遊技機における遊技盤の互換防止構造
【課題】遊技盤に取り付けた互換防止部材が脱落することを防止する。
【解決手段】中枠Bに設けた遊技盤保持部14に、該中枠Bの種別毎に固有の形状をなす識別部55が形成される。遊技盤保持部14における識別部55の形成位置に対応して被識別部79が形成された互換防止部材70が、遊技盤Dに設けた装着部60に対して、該遊技盤Dと設置部材40とで挟まれた状態で配設される。互換防止部材70は、該互換防止部材70に設けた固定板部81を挿通した固定ネジ82を遊技盤Dの裏面にねじ込んで締結することで、該遊技盤Dに脱落不能に固定される。
【解決手段】中枠Bに設けた遊技盤保持部14に、該中枠Bの種別毎に固有の形状をなす識別部55が形成される。遊技盤保持部14における識別部55の形成位置に対応して被識別部79が形成された互換防止部材70が、遊技盤Dに設けた装着部60に対して、該遊技盤Dと設置部材40とで挟まれた状態で配設される。互換防止部材70は、該互換防止部材70に設けた固定板部81を挿通した固定ネジ82を遊技盤Dの裏面にねじ込んで締結することで、該遊技盤Dに脱落不能に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤の裏面に、各種遊技部品を取り付けた設置部材が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材に前記遊技盤を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等に代表される遊技機は、機体を構成する枠部材(中枠)と、該中枠に設けられた遊技盤保持部に取り付けられる遊技盤とを備えている。前記遊技盤は、合板(ベニヤ)製や合成樹脂等から略矩形に形成された板状部材であり、その前面に遊技領域が設けられると共に、その裏面に各種遊技部品が取り付けられる設置部材が着脱可能に配設されている。前記遊技領域内には、該遊技領域内を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置、特別入賞装置、球案内部材および釘等が配設されている。前記設置部材には、遊技盤に形成された開口を介して該遊技盤の前側から視認可能な図柄表示装置や、演出装置および発光装置等の電子部品等が取り付けられている。
【0003】
このようなパチンコ機にあっては、前記遊技盤および中枠(これらに組み付けられる部品・装置を含む。以下同じ)が一定の組合わせで使用されることを前提として、パチンコ機全体が所定基準に適合するかにつき公的機関により検査され、この検査に合格したパチンコ機を遊技に供することが求められている。従って、遊技盤や中枠の個々が所定基準に適合するとしても、検査対象とは異なる組合わせの遊技盤と中枠とを組み付けたパチンコ機は全体として正式な検査を受けていないことから、このようなパチンコ機が遊技に供されるのは好ましくない。そこで、遊技盤を特定の中枠にのみ設置し得るよう構成する技術が提案されており、該技術として例えば特許文献1に開示されるものが知られている。すなわち、特許文献1に記載のパチンコ機では、遊技盤側に嵌合突部または嵌合凹部からなる被識別部を形成すると共に、中枠側には遊技盤に形成した被識別部と一致して嵌合可能な嵌合凹部または嵌合突部からなる識別部を形成して、遊技盤の被識別部と中枠の識別部とが一致する場合にのみに該遊技盤を該中枠に取り付け得るようにして、遊技盤の互換防止が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−184717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の遊技機では、遊技盤や中枠に被識別部または識別部を直接形成する形態となっており、複数種の遊技機がある場合には各遊技機毎に識別部および被識別部の形態(形状)が異なる専用の遊技盤および中枠を設計、製作することとなり、製造コストが嵩む問題がある。また、中枠の基本構成をそのままに外観上のデザインを若干変更する等の所謂マイナーチェンジの場合であっても、マイナーチェンジ前の遊技盤とマイナーチェンジ後の遊技盤との互換性をなくすためには、遊技盤の被識別部および中枠の識別部の形態を各々変更する必要があり、遊技盤および中枠を新たに設計、製作することとなって製造コストが嵩んでしまう。
【0006】
そこで、遊技盤の主要部分を各機種毎に共通とすると共に、遊技盤とは別体に構成されて前記被識別部が形成された互換防止部材を別途準備して、該互換防止部材を遊技盤および設置部材で挟んで固定保持することが提案される。しかしながら、例えば遊技機が遊技店に納入された後に、設置部材に配設した前記遊技部品のメンテナンスや修理等を実施するに際して該設置部材を遊技盤の裏面から取外すと、互換防止部材に対する挟持が解除されて、該互換防止部材が遊技盤から脱落する不都合が発生してしまう。しかも、作業者が互換防止部材の脱落に気付かない等、互換防止部材の再取付けを失念した場合には、当該遊技盤を別の遊技機の中枠に組み付けることが可能となり、互換防止が適切に図られない問題が発生する。
【0007】
そこで本発明は、前述した課題を解決するために案出されたものであって、遊技盤の裏面に配設した設置部材を該遊技盤から取外しても、遊技盤に取り付けた互換防止部材が該遊技盤から脱落することを防止した遊技機における遊技盤の互換防止構造を提供することを目的とする。
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明では、
遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤(D)の裏面に、各種遊技部品が取り付けられた設置部材(40)が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材(B)に形成された遊技盤保持部(14)に前記遊技盤(D)を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造であって、
前記枠部材(B)には、前記遊技盤保持部(14)に、該枠部材(B)の種別毎に固有の形状をなす識別部(55)が形成され、
前記遊技盤(D)には、前記遊技盤保持部(14)における識別部(55)の形成位置に対応して被識別部(79)が形成された互換防止部材(70)が、該遊技盤(D)と前記設置部材(40)とで挟まれた状態で配設されると共に、
前記互換防止部材(70)は、前記遊技盤(D)の裏面に係止されて該互換防止部材(70)を該遊技盤(D)に脱落不能に固定する固定手段(80)を備え、
前記枠部材(B)の遊技盤保持部(14)に形成された識別部(55)と整合する形状をなす被識別部(79)が形成された前記互換防止部材(70)を装着した遊技盤(D)だけが、該識別部(55)および被識別部(79)の整合下に、枠部材(B)の該遊技盤保持部(14)への装着が許容されるよう構成されたことを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、互換防止部材が固定手段により遊技盤に固定されているので、遊技盤と該遊技盤の裏面に配設した設置部材とで互換防止部材が挟まれる形態であっても、設置部材を遊技盤から取外した際に互換防止部材が遊技盤から脱落することを防止し得る。また、互換防止部材が遊技盤から脱落することがないから互換防止が適切に図られ、当該遊技盤が別の遊技機の枠部材における遊技盤保持部に取り付けられる等の不都合が発生しない。
【0010】
請求項2に記載の発明では、
前記固定手段(80)は、前記設置部材(40)から外れた位置で前記遊技盤(D)の裏面に沿って延出する固定板部(81)と、前記遊技盤(D)の裏面に係止され、前記固定板部(81)を該遊技盤(D)の裏面に固定する固定部材(82)とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、固定板部を固定部材により遊技盤の裏面に固定することで、互換防止部材を該遊技盤に対して確実に固定することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)は、前記遊技盤(D)に設けられた該互換防止部材(70)を装着する装着部(60)に形成された被位置決め部(63)に整合する位置決め部(77)を備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、互換防止部材に設けた位置決め部を、遊技盤の装着部に形成された被位置決め部に整合させることで、互換防止部材を遊技盤に正確に位置決めして固定することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、
前記位置決め部(77)は、前記互換防止部材(70)から遊技盤(D)に向け突出した凸部または該遊技盤(D)に向け開口した凹部であり、
前記被位置決め部(63)は、前記位置決め部(77)と相対して嵌合する形状に形成されたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、位置決め部と被位置決め部とが相対して嵌合するので、遊技盤の装着部に対して互換防止部材を適切に位置決めすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)における前記遊技盤(D)の裏面と面一となる外面に凹設または凸設された被係合部(78)と、
前記設置部材(40)における前記互換防止部材(70)の裏側へ延出する延出部(44)に設けられ、前記被係合部(78)に係脱可能に係合する係合部(51)とを備え、
前記固定手段(80)により前記互換防止部材(70)を前記装着部(60)に固定した状態で前記設置部材(40)を前記遊技盤(D)に配設する際に、前記被係合部(78)と係合部(51)とが係合するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、遊技盤の裏面に設置部材を配設する際に、固定手段により遊技盤の装着部に固定した互換防止部材に設けた被係合部と設置部材の延出部に設けた係合部とが係合することで、遊技盤に対して設置部材を適切な位置に配設することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)は、前記被識別部(79)の形状が異なる別の互換防止部材とは異なる色でかつ前記遊技盤(D)とも異なる色に着色されていることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、遊技盤に装着された互換防止部材の種類を一目で認識することができ、遊技盤に適切な互換防止部材が装着されているかを簡易かつ正確に確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明に係る遊技機における遊技盤の互換防止構造によれば、互換防止部材が固定手段により遊技盤に固定されているので、遊技盤の裏面に配設した設置部材を該遊技盤から取外しても、遊技盤に取り付けた互換防止部材が該遊技盤から脱落することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例の互換防止構造を備えた遊技盤が中枠の遊技盤保持部に装着された状態を、遊技盤に配設された部材を省略して示す正面図である。
【図2】実施例のパチンコ機を、前枠を開放した状態で示す斜視図であって、遊技盤の遊技領域に配設された部材を省略してある。
【図3】実施例に係る中枠を示す斜視図である。
【図4】図3のZ2部拡大図である。
【図5】図柄表示装置を取り付けた遊技盤を前側から見た斜視図である。
【図6】遊技盤に設けた装着部に固定した互換防止部材を、遊技盤および該遊技盤の裏側に配設した設置部材とで挟んで保持する状態を示す斜視図である。
【図7】設置部材および互換防止部材を取り外した遊技盤を裏面側から見た斜視図である。
【図8】設置部材を前側から見た斜視図である。
【図9】(a)は、実施例に係る遊技盤の互換防止構造に実施される互換防止部材の正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は背面図である。
【図10】図7のZ4部を拡大して示す説明図であって、(a)は、遊技盤に設けた装着部に互換防止部材を装着する状態を示し、(b)は、装着部に互換防止部材を装着した状態を示している。
【図11】図6のZ3部拡大図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】図1のZ1部拡大図であって、中枠に設けた識別部と遊技盤に装着した互換防止部材の被識別部とが整合した状態を示している。
【図14】図1〜図13に示すパチンコ機とは種類が異なるパチンコ機における中枠に設けた識別部を示す斜視図である。
【図15】(a)は、図14に示す種別のパチンコ機における中枠に取り付けられる遊技盤に装着される互換防止部材の正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は背面図である。
【図16】図1〜図13に示すパチンコ機とは種類が異なるパチンコ機における遊技盤に互換防止部材を装着した状態を示す部分斜視図である。
【図17】図14に示す中枠の遊技盤保持部に、図15に示す互換防止部材を装着した遊技盤を装着した状態を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る遊技機における遊技盤の互換防止構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。実施例では、遊技機として、パチンコ球を遊技媒体として使用する一般的なパチンコ機を例にして説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、外枠Aに対して中枠Bを閉じた状態において、パチンコ機Pを正面から見た状態を基準として指称するものとする。
【実施例】
【0018】
