説明

遊技機、主制御部、主制御基板、後段部、周辺基板、認証方法及び認証プログラム

【課題】遊技機の正規の主制御基板と不正な主制御基板との交換等による不正行為や遊技機の誤動作を検知でき、周辺部のCPUの処理負荷を軽減する。
【解決手段】パチンコ遊技機1の主制御部10は、データ記憶手段11に記憶された所定のデータを分割したデータを用いて2項演算を行って複数の検査値を生成する検査値生成手段12と、データ憶手段11に記憶された所定のデータを用いて2項演算を行って得られた演算値を必要に応じて補正するための補正値を生成する補正値生成手段14とを備え、複数の検査値又は補正値を所定の制御コマンドに付加して周辺部30を介して後段部20に送信する。後段部20は、演算値が記憶された演算値記憶手段21と、この演算値と主制御部より送信された検査値を用いて2項演算を行った演算結果とが一致するか否かに基づき主制御部10を認証する認証手段22と、必要に応じて上記演算値を補正する補正手段23とを備える。そして後段部20は、上記認証結果に応じた制御信号を周辺部30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店等の遊技店に設置されるパチンコ遊技機、雀球遊技機、アレンジボール等の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの遊技機、これら遊技機に設けられた主制御部、この主制御部が搭載された主制御基板、上記各遊技機に設けられた後段部、この後段部が搭載された周辺基板、上記各遊技機で行われる認証方法及び認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機に対し行われる、メダルや遊技球など(以下、遊技媒体という)を遊技とは無関係に強制的に払い出させる不正行為のうち、主制御部が搭載された主制御基板や周辺部が搭載された周辺基板に関するものとして、例えば以下に示すものがある。
(1)正規な主制御基板と不正な主制御基板との交換
(2)主制御基板に搭載されたCPUが実行する正規なプログラムが記憶されたROMと上記プログラムを改ざんした不正なプログラムが記憶されたROMとの交換
(3)主制御基板と周辺基板との間に不正な基板(なりすまし基板)を設け、かつ上記(2)のROMの交換
【0003】
このような不正行為を防止するため、従来の遊技機には、以下に示すものがあった。すなわち、この遊技機には、特典付与の可否を決定するとともに第3識別情報を記憶しているメイン制御部(主制御部)と、主制御部に接続され、第1識別情報を記憶している第1サブ制御部(第1周辺部)と、主制御部に接続され、第2識別情報を記憶している第2サブ制御部(第2周辺部)とを備えたものがある。この遊技機では、主制御部から第1周辺部に向けてのみ情報の出力が可能であり、主制御部と第2周辺部は、相互に情報の入出力が可能である。第2周辺部は、第2識別情報を主制御部に出力する手段を有している。一方、主制御部は、第2識別情報と第3識別情報を第1周辺部に出力する手段を有している。第1周辺部は、第1識別情報と第2識別情報と第3識別情報を用いて所定演算を行う演算手段と、演算手段の演算結果に基づいて遊技機に不正な改造が行われたか否かを判別する手段を有している(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
【0004】
また、従来の遊技機には、大当たり図柄を表示する図柄表示装置と、遊技状況に応じて図柄制御部へデータを送信する主制御装置(主制御部)と、遊技状況に応じ主制御部から受信する制御データに基づいて図柄表示装置を制御する図柄制御部(周辺部)とを備えているものもある。このパチンコ遊技機では、主制御部は、第1鍵データを記憶する第1の記憶手段と、図柄制御部の動作を制御するための制御データに対し第1鍵データに対応する暗号化を行う暗号化手段と、遊技状況に対応する制御データに暗号化を施したデータを周辺部へ送信する送信手段と、予め定めたタイミングに、第1鍵データを変更する第1鍵変更手段とを備えている。周辺部は、第2鍵データを記憶する第2の記憶手段と、主制御部から受信した暗号データに対し第2鍵データに対応する処理を行うことにより、該受信した暗号データの正当性を判定し、正当である場合に該暗号データを認証する認証手段と、受信した暗号データが認証された場合に該暗号データに対応する動作を図柄表示装置に行わせる動作制御手段と、第1鍵データの変更タイミングに合致するように予め定められたタイミングに、第2鍵データを第1鍵データに対応するように変更する第2鍵変更手段とを備えている(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
【0005】
また、従来のパチンコ遊技機には、主制御基板(主制御部)と、主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理を行う周辺基板(周辺部)とを備えるものもある。このパチンコ遊技機では、主制御部は、周辺部に送信する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合、主制御部を認証するための認証データを所定の制御コマンドに付加して周辺部に送信する。そして、周辺部は、所定の制御コマンドを受信すると、この所定の制御コマンドに付加して送信された認証データに基づいて主制御部を認証する(例えば、特許文献3参照。)。以下、この技術を第3の従来例と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−21330号公報
【特許文献2】特開2002−210194号公報
【特許文献3】特開2008−279037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1の従来例では、ランプやスピーカ等を制御する第1周辺部に搭載されているCPUが第1識別情報と第2識別情報と第3識別情報を用いて所定演算を行い、表示を制御する第2周辺部に搭載されているCPUが上記演算結果に基づいて遊技機に不正な改造が行われたか否かを判別している。
【0008】
このように、CPUに既存の処理(例えば、演出処理)以外に認証処理を実行させるためには、既存の処理に認証機能及び認証タイミングなどの処理を追加する必要がある。このため、認証機能を追加するための認証タイミングの設計、認証機能の実現化、動作のシミュレーション及び所望の機能が得られるか否かを確認する検証(ベリフィケーション)に多大の時間と労力を要し、これにより、遊技機の開発に時間と手間が大幅にかかってしまうという問題がある。このような問題は、特に、遊技機の機種変更をする際に顕著に現れる。さらに、最近の遊技機の演出の多様化に伴って、CPUが実行すべきプログラムのコードサイズも膨大になる傾向にあるため、認証機能の追加により上記の問題は益々増大する。
【0009】
また、CPUに既存の処理の他に認証処理を実行させる場合、CPUの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われなかったり、最悪の場合には、認証処理自体を追加できなかったりするなどの問題があった。特に最近では、遊技の興趣向上を図るために、リーチや大当たり等の際に遊技者の視覚や聴覚に訴える演出が多様となる傾向にあり、上記問題が発生するおそれが増大する。
【0010】
また、第1の従来例では、周辺部を構成する1つのCPUが1回の認証処理(IDの加算処理)を行っているだけである。さらに、周辺部を構成するCPUに既存の処理の他に認証処理を実行させることにより周辺部を構成するCPUの処理負荷が増大する。それゆえ、周辺部を構成するCPUにセキュリティをより強化するために、今まで以上に複雑な演算による認証処理や複数回の認証処理を実行させることは困難である。
【0011】
一方、第2の従来例では、主制御部では、暗号化手段が図柄制御部の動作を制御するための制御データに対し第1鍵データに対応する暗号化を行い、第1鍵変更手段が予め定めたタイミングに、第1鍵データを変更している。周辺部では、認証手段が主制御部から受信した暗号データに対し第2鍵データに対応する処理を行うことにより、受信した暗号データの正当性を判定し、正当である場合に該暗号データを認証し、第2鍵変更手段が第1鍵データの変更タイミングに合致するように予め定められたタイミングに、第2鍵データを第1鍵データに対応するように変更している。つまり、主制御部も周辺部も高度で複雑な暗号化処理及び認証処理を行っている。したがって、第2の従来例では、主制御部を構成するCPUも周辺部を構成するCPUもそれぞれの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、遊技内容の進行に伴う基本処理や演出処理という本来の処理がスムーズに行われないおそれがある。
【0012】
また、第3の従来例では、第1の従来例と同様に、周辺部のCPUに既存のゲーム処理の他に、認証処理を実行させる場合、所定の制御コマンドに認証データを付加して周辺部に送信しても、周辺部のCPUの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われなかったり、認証処理自体の追加が難しくなったりする設計上の制約が生じることが考えられる。特に最近では、遊技の興趣向上を図るために、図柄の変動の制御について遊技者の視覚や聴覚に訴える演出が多様となる傾向にある。したがって、各種の演出制御を行う周辺部(画像制御部)に対して認証処理を行う負荷を低減させるような認証手段を設けた遊技機を構築することが望ましい。
【0013】
さらに、周辺部を構成するCPUに既存の処理の他に認証処理を実行させることにより周辺部を構成するCPUの処理負荷やプログラム容量が増大する。それゆえ、周辺部を構成するCPUにセキュリティをより強化するために、今まで以上に複雑な演算による認証処理や複数回の認証処理を実行させることは困難である。
【0014】
ところで、遊技機は、外部から電気的な雑音や機械的な振動等が加えられた場合、誤動作する場合がある。例えば、主制御部から周辺部に制御コマンドが送信されている際に、電磁波や静電気などの雑音が遊技機外部から加えられると、この雑音の影響により制御コマンドデータにビットエラーが発生し、制御コマンドが変更されてしまうという誤動作が生じる。この場合、本来周辺部に送信されるべき制御コマンドが大当たりコマンド以外の制御コマンドであるにも関わらず、ビットエラーが発生して当該制御コマンドが大当たりコマンドに変更されてしまうと、不正行為が行われた場合でなくても、遊技者に不当に多くの遊技媒体が払い出され、遊技店が多大な損害を被ってしまう。ところが、第1〜第3の従来例では、このような誤動作に起因した問題について何ら対策を施していないので、遊技店が多大な損害を被るという問題を解決することができない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機の正規の主制御基板と不正な主制御基板との交換等による不正行為や遊技機の誤動作を検知でき、周辺部のCPUの処理負荷を軽減することができる遊技機、主制御部、主制御基板、後段部、周辺基板、認証方法及び認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、制御コマンドを出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機であって、前記主制御部は、所定のデータが記憶されているデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成する検査値生成手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを用いて前記一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成する補正値生成手段とを備え、前記複数の検査値と前記補正値とを所定の制御コマンドに付加して前記周辺部に送信し、前記周辺部は、前記所定の制御コマンドに基づいて所定の処理を行うとともに、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値と前記補正値とを前記後段部に送信し、前記後段部は、前記演算値が記憶されている演算値記憶手段と、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて前記演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する補正手段と、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正手段により補正された後の演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証する認証手段とを備え、前記認証手段が得た認証結果を前記周辺部に送信することを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために本発明は、周辺部を介して接続された後段部によって認証され、前記周辺部に所定の処理を行わせるための制御コマンドを送信する遊技機の主制御部であって、所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成する検査値生成手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを用いて前記一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成する補正値生成手段とを備え、前記複数の検査値と前記補正値とを所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信することを特徴とする。
【0018】
さらに、上記課題を解決するために本発明の遊技機の主制御基板は、本発明の主制御部が搭載されていることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明は、主制御部と周辺部とを備えた遊技機に設けられた後段部であって、前記主制御部に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値が記憶されている演算値記憶手段と、前記演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正するための補正値が所定の制御コマンドに付加されて前記周辺部を介して送信された場合に、前記補正値を用いて前記演算値を補正する補正手段と、前記主制御部で前記所定のデータを分割した各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って生成された複数の検査値が所定の制御コマンドに付加されて前記周辺部を介して送信された場合に、前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正手段により補正された後の演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証する認証手段とを備え、前記認証手段が得た認証結果を前記周辺部に送信することを特徴とする。
【0020】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明の遊技機の周辺基板は、本発明の後段部及び前記周辺部が搭載されていることを特徴とする。
【0021】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明は、主制御部と、周辺部と、後段部とを備える遊技機で用いられる認証方法であって、前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、前記主制御部が、データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成し、前記補正値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する第1のステップと、前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する第2のステップと前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、前記主制御部が、前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて前記一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成し、前記複数の検査値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する第3のステップと、前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正により補正された後の演算値とが、一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証し、得られた認証結果を前記周辺部に送信する第4のステップとを有することを特徴とする。
【0022】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明のコンピュータ読み取り可能な認証プログラムは、制御コマンドを出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に搭載されるコンピュータに、前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、前記主制御部が、データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成し、前記補正値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する補正値生成機能と、前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する補正機能と、前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、前記主制御部が、前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて前記一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成し、前記複数の検査値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する検査値生成機能と、前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正により補正された後の演算値とが、一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証し、得られた認証結果を前記周辺部に送信する認証機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、遊技機の正規の主制御基板と不正な主制御基板との交換等による不正行為や遊技機の誤動作を検知でき、周辺部のCPUの処理負荷を軽減することができる。
【0024】
具体的には、本発明によれば、主制御部は、検査値生成手段がデータ記憶手段に記憶されている所定のデータ用いて得た検査値を制御コマンドに付加して周辺部を介して後段部に送信し、後段部は、主制御部のデータ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて2項演算を行って得られた演算値と、制御コマンドに付加された検査値を用いて2項演算を行って得られた演算結果とが一致するか否かに基づいて主制御部を認証する。これにより、上記不正行為や遊技機の誤動作を検知することができ、遊技者に不当に多くの遊技媒体が払い出され、遊技店が多大な損害を被ることを防止できる。
【0025】
また、本発明によれば、認証処理は、後段部のみが実行するので、周辺部を構成するCPUの処理負荷の増大を抑制することができる。このため、周辺部の処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われないなどの問題の発生を防止することができる。
【0026】
さらに、本発明によれば、認証処理を実行する後段部と、所定の処理を行う周辺部とが別個独立しているため、認証用のプログラムと所定の処理用のプログラムとは別個に設計することができる。これにより、所定の処理を行う周辺部の演出処理に認証機能を追加する場合と比較して、認証機能を追加するタイミングの設計・機能の実装・機能の検証などより簡単に、少ない作業工数で実現することができる。また、認証用のプログラム及び所定の処理用のプログラムの構成が比較的簡単となるため、他の機能と整合性を保つことが容易となる。
【0027】
さらにまた、本発明によれば、遊技機の機種ごとに所定の処理が異なる場合であっても、認証処理は共通化が可能であるため、遊技機の機種ごとのプログラム設計が容易であり、設計時間の短縮化を図ることができるとともに、作業効率が向上する。
【0028】
さらにまた、本発明によれば、認証用の認証アルゴリズムを変更する場合、所定の処理を行う周辺部を変更しなくても、後段部の認証用プログラムのみを変更すればよく、これにより、少ない作業工数で認証アルゴリズムの変更などを実現することができる。
【0029】
さらにまた、本発明によれば、主制御部は、所定のデータを分割した分割数に基づくタイミングで補正データを送信し、後段部は、主制御部に対する認証が成功した際に2項演算の対象となった認証データの数(結合数)に基づくタイミングで期待値を補正する。分割数および結合数は、主制御部及び後段部のみが知る値なので、不正行為者は、期待値の補正に用いる補正データの送信タイミングを知ることができない。これにより、後段部が保持する期待値を不正行為者に知られることなく補正して、上記不正行為及び遊技機の誤動作を検知することができ、主制御部と後段部との間の認証処理の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の外観構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部における検査値の生成方法を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部が出力する制御信号のデータフォーマットの一例を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による演出制御部及び賞球制御部へのコマンド送信を含む処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による演出制御部及び賞球制御部へのコマンド送信を含む処理を示すフローチャートである。
【図8】大当たり関連コマンドの送信タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による図柄変動処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による大当たり時の処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成するランプ制御部によるランプ制御処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する後段部による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部(被認証者)及び後段部(認証者)がそれぞれ実行する処理の相互関係の一例を示す処理シーケンスである。
