説明

遊技機の球払出装置

【課題】螺旋状突起を有する球払出部の不必要な回転を防止することができ、駆動源及び球払出装置の小型化を図ることができる遊技機の球払出装置を提供すること。
【解決手段】遊技機の球払出装置1は、上下方向Hに向けた回転軸部31の回りに螺旋状突起32を形成してなる球払出部3と、球払出部3を回転させる駆動源35と、駆動源35及び球払出部3を収容し、遊技球を流下させる球流路21を形成してなるケース2とを備えている。螺旋状突起32の最下端部には、螺旋状突起32において遊技球を払い出す方向に向けて形成されるリード角が、回転軸部31の軸方向に対して略垂直になった垂直停止部33が形成されている。螺旋状突起32の径方向への突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機において賞球等の際に球皿へ遊技球の払出を行う球払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の球払出装置は、遊技において入賞があったときに、球皿へ所定数の遊技球を払い出すよう構成されている。球払出装置は、遊技球を保持する切欠部を周方向に複数設けた円盤状のスプロケットを用いて構成する場合、軸部の外周に螺旋状に設けた突起部によって遊技球を押し出すスクリューを用いて構成する場合等がある。
例えば、特許文献1のパチンコ遊技機における球払出装置においては、上下方向に配置したリードスクリューをパルスモータによって回転させ、リードスクリューの回転によってパチンコ球を払い出すことが開示されている。このリードスクリューは、パチンコ球を拘束するねじ溝のリード角が進行方向に向かって拡大するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−202116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スクリューを上下方向に向けて配置した場合、遊技球の自重落下による力を利用して、遊技球の払出を行うことができる。つまり、遊技球による球圧が、スクリューにおける螺旋状の突起部に上側から加わるときには、スクリューを回転させようとする力が発生する。これにより、モータによる回転力と遊技球の自重による回転力とを利用して遊技球を払い出すことができる。
しかしながら、遊技球の自重を利用して払出を行っているために、この払出を停止する際には、大きな停止トルク(例えばステッピングモータの場合にはディテントトルク)が必要となる。そのため、大きな停止トルクを有するモータを用いることになり、モータ自体の寸法、容量が大きくなってしまい、球払出装置の小型化を図ることができない。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、螺旋状突起を有する球払出部(スクリュー)の不必要な回転を防止することができ、駆動源及び球払出装置の小型化を図ることができる遊技機の球払出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上下方向に向けた回転軸部の回りに螺旋状突起を形成してなる球払出部と、
該球払出部を回転させる駆動源と、
該駆動源及び上記球払出部を収容し、遊技球を流下させる球流路を形成してなるケースとを備え、
上記螺旋状突起の最下端部には、該螺旋状突起において遊技球を払い出す方向に向けて形成されるリード角が、上記回転軸部の軸方向に対して略垂直になった垂直停止部が形成されており、
上記螺旋状突起の径方向への突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっていることを特徴とする遊技機の球払出装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機の球払出装置は、球払出部、駆動源及びケースを備えており、球払出部の螺旋状突起の形成の仕方に工夫を行っている。
螺旋状突起の最下端部には、垂直停止部を形成している。この垂直停止部は、螺旋状突起において遊技球を払い出す方向に向けて形成されるリード角を、回転軸部の軸方向に対して略垂直(上記リード角を略0°)にして形成されている。そして、遊技球の払出を停止させるときには、駆動源による球払出部の回転を停止させて、ケースの球流路の下方に垂直停止部を位置させる。これにより、最下流側の遊技球が垂直停止部に当接し、この遊技球から垂直停止部に対して軸方向に略垂直に球圧が加わり、この遊技球から球払出部を回転させようとする力が作用しないようにすることができる。そのため、停止トルクの小さな駆動源を用いる場合であっても、球払出部の回転を停止して、遊技球の不必要な払出を防止することができる。