実施例に係るパチンコ機Pの概略構成について、図1〜図6を参照して説明する。パチンコ機Pは、図2に示すように、遊技店に設けられた「島」とも称される設置枠台(図示せず)に固定される外枠Aと、該外枠Aに対して着脱および開閉可能に枢支された中枠(枠部材)Bと、該中枠Bに着脱交換可能に取り付けられて所要の遊技領域30が画成される遊技盤Dと、ヒンジ機構を介して中枠Bの前面側に着脱および開閉可能に枢支され、中枠Bに配設した遊技盤Dを透視保護する透明板(図示せず)が配設される前枠Cとを備えている。前記前枠Cには、前記透明板が配設される部位の下方位置にパチンコ球を貯留可能な上球皿Eが組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて該上球皿Eが一体的に開閉するようになっている。また、前記中枠Bの前側における前記前枠Cの下方には、パチンコ球を貯留可能な下球皿Fを形成した球皿部材22が着脱および開閉可能に組み付けられている(図1)。そして、前記中枠Bにおける球皿部材22の右方位置には、操作ハンドルG1が設けられており、該操作ハンドルG1を操作することで中枠Bに配設した打球発射装置G2が作動され、上球皿Eに貯留されたパチンコ球を遊技盤Dの遊技領域30に向けて打ち出すよう構成されている。
【0019】
(中枠)
前記中枠Bは、図1〜図3に示すように、上縁をなす上枠部材10と、下縁をなし、スピーカ23、操作ハンドルG1および打球発射装置G2等が設置された下枠部材11と、左側縁をなす左枠部材12と、右側縁をなす右枠部材13とから構成されている。中枠Bは、上下左右の枠部材10,11,12,13を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材10,11,12,13を組み付けた際に前後に開口する開口部分に、遊技盤Dを中枠Bの前側から着脱可能に設置されており、該開口部分が遊技盤保持部14として機能する。また、下枠部材11の上面には、遊技盤保持部14に設置される遊技盤Dを支持する台座部が形成されている。そして中枠Bは、外枠Aの左上端部および左下端部に設けられた支軸(図示せず)を介して外枠Aに枢支され、該中枠Bは外枠Aに対して左側端部を中心として開閉し得るようになっている。なお中枠Bは、前記上下左右の枠部材10,11,12,13が一体成形されたものであってもよい。
【0020】
図1〜図3に示すように、左枠部材12の開口内側(遊技盤保持部14側)には、上下に離間する位置に、遊技盤Dの左側端部を回転および着脱可能に保持する回転保持具15,15が複数(実施例では2つ)設けられている。また、上下の枠部材10,11における右端部(右枠部材13側)には、固定位置および固定解除位置に回転可能な固定具16,16が夫々設けられており、該固定具16,16により遊技盤Dの右側上下端部を中枠Bに固定し得るようになっている。従って遊技盤Dは、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤Dの左端部を前記回転保持具15,15で保持させ、次いで該遊技盤Dの右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで、該遊技盤保持部14に収容保持されるようになっている。一方、遊技盤保持部14から遊技盤Dを取り出すに際しては、中枠Bの前側から前記固定具16,16を操作して遊技盤Dの右端部の保持を解除した後に、該遊技盤Dを前側に取り出して回転保持具15,15による保持を解除することで、該遊技盤Dの取り出しが許容される。
【0021】
図2および図3に示すように、前記上枠部材10の裏側には、設置枠台等に設けられた外部球供給設備(図示せず)から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク17が配設され、前記下枠部材11の裏側には、上下の球皿E,Fに連通する球供給路および設置枠台に設けた球回収樋に連通する球排出路が夫々形成されたセット部材18が配設されている。また、中枠Bの裏側における左枠部材12側に偏った位置には、前記球タンク17とセット部材18とを連通接続する球通路ユニット19が上下に架設され、該球通路ユニット19に配設された球払出し装置20の駆動により球タンク17に供給されたパチンコ球を上下の球皿E,Fへ給出するよう構成されている。前記球タンク17は、遊技盤保持部14に配設された遊技盤Dの裏側上部に重なるよう形成されており、遊技盤Dの上下寸法を最大限大きくし得るようになっている(図2参照)。またセット部材18には、パチンコ機Pの電源制御を行う電源装置を始めとした各種の制御装置52が配設されている。なお、図3の符号21は、中枠Bの右枠部材13に枢支されると共に球通路ユニット19に係止保持されて、図柄表示装置Hを含む遊技盤Dの裏側を略全体的に覆うカバー部材である。
【0022】
(前枠)
前記前枠Cは、全体が合成樹脂成形されて、図2に示すように、遊技盤Dの遊技領域30と同等の開口サイズの開口部25が形成されると共に、該開口部25に臨むように透明板が組み付けられる。前枠Cは、前記中枠Bの左側部に配置されたヒンジ機構を介して該中枠Bに対して開閉自在に枢支されると共に、中枠Bに閉成した際に遊技盤保持部14に設置した遊技盤Dの遊技領域30を開口部25を介して前面側から視認し得るよう構成される。そして、前記中枠Bに対して前枠Cを閉成した状態では、該前枠Cの下部(上球皿Eの形成部位に対応する位置)が中枠Bの下枠部材11に対向すると共に、前記開口部25の下縁が下枠部材11より上方に位置するよう構成されて、前枠Cの下部位置が前記遊技盤保持部14に収容した遊技盤Dと前後の関係で重なるようになっている。なお前枠Cには、LED等の発光体を実装した発光体基板と、該発光体基板から導出した中継用配線が接続された中継端子板(何れも図示せず)とを備えた照明装置が配設されている。
【0023】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図1、図2、図5、図6および図7に示すように、ベニヤ合板や合成樹脂を材質として前記中枠Bに設けた遊技盤保持部14の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状部材からなり、その表側に遊技領域30が設けられると共に後側に設置部材40が配設されている。遊技盤Dの表側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール31と、この外レール31の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール32と、外レール31の右上部から内レール32の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材33等が配設されており、両レール31,32および盤面飾り部材33で囲まれた内側が前記遊技領域30として構成されている。これにより、前記打球発射装置Gから発射されたパチンコ球は、外レール31と内レール32との間を通って遊技領域30の左上部に打ち出され、該遊技領域30内を流下する。但し、前記内レール32の延在長を大きく設定して、前記外レール31および該内レール32で遊技領域30を形成するようにしてもよい。
【0024】
前記遊技盤Dには、図5に示すように、中央に大きな貫通口29が形成されて、前後に開口する表示窓口34が形成された枠状装飾部材39が該貫通口29の開口縁に配設されている。そして、設置部材40に着脱可能に配設された前記図柄表示装置Hにおける図柄変動演出やその他表示演出が行われる表示部H1が、枠状装飾部材39の表示窓口34を介して前側から視認可能に構成されている。また遊技盤Dには、前記表示窓口34の下側に開設され、始動入賞装置37および特別入賞装置38が配設される入賞装置貫通口35や、その他各種入賞装置および設置部材40に配設される表示器等に合わせた貫通口36が貫通形成されている。なお、遊技盤Dの前面において遊技領域30内に臨む部分には、多数の遊技釘や風車等の各種遊技部品が配設されている。これにより遊技盤Dは、打球発射装置Gによって遊技領域30に打ち出されたパチンコ球を、遊技釘で誘導したり風車で振り分けたりして、該遊技領域30を流下するパチンコ球の動きを不規則に変化するようになっている。
【0025】
(設置部材)
前記設置部材40は、図6および図8に示すように、前方に開放するバケット状に形成された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられている。設置部材40は、遊技盤Dの後面を構成する設置板部41と、この設置板部41の周縁から前方へ延出形成された周板部42と、この周板部42の前端から外方に向けて延出形成された縁板部43等を備え、これら設置板部41、周板部42および縁板部43は一体的に形成されている。また設置部材40は、周板部42で囲われる前部開口が、円形の遊技領域30の上下・左右寸法と同程度の上下・左右寸法とした矩形状に形成されると共に、縁板部43の外周縁が、遊技盤Dの外周縁におおよそ合わせた形状および大きさで形成されている。このような設置部材40は、縁板部43を遊技盤Dに当接して該遊技盤Dの後面にネジ止め固定され、設置板部41が遊技盤Dの後面から離間配置されて、設置板部41と遊技盤Dとの間に、装飾部材や可動演出装置等を配設可能な空間が画成される。なお、周板部42の左下角部の外側には、後述する互換防止部材70に後側から相対する延出部44が、遊技盤Dの裏面に沿う向きに延出するように形成されている。
【0026】
また、前記設置部材40には、図5、図6および図8に示すように、設置板部41に四角形状の表示開口45が前後に貫通形成されており、図柄表示装置Hが、表示部H1を表示開口45に臨ませた状態で設置板部41の後側に着脱可能に取り付けられる(図6では、図柄表示装置Hは図示省略してある)。また、設置板部41における図柄表示装置Hの取付け領域の下側後面には、3つの基板設置部49が左右に離間して設けられ、各基板設置部49には各々中継基板50が設置されている。前記中継基板50は、設置部材40の前側に設けられる前記第1〜第3の可動演出装置46,47,48や、発光演出装置および照明装置等の演出側電気機器と、前記セット部材18の後側に取り付けられる前記制御装置52等の制御側電気機器とを電気的に中継するものである。
【0027】
更に、前記設置部材40は、図5、図6および図8に示すように、設置板部41の前側に、遊技盤Dを演出または装飾する装置や部材が設置されている。すなわち、設置板部41の表示開口45の上側に延在する上辺部41Aの前面には第1可動演出装置46が設置され、設置板部41における表示開口45の右側に延在する右辺部41Bの前面には第2可動演出装置47が設置されると共に、設置板部41における表示開口45の左側に延在する左辺部41Cの前面には第3可動演出装置48が設置されている。第1可動演出装置46は、前記表示窓口34の上部に臨んで図柄表示装置Hの前側上方に位置し、該図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を昇降させ得るようになっている。第2可動演出装置47は、前記表示開口45の右部に位置して、図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を進退させ得るようになっていると共に、第3可動演出装置48は、前記表示開口45の左部に位置して、図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を進退させ得るようになっている。
【0028】
次に、実施例に係る遊技盤の互換防止構造について説明する。ここでは、図3および図4に示す中枠B(B1)および該中枠B1に装着される遊技盤D(D1)を備えるパチンコ機を「第1のパチンコ機P1」とし、図14に示す中枠B(B2)および該中枠B2に装着される遊技盤D(D2)を備えるパチンコ機を「第2のパチンコ機P2」として、2種類のパチンコ機P1,P2における遊技盤D1,D2の互換防止につき例示する。なお、中枠B1に組み合わさせる遊技盤D1は1種類でなくてもよく、該中枠B1に組合わせ可能な複数種類の遊技盤D1を設けることが可能である。同様に、中枠B2に組み合わさせる遊技盤D2も1種類でなくてもよく、該中枠B2に組合わせ可能な複数種類の遊技盤D2を設けることが可能である。
【0029】
実施例に係る遊技盤の互換防止構造は、図1、図3、図4および図14に示すように、中枠B(B1,B2)の遊技盤保持部14に設けられ、当該中枠B(B1,B2)の種別毎に固有の形状をなす識別部55(55A,55B)と、遊技盤D(D1,D2)において前記遊技盤保持部14に設けた識別部55(55A,55B)に対応して設けられ、該識別部55(55A,55B)に整合する形状をなす被識別部79(79A,79B)とを有している。すなわち、実施例の互換防止構造は、適合した組合わせの中枠Bおよび遊技盤Dにおいては、前記識別部55と被識別部79とが整合するようになっていて、該中枠Bの遊技盤保持部14に対する該遊技盤Dの装着を許容する。しかし、適合しない組合わせの中枠Bおよび遊技盤Dにおいては、識別部55と被識別部79とが整合しないようにして、該中枠Bの遊技盤保持部14に対する該遊技盤Dの装着を不能とする。ここで、本願が意味する「種別」とは、例えば(1)公的機関による検査に合格して所定基準に適合した中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、(2)パチンコ機Pのメーカにおいて独自に設定された基準に適合した中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、(3)パチンコ機Pの各機種毎の中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、等である。
【0030】
そして、実施例の遊技盤の互換防止構造では、遊技盤Dに設けられた被識別部79が、該遊技盤Dをなすベニヤ合板または合成樹脂製の平板状部材とは別部材として構成されて該平板状部材に装着して固定される互換防止部材70に形成されている。すなわち、前記中枠Bの遊技盤保持部14に形成された前記識別部55と整合する形状をなす被識別部79が形成された互換防止部材70を装着した遊技盤Dだけが、該中枠Bに適合する組合わせの遊技盤として、該識別部55および被識別部79の整合下に遊技盤保持部14への装着が許容されるよう構成されている。
【0031】
(識別部)
図1、図3および図4に示すように、中枠Bの遊技盤保持部14における左下隅部の後側には、前側から見て縦長矩形状をなす識別部55が、該遊技盤保持部14の開口中心側へ突出した状態で設けられている。この識別部55は、突片状をなして中枠Bの成形時に該中枠Bに一体的に形成されたものであり、遊技盤保持部14に対する遊技盤Dの装着側である前側から見た形状が、種類毎に異なった形状、形態に設定されている。なお、実施例の遊技盤の互換防止構造では、前述したように、第1のパチンコ機P1および第2のパチンコ機P2毎に異なる中枠B1,B2があり、各中枠B1,B2は各々形状が異なる識別部55A,55Bが設けられている。すなわち、図3および図4に示す第1のパチンコ機P1における中枠B1の識別部55Aは、前側から見た形状が、縦長の長方形に突出した形状とされている。また、図14に示す第2のパチンコ機P2における中枠B2の識別部55Bは、第1のパチンコ機P1における中枠Bの識別部55Aと比較すると、縦寸法が小さく横寸法が大きい略正方形に突出した形状とされている。
