説明

遊技機の施錠装置

【課題】 鉤部材を線材等で不正に動かして解錠する不正解錠を確実に防止することのできる遊技機の施錠装置を提供する。
【解決手段】 パチンコ遊技機の施錠装置8は、シリンダ錠15と、第1鉤部材21及び第2鉤部材23を含む複数の鉤部材と、鍵解錠伝達機構と、第1伝達遮断機構とを備える。シリンダ錠15はパチンコ遊技機の前枠に設けられ、かつ専用キーにより解錠操作される。各鉤部材21,23は前枠に設けられ、かつパチンコ遊技機の外枠に設けられた複数の受け金具にそれぞれ係止及び離脱する。鍵解錠伝達機構は、専用キーの解錠操作に応じたシリンダ錠15の動作を全ての鉤部材21,23に伝達して受け金具から離脱させる。第1伝達遮断機構は、第1鉤部材21に対する解錠操作に応じた同鉤部材21の動作が、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つ(第2鉤部材23)に伝達されるのを遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前枠を外枠に開閉可能に支持したパチンコ遊技機、パチスロ遊技機等の遊技機において、前枠が閉じられたときにその前枠を外枠に係止するために用いられる施錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ遊技機等の遊技機には、前枠を外枠に対し施錠するための施錠装置が組込まれている。施錠装置としては、枠体、上下一対の鉤部材、連結杆、シリンダ錠及びカム板を備えたものがよく知られている。枠体は前枠に取付けられ、両鉤部材は枠体の上下両端部に軸により支持されている。各鉤部材は軸を支点として傾動することにより、外枠に固定された受け金具に対し係止及び離脱する。連結杆は枠体に上下方向への往復動可能に配置され、その連結杆の上下両端部が前記鉤部材に連結されている。シリンダ錠は枠体に組込まれており、解錠に際し鍵が差込まれて回転操作される。カム板はシリンダ錠の錠軸に取付けられており、鍵の操作にともなう錠軸の回転を連結杆に伝達して、同連結杆を下方へ移動させる。
【0003】
上記施錠装置によると、施錠時には、連結杆が上方に位置していて両鉤部材が受け金具に係止している。鍵が所定方向へ回されると、錠軸の回転がカム板を介して連結杆に伝わる。連結杆の下方への移動により、上下両鉤部材が同時に傾動してそれぞれ受け金具から離脱し、解錠される。このように、施錠装置は、鍵をシリンダ錠に差込んで回した場合に解錠される構造に設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パチンコホールのシマにおいては、多数台のパチンコ遊技機が横に列をなして並べられ、さらに隣合うパチンコ遊技機の間には玉貸し機が配置される。この玉貸し機の設置のために通常は、隣合うパチンコ遊技機が球貸し機の幅よりも多少広めの間隔で配置される。これにともない、パチンコ遊技機と球貸し機との間に若干の隙間が生ずる。そのため、針金等の線材を前記隙間を通じて差込み、鉤部材、特に下側の鉤部材に直接力を加えることが可能である。このようにして一方(下側)の鉤部材が傾動されると、その動きが連結杆を介して他方(上側)の鉤部材にも伝わってしまい、上下両鉤部材が連動して傾動し受け金具から離脱する。本来ならば、専用の鍵を用いなければ解錠できないはずの施錠装置が、その鍵を用いることなく不正に解錠されてしまう問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、鉤部材を線材等で不正に動かして解錠する不正解錠を確実に防止することのできる遊技機の施錠装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、遊技機の前枠に設けられ、かつ鍵により解錠操作される錠と、前記前枠に設けられ、かつ前記遊技機の外枠に設けられた複数の被係止部にそれぞれ係止及び離脱する、第1鉤部材及び第2鉤部材を少なくとも含む複数の鉤部材と、前記鍵の解錠操作に応じた前記錠の動作を全ての鉤部材に伝達して被係止部から離脱させる鍵解錠伝達機構と、前記第1鉤部材に対する解錠操作に応じた同第1鉤部材の動作が、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つに伝達されるのを遮断する第1伝達遮断機構とを備えている。
【0007】
上記発明によると、施錠時には、全ての鉤部材が被係止部に係止し、遊技機の前枠が閉じられた状態に保たれる。鍵を解錠操作すると、その操作に応じて錠が動作する。錠の動作は鍵解錠伝達機構を通じて全ての鉤部材に伝達され、それらの鉤部材が被係止部から離脱し、前枠が開放可能となる。一方、鍵を用いずに、線材等によって第1鉤部材に対し不正な解錠操作を行うと、その鉤部材は被係止部から離脱する(外れる)。しかし、第1鉤部材の動作は、第1伝達遮断機構の作用により、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つには伝達されない。その結果、少なくとも1つの鉤部材は被係止部に係止した状態を維持し続け、前枠が開くことはない。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、線材等により所定の鉤部材に対し不正な解錠操作が行われても、ほかの鉤部材が連動して被係止部から外れるのを阻止することができる。不正な前枠の開放を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態において、施錠装置を組込んだパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】パチンコ遊技機の側面図である。
