説明

遊技機

【課題】プレイヤごとに個別に体感を刺激して、各プレイヤの興趣を向上できる遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技機(1)は、メイン制御装置(80)を備える遊技機本体(20)と、入力操作部(72)、体感発生装置(65)及びサブ制御装置(90)と、を備える複数の端末装置(30)とを備える。端末装置(30)は、シート(31)を備える。サブ制御装置(90)は、体感発生装置(65)を制御する。メイン制御装置(80)は、ゲームプログラムに従って生成される操作キャラクタの位置データと、ゲームエリアの環境データとに基づいて、前記一の端末装置(30)及び前記他の端末装置(30)の体感発生装置(65)を駆動するために、それぞれのサブ制御装置(90)に対して、予め記憶した一つ以上の体感発生制御信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のプレイヤが参加する、多人数参加型の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数のプレイヤが参加する多人数参加型の業務用遊技機、通称マスゲーム機が知られている。
このようなマスゲーム機としては、近年では、例えば、競馬ゲーム機がある。この競馬ゲーム機は、大型のメイン表示部が設けられた遊技機本体と、この遊技機本体に取り付けられサブ表示部が設けられた複数の端末装置と、を備える。
【0003】
これら複数の端末装置は、それぞれプレイヤが着座できるシートを備えており、メイン表示部に向かって並んでいる。この端末装置では、各プレイヤは、シートに着座し、サブ表示部を見ながら各種の操作を行う。
【0004】
この競馬ゲーム機では、メイン表示部及びサブ表示部上に、競争馬とそのオッズとが提示される。各プレイヤは、提示された競争馬の中から任意の競走馬を選択して、メダルを賭ける。その後、メイン表示部上で、これらの競走馬によって競馬が行われ、この結果に応じて、予め設定されたオッズに基づき、各プレイヤにメダルが払い出される。
【0005】
以上のような競馬ゲーム機では、メイン表示部に表示される映像を見ながら、スピーカから出力される音声を聞くことで、競馬場にいるような臨場感を楽しむことができるようになっている。
【0006】
また、マスゲーム機としては、大画面が設けられたシアター内に複数のプレイヤが着座するコックピットを備える統合型ゲームシステムがある(特許文献1参照)。
この統合型ゲームシステムでは、各コックピットに設けられた個人用コンピュータ装置をゲーム用総合コンピュータ装置に接続し、これらが連動してゲームを進行する。そして、シアター内にいるプレイヤに共通して大音響や体感振動を発生させることで、個人所有のゲーム機にない臨場感や緊迫感を提供する。
【0007】
【特許文献1】特開平10−314450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、以上のようなマスゲーム機においては、プレイヤごとに個別に体感を刺激することができず、各プレイヤの興趣を向上することが困難であった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、プレイヤごとに個別に体感を刺激して、各プレイヤの興趣を向上できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような遊技機を提供する。
【0011】
(1) プレイヤからの入力を受け付けるゲームコントローラ(例えば、後述の入力操作部72)と、多人数対戦用ゲームプログラムに基づいて生成されたゲーム画面を外部から受信又は内部で生成して表示するためのモニタ(例えば、後述のサブ表示部61、メイン表示装置22)と、プレイヤが着座するためのシート(例えば、後述のシート31)とを具備する遊技機であって、
前記シートには、前記ゲームコントローラによる入力と対戦プレイヤの入力とに関連して体感を発生する体感発生手段とをさらに備えてなることを特徴とする遊技機。
【0012】
上記の遊技機によれば、プレイヤからの入力を受け付けるゲームコントローラと、多人数対戦用ゲームプログラムに基づいて生成されたゲーム画面を外部から受信又は内部で生成して表示するためのモニタと、プレイヤが着座するためのシートとを具備する遊技機において、このシートには、ゲームコントローラによる入力と対戦プレイヤの入力とに関連して体感を発生する体感発生手段をさらに備えているため、多人数対戦用ゲームプログラムにて基づいたゲーム画面をプレイヤに視認させ、これに伴って、プレイヤのゲームコントローラによる入力と対戦プレイヤの入力とに関連した体感をプレイヤに与えることが可能である。したがって、プレイヤは、体感発生手段による体感により、従来よりも、より現実に近いゲームを体感することが可能である。
【0013】
(2)ゲームプログラムを記憶する記憶手段(例えば、後述のデータベース84)、及び当該記憶手段に記憶された前記ゲームプログラムを実行するメイン制御手段(例えば、後述のメイン制御装置80)を備える遊技機本体(例えば、後述の遊技機本体20)と、入力手段(例えば、後述の入力操作部72)、プレイヤの体感を発生させる体感発生装置(例えば、後述の体感発生装置65)、及び前記遊技機本体と無線又は有線で接続され、前記入力手段の入力に応じたゲーム入力データを前記遊技機本体のメイン制御手段に送信するサブ制御手段(例えば、後述のサブ制御装置90)と、画像データを表示するサブ表示手段(例えば、後述のサブ表示部61)と、を備える複数の端末装置(例えば、後述の端末装置30)と、を備え、前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置から複数のゲーム入力データを受信し、これら複数のゲーム入力データに基づいて、前記複数の端末装置の各々に対応した画像データを生成し、生成した当該画像データを対応する端末装置に送信し、前記サブ制御手段は、受信した前記画像データを前記サブ表示手段に表示する遊技機であって、前記端末装置は、前記入力手段をプレイヤが着座した状態で操作可能なシート(例えば、後述のシート31)を備え、前記サブ制御手段は、前記体感発生装置を制御する体感発生装置制御手段(例えば、後述のCPU91)を備え、前記ゲーム入力データは、前記ゲームプログラムに従って生成される単一のゲームエリアを移動可能な操作キャラクタの位置データを含み、
前記メイン制御手段は、前記操作キャラクタの位置データと、前記ゲームエリアにおいて予め複数のゲームエリアごとに設定された環境データ(例えば、図12の状況が海、森)とに基づいて、前記一の端末装置及び前記他の端末装置の体感発生装置を駆動するために、それぞれのサブ制御手段に対して、予め複数の前記ゲームエリアごとに設定された環境データに応じて記憶した一つ以上の体感発生制御信号を送信することを特徴とする遊技機。
【0014】
上記の遊技機によれば、遊技機の遊技機本体は、操作キャラクタの位置データと、ゲームプログラムに従って生成されるゲームエリアの環境データとに基づいて端末装置の体感発生装置を駆動するため、端末装置を使用するプレイヤに対して、ゲームエリアに適した体感を与えることが可能である。例えば、海や森等の環境データであれば、体感発生装置が海や木の匂いを発生したり、霧の環境データであれば、霧を発生させたり、空の環境データであれば、霧の出力を強くして空を飛んでいるかのような演出をしたりすることにより、プレイヤに体感を与えることが可能である。
【0015】
(3)前記端末装置の体感発生装置は、互いに匂いの異なる複数種類の香料を収納する複数の収納容器と、当該複数の収納容器に収納される香料を選択的に噴霧する噴霧手段と、前記ゲームエリアごとに設定された環境データと、この環境データに対応した体感を与えるための体感発生制御信号とを関係づけたテーブルデータ(例えば、図12の体感発生制御信号選択テーブル87)を記憶する記憶手段と、を備え、前記体感発生制御信号に基づいて、前記収納容器の中から少なくとも1つを選択し、この選択した収納容器に収納された香料を前記噴霧手段で噴霧する体感発生装置駆動手段を備える(2)に記載の遊技機。
【0016】
(3)に記載の発明によれば、互いに匂いの異なる複数種類の香料を収納する複数の収納容器と、これら複数の収納容器に収納される香料を選択的に噴霧する噴霧手段と、を体感発生装置に設け、収納容器の中から少なくとも1つを選択し、この選択した収納容器に収納された香料を噴霧手段で噴霧した。よって、プレイヤの嗅覚を刺激して、ゲーム空間における様々な情報をプレイヤに伝達でき、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、ゲーム空間における海や森、食堂の料理の匂い等、現実世界では匂いが発生するゲーム空間上の領域(ゲームエリア)を、より現実的に表現できる。またゲームエリアにおける匂いだけでなく、ゲーム空間に登場するキャラクタの体臭や香水の匂い、モンスターの匂い等も発生させることにより、より現実に近いゲームの世界を表現することができる。
【0017】
(4) 前記端末装置が、所定の領域を移動可能な走行手段(例えば、後述の走行部32)を備え、前記メイン制御手段は、複数の前記端末装置が前記走行手段により所定の位置関係になるように移動制御信号を前記端末装置に送信するとともに、複数の前記端末装置に対して、スポットライト(例えば、後述のスポットライト25)を点灯すべくスポットライト点灯制御信号を出力する、(2)又は(3)に記載の遊技機。
【0018】
