説明

遊技機用可変入賞装置及びそれを備えた遊技機

【課題】扉部材(開閉部材)の移動スペースを削減できると共に遊技盤前方側のスペースを効率的に利用することができ、遊技機後方側への装置の嵩張りを効果的に抑制し得る構成を提供する。
【解決手段】遊技機用可変入賞装置10では、遊技盤2の前方側に誘導口12が配され、この誘導口12が開閉部材20のスライド動作によって開閉するようになっている。具体的には、スライド部材30のスライド方向に対して傾斜した誘導溝32が形成され、開閉部材20には、この誘導溝32内に挿入される挿入部23が形成されており、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材30がスライド動作したときに、挿入部23が誘導溝32内を相対的に移動するように案内され、その案内時における誘導溝32の溝壁に対する挿入部23の押圧作用に応じて、開閉部材20が自身の上面部21aに沿った方向にスライド動作するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用可変入賞装置及びそれを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の分野では、様々な入賞装置が提供されており、その動作態様も様々である。例えば、特許文献1では入賞装置の一例として扉式のアタッカーが開示されており、遊技盤に平行な回転軸線を中心として回動する扉状の開閉部材(7)が設けられ、この開閉部材(7)によって入賞口としての開口部(3a)を開閉している。この入賞装置は、開口部(3a)を閉鎖するときには開閉部材(7)が遊技盤の盤面方向に沿うように配されて開口部(3a)を塞ぎ、開放状態のときには開閉部材(7)が前側に倒れるように回動し、開口部(3a)の内側に遊技球を誘導するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3030570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように扉部材(開閉部材(7))を遊技盤前方側に前傾させて入賞口を開放する入賞装置では、装置内部における遊技球の誘導路(即ち、扉部材の開放時に入り込んでくる遊技球を誘導する誘導路)の全てを遊技盤の内部若しくは後方に確保しなければならず、更にソレノイドやリンク機構なども遊技盤内部或いは遊技盤後方に設けなければならないため、遊技盤後方側への嵩張りが大きくなる傾向にある。
【0005】
また、特許文献1のように所定軸線を中心として回動するように扉部材(開閉部材(7))を配置すると、扉部材自体の動作範囲が大きくなるため、扉部材の移動時に干渉しないように確保しておくべきスペース(他部材を配置できないスペース)が大きくなってしまうというデメリットもある。例えば、特許文献1の構成では、開閉部材(7)の前側の広い範囲に亘って他部品を配置できないスペースが構成されることになり、このようなスペースの制約が、結果として設計的な制約や装置構成の大型化等の原因となってしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技球を内部に誘導可能に構成された遊技機用可変入賞装置及びこれを備えた遊技機において、扉部材(開閉部材)の移動スペースを削減できると共に遊技盤前方側のスペースを効率的に利用することができ、遊技機後方側への装置の嵩張りを効果的に抑制し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技機用可変入賞装置は、
遊技機の遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に固定され、前記遊技盤の盤面と直交する前後方向において少なくとも前記遊技盤の前方側に、前記遊技盤の盤面に沿って流下する遊技球を下方側に進入させつつ取り込む誘導口が形成されてなる筐体と、
前記前後方向に沿ってスライドするように前記筐体に直接又は他部材を介して間接的に支持され、少なくとも自身の一部を前記遊技盤の盤面の前方側に配置して前記誘導口を閉鎖する閉鎖位置と、その閉鎖位置のときよりも後方側に退避して前記誘導口を開放する開放位置との間でスライド動作するように配置された開閉部材と、
駆動力を生じさせる駆動源と、
前記駆動源の駆動力を受けて所定のスライド方向にスライド動作するスライド部材と、
を備え、
前記スライド部材及び前記開閉部材のいずれか一方の部材には、前記スライド部材のスライド方向に対して傾斜した方向に沿った誘導溝が形成され、他方の部材又は他方の部材と連動する部材には、前記誘導溝内に挿入される挿入部が形成されており、
前記駆動源の駆動力を受けて前記スライド部材が前記所定のスライド方向にスライド動作したときに、前記挿入部が前記誘導溝内を相対的に移動するように案内され、その案内時における前記誘導溝の溝壁に対する前記挿入部の押圧作用に応じて、前記開閉部材が前後方向にスライド動作することを特徴とする。
【0008】
本発明の遊技機は、上記遊技機用可変入賞装置が遊技盤に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機用可変入賞装置及び遊技機によれば、遊技盤の盤面前方側に誘導口及び誘導路を確保することができ、遊技盤前方側のスペースを効率的に利用することができる。また、自身の上面部に沿った方向にスライド動作して誘導口を開閉するように開閉部材を設けることができるため、扉部材(開閉部材)の移動スペースを省スペース化することができ、開閉部材の移動が他部材に干渉し難くなる。そして、このように遊技盤前方側を効率的に使用しつつ開閉部材の移動スペースを削減できるため、駆動源等の配置スペースを確保しやすくなり、特に装置全体の後方側への嵩張りを抑制しやすくなる。
【0010】
また、本発明において、開閉部材は、板状に構成された板状部を備え、その板状部の厚み方向の一方の板面部を上面として構成するとともに、挿入部を他方の板面部から突出した形態で形成したものであってもよい。そして、スライド部材は、板状部の他方の板面部と対向配置され、誘導溝を有する対向部を備えるとともに、所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっていてもよい。そして、誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより開閉部材がスライド動作するようになっていてもよい。
このように構成することで、スライド部材と開閉部材の間に介在する部品数を効果的に抑えることができ、部品点数の削減及び装置構成の小型化を図りやすくなる。
【0011】
また、本発明において、開閉部材に連結される部材として構成されると共に当該開閉部材と共に前後動するように構成され且つ自身の一部に挿入部を有する挿入部形成部材が設けられていてもよい。そして、スライド部材は、挿入部形成部材と対向配置され、誘導溝を有する対向部を備えるとともに、所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっていてもよい。更に、誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより当該挿入部形成部材と連動して開閉部材がスライド動作するようになっていてもよい。
このように構成すると、連結される部材としての挿入部形成部材の介在によって開閉部材及びスライド部材の配置の自由度を増すことができ、開閉部材やスライド部材の配置上の制約或いは移動上の制約を解消しやすくなる。
【0012】
また、本発明において、開閉部材は、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられた第1開閉部材と、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられ且つ少なくとも一部が第1開閉部材よりも前方位置に移動し得るように構成された第2開閉部材とを有し、第1開閉部材に対して第2開閉部材が所定の移動範囲で前後方向に沿って相対移動し得るように第1開閉部材と第2開閉部材とが互いに連結されていてもよい。
そして、第2開閉部材又は第2開閉部材と連動する部材に挿入部が形成されており、スライド部材は、第2開閉部材又は第2開閉部材と連動する部材と対向配置され、誘導溝を有する対向部を備えるとともに、所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっていてもよい。
そして、誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより当該挿入部と連動して第2開閉部材がスライド動作するようになっていてもよい。
この場合、誘導口を閉鎖する際には、スライド部材による一方の方向へのスライド動作に伴って第2開閉部材が前方に移動し、且つ第2開閉部材が少なくとも第1の所定位置よりも前方に移動したときに、当該第2開閉部材と連動して第1開閉部材が前方に引き出され、誘導口を開放する際には、スライド部材による他方の方向へのスライド動作に伴って第2開閉部材が後方に移動し、且つ第2開閉部材が少なくとも第2の所定位置よりも後方に移動したときに、当該第2開閉部材によって第1開閉部材が後方に引き戻され、誘導口の後方側において第1開閉部材と第2開閉部材が上下に重なるように配置されるようになっていること望ましい。
この構成では、単一の大きな開閉部材のみで構成するのではなく、前後の幅を抑えた複数の開閉部材によって構成し、開放時にはこれらを上下に重ねてコンパクトに配置できるため、開閉部材の遊技機後方側への嵩張り或いは飛び出しをより一層抑制しやすくなる。
【0013】
また、本発明において、第2開閉部材又は第2開閉部材と連動する部材の少なくとも一部が、遊技盤の盤面の前方において誘導口の下方に形成された遊技球誘導路の側方で、第2開閉部材の動作に応じて変位するように配置されていてもよい。
この構成によれば、開閉部材の後方側への嵩張りやはみ出しを抑制する効果に加え、スライド部材に作用する部分(第2開閉部材又は第2開閉部材の連動する部材の少なくとも一部)を前側に効率的に配置してこれらの後方側への嵩張りを抑制する効果をも得ることができ、入賞装置全体としてより前側に部品をまとめ、後方側のスペースを他の用途に利用させやすくすることができる。
【0014】
また、本発明において、開閉部材及びスライド部材の一方に、誘導溝と連続するようにスライド方向に延びるロック溝が形成され、スライド部材は、前後方向への移動が規制されるように構成されていてもよい。そして、駆動源が非駆動状態とされたときに、このスライド部材は、挿入部がロック溝内に嵌り込むロック位置となるように構成されていてもよい。更に、駆動源が非駆動状態から駆動状態に変化してスライド部材がロック位置からスライドする際に、挿入部がロック溝から誘導溝側に移り当該誘導溝内で相対移動するように案内され、この相対移動と連動して開閉部材が閉鎖位置から開放位置に移動するようになっていてもよい。そして、挿入部がロック溝内に嵌り込んだ状態で開閉部材を開放位置に変位させようとする外力が加えられた場合に、その外力に応じて後方側に移動しようとする挿入部がロック溝の内壁に押し当てられ、当該ロック溝の内壁が挿入部を相対移動させないように受けることによりロックされるように構成されていてもよい。
このようにすると、駆動源の制御に起因する正規の開放動作では、問題なくスムーズに開閉部材を良好に開閉することができる。一方、開閉部材が閉鎖位置にあるときに開閉部材を開放位置に移動させようとする不正な外力が加えられたとしても、挿入部がロック溝内で維持されて開閉部材の移動が規制されることになるため、開閉部材の不正な開放をより確実に防ぐことができる。
【0015】
また、本発明において、駆動源は、励磁状態及び非励磁状態に切り替え可能なコイル部と、該コイル部が非励磁状態のときに所定量突出した突出状態となり、該コイル部が励磁状態のときに、その突出状態のときよりも突出量が小さい退避状態となるように進退するプランジャと、を備えた構成であってもよい。この場合、スライド部材は、一端側がプランジャに固定されると共にプランジャの移動方向を所定方向とするように当該プランジャと一体的にスライド動作する構成をなし、他端側には、筐体に直接又は他部材を介してスライド可能に支持されるガイド部が形成されていることが望ましい。