【図3】(a)は施錠装置の斜視図であり、(b)は分解斜視図である。
【図4】(a)は施錠時における施錠装置の側面図であり、(b)は専用キーを用いて両鉤部材を受け金具から外した状態を示す側面図であり、(c)は(b)の施錠装置の部分拡大背面図である。
【図5】(a)は第1鉤部材を解錠操作したときの施錠装置の側面図であり、(b)は第2鉤部材を解錠操作したときの施錠装置の側面図である。
【図6】第2実施形態の施錠装置を示す図であり、(a)は第1鉤部材を解錠操作したときの施錠装置の側面図であり、(b)は第2鉤部材を解錠操作したときの施錠装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明をパチンコ遊技機の施錠装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機1は、外枠2と、軸9により外枠2に開閉可能に支持された前枠(内枠と呼ばれることもある)3と、前枠3に組付けられた遊技盤4と、軸10により前枠3に開閉可能に支持されたガラス枠5とを備えている。外枠2内の右側部には被係止部が固定されている。被係止部は、剛性の高い材料、例えば金属板によって形成されている。ここでは、被係止部として、金属板を曲げ形成したもの(以下「受け金具」という)が用いられ、これが木ねじ等によって外枠2に固定されている。受け金具の数は複数(2つ以上)であり、ここでは2個の受け金具(第1受け金具6及び第2受け金具7)が用いられている。第1受け金具6は外枠2の下部に固定され、第2受け金具7は外枠2の上部に固定されている。前枠3の裏面の右側部には、縦長の施錠装置8が組付けられている。施錠装置8は、前枠3が閉じられたときにその前枠3を外枠2に係止するための機構と、ガラス枠5が閉じられたときにそのガラス枠5を前枠3に係止するための機構とを備えている。本実施形態では、主として前者の機構について説明し、後者の機構については説明を省略する。
【0011】
施錠装置8は、図3(a),(b)に示すように上下に細長い枠体13を備えており、この枠体13において前枠3に固定されている。ここでは、金属板を略直角に曲げてアングル状としたものが枠体13として用いられているが、これに限らない。枠体13において互いに略直交する2つの板状部分を区別するために、一方を「取付け部11」といい、他方を「支持部12」ということにする。取付け部11は木ねじ等の締結具によって前枠3の裏面に固定されており、支持部12は同裏面に対し略直交している。枠体13の上部には、補助枠35が上下方向への往復動可能に取付けられている。補助枠35は、ガラス枠5を前枠3に係止するための機構の一部をなすものである。
【0012】
取付け部11には、図4(b)に示すように、解錠のために専用の鍵(以下「専用キー」という)14によって解錠操作される錠が組付けられている。ここでは、錠としてシリンダ錠15が用いられているが、これ以外のタイプの錠が用いられてもよい。シリンダ錠15においては、解錠のために専用キー14が差込まれて回転されるが、ここでは、パチンコ遊技機1の正面から見て時計回り方向(図4(b)において矢印で示す方向)を、前枠3を開放する際に専用キー14を回す方向とし、反時計回り方向を、ガラス枠5を開放する際に専用キー14を回す方向としている。シリンダ錠15は、前枠3にあけられた孔(図示略)に通されている。図3(a),(b)に示すように、シリンダ錠15は専用キー14の操作にともない回動する錠軸16を備えている。錠軸16には、第1突起17及び第2突起18を有するカム板19が取付けられている。
【0013】
支持部12の下部において、第1受け金具6と対応する箇所には、第1鉤部材21が軸22により上下方向への傾動可能に支持されている。第1鉤部材21は、略水平状態となったときに第1受け金具6に係止し、下方へ傾いたときに同受け金具6から離脱する(外れる)。同様に、支持部12の上部において、第2受け金具7と対応する箇所には、第2鉤部材23が軸24により上下方向への傾動可能に支持されている。第2鉤部材23は略水平状態となったときに第2受け金具7に係止し、下方へ傾いたときに同受け金具7から離脱する(外れる)。なお、鉤部材21,23としては、上方へ傾いたときに受け金具6,7から離脱するタイプが用いられてもよいし、傾動以外の動作をして受け金具6,7に係止及び離脱するタイプが用いられてもよい。
【0014】
支持部12の側方(図3(a)では左方)近傍には、連結杆20が上下方向への往復動可能に配置されている。枠体13には、連結杆20の前後方向の動き及び左右方向の動きを規制するための機構が設けられている。図3(a)においては、前後方向は矢印Xによって示され、左右方向は矢印Yによって示されている。前後方向の動きを規制する機構として、支持部12の後部には所定数のガイド片27が曲げ形成されており、これらのガイド片27と取付け部11とによって連結杆20が挟み込まれている。左右方向の動きを規制する機構として、取付け部11の裏面には所定数の規制突起28が形成されており、これらの規制突起28と支持部12とによって連結杆20が挟み込まれている。これらの規制のための機構は一例にすぎず、適宜変更可能である。なお、連結杆20の上下方向への往復動のうち、上方への移動は解錠に関連する。後述するように、連結杆20の上方への移動により、全鉤部材21,23が受け金具6,7から外れて、解錠が行われる。このことから、連結杆20の往復動方向である上下方向のうち、「上方」を「解錠方向」というものとする。
