説明

遊技機

【課題】遊技盤ユニットを遊技機本体から取り外しにくい遊技機を提供する。
【解決手段】前面部材52には保護カバー65が開閉自在に取り付けられ、さらに受入部74が設けられている。保護カバー65にはラッチ部材72が収納位置から突出位置にスライド移動可能に設けられている。ラッチ部材72には、ガイド部72a、操作部72b、第1〜第3逆止爪72c〜72eなどが形成されている。第1〜第3逆止爪72c〜72eはそれぞれ異なる色に着色されている。受入部74には逆止爪の色を視認するための窓70が設けられている。第1の逆止爪72cが受入部74に受け入れられると、ラッチ部材72が保護カバー65と受入部とに跨り、保護カバー65を開放できなくなる。保護カバー65を開放するためには第1の破壊部72kをドライバー等で破壊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ店等の遊技場に設置して使用されるパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される遊技機としてパチンコ機が挙げられる。近年のパチンコ機は、メンテナンス作業を行いやすいように構造が工夫されており、例えば、遊技機本体に遊技盤ユニットが着脱自在に取り付けられている。遊技盤ユニットは、センター役物や各種入賞口が設けられた遊技盤、パチンコ機を制御する制御回路装置を収めた収納箱、表示画面のコントローラを納めた収納箱などからなり、これらが一体に組み合わせられている。
【0003】
遊技盤ユニットが遊技機本体に着脱自在に取り付けられているパチンコ機は、遊技機本体に遊技盤を保持するための保持枠を備え、この保持枠に遊技盤ユニットを固定するための固定具が設けられる。例えば、固定具は一端が保持枠に保持され、他端に設けられた頭部が保持枠から突出しており、遊技盤ユニットにはこの固定具の頭部を後側から前側に挿通させる挿通口が設けられている。挿通口を介して遊技盤ユニットの前面に露呈した固定具の頭部が遊技盤ユニットの前面に係止されることにより、遊技盤ユニットが保持枠に固定される。また、固定具の頭部と遊技盤ユニットの前面との係止を解除する係止解除操作を行うことにより、遊技盤ユニットを取り外すことができる。特許文献1には遊技盤ユニットの前面に露呈した固定具を覆うカバーを設けて固定具を保護したパチンコ機が示されている。
【特許文献1】特開2003―220248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技盤ユニットを遊技機本体に固定する固定具はカバーを開放することで誰にでも操作できるようになっているため、固定具を不正に操作して遊技盤ユニットが不正に取り外されてしまう危険性があった。遊技盤ユニットが取り外されると制御回路基板やハーネス等の不正な交換が可能となってしまう。このため、制御回路基板やハーネス等を不正なものと交換して遊技者が利益を得やすくなるいわゆるゴト行為が行われる危険性があった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技盤ユニットを遊技機本体から取り外しにくい遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の遊技機では、遊技盤ユニットにおける盤面の表裏に挿通可能な固定具の一端が遊技機本体に保持され、固定具の他端に設けられた頭部を遊技盤ユニットの前面に係止状態とすることで遊技機本体に取り付けられた遊技盤ユニットを固定し、遊技盤ユニットの前面に露呈した固定具の頭部の係止を解除状態とすることによって遊技盤ユニットが遊技機本体から取り外される遊技機において、固定具の頭部を覆う閉じ位置と固定具の頭部を露呈させる開き位置との間で開閉自在に遊技盤ユニットに取り付けられたカバーと、カバーと遊技盤ユニットとのうちどちらか一方に設けられ、一方に収められた収納位置から一方より突き出た突出位置にスライド移動自在なラッチ部材と、一方と異なる他方に設けられ、カバーが閉じ位置にセットされているときに突出位置にスライド移動させたラッチ部材の突き出た部分を受け入れる受入部と、突出位置に移動させた後にラッチ部材を収納位置に戻すスライド移動をすることを禁止する禁止部とを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、禁止部は、突出位置にスライド移動したときに受入部に入り込むラッチ部材に設けられる弾性を有する爪部と、受入部に設けられ、爪部を受ける爪受けとからなり、ラッチ部材を収納位置から突出位置に向けてスライド移動させた後に爪部が爪受けと当接し移動を規制することを特徴とする。
