説明

遊技機の開閉扉構造

【課題】開閉扉体の前面側の張出し形状を形成することができるようにしつつ、遊技機に隣接して設置されるサンドに開閉扉体の前面側を当ててしまうことなく該開閉扉体を全開で開けることができるようにする。
【解決手段】外枠15に対する前枠20の開け閉めは、スライドガイド軸36の第1スライドガイド溝33内における回転およびスライドにより行われるようになっている。外枠15に対して前枠20を、前枠20の回転軸を外枠15に対してスライドさせながら開けることができる。ここで、第1スライドガイド溝33内のスライドガイド軸36の回転およびスライドは、回転ガイド軸37の第1回転ガイド溝34内における回転およびスライドによりガイドされる。前枠20を開けたり閉めたりするにあたっての前枠20の回転およびスライドを安定した回転およびスライドとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機において利用される開閉扉構造に関するものであり、例えば固定設置される基枠体に対して開閉扉体を片側開閉可能に連結するために利用される遊技機の開閉扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機にあっては、概略、外装を兼ねる枠体と、この枠体に内装される遊技盤やリール装置等の遊技機本体とにより構成される。ところで、この枠体は、例えば、区画された島に対して固定設置される基枠体と、この基枠体に対して片側開閉可能に連結される開閉扉体とを備える。この開閉扉体は、遊技者側となる遊技機の前面側の外装を兼ねて構成されている。この開閉扉体は、片側となる一側が基枠体に対して開閉することができるように、この一側とは反対側の他側が適宜に配設されるヒンジ構造により基枠体に対して連結されている(例えば、下記特許文献1参照)。
なお、ここでいう基枠体と開閉扉体とは、互いに相対の関係であることを意味するものであり、パチンコ遊技機で言えば、例えば外枠(基枠体)に対する前枠(開閉扉体)となる相対の関係であったり、また前枠(基枠体)に対するガラス枠(開閉扉体)となる相対の関係であったりする。また、このような開閉扉体は、一般に遊技機の前面側の外装をなすように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−65465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、昨今の遊技機は、遊技機前面側の外装を前面側(遊技者側)に張り出させたデザインのものが普及しつつある。このため、遊技機前面側の外装をなす開閉扉体の前面側は、従前よりも張り出した形状にて形成される傾向にある。
他方、上記したように区画された島に対して固定設置される遊技機同士の間には、一般にサンドと総称される玉替え機やコイン替え機等の装置が設置されている。このため、上記したように遊技機前面側の外装をなす開閉扉体の前面側を単に張り出させた形状とすると、開閉扉体を全開にて開けた際に、張り出した開閉扉体の前面側をサンドに当ててしまう。そうすると、この開閉扉体を全開で開けることができなくなってしまって、枠体に内装される遊技機本体の手入れのしづらいものとなってしまう。このため、上記したように遊技機前面側の外装をなす開閉扉体の前面側は、ヒンジ構造により基枠体に連結される側(一般に左側)について、前面側への張出しを控えた形状とする傾向にある。
【0005】
しかしながら、上記したようにヒンジ構造により基枠体に連結される側(一般に左側)について、前面側への張出しを控えた構成とすると、前面側への全体的な張出しをボリューム感の落とした構成とするか、左右の張出し量をアンバランス構成とするかの、いずれかの構成としなくてはならない。そうすると、遊技機の外観意匠として興趣に欠けるものとなってしまう。このため、外観意匠としての興趣を向上させるように、ヒンジ構造により基枠体に連結される側についての前面側の張出しを、ボリューム感を持たせたままで形成されるようにしておきたい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機に用いられる遊技機の開閉扉構造において、外観意匠としての興趣を向上させるように開閉扉体の前面側の張出し形状を形成することができるようにしつつ、遊技機に隣接して設置されるサンドに開閉扉体の前面側を当ててしまうことなく該開閉扉体を全開で開けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係る遊技機の開閉扉構造は、次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る遊技機の開閉扉構造は、前記開閉扉体の一側が前記基枠体に対して開け閉めできるように該一側とは反対側の他側に配設されたヒンジ構造により、該基枠体に対して該開閉扉体を一側開閉可能に連結する遊技機の開閉扉構造であって、前記ヒンジ構造は、前記基枠体に配設されるスライドガイド溝および回転ガイド溝と、前記開閉扉体に配設されるスライドガイド軸および回転ガイド軸とを具備しており、前記スライドガイド溝は、前記他側から前記一側に向かう方向に沿って延びる溝形状を有し、前記スライドガイド軸は、前記スライドガイド溝に回転可能且つスライド可能に挿し込まれる軸形状を有し、前記回転ガイド溝は、前記スライドガイド溝の延在方向と交差する方向に沿って延びる溝形状を有し、前記回転ガイド軸は、前記回転ガイド溝に回転可能且つスライド可能に挿し込まれる軸形状を有し、前記基枠体に対する前記開閉扉体の開け閉めは、前記スライドガイド軸の該スライドガイド溝内における回転およびスライドにより行われるようになっており、前記スライドガイド溝内の前記スライドガイド軸の回転およびスライドは、前記回転ガイド軸の該回転ガイド溝内における回転およびスライドによりガイドされるようになっている、ことを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、基枠体に対する開閉扉体の開け閉めは、スライドガイド軸のスライドガイド溝内における回転およびスライドにより行われるようになっている。これによって、開閉扉体の回転軸を基枠体に対してスライドさせながら基枠体に対して開閉扉体を開けることができる。ここで、スライドガイド溝内のスライドガイド軸の回転およびスライドは、回転ガイド軸の回転ガイド溝内における回転およびスライドによりガイドされる。これによって、開閉扉体を開けたり閉めたりするにあたっての開閉扉体の回転およびスライドを安定した回転およびスライドとすることができる。したがって、開閉扉体の前面側に張り出した形状を形成した場合であっても、遊技機に隣接して設置されるサンドから開閉扉体を逃げるようにスライドさせながら回転させて開けることができ、サンドに開閉扉体の前面側を当ててしまうことなく該開閉扉体を全開で開けることができる。もって、外観意匠としての興趣を向上させるように開閉扉体の前面側の張出し形状を形成することができるようにしつつ、遊技機に隣接して設置されるサンドに開閉扉体の前面側を当ててしまうことなく該開閉扉体を全開で開けることができるようになる。なお、この第1の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、開閉扉体をガイドする開閉ガイドリンクについては不要となるので、全体としての部材点数の削減も図れることができる。
【0009】
第2の発明に係る遊技機の開閉扉構造は、前記第1の発明に係る遊技機の開閉扉構造において、前記回転ガイド溝は、前記スライドガイド溝の延在方向に対して直交する方向に沿って延びる溝形状を有して形成されていることを特徴とする。