この構成によれば、スライド部材を所定方向に往復動させ得る構成を、部品点数を抑えて簡易に実現できる。また、スライド部材の一端側は駆動源のプランジャに固定され、他端側に形成されたガイド部が筐体によって案内される格好となるため、スライド部材をより安定的にスライドさせることが可能となり、その結果、スライド部材の動作をより円滑に開閉部材に伝達してスムーズに入賞口を開閉することが可能となる。
【0016】
また、本発明において、スライド部材は、プランジャの先端部に固定される先端固定部と、先端固定部から屈曲して前記プランジャの軸方向に沿って延びる延出部とを備えていてもよい。そして、延出部が、上下方向において開閉部材と駆動源との間の位置でスライド動作するように構成されていてもよい。
このように構成することで、スライド部材の一部を開閉部材と駆動源の間に効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置を備えた遊技機を例示する正面図である。
【図2】図2(A)は、本発明の第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置に関し、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図2(B)は、その遊技機用可変入賞装置において開閉部材が開放位置となったときの状態を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、図2(A)の遊技機用可変入賞装置の正面図であり、図3(B)その背面図である。
【図4】図4(A)は、図2(A)の遊技機用可変入賞装置に関し、開閉部材が閉鎖位置にあるときの平面図であり、図4(B)は、その底面図である。
【図5】図5は、図2の遊技機用可変入賞装置を前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
【図6】図6は、図2の遊技機用可変入賞装置を後方側且つ斜め下方側から見た分解斜視図である。
【図7】図7(A)は、図3(A)のA−A断面を概略的に示す断面図であり、図7(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの図7(A)に対応した断面図である。
【図8】図8(A)は、図3(A)のB−B断面を概略的に示す断面図であり、図8(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの図8(A)に対応した断面図である。
【図9】図9は、図2の遊技機用可変入賞装置における、駆動源、スライド部材、及び開閉部材の連係状態を後方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図9(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図9(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図10】図10は、図9の連係状態を後方から見た背面図であり、図10(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図10(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図11】図11は、図9の連係状態を側方から見た状態を示す説明図であり、図11(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図11(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に係る遊技機用可変入賞装置の一部について、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す斜視図である。
【図13】図13は、図12に対応する図であり、第2実施形態に係る遊技機用可変入賞装置の一部について、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す斜視図である。
【図14】図14は、第2実施形態の遊技機用可変入賞装置における、駆動源、スライド部材、連結部材、及び開閉部材の連係状態を後方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図14(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図14(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図15】図15は、図14の連係状態を後方から見た状態を示す説明図であり、図15(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図15(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図16】図16は、図14の連係状態を側方から見た状態を示す説明図であり、図16(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図16(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図17】図17(A)は、本発明の第3実施形態に係る遊技機用可変入賞装置に関し、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図17(B)は、その遊技機用可変入賞装置において開閉部材が開放位置となったときの状態を示す斜視図である。
【図18】図18は、図17の遊技機用可変入賞装置を前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
【図19】図19は、図17の遊技機用可変入賞装置を後方側且つ斜め下方側から見た分解斜視図である。
【図20】図20は、図17の遊技機用可変入賞装置における、駆動源、スライド部材、連結部材、開閉部材等を前方側且つ斜め上方側から見た一部分解斜視図である。
【図21】図21は、図17の遊技機用可変入賞装置における、駆動源、スライド部材、連結部材、開閉部材等を後方側且つ斜め下方側から見た一部分解斜視図である。
【図22】図22は、図17の遊技機用可変入賞装置における駆動源、スライド部材、連結部材、開閉部材等の連係状態を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。図22(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図22(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図23】図23は、図22の連係状態を後方側から示す説明図であり、図23(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図23(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図24】図24は、図17の遊技機用可変入賞装置の正面図である。
【図25】図25は、図24のC−C位置の構成を概略的に示す断面図であり、図25(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図25(B)は、閉鎖位置のときから第2開閉部材のみがある程度退避したときの様子を示す図であり、図25(C)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図26】図26は、図24のD−D位置の構成を概略的に示す断面図であり、図26(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図26(B)は、閉鎖位置のときから第2開閉部材のみがある程度退避したときの様子を示す図であり、図26(C)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図27】図27は、図24のE−E位置の構成を概略的に示す断面図であり、図27(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図27(B)は、閉鎖位置のときから第2開閉部材のみがある程度退避したときの様子を示す図であり、図27(C)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図28】図28は、図24のF−F位置の構成を概略的に示す断面図であり、図28(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図であり、図28(B)は、閉鎖位置のときから第2開閉部材のみがある程度退避したときの様子を示す図であり、図28(C)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。
【図29】図29は、図24のC−C位置の構成について、開閉部材が開放位置から閉鎖位置に変化するときの様子を示す概略断面図であり、図29(A)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。図29(B)は、開放位置のときから第2開閉部材のみがある程度前方に突出したときの様子を示す図であり、図29(C)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図である。
【図30】図30は、図24のD−D位置の構成について、開閉部材が開放位置から閉鎖位置に変化するときの様子を示す概略断面図であり、図30(A)は、開閉部材が開放位置にあるときの様子を示す図である。図30(B)は、開放位置のときから第2開閉部材のみがある程度前方に突出したときの様子を示す図であり、図30(C)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの様子を示す図である。
【図31】図31は、本発明の第4実施形態の遊技機用可変入賞装置に関し、駆動源、スライド部材、及び開閉部材の連係状態を後方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、図31(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図31(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図32】図32は、図31の連係状態を上方側から見た説明図であり、図32(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図32(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【図33】図33は、図31の連係状態を図31とは異なる角度から見た斜視図であり、図33(A)は、開閉部材が閉鎖位置にあるときの状態を示す図であり、図33(B)は、開閉部材が開放位置にあるときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10及びそれを備えた遊技機1を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されるものであり、木板(ベニヤ板)、アクリル板等によって構成される遊技盤2の盤面(前面2a)に沿って遊技球Bの発射を誘導するガイドレール5が設けられ、このガイドレール5等によって区画された形態で遊技領域が形成されている。また、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され、この液晶表示部3の下方には、始動口7が配置されている。そして、液晶表示部3の下方側且つ始動口7の側方には、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10が配置されている。なお、遊技機1には、遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板(ガラス板等)が配置され、ガイドレール5等によって区画された遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球Bが流下するように構成されている。