【0032】
(装着部)
図6、図7、図10、図11および図16に示すように、各遊技盤D1,D2の左下角部には、前記互換防止部材70を後側からセットして装着する装着部60が形成されている。この装着部60は、遊技盤D1,D2の左下角部に隣接した裏側部分を、遊技盤D1,D2の裏面から該遊技盤D1,D2の厚みの1/2程度に切り欠いて段差状に形成した部位であって、遊技盤D1,D2の左端側および下端側へ夫々開放している。そして、段差をもって形成された装着部60の輪郭縁には、図7および図10に示すように、互換防止部材70に設けられた位置決め端部76と整合する位置決め縁部62が、逆L字状に延在形成されている。また、装着部60における後方を指向する装着面61には、後方に開口する位置決め凹部(被位置決め部)63が、上下に長くかつ上縁および下縁が半円状をなすように形成されており、互換防止部材70に前方へ凸となる形状に設けられた位置決め凸部(位置決め部)77が後方から嵌合可能となっている。すなわち、位置決め凹部63と位置決め凸部77とは、前記位置決め縁部62と位置決め端部76とが対向して整合した状態において、前後に対向して整合するように形成されている。
【0033】
また、図7および図10に示すように、遊技盤D1,D2の裏面において、前記装着部60の上方には、ネジ締結孔64が形成されている。このネジ締結孔64には、互換防止部材70に設けた固定手段80を構成する固定板部81に貫通して、該固定板部81に係止される固定ネジ(固定部材)82がねじ込まれるようになっている。
【0034】
(互換防止部材)
実施例の遊技盤の互換防止構造では、第1のパチンコ機P1における中枠B1と組み合わされる遊技盤D1および第2のパチンコ機P2における中枠B2と組み合わされる遊技盤D2があるので、遊技盤D1に装着される互換防止部材70と遊技盤D2に装着される互換防止部材70とを備えている。遊技盤D1に装着される互換防止部材70は、図9に示すように、中枠B1の遊技盤保持部14に設けられた識別部55A(図4参照)に整合する被識別部79Aが形成され、遊技盤D2に装着される互換防止部材70は、図15に示すように、中枠B2の遊技盤保持部14に設けられた識別部55B(図14参照)に整合する被識別部79Bが形成されている。
【0035】
各互換防止部材70は、例えば合成樹脂製の一体成形されたブロック部材であって、図9、図10および図15に示すように、前記位置決め凹部63を覆う形状に形成された係合部73と、該係合部73の上部から左方へ水平に延在する固定部74とを有している。これら係合部73および固定部74は、前記装着部60の装着面61から後方へ離間して遊技盤Dの裏面と面一となる平坦状の壁部71と、この壁部71の外縁全周の全周に亘って延在して該装着面61に向けて延出する周縁リブ72とで形成されている。すなわち互換防止部材70は、前記壁部71および前記周縁リブ72が同じ厚みに形成され、遊技盤Dの裏面と前記装着部60との段差と同じ厚み寸法で形成されている。なお、係合部73における壁部71の裏面には、左右水平に延在すると共に装着面61に向けて延出する補強リブ75が設けられている。
【0036】
図9〜図11および図15に示すように、前記各互換防止部材70において、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲外側に位置する部分は、遊技盤Dの装着部60に設けられた前記位置決め縁部62に対して整合する形状に形成されており、前記位置決め端部76として機能する。すなわち位置決め端部76は、係合部73の右端面から固定部74の上端面に亘って倒立L形に延在形成されており、該位置決め端部76を前記位置決め縁部62に整合させることで、装着部60に対して互換防止部材70の正確な位置決めが図られる。遊技盤D1に装着される互換防止部材70の位置決め端部76および遊技盤D2に装着される互換防止部材70の位置決め端部76は、同じ形状に形成されている。また、遊技盤D1の装着部60に設けた位置決め縁部62および遊技盤D2の装着部60に設けた位置決め縁部62も、同じ形状に形成されている。
【0037】
また、図9、図10および図15に示すように、前記各互換防止部材70において、係合部73の上部には、壁部71から装着部60の装着面61側(前方)へ突出する前記位置決め凸部77が形成されている。この位置決め凸部77は、壁部71が装着面61側へ膨出した形態であって、該壁部71と同じ厚みで周縁リブ72の前端よりも装着面61側へ突出しており、上部が上方へ湾曲すると共に下部が下方へ湾曲し、かつ突出した前部が前方へ湾曲した曲面状に形成されている。そして位置決め凸部77は、前記位置決め端部76が前記位置決め縁部62とが整合した状態において、装着部60の装着面61に設けた前記位置決め凹部63に対して、後方から整合すると共に突入して嵌合する位置および形状に設定されている(図12参照)。また、位置決め凸部77が位置決め凹部63に嵌合した状態では、互換防止部材70が装着部60に仮止めされた状態となり、遊技盤Dを垂直に立てても該互換防止部材70は該装着部60から容易に脱落しない。しかも位置決め凸部77は、突出した前部が曲面状に形成されているので、位置決め凹部63に対して嵌合し易くなっている。遊技盤D1に装着される互換防止部材70の位置決め凸部77および遊技盤D2に装着される互換防止部材70の位置決め凸部77は、各々の係合部73の同じ位置において同じ形状に形成されている。また、遊技盤D1の装着部60に設けた位置決め凹部63および遊技盤D2の装着部60に設けた位置決め凹部63も、各装着部60の同じ位置において同じ形状に形成されている。
【0038】
更に、図9〜図13に示すように、遊技盤D1に装着される前記互換防止部材70は、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲内側に位置する部分が、中枠B1の遊技盤保持部14に設けた前記識別部55Aに対して整合する形状となっており、前記被識別部79Aとして機能する。すなわち、中枠B1の識別部55Aは、縦長の長方形に突出した形状とされているので、図9に示す互換防止部材70の被識別部79Aは、縦長の長方形に切り欠かれて該識別部55Aに整合する凹形状とされている。また、図15に示すように、遊技盤D2に装着される前記互換防止部材70は、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲内側に位置する部分が、中枠B2の遊技盤保持部14に設けた前記識別部55Bに対して整合する形状に形成されて、前記被識別部79Bとして機能する。すなわち、中枠B2の識別部55Bは、中枠B1の識別部55Aと比較すると、縦寸法が小さく横寸法が大きい略正方形に突出した形状とされているので、図15に示す互換防止部材70の被識別部79Bは、略正方形に切り欠かれて該識別部55Bに整合する凹形状とされている。
【0039】
また更に、図9、図10、図15および図16に示すように、前記各互換防止部材70において、固定部74には、遊技盤Dの裏面に係止されて、該互換防止部材70を該遊技盤Dに脱落不能に固定する固定手段80を備えている。この固定手段80は、設置部材40の前記延出部44から外れた位置で遊技盤D1,D2の裏面に沿って上方へ延出する固定板部81と、遊技盤D1,D2の裏面に設けた前記ネジ締結孔64にねじ込んで係止され、固定板部81を該遊技盤D1,D2の裏面に固定する固定部材としての固定ネジ82とを備えている。前記固定板部81には、前記固定ネジ82の軸部の通過を許容すると共に頭部の通過を規制する開口径のネジ挿通孔83が形成されている。このネジ挿通孔83は、互換防止部材70を遊技盤D1,D2の装着部60に位置決めセットした際に、前記ネジ締結孔64に後方から整合するようになっている。従って、互換防止部材70を装着部60にセットした状態で、ネジ挿通孔83に後側から挿通させた該固定ネジ82を遊技盤Dのネジ締結孔64にねじ込んで締結することで、該互換防止部材70が遊技盤D1,D2に脱落不能に固定される。
【0040】
また更に、図9および図10に示すように、前記互換防止部材70において、係合部73の上部には、後方へ開口した係合凹部(被係合部)78形成されている。この係合凹部78は、前記設置部材40の左下角部に設けた前記延出部44から前方へ突出形成された係合凸部(係合部)51が、後方から整合して係脱可能に係合するようになっている。すなわち、前記固定手段80により互換防止部材70を前記装着部60に固定した状態で、前記設置部材40を前記遊技盤D1,D2の裏面に配設する際に、係合凹部78に係合凸部51を係合することで遊技盤D1,D2に対する設置部材40の位置決めが図られるようになっている。なお、前記係合凹部78は、前記位置決め凸部77が壁部71から前方へ膨出するように形成したことに伴って、該位置決め凸部77の後側において後方へ開口した部分であり、これら係合凹部78と位置決め凸部77とは前後方向において同じ位置に重なって設けられている。そして、設置部材40を遊技盤D1,D2の裏面に配設した状態では、該設置部材40の延出部44が遊技盤D1,D2に固定した互換防止部材70の壁部71に対して後側から部分的に当接するようになるから、該互換防止部材70は遊技盤D1,D2および設置部材40により前後から挟まれた状態に保持される。
【0041】
前記2種類の各互換防止部材70は、前記位置決め端部76、位置決め凹部63、係合凹部78、固定手段80の固定板部81および固定ネジ82の構成は同じであり、被識別部79(79A,79B)だけが異なっている。このため各互換防止部材70は、夫々が容易に識別されて区別されるように、互いに異なる色に着色されていると共に、前記遊技盤Dとも異なる色に着色されている。なお、互換防止部材70に対する着色は、該互換防止部材70の成形材料を着色したり、該互換防止部材70の成形後に塗装や印刷等により着色する。
【0042】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の遊技盤の互換防止構造の作用につき説明する。
【0043】
第1のパチンコ機P1は、該第1のパチンコ機P1を構成する中枠B1および遊技盤D1において、図4に示す形状の識別部55Aが該中枠B1の遊技盤保持部14に設けられると共に、図4に示す識別部55Aと整合する形状の被識別部79Aを設けた図9に示す互換防止部材70を、該遊技盤D1の装着部60に前記固定手段80を利用して固定する。一方、第2のパチンコ機P2は、該第2のパチンコ機P2を構成する中枠B2および遊技盤D2において、図14に示す形状の識別部55Bが該中枠B2の遊技盤保持部14に設けられると共に、図14に示す識別部55Bと整合する形状の被識別部79Bを設けた図15に示す互換防止部材70を、該遊技盤D2の装着部60に固定手段80を利用して固定する。
【0044】
ここで、第1のパチンコ機P1において、遊技盤D1の装着部60に対して互換防止部材70を装着する際には、図10に示すように、該装着部60の位置決め縁部62に対して該互換防止部材70の位置決め端部76を整合させると共に、該装着部60の位置決め凹部63に該互換防止部材70の位置決め凸部77を整合させることで、当該互換防止部材70を該装着部60に適切に位置決めした状態でセットし得る。これにより、互換防止部材70の固定手段80における固定板部81が遊技盤Dの裏面に当接すると共に、該固定板部81に設けたネジ挿通孔83が遊技盤D1に設けたネジ締結孔64に整合するので、該ネジ挿通孔83に挿通した固定ネジ82をネジ締結孔64にねじ込んで締結する。従って互換防止部材70は、遊技盤D1の裏面に、固定手段80により脱落不能に装着される。また、第2のパチンコ機P2において、遊技盤D2の装着部60に対して互換防止部材70を装着する際も同様である。
【0045】
遊技盤D1に設けられる装着部60および遊技盤D2に設けられる装着部60は、前述したように、各々の位置決め縁部62および位置決め凹部63が同じ形状となっており、同じ作業工程で遊技盤D1の装着部60および遊技盤D2の装着部60を形成することができるから、遊技盤D1,D2の製造作業の効率化が図られる。また、遊技盤D1に装着される互換防止部材70および遊技盤D2に装着される互換防止部材70は、前述したように、各々の位置決め端部76および位置決め凸部77が同じ形状となっており、同じ作業手順で遊技盤D1に互換防止部材70を装着できると共に遊技盤D2に互換防止部材70を装着できる。すなわち、組立作業者が同じ作業手順で遊技盤D1および遊技盤D2に対して互換防止部材70を装着できるから、作業手順を混同して手間取る等の不都合が生じない。
【0046】
次いで、第1のパチンコ機P1では、互換防止部材70が装着された遊技盤D1の裏側に、前記図柄表示装置Hおよび前述した様々な機器や部品を装着した前記設置部材40を装着する。この際に、遊技盤Dに装着した互換防止部材70の係合凹部78に、設置部材40の延出部44に設けた前記係合凸部51を嵌合させる。これにより互換防止部材70は、図11および図12に示すように、遊技盤D1と設置部材40とで前後から挟まれた状態で保持される。第2のパチンコ機P2においても、遊技盤D2の装着部60に装着された互換防止部材70は、図16に示すように、遊技盤D2と設置部材40とで前後から挟まれた状態で保持される。
【0047】
そして、図9に示す互換防止部材70を装着した第1のパチンコ機P1における遊技盤D1を、該第1のパチンコ機P1における中枠B1の遊技盤保持部14に装着する。すなわち遊技盤D1は、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤D1の左端部を前記回転保持具15,15で保持させることで、該遊技盤D1に装着した互換防止部材70の被識別部79Aが中枠Bの識別部55Aに相対する。次いで、回転保持具15,15を中心として、遊技盤D1の右端部を中枠B1に近接させるように該遊技盤D1を回転させる。この際に、中枠B1と遊技盤D1とが適切な組み合わせであるから、図1および図13に示すように、該遊技盤D1の被識別部79Aと該中枠Bの識別部55Aとが整合し、該遊技盤D1は中枠B1の遊技盤保持部14へ適切にセットされる。従って、遊技盤D1の右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで該遊技盤D1が中枠B1に装着され、中枠B1と遊技盤D1とが組み合わされた第1のパチンコ機P1が構成される。
