説明

遊技機の基板ユニット

【課題】一種類の制御基板を複数の会社間で共通に使用できると共に、異なる会社間でのリユースを可能にした遊技機の基板ユニットを提供する。
【解決手段】開閉可能な一対のケース101,102内に遊技に関する制御を司る制御基板104が収納されている遊技機の基板ユニット100において、制御基板104に当該基板の管理情報を示す第2識別標識部108を設けると共に、遊技機の製造業者を示す複数の社名が印刷された第1識別標識部107を形成し、これら複数の社名の1つを露呈させて残りを隠蔽する目隠し部材110を制御基板104に脱着不能なスナップかしめ部117を介して固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に備えられる基板ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシン等の遊技機には遊技の制御を司る種々の制御基板が設けられており、この制御基板には「遊技機の製造業者の社名」や「当該基板の型式を特定するための番号、記号その他の符号」を印刷することが義務付けられている。通常、この種の制御基板は上ケースと下ケース内に収納されることで基板ユニットとして構成されており、この基板ユニットは遊技機の裏面や筐体内部に着脱可能に取り付けられている。
【0003】
近年、遊技機の分野でも部品の共通化が推進されており、例えばA社用とB社用のパチンコ機に対して一種類の制御基板を共通に使用することで、基板の製造コストを削減しようとする試みがなされている。この場合、制御基板には対応する製造業者の社名と型式識別標識を印刷する必要があるため、基板に搭載される回路構成の共通化は図れるとしても、A社の製造業者識別標識と型式識別標識が印刷された基板と、B社の製造業者識別標識と型式識別標識が印刷された基板とを個別に製造して管理する必要がある。したがって、同一の制御内容を有する制御基板であるにも拘わらず、製造コストの大幅な低減化は困難となり、部品管理も煩雑になるという問題があった。
【0004】
そこで、従来より、基板主体部の隅部に切断部を介して連接する複数の識別標識表示部を設けると共に、これら各識別標識表示部に製造業者名等を示す異なる識別標識(例えばA社用とB社用)を表示し、1つの切断部を除いて残りの切断部を基板主体部から切断することにより、任意の1つの識別標識表示部だけを基板主体部に一体に残すようにした制御基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように構成された制御基板では、A社の識別標識が表示された識別標識表示部を切断して除去すればB社用の制御基板となり、B社の識別標識が表示された識別標識表示部を切断して除去すればA社用の制御基板となるため、同一の回路構成部品を搭載した一種類の制御基板を製造するだけで、異なる2つの製造業者に対して制御基板を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−142471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術によれば、不要な識別標識表示部を基板主体部から除去すると共に、必要な識別標識表示部だけを基板主体部に一体に残すことにより、一種類の制御基板を複数の製造会社用に共通に使用することができるため、基板の製造コストを削減することができる。しかしながら、不要とされる識別標識表示部を切断して基板主体部から除去することで所望の制御基板を得るようにしているため、例えばB社の識別標識が表示された識別標識表示部を除去してA社用の制御基板とした場合、この制御基板をB社用としてリユース(再使用)することはできず、循環型社会を構築するという昨今のトレンドに対応できていないという難点があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、一種類の制御基板を複数の会社間で共通に使用できると共に、異なる会社間でのリユースを可能にした遊技機の基板ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、開閉可能な一対のケース内に遊技に関する制御を司る制御基板が収納されている遊技機の基板ユニットにおいて、前記制御基板に当該基板の管理情報を示す識別標識が設けられていると共に、遊技機の製造業者を示す複数の社名が表示されており、これら複数の社名の1つを露呈させて残りを隠蔽する目隠し部材を前記制御基板に脱着不能なスナップかしめ部を介して固定するという構成にした。
【0009】
このように構成された基板ユニットでは、制御基板にスナップかしめ部を介して固定された目隠し部材によって複数の社名の1つが選択的に露呈されるため、一種類の制御基板を複数の会社間で共通に使用することができるだけでなく、目隠し部材を交換して別の社名を露呈させることにより、異なる会社間でのリユースも可能となる。また、制御基板に当該基板の管理情報を示す識別標識が設けられているため、仮に目隠し部材が制御基板から不正に取り外されたとしても、その識別標識から基板の管理情報を確認することができる。
【0010】