【図16】本発明の実施の形態2に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態2に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部(被認証者)及び後段部(認証者)がそれぞれ実行する処理の相互関係の一例を示す処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機1の構成を示すブロック図である。この遊技機1は、主制御部10と、後段部20と、周辺部30とを備えている。主制御部10は、データ記憶手段11と、決定手段12と、検査値生成手段13、補正値生成手段14とを備えている。データ記憶手段11には、主制御部10で用いられるプログラム等のデータが記憶されている。決定手段12は、データ記憶手段11に記憶されているデータのうち所定のデータを分割する数である分割数を決定する。ここで、所定のデータとは、データ記憶手段11に記憶されているデータの全部又は一部である。検査値生成手段13は、主制御部10の正当性を認証するために用いる検査値を生成する。具体的には、検査値生成手段13は、結合法則を満たす複数の2項演算(例えば、加算、乗算、排他的論理和)の中から1個の2項演算を選択し、データ記憶手段11に記憶されている所定のデータを決定手段12が決定した分割数で分割し、分割された各データに対して予め選択した2項演算を行って、分割数分(分割数と同数)の検査値を生成する。補正値生成手段14は、後段部20が主制御部10を認証するために予め保持している演算値(後述の期待値)を補正する必要が生じた場合に、この演算値を補正するための補正値を生成する。そして、主制御部10は、生成された分割数分の検査値に暗号化処理を施して得られた分割数分の認証データ、又は補正値に暗号化処理を施して得られた補正データのそれぞれを、出力する制御コマンドに付加して周辺部30を介して後段部20に送信する。
【0032】
一方、後段部20は、演算値記憶手段21と、認証手段22と、補正手段23とを備えている。演算値記憶手段21には、主制御部10を構成するデータ記憶手段11に記憶されている所定のデータを用いて複数の2項演算をそれぞれ行って得られた複数の演算値(以下、期待値という)が予め記憶されている。認証手段22は、上記結合法則を満たす複数の2項演算の中から1個の2項演算を予め選択し、制御コマンドに付加されて主制御部10より周辺部30を介して送信された検査値に対して予め選択した2項演算を行い、この演算結果と、演算値記憶手段21に記憶されている期待値とが一致するか否かに基づいて主制御部10を認証する。補正手段23は、演算値記憶手段21に記憶されている期待値を補正する必要が生じた場合に、制御コマンドに付加されて主制御部10より周辺部30を介して送信された補正値を用いて補正処理を行う。そして、後段部20は、認証手段22が得た認証結果を周辺部30に送信する。これにより、周辺部30は、認証結果に応じた処理を行う。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1に係る遊技機の1つであるパチンコ遊技機1の外観構成を示す正面図である。また、図3は、図2に示すパチンコ遊技機1の電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の図2において右下方であって、枠部材110の右下部には、遊技者によって操作され、発射部292(図3参照)を作動させるための操作ハンドル113が設けられている。操作ハンドル113は、遊技者側に突出する形状を呈している。操作ハンドル113は、発射部292を作動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部292は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。公知の技術であるため説明を省略するが、操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。
【0035】
発射部292の作動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、複数の釘(図示略)や、遊技球の落下方向を変化させる風車(図示略)や、入球口が配設されており、遊技球を各種の方向に向けて落下させるようにしている。ここで、「入球口」は、いずれも後述する第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、第1大入賞口109c、第2大入賞口129cの総称である。
【0036】
遊技盤101の略中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイを有している。図柄表示部104の下方には、遊技領域103に向けて打ち込まれた遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置されている。第1始動口105の下方には、第2始動口120が配置されている。第2始動口120は、一対の可動片(図示略)が閉状態であるときは遊技球を受け入れることが不可能又は受け入れ困難となっており、この一対の可動片が開状態であるときは、第1始動口105よりも遊技球の受け入れが容易となる。
【0037】
また、図柄表示部104の左側には、入賞ゲート106が配設されている。入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うために設けられている。図柄表示部104の左側部や下方等には、複数の普通入賞口107が配設されている。各普通入賞口107に遊技球が入球すると、所定の賞球数(例えば、10個)の払い出しが行われる。遊技領域103の最下部には、どの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
【0038】
図柄表示部104は、後述する演出制御部203(図3参照)から第1始動口105又は第2始動口120に遊技球が入球したことが報知されたときに、複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に当該装飾図柄の変動を停止させる。この停止時に特定図柄(例えば、「777」)が揃うと、遊技者は第1大当たり遊技(長当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、第1大当たり遊技(長当たり遊技)が開始される。第1大当たり遊技(長当たり遊技)が開始されると、遊技領域103の下方に位置する第1大入賞口開閉装置109における第1大入賞口開閉扉109aが、一定の期間開放する動作を所定回数(例えば、15回)繰り返し、入球した遊技球に対応する賞球が払い出される。
【0039】
一方、図柄表示部104における上記装飾図柄の停止時に上記特定図柄とは別の特定図柄(例えば、「737」)が揃うと、遊技者は第2大当たり遊技(短当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、第2大当たり遊技(短当たり遊技)が開始される。第2大当たり遊技(短当たり遊技)が開始されると、第1大入賞口開閉装置109の右斜め上方に位置する第2大入賞口開閉装置129における第2大入賞口開閉扉129aが、第1大入賞口開閉扉109aの開閉動作に比して短い時間にて一定の期間開放する動作を所定回数(例えば、15回)繰り返し、入球した遊技球がある場合、これに対応する賞球が払い出される。
【0040】
また、遊技盤101の遊技領域103の外周には、枠部材110が設けられ、開口部から遊技領域103が遊技者側に露出している。枠部材110は、遊技者側に突出する形状を呈している。枠部材110において、遊技領域103の左上部及び右下部には、演出ライト(ランプユニット)111a及び111bがそれぞれ設けられている。各演出ライト111a及び111bは、複数のライト112を備えている。各演出ライト111a及び111bは、上下駆動モータ(図示略)でそれぞれ駆動されることにより、それぞれが備える複数のライト112から照射される光の方向を上下方向、すなわち、パチンコ遊技機1の正面にいる遊技者の頭部と腹部を結ぶ方向に平行な方向に変更可能に構成されている。
【0041】
また、各ライト112は、各演出ライト111a及び111bを構成する回転駆動モータ(図示略)で駆動されることにより、それぞれ所定半径を有する円の円周方向に移動する。上記構成により、各ライト112から照射された光を回転移動させつつ、各演出ライト111a及び111b全体から照射された光を上下移動させる演出を行うことができる。さらに、枠部材110の下部には、遊技球が供給される受け皿ユニット119が設けられている。この受け皿ユニット119には、貸し玉装置(図示略)から貸し出される遊技球が供給される。
【0042】
図2において、図柄表示部104の右側には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115が設けられている。演出役物115は、キャラクターとして人間の上半身(特に頭部)を模式的に表している。演出役物115は、キャラクターの瞼部116を開閉して、キャラクターが瞬きをするが如くに、瞼部116を上下方向に沿って移動可能に設けられている。また、演出役物115は、キャラクターの頭部を左右方向に移動可能に設けられている。
【0043】
また、枠部材110において、操作ハンドル113の左側には、遊技者により操作されるチャンスボタン117が設けられている。チャンスボタン117の操作は、例えば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間だけ有効となる。
【0044】
加えて、枠部材110には、演出効果音又は不正を知らしめる音響を出力するスピーカ277(図3参照)が組み込まれている。このスピーカ277は、高音・中音・低音の領域を出力できるタイプのものであり、通常演出時は高音・中音・低音をバランス良く出力するが、例えば、特別演出時又は不正等があった場合には、周りに良く聞こえるように高音領域を高く出力するように制御される。
【0045】
次に、本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機1の電気的構成について、図3に示すブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、電気的な構成上は、制御手段200に、第1始動口検出部221等の各種検出手段や、図柄表示部104等の各種演出手段、役物作動装置231、払出部291、発射部292などが接続されて構成されている。制御手段200は、図3に示す例では、主制御部10と、後段部20と、演出制御部203と、賞球制御部204と、ランプ制御部205とから構成されている。
【0046】
(主制御部)
主制御部10は、CPU10aと、ROM10bと、RAM10cと、カウンタ回路(タイマ)(図示略)等を備えている。CPU10aは、パチンコ遊技機1の遊技に係る基本動作を制御し、ROM10bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM10bには、CPU10aがパチンコ遊技機1の遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するためのプログラムコードが予め記憶されている。ROM10bの全部又は一部は、例えば、図1に示すデータ記憶手段11に対応させることができる。RAM10cは、CPU10aがパチンコ遊技機1の遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する際に行う演算処理において、データ等のワークエリアとして機能する。カウンタ回路(タイマ)は、経過時間をカウントする。
この主制御部10では、第1始動口105又は第2始動口120への遊技球の入球を契機として、大当たりの抽選を行うとともに、この抽選結果に基づいて、ROM10bに記憶されている演出に係わるコマンドの選択を行う。
【0047】
主制御部10の入力側には、第1始動口検出部221と、第2始動口検出部225と、ゲート検出部222と、普通入賞口検出部223と、第1大入賞口検出部214と、第2大入賞口検出部224とが接続されている。第1始動口検出部221は、第1始動口105に遊技球が入球したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。第2始動口検出部225は、第2始動口120に遊技球が入球したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。ゲート検出部222は、入賞ゲート106を遊技球が通過したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。普通入賞口検出部223は、普通入賞口107に入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。第1大入賞口検出部214は、第1大入賞口109cに入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。第2大入賞口検出部224は、第2大入賞口129cに入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。上記各検出部は、例えば、近接スイッチなどを用いて構成することができる。
【0048】
また、この主制御部10の出力側には、役物作動装置231が接続されている。本実施の形態1では、役物作動装置231は、第1大入賞口開閉扉109a及び第2大入賞口開閉扉129aをそれぞれ開閉させる第1大入賞口開閉ソレノイド109b及び第2大入賞口開閉ソレノイド129bと、第2始動口120を開閉させる第2始動口開閉ソレノイド120bとから構成されている。
【0049】
役物作動装置231は、主制御部10によって制御され、長当たり遊技時に、第1大入賞口開閉ソレノイド109bを通電して第1大入賞口開閉扉109aを開放したり、短当たり遊技及び小当たり遊技時に、第2大入賞口開閉ソレノイド129bを通電して第2大入賞口開閉扉129aを開放したり、また、上記普通図柄の当選によって第2始動口開閉ソレノイド120bを通電して第2始動口120を開閉したりする。
【0050】
また、主制御部10は、以上概略説明した、パチンコ遊技機1の遊技に係る基本動作制御の他、本実施の形態1の特徴である、不正防止のために主制御部10の認証に関する処理を実行する手段を備えている。この認証に関する処理を実行する手段は、CPU10aがROM10bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)を実行することにより実現される。この認証に関する処理は、以下に示す[1]〜[6]の通りであるが、[4]に示す暗号化処理については必要に応じて実行される。
【0051】
[1]分割数の決定
主制御部10は、ROM10bに予め記憶されている所定のデータ、例えば、所定のプログラムコード(命令コードや固定データ)を分割する数である分割数を決定する。以下、所定のデータの一例として、所定のプログラムコードを用いて説明する。主制御部10は、例えば、乱数生成回路(図示略)や上記プログラムコードを構成する乱数生成プログラムによって生成された値を分割数としたり、主制御部10の他の処理において生成される値を所定のタイミングで参照し、その値を分割数としたりすることができる。この場合、分割数の上限を予め設定しておいてもよい。上記分割数を決定する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す決定手段12に対応させることができる。本実施の形態1では、主制御部10は乱数を用いて分割数を決定しているが、これは分割数を決定するための一実施例であって、乱数を用いないで分割数を決定するようにしてもよい。例えば、主制御部10にあらかじめ分割数を決定するためのテーブルを保持させておき、分割数を決定するタイミング等で主制御部10がそのテーブルから予め定めた規則に応じて分割数を取得するようにしてもよい。
【0052】
[2]検査値の生成
次に、主制御部10は、ROM10b内の所定のプログラムコードが予め記憶されている記憶領域を[1]の処理において決定された分割数で分割する。そして、主制御部10は、ROM10bの分割された各記憶領域に記憶されているプログラムコードに対して2項演算を行って、主制御部10を認証するための分割数分の検査値を生成する。なお、検査値の生成方式(例えば、検査値の生成に用いる結合法則を満たす2項演算の種類等)については、主制御部10と後段部20との間で同一のものを予め設定しておけばよい。
【0053】
「結合法則を満たす2項演算」とは、2項間の演算を行う2項演算のうち、演算子を§とし、任意の数をa,b,cとした場合、式(1)が成立する2項演算をいう。
(a§b)§c=a§(b§c)=a§b§c ・・・(1)
すなわち、「結合法則を満たす2項演算」とは、演算対象a,b,cについて、1度に2項演算を行う演算対象としてどのように分割して演算子§により演算した場合であっても、得られる演算結果が同一値となるような2項演算をいう。ただし、任意の数a,bに対してa♪bの演算結果が常に0になるような演算子♪は、演算子§から除く。上記結合法則を満たす2項演算の定義された集合を一般に半群と呼ぶことから、このような2項演算を以下では半群演算と呼ぶことにする。半群演算としては、例えば、加算、乗算、排他的論理和がある。
【0054】
以下、半群演算の簡単な具体例を2つ挙げる。
まず、所定のプログラムコードを分割して得られた各データブロックを構成する各データをD0,D1,D2,・・・,DN(Nは各データブロックの最終アドレス)とする。
(A)半群演算として加算(演算子+)が選択されている場合は、式(2)を計算する。
D0+D1+D2+・・・+DN …(2)
(B)半群演算として排他的論理和(演算子XOR)が選択されている場合は、式(3)を計算する。
D0 XOR D1 XOR D2 XOR ・・・ DN …(3)
【0055】
各検査値の生成方法について、図4を参照して説明する。
図4は、主制御部10における検査値の生成方法を模式的に示す説明図である。検査値は、主制御部10がROM10bに予め記憶されている所定のデータを用いて生成する。より詳細には、主制御部10は、ROM10bの所定の記憶領域を任意の分割数で分割した上で、分割した記憶領域にそれぞれ記憶されたプログラムコードに対して結合法則を満たす2項演算(半群演算)を行って検査値を算出する。半群演算としては、上記のように、例えば、加算、乗算や排他的論理和演算などが挙げられる。
【0056】
(検査値生成の計算例)
検査値生成の計算の一例を以下に示す。
図4に示すプログラムコード記憶領域400には、12個のプログラムコード(「0x01」〜「0x09」,「0x0A」〜「0x0C」)が記憶されている。分割数を3とした場合、プログラムコード記憶領域400は、例えば、4個のプログラムコードを含む第1ブロック400a、3個のプログラムコードを含む第2ブロック400b、5個のプログラムコードを含む第3ブロック400cに分割できる。主制御部10は、これらの各ブロックに記憶されたプログラムコードに対してそれぞれ半群演算を行って検査値を算出する。なお、上記ブロック内のプログラムコード数は例示である。分割したブロック内のプログラムコード数は固定値としてもよいし、ランダムに決定してもよい。
【0057】
例えば、半群演算として式(2)の加算を用いる方法を方式Aとすると、第1ブロック400aに記憶された4個のプログラムコード「0x01」、「0x02」、「0x03」、「0x04」を加算して第1検査値「0x0A」が得られる。同様に、第2ブロック400bに記憶された3個のプログラムコード「0x05」、「0x06」、「0x07」を加算して第2検査値「0x12」が、第3ブロック400cに記憶された5個のプログラムコード「0x08」、「0x09」、「0x0A」、「0x0B」、「0x0C」を加算して第3検査値「0x32」がそれぞれ得られる。
【0058】
また、例えば、半群演算として式(3)の排他的論理和演算を用いる方法を方式Bとすると、第1ブロック400aに記憶された4個のプログラムコード「0x01」、「0x02」、「0x03」、「0x04」に排他的論理和演算を行い第1検査値「0x04」が得られる。同様に、第2ブロック400bに記憶された3個のプログラムコード「0x05」、「0x06」、「0x07」に排他的論理和演算を行い第2検査値「0x04」が、第3ブロック400cに記憶された5個のプログラムコード「0x08」、「0x09」、「0x0A」、「0x0B」、「0x0C」に排他的論理和演算を行い第3検査値「0x0C」がそれぞれ得られる。
【0059】
[3]補正値の生成
また、主制御部10は、後段部20が主制御部10を認証するために予め保持している期待値を補正する必要が生じた場合に、この期待値を補正するための補正値を生成する。期待値を補正する必要が生じた場合とは、検査値生成のための手段が変更された場合であり、例えば、検査値の生成に用いるデータ記憶手段11内の所定のプログラムコードが変更された場合や、検査値の生成に用いる半群演算の種類が変更された場合などがある。なお、上記変更は、データ記憶手段11、決定手段12など主制御部10の一部が変更された場合や、主制御部10そのものが変更された場合、また、主制御部10を搭載した制御基板が、他の制御基板と交換可能な制御基板であり、正規のユーザーによって主制御基板10が他の制御基板に交換された場合などもある。また、このときの各変更は、変更される客体を同一構成の別のものへ置換することも含まれる。
【0060】
このような変更がある場合、検査値の生成に用いられる主制御部10のデータ記憶手段11に記憶されている所定のプログラムコードや、検査値の生成方法である半群演算の方法が変更されることで、生成される検査値も変更前後で異なってくる。このとき、後述するように、後段部20の演算値記憶手段21に記憶されている期待値が、変更前の所定のプログラムコード及び半群演算方法で生成された値のままであれば、主制御部10が正規のものであってもその正当性を認証できないため、後段部20が保持する期待値も上記のような検査値生成のための手段が変更されたことに併せて補正する必要がある。
【0061】
補正値は、例えば、変更前の検査値に対応する期待値と、変更後の検査値に対応する期待値との差分データである。差分データは、例えば、変更前の期待値と変更後の期待値を用いて、四則演算や論理演算などを行うことで生成される。補正値を、変更後の期待値そのものではなく変更前の期待値との差分データとすることによって、例えば不正行為者によって制御信号が窃取されても期待値は解読されないため、認証処理の強度を向上させることができる。
【0062】
期待値を補正する必要が生じた場合、主制御部10は、今回の分割数に基づいて、次回以降の認証に関する処理の際に補正値を生成するように構成することができる。具体的には、例えば、主御部10のRAM11c内に、補正値を生成し送信するタイミング(以下、補正タイミングという)に関する情報(以下、補正タイミング情報という)を記憶させておく領域(以下、補正タイミング情報記憶領域という)を設け、今回の分割数を補正タイミング情報として記憶させる。そして主制御部10は、分割数に基づいた所定の取り決めによって補正タイミング情報の値を更新しながら、次回以降の認証に関する処理のうち、いつが補正タイミングかを決定する。補正タイミング情報が特定の数(例えば、0)である場合は補正タイミングであると判断し補正値を生成し、補正タイミング情報が特定の数でない場合は補正タイミングでないと判断し検査値を生成するように構成する。なお、期待値を補正する必要が生じた直後の主制御部10での認証に関する処理については、まず補正値の生成及び送信を行い、これ以降の処理については、上記のように補正タイミング情報の値に従って補正タイミングを決定することと、後段部20との間で予め決めておく。
【0063】
ここで、所定の取り決めとは、例えば、認証に関する処理の際に補正タイミング情報記憶領域を参照し、補正タイミング情報の値が特定の数(例えば、0)でない場合は、補正タイミング情報の値に対して特定の演算(例えば、認証処理が成功する毎に補正タイミング情報の値をマイナス1するなど)を施して補正タイミング情報の値を更新し、補正タイミング情報の値が特定の数の場合は、補正タイミング情報の値を消去するというものである。なお、補正タイミング情報の値が取り得る範囲は、分割数が取り得る範囲に準拠している。
【0064】
分割数は、主制御部10のみが知る値であるため、主制御部10以外のものは、主制御部10の補正タイミングを知ることができず、不正行為者などによって、補正データが不正に搾取されるのを防止することができる。
【0065】
