説明

遊技機

【課題】遊技盤の遊技領域へ発射する遊技球の内、無駄球の発生率を軽減し、遊技者を救済する。発射強度調整と遊技盤面上の遊技とをリンクさせ、発射強度調整に遊技性という付加価値をつける。
【解決手段】遊技領域101の外レール102の上部位置に対向して、第1のブロック50と第2のブロック52を設け、所定以上の遠心力を持って外レール102に沿って移動してくる遊技球PBを第1のブロック50によって曲率半径を小さくして第2のブロック52方向へ案内し、第2のブロック52によって跳ね返らせ、発射強度が強すぎた遊技球PBを左打ちと同等の状態としたので、救済が可能となる。また、外レール102に沿った流路54を残しておき、遊技性を絡めて発射強度の調整という技量によって遊技者に有利な状態にできるため、遊技趣向性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置によって遊技球が打ち込まれることで、この遊技球の動向により遊技が進行する遊技盤面を有する遊技盤ユニットが装着され、前記遊技盤面が立壁面となる状態で設置される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機のようにパチンコ球を発射装置によって発射し、遊技盤面へ送り込む弾球遊技機では、発射装置の発射強度を遊技者が設定(調整)することができる。パチンコ機では、右下に配置されたハンドルの回転操作が、この発射強度の設定(調整)にあたる。なお、スマートボール等では、遊技者による杵の引き量が発射強度の設定(調整)にあたる。
【0003】
パチンコ機において、ハンドルの回転操作量は、電気的な信号レベル(例えば、抵抗値)に変換され、発射強度のソレノイドの移動速度(杵がパチンコ球をはじくときの初速度)を変更する。この結果、発射強度を調整することができる。
【0004】
一般的に、ハンドルの操作量は、その増加(回転角度の増加)で、発射強度が増加する、所謂右肩上がりの傾向の特性を維持するようになっている。当然、発射強度が強ければ強い程、パチンコ球の飛距離は長くなるが、遊技盤の構造上、ある程度の強度を超えたパチンコ球は、遊技盤面の遊技領域とそれ以外とを仕切る円弧状のレールの内周面に沿って、遠心力を持って移動する。
【0005】
なお、発射強度に関する技術の参考として、例えば、通常(左打ち)よりも強い強度で発射する必要がある場合に、この強い発射強度に対する回転操作位置を保持する係止手段を設けるといった技術(特許文献1参照)や、切替スイッチによって、遊技状態に応じて切替スイッチを切り替えることで、予め設定した異なる発射強度に調整されてパチンコ球を発射させる技術(特許文献2参照)等がある。
【特許文献1】特許第3597126号公報
【特許文献2】特開平8−262361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハンドルを目一杯回転(右打ち)したときの発射強度でのパチンコ球の行方は、遊技盤の遊技領域の最外周となることから、重要な遊技領域とは異なる領域を通過して、遊技領域の最下部に設けたアウト口へ到達することになる。
【0007】
言い換えれば、重要な領域にパチンコ球を案内するためには、ハンドルの操作量を中間的な位置(中間的な操作角度)とする必要がある。
【0008】
逆に、最適な操作量をハンドルの最大操作量とすることも考えられるが、これでは、遊技領域の全域にパチンコ球を案内することができない。また、機構上(ソレノイド等の駆動源の特性上)、常に最大強度で使用するのは、寿命の低下、故障の原因となるばかりでなく、発射強度が不安定となる。このため、通常は、最大発射強度の30〜70%程度の所謂強度が安定する領域することになり、最大強度(或いは、その近傍)で発射したパチンコ球は無駄球とならざるを得ない。
【0009】
特に、初心者は、が最初にハンドルを操作したとき等は、最大強度となる傾向にあり、無駄球が多い。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、遊技盤の遊技領域へ発射する遊技球の内、無駄球の発生率を軽減し、遊技者を救済することができる遊技機を得ることが目的である。
【0011】