【0019】
以下、第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置10について説明する。
図1に示すように、遊技機用可変入賞装置10(以下、入賞装置10ともいう)は、遊技機1の遊技盤2に固定されて用いられるものであり、その一部が遊技盤2の前方側から視認可能となるように露出した状態で配置されるようになっている。この入賞装置10は、図2に示すように遊技盤2の前面2a(盤面:図4、図8等参照)の前方側において上方側に開放した開口形態で配される誘導口12と、この誘導口12を開閉する開閉部材20を備えており、開閉部材20が図2(A)に示す閉鎖位置にあるときには、この開閉部材20によって誘導口12が閉鎖されて遊技領域から装置内への遊技球の進入が遮断されるようになっている。一方、開閉部材20が図2(B)に示す開放位置にあるときには、誘導口12が開放されて遊技領域から装置内への遊技球の進入が許容されるようになっている。なお、図1等に示す代表例では、誘導口12が大入賞口として機能するアタッカーとしての例を示すが、遊技球が入賞し得る構成であれば電動チューリップや役物等の様々な入賞装置に適用できることは勿論である。
【0020】
本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の前面2aと直交する方向を意味し、前面2aに対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、「上下方向」とは、前後方向と直交する方向であって遊技球が流下する方向を意味する。また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する横方向を意味する。なお、図4、図7、図8では、遊技盤2の前面2a(盤面)及び後面2bの位置を二点鎖線にて仮想的に示している。
【0021】
入賞装置10は、例えば遊技機1の遊技盤2に直接的に固定されて用いられるものであり、図5、図6に示すように、遊技盤2の前面2aに沿って流下する遊技球を下方側に進入させつつ取り込む誘導口12(図2等)が形成されてなる筐体80と、前後方向に沿ってスライドし得るように筐体80に支持されてなる開閉部材20と(図3等参照)、駆動力を生じさせるソレノイド40と、ソレノイド40の駆動力を受けて左右方向にスライド動作するスライド部材30とを備えている。以下、入賞装置10を構成するこれら部品等について詳述する。
【0022】
まず、入賞装置10の外郭をなす筐体80について説明する。
図5に示すように、筐体80は、入賞装置10の最前面に配置されて前面側の意匠を形成する前板部81と、大部分又は全体が遊技盤2の前面2a(図7等)の前側に配置されて誘導口12から入賞した遊技球を受け止めるように構成される前側ベース部82と、遊技盤2に当接して固定される台板部83と、後述する開閉部材20、スライド部材30、ソレノイド40等を支持し収容する機能を有する後側上方ベース部84及び後側下方ベース部85によって構成されており、図2に示すように遊技領域から遊技球を入り込ませる誘導口12を構成すると共に、その誘導口12に入り込んだ遊技球を導く遊技球誘導路14を構成するように機能している。
【0023】
前板部81は、図5、図6に示すように、横方向に長い板状に構成されると共に遊技盤2の前面と略平行に配される前板81aを備えており、この前板81aから後方側に複数のボス81bが突出した形態をなしている。
【0024】
前側ベース部82は、図5、図6に示すように横方向に延びる長手状に構成されると共に横方向中央部が下方側に凹んだ形態をなしている。この前側ベース部82は、前壁部82aにおいて後方側に貫通する複数の貫通孔82bが形成されており、これら貫通孔82bに前板部81のボス81bが挿し通される形態で前板部81が組み付けられるようになっている。この前側ベース部82の凹みの部分には、左右一対で配される側壁82c、82d(側壁82cが右側、側壁82dが左側)と、これら側壁82c、82dのそれぞれの下端部側に連結される底壁部82eとが設けられている。更に、側壁82cの上端部側に連結される形態で上流側底壁51aが設けられ、側壁82dの上端部側に連結される形態で下流側底壁52aが設けられている。
【0025】
台板部83は、図5、図6に示すように、遊技盤2の前面2a(盤面:図4等)に固定される構成でこの前面2aに沿って配される板状の台板83aと、この台板83aから後方側に延びる板状のカバー部83bとを備えている。上述の前側ベース部82及び前板部81は、ボス81bが貫通孔82bに挿し通された状態で台板83aの前面側に当接し、この状態でねじ等の締結部材91によって台板83aに固定されるようになっている。
【0026】
後側上方ベース部84及び後側下方ベース部85は、後述するソレノイド40やスライド部材30を収容して保持するように機能する部分であり、図5、図6のようにねじ等の締結部材93によって互いに固定されると共に、ねじ等の締結部材92によって台板83aの後面側に固定されるようになっている。このように構成される前板部81、前側ベース部82、台板部83、後側上方ベース部84及び後側下方ベース部85が一体的に結合して筐体80を構成しており、各種部品を保持すると共に内部に遊技球の流路を構成するようになっている。
【0027】
このように構成される筐体80は、図2のように、上流側底壁51a及び台板83aの一部(上流側底壁51aに隣接する部分)によって上流側流路51が構成されており、この上流側流路51は、入賞装置10の外部(遊技領域)を流れる遊技球が上流側底壁51a上で受け止められたときにこの遊技球を横方向に誘導するようになっている(図3(A)も参照)。また、下流側底壁52a及び台板83aの一部(下流側底壁52aに隣接する部分)によって下流側流路52が構成されており、この下流側流路52は、入賞装置10の外部(遊技領域)を流れる遊技球が下流側底壁52a上で受け止められたときにこの遊技球を横方向に誘導するようになっている。そして、図2(B)のように、上流側底壁51aの左側端部(下流側底壁52aと対向する端部)と下流側底壁52aの右側端部(上流側底壁51aと対向する端部)とによって構成される開口が誘導口12となっている。
【0028】
この誘導口12は、入賞口として構成される部分であり、上流側底壁51aの上を左側に流れてきた遊技球や下流側底壁52aの上を右側に流れてきた遊技球、或いは上方側から当該誘導口12に向かって落下してきた遊技球などを装置内に入り込ませて入賞させるように機能している。なお、上流側底壁51aは、全体的に誘導口12側よりもその反対側のほうが低くなっており、上流側底壁51a上の遊技球は誘導口12とは反対側に流れやすくなっている。また、下流側底壁52aも、全体的に誘導口12側よりもその反対側のほうが低くなっており、下流側底壁52a上の遊技球も誘導口12とは反対側に流れやすくなっている。
【0029】
また、図2、図3(A)、図7、図8等に示すように、誘導口12の下方側には、遊技球を誘導する遊技球誘導路14が構成されている。遊技球誘導路14は、前板部81の前板81a及び前側ベース部82の前壁部82aの上部によって前方側の内壁部が構成され、後側上方ベース部84の前壁部84aによって後方側の内壁部が構成されており、これらが前後に対向することで左右に延びる流路を形成している。また、前側ベース部82の側壁82c、82dが左右の内壁部を構成し、底壁部82eが底壁を構成しており、全体として横長の箱状形態をなしている。この遊技球誘導路14は、底壁部82eの一方側(側壁82c側)が高く他方側(側壁82d側)となるにつれて低くなるように底部が傾斜した構成となっており、誘導口12から入り込んだ遊技球が底壁部82e上を転がり、側壁82d側(即ち左側)に導かれるようになっている。
【0030】
また、図2、図7のように、遊技球誘導路14において底壁部82e寄りの位置には、後側上方ベース部84の前壁部84aから前方側に突出する形態で三角状の整流突起101a、101bが形成されている。これら整流突起101a、101bは、上流側(側壁82c側)から下流側(側壁82d側)となるにつれて次第に突出量が大きくなるようにテーパ状に形成されている。また、左右方向一方側の側壁82dには、左右方向他方側に突出する形態で突起101cが形成されている。この突起101cは、前方側から後方側となるにつれて次第に突出量が小さくなるテーパ状に形成されており、上流側(右側)からの遊技球を受けたときにこの遊技球を後方側に跳ね返らせるように機能している。
【0031】
図2(B)に示すように、遊技球誘導路14において前壁部84aの左右方向一端側(側壁82d側)には、開口部15が形成されている。前側ベース部82の底壁部82eは、側壁82d側の端部付近が一段低くなった段差部82hとして構成されており、遊技球誘導路14内を一方側(側壁82c側)から他方側(側壁82d側)に導かれた遊技球は、段差部82hに至った後にこの段差部82hにて開口部15側に導かれ、開口部15内に進入するようになっている。
【0032】
更に、段差部82hに隣接するように後側下方ベース部85の底壁部85aが配置されており、段差部82hから開口部15内に入り込んだ遊技球は底壁部85a上を後方に向かって転がり、後側下方ベース部85に形成された排出口85bから落下して排出されるようになっている。また、排出口85bの下方側には、検出センサ60の貫通孔61側が配置されており、排出口85bから下方側に排出された遊技球が貫通孔61内を通るようになっている。なお、検出センサ60は公知の球検出センサとして構成されており、遊技球が貫通孔61内を通過したときに検出信号を発するようになっている。
【0033】
次に、開閉部材20、スライド部材30、ソレノイド40について説明する。
開閉部材20は、遊技盤2の前面2a(盤面)の前方側に形成された誘導口12を開閉するように機能するものであり、自身の一部を前面2a(盤面)の位置よりも前方側に配置して誘導口12を閉鎖する閉鎖位置(図2(A)、図4(A)、図8(A)等)と、この閉鎖位置のときよりも後方側に退避して誘導口12を開放する開放位置(図2(B)、図8(B)等)とに変位し得るように、前後にスライド動作するように構成されている。
【0034】
この開閉部材20は、図5等に示すように、板状に構成された板状部21を備えており、板状部21の一方の板面部(上方側の板面部)が上面部21aとして構成されている。また、図6等に示すように、板状部21の他方の板面部(下方側の板面部)から下方側に突出した形態で突起形状からなる挿入部23が形成されている。そして、開閉部材20は、この挿入部23が後述するスライド部材30からの作用を受けて前後動するようになっており、この挿入部23の前後動作と連動して板状部21が前後動するようになっている。
【0035】
本実施形態では、図5に示すように、開閉部材20における板状部21の両端部が後側上方ベース部84の側壁84c、84dによって支持されるようになっており、板状部21の下面側が後側上方ベース部84の上面部84bによって支持され、図6、図8のように、板状部21の上面側が台板部83のカバー部83bによって支持されるようになっている。そして、側壁84c、84dによって左右に挟まれる構成で開閉部材20の左右への移動が規制され、上面部84b及びカバー部83bによって上下に挟まれる構成で開閉部材20の上下への移動が規制されているため、開閉部材20は、前後への移動のみが許容されるようになっている。なお、開閉部材20の板状部21の上面部には、上方に向けて背面視三角形状となるように突出する形態で、ガイド突起25が形成されている。このガイド突起25は、左右に延びる左右リブ25aと、前後に延びる前後リブ25b、25cとを有しており、左右リブ25aは上面部が左右方向に拡がるように左右に長手状に形成されている。また前後リブ25b、25cは、左右リブ25aの左右端部に連結される形態で前後に延びている。カバー部83bの下面側には、このガイド突起25を前後に案内する前後方向のガイド溝83dが形成されている。ガイド突起25は、ガイド溝83dに沿ってガイド溝83d内を前後に移動するようになっている。また、前後リブ25b、25cの前端部は、板状部21の前後方向中間位置よりやや後方位置となっており、図8(A)のように、開閉部材20が閉鎖位置となったときにガイド溝83dの前側に内壁部に当接するようになっている。即ち、前後リブ25b、25cは、開閉部材20がその閉鎖位置よりも前側に移動しないように規制するストッパーとしての役割を果たしている。
