増減したとしても1つのデータである。また、遊技を終了して持玉数データをコインに書き込んで払い出す場合でも、1枚のコインに書き込まれる。ところが、本実施例の玉貸機20では、持玉分割を行うことにより、遊技台10で遊技を継続したまま、持玉数データの一部をコインに書き込んで、コイン返却口28から排出することが可能となっている。また、玉貸機20に設けられた操作ボタン類25の一部は、持玉分割を指定するためのボタン(持玉分割ボタン)に割り当てられており、遊技客は持玉分割ボタンを押すことによって、玉貸機20に持玉分割のための処理を開始されることが可能となっている。持玉分割を行うために行われる処理については、別図を用いて、後ほど詳しく説明する。
【0042】
持玉分割ボタンを押すことによって、遊技客が玉貸機20に対して持玉分割を行うように指示していた場合には、出玉計数処理および貸玉払出処理(ステップS106、S108)の終了後、持玉分割を行うと判断して(ステップS110:yes)、後述する持玉分割処理(ステップS150)を開始するが、持玉分割ボタンが押されていなかった場合は、持玉分割を行わないと判断して(ステップS110:no)、持玉分割処理(ステップS150)はスキップする。
【0043】
続いて、制御ユニット100は、精算するか否かを判断する(ステップS112)。操作ボタン類25の中には、持玉を精算するためのボタン(精算ボタン)も設けられており、精算ボタンが押されていない場合は、精算しないものと判断して(ステップS112:no)、再びステップS116に戻って以降の上述した各種処理を行った後、精算するか否かを判断する(ステップS112)。このようにして、遊技客によって精算ボタンが押されるまで、出玉計数処理(ステップS116)、貸玉払出処理(ステップS118)、あるいは、持玉分割に関する処理(ステップS110、S150)を繰り返して実行する。そして、遊技客によって精算ボタンが押されたら、精算を行うものと判断して(ステップS112:yes)、精算処理を開始する(ステップS114)。
【0044】
精算処理(ステップS114)では、記憶されている持玉数データをコインのICチップに書き込んで、コイン返却口28から排出する処理を行う。図6は、精算処理によって持玉数データが書き込まれたコインが、コイン返却口28から排出される様子を示した説明図である。図3に示したコインによる持玉管理処理の開始時に、コイン投入口26からコインが投入されていた場合は、図5を用いて前述したように、投入されたコインは、2つのコイン通路122,124の合流箇所(投入コイン保持部)に保持されている。また、この合流箇所には、コインのICチップに対して非接触でデータを読み書き可能な記録ヘッド128も搭載されている。そこで、投入されたコインが投入コイン保持部に保持されている場合には、RAMから読み出した持玉数データを、記録ヘッド128を用いてコインのICチップに書き込むと共に、RAMの持玉数データは「0」にする。その後、シャッター126Dを開くことにより、投入コイン保持部のコインをコイン返却口28に排出する。図6(a)には、コイン投入口26から投入されて、投入コイン保持部に保持されていたコインに持玉数データを書き込んだ後、コイン返却口28に排出する様子が示されている。
【0045】
一方、図3に示したコインによる持玉管理処理の開始時に、コインが投入されていなかった場合は、投入コイン保持部に保持されているコインは存在しない。そこで、このような場合には、コインユニット120内にストックされていたコインに持玉数データを書き込んで、コイン返却口28から排出する。すなわち、図4を用いて前述したように、投入コイン保持部に設けられたシャッター126Cは、通常時は閉じられており、シャッター126Cより上流側のコイン通路124には、複数枚のコインが予めストックされている。そこで、図3の持玉管理処理の開始時にコインが投入されていなかった場合は、シャッター126Cを開くことにより、ストックしておいたコインを投入コイン保持部に供給する。投入コイン保持部には、コイン1枚分のスペースしか設けられていないので、シャッター126Dが閉じられている限りは、シャッター126Cを開いても複数枚のコインが供給されることはない。こうして、ストックしておいたコインを1枚だけ投入コイン保持部に供給したら、記録ヘッド128を用いて持玉数データを書き込んだ後、シャッター126Dを開いてコイン返却口28にコインを排出する。尚、シャッター126Cは、投入コイン保持部にコインを1枚だけ供給した段階で、再び閉じておく。図6(b)には、コイン通路124にストックしておいたコインを、投入コイン保持部に供給して持玉数データを書き込んだ後、コイン返却口28から排出する様子が示されている。
【0046】
図3に示したコインによる持玉管理処理で精算処理(ステップS114)を行うと、以上のようにして、RAMから読み出した持玉数データをコインに書き込んだ後、コイン返却口28から排出する処理を行う。そして、持玉数データが書き込まれたコインが排出されたら、図3の持玉管理処理を終了する。
【0047】
以上に説明したように、本実施例の玉貸機20では、コインによる持玉管理処理を行うことで、実際の遊技球ではなく、持玉数データとして電子的に持玉を管理することが可能である。すなわち、遊技によって獲得した出玉は、玉計数ユニット150で持玉数データに変換しておき(図3のステップS106)、上皿14の遊技球が足りなくなったら、持玉数データの一部を遊技球として玉払出ノズル40から払い出す(図3のステップS108)。こうすれば、手元には、上皿14に投入するための僅かな遊技球だけを残しておけばよい。また、遊技台10を移動する場合には、精算処理を行って持玉数データが書き込まれたコインを払い出し(図3のステップS114)、そのコインを持って移動することで、持玉数データを持ったまま別の遊技台10に移動することができる。こうすれば、たとえ大量の出玉を獲得した場合でも、持玉数データが書き込まれたコインだけを持って遊技台10を移動することができるのでたいへんに便利である。
【0048】
もっとも、精算処理を行うと、全ての持玉数データが1枚のコインに書き込まれてしまう。このため、例えば、友人と連れ立って遊技ホールを訪れた場合、持玉を使い切ってしまった友人のために持玉数データの一部を分け与えようとしても、一部の持玉数データだけをコインに書き込んで排出することはできない。そこで、このような場合には、以下に説明する持玉分割処理(図3のステップS150)が行われる。
【0049】
A−3.第1実施例の持玉分割処理 :
図7は、第1実施例の玉貸機20で行われる持玉分割処理のフローチャートである。この処理は、図3に示したコインによる持玉管理処理の実行中に、操作ボタン類25の中の持玉分割ボタンが押されると、玉貸機20の制御ユニット100によって開始される処理である。
【0050】
図示されるように、持玉分割処理を開始すると、制御ユニット100は先ず初めに、液晶モニター22の画面上に、持玉分割用の画面を表示する(ステップS152)。図8は、液晶モニター22の画面上に表示される持玉分割用の画面を例示した説明図である。図8に例示した画面には、現在の持玉数を表示する欄や、分割して取り出す持玉数を設定する欄などが設けられている。また本実施例では、液晶モニター22はタッチパネル式のモニター画面となっており、取り出す持玉数を設定するための各種操作ボタンが表示されている。制御ユニット100は持玉分割処理を開始すると、このような画面を液晶モニター22に表示すると共に、RAMに記憶されている持玉数データを読み出して「現在持玉数」と表示された欄に表示し、更に、「取出持玉数」と表示された欄には初期値として「0」を表示する処理を行う(ステップS152)。
【0051】