また、上記目的に加え、発射強度調整と遊技盤面上の遊技とをリンクさせ、発射強度調整に遊技性という付加価値をつけることができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、発射装置によって遊技球が打ち込まれることで、この遊技球の動向により遊技が進行する遊技盤面を有する遊技盤ユニットが装着され、前記遊技盤面が立壁面となる状態で設置される遊技機であって、前記遊技盤ユニットの遊技盤面には、前記設置された状態において、下から上へ打ち出される遊技球の発射方向が接線方向となり、当該発射方向に対して延長するように形成された円弧状の案内壁と、前記案内壁の近傍に設けられ、所定値以上の遠心力によって前記案内壁に沿った移動軌跡で移動する遊技球を対象として、方向転換するように誘導する誘導壁とが設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、打ち出された遊技球は、まず下から上へと移動し、その後案内壁に沿って凸の円弧状に移動する。
【0014】
このとき、発射強度が強いとその分遠心力が働き、案内壁に沿って移動を継続する。
【0015】
ここで、所定値以上の遠心力によって案内壁に沿って移動する遊技球は、誘導壁により方向転換される。
【0016】
すなわち、従来、発射強度が強すぎて案内壁に沿って、そのまま遊技盤面の下部のアウト口まで到達してしまっていた遊技球を、前記方向転換によって、遊技の進行への関与率の高い領域に戻すことができ、発射強度が強過ぎた遊技球を救済することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記誘導壁は、少なくも遊技球の移動方向ベクトルの下向きの要素が所定以上になる前に案内壁の曲率半径を小さくして案内壁から離間させる離間案内部材と、前記離間案内部材によって案内された遊技球に当接して跳ね返らせる当接部材と、を備えていることを特徴としている。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、誘導壁を、離間案内部材と当接部材とで構成する。
【0019】
離間案内部材により発射強度が強すぎた遊技球(所定以上の遠心力を持った遊技球)であっても、案内壁から離間させることができる。
【0020】
当接部材は、離間した遊技球が当接することで、例えば、遊技球を遊技盤面の中央より左側へ跳ね返らせることができる。このとき、案内壁に沿った最外周の流路を消滅させることがないので、遊技盤面の領域を狭める必要はない。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記遊技球の方向転換が、当該遊技球の当接部材への入射方向と、跳ね返り方向と、の間の角度が、90°以下となる方向であることを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、遊技球の当接部材への入射方向と、跳ね返り方向と、の間の角度が、90°以下となる方向に設定することで、少なくとも「戻す」という概念を実現することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の発明において、前記所定値未満の遠心力、かつ特定範囲の遠心力によって案内壁に沿って移動することで、前記誘導壁に到達する前に案内壁から離間する遊技球を対象として、前記誘導壁によって制限された下流側の案内壁へ戻す案内部材を設けたことを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、所定値未満の遠心力、かつ特定範囲の遠心力によって案内壁に沿って移動する遊技球は、誘導壁に到達する前に案内壁から離間する。この遊技球を対象として、案内部材は、誘導壁によって制限された下流側の案内壁へ戻すことができ、所謂遊技盤面内に遊技球が通過しない死角を形成することが回避できる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記案内部材によって案内壁に戻された遊技球が案内される流路には、入賞又は通過することで遊技者に特典を付与する役物が設けられており、所定の条件が成立したときに、前記役物の遊技者への特典寄与率が増加することを特徴としている。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、役物が設けられることで、発射強度調整と、遊技性とをリンクさせることができ、遊技盤面上の遊技性を向上することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く本発明では、遊技盤の遊技領域へ発射する遊技球の内、無駄球の発生率を軽減し、遊技者を救済することができるという優れた効果を有する。
【0028】