この第2の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、回転ガイド溝は、スライドガイド溝の延在方向に対して直交する方向に沿って延びる溝形状を有して形成されているので、この回転ガイド溝内の内側壁面は、スライドガイド溝の延在方向に対して直交する方向に沿って延びるように形成される。つまり、回転ガイド溝内の内側壁面は、スライドガイド軸のスライド方向に対して直交する方向に延在する。これによって、スライドガイド軸のスライドに追従してスライドしようとする該スライド方向の回転ガイド軸のスライドを、回転ガイド溝内の内側壁面に回転ガイド軸を当てることにより確実に規制することができる。したがって、回転ガイド軸を支点にした回転方向にてスライドガイド軸を回転作用させることができて、該スライドガイド軸の回転をスムーズにガイドすることができる。もって、開閉扉体を開けたり閉めたりするにあたっての開閉扉体の回転およびスライドを、より安定した回転およびスライドとすることができる。
【0010】
第3の発明に係る遊技機の開閉扉構造は、前記第1または前記第2の発明に係る遊技機の開閉扉構造において、前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸は、対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に対して挿し抜き可能に構成されており、前記開閉扉体は、前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に挿し込むことにより前記基枠体に取り付けられた状態になり、該スライドガイド軸および該回転ガイド軸を対応関係にある該スライドガイド溝および該回転ガイド溝から抜き出すことにより前記基枠体から取り外された状態となる、ことを特徴とする。
この第3の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、スライドガイド軸および回転ガイド軸は、対応関係にあるスライドガイド溝および回転ガイド溝に対して挿し抜き可能に構成されている。ここで、スライドガイド軸および回転ガイド軸をスライドガイド溝および回転ガイド溝に挿し込んだ状態では、開閉扉体を基枠体に取り付けた状態とすることができる。これに対し、スライドガイド軸および回転ガイド軸をスライドガイド溝および回転ガイド溝から抜き出した状態では、開閉扉体を基枠体から取り外した状態とすることができる。これによって、開閉扉体の基枠体に対する取付け及び取外しを簡単に行うことができる。
【0011】
第4の発明に係る遊技機の開閉扉構造は、前記第3の発明に係る遊技機の開閉扉構造において、前記開閉扉体には、対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に対して前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸の挿し抜きに関しての操作を行う操作機構が設けられており、前記操作機構は、前記開閉扉体に対して回動可能に支持され且つ回動させることにより前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝から前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を抜き出すように作用する操作レバーと、前記操作レバーの回動支点部分に配設され且つ弾性復元力により前記操作レバーを初期位置に戻すように付勢して前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を挿し込むように作用する圧縮ばねと、を備えていることを特徴とする。
この第4の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、操作レバーを回動させることにより、スライドガイド溝および回転ガイド溝からスライドガイド軸および回転ガイド軸を抜き出すことができる。これによって、上記した開閉扉体の基枠体に対する取外しを簡単に行うことができる。これに対して圧縮ばねは、自身の弾性復元力により操作レバーを初期位置に戻すように付勢する。つまり、圧縮ばねは、スライドガイド軸および回転ガイド軸をスライドガイド溝および回転ガイド溝に自動的に挿し込むように作用する。これによって、上記した開閉扉体の基枠体に対する取付けを簡単に行うことができる。
ここで圧縮ばねは、操作レバーの回動支点部分に配設されているので、付勢するための部材配設範囲の嵩張りを削減することができ、部材構成の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、外観意匠としての興趣を向上させるように開閉扉体の前面側の張出し形状を形成することができるようにしつつ、遊技機に隣接して設置されるサンドに開閉扉体の前面側を当ててしまうことなく該開閉扉体を全開で開けることができるようになる。
第2の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、開閉扉体を開けたり閉めたりするにあたっての開閉扉体の回転およびスライドを、より安定した回転およびスライドとすることができる。
第3の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、開閉扉体の基枠体に対する取付け及び取外しを簡単に行うことができる。
第4の発明に係る遊技機の開閉扉構造によれば、付勢するための部材配設範囲の嵩張りを削減することができ、部材構成の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パチンコ遊技機および玉出しサンドを示す斜視図である。
【図2】図1のパチンコ遊技機および玉出しサンドを示す正面図である。
【図3】パチンコ遊技機の枠体を示す分解斜視図である。
【図4】外枠に対して前枠を全開に開けたパチンコ遊技機を示す斜視図である。
【図5】前枠に対してガラス枠を全開に開けたパチンコ遊技機を示す斜視図である。
【図6】パチンコ遊技機の上側にて配設されるヒンジ構造を示す分解斜視図である。
【図7】パチンコ遊技機の下側にて配設されるヒンジ構造を示す分解斜視図である。
【図8】外枠に配設される外枠ヒンジを示す外観斜視図である。
【図9】外枠に配設される外枠ヒンジを示す分解斜視図である。
【図10】前枠に配設される前枠本体ヒンジを示す斜視図および断面図である。
【図11】ガラス枠に配設されるガラス枠ヒンジを示す外観斜視図である。
【図12】ガラス枠に配設されるガラス枠ヒンジを示す分解斜視図である。
【図13】全閉状態、開途中状態、全開状態の外枠ヒンジを示す斜視図である。
【図14】全閉状態の外枠ヒンジを示す上面図および下面図である。
【図15】開途中状態の外枠ヒンジを示す上面図および下面図である。
【図16】全開状態の外枠ヒンジを示す上面図および下面図である。
【図17】係止状態のガラス枠ヒンジを示す斜視図および側面図である。
【図18】係止解除状態のガラス枠ヒンジを示す斜視図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機10および玉出しサンド90を示す斜視図である。図2は、図1のパチンコ遊技機10および玉出しサンド90を示す正面図である。図3は、パチンコ遊技機10の枠体11を分解して示す分解斜視図である。図4は、外枠15に対して前枠本体23を全開に開けたパチンコ遊技機10を示す斜視図である。図5は、前枠本体23に対してガラス枠25を全開に開けたパチンコ遊技機10を示す斜視図である。なお、図示にて規定されているように、遊技者側が前面側として規定されている。また、これに準じて、背面側、左側、右側、上側、下側が規定されている。なお、図1〜図5に示すパチンコ遊技機10にあっては、上皿、下皿、遊技球を発射するための発射装置等についての図示を省略している。