上記の遊技機によれば、遊技機の遊技機本体は、端末装置に対して、移動制御信号を送信し、複数の端末装置が所定の位置関係(例えば、対峙したこと)になるように移動制御信号を前記端末装置に送信するとともに、複数の前記端末装置に対して、スポットライト(例えば、後述のスポットライト25)を点灯すべくスポットライト点灯制御信号を出力する。したがって、例えば、所定の位置関係(例えば、対峙)に位置され、スポットライトにより点灯された端末装置を、フィールド上で注目させることが可能であり、スポットライトが点灯されていない端末装置を操作するプレイヤが、自身のゲームを進行中でも、他のプレイヤが対峙していることに気付かせることが可能である。
【0019】
(5)前記端末装置の体感発生装置は、霧状のスモークを発生させるスモーク発生装置(例えば、後述の噴霧装置68)を備え、前記端末装置が前記体感発生制御信号を受信したことに応じて、前記スモーク発生装置を駆動する体感発生装置駆動手段を備えた、(2)から(4)のいずれかに記載の遊技機。
【0020】
上記の遊技機によれば、遊技機の端末装置が、体感発生制御信号を受信したことに応じて、体感発生装置駆動手段が、スモーク発生装置を駆動する。したがって、例えば、スモーク発生装置が駆動することで、これらの端末装置を、フィールド上で注目させることが可能であり、スポットライトが点灯されていない端末装置を操作するプレイヤが、自身のゲームを進行中でも、スモークの発生により、他のプレイヤを意識させることが可能である。さらに、スモーク発生装置を稼動した端末装置のプレイヤの興趣を向上し、例えば、プレイヤの目線からシート本体の下部をスモークで隠蔽して、空中に浮かんでいるような演出も可能である。
【0021】
(6)前記スモーク発生装置は、水を収納する水収納容器と、前記水収納容器に収納された水を前記シートの下部から噴霧するスモーク噴霧手段と、を備え、
前記体感発生装置駆動手段は、前記体感発生制御信号に基づいて、前記スモーク噴霧手段を駆動する、(5)に記載の遊技機。
【0022】
(6)に記載の発明によれば、水を収納する収納容器と、収納容器に収納される水をシートの下部から噴霧する噴霧手段とをスモーク噴霧手段として、体感発生装置に設けた。よって、ゲーム空間における煙や霧などをリアルに表現して、ゲーム空間における様々な情報をプレイヤに伝達でき、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、プレイヤの目線からシート本体の下部を霧で隠蔽して、空中に浮かんでいるような演出が可能である。
【0023】
(7)ゲームプログラムを記憶する記憶手段(例えば、後述のデータベース84)、及び当該記憶手段に記憶された前記ゲームプログラムを実行するメイン制御手段(例えば、後述のメイン制御装置80)を備える遊技機本体(例えば、後述の遊技機本体20)と、
入力手段(例えば、後述の入力操作部72)、プレイヤの体感を発生させる体感発生装置(例えば、後述の体感発生装置65)、及び前記遊技機本体と無線又は有線で接続され、前記入力手段の入力に応じたゲーム入力データを前記遊技機本体のメイン制御手段に送信するサブ制御手段(例えば、後述のサブ制御装置90)と、を備える複数の端末装置(例えば、後述の端末装置30)と、
前記メイン制御手段から出力された画像データに基づいて画像を表示する表示手段(例えば、後述のメイン表示装置22及びサブ表示部61)と、を備え、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置から複数のゲーム入力データを受信し、これら複数のゲーム入力データに基づいて、前記ゲームプログラムに従って単一のゲームデータを生成し、当該単一のゲームデータに基づいて前記端末装置の全てに共通する画像データを生成して前記表示手段に出力する遊技機であって、
前記端末装置は、前記入力手段をプレイヤが着座した状態で操作可能なシート(例えば、後述のシート31)を備え、
前記サブ制御手段は、前記体感発生装置を制御する体感発生装置制御手段(例えば、後述のCPU91)を備え、
前記メイン制御手段で生成される単一のゲームデータは、前記ゲームプログラムに従って生成される単一のゲームエリア内を、前記複数の端末装置の前記入力手段によって入力されるそれぞれのゲーム入力データに応じて移動可能な複数の操作キャラクタの位置データを含んでおり、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置のうちの一の端末装置により移動操作される一の操作キャラクタの位置データと、前記複数の端末装置のうちの他の端末装置により移動操作される他の操作キャラクタとの位置データとが、予め定められた条件を満たした場合、前記一の端末装置及び前記他の端末装置の体感発生装置を駆動するために、それぞれのサブ制御手段に対して、予め記憶した一つ以上の体感発生制御信号を送信することを特徴とする遊技機。
【0024】
ここで、表示手段は、各端末装置に個別に設けられてもよいし、各端末装置に共通に設けてもよい。
予め定められた条件とは、例えば、複数の操作キャラクタの位置データの差分値が予め定められた閾値データ内になることである。これは、単一のゲームエリア内において、複数の操作キャラクタが接近或いは衝突したことを意味する。この条件を満たすと、例えば、互いの攻撃可能な範囲内に位置することになり、プレイヤ同士の対戦(対戦モード)が開始される。
【0025】
(7)に記載の発明によれば、単一のゲームエリアにおいて、プレイヤの操作する操作キャラクタと他のプレイヤの操作する操作キャラクタとの位置データが予め定められた条件を満たすと、つまり、操作キャラクタの位置関係が所定の条件を満たすと、これらのプレイヤの端末装置の体感発生装置を駆動させる。
したがって、操作キャラクタが所定の位置関係にあるプレイヤについてのみ体感を刺激するから、プレイヤごとに個別に体感を刺激でき、各プレイヤの興趣を向上できる場合がある。
【0026】
(8) (2)から(7)のいずれかに記載の遊技機において、
前記遊技機本体は、前記複数の端末装置が配置されるプレイエリア(例えば、後述のプレイエリア21)を備え、
前記端末装置は、前記シートの下部に設けられ当該端末装置を前記プレイエリア上で移動させる移動手段(例えば、後述の走行部32)を備え、
前記サブ制御手段は、外部からの移動制御信号に応じて移動手段を駆動して、前記端末装置を所定の位置へ移動する移動制御手段(例えば、後述のCPU91)を備え、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置のうちの特定のものの操作キャラクタの位置データが予め定められた条件を満たした場合に、前記特定の端末装置に対して前記移動制御信号を送信する移動制御信号送信手段を備えることを特徴とする遊技機。
【0027】
(8)に記載の発明によれば、端末装置に移動手段を設けて、この移動手段をメイン制御手段からの移動制御信号に応じて駆動して、端末装置を所定の位置へ移動する構成としたので、各プレイヤは端末装置のポジションを変更して遊技できる。
また、ゲームエリア内における複数の操作キャラクタの位置関係を、複数の端末装置の位置関係に反映させることにより、ゲームエリアにおける操作キャラクタ同士の位置関係をプレイエリア上でよりリアルに表現できるから、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、複数のプレイヤ同士が対戦する場合に、これら対戦するプレイヤの端末装置を互いに接近させることで、互いに敵同士であることをプレイヤに認識させて、対戦するプレイヤの緊張感を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、端末装置を操作するプレイヤごとに、遊技状況に応じた体感を刺激する遊技機を提供することにより、プレイヤの興趣を向上できる場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、実施例の遊技機について説明する。
【実施例1】
【0030】
<遊技機の全体構成>
図1は、本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図である。
遊技機1は、マスゲーム機であり、平面矩形状のプレイエリア21を含む遊技機本体20と、このプレイエリア21上に配置された複数の端末装置30と、を備える。
【0031】
遊技機本体20は、プレイエリア21のほかに、このプレイエリア21の一辺に沿って配置されたメイン表示装置22と、プレイエリア21の四隅に配置されたスピーカ装置23と、これらメイン表示装置22及びスピーカ装置23を制御するメイン制御装置80と、を備える。
【0032】
プレイエリア21は、複数のサブエリア212に分割されていてもよい。これらサブエリア212としては、都市エリア212A、海エリア212B、森エリア212Cがある。また、プレイエリア21には、グリッド状にICタグ211が埋設されている。このICタグ211には、プレイエリア21内の位置情報が記憶されている。
【0033】
メイン表示装置22は、メイン制御装置80から出力された画像データに基づいて画像を表示する大型のプロジェクタ表示装置である。なお、メイン表示装置22は、これに限らず、大型のモニタでもよい。
メイン制御装置80は、各端末装置30と無線LANで双方向に通信可能であり、所定のゲームプログラムを実行し、各端末装置30と双方向通信することで、各プレイヤに共通の仮想空間を提供する。
【0034】