【0036】
ソレノイド40は、図5、図6等に示すように、励磁状態及び非励磁状態に切り替え可能なコイル部41と、該コイル部41が非励磁状態のときに所定量突出した突出状態(図9(A)、図10(A))となり、該コイル部41が非励磁状態のときに突出状態のときよりも突出量が小さい退避状態(図9(B)、図10(B))となるように進退するプランジャ42とを備えている。プランジャ42は、磁性体によって構成されると共に図5、図6のように一端側の端部にフランジ部42aが形成されており、他端側がコイル部41内に挿し込まれている。そして、プランジャ42の周囲且つフランジ部42aとコイル部41の間にはフランジ部42aをコイル部41から離間する方向に付勢するコイルばね43が配置されている。このソレノイド40は、コイル部41が非励磁状態のときには、コイルばね43の付勢によりプランジャ42がある程度コイル部41の外側に押し出された位置となり(図9(A)、図10(A))、コイル部41が励磁状態のときには、コイルばね43の付勢に抗してプランジャ42がコイル部41内に引き込まれるようになっている(図9(B)、図10(B))。
【0037】
スライド部材30は、図5、図6、図9、図10等に示すように、全体として板状でかつL字形状をなしており、開閉部材20の板状部21と対向する板状の対向部34と、この対向部34の左右方向一端側から下方側に折れ曲がる板状の固定壁33とを備えている。固定壁33は、先端固定部の一例に相当するものであり、上下方向に沿って延びると共にその厚さ方向を左右方向とするように配置されており、この固定壁33の下端側の切欠部33a(図6)にプランジャ42のフランジ部42aが嵌合構造で固定されるようになっている。対向部34は、延出部の一例に相当するものであり、板厚方向を上下方向とする構成で板状形態をなしており、ソレノイド40の上方側においてプランジャ42の長手方向(左右方向)に沿ってプランジャ42の先端側からコイル部41側に延びている。すなわち、スライド部材30は、ソレノイド40の駆動力を開閉部材20に伝達する伝達部材として機能するものであり、一端側(先端固定部に相当する固定壁33)がプランジャ42に固定されると共にプランジャ42の移動方向(左右方向)と同方向に一体的にスライド動作する構成をなしている。また、延出部に相当する対向部34は、プランジャ42の軸方向に沿って延びており、上下方向において開閉部材20とソレノイド40の間の位置でスライド動作するようになっている。
【0038】
更に、スライド部材30には、対向部34の上面部に上方側にリブ状に立ち上がるように形成された2つの立壁32a、32bからなる誘導溝32が形成されている。この誘導溝32は、対向する2つの立壁32a、32bの内側が上述の挿入部23と遊嵌し且つ挿入部23を誘導する溝として機能しており、2つの立壁32a、32bがいずれもスライド部材30のスライド方向(即ち左右方向)に対して傾斜して配されることで誘導溝32の溝方向もスライド部材30のスライド方向に対して傾斜した方向となっている。また、誘導溝32は、前端部付近から後端部付近に至るまでのほぼ大部分において立壁32a、32bの間隔(幅)が、挿入部23の径よりもやや大きくなっており、前端部及び後端部では、立壁32a、32bの間隔(幅)が、挿入部23の径よりも小さくなっている。これにより、誘導溝32内に遊嵌されている挿入部23が誘導溝32の前端部から前方に離脱せず、誘導溝32の後端部から後方に離脱しないようになっている。即ち、立壁32a、32bの間隔が前端部及び後端部で絞られることで抜け止めがなされている。
【0039】
また、対向部34には、左右方向一端側(固定壁33側とは反対側の端部側)から横方向に突出する形態でガイド部38が形成されている。このガイド部38は、後側上方ベース部84に形成されたガイド孔84e(左右方向の貫通孔)に挿入され、このガイド孔84eによってガイド部38の前後方向及び上下方向の移動が規制されており、これによりガイド部38が左右にスライドし得るように案内されるようになっている。また、ガイド部38がガイド孔84eに挿入されて支持されるようになっているため、固定壁33を基端として片持ち状に構成された対向部34における上下方向の撓みを防ぐことができ、誘導溝32から挿入部23が外れることを防止している。
【0040】
また、本構成では、先端固定部に相当する固定壁33から、延出部に相当する対向壁34がプランジャ42の軸方向に沿って延びており、この対向部34は、上下方向において開閉部材20とソレノイド40との間の位置でスライド動作するようになっている。このように、スライド部材30の対向部34が、開閉部材20とソレノイド40との間で動作するので、効率よく空間を利用することができ、コンパクト化を図ることができる。また、図10に示すように、幅方向(左右方向)においては、スライド部材30及びソレノイド40が開閉部材20の幅(左右幅)内にほぼ収まっており、図10(B)のように、プランジャ42が没入したときにはスライド部材30及びソレノイド40の全体が開閉部材20の幅内に収まるようになっている。また、前後方向においても、図11(B)に示すような開放状態のときには、スライド部材30及びソレノイド40が開閉部材20の幅(前後幅)内に収まるようになっている。このような構成によれば、ソレノイド30と開閉部材40の間の部材をスライド部材30だけとすることができるため、部品点数が少なく、簡単な構造とすることができる。さらに、挿入部23を開閉部材20の左右方向中央領域に形成しているので、安定して開閉部材20を動作させることができる。
【0041】
このように構成される開閉部材20、スライド部材30、ソレノイド40では、図9〜図11で示すように、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材30が左右方向にスライド動作するときに、挿入部23が誘導溝32内を相対的に移動するように案内され、その案内時における誘導溝32の溝壁に対する挿入部23の押圧作用に応じて、開閉部材20が前後方向に沿うようにスライド動作するようになっている。
【0042】
具体的には、図9(A)から図9(B)への変化(図10(A)から図10(B)への変化、及び図11(A)から図11(B)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が非励磁状態から励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内に引き込まれたときには、スライド部材30はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(左方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材30のスライド動作に伴って誘導溝32がそのスライド方向(左方向)に変位し、誘導溝32のスライド変位に伴い当該誘導溝32の立壁32a(溝壁)により挿入部23が後方に相対移動するように押圧作用を受けて開閉部材20が後方側にスライド動作する。このようにして閉鎖状態から開放状態に変化することとなる。
【0043】
逆に、図9(B)から図9(A)のような変化(図10(B)から図10(A)への変化、図11(B)から図11(A)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が励磁状態から非励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内から所定量突出したときには、スライド部材30はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(右方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材30のスライド動作に伴って誘導溝32がそのスライド方向(右方向)に変位し、誘導溝32のスライド変位に伴い当該誘導溝32の立壁32b(溝壁)により挿入部23が前方に相対移動するように押圧作用を受けて開閉部材20が前方側にスライド動作する。このようにして、開放状態から閉鎖状態に変化することとなる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図16を参照して説明する。
第2実施形態は、開閉部材とスライド部材との間に連結部材250を設けた点、及びスライド部材において誘導溝の位置を若干ずらした点、及び後側上方ベース部の上面部の構成を若干変更した点が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって、連結部材250、スライド部材、及び後側上方ベース部以外は第1実施形態と同一であるとして、詳細な説明は省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては第1実施形態と同一の符号を付すこととし、図12〜図16に開示される部品以外については、適宜図1〜図11における同様の部品を参照することとする。なお、図12、図13では、筐体の一部をなす後側上方ベース部284に対してスライド部材230及び連結部材250が組付けられ、この組付体から開閉部材20を取り外した状態を概略的に示している。
【0045】
第2実施形態の遊技機用可変入賞装置は、図12、図14等に示すように、開閉部材20とスライド部材230の間に、開閉部材20に連結されると共に当該開閉部材20と共に前後動するように取り付けられた連結部材250が設けられている。そして、この連結部材250は、「連動する部材」「挿入部形成部材」の一例に相当し、連結部材250の一部がスライド部材230に形成された誘導溝232に挿入される挿入部254として構成されている。
【0046】
第2実施形態の開閉部材20は、第1実施形態の同様の構成をなすと共に第1実施形態と同様に機能しており、遊技盤2の前面2a(盤面:図4等)の前方側に形成された誘導口(第1実施形態の誘導口12と同様の誘導口:図2、図4等参照)を開閉するように構成され、自身の一部を前面2a(盤面)の位置よりも前方側に配置して誘導口12を閉鎖する閉鎖位置(図2(A)、図4(A)、図8(A)等参照)と、この閉鎖位置のときよりも後方側に退避して誘導口12を開放する開放位置(図2(B)、図8(B)等参照)とに変位し得るように、前後にスライド動作するように構成されている。
【0047】
なお、本構成では、図12等に概念的に示すように、開閉部材20における板状部21の両端部が後側上方ベース部284の側壁284c、284dによって支持されるようになっており、図5のように、板状部21の下面側が後側上方ベース部284の上面部284bによって支持され、板状部21の上面側が第1実施形態のカバー部83b(図5等参照)と同様のカバー部によって支持されるようになっている。そして、側壁284c、284dによって左右に挟まれる構成で開閉部材20の左右への移動が規制され、上面部284b及び前記カバー部によって上下に挟まれる構成で開閉部材20の上下への移動が規制されているため、開閉部材20は、前後への移動のみが許容されるようになっている。
【0048】