【0008】
また、ラッチ部材から爪部を分離する破壊部が形成されており、爪部が受入部に受け入れられたとき、破壊部はカバーと受入部との間から外部に露呈することを特徴とする。
【0009】
また、爪部は、破壊部を介在させて数珠繋ぎ状に複数設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、複数の爪部はそれぞれ異なる色に着色され、受入部に爪部を視認するための窓を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、カバーに証紙を貼付する貼付部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遊技機によれば、遊技盤ユニットにおける盤面の表裏に挿通可能な固定具の一端が遊技機本体に保持され、固定具の他端に設けられた頭部を遊技盤ユニットの前面に係止状態とすることで遊技機本体に取り付けられた遊技盤ユニットを固定し、遊技盤ユニットの前面に露呈した固定具の頭部の係止を解除状態とすることによって遊技盤ユニットが遊技機本体から取り外される遊技機において、固定具の頭部を覆う閉じ位置と固定具の頭部を露呈させる開き位置との間で開閉自在に遊技盤ユニットに取り付けられたカバーと、カバーと遊技盤ユニットとのうちどちらか一方に設けられ、一方に収められた収納位置から一方より突き出た突出位置にスライド移動自在なラッチ部材と、一方と異なる他方に設けられ、カバーが閉じ位置にセットされているときに突出位置にスライド移動させたラッチ部材の突き出た部分を受け入れる受入部と、突出位置に移動させた後にラッチ部材を収納位置に戻すスライド移動をすることを禁止する禁止部とを設けたことにより、突出位置に向けて操作されて受入部に受け入れられたラッチ部材は、禁止部によって収納位置に向けたスライド移動が禁止され、これによりラッチ部材はカバーと遊技盤ユニットとに跨り、カバーを開放することができなくなる。このため固定具を操作することができなくなり、遊技盤ユニットを遊技機本体から取り外しにくい遊技機を提供することができる。
【0013】
また、禁止部は、突出位置にスライド移動したときに受入部に入り込むラッチ部材に設けられる弾性を有する爪部と、受入部に設けられ、爪部を受ける爪受けとからなり、ラッチ部材を収納位置から突出位置に向けてスライド移動させた後に爪部が爪受けと当接し移動を規制することにより、爪部が爪受けに引っかかりラッチ部材がカバーと遊技盤ユニットとに跨った状態がより確実に保持されるため、カバーが開けにくい状態をより確実に保持することができる。
【0014】
また、ラッチ部材から爪部を分離する破壊部が形成されており、爪部が受入部に受け入れられたとき、破壊部はカバーと受入部との間から外部に露呈することにより、破壊部が破壊されると爪部がラッチ部材から分離されるため、カバーの開放が可能となる。
【0015】
また、爪部は、破壊部を介在させて数珠繋ぎ状に複数設けられていることにより、カバーの閉鎖及び開放を複数回繰り返すことができ、利便性を高めることができる。
【0016】
また、複数の爪部はそれぞれ異なる色に着色され、受入部に爪部を視認するための窓を設けたことにより、窓から爪部の色を確認することで残りの爪部の数を把握することができる。
【0017】
また、カバーに証紙を貼付する貼付部を設けたことにより、貼付部に証紙を貼付することでカバーをさらに有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施した遊技機であるパチンコ機の外観斜視図を図1に示す。パチンコ機2の前面には、上扉4及び下部開閉体である下扉5からなる2枚の前面扉が遊技機本体3に対して回動自在に設けられている。上扉4は一方の側端部に設けられたヒンジ部8を介して開閉自在に本体基部に取り付けられ、下扉5は一方の側端部に設けられたヒンジ部9を介して開閉自在に遊技機本体3に取り付けられている。上扉4及び下扉5は施錠装置によってロックされる。
【0019】