上記の構成において、前記目隠し部材としては種々の形態が可能であり、例えば目隠し部材が、制御基板の片面で社名の表示領域に載置された長板状の本体部と、この本体部の長手方向の一端側に設けられた第1フック部と、本体部の長手方向の他端側から導出して制御基板の他面に敷設された紐状体と、この紐状体の先端に設けられた第2フック部とで構成されており、第1フック部と第2フック部とをスナップ結合してスナップかしめ部となすようにすれば良い。あるいは、複数の社名が制御基板の一側面に沿って列状に表示されていると共に、制御基板に社名の表示領域の近傍に位置する貫通孔が設けられており、目隠し部材が、制御基板の片面で社名の表示領域に載置された本体部と、この本体部に設けられた第1フック部と、本体部に折り畳み可能に連結されて制御基板の他面に位置する蓋体部と、この蓋体部に設けられた第2フック部とで構成されており、第1フック部と第2フック部のいずれか一方を貫通孔に挿通して他方にスナップ結合することによってスナップかしめ部となすようにすれば良い。
【0011】
これらの場合において、本体部が、複数の社名の全てを露呈させることが可能な透明板と、この透明板に貼着されて複数の社名の1つを除いて残部を選択的に隠蔽する隠蔽シールとからなると、同一種類の透明板に対する隠蔽シールの貼着位置や形状を変更するだけで複数種類の目隠し部材を形成することができる。
【0012】
また、上記の構成において、目隠し部材が、制御基板の表裏両面に跨がって架設された紐状体と、この紐状体の両端に設けられて互いにスナップ結合された一対のフック部と、紐状体から側方へ突出して社名の表示領域に載置された本体部とで構成されており、一対のフック部のスナップ結合によってスナップかしめ部となすようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明による遊技機の基板ユニットは、一対のケース内に収納される制御基板に遊技機の製造業者を示す複数の社名が表示され、これら社名の1つが制御基板にスナップかしめ部を介して固定された目隠し部材によって選択的に露呈されるようになっているため、一種類の制御基板を複数の会社間で共通に使用することができるだけでなく、目隠し部材を交換して別の社名を露呈させることにより、異なる会社間でのリユースも可能となる。また、制御基板に当該基板の管理情報を示す識別標識が設けられているため、仮に目隠し部材が制御基板から不正に取り外されたとしても、その識別標識から基板の管理情報を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の基板ユニットが取り付けられたパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機のガラス扉を開けた状態の外観斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図4】本発明の実施形態例に係る基板ユニットの外観斜視図である。
【図5】図4に示す基板ユニットの背面図である。
【図6】図4に示す基板ユニット内に収納された制御基板の平面図である。
【図7】図6に示す制御基板の裏面図である。
【図8】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図9】図6に示す制御基板に固定される目隠し部材の分解斜視図である。
【図10】図9の目隠し部材に貼着される隠蔽シールの説明図である。
【図11】図9の目隠し部材を制御基板に固定する組付作業を示す斜視図である。
【図12】変形例に係る目隠し部材を制御基板に固定した状態を示す斜視図である。
【図13】図12のB−B線に沿う断面図である。
【図14】図12の目隠し部材を制御基板に固定する組付作業を示す斜視図である。
【図15】他の変形例に係る目隠し部材を制御基板に固定した状態を示す平面図である。
【図16】図15に示す目隠し部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の基板ユニットが取り付けられたパチンコ機(遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3等を備えており、ガラス扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0016】
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示せず)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示せず)が設けられており、これら両第1ピンが対応する上下の軸受け体に軸支されることにより、本体枠2は機枠1に対して開閉自在となっている。
【0017】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2はガラス扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0018】