連結部材250は、第1実施形態と同様に構成された開閉部材20の突起(挿入部23)に固定される固定部251を備え、この固定部251に形成された穴部252内に開閉部材20の突起(挿入部23)が嵌合して固定されるようになっている。また、横方向に沿って延びるアーム部256が固定部251と一体的に連結されており、更にこのアーム部256の一端側(固定部251とは反対側)に上下に延びる棒状の挿入部254が連結されている。このように構成される連結部材250は、図14等に示すように、穴部252に対して開閉部材20の突起(挿入部23)を嵌入させることで開閉部材20に固定されており、図12等に示すように、2つのガイド溝284e、284fに嵌った構成で左右方向に延びるように姿勢が維持されている。具体的には、後側上方ベース部284においてガイド溝284eがアーム部256の上側に配置されており、このガイド溝284eの溝内に挿入部254が嵌っている。また、後側上方ベース部284には、アーム部256の下側に配置されるガイド溝284fが形成されており、このガイド溝284fの溝内にアーム部256の中央部付近から下方に突出するガイド突起256aが嵌っている。このように挿入部254がガイド溝284eと嵌合ないし遊嵌し、ガイド突起256aがガイド溝284fと嵌合ないし遊嵌した状態でこれら挿入部254及びガイド突起256aがガイド溝284e、284fによって前後に案内されるようになっている。そして、このような案内により、連結部材250は左右方向に延びた姿勢が維持されつつ前後動するようになっている。そして、連結部材250は、開閉部材20と一体的に前後動するように構成されているため、図14(A)(B)に示すように、その移動の際には、当該連結部材250が横方向に延びる姿勢が維持された状態で変位するようになっている(図12、図13も参照)。このように開閉部材20とは別体に形成される連結部材250(挿入部形成部材)を用いると、筐体などが多少変更しても連結部材250のみの形状変更で調整することができ、開閉部材20を汎用性ある部品として構成することができる。
【0049】
第2実施形態で用いられるスライド部材230も、ソレノイド40の駆動力を受けて左右にスライドするように機能している。なお、ソレノイド40の構成は第1実施形態と同様であり、図14、図15の例ではコイルばね43を省略して示している。
【0050】
本構成でもスライド部材230は、図14、図15等に示すように、全体として板状でかつL字形状をなしており、連結部材250の下方側においてこの連結部材250と対向する板状の対向部234と、この対向部234の左右方向一端側から下方側に折れ曲がる板状の固定壁233とを備えている。固定壁233は、上下方向に沿って延びると共にその厚さ方向を左右方向とするように配置されており、この固定壁233の下端側の切欠部(図6の切欠部33aと同様の切欠部)にプランジャ42のフランジ部(図6のフランジ部42aと同様のフランジ部)が嵌合構造で固定されるようになっている。対向部234は、板厚方向を上下方向とする構成で板状形態をなしており、ソレノイド40の上方側においてプランジャ42の長手方向(左右方向)に沿ってプランジャ42の先端側からコイル部41側に延びている。すなわち、スライド部材230は、ソレノイド40の駆動力を開閉部材20に伝達する伝達部材として機能しており、一端側(固定壁233)がプランジャ42に固定されると共にプランジャ42の移動方向(左右方向)と同方向に一体的にスライド動作する構成をなしている。
【0051】
本構成でも、スライド部材230には、対向部234の上面部に上方側にリブ状に立ち上がるように形成された2つの立壁232a、232bからなる誘導溝232が形成されている。この誘導溝232は、対向する2つの立壁232a、232bの内側が連結部材250に形成された挿入部254と遊嵌し且つ挿入部254を誘導する溝として機能しており、2つの立壁232a、232bがいずれもスライド部材230のスライド方向(即ち左右方向)に対して傾斜して配されることで誘導溝232の溝方向もスライド部材230のスライド方向に対して傾斜した方向となっている。
【0052】
このように構成される開閉部材20、スライド部材230、ソレノイド40では、図12〜図16で示すように、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材230が左右方向にスライド動作するときに、挿入部254が誘導溝232内を相対的に移動するように案内され、その案内時における誘導溝232の溝壁に対する挿入部254の押圧作用に応じて、開閉部材20が前後方向にスライド動作するようになっている。
【0053】
具体的には、図12から図13への変化(図14(A)から図14(B)への変化、図15(A)から図15(B)への変化、図16(A)から図16(B)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が非励磁状態から励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内に引き込まれたときには、スライド部材230はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(左方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材230のスライド動作に伴って誘導溝232がそのスライド方向(左方向)に変位し、誘導溝232のスライド変位に伴い当該誘導溝232の立壁232a(溝壁)により挿入部254が後方に相対移動するように押圧作用を受け、これにより連結部材250及び開閉部材20が一体的に後方側にスライド動作する。このようにして閉鎖状態から開放状態に変化することとなる。
【0054】
逆に、図13から図12への変化(図14(B)から図14(A)への変化、図15(B)から図15(A)への変化、図16(B)から図16(A)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が励磁状態から非励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内から所定量突出したときには、スライド部材230はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(右方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材230のスライド動作に伴って誘導溝232がそのスライド方向(右方向)に変位し、誘導溝232のスライド変位に伴い当該誘導溝232の立壁232b(溝壁)により挿入部254が前方に相対移動するように押圧作用を受け、これにより連結部材150及び開閉部材20が前方側にスライド動作する。このようにして、開放状態から閉鎖状態に変化することとなる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図17〜図28を参照して説明する。
なお、第3実施形態に係る入賞装置310は、検出センサ60やソレノイド40等の一部部品の構成が第1実施形態と同様となっている。よって検出センサ60やソレノイド40については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0056】
図17に示すように、本実施形態の遊技機用可変入賞装置310でも、第1実施形態と同様、遊技盤2の前方側に誘導口312が配され、この誘導口312が開閉部材320のスライド動作によって開閉するようになっている。この入賞装置310では、図22等に示すように、後述するスライド部材330のスライド方向に対して傾斜した溝方向の誘導溝332が形成されており、開閉部材320に連結される連結部材324には、この誘導溝332内に挿入される挿入部324aが形成されている。そして、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材330がスライド動作したときに、挿入部324aが誘導溝332内を相対的に移動するように案内され、その案内時における挿入部324aに対する誘導溝332の溝壁からの押圧作用に応じて、開閉部材320が自身の上面部に沿った方向にスライド動作するようになっている。
【0057】
ここで、入賞装置310の外郭をなす筐体380について説明する。
図17〜図19に示すように、筐体380は、前板部381と、前側ベース部382と、台板部383と、後側ベース部384とによって構成されており、図17に示すように遊技領域から遊技球を入り込ませる誘導口312を構成すると共に、その誘導口312に入り込んだ遊技球を導く遊技球誘導路314を構成するように機能している。
【0058】
前板部381は、図18、図19に示すように、横方向に長い板状に構成されると共に遊技盤2の前面2aと略平行に配される前板381aを備えており、この前板381aから後方側に複数のボス381bが突出した形態をなしている。
【0059】
前側ベース部382は、図18、図19に示すように横方向に延びる長手状に構成されると共に横方向中央部が下方側に凹んだ形態をなしている。この前側ベース部382は、前壁部382aにおいて後方側に貫通する複数の貫通孔382bが形成されており、これら貫通孔382bに前板部381のボス381bが挿し通される形態で前板部381が組み付けられるようになっている。この前側ベース部382の凹みの部分には、左右一対で配される側壁382c、382dと、これら側壁382c、382dのそれぞれの下端部側に連結される底壁部382eとが設けられている。更に、側壁382c、382dの後端部及び底壁382eの後端部に連結される形態で後壁部382nが設けられている。後壁部382は、遊技盤2の前面2aのやや前位置において前面2aと略平行に配置され、前板部381と前後に対向して左右方向に延びる流路(遊技球誘導路314)を構成している。更に、側壁382cの上端部側に連結される形態で上流側底壁351aが設けられ、側壁382dの上端部側に連結される形態で下流側底壁352aが設けられている。また、前側ベース部382は、前壁部382aから後方側に複数のボスが延びており、この複数のボスに後述する後側ベース部384がネジ止め等によって固定されている。そのうちの1つのボスが後述する貫通孔324bに挿し通される軸部326として機能している。
【0060】
台板部383は、図18、図19に示すように、遊技盤2の前面2a(盤面:図25等)に支持される構成でこの前面2aに沿って配される板状の台板383aと、この台板383aから後方側に延びる板状のカバー部383bとを備えている。上述の前側ベース部382及び前板部381は、ボス381bが貫通孔382bに挿し通された状態で台板383aの前面側に当接し、この状態でねじ等の締結部材によって台板383aに固定されるようになっている。
【0061】
後側ベース部384は、台板部383と共に後述するソレノイド40、スライド部材330、連結部材324等を収容して保持するように機能する部分であり、ねじ等の締結部材によって台板383aの後面側に固定されるようになっている。このように構成される前板部381、前側ベース部382、台板部383、後側ベース部384が一体的に結合して筐体380を構成しており、各種部品を保持すると共に内部に遊技球の流路を構成するようになっている。本実施形態では、後壁部382nが存在しているため、後側ベース部384の前側の壁がなくなるように形成されており(即ち、後側ベース部384が遊技盤前側に構成される遊技球誘導路314の壁部を構成しないようになっており)、後側ベース部384全体として前側が開放する箱形状をなしている。第1,2実施形態では、台板部383の後方側に連結される部分が上下に分割され、その連結される部分(後側ベース部(上下))でソレノイドやスライド部材を収容していたが、この第3実施形態では、前側ベース部382と後側ベース部384とによって、ソレノイド40やスライド部材330などを収容している点で、大きく異なっている。
【0062】
このように構成される筐体380は、図17のように、上流側底壁351a及び台板383aの一部(上流側底壁351aに隣接する部分)によって上流側流路351が構成されており、この上流側流路351は、入賞装置310の外部(遊技領域)を流れる遊技球が上流側底壁351a上で受け止められたときにこの遊技球を横方向に誘導するようになっている。また、下流側底壁352a及び台板383aの一部(下流側底壁352aに隣接する部分)によって下流側流路352が構成されており、この下流側流路352は、入賞装置310の外部(遊技領域)を流れる遊技球が下流側底壁352a上で受け止められたときにこの遊技球を横方向に誘導するようになっている。そして、図17(B)のように、上流側底壁351aの左側端部(下流側底壁352aと対向する端部)と下流側底壁352aの右側端部(上流側底壁351aと対向する端部)とによって構成される開口が誘導口312となっている。