【0048】
また、図15に示す互換防止部材70を装着した第2のパチンコ機P2における遊技盤D2を、該第2のパチンコ機P2における中枠B2の遊技盤保持部14に装着する。すなわち遊技盤D2は、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤D2の左端部を前記回転保持具15,15で保持させることで、該遊技盤D2に装着した互換防止部材70の被識別部79Bが中枠Bの識別部55Bに相対する。次いで、回転保持具15,15を中心として、遊技盤D2の右端部を中枠B2に近接させるように該遊技盤D2を回転させる。この際に、中枠B2と遊技盤D2とが適切な組み合わせであるから、図17に示すように、該遊技盤D2の被識別部79Bと該中枠Bの識別部55Bとが整合し、該遊技盤D2は中枠B2の遊技盤保持部14へ適切にセットされる。従って、遊技盤D2の右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで該遊技盤D2が中枠B2に装着され、中枠B2と遊技盤D2とが組み合わされた第2のパチンコ機P2が構成される。
【0049】
一方、図15に示す互換防止部材70を装着した第2のパチンコ機P2における遊技盤D2を、第1のパチンコ機P1における中枠B1の遊技盤保持部14に装着しようとした場合には、左端部を前記回転保持具15,15で保持させた該遊技盤D2を該回転保持具15,15を中心として回転させる際に、該遊技盤D2の被識別部79Bと中枠B1の識別部55Aとが整合せずに引掛かるので、該遊技盤D2が該中枠B1の遊技盤保持部14へセットできない。従って、装着しようとした第2のパチンコ機P2用の遊技盤D2が、第1のパチンコ機P1を構成するものではなく、種類が異なるものであることが認識され、第2のパチンコ機P2の該遊技盤D2が第1のパチンコ機P1の中枠B1に装着されて第1のパチンコ機P1として遊技に供される不都合が好適に回避できる。
【0050】
同様に、図9に示す互換防止部材70を装着した第1のパチンコ機P1における遊技盤D1を、第2のパチンコ機P2における中枠B2の遊技盤保持部14に装着しようとした場合には、左端部を前記回転保持具15,15に保持させた該遊技盤D1を該回転保持具15,15を中心として回転させる際に、該遊技盤D1の被識別部79Aと中枠B2の識別部55Bとが整合せずに引掛かるので、該遊技盤D1が該中枠B2の遊技盤保持部14へセットできない。従って、装着しようとした第1のパチンコ機P1用の遊技盤D1が、第2のパチンコ機P2を構成するものでなく、種類が異なるものであることが認識され、第1のパチンコ機P1の該遊技盤D1が第2のパチンコ機P2の中枠B2に装着されて第2のパチンコ機P2として遊技に供される不都合も好適に回避できる。
【0051】
なお、各中枠B1,B2においては、識別部55A,55Bが、前記回転保持具15が配設された左枠部材12の下部に設けられており、各遊技盤D1,D2においては、被識別部79A,79Bが設けられた互換防止部材70が、遊技盤D1,D2の左下角部に設けられている。このため、中枠B1に遊技盤D2を装着する場合および中枠B2に遊技盤D1を装着する場合には、該遊技盤D1,D2の左端部を回転保持具15,15で保持させる際または該遊技盤D1,D2を該回転保持具15,15を中心として回転させ始める際に、識別部55A,55Bと被識別部79A,79Bとが整合しなくなる。従って、遊技盤保持部14に対する遊技盤D1,D2の装着作業の早い段階で種類が異なる遊技盤であることを認識でき、遊技盤D1,D2の装着作業を効率よく行なうことができる。
【0052】
また、固定手段80における互換防止部材70に一体的に形成した固定板部81を、該固定手段80における固定ネジ82を遊技盤Dの裏面にねじ込んで締結しているので、遊技盤Dおよび設置部材40の延出部44で挟持された互換防止部材70は、該設置部材40を遊技盤Dから取り外しても該遊技盤Dに脱落することなく固定保持される。これにより、第1のパチンコ機P1および第2のパチンコ機P2が遊技店に納入された後に、設置部材40に配設した遊技部品のメンテナンスや修理等を実施するに際して該設置部材40を遊技盤D1,D2の裏面から取外しても、互換防止部材70が遊技盤D1,D2から脱落する不都合が発生しない。従って、互換防止部材70の未装着によって第1のパチンコ機P1の遊技盤D1が第2のパチンコ機P2用の中枠B1の遊技盤保持部14に装着されることが防止されると共に、第2のパチンコ機P2の遊技盤D2が第1のパチンコ機P1の中枠B1の遊技盤保持部14に装着されることも防止され、互換防止部材70の未装着により互換防止が図られなくなる不都合も回避し得る。
【0053】
また、実施例の遊技盤の互換防止構造では、形状が異なる被識別部79A,79Bを形成した各互換防止部材70が、各々異なる色に着色されると共に遊技盤Dとも異なる色に着色されているので、遊技盤D1,D2の装着部60に対する互換防止部材70の装着作業に際して、種類が異なる互換防止部材70を遊技盤D1,D2に間違って装着することを防止し得る。また、遊技盤Dの装着部60に装着された互換防止部材70の種類を一目で認識することができ、各々の遊技盤D1,D2に適切な互換防止部材70が装着されているか否かを簡易かつ正確に確認することもできる。
【0054】
〔変更例〕
本発明に係る遊技盤の互換防止構造は、実施例のものに限られず種々の変更が可能である。
(1)中枠B(B1,B2)に設けた識別部55(55A,55B)および遊技盤D(D1,D2)に設けた被識別部79(79A,79B)の形状、形態は、図4および図9に示した形状、形態や、図14および図15に示した形状、形態に限定されず、種別毎に異なる形状、形態であれば様々に変更可能である。
(2)識別部55(55A,55B)を設ける部位は、中枠Bの遊技盤保持部14における左下隅部に限らず、該遊技盤保持部14の左上隅部、右上隅部または右下隅部であってもよい。また、遊技盤保持部14における下縁部分の中間部分、上縁部分の中間部分、左縁部分の中間部分または右縁部分の中間部分であってもよい。また、識別部55(55A,55B)の配設数は、1つに限定されず複数設けるようにしてもよい。なお、被識別部79(79A,79B)を設ける位置は、識別部55(55A,55B)を設ける位置に合わせて、遊技盤D(D1,D2)の左上角部、右上角部または右下角部や、下縁中間部分、上縁中間部分、左縁中間部分または右縁中間部分に設けられる。
(3)前記識別部55(55A,55B)は、前記中枠B(B1,B2)とは別体に構成した識別部材に設けるようにして、この識別部材を、別成形された中枠B(B1,B2)に対して装着固定する構成としてもよい。この場合には、中枠B(B1,B2)における遊技盤保持部14の左下隅部に臨む位置に設置部を設け、この設置部に対して、識別部材をネジ等の固定手段により固定して、識別部55を該遊技盤保持部14に臨ませるようにしてもよい。このように、識別部55(55A,55B)を形成した識別部材を中枠Bと別体とすれば、該中枠B(B1,B2)を種別毎に共通化することが可能である。
(4)実施例では、固定手段80における固定部材82として、遊技盤D(D1,D2)のネジ締結孔64にねじ込まれる固定ネジを例示したが、該固定部材82はネジに限定されず、遊技盤D(D1,D2)に係止されるピンや金具等であってもよい。
(5)実施例では、互換防止部材70に設けた位置決め部77を、該互換防止部材70から遊技盤D(D1,D2)に向け突出した位置決め凸部とすると共に、装着部66に設けた被位置決め部63を、前記位置決め部77が相対して嵌合する位置決め凹部としたが、位置決め部77を凹部とすると共に、被位置決め部63を、装着部66から互換防止部材70に向け突出して位置決め部77に嵌合する凸部としてもよい。
(6)実施例では、互換防止部材70に設けた被係合部78を係合凹部とすると共に、設置部材40の延出部44に設けた係合部51を、該被係合部78に係脱可能に係合する係合凸部としたが、被係合部78を。延出部44に向け突出する凸部とすると共に、係合部51を、該被係合部78が係合可能な凹部としてもよい。
(7)遊技盤D(D1,D2)の裏面に設けられるネジ締結孔64の形成位置と、互換防止部材70に設けられた固定板部81に形成されるネジ挿通孔83の形成位置とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このようにネジ締結孔64とネジ挿通孔83の形成位置を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D2,D1)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、ネジ締結孔64とネジ挿通孔83とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(8)遊技盤D(D1,D2)の装着部60に設けられる被位置決め部63の形成位置や形状と、該装着部60に装着される互換防止部材70に設けられる位置決め部77の形成位置や形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように被位置決め部63の形成位置や形状と位置決め部77の形成位置や形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D1,D2)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、被位置決め部63と位置決め部77とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(9)遊技盤D(D1,D2)の装着部60に設けられる位置決め縁部62の形状と、該装着部60に装着される互換防止部材70に設けられる位置決め端部76の形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように位置決め縁部62の形状と位置決め端部76の形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D2,D1)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、位置決め縁部62と位置決め端部76とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(10)互換防止部材70に設けられる被係合部78の形成位置や形状と、設置部材40の延出部44に設けられる係合部51の形成位置や形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように被係合部78の形成位置や形状と係合部51の形成位置や形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の裏面に、種類が異なる遊技盤D(D2,D1)に配設される設置部材40を配設しようとした場合に、被係合部78と係合部51とが整合しないので、当該設置部材40が適合したものでないことを遊技盤D(D1,D2)に配設する前に認識し得るようにできる。
(11)実施例では、遊技盤の装着部に対して該遊技盤の裏側から互換防止部材を装着する形態を示したが、これに限らず、遊技盤の前側から互換防止部材を装着するよう構成することも可能である。
(12)実施例では、遊技機としてのパチンコ機に配設される遊技盤の互換防止構造を示したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
14 遊技盤保持部,40 設置部材,44 延出部,51 係合凸部(係合部)
55 識別部,63 位置決め凹部(被位置決め部),79 被識別部,70 互換防止部材
77 位置決め凸部(位置決め部),78 係合凹部(被係合部),80 固定手段
81 固定板部,82 固定ネジ(固定部材),B 中枠(枠部材),D 遊技盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤の裏面に、各種遊技部品を取り付けた設置部材が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材に前記遊技盤を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等に代表される遊技機は、機体を構成する枠部材(中枠)と、該中枠に設けられた遊技盤保持部に取り付けられる遊技盤とを備えている。前記遊技盤は、合板(ベニヤ)製や合成樹脂等から略矩形に形成された板状部材であり、その前面に遊技領域が設けられると共に、その裏面に各種遊技部品が取り付けられる設置部材が着脱可能に配設されている。前記遊技領域内には、該遊技領域内を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置、特別入賞装置、球案内部材および釘等が配設されている。前記設置部材には、遊技盤に形成された開口を介して該遊技盤の前側から視認可能な図柄表示装置や、演出装置および発光装置等の電子部品等が取り付けられている。
【0003】
このようなパチンコ機にあっては、前記遊技盤および中枠(これらに組み付けられる部品・装置を含む。以下同じ)が一定の組合わせで使用されることを前提として、パチンコ機全体が所定基準に適合するかにつき公的機関により検査され、この検査に合格したパチンコ機を遊技に供することが求められている。従って、遊技盤や中枠の個々が所定基準に適合するとしても、検査対象とは異なる組合わせの遊技盤と中枠とを組み付けたパチンコ機は全体として正式な検査を受けていないことから、このようなパチンコ機が遊技に供されるのは好ましくない。そこで、遊技盤を特定の中枠にのみ設置し得るよう構成する技術が提案されており、該技術として例えば特許文献1に開示されるものが知られている。すなわち、特許文献1に記載のパチンコ機では、遊技盤側に嵌合突部または嵌合凹部からなる被識別部を形成すると共に、中枠側には遊技盤に形成した被識別部と一致して嵌合可能な嵌合凹部または嵌合突部からなる識別部を形成して、遊技盤の被識別部と中枠の識別部とが一致する場合にのみに該遊技盤を該中枠に取り付け得るようにして、遊技盤の互換防止が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−184717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の遊技機では、遊技盤や中枠に被識別部または識別部を直接形成する形態となっており、複数種の遊技機がある場合には各遊技機毎に識別部および被識別部の形態(形状)が異なる専用の遊技盤および中枠を設計、製作することとなり、製造コストが嵩む問題がある。また、中枠の基本構成をそのままに外観上のデザインを若干変更する等の所謂マイナーチェンジの場合であっても、マイナーチェンジ前の遊技盤とマイナーチェンジ後の遊技盤との互換性をなくすためには、遊技盤の被識別部および中枠の識別部の形態を各々変更する必要があり、遊技盤および中枠を新たに設計、製作することとなって製造コストが嵩んでしまう。