各端末装置30は、メイン表示装置22を向いた状態で配置されている。この端末装置30は、メイン制御装置80に無線LANで接続されており、メイン制御装置80の指令に従って、或いは、プレイヤの操作によりプレイエリア21上を移動可能である。
【0035】
図2は、各端末装置30の外観を示す斜視図である。
端末装置30は、シート31と、このシート31の下部に設けられシート31をプレイエリア21上で移動させる走行部32と、を備える。
【0036】
図3は、走行部32の一部の拡大斜視図である。
走行部32は、4つの走行タイヤ321と、これら走行タイヤ321を回転駆動する駆動制御装置322と、この走行タイヤ321の向きを制御する方向制御装置323と、これら駆動制御装置322及び方向制御装置323に電力を供給する図示しない充電式のバッテリと、を備える。
走行部32は、駆動制御装置322及び方向制御装置323により、シート31をプレイエリア21上の任意の位置まで移動させることができるようになっている。
なお、上述した充電式のバッテリは、外部電源に接続することで充電してもよいし、これに限らず、プレイエリア21に磁界発生装置を内蔵しておき、この磁界発生装置で磁界を発生させることで、磁界による自己誘導起電力によって充電してもよい。
【0037】
また、走行部32の駆動制御装置322の下には、プレイエリア21に埋設されたICタグ211を検知するICタグ検知部324が設けられている。
【0038】
<シートの構成>
図4は、シート31のシートモードにおける斜視図である。図5は、シート31のベッドモードにおける斜視図である。
シート31は、シート本体50と、このシート本体50の一方の側面に沿って設けられたサイドユニット60と、このシート本体50の他方の側面側を除く3方を囲むシートシェル70と、を備える。
このシート31は、図4に示すシートモードと図5に示すベッドモードとの間で、モードを多段階で調節できるようになっている。
【0039】
シート本体50は、平板状のベース部51と、このベース部51上に設けられた着座部52、この着座部52に対して角度を変更可能に取り付けられたバックレスト(背もたれ)53と、このバックレスト53の頂部に設けられたヘッドレスト54と、着座部52のシート面上でかつバックレスト53の両側の位置に設けられた一対のサイドアーム55と、を備える。
【0040】
ベース部51の四隅でかつ走行部32の走行タイヤ321の近傍には、後述する体感発生装置65を構成するスモーク噴霧口33が設けられている。このスモーク噴霧口33からスモークが噴出されて、走行部32がプレイヤから視認できないようになる。
【0041】
着座部52は、プレイヤが入力操作部72を操作することで、ベース部51上を進退するようになっている。シート本体50は、この着座部52を前方にスライドすることで、図4に示すシートモードから図5に示すベッドモードとなり、ベッドを形成する。
着座部52は、前面側に設けられたレッグレスト521と、このレッグレスト521の先端に収納されたフットレスト522と、を備える。レッグレスト521は、着座部52が前方にスライドすると、このスライドに伴って上方に回動して、着座部52のシート面に連続したシート面となる。同時に、フットレスト522は、レッグレスト521から突出して、レッグレスト521に連続したシート面となる。
【0042】
バックレスト53は、着座部52のベース部51上の進退に伴って、後方に倒れるようになっている。
サイドアーム55は、シート本体50をベッドモードにすると、前面側がわずかに上方に回動するようになっている。
【0043】
着座部52のシート面、バックレスト53の下部(プレイヤの腰部に当接する)、及びヘッドレスト54には、空気を注入可能な袋体がそれぞれ内蔵されており、これら袋体にエアポンプで空気を注入すると、表面が隆起して、ユーザの体表面の凹凸に対応しつつ支持できるようになっている。
【0044】
サイドユニット60には、液晶表示パネルを含んで構成されたサブ表示部61が収納されている。
【0045】
サブ表示部61は、図2に示すように、サイドユニット60に支持された第1支持アーム611と、この第1支持アーム611の先端に取り付けられた第2支持アーム612と、この第2支持アーム612の先端に取り付けられた液晶表示を行う矩形平板状のサブモニタ613と、を備える。
第1支持アーム611は、サイドユニット60に対して鉛直方向に伸縮自在である。第2支持アーム612は、伸縮自在であり、かつ、第1支持アーム611の軸方向に対して任意の角度で固定できるようになっている。サブモニタ613は、第2支持アーム612の軸方向に対して任意の角度で固定できるようになっている。
【0046】
サブモニタ613には、小型のCCDカメラ614が内蔵されている。このCCDカメラ614は、ゲーム空間におけるアバタを作成する際に用いられる。
なお、入力操作部72(後述)を操作することにより、端末装置30のサブ表示部61には、CCDカメラ614で撮影した映像が常時表示される。これにより、ゲーム中にプレイヤ自身の表情を見ることができるので、面白みが増す。この場合、撮影した映像をサブモニタ613の画面全面に表示してもよいし、画面の一部に表示してもよい。
【0047】
サイドユニット60には、鉛直方向に延びるサブモニタ収納空間62が設けられており、このサブモニタ収納空間62には、上述の第1支持アーム611、第2支持アーム612、及びサブモニタ613は、収納されている。
【0048】
プレイヤがサブモニタ613を収納空間62から引き出す手順を、図6〜図8を参照しながら説明する。
まず、プレイヤは、シート本体50に着座した状態で、図6に示すように、サブモニタ収納空間62からサブモニタ613を上方にスライドさせて、第1支持アーム611及び第2支持アーム612を伸張させる。その後、図7に示すように、サブモニタ613をひねることで、サブモニタ613の表示画面をプレイヤ側に向ける。続いて、図8に示すように、第1支持アーム611と第2支持アーム612との相対角度や、第2支持アーム612とサブモニタ613との相対角度を調整したりすることで、プレイヤの目線上にサブモニタ613を位置させる。
【0049】
サイドユニット60の内部には、メイン制御装置80に無線LANで接続されたサブ制御装置90と、このサブ制御装置90を構成する複数の基板収納スロット97と、が設けられている。
サブ制御装置90は、メイン制御装置80からの指令に基づいて、サブ表示部61及び走行部32を制御するとともに、入力操作部72(後述)で入力された信号をメイン制御装置80に送信する。
基板収納スロット97の上部には、蓋部971が開閉自在に設けられている。図2に示すように、蓋部971を開いて、端末制御基板972を上から差し込むことで、基板収納スロット97に端末制御基板972を装着できるようになっている。
【0050】
シートシェル70の後方側は上方に延びており、バックレスト53及びヘッドレスト54を支持できるようになっている。また、シートシェル70のうちヘッドレスト54の両側には、スピーカ75、及び後述する体感発生装置65を構成する香料噴霧口76が設けられている。この香料噴霧口76は、特定のプレイヤにのみ香りを感じさせるように、ヘッドレスト54の近傍に設けられている。
シートシェル70の側面後方側は、上方に延びており、シート本体50に着座したプレイヤが他のプレイヤから視認できないようになっている。
【0051】
シートシェル70の上端でシート本体50の一方の側面から前面にかけて、テーブル71が取り付けられている。このテーブル71の下方の空間は、シート本体50をベッドモードにしたときに、レッグレスト521及びフットレスト522が受け入れられる。
【0052】
テーブル71上でサイドアーム55近傍、つまりシート本体50にプレイヤが着座した状態で操作可能な位置には、キーボードやジョグダイヤル等からなる入力操作部72が設けられる。この入力操作部72には、クレジットカードや会員カードを挿入するためのカードスロット721が設けられている。
なお、本実施例では、入力操作部72をテーブル71上に設けたが、これに限らず、サブモニタ613上にタッチパネルとして設けてもよい。
【0053】
テーブル71の下方かつサイドアーム55の前方には、サイドユニット60の内部に設けられたメダル貯留部73からメダルが払出されるメダル払出口731と、払出されたメダルを受けるメダル受け部732が設けられている。メダル受け部732には、メダル収容器733を装着するための図示しないホルダが設けられている。
【0054】
図9は、体感発生装置65の構成を示すブロック図である。
体感発生装置65は、互いに匂いの異なる複数種類の香料を収納する複数の収納容器66A、66Bと、水を収納する収納容器67と、収納容器66A、66Bに収納される香料、或いは、収納容器67に収納された水を(霧として)ヘッドレスト54から選択的に噴霧する、又は、収納容器67に収納された水をシート31の下部からスモークとして噴霧する噴霧装置68と、を備える。
【0055】
ここで、スモークとは、スモーク発生装置(例えば、噴霧装置68)が、収納容器67に収納された水をシート31の下部から噴霧した水と気体である。
収納容器66としては、例えば、海の香りの香料が収納された収納容器66Aと、森の香りの香料が収納された収納容器66Bと、がある。
【0056】
噴霧装置68は、圧縮空気が収容された圧縮空気タンク681と、この圧縮空気タンク681に圧縮空気を供給するコンプレッサ682と、コンプレッサ682から香料噴霧口76まで延びる流路683と、コンプレッサ682からスモーク噴霧口33まで延びる流路684と、収納容器66Aと流路683とを接続する流路685と、収納容器66Bと流路683とを接続する流路686と、収納容器67と流路684とを接続する流路687と、を備える。
