説明

遊技機用発射ハンドル及びそれを備えた遊技機

【課題】 設計の自由度を拡大することが可能な遊技機用発射ハンドル及びそれを用いた遊技機を提供する。
【解決手段】ハンドル本体に対して操作部材20を回転基準位置側に付勢する捻りバネ40において、コイル部41の端部から延長される延長部の一方がコイル部41の内側に折れ曲がる形で延長されており、その捻りバネ40が操作部材20に形成された所定の回転軸線O1に沿って立ち上がる軸部23に遊嵌されて、その延長部が軸部23の係合部23aに係合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用発射ハンドル及びそれを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ぱちんこ機などの遊技機には、球発射装置が遊技球を遊技領域に向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドル(以下、発射ハンドルともいう)が遊技機の前面側に設けられている。一般的に、このような発射ハンドルとしては、特許文献1に記載のように、枠体前面側に固定されるハンドル本体(ハンドルベース,フェイスカバー)と、そのハンドル本体に対して、所定方向に延びる回転軸線周りで、かつ、回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材(リングホルダ)と、その操作部材を回転基準位置側に付勢する付勢部材(ねじりバネ)などを備えたものが知られている。そして、このような発射ハンドルは、操作部材の回転量を検出する検出手段(打出強さ調整用ボリューム)などが設けられており、遊技者によって操作部材が直接操作された場合に、その検出した回転量に基づく発射強度で球発射装置が作動して遊技球を遊技領域に向けて発射させるものである。
【特許文献1】特開2005−125006号公報
【0003】
ところで、発射ハンドルに用いられる付勢部材は、特許文献1のように、コイル状に巻回された中心部(コイル部)の端部から第1腕部(延長部)及び第2腕部(延長部)が外側に直線上に延びるものが一般的である。そして、その付勢部材は、中心部がリングホルダのセンターボスに遊嵌されて、第1腕部がハンドルベースのバネ固定ボスに固定され、第2腕部がリングホルダのバネ係止部に係止されることにより、リングホルダを一方(回転基準位置側)に付勢(復帰)する。
【0004】
また、リングホルダは、ハンドルベースのカバー取付ボスが挿通される第1及び第2挿通孔を同心円上となるように周辺部に形成している。見方を換えると、第1及び第2挿通孔が、リングホルダにおいてねじりバネの第2腕部が係止されるバネ係止部の外側に位置して形成されている。すなわち、ねじりバネの第2腕部の係止位置によっては、リングホルダが回転したときに第1及び第2挿通孔に挿通されるハンドルベースのカバー取付ボスが第2腕部に干渉してしまうこととなり、第1及び第2挿通孔の形成位置がねじりバネの第2腕部の係止位置によって制約を受けるなど、発射ハンドルの構造設計の自由度を阻害している。
【0005】
そして、このような制約もあり、第1及び第2挿通孔が同心円上となるように形成されているので、第1及び第2挿通孔をカバー取付ボスに挿通させてリングホルダをハンドルベースに組み付ける際に、誤った位置で組み付けてしまう恐れがある。さらには、その誤組を手直しする作業が増えることにより、不具合を出す可能性も高くなる。
【0006】
また、第1及び第2挿通孔が周辺部に形成されているので、それに対応するカバー取付ボスが、ハンドルベースにおいて軸部から拡開された本体部に形成されており、遊技者から視認し難い後側ではあるが、ビスが露出した状態となってしまい、分解されるなど防犯上好ましくない。さらには、組み立てる際に外側からビス締めすることとなるので、意匠面を傷つける恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、設計の自由度を拡大することが可能な遊技機用発射ハンドル及びそれを用いた遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機用発射ハンドルは、
遊技球を遊技領域に向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドルであって、
遊技機の枠体前面側に取り付けられるハンドル本体と、
そのハンドル本体に対して、所定方向に延びる回転軸線周りで、かつ、回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材と、