【0006】
そこで、遊技盤の主要部分を各機種毎に共通とすると共に、遊技盤とは別体に構成されて前記被識別部が形成された互換防止部材を別途準備して、該互換防止部材を遊技盤および設置部材で挟んで固定保持することが提案される。しかしながら、例えば遊技機が遊技店に納入された後に、設置部材に配設した前記遊技部品のメンテナンスや修理等を実施するに際して該設置部材を遊技盤の裏面から取外すと、互換防止部材に対する挟持が解除されて、該互換防止部材が遊技盤から脱落する不都合が発生してしまう。しかも、作業者が互換防止部材の脱落に気付かない等、互換防止部材の再取付けを失念した場合には、当該遊技盤を別の遊技機の中枠に組み付けることが可能となり、互換防止が適切に図られない問題が発生する。
【0007】
そこで本発明は、前述した課題を解決するために案出されたものであって、遊技盤の裏面に配設した設置部材を該遊技盤から取外しても、遊技盤に取り付けた互換防止部材が該遊技盤から脱落することを防止した遊技機における遊技盤の互換防止構造を提供することを目的とする。
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明では、
遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤(D)の裏面に、各種遊技部品が取り付けられた設置部材(40)が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材(B)に形成された遊技盤保持部(14)に前記遊技盤(D)を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造であって、
前記枠部材(B)には、前記遊技盤保持部(14)に、該枠部材(B)の種別毎に固有の形状をなす識別部(55)が形成され、
前記遊技盤(D)には、前記遊技盤保持部(14)における識別部(55)の形成位置に対応して被識別部(79)が形成された互換防止部材(70)が、該遊技盤(D)と前記設置部材(40)とで挟まれた状態で配設されると共に、
前記互換防止部材(70)は、前記遊技盤(D)の裏面に係止されて該互換防止部材(70)を該遊技盤(D)に脱落不能に固定する固定手段(80)を備え、
前記枠部材(B)の遊技盤保持部(14)に形成された識別部(55)と整合する形状をなす被識別部(79)が形成された前記互換防止部材(70)を装着した遊技盤(D)だけが、該識別部(55)および被識別部(79)の整合下に、枠部材(B)の該遊技盤保持部(14)への装着が許容されるよう構成されたことを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、互換防止部材が固定手段により遊技盤に固定されているので、遊技盤と該遊技盤の裏面に配設した設置部材とで互換防止部材が挟まれる形態であっても、設置部材を遊技盤から取外した際に互換防止部材が遊技盤から脱落することを防止し得る。また、互換防止部材が遊技盤から脱落することがないから互換防止が適切に図られ、当該遊技盤が別の遊技機の枠部材における遊技盤保持部に取り付けられる等の不都合が発生しない。
【0010】
請求項2に記載の発明では、
前記固定手段(80)は、前記設置部材(40)から外れた位置で前記遊技盤(D)の裏面に沿って延出する固定板部(81)と、前記遊技盤(D)の裏面に係止され、前記固定板部(81)を該遊技盤(D)の裏面に固定する固定部材(82)とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、固定板部を固定部材により遊技盤の裏面に固定することで、互換防止部材を該遊技盤に対して確実に固定することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)は、前記遊技盤(D)に設けられた該互換防止部材(70)を装着する装着部(60)に形成された被位置決め部(63)に整合する位置決め部(77)を備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、互換防止部材に設けた位置決め部を、遊技盤の装着部に形成された被位置決め部に整合させることで、互換防止部材を遊技盤に正確に位置決めして固定することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、
前記位置決め部(77)は、前記互換防止部材(70)から遊技盤(D)に向け突出した凸部または該遊技盤(D)に向け開口した凹部であり、
前記被位置決め部(63)は、前記位置決め部(77)と相対して嵌合する形状に形成されたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、位置決め部と被位置決め部とが相対して嵌合するので、遊技盤の装着部に対して互換防止部材を適切に位置決めすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)における前記遊技盤(D)の裏面と面一となる外面に凹設または凸設された被係合部(78)と、
前記設置部材(40)における前記互換防止部材(70)の裏側へ延出する延出部(44)に設けられ、前記被係合部(78)に係脱可能に係合する係合部(51)とを備え、
前記固定手段(80)により前記互換防止部材(70)を前記装着部(60)に固定した状態で前記設置部材(40)を前記遊技盤(D)に配設する際に、前記被係合部(78)と係合部(51)とが係合するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、遊技盤の裏面に設置部材を配設する際に、固定手段により遊技盤の装着部に固定した互換防止部材に設けた被係合部と設置部材の延出部に設けた係合部とが係合することで、遊技盤に対して設置部材を適切な位置に配設することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、
前記互換防止部材(70)は、前記被識別部(79)の形状が異なる別の互換防止部材とは異なる色でかつ前記遊技盤(D)とも異なる色に着色されていることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、遊技盤に装着された互換防止部材の種類を一目で認識することができ、遊技盤に適切な互換防止部材が装着されているかを簡易かつ正確に確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明に係る遊技機における遊技盤の互換防止構造によれば、互換防止部材が固定手段により遊技盤に固定されているので、遊技盤の裏面に配設した設置部材を該遊技盤から取外しても、遊技盤に取り付けた互換防止部材が該遊技盤から脱落することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例の互換防止構造を備えた遊技盤が中枠の遊技盤保持部に装着された状態を、遊技盤に配設された部材を省略して示す正面図である。
【図2】実施例のパチンコ機を、前枠を開放した状態で示す斜視図であって、遊技盤の遊技領域に配設された部材を省略してある。
【図3】実施例に係る中枠を示す斜視図である。
【図4】図3のZ2部拡大図である。
【図5】図柄表示装置を取り付けた遊技盤を前側から見た斜視図である。
【図6】遊技盤に設けた装着部に固定した互換防止部材を、遊技盤および該遊技盤の裏側に配設した設置部材とで挟んで保持する状態を示す斜視図である。
【図7】設置部材および互換防止部材を取り外した遊技盤を裏面側から見た斜視図である。
【図8】設置部材を前側から見た斜視図である。
【図9】(a)は、実施例に係る遊技盤の互換防止構造に実施される互換防止部材の正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は背面図である。
【図10】図7のZ4部を拡大して示す説明図であって、(a)は、遊技盤に設けた装着部に互換防止部材を装着する状態を示し、(b)は、装着部に互換防止部材を装着した状態を示している。
【図11】図6のZ3部拡大図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】図1のZ1部拡大図であって、中枠に設けた識別部と遊技盤に装着した互換防止部材の被識別部とが整合した状態を示している。
【図14】図1〜図13に示すパチンコ機とは種類が異なるパチンコ機における中枠に設けた識別部を示す斜視図である。
【図15】(a)は、図14に示す種別のパチンコ機における中枠に取り付けられる遊技盤に装着される互換防止部材の正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は背面図である。
【図16】図1〜図13に示すパチンコ機とは種類が異なるパチンコ機における遊技盤に互換防止部材を装着した状態を示す部分斜視図である。
【図17】図14に示す中枠の遊技盤保持部に、図15に示す互換防止部材を装着した遊技盤を装着した状態を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る遊技機における遊技盤の互換防止構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。実施例では、遊技機として、パチンコ球を遊技媒体として使用する一般的なパチンコ機を例にして説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、外枠Aに対して中枠Bを閉じた状態において、パチンコ機Pを正面から見た状態を基準として指称するものとする。
【実施例】
【0018】
実施例に係るパチンコ機Pの概略構成について、図1〜図6を参照して説明する。パチンコ機Pは、図2に示すように、遊技店に設けられた「島」とも称される設置枠台(図示せず)に固定される外枠Aと、該外枠Aに対して着脱および開閉可能に枢支された中枠(枠部材)Bと、該中枠Bに着脱交換可能に取り付けられて所要の遊技領域30が画成される遊技盤Dと、ヒンジ機構を介して中枠Bの前面側に着脱および開閉可能に枢支され、中枠Bに配設した遊技盤Dを透視保護する透明板(図示せず)が配設される前枠Cとを備えている。前記前枠Cには、前記透明板が配設される部位の下方位置にパチンコ球を貯留可能な上球皿Eが組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて該上球皿Eが一体的に開閉するようになっている。また、前記中枠Bの前側における前記前枠Cの下方には、パチンコ球を貯留可能な下球皿Fを形成した球皿部材22が着脱および開閉可能に組み付けられている(図1)。そして、前記中枠Bにおける球皿部材22の右方位置には、操作ハンドルG1が設けられており、該操作ハンドルG1を操作することで中枠Bに配設した打球発射装置G2が作動され、上球皿Eに貯留されたパチンコ球を遊技盤Dの遊技領域30に向けて打ち出すよう構成されている。
【0019】
(中枠)
前記中枠Bは、図1〜図3に示すように、上縁をなす上枠部材10と、下縁をなし、スピーカ23、操作ハンドルG1および打球発射装置G2等が設置された下枠部材11と、左側縁をなす左枠部材12と、右側縁をなす右枠部材13とから構成されている。中枠Bは、上下左右の枠部材10,11,12,13を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材10,11,12,13を組み付けた際に前後に開口する開口部分に、遊技盤Dを中枠Bの前側から着脱可能に設置されており、該開口部分が遊技盤保持部14として機能する。また、下枠部材11の上面には、遊技盤保持部14に設置される遊技盤Dを支持する台座部が形成されている。そして中枠Bは、外枠Aの左上端部および左下端部に設けられた支軸(図示せず)を介して外枠Aに枢支され、該中枠Bは外枠Aに対して左側端部を中心として開閉し得るようになっている。なお中枠Bは、前記上下左右の枠部材10,11,12,13が一体成形されたものであってもよい。
【0020】
図1〜図3に示すように、左枠部材12の開口内側(遊技盤保持部14側)には、上下に離間する位置に、遊技盤Dの左側端部を回転および着脱可能に保持する回転保持具15,15が複数(実施例では2つ)設けられている。また、上下の枠部材10,11における右端部(右枠部材13側)には、固定位置および固定解除位置に回転可能な固定具16,16が夫々設けられており、該固定具16,16により遊技盤Dの右側上下端部を中枠Bに固定し得るようになっている。従って遊技盤Dは、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤Dの左端部を前記回転保持具15,15で保持させ、次いで該遊技盤Dの右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで、該遊技盤保持部14に収容保持されるようになっている。一方、遊技盤保持部14から遊技盤Dを取り出すに際しては、中枠Bの前側から前記固定具16,16を操作して遊技盤Dの右端部の保持を解除した後に、該遊技盤Dを前側に取り出して回転保持具15,15による保持を解除することで、該遊技盤Dの取り出しが許容される。
【0021】
図2および図3に示すように、前記上枠部材10の裏側には、設置枠台等に設けられた外部球供給設備(図示せず)から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク17が配設され、前記下枠部材11の裏側には、上下の球皿E,Fに連通する球供給路および設置枠台に設けた球回収樋に連通する球排出路が夫々形成されたセット部材18が配設されている。また、中枠Bの裏側における左枠部材12側に偏った位置には、前記球タンク17とセット部材18とを連通接続する球通路ユニット19が上下に架設され、該球通路ユニット19に配設された球払出し装置20の駆動により球タンク17に供給されたパチンコ球を上下の球皿E,Fへ給出するよう構成されている。前記球タンク17は、遊技盤保持部14に配設された遊技盤Dの裏側上部に重なるよう形成されており、遊技盤Dの上下寸法を最大限大きくし得るようになっている(図2参照)。またセット部材18には、パチンコ機Pの電源制御を行う電源装置を始めとした各種の制御装置52が配設されている。なお、図3の符号21は、中枠Bの右枠部材13に枢支されると共に球通路ユニット19に係止保持されて、図柄表示装置Hを含む遊技盤Dの裏側を略全体的に覆うカバー部材である。
【0022】
(前枠)
前記前枠Cは、全体が合成樹脂成形されて、図2に示すように、遊技盤Dの遊技領域30と同等の開口サイズの開口部25が形成されると共に、該開口部25に臨むように透明板が組み付けられる。前枠Cは、前記中枠Bの左側部に配置されたヒンジ機構を介して該中枠Bに対して開閉自在に枢支されると共に、中枠Bに閉成した際に遊技盤保持部14に設置した遊技盤Dの遊技領域30を開口部25を介して前面側から視認し得るよう構成される。そして、前記中枠Bに対して前枠Cを閉成した状態では、該前枠Cの下部(上球皿Eの形成部位に対応する位置)が中枠Bの下枠部材11に対向すると共に、前記開口部25の下縁が下枠部材11より上方に位置するよう構成されて、前枠Cの下部位置が前記遊技盤保持部14に収容した遊技盤Dと前後の関係で重なるようになっている。なお前枠Cには、LED等の発光体を実装した発光体基板と、該発光体基板から導出した中継用配線が接続された中継端子板(何れも図示せず)とを備えた照明装置が配設されている。
【0023】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図1、図2、図5、図6および図7に示すように、ベニヤ合板や合成樹脂を材質として前記中枠Bに設けた遊技盤保持部14の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状部材からなり、その表側に遊技領域30が設けられると共に後側に設置部材40が配設されている。遊技盤Dの表側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール31と、この外レール31の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール32と、外レール31の右上部から内レール32の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材33等が配設されており、両レール31,32および盤面飾り部材33で囲まれた内側が前記遊技領域30として構成されている。これにより、前記打球発射装置Gから発射されたパチンコ球は、外レール31と内レール32との間を通って遊技領域30の左上部に打ち出され、該遊技領域30内を流下する。但し、前記内レール32の延在長を大きく設定して、前記外レール31および該内レール32で遊技領域30を形成するようにしてもよい。
【0024】
前記遊技盤Dには、図5に示すように、中央に大きな貫通口29が形成されて、前後に開口する表示窓口34が形成された枠状装飾部材39が該貫通口29の開口縁に配設されている。そして、設置部材40に着脱可能に配設された前記図柄表示装置Hにおける図柄変動演出やその他表示演出が行われる表示部H1が、枠状装飾部材39の表示窓口34を介して前側から視認可能に構成されている。また遊技盤Dには、前記表示窓口34の下側に開設され、始動入賞装置37および特別入賞装置38が配設される入賞装置貫通口35や、その他各種入賞装置および設置部材40に配設される表示器等に合わせた貫通口36が貫通形成されている。なお、遊技盤Dの前面において遊技領域30内に臨む部分には、多数の遊技釘や風車等の各種遊技部品が配設されている。これにより遊技盤Dは、打球発射装置Gによって遊技領域30に打ち出されたパチンコ球を、遊技釘で誘導したり風車で振り分けたりして、該遊技領域30を流下するパチンコ球の動きを不規則に変化するようになっている。
【0025】
(設置部材)
前記設置部材40は、図6および図8に示すように、前方に開放するバケット状に形成された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられている。設置部材40は、遊技盤Dの後面を構成する設置板部41と、この設置板部41の周縁から前方へ延出形成された周板部42と、この周板部42の前端から外方に向けて延出形成された縁板部43等を備え、これら設置板部41、周板部42および縁板部43は一体的に形成されている。また設置部材40は、周板部42で囲われる前部開口が、円形の遊技領域30の上下・左右寸法と同程度の上下・左右寸法とした矩形状に形成されると共に、縁板部43の外周縁が、遊技盤Dの外周縁におおよそ合わせた形状および大きさで形成されている。このような設置部材40は、縁板部43を遊技盤Dに当接して該遊技盤Dの後面にネジ止め固定され、設置板部41が遊技盤Dの後面から離間配置されて、設置板部41と遊技盤Dとの間に、装飾部材や可動演出装置等を配設可能な空間が画成される。なお、周板部42の左下角部の外側には、後述する互換防止部材70に後側から相対する延出部44が、遊技盤Dの裏面に沿う向きに延出するように形成されている。
【0026】
また、前記設置部材40には、図5、図6および図8に示すように、設置板部41に四角形状の表示開口45が前後に貫通形成されており、図柄表示装置Hが、表示部H1を表示開口45に臨ませた状態で設置板部41の後側に着脱可能に取り付けられる(図6では、図柄表示装置Hは図示省略してある)。また、設置板部41における図柄表示装置Hの取付け領域の下側後面には、3つの基板設置部49が左右に離間して設けられ、各基板設置部49には各々中継基板50が設置されている。前記中継基板50は、設置部材40の前側に設けられる前記第1〜第3の可動演出装置46,47,48や、発光演出装置および照明装置等の演出側電気機器と、前記セット部材18の後側に取り付けられる前記制御装置52等の制御側電気機器とを電気的に中継するものである。
【0027】
更に、前記設置部材40は、図5、図6および図8に示すように、設置板部41の前側に、遊技盤Dを演出または装飾する装置や部材が設置されている。すなわち、設置板部41の表示開口45の上側に延在する上辺部41Aの前面には第1可動演出装置46が設置され、設置板部41における表示開口45の右側に延在する右辺部41Bの前面には第2可動演出装置47が設置されると共に、設置板部41における表示開口45の左側に延在する左辺部41Cの前面には第3可動演出装置48が設置されている。第1可動演出装置46は、前記表示窓口34の上部に臨んで図柄表示装置Hの前側上方に位置し、該図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を昇降させ得るようになっている。第2可動演出装置47は、前記表示開口45の右部に位置して、図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を進退させ得るようになっていると共に、第3可動演出装置48は、前記表示開口45の左部に位置して、図柄表示装置Hの表示部H1での演出に連動して該表示部H1の前側へ可動部材を進退させ得るようになっている。
【0028】
次に、実施例に係る遊技盤の互換防止構造について説明する。ここでは、図3および図4に示す中枠B(B1)および該中枠B1に装着される遊技盤D(D1)を備えるパチンコ機を「第1のパチンコ機P1」とし、図14に示す中枠B(B2)および該中枠B2に装着される遊技盤D(D2)を備えるパチンコ機を「第2のパチンコ機P2」として、2種類のパチンコ機P1,P2における遊技盤D1,D2の互換防止につき例示する。なお、中枠B1に組み合わさせる遊技盤D1は1種類でなくてもよく、該中枠B1に組合わせ可能な複数種類の遊技盤D1を設けることが可能である。同様に、中枠B2に組み合わさせる遊技盤D2も1種類でなくてもよく、該中枠B2に組合わせ可能な複数種類の遊技盤D2を設けることが可能である。
【0029】
実施例に係る遊技盤の互換防止構造は、図1、図3、図4および図14に示すように、中枠B(B1,B2)の遊技盤保持部14に設けられ、当該中枠B(B1,B2)の種別毎に固有の形状をなす識別部55(55A,55B)と、遊技盤D(D1,D2)において前記遊技盤保持部14に設けた識別部55(55A,55B)に対応して設けられ、該識別部55(55A,55B)に整合する形状をなす被識別部79(79A,79B)とを有している。すなわち、実施例の互換防止構造は、適合した組合わせの中枠Bおよび遊技盤Dにおいては、前記識別部55と被識別部79とが整合するようになっていて、該中枠Bの遊技盤保持部14に対する該遊技盤Dの装着を許容する。しかし、適合しない組合わせの中枠Bおよび遊技盤Dにおいては、識別部55と被識別部79とが整合しないようにして、該中枠Bの遊技盤保持部14に対する該遊技盤Dの装着を不能とする。ここで、本願が意味する「種別」とは、例えば(1)公的機関による検査に合格して所定基準に適合した中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、(2)パチンコ機Pのメーカにおいて独自に設定された基準に適合した中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、(3)パチンコ機Pの各機種毎の中枠Bと遊技盤Dとの組合わせで区別される種類、等である。
【0030】
そして、実施例の遊技盤の互換防止構造では、遊技盤Dに設けられた被識別部79が、該遊技盤Dをなすベニヤ合板または合成樹脂製の平板状部材とは別部材として構成されて該平板状部材に装着して固定される互換防止部材70に形成されている。すなわち、前記中枠Bの遊技盤保持部14に形成された前記識別部55と整合する形状をなす被識別部79が形成された互換防止部材70を装着した遊技盤Dだけが、該中枠Bに適合する組合わせの遊技盤として、該識別部55および被識別部79の整合下に遊技盤保持部14への装着が許容されるよう構成されている。
【0031】
(識別部)
図1、図3および図4に示すように、中枠Bの遊技盤保持部14における左下隅部の後側には、前側から見て縦長矩形状をなす識別部55が、該遊技盤保持部14の開口中心側へ突出した状態で設けられている。この識別部55は、突片状をなして中枠Bの成形時に該中枠Bに一体的に形成されたものであり、遊技盤保持部14に対する遊技盤Dの装着側である前側から見た形状が、種類毎に異なった形状、形態に設定されている。なお、実施例の遊技盤の互換防止構造では、前述したように、第1のパチンコ機P1および第2のパチンコ機P2毎に異なる中枠B1,B2があり、各中枠B1,B2は各々形状が異なる識別部55A,55Bが設けられている。すなわち、図3および図4に示す第1のパチンコ機P1における中枠B1の識別部55Aは、前側から見た形状が、縦長の長方形に突出した形状とされている。また、図14に示す第2のパチンコ機P2における中枠B2の識別部55Bは、第1のパチンコ機P1における中枠Bの識別部55Aと比較すると、縦寸法が小さく横寸法が大きい略正方形に突出した形状とされている。
【0032】
(装着部)
図6、図7、図10、図11および図16に示すように、各遊技盤D1,D2の左下角部には、前記互換防止部材70を後側からセットして装着する装着部60が形成されている。この装着部60は、遊技盤D1,D2の左下角部に隣接した裏側部分を、遊技盤D1,D2の裏面から該遊技盤D1,D2の厚みの1/2程度に切り欠いて段差状に形成した部位であって、遊技盤D1,D2の左端側および下端側へ夫々開放している。そして、段差をもって形成された装着部60の輪郭縁には、図7および図10に示すように、互換防止部材70に設けられた位置決め端部76と整合する位置決め縁部62が、逆L字状に延在形成されている。また、装着部60における後方を指向する装着面61には、後方に開口する位置決め凹部(被位置決め部)63が、上下に長くかつ上縁および下縁が半円状をなすように形成されており、互換防止部材70に前方へ凸となる形状に設けられた位置決め凸部(位置決め部)77が後方から嵌合可能となっている。すなわち、位置決め凹部63と位置決め凸部77とは、前記位置決め縁部62と位置決め端部76とが対向して整合した状態において、前後に対向して整合するように形成されている。
【0033】
また、図7および図10に示すように、遊技盤D1,D2の裏面において、前記装着部60の上方には、ネジ締結孔64が形成されている。このネジ締結孔64には、互換防止部材70に設けた固定手段80を構成する固定板部81に貫通して、該固定板部81に係止される固定ネジ(固定部材)82がねじ込まれるようになっている。
【0034】
(互換防止部材)
実施例の遊技盤の互換防止構造では、第1のパチンコ機P1における中枠B1と組み合わされる遊技盤D1および第2のパチンコ機P2における中枠B2と組み合わされる遊技盤D2があるので、遊技盤D1に装着される互換防止部材70と遊技盤D2に装着される互換防止部材70とを備えている。遊技盤D1に装着される互換防止部材70は、図9に示すように、中枠B1の遊技盤保持部14に設けられた識別部55A(図4参照)に整合する被識別部79Aが形成され、遊技盤D2に装着される互換防止部材70は、図15に示すように、中枠B2の遊技盤保持部14に設けられた識別部55B(図14参照)に整合する被識別部79Bが形成されている。
【0035】
各互換防止部材70は、例えば合成樹脂製の一体成形されたブロック部材であって、図9、図10および図15に示すように、前記位置決め凹部63を覆う形状に形成された係合部73と、該係合部73の上部から左方へ水平に延在する固定部74とを有している。これら係合部73および固定部74は、前記装着部60の装着面61から後方へ離間して遊技盤Dの裏面と面一となる平坦状の壁部71と、この壁部71の外縁全周の全周に亘って延在して該装着面61に向けて延出する周縁リブ72とで形成されている。すなわち互換防止部材70は、前記壁部71および前記周縁リブ72が同じ厚みに形成され、遊技盤Dの裏面と前記装着部60との段差と同じ厚み寸法で形成されている。なお、係合部73における壁部71の裏面には、左右水平に延在すると共に装着面61に向けて延出する補強リブ75が設けられている。
【0036】