【0057】
流路683には、電磁開閉弁691が設けられ、流路684には、電磁開閉弁692が設けられ、流路685には、電磁開閉弁693が設けられ、流路686には、電磁開閉弁694が設けられ、流路687には、電磁開閉弁695が設けられる。
以上のコンプレッサ682及び電磁開閉弁691〜695は、サブ制御装置90で制御される。
【0058】
図10は、遊技機1の全体構成を示すブロック図である。
この遊技機1において、遊技機本体20のメイン制御装置80は、無線通信部83を有しており、端末装置30のサブ制御装置90は、無線通信部93を有している。これら無線通信部83,93は、無線LANで互いに接続可能であり、これにより、メイン制御装置80とサブ制御装置90との間で、音声データや文字データの授受を行うことができる。
【0059】
<メイン制御装置の構成>
図11は、メイン制御装置80の構成を示すブロック図である。
メイン制御装置80は、データバスBUSに接続された、CPU81、メモリ82、無線通信部83、及びデータベース84を有する。
【0060】
無線通信部83は、サブ制御装置90との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)85と、送受信回路部85において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換すると共に送信しようとするベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部86と、を備える。
【0061】
データベース84は、ゲームプログラムを格納した記憶部を含む回路基板、又は、ゲームプログラムや体感発生制御信号選択テーブル87を記憶した記憶媒体(例えば、ハードディスクやROMカセット)である。
【0062】
なお、メイン制御装置80には、これらの回路基板や記憶媒体を着脱可能なスロットが設けられている。このスロットにこれら回路基板や記憶媒体を着脱することで、データベース84に格納されたゲームプログラムを適宜入れ替えて、他のゲームプログラムを実行することができる。なお、このようにハードウェアを介してゲームプログラムを入れ替える場合に限らず、通信回線を介してダウンロードすることにより、直接ソフトウェアを入れ替えてもよい。
【0063】
CPU81は、以下の手順により、無線通信部83を介して、各端末装置30のサブ制御装置90との間でデータの送受信を行う。
具体的には、CPU91は、端末装置30のサブ制御装置90にデータを送信する際、このデータをパケットデータに変換する。このとき、送信先である特定の端末装置30のIPアドレスを、パケットデータに付加する。
また、CPU91は、端末装置30のサブ制御装置90からデータを受信すると、パケットデータに付加されたIPアドレスに基づいて、データの送信元の端末装置30を特定する。
【0064】
以上のCPU81は、ゲームプログラムを実行し、これにより種々の処理を行う。すなわち、CPU81は、データベース84に格納されているゲームプログラムをメモリ82に読み出して、このゲームプログラムに従い、ゲームを進行させる。
【0065】
具体的には、CPU81は、複数の端末装置30のそれぞれから後述のゲーム入力データを含むデータを受信し、これらのデータに基づいて、ゲームプログラムに従って単一のゲームデータを生成する。そして、CPU81は、生成した単一のゲームデータに基づいて、端末装置30の全てに共通する画像データを生成してメイン制御装置80に出力する。
ここで、単一のゲームデータは、ゲームプログラムに従って生成される単一のゲームエリア(例えば、海、森、空)内を、複数の端末装置30それぞれのゲーム入力データに応じて動作可能な複数の操作キャラクタのデータ、及びこれら複数の操作キャラクタの位置データを含んでいる。
【0066】
CPU81は、複数の端末装置30から複数のゲーム入力データを受信した場合、IPアドレスに基づいて、ゲーム入力データを送信した端末装置30を特定し、この特定した端末装置30の操作キャラクタを当該ゲーム入力データに基づいて動作させる。
更に、CPU81は、複数の端末装置30のうちの特定のものの操作キャラクタの位置データが予め定められた条件を満たした場合に、特定の端末装置30に対して、当該端末装置30の位置を指定する移動制御信号を送信する。
【0067】
また、CPU81は、複数の端末装置30のうちの一の端末装置30により移動操作される一の操作キャラクタの位置データと、複数の端末装置30のうちの他の端末装置30により移動操作される他の操作キャラクタとの位置データとが、予め定められた条件を満たした場合、一の端末装置30及び他の端末装置30のサブ制御装置90に対して、体感発生制御信号選択テーブル87から一つ以上を選択して、体感発生制御信号として送信する。
【0068】
具体的には、例えば、一の端末装置30により移動操作される一の操作キャラクタの位置データと、他の端末装置30により移動操作される他の操作キャラクタとの位置データと差分値が、予め定められた閾値データ内になった場合、単一のゲームエリア内において、複数の操作キャラクタが接近或いは衝突した(対戦モードに移行した)と判断する。CPU81が、所定の端末装置30が、対戦モードへ移行したことを判断するには、一の端末装置30と、対戦する他の端末装置30との位置データにより決定される。この場合、図22のフローチャートにて後述するように、メイン制御装置80が、一の端末装置30と他の端末装置30に対して、移動制御信号を送信する。そして、メイン制御装置80が、体感発生制御信号選択テーブル87から「対峙」の場合の体感発生制御信号である「スモーク」を選択して、一の端末装置30及び他の端末装置30のサブ制御装置90に対して、体感発生制御信号を送信する。ここで、対峙とは、2台以上の端末装置30が、互いに向かい合う配置のことである。
【0069】
なお、ゲーム中、CPU81は、端末装置30からの要求に応じて、データベース84からゲームプログラムや、その時のゲームにおける時間軸に対応したゲーム状況を表す情報(すなわち、ゲームにおいて発生している事件等を表す情報)等を取り出し、無線LANを介して、これを要求元である端末装置30に送信する。また、CPU81は、プレイヤの操作結果を表す情報を、各端末装置30から受信し、メモリ82に格納する。
CPU81は、当該メモリ82に格納されたプレイヤの操作結果を表す情報に基づいて、ゲームを進行させ、このゲームプログラムの進行結果を、データベース84に格納する。
【0070】
ここで、プレイヤの操作結果を表す情報は、例えばゲームプログラムの進行に応じて端末装置30を介してプレイヤに示された選択肢からのプレイヤによる選択結果や、ゲームに現れるキャラクタをプレイヤが操作した結果であり、プレイヤが各自の端末装置30を操作した結果、端末装置30から送信される情報である。なお、他のプレイヤは、このデータベース84に格納された現在のゲームの進行状況(例えばハイスコア情報等)を確認することが可能となっている。
【0071】
<体感発生制御信号選択テーブル>
体感発生制御信号選択テーブル87の一例を図12に示した。メイン制御装置80は、端末装置30の状況を受信して、この状況に応じた体感発生制御信号を端末装置30に送信する。体感発生制御信号を受信した端末装置30は、受信した体感発生制御信号に応じた体感をプレイヤに与える。
【0072】
メイン制御装置80が実行するゲームプログラムにおいて、プレイヤのアバタ(キャラクタ)がプレイヤにより操作される。そして、このアバタが擬似的なゲーム空間であるゲームエリア内を移動する。この際に、ゲームエリアとして演出される環境(海、森、霧、空等)を環境データ(ゲームプログラムの進行上、バーチャルに演出される環境に関するデータ)として、ゲーム空間の一部を構成する。例えば、ゲームにおける展開に応じて、メイン表示装置22又はサブ表示部61に、海、森、霧、空の映像、画像が表示される。このような環境データの画像がメイン表示装置22又はサブ表示部61に表示されたことに応じて、メイン制御装置80が、アバタの操作に応じて、対応した端末装置30に対応した体感発生制御信号を送信する。また、後述するように、環境データは、モンスターの登場により異なる環境となった状況を含んでいてよい。
【0073】
体感発生制御信号選択テーブル87は、ゲーム空間にて展開される状況と、これに対応して端末装置30に送信する体感発生制御信号を対応づけたテーブルである。
【0074】
これに加えて、例えば、ゲーム空間にて演出される、匂いが発生する状況(例えば、アバタが食堂に移動した状況や、アバタが体臭や香水の匂いのするモンスターやキャラクタに遭遇した状況)に応じて、メイン制御装置80が、対応した体感発生制御信号を端末装置30に送信してもよい。すなわち、図12に示すように、モンスターAの出現に応じて、メイン制御装置80が、モンスターAの体臭に関する体感発生制御信号を端末装置30に送信してもよい。
【0075】
さらに、例えば、ゲーム進行上、複数の端末装置30が互いに対戦する状況(対戦モード)となった場合に、メイン制御装置80が、移動制御信号をこれらの複数の端末装置30に送信する。この移動制御信号を受信した端末装置30が、互いに対峙するように移動する。対峙する端末装置30は、1台が互いに向かい合って配置(計2台)された状態であってもよいし、1台以上の端末装置30が互いに向かい合って配置(計2台以上)された状態であってよい。
【0076】