本体枠2の右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置11の後部施錠杆により機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆により本体枠2に対してガラス扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動してガラス扉3が開錠されるようになっている。
【0019】
ガラス扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示せず)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の上下の軸孔(図示せず)に挿入することにより、ガラス扉3は本体枠2に対して開閉自在となっている。図1に戻り、ガラス扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。ガラス扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、ガラス扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿12の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0020】
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部17と、主制御処理部17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御処理18と、賞球払出装置19と、主制御処理部17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御処理部20と、操作ハンドル16の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御処理部21と、賞球数や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。
【0021】
主制御処理部17は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。後述するように、制御基板は一対のケース内に収納されて基板ユニット100を構成しており、この基板ユニット100は遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
【0022】
次に、基板ユニット100の詳細な構造について図4〜図11を参照しながら説明すると、本実施形態例に係る基板ユニット(遊技機の基板ユニット)100は、矩形箱状の透明な上ケース101と、矩形箱状の透明な下ケース102と、断面コ字形状のシールカバー103とを備えている。そして、上ケース101と下ケース102の内部に収納空間が形成されており、この収納空間にRAM等が実装された前述の制御基板104が収納されている(図5参照)。
【0023】
上ケース101と下ケース102はスライド嵌合によって重ね合わされるようになっており、これら両ケース101,102の一方の短辺側どうしを重ね合わせて図示せぬネジで固定した後、その重なり部分に跨がるように封印シール105が貼り付けられている。封印シール105は裏面に粘着層が形成された矩形状のベースシートを備えた公知のものであり、詳細については説明を省略するが、粘着層にはICタグが埋め込まれている。このICタグは、ベースシートの対角線に沿って延びる長尺状のアンテナと、アンテナの中央付近に配置されたICチップとを備えており、ICチップに記憶された固有の識別情報がリーダー機によって読み取り可能となっている。なお、封印シール105のベースシートは手指を用いて簡単に破ることが可能であり、ベースシートを破ることによってICタグも同時に切断される。シールカバー103は一側面を開放した透明な樹脂成形品であり、このシールカバー103によって封印シール105は覆われている。シールカバー103は両ケース101,102に対して側方から挿入されて超音波溶着やかしめ等の適宜手段で固定されており、これによって両ケース101,102は制御基板104を収納した状態で封印されるようになっている。
【0024】
図6と図7に示すように、制御基板104の四隅には取付孔104aが形成されており、これら取付孔104aに挿入した図示せぬネジによって制御基板104は上ケース101の内部に固定される。この制御基板104の表面には、前述した主制御処理部17の回路構成部品(図示せず)や複数のコネクタ106が実装される他、第1乃至第3識別標識部107,108,109が一側縁の近傍に印刷されている。図11に示すように、第1識別標識部107には「パチンコ機(遊技機)の製造業者の名称」を示す複数の社名が印刷されており、本実施形態例の場合、製造業者が○○社であることを示す「○○社」と、製造業者が△△社であることを示す「△△社」と、製造業者が××社であることを示す「××社」の3つが制御基板104の一側縁に沿って互いに近接した状態で一列に印刷されている。また、制御基板104には一対の貫通孔104b,104cが穿設されており、これら貫通孔104b,104cは第1識別標識部107の両側に位置している。第2識別標識部108には「当該基板の管理情報」を示すデータが例えばQRコード(登録商標)として印刷されているが、QRコードの代わりにバーコードを基板に印刷したり、ICチップを基板に埋め込むようにしても良い。第3識別標識部109には「当該基板の型式」を特定するための番号、記号その他の符号が印刷されている。