図9〜図11および図15に示すように、前記各互換防止部材70において、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲外側に位置する部分は、遊技盤Dの装着部60に設けられた前記位置決め縁部62に対して整合する形状に形成されており、前記位置決め端部76として機能する。すなわち位置決め端部76は、係合部73の右端面から固定部74の上端面に亘って倒立L形に延在形成されており、該位置決め端部76を前記位置決め縁部62に整合させることで、装着部60に対して互換防止部材70の正確な位置決めが図られる。遊技盤D1に装着される互換防止部材70の位置決め端部76および遊技盤D2に装着される互換防止部材70の位置決め端部76は、同じ形状に形成されている。また、遊技盤D1の装着部60に設けた位置決め縁部62および遊技盤D2の装着部60に設けた位置決め縁部62も、同じ形状に形成されている。
【0037】
また、図9、図10および図15に示すように、前記各互換防止部材70において、係合部73の上部には、壁部71から装着部60の装着面61側(前方)へ突出する前記位置決め凸部77が形成されている。この位置決め凸部77は、壁部71が装着面61側へ膨出した形態であって、該壁部71と同じ厚みで周縁リブ72の前端よりも装着面61側へ突出しており、上部が上方へ湾曲すると共に下部が下方へ湾曲し、かつ突出した前部が前方へ湾曲した曲面状に形成されている。そして位置決め凸部77は、前記位置決め端部76が前記位置決め縁部62とが整合した状態において、装着部60の装着面61に設けた前記位置決め凹部63に対して、後方から整合すると共に突入して嵌合する位置および形状に設定されている(図12参照)。また、位置決め凸部77が位置決め凹部63に嵌合した状態では、互換防止部材70が装着部60に仮止めされた状態となり、遊技盤Dを垂直に立てても該互換防止部材70は該装着部60から容易に脱落しない。しかも位置決め凸部77は、突出した前部が曲面状に形成されているので、位置決め凹部63に対して嵌合し易くなっている。遊技盤D1に装着される互換防止部材70の位置決め凸部77および遊技盤D2に装着される互換防止部材70の位置決め凸部77は、各々の係合部73の同じ位置において同じ形状に形成されている。また、遊技盤D1の装着部60に設けた位置決め凹部63および遊技盤D2の装着部60に設けた位置決め凹部63も、各装着部60の同じ位置において同じ形状に形成されている。
【0038】
更に、図9〜図13に示すように、遊技盤D1に装着される前記互換防止部材70は、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲内側に位置する部分が、中枠B1の遊技盤保持部14に設けた前記識別部55Aに対して整合する形状となっており、前記被識別部79Aとして機能する。すなわち、中枠B1の識別部55Aは、縦長の長方形に突出した形状とされているので、図9に示す互換防止部材70の被識別部79Aは、縦長の長方形に切り欠かれて該識別部55Aに整合する凹形状とされている。また、図15に示すように、遊技盤D2に装着される前記互換防止部材70は、周縁リブ72における係合部73と固定部74との屈曲内側に位置する部分が、中枠B2の遊技盤保持部14に設けた前記識別部55Bに対して整合する形状に形成されて、前記被識別部79Bとして機能する。すなわち、中枠B2の識別部55Bは、中枠B1の識別部55Aと比較すると、縦寸法が小さく横寸法が大きい略正方形に突出した形状とされているので、図15に示す互換防止部材70の被識別部79Bは、略正方形に切り欠かれて該識別部55Bに整合する凹形状とされている。
【0039】
また更に、図9、図10、図15および図16に示すように、前記各互換防止部材70において、固定部74には、遊技盤Dの裏面に係止されて、該互換防止部材70を該遊技盤Dに脱落不能に固定する固定手段80を備えている。この固定手段80は、設置部材40の前記延出部44から外れた位置で遊技盤D1,D2の裏面に沿って上方へ延出する固定板部81と、遊技盤D1,D2の裏面に設けた前記ネジ締結孔64にねじ込んで係止され、固定板部81を該遊技盤D1,D2の裏面に固定する固定部材としての固定ネジ82とを備えている。前記固定板部81には、前記固定ネジ82の軸部の通過を許容すると共に頭部の通過を規制する開口径のネジ挿通孔83が形成されている。このネジ挿通孔83は、互換防止部材70を遊技盤D1,D2の装着部60に位置決めセットした際に、前記ネジ締結孔64に後方から整合するようになっている。従って、互換防止部材70を装着部60にセットした状態で、ネジ挿通孔83に後側から挿通させた該固定ネジ82を遊技盤Dのネジ締結孔64にねじ込んで締結することで、該互換防止部材70が遊技盤D1,D2に脱落不能に固定される。
【0040】
また更に、図9および図10に示すように、前記互換防止部材70において、係合部73の上部には、後方へ開口した係合凹部(被係合部)78形成されている。この係合凹部78は、前記設置部材40の左下角部に設けた前記延出部44から前方へ突出形成された係合凸部(係合部)51が、後方から整合して係脱可能に係合するようになっている。すなわち、前記固定手段80により互換防止部材70を前記装着部60に固定した状態で、前記設置部材40を前記遊技盤D1,D2の裏面に配設する際に、係合凹部78に係合凸部51を係合することで遊技盤D1,D2に対する設置部材40の位置決めが図られるようになっている。なお、前記係合凹部78は、前記位置決め凸部77が壁部71から前方へ膨出するように形成したことに伴って、該位置決め凸部77の後側において後方へ開口した部分であり、これら係合凹部78と位置決め凸部77とは前後方向において同じ位置に重なって設けられている。そして、設置部材40を遊技盤D1,D2の裏面に配設した状態では、該設置部材40の延出部44が遊技盤D1,D2に固定した互換防止部材70の壁部71に対して後側から部分的に当接するようになるから、該互換防止部材70は遊技盤D1,D2および設置部材40により前後から挟まれた状態に保持される。
【0041】
前記2種類の各互換防止部材70は、前記位置決め端部76、位置決め凹部63、係合凹部78、固定手段80の固定板部81および固定ネジ82の構成は同じであり、被識別部79(79A,79B)だけが異なっている。このため各互換防止部材70は、夫々が容易に識別されて区別されるように、互いに異なる色に着色されていると共に、前記遊技盤Dとも異なる色に着色されている。なお、互換防止部材70に対する着色は、該互換防止部材70の成形材料を着色したり、該互換防止部材70の成形後に塗装や印刷等により着色する。
【0042】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の遊技盤の互換防止構造の作用につき説明する。
【0043】
第1のパチンコ機P1は、該第1のパチンコ機P1を構成する中枠B1および遊技盤D1において、図4に示す形状の識別部55Aが該中枠B1の遊技盤保持部14に設けられると共に、図4に示す識別部55Aと整合する形状の被識別部79Aを設けた図9に示す互換防止部材70を、該遊技盤D1の装着部60に前記固定手段80を利用して固定する。一方、第2のパチンコ機P2は、該第2のパチンコ機P2を構成する中枠B2および遊技盤D2において、図14に示す形状の識別部55Bが該中枠B2の遊技盤保持部14に設けられると共に、図14に示す識別部55Bと整合する形状の被識別部79Bを設けた図15に示す互換防止部材70を、該遊技盤D2の装着部60に固定手段80を利用して固定する。
【0044】
ここで、第1のパチンコ機P1において、遊技盤D1の装着部60に対して互換防止部材70を装着する際には、図10に示すように、該装着部60の位置決め縁部62に対して該互換防止部材70の位置決め端部76を整合させると共に、該装着部60の位置決め凹部63に該互換防止部材70の位置決め凸部77を整合させることで、当該互換防止部材70を該装着部60に適切に位置決めした状態でセットし得る。これにより、互換防止部材70の固定手段80における固定板部81が遊技盤Dの裏面に当接すると共に、該固定板部81に設けたネジ挿通孔83が遊技盤D1に設けたネジ締結孔64に整合するので、該ネジ挿通孔83に挿通した固定ネジ82をネジ締結孔64にねじ込んで締結する。従って互換防止部材70は、遊技盤D1の裏面に、固定手段80により脱落不能に装着される。また、第2のパチンコ機P2において、遊技盤D2の装着部60に対して互換防止部材70を装着する際も同様である。
【0045】
遊技盤D1に設けられる装着部60および遊技盤D2に設けられる装着部60は、前述したように、各々の位置決め縁部62および位置決め凹部63が同じ形状となっており、同じ作業工程で遊技盤D1の装着部60および遊技盤D2の装着部60を形成することができるから、遊技盤D1,D2の製造作業の効率化が図られる。また、遊技盤D1に装着される互換防止部材70および遊技盤D2に装着される互換防止部材70は、前述したように、各々の位置決め端部76および位置決め凸部77が同じ形状となっており、同じ作業手順で遊技盤D1に互換防止部材70を装着できると共に遊技盤D2に互換防止部材70を装着できる。すなわち、組立作業者が同じ作業手順で遊技盤D1および遊技盤D2に対して互換防止部材70を装着できるから、作業手順を混同して手間取る等の不都合が生じない。
【0046】
次いで、第1のパチンコ機P1では、互換防止部材70が装着された遊技盤D1の裏側に、前記図柄表示装置Hおよび前述した様々な機器や部品を装着した前記設置部材40を装着する。この際に、遊技盤Dに装着した互換防止部材70の係合凹部78に、設置部材40の延出部44に設けた前記係合凸部51を嵌合させる。これにより互換防止部材70は、図11および図12に示すように、遊技盤D1と設置部材40とで前後から挟まれた状態で保持される。第2のパチンコ機P2においても、遊技盤D2の装着部60に装着された互換防止部材70は、図16に示すように、遊技盤D2と設置部材40とで前後から挟まれた状態で保持される。
【0047】
そして、図9に示す互換防止部材70を装着した第1のパチンコ機P1における遊技盤D1を、該第1のパチンコ機P1における中枠B1の遊技盤保持部14に装着する。すなわち遊技盤D1は、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤D1の左端部を前記回転保持具15,15で保持させることで、該遊技盤D1に装着した互換防止部材70の被識別部79Aが中枠Bの識別部55Aに相対する。次いで、回転保持具15,15を中心として、遊技盤D1の右端部を中枠B1に近接させるように該遊技盤D1を回転させる。この際に、中枠B1と遊技盤D1とが適切な組み合わせであるから、図1および図13に示すように、該遊技盤D1の被識別部79Aと該中枠Bの識別部55Aとが整合し、該遊技盤D1は中枠B1の遊技盤保持部14へ適切にセットされる。従って、遊技盤D1の右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで該遊技盤D1が中枠B1に装着され、中枠B1と遊技盤D1とが組み合わされた第1のパチンコ機P1が構成される。
【0048】
また、図15に示す互換防止部材70を装着した第2のパチンコ機P2における遊技盤D2を、該第2のパチンコ機P2における中枠B2の遊技盤保持部14に装着する。すなわち遊技盤D2は、遊技盤保持部14に対して前側から臨ませて、先ず該遊技盤D2の左端部を前記回転保持具15,15で保持させることで、該遊技盤D2に装着した互換防止部材70の被識別部79Bが中枠Bの識別部55Bに相対する。次いで、回転保持具15,15を中心として、遊技盤D2の右端部を中枠B2に近接させるように該遊技盤D2を回転させる。この際に、中枠B2と遊技盤D2とが適切な組み合わせであるから、図17に示すように、該遊技盤D2の被識別部79Bと該中枠Bの識別部55Bとが整合し、該遊技盤D2は中枠B2の遊技盤保持部14へ適切にセットされる。従って、遊技盤D2の右端部の上下を前記固定具16,16で保持することで該遊技盤D2が中枠B2に装着され、中枠B2と遊技盤D2とが組み合わされた第2のパチンコ機P2が構成される。
【0049】
一方、図15に示す互換防止部材70を装着した第2のパチンコ機P2における遊技盤D2を、第1のパチンコ機P1における中枠B1の遊技盤保持部14に装着しようとした場合には、左端部を前記回転保持具15,15で保持させた該遊技盤D2を該回転保持具15,15を中心として回転させる際に、該遊技盤D2の被識別部79Bと中枠B1の識別部55Aとが整合せずに引掛かるので、該遊技盤D2が該中枠B1の遊技盤保持部14へセットできない。従って、装着しようとした第2のパチンコ機P2用の遊技盤D2が、第1のパチンコ機P1を構成するものではなく、種類が異なるものであることが認識され、第2のパチンコ機P2の該遊技盤D2が第1のパチンコ機P1の中枠B1に装着されて第1のパチンコ機P1として遊技に供される不都合が好適に回避できる。
【0050】
同様に、図9に示す互換防止部材70を装着した第1のパチンコ機P1における遊技盤D1を、第2のパチンコ機P2における中枠B2の遊技盤保持部14に装着しようとした場合には、左端部を前記回転保持具15,15に保持させた該遊技盤D1を該回転保持具15,15を中心として回転させる際に、該遊技盤D1の被識別部79Aと中枠B2の識別部55Bとが整合せずに引掛かるので、該遊技盤D1が該中枠B2の遊技盤保持部14へセットできない。従って、装着しようとした第1のパチンコ機P1用の遊技盤D1が、第2のパチンコ機P2を構成するものでなく、種類が異なるものであることが認識され、第1のパチンコ機P1の該遊技盤D1が第2のパチンコ機P2の中枠B2に装着されて第2のパチンコ機P2として遊技に供される不都合も好適に回避できる。
【0051】
なお、各中枠B1,B2においては、識別部55A,55Bが、前記回転保持具15が配設された左枠部材12の下部に設けられており、各遊技盤D1,D2においては、被識別部79A,79Bが設けられた互換防止部材70が、遊技盤D1,D2の左下角部に設けられている。このため、中枠B1に遊技盤D2を装着する場合および中枠B2に遊技盤D1を装着する場合には、該遊技盤D1,D2の左端部を回転保持具15,15で保持させる際または該遊技盤D1,D2を該回転保持具15,15を中心として回転させ始める際に、識別部55A,55Bと被識別部79A,79Bとが整合しなくなる。従って、遊技盤保持部14に対する遊技盤D1,D2の装着作業の早い段階で種類が異なる遊技盤であることを認識でき、遊技盤D1,D2の装着作業を効率よく行なうことができる。
