遊技機の可動装飾部品
【課題】ソレノイドを大型化することなく装飾部材の変位を大きく取ることができる遊技機の可動装飾部品を提供する。
【解決手段】ソレノイドにより支軸71を中心に上下動される動力伝達部材7と、動力伝達部材7によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材2とを備える可動装飾部品であって、装飾部材2のシーソー軸41の近傍に駆動軸52を設け、動力伝達部材7には、広幅の穴部73とを設けて、前記駆動軸52を穴部73に回動可能に遊嵌する。これによって、動力伝達部材7が上下動されて装飾部材2が傾動されたときに、装飾部材2の傾動の慣性により、穴部73の一方の内壁に当接していた駆動軸52が他方の内壁に当接するまで傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材2をさらに大きく傾動させることができる。
【解決手段】ソレノイドにより支軸71を中心に上下動される動力伝達部材7と、動力伝達部材7によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材2とを備える可動装飾部品であって、装飾部材2のシーソー軸41の近傍に駆動軸52を設け、動力伝達部材7には、広幅の穴部73とを設けて、前記駆動軸52を穴部73に回動可能に遊嵌する。これによって、動力伝達部材7が上下動されて装飾部材2が傾動されたときに、装飾部材2の傾動の慣性により、穴部73の一方の内壁に当接していた駆動軸52が他方の内壁に当接するまで傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材2をさらに大きく傾動させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの装飾に用いられる遊技機の可動装飾部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、遊技の興趣を盛り上げるために各種の装飾部品が配置されている。例えば、特許文献1には、透明な容器内に気体が封入され、この容器の表面の一部を接地したときに、その接地部位に向けて、放電極からの放電がなされるプラズマ管と、このプラズマ管の外部に配置されたキャラクタ模型とを備えた遊技機が開示されている。このキャラクタ模型17には、ガラス管15の表面に近接した場合にこの表面を接地することが可能なアース板17Eが、金槌26の先端に設けられている。この金槌26は腕部17Cの先端にピン17Bを中心に回動可能に取付けられており、腕部17Cの中ほどに接続されたソレノイド18のプランジャ18Aの進退によって、ガラス管15の表面に対して近接又は離隔することができる。
【0003】
ところで、上記したような構造の装飾部品において、装飾効果を高めるために金槌26の動きを大きくする場合には、ピン17Bとプランジャ18Aの接続部との距離を短くするか、プランジャ18Aの移動の距離を大きくして、金槌26の変位を大きくする必要がある。しかし、ピン17Bとプランジャ18Aの接続部との距離を短くした場合には、プランジャ18Aに大きな負荷がかかるのでソレノイド18を大型のものにする必要がある。また、プランジャ18Aの移動の距離を大きくする場合にも、ソレノイド18を大型のものにする必要がある。このため、コストの上昇、消費電力の増大を招くといった問題があった。
【特許文献1】特開2004−129892号公報 (図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、ソレノイドを大型化することなく装飾部材の変位を大きく取ることができる遊技機の可動装飾部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技機の可動装飾部品は、
ソレノイドによって上下動される駆動用部材と、駆動用部材によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材とを備えた遊技機の可動装飾部品であって、
装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、駆動用部材には広幅の穴部を設けて、前記駆動軸をこの穴部に回動可能に遊嵌することにより、
駆動用部材が上下動されて装飾部材が反転傾動されたときに、傾動の慣性により駆動軸が穴部の中を傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動するように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