【0025】
制御基板104の第1識別標識部107上には目隠し部材110が取り付けられており、この目隠し部材110が第1識別標識部107の複数の社名の1つを露呈させて残りを隠蔽するようになっている。図9に示すように、目隠し部材110は、第1識別標識部107上に載置される長板状の本体部111と、この本体部111の長手方向の一端側に設けられた第1フック部112と、本体部111の長手方向の他端側から導出する紐状体113と、この紐状体113の先端に設けられた第2フック部114とで構成されており、これらは透明な樹脂によって一体成形されている。
【0026】
本体部111は透明板115の裏面に貼着された隠蔽シール116を有しており、この隠蔽シール116には複数の社名の1つを露出させる透孔116aが形成されている。図10(a)〜(c)に示すように、本実施形態例の場合、透孔116aの形成位置を異にする3種類の隠蔽シール116が準備されており、これら3枚の隠蔽シール116の中から1つが選択的に透明板115の裏面に貼着されるようになっている。第1フック部112は内周面に段差を有する円筒状体であり、図8に示すように、この第1フック部112は一方の貫通孔104b内に挿入されて制御基板104の裏面に突出している。紐状体113は本体部111の長手方向に沿う寸法よりも若干長めに設定されており、この紐状体113は制御基板104の表面側から他方の貫通孔104cを挿通して裏面側に導出されている。紐状体113の先端に設けられた第2フック部114は矢尻状に形成されており、この第2フック部114を第1フック部112に挿入して両者をスナップ結合することによって目隠し部材110は制御基板104に固定される。すなわち、第1フック部112と第2フック部114とによって目隠し部材110を制御基板104に脱着不能とするスナップかしめ部117が構成されている。
【0027】
このような目隠し部材110を使用して複数の製造業者名の中から1つ、例えば「△△社」用の制御基板104を製造する場合は、予め透明板115の裏面に図10(b)に示す隠蔽シール116を貼着した目隠し部材110を準備しておき、図11に示すように、この目隠し部材110の第2フック部114を貫通孔104cに挿入して紐状体113を制御基板104の表面側から裏面側に導出させると共に、本体部111を第1識別標識部107上に載置して第1フック部112をもう1つの貫通孔104b内に挿入する。しかる後、紐状体113をU字状に反転して第2フック部114を第1フック部112に挿入して両者をスナップ結合することにより、両フック部112,114が脱着不能に一体化され、図6に示すように、目隠し部材110が本体部111を第1識別標識部107上に載置した状態で制御基板104に固定される。その結果、第1識別標識部107に印刷された複数の製造業者名のうち、透孔116a内に露出する「△△社」は外部から目視可能であるが、残りの「○○社」と「××社」は隠蔽シール116に覆われて隠蔽されるため、この制御基板104は「△△社」専用の基板となる。
【0028】
また、「○○社」用の制御基板104を製造する場合は、予め透明板115の裏面に図10(a)に示す隠蔽シール116を貼着した目隠し部材110を準備しておき、この目隠し部材110を上記と同様の作業手順で制御基板104に固定すれば良く、それによって「○○社」のみを透孔116a内に露出させて残りの「△△社」と「××社」を隠蔽することができる。さらに、「××社」用の制御基板104を製造する場合は、予め透明板115の裏面に図10(c)に示す隠蔽シール116を貼着した目隠し部材110を準備しておき、この目隠し部材110を上記と同様の作業手順で制御基板104に固定すれば良く、それによって「××社」のみを透孔116a内に露出させて残りの「○○社」と「△△社」を隠蔽することができる。
【0029】
以上説明したように、透孔116aの形成位置を異にする3種類の目隠し部材110を制御基板104に選択的に固定することにより、回路構成等を同じくする一種類の制御基板104を複数の会社間で共通に使用することができるため、各会社毎に製造基板を個別に製造する場合に比べると、部品管理を含めたトータルの製造コストを大幅に低減することができる。また、例えば「△△社」のパチンコ機(遊技機)に使用されていた制御基板104を別の「○○社」や「××社」用としてリユース(再使用)する場合、紐状体113を切断して既存の目隠し部材110を制御基板104から取り外した後、新たに交換した目隠し部材110を制御基板104に再固定して別の社名を露呈させれば良いため、異なる複数の会社間でのリユースが可能となる。しかも、制御基板104の第2識別標識部108に「当該基板の管理情報」を示すデータがQRコードやICチップ等として設けられているため、仮に目隠し部材110が制御基板104から不正に取り外されたとしても、この第2識別標識部108から制御基板104の管理情報を確認することができる。