遊技機本体3には、各種チャッカ、センター役物などの構造物が設けられた遊技盤18、センター役物30などの駆動を制御する制御回路などがユニット化された後述する遊技盤ユニットが着脱自在に取り付けられており、遊技盤ユニットは容易に交換できるようになっている。上扉4の中央には開口4aが設けられ、この開口4aにはガラス板7が組み付けられている。ガラス板7と遊技盤18との間にはパチンコ玉が流下する遊技領域9が形成され、遊技者はガラス板7を通して遊技領域9を視認することができる。
【0020】
下扉5には、受け皿(図示省略)、発射操作装置14、パチンコ玉を払い出す払出口等が設けられている。受け皿には遊技を開始する際にパチンコ玉が流入する他、遊技領域9を流下するパチンコ玉が遊技盤18に設けられた入賞口に入賞することに応じてパチンコ玉が払い出される。発射操作装置14は、パチンコ玉を遊技領域9に打ち出す際に操作され、発射操作装置に設けられた回動部材の位置に応じてパチンコ玉の打ち出しの強さが変化する。
【0021】
遊技盤18上には、釘、スタートチャッカ23、入賞チャッカ24、アタッカ26、センター役物30等の構造物が設けられている。遊技盤18上には釘が植設されており、この釘に当たりながらパチンコ玉は遊技領域9を流下する。スタートチャッカ23には、例えば電動チューリップと呼ばれる開閉式の可動装置が設けられ、これによってパチンコ玉が入賞しやすい状態と入賞しにくい状態とが切り替えられるようになっている。なお、遊技領域9に打ち出されたパチンコ玉が入賞チャッカ24やアタッカ26等のいずれにも入賞しない場合はアウト口33によって回収される。
【0022】
センター役物30には4つの保留表示部及び表示画面35が備えられており、保留表示部は、センター役物30上に設けられた表示画面35において図柄が変動表示されている間にスタートチャッカ23に設けられた始動入賞口にパチンコ玉が入賞するごとに1つ点灯する。この入賞は、電子抽選を行って図柄を変動させる権利として持ち越され、この権利の持ち越しは上限が4つまでと予め定められている。この権利を消化するごとに保留表示部は1つずつ消灯する。
【0023】
センター役物30に備えられた表示画面35は、例えば、横に3つの図柄を並べて表示して電子抽選の結果を告知する。始動入賞口にパチンコ玉が入賞したときに開始される電子抽選に応じて表示画面35に図柄を変動表示した後に、所定の図柄を停止表示することで遊技者に対して抽選結果が告知される。図柄は、例えば1〜9までの数字であり、図柄が縦に流れる変動表示が行われた後、電子抽選に当選した場合には同じ数字が3つ順次停止表示される。また、表示画面35に表示される図柄の表示態様には、当たりに対応した図柄が停止表示される前段階で、3つの図柄のうち2つが同じ図柄で停止表示され残る1つが変動表示される、いわゆるリーチ表示が設定されており、これによって遊技者に期待感を持たせている。
【0024】
スタートチャッカ23に設けられた始動入賞口(図示省略)にパチンコ玉が入賞すると予め決められた個数のパチンコ玉が払出口16から払い出されて受け皿12に流入する。また、始動入賞口にパチンコ玉が入賞すると電子抽選が開始され、乱数の抽出、抽出された乱数が当たりとなる乱数であるか否かの判定が行われ、判定の結果は表示画面35に表示される。
【0025】
スタートチャッカ23の下方には2つの入賞チャッカ24が設けられている。入賞チャッカ24には通常入賞口が設けられ、通常入賞口にパチンコ玉が入賞すると、所定の個数のパチンコ玉が払出口16を介して受け皿12に払い出されるようになっている。
【0026】
アタッカ26には大入賞口及び大入賞口を開閉する可動扉が備えられ、表示画面35によって当たりが告知されたときに可動扉が開放され、所定期間開放された場合や一定個数のパチンコ玉が入賞した場合に閉じる。大入賞口にパチンコ玉が入賞すると、これに応じて予め決められた個数のパチンコ玉が受け皿12に払い出される。大入賞口の一時的な開放が一定回数繰り返されると、当たりの告知に伴うアタッカ26の開放が終了するようになっている。
【0027】
遊技機本体3には、中枠36、後述する遊技盤ユニット、上扉4などからなる中枠ユニット38が着脱自在に取り付けられる。中枠36はマグネシウム合金によって枠状に形成されており、枠内に遊技盤ユニットが保持されている。
【0028】
遊技機本体3は、外枠40、内枠41、及び中枠36とから構成され、遊技盤ユニット50は、内枠41に組み込まれた中枠36に対し着脱自在とされる、あるいは中枠ユニット38として内枠41に組み込まれて内枠41から中枠36とともに着脱自在とされる。外枠40は遊技場に固定され、内枠41は外枠40の内側に嵌め込まれる。内枠41はプラスチックで形成されており、その内側には中枠ユニット38を固定するための開口41aが形成され、この開口41aの周囲にはスピーカ43などが配置されている。