【0015】
連結杆20は第1連結杆25と、その上側に配置された第2連結杆26とに分割されている。第1連結杆25は上下に細長い形状をなし、その下端部において第1鉤部材21に動力伝達可能に連結されている。ここでは、第1連結杆25の下端部が、連結ピン29により第1鉤部材21に直接連結されている。このため、第1連結杆25から第1鉤部材21への動力伝達と、その逆方向の動力伝達とがともに可能である。
【0016】
第2連結杆26は上下に細長い形状をなし、その一部には、前記カム板19の回転にもない第1突起17が当接される回転伝達部32が形成されている。これらのカム板19及び回転伝達部32は、錠軸16の回転運動を直線運動に変換して第2連結杆26に伝達するものである。そして、前枠3の開放のために専用キー14が時計回り方向へ回されると、第1突起17が回転伝達部32に下側から当接し、第2連結杆26を押上げる。このようにして、第2連結杆26は専用キー14の解錠操作にともない解錠方向へ移動する。これとは逆に、ガラス枠5の開放のために専用キー14が反時計回り方向へ回されると、第2突起18が補助枠35を押し下げる。
【0017】
第2連結杆26の上端部は第2鉤部材23に動力伝達可能に連結されている。しかし、同上端部は、前述した第1連結杆25の下端部とは異なり、第2鉤部材23に対し連結ピンによって連結されてはいない。連結ピンによる連結に代えて、第2連結杆26の上端部には押圧部33が設けられ、第2鉤部材23には受圧部34が設けられている。ここは、第2連結杆26の上端縁が押圧部33として利用されている。第2鉤部材23の一部は第2連結杆26側へ曲げ形成されており、この折曲げ部分が受圧部34とされている。これらの押圧部33及び受圧部34は一例にすぎず、専用キー14の操作により第2連結杆26が上方(解錠方向)へ移動したときには受圧部34が押圧部33に当接し、かつ第1鉤部材21が不正に押下げられたときには受圧部34が押圧部33から離間するという条件を満たす限りにおいて、適宜変更可能である。この変更に際しては、押圧部33は第2連結杆26と一体で形成されてもよいし、別部材によって形成され、接着、溶接等の手段によって第2連結杆26に固定されてもよい。受圧部34に関しても同様である。
【0018】
さらに、受圧部34を押圧部33に当接させる方向へ第2鉤部材23を付勢する第2弾性部材が用いられている。ここでは、第2弾性部材として第2コイルばね36が用いられ、これが引張られた状態で補助枠35及び受圧部34間に掛渡されている。第2コイルばね36は、補助枠35に代えて枠体13に掛止されてもよい。第2弾性部材としては、圧縮コイルばね、ねじりコイルばね、板ばね、棒ばね等のばねが用いられたり、ばね以外のもの、例えばゴム(ゴム紐等)が用いられたりしてもよい。
【0019】
第1連結杆25及び第2連結杆26は次のようにして伸縮可能に連結されている。連結杆25,26の一方には、その長さ方向に沿って延びるガイド部が設けられ、他方には係合突部が設けられ、この係合突部がガイド部内に往復動可能に係入されている。ここでは、ガイド部として、第2連結杆26の下端部に上下方向に細長い長孔37があけられている。また、係合突部として、第1連結杆25の上端部に係合ピン38が固定されている。そして、係合ピン38が長孔37内に係入されている。従って、係合ピン38を長孔37内でスライドさせることにより、連結杆20が伸縮する。
【0020】
なお、上記とは逆に、ガイド部が第1連結杆25に設けられ、係合突部が第2連結杆26に設けられてもよい。また、ガイド部としては、長孔に限らず溝であってもよい。さらに、第1連結杆25を常に下方(反解錠方向)へ付勢する第1弾性部材が設けられている。ここでは、第1弾性部材として第1コイルばね31が用いられ、これが引張られた状態で、取付け部11及び第1連結杆25に掛渡されている。第1弾性部材としては、圧縮コイルばね、ねじりコイルばね、板ばね、棒ばね等のばねが用いられたり、ばね以外のもの、例えばゴムが用いられたりしてもよい。
【0021】
そして、第1連結杆25と、回転伝達部32を有する第2連結杆26と、両連結杆25,26を伸縮可能に連結する長孔37及び係合ピン38と、第1連結杆25を第1鉤部材21に連結する連結ピン29と、第2連結杆26を第2鉤部材23に動力伝達可能に連結する押圧部33及び受圧部34と、第1コイルばね31及び第2コイルばね36とは、鍵解錠伝達機構A、第1伝達遮断機構B及び第2伝達遮断機構Cを構成している。これらの構成要素は、鍵解錠伝達機構Aとして機能することにより、専用キー14の解錠操作に応じたシリンダ錠15の動作を全ての鉤部材21,23に伝達して受け金具6,7から外れさせる。第1伝達遮断機構Bとして機能することにより、第1鉤部材21に対する解錠操作に応じた同鉤部材21の動作が、解錠操作されていない第2鉤部材23に伝達されるのを遮断する。第2伝達遮断機構Cとして機能することにより、第2鉤部材23に対する解錠操作に応じた同鉤部材23の動作が、解錠操作されていない第1鉤部材21に伝達されるのを遮断する。
【0022】
また、鍵解錠伝達機構A及び第1伝達遮断機構Bの構成要素中、長孔37、係合ピン38及び第1コイルばね31は、第2連結杆26から第1連結杆25への動力伝達を許容し、第1連結杆25から第2連結杆26への動力伝達を遮断するための第1伝達経路断続部Dを構成している。鍵解錠伝達機構A及び第2伝達遮断機構Cの構成要素中、押圧部33、受圧部34及び第2コイルばね36は、連結杆20から第2鉤部材23への動力伝達を許容し、第2鉤部材23から連結杆20への動力伝達を遮断するための第2伝達経路断続部Eを構成している。
