説明

遊技機の可変入賞装置

【課題】不正防止のためパチンコホールの要請に合った方法に容易に切り替えられ、設備費も嵩むことがなく経済的である遊技機の可変入賞装置を提供する。
【解決手段】伝達機構17は前側の第一レバー部材18と支軸部27に上下反転して着脱自在に軸着される後側の第二レバー部材19とからなり、第二レバー部材19の前側であってその上・下部の一方に係合凸部30aを設け、第一レバー部材18の後側であって該第一・第二レバー部材18,19の支軸部20,27の中心を結んだ基線B上から外れた位置に、係合凸部30aが係合しているとき第一レバー部材18後部の基線B側への回動が第二レバー部材19に閊えて不可能であるのに対し第二レバー部材19前部の基線B側への回動が可能となるように形成された係合凹部24を設け、第二レバー部材19を付け直すことにより、係合凸部30aが係合凹部24に係合可能または係合不能な状態に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に配設される遊技盤面に装着し、電気的駆動手段により左右一対の可動翼片を起立または逆ハの字状に傾倒して遊技球が入賞し難くまたはし易いように変換する遊技機の可変入賞装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表的なものの一つにパチンコ遊技機がある。該パチンコ遊技機はその本体枠に遊技盤が配設されており、該遊技盤面には多くの盤面部品が装着されている。このうち、例えば一対の可動翼片を遊技球が入賞し難い起立状態または遊技球が入賞し易い逆ハの字状の傾倒状態とに変換可能な可変入賞装置が有る。該可変入賞装置は、一対の可動翼片と、該可動翼片を電気的に作動させるための電気的駆動手段としてのソレノイドと、一対の可動翼片とソレノイドとの間に介在され該ソレノイドの駆動力を一対の可動翼片に伝達する伝達機構と、を備えている。ところで、この種の可変入賞装置にあっては、遊技者が針金等の不正具を遊技盤面に這わせ、起立している両可動翼片を逆ハの字状に傾倒させて故意に多くの入賞球を得ようとする不正行為が行なわれている。この問題は、ソレノイドが消磁している状態で起立している一対の可動翼片が自由に傾倒してしまうことに起因する。そこで、前記伝達機構やソレノイドに構造上の工夫を凝らし、起立した一対の可動翼片を針金などの不正具により故意に傾倒させようとしても、該一対の可動翼片が傾倒しないようにしてその不正行為を防止するようにしたものが有る(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−33489号公報(第3−4頁、図1、図2)
【特許文献2】特開2009−39172号公報(第6−11頁、図2乃至図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2に示される可変入賞装置では、その不正行為を防止するために構造上の工夫が凝らされているが、別の方法として前記不正防止のための構造を作らずに元のままの状態で、例えばソレノイドを動作させるための入力信号と入賞した遊技球を検出する出力信号とをチェックしておき、その関係に不自然な状態、例えばソレノイドが作動しないのに入賞球の検出信号が出力されるといった状態を電気的に検知して、不正行為が行なわれたことを発見する方法もある。そこで、パチンコ遊技機メーカーは、パチンコホールの要請によってそれら2種類の可変入賞装置をそれぞれ別個に製作し用意しておく必要がある。
【0005】
しかしながら、初めから不正行為を防止するため構造上の工夫が凝らされた可変入賞装置と、不自然な状態を検出して不正行為を電気的に検知する可変入賞装置と、はそもそも構成が全く異なり、それら2種類の可変入賞装置をそれぞれ別々に製作することは、それら製作のための設備も別途余分な設備が必要であって設備費が嵩み経済的でないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、内部の部材を付け直すのみで不正防止のためのパチンコホールの要請に合った方法に容易に切り替えられ、しかも、設備費も嵩むことがなく経済的であるという遊技機の可変入賞装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明の遊技機の可変入賞装置は、遊技盤面に装着され、前記遊技盤面の前側に配置し遊技球が入賞し難い起立状態と遊技球が入賞し易い逆ハの字状の傾倒状態とに回動操作される一対の可動翼片と、前記遊技盤面の後側に配置し前記一対の可動翼片を作動させるための電気的駆動手段と、前記一対の可動翼片と前記電気的駆動手段との間に配置しこれらを連係して該電気的駆動手段の駆動力を前記一対の可動翼片に伝達する伝達機構と、を備えてなる遊技機の可変入賞装置であって、前記伝達機構は、前側に位置し水平な支軸部に軸着される第一レバー部材と、前記第一レバー部材とその後側で連係しかつ水平な支軸部に上下反転して着脱自在に軸着される第二レバー部材と、からなり、前記第二レバー部材の支軸部より前側であってその上部または下部の一方に係合凸部を設け、前記第一レバー部材の支軸部より後側であって該第一レバー部材の支軸部の中心と前記第二レバー部材の支軸部の中心とを結んだ基線上から外れた位置に、前記係合凸部が係合しているとき前記第一レバー部材後部の前記基線側への回動が前記第二レバー部材に閊えて不可能であるのに対し前記第二レバー部材前部の前記基線側への回動が可能となるように形成された係合凹部を設け、前記第二レバー部材を上下反転して支軸部に付け直すことにより、前記係合凸部が前記係合凹部に係合可能な状態と係合不能な状態とに変換できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機の可変入賞装置は、伝達機構が、前側に位置し水平な支軸部に軸着される第一レバー部材と、第一レバー部材とその後側で連係しかつ水平な支軸部に上下反転して着脱自在に軸着される第二レバー部材と、からなり、第二レバー部材の支軸部より前側であってその上部または下部の一方に係合凸部を設け、第一レバー部材の支軸部より後側であって該第一レバー部材の支軸部の中心と第二レバー部材の支軸部の中心とを結んだ基線上から外れた位置に、係合凸部が係合しているとき第一レバー部材後部の基線側への回動が第二レバー部材に閊えて不可能であるのに対し第二レバー部材前部の基線側への回動が可能となるように形成された係合凹部を設けている。そして、第二レバー部材を上下反転して支軸部に付け直すことができるようにすることにより、係合凸部が係合凹部に係合可能な状態と係合不能な状態とに変換できることになる。これによって、パチンコ遊技機メーカーはパチンコホールの要請に対しても該パチンコホールの要請に合った方法に容易に切替ができ、しかも、余分な設備を必要とすることなく一つの設備でもって2種類の可変入賞装置を製作することが可能なことから、設備費の面で極めて経済的であるという有益な効果も有る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(イ)は本発明に係る遊技機の可変入賞装置の斜視図、(ロ)は同側面図。
【図2】取付基板及びポケット枠部の後側から見た斜視図。
【図3】可変入賞装置の主たる部材を示す斜視図。
【図4】可変入賞装置の主たる部材を示す分解斜視図。
【図5】(イ)(ロ)は可変入賞装置の主たる部材の作用を示す側面図。
【図6】(イ)(ロ)は同第二レバー部材を付け直した状態の作用を示す側面図。
【図7】第一レバー部材と第二レバー部材の関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る遊技機の可変入賞装置の最良の実施の形態を図面に基づき説明する。本発明に係る可変入賞装置は、例えばパチンコ遊技機、アレパチ遊技機、雀球遊技機等の遊技機に適用されるが、そのうちパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1(イ)は本発明に係る遊技機の可変入賞装置の斜視図、図1(ロ)は同側面図、図2は取付基板及びポケット枠部の後側から見た斜視図、図3は可変入賞装置の主たる部材を示す斜視図、図4は可変入賞装置の主たる部材を示す分解斜視図である。
【0011】