遊技客は、図8に例示された画面の表示を見ながら、「取出持玉数」の欄の隣に表示された「+」ボタンあるいは「―」ボタンを操作することによって、取出持玉数の数値を変更する。そして、取出持球数を設定し終えたら、画面下部に表示された「確定」ボタンを押す。すると制御ユニット100は、「取出持玉数」の欄に設定された数値を読み出して、分割する持玉数の持玉数データとして取得する(ステップS154)。尚、取り出す持玉数を設定している途中で、遊技客が持玉分割を止めようと思った場合には、「確定」ボタンを押す前であれば、「確定」ボタンの隣に表示されている「中止」ボタンを押すことによって、それまでに行った持玉分割の操作をキャンセルするとともに、画面の表示も持玉分割を開始する前の画面に復帰させることができる。また、画面の左下隅に表示された「メインメニュー」ボタンを押すと、液晶モニター22上にメインメニューの画面が表示され、その画面から指定することによって、例えばテレビ画面を表示したり、インターネットに接続したりするなど、玉貸機20に種々の動作を行わせることも可能となっている。
【0052】
こうして分割して取り出そうとする持玉の持玉数データを取得したら、取得した持玉数データを、投入コインのICチップに書き込む処理を行う(ステップS156)。すなわち、図3を用いて前述した持玉管理処理が、コイン投入口26からコインを投入することによって開始された場合には、投入されたコインが、コインユニット120内の投入コイン保持部に保持されているから(図5を参照のこと)、投入コイン保持部に設けられた記録ヘッド128を用いて、コインのICチップに持玉数データを書き込んでやる。尚、投入コイン保持部にコインが保持されていない場合は、コイン通路124にストックしておいたコインを、シャッター126Cを開いて投入コイン保持部に供給すればよい。
【0053】
以上のようにして、分割して取り出そうとする持玉数データをコインに書き込んだら、シャッター126Dを開いて、そのコインをコイン返却口28に排出した後、今度はシャッター126Cを開いて、ストックしておいたコインを投入コイン保持部に供給する(ステップS158)。尚、ストックしたコインを供給する際には、コイン返却口28側のシャッター126Dは閉じておく。前述したように投入コイン保持部はコイン1枚分のスペースしか設けられていないから、シャッター126Dを閉じた状態でシャッター126Cを開いてやれば、コイン通路124のコインを1枚だけ、投入コイン保持部に供給することができる。
【0054】
こうして、分割する持玉数データが書き込まれたコインを排出すると共に、ストックしておいたコインを投入コイン保持部に供給したら(ステップS158)、制御ユニット100のRAMに記憶されていた持玉数データを、分割した残りの持玉数データに変更して(ステップS160)、図7に示す持玉分割処理を終了し、図3のコインによる持玉管理処理に復帰する。前述したように、図3のコインによる持玉管理処理では、清算処理(ステップS114)が行われるまで、出玉管理処理(ステップS106)や貸玉払出処理(ステップS108)が行われ、その結果が、RAMに記憶された持玉数データが変更される。そして、遊技客が操作ボタン類25の清算ボタンを押したことによって清算処理(ステップS114)が行われると、投入コイン保持部に保持されていたコインに、RAMの持玉数データが書き込まれてコイン返却口28から排出される。
【0055】
ここで、遊技客がコイン投入口26からコインを投入することによって遊技が開始され、遊技の途中で、上述した持玉分割が行われていた場合には、コインと持玉数データとの間で対応関係の変更(すなわち、持玉数データを他のコインに分配付与する操作)が発生することになる。この点について、別図を用いて詳しく説明する。
【0056】
図9は、持玉分割を行うことで、コインと持玉数データとの対応関係の変更が発生する様子を示した説明図である。例えば、遊技客がコインAを投入して遊技を開始したとする。すると、前述したように、コインAに書き込まれた持玉数データが読み出されて(図3のS104)、その後に行われる出玉計数処理(ステップS106)や貸玉払出処理(ステップS108)の結果は、コインAの持玉数データに反映される。
【0057】
ところが、遊技の途中で持玉分割処理(ステップS150)が行われると、分割して取り出す持玉数データが、投入コイン保持部に保持されているコインAに書き込まれて排出されてしまう。その結果、分割した残りの持玉数データは、それまではコインAの持玉数データであったにも関わらず、持玉分割後は、新たに投入コイン保持部に供給されたストックコイン(コインB)の持玉数データに付け替わって、その後に行われる出玉計数処理(ステップS106)や貸玉払出処理(ステップS108)の結果も、コインBの持玉数データに反映されることになる。そして、清算処理が行われると、遊技客が実際に投入したコインはコインAであったにも関わらず、ストックされていた別のコインBに持玉数データが書き込まれて、コイン返却口28から返却される。図9には、持玉分割を境として、コインAに対する持玉数データが、コインBに対する持玉数データに付け替わる様子が概念的に表されている。
【0058】
このように、コインと持玉数データとの対応関係の変更(持玉数データを他のコインに分配付与する操作)を行わないものとすると、コインユニット120の構造が複雑となってしまう。逆に言えば、本実施例の玉貸機20では、遊技客がコインを投入して遊技を開始した後、途中で持玉分割を行った場合に、コインと持玉数データとの対応関係の変更を行うことで、コインユニット120の構造を簡素なものとすることが可能となっている。以下では、この点について説明する。
【0059】
図10は、持玉分割の発生時にも、コインと持玉数データとの対応関係の変更が不要なコインユニット120の構造を示した説明図である。図示したコインユニット130の内部にも、図4を用いて前述した本実施例のコインユニット120と同様に、「逆コの字型」に大きく迂回するコイン通路134と、途中を短絡する短いコイン通路132とが設けられており、コイン通路134からコイン通路132が分岐する箇所には、シャッター136A,136Bが設けられている。また、2つのコイン通路132,134が合流する箇所でも、コイン通路134側にはシャッター136Cが設けられている。但し、図4に示した本実施例のコインユニット120では、コイン通路122側にはシャッターが設けられていないのに対し、図10のコインユニット130では、コイン通路122に相当するコイン通路132側にもシャッター136Eが設けられている。
【0060】
このような構成を有する図10のコインユニット130では、通常時は、シャッター136Eを閉じておくことで、コイン投入口26から投入されたコインを、シャッター136Eの上流側の位置で保持しておくことができる。また、この位置(シャッター136Eの上流側の位置)に記録ヘッド138を搭載しておけば、投入されたコインから持玉数データを読み出すことができる。そして、その後、持玉分割を行う場合には、シャッター136Cを開いて、ストックしておいたコインを排出することとすれば、遊技客が投入したコインを排出せずに済むので、コインと持玉数データとの対応関係の変更(持玉数データを他のコインに分配付与する操作)が発生することもない。
【0061】
但し、この場合、ストックしていたコインに持玉数データを書き込むための記録ヘッド138が、新たに必要になる。すなわち、コイン投入口26から投入されたコインの持玉数データを読み出すために、記録ヘッド138が既に1つ搭載されているが、この記録ヘッド138は遊技客が投入したコインによって塞がれているので、別のコインに持玉数データを書き込むことができない。従って、ストックしていたコインに持玉数データを書き込むためには、別に新たな記録ヘッド138が必要となる。図10に示した例では、シャッター136Cの上流側の位置に、もう1つの記録ヘッド138が設けられている。