このように、複数の端末装置30が対峙した場合は、メイン制御装置80は、端末装置30が対峙したことを判断して、体感発生制御信号選択テーブル87を参照して、スモークに関する体感発生制御信号を端末装置30に送信する。各々の体感発生制御信号を受信した端末装置30は、後述するように、噴霧装置68により香料、霧又はスモークの噴霧を行う。
【0077】
図13は、体感発生制御信号を選択するための体感発生制御信号選択テーブル88である。体感発生制御信号選択テーブル88は、図12とは香料の選択において異なる対応づけがされたテーブルである。このテーブルに基づけば、端末装置30が、プレイエリア21内の所定のエリアに移動した場合に、これに対応した体感発生制御信号を、メイン制御装置80が選択する。例えば、端末装置30が、海エリア212Bに移動したことに応じて、メイン制御装置80が海の香りの体感発生制御信号を選択する。
【0078】
<体感発生制御信号送信処理>
メイン制御装置80が実行する、体感発生制御信号送信処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。
【0079】
メイン制御装置80は、環境データが変化したかを判断する(ST41)。すなわち、メイン制御装置80は、ゲームの進行上、環境データが変化したかを判断する。そして、メイン制御装置80は、環境データが変化したと判断した場合には、さらに、各端末装置30に対応した、ゲーム空間上でのアバタの位置が所定の位置かを判断する(ST42)。ここで、アバタの位置を示す位置データが、所定の値であった場合には、体感発生制御信号選択テーブル87に基づいて、この環境(位置)に対応した香料または霧に関する体感発生制御信号を選択する(ST43)。
【0080】
例えば、ゲームの進行上、環境データが海を演出する海のデータとなった場合には、メイン制御装置80は、アバタの位置データが、海に近いかを判断して、海の匂い(潮の匂いなど)に関する体感発生制御信号を選択する。また、メイン制御装置80は、環境データが空を演出する空のデータとなった場合には、アバタの位置データが、雲に近いことを判断して、霧に関する体感発生制御信号を選択する。メイン制御装置80が、霧に関する体感発生制御信号を選択した際には、噴霧する霧の出力を適宜、調整してもよい。
【0081】
ここで、モンスターが登場したときに、環境データが変化したとメイン制御装置80が判断してもよい。すなわち、匂いを発生するモンスターが登場したことで環境が変化する。このように、環境データは、モンスターの登場により異なる環境となった状況を含んでいてよい。この場合には、モンスターの登場により環境データが変化し、アバタの位置がモンスターに近いかを判断して、モンスターの匂いに関する体感発生制御信号を選択する。
【0082】
メイン制御装置80が、アバタの位置が所定の位置ではないと判断した場合(ST43)には、処理を終了する。
【0083】
メイン制御装置80は、環境データは変化していない(ST41)が、2台以上の端末装置30が対戦モードとなった場合(ST44)には、この対戦モードとなった2台以上の端末装置30に移動制御信号を送信する(ST45)。次に、メイン制御装置80は、スモークに関する体感発生制御信号を選択する(ST46)。
【0084】
メイン制御装置80は、環境データは変化していない(ST41)が、2台以上の端末装置30が対戦モードでないと判断した場合には、処理を終了する。
【0085】
メイン制御装置80は、体感発生制御信号が選択された場合には、選択された体感発生制御信号を端末装置30に送信する(ST47)。
【0086】
<サブ制御装置の構成>
図14は、サブ制御装置90の構成を示すブロック図である。
サブ制御装置90は、データバスBUSに接続された、CPU91、メモリ92、及び無線通信部93、スピーカ75とのインターフェイスである入出力部94、を有する。
【0087】
無線通信部93は、メイン制御装置80との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)95と、送受信回路部95において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換すると共に送信しようとするベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部96と、を備える。
【0088】
CPU91は、以下の手順により、無線通信部93を介して、メイン制御装置80とデータの送受信を行う。
具体的には、CPU91は、メイン制御装置80にデータを送信する際、このデータをパケットデータに分割する。このとき、発信元である当該端末装置30のIPアドレスを、端末装置30のそれぞれを識別するための識別子としてパケットデータに付加する。
また、CPU91は、メイン制御装置80からデータを受信する際、パケットデータに付加されたIPアドレスが当該端末装置30のIPアドレスと一致する場合には、パケットデータを取り込み、一致しない場合には、パケットデータを廃棄する。
【0089】
CPU91は、無線通信部93を介して、メイン制御装置80との間で信号の送受信を行うほか、入力操作部72、CCDカメラ614、及びICタグ検知部324からの入力信号に基づいて、サブ表示部61、駆動制御装置322、方向制御装置323、コンプレッサ682、及び電磁開閉弁691〜695を制御する。
【0090】
具体的には、ICタグ検知部324は、ICタグ211から位置情報を読み取り、現在位置情報として出力するものであり、CPU91は、入力操作部72の入力に応じたゲーム入力データ(文字情報や特定の選択情報等のデータ)、CCDカメラ614で撮像された顔画像データ、及びICタグ検知部324からの現在位置情報を、メイン制御装置80に送信する。
【0091】
更に、CPU91は、端末装置30の位置を指定する移動制御信号をメイン制御装置80から受信すると、ICタグ検知部324からの現在位置情報に基づいて当該端末装置30のプレイエリア21上の位置を把握し、走行部32の駆動制御装置322及び方向制御装置323を制御して、端末装置30を移動制御信号で指定された位置まで移動させる。
【0092】
また、CPU91は、入力操作部72を操作することにより入力されるゲーム入力データに応じて、走行部32の駆動制御装置322及び方向制御装置323を駆動することも可能である。
【0093】
CPU81は、体感発生制御信号に基づいて、収納容器66A、66B、67の中から少なくとも1つを選択し、この選択した収納容器66A、66B、67に収納された香料を噴霧装置68で噴霧する。
すなわち、CPU81は、コンプレッサ682を駆動することにより、圧縮空気を圧縮空気タンク681に収容しておく。そして、「海の香り」の体感発生制御信号を受信した場合には、電磁開閉弁693、691を開いて、圧縮空気タンク681に収容された圧縮空気を流路683、685に送り込み、収納容器66Aに収納された海の香りの香料を香料噴霧口76から噴霧する。また、「森の香り」の体感発生制御信号を受信した場合には、電磁開閉弁694、691を開いて、圧縮空気タンク681に収容された圧縮空気を流路683、686に送り込み、収納容器66Bに収納された森の香りの香料を香料噴霧口76から噴霧する。また、「スモーク」の体感発生制御信号を受信した場合には、電磁開閉弁695、692を開いて、圧縮空気タンク681に収容された圧縮空気を流路684、687に送り込み、収納容器67に収納された水分をスモーク噴霧口33から噴霧する。
【0094】
CPU91は、CPU81で実行されるプログラムに従って、メモリ92に格納されている動作プログラムを実行し、種々の処理を行う。
【0095】
すなわち、CPU91は、メイン制御装置80からゲームプログラムやその時のゲーム空間での時間軸に対応した状況を表す情報を受信すると、このメイン制御装置80から送信されたゲームプログラム等の情報をメモリ82に格納した後、当該ゲームプログラムに従って、このときゲーム空間において発生している様々な事件等の出来事をサブ表示部61に表示し、スピーカ75から効果音を出力する。
【0096】
また、各端末装置30を使用するプレイヤは、サブ表示部61に表示されたゲーム内容(画像、文字情報等)を見ながら、入力操作部72を操作することにより、メイン表示装置22に表示されたキャラクタを操作したり、文字による選択肢を選ぶ等の所作によってゲームの進行に参加したり、端末装置30をプレイエリア21上の特定の位置に移動させたりできる。
【0097】
<スポットライト処理>
図23は、対峙した端末装置30に対して、スポットライト25を点灯した際の、遊技機1を示した図である。スポットライト25は、スピーカ装置23に埋め込まれて設置されてもよいし、スピーカ装置23とは単体の装置であってもよい。図23に示すように、端末装置30Aと30C、端末装置30Bと30Dが互いに対峙しており、これらの端末装置30Aから30Dに対して、スポットライトを点灯する。
【0098】
メイン制御装置80が、スポットライト処理を実行する処理について、図24を用いて説明する。メイン制御装置80は、端末装置30に移動制御信号を送信したことを判断(ST51)して、スポットライト25を点灯する(ST52)。そして、ゲーム進行上、対峙が終了した場合(ST53)には、メイン制御装置80は、スポットライト25の点灯を終了する(ST54)。
【0099】
<ゲームプログラムの構成>