【0023】
前記の施錠装置8が組付けられたパチンコ遊技機1は、パチンコホールのシマにおいては、横に列をなして並べられる。図1に示すように、隣合うパチンコ遊技機1の間には二点鎖線で示すように縦長の球貸し機41が配置される。
【0024】
次に、前記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。図4(a)は、施錠装置8の施錠時の状態を示している。この状態では、第2コイルばね36によって下方へ引張られた第2鉤部材23が第2受け金具7に下側から係止している。受圧部34により、第2連結杆26の上方への移動が規制されている。また、回転伝達部32に対し第1突起17が下側から当接している。このため、第2連結杆26は上下動不能である。第1連結杆25においては、第1コイルばね31による下方への引張り力が常に作用しているが、係合ピン38が長孔37の下端に当接しており、この当接により第1連結杆25の下方への移動が規制されている。そして、第1連結杆25の下端に連結された第1鉤部材21は、第1受け金具6に下側から係止している。両鉤部材21,23の係止により前枠3が閉じられた状態に保たれている。
【0025】
前枠3を開放するために、図4(b),(c)に示すように、専用キー14をシリンダ錠15に差込み、図4(b)の矢印で示す方向へ回すと、錠軸16及びカム板19が同方向へ回転する。カム板19の回転により第1突起17が回転伝達部32を通じて第2連結杆26を押上げる。第2連結杆26の動きは第2伝達経路断続部Eによって第2鉤部材23に伝達される。詳しくは、第2連結杆26の動きは押圧部33、受圧部34を通じて第2鉤部材23に伝達される。第2鉤部材23は第2コイルばね36の引張り力に抗して下方へ傾動し、第2受け金具7から外れる。また、第2連結杆26の動きは、第1伝達経路断続部Dにより第1連結杆25に伝達される。詳しくは、第2連結杆26の動きは、長孔37の下端に位置する係合ピン38を通じて第1連結杆25に伝達される。第1連結杆25は、第2連結杆26と一体となって、第1コイルばね31の引張り力に抗して上方へ移動する。この移動は連結ピン29を通じて第1鉤部材21に伝達され、同鉤部材21が下方へ傾動し、第1受け金具6から外れる。このように、専用キー14の解錠操作に応じてシリンダ錠15が動作し、その動作が鍵解錠伝達機構A、第1伝達経路断続部D及び第2伝達経路断続部Eの作用により、全ての鉤部材21,23に伝達される。それらの鉤部材21,23が略同時に受け金具6,7から外れ、前枠3の開放が可能となる。
【0026】
一方、パチンコ遊技機1と球貸し機41との間に若干の隙間が生じていることを利用し、専用キー14を用いずに、線材等、例えば針金をその隙間下部を通じて差込み、図5(a)に示すように、第1鉤部材21に直接力を加えて下方へ傾動させると、同第1鉤部材21が第1受け金具6から外れる。しかし、第1鉤部材21の動作は、第1伝達遮断機構B及び第1伝達経路断続部Dの作用により、解錠操作されていない第2鉤部材23には伝達されない。詳しくは、第1鉤部材21の傾動により第1連結杆25が第1コイルばね31に抗して上方(解錠方向)へ移動する。これにともない係合ピン38は長孔37の下端部から上方へ移動する。この移動により、第1連結杆25から第2連結杆26への動力伝達が遮断される。第1連結杆25は移動するものの第2連結杆26は動かず、結果として第2鉤部材23は第2受け金具7に係止し続ける。前枠3は閉じたままである。
【0027】
前記とは逆に、専用キー14を用いずに、パチンコ遊技機1と球貸し機41との間の隙間上部を通じて線材等を差込み、図5(b)に示すように、第2コイルばね36に抗して第2鉤部材23に直接力を加えて下方へ傾動させると、同鉤部材23が第2受け金具7から外れる。しかし、第2鉤部材23の動作は、第2伝達遮断機構C及び第2伝達経路断続部Eの作用により、解錠操作されていない第1鉤部材21には伝達されない。すなわち、第2鉤部材23は下方へ傾動するものの、受圧部34が押圧部33から上方へ離間するのみで、第2鉤部材23の動きは連結杆20に伝達されない。結果として、両連結杆25,26は動かず、第1鉤部材21は第1受け金具6に係止し続ける。前枠3は閉じたままである。
【0028】
このように本実施形態によると、専用キー14を解錠操作することにより全ての鉤部材21,23を受け金具6,7から外すようにした施錠装置8において、第1鉤部材21を線材等で不正に動かして第1受け金具6から外しても、第2鉤部材23が第2受け金具7から外れない。このため、従来の施錠装置とは異なり、不正解錠を防止することができる。
【0029】
ところで、不正解錠を防止するほかの対策として、専用キーを用いて解錠操作を行った場合には全鉤部材が動き、それ以外の解錠操作を行った場合には鉤部材が動かないようにすることが考えられる。そのために、例えば、施錠完了時に連結杆の動きをロックするロック部材を連結杆に支持し、専用キーを用いた解錠操作を行った場合にのみロック部材のロックを解除するロック解除機構を設ける。このようにすれば、専用キーを用いた解錠操作時には、ロック解除機構の作用によりロック部材のロックが解除されて連結杆が移動し、鉤部材が傾動して受け金具から外れる。しかし、鉤部材を直接傾動させる不正解錠操作時には、ロック部材によりロックされた連結杆は動かず、全ての鉤部材が受け金具に係止し続ける。従って、不正解錠防止の点に関しては、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0030】