【0062】
このように、持玉分割時に、コインと持玉数データとの対応関係の変更が発生しないようにすると、最低でも2箇所に記録ヘッド138を搭載する必要が生じるので、それだけコインユニット130の構造が複雑となる。更に、記録ヘッド138が複数箇所に搭載されていると、持玉数データを書き込む際に、何れの記録ヘッド138を用いて書き込むかを判断しなければならなくなるので、その分だけ玉貸機20の制御も複雑となってしまう。これに対して本実施例の玉貸機20では、遊技客がコインを投入して遊技が開始され、途中で持玉分割が行われた場合には、図9に示すような、コインと持玉数データとの対応関係の変更(持玉数データを他のコインに分配付与する操作)を行っているために、コインユニット120に搭載する記録ヘッド128を1つに抑制することが可能となっている。このため、コインユニット120の構造を簡素なものに保ちつつ、玉貸機20の制御が複雑になることを回避することが可能となっているのである。
【0063】
上述した第1実施例では、玉貸機20は、コインによる持玉管理を単独で行うものとして説明した。しかし、完全に単独で持玉管理を行うのではなく、サーバーと適宜、通信を行いながら持玉管理を行うようにしても良い。すなわち、玉貸機20を、サーバーと通信回線で接続可能としておく。そして、玉貸機20は、図3に示した持玉管理処理を、サーバーと通信することなく(オフライン状態で)実行する。また、コインが投入されると(図3のステップS100:yes)、コインに記憶された持玉数データを読み出して、玉貸機20のRAMに記憶する。このとき、持玉数データが、持玉の玉数を直接表したデータではなく、間接的に玉数に換算可能なデータであった場合には、玉数を表すデータに変換してRAMに記憶する。また、それぞれのコインには固有のコインIDが付与されているものとする。
【0064】
そして、出玉計数処理(ステップS106)や貸玉払出処理(ステップS108)、持玉分割処理(ステップS150)などの処理は、RAMに記憶されたデータを読み書きすることによって実行する。その後、精算処理(ステップS114)を行う際には、RAMに記憶されているデータを、コインに書き込んでやる。この際、コインの書き込まれる持玉数データが、球数を直接表すデータではなく、間接的に玉数に換算可能なデータであった場合には、RAMに記憶されている玉数のデータを、間接的に玉数に換算可能なデータに変換した後、コインに書き込んでやればよい。
【0065】
こうして精算処理(ステップS114)を行ったら、玉貸機20はサーバーと通信回線を介して接続し(オンライン状態となり)、コインに書き込んだ持玉数データと、コインのコインIDとを組にして、サーバーに送信するようにしても良い。
【0066】
B.第2実施例 :
以上に説明した第1実施例では、コインによる持玉管理を、遊技台10の隣に設置された個々の玉貸機20が単独で実施する場合について説明した。しかし、大部分の遊技ホールでは、玉貸機20がネットワークを介してサーバー(持玉サーバー)に接続されており、複数の玉貸機20およびサーバー(持玉サーバー)が1つの貸玉システムを構成している。以下に説明する第2実施例では、このような場合に行われる持玉分割について説明する。
【0067】
B−1.システム構成 :
図11は、遊技ホールに設けられた複数の玉貸機20がネットワークで接続されて、貸玉システム200が構成されている様子を概念的に示した説明図である。第2実施例では、個々の玉貸機20にネットワークカードが搭載されており、通信回線を介してサーバー210に接続されている。そして、玉貸機20にコインが投入されると、通信回線を介してサーバー210とデータをやり取りしながら、持玉の管理を行う。以下では、第2実施例の玉貸機20にコインが投入された場合に、貸玉システム200で行われる持玉管理する処理(コインによる持玉管理処理)について説明する。
【0068】
B−2.第2実施例におけるコインを用いた持玉管理処理 :
図12は、第2実施例の貸玉システム200が、コインを用いて行う持玉管理の概要を示したブロック図である。上述したように第2実施例では、玉貸機20とサーバー210とがデータをやり取りしながら持玉管理を行っている。このことに対応して、図12中の左側の部分には玉貸機20で行われる処理が示されており、図12中の右側の部分にはサーバー210で行われる処理が示されている。また、図12の中央の部分には、玉貸機20とサーバー210との間でデータがやり取りされる様子が、矢印によって示されている。以下では、図12のブロック図を参照しながら、貸玉システム200がコインを用いて行う持玉管理の概要について説明する。
【0069】
図12に示されるように、コインを用いた持玉管理は、遊技客が玉貸機20のコイン投入口26に投入したコインを検出することによって開始される。尚、実際には、玉計数口50に出玉を供給した場合にも、コインを用いた持玉管理が開始されるが、前述した第1実施例と同様に、この場合には遊技者が持玉分割を行っても、コインと持玉数データとの対応関係の変更(持玉数データを他のコインに分配付与する操作)は発生しない。そこで、説明が煩雑となることを避けるために、図12では、遊技客がコインを投入した場合のみが表示されている。
【0070】
図5を用いて前述したように、コイン投入口26から投入されたコインは、コイン通路122を通って投入コイン保持部に供給され、コインのICチップに記憶されているデータが、記録ヘッド128によって読み出される。前述した第1実施例の玉貸機20では、コインのICチップに書き込まれた持玉数データを読み出していたが、図12に示されるように、第2実施例の玉貸機20では、持玉数データに加えてコインIDも読み出されるようになっている。ここで、コインIDとは、1つ1つのコインを識別するために、コイン毎に付与された識別番号であり、コインのICチップに予め記憶されている。そして、投入されたコインから読み出されたコインIDおよび持玉数データは、通信回線を介して、サーバー210に送信される。
【0071】
図12に示されているように、サーバー210は、玉貸機20からコインIDおよび持玉数データを受け取ると、予め記憶されている管理テーブルと照合することにより、投入されたコインを適正なコインとして受け入れるか否かの認証を行う。
【0072】
図13は、サーバー210に記憶されている管理テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、管理テーブルには、貸玉システム200で使用される全てのコインについて、コインIDと、持玉数データとが対応付けて記憶されている。また、図13中に一点鎖線で示されているように、管理テーブルには、コインID、持玉数データに加えて、会員IDを設定可能としても良い。会員IDが、どのようにして設定されるかについては、後述する。サーバー210は、玉貸機20からコインIDおよび持玉数データを受け取ると、先ず始めに、コインIDが管理テーブルに登録されているか否かを判断する。そして、受け取ったコインIDが管理テーブルに登録されていない場合は、玉貸機20に投入されたコインは、遊技ホールが管理していないコイン(例えば、他店で入手したコインなど)であると判断して、コインの照合が取れない旨を玉貸機20に向かって返信する。
【0073】