図1〜図5に示すパチンコ遊技機10は、本発明に係る遊技機に相当する。このパチンコ遊技機10は、図1および図2に示すように、区画された島に対して多数並べられて固定設置される。また、このようなパチンコ遊技機10の左側隣接位置には、玉出しサンド90が設置されている。なお、この玉出しサンド90は、図1および図2に示すように、パチンコ遊技機10の左側面に接するまで近づく近接位置に設定されている。
【0015】
パチンコ遊技機10は、図3〜図5に示すように、概略、外装を兼ねる枠体11と、この枠体11に内装される遊技機本体12とにより構成される。なお、遊技機本体12は、パチンコ遊技機10として機能するための構成部材に相当するものである。具体的には、遊技機本体12としては、図3にも示すように、遊技盤121、制御装置を含む各種の装置品122、図示省略の発射装置等を含んで構成される。
枠体11は、図3〜図5に示すように、区画された島に対して固定設置される外枠15と、外枠15に対して片側開閉可能に連結される前枠本体23とを備える。また前枠本体23は、前枠本体23と、前枠本体23に対して片側開閉可能に連結されるガラス枠25とを備える。つまり、ガラス枠25は、前枠本体23の前面を構成する。
ここで、図4に示すような外枠15に対する前枠本体23となる相対の関係は、本発明に係る基枠体に対する開閉扉体となる相対の関係に相当する。また、図5に示すような前枠本体23に対するガラス枠25となる相対の関係は、本発明に係る基枠体に対する開閉扉体となる相対の関係に相当する。なお、この前枠20には、上記したようにパチンコ遊技機10として機能するための遊技機本体12(遊技盤、遊技球発射装置、制御装置を含む各種の電装品等)が設けられている。
ところでガラス枠25を含む前枠20は、遊技者側となる遊技機の前面側の外装を兼ねて構成されている。このガラス枠25を含む前枠20は、右側部分が外枠15に対して開閉することができるように、左側部分が外枠15に対して連結されている。この連結は、次に説明するヒンジ構造27によるものとなっている。
【0016】
次に、ヒンジ構造27について説明する。なお、このヒンジ構造27は、本発明に係る遊技機の開閉扉構造に相当する。図6は、パチンコ遊技機10の上側にて配設される上側ヒンジ構造28を示す分解斜視図である。図7は、パチンコ遊技機10の下側にて配設される下側ヒンジ構造29を示す分解斜視図である。すなわち、ヒンジ構造27は、図6に示す上側ヒンジ構造28と、図7に示す下側ヒンジ構造29との、上下で対をなした構造にて構成されている。
図6に示すように、上側ヒンジ構造28は、外枠15、前枠本体23、ガラス枠25のそれぞれの左上側に対して配設された各ヒンジ構造が組み合わせられることにより構成されている。これに対して、図7に示すように、下側ヒンジ構造29は、外枠15、前枠本体23、ガラス枠25のそれぞれの左下側に対して配設された各ヒンジ構造が組み合わせられることにより構成されている。
すなわち、図6に示すように、外枠15の左上側には外枠ヒンジ30が取り付けられており、前枠本体23の左上側には前枠本体ヒンジ60が取り付けられており、ガラス枠25の左上側にはガラス枠ヒンジ70が取り付けられている。これに対して図7に示すように、外枠15の左下側には外枠下ヒンジ291が取り付けられており、前枠本体23の左下側には前枠下ヒンジ295が取り付けられている。これらの外枠下ヒンジ291および前枠下ヒンジ295には、不図示のガイドピンが挿し込まれる第1ガイド溝292および第2ガイド溝296が設けられている。なお、これらのガイドピンおよび第1ガイド溝292および第2ガイド溝296は、上側ヒンジ構造28の機構動作に対応した形状が選択されて形成されている。
【0017】
図8は、外枠15に配設される外枠ヒンジ30を示す外観斜視図であり、図8(A)は上面斜視図であり、図8(B)は下面斜視図である。図9は、外枠15に配設される外枠ヒンジ30を示す分解斜視図である。外枠ヒンジ30は、図8および図9に示すように、概略、ヒンジヒメール31と、ヒンジメール35と、ヒンジガイド43とを備える。なお、ヒンジヒメール31およびヒンジメール35は、金属板を適宜に折曲および孔開けされて形成されている。これに対して、ヒンジガイド43は、プラスチック樹脂を適宜に凹凸および孔開けされて形成されている。
ヒンジヒメール31は、図8および図9に示すように、外枠15の左上部分に螺子止めされることにより取り付けられる。このため、ヒンジヒメール31は、外枠15の左上部分に対応するように折曲された平板状部分310と折曲当接部分311とを有して形成される。平板状部分310は外枠15の上面に面接触するようになっており、折曲当接部分311は、外枠15の側面に面接触するようになっている。この平板状部分310と折曲当接部分311とには、螺子止めするための螺子孔32が複数設けられている。
このヒンジヒメール31の平板状部分310には、第1スライドガイド溝33と、第1回転ガイド溝34とが設けられている。
第1スライドガイド溝33は、上記した平板状部分310の前側部分を上下に溝形状にて貫通させた孔として形成される。この第1スライドガイド溝33の溝形状は、他側となる左側から一側となる右側に向かう方向に沿って延びている。具体的には、この第1スライドガイド溝33の溝形状は、平板状部分310の前側において左右方向に沿って延びている。これに対して第1回転ガイド溝34は、第1スライドガイド溝33の前側部分の平板状部分310に設けられている。また、第1回転ガイド溝34の溝形状は、第1スライドガイド溝33の延在方向に対して直交交差する方向に沿って延びている。具体的には、第1スライドガイド溝33の溝形状が左右方向に沿って延びているのに対して、第1回転ガイド溝34の溝形状は前後方向に沿った直交方向に延びている。この第1回転ガイド溝34も、上下に溝形状にて貫通させた孔として形成される。また、この第1回転ガイド溝34の溝形状を背面側に延ばしていくと、第1スライドガイド溝33の中間部分と直交交差する。なお、これら第1スライドガイド溝33と第1回転ガイド溝34とは繋がっておらず、これらの第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34同士は、平板状部分310にて分離された構造となっている。
【0018】