操作部材を回転基準位置側に付勢する部材であって、コイル部の一端から延長される第1延長部がハンドル本体に係合される一方、該コイル部の他端から延長される第2延長部が操作部材に係合される捻りバネと、
を備え、
操作部材には、回転軸線に沿って立ち上がり、第2延長部を係合する係合部を有する軸部が形成され、
捻りバネは、第2延長部がコイル部の内側に折れ曲がる形で延長されており、コイル部が軸部の外周に遊嵌されるとともに、当該第2延長部がその軸部の係合部に係合されていることを特徴とする。
【0009】
また、このような遊技機用発射ハンドルにおいて、捻りバネは、第2延長部が形成されたコイル部の他端側が軸部の基端側に位置して遊嵌されることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
以上のような構成を有する遊技機用発射ハンドルを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の遊技機用発射ハンドルによれば、コイル部の端部から延長される延長部の一方(第2延長部)がコイル部の内側に折れ曲がる形で延長された捻りバネが用いられており、その捻りバネ(コイル部)が操作部材に形成された所定の回転軸線に沿って立ち上がる軸部に遊嵌されて、その第2延長部が軸部の係合部に係合されている。これによれば、操作部材においてコイル部を遊嵌する軸部に係合部が形成されるので、その軸部以外に、例えばコイル部の外側に延長する延長部を係止する係合部を別途設ける必要がなくなり、設計の自由度を拡大することが可能となる。さらには、コンパクト化や省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、延長部(第2延長部)のコイル部近傍(根元)で操作部材を係合できるので、延長部(第2延長部)を長く延ばす必要がなくなり、操作部材が回転したときにコイル部の歪み(変形)や延長部に掛かる負荷を抑制するとともに、捻りバネの付勢力を分散させることなく操作部材に作用させることができる。
【0013】
上記本発明の遊技機によれば、設計の自由度を拡大することが可能な遊技機を簡単に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る遊技機の一例を示す正面図、図2は本発明の実施形態に係る遊技機用発射ハンドルの一例を示す正面図、背面図、左側面図及び斜視図、図3は図2の遊技機用発射ハンドルの分解斜視図の一部、図4は図3の残り部分の分解斜視図、図5ないし図9は各部材を示す図、図10は図2の遊技機用発射ハンドルの回転基準位置における組み付け状態を説明する正面図、図11は図2のA−A断面拡大図である。
【0015】
図1に示すように、遊技機1(以下、ぱちんこ機1ともいう)には、外枠、内枠、前面枠などからなる枠体1aに遊技盤2が取り付けられている。この遊技盤2の盤面2a(前面)には、円形の遊技領域2bが形成されており、この遊技領域2bは上側領域を除く外周縁に沿って円弧状のガイドレール2cによって区画されている。そして、遊技領域2bの中央には、液晶表示部2dが搭載され、その液晶表示部2dの下方(遊技領域2bの中央下部)に大入賞装置2eが配置されている。また、液晶表示部2dと大入賞装置2eとの間には、始動入賞装置2fが配置されている。
【0016】
また、ぱちんこ機1は、遊技盤2の下方の枠体1aの前面側に遊技球を貯留する上皿3a及び下皿3bを形成している。また、ぱちんこ機1には、上皿3aに貯留された遊技球を図示しない球発射装置が遊技盤2(遊技領域2b)内に発射する際に、遊技者が操作する遊技機用発射ハンドル4(以下、発射ハンドル4ともいう)が配置されている。
【0017】
なお、本明細書において、ぱちんこ機1における上下方向とは遊技盤2の盤面2aに沿う態様で遊技球が流下する方向(鉛直方向)を意味する。また、左右方向とは遊技盤2の盤面2aに沿う態様で上下方向に直交する方向(水平方向)を意味する。また、前後方向とは遊技盤2の盤面2aに直交する方向(水平方向)を意味し、盤面2aの遊技者側が前側であり、盤面2aの奥側が後側である。
【0018】
次に、発射ハンドル4について詳しく説明する。図2ないし図4に示すように、発射ハンドル4は、ぱちんこ機1の枠体1aの前面側(図1参照)に取り付けられるベース部材10と、遊技者に操作される部材であって、そのベース部材10に対して、所定方向(例えば、前後方向)に延びる回転軸線O1周りで、かつ、回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材20と、その操作部材20をベース部材10とで挟み込む形でベース部材10に一体的に取り付けられるカバー部材30と、操作部材20を回転基準位置側に付勢する捻りバネ40(付勢部材)とを備えている。なお、本実施形態において、ベース部材10及びカバー部材30がハンドル本体に相当する。