反面、上記の対策ではロック部材及びロック機構を含めた施錠装置全体の構造が複雑となり、また部品点数も多くなってしまう。これに対し、本実施形態では、上記のようなロック機構を付加していない。第1鉤部材21から第2鉤部材23への動力伝達を遮断するために、両連結杆25,26を長孔37と係合ピン38とによって伸縮可能に連結し、第2鉤部材23から第1鉤部材21への動力伝達を遮断するために、第2連結杆26の一部を押圧部33とし、第2鉤部材23の一部に受圧部34を形成しているのみである。これらの構造は非常に簡単であり、また部品点数も少ない。従って、本実施形態は、組付け作業性、メンテナンス、製造コスト等の面で上記対策に比べ優れている。
【0031】
本実施形態は前述した事項以外にも次の特徴を有する。
【0032】
(a)第1連結杆25、第2連結杆26及び第1伝達経路断続部Dという、少なくかつ簡単な構成で、鍵解錠伝達機構A及び第1伝達遮断機構Bを成立させることができる。しかも、ガイド部、係合突部及び第1弾性部材という、少なくかつ簡単な構成で第1伝達経路断続部Dを成立させることができる。さらに、第1連結杆25又は第2連結杆26に対し打抜き等の簡単な加工を行うだけでガイド部(長孔37)を設けることができる。
【0033】
(b)第2鉤部材23に対する解錠操作に応じた同鉤部材23の動作が、解錠操作されていない第1鉤部材21に伝達されるのを遮断する第2伝達遮断機構Cを設けている。このため、第1鉤部材21が不正に解錠操作された場合だけでなく、第2鉤部材23が不正に解錠操作された場合にも、施錠装置8が解錠されるのを防止することができる。不正解錠をより一層確実に防止することができる。
【0034】
(c)連結杆20(第1連結杆25、第2連結杆26)及び第2伝達経路断続部Eという、少なくかつ簡単な構成で、鍵解錠伝達機構A及び第2伝達遮断機構Cを成立させることができる。しかも、押圧部33、受圧部34及び第2弾性部材という、少なくかつ簡単な構成で第2伝達経路断続部Eを成立させることができる。
【0035】
(d)第2連結杆26の上端縁を押圧部33として利用している。また、第2鉤部材23の一部を折曲げることにより受圧部34としている。このため、押圧部33及び受圧部34の形成のために、曲げ加工等の簡単な加工を行うだけですむ。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6(a),(b)に従って説明する。第2実施形態は、第2伝達遮断機構Cに代えて鉤部材解錠伝達機構Fを備えている点において第1実施形態と大きく異なっている。鉤部材解錠伝達機構Fは、第2鉤部材23に対する解錠操作に応じた同鉤部材23の動作を、解錠操作されていない第1鉤部材21にも伝達するためのものであり、前述した第1伝達経路断続部Dを含んでいる。詳しくは、第1実施形態において、第1鉤部材21が第1連結杆25に対し連結ピン29によって連結されているのと同様にして、第2鉤部材23が第2連結杆26に対し連結ピン42によって連結されている。押圧部33及び受圧部34は省略されている。受圧部34の省略にともない、第2コイルばね36の一端(上端)は第2連結杆26の上端部に掛止されている。なお、第1実施形態と同様の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
本実施形態において、専用キー14を用いて解錠操作を行った場合の各部の動きは第1実施形態と略同様である。第1実施形態との違いは、第2連結杆26から第2鉤部材23への動力伝達が、押圧部33及び受圧部34に代えて、連結ピン42によって行われている点である。また、専用キー14を用いずに、線材等によって第1鉤部材21に対し解錠操作を行った場合の各部の動きも第1実施形態と同様である。図6(a)に示すように、第1鉤部材21に直接力を加えて下方へ傾動させて第1受け金具6から外しても、第1連結杆25が第1コイルばね31に抗して上方へ移動するものの、係合ピン38が長孔37で移動するだけで、第2連結杆26は動かない。第2鉤部材23は第2受け金具7に係止し続け、前枠3は閉じたままである。
【0037】
専用キー14を用いずに、線材等を用い、パチンコ遊技機1の上方から図6(b)に示すように、第2コイルばね36に抗して第2鉤部材23に直接力を加えて下方へ傾動させると、同鉤部材23が第2受け金具7から外れる。第2鉤部材23の傾動は連結ピン42によって第2連結杆26に伝達され、同連結杆26が引上げられる。この際、回転伝達部32はカム板19の第1突起17から上方へ離れるのみなので、シリンダ錠15に悪影響を及ぼすおそれはない。第2連結杆26の動きは、第1伝達経路断続部Dの作用により第1連結杆25に伝達される。詳しくは、第2連結杆26の動きは長孔37の下端に位置する係合ピン38を通じて第1連結杆25に伝達される。第1連結杆25は、第2連結杆26と一体となって、第1コイルばね31の引張り力に抗して上方(解錠方向)へ移動する。この移動は連結ピン29を通じて第1鉤部材21に伝達され、同鉤部材21が下方へ傾動し第1受け金具6から外れる。このように、第2鉤部材23の動作は、第1伝達経路断続部Dを含む鉤部材解錠伝達機構Fの作用により、解錠操作されていない第1鉤部材21にも伝達され、その鉤部材21が第1受け金具6から外れ、前枠3が開放可能となる。
【0038】