【0008】
一方、螺旋状突起における垂直停止部以外の部位に遊技球が当接するときには、その部位のリード角は、遊技球を払い出す軸方向に対して所定の傾斜角度を有しているので、遊技球の自重によって球払出部を回転させようとする力を作用させることができる。これにより、出力容量の小さな駆動源を用いても、高速で遊技球を払い出すことができる。
【0009】
また、螺旋状突起の径方向への突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっている。これにより、垂直停止部に当接する最下流側の遊技球に対してその上流側から当接する隣接遊技球(最下流側から2番目に位置する遊技球)が、リード角が遊技球を払い出す軸方向に対して傾斜している螺旋状突起に当接してしまうことを防止することができる。そのため、隣接遊技球の球圧が球払出部に対して不必要に加わって球払出部を回転させてしまうことを防止することができる。
【0010】
また、最下流側の遊技球と当接する垂直停止部が、回転軸部の軸方向に対して略垂直(上記リード角が略0°)に形成されている。これにより、遊技球を払い出すために球払出部を停止状態から回転駆動を始める瞬間に、僅かの回転駆動期間、垂直停止部によって最下流側の遊技球の下流側への流下移動が規制される。併せて、その上流側に当接する隣接遊技球の下流側への流下移動も規制されることとなる。つまり、垂直停止部に当接する最下流側の遊技球と、この遊技球に上流側から当接する隣接遊技球との間に形成された隙間(空間)が、僅かの回転駆動期間、下流側へ移動しないようにすることができる。これにより、その静止状態にある隙間(空間)に向けて、螺旋状突起の上流側端部を適切に進入させることができる。よって、球払出部において遊技球の不適切な球噛みが発生することを防止することができる。
【0011】
以上、遊技機の球払出装置によれば、螺旋状突起を有する球払出部の不必要な回転を防止することができ、駆動源及び球払出装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例にかかる、球払出装置を示す斜視図。
【図2】実施例にかかる、球払出装置において、球払出部及び球抜き弁が原位置にあり、垂直停止部が最下流側の遊技球に当接する状態を拡大して示す説明図。
【図3】実施例にかかる、球払出装置において、球払出部及び球抜き弁が原位置にある状態を拡大して示す断面説明図。
【図4】実施例にかかる、球払出装置において、球抜き弁が球抜き位置にある状態を拡大して示す説明図。
【図5】実施例にかかる、球払出装置において、球払出部が原位置にあり球抜き弁が球抜き位置にある状態を拡大して示す断面説明図。
【図6】実施例にかかる、球払出部の螺旋状突起における垂直停止部を、その径方向外方から見た状態で示す正面図。
【図7】実施例にかかる、球払出部の螺旋状突起を、垂直停止部の形成位置から周方向Cに90°回転した方向の径方向外方から見た状態で示す正面図。
【図8】実施例にかかる、球払出部における螺旋状突起を、回転軸部の軸方向の上方から見た状態で示す平面図。
【図9】実施例にかかる、球払出装置を配設した遊技機を、裏面側から見た状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した遊技機の球払出装置における好ましい実施の形態につき説明する。
遊技機の球払出装置においては、上記ケースには、上記球払出部の回転によって払い出される遊技球を外部へ排出するための球払出口と、上記球払出部を回転させることなく上記球流路内の遊技球を外部へ抜き出すための球抜き口とが形成されており、上記球流路の下部には、上記球払出口を開放する原位置と、該球払出口を遮って遊技球を上記球抜き口へ導く球抜き位置とに回動する球抜き機構部が配設されており、該球抜き機構部の回動軸線は、上記球払出部における上記回転軸部の軸方向と略平行になっていてもよい(請求項2)。
【0014】
この場合には、球抜き機構部を原位置から球抜き位置へ回動させるだけで、遊技球の球抜きを開始させることができる。また、球流路の下部には、球抜き機構部が配設されており、球抜き処理を行うことによってケース内の球流路に存在する全ての遊技球を適切に抜き出すことができる。これにより、球払出装置のメンテナンスの作業性を向上させることができる。また、球抜き機構部は、テコの原理を利用して回動させることができ、小さな力で容易に回動させることができる。