一方、本実施の形態1では、主制御部10は、後述するように、出力する制御コマンドが所定の制御コマンド(例えば、大当たりコマンド)である場合に、主制御部10を認証するためのデータを生成し、生成したデータを制御コマンドに付加して演出制御部203を介して後段部20に送信する。ここでは、制御コマンドに付加される主制御部10を認証するためのデータを総称して「認証データ」と呼ぶことにする。加えて主制御部10は、後段部20の期待値を補正するためのデータを生成し、生成したデータを制御コマンドに付加して演出制御部203を介して後段部20に送信する。「認証データ」と同様に、期待値を補正するためのデータを総称して「補正データ」と呼ぶことにする。認証データ又は補正データは、各検査値若しくは補正値、又はこれら検査値若しくは補正値に対して暗号化処理を施すことにより得られたデータである。以下、本実施の形態1では、認証データ又は補正データは、検査値又は補正値に暗号化処理を施して得られたデータとして説明するが、本発明はこれに限定されず、検査値又は補正値そのものを認証データとして認証に関する処理を行ってもよい。この場合、主制御部では検査値又は補正値に暗号化処理を施す必要がなく、後段部20では検査値又は補正値を抽出する際に認証データ又は補正データの復号化処理を施す必要がないため、認証に関する処理を簡易化することができ、処理負荷の増大を抑制することができる。
【0066】
ここで、所定の制御コマンドとは、パチンコ遊技機1の通電中において、パチンコ遊技機1の動作(例えば、初期化動作や演出動作あるいは客待ちデモンストレーションなど)を指示するために、各種の制御コマンドの中から任意に選定した特定の制御コマンドをいう。所定の制御コマンドとは、より具体的に例を挙げれば、大当たり状態の継続中に送信される大当たりコマンド、大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、周辺部に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、周辺部に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、周辺部に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、普通電動役物(電動チューリップ)の開放抽選やいわゆるフェイクと呼ばれる大当たりと同様に特別電動役物が短時間だけ開放するような小当たり状態の継続中に送信される小当たりコマンドなどをいう。所定の制御コマンドとしては、上記のものの他、例えば、電源オフコマンド、はずれリーチコマンド、はずれ非リーチコマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンドなどがある。
【0067】
上記検査値を生成する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す検査値生成手段13に対応させることができる。
【0068】
[4]認証データ、補正データの生成
主制御部10は、上記[2]、[3]の処理で生成した各検査値又は補正値に対して暗号化処理を施し、制御コマンド(制御コマンドデータ及び付随データ)に付加する認証データ又は補正データを生成する。なお、認証データと補正データは識別できない形式(データフォーマットなど)で生成される。ここで、暗号化方式としては、例えば、シーザー暗号、単一換字暗号、エニグマなど、比較的簡易なものを採用することができる。以下において用いる暗号化方式についても同様である。シーザー暗号は、メッセージ(平文)を構成する文字を一定の文字数だけずらすことによって暗号化する暗号化方式である。単一換字暗号は、平文を構成する文字を別の文字に変換することによって暗号化する暗号化方式である。エニグマは、鍵暗号鍵を用いたエニグマの設定、エニグマを用いた通信鍵の暗号化、通信鍵を用いたエニグマの再設定、平文の暗号化及び、暗号化された通信鍵と暗号化された平文の結合による通信文の生成という過程を経る暗号化方式である。
【0069】
主制御部10において、各検査値又は補正値に対して暗号化処理を施すことにより得た各認証データ又は補正データを演出制御部203を介して後段部20に送信した場合には、何らの処理も施していない各検査値又は補正値をそのまま後段部20に送信する場合と比較して、各検査値又は補正値を不正行為者により分析される可能性を低減することができる。
【0070】
主制御部10は、各検査値又は補正値に対して異なる暗号化処理を施してもよい。具体的には、例えば、各検査値又は補正値から、認証データ又は補正データを生成するための誤り検出演算等の加工処理を行う処理方法を異ならせるようにする。このことは、後述する後段部20での中間処理にも同様に当てはまる。
【0071】
なお、上記暗号化処理に対して、更に所定の加工処理を加えてもよい。所定の加工処理としては、例えば、暗号化処理が施された各検査値を用いた四則演算又は論理演算等を行って所定のデータ長を有する演算データを得る処理、これらの四則演算又は論理演算等により得られた演算データのビット配列を並び変える処理、上記演算データのビットをシフト又はロテイト(rotate)する処理、暗号化処理が施された各検査値を構成する複数のビットを取り出して所定の規則に従って並べて1つのデータを生成する処理などが考えられる。
【0072】
また、主制御部10は、暗号化処理等の方式を予め複数用意しておき、[1]の処理において決定された今回の分割数(データブロックの数)に基づいて、複数の暗号化処理の中から次回の認証データ又は補正データの生成に用いる1個の暗号化処理を選択するようにしてもよい。具体的には、主制御部10は、例えば、今回の分割数が奇数の場合は次回の暗号化処理を今回用いた暗号化処理と異なるものを選択し、今回の分割数が偶数の場合は次回の暗号化処理を今回用いた暗号化処理と同一のものを選択する。
【0073】
(認証データ生成の計算例)
認証データ生成の計算の一例を以下に示す。
図4に示す第1検査値「0x0A」から認証データを生成することを例にとって説明する。上記の暗号化処理として、検査値に制御コマンドデータを加算し、次に、得られたデータから「0x03」を減算する処理を採用する。主制御部10は、第1の検査値に上記の暗号化処理を行って認証データを生成する。
【0074】
この認証データを付加する制御コマンドデータ及び付随データの値を仮に「0xEE」、及び「0x01」とする。暗号化処理では、第1検査値「0x0A」に制御コマンドデータの値「0xEE」を加算するので、「0xF8」が得られる。次に、この「0xF8」から「0x03」を減算すると、認証データの値「0xF5」が得られる。
同様に、図4に示すプログラムコード記憶領域400に記録された、第2検査値「0x12」から認証データを生成すると「0xF2」の値、第3検査値「0x32」から認証データを生成すると「0x1D」の値となる。
【0075】
なお、認証データ又は補正データとともに送信される制御コマンドデータ及び付随データの少なくとも一方と検査値又は補正値とを併せて暗号化処理を施すことにより認証データ又は補正データを生成してもよい。また、認証データ又は補正データには、認証データ又は補正データとともに送信される制御コマンドデータや付随データに関するデータを含ませてもよい。制御コマンドデータや付随データに関するデータとは、制御コマンドデータや付随データに対して上記加工処理や、ハッシュ関数による演算やパリティチェック、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)、チェックサムなどの演算を行って得られた値などである。
【0076】
認証データ又は補正データとともに送信する制御コマンドデータや付随データを用いて認証データ又は補正データを生成することにより、不正な制御部によって認証データ又は補正データを再利用された場合であっても、認証データ又は補正データと制御コマンドの整合がとれず、不正を検知することができる。また、誤動作により制御コマンドデータが変更された場合であっても、認証は成功しないため、上記雑音等に起因して変更された制御コマンドデータに対応した制御コマンドの実行を防止することもできる。
【0077】
また、認証データ又は補正データに制御コマンドデータや付随データに関するデータを含ませる場合、主制御部10は制御コマンドデータや付随データに関するデータと検査値又は補正値とを合わせて暗号化処理を施して、認証データ又は補正データを生成する処理を行ってもよい。
【0078】
なお、主制御部10が、各検査値を生成するタイミングと、各検査値を用いて認証データを生成するタイミングとは、特に制限はなく、主制御部の制御プログラム中に、各検査値を生成する処理と、各検査値を用いて認証データを生成する処理とを行うプログラムを組み込んでおけばよい。
【0079】
[5]制御信号へのデータ付加
主制御部10は、演出制御部203を介して後段部20に送信される制御コマンドデータ及び付随データへ、認証データ又は補正データを付加して認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を生成する。
【0080】
[6]制御信号の送信
主制御部10は、認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を後段部20に送信する。
【0081】
ここで、主制御部10が演出制御部203を介して後段部20に送信する制御信号のデータフォーマットの一例について、図5に示す模式図を参照して説明する。図5(1)に示すように、主制御部10が出力する通常の制御信号300には、制御コマンドデータ301及び付随データ302が含まれている。制御コマンドデータ301は、制御コマンド固有のデータである。また、付随データ302は、制御コマンドデータ301に付随するデータであり、例えば、現在の遊技状態を示すデータなど制御コマンドデータ301に対応する処理を実行するために必要な制御データである。
【0082】
一方、主制御部10は、演出制御部203を介して後段部20に認証データを送信する場合、図5(2)に示すように、制御コマンドデータ301及び付随データ302に加え、認証データ303を含んだ認証データ付制御信号310を生成し、出力する。また、主制御部10は、演出制御部203を介して後段部20に補正データを送信する場合、図5(3)に示すように、制御コマンドデータ301及び付随データ302に加え、補正データ304を含んだ補正データ付制御信号311を生成し、出力する。なお、図5には示していないが、通常の制御信号300、認証データ付制御信号310、及び補正データ付制御信号311には、一般的なデータ通信で伝送される制御信号と同様に、BCC(Block Check Character)等が含まれている場合もある。BCCは、データ伝送の過程で発生するデータ誤りなどをチェックするために、伝送ブロックごとに付加される誤り検出符号である。後述する認証データ付制御信号312、313についても同様である。
【0083】
なお、認証データ付制御信号は、図5(2)に示すような制御コマンドデータ301、付随データ302、認証データ303の順で配置された認証データ付制御信号310に限らず、例えば、図5(4)に示すように、認証データ303を制御信号の先頭に設けた認証データ付制御信号311としたり、図5(5)に示すように、制御コマンドデータ301と付随データ302との間に認証データ303を挿入した認証データ付制御信号312としたりしてもよい。また、制御コマンドデータ301及び付随データ302とは別個に認証データ303又は補正データ304を出力することとしてもよい。例えば、大当たりコマンドデータを含む制御信号を送信した後、1回目の制御信号送信時に補正データ304を付加して、3回目の制御信号送信時に認証データ303を付加する、などとしてもよい。
【0084】
このように、認証データ303又は補正データ304を制御信号に含めることによって、認証データ303又は補正データ304単体で送信する場合と比較して、主制御部10と演出制御部203との間の通信負荷の増大を抑えることができる。また、認証データ303又は補正データ304を制御信号に含めることによって、認証データ303又は補正データ304を単体で送信する場合と比較して、通信データ中から認証データ303又は補正データ304が抽出され、解析されてしまう危険性を低減することができる。
【0085】
さらに、認証データ303や補正データ304を含まない通常の制御信号300に、補正データ304や認証データ303と同程度のサイズのダミーデータ(図示略)を付加してもよい。ここで、ダミーデータは、補正処理や認証処理に用いないデータである。このようにすることで、通常の制御信号300のデータサイズを、認証データ付制御信号310や補正データ付制御信号311と同程度とすることができる。このため、第三者にデータサイズの違いによって認証データ303や補正データ304が付加されている制御信号を見破られることを防ぐことができる。
【0086】
(後段部)
後段部20は、CPU20aと、ROM20bと、RAM20c等を備えている。CPU20aは、ROM20bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき処理(以下、中間処理という)を実行する。ROM20bには、CPU20aが中間処理を実行するためのプログラムコードと、主制御部10を構成するROM10bに予め記憶されている分割対象の所定のプログラムコードを用いて、複数の半群演算をそれぞれ行って得られた複数の期待値とが予め記憶されている。ROM20bの記憶領域のうち、上記複数の期待値が予め記憶されている記憶領域は、例えば、図1に示す演算値記憶手段21に対応させることができる。RAM20cは、CPU20aが中間処理を実行する際に行う演算のワークエリアとして機能する。
【0087】
本実施の形態1において、この中間処理は、以下の[1]〜[7]の通りである。
[1]認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号の受信
後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して、制御コマンドデータ301、付随データ302及び認証データ303からなる認証データ付制御信号若しくは制御コマンドデータ301、付随データ302及び補正データ304からなる補正データ付制御信号を受信する。
【0088】
後段部20が認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を受信した場合、認証データ及び補正データはお互いが識別できない形式で生成されているため、後段部20は、受信した制御信号に付加されたデータ(認証データ又は補正データ)の形式からでは、後述する認証処理と補正処理のどちらを行うかを判断することができない。
そこで後段部20のRAM20c内に、補正処理を行うタイミング(以下、補正タイミングという)に関する情報(以下、補正タイミング情報という。)を記憶させておく領域(以下、補正タイミング情報記憶領域という)を設け、後述する結合数を補正タイミング情報として記憶させる。そして後段部20は、結合数に基づいた所定の取り決めによって補正タイミング情報の値を更新しながら、次回以降の認証に関する処理が補正タイミングかを決定する。補正タイミング情報が特定の数(例えば、0)である場合は補正タイミングであると判断し補正処理を行い、補正タイミング情報が特定の数でない場合は補正タイミングでないと判断し、認証処理を行うように構成する。なお、期待値を補正する必要が生じた直後の後段部20での認証に関する処理については、まず補正処理を行い、これ以降の処理については、上記のように補正タイミング情報の値に従って補正タイミングを決定することと、主制御部10との間で予め決めておく。
【0089】
ここで、所定の取り決めとは、例えば、認証に関する処理の際に補正タイミング情報記憶領域を参照し、補正タイミング情報の値が特定の数(例えば、0)でない場合は、補正タイミング情報の値に対して特定の演算(例えば、認証処理が成功する毎に補正タイミング情報の値をマイナス1するなど)を施して補正タイミング情報の値を更新し、補正タイミング情報の値が特定の数である場合は、補正タイミング情報の値を消去するというものである。なお、補正タイミング情報の値が取り得る範囲は、結合数が取り得る範囲に準拠している。
【0090】
本実施の形態1において、「補正タイミング」は、主制御部10が補正値を生成し送信するタイミングか、後段部20が補正処理を行うタイミングかのいずれかであるが、両者を特に混乱なく識別することができるため、これ以降、特筆しない限り両者区別なく「補正タイミング」という用語を使用する。「補正タイミング情報」、「補正タイミング記憶領域」についても同様である。また、以下の[2]〜[7]に記載の中間処理おいて、[4]は、今回が補正タイミングであり補正処理を行う場合を説明し、[4]以外は今回が補正タイミングではなく認証処理を行う場合を説明している。
【0091】
[2]検査値抽出
後段部20は、認証データ付制御信号から認証データ303を抽出する。次に後段部20は、認証データ生成時に使用した暗号化処理に対応する復号化処理を抽出した認証データに施し、検査値を抽出する。後段部20は、抽出した検査値をRAM20cの所定の記憶領域(以下、検査値用メモリという)に記憶する。
【0092】
[3]認証
後段部20は、検査値用メモリ内に記憶されているすべての検査値に対して、以下に示す順序で半群演算を行うことにより、主制御部10が正規の主制御部であるか否かについて認証を行う。
{1}後段部20は、上記検査値用メモリ内に記憶されているすべての検査値を用いて半群演算(以下、結合処理という)を行う。
{2}後段部20は、予め記憶されている期待値をROM20bの所定の記憶領域から読み出す。
【0093】
{3}後段部20は、上記{1}の処理における演算結果(以下、結合結果という)と、上記{2}の処理で読み出した期待値が一致するか否か判断する(以下、照合処理という)。
後段部20は、結合結果と期待値が一致した場合には、認証に成功したと判断する。
半群演算は上記結合法則を満たしているため、主制御部10のROM10bに予め記憶されている所定のプログラムコードのすべてに対して半群演算を行って得られた結果である期待値と、所定のプログラムコードから生成された分割数分の検査値に対して半群演算を行って得られた結合結果とは一致する。このとき、すなわち主制御部10に対する認証が成功したときは、結合処理の対象となった検査値の数(以下、結合数という)と、分割数とは当然に一致する。これにより、後段部20は、主制御部10の正当性を認証する。
一方、後段部20は、結合結果と期待値が一致しなかった場合には、認証に成功しなかったと判断する。
【0094】
{4}{3}の処理で認証に成功した場合、後段部20は、認証が成功したことを示す認証結果を生成し、上記検査値用メモリ内に記憶されている検査値を消去する。
{5}{3}の処理で認証に成功した場合、後段部20は、次回の補正タイミングが決定しているか否かを判断する。この判断は、RAM20c内の補正タイミング情報記憶領域を参照し、補正タイミング情報の値が記憶されているか否か(補正タイミング情報記憶領域がクリアされていないか否か)により判断する。
{5−1}補正タイミング情報の値が記憶されている場合、補正タイミング情報の値は特定の数(例えば、0)を除いた値であり、後段部20は、補正タイミング情報の値に特定の演算(例えば、マイナス1)を施して補正タイミング情報の値を更新する。
{5−2}補正タイミング情報の値が記憶されていない場合、後段部20は、補正タイミング情報記憶領域に、認証に成功した今回の結合処理時の結合数を補正タイミング情報の値として記憶させる。
【0095】
{6}{3}の処理で認証が成功しなかった場合、後段部20は、主制御部10から受信した認証データの数が所定数以上か否かを判断する。所定数は、今回の結合数(分割数)以上かつプログラムコード記憶領域400(図4参照)に記憶されているプログラムコードを分割可能な数(最大分割数)以下の範囲内の任意の数である。
{6−1}受信した認証データの数が所定数未満の場合、後段部20は、まだ認証が行える段階ではないと判断して認証結果に換えて、認証中途データとして、例えば、認証結果のデータ長と同一のデータ長を有する任意の値(例えば、オール0又はオール1)を生成する。
{6−2}受信した認証データの数が所定数以上の場合、後段部20は、認証が成功しなかったと判断して、認証が成功しなかったことを示す認証結果を生成する。
【0096】
(期待値生成の計算例)
期待値の生成方法について、図4を参照して説明する。
後段部20は、プログラムコード記憶領域400に記憶された分割対象の所定のプログラムコード全体に対して半群演算を行った値を期待値として保持している。例えば、方式Aの場合の期待値は「0x01」〜「0x0C」の和である「0x4E」となる。また、方式Bの場合の期待値は「0x01」〜「0x0C」の排他的論理和である「0x0C」となる。後段部20では、主制御部10による検査値生成方法である半群演算の数と同数の期待値を保持している。
【0097】
後段部20が照合に用いる期待値は、例えば、製造時など、予め後段部20を構成するROM20bの所定の記憶領域に記憶させてもよいが、これに限定されず他の構成部から後段部20に送信することとしてもよい。他の構成部としては、例えば、賞球制御部204や期待値を生成するための専用の処理部(以下、期待値算出部という)などがある。なお、期待値算出部は、予め記憶されている期待値を後段部20に送信してもよい。また、外部接続用インターフェイス(図示略)を介して、外部の機器から後段部20や期待値算出部に期待値を算出するために必要な係数などを送信してもよい。このように、後段部20を構成するROM20bの所定の記憶領域に、予め期待値を記憶させずに、他の構成部から取得することとすれば、検査値を事後的に変更することが可能となる。
【0098】
[4]補正処理
後段部20は、補正データ付制御信号から補正データ304を抽出する。そして後段部20は、補正データ生成時に使用された暗号化処理に対応する復号化処理を、抽出した補正データに施し、補正値を抽出する。次に、後段部20は、抽出した補正値を用いてROM20b内の期待値を補正する。補正値は、変更前の検査値に対応する期待値と、変更後の検査値に対応する期待値との差分データであり、期待値に対して、補正値を用いて主制御部10が差分データの生成に使用した演算方法に対応した所定の補正演算(例えば、変更後の期待値に補正値を加算するなど)を施す。
【0099】
補正処理後、後段部20は、補正タイミング情報記憶領域に記憶されている補正タイミング情報の値を消去する。補正タイミング情報の値が消去されると、後段部20は、次回の認証に関する処理のとき、補正タイミング情報記憶領域に、当該結合処理時の結合数を補正タイミング情報の値として記憶させることとなる。
【0100】
このように、後段部20は、補正タイミング情報の値を、結合数を基に設定し認証に関する処理の際に更新している。主制御部10に対する認証が成功した際の結合数は、分割数と一致するため、後段部20は、主制御部10の補正値生成及び送信のタイミングに合わせて補正処理を行うことができる。よって、後段部20は、期待値が変更された場合であっても、正規の主制御部10に対する認証処理を継続することができる。
【0101】
また、主制御部10又は後段部20は、分割数又は結合数を基にして補正タイミング情報の値を設定している。分割数は主制御部10だけが認識している値であり、結合数は認証が成功して初めて後段部20が知る値である。よって、不正行為者は、分割数及び結合数を知ることができず、補正タイミングミングを知ることができない。これにより、主制御部10と演出制御部203との間に不正な制御部が挿入されたことを検知することができ、不正な制御部による不正な処理を防止することができる。
【0102】
[5]認証不成功信号の生成
後段部20は、[3]の処理で生成した認証結果が、認証が成功しなかったことを示す結果であった場合、認証不成功の結果に基づいて認証不成功信号を生成する。このとき後段部20は、認証不成功信号に対して主制御部10で認証データを生成した際と同様に暗号化処理を施してもよい。
【0103】
[6]認証不成功信号の送信
後段部20は、認証不成功信号を演出制御部203に送信する。
なお、これらの中間処理([1]〜[6]の処理)の詳細については、後述する。
上記認証処理を実行する手段は、例えば、図1に示す認証手段22に対応させることができる。
【0104】
(演出制御部)