これに対して、玉貸機20から受け取ったコインIDが管理テーブルに登録されていた場合には、今度は、玉貸機20から受け取った持玉数データと、コインIDに対応付けて管理テーブルに記憶されている持玉数データとが一致するか否かを判断する。詳細には後述するが、サーバー210は、その遊技ホールが管理する全てのコインについて、そのコインに書き込まれた持玉数データの値を、管理テーブルを用いて把握している。従って、玉貸機20からコインIDおよび持玉数データを受け取った時に、その持玉数データが、管理テーブルにコインIDに対応付けて記憶されている持玉数データと食い違っている場合は、何らかの不正な方法で持玉数データが改竄されているものと判断されるので、この場合も、コインの照合が取れない旨を玉貸機20に向かって返信する。
【0074】
その結果、サーバー210は、玉貸機20から受け取ったコインIDおよび持玉数データが、管理テーブルに記憶されているコインIDおよび持玉数データと一致した場合にのみ、コインの照合が取れた旨を玉貸機20に向かって返信する。そして、その玉貸機20から、貸玉の払い出しや出玉の計数に関するデータが送信されてきた場合には、これらのデータを受け入れて、管理テーブルの内容を変更可能な状態に設定する。これに対して、玉貸機20に対してコインの照合が取れない旨を返信した場合には、たとえ、その玉貸機20から貸玉の払い出しや出玉の計数に関するデータが送信されてきた場合でも、これらのデータが受け入れられることはなく、従って、管理テーブルの内容が変更されることはない。また、玉貸機20の側でも、照合結果に関する返信がサーバー210からあった場合は、その旨が遊技客に報知される。
【0075】
尚、管理テーブルに会員IDが設定されていた場合には、コインIDおよび持玉数データに加えて、会員IDも用いて、管理テーブルと照合するようにしても良い。すなわち、後述する方法によって管理テーブルに会員IDが設定された場合には、その会員IDを特定するデータ(以下、「会員特定データ」という)をコインに書き込んでおく。会員特定データは、会員IDそのものとしても良いし、スキミングの危険を十全に回避すべく、会員IDとユニークに関連付けられた何らかのデータとしても良い。そして、会員特定データが書き込まれたコインが玉貸機20に投入されると、コインIDおよび持玉数データだけでなく、コインに書き込まれた会員特定データも読み出して、読み出した会員特定データが、管理テーブルに設定されている会員IDと符合するか否かを判断するようにしてもよい。尚、コインには、会員IDではなく、会員特定データが書き込まれるものとして説明したが、簡易的には、会員特定データの代わりに会員IDを書き込んでも良い。
【0076】
以上のようにして、玉貸機20に投入されたコインが、サーバー210によって、適正なコインであると認証されると、遊技客は、玉貸機20を操作して遊技を開始することが可能となる。すなわち、遊技者が、コインの持玉数データを使って持玉の払い出しを受けようとする場合には、玉貸機20の操作ボタン類25を操作することによって、玉貸機20に遊技球の払い出しを要求する。すると、玉貸機20では、持玉の払出要求に伴う処理が開始され、サーバー210に向かって払出要求が出力される。サーバー210の側では、玉貸機20からの払出要求を受け取ると管理テーブルを参照して、その玉貸機20に投入されたコインのコインIDに対応付けて記憶されている持玉数データの値を確認する。そして、管理テーブルの持玉数データに払出可能なだけの持玉数データが残っている場合には、払出要求を受け付けた旨を玉貸機20に向かって返信するとともに、管理テーブルに記憶されている持玉数データの値を、払出要求のあった持玉数に対応する値だけ減少させる。一方、玉貸機20の側では、払出要求を受け付けた旨をサーバー210から受け取ると、所定個数の遊技球を貸玉として玉払出ノズル40から払い出す。
【0077】
また、遊技中に獲得した出玉を、遊技客が玉計数口50に投入すると、投入された出玉が玉計数ユニット150で計数されて、その結果得られた計数玉数が玉貸機20からサーバー210に向かって出力される。サーバー210は、玉貸機20から計数玉数を受け取ると、その玉貸機20に投入されたコインのコインIDに対応付けて記憶されている持玉数データに、受け取った計数玉数を加算する。玉貸機20に投入したコインがサーバー210によって認証されると、遊技客が持玉の払出要求を行う度に、あるいは出玉を玉計数口50に投入する度に、以上のようにして、サーバー210に記憶されている管理テーブルの持玉数データに、その結果が反映される。図12では、遊技中に玉貸機20で、持玉の払出要求や出玉の計数が行われる度に、払出要求や計数玉数のデータがサーバー210に出力されて、その結果がサーバー210の管理テーブルに反映される様子が概念的に示されている。
【0078】
このようにして、玉貸機20で行われた払出要求や出玉計数が管理テーブルに反映されるので、サーバー210は、その遊技ホールで管理されている全てのコインについて、対応する持玉数データが時々刻々と変動する様子を把握することができる。このため、玉貸機20に新たなコインが投入された時に、そのコインから読み出されたコインIDおよび持玉数データを管理テーブルと照合することで、投入されたコインが適正なコインであるか否かを直ちに判断することが可能となっている。
【0079】
また、第2実施例の貸玉システム200においても、遊技中に遊技客が、玉貸機20の操作ボタン類25を操作することによって、持玉数データとして記憶されている持玉の一部を、分割することが可能である。図12中に示した処理の中で、破線の矩形で囲った部分が、持玉分割を行うために玉貸機20およびサーバー210で行われる処理である。第2実施例の貸玉システム200で持玉分割を行うための処理については、後ほど詳しく説明するが、玉貸機20およびサーバー210では、大まかに次のような処理が行われる。先ず、玉貸機20では、図示されているように、持玉分割要求のための処理(持玉数データから指定した個数の持玉を分割するために行われる処理)が行われ、続いて、分割コイン(指定した個数の持玉データが書き込まれたコイン)をコイン返却口28から排出するための処理が行われる。一方、サーバー210では、それまでのコインIDに対応付けられていた持玉数データを、他のコインIDの持玉数データとして分配付与する処理が行われる。持玉数データを分配付与する処理に付いては後述する。また、持玉分割時には、これらの処理が行われることに伴って、玉貸機20とサーバー210との間で、持玉数データなどの各種情報のやり取りが行われる。
【0080】
また、遊技中に多くの遊技球を獲得するなどして、持玉を遊技ホールに預けておく等の会員に準じたサービスを受けたい場合には、図8に例示した液晶モニター22の画面上に表示された「メインメニュー」ボタンを押して、メインメニューの中から「仮会員登録」を選択することによって、会員IDを発行して貰うこともできる。すなわち、遊技客が液晶モニター22を操作して、画面上から「仮会員登録」を選択すると、玉貸機20は仮会員登録のための処理を行って、サーバー210に向かって登録要求を出力する。登録要求を受け取ったサーバー210は、会員IDを発行して、その会員IDを管理テーブルに設定する。図13に例示した管理テーブル中に記憶されている会員IDは、このようにして、コインIDに対応付けて設定された会員IDである。
【0081】