また、球抜き機構部の回動軸線を、球払出部における回転軸部の軸方向と略平行になるように配置している。これにより、球抜き動作を行うときの球払出装置のケースにおいて、球抜き機構部が外部に突出する部分(特に左右方向(球払出部と球抜き機構部とが並ぶ方向に直交する方向)に突出する部分)を極力小さくすることができる。そのため、球払出装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0015】
また、上記螺旋状突起の軸方向上側面が上記軸方向に直交する径方向との間に形成する傾斜角度は、上記垂直停止部よりも上流側へ向けて周方向に略180°位相がずれた上記螺旋状突起の位置を境界にして変化しており、上記螺旋状突起の軸方向上側面は、上記境界よりも上流側の突起部分が、上記境界よりも下流側の突起部分に比べて急勾配になっていてもよい(請求項3)。
【0016】
この場合には、万一、球払出部を回転動作させている際に、遊技球が螺旋状突起に不適切に当接して、球払出部が意図しない回転位置で止まってしまう場合(球詰まり状態が発生した場合)でも、球抜き機構部を原位置から球抜き位置へ回動させることにより、その球詰まりの原因となった遊技球を球抜き口へと流下させ、適切に遊技球の抜き出しを行うことができる。すなわち、上記球詰まり状態が、球払出部における螺旋状突起の上流側で発生した場合でも、その上流側の突起部分の軸方向上側面の傾斜角度を急勾配に形成することにより、球詰まり状態の遊技球の球圧が、球抜き機構部の側に分散される。これにより、球抜き機構部を原位置から球抜き位置へ回動させたときには、球詰まり状態の遊技球の球圧のバランスを崩して、この遊技球を球抜き口へ抜き出すことができる。
【実施例】
【0017】
以下に、遊技機の球払出装置に係る実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の遊技機の球払出装置1は、図1に示すごとく、上下方向Hに向けた回転軸部31の回りに螺旋状突起32を形成してなる球払出部(球払出スクリュー)3と、球払出部3を回転させる駆動源35と、駆動源35及び球払出部3を収容し、遊技球Rを流下させる球流路21を形成してなるケース2とを備えている。
螺旋状突起32の最下端部には、図6に示すごとく、螺旋状突起32において遊技球Rを払い出す方向に向けて形成されるリード角αが、回転軸部31の軸方向Lに対して略垂直になった垂直停止部33が形成されている。図8に示すごとく、螺旋状突起32の径方向Sへの突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっている。
【0018】
以下に、本例の遊技機の球払出装置1につき、図1〜図9を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例の球払出装置1は、遊技機の左右方向において占める幅寸法を小さくするため、幅方向Wの形状が、遊技球Rの略1球分の幅に対して両側に一対の壁面を形成した幅に形成されている。球払出装置1によって払い出す遊技球Rは、遊技機の本体枠7の前面側に設けた球皿に導かれる。
なお、球払出装置1の幅方向Wとは、遊技機の左右方向に配置する方向をいい、球払出装置1の奥行方向Dとは、遊技機の前後方向に配置する方向をいう。また、球払出装置1の上下方向Hは遊技機の上下方向と同じである。
図1〜図5において、幅方向を矢印Wで示し、奥行方向を矢印Dで示し、上下方向を矢印Hで示す。
【0019】
図9に示すごとく、球払出装置1は、遊技機の本体枠7の裏面側に配設されている。本体枠7には、遊技盤と対向する領域に開口穴71が形成されている。本体枠7の裏面側においては、開口穴71に対する上方位置に、遊技球Rの貯留を行う球タンク72及びタンクレール73が配設されており、開口穴71に対する側方位置にタンクレール73に繋がる球流下部材74が配設されている。そして、球払出装置1は、球流下部材74の下端部に接続されている。
【0020】
図1に示すごとく、本例の球払出部3と駆動源35とは、ケース2の上下方向Hに沿って(より詳しくは鉛直方向に沿って)その軸線方向が配置されている。球払出部3は、下側部分に螺旋状突起32を有し、上側部分に球払出部3の回転位置を検出するために用いる位置検出板34を有している。本例の駆動源35は、ステッピングモータであり、球払出部3の上端に同心状に連結されている。ケース2内には、球払出部3の位置検出板34における切欠部341を検知して、球払出部3の原位置301を検出するフォトセンサ式の位置検出スイッチ52が配置されている。
球払出部3の原位置301は、螺旋状突起32の垂直停止部33が球流路21の下方に位置する回転位置として設定されている。位置検出スイッチ52は、奥行方向において球払出部3を挟んで球流路21を配置した側と反対側に配置されている。球払出部3において、位置検出板34の切欠部341は、螺旋状突起32の垂直停止部33を形成した周方向Cの位置と位相が180°ずれた位置に形成されている。