また、上記効果に加え、発射強度調整と遊技盤面上の遊技とをリンクさせ、発射強度調整に遊技性という付加価値をつけることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1に示されるように、パチンコ機10は、パチンコ機10の外郭を構成するとともにホールの島設備に設置される矩形状の外枠12を備えている。外枠12の前面には矩形額縁状の内枠14が配置されており、内枠14は、外枠12に設けられた一対のヒンジ部16、18に左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。また外枠12の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り20が取り付けられている。
【0030】
内枠14の前面上部には、ガラス板22を装着したガラス枠26が配置されており、ガラス枠26は左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられている。また、ガラスフレームに装着されたガラス板22は、図1の紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行に配置された一対のガラス板からなる二重構造となっている。このガラス枠26の裏面側には、交換可能とされた遊技盤100(図2参照)がセットされており、遊技盤100は、ガラス枠26を内枠14に閉塞した状態でガラス枠26(ガラス板22)に覆われるようになっている。
【0031】
ガラス枠26の前面には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の表示灯142がガラス板22を取り囲むように配置されており、さらに左上隅及び右上隅には、賞球払出エラー及び払出状態エラー等の各種エラーを報知するエラー用の表示灯144が配置されている。また、各エラー用の表示灯144の内側には、遊技の効果音をステレオ出力するスピーカ146L、146Rが配設されている。
【0032】
内枠14の前面下部には、一般的な上皿及び下皿の機能を兼ね備える打球供給皿としての一体皿30が配置されている。一体皿30は、パネル部材32の左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられており、パネル部材32の前面には、上部に遊技球PBを貯える球皿部34が形成された球皿本体36が突設されている。
【0033】
図示を省略するが、球皿部34の底面は双方向に傾斜しており、一方は図1の正面視にて左側から右側に下る傾斜を手前側に配置し、他方は右側から左側に下る傾斜を奥側に配置し、両傾斜は正面視にて右側で円滑に連続形成されている。
【0034】
手前側の傾斜はパチンコ機10間に設けられた現金用遊技球貸出機(図示省略)を球皿部34の正面視、左側から受け入れて、右側に転動案内する一方、奥側の傾斜は球皿部34に受け入れた遊技球PB、後述する賞品球、あるいはカード式貸出機を介した貸出球などを球排出口46から受け入れて正面視、右側から左側に向かって転動案内する。
【0035】
この奥側の傾斜は、当該傾斜の下位方向に沿って遊技球転動流路の幅寸法を漸次、狭く形成されており、これにより、球皿部34にある遊技球PBがパネル部材32の裏面に配置された球送り装置(図示省略)に一列に整列させながら送り込まれる。
【0036】
パネル部材32の前面の右側上部には、パチンコ機10内に設けられた払出装置(図示省略)から払い出された賞球が排出される球排出口46が形成されている。
【0037】
また、パネル部材32の前面における左側下部には灰皿38が設けられ、右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル39が取り付けられている。
【0038】
なお、本実施の形態において、ハンドル39の発射強度の調整量としての「左打ち」、「右打ち」は、それぞれ以下のように定義される。
【0039】
(1)左打ち
発射装置40(図2参照)によって発射されるほとんどの遊技球PBを遊技領域101の左側を流下させる強度の打ち方
(2)右打ち
発射装置40(図2参照)によって発射されるほとんどの遊技球PBを遊技領域101の右側を流下させる強度の打ち方
発射ハンドル39は、パチンコ機10における図2の左下に設けられた発射装置40に連動している。
【0040】
発射装置40は、ベース40A取り付けられ、一体皿30から1列に整列しながら送り込まれた遊技球を打ち出し位置に位置決めする打ち出しステージ40Bと、ベース40Aに対して軸40Cを介して回転可能に取り付けられたトリガ40Dと、このトリガ40Dを軸40Cを中心に回転させる回転ソレノイド40Eとで構成されている。
【0041】
前記発射ハンドル39では、回転操作量が回転ソレノイド40Eの回転速度にほぼ比例しており、発射強度を調整することができる。この調整された発射強度でトリガ40Dが回転すると、トリガ40Dに設けられた杵部40Fが、前記打ち出し位置に位置決めされた遊技球PBを上向きに打ち出し、後述うる外レール102と内レール104との間に案内される。