【0063】
この誘導口312は、入賞口として構成される部分であり、上流側底壁351aを左側に流れてきた遊技球や下流側底壁352aを右側に流れてきた遊技球、或いは上方側から当該誘導口312に向かって落下してきた遊技球などを装置内に入り込ませて入賞させるように機能している。なお、上流側底壁351aは、全体的に誘導口312側よりもその反対側のほうが低くなっており、上流側底壁351a上の遊技球は誘導口312とは反対側に流れやすくなっている。また、下流側底壁352aも、全体的に誘導口312側よりもその反対側のほうが低くなっており、下流側底壁352a上の遊技球も誘導口312とは反対側に流れやすくなっている。
【0064】
また、図17、図25、図26等に示すように、誘導口312の下方側には、遊技球を誘導する遊技球誘導路314が構成されている。遊技球誘導路314は、前板部381の前板381aによって前方側の内壁部が構成され、前側ベース部382の後壁部382nによって後方側の内壁部が構成されており、これらが前後に対向することで左右に延びる流路を形成している。また、図17(B)等に示す側壁382c、382dが左右の内壁部を構成し、底壁部382eが底壁を構成しており、全体として横長の箱状形態をなしている。この遊技球誘導路314は、底壁部382eの一方側(側壁382c側)が高く他方側(側壁382d側)となるにつれて低くなるように底部が傾斜した構成となっており、誘導口312から入り込んだ遊技球が底壁部382e上を転がり、側壁382d側(即ち左側)に導かれるようになっている。
【0065】
また、図17(B)に示すように、左右方向一方側の側壁382dには、左右方向他方側に突出する形態で突起301cが形成されている。この突起301cは、前方側から後方側となるにつれて次第に突出量が小さくなるテーパ状に形成されており、上流側からの遊技球を受けたときにこの遊技球を後方側に跳ね返らせるように機能している。
【0066】
図17(B)に示すように、前側ベース部382の通路の底壁には検出センサ60が設けられている。この検出センサ60は、前側ベース部382の通路の底壁(底壁部382e)に形成されており、通路左寄りの位置(即ち、側壁382d寄りの位置)に貫通孔61が配されている。そして、底壁部382e上を転がって側壁382d側に導かれた遊技球が貫通孔61内を通って落下するように構成されている。
【0067】
次に、開閉部材320、スライド部材330、ソレノイド40について説明する。
開閉部材320は、遊技盤2の前面2a(盤面)の前方側に形成された誘導口312を開閉するように機能するものであり、自身の一部を前面2a(盤面)の位置よりも前方側に配置して誘導口312を閉鎖する閉鎖位置(図17(A)、図25(A)、図26(A)等)と、この閉鎖位置のときよりも後方側に退避して誘導口312を開放する開放位置(図17(B)、図25(B)、図26(B)等)とに変位し得るように、前後にスライド動作するように構成されている。
【0068】
この開閉部材320は、図18、図19に示すように、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられた第1開閉部材321と、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられ且つ少なくとも一部が第1開閉部材321よりも前方位置に移動し得るように構成された第2開閉部材322とによって構成されており、第1開閉部材321に対して第2開閉部材322が所定の移動範囲で前後方向に沿って相対移動し得るように第1開閉部材321と第2開閉部材322とが互いに連結されている(図22、図23等の連結構造を参照)。第1開閉部材321及び第2開閉部材322はいずれも略板状且つ長手状に構成されると共に厚さ方向を上下方向とし、長手方向を左右方向とする構成で配置されており、第2開閉部材322の厚さ方向一方側(上側)に重なるように第1開閉部材321が配置されている。また、この構成では、第2開閉部材322が駆動源(ソレノイド40)からの駆動力を先に受けて動作する原動側とされており、第1開閉部材321が、第2開閉部材322からの作用を受けて動作する従動側とされている。なお、第3実施形態では、第1開閉部材321及び第2開閉部材322の前後方向の幅が台板383aから前板381aまでの距離よりも小さくなっており、第1、第2実施形態の開閉部材20よりも前後方向の幅が小さくなっている。
【0069】
具体的には、図21、図23のように、第1開閉部材321の下面部における左右両側に、後端部から前方側に延びる前後方向の嵌合溝321b、321cが形成されている。また、図20、図21、図23のように、第2開閉部材322の上面部の後端側における左右両側には、嵌合溝321b、321cと嵌合するように構成される嵌合凸部322b、322cが形成されており、嵌合溝321b、321cに対して嵌合凸部322b、322cがそれぞれ前後方向に摺動し得るように嵌合している。また、第1開閉部材321の下面部における中央部付近(嵌合溝321b、321cからやや離れたこれらの間の位置)において前後方向中間位置(第1開閉部材321の前端及び後端からやや離れた位置)には、上方に向かって凹む凹部321fが形成されている。一方、第2開閉部材322の上面部後端付近において左右方向中間位置(嵌合凸部322b、322cからやや離れたこれらの間の位置)には、上方にリブ状に突出する凸部322fが形成されており、この凸部322fが凹部321f内に入り込んで前後方向に摺動し得るように嵌合している。また、本構成では、少なくとも嵌合凸部322b、322c及び凸部322fの位置において第1開閉部材321と第2開閉部材322とが常時上下に重なるように構成されており、図22(b)のように、第1開閉部材321のほぼ全体と第2開閉部材322のほぼ全体とが上下に重なる位置関係となりうるように嵌合溝321b、321c及び凹部321fの形状が調整されている。このような構成により、第1開閉部材321及び第2開閉部材322の前後方向の幅を小サイズにしている。
【0070】
更に、第2開閉部材322には、図20、図21に示すように、この第2開閉部材322と一体的に連動する連結部材324が取り付けられている。第2開閉部材322は、左右方向一方側において側方に突出する軸状の突出部322aが形成されており、この突出部322aが後述する連結部材324の孔部324cに嵌入された状態で固定されるようになっている(図22参照)。
【0071】
連結部材324は、「連動する部材」「挿入部形成部材」」の一例に相当し、図20、図21に示すように棒状ないし軸状に構成されており、上述したように第2開閉部材322に連結される形態で配され、第2開閉部材322と共に一体的に前後動するように構成されている。この連結部材324は、上端寄りの位置に左右方向に貫通する上述の孔部324cが形成されており、下端側において下方側に延びるように挿入部324aが形成されており、この挿入部324aが後述する誘導溝332に挿入される部分として機能している。また、孔部324cと挿入部324aの間の位置には、前後方向の貫通孔324bが形成されており、この貫通孔324bには、前側ベース部382に形成された上述の軸部326(図19、図28参照)が挿し通されるようになっている。そして、連結部材324は、図28(A)〜(C)のように、スライド部材330のスライド動作に伴い、軸部326に案内されるように前後に移動し得るようになっている。
【0072】
本構成では、第2開閉部材322の左右方向一端側が前側ベース部382に形成されたリブ382fによって支持され、他端側が連結部材324を介して軸部326に支持されると共に、当該他端側に形成された前後方向に延びるリブ322e(図18、図21)が前側ベース部382に形成された支持部382g(図18)に当接して支持されるようになっている。、第2開閉部材322はこのように両側が前側ベース部382に直接又は間接的に支持される構成で前後にスライド動作し得るようになっている。より具体的には、図21に示すように、前側ベース部282の左右方向一端側において他端側に窪むように窪み322dが形成されており、この窪み322dが前側ベース部382において前後に延びるように形成されたリブ382fに嵌り込み、このリブ382fによって前後に案内されるようになっている。また、第2開閉部材322は、全体が台板383aよりも前側に位置して誘導口312を閉鎖することとなるが、リブ382fが窪み322dに嵌り込んだ状態で案内され、第2開閉部材322の上下方向の移動が規制されるため、第2開閉部材322の一端側(窪み322d側)が上方に浮き上がって外れてしまうことを効果的に防止することができる。また、第2開閉部材322の左右方向他端側は連結部材324を介して軸部326に支持され、この軸部326によって連結部材324と共に前後に案内されるようになっている。
【0073】
また、第1開閉部材321は、上述のように第2開閉部材322に組み付けられてこの第2開閉部材322上で前後動し得るように構成されている。更に、第1開閉部材321の後端部付近における左右両端には、それぞれ側方に突出する形態で突起321a、321dが形成されている。この第1開閉部材321は、台板383a(図18)に形成された開口部383dを介して前後に進退し得るようになっており、図17(A)、図25(A)、図26(A)のように第1開閉部材321が所定位置まで前方に突出したときに両端側の突起321a、321dが前側ベース部382に当接し(図27(A)参照)、それ以上の前方移動が規制されるようになっている。
【0074】
次に、スライド部材330について説明する。本実施形態で用いられるスライド部材330も、ソレノイド40の駆動力を受けて左右にスライドするように機能している。なお、ソレノイド40の構成は第1実施形態と同様であり、図22、図23の例ではコイルばね43を省略して示している。
【0075】
このスライド部材330は、図20〜図23に示すように、全体として板状でかつL字形状をなしており、連結部材324の下方側においてこの連結部材324と対向する板状の対向部334と、この対向部334の左右方向一端側から下方側に折れ曲がる板状の固定壁333とを備えている。固定壁333は、上下方向に沿って延びると共にその厚さ方向を左右方向とするように配置されており、この固定壁333の下端側の切欠部333a(図21)にプランジャ42のフランジ部42aが嵌合構造で固定されるようになっている。対向部334は、板厚方向を上下方向とする構成で板状形態をなしており、ソレノイド40の上方側においてプランジャ42の長手方向(左右方向)に沿ってプランジャ42の先端側からコイル部41側に延びている。すなわち、スライド部材330は、ソレノイド40の駆動力を開閉部材320に伝達する伝達部材として機能するものであり、一端側(固定壁333)がプランジャ42に固定されると共にプランジャ42の移動方向(左右方向)と同方向に一体的にスライド動作する構成をなしている。
【0076】
更に、図20、図22のように、スライド部材330には、対向部334の上面部に上方側にリブ状に立ち上がるように形成された2つの立壁332a、332bからなる誘導溝332が形成されている。この誘導溝332は、対向する2つの立壁332a、332bの内側が上述の挿入部324aと遊嵌し且つ挿入部324aを誘導する溝として機能しており、2つの立壁332a、332bがいずれもスライド部材330のスライド方向(即ち左右方向)に対して傾斜して配されることで誘導溝332の溝方向もスライド部材330のスライド方向に対して傾斜した方向となっている。
【0077】
また、第3実施形態では、第2開閉部材322と連動する部材(連結部材324)が遊技盤2の前面2aの前方において、誘導口312の下方に形成された遊技球誘導路314の側方に設けられている。より具体的には、台板383aに形成された開口部383dを介してソレノイド40及びスライド部材330が遊技盤2の前面2aの前後に跨るように配置され、誘導溝332も前面2aの前後に跨るように配置されており、スライド部材330のスライド動作に伴って連結部材324が遊技球誘導路314の側方において前面2aの前後に変位し得るようになっている。