【0021】
図1に示すごとく、ケース2内において、球払出部3よりも下方であって球流路21の下端部211には、球払出部3によって払い出される遊技球Rを1球ずつ検知する球検知スイッチ51が配設されている。
本例の球流路21は、樹脂製のケース2内に形成されている。球払出装置1を構成する球払出部3、駆動源35、球抜き弁4、球検知スイッチ51、位置検出スイッチ52は、ケース2内に収容されている。
球流路21は、各遊技球R及び球払出部3に加わる球圧を低減するために、奥行方向Dに蛇行して形成されている。球流路21は、遊技球Rを1列で流下させるよう1条の状態で形成されている。
【0022】
図1〜図5に示すごとく、ケース2における下部には、球払出部3の回転によって払い出される遊技球Rを外部へ排出するための球払出口22と、球払出部3を回転させることなく球流路21内の遊技球Rを外部へ抜き出すための球抜き口23とが、奥行方向Dに並んで形成されている。
球流路21の流路形成壁212の下部は、球払出部3における螺旋状突起32の形成位置に向くよう奥行方向Dに傾斜して形成されている。球流路21の下部には、球払出口22を開放する原位置401と(図2、図3参照)、球払出口22を遮って遊技球Rを球抜き口23へ導く球抜き位置402(図4、図5参照)とに回動する球抜き機構部としての球抜き弁4が配設されている。
球抜き弁4の回転軸部45(回動軸線)は、球払出部3における回転軸部31の軸方向Lと略平行になっている。すなわち、球払出部3の軸方向Lと、球抜き弁4の回転軸部45とは、いずれも上下方向(より詳しくは鉛直方向)に向けられている。
なお、図2、図4は、手前側のケース2を外した状態で、球流路21、球払出部3、球抜き弁4等を図示する。
【0023】
図1に示すごとく、球抜き弁4は、上下方向に回転軸部45を配置して遊技球Rを球抜き口23へ誘導する球誘導口411を形成した円筒状本体部41と、円筒状本体部41の外周から突出した操作部42と、円筒状本体部41の下端部の外周から突出した流下ガイド部43とを有している。円筒状本体部41における球誘導口411は、外周側と下端側とを連通させる状態で形成されている。操作部42は、ケース2に設けた配置穴24を介して外部に露出しており、ケース2の外部から作業者(管理者)が操作できるようになっている。
【0024】
流下ガイド部43は、図2、図3に示すごとく、球抜き弁4が原位置401にあるときには、球流路21の下端部211及び球検知スイッチ51の球通過穴511を開放し、図4、図5に示すごとく、球抜き弁4が球抜き位置402にあるときには、球流路21の下端部211及び球検知スイッチ51の球通過穴511の上方に位置する。流下ガイド部43が、球流路21の下端部211及び球検知スイッチ51の球通過穴511の上方に位置したときには、球流路21を流下する遊技球Rは、流下ガイド部43によって球誘導口411へ誘導される。
図3に示すごとく、円筒状本体部41の外周壁面46は、球抜き弁4が原位置401にあるときには、球流路21の流路壁を形成するよう構成されている。
【0025】
本例においては、図4、図5に示すごとく、球抜き弁4を原位置401から球抜き位置402へ回動(回転移動)させるだけで、遊技球Rの球抜きを開始させることができる。また、球抜き弁4は、テコの原理を利用して回動させることができ、小さな力で容易に回動させることができる。また、球抜き弁4における回転軸部45の軸線方向は、球払出部3における回転軸部31の軸方向と略平行になるようにしている。これにより、球抜き動作を行うときの球払出装置1のケース2において、球抜き弁4が外部に突出する部分(特に幅方向Wに突出する部分)を極力小さくすることができる。また、操作部をスライド移動させる従来方式の球抜き構造と比較しても、関連部材の移動領域に係わる構造を小さく形成することができる。これにより、球払出装置1のさらなる小型化を図ることができる。
【0026】
また、球抜き弁4には、原位置401と球抜き位置402とにおいて、ケース2の内壁に形成された凹部(図示省略)に係合して、球抜き弁4の位置を維持するための突起44が形成されている。
球抜き弁4は、樹脂による一体成形によって、円筒状本体部41、操作部42、流下ガイド部43及び突起44を形成してなる。これにより、従来は、遊技球Rの球圧を受けて回動可能な球抜き弁4と、球抜き弁4をスライド操作させる操作部材との2部品が必要であったのに対し、本例では、球抜き弁4によって操作部材を不要にすることができる。そして、球抜き弁4の小型化を図ることができる。
【0027】