演出制御部203は、CPU203aと、ROM203bと、RAM203cと、VRAM203d等を備えている。CPU203aは、主に遊技中における演出を制御し、ROM203bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき、主制御部10より送信される制御コマンドに基づいて演出の抽選及び演出処理を実行する。ROM203bには、CPU203aが演出の抽選及び演出処理を実行するためのプログラムコードと、過去の演出パターンとが予め記憶されている。RAM203cは、CPU203aが演出の抽選及び演出処理を実行する際に行う演算処理において、データ等のワークエリアとして機能する。VRAM203dには、図柄表示部104に表示させるための画像データが書き込まれる。
【0105】
この演出制御部203は、主制御部10より送信される演出に係る制御コマンドを受信すると、この制御コマンドに基づいて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクター等の演出を確定するとともに、当該確定した演出の制御を行う。
また、演出制御部203の出力側には、図柄表示部104が接続されており、抽選によって決定された内容のとおりに、図柄表示部104に、例えば、図柄変動の演出表示を展開する。
【0106】
そして通常、CPU203aがROM203bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM203bから読み出してVRAM203dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は、表示画面上において図柄表示部104に重畳表示される。
すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM203dに記憶させる。
【0107】
また、演出制御部203は、以上概略説明した処理の他に、主制御部10や後段部20から送信された制御信号の種類に応じて、ROM203bに予め記憶されているプログラムに基づき、以下の[1]〜[4]に示す認証に関する処理を実行する。
【0108】
[1]制御信号の受信
演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号が、制御コマンドデータ301及び付随データ302のみからなる通常の制御信号か、制御コマンドデータ301及び付随データ302に認証データ303が付加された認証データ付制御信号、又は制御コマンドデータ301及び付随データ302に補正データ304が付加された補正データ付制御信号かを判断する。
[2]制御コマンドに基づく処理の実行
演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号が、通常の制御信号の場合には、上記のように制御コマンドに基づく処理を行う。
[3]後段部への認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号の送信
演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号が、認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号の場合には、認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を後段部20にそのまま送信する。なお、認証データ付制御信号から認証データ303を抽出し、認証データだけを後段部20に送信したり、補正データ付制御信号から補正データ304を抽出し、補正データだけを後段部20に送信したりしてもよい。
[4]認証不成功信号に基づく処理
演出制御部203は、後段部20から認証不成功信号を受信した場合、認証が不成功の旨を報知する。
なお、これら認証に関する処理の詳細については、後述する。
【0109】
演出制御部203の入力側には、上記チャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。また演出制御部203の出力側には、スピーカ277が接続されており、演出制御部203において確定したとおりに、音声が出力されるようにしている。
また演出制御部203の出力側には、ランプ制御部205を備えている。
【0110】
(その他の制御部)
ランプ制御部205は、演出制御部203より送信された制御コマンドに基づきROM205bから読み込んだプログラムを作動させて演出処理を実行するCPU205aと、上記プログラム及び各種演出パターンデータを記憶するROM205bと、CPU205aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM205c等を備えている。ランプ制御部205は、ランプ262、演出ライト111a及び111b、演出役物作動装置254を制御する。演出役物作動装置254は、演出役物115等の、演出用の役物を作動させるモータやソレノイド等によって構成されている。
【0111】
ランプ制御部205は、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行い、また、演出ライト111a及び111bをそれぞれ構成する複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。
また、ランプ制御部205は、演出制御部203より送信された制御コマンドに基づき、演出役物115を動作させる演出役物作動装置254のソレノイドや、瞼部116を動作させる演出役物作動装置254のモータに対する駆動制御等を行う。
【0112】
賞球制御部204は、主制御部10と送受信可能に接続されている。賞球制御部204は、ROM204bに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。この賞球制御部204は、ROM204bに記憶されたプログラムを作動して賞球制御の処理を実行するCPU204aと、CPU204aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM204c等を備えている。
【0113】
賞球制御部204は、接続される払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、第1大入賞口109c、第2大入賞口129c)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。また、賞球制御部204は、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示略)と、遊技球を発射させるソレノイド等(図示略)を備えている。賞球制御部204は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
【0114】
上記構成の主制御部10と、後段部20と、演出制御部203と、賞球制御部204と、ランプ制御部205とは、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、中間基板、演出制御基板、賞球制御基板、ランプ制御基板)に搭載されている。これらのうち、中間基板、演出制御基板、賞球制御基板及びランプ制御基板の総称として、「周辺基板」を用いる。なお、例えば、後段部20は、演出制御部203と同一のプリント基板上に搭載することもできる。また、賞球制御部204は、主制御部10と同一のプリント基板上に搭載することもできる。
【0115】
次に、上記構成のパチンコ遊技機1の動作について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「制御コマンドを送信する」とは、「当該制御コマンドを示すデータ(制御コマンドデータ)を含む制御信号を送信する」という意味であり、例えば、図5に示す認証データや補正データや付随データの有無は考慮しないものとする。
【0116】
主制御部10による後段部20及び賞球制御部204への制御コマンド送信を含む処理について、図6及び図7に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、主制御部10は、パチンコ遊技機1の電源投入に伴う初期設定処理を実行(ステップS1)した後、ステップS2へ進む。なお、パチンコ遊技機1に電源が投入された際には、周辺基板が主制御基板から受信する制御コマンドを確実に取り込むために、周辺基板が立ち上がってRAM領域の初期化処理を行い、待機状態となった後、主制御基板が立ち上がるように構成されている。主制御部10は、初期設定処理として、例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定するとともに、後段部20、演出制御部203及び賞球制御部204が待機状態になることを待つために、所定時間(例えば、約1秒間)だけ待機する。
【0117】
ステップS2では、主制御部10は、演出制御部203及び賞球制御部204に電源投入コマンドを送信した後、ステップS3へ進む。電源投入コマンドを受信すると、演出制御部203は、当該電源投入コマンドを後段部20及びランプ制御部205に送信する。電源投入コマンドを受信すると、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205のそれぞれに対して電源投入時の演出用の制御コマンド、具体的には、遊技機が非遊技状態における客待ちのデモ画面を表示するための客待ちデモコマンド、あるいは、ランプの点灯等を行うための制御コマンドを送信する。
【0118】
なお、電源投入コマンドは、電源投入後に電源投入に伴う処理を実行させるための制御コマンドを示し、各制御基板が立ち上がった後に、主制御部10が演出制御部203、賞球制御部204、演出制御部203を介して後段部20、及びランプ制御部205に送信する制御コマンドであって、電源投入後の立ち上げ時における遊技を制御するための初期制御情報、例えば、制御モード、バックアップデータ等を送信するための制御コマンド、あるいは初期演出表示の制御を行うための制御コマンド、例えば、客待ちデモ等の各種のデモ表示を開始させるための制御コマンドである。また、この電源投入コマンドは遊技機のリセットボタンを押圧したときに実行される、上記制御モード、バックアップデータ等を送信するための制御コマンドも含む。
【0119】
ステップS3では、主制御部10は、RAM10cに記憶されている未抽選入賞回数データを参照して、未抽選入賞回数が0回であるか否かを判断する。ここで、未抽選入賞回数とは、第1始動口検出部221又は第2始動口検出部225で検出された遊技球の数(入賞回数)から、当該遊技球の入球に対応する抽選が行われた回数(既抽選回数)を減じた数である。ステップS3の判断結果が「NO」の場合、すなわち、未抽選入賞回数が0回でない場合には、主制御部10は、後述するステップS10へ進む。一方、ステップS3の判断結果が「YES」の場合、すなわち、未抽選入賞回数が0回である場合には、主制御部10は、ステップS4へ進む。
【0120】
ステップS4では、主制御部10は、電源投入時のデモが開始されてから経過した時間を計測した後、ステップS5へ進む。ステップS5では、主制御部10は、電源投入時のデモが開始されてから所定時間が経過したか否かを判断する。ステップS5の判断結果が「YES」の場合、すなわち、電源投入時のデモが開始されてから所定時間が経過した場合には、主制御部10は、ステップS6へ進む。なお、上記電源投入時のデモを開始するための制御コマンドは、客待ちデモコマンドとしてもよい。
【0121】
ステップS6では、主制御部10は、演出制御部203に客待ちデモコマンドを送信した後、ステップS7へ進む。客待ちデモコマンドを受信すると、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205のそれぞれに対して客待ちデモ用の制御信号を送信する。
【0122】
一方、ステップS5の判断結果が「NO」の場合、すなわち、電源投入時のデモ(又は客待ちデモ)が開始されてから所定時間が経過していない場合には、主制御部10は、ステップS7へ進む。ステップS7では、主制御部10は、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されたか又は第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出されたか否かを判断する。ステップS7の判断結果が「YES」の場合、すなわち、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されたか又は第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出された場合には、主制御部は、ステップS8へ進む。
【0123】
一方、ステップS7の判断結果が「NO」の場合、すなわち、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されず、かつ第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出されない場合には、主制御部は、ステップS4へ戻り、ステップS4以降の処理を繰り返す。
【0124】
ステップS8では、主制御部10は、客待ちデモ(又は電源投入時のデモ)が開始されてから計測していた時間をクリアした後、ステップS9へ進む。ステップS9では、主制御部10は、未抽選入賞回数に1を加算する。なお、第1始動口検出部221又は第2始動口検出部225で複数の遊技球の入球が検出された場合、このステップS9では、主制御部10は、未抽選入賞回数に入球に相当する数を加算する。そして、主制御部10は、ステップS10へ進む。ステップS10では、主制御部10は、予め用意された乱数カウンタ(例えば、0〜250をカウント)から1つの大当たり判定用乱数を無作為に取得した後、ステップS11へ進む。ステップS11では、主制御部10は、未抽選入賞回数から1を減算した後、ステップS12へ進む。
【0125】
ステップS12では、主制御部10は、例えば、予めROM10bに記憶されている大当り判定データテーブルを参照して、ステップS10の処理で取得した大当たり判定用乱数が、この大当り判定データテーブルに記憶されている大当たりの乱数値であるか否かを判断する。また、ステップS12では、主制御部10は、取得した大当たり判定用乱数がはずれの乱数の場合には、例えば、大当り判定データテーブルを参照して、さらに「リーチ有りのはずれ」又は「リーチ無しのはずれ」であるかについても判断する。ステップS12の判断結果が「YES」の場合、すなわち、ステップS10で取得した大当たり判定用乱数が予め定められた大当たり乱数である場合には、主制御部10は、ステップS13へ進む。
【0126】
ステップS13では、主制御部10は、演出制御部203に、例えば、大当たりの種別コード(通常当りか確率変動当りか等)、リーチ有り、図柄変動時間、等の制御データ(付随データ)を含む大当たりリーチコマンド(図柄変動コマンド)を送信した後、ステップS14へ進む。ステップS14では、主制御部10は、図柄変動時間が経過したか否かを判断する。ステップS14の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄変動時間が経過していない場合には、主制御部10は、同判断を繰り返す。そして、図柄変動時間が経過すると、ステップS14の判断結果が「YES」となり、主制御部10は、ステップS15へ進む。
【0127】
ステップS15では、主制御部10は、演出制御部203に図柄停止コマンドを送信した後、ステップS16へ進む。ステップS16では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり開始コマンドを送信した後、ステップS17へ進む。ステップS17では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり中の各ラウンドに対応するコマンド(大当たりコマンド)を順次送信し、すべてのラウンドの大当たりコマンドの送信を終了した後、ステップS18へ進む。ステップS18では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり終了コマンドを送信した後、ステップS22へ進む。
【0128】
一方、ステップS12の判断結果が「NO」の場合、すなわち、ステップS10の処理で取得した大当たり判定用乱数が予め定められた大当たり乱数でない場合には、主制御部10は、ステップS19へ進む。ステップS19では、主制御部10は、「リーチ有りのはずれ」の場合には「はずれリーチコマンド(図柄変動コマンド)」を、「リーチ無しのはずれ」の場合には「はずれコマンド(図柄変動コマンド)」を演出制御部203に送信した後、ステップS20へ進む。
【0129】
ステップS20では、主制御部10は、図柄変動時間が経過したか否かを判断する。ステップS20の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄変動時間が経過していない場合には、主制御部10は、同判断を繰り返す。そして、図柄変動時間が経過すると、ステップS20の判断結果が「YES」となり、主制御部10は、ステップS21へ進む。ステップS21では、主制御部10は、演出制御部203に図柄停止コマンドを送信した後、ステップS22へ進む。
【0130】
ステップS22では、主制御部10は、パチンコ遊技機1の電源がオフにされたか否かを判断する。ステップS22の判断結果が「NO」の場合、すなわち、パチンコ遊技機1の電源がオフにされていない場合には、主制御部10は、図6に示すステップS3へ戻り、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0131】
一方、ステップS22の判断結果が「YES」の場合、すなわち、パチンコ遊技機1の電源がオフにされた場合には、主制御部10は、ステップS23へ進む。ステップS23では、主制御部10は、演出制御部203に終了処理コマンドを送信した後、一連の処理を終了する。
【0132】
ここで、図8に、大当たり関連コマンド(大当たりリーチコマンド、大当たり開始コマンド、大当たりコマンド、大当たり終了コマンド)の送信タイミングの一例であるタイミングチャートを示す。図8(1)に示す大当たりリーチコマンドは、ランダムに送信される。また、図8(2)に示す大当たり開始コマンドは、実際に大当たりが発生した場合に、大当たり状態に移行する際に1度だけ送信される。さらに、図8(3)に示す大当たりコマンドは、大当たり状態に移行した後、ラウンドごとに継続的に送信される。また、図8(4)に示す大当たり終了コマンドは、大当たり状態のすべてのラウンドが終了し、通常の状態に移行する際に1度だけ送信される。
【0133】
次に、演出制御部203による処理について説明する。以下では、図柄変動時(大当たりリーチコマンド(図7に示すステップS13参照)又は、はずれリーチコマンド(図7に示すステップS19参照)を受信した場合)及び、大当たり時の演出制御部203の処理について説明する。
【0134】
まず、演出制御部203による図柄変動処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
演出制御部203は、主制御部10から図柄変動コマンドである大当たりリーチコマンド(図7に示すステップS13参照)又ははずれリーチコマンド(図7に示すステップS19参照)のいずれかを受信したか否かを判断する(図9のステップS31参照)。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たりリーチコマンド又ははずれリーチコマンドのいずれかを受信すると、ステップS31の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS32へ進む。
【0135】
ステップS32では、演出制御部203は、予め用意された乱数(例えば、0〜250)から1つの変動演出選択用乱数を無作為に取得した後、ステップS33へ進む。ステップS33では、演出制御部203は、ステップS32の処理で取得した変動演出選択用乱数に基づいて変動演出の種類を選択した後、ステップS34へ進む。
【0136】
ステップS34では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に変動演出別の演出開始コマンドを送信した後、ステップS35へ進む。ステップS35では、演出制御部203は、変動演出の演出時間が経過したか否かを判断する。ステップS35の判断結果が「NO」の場合、すなわち、変動演出の演出時間が経過していない場合には、演出制御部203は、ステップS36へ進む。
【0137】
ステップS36では、演出制御部203は、主制御部10から図柄停止コマンド(図7に示すステップS15及びS21参照)を受信したか否かを判断する。ステップS36の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄停止コマンドを受信していない場合には、演出制御部203は、ステップS35へ戻り、ステップS35以降の処理を繰り返す。
【0138】
一方、ステップS36の判断結果が「YES」の場合、すなわち、図柄停止コマンドを受信した場合には、演出制御部203は、ステップS37へ進む。また、ステップS35の判断結果が「YES」の場合、すなわち、変動演出の演出時間が経過した場合にも、演出制御部203は、ステップS37へ進む。ステップS37では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に演出停止コマンドを送信した後、一連の処理を終了する。
【0139】
次に、演出制御部203による大当たり時の処理について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、演出制御部203は、主制御部10から大当たり開始コマンド(図7に示すステップS16参照)を受信したか否かを判断する(図10のステップS41参照)。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たり開始コマンドを受信すると、ステップS41の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS42へ進む。
【0140】
ステップS42では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に大当たり開始処理コマンドを送信した後、ステップS43へ進む。ステップS43では、演出制御部203は、主制御部10からラウンド別の大当たりコマンド(図7に示すステップS17参照)を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、ラウンド別の大当たりコマンドを受信すると、ステップS43の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS44へ進む。
【0141】
ステップS44では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に受信したラウンド別の大当たりコマンドに対応するラウンド別処理コマンドを送信した後、ステップS45へ進む。ステップS45では、主制御部10から大当たり終了コマンド(図7に示すステップS18参照)を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たり終了コマンドを受信すると、ステップS45の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS46へ進む。ステップS46では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に、受信した大当たり終了コマンドを送信した後、一連の処理を終了する。
【0142】
次に、ランプ制御部205によるランプ制御処理について説明する。ここでは、演出制御部203から図柄変動コマンドを受信した場合(図柄変動時)の処理について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ランプ制御部205は、演出制御部203から演出開始コマンド(図9に示すステップS34参照)を受信したか否かを判断する(図11のステップS51参照)。この判断結果が「NO」の場合には、ランプ制御部205は、同判断を繰り返す。そして、演出開始コマンドを受信すると、ステップS51の判断結果が「YES」となり、ランプ制御部205は、ステップS52へ進む。