ヒンジメール35は、図8および図9に示すように、上記した第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34に挿し込まれるスライドガイド軸36および回転ガイド軸37が設けられている。このヒンジメール35は、上記した第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34の配設部位に対向する位置に設けられる。このヒンジメール35は、上記したヒンジヒメール31の平板状部分310と対面するように平板状部分350が設けられている。このヒンジメール35は、この平板状部分350から上側に突出するようにスライドガイド軸36と回転ガイド軸37が設けられている。スライドガイド軸36は、図示するように軸形状を有して形成される。この軸形状のスライドガイド軸36は、上記したヒンジヒメール31の第1スライドガイド溝33に挿し込まれる。挿し込まれたスライドガイド軸36は、第1スライドガイド溝33から抜け出さないように上端が図8(A)に示すフランジ状に潰されている。スライドガイド軸36は、第1スライドガイド溝33内で回転可能であり、第1スライドガイド溝33内でスライド可能であるように、第1スライドガイド溝33内に挿し込まれることとなる。また、回転ガイド軸37も、図示するように軸形状を有して形成される。この軸形状の回転ガイド軸37も、上記したヒンジヒメール31の第1回転ガイド溝34に挿し込まれる。挿し込まれた回転ガイド軸37は、第1回転ガイド溝34から抜け出さないように上端が図8(A)に示すフランジ状に潰されている。回転ガイド軸37は、第1回転ガイド溝34内で回転可能であり、第1回転ガイド溝34内でスライド可能であるように、第1回転ガイド溝34内に挿し込まれることとなる。
また、ヒンジメール35には、次に説明するヒンジガイド43の支持軸44が挿し込まれる軸受け孔38が設けられている。また、ヒンジメール35には、ヒンジガイド43のバネ部52が当接するバネ当接壁39が設けられている。さらに、ヒンジメール35には、後に説明する前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64が嵌り込められる軸受け部41,42が設けられている。この軸受け部41,42は、ヒンジメール35の平板状部分310の周縁から刳り貫かれたような形状を有して形成されている。
【0019】
ヒンジガイド43は、図8および図9に示すように、上記したヒンジヒメール31とヒンジメール35との間に介装されるプラスチック樹脂の成形品である。このヒンジガイド43には、ヒンジヒメール31とヒンジメール35との間に介装するための形状、スライドガイド軸36および回転ガイド軸37を挿し込むための形状、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64の嵌り込めるための形状、ヒンジガイド43の取外し操作に関するための形状が、設けられている。具体的には、このヒンジガイド43の下面側には支持軸44が突出して設けられており、ヒンジメール35の軸受け孔38に挿し込まれる。また、ヒンジガイド43の上面側には、ヒンジヒメール31に対する隙間を保持するための間隔調整用ボス45が設けられている。また、ヒンジガイド43には、ヒンジメール35のスライドガイド軸36および回転ガイド軸37が挿し込まれて、これらスライドガイド軸36および回転ガイド軸37をガイドするガイド孔46,47が設けられている。これらガイド孔46,47は、スライドガイド軸36および回転ガイド軸37をガイドするために、適宜の遊び空間が設けられた長孔形状を有して形成されている。また、このヒンジガイド43には、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64が嵌り込められる軸受け凹部48,49が設けられている。この軸受け凹部48,49は、ヒンジガイド43の回転位置に応じて、上記したヒンジメール35の軸受け部41,42とともに閉塞した孔形状としたり、上記したヒンジメール35の軸受け部41,42とともに開口した孔形状としたりするように形成されている。また、軸受け凹部48,49の近接位置には、上記した嵌り込み軸63,64を嵌り込めるためにガイド機能を発揮する軸受けガイド部50,51が設けられている。この軸受けガイド部50,51は、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64を、軸受け凹部48,49に嵌り込める際に、嵌り込み軸63,64をガイドする機能を有する。
【0020】
また、このヒンジガイド43には、ヒンジガイド43を取外し操作に関する形状として、バネ部52と操作レバー部53とが設けられている。バネ部52は、適宜の屈曲形状にて形成される。このバネ部52は、ヒンジメール35のバネ当接壁39に当接して軸受け部41,42の開口方向に沿ってヒンジガイド43自身を付勢するように機能する。このため、バネ部52は、軸受け部41,42の開口方向とは反対側でヒンジメール35のバネ当接壁39に当接する。これに対して操作レバー部53は、このバネ部52の付勢に抗するようにバネ部52を圧縮するように操作するためのものとなっている。この操作レバー部53は、バネ部52の付勢方向と直交交差する方向に延びる形状にて形成されている。この操作レバー部53をバネ部52の付勢に抗する方向で引き上げることにより、ヒンジメール35の軸受け部41,42と、ヒンジガイド43の軸受け凹部48,49との間に隙間を開かせることができるようになっている。このように軸受け部41,42と軸受け凹部48,49との間に隙間が開くと、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64を外すように動かすことができる。
【0021】
図10(A)は、前枠本体23に配設される前枠本体ヒンジ60を示す上面斜視図である。図10(B)は、図10(A)のB−B断面矢視を示す断面図である。図10(C)は、前枠本体23に配設される前枠本体ヒンジ60を示す下面斜視図である。
前枠本体ヒンジ60は、図10(A)〜(C)に示すように、前枠本体23の左上部分に螺子止めされることにより取り付けられる。このため、前枠本体ヒンジ60は、前枠本体23の左上部分に対応するように折曲された平板状部分600と折曲当接部分601とを有して形成される。平板状部分600は前枠本体23の上面に面接触するようになっており、折曲当接部分601は、前枠本体23の側面に面接触するようになっている。この前枠本体ヒンジ60の折曲当接部分601には、螺子止めするための螺子孔62が複数設けられている。また、前枠本体ヒンジ60は、この平板状部分600から上側に突出するように嵌り込み軸63,64が設けられている。この嵌り込み軸63,64は、図示するように軸形状を有して形成される。この嵌り込み軸63,64は、上記したようにるヒンジメール35の軸受け部41,42、およびヒンジガイド43の軸受け凹部48,49に嵌り込められる。また、この前枠本体ヒンジ60の平板状部分600には、第2スライドガイド溝65と、第2回転ガイド溝66とが設けられている。
【0022】
この第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66は、図10(A)および図10(C)に示すように、上記したヒンジヒメール31に設けられる第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34と同様の機能を有するように形成される。つまり、前枠本体ヒンジ60に設けられる第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66は、上記したヒンジメール35に設けられるスライドガイド軸36および回転ガイド軸37と同様の機能を有するガラス枠ヒンジ70のピン部材77を挿し込むことができるように形成される。つまり、この前枠本体ヒンジ60に設けられる第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66は、上記した第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34と、配置形状において略同一の構成を有して形成されている。具体的には、第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66には、上記した平板状部分600を上下に溝形状にて貫通させた孔として形成される。また、第2スライドガイド溝65の溝形状は、前枠本体23が閉じた状態では、平板状部分600において左右方向に沿って延びている。これに対して第2回転ガイド溝66の溝形状は、第2スライドガイド溝65の延在方向に対して直交する方向に沿って延びている。なお、この前枠本体ヒンジ60に配設される第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66の配置位置としては、上記したヒンジヒメール31に配設される第1スライドガイド溝33および第1回転ガイド溝34と同様に直交交差する配置位置にて形成されている。