【0029】
内枠41の側端部には上扉4を開放するための専用のキーが差し込まれるキーシリンダ42が配置され、このキーシリンダ42は施錠装置に設けられている。内枠41からは前方に向かって係止爪45が突出しており、この係止爪45が中枠36を介して上扉4に掛かり、上扉4が閉鎖される。
【0030】
図2に示すように、遊技盤ユニット50における盤面の側端部には、遊技盤ユニット50を中枠36に固定するための固定具が挿通される挿通孔60が形成されている。挿通孔60は遊技盤ユニット50の上部及び下部に形成され、下部の挿通孔60は保護カバー65によって覆われるようになっている。中枠36には挿通孔60の位置に対応して固定具67が設けられ、固定具67の一端は中枠36によって保持され、他端には回動操作される頭部67aが設けられている。固定具67は軸部67bと軸部67bの端に回動自在に設けられた頭部67aとによってT字形状をしており、頭部67aは盤面と略平行となる平面を備えている。頭部67aは挿通孔60よりも一回り小さく形成され、挿通孔60を通って前面に突出した頭部67aを90°回動させると、挿通孔60の周囲面と頭部67aが有する平面とが係合する。このように固定具67の頭部67aが挿通孔60の周囲に係止し、これによって遊技盤ユニット50が中枠36に固定される。なお、上記では頭部67aが略90°回動操作されることにより遊技盤ユニットの前面に係止する固定具を例示したが、固定具はこれに限らず、ネジなどでもよい。中枠にネジが螺嵌されるネジ穴を設け、挿通孔を通されたネジがネジ穴に螺嵌されることで遊技盤ユニットを中枠に固定することができる。
【0031】
保護カバー65は、固定具67の頭部67aを覆う閉じ位置と固定具67の頭部67aを露呈させる開き位置との間で開閉自在に設けられ、閉じ位置においてロックできるようになっている。保護カバー65の上方には、後述するラッチ部材を視認するための窓70が設けられている。
【0032】
図3に示すように、遊技盤ユニット50は、遊技盤18、前面部材52、裏機構板53とから構成されている。裏機構板53には、表示画面35とそのコントローラ等が収納された収納箱55と、入賞の検知及び賞球の払い出し等を管理する制御回路装置等が収納された制御基板収納箱57とが取り付けられている。前面部材52は、遊技盤18上に遊技領域9を形成するともに遊技領域9の外側に位置する遊技盤18を覆っている。前面部材52にはレール52aが形成され、このレール52aによって遊技領域9の内外が仕切られている。遊技領域9の外には、保護カバー65、電飾用の電球やLEDなどが設けられ、保護カバー65は前面部材52に図示しないヒンジ部を介して取り付けられている。
【0033】
保護カバー65には、閉じ位置でロックするために操作されるラッチ部材72が備えられている。ラッチ部材72は交換可能であり、保護カバー65にはラッチ部材72を交換するために押さえ部材68が着脱可能に取り付けられている。この押さえ部材68は、ラッチ部材72を交換する際に取り外され、古いラッチ部材72を新しいラッチ部材72に交換した後に再び保護カバー65に組み付けられる。
【0034】
図4に示すように、保護カバー65は、平らな上面65aと、この上面65aに連なる側面65bとを有する。保護カバー65にはラッチ部材72が設けられ、ラッチ部材72は保護カバー65内に収められた収納位置から、保護カバー65より突き出た突出位置に移動可能に設けられている。保護カバー65の側面65bにはラッチ部材72を突出させるための突出開口65cが形成されている。上面65aには、パチンコ機2が検査に合格したことを示す証紙を貼付するための貼付部69が形成されている。
【0035】
遊技盤ユニット50には、保護カバー65から突出したラッチ部材72を受け入れる受入部74が設けられている。受入部74にはラッチ部材72が突入する突入開口74aが形成され、保護カバー65が閉じ位置にセットされたとき、突入開口74aと突出開口65cとが所定の間隔を隔てて対向するようになっている。受入部74は、例えば透明なプラスチック板からなる窓70によって覆われ、これにより、遊技場の管理者は、受入部74に突入したラッチ部材72の先端を目視することができる。
【0036】