【0143】
ステップS52では、ランプ制御部205は、例えば、ROM205bから予めコマンド別に記憶されているデータを読み出した後、ステップS53へ進む。ステップS53では、ランプ制御部205は、コマンド別の選択ルーチンを実行した後、ステップS54へ進む。ステップS54では、ランプ制御部205は、ランプデータをセットした後、ステップS55へ進む。
【0144】
ステップS55では、ランプ制御部205は、ランプ262にランプデータを出力した後、ステップS56へ進む。これにより、ランプ262は、ランプ制御部205から出力されたランプデータに基づいて、点灯又は消灯する。ステップS56では、ランプ制御部205は、演出制御部203から演出停止コマンド(図9に示すステップS37参照)を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、ランプ制御部205は、ステップS55へ戻り、ステップS55以降の処理を繰り返す。一方、ステップS56の判断結果が「YES」の場合、すなわち、演出制御部203から演出停止コマンドを受信した場合には、ランプ制御部205は、ステップS57へ進む。ステップS57では、ランプ制御部205は、ランプデータの出力を停止した後、一連の処理を終了する。
【0145】
以上説明したように、演出制御部203及びランプ制御部205は、主制御部10から送信される制御コマンドに基づいて各種の処理を行っている。賞球制御部204についても同様である。以下、演出制御部203、賞球制御部204及びランプ制御部205の総称として、「周辺部」を用いる。従って、図1に示す本実施の形態1に係る遊技機1の周辺部30は、演出制御部203の機能を有する演出制御手段、賞球制御部204の機能を有する賞球制御手段及びランプ制御部205の機能を有するランプ制御手段を備えている。
【0146】
ところで、上記のように、遊技機に対し行われる不正行為や、雑音等に起因する遊技機の誤動作により、遊技とは無関係に遊技媒体が払い出され遊技店が多大な損害を被ってしまうことがある。そこで、上記不正行為及び雑音等に起因する遊技機の誤動作を防止するため、本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1では、演出制御部203の後段に後段部20を設けている。
そして、本実施の形態1においては、主制御部10は、出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合、所定のプログラムコードを用いて分割数分の認証データを生成し、これら認証データを制御コマンドに付加して後段部20に送信する。
【0147】
後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して受信した認証データから得られた各検査値を用いて主制御部10が正規の主制御部であるか否かの認証を行う。次に、後段部20は、上記認証処理で得られた認証結果が認証不成功の場合には認証不成功信号を演出制御部203に送信する。そして、演出制御部203は、後段部20から受信した認証不成功信号に基づき、その旨の報知を行う。このように、後段部20を認証者、主制御部10を被認証者とした認証処理を行い、主制御部10から送信される制御コマンドの正当性を認証する。この認証処理によって、上記不正行為を検知して、パチンコ遊技機1への不正を防止することができるとともに、外部から加えられる電気的な雑音や機械的な振動等に起因するパチンコ遊技機1の誤動作を低減することもできる。
【0148】
以下、主制御部10と後段部20及び周辺部との間で行う認証に関する処理について説明する。以下、主制御部10と後段部20との間の認証に関する処理について、図12及び図13に示すフローチャートを参照して説明するが、主制御部10と賞球制御部204との間の認証に関する処理も同様の手順で行われる。また、図12及び図13には、認証データの生成時における分割数がNの場合、当該認証データの送信後N回目の認証成功後、認証データの生成及び送信を行った後に補正データを送信する場合の処理を示している。
【0149】
図12は、主制御部10による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。主制御部10は補正データの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS61)。具体的には、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域を参照して、補正タイミング情報の値が0であるか否かを判断する。RAM10c内の補正タイミング情報の値が0の場合、すなわち、補正データの送信タイミングの場合(ステップS61:YES)、主制御部10は、補正値を算出して補正データを生成し(ステップS62)、演出制御部203を介して後段部20に補正データ付制御信号を送信する(ステップS63)。そして、RAM10c内の補正タイミング情報をクリアして(ステップS64)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0150】
一方、ステップ61にて、RAM10c内の補正タイミング情報の値が0でない場合、すなわち、補正データの送信タイミングではない場合(ステップ61:NO)、主制御部10は、認証データの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS62)。認証データの送信タイミングの場合(ステップS65:YES)、主制御部10は、分割数を決定する(ステップS66)。分割数の決定方法は任意である。また、分割数は認証データの送信タイミングとなる前に決定されてもよい。
【0151】
次に、主制御部10は、決定した分割数で所定のプログラムコードを分割し、分割された各データそれぞれに対して半群演算を行って検査値を算出し(ステップS67)、検査値に対して暗号化処理を施して認証データを生成する(ステップS68)。この処理により、分割数分の検査値及び認証データが生成される。また、検査値の生成方法(生成に用いる演算の種類など)は、予めに決定されている。
【0152】
次に、主制御部10は、生成した認証データを含む認証データ付制御信号を演出制御部203を介して後段部20に順次送信する(ステップS69)。なお、認証データを付加する制御コマンドは特に制限されず任意の制御コマンドでよい。また、認証データ付制御信号は連続して送信してもよいし、通常の制御信号に混ぜて送信してもよい。また認証データの送信順序も任意である。主制御部10は、ステップS68で生成した認証データをすべて送信するまで(ステップS70:NO)、ステップS69に戻り、認証データ付制御信号の送信を継続する。なお、主制御部10は、生成した認証データのうち未送信の認証データがある場合(ステップS70:NO)、所定の制御コマンドの送信タイミングであっても新たに認証データを生成せずに、必ずステップS69に戻り認証データ付制御信号の送信を行う。
【0153】
認証データをすべて送信すると(ステップS70:YES)、主制御部10は、次回の補正タイミングが決定しているか否かを判断する(ステップS71)。次回の補正タイミングが決定しているかとは、具体的には、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に、補正タイミング情報の値が記憶されているか(クリアされていないか)否かということである。RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に補正タイミング情報の値が記憶されている場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定している場合(ステップS71:YES)、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報の値をマイナス1して(ステップS72)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0154】
一方、ステップS71で、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に、補正タイミング情報の値が記憶されていない場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定していない場合(ステップS71:NO)、主制御部10は、分割数に基づいて補正タイミングを決定する(ステップS73)。具体的には、次回以降で認証成功回数が分割数と等しくなるまでは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとして、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に分割数を記憶させ、本フローチャートによる処理を終了する。
また、ステップS65において、認証データの送信タイミングでない場合(ステップS65:NO)、主制御部10は、通常の制御信号を送信し(ステップS74)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0155】
主制御部10は、後段部20に所定の制御コマンドを送信する場合のみ、制御コマンドに認証データ303を付加するようにしてもよい。この場合、認証処理が行われるのは所定の制御コマンドの送信時のみであるので、主制御部10や演出制御部203の処理負荷が認証処理によって増大する割合を抑えることができる。所定の制御コマンドが大当たりコマンドである場合、大当たりコマンドは大当たり中のラウンドごとに送信されるため、大当たり状態にある一定期間中に複数回の認証処理を行うこととなり、認証処理の確度を向上させることができる。
【0156】
また、所定の制御コマンドが大当たり開始コマンドや大当たり終了コマンドである場合、大当たり開始コマンドや大当たり終了コマンドは、大当たり状態を開始又は終了させる制御コマンドであり、他の制御コマンドと比較して、送信頻度が低い。したがって、制御信号の中から認証データ303が抽出される可能性を低減することができる。また、制御信号の中から認証データ303が抽出されても、取得できるサンプル数が少ないため、認証データ303が解析される危険性を低減することができる。
【0157】
また、所定の制御コマンドが大当たりリーチコマンドである場合、大当たりリーチは、大当たりと比較して発生頻度が高い。また、大当たりリーチの発生タイミングはランダム性を有する。したがって、大当たりリーチコマンドデータを送信する際に認証処理を行うことにより、時間軸上における認証処理の実施位置が分散される。そして、このように時間軸上における認証処理の実施位置を分散することによって、認証処理の信頼性を向上させることができる。これは、認証データの通信不具合や認証データの改ざんが一定の期間行われた場合であっても、時間をおいてランダムに認証処理が行われるので、通信不具合や改ざんの影響を回避できる可能性が高くなるためである。
【0158】
さらに、所定の制御コマンドが電源投入コマンドである場合、電源投入コマンドは、パチンコ遊技機1の電源の投入時やリセット時など、パチンコ遊技機1の初期化処理を行う際に送信される。初期化処理は、パチンコ遊技機1のメインの処理である遊技(ゲーム進行)関連処理とは異なる処理区分に分類される。したがって、本発明のように、初期化処理中に認証処理を組み込めば、遊技関連処理中に認証処理を組み込む場合と比較して、プログラム設計やテストにかかる工程(工数)が増加する割合を低減することができる。すなわち、初期化処理中に認証処理を組み込むことによって、開発コストの低減や品質管理上のメリットを得ることができる。また、初期化処理中に認証処理を組み込めば、パチンコ遊技機1の起動直後に認証処理を行うため、遊技店が閉店した後に不正が行われた場合などであっても、顧客が入店する前に不正を検出することができる。よって、不正による被害が発生する危険性を低減することができる。
【0159】
また、所定の制御コマンドが客待ちデモコマンド又は客待ちデモ停止コマンドである場合、客待ちデモコマンド又は客待ちデモ停止コマンドは、パチンコ遊技機1が非遊技状態、すなわち、パチンコ遊技機1のメインの処理である遊技(ゲーム進行)関連処理が行われていない場合に送信されるので、認証処理による処理負荷の増大が遊技関連処理に影響を与えることがない。このため、主制御部10や演出制御部203が高度な処理能力を有していない場合や、遊技関連処理の処理負荷が大きいパチンコ遊技機1であっても、認証処理機能を追加することができる。また、客待ちデモコマンド及び客待ちデモ停止コマンドは、顧客がパチンコ遊技機1を操作する前に発行されるコマンドであるので、顧客がパチンコ遊技機1を操作する前に不正行為を検出することができる。
【0160】
さらに、所定の制御コマンドがはずれコマンドである場合、「はずれ」は、抽選時の抽選結果として最も発生頻度が高いので、はずれコマンドデータの送信時に制御コマンドに認証データ303を付加することとすれば、抽選から認証処理への流れをパチンコ遊技機1の処理の基本形とみなすことができる。一方、大当たりリーチ時や大当たり時の処理は、パチンコ遊技機1の機種ごとに演出方法が変更されるなど、特殊な処理に区分されるが、はずれ時の処理はパチンコ遊技機1の機種ごとの差異が少ない。このため、本実施の形態1のように、はずれ時の処理に認証処理を組み込めば、認証処理の流れに大きな変更を加えることなく、パチンコ遊技機1の本体を他の機種に再利用することが可能となる。
【0161】
次に、後段部20による認証に関する処理について説明する。図13は、後段部20による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。まず、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された図5に示すような認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を受信したか否かを判断する(ステップS81)。この判断結果が「NO」の場合には、後段部20は、同判断を繰り返す。そして、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を受信すると(ステップS81:YES)、後段部20は、ステップS82へ進む。
【0162】
後段部20は、認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号を受信した場合(ステップS81:YES)、後段部20は、現在が補正タイミングか否かを判断する(ステップS82)。具体的には、後段部20は、RAM20c内の補正タイミング情報記憶領域を参照して、補正タイミング情報の値が0であるか否かを判断する。RAM20cの補正タイミング情報の値が0の場合、すなわち、補正タイミングの場合(ステップS82:YES)、制御信号には補正データ304が含まれているため、後段部20は、含まれていた補正データ304に復号化処理を施して補正値を取得し(ステップS83)、補正値を用いてROM20b内に予め記憶されている期待値に対して補正処理を行う(ステップS84)。そして、RAM20c内の補正タイミング情報をクリアして(ステップS85)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0163】
一方、ステップS82において、RAM20c内の補正タイミング情報の値が0でない場合、すなわち、現在が補正タイミングではない場合(ステップS82:NO)、制御信号には認証データ303が含まれているため、後段部20は、認証データ303に復号化処理を施して検査値を取得する(ステップS86)。後段部20は、取得した検査値を検査値用メモリに記憶して(ステップS87)、検査値用メモリ内のすべての検査値に対して半群演算(結合処理)を行う(ステップS88)。検査値用メモリ内の検査値が1つの場合は、結合処理を行わずにそのままステップS89に進む。
【0164】
そして、後段部20は、演算結果(結合結果)と予め保持している期待値とを照合して、結合結果と期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS89)。結合結果と期待値が一致する場合(ステップS89:YES)、後段部20は、主制御部10に対する認証が成功であったことを示す認証結果を生成し(ステップS90)、ステップS94へ進む。
【0165】
一方、ステップS89において、検査値の結合結果と期待値が一致しない場合(ステップS89:NO)、後段部20は、所定数以上の認証データ303を受信するまで(ステップS91:NO)、ステップS81に戻り、処理を繰り返す。所定数以上の認証データ303を受信すると(ステップS91:YES)、後段部20は、主制御部10に対する認証を不成功とし(ステップS92)、ステップS93へ進む。所定数は、今回の結合数(分割数)以上かつプログラムコード記憶領域400(図4参照)に記憶されているプログラムコードを分割可能な数(最大分割数)以下の範囲内の任意の数である。そして後段部20は、認証不成功の結果に基づいて認証不成功信号を生成して演出制御部203に送信し(ステップS93)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0166】
また、ステップS90で主制御部10に対する認証が成功した場合、後段部20は、検証値用メモリ内のデータを消去する(ステップS94)とともに、次回の補正タイミングが決定しているか否かを判断する(ステップS95)。次回の補正タイミングが決定しているかとは、具体的には、RAM20c内の補正タイミング情報記憶領域に値が記憶されているか(クリアされていないか)否かということである。RAM20c内に補正タイミング情報の値が記憶されている場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定している場合(ステップS95:YES)、後段部20は、RAM20c内の補正タイミング情報の値をマイナス1して(ステップS96)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0167】
一方、ステップS95で、RAM20c内に補正タイミング情報の値が記憶されてない場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定していない場合(ステップS95:NO)、後段部20、結合数に基づいて補正タイミングを決定する(ステップS97)。具体的には、次回以降で認証成功回数が結合数と等しくなるまでは受信したデータに対して結合処理を行い、その次の回では受信したデータを用いてROM20b内に記憶されている期待値に対して補正処理を行うものとして、RAM20c内の補正タイミング情報記憶領域に結合数を記憶させ、本フローチャートによる処理を終了する。
【0168】
このように、後段部20は、主制御部10の認証が成功した場合には認証成功信号生成及び送信を行わず、認証が不成功の場合にのみ認証不成功信号を送信するので、後段部20の処理負荷が認証処理によって増大する割合を抑えることができる。
【0169】
また、認証データの復号化及び検査値と期待値との照合といった認証処理は、後段部20のみが実行するので、演出制御部203を構成するCPU203aの処理負荷が増大することはない。このため、演出制御部203の処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われないなどの問題が発生することを防止することができる。
【0170】
次に、演出制御部203による認証に関する処理について説明する。図14は、演出制御部203による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。まず、演出制御部203は、主制御部10から制御信号を受信したか否かを判断する(ステップS101)。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、主制御部10から制御信号を受信すると、ステップS101の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS102へ進む。
【0171】
ステップS102では、演出制御部203は、受信した制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれているか否かを判断する。ステップS102の判断結果が「NO」の場合、すなわち、受信した制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれていない場合には、演出制御部203は、通常の制御信号300に含まれる制御コマンドデータ301及び付随データ302に基づく処理を行い(ステップS107)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0172】
一方、演出制御部203が受信した制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれている場合には(ステップS102:YES)、演出制御部203は、ステップS103へ進む。ここで、制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれているか否かの判断は、例えば、制御信号のデータ量が通常の制御信号よりも多いか否かや、制御信号において、制御コマンドデータ301又は付随データ302を構成する任意のビット又は別個に設けられている識別データ(図示略)が、認証データ303又は補正データ304が含まれていることを示しているか否かを判断するか、あるいは、制御信号に含まれる制御コマンドデータ301が、認証処理を行うために予め設定した所定の制御コマンドの制御コマンドデータであるか否かを判断してもよい。
【0173】
ステップS103では、演出制御部203は、受信した認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号をそのまま後段部20に送信した後、制御コマンドデータ301及び付随データ302に基づく処理を開始した後(ステップS104)、ステップS105へ進む。
【0174】
ステップS105では、演出制御部203は、後段部20から送信された認証不成功信号を受信したか否かを判断する。後段部20から認証不成功信号を受信していない場合は(ステップS105:NO)、演出制御部203は、後段部20において主制御部10の認証に成功したと判断して、本フローチャートによる処理を終了する。
【0175】
一方、後段部20から認証不成功信号を受信した場合には(ステップ105:YES)、演出制御部203は、後段部20において主制御部10の認証に成功しなかったと判断して、ステップS104の処理で開始した制御コマンドデータ301及び付随データ302に基づく処理を中断するとともに、不正行為を報知するための報知信号を図柄表示部104やランプ制御部205、あるいはパチンコ遊技機21を管理するセンター制御装置などに送信した後(ステップS106)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0176】
図柄表示部104やランプ制御部205等は、受信した報知信号に基づいて、主制御部10に不正が行われたおそれがある旨を報知する演出を実行する。この演出は、例えば、図柄表示部104に通常出現しないキャラクターを出現させたり、通常出現するキャラクターを通常とは異なる方法で出現させるなどである。また、図柄表示部104の輝度を変えたり、色を変えたり、ランプ制御部205に対して所定のランプを表示制御するようにしてもよい。いずれにせよ、遊技店の従業員が当該パチンコ遊技機1の前を通過した際に、その状態に気付くようにしてあればよい。また、この演出は、顧客がその状態に気付かないような演出でもよく、また、顧客が容易に気付く演出であってもよい。顧客が容易に気付く演出にすれば、不正行為を効率的に抑止することができる。
【0177】