このようにすると、第1鉤部材が前枠の下部に位置し、第2鉤部材が上部に位置する一般的なパチンコ遊技機において、不正な解錠操作が第1鉤部材に対して行われ、かつ、パチンコ遊技機の検査等に際し解錠操作が第2鉤部材に対して行われる場合に効果がある。特定の鉤部材(第1鉤部材)に対してのみ不正な解錠操作が行われるのは次の理由による。第1鉤部材が、図1に示すパチンコ遊技機1の発射ツマミ43や発射レバー44の近傍に位置するため、不正行為者は、パチンコ遊技時とほとんど同じ姿勢をとりながら、線材等によって第1鉤部材を動かすことができる。不正解錠操作が目立たず、パチンコホールの店員等に見つかりにくい。これに対し、第2鉤部材に対して不正な解錠操作をできないわけではないが、パチンコ遊技機及び球貸し機間の隙間上部に線材等を差込んだのでは、通常のパチンコ遊技時とは大きく異なる姿勢をとることになるため、不正行為が目立ち、店員等に見つかりやすい。目立たずに第2鉤部材を解錠操作するには、前記隙間の下部から線材等を差込み、その先端部を上方まで送り、第2鉤部材を引下げることになるが、線材等を操作する箇所が第2鉤部材から大きく離れていることから、線材等の先端部を第2鉤部材に引っ掛かるように位置合せするのが難しい。このため、第2鉤部材に対する不正な解錠操作が可能とはいえ容易ではなく、結果として、第1鉤部材に対し不正解錠操作が行われることになる。本実施形態の施錠装置8では、前述したように、第1鉤部材21から第2鉤部材23への動力伝達が遮断されるので、前記の第1鉤部材21に対する不正解錠操作が行われても、第2鉤部材23が第2受け金具7から外れるのを確実かつ効果的に阻止し、前枠3の不正な開放を防止することができる。
【0039】
また、工場等でのパチンコ遊技機の検査、組付け等に際し行われる作業の1つに、同遊技機を立てた状態で床におき、前枠を閉じたり開いたりする作業がある。このときにいちいち専用キーを用いて解錠するのでは作業性が悪いことから、従来は鉤部材を押し下げることが行われている。押下げの対象となるのは第2鉤部材である。これは、上側に位置する第2鉤部材に対して解錠操作すれば、下側に位置する第1鉤部材に対して行う場合に比べ、作業者が無理な姿勢を取らなくてもすむからである。本実施形態の施錠装置8では、前述したように、第2鉤部材23から第1鉤部材21へ動力伝達が行われるので、第2鉤部材23に対し解錠操作を行うだけで、第1鉤部材21を第1受け金具6から外し、前枠3を開放することができる。このように、第2実施形態によれば、第1鉤部材21を動かして解錠する不正解錠を防止しつつ、検査等の際に第2鉤部材23を動かして容易に解錠することができる。従来の施錠装置が有する、作業に対する利便性を損なうことがない。
【0040】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
【0041】
(1)本発明の施錠装置は、前枠を外枠に開閉可能に支持し、かつ前枠が閉じられたときにその前枠を外枠に係止するようにした遊技機であれば、種類にかかわらず広く適用することができる。このような種類としては、前述したパチンコ遊技機のほかにも例えばパチスロ遊技機が挙げられる。
【0042】
(2)施錠装置8において、3つ以上の鉤部材を用いてもよいことについては既に説明したが、この場合、第1鉤部材21及び第2鉤部材23以外の鉤部材(以下、この項において「他の鉤部材」という)は、専用キー14の解錠操作に応じたシリンダ錠15の動作が伝達されて受け金具から外れるものであればよく、第1鉤部材21に対する解錠操作に応じた同鉤部材21の動作が伝達されるものであってもよいし、伝達されないものであってもよい。要するに、第1鉤部材21が不正に動かされたときに、少なくとも1つの鉤部材が動かず、受け金具から外れなければよい。従って、上記の条件を満たす範囲での変更が可能であり、例えば、他の鉤部材は第1連結杆25に動力伝達可能に連結されてもよいし、第2連結杆26に動力伝達可能に連結されてもよい。他の鉤部材の連結杆に対する連結構造としては、第1鉤部材の連結構造と同様に連結ピンを用いたものであってもよいし、第2鉤部材の連結構造と同様に押圧部及び受圧部を用いたものであってもよい。
【0043】
(3)前枠に対する施錠装置の取付け位置は、前記実施形態で説明した箇所(前枠の右側部)に限られず、例えば左側部、上部、下部であってもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
【0045】
(イ)請求項1に記載の遊技機の施錠装置において、前記第1鉤部材が前記前枠の下部に設けられていることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0046】
不正解錠操作の対象となる施錠装置の鉤部材は、多くの場合、下側に位置するものである。パチンコ遊技機をはじめとする一般的な遊技機の下部には、弾球等の発射ツマミや発射レバーがあり、この近くにある鉤部材に対してであれば、目立たずに不正解錠操作ができるからである。(イ)では、このように不正解錠操作が行われやすい箇所に第1鉤部材を配置している。従って、必要最小限の伝達遮断機構だけで効果的に不正解錠を防止することができる。
【0047】
(ロ)請求項1に記載の遊技機の施錠装置において、
前記第2鉤部材は前記前枠の上部に設けられており、
前記第2鉤部材に対する解錠操作に応じた同第2鉤部材の動作を、解錠操作されていない全ての鉤部材に伝達する鉤部材解錠伝達機構をさらに備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0048】