ラッチ部材72はプラスチックなど弾性的に変形可能な材料からなり、ガイド部72a、及び操作部72b、鏃状に形成された逆止爪(爪部)、くびれ状の破壊部とから構成されている。逆止爪は複数設けられ、第1、第2、第3の逆止爪72c、72d、72eが数珠繋ぎ状に形成され、第1の逆止爪72cは青色に、第2の逆止爪72dは黄色に、第3の逆止爪72eは赤色にそれぞれ着色されている。ガイド部72aは、保護カバーに形成されたガイドレール72f上で滑るように支えられ、ガイドレール72f上に形成された3つの半球形状の小突起72g〜72iによって分けられた4つの位置で、外部から一定以上の力が加わらない限り、一時的に係止するようになっている。ガイドレール72fの下端から第1の小突起72gまでが第1の位置、第1の小突起72gと第2の小突起72hとの間が第2の位置、第2の小突起72gと第3の小突起72iとの間が第3の位置、第3の小突起72iとガイドレール72fの上端までが第4の位置であり、それぞれの位置にラッチ部材72のガイド部72aがセットされると、これに応答して第1〜第3の逆止爪72c〜72eが受入部74に突入する。
【0037】
受入部74に設けられた突入開口74aの周囲には第1〜第3の逆止爪72c〜72eを受ける爪受け74bが形成されている。それぞれの逆止爪72c〜72eは、突入開口74aよりも一回り大きく形成されているが、受入部74に強制的に向けて押されて突入開口74aに当接したときに左右に延びる矢端部72pがより細く弾性変形して突入開口74aを通り受入部74内に進入する。受入部74の内部空間はそれぞれの逆止爪72c〜72eよりも大ききく、突入開口74aに進入する際に細く変形した逆止爪72c〜72eの左右に延びる矢端部72pは元の大きさに戻る。このため、ラッチ部材72を受入部74から引き抜こうとしても、各逆止爪72c〜72eが爪受け突起74cに係合するために引き抜くことができない。受入部74の内部空間は突入開口74a以外からは進入不能な密閉空間となっており、一旦受入部に進入した逆止爪72c〜72eは外部からの接触が不能な封止状態となる。操作部72bは保護カバー65の表面65aから突出しており、遊技場の管理者が操作しやすいようになっている。なお、第1、第2、第3の逆止爪72c、72d、72eの色は青、黄。赤に限らず、これ以外の色を着色してもよい。
【0038】
ガイド部72aは、最初第1の位置にセットされている。操作部72bが操作されてガイド部72aが第2の位置にセットされると、第1の逆止爪72cが受入部74に突入する。これによって保護カバー65の開放が禁止される封止状態となり、保護カバー65に被覆された固定具67の頭部67aを操作することができなくなる。第1、第2、第3の逆止爪72c、72d、72eのそれぞれの間には、マイナスドライバーなどの先端で突くことによって破壊されるようにくびれた第1、第2、第3の破壊部72k、72l、72mが形成されており、第1の逆止爪72cが受入部74に突入したときには、第1の破壊部72kが保護カバー65と受入部74との間に形成された空間から露呈する。この後に固定具67を操作するときには、遊技場の管理者がマイナスドライバーの先端を保護カバー65と受入部74との間隙に差し込んで破壊部72kを突くことにより、第1の逆止爪72cがラッチ部材72から分離され、これによって保護カバー65を開放することができる。
【0039】
第1の破壊部72kを破壊した後、操作部72bが操作されてガイド部72aが第3の位置にセットされると、第2の逆止爪72dが受入部74に突入する。このとき、第2の破壊部72lが保護カバー65と受入部74との間隙から露呈する。第2の逆止爪74dが受入部74に突入した後は、露呈した第2の破壊部72lを破壊することで保護カバー65を開放することが可能となる。同様に、第2の破壊部72lを破壊した後、ガイド部72aが第4の位置にセットされると、第3の逆止爪72eが受入部74に突入し、第3の破壊部72mが保護カバー65と受入部74との間隙から露呈する。第3の逆止爪74eが受入部74に突入した後は、露呈した第3の破壊部72mを破壊することで保護カバー65を開放することが可能となる。受入部74に逆止爪がある程度たまったときには、窓70を取り外して中の逆止爪を取り出すことで逆止爪がスムーズに入るように維持することができる。なお、窓をワンウェイネジで固定し、窓を取り外すときは破壊しなければならないようにすることで防犯性をさらに高めることができる。
【0040】