また、報知信号に「大当たり中」や「確率変動中」などのパチンコ遊技機1の遊技状態に関する情報を含めてもよい。これらの遊技状態に関する情報に基づいて、パチンコ遊技機1を管理するセンター制御装置などによって不正行為が行われているか否かの判断を行ってもよい。例えば、大当たり中や確率変動中は入賞が集中していても正常である場合がある。よって、大当たり中や確率変動中は、その他の状態とは異なる条件で不正行為のおそれがあるか否かについて判断するのがよい。また、遊技状態に関する情報は、報知信号に含めずに別信号として出力するようにしてもよい。この場合、従業員は、報知信号と遊技状態に関する情報の両方に基づいて、不正行為のおそれがあるか否かについて判断する。
【0178】
なお、演出制御部203は、認証不成功信号を受信した場合、制御コマンドに基づく処理を中断するとともに不正行為を報知する報知信号を送信するとしたが、不正行為を報知する報知信号を送信するだけでもよい。
【0179】
また、演出制御部203は、図14のフローチャートでは、主制御部10より送信された制御信号が、通常の制御信号か、あるいは認証データ付制御信号又は補正データ付制御信号かを判断しているが、同判断を行わずに、受信した制御信号の種類に関わらずそのまま後段部20へ送信してもよい。具体的には、演出制御部203は、受信した制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれているか否かの判断を行わず、そのまま後段部20へ送信するとともに、制御コマンドデータ301及び付随データ302に基づく処理を開始する。この場合、後段部20は、受信した制御信号に認証データ303又は補正データ304が含まれているか否かを判断し、含まれている場合には、結合処理又は補正処理を開始し、含まれていない場合には、結合処理又補正処理を開始せず、受信した制御コマンドデータ301及び付随データ302を破棄して後段部20の認証に関する処理を終了する。
【0180】
次に、図12及び図13に示す処理のうち、期待値に対する補正処理の補正タイミングの具体例について説明する。図15は、主制御部10(被認証者)及び後段部20(認証者)がそれぞれ実行する処理の相互関係の一例を示す処理シーケンスである。図15では、図12及び図13と同様に、認証データの生成時における分割数がNの場合、当該認証データの送信後N回目の認証成功後、認証データの生成及び送信を行った後に補正データを送信する場合の処理を示している。なお、本実施の形態1では、後段部20は、主制御部10が送信した認証データを周辺部30(演出制御部203)を介して受信するが、図15のシーケンス図では説明簡略化のために周辺部30の処理の記載を省略している。
【0181】
まず、主制御部10は、ステップS111の処理へ進み、任意の方法で今回の認証処理に用いる分割数を決定した後、ステップS112へ進む。主制御部10は、例えば、今回の分割数を2と決定する。ステップS112では、主制御部10は、ROM10bの記憶領域に予め記憶されている所定のプログラムコードを2個のブロック(記憶領域)に分割し、各ブロックに記憶されているプログラムコードを用いて、検査値を算出し、さらに暗号化処理を施して2つの認証データを生成する(ステップS112)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む2つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS113)。
【0182】
その後、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に値がない(クリアされている)ため、分割数に基づいて補正データの送信タイミングを決定する(ステップS114)。この場合、分割数が2であるため、今回の認証データ付制御信号の送信後、次回以降で認証成功回数が2回までは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=2とする。
【0183】
続いて、後段部20における処理について説明する。後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信する(ステップS115)。そして、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理を行う(ステップS116)。結合結果がROM20b内の期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS117)。今回の場合は、2つの検査値を用いて結合処理を行った際に期待値と一致するはずである(結合数=2)。
【0184】
その後、後段部20は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、結合数に基づいて期待値の補正タイミングを決定する(ステップS118)。この場合、結合数が2であるため、今回の認証処理後、次回以降で認証成功回数が2回までは受信したデータに対して結合処理を行い、その次の回では受信したデータを用いてROM20b内に記憶されている期待値に対して補正処理を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=2とする。
【0185】
2回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で分割数を決定する。例えば、今回の分割数=5とすると(ステップS119)、主制御部10は、ROM10bの記憶領域に予め記憶されている所定のプログラムコードを5個のブロック(記憶領域)に分割し、各ブロックに記憶されているプログラムコードを用いて、5つの検査値を算出し、さらに暗号化処理を施して5つの認証データを生成する(ステップS120)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む5つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS121)。認証データの送信が終了すると、主制御部201は補正タイミング情報を1(2−1=1)とする。
【0186】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS122)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS123)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS124)。認証が成功すると、後段部20は補正タイミング情報を1とする(2−1=1)。
【0187】
3回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で分割数を決定する。例えば、今回の分割数=3とすると(ステップS125)、主制御部10は、ROM10bの記憶領域に予め記憶されている所定のプログラムコードを3個のブロック(記憶領域)に分割し、各ブロックに記憶されているプログラムコードを用いて、3つの検査値を算出し、さらに暗号化処理を施して3つの認証データを生成する(ステップS126)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む3つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS127)。認証データの送信が終了すると、主制御部10は補正タイミング情報を0(1−1=0)とする。
【0188】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS128)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS129)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS130)。認証が成功すると、後段部20は補正タイミング情報を0とする(1−0=0)。
【0189】
このように、1回目の認証処理後、2回の認証処理が成功すると、主制御部10は、補正タイミング情報=0であるため、補正データを生成し(ステップS131)、後段部20に対して補正データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS132)。なお、補正データ付制御信号と認証データ付制御信号とは、見かけ上区別することができない。この後、主制御部10は、補正タイミング情報をクリアする(ステップS133)。
【0190】
後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された補正データ付制御信号を受信すると(ステップS134)、補正タイミング情報=0であるため、受信した制御信号に含まれる補正データを用いて補正処理を行い、期待値を補正する(ステップS135)。この後、後段部20は補正タイミング情報をクリアする(ステップS136)。
【0191】
4回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で分割数を決定する。例えば、今回の分割数=6とすると(ステップS137)、主制御部10は、ROM10bの記憶領域に予め記憶されている所定のプログラムコードを6個のブロック(記憶領域)に分割し、各ブロックに記憶されているプログラムコードを用いて、6つの検査値を算出し、さらに暗号化処理を施して6つの認証データを生成する(ステップS138)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む6つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS139)。
【0192】
その後、主制御部10は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、分割数に基づいて補正データの送信タイミングを決定する(ステップS140)。この場合、分割数が6であるため、今回の認証データ付制御信号の送信後、次回以降で認証成功回数が6回までは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=6とする。
【0193】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS141)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS142)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS143)。
【0194】
その後、後段部20は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、結合数に基づいて期待値の補正タイミングを決定する(ステップS144)。この場合、結合数が6であるため、今回の認証処理後、次回以降で認証成功回数が6回までは受信したデータに対して結合処理を行い、その次の回では受信したデータを用いてROM20b内に記憶されている期待値に対して補正処理を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=6とする。
【0195】
このように、本実施の形態1では、主制御部10は、所定のデータを分割した分割数に基づくタイミングで補正データを送信し、後段部20は、主制御部に対する認証が成功した際に2項演算の対象となった認証データの数(結合数)に基づくタイミングで期待値を補正する。分割数および結合数は、主制御部10及び後段部20のみが知る値なので、不正行為者は、期待値の補正に用いる補正データの送信タイミングを知ることができない。これにより、後段部20が保持する期待値を不正行為者に知られることなく補正することができ、上記不正行為及び遊技機の誤動作を検知することができ、これらに起因する不正な制御コマンドを実行することを防止することができる。
【0196】
また、本実施の形態1では、検査値の生成方式は予め特定の半群演算を設定するような構成としていたが、これに限定されず、例えば、今回の分割数に基づいて、複数の半群演算の中から次回の検査値の生成に用いる1個の半群演算を選択するように構成するとしてもよい。具体的には、主制御部10は、例えば、今回の分割数が奇数の場合は次回の半群演算を今回用いた半群演算と異なるものを選択し、今回の分割数が偶数の場合は次回の半群演算を今回用いた半群演算と同一のものを選択する。なお、初回の半群演算については、主制御部10と後段部20との間で同一の方式を利用するものと予め設定しておく。この場合、分割数および結合数は、主制御部10及び後段部20部のみが知る値なので、不正行為者は、認証データの値の生成に用いる半群演算の切り替えタイミングを知ることができない。これにより、上記不正行為及び遊技機の誤動作を検知することができ、これらに起因する不正な制御コマンドを実行することを防止することができる。なお、分割数に基づいて検査値の生成方式を切り替えずに、暗号化方法のみを切り替えるようにしてもよい。
【0197】
なお、後段部20は、認証データを用いた認証処理は、認証データを受信する度に行うのではなく、複数の認証データを受信した時点で行うこととしてもよい。この場合、後段部20は、例えば、第1の制御コマンドの第1の制御コマンドデータ及び第1の付随データとともに第1の認証データを受信した場合、認証処理を行わずに、第1の制御コマンドの第1の制御コマンドデータ及び第1の付随データに基づく処理を行う。そして、後段部20は、第2の制御コマンドの第2の制御コマンドデータ及び第2の付随データとともに第2の認証データを受信した場合、第2の制御コマンドの第2の制御コマンドデータ及び第2の付随データに基づく処理を行う前に、第1の認証データを用いた認証処理を行う。このとき、後段部20は、第1の認証データと第2の認証データの両方を用いて認証処理を行ってもよい。
【0198】
また、今回送信する制御コマンドデータ301や付随データ302を含めて認証データ303を生成してもよい。これにより、不正な主制御部による認証データ303の再利用を防止して、より確実に不正行為や誤動作を検知することができ、不正行為や誤動作に起因する不正な制御コマンドの実行を防止することができる。
【0199】
また、後段部20は、認証が不成功の場合のみ認証不成功信号を生成し演出制御部203へ送信するとしたが、認証が成功の場合も認証成功信号を生成し演出制御部203へ送信してもよい。
また、後段部20は、認証不成功信号のみを演習制御部203に送信し、演出制御部203は、認証不成功信号を受信した場合に制御コマンドに基づく処理を中断するとしたが、これに限定されない。例えば、後段部20は、認証成功信号も演出制御部203へ送信し、演出制御部203は、後段部20から認証成功信号を受信するまで制御コマンドに基づく処理を保留し、認証成功信号を受信してから制御コマンドに基づく処理を実行してもよい。これにより、演出制御部203が不正行為や誤動作に起因する不正な制御コマンドを実行することを防止することができる。
【0200】
本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1では、所定の制御コマンドを送信するタイミングで、主制御部10の正当性を認証するための認証データを生成し、生成した認証データ用いて認証処理を行う。認証処理を行うことによって主制御部10や演出制御部203の処理負荷が増大するのは、所定の制御コマンドが送信されている期間のみであり、主制御部10や演出制御部203の処理負荷が増大する割合を抑えることができる。
【0201】
また、認証処理を実行する後段部20と、主として演出処理を実行する演出制御部203とが別個独立しているため、認証用のプログラムと演出用のプログラムとは別個に設計することができる。これにより、演出制御部203の演出処理に認証機能を追加する場合と比較して、認証機能を追加するタイミングの設計・機能の実装・機能の検証などより簡単に、少ない作業工数で実現することができる。
また、従来のように、演出制御部203が認証処理と演出処理の両方を行う構成において、上記いずれか一方のプログラムの設計変更を行う必要が生じた場合に生じる以下の(a)〜(c)に示すような問題が発生することはない。
【0202】
(a)プログラムが複雑になってしまうため、他の機能と整合性を保つことが難しくなる(この場合、予期せぬエラーが生じる虞がある)。
(b)認証処理はパチンコ遊技機1の機種が異なっても共通にすることはできるが、演出処理はパチンコ遊技機1の機種ごとに異なる場合が多い。したがって、共通化可能な認証処理を含めた演出制御部203が実行する処理のプログラム全体の設計をパチンコ遊技機1の機種ごとに行う必要があり、設計に多大な時間がかかるとともに、作業効率が悪い。
(c)認証用の認証アルゴリズムを変更する場合、所定の処理を行う周辺部30での処理を変更しなくてはならない。この変更により、所望の認証機能が得られるか否かを確認する検証に多大の時間と労力を要し、遊技機の開発に時間と手間が大幅にかかってしまうという問題があり、認証アルゴリズムの変更は簡単にできない。
【0203】
また、所定の制御コマンドにのみ認証データ303を付加する場合、演出制御部203が実行するプログラムには所定の制御コマンドに関する認証処理を追加するだけでよい。したがって、演出制御部203が実行するプログラム全体にわたる新たなタイミングの設計する必要がないので、すべての制御コマンドに認証データ303が付加される場合と比較して、認証機能を追加するタイミングの設計、機能の実装、機能の検証など、より簡単に、少ない作業工数で実現することができる。
【0204】
さらに、本実施の形態1では、演出制御部203の後段に後段部20を設けているので、主制御部10を構成するCPU10aと演出制御部203を構成するCPU203aとの間の処理能力の差異や、主制御部10を構成するROM10bと演出制御部203を構成するROM203bとの間の記憶容量の差異を、後段部20において吸収することができる。これにより、主制御部10と演出制御部203との間で処理能力や記憶容量に差異があるにもかかわらず、主制御部10と演出制御部203との間のセキュリティレベルを維持することができる。
【0205】
例えば、主制御部10を構成するCPU10aの処理能力や主制御部10を構成するROM10bの記憶容量が演出制御部203を構成するCPU203aの処理能力や演出制御部203を構成するROM203bの記憶容量と比較して余裕がある場合、主制御部10は各検査値に対して複雑又は高度な暗号化処理を施して得られた認証データ303を後段部20に送信し、後段部20は受信した上記認証データ303から得られた各検査値を用いて主制御部10を認証した認証結果に対して比較的簡易又は低度な暗号化処理を施して得られた認証成功信号又は認証不成功信号(以下、認証成功信号等という)を演出制御部203に送信する。そして、演出制御部203で認証成功信号等から得られた認証結果に応じた処理を行う。このように構成することにより、複雑又は高度な認証方式を採用しなくても、比較的簡易な認証方式を採用した認証処理を行えば、主制御部10と後段部20との間及び後段部20と演出制御部203との間において、高度のセキュリティレベルを維持することができる。
【0206】
また、演出制御部203を構成するCPU203aの処理能力や演出制御部203を構成するROM203bの記憶容量が主制御部10を構成するCPU10aの処理能力や主制御部10を構成するROM10bの記憶容量と比較して余裕がある場合、主制御部10は各検査値をそれぞれ認証データ303としてそのままあるいは比較的簡易又は低度な暗号化処理を施して得られた認証データ303を後段部20に送信し、後段部20は受信した上記認証データ303から得られた各検査値を用いて主制御部10を認証した認証結果に対して複雑又は高度な再暗号化処理を施して得られた認証成功信号等を演出制御部203に送信する。そして演出制御部203で認証成功信号等から得られた認証結果に応じた処理を行う。このように構成することにより、複雑又は高度な認証方式を採用しなくても、比較的簡易な認証方式を採用した認証処理を行えば、主制御部10と後段部20との間及び後段部20と演出制御部203との間において、可能な限りセキュリティレベルを維持することができる。
【0207】
このようなことは、主制御部10及び演出制御部203をそれぞれ構成するCPU10a及び203aの処理能力やROM10b及び203bの記憶容量における余裕に差異がある場合だけでなく、このような差異はないが、主制御部10を構成するCPU10a又は演出制御部203を構成するCPU203aがそれぞれ実行するプログラムの一方の全部又は一部が変更された場合(バージョンアップなど)や、各検査値のデータ構造等において、主制御部10と演出制御部203との間で形式的な差異が発生した場合についても同様に当てはまる。
【0208】
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2に係るパチンコ遊技機について説明する。本実施の形態2のパチンコ遊技機は、主制御部10においてROM10bに予め記憶されている所定のデータを分割する方法が、実施の形態1のパチンコ遊技機と異なる。これ以外の点は、基本的に実施の形態1のパチンコ遊技機と同様である。以下、実施の形態1のパチンコ遊技機と同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明は省略し、異なる点について重点的に説明する。
【0209】
以下、主制御部10における所定のデータの分割方法について詳細に説明する。
主制御部10は、検査値生成の対象となる各データブロックを構成するデータの量(以下、データ量という)を決定する。データ量の決定方法は、例えば、乱数生成回路(図示略)や上記プログラムコードを構成する乱数生成プログラムによって生成された値をデータ量とする方法であったり、主制御部10の他の処理において生成される値を所定のタイミングで参照し、その値をデータ量としたりする方法が考えられる。主制御部10は、例えば、ROM10bに記憶されている所定のプログラムコードの全てを用いて検査値を生成するまで、データ量を決定する。上記データ量を決定する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す決定手段12に対応させることができる。
【0210】
次に、主制御部10は、ROM10b内の所定のプログラムコードを、決定手段12で決定したデータ量で分割する。そして、主制御部10は、各データブロック毎に半群演算を行って、主制御部10を認証するための分割したデータブロック数分の検査値を生成する。すなわち、本実施の形態2では、分割して得られたデータブロックの数が分割数になる。
【0211】
主制御部10は、例えば、1つの検査値を生成するごとに、その生成に用いるデータ量を決定する。この場合、主制御部10は、ROM10bの所定領域内の全てのプログラムコードを用いた検査値の生成が完了するまで、データ量の決定と検査値の生成とを繰り返す。このため、本実施の形態2では、いくつの検査値が生成されるか(すなわち、分割数がいくつになるか)は、ROM10bの所定領域内の全てのプログラムコードを用いた検査値の生成が完了するまでわからない。
【0212】
なお、1つの検査値を生成するごとにデータ量を決定するのではなく、予め検査値の生成に用いるデータ量を決定しておいてもよい。また、全ての検査値の生成に用いるデータ量を等しくするようにしてもよい。この場合、データ量を決定した時点で分割数が予測可能となる。
【0213】
(検査値生成の計算例)
半群演算として加算を用いる方式Aにより検査値を生成する一例を図4を用いて説明する。図4に示すプログラムコード記憶領域400には、12個のプログラムコード(「0x01」〜「0x09」,「0x0A」〜「0x0C」、1つのプログラムコードのデータ量は1バイト)が記憶されている。
まず、1つ目の検査値の生成に用いるデータ量を4バイトと決定した場合、プログラムコード記憶領域400に記憶されたプログラムコードから、4バイト分のプログラムコード(「0x01」,「0x02」,「0x03」,「0x04」)を分割し、第1ブロック400aとする。次に、第1ブロック400aに記憶されたプログラムコード「0x01」,「0x02」,「0x03」,「0x04」を加算して第1検査値「0x0A」が得られる。
【0214】
続いて、2つ目の検査値の生成に用いるデータ量を3バイトと決定した場合、プログラムコード記憶領域400に記憶されたプログラムコードのうち第1ブロック400aに記憶されたプログラムコードを除いたプログラムコードから、3バイト分のプログラムコード(「0x05」,「0x06」,「0x07」)を分割し、第2ブロック400bとする。次に、第2ブロック400bに記憶されたプログラムコード「0x05」,「0x06」,「0x07」を加算して第2検査値「0x12」が得られる。