次に、遊技機1によって提供されるゲームプログラムについて説明する。このゲームプログラムは、独自の時間軸によって常時進行する架空のゲーム空間を舞台にしたロールプレイングゲームである。この架空のゲーム空間には、複数の街が存在し、各街には、それぞれギルドが形成されている。
各プレイヤは、冒険者となって、各街を訪れて、それぞれのギルドで持ち受ける数多くの事件(クエスト)を、アバタを操作することによってクリアすることを目標とする。
【0100】
一方で、このゲームプログラムは、ゲーム空間において複数の大事件(マクロクエスト)を発生させ、物語の大きな流れを形成する。各プレイヤは、上述した事件(クエスト)を解決しながらも、大事件(マクロクエスト)に巻き込まれ、他のプレイヤ達と、時には協力し、時には敵対し、時には競争しながらこのマクロクエストを解決してゆく。
【0101】
このゲームプログラムは、プレイヤ達の端末装置30の操作(ゲームプレイ)によって、そのゲームの流れを変えていく。つまり、プレイヤ一人一人のゲームプレイ(冒険)の積み重ねが、このゲームの歴史を作って行くのである。
このように、このゲームプログラムは、架空世界の歴史の流れを、複数のプレイヤ全員で体感できるロールプレイングゲームである。また、そのゲーム空間では独自の止められることのない時間軸によって歴史が築かれて行くこととなり、従ってこのゲーム空間の中に登場する人物は不老不死ではなく、現実の世界のように年を取って行くこととなる。
【0102】
ゲームプログラムは、マクロクエストで事件を解決したり、他のプレイヤとの競争に勝つ等の活躍をしたプレイヤの名前を、データベース84に格納されている年表に書き込むようになされている。これにより、マクロクエストで活躍したプレイヤは、ゲーム空間の歴史にその名前を残すことができる。
【0103】
図15に示すメインフローチャートを参照して、遊技機1の動作について説明する。
ST1において、各プレイヤは、プレイエリア21上に配置された端末装置30の中から好みのものを選択して、この選択した端末装置30のシート31に着座する。続いて、ST2において、各プレイヤは、入力操作部72のコイン投入口にコインを投入して、スタートスイッチを押す。すると、ST3において、遊技機1のサブモニタ613及びシート31のロックが解除され、ST4において、プレイヤは、サイドユニット60の収納空間62からサブモニタ613を取り出して、シート31のモードを調節する。
【0104】
ST5において、遊技機1は後述のゲーム処理を実行する。ゲームが終了すると、ST6において、遊技機1は、サブモニタ613を収納するとともに、シート31のモードをシートモードに戻す。
【0105】
図16は、ゲーム処理のフローチャートである。
ST11において、ゲームが開始されると、ST12において、ゲームプログラムは、プレイヤのアバタを作成する。
すなわち、ゲームプログラムは、アバタ作成画面をサブ表示部61に表示する。このアバタ作成画面では、プレイヤがゲームプログラムに参加するにあたって、当該プレイヤの分身であるアバタを作成する。CCDカメラ614でプレイヤの顔を撮影し、個人情報及びゲーム空間で使用する名前をプレイヤが入力操作部72に入力すると、ゲームプログラムは、これらの情報に基づいてアバタを生成し、メイン制御装置80のデータベース84に登録する。
【0106】
ST13において、ゲームプログラムは、プレイヤが着座した端末装置30をプレイエリア21上に初期配置する。
すなわち、ゲームにより展開される空間は複数のゲームエリアに分かれており、各ゲームエリアには、それぞれ1つの街がある。各ゲームエリアは、海や森であったり、大きな都市であったりする。プレイエリア21は、上述したように都市エリア212A、海エリア212B、森エリア212Cの複数のサブエリア212で構成されるが、これらのサブエリア212は、ゲーム空間における街の環境に対応した擬似的な空間となっている。
【0107】
ST14において、ゲームプログラムは、独自の時間軸に従って、複数のプレイヤが参加するマクロクエストや、一人のプレイヤのみが参加するクエストを発生させながら、ゲームを進行させ、ST15において、ゲームを終了させる。
【0108】
図17は、ゲームプログラムにおける各プレイヤのメインフローチャートである。
各プレイヤは、事件年表処理、ギルド処理、持ち物処理、ショップ処理、ステータス処理、及びパーティ処理を実行することが可能となっている。
【0109】
プレイヤが「事件年表」を選択すると、ゲームプログラムは、メイン制御装置80のデータベース84から事件年表を読み出して、事件年表処理を実行することにより、事件年表をサブ表示部61に表示する。
【0110】
この事件年表においては、各クエストを解決したゲーム空間でのそれぞれの日付、クエストの名称が表示される。さらに、プレイヤがクエスト名(事件名)を選択すると、ゲームプログラムは、当該選択された事件の詳細を表示する。ここで、事件の詳細とは、例えば、当該事件(クエスト)を最も早く解決したプレイヤを勝者としている場合には、その最も早く解決したプレイヤを表示し、当該事件(クエスト)を解決したプレイヤの協力人数が多いパーティを勝者としている場合には、そのパーティを表示する。
【0111】
プレイヤが「ギルド」を選択すると、ゲームプログラムは、ギルド処理を実行し、サブ表示部61にギルド画面を表示する。このギルド画面では、当該ギルドにおいてプレイヤが挑戦できるクエストを見たり、ゲーム空間における他の町へ行くことを選択したりできるようになっている。
【0112】
ギルド画面において、プレイヤが「クエスト」を選択すると、ゲームプログラムは、選択可能なクエストのリストをサブ表示部61に表示する。このリストの中から、プレイヤが所望の「クエスト」を選択すると、ゲームプログラムは、選択されたクエストを実行する。
【0113】
ギルド画面において、プレイヤが「他の街へ行く」を選択すると、ゲームプログラムは、移動先として選択可能な街のリストをサブ表示部61に表示する。このリストの中から、プレイヤが希望する街を選択すると、ゲームプログラムは、プレイヤを選択した街に移動させる。ゲームプログラムは、ゲーム空間においてプレイヤが他の街に移動すると、この移動先の街に対応するサブエリア212に、各プレイヤの端末装置30を移動させる。ここで、噴霧装置68を用いて、移動先のサブエリア212に応じた匂いを発生させてもよい。具体的には、移動先が海エリア212Bである場合には、香料噴霧口76から海の香りを噴霧し、移動先が森エリア212Cである場合には、香料噴霧口76から森の香りを噴霧してもよい。
なお、プレイヤは、この移動先の街においても、「ギルド」、「持ち物」、「ショップ」等のメニューを選択できる。
【0114】
プレイヤが「持ち物」を選択すると、ゲームプログラムは、持ち物処理を実行し、武器、道具、靴などの持ち物(目次)画面をサブ表示部61に表示する。この持ち物(目次)画面において、プレイヤが特定の持ち物を選択すると、ゲームプログラムは、当該選択した持ち物に含まれる複数のアイテムをサブ表示部61に表示する。プレイヤは、これらのアイテムから希望するアイテムを選択し、この選択したアイテムを「装備」或いは「廃棄」できる。
【0115】
プレイヤが「ショップ」を選択すると、ゲームプログラムは、ショップ処理を実行し、ショップ画面をサブ表示部61に表示する。このショップ画面では、所有するアイテムを物物交換したり、又はショップ店主から情報を入手する画面であり、プレイヤは「話を聞く」又は「交換する」のいずれかを選択することができる。
【0116】
このショップ画面において、プレイヤが「交換する」を選択すると、ゲームプログラムは、商品リストをサブ表示部61に表示する。プレイヤは、この商品リストから希望するアイテムを選択することができる。
【0117】
プレイヤが希望するアイテムを選択すると、ゲームプログラムは、当該選択された希望アイテムと交換するプレイヤの手持ちアイテムを表示する。プレイヤが交換に出す手持ちアイテムを選択すると、ゲームプログラムは、プレイヤが所有するアイテムとその価値をサブ表示部61に表示する。
プレイヤがこれら表示された手持ちアイテムから交換を希望するアイテムを選択し、交換を希望する手持ちアイテムが揃った状態で、プレイヤが「実行」を選択すると、ゲームプログラムは、希望するアイテムと交換を希望する手持ちアイテムとの交換を実行する。
【0118】
一方、ショップ画面において、プレイヤが「話を聞く」を選択すると、ゲームプログラムは、「噂話」をサブ表示部61に表示する。プレイヤは、この画面に表示された「噂話」によって、ゲーム空間での情報を得ることができる。
【0119】
プレイヤが「ステータス」を選択すると、ゲームプログラムは、ステータス処理を実行し、ステータス画面をサブ表示部61に表示する。このステータス画面は、プレイヤのゲーム空間での活躍した結果や持ち物等を表すものである。具体的には、名前、称号、名声、体力、知力、倒したモンスター数、クリアしたクエスト数、助けた人数などである。
プレイヤが以上の項目のうちのいずれかを選択すると、ゲームプログラムは、この項目に関するランキングをサブ表示部61に表示する。
【0120】
プレイヤが「パーティ」を選択すると、ゲームプログラムは、パーティ処理を実行し、仲間がいる場合には、仲間の名称をサブ表示部61に表示し、さらに、「メールを読む」、「メールを出す」、「アイテムを交換する」「ステータスを見る」などを表示する。
プレイヤが以上の項目のうちいずれかを選択することにより、仲間のプレイヤとメールを送受信する、仲間とアイテムを交換する、仲間のステータスを見るといったことができる。
【0121】
図18は、ゲーム空間でプレイヤが他のプレイヤと遭遇した場合の遭遇処理のフローチャートである。