また、この第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66の下面側には、図10(B)および図10(C)に示すように、この第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に対してのガラス枠ヒンジ70のピン部材77の挿し込みをガイドするための凹み形状部67,68が設けられている。この凹み形状部67,68は、ピン部材77の挿し込み側となる下面側において、第2スライドガイド溝65の溝孔周辺および第2回転ガイド溝66の溝孔周辺のそれぞれに設けられている。この凹み形状部67,68は、平板状部分600を上側に向けて凹ませることにより形成されている。
【0023】
図11は、ガラス枠25に配設されるガラス枠ヒンジ70を示す外観斜視図であり、図11(A)は上面斜視図であり、図11(B)は外側下面斜視図であり、図11(C)は内側下面斜視図である。図12は、ガラス枠25に配設されるガラス枠ヒンジ70を示す分解斜視図である。
ガラス枠ヒンジ70は、図11および図12に示すように、概略、支持ブラケット71と、ピン部材77と、操作レバー部材81とを備える。
このガラス枠ヒンジ70は、本発明に係る操作機構に相当するものであり、前枠本体60の第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に対してスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79の挿し抜きに関しての操作を行うものである。なお、このスライドガイド軸部78は、ガラス枠ヒンジ70において本発明に係るスライドガイド軸に相当する部位である。また、この回転ガイド軸部79は、ガラス枠ヒンジ70において本発明に係る回転ガイド軸に相当する部位である。
支持ブラケット71は、ガラス枠25の左上部分に螺子止めされることにより取り付けられる。このため、支持ブラケット71は、ガラス枠25の左上部分に対応するように折曲された平板状部分700と折曲当接部分701とを有して形成される。平板状部分700は外枠15の上面に面接触するようになっており、次に説明するピンガイド孔73,74が設けられている。また、折曲当接部分701は、ガラス枠25の側面に面接触するようになっており、螺子止めするための螺子孔72が複数設けられている。ピンガイド孔73,74は、次に説明するピン部材77が挿し込まれる孔である。このピンガイド孔73,74は、ピン部材77のスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79の軸方向に沿って上下2段となるように構成されている。具体的には、ピンガイド孔73,74は、軸方向に沿って上下2段で配設されるようにコ字形の連接形状に対して設けられている。このため、この上下2段で配設されるピンガイド孔73,74に、ピン部材77のスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79を挿し込んだ場合には、このスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79の軸方向における上下動のガイドする機能を高めることができる。なお、支持ブラケット71には、後にも説明する軸支部材85を挿し込む挿し込み孔75が設けられているとともに、バネ部材86を係止するための係止部76も設けられている。
ピン部材77は、円柱部材をコ字形に折曲することにより形成されている。すなわち、ピン部材77は、連接部80を介してスライドガイド軸部78と回転ガイド軸部79とをなすようにコ字形をなしている。なお、図示するように、スライドガイド軸部78と回転ガイド軸部79とは、対称構造をなすような長さ設定されている。また、これらスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79の先端部分は、上記したピンガイド孔73,74に挿し込まれ易いものとなるようにテーパ形状が設けられている。
【0024】
操作レバー部材81(操作レバー)は、上記したピン部材77を操作するレバーとして機能する部材である。この操作レバー部材81は、中間部分に軸支孔82が設けられている。この軸支孔82には、軸支部材85が挿し込まれるようになっている。ここで操作レバー部材81の軸支孔82に挿し込まれた軸支部材85は、支持ブラケット71の挿し込み孔75に挿し込まれた状態でカシメられる。これにより軸支部材85は、この軸支部材85を回動支点として操作レバー部材81を揺動可能に支持する。この操作レバー部材81は、基端部が操作部83として形成されており、先端部がピン部材把持部84として形成されている。操作部83は、手で引き上げることができるように引上げ方向に交差する面形状が形成されている。ピン部材把持部84は、上記したピン部材77の連接部80を銜え込む形状を有して形成されている。このため、ピン部材把持部84は、ピン部材77を挟持することができる凹形状を有して形成されている。このピン部材把持部84の凹形状の上側部分は、連接部80に対して面当接で支持する形状で形成されている。これに対し、このピン部材把持部84の凹形状の下側部分は、連接部80に対して適宜間隔で2点で支持する形状で形成されている。これにより、凹形状をなすピン部材把持部84は、ピン部材77の連接部80をガタつかせることなく挟持する(銜え込む)ことができるようになっている。
【0025】
本発明に係る圧縮ばねに相当するバネ部材86は、操作レバー部材81の回動支点部分に配設されている。すなわち操作レバー部材81には、軸支部材85との間にバネ部材86が介装されている。このバネ部材86は、操作レバー部材81の先端側のピン部材把持部84が上側に向かって移動するように付勢する。具体的には、バネ部材86は、図示するようにコイルスプリングであり、圧縮された状態で一端側が操作レバー部材81の下部に当接するようになっており、他端側が支持ブラケット71の係止部76に係止するようになっている。ここで、バネ部材86の一端が当接する操作レバー部材81の下部は、回動支点となる軸支部材85の前側に設定されており、バネ部材86の他端が係止する支持ブラケット71の係止部76は、回動支点となる軸支部材85の後側に設定されている。これにより、この圧縮されたバネ部材86の弾性復元力により、操作レバー部材81のピン部材把持部84が上側に向かって移動するように付勢することができるものとなっている。他方、このバネ部材86の付勢力に抗して操作レバー部材81の操作部83を引き上げると、操作レバー部材81のピン部材把持部84は下側に向かって移動するものとなる。なお、図11(C)に示すように、操作レバー部材81には、適宜回動範囲で支持ブラケット71側に当接させて操作レバー部材81の回動規制をする第1ストッパ部87および第2ストッパ部88が設けられている。この第1ストッパ部87および第2ストッパ部88が支持ブラケット71側に当たることにより、操作レバー部材81の回動を十分な回動に抑えることができる。