可変入賞装置は、不図示のパチンコ遊技機における遊技盤面に取り付けられる取付基板1を有し、図1、図2に示すようにその中央の下部に、球通孔2が開設されると共にその上部に上面が開口した球受枠3が形成されている。該球受枠3は取付基板1の後側に形成された球誘導樋4と連通しており、上から球受枠3に入賞した遊技球であるパチンコ球は、取付基板1の後側の球誘導樋4に流入することになる。取付基板1の前面に、前記球通孔2の周囲を囲うようにして上面が開放するポケット枠部5が設けられる。また取付基板1の後側には、前記球通孔2と連通する囲い枠6が固着される。前記球誘導樋4は、その上面に配設されることになる。
【0012】
前記ポケット枠部5を更に詳しく説明すると、該ポケット枠部5は前面板部5a及び取付基板1との間の両側と下側を囲う側面板部5bとからなり、後面が開放している。前面板部5aは、その上端縁が側面板部5bの上端縁よりも上方に突出している。そして、該ポケット枠部5内に、前記球通孔2を挟んでその両側に位置するようにして一対の可動翼片8,8が配置される。両可動翼片8,8は前後に突出する軸ピン7,7が設けられ、これら前後の軸ピン7,7が前面板部5aと取付基板1とに軸支されることにより、一対の可動翼片8,8が回動自在に軸着される。また、各可動翼片8の後面であって前記軸ピン7より内側に、取付基板1の球通孔2を介して該取付基板1の後側へ延設される作動ピン9が設けられている。該各作動ピン9は前記球通孔2を介して囲い枠6内に位置し、図3、図4に示すように後記する第一レバー部材18の前側に設けた二股保持部22に係合されるようになっている。両可動翼片8,8が起立した状態では、ポケット枠部5内にパチンコ球が入賞するのは困難であり、両可動翼片8,8が逆ハの字状に傾倒した状態では、ポケット枠部5内にパチンコ球が入賞し易くなり、両可動翼片8,8が起立または傾倒することによってこれらが変換可能になっている。前記前面板部5aの裏面であってその中央に、上端縁が後方へ向かって下傾する案内板部10が設けられている。一対の開いた可動翼片8,8間に入賞したパチンコ球は、球通孔2を介して囲い枠6に導かれそのまま下方へ落下する。
【0013】
図3、図4に示すように前記囲い枠6内に、その後端に縦置きしてプランジャー12がその下面から下方へ進退動し前記一対の可動翼片8,8を作動させる電気的駆動手段としてのソレノイド11が配置される。プランジャー12には圧縮コイルバネ13が巻装され、ソレノイド11が消磁しているときはプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢により下方へ突出し、励磁したときはプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢に抗して上方へ収縮するようになっている。プランジャー12の下端部に、前から見て略H字状の作用枠体14が取着される。該作用枠体14の両側に位置する側板14a,14aに共に外側へほぼ水平に突出する一対のガイドピン15,15が設けられ、これら両側のガイドピン15,15が囲い枠6における両側壁6a,6aに開設された縦案内溝16,16に嵌入している。そして、プランジャー12の進退動作に伴い、作用枠体14が両縦案内溝16,16に沿って上下動することになる。
【0014】
一対の可動翼片8,8とソレノイド11との間に、これらを連係して該ソレノイド11の駆動力を前記一対の可動翼片8,8に伝達する伝達機構17が配置される。次に、この伝達機構17について説明する。該伝達機構17は、前側すなわち一対の可動翼片8,8側に位置する第一レバー部材18と、後側すなわちソレノイド11側に位置し該第一レバー部材18と連係する第二レバー部材19と、からなっている。図4鎖線に示すように、該第二レバー部材19は可変入賞装置の囲い枠6を外して分解することにより上下逆にして付け直すこともできるようになっている。
【0015】