【0019】
また、発射ハンドル4は、遊技者の接触を検出する発射タッチセンサ50と、球発射装置の作動(遊技球の発射)を停止する発射停止スイッチ60と、操作部材20の回転量を検出する可変抵抗器(回転量検出装置)70と、発光基板80と、それら電子部品における配線を枠体1a側に接続するコネクタ91を備えるコネクタキャップ90と、装飾キャップ100などを備えている。
【0020】
ベース部材10は、図5に示すように、筒状形態(例えば、円筒)をなす胴体部11と、その胴体部11の一端(先端部11a)から該胴体部11の中心線L(本実施例においては、回転軸線O1と同一)に沿って漸次拡開(例えば、皿形状、すり鉢形状、椀形状又は擬似半球形状)してなる拡開部12とを有し、胴体部11の他端(基端部11b)側のボス19により、ぱちんこ機1の枠体1a前面側にコネクタ91を接続するとともに取り付けられる。なお、操作部材20は、この拡開部12に対して、カバー部材30によって挟み込まれる形で回転軸線O1周りで相対的に回転可能に配置される。
【0021】
また、ベース部材10には、カバー部材30を取り付ける複数(例えば、3個)の固定部13a,13b,13c(以下、まとめて固定部13ともいう)が中心線Lに沿って延設されている。そして、固定部13は、胴体部11の中心線L方向からみて、胴体部11の外周部11cの外縁より内側に形成されている。
【0022】
これによれば、カバー部材30を固定するベース部材10の固定部13が、胴体部11外縁内側から形成されているので、言い換えれば、固定部13が拡開部12から形成されていないので、遊技者から視認し難い後側などにおいても、固定部13で締結する締結部材としてのビスS(図11参照)が外側に露出せず、分解などされず、防犯性の向上を図ることができる。したがって、拡開部12には、締結部材を締結するための穴なども形成されないため、美観も損なうことなく、遊技者がハンドルを違和感なく握ることができる。さらには、拡開部12に固定部13が形成されないので、拡開部を利用した設計の自由度が飛躍的に向上し、化粧加工を施すなどの装飾効果を持たせることが可能となる。また、固定部13が胴体部11外縁よりも内側に集約することで、全体的に小型化、省スペース化となる。
【0023】
なお、本実施形態においては、ベース部材10は、光が透過する光透過性を有する合成樹脂材によって形成され、拡開部12の内周面12aにローレットなどの凹凸加工が施されており、発光基板80の発光部82による光を反射、拡散して、演出効果を高めている。また、ベース部材10には、詳しい説明は省略するが、上記の各部材をそれぞれ固定するための配置スペースや、それら部材を固定するための固定部及びビス孔などが形成されている。
【0024】
カバー部材30は、図6に示すように、円形の板状をなすカバー本体31と、そのカバー本体31の外周縁から立ち上がる(垂れ下がる)外周壁部32と、ベース部材10の固定部13に対応する複数(例えば、3個)の取付部33a,33b,33c(以下、まとめて取付部33ともいう)とを備えている。取付部33は、カバー部材30をベース部材10に取り付けた際に、ベース部材10の中心線Lに沿うように延設されている。
【0025】
したがって、図11に示すように、カバー部材30の取付部33とベース部材10の固定部13とが、ベース部材10の胴体部11の中心線L方向からみて、その胴体部11の外周部11cの外縁より内側でビスS(締結部材)によって連結される。具体的には、ベース部材10の固定部13及びカバー部材の取付部33は、相手側に向かって延設されて互いに組み合うように連結され、ビスSがベース部材10の内側に胴体部11の基端部11b(拡開部12とは反対側)側から挿入される形で連結される(換言すれば、ビスSがベース部材10の内側で拡開部12とは反対側から挿入する形で連結している)。
【0026】
これによれば、カバー部材30をベース部材10に取り付ける際には、所定の治具Tを用いて胴体部11の内側を拡開部12とは反対側からビスSによって一体的に固定するので、意匠面でない内側で組み付けることとなり、不良発生を抑制して歩留まり向上を図ることができる。なお、固定部13と取付部33とのどちらか一方を板状に形成し、他方をその板状の相手側まで延設する構成としてもよい。