上記した発明において、装飾部材の中程に、装飾部材とともに反転傾動可能な長円形の窪み部を設け、この窪み部にシーソー軸を設けるとともに、窪み部の中に転動体を装入して、
装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体が下端側に転動して、装飾部材の反転傾動を確実に行うようにすることができる。
【0007】
また、装飾部材を、シーソー軸から一方に延出する装飾アームと、この装飾アームから反対方向に延出するバランスウエイトとを有するものとすることができ、
駆動用部材を、支軸を中心に上下動する動力伝達部材と、ソレノイドのプランジャに係止される係止片とからなるものとして、動力伝達部材には、広幅の孔部と、支軸から放射状に延出する突条部を設けるとともに、係止片には、凹状の鉤部を設けて、前記突条部と鉤部とを係合させることにより、動力伝達部材がソレノイドによって上下動されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、この駆動軸を駆動用部材に設けた広幅の穴部に遊嵌したので、駆動用部材の上下動により装飾部材が反転傾動されたときに、その傾動の慣性により駆動軸が穴部の一方の内壁からこれに対応する他方の内壁に当接するまで回動されるので、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、装飾部材の中程に設けた長円形の窪み部の中に転動体を転動可能に装入したので、装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体を下端側に転動させて、装飾部材の反転傾動を確実に行うことができる。
請求項3の発明は、装飾部材を装飾アームとバランスウエイトとにより形成したので、複雑形状の装飾部材を容易に製造することができる。
請求項4の発明は、駆動用部材を、動力伝達部材と係止片とからなるものとしたので、動力伝達部材に設けた穴部の変位を大きくすることができ、装飾部材の傾動量を大きくすることができる。よって、ソレノイドを小型化できるうえに配置が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の可動装飾部品について説明する。
図1は可動装飾部品の分解斜視図、図2〜4はそれぞれ可動装飾部品の正面図、側面図、背面図である。図において、1は可動装飾部品の本体、3はソレノイド、4は装飾アーム、5はバランスウエイトである。装飾アーム5には遊技の興趣を盛り上げるような装飾が施されており、一端にシーソー軸41を有する。シーソー軸41は、本体1に設けた軸穴11に本体1の表側から差し込まれている。
【0011】
バランスウエイト5は、一端に長円形の窪み部51が形成された基部55を有し、その窪み部51の底面中央が、シーソー軸41の端部に本体1の裏側から螺着されていて、図5に示すような装飾部材2を構成している。即ち、この装飾部材2においては、シーソー軸41から一方に装飾アーム4が延出し、この装飾アーム4から反対方向にバランスウエイト5が延出していて、装飾アーム4とバランスウエイト5とはシーソー軸41を中心として反対傾動するように一体に組み合わされている。そして、長円形の窪み部51は、装飾部材2とともに反転傾動可能な方向に延伸させて組み付けてある。
【0012】
窪み部51の開口端には、内側にわずかに突出する隆起部53が開口端を周回して形成されている。窪み部51の中には鋼球である転動体Sが嵌めこまれているが、長円形の窪み部51の平行部は、転動体Sの直径よりわずかに大きい幅に形成してあるとともに、対応する隆起部53間の幅は転動体Sの直径より狭く形成してある。この隆起部53は可撓性を有するので、転動体Sは窪み部51から抜け落ちることなく転動可能に嵌め込まれている。転動体Sは装飾部材2が反対傾動された時に、窪み部51内を上位側端部から下位側端部に転動して傾動の慣性を大きくすることができる。
そして、窪み部51の底面の裏側でシーソー軸41から若干離れた位置には、ソレノイド3の駆動力により装飾部材2を傾動させるための駆動軸52が突設されている。
【0013】
また、図1において、6、7は駆動用部材を構成する係止片と動力伝達部材である。
係止片6は、下部にソレノイド3のプランジャ31が嵌め込まれるプランジャ装着部61と、上部に凹状に形成された鉤部62とを有する。