第一レバー部材18は後側の基端部18aから前方へ平行な一対の腕片部18b,18bが延設され、両腕片部18b,18bの外側面に同一軸線上に位置して水平な支軸部20,20が突設されている。これら支軸部20,20は前記囲い枠6の両側壁6a,6aに設けられた軸孔21,21に嵌入され、該支軸部20,20を中心として第一レバー部材18が前後方向の鉛直面内で上下に回動する。各腕片部18b,18bの先端に、前記各可動翼片8から後方へ突出した作動ピン9が係合する二股保持部22が設けられる。また、第一レバー部材18の基端部18aにおける後側の両外側面に、連係ピン23,23が突設されている。そして、両支軸部20,20より後側であり基端部18aの両外側面に対向位置して、係合凹部24,24が形成されている。後で詳しく説明するように前記各係合凹部24は、一定の条件の元で第二レバー部材19が係合し、不正具を用いて一対の可動翼片8,8を傾倒させ故意に開ける不正を防止するためのものである。更に詳しくは、両基端部18a,18aにおける上端部の外側面に後方へほぼ水平に延びる受片部25が配設され、該受片部25の前側下面から下方へ弧状に膨出する張出部26が一体に形成されている。
【0016】
第二レバー部材19は平面略H字状に形成され、両側に位置する支持板19a,19aのほぼ中央に両端部が両支持板19a,19aから外側へ突出する支軸部27が設けられる。両支持板19a,19aから外側へ突出する支軸部27,27の両端部は囲い枠6の両側壁6a,6aに設けられた軸孔28に嵌入され、該支軸部27,27を中心として第二レバー部材19が前後方向の鉛直面内で上下に回動する。また、両支持板19a,19aの支軸部27を挟んだ前後両側に、それぞれ両支持板19a,19aに沿ってしかも先端で開放する溝部29,29が開設される。前側の溝部29a,29aに前記第一レバー部材18の後側に突設された連係ピン23,23が遊嵌され、後側の溝部29b,29bには前記ソレノイド11のプランジャー12に設けられた作用枠体14における下側のガイドピン15,15が遊嵌される。両支持板19a,19aの前後両側部は、それぞれ中央の溝部29,29を挟んで上下に分割される。
【0017】
前記分割された前後・上下部のうち、1箇所のみが他の3箇所とその先端形状が相違している。図3乃至図5では、第二レバー部材19における上部前側の上前板部が係合凸部30aとして形成され、他の上後板部30b、下前板部31a及び下後板部31bの形状と相違している。これら3箇所の上後板部30b、下前板部31a及び下後板部31bは共に鉛直面内における外側角部が弧状に削り取られるようにして形成されている。これに対し、前記1箇所の上前板部である係合凸部30aは鉛直面内においてその先端面が長方形状に形成されている。しかも、係合凸部30aにおける第二レバー部材19の長手方向に沿った先端までの距離が他の上後板部30b、下前板部31a及び下後板部31bよりも長く設定されている。そして、この係合凸部30aの先端が、前記第一レバー部材18における係合凹部24に係脱自在に係合することになる。一方、他の下前板部31aは、係合凸部30aよりも短いことから第一レバー部材18における係合凹部24に係合し得ない。
【0018】
このようにして、一対の可動翼片8,8、第一レバー部材18、第二レバー部材19、ソレノイド11が連係される。そして、ソレノイド11が消磁している状態では、図5(イ)に示すようにプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢により下方へ延びると共に作用枠体14が下動し、第二レバー部材19の後側が下方へ回動すると共に前側が上方へ回動し、同時に第一レバー部材18の後側が上方へ回動すると共に前側が下方へ回動する。これにより、一対の可動翼片8,8が起立して、ポケット枠部5へのパチンコ球の入賞を困難にしている。
【0019】