【0027】
また、カバー部材30には、後述するが、操作部材20の軸部23の先端に対向して、捻りバネ40を保持する保持部34や、発光基板80の発光部82に対応して開口する貫通孔35、並びに装飾キャップ100を支持するキャップ支持部36などを備えている。
【0028】
そして、ハンドル本体(ベース部材10,カバー部材30)には、後述する操作部材20に形成される複数の案内孔24のうち予め定められた案内孔24にそれぞれ挿通され、操作部材20を回転軸線O1周りで相対的に回転可能に支持する複数の案内突部Gを有している。なお、本実施形態においては、案内突部Gは、固定部13a,13b及び取付部33cによって構成されている。
【0029】
次に、操作部材20は、図7に示すように、回転軸線O1に交差(直交)し、円形の板状をなす回転本体部21と、その回転本体部21の外周縁から回転軸線O1に沿って延出される延出部22とを有し、カップ形状に形成されている。また、回転本体部21には、回転軸線O1に沿って立ち上がり、捻りバネ40を配設する軸部23と、操作部材20が回転する所定の回転角度範囲を形成するための複数(例えば、2個)の案内孔24a,24b(以下、まとめて案内孔24ともいう)と、可変抵抗器70の回動軸71を軸支するために内側に弾性部材79aを有する弾性係合部材79を配置する収容部25とが設けられている。また、延出部22の内周面には、回転軸線O1(内方)に向かって突出し、回転基準位置で発射停止スイッチ60を押圧する押圧部26が形成され、外周面には、遊技者が操作する際に例えば指などを引っ掛ける指掛け部27が外方に向かって突出形成されている。
【0030】
捻りバネ40は、図8に示すように、コイル状に線材が巻回されるコイル部41と、そのコイル部41の一端部41aから延長される第1延長部42と、他端部41bから延長される第2延長部43とを備える。また、捻りバネ40は、第1延長部42がハンドル本体に係合(挿通)される一方、第2延長部43が操作部材20に係合されて、操作部材20をハンドル本体に対して回転基準位置側に付勢するものである(図10参照)。具体的には、第1延長部42が案内突部Gであるベース部材10の固定部13aに係合される一方、第2延長部43が操作部材20の軸部23の係合部23aに係合されている。
【0031】
捻りバネ40は、第2延長部43がコイル部41の内側に折れ曲がる形で延長されており、コイル部41が操作部材20の軸部23の外周に遊嵌されるとともに、第2延長部43が軸部23の係合部23aに係合されている。なお、本実施形態においては、第1延長部42は、所定長さ外側に直線的に延長されるとともに、先端部をコイル状に巻回して係合し易い形状に形成されている。
【0032】
これによれば、操作部材20においてコイル部41を遊嵌する軸部23に係合部23aが形成されるので、例えばコイル部41の外側に延長する延長部を係止する係合部を別途設ける必要がなくなり、特に案内孔24の形成位置、大きさなどの設計の自由度を拡大することが可能となる。さらには、コンパクト化や省スペース化を図ることができる。
【0033】
また、第2延長部43のコイル部41近傍(根元)で操作部材20を係合できるので、第2延長部43を長く延ばす必要がなくなり、操作部材20が回転したときにコイル部41の歪み(変形)や第2延長部43に掛かる負荷を抑制するとともに、捻りバネ40の付勢力を分散させることなく作用させることができる。
【0034】
また、コイル部41を軸部23に遊嵌する向きは、特に規定するものではないが、第2延長部43が形成された端部側を軸部23の基端側(回動本体部21側)に位置するように遊嵌される場合には、第2延長部43が軸部23の係合部23aから脱落しないようにコイル部41自身が規制手段となり、確実に第2延長部43を操作部材20に係合することができ、ひいては、組み付けを容易にできる。なお、本実施形態においては、捻りバネ40は、軸部23に対してカバー部材30の保持部34や発光基板80の固定板部材89によって抜け止めされている。
【0035】
ここで、操作部材20は、図10,図11に示すように、案内孔24aにベース部材10の固定部13a,13b(案内突部G)が挿通され、案内孔24bにカバー部材30の取付部33c(案内突部G)が挿通されることにより、それら案内孔24が形成された回転軸線O1周りの所定の角度範囲において回転可能に配置されている。すなわち、操作部材20は、矢印A方向(図中反時計回り)に回転した場合には、固定部13aが案内孔24aに当接し、矢印B方向(図中時計回り)に回転した場合には、固定部13bが案内孔24aに当接して所定の回転角度範囲を規制している。そして、本実施形態においては、捻りバネ40によって操作部材20が矢印A方向に付勢されており、固定部13aが案内孔24aに当接して規制された位置が回転基準位置に相当する(図10参照)。