【0078】
このように構成される開閉部材320、スライド部材330、ソレノイド40では、図22、図23、図25〜図28の動作説明で示すように、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材330が左右方向にスライド動作するときに、挿入部324aが誘導溝332内を相対的に移動するように案内され、その案内時における挿入部324aに対する誘導溝332の溝壁の押圧作用に応じて、開閉部材320が自身の上面部の外面方向に沿うように前後にスライド動作するようになっている。
【0079】
具体的には、図17(A)から図17(B)への変化(図22(A)から図22(B)への変化、図23(A)から図23(B)への変化、図25(A)(B)(C)の変化等も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が非励磁状態から励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内に引き込まれたときには、スライド部材330はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(左方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材330のスライド動作に伴って誘導溝332がそのスライド方向(左方向)に変位し、誘導溝332のスライド変位に伴い当該誘導溝332の立壁332a(溝壁)により挿入部324aが後方に相対移動するように押圧作用を受け、これにより挿入部324aと一体的に第2開閉部材322が後方側にスライド動作する。
【0080】
本構成では、上述したように第1開閉部材321の下面側に形成された凹部321fの内部に第2開閉部材322に形成された凸部322fが入り込んだ状態でこれら開閉部材が連結されており、図25(A)、図26(A)のように開閉部材320が閉鎖位置にある状態から第2開閉部材322がある程度後退して図26(B)のような位置になると、第2開閉部材322の凸部322fが第1開閉部材321の凹部321fの後端部に当接することになる。そして、さらに第2開閉部材322が後退すると、この凸部322fの押圧作用によって第1開閉部材321も後退し、これら開閉部材が一体的に後退して図26(C)のような位置となる。このように、誘導口312を開放する際には、スライド部材330による左右方向片方側(他方の方向)へのスライド動作に伴って第2開閉部材322が後方に移動し、且つ第2開閉部材322が少なくとも第2の所定位置(凸部322fが凹部321fの後端に当接する位置)よりも後方に移動したときに、当該第2開閉部材322によって第1開閉部材321が後方に引き戻されるようになっている。そして、図26(C)のように誘導口312を完全に開放したときには、この誘導口312の後方側において第1開閉部材321と第2開閉部材322とが上下に重なるように配置されるようになっている(図17(B)、図22(B)、図25(C)等も参照)。このようにして閉鎖状態から開放状態に変化することとなる。
【0081】
逆に、図22(B)から図22(A)への変化(図23(B)から図23(A)への変化等も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が励磁状態から非励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内から所定量突出したときには、スライド部材330はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(右方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材330のスライド動作に伴って誘導溝332がそのスライド方向(右方向)に変位し、誘導溝332のスライド変位に伴い当該誘導溝332の立壁332b(溝壁)により挿入部324aが前方に相対移動するように押圧作用を受け、これにより挿入部324aと一体的に第2開閉部材322が前方側にスライド動作する。
【0082】
図29(A)(図26(C)も同様)、図30(A)(図27(C)も同様)のように開閉部材320が開放位置にある状態から、図29(B)、図30(B)のように第2開閉部材322がある程度前進すると、第2開閉部材322の嵌合凸部322b、322cが嵌合溝321b、321cのそれぞれの前端部に当接し、凸部322fが第1開閉部材321の凹部321fの前端部に当接することになる。そして、さらに第2開閉部材322が前進すると、これら嵌合凸部322b、322c及び凸部322fの押圧作用によって第1開閉部材321も前進し、これら開閉部材が一体的に前進して図29(C)、図30(C)のような位置となる。このように、誘導口312を閉鎖する際には、スライド部材330による左右方向反対側(一方の方向)へのスライド動作に伴って第2開閉部材322が前方に移動し、且つ第2開閉部材322が少なくとも第1の所定位置(凸部322fが凹部321fの前端部に当接する位置)よりも前方に移動したときに、当該第2開閉部材322と連動して第1開閉部材321が前方に引き出されるようになっている。本構成では、上記のように閉鎖する際には、左右において嵌合凸部322b、322cが嵌合溝321b、321cのそれぞれの前端部に当接し、中央部において凸部322fが凹部321fの前端部に当接するため、第2開閉部材322によって左右均等に第1開閉部材321を引き出すことができる。
【0083】
以上のような構成によれば、第1開閉部材321及び第2開閉部材322の前後方向の幅を小さくできるため、例えば遊技盤2が厚さ10mm程度のアクリル盤によって構成されていても開放時に開閉部材320を遊技盤後面2bよりも後方側に突出しないように収めることができ、常時、入賞装置全体を厚さ10mmの遊技盤2の前位置(後面2bよりも前位置)に配置することができる。
【0084】
なお、本構成では、開閉部材320を第1開閉部材321及び第2開閉部材322によって構成したが、図17〜図30の構成を一部変形し、例えば、開閉部材を第2開閉部材のみの構成としてもよい。
【0085】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態に係る入賞装置は、スライド部材の構成(特に立壁の構成)のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって、スライド部材以外については詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては第1実施形態と同一の符号を付すこととし、スライド部材以外については、適宜図1〜図11における同様の部品を参照することとする。
【0086】
第4実施形態で用いられるスライド部材430も、ソレノイド40の駆動力を受けて左右にスライドするように機能している。なお、ソレノイド40の構成は第1実施形態と同様であり、図31、図33の例ではコイルばね43を省略して示している。
【0087】
本構成でもこのスライド部材430は、図31〜図33に示すように、全体として板状でかつL字形状をなしており、板状部21の下方側においてこの板状部21と対向する板状の対向部434と、この対向部434の左右方向一端側から下方側に折れ曲がる板状の固定壁433とを備えている。固定壁433は、上下方向に沿って延びると共にその厚さ方向を左右方向とするように配置されており、この固定壁433の下端側の切欠部(図6の切欠部33aと同様の切欠部)にプランジャ42のフランジ部(図6のフランジ部42aと同様のフランジ部)が嵌合構造で固定されるようになっている。対向部434は、板厚方向を上下方向とする構成で板状形態をなしており、ソレノイド40の上方側においてプランジャ42の長手方向(左右方向)に沿ってプランジャ42の先端側からコイル部41側に延びている。すなわち、スライド部材430は、ソレノイド40の駆動力を開閉部材20に伝達する伝達部材として機能しており、一端側(固定壁433)がプランジャ42に固定されると共にプランジャ42の移動方向(左右方向)と同方向に一体的にスライド動作する構成をなしている。
【0088】
そして、スライド部材430には、対向部434の上面部に上方側にリブ状に立ち上がるように形成された2つの立壁432a、432bからなる誘導溝432が形成されている。この誘導溝432は、対向する2つの立壁432a、432bの内側が挿入部23と遊嵌し且つ挿入部23を誘導する溝として機能しており、2つの立壁432a、432bがいずれもスライド部材430のスライド方向(即ち左右方向)に対して傾斜して配されることで誘導溝432の溝方向もスライド部材430のスライド方向に対して傾斜した方向となっている。
【0089】
更に、本構成では、対向部434の上面部において誘導溝432と連続するようにロック溝(段差状に構成されるロック部)452が形成されている。このロック溝452は、左右方向に対して傾斜して延びる誘導溝432の前端側において、一方の立壁432bの内壁面から左右方向一方側(遊技機正面側から見て右側、図31等のように背面側から見た場合には図面右側)に凹むように段差状に構成されており、図31(A)、図32(A)、図33(A)のように、ソレノイド40が非駆動状態とされてスライド部材430が第1位置にあるときには、挿入部23がロック溝452内に嵌り込むようになっている。そして、このように挿入部23がロック溝452内に入り込んだときには、ロック溝452の内壁の一部が挿入部23の後方に位置するようになっており、不正行為などにより開閉部材20を閉鎖位置から開放位置へ動作させようとする外力が働いたとき、挿入部23が後方側に変位しようとするとこの部分(ロック溝452の内壁における挿入部23の後方に位置する一部452a)に当接し、スライド部材430が左右方向にスライドせず、ひいては、開閉部材20が開放位置に移動せずに不正行為を防止することができる。
【0090】
このように構成される開閉部材20、スライド部材430、ソレノイド40では、図31〜図33の動作説明で示すように、ソレノイド40の駆動力を受けてスライド部材430が左右方向にスライド動作するときに、挿入部23が誘導溝232内を相対的に移動するように案内され、その案内時における誘導溝432の溝壁に対する挿入部23の押圧作用に応じて、開閉部材20が自身の上面部の外面方向に沿うように前後にスライド動作するようになっている。
【0091】
具体的には、図2(A)から図2(B)への変化(図31(A)から図31(B)への変化、図32(A)から図32(B)への変化、図33(A)から図33(B)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が非励磁状態から励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内に引き込まれるときには、スライド部材430はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(左右方向)と同方向にスライド動作する。このように、スライド部材430が左右方向一方側(図31等では左方向)へ変位することに伴い、左右方向一方側へ奥まって形成されたロック溝452が挿入部23に対して当該左右方向一方側(即ち左側)に離れるように変位し、これにより、挿入部23はロック溝452に対して相対的に右方向に移動してロック溝452から離脱することになる(図32の矢印F1も参照)。その後、挿入部23は立壁432a(溝壁)の内壁に当接して当該立壁432aに沿って案内され、立壁432aからの押圧作用を受けて誘導溝432内を前方側に移動するように変位する。このような挿入部23の変位に応じて開閉部材20全体が後方側にスライド動作する。このようにして閉鎖状態から開放状態に変化することとなる。
【0092】