【0026】
以上のように構成されたヒンジ構造27にあっては、外枠15に対して前枠20を開閉する際には次のように作動する。なお、図13(A)〜(C)は、外枠ヒンジ30に関して示す斜視図であり、図13(A)は前枠全閉状態、図13(B)は前枠開途中状態、図13(C)は前枠全開状態を示す図である。また、図14は、全閉状態の外枠ヒンジ30を示す(A)上面図および(B)下面図である。図15は、開途中状態の外枠ヒンジ30を示す(A)上面図および(B)下面図である。図16は、全開状態の外枠ヒンジ30を示す(A)上面図および(B)下面図である。
外枠15に対して前枠20が全閉状態となっている場合の外枠ヒンジ30は図13(A)および図14に示すとおりとなる。スライドガイド軸36は第1スライドガイド溝33内の左端位置に位置する。この際、回転ガイド軸37は第1回転ガイド溝34内の中間位置に位置する。ヒンジヒメール31に対してヒンジメール35は閉じ位置に位置している。なお、ヒンジガイド43の操作レバー部53は後側の隠れた位置に位置している。次いで、外枠15に対して前枠20が開途中状態となっている場合の外枠ヒンジ30は図13(B)および図15に示すとおりとなる。スライドガイド軸36は第1スライドガイド溝33内の中間位置に位置する。この際、回転ガイド軸37は第1回転ガイド溝34内の中間位置から前側にずれて位置する。ヒンジヒメール31に対してヒンジメール35は相対的に傾いた開途中位置に位置している。次いで、外枠15に対して前枠20が全開状態となっている場合の外枠ヒンジ30は図13(C)および図16に示すとおりとなる。スライドガイド軸36は第1スライドガイド溝33内の右端位置に位置する。この際、回転ガイド軸37は第1回転ガイド溝34内の中間位置から後側にずれて位置する。ヒンジヒメール31に対してヒンジメール35は全開位置に位置している。なお、ヒンジガイド43の操作レバー部53は外部に露出する位置に位置している。
【0027】
すなわち、外枠15に対して前枠20が全閉状態、開途中状態、全開状態と順次移行する前枠20の開け閉めは、第1スライドガイド溝33内に挿し込まれるスライドガイド軸36の第1スライドガイド溝33内における回転およびスライドにより行われる。この際、第1スライドガイド溝33内のスライドガイド軸36の回転およびスライドは、第1回転ガイド溝34内に挿し込まれる回転ガイド軸37の第1回転ガイド溝34内における回転およびスライドによりガイドされるようになっている。つまり、図9に示すように、第1スライドガイド溝33内に挿し込まれるスライドガイド軸36は、その回転およびスライドが、第1スライドガイド溝33内の内側壁面331,332に当てられることによりガイドされている。また、第1回転ガイド溝34内に挿し込まれる回転ガイド軸37は、その回転およびスライドが、第1回転ガイド溝34内の内側壁面341,342に当てられることによりガイドされている。なお、第1スライドガイド溝33内の内側壁面331,332は、第1スライドガイド溝33の延在方向に対して交差して面しており、第1回転ガイド溝34内の内側壁面341,342は、第1回転ガイド溝34の延在方向に対して交差して面している。
なお、前枠本体23に対してガラス枠25が全閉状態、開途中状態、全開状態と順次移行するガラス枠25の開け閉めも同様である。つまり、ガラス枠25の開け閉めは、第2スライドガイド溝65内に挿し込まれるスライドガイド軸部78の第2スライドガイド溝65内における回転およびスライドにより行われる。この際、第2スライドガイド溝65内のスライドガイド軸部78の回転およびスライドは、第2回転ガイド溝66内に挿し込まれる回転ガイド軸79の第2回転ガイド溝66内における回転およびスライドによりガイドされるようになっている。
【0028】
ここで図14〜図16では特に図示していないが、軸受け部41と軸受け凹部48とにより形成される孔形状には、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63が嵌り込められる。また、軸受け部42と軸受け凹部49とにより形成される孔形状には、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸64が嵌り込められる。また、図16(B)に示すヒンジガイド43の操作レバー部53を後側に押した場合には、上記したヒンジガイド43のバネ部52を弾性変形させ、軸受け部41,42と軸受け凹部48,49との間に隙間が開けさせ、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64を外すように動かすことができるようになっている。
これに対して、軸受け部41と軸受け凹部48とによる孔形状に嵌り込み軸63を嵌めたり、軸受け部42と軸受け凹部49とによる孔形状に嵌り込み軸64を嵌めたりするに際しては、軸受けガイド部50,51に嵌り込み軸63,64を当てて、上記したヒンジガイド43のバネ部52を弾性変形させる。そうすると、軸受け部41,42と軸受け凹部48,49との間に隙間が開き、上記した孔形状に嵌り込み軸63,64を嵌めることができる。なお、前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64は、スライドガイド軸36および回転ガイド軸37に対してズレる位置に配置されている。
【0029】
また上記のように構成されたヒンジ構造27にあっては、ガラス枠ヒンジ70は次のように作動する。なお、図17は前枠本体ヒンジ60に対して係止状態のガラス枠ヒンジ70を示す(A)斜視図および(B)側面図である。図18は前枠本体ヒンジ60に対して係止解除状態のガラス枠ヒンジ70を示す(A)斜視図および(B)側面図である。
すなわち図17で示すように、常態時のガラス枠ヒンジ70は、バネ部材86の付勢力によりストッパ部88が当たるまで操作レバー部材81の先端側を初期位置となる上側に上げている。これにより、ピン部材把持部84により銜えられるピン部材77は上側に上げられることとなる。つまり、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79は、ピンガイド孔73,74から上側に突き出された状態に位置することとなる。このように突き出したスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79は、前枠本体ヒンジ60の第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に挿し込まれた状態となる。
これに対して図18で示すように、取外し時のガラス枠ヒンジ70は、バネ部材86の付勢力に抗して操作レバー部材81の操作部83を引き上げる。そうすると、ストッパ部87が当たるまで操作レバー部材81の基端側を上側に上げる。これにより、ピン部材把持部84により銜えられるピン部材77は下側に下げられることとなる。つまり、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79は、ピンガイド孔73,74から下側に下げられた状態に位置することとなる。これにより、前枠本体ヒンジ60の第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に挿し込まれていたスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79は、これら第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66から抜き出すこととなる。つまり、前枠本体ヒンジ60に対するガラス枠ヒンジ70の係合状態は解除されて、前枠本体23に対してガラス枠25を取り外すことができる。