動力伝達部材7は、支軸71から放射方向に延出する突条部72と、駆動軸52が遊嵌される広幅の穴部73とを有しており、支軸71が本体1の裏側所要位置に軸着されていて、動力伝達部材7の上下動を可能としている。
【0014】
係止片6と動力伝達部材7との係合状態を、図6に示す。即ち、突条部72が、凹状の鉤部62に嵌め込まれているので、プランジャ31により上下動される係止片6により、動力伝達部材7を上下方向に回動させることができる。鉤部62に突条部72を嵌め込んだので、動力伝達部材7に設けた穴部73の変位を大きくすることができ、装飾部材2の傾動量を大きくすることができる。よって、ソレノイド3を小型化できるうえに配置が容易となる。
【0015】
また、動力伝達部材7と装飾部材2との係合状態を図7に示す。即ち装飾部材2の駆動軸52が動力伝達部材7の穴部73に遊嵌されているので、駆動軸52はこの穴部73の中をシーソー軸41を中心に回動することができる。
【0016】
以下に装飾部材2が反対傾動される状態を説明する。
図2〜4、7は、ソレノイド3が非通電となってプランジャ31が下方に突出されて動力伝達部材7が係止片6によって最大引き下げられた状態を示す図であって、突条部72は斜め下向きに回動されている。この状態では、駆動軸52が穴部73の下側内壁に当接されているとともに、窪み部51は装飾アーム側端部が低位となっているので、転動体Sは装飾アーム側端部に位置している(図4)。
【0017】
ソレノイド3が通電されてプランジャ31が引き上げされた時には、係止片6が上方に移動されるので、動力伝達部材7が上方に回動される。即ち、突条部72が斜め上を向く図8の状態まで回動される。この回動によって駆動軸52が穴部73の下側内壁により押し上げられて、装飾部材2の装飾アーム4が上方に傾動される。この状態では装飾部材2に傾動を続行する慣性が働く。また、装飾部材2の傾動により基部55に設けた窪み部51の傾斜が逆になるので、転動体Sが窪み部51内を上位側から低位側に転動する。
【0018】
前記慣性と転動体Sの転動によって傾動が続行されて、穴部73の下側内壁に当接されていた駆動軸52は、図9に示すように穴部73の上側内壁に当接するまで回動されることとなる。したがって、穴部73の下側内壁から上側内壁にまで駆動軸52が回動された角度分だけ装飾部材2がさらに大きく傾動される。
なお、装飾部材2が転動体Sを有しないものであっても、シーソー軸41の左右の重量バランスを取ってあるので、傾動の慣性により駆動軸52を上側内壁に当接するまで穴部73内を回動させることができるが、転動体Sを窪み部51内を低位側に転動させることにより、確実に装飾部材2の反転傾動を行うことができる。即ち、図4において、窪み部51内の装飾アーム4側の端部に位置していた転動体Sは、図13に示すように、窪み部51内のバランスウエイト5側の端部に位置するようになるので、その重量によって確実に装飾部材2を反対傾動させることができる。
【0019】
一方、ソレノイド3が非通電となってプランジャ31が降下した場合には、図10に示す状態にまで、プランジャ31の降下により装飾アーム4は下向きに回動される。即ち、動力伝達部材7が係止片6によって最大引き下げられて、突条部72は斜め下向きに回動される。この状態では駆動軸52は穴部73の上側内壁に当接しているが、装飾アーム4及びバランスウエイト5に回動を続行する慣性が働く。また、装飾部材2の回動により窪み部51の傾斜が逆になるので、転動体Sが窪み部51内を上位側から低位側に転動する。
【0020】
前記慣性と転動体Sの転動によって回動が続行されて、穴部73の上側内壁に位置していた駆動軸52は、図7に示すように穴部73の下側内壁に当接するまで回動されることとなる。したがって、穴部73の上側内壁から下側内壁にまで駆動軸52が回動された角度分だけ装飾部材2がさらに大きく傾動されることとなる。転動体Sは再び図4に示すように、窪み部51内の装飾アーム4側端部に位置する。
【0021】
なお、上記した係止片6と動力伝達部材7とに代えて、これらを合体させたような図14に示す形状の駆動用部材8を用いることもできる。この駆動用部材8は、下部にプランジャ31が差し込まれるプランジャ装着部81と、上部に駆動軸52が遊嵌される広幅の穴部82とを有している。
【0022】
以上に説明したように、装飾部材2の反対傾動時の慣性により駆動軸41を穴部73内を回動させることができるので、装飾部材2をその分大きく傾動させることができる。よって、本発明の可動装飾部品は、ソレノイド3を大型化する必要がないという大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の可動装飾部品の分解斜視図である。