ST14のゲームの進行において、ゲーム空間でプレイヤが他のプレイヤと遭遇した場合、ゲームプログラムは、遭遇処理を実行する。
すなわち、ST21において、遭遇画面をサブ表示部61に表示し、声をかけるか否かの選択を促す。
プレイヤが「No」を選択した場合には、ST24に移って、パーティを結成せずに、遭遇処理を終了する。一方、プレイヤが「Yes」を選択した場合には、ST22に移り、ゲームプログラムは、相手プレイヤにメールを送信し、仲間に勧誘されている旨の表示を当該プレイヤの端末装置30のサブ表示部61に表示する。そして、ゲームプログラムは、相手プレイヤに勧誘を受けるか否かの選択を促す。
【0122】
勧誘を受けたプレイヤが「Yes」を選択した場合には、ST23に移り、ゲームプログラムは、当該選択結果を勧誘元のプレイヤに送信し、仲間になった旨を勧誘元のプレイヤのサブ表示部61に表示して、パーティを結成して終了する。
一方、勧誘を受けたプレイヤが「No」を選択した場合には、ゲームプログラムは、仲間になれなかった旨を勧誘元のプレイヤのサブ表示部61に表示し、ST24に移って、パーティを結成せずに遭遇処理を終了する。
【0123】
図19は、ゲーム空間においてマクロクエストが発生した場合のマクロクエスト処理のフローチャートである。
ST3において、複数のプレイヤを巻き込んだマクロクエストが発生した場合、ゲームプログラムは、マクロクエスト処理を実行する。
すなわち、ST31において、マクロクエストが発生すると、ST32に移り、このマクロクエストに巻き込まれたプレイヤをメイン表示装置22に表示するとともに、マクロクエストに巻き込まれたプレイヤの端末装置30を、メイン表示装置22の前のサブエリア212Aに移動させて、敵対するプレイヤの端末装置30を互いに接近かつ対向させて配置する。これにより、互いに敵同士であることをプレイヤに認識させる。同時に、これらの敵対するプレイヤの端末装置30について、噴霧装置68を用いて、移動先のサブエリア212に応じた香りを香料噴霧口76から噴霧するとともに、スモーク噴霧口33からスモークを噴霧して、演出効果を高める。
【0124】
具体的には、図20に示すように、プレイエリア21上には、6台の端末装置30A〜30Fが配置されている。このうち、端末装置30A、30B、30Eのプレイヤは、1つのパーティであり、端末装置30C、30D、30Fのプレイヤは、もう1つのパーティである。そして、端末装置30A〜30Dの各プレイヤは、都市エリア212Aにおいてマクロクエストに巻き込まれ、パーティ同士で対向するように配置されている。これに対し、端末装置30E、30Fのプレイヤは、それぞれ、海エリア212B及び森エリア212Cにいるため、マクロクエストに巻き込まれず、端末装置30A〜30Dのプレイヤの対戦を観ることになる。
【0125】
ST33において、マクロクエストに巻き込まれたプレイヤは、マクロクウエストをクリアするために、仲間のプレイヤに助けを呼ぶか否かを選択する。
プレイヤが「No」を選択した場合には、ST36に移る。
一方、プレイヤが「Yes」を選択した場合には、ST34に移り、ゲームプログラムは、仲間のプレイヤに助けを求めるメールを送信し、助けを求められている旨の表示を当該プレイヤの端末装置30のサブ表示部61に表示する。そして、ゲームプログラムは、仲間のプレイヤに当該プレイヤを助けるか否かの選択を促す。
【0126】
助けを求められた仲間のプレイヤが「Yes」を選択した場合には、ST35に移り、ゲームプログラムは、当該選択結果を、助けを求めたプレイヤに送信し、仲間が参加する旨を当該プレイヤのサブ表示部61に表示する。また、ゲームプログラムは、新たに参加する仲間のプレイヤが集う状況をメイン表示装置22に表示するとともに、新たに参加する仲間のプレイヤの端末装置30を、メイン表示装置22の前のサブエリア212Aに移動させて、敵対するプレイヤの端末装置30を互いに接近させかつ対向させて配置する。同時に、この新たに参加するプレイヤの端末装置30について、噴霧装置68を用いて、移動先のサブエリア212に応じた香りを香料噴霧口76から噴霧するとともに、スモーク噴霧口33からスモークを噴霧して、演出効果を高める。
一方、助けを求められたプレイヤが「No」を選択した場合には、ゲームプログラムは、助けが拒否された旨を、助けを求めたプレイヤのサブ表示部61に表示し、ST36に移る。
【0127】
具体的には、図21に示すように、端末装置30Eのプレイヤは、端末装置30A、30Bのプレイヤと仲間であるため、端末装置30A、30Bに助けを求められて、助ける旨の回答をしたので、都市エリア212Aに移動し、端末装置30A、30Bに並んで配置されている。
一方、端末装置30Fのプレイヤは、端末装置30C、30Dのプレイヤと仲間であり、端末装置30A、30Bに助けを求められたが、拒否したので、森エリア212Cに留まっている。
【0128】
ST36においては、各プレイヤは、敵プレイヤ或いは敵パーティと対戦する。具体的には、図21に示すように、端末装置30A、30B、30Eのプレイヤと、端末装置30C、30Dのプレイヤとが、都市エリア212Aにおいて対戦する。
【0129】
このように、各プレイヤは、マクロクエストに巻き込まれたり、マクロクエストに巻き込まれた仲間に助けを求められたりして、マクロクエストに関して、他のプレイヤ同士の対戦を観戦するか、或いは自らが対戦するかを選択できるようになっている。
【0130】
上述した本実施形態によれば、対戦モードに移行した際に、メイン制御装置80が、移動制御信号を端末装置30に対して送信することで、端末装置30に体感発生制御信号(スモーク)を送信し、これと並行して、スポットライト25に対してスポットライト点灯制御信号を送信する。したがって、遊技者にとっては、端末装置30によるスモークの発生を体感できるととともに、自分の遊技機がスポットライトの点灯を受けることができる。このような複合的な演出により、対戦モードの演出を従来よりも向上することが可能である。
【0131】
さらに、本実施形態によれば、下記のような作用効果を奏する場合を含んでよい。
単一のゲーム空間において、一のプレイヤの操作する操作キャラクタと他のプレイヤの操作する操作キャラクタとの位置データとの差分値が予め定められた閾値データ内になった場合、操作キャラクタが接近したものとして判断する。そして、マクロクエストにより、これらのプレイヤを対戦させる。
このとき、遊技機1は、これらの敵対するプレイヤの端末装置30について、噴霧装置68を用いて、移動先のサブエリア212に応じた香りを香料噴霧口76から噴霧するとともに、スモーク噴霧口33からスモークを噴霧してもよい。
したがって、操作キャラクタが所定の位置関係にあるプレイヤについてのみ体感を刺激するから、プレイヤごとに個別に体感を刺激でき、各プレイヤの興趣を向上できる場合がある。
【0132】
互いに匂いの異なる複数種類の香料を収納する複数の収納容器66A、66Bと、これら複数の収納容器66A、66Bに収納される香料を選択的に噴霧する噴霧装置68と、を体感発生装置65に設け、収納容器66A、66Bの中から1つを選択し、この選択した収納容器66A、66Bに収納された香料を噴霧装置68で噴霧する。よって、プレイヤの嗅覚を刺激して、仮想的なゲームエリアにおける様々な情報をプレイヤに伝達でき、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、ゲームエリアにおける海や森など、現実世界では匂いが発生するゲームエリアを、よりリアルに表現できる。
また、収納容器66A、66Bに収納された香料をヘッドレスト54の香料噴霧口76から噴霧したので、各プレイヤの嗅覚をそれぞれ確実に刺激できる。
【0133】
水を収納する収納容器67と、収納容器67に収納される水をシート31の下部から噴霧する噴霧装置68と、を体感発生装置65に設けた。よって、ゲームエリアにおける霧などをリアルに表現して、ゲームエリアにおける様々な情報をプレイヤに伝達でき、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、プレイヤの目線からシート本体の下部を霧で隠蔽して、空中に浮かんでいるような演出が可能である。
【0134】
端末装置30に走行部32を設けて、この走行部32をメイン制御装置80からの移動制御信号に応じて駆動して、端末装置30を所定の位置へ移動する構成としたので、各プレイヤは端末装置30のポジションを変更して遊技できる。
また、ゲームエリア内における複数の操作キャラクタの位置関係を、複数の端末装置の位置関係に反映させることにより、ゲームエリアにおける操作キャラクタ同士の位置関係をプレイエリア21上でよりリアルに表現できるから、プレイヤの興趣を更に向上できる。例えば、複数のプレイヤ同士が対戦する場合に、これら対戦するプレイヤの端末装置30を互いに接近させることで、互いに敵同士であることをプレイヤに認識させて、対戦するプレイヤの緊張感を高めることができる。
【0135】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一実施例に係る遊技機の外観を示す斜視図である。
【図2】前記遊技機を構成する端末装置の外観を示す斜視図である。
【図3】前記端末装置の走行部の一部の拡大斜視図である。
【図4】前記端末装置のシートのシートモードにおける斜視図である。
【図5】前記端末装置のシートのベッドモードにおける斜視図である。
【図6】前記端末装置のサブモニタが収納空間から引き出された状態を示す斜視図である。
【図7】前記端末装置のサブモニタの表示画面をプレイヤに向けた状態を示す斜視図である。