本例においては、球抜き弁4を球抜き位置402から原位置401へ回動させるときの回動(回転)方向は、球払出部3が遊技球Rを払い出す時に回転する方向と同じ方向になるように構成されている。これにより、球抜き弁4が、球払出部3の払出し回転動作によって遊技球Rに発生する回転力をその遊技球Rから受けても、不意に原位置401から球抜き位置402へ回動してしまうことを防止することができる。
【0028】
図2に示すごとく、球払出部3が右方向回り(上面視において反時計方向)A1に回転すると、球払出部3から回転力を受ける遊技球Rには、左方向回り(上面視において時計方向)A2の回転力が発生する。そして、この回転力が与えられた遊技球Rから、球抜き弁4には、右方向回りA1の回転力が与えられる。これにより、球抜き弁4は、原位置401と球抜き位置402との間で回動する構成を有していても、遊技球Rの払出し動作中には、原位置401側へ安定して維持される(原位置401方向に付勢される)。これにより、遊技球Rの払出し動作中に、球抜き弁4が不意に原位置401から球抜き位置402へ回動してしまうことを防止することができる。
一方、作業者は、操作部42を操作して球抜き弁4を左方向回りA2に回動させることによって、球抜き弁4を原位置401から球抜き位置402へ回動させることができる。
【0029】
図6は、球払出部3の螺旋状突起32における垂直停止部33を、その径方向Sの外方から見た状態で示す図である。螺旋状突起32は、垂直停止部33の手前までは所定のリード角αを有して形成されている。垂直停止部33は、球払出部3における回転軸部31の軸方向Lに対して略垂直に形成されている。リードとは、球払出部3が1回転したときに螺旋状突起32が軸方向Lに進む距離をいう。リード角αは、螺旋状突起32を側方から見たときに、軸方向Lに直交する方向に対する傾斜角度として示される。よって、垂直停止部33においては、リード角αが略0°であると定義することができる。
【0030】
図7は、球払出部3の螺旋状突起32を、球払出部3の原位置301(図2参照)から周方向Cに90°回転した方向の径方向Sの外方から見た状態で示す図である。図7において、垂直停止部33は左側に位置し、螺旋状突起32の軸方向上側面323の境界Pは、右側に位置する。
螺旋状突起32の軸方向上側面323が軸方向Lに直交する方向との間に形成する傾斜角度θ1,θ2は、垂直停止部33よりも上流側へ向けて周方向Cに略180°(後述する、螺旋状突起32が全周に形成される角度である略360°の角度のうちの約中間位置)位相がずれた、螺旋状突起32の位置である境界Pにおいて変化している。傾斜角度θ1,θ2とは、球払出部3をその軸中心において軸方向Lに沿って切断したときに、球払出部3(回転軸部31)の径方向Sに引いたラインXと、軸方向上側面323との間に形成される角度のことをいう。
【0031】
螺旋状突起32においては、境界Pよりも上流側の突起部分321の軸方向上側面323が、境界Pよりも下流側の突起部分322の軸方向上側面323に比べて急勾配になっている。具体的には、下流側の突起部分322における軸方向上側面323は、径方向Sに引いたラインXとの間に30°の傾斜角度θ2を形成している。また、上流側の突起部分321における軸方向上側面323は、径方向Sに引いたラインXとの間に40°の傾斜角度θ1を形成している。なお、下流側の突起部分322には、垂直停止部33も含まれる。
【0032】
図8は、球払出部3における螺旋状突起32を、回転軸部31の軸方向Lの上方から見た状態で示す図である。螺旋状突起32は、径方向Sへの突出量が、下方に位置する部分ほど大きくなって形成されている。螺旋状突起32の上流側端部320は、径方向Sへの突出量が急激に小さくなって形成されており、垂直停止部33の周方向Cの端面331は、径方向Sに沿って直線状に形成されている。垂直停止部33の周方向Cの端面331から周方向Cに略180°(150°〜180°とすることができる。)位相がずれた反対側には、螺旋状突起32の軸方向上側面323の径方向Sにおける傾斜角度θ1,θ2が変化した境界Pが形成されている。
【0033】
球払出部3における螺旋状突起32は、その垂直停止部33と上流側端部320との間に、遊技球Rが1球入るリード(ピッチ)で形成されている。螺旋状突起32は、回転軸部31の回りに1〜1.25周の長さ(360°〜450°の周方向Cの長さ)で形成されている。そして、球払出部3が1回転するごとに、球流路21における遊技球Rが1球ずつ払い出されるようになっている。
【0034】