本発明の作用について図5を用いて説明する。遊技盤ユニット50が中枠36に嵌め込まれ、固定具67の頭部67aが回動されて遊技盤ユニット50が中枠36に固定された後、保護カバー65が閉じ位置にセットされる。保護カバー65が閉じ位置にセットされると、保護カバー65の突出開口65cと受入部74の突入開口74aとが対向する。そして、図5(a)に示すように、ラッチ部材72の操作部72bが操作されてガイド部72aが第2の位置にセットされると、第1の逆止爪72cが受入部74に突入する。第1の逆止爪72cが受入部74に突入すると、保護カバー65の開閉がラッチ部材72によって阻害されるために保護カバー65を開放することができず、これによって固定具67の頭部67aを操作できなくなる。そして、保護カバー65の上面65aに設けられた貼付部69には証紙が貼付される。
【0041】
固定具67の頭部67aを操作するときは、マイナスドライバーの先端等を保護カバー65と受入部74との間に差し込んでラッチ部材72の第1の破壊部72kを突いて壊す。これによって保護カバー65の開放が可能となる。図5(b)に示すように、ラッチ部材72の操作部72bが上方に操作されてガイド部72aが第3の位置にセットされると、第2の逆止爪72dが受入部74に突入し、保護カバー65の開放が禁止される。また、同様に、第2の破壊部72lが破壊された後、さらに操作部72bが上方に操作されてガイド部72aが第4の位置にセットされると、第3の逆止爪72eが受入部74に突入し、保護カバー65の開放が禁止される。
【0042】
上記のように、ラッチ部材72には、3つの逆止爪72c〜72eが設けられているため、1つのラッチ部材72で保護カバー65の開放の禁止及びその解除を3回繰り返すことができる。第1〜第3の逆止爪72c〜72eはそれぞれ青、黄、赤に着色されており、遊技場の管理者は、受入部74の窓70から見える逆止爪の色を確認することで逆止爪の残数を把握することができる。
【0043】
逆止爪の残存がなくなったラッチ部材72は保護カバー65から取り外され、新しいラッチ部材72が取り付けられる。ラッチ部材72を交換する際には、押さえ部材68を保護カバー65から取り外し、逆止爪のなくなったラッチ部材72を取り外して新しいラッチ部材72を装着し、押さえ部材68を保護カバー65に取り付ける。以上のように、保護カバー65にラッチ部材72を設け、遊技盤ユニット50に受入部74を設けることにより、保護カバー65を閉じ位置でロックすることができ、固定具67の頭部67aを操作させないようにすることができる。
【0044】
なお、上記の実施形態では、ラッチ部材72には3つの逆止爪72c〜72eが設けられていたが、逆止爪の数はこれに限らず、1つや4つでもよい。例えば、ラッチ部材に1つの逆止爪を備えたことにより、保護カバーをロックするための構造を簡便にすることができる。
【0045】
また、上記の実施形態では、鏃状に形成された第1、第2、第3の逆止爪72c、72d、72eをラッチ部材72に設け、この爪によってラッチ部材72が逆方向にスライドしないようにしたが、ラッチ部材72の逆方向のスライドを禁止する方法はこれに限らない。例えば、ガイド部が通る案内路内の突起を逆止め構造にしてラッチ部材が戻れないようにしてもよい。図6に示すように、保護カバー90には、受入部74側に向かって鋭く突き出た逆止爪90dが設けられている。ラッチ部材80の操作部80bが受入部74に向けて押されると、先端部80cが受入部74に突入するとともにガイド部80aが逆止爪90dを通り過ぎる。ガイド部80aが逆止爪90dを通り過ぎた後は、逆止爪90dによってラッチ部材80は戻れなくなるため、保護カバー90はラッチ部材80によって開放が禁止される。
【0046】
また、上記の実施形態では、保護カバー65にラッチ部材72を設け、前面部材52に受入部74を設けたが、本発明はこれに限らず、全面部材にラッチ部材を設け、保護カバーに受入部を設けてもよい。前面部材にはラッチ部材がスライド移動自在に設けられ、保護カバーには受入部が設けられている。保護カバーが閉じ位置にセットされ、逆止爪が受入部に突入すると保護カバーの開放が禁止される。このように、保護カバーに受入部を設け、前面部材にラッチ部材を設けることによっても、固定具が不正に操作されることを防止することができる。
【0047】