【図2】装飾アームが下方に傾動された状態の可動装飾部品の正面図である。
【図3】図2の可動装飾部品の側面図である。
【図4】図2の可動装飾部品の背面図である。
【図5】装飾部材の構造を示す背面図である。
【図6】係止片と駆動用部材との係合状態を示す説明図である。
【図7】装飾アームが下方に傾動完了した装飾部材の説明図である。
【図8】装飾アームが上方に傾動途中にある装飾部材の説明図である。
【図9】装飾アームが上方に傾動完了した装飾部材の説明図である。
【図10】装飾アームが下方に傾動途中にある装飾部材の説明図である。
【図11】装飾アームが上方に傾動完了した状態の可動装飾部品の正面図である。
【図12】図11の可動装飾部品の側面図である。
【図13】図11の可動装飾部品の背面図である。
【図14】駆動用部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
2 装飾部材、7 動力伝達部材、41 シーソー軸、52 駆動軸、71 支軸、73 広幅の穴部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの装飾に用いられる遊技機の可動装飾部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、遊技の興趣を盛り上げるために各種の装飾部品が配置されている。例えば、特許文献1には、透明な容器内に気体が封入され、この容器の表面の一部を接地したときに、その接地部位に向けて、放電極からの放電がなされるプラズマ管と、このプラズマ管の外部に配置されたキャラクタ模型とを備えた遊技機が開示されている。このキャラクタ模型17には、ガラス管15の表面に近接した場合にこの表面を接地することが可能なアース板17Eが、金槌26の先端に設けられている。この金槌26は腕部17Cの先端にピン17Bを中心に回動可能に取付けられており、腕部17Cの中ほどに接続されたソレノイド18のプランジャ18Aの進退によって、ガラス管15の表面に対して近接又は離隔することができる。
【0003】
ところで、上記したような構造の装飾部品において、装飾効果を高めるために金槌26の動きを大きくする場合には、ピン17Bとプランジャ18Aの接続部との距離を短くするか、プランジャ18Aの移動の距離を大きくして、金槌26の変位を大きくする必要がある。しかし、ピン17Bとプランジャ18Aの接続部との距離を短くした場合には、プランジャ18Aに大きな負荷がかかるのでソレノイド18を大型のものにする必要がある。また、プランジャ18Aの移動の距離を大きくする場合にも、ソレノイド18を大型のものにする必要がある。このため、コストの上昇、消費電力の増大を招くといった問題があった。
【特許文献1】特開2004−129892号公報 (図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、ソレノイドを大型化することなく装飾部材の変位を大きく取ることができる遊技機の可動装飾部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技機の可動装飾部品は、
ソレノイドによって上下動される駆動用部材と、駆動用部材によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材とを備えた遊技機の可動装飾部品であって、
装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、駆動用部材には広幅の穴部を設けて、前記駆動軸をこの穴部に回動可能に遊嵌することにより、
駆動用部材が上下動されて装飾部材が反転傾動されたときに、傾動の慣性により駆動軸が穴部の中を傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動するように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
上記した発明において、装飾部材の中程に、装飾部材とともに反転傾動可能な長円形の窪み部を設け、この窪み部にシーソー軸を設けるとともに、窪み部の中に転動体を装入して、
装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体が下端側に転動して、装飾部材の反転傾動を確実に行うようにすることができる。
【0007】
また、装飾部材を、シーソー軸から一方に延出する装飾アームと、この装飾アームから反対方向に延出するバランスウエイトとを有するものとすることができ、