【0042】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤100は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面100Aとなっており、盤面100Aの外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置40から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域101とされている。
【0043】
遊技盤100の遊技領域101におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105の中央には矩形状の開口が設けられ、その開口内には、表示画面に特別図柄の抽選(変動及び停止)や各種演出等の映像を表示する液晶表示器106が設けられている。以下、必要に応じてLCD106という。
【0044】
センター役物105の図2の左右側には、普通図柄始動入賞口としての通過ゲート(スルー・チャッカー)118が配置されている。
【0045】
なお、本実施の形態では、右側の通過ゲート118に関して、特別な遊技性を持たせることが可能となっている(後述)。
【0046】
また、センター役物105の真下には、特別図柄始動入賞口(スタート・チャッカー)108が配設され、その開口部の直下位置には、電動チューリップ110が取り付けられている。この特別図柄始動入賞口108のさらにその下方には、遊技領域101の下端部付近に位置して大入賞口としてのアタッカー112が配置されている。
【0047】
アタッカー112には、開閉扉116が開放又は閉塞することによって開口又は閉口するようになっており、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0048】
また、遊技領域101には、風車122や、遊技領域101内を自重落下する遊技球PBを所定の経路に誘導する多数の遊技釘(図示省略)が設けられており、最下位置に、外れ球を遊技盤100の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。さらに、この遊技領域101に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子126(図3参照)が多数設けられている。
【0049】
ここで、前記内レール104は、遊技盤100の図2の左側上部で終端となっているが、外レール102は依然として円弧状に延長され、案内壁として役目を有している。
すなわち、発射装置40から発射された遊技球PBは、外レール102の内周面に沿ってて、遊技盤100の遊技領域101へ送り出される。このとき、発射強度が弱いと早めに外レール102から離間して自重により落下する。
【0050】
一方、発射強度が強いと外レール102に沿って移動する時間が長くなる。このため、遊技者は、自身が送り込みたい遊技領域に基づいて発射ハンドル39の操作量を調整する必要がある。
【0051】
一般的には、所謂左打ちが最も特別図柄始動入賞口108への入賞率が高いため、遊技者は、発射ハンドル39の操作量を全操作量の30%〜50%程度を維持している。この操作量は、発射装置40の回転ソレノイド40Eにおいて、強度が安定する領域(30%〜70%)に含まれる領域であり、これよりも弱くても、強くても発射ハンドル39の操作量に対する発射強度が不安定となりやすい。
【0052】
ここで、本実施の形態では、遊技盤100の遊技領域101に、発射ハンドル39の操作量がほぼ最大となったときに発射される遊技球PB、すなわち、従来では遊技の進行にあまり関与しない遊技球PBを、当該左打ちと同等の方向に戻す機構を設けた。
【0053】
すなわち、図2に示される如く、外レール102における上側(上に凸の円弧状となっている部分)の幅方向右寄りには、遊技領域101に侵食するような、逆山型の第1のブロック50(離間案内部材)が取り付けられている。この第1のブロック50は、外レール102の曲率半径を小さくする役目を有し、外レール102と内レール104との間から遊技領域101に送り込まれた遊技球PBの内、外レール102に沿って移動する遊技球PBを外レール102から離間させるようになっている。また、離間してくる遊技球PBは、第2のブロック52(当接部材)に当接され、跳ね返されるようになっている。第2のブロック52における前記第1のブロッック50によって案内されてくる遊技球PBの当接面は、円弧面とされている。第2のブロック52では、遊技球PBが当接するとき、その入射方向と、跳ね返り方向との間の角度が90°よりも小さい、すなわち鋭角に戻され、かつ前記円弧面により、入射方向に関わらず、跳ね返り方向をほぼ同一方向とする構造となっている。