上記施錠装置において、鍵を用いずに、線材等によって第2鉤部材に対し解錠操作を行うと、その鉤部材は被係止部から離脱する。この第2鉤部材の動作は、鉤部材解錠伝達機構により、解錠操作されていない全ての鉤部材に伝達され、それらの鉤部材が被係止部から離脱し、前枠の開放が可能となる。ところで、工場等での遊技機の検査、組付け等に際し行われる作業の1つに、同遊技機を立てた状態で床におき、前枠を閉じたり開いたりする作業がある。このときにいちいち鍵を用いて解錠するのでは作業性が悪いことから、従来は鉤部材を直接押し下げることが行われている。押下げの対象となるのは上側に位置する鉤部材である。これは、作業者が無理な姿勢を取らなくてもすむからである。(ロ)では、このように作業のしやすい箇所(前枠上部)に第2鉤部材を配置している。従って、第1鉤部材を動かして解錠する不正解錠を防止しつつ、検査等の際に第2鉤部材を動かすだけで全ての鉤部材を被係止部から離脱させることができ、容易に解錠できる。しかも、楽な姿勢で組付け作業や検査作業を行うことができ、作業性の向上を図ることもできる。
【0049】
なお、上記施錠装置では、仮に第2鉤部材に対して不正な解錠操作が行われた場合、解錠操作されていない全ての鉤部材が被係止部から離脱する不具合が生ずる。しかし、第2鉤部材に対する不正解錠操作のために、遊技機及び球貸し機間の隙間上部に線材等を差込んだのでは、通常の遊技時とは大きく異なる姿勢をとることになるため、不正行為が目立ってしまう。目立たずに第2鉤部材を解錠操作するには、前記隙間の下部から線材等を差込み、その先端部を上方まで送り、第2鉤部材を引下げることになるが、線材等の先端部を第2鉤部材に引っ掛かるように位置合せするのが難しい。このため、第2鉤部材に対する不正な解錠操作が可能とはいえ容易ではない。このような解錠操作は実際には行われず、上記の不具合発生のおそれはないものと考えられる。
【0050】
(ハ)請求項1に記載の遊技機の施錠装置において、
前記各鉤部材はそれぞれ軸により傾動可能に支持され、その傾動により前記被係止部に対し係止及び離脱するものであり、
前記鍵解錠伝達機構及び前記第1伝達遮断機構は、少なくとも前記第1鉤部材に動力伝達可能に連結された第1連結杆と、少なくとも前記第2鉤部材に動力伝達可能に連結され、かつ前記鍵の解錠操作にともない解錠方向へ移動する第2連結杆と、前記第2連結杆から前記第1連結杆への動力伝達を許容し、第1連結杆から第2連結杆への動力伝達を遮断する第1伝達経路断続部とを備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0051】
上記施錠装置において、鍵を解錠操作すると、第2連結杆が解錠方向へ移動し、その動きが第1伝達経路断続部により第1連結杆に伝達され、同第1連結杆が解錠方向へ移動する。両連結杆の動きは全ての鉤部材に伝達され、同鉤部材が傾動して被係止部から離脱する。一方、鍵を用いずに、線材等によって第1鉤部材に対し不正な解錠操作を行うと、第1鉤部材は被係止部から離脱する。これにともない第1連結杆が移動する。しかし、第1連結杆の動きは、第1伝達経路断続部の作用により第2連結杆へは伝達されず、第2鉤部材が被係止部に係止し続ける。従って、請求項1に記載の発明の効果に加え、少ない部品点数で、かつ簡単な構成で、鍵解錠伝達機構及び第1伝達遮断機構を成立させることができる。
【0052】
(二)上記(ハ)に記載の遊技機の施錠装置において、
前記第1伝達経路断続部は、前記第1連結杆及び前記第2連結杆の一方に設けられ、連結杆の長さ方向に沿って延びるガイド部と、前記第1連結杆及び第2連結杆の他方に設けられ、前記ガイド部内に往復動可能に係合された係合突部と、前記第1連結杆を反解錠方向へ付勢する第1弾性部材とを備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0053】
上記施錠装置においては、ガイド部内における係合突部の位置に応じて、動力伝達が許容されたり遮断されたりする。詳しくは、第1連結杆に対しては、第1弾性部材による反解錠方向への付勢力が常に作用している。このため、施錠時には係合突部はガイド部内の一方の端部に当っている。この状態から鍵を用いて解錠操作すると、第2連結杆が解錠方向へ移動する。第2連結杆の移動は、ガイド部及び係合突部を介して第1連結杆に伝達する。第1連結杆が第2連結杆と同じ方向へ移動し、全ての鉤部材が傾動して被係止部から離脱する。一方、鍵を用いずに、線材等によって第1鉤部材に対し不正な解錠操作を行うと、第1鉤部材は被係止部から離脱する。これにともない、第1弾性部材の付勢力に抗して第1連結杆が解錠方向へ移動する。しかし、係合突部がガイド部内で移動するのみで、第1連結杆の動きは第2連結杆へは伝達されない。その結果、第2鉤部材は被係止部に係止し続ける。従って、より一層簡単な構成で、上記(ハ)の効果を確実に奏することができる。
【0054】
(ホ)上記(二)に記載の遊技機の施錠装置において、
前記ガイド部は、前記第1連結杆及び前記第2連結杆の一方にあけられた長孔により構成されていることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0055】
上記施錠装置においては、鍵を用いた解錠操作時には、係合突部が長孔内の一端に当っており、第2連結杆の動きを第1連結杆に伝達する。線材等を用いた不正解錠操作時には、係合突部が長孔に沿って前記一端から他端へ向けて移動し、第1連結杆の動きを第2連結杆へ伝達しない。従って、上記(二)の効果を奏するほか、第1連結杆又は第2連結杆を加工して孔をあけるだけでガイド部を設けることができる。