駆動用部材を、支軸を中心に上下動する動力伝達部材と、ソレノイドのプランジャに係止される係止片とからなるものとして、動力伝達部材には、広幅の孔部と、支軸から放射状に延出する突条部を設けるとともに、係止片には、凹状の鉤部を設けて、前記突条部と鉤部とを係合させることにより、動力伝達部材がソレノイドによって上下動されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、この駆動軸を駆動用部材に設けた広幅の穴部に遊嵌したので、駆動用部材の上下動により装飾部材が反転傾動されたときに、その傾動の慣性により駆動軸が穴部の一方の内壁からこれに対応する他方の内壁に当接するまで回動されるので、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、装飾部材の中程に設けた長円形の窪み部の中に転動体を転動可能に装入したので、装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体を下端側に転動させて、装飾部材の反転傾動を確実に行うことができる。
請求項3の発明は、装飾部材を装飾アームとバランスウエイトとにより形成したので、複雑形状の装飾部材を容易に製造することができる。
請求項4の発明は、駆動用部材を、動力伝達部材と係止片とからなるものとしたので、動力伝達部材に設けた穴部の変位を大きくすることができ、装飾部材の傾動量を大きくすることができる。よって、ソレノイドを小型化できるうえに配置が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の可動装飾部品について説明する。
図1は可動装飾部品の分解斜視図、図2〜4はそれぞれ可動装飾部品の正面図、側面図、背面図である。図において、1は可動装飾部品の本体、3はソレノイド、4は装飾アーム、5はバランスウエイトである。装飾アーム5には遊技の興趣を盛り上げるような装飾が施されており、一端にシーソー軸41を有する。シーソー軸41は、本体1に設けた軸穴11に本体1の表側から差し込まれている。
【0011】
バランスウエイト5は、一端に長円形の窪み部51が形成された基部55を有し、その窪み部51の底面中央が、シーソー軸41の端部に本体1の裏側から螺着されていて、図5に示すような装飾部材2を構成している。即ち、この装飾部材2においては、シーソー軸41から一方に装飾アーム4が延出し、この装飾アーム4から反対方向にバランスウエイト5が延出していて、装飾アーム4とバランスウエイト5とはシーソー軸41を中心として反対傾動するように一体に組み合わされている。そして、長円形の窪み部51は、装飾部材2とともに反転傾動可能な方向に延伸させて組み付けてある。
【0012】
窪み部51の開口端には、内側にわずかに突出する隆起部53が開口端を周回して形成されている。窪み部51の中には鋼球である転動体Sが嵌めこまれているが、長円形の窪み部51の平行部は、転動体Sの直径よりわずかに大きい幅に形成してあるとともに、対応する隆起部53間の幅は転動体Sの直径より狭く形成してある。この隆起部53は可撓性を有するので、転動体Sは窪み部51から抜け落ちることなく転動可能に嵌め込まれている。転動体Sは装飾部材2が反対傾動された時に、窪み部51内を上位側端部から下位側端部に転動して傾動の慣性を大きくすることができる。
そして、窪み部51の底面の裏側でシーソー軸41から若干離れた位置には、ソレノイド3の駆動力により装飾部材2を傾動させるための駆動軸52が突設されている。
【0013】
また、図1において、6、7は駆動用部材を構成する係止片と動力伝達部材である。
係止片6は、下部にソレノイド3のプランジャ31が嵌め込まれるプランジャ装着部61と、上部に凹状に形成された鉤部62とを有する。
動力伝達部材7は、支軸71から放射方向に延出する突条部72と、駆動軸52が遊嵌される広幅の穴部73とを有しており、支軸71が本体1の裏側所要位置に軸着されていて、動力伝達部材7の上下動を可能としている。
【0014】
係止片6と動力伝達部材7との係合状態を、図6に示す。即ち、突条部72が、凹状の鉤部62に嵌め込まれているので、プランジャ31により上下動される係止片6により、動力伝達部材7を上下方向に回動させることができる。鉤部62に突条部72を嵌め込んだので、動力伝達部材7に設けた穴部73の変位を大きくすることができ、装飾部材2の傾動量を大きくすることができる。よって、ソレノイド3を小型化できるうえに配置が容易となる。
【0015】