逆に、図31(B)から図31(A)への変化(図32(B)から図32(A)への変化、図33(B)から図33(A)への変化も参照)のように、ソレノイド40のコイル部41が励磁状態から非励磁状態に変化するのに伴ってプランジャ42がコイル部41内から所定量突出したときには、スライド部材430はこのプランジャ42の駆動力を受けてプランジャ42の移動方向(右方向)と同方向にスライド動作する。このとき、このスライド部材430のスライド動作に伴って誘導溝432がそのスライド方向(右方向)に変位し、誘導溝432のスライド変位に伴い当該誘導溝432の立壁432b(溝壁)により挿入部23が前方に相対移動するように押圧作用を受け、これにより開閉部材20が前方側にスライド動作する。このようにして、開放状態から閉鎖状態に変化することとなる。なお、この変位の途中では、挿入部23は、立壁432bに押されながら当該立壁432bからの押圧作用によって後方側に移動することになり、挿入部23が立壁432bの後端側に配置されたロック溝452に至ったときには、図31(A)等のようにロック溝452内に入り込んでこの位置で保持されることになる。
【0093】
一方、図31〜図33に示す構成では、図31(A)、図32(A)、図33(A)のように挿入部23がロック溝452内に嵌り込んだ状態となっているとき(即ち、開閉部材20が閉鎖位置にあるとき)に、開閉部材20を開放位置に変位させようとする外力が加えられた場合には、開閉部材20と連動する挿入部23が、誘導溝432による案内側とは異なる側(ロック溝の段差部分に当接する方向)に向かい、挿入部23が誘導溝432によって案内されることなくロック溝452内で相対移動が規制されるようになっている。
【0094】
本構成では、図31〜図33の構成では、スライド部材30は左右方向の移動のみが許容され、前後方向及び上下方向への変位が規制されており、挿入部23の移動方向も前後方向のみとなっている。そして、このような構成を前提として、閉鎖位置のときには挿入部23をロック溝452内に入り込ませるようにしている。このロック溝452は、左右方向への移動のみが許容されると共に、左右方向一方側に凹む形態をなしており、閉鎖位置のときに一部452aが挿入部23の後方に位置するようになっているため、挿入部23がロック溝452に入り込んだ状態で開閉部材20を後方側にスライドさせようとしても、挿入部23の移動方向(図32(A)の矢印F2参照)にあるロック溝452の一部452aが挿入部23の移動を阻害することになり、開閉部材20の開放がより確実に阻止されることになる。特に、部品点数を増加させることなく、立壁の形状のみによりロック機構を搭載することができ、簡易な構成でより確実な不正防止機能を実現できる。
【0095】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0096】
第4実施形態では、第1実施形態を変更してロック溝を設けた構成としたが、第2実施形態の構成或いは第3実施形態の構成を変更して第4実施形態と同様にロック溝を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…遊技機
2…遊技盤
2a…前面(盤面)
10,310…遊技機用可変入賞装置
12…誘導口
14,314…遊技球誘導路
20,320…開閉部材
21…板状部
21a…上面部
23,254,324a…挿入部
30,230,330,430…スライド部材
32,232,332,432…誘導溝
33,233,333,433…固定壁(先端固定部)
34,234,334,434…対向部(延出部)
38…ガイド部
40…ソレノイド(駆動源)
41…コイル部
42…プランジャ
80…筐体
250,324…連結部材(挿入部形成部材)
321…第1開閉部材
322…第2開閉部材
452…ロック溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に固定され、前記遊技盤の盤面と直交する前後方向において少なくとも前記遊技盤の前方側に、前記遊技盤の盤面に沿って流下する遊技球を下方側に進入させつつ取り込む誘導口が形成されてなる筐体と、
前記前後方向に沿ってスライドするように前記筐体に直接又は他部材を介して間接的に支持され、少なくとも自身の一部を前記遊技盤の盤面の前方側に配置して前記誘導口を閉鎖する閉鎖位置と、その閉鎖位置のときよりも後方側に退避して前記誘導口を開放する開放位置との間でスライド動作するように配置された開閉部材と、
駆動力を生じさせる駆動源と、
前記駆動源の駆動力を受けて所定のスライド方向にスライド動作するスライド部材と、
を備え、
前記スライド部材及び前記開閉部材のいずれか一方の部材には、前記スライド部材のスライド方向に対して傾斜した方向に沿った誘導溝が形成され、他方の部材又は他方の部材と連動する部材には、前記誘導溝内に挿入される挿入部が形成されており、
前記駆動源の駆動力を受けて前記スライド部材が前記所定のスライド方向にスライド動作したときに、前記挿入部が前記誘導溝内を相対的に移動するように案内され、その案内時における前記誘導溝の溝壁に対する前記挿入部の押圧作用に応じて、前記開閉部材が前後方向にスライド動作することを特徴とする遊技機用可変入賞装置。
【請求項2】
前記開閉部材は、板状に構成された板状部を備え、その板状部の厚み方向の一方の板面部を上面として構成するとともに、前記挿入部を他方の板面部から突出した形態で形成しており、
前記スライド部材は、前記板状部の他方の板面部と対向配置され、前記誘導溝を有する対向部を備えるとともに、前記所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて前記駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って前記誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっており、
前記誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により前記挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより前記開閉部材がスライド動作することを特徴とする請求項1に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項3】
前記開閉部材に連結される部材として構成されると共に当該開閉部材と共に前後動するように構成され且つ自身の一部に前記挿入部を有する挿入部形成部材が設けられ、
前記スライド部材は、前記挿入部形成部材と対向配置され、前記誘導溝を有する対向部を備えるとともに、前記所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて前記駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って前記誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっており、
前記誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により前記挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより当該挿入部形成部材と連動して前記開閉部材がスライド動作することを特徴とする請求項1に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項4】
前記開閉部材は、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられた第1開閉部材と、前後方向に沿うようにスライド可能に設けられ且つ少なくとも一部が前記第1開閉部材よりも前方位置に移動し得るように構成された第2開閉部材とを有し、前記第1開閉部材に対して前記第2開閉部材が所定の移動範囲で前後方向に沿って相対移動し得るように前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とが互いに連結されており、
前記第2開閉部材又は前記第2開閉部材と連動する部材に前記挿入部が形成されており、
前記スライド部材は、前記第2開閉部材又は前記第2開閉部材と連動する部材と対向配置され、前記誘導溝を有する対向部を備えるとともに、前記所定のスライド方向が前後方向と交差する方向に沿うように配置されて前記駆動源の駆動力を受けてスライド動作し、そのスライド動作に伴って前記誘導溝がそのスライド方向に変位するようになっており、
前記誘導溝のスライド変位に伴い当該誘導溝の溝壁により前記挿入部が前方又は後方に相対移動するように押圧作用を受けることにより当該挿入部と連動して前記第2開閉部材がスライド動作するようになっており、
前記誘導口を閉鎖する際には、前記スライド部材による一方の方向へのスライド動作に伴って前記第2開閉部材が前方に移動し、且つ前記第2開閉部材が少なくとも第1の所定位置よりも前方に移動したときに、当該第2開閉部材と連動して前記第1開閉部材が前方に引き出され、
前記誘導口を開放する際には、前記スライド部材による他方の方向へのスライド動作に伴って前記第2開閉部材が後方に移動し、且つ前記第2開閉部材が少なくとも第2の所定位置よりも後方に移動したときに、当該第2開閉部材によって前記第1開閉部材が後方に引き戻され、前記誘導口の後方側において前記第1開閉部材と前記第2開閉部材が上下に重なるように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項5】
前記第2開閉部材又は前記第2開閉部材と連動する部材の少なくとも一部が、前記遊技盤の盤面の前方において前記誘導口の下方に形成された遊技球誘導路の側方で、前記第2開閉部材の動作に応じて変位するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項6】
前記開閉部材及び前記スライド部材の一方には、前記誘導溝と連続するように前記スライド方向に延びるロック溝が形成され、
前記スライド部材は、前後方向への移動が規制されており、
前記駆動源が非駆動状態とされたときには、前記スライド部材は、前記挿入部が前記ロック溝内に嵌り込むロック位置となり、
前記駆動源が前記非駆動状態から駆動状態に変化して前記スライド部材が前記ロック位置からスライドする際には、前記挿入部が前記ロック溝から前記誘導溝側に移り当該誘導溝内で相対移動するように案内され、この相対移動と連動して前記開閉部材が前記閉鎖位置から前記開放位置に移動するようになっており、
前記挿入部が前記ロック溝内に嵌り込んだ状態で前記開閉部材を前記開放位置に変位させようとする外力が加えられた場合には、その外力に応じて後方側に移動しようとする前記挿入部が前記ロック溝の内壁に押し当てられ、当該ロック溝の内壁が前記挿入部を相対移動させないように受けることによりロックされることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項7】
前記駆動源は、励磁状態及び非励磁状態に切り替え可能なコイル部と、該コイル部か非励磁状態のときに所定量突出した突出状態となり、該コイル部が励磁状態のときに前記突出状態のときよりも突出量が小さい退避状態となるように進退するプランジャと、を備え、
前記スライド部材は、一端側が前記プランジャに固定されると共に前記プランジャの移動方向を前記所定方向とするように当該プランジャと一体的にスライド動作する構成をなし、他端側には、前記筐体に直接又は他部材を介してスライド可能に支持されるガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項8】
前記スライド部材は、前記プランジャの先端部に固定される先端固定部と、前記先端固定部から屈曲して前記プランジャの軸方向に沿って延びる延出部とを備え、前記延出部が上下方向において前記開閉部材と前記駆動源との間の位置でスライド動作することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の遊技機用可変入賞装置を備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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