【0030】
上記した遊技機のヒンジ構造27によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記したパチンコ遊技機10のヒンジ構造27によれば、図13〜図16に示すように、外枠15(基枠体)に対する前枠20(開閉扉体)の開け閉めは、スライドガイド軸36の第1スライドガイド溝33内における回転およびスライドにより行われるようになっている。これによって、外枠15に対して前枠20を、前枠20の回転軸を外枠15に対してスライドさせながら開けることができる。ここで、第1スライドガイド溝33内のスライドガイド軸36の回転およびスライドは、回転ガイド軸37の第1回転ガイド溝34内における回転およびスライドによりガイドされる。これによって、前枠20を開けたり閉めたりするにあたっての前枠20の回転およびスライドを安定した回転およびスライドとすることができる。したがって、図1および図2に示すように、前枠20の前面側に張り出した形状を形成した場合であっても、パチンコ遊技機10に隣接して設置されるサンド90から前枠20を逃げるようにスライドさせながら回転させて開けることができ、サンド90に前枠20の前面側を当ててしまうことなく該前枠20を全開で開けることができる。もって、外観意匠としての興趣を向上させるように前枠20の前面側の張出し形状を形成することができるようにしつつ、パチンコ遊技機10に隣接して設置されるサンド90に前枠20の前面側を当ててしまうことなく該前枠20を全開で開けることができるようになる。なお、上記したパチンコ遊技機10のヒンジ構造27によれば、前枠20をガイドする開閉ガイドリンクについては不要となるので、全体としての部材点数の削減も図れることができる。
また、上記したパチンコ遊技機10のヒンジ構造27によれば、図9に示すように、第1回転ガイド溝34は、第1スライドガイド溝33の延在方向に対して直交する方向に沿って延びる溝形状を有して形成されているので、この第1回転ガイド溝34内の内側壁面341,342は、第1スライドガイド溝33の延在方向に対して直交する方向に沿って延びるように形成される。つまり、第1回転ガイド溝34内の内側壁面341,342は、スライドガイド軸36のスライド方向に対して直交する方向に延在する。これによって、スライドガイド軸36のスライドに追従してスライドしようとする該スライド方向の回転ガイド軸37のスライドを、第1回転ガイド溝34内の内側壁面341,342に回転ガイド軸37を当てることにより確実に規制することができる。したがって、回転ガイド軸37を支点にした回転方向にてスライドガイド軸36を回転作用させることができて、該スライドガイド軸36の回転をスムーズにガイドすることができる。もって、前枠20を開けたり閉めたりするにあたっての前枠20の回転およびスライドを、より安定した回転およびスライドとすることができる。
なお、上記においては、基枠体として外枠15に対する開閉扉体としての前枠20の相対的な開け閉めについて説明するものであるが、基枠体として前枠本体23に対する開閉扉体としてのガラス枠25の相対的な開け閉めについても同様にいえる。
【0031】
また、上記したパチンコ遊技機10のヒンジ構造27によれば、図17および図18に示すように、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79は、対応関係にある第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に対して挿し抜き可能に構成されている。ここで、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79を第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に挿し込んだ状態では、ガラス枠25を前枠本体23に取り付けた状態とすることができる。これに対し、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79を第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66から抜き出した状態では、ガラス枠25を前枠本体23から取り外した状態とすることができる。これによってガラス枠25を前枠本体23に対する取付け及び取外しを簡単に行うことができる。
また、上記したパチンコ遊技機10のヒンジ構造27によれば、操作レバー部材81を回動させることにより、第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66からスライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79を抜き出すことができる。これによって、上記したガラス枠25を前枠本体23に対する取外しを簡単に行うことができる。これに対して圧縮ばねは、自身の弾性復元力により操作レバーを初期位置に戻すように付勢する。つまり、圧縮ばねは、スライドガイド軸部78および回転ガイド軸部79を第2スライドガイド溝65および第2回転ガイド溝66に自動的に挿し込むように作用する。これによって、上記したガラス枠25を前枠本体23に対する取付けを簡単に行うことができる。ここでバネ部材86は、操作レバー部材81の回動支点部分に配設されているので、付勢するための部材配設範囲の嵩張りを削減することができ、部材構成の小型化を図ることができる。
【0032】
なお、本発明に係る遊技機の開閉扉構造にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態におけるパチンコ遊技機10のヒンジ構造27にあっては、外枠15との前枠本体23との相対関係における外枠ヒンジ30および前枠本体ヒンジ60の構造と、前枠本体23とガラス枠25との相対関係における前枠本体ヒンジ60およびガラス枠ヒンジ70の構造とを、複合させて成立させるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機の開閉扉構造にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、これらを単体で分離して構成されるものであってもよい。つまり、本発明に係る基枠体と開閉扉体との相対関係は、適宜の構成に応用することが可能である。つまり、上記の実施の形態では、本発明に係る遊技機としてパチンコ遊技機10を例示するものであったが、本発明に係る遊技機としては、これに限定されることなく、パチスロ遊技機で構成されるものであってもよい。