また、動力伝達部材7と装飾部材2との係合状態を図7に示す。即ち装飾部材2の駆動軸52が動力伝達部材7の穴部73に遊嵌されているので、駆動軸52はこの穴部73の中をシーソー軸41を中心に回動することができる。
【0016】
以下に装飾部材2が反対傾動される状態を説明する。
図2〜4、7は、ソレノイド3が非通電となってプランジャ31が下方に突出されて動力伝達部材7が係止片6によって最大引き下げられた状態を示す図であって、突条部72は斜め下向きに回動されている。この状態では、駆動軸52が穴部73の下側内壁に当接されているとともに、窪み部51は装飾アーム側端部が低位となっているので、転動体Sは装飾アーム側端部に位置している(図4)。
【0017】
ソレノイド3が通電されてプランジャ31が引き上げされた時には、係止片6が上方に移動されるので、動力伝達部材7が上方に回動される。即ち、突条部72が斜め上を向く図8の状態まで回動される。この回動によって駆動軸52が穴部73の下側内壁により押し上げられて、装飾部材2の装飾アーム4が上方に傾動される。この状態では装飾部材2に傾動を続行する慣性が働く。また、装飾部材2の傾動により基部55に設けた窪み部51の傾斜が逆になるので、転動体Sが窪み部51内を上位側から低位側に転動する。
【0018】
前記慣性と転動体Sの転動によって傾動が続行されて、穴部73の下側内壁に当接されていた駆動軸52は、図9に示すように穴部73の上側内壁に当接するまで回動されることとなる。したがって、穴部73の下側内壁から上側内壁にまで駆動軸52が回動された角度分だけ装飾部材2がさらに大きく傾動される。
なお、装飾部材2が転動体Sを有しないものであっても、シーソー軸41の左右の重量バランスを取ってあるので、傾動の慣性により駆動軸52を上側内壁に当接するまで穴部73内を回動させることができるが、転動体Sを窪み部51内を低位側に転動させることにより、確実に装飾部材2の反転傾動を行うことができる。即ち、図4において、窪み部51内の装飾アーム4側の端部に位置していた転動体Sは、図13に示すように、窪み部51内のバランスウエイト5側の端部に位置するようになるので、その重量によって確実に装飾部材2を反対傾動させることができる。
【0019】
一方、ソレノイド3が非通電となってプランジャ31が降下した場合には、図10に示す状態にまで、プランジャ31の降下により装飾アーム4は下向きに回動される。即ち、動力伝達部材7が係止片6によって最大引き下げられて、突条部72は斜め下向きに回動される。この状態では駆動軸52は穴部73の上側内壁に当接しているが、装飾アーム4及びバランスウエイト5に回動を続行する慣性が働く。また、装飾部材2の回動により窪み部51の傾斜が逆になるので、転動体Sが窪み部51内を上位側から低位側に転動する。
【0020】
前記慣性と転動体Sの転動によって回動が続行されて、穴部73の上側内壁に位置していた駆動軸52は、図7に示すように穴部73の下側内壁に当接するまで回動されることとなる。したがって、穴部73の上側内壁から下側内壁にまで駆動軸52が回動された角度分だけ装飾部材2がさらに大きく傾動されることとなる。転動体Sは再び図4に示すように、窪み部51内の装飾アーム4側端部に位置する。
【0021】
なお、上記した係止片6と動力伝達部材7とに代えて、これらを合体させたような図14に示す形状の駆動用部材8を用いることもできる。この駆動用部材8は、下部にプランジャ31が差し込まれるプランジャ装着部81と、上部に駆動軸52が遊嵌される広幅の穴部82とを有している。
【0022】
以上に説明したように、装飾部材2の反対傾動時の慣性により駆動軸41を穴部73内を回動させることができるので、装飾部材2をその分大きく傾動させることができる。よって、本発明の可動装飾部品は、ソレノイド3を大型化する必要がないという大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の可動装飾部品の分解斜視図である。
【図2】装飾アームが下方に傾動された状態の可動装飾部品の正面図である。
【図3】図2の可動装飾部品の側面図である。
【図4】図2の可動装飾部品の背面図である。
【図5】装飾部材の構造を示す背面図である。
【図6】係止片と駆動用部材との係合状態を示す説明図である。
【図7】装飾アームが下方に傾動完了した装飾部材の説明図である。
【図8】装飾アームが上方に傾動途中にある装飾部材の説明図である。
【図9】装飾アームが上方に傾動完了した装飾部材の説明図である。
【図10】装飾アームが下方に傾動途中にある装飾部材の説明図である。