【0054】
また、第2のブロック52は、所謂独立した島形状であり、外レール102との間に遊技球PBが通過可能な流路54が設けられると共に、センタ役物105との間に遊技球PBが通過可能な流路55Aが設けられ、センタ役物105の頂部(所謂ヨロイ部)を図2の右方向に流下させる遊技球PBを通過させる。
【0055】
鋭角に戻される遊技球PBは、センター役物105の天井部材の上面に沿って、左方向へ転動し(図2の実線A参照)、結果として、発射ハンドル39を左打ちとなるように調整した操作量と、ほぼ同等の遊技領域101を移動する。
【0056】
これにより、極端に強い発射強度で発射された遊技球PB(所定以上の遠心力を持って移動する遊技球PB)は、救済されることになる。
【0057】
また、前記第1のブロック50によって案内される遊技球PBが持つ所定の遠心力よりも弱い遠心力であり、特定の範囲の遠心力を持つ遊技球PBは、案内部材として遊技釘56に当たり、第1のブロック50と第2のブロック52との間に案内される可能性を持たせている。これにより、発射ハンドル39の操作量によっては、遊技球PBを、第2のブロック52と外レール102との間の流路54に送り込むことが可能となる(図2の鎖線B参照)。
【0058】
この流路54の下流端には、前述した右側の通過ゲート118が配設されている。例えば、この右側の通過ゲート118を対象として、所謂「はまり(始動入賞による特別図柄抽選が所定回数連続して外れとなる現象)」となった時点で、普通図柄抽選の確率を高め、電動チューリップ110の開放率を高くするといった遊技性を加えることで、発射ハンドル39の操作量と遊技性とをリンクさせることが可能となり、発射強度調整による付加価値をつけることができる。
【0059】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
(パチンコ機10の遊技の流れ)
パチンコ機10による遊技では、遊技者が発射ハンドル39を操作すると、一体皿30の球皿部34に貯えられている遊技球PBは球送り装置により一球づつ発射装置40に供給され、発射装置40によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤100の遊技領域101に打ち込まれ、通常は遠心力の低下によって外レール102から離間して遊技釘に当たり方向を変えながら遊技領域101内の左側の領域(センター役物105よりも左側の領域)を落下する。そして、入賞せずに遊技領域101の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0061】
また、遊技球PBが通過ゲート118を通過すると、普通図柄の当たり/外れの抽選処理(普図抽選)が実行され、その普図抽選結果は、普通図柄表示装置107に、2桁の普通図柄が変動されその変動後に停止図柄の組み合わせによって表示される。
【0062】
この普図抽選の結果が「当たり」となった場合は、電動チューリップ110が所定時間開放され、遊技球PBが特別図柄始動入賞口108に入賞しやすい状態となる。
【0063】
また、特別図柄始動入賞口108へ入賞すると、特別図柄の当たり/外れの特図抽選処理が実行され、その特図抽選結果は、LCD106の下部の一部の領域(あるいは、独立した別の領域)では、2個の特別図柄が所定のパターンで変動されその変動パターンを経た停止図柄の組み合わせによって表示される。また、この表示に伴い、LCD106のほぼ全域では、演出図柄が所定のパターンで変動されその変動パターンを経て停止表示される。この演出図柄変動パターンの演出映像には、例えば、リーチを経た当たり図柄の表示又は外れ図柄の表示、あるいはリーチなしの外れ図柄表示など、様々な演出や趣向を加味した数多くのパターンが用意されており、遊技者は、それらの演出を受け特別図柄の抽選結果を期待感も持って観察する。
【0064】
(大当たり処理)
LCD106の表示画面に、例えば「444」や「777」等の予め定められた所定の大当たり図柄の組み合わせが表示されるとともに、照明演出用の表示灯142の点滅やスピーカ146L、146Rからの効果音出力などによる演出を加えて、大当たりが発生したことを遊技者に報知し、所定の大当たり処理を実行する。
【0065】
大当たり処理としては、開閉扉116の開閉動作によってアタッカー112が例えば10カウント(入賞個数)又は最大30秒間(1回の開放時間)/最高15ラウンド(継続回数)開放される。
【0066】