また、図7に示すように、逆止爪72c〜72eを取り出すための取出開口100bを、突入開口100aと垂直に交差するように設けてもよい。取出開口100bは各逆止爪72c〜72eの幅Hよりも大きく形成されており、このためラッチ部材72から分離された各逆止爪72c〜72eを略90度回転させて取出開口100bからスムーズに取り出すことができる。
【0048】
また、上記の実施形態では遊技機としてパチンコ機を例示したが、本発明はこれに限らず、遊技媒体としてパチンコ玉を用いるスロットマシンなど他の遊技機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ユニットごとに分解したパチンコ機を前側から観察した外観斜視図である。
【図2】遊技盤ユニットを斜めから観察した外観斜視図である。
【図3】遊技盤ユニットを構成部材ごとに分解した分解斜視図である。
【図4】保護カバー及び受入部を、案内路に沿って保護カバーの表面と垂直な方向に切断した斜視断面図である。
【図5】ラッチ部材によって保護カバーを閉鎖する様子を示した説明図である。
【図6】案内路内に、ラッチ部材が逆方向に移動することを禁止する逆止爪を設けた保護カバーの斜視断面図である。
【図7】逆止爪を受入部から取り出すための取出開口が突入開口と垂直に交わるように形成された受入部の斜視断面図である。
【符号の説明】
【0050】
2 パチンコ機(遊技機)
3 遊技機本体
4 上扉
5 下扉
9 遊技領域
18 遊技盤
36 中枠
50 遊技盤ユニット
52 前面部材
52a レール
60 挿通孔
65 保護カバー(カバー)
67 固定具
67a 頭部
69 貼付部
70 窓
72 ラッチ部材
72a ガイド部
72b 操作部
72c、72d、72d 第1〜第3の逆止爪(爪部)
72k、72l、72m 第1〜第3の破壊部
74 受入部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤ユニットにおける盤面の表裏に挿通可能な固定具の一端が遊技機本体に保持され、前記固定具の他端に設けられた頭部を前記遊技盤ユニットの前面に係止状態とすることで前記遊技機本体に取り付けられた前記遊技盤ユニットを固定し、前記遊技盤ユニットの前面に露呈した前記固定具の頭部の係止を解除状態とすることによって前記遊技盤ユニットが前記遊技機本体から取り外される遊技機において、
前記固定具の頭部を覆う閉じ位置と前記固定具の頭部を露呈させる開き位置との間で開閉自在に前記遊技盤ユニットに取り付けられたカバーと、
前記カバーと前記遊技盤ユニットとのうちどちらか一方に設けられ、一方に収められた収納位置から一方より突き出た突出位置にスライド移動自在なラッチ部材と、
前記一方と異なる他方に設けられ、前記カバーが閉じ位置にセットされているときに前記突出位置にスライド移動させた前記ラッチ部材の突き出た部分を受け入れる受入部と、
前記突出位置に移動させた後に前記ラッチ部材を前記収納位置に戻すスライド移動をすることを禁止する禁止部とを設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記禁止部は、前記突出位置にスライド移動したときに前記受入部に入り込む前記ラッチ部材に設けられた弾性を有する爪部と、前記受入部に設けられ、前記爪部を受ける爪受けとからなり、
前記ラッチ部材を前記収納位置から前記突出位置に向けてスライド移動させた後に前記爪部が前記爪受けと当接し移動を規制することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ラッチ部材から前記爪部を分離する破壊部が形成されており、
前記爪部が前記受入部に受け入れられたとき、前記破壊部は前記カバーと前記受入部との間から外部に露呈することを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記爪部は、前記破壊部を介在させて数珠繋ぎ状に複数設けられていることを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記複数の爪部はそれぞれ異なる色に着色され、
前記受入部に前記爪部を視認するための窓を設けたことを特徴とする請求項4記載の遊技機。
【請求項6】
前記カバーに証紙を貼付する貼付部を設けたことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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