【図8】前記端末装置のサブモニタの位置が調整された状態を示す斜視図である。
【図9】前記端末装置の体感発生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】前記遊技機の全体構成を示すブロック図である。
【図11】前記遊技機本体のメイン制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】前記遊技機本体の体感発生制御信号選択テーブルである。
【図13】前記遊技機本体の体感発生制御信号選択テーブルの他の実施例である。
【図14】前記端末装置のサブ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図15】前記遊技機で行われるゲームのメインフローチャートである。
【図16】前記遊技機で実行されるゲームプログラムのゲーム処理のフローチャートである。
【図17】前記遊技機で実行されるゲームプログラムにおける各プレイヤのフローチャートである。
【図18】前記ゲームプログラムにおけるゲームエリアでプレイヤが他のプレイヤと遭遇した場合のフローチャートである。
【図19】前記ゲームプログラムにおけるゲーム空間でマクロクエストが発生した場合のフローチャートである。
【図20】前記遊技機のゲームプログラムにおけるゲーム空間でマクロクエストが発生した状態を示す斜視図である。
【図21】前記遊技機のゲームプログラムにおけるゲーム空間で発生したマクロクエストに仲間が参加した状態を示す斜視図である。
【図22】前記遊技機本体の体感発生制御信号送信処理に関するフローチャートである。
【図23】スポットライトを点灯した際の、前記遊技機の外観を示す斜視図である。
【図24】前記遊技機のスポットライト処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0137】
1 遊技機
20 遊技機本体
21 プレイエリア
22 メイン表示装置
30 端末装置
31 シート
32 走行部
54 ヘッドレスト
61 サブ表示部
65 体感発生装置
66A、66B、67 収納容器
68 噴霧装置
72 入力操作部
80 メイン制御装置
84 データベース
90 サブ制御装置
91 CPU
324 ICタグ検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤからの入力を受け付けるゲームコントローラと、多人数対戦用ゲームプログラムに基づいて生成されたゲーム画面を外部から受信又は内部で生成して表示するためのモニタと、プレイヤが着座するためのシートとを具備する遊技機であって、
前記シートには、前記ゲームコントローラによる入力と対戦プレイヤの入力とに関連して体感を発生する体感発生手段とをさらに備えてなることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
ゲームプログラムを記憶する記憶手段、及び当該記憶手段に記憶された前記ゲームプログラムを実行するメイン制御手段を備える遊技機本体と、
入力手段、プレイヤの体感を発生させる体感発生装置、及び前記遊技機本体と無線又は有線で接続され、前記入力手段の入力に応じたゲーム入力データを前記遊技機本体のメイン制御手段に送信するサブ制御手段と、画像データを表示するサブ表示手段と、を備える複数の端末装置と、を備え、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置から複数のゲーム入力データを受信し、これら複数のゲーム入力データに基づいて、前記複数の端末装置の各々に対応した画像データを生成し、生成した当該画像データを対応する端末装置に送信し、
前記サブ制御手段は、受信した前記画像データを前記サブ表示手段に表示する遊技機であって、
前記端末装置は、前記入力手段をプレイヤが着座した状態で操作可能なシートを備え、
前記サブ制御手段は、前記体感発生装置を制御する体感発生装置制御手段を備え、
前記ゲーム入力データは、前記ゲームプログラムに従って生成される単一のゲームエリアを移動可能な操作キャラクタの位置データを含み、
前記メイン制御手段は、前記操作キャラクタの位置データと、前記ゲームエリアにおいて予め複数のゲームエリアごとに設定された環境データとに基づいて、前記一の端末装置及び前記他の端末装置の体感発生装置を駆動するために、それぞれのサブ制御手段に対して、予め複数の前記ゲームエリアごとに設定された環境データに応じて記憶した一つ以上の体感発生制御信号を送信することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記端末装置の体感発生装置は、互いに匂いの異なる複数種類の香料を収納する複数の収納容器と、
当該複数の収納容器に収納される香料を選択的に噴霧する噴霧手段と、
前記ゲームエリアごとに設定された環境データと、この環境データに対応した体感を与えるための体感発生制御信号とを関係づけたテーブルデータを記憶する記憶手段と、を備え、
前記体感発生制御信号に基づいて、前記収納容器の中から少なくとも1つを選択し、この選択した収納容器に収納された香料を前記噴霧手段で噴霧する体感発生装置駆動手段を備える請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記端末装置が、所定の領域を移動可能な走行手段を備え、
前記メイン制御手段は、複数の前記端末装置が前記走行手段により所定の位置関係になるように移動制御信号を前記端末装置に送信するとともに、複数の前記端末装置に対して、スポットライトを点灯すべくスポットライト点灯制御信号を出力する、請求項2又は3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記端末装置の体感発生装置は、霧状のスモークを発生させるスモーク発生装置を備え、
前記端末装置が前記体感発生制御信号を受信したことに応じて、前記スモーク発生装置を駆動する体感発生装置駆動手段を備えた、請求項2から4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記スモーク発生装置は、水を収納する水収納容器と、前記水収納容器に収納された水を前記シートの下部から噴霧するスモーク噴霧手段と、を備え、
前記体感発生装置駆動手段は、前記体感発生制御信号に基づいて、前記スモーク噴霧手段を駆動する、請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
ゲームプログラムを記憶する記憶手段、及び当該記憶手段に記憶された前記ゲームプログラムを実行するメイン制御手段を備える遊技機本体と、
入力手段、プレイヤの体感を発生させる体感発生装置、及び前記遊技機本体と無線又は有線で接続され、前記入力手段の入力に応じたゲーム入力データを前記遊技機本体のメイン制御手段に送信するサブ制御手段と、を備える複数の端末装置と、
前記メイン制御手段から出力された画像データに基づいて画像を表示する表示手段と、を備え、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置から複数のゲーム入力データを受信し、これら複数のゲーム入力データに基づいて、前記ゲームプログラムに従って単一のゲームデータを生成し、当該単一のゲームデータに基づいて前記端末装置の全てに共通する画像データを生成して前記表示手段に出力する遊技機であって、
前記端末装置は、前記入力手段をプレイヤが着座した状態で操作可能なシートを備え、
前記サブ制御手段は、前記体感発生装置を制御する体感発生装置制御手段を備え、
前記メイン制御手段で生成される単一のゲームデータは、前記ゲームプログラムに従って生成される単一のゲームエリア内を、前記複数の端末装置の前記入力手段によって入力されるそれぞれのゲーム入力データに応じて移動可能な複数の操作キャラクタの位置データを含んでおり、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置のうちの一の端末装置により移動操作される一の操作キャラクタの位置データと、前記複数の端末装置のうちの他の端末装置により移動操作される他の操作キャラクタとの位置データとが、予め定められた条件を満たした場合、前記一の端末装置及び前記他の端末装置の体感発生装置を駆動するために、それぞれのサブ制御手段に対して、予め記憶した一つ以上の体感発生制御信号を送信することを特徴とする遊技機。
【請求項8】
請求項2から6のいずれかに記載の遊技機において、
前記遊技機本体は、前記複数の端末装置が配置されるプレイエリアを備え、
前記端末装置は、前記シートの下部に設けられ当該端末装置を前記プレイエリア上で移動させる移動手段を備え、
前記サブ制御手段は、外部からの移動制御信号に応じて移動手段を駆動して、前記端末装置を所定の位置へ移動する移動制御手段を備え、
前記メイン制御手段は、前記複数の端末装置のうちの特定のものの操作キャラクタの位置データが予め定められた条件を満たした場合に、前記特定の端末装置に対して前記移動制御信号を送信する移動制御信号送信手段を備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2007−75547(P2007−75547A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295645(P2005−295645)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】