【0052】
また、固定手段80における互換防止部材70に一体的に形成した固定板部81を、該固定手段80における固定ネジ82を遊技盤Dの裏面にねじ込んで締結しているので、遊技盤Dおよび設置部材40の延出部44で挟持された互換防止部材70は、該設置部材40を遊技盤Dから取り外しても該遊技盤Dに脱落することなく固定保持される。これにより、第1のパチンコ機P1および第2のパチンコ機P2が遊技店に納入された後に、設置部材40に配設した遊技部品のメンテナンスや修理等を実施するに際して該設置部材40を遊技盤D1,D2の裏面から取外しても、互換防止部材70が遊技盤D1,D2から脱落する不都合が発生しない。従って、互換防止部材70の未装着によって第1のパチンコ機P1の遊技盤D1が第2のパチンコ機P2用の中枠B1の遊技盤保持部14に装着されることが防止されると共に、第2のパチンコ機P2の遊技盤D2が第1のパチンコ機P1の中枠B1の遊技盤保持部14に装着されることも防止され、互換防止部材70の未装着により互換防止が図られなくなる不都合も回避し得る。
【0053】
また、実施例の遊技盤の互換防止構造では、形状が異なる被識別部79A,79Bを形成した各互換防止部材70が、各々異なる色に着色されると共に遊技盤Dとも異なる色に着色されているので、遊技盤D1,D2の装着部60に対する互換防止部材70の装着作業に際して、種類が異なる互換防止部材70を遊技盤D1,D2に間違って装着することを防止し得る。また、遊技盤Dの装着部60に装着された互換防止部材70の種類を一目で認識することができ、各々の遊技盤D1,D2に適切な互換防止部材70が装着されているか否かを簡易かつ正確に確認することもできる。
【0054】
〔変更例〕
本発明に係る遊技盤の互換防止構造は、実施例のものに限られず種々の変更が可能である。
(1)中枠B(B1,B2)に設けた識別部55(55A,55B)および遊技盤D(D1,D2)に設けた被識別部79(79A,79B)の形状、形態は、図4および図9に示した形状、形態や、図14および図15に示した形状、形態に限定されず、種別毎に異なる形状、形態であれば様々に変更可能である。
(2)識別部55(55A,55B)を設ける部位は、中枠Bの遊技盤保持部14における左下隅部に限らず、該遊技盤保持部14の左上隅部、右上隅部または右下隅部であってもよい。また、遊技盤保持部14における下縁部分の中間部分、上縁部分の中間部分、左縁部分の中間部分または右縁部分の中間部分であってもよい。また、識別部55(55A,55B)の配設数は、1つに限定されず複数設けるようにしてもよい。なお、被識別部79(79A,79B)を設ける位置は、識別部55(55A,55B)を設ける位置に合わせて、遊技盤D(D1,D2)の左上角部、右上角部または右下角部や、下縁中間部分、上縁中間部分、左縁中間部分または右縁中間部分に設けられる。
(3)前記識別部55(55A,55B)は、前記中枠B(B1,B2)とは別体に構成した識別部材に設けるようにして、この識別部材を、別成形された中枠B(B1,B2)に対して装着固定する構成としてもよい。この場合には、中枠B(B1,B2)における遊技盤保持部14の左下隅部に臨む位置に設置部を設け、この設置部に対して、識別部材をネジ等の固定手段により固定して、識別部55を該遊技盤保持部14に臨ませるようにしてもよい。このように、識別部55(55A,55B)を形成した識別部材を中枠Bと別体とすれば、該中枠B(B1,B2)を種別毎に共通化することが可能である。
(4)実施例では、固定手段80における固定部材82として、遊技盤D(D1,D2)のネジ締結孔64にねじ込まれる固定ネジを例示したが、該固定部材82はネジに限定されず、遊技盤D(D1,D2)に係止されるピンや金具等であってもよい。
(5)実施例では、互換防止部材70に設けた位置決め部77を、該互換防止部材70から遊技盤D(D1,D2)に向け突出した位置決め凸部とすると共に、装着部66に設けた被位置決め部63を、前記位置決め部77が相対して嵌合する位置決め凹部としたが、位置決め部77を凹部とすると共に、被位置決め部63を、装着部66から互換防止部材70に向け突出して位置決め部77に嵌合する凸部としてもよい。
(6)実施例では、互換防止部材70に設けた被係合部78を係合凹部とすると共に、設置部材40の延出部44に設けた係合部51を、該被係合部78に係脱可能に係合する係合凸部としたが、被係合部78を。延出部44に向け突出する凸部とすると共に、係合部51を、該被係合部78が係合可能な凹部としてもよい。
(7)遊技盤D(D1,D2)の裏面に設けられるネジ締結孔64の形成位置と、互換防止部材70に設けられた固定板部81に形成されるネジ挿通孔83の形成位置とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このようにネジ締結孔64とネジ挿通孔83の形成位置を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D2,D1)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、ネジ締結孔64とネジ挿通孔83とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(8)遊技盤D(D1,D2)の装着部60に設けられる被位置決め部63の形成位置や形状と、該装着部60に装着される互換防止部材70に設けられる位置決め部77の形成位置や形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように被位置決め部63の形成位置や形状と位置決め部77の形成位置や形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D1,D2)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、被位置決め部63と位置決め部77とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(9)遊技盤D(D1,D2)の装着部60に設けられる位置決め縁部62の形状と、該装着部60に装着される互換防止部材70に設けられる位置決め端部76の形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように位置決め縁部62の形状と位置決め端部76の形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の装着部60に、種類が異なる別の遊技盤D(D2,D1)に装着される互換防止部材70を装着しようとした場合に、位置決め縁部62と位置決め端部76とが整合しないので、当該互換防止部材70が適合したものでないことを装着部60に装着する前に認識し得るようにできる。
(10)互換防止部材70に設けられる被係合部78の形成位置や形状と、設置部材40の延出部44に設けられる係合部51の形成位置や形状とを、種別毎に変更するようにしてもよい。このように被係合部78の形成位置や形状と係合部51の形成位置や形状を種別毎に変更すれば、例えば当該遊技盤D(D1,D2)の裏面に、種類が異なる遊技盤D(D2,D1)に配設される設置部材40を配設しようとした場合に、被係合部78と係合部51とが整合しないので、当該設置部材40が適合したものでないことを遊技盤D(D1,D2)に配設する前に認識し得るようにできる。
(11)実施例では、遊技盤の装着部に対して該遊技盤の裏側から互換防止部材を装着する形態を示したが、これに限らず、遊技盤の前側から互換防止部材を装着するよう構成することも可能である。
(12)実施例では、遊技機としてのパチンコ機に配設される遊技盤の互換防止構造を示したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
14 遊技盤保持部,40 設置部材,44 延出部,51 係合凸部(係合部)
55 識別部,63 位置決め凹部(被位置決め部),79 被識別部,70 互換防止部材
77 位置決め凸部(位置決め部),78 係合凹部(被係合部),80 固定手段
81 固定板部,82 固定ネジ(固定部材),B 中枠(枠部材),D 遊技盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤の裏面に、各種遊技部品が取り付けられた設置部材が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材に形成された遊技盤保持部に前記遊技盤を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造であって、
前記枠部材には、前記遊技盤保持部に、該枠部材の種別毎に固有の形状をなす識別部が形成され、
前記遊技盤には、前記遊技盤保持部における識別部の形成位置に対応して被識別部が形成された互換防止部材が、該遊技盤と前記設置部材とで挟まれた状態で配設されると共に、
前記互換防止部材は、前記遊技盤の裏面に係止されて該互換防止部材を該遊技盤に脱落不能に固定する固定手段を備え、
前記枠部材の遊技盤保持部に形成された識別部と整合する形状をなす被識別部が形成された前記互換防止部材を装着した遊技盤だけが、該識別部および被識別部の整合下に、枠部材の該遊技盤保持部への装着が許容されるよう構成された
ことを特徴とする遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記設置部材から外れた位置で前記遊技盤の裏面に沿って延出する固定板部と、前記遊技盤の裏面に係止され、前記固定板部を該遊技盤の裏面に固定する固定部材とを備える請求項1記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項3】
前記互換防止部材は、前記遊技盤に設けられた該互換防止部材を装着する装着部に形成された被位置決め部に整合する位置決め部を備える請求項1または2記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記互換防止部材から遊技盤に向け突出した凸部または該遊技盤に向け開口した凹部であり、
前記被位置決め部は、前記位置決め部と相対して嵌合する形状に形成された請求項3記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項5】
前記互換防止部材における前記遊技盤の裏面と面一となる外面に凹設または凸設された被係合部と、
前記設置部材における前記互換防止部材の裏側へ延出する延出部に設けられ、前記被係合部に係脱可能に係合する係合部とを備え、
前記固定手段により前記互換防止部材を前記装着部に固定した状態で前記設置部材を前記遊技盤に配設する際に、前記被係合部と係合部とが係合するよう構成された請求項1〜4の何れか一項に記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項6】
前記互換防止部材は、前記被識別部の形状が異なる別の互換防止部材とは異なる色でかつ前記遊技盤とも異なる色に着色されている請求項1〜5の何れか一項に記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技盤の裏面に、各種遊技部品が取り付けられた設置部材が着脱可能に配設されると共に、機体を構成する枠部材に形成された遊技盤保持部に前記遊技盤を着脱可能に取り付けて構成される遊技機における遊技盤の互換防止構造であって、
前記枠部材には、前記遊技盤保持部に、該枠部材の種別毎に固有の形状をなす識別部が形成され、
前記遊技盤には、前記遊技盤保持部における識別部の形成位置に対応して被識別部が形成された互換防止部材が、該遊技盤と前記設置部材とで挟まれた状態で配設されると共に、
前記互換防止部材は、前記遊技盤の裏面に係止されて該互換防止部材を該遊技盤に脱落不能に固定する固定手段を備え、
前記枠部材の遊技盤保持部に形成された識別部と整合する形状をなす被識別部が形成された前記互換防止部材を装着した遊技盤だけが、該識別部および被識別部の整合下に、枠部材の該遊技盤保持部への装着が許容されるよう構成された
ことを特徴とする遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記設置部材から外れた位置で前記遊技盤の裏面に沿って延出する固定板部と、前記遊技盤の裏面に係止され、前記固定板部を該遊技盤の裏面に固定する固定部材とを備える請求項1記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項3】
前記互換防止部材は、前記遊技盤に設けられた該互換防止部材を装着する装着部に形成された被位置決め部に整合する位置決め部を備える請求項1または2記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記互換防止部材から遊技盤に向け突出した凸部または該遊技盤に向け開口した凹部であり、
前記被位置決め部は、前記位置決め部と相対して嵌合する形状に形成された請求項3記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項5】
前記互換防止部材における前記遊技盤の裏面と面一となる外面に凹設または凸設された被係合部と、
前記設置部材における前記互換防止部材の裏側へ延出する延出部に設けられ、前記被係合部に係脱可能に係合する係合部とを備え、
前記固定手段により前記互換防止部材を前記装着部に固定した状態で前記設置部材を前記遊技盤に配設する際に、前記被係合部と係合部とが係合するよう構成された請求項1〜4の何れか一項に記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【請求項6】
前記互換防止部材は、前記被識別部の形状が異なる別の互換防止部材とは異なる色でかつ前記遊技盤とも異なる色に着色されている請求項1〜5の何れか一項に記載の遊技機における遊技盤の互換防止構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−249900(P2012−249900A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125852(P2011−125852)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]