【図11】装飾アームが上方に傾動完了した状態の可動装飾部品の正面図である。
【図12】図11の可動装飾部品の側面図である。
【図13】図11の可動装飾部品の背面図である。
【図14】駆動用部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
2 装飾部材、7 動力伝達部材、41 シーソー軸、52 駆動軸、71 支軸、73 広幅の穴部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドによって上下動される駆動用部材と、駆動用部材によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材とを備えた遊技機の可動装飾部品であって、
装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、駆動用部材には広幅の穴部を設けて、前記駆動軸をこの穴部に回動可能に遊嵌することにより、
駆動用部材が上下動されて装飾部材が反転傾動されたときに、傾動の慣性により駆動軸が穴部の中を傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動するように構成したことを特徴とする遊技機の可動装飾部品。
【請求項2】
装飾部材の中程に、装飾部材とともに反転傾動可能な長円形の窪み部を設け、この窪み部にシーソー軸を設けるとともに、窪み部の中に転動体を装入して、
装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体が下端側に転動して、装飾部材の反転傾動を確実に行うようにした請求項1に記載の遊技機の可動装飾部品。
【請求項3】
装飾部材を、シーソー軸から一方に延出する装飾アームと、この装飾アームから反対方向に延出するバランスウエイトとを有するものとした請求項1又は2の遊技機の可動装飾部品。
【請求項4】
駆動用部材を、支軸を中心に上下動する動力伝達部材と、ソレノイドのプランジャに係止される係止片とからなるものとして、
動力伝達部材には、広幅の孔部と、支軸から放射状に延出する突条部を設けるとともに、係止片には、凹状の鉤部を設けて、
前記突条部と鉤部とを係合させることにより、動力伝達部材がソレノイドによって上下動されるようにした請求項1〜3の何れかに記載の遊技機の可動装飾部品。
【請求項1】
ソレノイドによって上下動される駆動用部材と、駆動用部材によって上下方向に反転傾動されるシーソー構造の装飾部材とを備えた遊技機の可動装飾部品であって、
装飾部材のシーソー軸の近傍に駆動軸を設け、駆動用部材には広幅の穴部を設けて、前記駆動軸をこの穴部に回動可能に遊嵌することにより、
駆動用部材が上下動されて装飾部材が反転傾動されたときに、傾動の慣性により駆動軸が穴部の中を傾動方向に回動して、その回動した角度分装飾部材をさらに大きく傾動するように構成したことを特徴とする遊技機の可動装飾部品。
【請求項2】
装飾部材の中程に、装飾部材とともに反転傾動可能な長円形の窪み部を設け、この窪み部にシーソー軸を設けるとともに、窪み部の中に転動体を装入して、
装飾部材とともに窪み部が反転傾動した時に、窪み部内の上端側に位置する転動体が下端側に転動して、装飾部材の反転傾動を確実に行うようにした請求項1に記載の遊技機の可動装飾部品。
【請求項3】
装飾部材を、シーソー軸から一方に延出する装飾アームと、この装飾アームから反対方向に延出するバランスウエイトとを有するものとした請求項1又は2の遊技機の可動装飾部品。
【請求項4】
駆動用部材を、支軸を中心に上下動する動力伝達部材と、ソレノイドのプランジャに係止される係止片とからなるものとして、
動力伝達部材には、広幅の孔部と、支軸から放射状に延出する突条部を設けるとともに、係止片には、凹状の鉤部を設けて、
前記突条部と鉤部とを係合させることにより、動力伝達部材がソレノイドによって上下動されるようにした請求項1〜3の何れかに記載の遊技機の可動装飾部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−89890(P2007−89890A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284618(P2005−284618)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
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