尚、図13に例示した会員IDは、上位の4桁の部分と、下位の5桁の部分とから構成されている。このうち、上位4桁の部分は、会員の氏名のイニシャルを表す2桁のアルファベットと、会員IDを発行した年度(西暦の下2桁)に対応する2桁の数字とによって構成されている。また、下位5桁の部分は、数字の0〜9およびアルファベットのA〜Zを使った34進数の通し番号となっている。遊技中に玉貸機20の液晶モニター22から、氏名や、住所、生年月日などの本人による任意変更の許容性が低い個人情報を入力することには、抵抗を感じる遊技客が多いことから、液晶モニター22の画面上では、これら個人情報の入力は不要(但し、遊技ホールに持玉を預けている人を特定するために、電話番号などの本人による任意変更の許容性が高い個人情報の入力は必要)となっており、これに対応して、会員ID中の最上位の2桁(氏名のイニシャルを表す部分)は「XX」となっている。逆に言えば、「XX」から始まる会員IDは、液晶モニター22からの仮会員登録要求に対して発行された会員IDであることを表している。そして、仮会員登録を受けた遊技客が、返却されたコインを持って遊技ホールのカウンターに行き、正式な会員登録を行うと、会員IDの「XX」の部分が、会員の氏名のイニシャルを表すアルファベットに置き換わる。また、後述するように、遊技客が持玉を精算すると、返却されたコインには持玉数データが書き込まれているので、そのコインを持って正式な会員登録を行うと、コインに書き込まれていた持玉数データが、会員の貯玉として自動的に振り替えられるようになっている。
【0082】
以上のようにして、遊技中の玉貸機20では、遊技客の操作に応じて持玉払出要求や、出玉計数、持玉分割要求などの処理が繰り返し行われ、更に場合によっては仮会員登録の処理も行われる。そして、遊技客が操作ボタン類25の中の精算ボタンを押して持玉の精算を要求すると、玉貸機20では、精算要求に伴う処理が開始されて、その結果、サーバー210に対して持玉数データを出力する旨の要求(持玉数データ要求)が送信される。これを受けて、サーバー210では、管理テーブル中の対応するコインIDに記憶されている持玉数データが読み出されて、玉貸機20に返信される。玉貸機20では、サーバー210から持玉数データを受け取ると、図5を用いて前述したコインユニット120内の投入コイン保持部に保持されているコインのICチップに、その持玉数データを書き込んだ後、持玉数データが書き込まれたコインを、コイン返却口28から排出する。
【0083】
尚、コインIDに対応付けて会員IDが記憶されていた場合には、精算時に、その会員IDを特定する会員特定データを玉貸機20に出力し、その会員特定データをコインのICチップに書き込むようにしても良い。あるいは、会員IDが発行されて管理テーブルに設定される際に、その会員特定データを玉貸機20に送信して、コインのICチップに書き込むようにしても良い。こうすれば、玉貸機20から返却されたコインを持って遊技客が正式な会員登録をしようとしたときに、そのコインから読み出した会員特定データを用いて会員IDを特定することができる。このため、コインのコインIDから管理テーブルを参照して会員IDを取得する手間を、省略することができるので、会員登録を迅速に行うことが可能となる。
【0084】
以上に説明したように、第2実施例の貸玉システム200においても、遊技客が遊技によって獲得した遊技球(出玉)を、実際の遊技球ではなく、持玉数データとして電子的に管理しておくことが可能である。その結果、遊技客は、上皿14に投入するための僅かな遊技球だけを手元に残しておけばよい。また、遊技台10を移動する場合には、持玉の精算を行って、コインに持玉数データを書き込んで排出させることで、たとえ獲得した出玉が多い場合でも、持玉数データが書き込まれたコインだけを持って遊技台10を移動することができる。もっとも、持玉の精算では、全ての持玉数データが1枚のコインに書き込まれ、一部の持玉数データだけをコインに書き込んで排出することはできない。そこで、第2実施例の貸玉システム200においても、遊技中に持玉数データの一部を分割して、コインに書き込んで排出することが可能となっている。また、上述したように、貸玉システム200では、管理対象となる全てのコインの持玉数データが管理テーブルによって管理されており、このため、持玉の分割に際しては、管理テーブルに記憶されている持玉数データを分配付与するという特異な処理が行われる。以下では、第2実施例の貸玉システム200で、持玉を分割するために行われる持玉分割処理について詳しく説明する。
【0085】
B−3.第2実施例の持玉分割処理 :
図14は、第2実施例の貸玉システム200において持玉分割を行うために、玉貸機20およびサーバー210で行われる処理を示したブロック図である。これらの処理は、図12を用いて前述したコインによる持玉管理の一部として行われる処理である。
【0086】
持玉分割を行うための処理は、コインを投入して遊技を開始した遊技客が、前述した第1実施例と同様に、持玉分割のための操作を行うことによって開始される。すなわち、遊技客が、玉貸機20の操作ボタン類25の中の持玉分割ボタンを押すことによって持玉分割操作を行うと、そのことを玉貸機20が検出して、サーバー210に対して持玉分割要求を出力するとともに、液晶モニター22の画面上には、図8に例示した持玉分割用の画面を表示する。
【0087】
サーバー210は、玉貸機20からの持玉分割要求を受け取ると、管理テーブルを参照することにより、その玉貸機20に投入されているコイン(分割対象のコイン)の持玉数データを読み出した後、玉貸機20に向かって返信する。玉貸機20では、サーバー210から分割対象のコインの持玉数データを受け取ると、図8に例示した持玉分割用画面の「現在持玉数」の欄に、その値を表示する。前述したように遊技客は、画面の表示を見ながらタッチパネル式の液晶モニター22を操作することによって、取り出そうとする持玉数(取出持玉数)を設定する。そして遊技客が、液晶モニター22の画面上に表示された「確定」ボタンを押すと、遊技客によって設定された取出持玉数の値を取得するとともに、取出持玉数の持玉数データをサーバー210に向かって出力する。
【0088】
以上のようにして、分割して取り出す持玉数(取出持玉数)が決定されたら、玉貸機20では、以下のような処理を行う。先ず、取出持玉数に相当する持玉数データを、遊技客によって投入されたコインのICチップに書き込む。前述したように、ここでは、遊技客が玉貸機20にコインを投入することによって遊技が開始された場合を想定しているから、玉貸機20のコインユニット120内の投入コイン保持部には、図5を用いて前述したように、遊技客が投入したコインが保持されている。そこで、このコインのICチップに、投入コイン保持部に設けられた記録ヘッド128を用いて持玉数データを書き込んでやる。
【0089】
続いて、分割して取り出そうとする持玉数の持玉数データが書き込まれたコイン(分割コイン)を、コイン返却口28に排出する。図6(a)を用いて前述したように、投入コイン保持部に保持されているコインは、シャッター126Dを開くことによってコイン返却口28に排出することができる。シャッター126Dを開いて、コインをコイン返却口28に排出した後は、シャッター126Dは閉じておく。その後、シャッター126Cを開いて、コイン通路124にストックされているコインを投入コイン保持部に供給する。その結果、投入コイン保持部に保持されるコインは、遊技客が投入したコインから、ストックされていたコインに切り替わることになる。そこで、新しく投入コイン保持部に保持されることとなったコインから、記録ヘッド128を用いて、そのコインのコインIDおよび持玉数データを読み出した後、それらをサーバー210に向かって出力する。
【0090】
以上、分割して取り出す持玉数(取出持玉数)が決定された後に、玉貸機20で行われる処理について説明した。これに対してサーバー210では、次のような処理が行われる。先ず、遊技客によって設定された取出持玉数の持玉数データを玉貸機20から受け取ると、管理テーブルを参照して、分割対象のコインに対応付けて記憶されている持玉数データを、取出持玉数の持玉数データに書き換える。分割対象となっているコインは、遊技客が遊技開始時に玉貸機20に投入したコインであり、このコインは、上述したように、分割コインとしてコイン返却口28から排出されてしまう。そこで、サーバー210は、玉貸機20から取出持玉数の持玉数データを受け取ると、管理テーブル中で分割対象のコインの持玉数データを書き換えることによって、管理テーブルに記憶されている持玉数データを、実際のコインに書き込まれた持玉数データに一致させておくのである。