【0036】
発射タッチセンサ50は、図9に示すように、遊技者が接触する接触リング51と、その接触リング51に電気的に接続され、静電気容量の変化を検出して接触リング51に遊技者が接触したか否かを検出するタッチ本体部52とを含み構成されている。また、発射タッチセンサ50には、操作部材20と接触リング51とを電気的に接続する接触バネ53が設けられている。接触バネ53は、コイル状に線材が巻回されたバネ部53aと、そのバネ部53aから外側に延長される腕部53bとを有し、バネ部53aが弾性係合部材79の外周に配設されるとともに(図11参照)、腕部53bの先端部が、接触リング51のビス孔51aに対応して、図示しないビスなどの締結部材によって、接触リング51及びタッチ本体部52とともにベース部材10に共締め固定される。すなわち、本実施形態においては、操作部材20の表面部にメッキ加工などを施して導電性を持たせることができるので、操作部材20を発射タッチセンサとして機能させることができる。このように、接触リング51と操作部材20との2重構造とすることで、仮に操作部材20のメッキが剥がれてしまった場合にも、確実に遊技者の接触を検出することが可能となる。なお、接触リング51を省略してもよい。
【0037】
図4に戻り、発射停止スイッチ60は、スイッチ本体部62に対して自身の一端部61aを支点として傾動可能にスイッチレバー61が設けられており、そのスイッチレバー61がベース部材10から突出するように配置されている(図2(b)参照)。したがって、発射停止スイッチ60は、操作部材20が回転基準位置の状態でスイッチレバー61が押圧部26によって押圧されるように配置されており、操作部材20が回転操作された場合には、その押圧部26の押圧が開放されて発射停止を解除するとともに、遊技者によってスイッチレバー61の操作(押圧)が可能となる。なお、発射停止スイッチ60は、ベース部材10に位置決めされて収容され、固定板部材69によってベース部材10に固定支持されている。
【0038】
可変抵抗器70は、弾性係合部材79によって操作部材20に軸支される回転軸71と、ベース部材10に固定支持され、回転軸71の回転量を検出する可変本体部72とを含み構成されている。
【0039】
発光基板80は、図3に示すように、環状の円盤形態をなす基板81の前面及び後面の両面に、光を照射する発光部82が複数実装されている。また発光基板80は、基板81に厚み方向に貫通する挿通孔83a,83b,83cが形成され、その挿通孔83a,83b,83cカバー部材30の取付部33が挿通され、カバー部材30の外周壁部32の内側に配置される。
【0040】
装飾キャップ100は、カバー部材30の前面を被うように固定され、その内面100aにローレットなどの凹凸加工が施されており、発光基板80の発光部82による光を反射、拡散して、演出効果を高めている。なお、装飾キャップ100は、カバー部材30と一体的に形成する形で省略してもよい。
【0041】
次に、以上のような構成を有する発射ハンドル4は、操作部材20がハンドル本体(ベース部材10,カバー部材)に組み付けられる際の誤組を防止する誤組防止機構を備えている。以下、誤組防止機構について説明する。誤組防止機構として、ハンドル本体(ベース部材10,カバー部材30)の複数の案内突部G(固定部13,取付部33)のうち少なくとも1つが、操作部材20の回転軸線O1周りにおける所定の回転角度範囲以外の残余の角度範囲において、操作部材20と干渉するように形成されている。これにより、操作部材20がハンドル本体に特定位置でのみ組み付け可能となる。
【0042】
これによれば、操作部材20をハンドル本体に対して誤った位置(残余の角度範囲)での組み付け(誤組)を防止して一義的に組み付けることが可能となり、組み付けが容易となる。ひいては、その誤組による手直しなどの作業も増えることがなくなり、不具合発生の問題も解消する。
【0043】
具体的には、案内突部Gは、図10に示すように、回転軸線O1からの距離をdとするベース部材10の固定部13a,13b(直径R)と、回転軸線O1からの距離をD(D>d)とするカバー部材30の取付部33c(直径r:R>r)によって構成されている。すなわち、複数の案内突部Gうち少なくとも1つは、ハンドル本体における回転軸線O1からの距離が、他の案内突部Gの回転軸線O1からの距離と異なるように位置して形成されている。また、見方を換えれば、複数の案内突部Gうち少なくとも1つは、操作部材20の案内孔24に対応する回転軸線O1における径方向の幅が、他の案内突部Gの幅と異なるように形成されている。