【0056】
(ヘ)請求項1に記載の遊技機の施錠装置において、
前記第2鉤部材に対する解錠操作に応じた同第2鉤部材の動作が、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つに伝達されるのを遮断する第2伝達遮断機構をさらに備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0057】
上記施錠装置において、鍵を用いずに、線材等によって第2鉤部材に対し不正な解錠操作を行うと、第2鉤部材は被係止部から離脱する。しかし、第2鉤部材の動作は、第2伝達遮断機構の作用により、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つには伝達されない。その結果、少なくとも1つの鉤部材は被係止部に係止し続ける。従って、第1鉤部材が不正に解錠操作された場合だけでなく、第2鉤部材が不正に解錠操作された場合にも、施錠装置が解錠されるのを防止することができる。
【0058】
(ト)上記(ヘ)に記載の遊技機の施錠装置において、
前記各鉤部材はそれぞれ軸により傾動可能に支持され、その傾動により前記被係止部に対し係止及び離脱するものであり、
前記鍵解錠伝達機構及び前記第2伝達遮断機構は、第2鉤部材を除く全ての鉤部材に動力伝達可能に連結され、かつ前記鍵の解錠操作にともない解錠方向へ移動する連結杆と、前記連結杆から前記第2鉤部材への動力伝達を許容し、第2鉤部材から連結杆への動力伝達を遮断する第2伝達経路断続部とを備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0059】
上記施錠装置において、鍵を用いて解錠操作すると、連結杆が解錠方向へ移動する。この移動は全ての鉤部材に伝達される。特に、連結杆から第2鉤部材への動力伝達は第2伝達経路断続部によって許容される。その結果、全ての鉤部材が傾動して被係止部から離脱する。一方、鍵を用いずに、線材等によって第2鉤部材に対し不正な解錠操作を行うと、第2鉤部材は被係止部から離脱する。しかし、第2鉤部材から連結杆への動力伝達は第2伝達経路断続部によって遮断されるため、連結杆は動かず、第1鉤部材は被係止部に係止し続ける。従って、上記(ヘ)の効果に加え、少ない部品点数で、かつ簡単な構成で、鍵解錠伝達機構及び第2伝達遮断機構を成立させることができる。
【0060】
(チ)上記(ト)に記載の遊技機の施錠装置において、
前記第2伝達経路断続部は、前記連結杆に設けられた押圧部と、前記第2鉤部材に設けられ、前記連結杆の解錠方向への移動にともない前記押圧部に当接し、第2鉤部材の解錠操作にともない押圧部から離間する受圧部と、前記受圧部を前記押圧部に当接させる方向へ前記第2鉤部材を付勢する第2弾性部材とを備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【0061】
上記施錠装置においては、第2弾性部材によって付勢された第2鉤部材が被係止部に係止している。第2連結杆においては、受圧部が押圧部に当接している。鍵を解錠操作すると、連結杆が解錠方向へ移動する。第2弾性部材の付勢力に抗して第2鉤部材が傾動し、被係止部から離脱する。また、連結杆の動きは第1鉤部材に伝達され、同第1鉤部材が傾動して被係止部から離脱する。一方、鍵を用いずに、線材等によって第2鉤部材に対し不正な解錠操作を行う、すなわち第2弾性部材の付勢力に抗して第2鉤部材を傾動させて、被係止部から離脱させる。このときには、受圧部が押圧部から離間するのみで、第2鉤部材の動きは連結杆に伝達されない。第1鉤部材は被係止部に係止し続ける。従って、より一層簡単な構成で、上記(ト)の効果を確実に奏することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 パチンコ遊技機
2 外枠
3 前枠
6 被係止部としての第1受け金具
7 被係止部としての第2受け金具
8 施錠装置
14 鍵としての専用キー
15 シリンダ錠
21 第1鉤部材
23 第2鉤部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前枠に設けられ、かつ鍵により解錠操作される錠と、
前記前枠に設けられ、かつ前記遊技機の外枠に設けられた複数の被係止部にそれぞれ係止及び離脱する、第1鉤部材及び第2鉤部材を少なくとも含む複数の鉤部材と、
前記鍵の解錠操作に応じた前記錠の動作を全ての鉤部材に伝達して被係止部から離脱させる鍵解錠伝達機構と、
前記第1鉤部材に対する解錠操作に応じた同第1鉤部材の動作が、解錠操作されていない鉤部材の少なくとも1つに伝達されるのを遮断する第1伝達遮断機構と
を備えることを特徴とする遊技機の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−167561(P2011−167561A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126858(P2011−126858)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2010−117107(P2010−117107)の分割
【原出願日】平成11年4月8日(1999.4.8)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】