またこの場合、図7に示すように第一レバー部材18の後側である基端部18aの両係合凹部24,24に、第二レバー部材19の前側の両上前板部すなわち係合凸部30a,30aが係合するようになっている。すなわち、係合凹部24,24は、第一レバー部材18の支軸部20の中心と第二レバー部材19の支軸部27の中心とを結んだ基線Rから外れてその上方に位置している。また、係合凸部30aが係合凹部24に係合しているとき、第一レバー部材18の後部が基線R側へ回動することは不可能であるが、第二レバー部材19の前部を基線R側へ回動させ係合凸部30aの係合を外すことは可能であるように張出部26の弧状面が設定される。この状態で、他の個所で入賞球の発生が有り、これによってソレノイド11が励磁すると、図5(ロ)に示すようにプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢に抗して上方へ収縮すると共に作用枠体14が上動し、第二レバー部材19の後側を上方へ跳ね上げると共に前側を下方へ回動させる。同時に、第一レバー部材18の後側が下方へ回動すると共に前側が上方へ跳ね上げられる。これに伴い、一対の可動翼片8,8が逆ハの字状に傾倒して開き、パチンコ球が入賞し易い状態になる。
【0020】
ところで、ソレノイド11が消磁しているとき、すなわち係合凹部24に係合凸部30aが係合しているときに、例えば遊技者が針金等の不正具を遊技盤面に這わせ可変入賞装置における可動翼片8,8を逆ハの字状に傾倒し故意に入賞球を発生させようとしても、図7実線に示すように係合凹部24と係合凸部30aが係合している。しかも、その係合位置Pから第一レバー部材18の支軸部20の中心までの距離L1とその係合位置Pから第二レバー部材19の支軸部27の中心までの距離L2を加算した距離L1+L2は、第一レバー部材18の支軸部20の中心から第二レバー部材19の支軸部27の中心間の距離L3より長い。このため、可動翼片8を故意に傾倒させようとして、第一レバー部材18の前側を上方へ回動させると共に後側を下方へ回動させようとするも、前記距離L1+距離L2>距離L3の関係から、第一レバー部材18は第二レバー部材19に閊えてそれ以上後側を下方へ回動できないことになり、一対の可動翼片8,8が逆ハの字状に傾倒することはない。これにより、前記のような不正行為が防止される。
【0021】
また、ソレノイド11が励磁したときは、図7鎖線に示すように第二レバー部材19の前側が下方へ回動して第一レバー部材18の係合凹部24から係合凸部30aが外れ、同時に第二レバー部材19の前側の溝部29aに遊嵌する連係ピン23が引き下げられ第一レバー部材18の後側が下方へ回動する。これにより図5(ロ)に示すように第一レバー部材18の前側が上方へ跳ね上げられ、一対の可動翼片8,8が逆ハの字状に傾倒することになる。この状態からソレノイド11が消磁すれば、プランジャー12がその圧縮コイルバネ13の付勢により下方へ延びると共に作用枠体14が下動し、これにより第一・第二レバー部材18,19が前記と逆方向へ回動して図5(イ)のように一対の可動翼片8,8が起立する。同時に、前記係合凹部24に係合凸部30aが係合することになる。
【0022】
パチンコホールにあっては、前記のように第一レバー部材18の係合凹部24に第二レバー部材19の係合凸部30aを係合させることにより不正行為を防止するのではなく、ソレノイド11が消磁しているとき、第一・第二レバー部材18,19が自在に回動できるようにしておいて、ソレノイド11への信号の入力や不図示の球検出器における球検出信号の出力を検知して不正行為を発見し該不正行為を防止する場合がある。この場合は、可変入賞装置における所定個所のビスを取り外し、囲い枠6内の第二レバー部材19を取り外す。そして、図4鎖線に示すように該第二レバー部材19を上下反転して逆にした状態で付け直す。
【0023】
これにより、ソレノイド11が消磁しているときは、図6(イ)に示すようにプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢により下方へ延びると共に作用枠体14が下動しており、これによって第二レバー部材19の後側が下方へ回動すると共に前側が上方へ回動し、同時に第一レバー部材18の後側が上方へ回動すると共に前側が下方へ回動する。この際、第二レバー部材19における上前板部31aの角部が弧状に形成されており、しかも、その下方に位置する係合凸部30aより該上前板部31aの第二レバー部材19の長手方向に沿った先端までの距離が短いため、上前板部31aは第一レバー部材18における係合凹部24に係合し得ない。そして、一対の可動翼片8,8が起立して、可変入賞装置へのパチンコ球の入賞を困難にしている。