なお、アタッカー112内にVゾーンを設けた遊技仕様の場合には、1回のアタッカー112開放時にVゾーンへの入賞を果たすことで次ラウンドを継続するといった動作が行われる。
【0067】
これにより、遊技者は、発射した遊技球PBをアタッカー112へ容易に入賞させ、例えば入賞1個当たり15個の払い出しを受けるなどして、大量の賞球を獲得できるようになる。またこのときは、払出装置160が作動して所定数の賞球を払い出し、その払い出された賞球は、球排出口46から一体皿30の球皿部34に排出される。
【0068】
また、当たり図柄が、例えば「777」等の予め定められた所定の図柄であり、かつここでは、当該所定の図柄が奇数の組み合わせとなった場合には、上述した大当たり処理(特別遊技状態)の終了後に、次の大当たり確率がアップする「確率変動機能」、並びに、普通図柄表示装置107の変動時間が短縮され、始動口108が開放し易くなって球持ちをよくする「時短機能」といった付加機能が作動して、遊技者にとって有利な遊技状態が展開される。
【0069】
上記のような遊技において、例えば、特別図柄始動入賞口108への入賞率等は、予め設計によって定められるものであるが、これは、最適な球筋(遊技球PBの落下軌跡)でのことである。従って、特に初心者等は、遊技開始等の発射ハンドル39の操作開始時に、回転操作量を大きくしすぎることがある。
【0070】
この結果、その分発射強度が強くなり、打ち出された遊技球PBが、遠心力を維持して外レール102沿って遊技領域101の外周を移動する、或いはストッパに当接して移動力が減衰して遊技領域101の右側を落下するため、遊技者にとっても不利であり、設計側からみても設計どおりの始動率にならないという不具合が生じる。
【0071】
そこで、本実施の形態では、まず、強すぎる発射強度により発射された遊技球PBの救済を可能とするべく、遊技領域101に第1のブロック50及び第2のブロック52を設けた。
【0072】
発射強度が強すぎると、所定以上の遠心力を持った遊技球PBが発射されるため、外レール102から離れないで遊技領域101の上部を外レール102に沿って移動する。
【0073】
この外レール102に沿って移動する遊技球PBは、第1のブロック50によって曲率半径が小さくなり、外レール102から離れていく。
【0074】
第1のブロック50によって遊技領域101の内側へ若干方向が変えられた遊技球PBは、第2のブロック52に当接して、跳ね返される。このとき、第2のブロック52の当接面が円弧面となっており、遊技球PBの入射角が多少変化シテモ、同一の方向に跳ね返らせることができる。
【0075】
跳ね返った遊技球PBは、センター役物105の天井部の上面に沿って左方向に転動シ、センター役物105の左側を通って落下していく。すなわち、適正な移動軌跡によって落下するため、例えば、特別図柄始動入賞口108の入賞率を設計どおりとすることができる。
【0076】
この結果、遊技領域101内における最適な落下軌跡とする発射ハンドル39による操作幅が実質的に拡大するため、初心者から熟練者まで、公平な遊技を行うことができる。
【0077】
また、第2のブロック52は、外レール102から離し、遊技球PBが通過可能な流路54を設けているため、実質的に遊技領域101が狭まることはない。この流路54には、特定範囲の発射強度を調整することで、遊技釘56に当たった遊技球PBを案内させることができる。
【0078】
そこで、この特定範囲の発射強度で遊技球PBを流路54へ案内することを遊技にリンクさせることができる。すなわち、右側に配設された通過ゲート118に対して、所謂「はまり」が発生した時点で、普通図柄抽選の当選確率が高くするようにする。さらに、当選時には、電動チューリップ110の開放時間を長くする。
【0079】
遊技者にこれを報知することで、遊技者は発射ハンドル39の操作量の調整という技量を用いて、始動入賞率を高めることができる。
【0080】
なお、これは遊技に関する付加価値であるため、初心者と熟練者との格差があってもよく、特に熟練者は遊技趣向性を高めることができる。
【0081】
(従来と本実施の形態との比較)
図3は、発射ハンドル39の操作量(横軸)に対する、発射強度(左縦軸)との関係を実線で示し、発射ハンドル39の操作量(横軸)に対する、遊技球の飛距離(右縦軸)との関係を鎖線で示したものである。
【0082】
図3(A)は本実施の形態(第1のブロック50及び第2のブロック52、並びに遊技釘56の設置)の特性であり、図3(B)は従来の特性である。
【0083】
図3(B)に示される如く、従来は、発射ハンドル39の操作量が多ければ多い程発射強度は強くなり、遊技球の飛距離は、所謂外レール102に沿って遊技領域101の最外周を移動するのに必要な遠心力以上では飛距離は所謂頭打ちとなる。