図2、図7に示すごとく、下流側の突起部分322の軸方向上側面323の傾斜角度θ2は、その上方に形成されている球流路21の形成方向Yに対して略垂直になる状態で形成されている。すなわち、球払出部3の螺旋状突起32において、球流路21から流入してくる遊技球Rを受け止めて下流側へと球送りする際に、遊技球Rと当接する部分である螺旋状突起32の軸方向上側面323の角度を、球流路21の形成方向Yに対して略垂直にしている。これにより、球払出部3による遊技球Rの払出し動作を滑らかにすることができる。併せて、下流側の突起部分322の最下端部に形成した垂直停止部33の軸方向上側面323も、球流路21の形成方向Yに対して略垂直にすることにより、球流路21から流下する最下流側の遊技球R1を最も受け止めやすくしている。
【0035】
一方、図4、図7に示すごとく、上流側の突起部分321における軸方向上側面323は、球流路21の形成方向Yに対して、若干(本例では10°)の下り方向への傾斜を形成している。この場合には、万一、球払出部3を払出し動作させている際に、遊技球Rが螺旋状突起32に不適切に当接して、球払出部3が意図しない回転位置で止まってしまう場合(球詰まり状態が発生した場合)でも、球抜き機構部4を原位置401から球抜き位置402へ回動させることにより、その球詰まりの原因となった遊技球Rを球抜き口23へと流下させ、適切に遊技球Rの抜き出しを行うことができる。
【0036】
球払出装置1による遊技球Rの払出し動作中に、仮に球流下部材74(図9参照)から球払出装置1に供給される遊技球Rに流下の不規則性が発生して、球払出装置1の球払出部3で球詰まりが発生した場合には、作業者はメンテナンス等の目的により球払出装置1内の球抜き処理を行う。
その際、仮に上流側の突起部分321の軸方向上側面323の傾斜角度θ1を、急勾配に形成せず、下流側の突起部分322の軸方向上側面323の傾斜角度θ2と同じ傾斜角度に形成した場合には、球詰まり状態となった遊技球R1が球払出部3の上流側の突起部分321においてバランスを保ち、球抜き処理を行ったとしてもその遊技球R1が適切に球払出装置1内から抜き出されない状態が発生する場合がある。
【0037】
そこで、上流側の突起部分321の軸方向上側面323の傾斜角度θ1を急勾配に形成しておくと、急勾配になったことにより、球詰まり状態にある遊技球R1の球圧が、球抜き弁4の側に分散される。これにより、球抜き弁4を原位置401から球抜き位置402へ回動させたときには、球詰まり状態となった遊技球R1の球払出部3に加わる球圧のバランスを崩して、この遊技球R1及びそれより上流側の遊技球Rを適切に球抜き口23へ抜き出すことができる。
【0038】
本例の遊技機の球払出装置1は、球払出部3、駆動源35及びケース2を備えており、球払出部3の螺旋状突起32の形成の仕方に工夫を行っている。
具体的には、螺旋状突起32の最下端部には、垂直停止部33を形成している。この垂直停止部33は、螺旋状突起32において遊技球Rを払い出す方向に向けて形成されるリード角αを、回転軸部31の軸方向Lに対して略垂直にして、形成されている。そして、遊技球Rの払出を停止させるときには、駆動源35による球払出部3の回転を停止させて、ケース2の球流路21の下方に垂直停止部33を位置させる。
【0039】
これにより、図2に示したように、最下流側の遊技球R1が垂直停止部33の軸方向上側面323に当接し、この遊技球Rから垂直停止部33に対して軸方向Lに略平行な方向(回転させない方向)に球圧が加わり、この遊技球Rから球払出部3を回転させようとする力が作用しないようにすることができる。そのため、停止トルクの小さな駆動源35を用いる場合であっても、球払出部3の回転を停止して、遊技球Rの不必要な払出を防止することができる。
【0040】
一方、螺旋状突起32における垂直停止部33以外の部位に遊技球Rが当接するときには、その部位のリード角αは、遊技球Rを払い出す軸方向に対して所定の傾斜角度を有しているので、遊技球Rの自重によって球払出部3を回転させようとする力を作用させることができる。これにより、出力容量の小さな駆動源35を用いても、高速で遊技球Rを払い出すことができる。
【0041】
また、図8に示したように、螺旋状突起32の径方向Sへの突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっている(換言すれば、径方向Sへの突出量が上方に向かうにつれて徐々に小さくなっている)。これにより、垂直停止部33に当接する最下流側の遊技球R1に上流側から当接する隣接遊技球(最下流側から2番目に位置する遊技球)R2が、リード角αが遊技球Rを払い出す軸方向に対して傾斜している螺旋状突起32に当接してしまうことを防止することができる。そのため、隣接遊技球R2の球圧が球払出部3に対して不必要に加わって球払出部3を回転させてしまうことを防止することができる。