【0091】
尚、遊技客によって前述した仮会員登録が行われたために、分割対象のコインのコインIDに会員IDが設定されている場合も起こり得る。上述したように、持玉分割が行われると、遊技客によって投入された分割対象のコインは返却されて他人に分け与えられてしまうから、このような場合には、分割対象のコインに設定されている管理テーブル中の会員IDを消去しておく。図14中に示されたサーバー210が行う処理の中で、一点鎖線の矩形で示されている処理があるのは、その処理が、分割対象のコインのコインIDに会員IDが設定されていた場合に行われる処理であることを表している。
【0092】
また、会員IDが管理テーブルに記憶されているだけでなく、会員IDを特定するための会員特定データがコインのICチップに書き込まれている場合には、サーバー210側で管理テーブルの会員IDを消去することに伴って、玉貸機20側でもコインのICチップに書き込んだ会員特定データを消去しておく。すなわち、分割して取り出そうとする持玉数の持玉数データをコインのICチップに書き込む際に、会員特定データを消去しておけばよい。
【0093】
玉貸機20からは、前述したように、新たに投入コイン保持部に供給されたコインについての、コインIDおよび持玉数データが出力されてくる。そこでサーバー210は、これらコインIDおよび持玉数データを受け取ると、それらを管理テーブルと照合することにより、そのコインが適正なコインか否かを判断する。管理テーブルと照合して、コインが適正なコインであるか否かを判断する方法については、図12を用いて前述した方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。その結果、適正なコインであると判断されたら、持玉を分割した残りの持玉数データを、新たに投入コイン保持部に供給されたコインの持玉数データとして管理テーブルに記憶する。このとき、管理テーブルでは、持玉数データの分配付与が発生する。また、会員IDが設定されていた場合には、持玉数データの分配付与と同時に、会員IDの付け替えが発生する。
【0094】
図15は、第2実施例の貸玉システムで持玉分割を行う際に、管理テーブル内で持玉数データの分配付与が発生する様子を示した説明図である。また、図中の一点鎖線は、会員IDが設定されていた場合を表している。例えば、遊技客が投入したコインのコインIDが「A0000003」であり、持玉数データが「 53000」の時点で「 200」の持玉数データを分割して取り出すものとする。この場合、持玉分割が行われることで、管理テーブルのコインID「A0000003」に対応する持玉数データは、「 53000」から「 200」に書き換えられる。そして、その差に相当する「 52800」の持玉数データは、玉貸機20から指定された別のコインIDに対応する持玉数データとして分配付与される。図15では、玉貸機20内の投入コイン保持部に供給されたストックコインのコインIDが「A0000012」であり、分割した残りの持玉数データ「 52800」が分配付与されることで、玉貸機20から指定されたコインIDの持玉数データが「 0」から「A0000012」に書き換えられる様子が示されている。
【0095】
また、遊技客が投入したコインのコインID「A0000003」に対して、会員ID「XX08-A371G」が設定されていた場合には、このコインIDに対する持玉数データが「 53000」から「 200」に書き換えられた時点で、会員IDが消去される。そして、消去された会員IDは、新たに投入コイン保持部に供給されたストックコインのコインIDに対する会員IDとして付け替えられる。図15では、持玉数データの分配付与に伴って、会員IDが付け替えられる様子が示されている。
【0096】
以上に説明したように、第2実施例の貸玉システム200では、遊技客がコインを投入して遊技を開始した後も、上述した持玉分割を行うことによって、持玉数データの一部を分割し、分割した持玉数データが書き込まれたコインをコイン返却口28から排出することができる。このため、例えば、友人と連れ立って遊技ホールを訪れた場合に、持玉を使い切ってしまった友人のために、持玉数データの一部を簡単に分け与えることができる。
【0097】
また、このとき、自らが投入したコインには、分け与える持玉数データが書き込まれて友人に渡され、その後、遊技を終了する際には、自らが投入したコインにではなく、玉貸機20内にストックされていた別のコインに、残った持玉数データが書き込まれて排出されることになる。このため、第2実施例の貸玉システム200で持玉分割が行われると、サーバー210内に記憶されている管理テーブルでは、持玉数データの分配付与が発生するが、その一方で、前述した第1実施例と同様に、コインユニット120の構造や、玉貸機20の制御内容を簡素なものとすることが可能となる。すなわち、玉貸機20に搭載するコインユニットを、図10に示した構造のコインユニット130としておけば、持玉分割を行う場合でも、遊技客自らが投入したコインではなく、玉貸機20内にストックされているコインに、分割する持玉数データを書き込んでコイン返却口28から排出することができる。しかし、図4に示す本実施例のコインユニット120と比較すれば明らかなように、図10に示したコインユニット130では、記録ヘッド138を複数箇所に搭載しなければならず、その分だけ構造が複雑になってしまう。更に、記録ヘッド138が複数箇所に搭載されると、持玉数データを書き込む際に、何れの記録ヘッド138を用いて書き込むかを判断しなければならなくなるので、その分だけ玉貸機20の制御も複雑となってしまう。
【0098】
換言すれば、第2実施例の貸玉システム200では、持玉分割が発生した場合に、サーバー210の管理テーブル内で図15に示すような持玉数データの分配付与を行うことによって、玉貸機20の構造および制御を簡素なものにしておくことが可能となっているのである。
【0099】
また、コインを用いて遊技を行う遊技客に対して会員IDを発行することで、コインに書き込まれた持玉を遊技ホールに預けておくなどの会員に準じたサービスを行うことが可能となっている。このため、会員IDが発行されたコインを用いて遊技を行う遊技客が、正式な会員登録を行った場合には、コインに書き込まれた持玉数データを、そのまま貯玉に振り替えることが可能である。更に、会員IDが発行されたコインの持玉数データに対して持玉分割が行われた場合でも、持玉数データを分配付与するとともに会員IDを付け替えることで、コインに対応付けられた持玉数データや会員IDを適切に管理しておくことが可能となる。
【0100】
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0101】
たとえば、上述した各種実施例では、貸玉として遊技球を供給する機能と、投入されたコインを受け付けたり、コインに記憶されているデータを読み出して管理したり、コインを返却したりする機能とが、1つの玉貸機20に搭載されているものとして説明した。しかし、貸玉として遊技球を供給する機能と、コインに関する各種機能とを、別々の機械に搭載しても良い。
【0102】