【0084】
一方、図3(A)に示される如く、本実施の形態では、発射ハンドル39の操作量が最大よりも少ない操作量のときの飛距離が最大となっている。すなわち、所定以上の遠心力を持った遊技球PBは、第1のブロック50及び第2のブロック52によって跳ね返されるため、その分、無駄球をなくすことができる。
【0085】
なお、図3(A)及び(B)において、発射強度が安定するのは、斜線部分であり(30%〜70%)、この図3をみても正比例の関係(y=ax)となっていることがわかる。
【0086】
以上説明した如く本実施の形態では、遊技領域101の外レール102の上部位置に対向して、第1のブロック50と第2のブロック52を設け、所定以上の遠心力を持って外レール102に沿って移動してくる遊技球PBを第1のブロック50によって曲率半径を小さくして第2のブロック52方向へ案内し、第2のブロック52によって跳ね返らせ、発射強度が強すぎた遊技球PBを左打ちと同等の状態としたので、救済が可能となる。また、外レール102に沿った流路54を残しておき、遊技性を絡めて発射強度の調整という技量によって遊技者に有利な状態にできるため、遊技趣向性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】発射ハンドルの操作量(横軸)に対する、発射強度(左縦軸)との関係を実線で示し、発射ハンドルの操作量(横軸)に対する、遊技球の飛距離(右縦軸)との関係を鎖線で示したものであり、(A)は本実施の形態の特性図、(B)は従来の特性図である。
【符号の説明】
【0088】
10 パチンコ機(遊技機)
39 発射ハンドル
40 発射装置
40A ベース
40B ステージ
40C 軸
40D トリガ
40E 回転ソレノイド
40F 杵
50 第1のブロック(誘導壁、離間案内部材)
52 第2のブロック(誘導壁、当接部材)
54 流路
56 遊技釘
102 外レール(案内壁)
104 内レール
100 遊技盤(遊技盤ユニット9
101 遊技領域(遊技盤面)
105 センター役物
106 LCD
108 特別図柄始動入賞口
118 通過ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置によって遊技球が打ち込まれることで、この遊技球の動向により遊技が進行する遊技盤面を有する遊技盤ユニットが装着され、前記遊技盤面が立壁面となる状態で設置される遊技機であって、
前記遊技盤ユニットの遊技盤面には、
前記設置された状態において、下から上へ打ち出される遊技球の発射方向が接線方向となり、当該発射方向に対して延長するように形成された円弧状の案内壁と、
前記案内壁の近傍に設けられ、所定値以上の遠心力によって前記案内壁に沿った移動軌跡で移動する遊技球を対象として、方向転換するように誘導する誘導壁とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記誘導壁は、少なくも遊技球の移動方向ベクトルの下向きの要素が所定以上になる前に案内壁の曲率半径を小さくして案内壁から離間させる離間案内部材と、前記離間案内部材によって案内された遊技球に当接して跳ね返らせる当接部材と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技球の方向転換が、当該遊技球の当接部材への入射方向と、跳ね返り方向と、の間の角度が、90°以下となる方向であることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記所定値未満の遠心力、かつ特定範囲の遠心力によって案内壁に沿って移動することで、前記誘導壁に到達する前に案内壁から離間する遊技球を対象として、前記誘導壁によって制限された下流側の案内壁へ戻す案内部材を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項記載の遊技機。
【請求項5】
前記案内部材によって案内壁に戻された遊技球が案内される流路には、入賞又は通過することで遊技者に特典を付与する役物が設けられており、所定の条件が成立したときに、前記役物の遊技者への特典寄与率が増加することを特徴とする請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−212557(P2008−212557A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57644(P2007−57644)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】