【0042】
また、最下流側の遊技球R1と当接する垂直停止部33が、回転軸部31の軸方向に対して略垂直(リード角が略0°)に形成されている。これにより、遊技球R1を払い出すために球払出部3を停止状態から回転駆動を始める瞬間に、僅かの回転駆動期間、垂直停止部33によって最下流側の遊技球R1の下流側への流下移動が規制される。併せて、その上流側に当接する隣接遊技球R2の下流側への流下移動も規制されることとなる。つまり、図2に示したように、垂直停止部33に当接する最下流側の遊技球R1と、この遊技球R1に上流側から当接する隣接遊技球R2との間に形成された隙間(空間)Zが僅かの回転駆動期間、下流側へ移動しないようにすることができる。これにより、その静止状態にある隙間(空間)Zに向けて、螺旋状突起32の上流側端部320を適切に進入させることができる。よって、球払出部3において遊技球Rの不適切な球噛みが発生することを防止することができる。
【0043】
なお、球払出部3の回転軸部31の軸方向Lは、上下方向において鉛直方向に限定されず、鉛直方向に対して斜め方向(鉛直方向に対して0〜45°程、傾いた方向)になるように配置してもよい。回転軸部31の軸方向Lをこのような斜め方向に配置しても、遊技球Rの自重を利用して球払出部3を回転させることができる。
また、螺旋状突起32における境界Pの形成位置は、垂直停止部33から周方向Cに略180°位相がずれた位置に限定されず、垂直停止部33と球抜き弁4との位置関係に応じて、90〜270°等、適宜適切な位置とすることができる。
【0044】
以上、遊技機の球払出装置1によれば、螺旋状突起32を有する球払出部3の不必要な回転を防止することができ、駆動源35及び球払出装置1の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 球払出装置
2 ケース
21 球流路
22 球払出口
23 球抜き口
3 球払出部(球払出スクリュー)
31 回転軸部
32 螺旋状突起
321 上流側の突起部分
322 下流側の突起部分
323 軸方向上側面
33 垂直停止部
35 駆動源
4 球抜き弁(球抜き機構部)
401 原位置
402 球抜き位置
α リード角
θ 傾斜角度
R1 最下流側の遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に向けた回転軸部の回りに螺旋状突起を形成してなる球払出部と、
該球払出部を回転させる駆動源と、
該駆動源及び上記球払出部を収容し、遊技球を流下させる球流路を形成してなるケースとを備え、
上記螺旋状突起の最下端部には、該螺旋状突起において遊技球を払い出す方向に向けて形成されるリード角が、上記回転軸部の軸方向に対して略垂直になった垂直停止部が形成されており、
上記螺旋状突起の径方向への突出量は、下方に位置する部分ほど大きくなっていることを特徴とする遊技機の球払出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の球払出装置において、上記ケースには、上記球払出部の回転によって払い出される遊技球を外部へ排出するための球払出口と、上記球払出部を回転させることなく上記球流路内の遊技球を外部へ抜き出すための球抜き口とが形成されており、
上記球流路の下部には、上記球払出口を開放する原位置と、該球払出口を遮って遊技球を上記球抜き口へ導く球抜き位置とに回動する球抜き機構部が配設されており、
該球抜き機構部の回動軸線は、上記球払出部における上記回転軸部の軸方向と略平行になっていることを特徴とする遊技機の球払出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遊技機の球払出装置において、上記螺旋状突起の軸方向上側面が上記軸方向に直交する径方向との間に形成する傾斜角度は、上記垂直停止部よりも上流側へ向けて周方向に略180°位相がずれた上記螺旋状突起の位置を境界にして変化しており、
上記螺旋状突起の軸方向上側面は、上記境界よりも上流側の突起部分が、上記境界よりも下流側の突起部分に比べて急勾配になっていることを特徴とする遊技機の球払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22112(P2013−22112A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157578(P2011−157578)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(500077959)株式会社MRD (150)
【Fターム(参考)】