また、玉貸機20に搭載するコインユニットとしては、図4に示した構造のコインユニット120に代えて、異なる構造のコインユニットを搭載しても構わない。たとえば、図4に示したコインユニット120では、コイン投入口26の下流で、2つのコイン通路122とコイン通路124とに分岐し、それらコイン通路は何れもコイン返却口28に繋がっていた。しかし、分岐した一方の通路はコイン返却口28に繋がるものの、他方の通路については行き止まり構造としても良い。図16は、このような異なる通路構成を有するコインユニット160の内部構造を示した説明図である。図示されるコインユニット160においても、図4を用いて前述したコインユニット120と同様に、コイン投入口26の下流で2つのコイン通路に分岐している。そして、一方のコイン通路162は、図4のコインユニット120のコイン通路122と同様に、コイン返却口28に繋がっているが、他方のコイン通路164は行き止まりとなっている。これら2つのコイン通路162,164が分岐する箇所には、図4のコインユニット120と同様に、シャッター166A
,166Bがそれぞれ設けられている。また、コイン通路164の奥には、回転式のスライダー166Rが設けられている。更に、記録ヘッド168は、2つのコイン通路162,164が分岐する位置に、1つだけ搭載されている。
【0103】
このようなコインユニット160では、通常の状態では、シャッター166Aもシャッター166Bも閉じた状態となっている。従って、コイン投入口26から投入されたコインは、2つのコイン通路162,164が分岐する箇所に保持されることとなって、記録ヘッド168を用いてコインのデータを読み出したり、コインのICチップにデータを書き込んだりすることができる。そして、コインを排出する際には、シャッター166Aを開いてやると、コインはコイン通路162を通ってコイン返却口28に排出される。
【0104】
また、シャッター166Aを閉じ、166Bを開いた状態で、コイン投入口26からコインを投入すれば、投入したコインを、コイン通路164にストックすることができる。回転式のスライダー166Rは、コインをストックするにつれて(あるいは初めから)奥側に後退させれば、より多くのコインをストックすることができる。そして、ストックしておいたコインを供給する場合には、シャッター166Bを開いた状態で、スライダー166Rを前進させてコインを押し上げてやればよい。更に、遊技客がコインを投入して遊技を開始したものの、持玉を全て使い尽くしてしまった場合には、シャッター166Aを閉じたまま、シャッター166Bを開いてやる。こうすれば、遊技者が投入したコインをコイン通路164に導くことにより、遊技中に、コインのストックを補充することも可能となる。
【0105】
更に、図16に示したコインユニット160では、図4に示したコインユニット120と同様に、記録ヘッド168は1つだけ搭載すれば良い。加えて、図4のコインユニット120では、コイン返却口28の手前側に設けられた2つのシャッター126C,126Dが不要となるので、より一層、コインユニットの構造を簡素なものとすることが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
10…遊技台、 12…遊技盤、 14…上皿、
16…発射ハンドル、 18…下皿、 20…玉貸機、
22…液晶モニター、 24…カード挿入口、 25…操作ボタン類、
26…コイン投入口、 28…コイン返却口、 40…玉払出ノズル、
50…玉計数口、 100…制御ユニット、 120…コインユニット、
122…コイン通路 124…コイン通路、
126A,126B,126C,126D,126E…シャッター
128…記録ヘッド、 130…コインユニット、 140…玉供給機構、
142…遊技球供給通路、 144…装置、 146…検出センサー、
148…検出センサー、 150…玉計数ユニット、 200…貸玉システム、
210…サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられて、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が投入されると、該遊技媒体を該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与装置であって、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体から該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値を読み出し、該投入記憶媒体の遊技価値として記憶する遊技価値記憶手段と、
前記貸与される遊技媒体の払い出しを行う度に、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値から減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技台での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、該遊技媒体の獲得の状態に対応する前記遊技価値を、前記投入記憶媒体の遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記遊技装置毎に複数の前記記憶媒体を蓄えておく記憶媒体蓄積手段と、
前記投入記憶媒体の遊技価値の中から指定量の遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、該指定量の遊技価値を該投入記憶媒体に書き込んで該投入記憶媒体を返却すると共に、残りの遊技価値を、前記蓄えられている記憶媒体に対応付けられた遊技価値として記憶する遊技価値分配付与手段と
を備える遊技媒体貸与装置。
【請求項2】
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられた端末装置と、該端末装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が前記端末装置に投入されると、該遊技媒体を、該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与システムであって、
前記端末装置は、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体を保持する記憶媒体保持部と、
前記記憶媒体保持部に保持されている前記投入記憶媒体から、該投入記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値と、該投入記憶媒体に付与された固有の識別コードとを読み出して、前記制御装置に出力する媒体情報出力手段と、
遊技客に貸与される遊技媒体を払い出すとともに、該遊技媒体の払い出しを前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する遊技価値を前記制御装置に出力する遊技媒体払出手段と、
前記遊技装置での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、その結果を前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の獲得状態に対応する遊技価値を計数して、前記制御装置に出力する遊技媒体計数手段と、
前記投入記憶媒体の排出要求を受け取ると、該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値についての出力を前記制御装置に対して要求し、該制御装置から受け取った遊技価値を、前記記憶媒体保持部に保持されている該投入記憶媒体に書き込んだ後、前記端末装置の外部に排出する記憶媒体排出手段と