【0215】
続いて、3つ目の検査値の生成に用いるデータ量を7バイトと決定した場合、プログラムコード記憶領域400に記憶されたプログラムコードのうち第1ブロック400a及び第2ブロック400bに記憶されたプログラムコードを除いたプログラムコードは、5バイト分しかないので、5バイト分(「0x08」,「0x09」,「0x0A」,「0x0B」,「0x0C」)のプログラムコードを第3ブロック400cとする。次に第3ブロック400cに記憶されたプログラムコード「0x08」,「0x09」,「0x0A」,「0x0B」,「0x0C」を加算して第3検査値「0x32」が得られる。主制御部は、プログラムコード記憶領域400に記憶された12個のプログラムコード全てを用いて検査値を生成したので検査値の生成を終了する。
【0216】
以下、主制御部における認証に関する処理について説明する。図16は、主制御部による認証に関する処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートでは、検査値を生成するごとに、データ量を決定する場合の処理について説明する。また、図16では、検査値生成時に所定のプログラムコードを分割して得られたデータブロックの数、すなわち分割数がNの場合、当該認証データの送信後N回目の認証成功後、認証データの生成及び送信を行った後に補正データを送信する場合の処理を示している。
【0217】
まず、主制御部10は補正データの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS151)。具体的には、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域を参照して、補正タイミング情報の値が0であるか否かを判断する。RAM10c内の補正タイミング情報の値が0の場合、すなわち、補正データの送信タイミングの場合(ステップS151:YES)、主制御部10は、補正値を算出して補正データを生成し(ステップS152)、演出制御部203を介して後段部20に補正データ付制御信号を送信する(ステップS153)。そして、RAM10c内の補正タイミング情報をクリアして(ステップS154)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0218】
一方、ステップS151にて、RAM10c内の補正タイミング情報の値が0でない場合、すなわち、補正データの送信タイミングではない場合(ステップ151:NO)、主制御部10は、認証データの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS152)。認証データの送信タイミングの場合(ステップS155:YES)、主制御部10は、検査値生成に際して所定のプログラムコードの分割に用いるデータ量を決定する(ステップS156)。データ量の決定方法は任意である。また、データ量は認証データの送信タイミングとなる前に決定されてもよい。
【0219】
次に、主制御部10は、例えば、ROM10b内のプログラムコード記憶領域400の先頭から、ステップS156で決定したデータ量のプログラムコードを読み出し、半群演算を行って検査値を算出し(ステップS157)、検査値に対して暗号化処理を施して認証データを生成する(ステップS158)。また、検査値の生成方法(生成に用いる演算の種類など)は、予めに決定されている。
【0220】
続いて、主制御部10は、生成した認証データを含む認証データ付制御信号を演出制御部203を介して後段部20に送信する(ステップS159)。プログラムコード記憶領域400内の全てのプログラムコードを用いて検査値を生成するまで(ステップS160:NO)、主制御部10は、所定の制御コマンドの送信タイミングであるか否かに関わらず、必ずステップS156に戻り、次のデータ量を決定し、以降の処理を繰り返す。ここで、「プログラムコード記憶領域400内の全てのプログラムコードを用いて」とは、プログラムコード記憶領域400内のプログラムコードをもれなく、かつ重複なく用いて、という意味である。2つ目以降の検査値を生成する場合、主制御部10は、例えば、前の検査値生成に用いたプログラムコードの次の領域に書き込まれたプログラムコードを、ステップS156で決定したデータ量だけ読み出して検査値を生成する。なお、最後の検査値を生成する際は、ステップS156で決定したデータ量に足りない可能性があるが、主制御部10は、取得できる分のプログラムコードのみを用いて検査値を生成する。主制御部10では、プログラムコード記憶領域400内の全てのプログラムコードを用いて検査値を生成すると(ステップS160:YES)、生成した検査値の数、すなわちプログラムコードをデータ量で分割して得られたデータブロックの数が判明し、今回の分割数が判明する。
【0221】
ここで、認証データを付加する制御コマンドは特に制限されず任意の制御コマンドでよい。また、認証データ付制御信号は連続して送信してもよいし、通常の制御信号に混ぜて送信してもよい。また、認証データを生成した直後に送信するのではなく、全ての認証データを生成した後(すなわち、プログラムコード記憶領域400内の全てのプログラムコードを用いて認証データを生成した後)に、認証データの送信を開始してもよい。
【0222】
次に、主制御部10は、次回の補正タイミングが決定しているか否かを判断する(ステップS161)。次回の補正タイミングが決定しているかとは、具体的には、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に、補正タイミング情報の値が記憶されているか(クリアされていないか)否かということである。RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に補正タイミング情報の値が記憶されている場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定している場合(ステップS161:YES)、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報の値をマイナス1して(ステップS162)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0223】
一方、ステップS161で、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に、補正タイミング情報の値が記憶されていない場合、すなわち、次回の補正タイミングが決定していない場合(ステップS161:NO)、主制御部10は、分割数に基づいて補正タイミングを決定する(ステップS163)。具体的には、次回以降で認証成功回数が分割数と等しくなるまでは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとして、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に分割数を記憶させ、本フローチャートによる処理を終了する。
また、ステップS155において、認証データの送信タイミングでない場合(ステップS155:NO)、主制御部10は、通常の制御信号を送信し(ステップS164)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0224】
後段部20及び演出制御部203における認証に関する処理は実施の形態1と同様である。後段部20は、演出制御部203を介して主制御部10から送信された認証データ付制御信号から認証データを抽出し、認証データを用いて認証処理を行い、認証不成功の場合に認証不成功信号を生成して演出制御部203に送信する。また、期待値の変更が必要な場合には、演出制御部203を介して送信された補正データ付制御信号から補正データを抽出し、補正データを用いて補正処理を行う。演出制御部203は、後段部20から認証不成功信号を受信した場合、制御コマンドに基づく処理を中断するとともに報知信号を送信する。
【0225】
次に、図16及び図13に示す処理のうち、期待値に対する補正処理の補正タイミングの具体例について説明する。図17は、主制御部10(被認証者)及び後段部20(認証者)がそれぞれ実行する処理の相互関係の一例を示す処理シーケンスである。図17では、説明の便宜上、検査値の生成に用いるデータ量を一括して決定するように表記しているが、図16のフローチャートのように、検査値を生成するごとにデータ量を決定してもよい。また、図17では、図16及び図13と同様に、検査値生成時に所定のプログラムコードを分割して得られたデータブロックの数、すなわち分割数がNの場合、当該認証データの送信後N回目の認証成功後、認証データの生成及び送信を行った後に補正データを送信する場合の処理を示している。なお、本実施の形態2では、後段部20は、主制御部10が送信した認証データを周辺部30(演出制御部203)を介して受信するが、図17のシーケンス図では説明簡略化のために周辺部30の処理の記載を省略している。
【0226】
まず、主制御部10は、ステップS171の処理へ進み、任意の方法で今回の認証処理でのデータ量を決定する。例えば、全データ量が12バイトあり、検査値の生成に用いるデータ量を、それぞれ7バイト、5バイトとすると、2つの検査値を生成することになり、分割数=2となる(ステップS171)。ステップS172では、主制御部10は、所定のプログラムコードが予め記憶されているROM10bのプログラムコード記憶領域400の先頭から順に、7バイト、5バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて2つの検査値を算出し、さらに暗号化処理を施して2つの認証データを生成する(ステップS172)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む2つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS173)。
【0227】
その後、主制御部10は、RAM10c内の補正タイミング情報記憶領域に値がない(クリアされている)ため、分割数に基づいて補正データの送信タイミングを決定する(ステップS174)。この場合、分割数が2であるため、今回の認証データ付制御信号の送信後、次回以降で認証成功回数が2回までは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=2とする。
【0228】
続いて、後段部20における処理について説明する。後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信する(ステップS175)。そして、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理を行う(ステップS176)。結合結果がROM20b内の期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS177)。今回の場合は、2つの検査値を用いて結合処理を行った際に期待値と一致するはずである(結合数=2)。
【0229】
その後、後段部20は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、結合数に基づいて期待値の補正タイミングを決定する(ステップS178)。この場合、結合数が2であるため、今回の認証処理後、次回以降で認証成功回数が2回までは受信したデータに対して結合処理を行い、その次の回では受信したデータを用いてROM20b内に記憶されている期待値に対して補正処理を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=2とする。
【0230】
2回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で今回の認証処理でのデータ量を決定する。例えば、検査値の生成に用いるデータ量を、それぞれ2バイト、3バイト、2バイト、3バイト、2バイトとすると、5つの検査値を生成することになり、分割数=5となる(ステップS179)。主制御部10は、プログラムコード記憶領域400の先頭から順に2バイト、3バイト、2バイト、3バイト、2バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて5つの検査値を算出し、さらに暗号化処理をおこなって5つの認証データを生成する(ステップS180)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む5つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS181)。認証データの送信が終了すると、主制御部201は補正タイミング情報を1(2−1=1)とする。
【0231】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS182)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS183)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS184)。認証が成功すると、後段部20は補正タイミング情報を1とする(2−1=1)。
【0232】
3回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で今回の認証処理でのデータ量を決定する。例えば、検査値の生成に用いるデータ量を、それぞれ3バイト、4バイト、5バイトとすると、3つの検査値を生成することになり、分割数=3となる(ステップS185)。主制御部10は、プログラムコード記憶領域400の先頭から順に3バイト、4バイト、5バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて3つの検査値を算出し、さらに暗号化処理をおこなって3つの認証データを生成する(ステップS186)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む3つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS187)。認証データの送信が終了すると、主制御部10は補正タイミング情報を0(1−1=0)とする。
【0233】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS188)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS189)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS190)。認証が成功すると、後段部20は補正タイミング情報を0とする(1−0=0)。
【0234】
このように、1回目の認証処理後、2回の認証処理が成功すると、主制御部10は、補正タイミング情報=0であるため、補正データを生成し(ステップS191)、後段部20に対して補正データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS192)。なお、補正データ付制御信号と認証データ付制御信号とは、見かけ上区別することができない。この後、主制御部10は、補正タイミング情報をクリアする(ステップS193)。
【0235】
後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された補正データ付制御信号を受信すると(ステップS194)、補正タイミング情報=0であるため、受信した制御信号に含まれる補正データを用いて補正処理を行い、期待値を補正する(ステップS195)。この後、後段部20は補正タイミング情報をクリアする(ステップS196)。
【0236】
4回目の認証処理の説明に移り、主制御部10は、再び任意の方法で今回の認証処理でのデータ量を決定する。例えば、検査値の生成に用いるデータ量を、それぞれ2バイト、2バイト、2バイト、2バイト、2バイト、2バイトとすると、6つの検査値を生成することになり、分割数=6となる(ステップS197)。主制御部10は、プログラムコード記憶領域400の先頭から順に2バイト、2バイト、2バイト、2バイト、2バイト、2バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて6つの検査値を算出し、さらに暗号化処理をおこなって6つの認証データを生成する(ステップS198)。そして、後段部20に対してそれぞれの認証データを含む6つの認証データ付制御信号を演出制御部203を介して送信する(ステップS199)。
【0237】
その後、主制御部10は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、分割数に基づいて補正データの送信タイミングを決定する(ステップS200)。この場合、分割数が6であるため、今回の認証データ付制御信号の送信後、次回以降で認証成功回数が6回までは認証処理を行うための認証データの生成及び送信を行い、その次の回では補正処理を行うための補正データの生成及び送信を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=6とする。
【0238】
続いて、後段部20は、主制御部10から演出制御部203を介して送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS201)、認証データ付制御信号内の認証データに復号化処理を施して検査値を取得し、結合処理をおこなう(ステップS202)。結合結果が期待値と一致すると、後段部20は主制御部10に対する認証が成功であったと判断する(ステップS203)。
【0239】
その後、後段部20は、補正タイミング情報に値がない(クリアされている)ため、結合数に基づいて期待値の補正タイミングを決定する(ステップS204)。この場合、結合数が6であるため、今回の認証処理後、次回以降で認証成功回数が6回までは受信したデータに対して結合処理を行い、その次の回では受信したデータを用いてROM20b内に記憶されている期待値に対して補正処理を行うものとする。すなわち、補正タイミング情報=6とする。
【0240】
以上説明したように、本実施の形態2にかかるパチンコ遊技機は、主制御部において、分割数そのものを決定するのではなく、認証データの生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。本実施の形態2においては、本実施の形態1により得られる効果も当然に得られる。
【0241】
<実施の形態3>
上記実施の形態1,2では、後段部20と演出制御部203とは別個のハードウェア構成とする例を示したが、これに限定されない。
例えば、実施の形態1に関していえば、後段部20を構成するCPU20aが有する機能と演出制御部203を構成するCPU203aが有する機能を1個のCPUが有するように構成するとともに、後段部20を構成するROM20bに記憶されているプログラムコードやそれ以外の固定データと演出制御部203を構成するROM203bに記憶されているプログラムコードやそれ以外の固定データを1個のROMに記憶するように構成してもよい。この場合、後段部20と演出制御部203との間におけるデータや認証データ付制御信号等の送信及び受信は、例えば、後段部20を構成するRAM20cのワークエリアとして機能するとともに、演出制御部203を構成するRAM203cのワークエリアとして機能する1個のRAMにおいて、ある記憶領域から他の記憶領域へのデータの複写や参照すべきアドレスの書き換えなどにより実現することができる。
【0242】
但し、上記のような場合、1個のCPUが2個のCPUの機能を備えることになるので、一般的には処理負荷が増大する。そこで、例えば、デュアルCPUの構成により後段部20の処理を行う、などが考えられる。
【0243】
本実施の形態3のパチンコ遊技機は後段部と演出制御部とを1個のソフトウェアで構成したので、実施の形態1及び2において得られる効果の他に、さらに以下に示す効果が得られる。
【0244】
1.並行開発及び情報セキュリティ向上
演出制御部と後段部とがソフトウェア構成上分離独立している場合は、演出制御部及び後段部をそれぞれ並行して個別に開発することが可能であり、これにより、例えば、以下に示す効果が得られる。
【0245】
[1]演出制御部と後段部とについて同時に設計、開発を行うことができるため、並行開発できない場合と比較して、製品の開発期間を短縮することができる。
[2]演出制御部と後段部とについてそれぞれ独立した開発体制をとることができるため、演出制御部と後段部の設計製造検証を行う際の業務上の機密情報(例えば、認証処理の方式など、遊技に関する処理など)を、それぞれの開発体制外に流出させる可能性を減らすことができる。
【0246】
2.認証機能の導入容易性及び他の機種へ移植容易性
後段部の認証処理は既存の遊技処理と独立しているため、後段部の認証処理と既存の遊技処理との間の認証情報の送信は、既存の遊技処理のために設けられているインターフェイスを用いて行うことができる。したがって、認証機能を導入することが容易になる。
【0247】
また、遊技機の新機種を設計開発検証する際に、遊技機の新機種の機能と以前の機種の機能との差異が後段部の実装とは余り関連しない可能性が高い。したがって、後段部に関して以前の機種から新機種への移行を行う際に、設計変更が軽微なもので済む可能性が高い。
【0248】
3.検証の容易性
演出制御部と後段部とがソフトウェア構成上分離独立している場合は、演出制御部及び後段部に対しそれぞれ個別に検証を行うことが可能である。したがって、演出制御部と後段部とが分離されていないものに対する検証を行う場合と比較し、それぞれの機能が狭い機能で閉じているため、短期間かつ少人数で検証を行うことができる。
【0249】
4.認証方式の変更容易性
認証方式を変更したり、認証アルゴリズムをバージョンアップしたりする場合、主制御部及び後段部だけで変更又はバージョンアップを図ればよく、演出制御部の認証に関する処理を変更しなくて済む。
【0250】
5.認証用のハードウェアとして、演出制御部とは別個のCPU又は専用集積回路などを設けることができない場合であっても、ソフトウェアで容易に認証機能を追加することができる。
【0251】
6.演出制御部の処理負荷軽減
後段部に実装する認証機能を演出制御部のソフトウェアで実装する場合、演出制御部の既存の遊技処理に認証機能を追加することにより、演出制御部の処理負荷が増大することになる。そこで、演出制御部を構成するCPUとしてデュアルコアCPUを用いることが考えられる。認証処理を実現するための処理負荷をデュアルコアCPUを利用することによって、処理の分散を図ることが可能になるため、演出制御部の既存の遊技処理をできる限り影響しないように、認証機能を追加することができ、認証機能の実現が容易になる。
【0252】
<その他の実施の形態>
本発明の具体的な構成は上記各実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施の形態1では、演出制御部203の後段に後段部20を設ける例を示したが、これに限定されず、賞球制御部204の後段に後段部20を設けてもよい。この場合、賞球制御部204は報知手段を備えていないが、主制御部10と賞球制御部204との間は双方向通信が可能であるので、認証が不成功となった場合には、賞球制御部204から主制御部10に対して、制御コマンドデータ301及び付随データ302とともに認証が不成功となった旨のデータを送信するように構成してもよい。そして、主制御部10は、上記不成功となった旨のデータを演出制御部203に送信し、演出制御部203において、不成功となった旨のデータに基づいて、不正行為が行われたことを報知させる。
また、上記各実施の形態では、後段部20をCPU、ROM、RAM等を備えて構成しているが、同様の機能を持たせたLSI等の集積回路として実現するようにしてもよい。
【0253】