【0030】
また、目隠し部材110が、制御基板104の第1識別標識部107上に載置される長板状の本体部111と、この本体部111の長手方向の一端側に設けられた第1フック部112と、本体部111の長手方向の他端側から導出する紐状体113と、この紐状体113の先端に設けられた第2フック部114とを備え、これら第1フック部と第2フック部とをスナップ結合して一体化することにより、目隠し部材110を制御基板104に脱着不能とするスナップかしめ部117が構成されているため、目隠し部材110を制御基板104に対して簡単に固定することができる。また、目隠し部材110の本体部111が、複数の社名の全てを露呈させることが可能な透明板115と、透明板115の裏面に貼着された隠蔽シール116とからなり、この隠蔽シール116に複数の社名の1つを露出させる透孔116aが形成されているため、同一種類の透明板115に対して透孔116aの形成位置を異にする隠蔽シール116を選択的に貼着することで3種類の目隠し部材110が得られ、この点からも部品の共通化を図ることができる。なお、目隠し部材110を制御基板104に位置決め固定する手段として、制御基板104の相対向する両側縁部に貫通孔104b,104cの代わりに切欠溝を形成し、これら切欠溝に紐状体113を掛け止めすることも可能である。
【0031】
図12〜図14は目隠し部材の変形例を示すものであり、図6〜図11に対応する部分には同一符号を付してある。図12と図13に示すように、この変形例に係る目隠し部材120は、制御基板104の第1識別標識部107上に載置される長板状の本体部121と、本体部121の裏面に設けられた一対の第1フック部122と、制御基板104を介して本体部121に対向する蓋体部123と、蓋体部123に立設された一対の第2フック部124と、本体部121と蓋体部123の一側縁どうしを折り畳み可能に連結する連結部125と、本体部121から連結部125にかけて貼着された隠蔽シール126とで構成されており、制御基板104の第1識別標識部107には一対の貫通孔127が穿設されている。
【0032】
本体部121(第1フック部122を含む)と連結部125および蓋体部123(第2フック部124を含む)は透明な樹脂によって一体成形されており、本体部121に設けられた一対の第1フック部122は内周面に段差を有する円筒状体として形成されている。蓋体部123に設けられた一対の第2フック部124は矢尻状に形成されており、これら第2フック部124は貫通孔127内に挿入されて制御基板104の表面側に突出している。そして、各第2フック部124に対応する第1フック部122を嵌め込んで両者をスナップ結合することで目隠し部材120は制御基板104に固定され、これら第1フック部122と第2フック部124とによって目隠し部材120を制御基板104に脱着不能とするスナップかしめ部128が構成されている。隠蔽シール126には複数の社名の1つを露出させる透孔126aが形成されており、この隠蔽シール126を本体部121に貼着することによって第1フック部122は隠蔽される。図示省略されているが、透孔126aの形成位置を異にする3種類の隠蔽シール126が準備されており、これら3枚の隠蔽シール126の中から1つが選択的に本体部121と蓋体部123の表面に貼着されるようになっている。なお、隠蔽シール126は剥離しにくい粘着材を用いて本体部121に貼着され、隠蔽シール126を無理に剥がすと本体部121に剥離痕が残るようになっている。
【0033】
このような目隠し部材120を使用して複数の製造業者名の中から1つ、例えば「△△社」用の制御基板104を製造する場合は、まず、図14(a)に示すように、一対の第2フック部124を制御基板104の裏面側から貫通孔127に挿通させる。しかる後、図14(b)に示すように、本体部121と連結部125を制御基板104の表面側に折り畳んで、一対の第1フック部122を貫通孔127から突出する第2フック部124に挿入して両者をスナップ結合することにより、両フック部122,124を脱着不能に一体化する。最後に、図12に示すように、中央に透孔126aが形成された隠蔽シール126を本体部121から連結部125にかけて貼着すると、制御基板104の第1識別標識部107に印刷された複数の製造業者名のうち、中央の「△△社」のみが透孔126aを通して外部から目視可能となるが、左右の「○○社」と「××社」は隠蔽シール126に覆われて隠蔽されるため、この制御基板104は「△△社」専用の基板となる。また、「○○社」用の制御基板104を製造する場合は、図14(b)に示すように、第1フック部122と第2フック部124を脱着不能にスナップ結合した後、左側に透孔126aが形成された別の隠蔽シール126を本体部121から連結部125にかけて貼着すれば良く、「××社」用の制御基板104を製造する場合は、同じく第1フック部122と第2フック部124を脱着不能にスナップ結合した後、右側に透孔126aが形成された別の隠蔽シール126を本体部121から連結部125にかけて貼着すれば良い。