【0044】
これにより、操作部材20をハンドル本体(ベース部材10)に組み付けるときに、仮に、誤って取付部33cを案内孔24aに挿通した場合には、固定部13a,13bが回転本体部21に干渉して案内孔24bに挿通することができず、結果として組み付けることができない。したがって、操作部材20がハンドル本体に特定位置(所定の回転角度範囲)でのみ組み付け可能となる(残余の角度範囲においては組み付け不可となる)。
【0045】
すなわち、操作部材20において捻りバネ40を係合する係合部23aが、回転中心である軸部23に形成されることにより、案内孔24の形成位置や大きさなど設計の自由度が広がり、簡単に誤組防止機構を形成することができる。また、操作部材20がハンドル本体に対して所定回転軸線O1周りで回転するためのガイド手段である案内孔24と案内突部Gとを誤組防止機構として兼用するので、大型化することなくコンパクトに形成することができる。
【0046】
また、回転本体部21における案内孔24の設計の自由度が広がることで、案内孔24bのように開口面積を広げ、前方に配置される発光基板80の発光部82の光を後方側に簡単に誘導することができる。その場合にも、回転本体部21の面積を十分に確保することができ、強度的な問題も心配ない。また、上述のごとく、操作部材20(回転本体部21)の表面部にメッキ等を施すことができ、その場合には、広く形成された回転本体部21に鏡面加工を施して、発光基板80の発光部82からの照射光を反射させる反射面として形成することができる。
【0047】
次に、以上のような構成を有する発射ハンドル4について、ぱちんこ機1上での発射ハンドル4の作動について概略を説明する。遊技者が遊技を開始するために発射ハンドル4を把持して、操作部材20が回転操作されると、上皿3aに貯留された遊技球が図示しない球発射装置に送り出され、その球発射装置により遊技盤2(遊技領域2b)内に遊技球が発射される。このとき、可変抵抗器70が操作部材20の回転基準位置からの回転角度範囲を検出するとともに、発射タッチセンサ50が遊技者による接触を検出した場合に、その可変抵抗器70の検出した値に基づく予め設定された強さで遊技球が遊技盤2内に発射される。
【0048】
このとき、発射ハンドル4には、発光基板80が搭載されているので、遊技球が入賞したとき等の遊技状態に対応させて発光部82の発光態様を変化(例えば、点滅等)させることで、遊技者にとって入賞期待感等を与えることができ、遊技に対する興趣を飛躍的に高められる。
【0049】
次に、本発明に係る発射ハンドルの別の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と異なる部分について主に述べ、重複する部分については同番号を付して説明を省略または簡略化する。図12は図10に対応する別の実施形態に係る遊技機用発射ハンドルの一例を示す説明図である。
【0050】
図12に示すように、別の実施形態に係る発射ハンドル4Aは、ベース部材10において、捻りバネ40の第1延長部42が係合される係合突部14が固定部13とは別に延設されている。そして、操作部材20には、係合突部14が挿通される案内孔24Aが回転本体部21に形成されている。すなわち、捻りバネ40の第1延長部42が案内突部Gであるベース部材10の係合突部14に係合されている。これにより、係合突部14と案内孔24Aとが誤組防止機構を構成することとなり、操作部材20をベース部材10に組み付ける際には、係合突部14を案内孔24Aに挿通させるだけで、確実に特定位置で組み付けることができる。
【0051】
なお、発射停止スイッチ60をベース部材10に固定支持するための固定板部材69や、発光基板80をカバー部材30に固定支持するための固定板部材89に操作部材20に向けて突出する案内突部を形成し、それに対応する案内孔を形成することで、簡単に誤組防止機構を形成することができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、操作部材20において案内孔を、回転本体部21を貫通する貫通孔として説明したが、これに限らず案内突部が挿入可能な溝状に形成してもよい。さらに、ハンドル本体側に捻りバネ40のコイル部41を配設する軸部を形成してもよく、その場合には、ハンドル本体に係合する第1延長部42がコイル部41の内側に折れ曲がる形で延長されて、その軸部の係合部に係合される。