また、上記した実施の形態では、本発明に係るスライドガイド溝としての第1スライドガイド溝33と、本発明に係る回転ガイド溝としての第1回転ガイド溝34とは、直交交差するように配置されるものであった。また、第1回転ガイド溝34の溝形状は、背面側に延ばしていくと第1スライドガイド溝33の中間部分と直交交差するようになっていた。しかしながら、本発明に係る回転ガイド溝は、上記した実施の形態に限定されることなく、少なくとも溝形状がスライドガイド溝の延在方向と交差する方向に沿って延びていればよいものである。すなわち、本発明に係る回転ガイド溝としての図9に示す第1回転ガイド溝34の溝形状の位置は、前枠20の前面側の張出し量に応じて左右いずれかの方向にずらされて設計されるものであってもよい。また、図9に示す第1回転ガイド溝34の溝形状の延在範囲は、前枠20の前面側の張出し量に応じて適宜の長さに設計されるものであってもよい。また、図9に示す第1回転ガイド溝34の溝形状の第1スライドガイド溝33に対する交差角度は、上記した実施の形態のようにスライドガイド溝33の延在方向に対して直交する方向に限定されることなく、鋭角あるいは鈍角の傾斜した方向に設計されるものであってもよい。また、図9に示す第1回転ガイド溝34の溝形状は、上記した実施の形態のように直線方向に沿って延びる形状に限定されることなく、曲線方向に沿って延びる形状で設計されるものであってもよい。
また、この前枠本体ヒンジ60の嵌り込み軸63,64は、図示する2本の構成とすることに限定されることなく、これら嵌り込み軸63,64の何れか1本のみで構成されるものであってもよい。なお、2本の嵌り込み軸63,64を1本の嵌り込み軸にて形成した場合には、上面視となる挿し込み方向から視て、上面視四角形としたり上面視D字形としたりする方が、嵌り込んだ軸自身にガイド機能が付帯されて有利となる。
また、上記した実施の形態における、スライドガイド軸36、回転ガイド軸37、スライドガイド軸部78、回転ガイド軸部79、の軸形状は、上面視円形となる円柱形状に形成されるもであった。しかしながら、本発明に係るスライドガイド軸および回転ガイド軸の軸形状としては、これに限定されることなく、例えば上面視楕円形となる円柱形状等、適宜の形状が選択されて形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 パチンコ遊技機(遊技機)
11 枠体
12 遊技機本体
121 遊技盤
122 各種の装置品
15 外枠
20 前枠
23 前枠本体
25 ガラス枠
27 ヒンジ構造(遊技機の開閉扉構造)
28 上側ヒンジ構造
29 下側ヒンジ構造
291 外枠下ヒンジ
292 第1ガイド溝
295 前枠下ヒンジ
296 第2ガイド溝
30 外枠ヒンジ
31 ヒンジヒメール
310 平板状部分
311 折曲当接部分
32 螺子孔
33 第1スライドガイド溝(スライドガイド溝)
331,332 内側壁面
34 第1回転ガイド溝(回転ガイド溝)
341,342 内側壁面
35 ヒンジメール
350 平板状部分
36 スライドガイド軸(スライドガイド軸)
37 回転ガイド軸(回転ガイド軸)
38 軸受け孔
39 バネ当接壁
41,42 軸受け部
43 ヒンジガイド
44 支持軸
45 間隔調整用ボス
46,47 ガイド孔
48,49 軸受け凹部
50,51 軸受けガイド部
52 バネ部
53 操作レバー部
60 前枠本体ヒンジ
600 平板状部分
601 折曲当接部分
62 螺子孔
63,64 嵌り込み軸
65 第2スライドガイド溝(スライドガイド溝)
66 第2回転ガイド溝(回転ガイド溝)
67,68 凹み形状部
70 ガラス枠ヒンジ(操作機構)
700 平板状部分
701 折曲当接部分
71 支持ブラケット
72 螺子孔
73,74 ピンガイド孔
75 挿し込み孔
76 係止部
77 ピン部材
78 スライドガイド軸部(スライドガイド軸)
79 回転ガイド軸部(回転ガイド軸)
80 連接部
81 操作レバー部材
82 軸支孔
83 操作部
84 ピン部材把持部
85 軸支部材
86 バネ部材
87 第1ストッパ部
88 第2ストッパ部
90 サンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記開閉扉体の一側が前記基枠体に対して開け閉めできるように該一側とは反対側の他側に配設されたヒンジ構造により、該基枠体に対して該開閉扉体を一側開閉可能に連結する遊技機の開閉扉構造であって、
前記ヒンジ構造は、前記基枠体に配設されるスライドガイド溝および回転ガイド溝と、前記開閉扉体に配設されるスライドガイド軸および回転ガイド軸とを具備しており、
前記スライドガイド溝は、前記他側から前記一側に向かう方向に沿って延びる溝形状を有し、
前記スライドガイド軸は、前記スライドガイド溝に回転可能且つスライド可能に挿し込まれる軸形状を有し、
前記回転ガイド溝は、前記スライドガイド溝の延在方向と交差する方向に沿って延びる溝形状を有し、
前記回転ガイド軸は、前記回転ガイド溝に回転可能且つスライド可能に挿し込まれる軸形状を有し、
前記基枠体に対する前記開閉扉体の開け閉めは、前記スライドガイド軸の該スライドガイド溝内における回転およびスライドにより行われるようになっており、
前記スライドガイド溝内の前記スライドガイド軸の回転およびスライドは、前記回転ガイド軸の該回転ガイド溝内における回転およびスライドによりガイドされるようになっている、ことを特徴とする遊技機の開閉扉構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の開閉扉構造において、
前記回転ガイド溝は、前記スライドガイド溝の延在方向に対して直交する方向に沿って延びる溝形状を有して形成されていることを特徴とする遊技機の開閉扉構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技機の開閉扉構造において、
前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸は、対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に対して挿し抜き可能に構成されており、
前記開閉扉体は、前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に挿し込むことにより前記基枠体に取り付けられた状態になり、該スライドガイド軸および該回転ガイド軸を対応関係にある該スライドガイド溝および該回転ガイド溝から抜き出すことにより前記基枠体から取り外された状態となる、ことを特徴とする遊技機の開閉扉構造。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技機の開閉扉構造において、
前記開閉扉体には、対応関係にある前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に対して前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸の挿し抜きに関しての操作を行う操作機構が設けられており、
前記操作機構は、
前記開閉扉体に対して回動可能に支持され且つ回動させることにより前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝から前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を抜き出すように作用する操作レバーと、
前記操作レバーの回動支点部分に配設され且つ弾性復元力により前記操作レバーを初期位置に戻すように付勢して前記スライドガイド溝および前記回転ガイド溝に前記スライドガイド軸および前記回転ガイド軸を挿し込むように作用する圧縮ばねと、を備えていることを特徴とする遊技機の開閉扉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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