【0034】
したがって、このような目隠し部材120を使用した場合も、回路構成等を同じくする一種類の制御基板104を複数の会社間で共通に使用することができるため、各会社毎に製造基板を個別に製造する場合に比べると、部品管理を含めたトータルの製造コストを大幅に低減することができる。また、隠蔽シール126を突き破って両フック部122,124のスナップ結合を破壊することで既存の目隠し部材120を制御基板104から取り外した後、新たに制御基板104に再固定した目隠し部材120の本体部121に別の隠蔽シール126を貼着すれば、新たに交換した隠蔽シール126の透孔126aから別の社名を露呈させることができるため、異なる複数の会社間でのリユースが可能となる。しかも、目隠し部材120のスナップかしめ部128(両フック部122,124のスナップ結合部分)が本体部121に貼着した隠蔽シール126によって隠蔽されるため、目隠し部材120を不正に取り外すという行為を抑止することができる。なお、図12〜図14では図示省略されているが、制御基板104には第1識別標識部107の他に「当該基板の管理情報」を示す第2識別標識部108がQRコードやICチップ等として設けられているため、仮に目隠し部材120が制御基板104から不正に取り外されたとしても、この第2識別標識部108から制御基板104の管理情報を確認することができる。
【0035】
図15と図16は目隠し部材の他の変形例を示すものであり、図6〜図11に対応する部分には同一符号を付してある。図15に示すように、この変形例に係る目隠し部材130は、長手方向の途中に係止突起131aを有する紐状体131と、この紐状体131の一端側に設けられた第1フック部132と、紐状体131の他端側に設けられた第2フック部133と、係止突起131aと第1フック部132との間で紐状体131の側方へ突出する複数(図15では2つ)の本体部134とで構成されており、これらは染料や顔料が含有された黒色等の不透明樹脂によって一体成形されている。
【0036】
紐状体131の係止突起131aは制御基板104の表面側で貫通孔104cの周縁に係止しており、この係止突起131aから第2フック部133に至る部分の紐状体131が制御基板104の裏面側に導出されている。第1フック部132は内周面に段差を有する円筒状体として形成されており、この第1フック部132はもう1つの貫通孔104b内に挿入されて制御基板104の裏面側に突出している。各本体部134は制御基板104の表面側の第1識別標識部107上に載置されており、これら本体部134はそれぞれ幅狭部134aを介して紐状体131に連結されている。第1識別標識部107に印刷された3つの社名のうち「○○社」と「××社」は本体部134によって隠蔽されており、残りの「△△社」が両本体部134の間に露出している。ただし、目隠し部材130が制御基板104に固定される前の状態において、図16に示すように、紐状体131には第1識別標識部107の各社名に対応して3つの本体部134が連設されており、これら本体部134の1つが幅狭部134aと共に紐状体131から選択的に除去されるようになっている。第2フック部133は矢尻状に形成されており、この第2フック部133を第1フック部132に挿入して両者をスナップ結合することで目隠し部材130は制御基板104に固定され、これら第1フック部132と第2フック部133とによって目隠し部材130を制御基板104に脱着不能とするスナップかしめ部135が構成されている。
【0037】
このような目隠し部材130を使用して複数の製造業者名の中から1つ、例えば「△△社」用の制御基板104を製造する場合は、まず、図16に示す目隠し部材130から真ん中の本体部134を1つだけ除去した後、この目隠し部材130の第2フック部133を貫通孔104cに挿入して紐状体131を制御基板104の表面側から裏面側に導出させると共に、各本体部134を第1識別標識部107上に載置して第1フック部132をもう1つの貫通孔104b内に挿入する。しかる後、紐状体131をU字状に反転して第2フック部133を第1フック部132に挿入することにより、両フック部112,114を脱着不能にスナップ結合する。その結果、第1識別標識部107に印刷された複数の製造業者名のうち、「○○社」と「××社」はそれぞれ本体部134によって隠蔽されるが、残りの「△△社」が両本体部134の間に露出するため、この制御基板104は「△△社」専用の基板となる。また、「○○社」用の制御基板104を製造する場合は、図16に示す目隠し部材130から左側の本体部134を1つだけ除去した後、この目隠し部材130を制御基板104に固定すれば良く、「××社」用の制御基板104を製造する場合は、図16に示す目隠し部材130から右側の本体部134を1つだけ除去した後、この目隠し部材130を制御基板104に固定すれば良い。
【0038】