【0053】
本発明では遊技機の一例としてぱちんこ機について説明したが、他に例えばアレンジボール遊技機、雀球遊技機等の発射ハンドルが設けられる遊技機に適用することができ、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、目的、用途に応じて当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機の一例を示す正面図。
【図2】本発明の実施形態に係る遊技機用発射ハンドルの一例を示す正面図、背面図、左側面図及び斜視図。
【図3】図2の遊技機用発射ハンドルの分解斜視図の一部。
【図4】図3の残り部分の分解斜視図。
【図5】ベース部材の正面図、背面図、左側面図及び斜視図。
【図6】カバー部材の正面図、背面図、左側面図及び斜視図。
【図7】操作部材の正面図、背面図、左側面図及び斜視図。
【図8】捻りバネの正面図、背面図及び斜視図。
【図9】発射スイッチ(ユニット)の正面図、背面図、左側面図及び斜視図。
【図10】回転基準位置における組み付け状態を説明する正面図。
【図11】図2のA−A断面拡大図。
【図12】図10に対応する別の実施形態に係る遊技機用発射ハンドルの一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
1…ぱちんこ機(遊技機) 1a…枠体
2…遊技盤 2a…遊技領域
4…発射ハンドル(遊技機用発射ハンドル)
10…ベース部材(ハンドル本体) 11…胴体部
11a…先端部 11b…基端部
11c…外周部 12…拡開部
13,13a,13b,13c…固定部
20…操作部材 21…回転本体部
22…外周壁部 23…軸部
23a…係合部
24,24a,24b,24A…案内孔
30…カバー部材(ハンドル本体)
31…カバー本体 32…外周壁部
33,33a,33b,33c…取付部
34…保持部 35…貫通孔
36…キャップ支持部 40…捻りバネ(付勢部材)
41…コイル部 42…第1延長部
43…第2延長部 50…発射タッチセンサ
51…接触リング 52…タッチ本体部
53…接触バネ 60…発射停止スイッチ
61…スイッチレバー 62…スイッチ本体部
70…可変抵抗器(回転量検出装置) 71…回転軸
72…可変本体部 79…弾性係合部材
80…発光基板 81…基板
82…発光部
83,83a,83b,83c…挿通孔
90…コネクタキャップ 100…装飾キャップ
G…案内突部 L…中心線
O1…回転軸線 S…ビス(締結部材)
T…治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技領域に向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドルであって、
遊技機の枠体前面側に取り付けられるハンドル本体と、
そのハンドル本体に対して、所定方向に延びる回転軸線周りで、かつ、回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材と、
前記操作部材を前記回転基準位置側に付勢する部材であって、コイル部の一端から延長される第1延長部が前記ハンドル本体に係合される一方、該コイル部の他端から延長される第2延長部が前記操作部材に係合される捻りバネと、
を備え、
前記操作部材には、前記回転軸線に沿って立ち上がり、前記第2延長部を係合する係合部を有する軸部が形成され、
前記捻りバネは、前記第2延長部が前記コイル部の内側に折れ曲がる形で延長されており、前記コイル部が前記軸部の外周に遊嵌されるとともに、当該第2延長部がその軸部の係合部に係合されていることを特徴とする遊技機用発射ハンドル。
【請求項2】
前記捻りバネは、前記第2延長部が形成された前記コイル部の他端側が前記軸部の基端側に位置して遊嵌される請求項1に記載の遊技機用発射ハンドル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊技機用発射ハンドルを備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−285258(P2009−285258A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142138(P2008−142138)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(591150270)日本ぱちんこ部品株式会社 (293)
【Fターム(参考)】