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記記憶媒体についての前記識別コードと、該記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値とが対応付けられた管理テーブルを予め記憶している管理テーブル記憶手段と、
前記端末装置から前記識別コードおよび前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルに記憶されている前記識別コードおよび前記遊技価値に合致するか否かを判断して、合致していた場合には、該端末装置と該管理テーブルの遊技価値とを対応付ける遊技価値対応付け手段と、
前記端末装置から前記遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値から、該受け取った遊技価値を減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技装置での前記遊技媒体の獲得状態に対応して前記端末装置で計数された前記遊技価値を受け取ると、該受け取った遊技価値を、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記端末装置からの要求に応じて、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を、該端末装置に出力する遊技価値出力手段と
を備え、
前記端末装置には、
複数の前記記憶媒体を蓄えているとともに、該記憶媒体を供給する旨の要求を受け取ると、該記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する記憶媒体蓄積手段と、
指定量の前記遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、その旨と該指定量とを前記制御装置に出力するとともに、前記記憶媒体排出手段に対しては、該指定量を前記投入記憶媒体に書き込んで排出する旨の排出要求を出力し、更に、前記記憶媒体蓄積手段に対しては、蓄えられている前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する旨の供給要求を出力することによって、前記遊技価値の分割動作を実行する分割動作実行手段と
が設けられており、
前記制御装置には、
前記分割要求があった旨と前記指定量とを前記端末装置から受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を該指定量に書き換えて、その後、該端末装置から受け取った前記識別コードに対応付けて前記管理テーブルに記憶されている前記遊技価値を、書き換え前の該遊技価値から該指定量を減算した残余の遊技価値に書き換える遊技価値分配付与手段が設けられている遊技媒体貸与システム。
【請求項3】
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技装置毎に設けられた端末装置と、該端末装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、該遊技媒体の貸与を受けるための遊技価値が書き込まれた記憶媒体が前記端末装置に投入されると、該遊技媒体を、該遊技価値に応じて貸与するべく、前記遊技装置に払い出す遊技媒体貸与システムであって、
前記端末装置は、
前記投入された記憶媒体である投入記憶媒体を保持する記憶媒体保持部と、
前記記憶媒体保持部に保持されている前記投入記憶媒体から、該投入記憶媒体に書き込まれた前記遊技価値と、該遊技価値を有する遊技客に関する情報である遊技客情報とを読み出して、前記制御装置に出力する媒体情報出力手段と、
遊技客に貸与される遊技媒体を払い出すとともに、該遊技媒体の払い出しを前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の払い出しの状態に対応する遊技価値を前記制御装置に出力する遊技媒体払出手段と、
前記遊技装置での遊技によって前記遊技媒体が獲得された場合に、その結果を前記投入記憶媒体の遊技価値に反映させるべく、該遊技媒体の獲得状態に対応する遊技価値を計数して、前記制御装置に出力する遊技媒体計数手段と、
前記投入記憶媒体の排出要求を受け取ると、該投入記憶媒体に対応付けられた前記遊技価値についての出力を前記制御装置に対して要求し、該制御装置から受け取った遊技価値を、前記記憶媒体保持部に保持されている該投入記憶媒体に書き込んだ後、前記端末装置の外部に排出する記憶媒体排出手段と
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記遊技媒体について、該記憶媒体に書き込まれた前記遊技客情報と、該遊技客情報に対応付けられた前記遊技価値とが対応付けられた管理テーブルを予め記憶している管理テーブル記憶手段と、
前記端末装置から前記遊技客情報および前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルに記憶されている前記遊技客情報および前記遊技価値に合致するか否かを判断して、合致していた場合には、該端末装置と該管理テーブルの遊技価値とを対応付ける遊技価値対応付け手段と、
前記端末装置から前記遊技媒体の払い出しの状態に対応する前記遊技価値を受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値から、該受け取った遊技価値を減算する遊技価値減算手段と、
前記遊技装置での前記遊技媒体の獲得状態に対応して前記端末装置で計数された前記遊技価値を受け取ると、該受け取った遊技価値を、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた遊技価値に加算する遊技価値加算手段と、
前記端末装置からの要求に応じて、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を、該端末装置に出力する遊技価値出力手段と
を備え、
前記端末装置には、
複数の前記記憶媒体を蓄えているとともに、該記憶媒体を供給する旨の要求を受け取ると、該記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する記憶媒体蓄積手段と、
指定量の前記遊技価値を分割する旨の分割要求を受け取ると、その旨と該指定量とを前記制御装置に出力するとともに、前記記憶媒体排出手段に対しては、該指定量を前記投入記憶媒体に書き込んで排出する旨の排出要求を出力し、更に、前記記憶媒体蓄積手段に対しては、蓄えられている前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に供給する旨の供給要求を出力することによって、前記遊技価値の分割動作を実行する分割動作実行手段と
が設けられており、
前記制御装置には、
前記分割要求があった旨と前記指定量とを前記端末装置から受け取ると、前記管理テーブルの該端末装置に対応付けられた前記遊技価値を該指定量に書き換えて、その後、該端末装置から受け取った前記遊技客情報に対応付けて前記管理テーブルに記憶されている前記遊技価値を、書き換え前の該遊技価値から該指定量を減算した残余の遊技価値に書き換える遊技価値分配付与手段が設けられている遊技媒体貸与システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−220693(P2010−220693A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69178(P2009−69178)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】