したがって、このような目隠し部材130を使用した場合においても、回路構成等を同じくする一種類の制御基板104を複数の会社間で共通に使用することができるため、各会社毎に製造基板を個別に製造する場合に比べると、部品管理を含めたトータルの製造コストを大幅に低減することができる。また、紐状体131を切断して既存の目隠し部材130を制御基板104から取り外した後、本体部134の切除位置を変えた別の目隠し部材130を制御基板104に再固定すれば、新たに交換した目隠し部材130の各本体部134の間に別の社名を露呈させることができるため、異なる複数の会社間でのリユースが可能となる。さらに、図15では図示省略されているが、制御基板104には第1識別標識部107の他に「当該基板の管理情報」を示す第2識別標識部108がQRコードやICチップ等として設けられているため、仮に目隠し部材130が制御基板104から不正に取り外されたとしても、この第2識別標識部108から制御基板104の管理情報を確認することができる。また、この目隠し部材130を制御基板104に位置決め固定する手段として、制御基板104の相対向する両側縁部に貫通孔104b,104cの代わりに切欠溝を形成し、これら切欠溝に紐状体131を掛け止めするようにしても良い。
【0039】
なお、上記した実施形態例では、本発明の基板ユニット100をパチンコ機Pに適用した場合について説明したが、スロットマシン等の他の遊技機についても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
100 基板ユニット
101 上ケース
102 下ケース
104 制御基板
104b,104c 貫通孔
107 第1識別標識部
108 第2識別標識部
109 第3識別標識部
110 目隠し部材
111 本体部
112 第1フック部
113 紐状体
114 第2フック部
115 透明板
116 隠蔽シール
116a 透孔
117 スナップかしめ部
120 目隠し部材
121 本体部
122 第1フック部
123 蓋体部
124 第2フック部
125 連結部
126 隠蔽シール
127 貫通孔
128 スナップかしめ部
130 スナップかしめ部
131 紐状体
131a 係止突起
132 第1フック部
133 第2フック部
134 本体部
135 スナップかしめ部
P パチンコ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な一対のケース内に遊技に関する制御を司る制御基板が収納されている遊技機の基板ユニットにおいて、
前記制御基板に当該基板の管理情報を示す識別標識が設けられていると共に、遊技機の製造業者を示す複数の社名が表示されており、これら複数の社名の1つを露呈させて残りを隠蔽する目隠し部材を前記制御基板に脱着不能なスナップかしめ部を介して固定したことを特徴とする遊技機の基板ユニット。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記目隠し部材が、前記制御基板の片面で前記社名の表示領域に載置された長板状の本体部と、この本体部の長手方向の一端側に設けられた第1フック部と、前記本体部の長手方向の他端側から導出して前記制御基板の他面に敷設された紐状体と、この紐状体の先端に設けられた第2フック部とで構成されており、前記第1フック部と前記第2フック部とをスナップ結合して前記スナップかしめ部となしたことを特徴とする遊技機の基板ユニット。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記複数の社名が前記制御基板の一側面に沿って列状に表示されていると共に、前記制御基板に前記社名の表示領域の近傍に位置する貫通孔が設けられており、前記目隠し部材が、前記制御基板の片面で前記社名の表示領域に載置された本体部と、この本体部に設けられた第1フック部と、前記本体部に折り畳み可能に連結されて前記制御基板の他面に位置する蓋体部と、この蓋体部に設けられた第2フック部とで構成されており、前記第1フック部と前記第2フック部のいずれか一方を前記貫通孔に挿通して他方にスナップ結合することによって前記スナップかしめ部となしたことを特徴とする遊技機の基板ユニット。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、前記本体部が、前記複数の社名の全てを露呈させることが可能な透明板と、この透明板に貼着されて前記複数の社名の1つを除いて残部を選択的に隠蔽する隠蔽シールとで構成されていることを特徴とする遊技機の基板ユニット。
【請求項5】
請求項1の記載において、前記目隠し部材が、前記制御基板の表裏両面に跨がって架設された紐状体と、この紐状体の両端に設けられて互いにスナップ結合された一対のフック部と、前記紐状体から側方へ突出して前記社名の表示領域に載置された本体部とで構成されており、前記一対のフック部のスナップ結合によって前記スナップかしめ部となしたことを特徴とする遊技機の基板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−135480(P2012−135480A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290603(P2010−290603)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】