また、上記各実施の形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用する例を示したが、これに限定されず、本発明は、雀球遊技機、アレンジボール等のパチンコ遊技機以外の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの他の遊技機にも適用することができる。これらの遊技機においても、上記各実施の形態と同様に構成することにより、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。
【符号の説明】
【0254】
1 パチンコ遊技機
10 主制御部
10a,20a,203a,204a CPU
10b,20b,203b,204b ROM
10c,20c,203c,204c RAM
11 データ記憶手段
12 決定手段
13 検査値生成手段
14 補正値生成手段
20 後段部
21 演算値記憶手段
22 認証手段
23 補正手段
203 演出制御部
203d VRAM
204 賞球制御部
301 制御コマンドデータ
302 付随データ
303 認証データ
304 補正データ
310,312,313 認証データ付制御信号
311 補正データ付制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御コマンドを出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機であって、
前記主制御部は、
所定のデータが記憶されているデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成する検査値生成手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを用いて前記一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成する補正値生成手段とを備え、
前記複数の検査値と前記補正値とを所定の制御コマンドに付加して前記周辺部に送信し、
前記周辺部は、
前記所定の制御コマンドに基づいて所定の処理を行うとともに、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値と前記補正値とを前記後段部に送信し、
前記後段部は、
前記演算値が記憶されている演算値記憶手段と、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて前記演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する補正手段と、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正手段により補正された後の演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証する認証手段とを備え、
前記認証手段が得た認証結果を前記周辺部に送信する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記認証手段は、前記補正手段により前記演算値が補正される前は、前記演算結果と補正前の前記演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記主制御部は、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部は、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/又は前記補正を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記主制御部は、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割する分割数を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記検査値生成手段は、前記分割数に基づいて、前記複数の2項演算の中から次回の前記検査値の生成に用いる2項演算を選択し、
前記認証手段は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記複数の2項演算から次回の前記認証に用いる2項演算を選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記主制御部は、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部は、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/また前記補正を行う
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記主制御部は、前記分割数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の暗号化方式を変更し、
前記後段部は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記主制御部は、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割するデータ量を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項9】
前記検査値生成手段は、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記複数の2項演算の中から次回の前記検査値の生成に用いる2項演算を選択し、
前記認証手段は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記複数の2項演算から次回の前記認証に用いる2項演算を選択する
ことを特徴とする請求項8に記載の遊技機。
【請求項10】
前記主制御部は、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部は、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/又は前記補正を行う
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の遊技機。
【請求項11】
前記主制御部は、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の暗号化方式を変更し、
前記後段部は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項10に記載の遊技機。
【請求項12】
前記検査値生成手段は、前記検査値が付加される前記制御コマンドを示すデータ又は該データの付随データの少なくともいずれか一方のデータと、前記検査値及び/又は前記補正値とを併せたデータを暗号化することを特徴とする請求項3、6、7、10又は11のいずれかに記載の遊技機。
【請求項13】
前記補正値生成手段は、前記分割数に基づいて、前記補正値を前記周辺部を介して前記後段部に送信する次回のタイミングを決定し、
前記補正手段は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記演算値を補正する次回のタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の遊技機。
【請求項14】
前記補正値生成手段は、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記補正値を前記周辺部を介して前記後段部に送信する次回のタイミングを決定し、
前記補正手段は、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記演算値を補正する次回のタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の遊技機。
【請求項15】
前記補正値生成手段は、
前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータの変更又は置換、
前記結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算の変更又は置換、
前記データ記憶手段の変更又は置換、
の少なくとも一つが生じた場合に、前記補正値を生成し、
前記補正手段は、前記補正値を用いて前記演算値を補正する
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の遊技機。
【請求項16】
前記補正値生成手段は、前記演算値と、前記変更又は前記置換後に前記データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値との差分を、前記補正値として生成することを特徴とする請求項15に記載の遊技機。
【請求項17】
前記所定のデータは、前記主制御部が実行する処理を表す所定のプログラムコードを含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の遊技機。
【請求項18】
前記所定の制御コマンドは、
大当たり中の各ラウンドに対応する大当たりコマンド、
大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、
大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、
前記周辺部に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、
前記周辺部に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、
前記周辺部に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、
小当たり中の各ラウンドに対応する小当たりコマンドのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の遊技機。
【請求項19】
前記周辺部は、前記認証結果が前記主制御部の認証不成功を示す場合には、その旨を報知する報知信号を出力することを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の遊技機。
【請求項20】
周辺部を介して接続された後段部によって認証され、前記周辺部に所定の処理を行わせるための制御コマンドを送信する遊技機の主制御部であって、
所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成する検査値生成手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを用いて前記一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成する補正値生成手段とを備え、
前記複数の検査値と前記補正値とを所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する
ことを特徴とする主制御部。
【請求項21】
請求項20に記載の主制御部が搭載されていることを特徴とする遊技機の主制御基板。
【請求項22】
主制御部と周辺部とを備えた遊技機に設けられた後段部であって、
前記主制御部に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値が記憶されている演算値記憶手段と、
前記演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正するための補正値が所定の制御コマンドに付加されて前記周辺部を介して送信された場合に、前記補正値を用いて前記演算値を補正する補正手段と、
前記主制御部で前記所定のデータを分割した各データを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って生成された複数の検査値が所定の制御コマンドに付加されて前記周辺部を介して送信された場合に、前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正手段により補正された後の演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証する認証手段とを備え、
前記認証手段が得た認証結果を前記周辺部に送信する
ことを特徴とする後段部。
【請求項23】
前記認証手段は、前記補正手段により前記演算値が補正される前は、前記演算結果と補正前の前記演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証することを特徴とする請求項22に記載の後段部。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の後段部及び前記周辺部が搭載されていることを特徴とする遊技機の周辺基板。
【請求項25】
主制御部と、周辺部と、後段部とを備える遊技機で用いられる認証方法であって、
前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、
前記主制御部が、データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成し、前記補正値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する第1のステップと、
前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する第2のステップと
前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、
前記主制御部が、前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて前記一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成し、前記複数の検査値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する第3のステップと、
前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正により補正された後の演算値とが、一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証し、得られた認証結果を前記周辺部に送信する第4のステップと
を有することを特徴とする認証方法。
【請求項26】
前記第4のステップにおける前記主制御部の認証は、前記第2のステップにより前記演算値が補正される前は、前記演算結果と補正前の前記演算値とが一致するか否かに基づいて行われることを特徴とする請求項25に記載の認証方法。
【請求項27】
前記主制御部が、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部が、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/又は前記補正を行う
ことを特徴とする請求項25又は26に記載の認証方法。
【請求項28】
前記主制御部が、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割する分割数を決定し、前記所定のデータを前記分割数に分割することを特徴とする請求項25又は26に記載の認証方法。
【請求項29】
前記主制御部が、前記分割数に基づいて、前記複数の2項演算の中から次回の前記検査値の生成に用いる2項演算を選択し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記複数の2項演算から次回の前記認証に用いる2項演算を選択する
ことを特徴とする請求項28に記載の認証方法。
【請求項30】
前記主制御部が、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部が、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/又は前記補正を行う
ことを特徴とする請求項28又は29に記載の認証方法。
【請求項31】
前記主制御部が、前記分割数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の暗号化方式を変更し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項30に記載の認証方法。
【請求項32】
前記主制御部が、前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータを分割するデータ量を決定し、前記所定のデータを前記データ量に分割することを特徴とする請求項25又は26に記載の認証方法。
【請求項33】
前記主制御部が、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記複数の2項演算の中から次回の前記検査値の生成に用いる2項演算を選択し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記複数の2項演算から次回の前記認証に用いる2項演算を選択する
ことを特徴とする請求項32に記載の認証方法。
【請求項34】
前記主制御部が、前記検査値及び/又は前記補正値を所定の暗号化方式で暗号化し、
前記後段部が、前記主制御部で暗号化された前記検査値及び/又は前記補正値を前記所定の暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記認証及び/又は前記補正を行う
ことを特徴とする請求項32又は33に記載の認証方法。
【請求項35】
前記主制御部が、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の暗号化方式を変更し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記検査値及び/又は前記補正値の復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項34に記載の認証方法。
【請求項36】
前記主制御部が、前記検査値及び/又は前記補正値が付加される前記制御コマンドを示すデータ又は該データの付随データの少なくともいずれか一方のデータと、前記検査値及び/又は前記補正値とを併せたデータを暗号化することを特徴とする請求項27、30、31、34又は35のいずれかに記載の認証方法。
【請求項37】
前記主制御部が、前記分割数に基づいて、前記補正値を前記周辺部を介して前記後段部に送信する次回のタイミングを決定し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記演算値を補正する次回のタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項28乃至31のいずれかに記載の認証方法。
【請求項38】
前記主制御部が、前記認証の対象とされた前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記補正値を前記周辺部を介して前記後段部に送信する次回のタイミングを決定し、
前記後段部が、前記主制御部に対する前記認証が成功した際に前記選択した2項演算の対象となった前記検査値の数に基づいて、前記演算値を補正する次回のタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項32乃至35のいずれかに記載の認証方法。
【請求項39】
前記第1のステップは、前記主制御部において、
前記データ記憶手段に記憶されている前記所定のデータの変更又は置換、
前記結合法則を満たす一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算の変更又は置換、
前記データ記憶手段の変更又は置換、
の少なくとも一つが生じた場合に、前記補正値を生成し、
前記第2のステップは、前記補正値を用いて前記演算値を補正する
ことを特徴とする請求項25乃至38のいずれかに記載の認証方法。
【請求項40】
前記主制御部が、前記演算値と、前記変更又は前記置換後に前記データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値との差分を、前記補正値として生成する
ことを特徴とする請求項39に記載の認証方法。
【請求項41】
前記所定のデータは、前記主制御部が実行する処理を表す所定のプログラムコードを含むことを特徴とする請求項25乃至40のいずれかに記載の認証方法。
【請求項42】
前記所定の制御コマンドは、
大当たり中の各ラウンドに対応する大当たりコマンド、
大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、
大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、
前記周辺部に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、
前記周辺部に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、
前記周辺部に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、
小当たり中の各ラウンドに対応する小当たりコマンドのいずれかであることを特徴とする請求項25乃至41のいずれかに記載の認証方法。
【請求項43】
前記周辺部が、前記認証結果が前記主制御部の認証不成功を示す場合には、その旨を報知する報知信号を出力する第5のステップをさらに有することを特徴とする請求項25乃至42のいずれかに記載の認証方法。
【請求項44】
制御コマンドを出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に搭載されるコンピュータに、
前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、
前記主制御部が、データ記憶手段に記憶されている所定のデータを用いて結合法則を満たす一又は複数の2項演算をそれぞれ行って得られた演算値を補正するための補正値を生成し、前記補正値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する補正値生成機能と、
前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記補正値を用いて演算値記憶手段に記憶されている前記演算値を補正する補正機能と、
前記主制御部が出力する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合に、
前記主制御部が、前記所定のデータを分割し、分割された各データを用いて前記一又は複数の2項演算の中の1個の2項演算を行って複数の検査値を生成し、前記複数の検査値を所定の制御コマンドに付加して前記周辺部を介して前記後段部に送信する検査値生成機能と、
前記後段部が、前記所定の制御コマンドに付加された前記複数の検査値を用いて前記主制御部と同じ2項演算に対応する2項演算を行い、この演算結果と、前記補正により補正された後の演算値とが、一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証し、得られた認証結果を前記周辺部に送信する認証機能と
を実現させるためのコンピュータ読み取り可能な認証プログラム。
【請求項45】
前記認証機能は、前記補正機能により前記演算値が補正される前は、前記演算結果と補正前の前記演算値とが一致するか否かに基づいて前記主制御部を認証することを特徴とする請求項44に記載の認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−110364(P2011−110364A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272020(P2009−272020)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【出願人】(300023383)株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ (376)
【Fターム(参考)】