一方、ソレノイド11が励磁すると、図6(ロ)に示すようにプランジャー12が圧縮コイルバネ13の付勢に抗して上方へ収縮すると共に作用枠体14が上動し、第二レバー部材19の後側を上方へ跳ね上げると共に前側を下方へ回動させる。同時に、第一レバー部材18の後側が下方へ回動すると共に前側が上方へ跳ね上げられる。これに伴い、一対の可動翼片8,8が逆ハの字状に傾倒して開き、パチンコ球が入賞し易い状態になる。この場合は、ソレノイド11が消磁している状態で、可動翼片8,8を開けようとすると第一レバー部材18がその後側を下方へ回動させてその開放が可能になる。
【0024】
以上のように本発明は、伝達機構17が、前側に位置し水平な支軸部20に軸着される第一レバー部材18と、第一レバー部材18にその後側で連係しかつ水平な支軸部27に上下反転して着脱自在に軸着される第二レバー部材19と、からなり、第二レバー部材19の支軸部27より前側であってその上部または下部の一方に係合凸部30aを設け、第一レバー部材18の支軸部20より後側であって該第一レバー部材18の支軸部20の中心と第二レバー部材19の支軸部27の中心とを結んだ基線B上から外れた位置に、係合凸部30aが係合しているとき第一レバー部材18後部の基線B側への回動が第二レバー部材19に閊えて不可能であるのに対し第二レバー部材19前部の基線B側への回動が可能となるように形成された係合凹部24を設けている。そして、第二レバー部材19を上下反転して支軸部20に付け直すことができるようにすることにより、係合凸部30aが係合凹部24に係合可能な状態と係合不能な状態とに変換できることになる。これによって、パチンコ遊技機メーカーーはパチンコホールの要請に対しても該パチンコホールの要請に合った方法に容易に切替ができ、しかも、余分な設備を必要とすることなく一つの設備でもって2種類の可変入賞装置を製作することが可能なことから、設備費の面で極めて経済的である。
【符号の説明】
【0025】
8 可動翼片
11 電気的駆動手段(ソレノイド)
17 伝達機構
18 第一レバー部材
19 第二レバー部材
20 支軸部
24 係合凹部
27 支軸部
30a 係合凸部
B 基線
P 係合位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に装着され、前記遊技盤面の前側に配置し遊技球が入賞し難い起立状態と遊技球が入賞し易い逆ハの字状の傾倒状態とに回動操作される一対の可動翼片と、前記遊技盤面の後側に配置し前記一対の可動翼片を作動させるための電気的駆動手段と、前記一対の可動翼片と前記電気的駆動手段との間に配置しこれらを連係して該電気的駆動手段の駆動力を前記一対の可動翼片に伝達する伝達機構と、を備えてなる遊技機の可変入賞装置であって、
前記伝達機構は、前側に位置し水平な支軸部に軸着される第一レバー部材と、前記第一レバー部材とその後側で連係しかつ水平な支軸部に上下反転して着脱自在に軸着される第二レバー部材と、からなり、
前記第二レバー部材の支軸部より前側であってその上部または下部の一方に係合凸部を設け、前記第一レバー部材の支軸部より後側であって該第一レバー部材の支軸部の中心と前記第二レバー部材の支軸部の中心とを結んだ基線上から外れた位置に、前記係合凸部が係合しているとき前記第一レバー部材後部の前記基線側への回動が前記第二レバー部材に閊えて不可能であるのに対し前記第二レバー部材前部の前記基線側への回動が可能となるように形成された係合凹部を設け、
前記第二レバー部材を上下反転して支軸部に付け直すことにより、前記係合凸部が前記係合凹部に係合可能な状態と係合不能な状態とに変換できるようにしたことを特徴とする遊技機の可変入賞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11020(P2012−11020A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150773(P2010−150773)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】