説明

遊技機

【課題】通路内を流下する遊技球に接触して減速させる接触部材を配置することで、上下方向距離を充分にとれないセンター役物に適用して好適な減速手段となるようにした遊技機を提供する。
【解決手段】雀球遊技機では、ワープ導入口41と球放出口43aとの間の通路46内に、遊技球の流下速度を低減する風車部材56や弁部材42が回動自在に支持され、通路46内を流下する遊技球Baに接触可能に垂下する接触部材57,48が設けられている。このため、ワープ導入口41に進入した遊技球Baに対する有効な減速効果が得られ、減速手段を設ける部位やその設計に応じて、柔軟に対処できる構造が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に係り、特に、遊技領域にセンター役物を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機、例えばパチンコ機として、球受け皿に滞留している遊技球が、発射ハンドルの操作に応じて遊技盤の遊技領域に打ち出された後、遊技領域の障害釘や風車等に導かれつつ盤面を流下して、各種入賞口に入球し、或いは入球せずに遊技領域下部のアウト口に流入するように構成されたものが知られている。
【0003】
このようなパチンコ機では、一般入賞口に入球した際にはそれに対応した個数の遊技球が払い出され、また始動チャッカーに入球した際にはこれに基づいて当たり外れや演出パターンの抽選が行われると共に所定数の遊技球が払い出される。この抽選結果に基づき選定された演出パターンに応じて、例えば遊技盤の中央部分に設けられた液晶表示画面や各種の照明装置を介した視覚的表現、スピーカを介した聴覚的表現などを用い、様々な演出が行われる。なお、当たり(以下、「大当たり」ともいう)の発生時(つまり、特別遊技状態の抽選に当選した時)には、アタッカーと呼ばれる大入賞口が開放し、入球に対応して多量の遊技球が払い出される遊技者に有利な特別遊技状態となる。
【0004】
上述のようなパチンコ機にあって、以下のようなものが知られている(特許文献1参照)。すなわち、特許文献1に記載のパチンコ機は、可変表示ユニットを配置した遊技領域を区画形成するレールユニットを遊技盤面に有し、これらレールユニットと可変表示ユニットとの間に、遊技球が通過可能な球案内通路を形成し、かつレールユニット及び可変表示ユニットの少なくとも一方に、遊技球の落下速度を抑制する減速部を一体成形して、上記球案内通路を通過する遊技球が必ず上記減速部を通過するようにし、障害釘に頼ることなく遊技球の落下速度を抑制するように構成されている。
【0005】
上記減速部において、上方から下方に向けてジグザグ状(稲光状)に配置された対向する2本のレール部により上記球案内通路が構成されており、該球案内通路の上部側に配置された段差部の返しゴムに当接した遊技球が、該2本のレール部で区画された上記球案内通路を凸部、凹部に交互に当接しながら落下し、落下速度を減速された後、球案内通路出口の直下方に位置する装飾ランプに当接し、遊技領域の中央側に転動する。
【0006】
【特許文献1】特開2005−000542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載のパチンコ機では、球案内通路を流下する遊技球を、上記球案内通路内のそれぞれ3箇所ずつの凸部と凹部に交互に当接させながら落下速度を抑制する構成のため、上下方向の距離が長くなり、コンパクト化することは困難であった。すなわち、遊技球の落下速度の有効な低減作用を得ることは、凸部と凹部を1箇所や2箇所程度設置するだけでは無理であり、少なくとも凸部と凹部をそれぞれ3箇所以上設置しなければ実現が困難であることは容易に理解できる。
【0008】
そのため、上記構造の減速部の設置は、上下方向距離が充分にある部位に限られることになり、例えば、遊技領域の中央部に配置されるセンター飾りでは、上下方向距離を充分に満たすことが困難なことから、該センター飾りのワープ導入口から導入される遊技球を有効に減速してステージに放出することは困難になる。
【0009】
そこで本発明は、遊技球を流下させる通路内に凸部及び凹部を設けることなく、通路内を流下する遊技球に接触して減速させる接触部材を配置することで、上下方向距離を充分にとれないセンター飾り(センター役物)に適用して好適な減速手段となるように構成し、もって上述した課題を解決した遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図9参照)、遊技領域(2a)に、遊技球(Ba)を転動させるステージ(S)と、該遊技領域(2a)に打ち出された遊技球(Ba)を導入する球導入口(41)と、該球導入口(41)から導入された遊技球(Ba)を前記ステージ(S)に放出する球放出口(43a)と、を有するセンター役物(12)を備えた遊技機(1)において、
前記球導入口(41)と前記球放出口(43a)との間の通路(46)内に、前記球導入口(41)から導入された遊技球(Ba)の流下速度を低減する減速手段(56,42)を設け、
該減速手段(56,42)は、前記通路(46)内に回動自在に支持され、かつ該通路(46)内を流下する遊技球(Ba)に接触可能に垂下する接触部材(57,48)を有してなる、
ことを特徴とする遊技機(1)にある。
【0011】
請求項2に係る本発明は(例えば図4及び図7参照)、前記接触部材(57,48)が、前記球導入口(41)及び前記球放出口(43a)のうちの少なくとも一方の近傍に配置されてなる、
請求項1記載の遊技機(1)にある。
【0012】
請求項3に係る本発明は(例えば図4ないし図6参照)、前記センター役物(12)における前記球導入口(41)の近傍に、回転自在な風車部材(56)を有し、
前記接触部材(57)は、該風車部材(56)の一部を構成し、かつ該風車部材(56)の回動軸(56a)を中心として垂下する重り部である、
請求項1又は2記載の遊技機(1)にある。
【0013】
請求項4に係る本発明は(例えば図3参照)、前記ステージ(S)が、前記球放出口(43a)から放出された遊技球(Ba)を転動させてその落下位置を振り分ける振分け部(54)を有し、
前記接触部材(57,48)は、前記球放出口(43a)からの遊技球(Ba)をその転動速度を低減して前記振分け部(54)に向かわせてなる、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の遊技機(1)にある。
【0014】
請求項5に係る本発明は(例えば図3参照)、前記遊技機が、複数の牌種からなる麻雀牌の図柄に対応する複数の入球口(11c、11d、11e、…)を前記遊技領域(2a)に備え、かつ該遊技領域(2a)に打ち出されて前記球導入口(41)から導入された遊技球(Ba)を前記ステージ(S)を介して前記複数の入球口(11c、11d、11e、…)のいずれかに入球させ、該入球で得られた手牌図柄の組合せにより、予め設定された複数の上がり役のうちの少なくとも1つを完成させるように遊技し得る雀球遊技機である、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の遊技機(1)にある。
【0015】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によると、球導入口と球放出口との間の通路内に遊技球の流下速度を低減する減速手段が、回動自在に支持されて、通路内を流下する遊技球に接触可能に垂下する接触部材を有するので、球導入口から進入した遊技球を接触部材に接触させることにより有効な減速作用を得ることが可能になり、従って、減速手段を設ける部位やその設計に応じて柔軟に対処できる構造を実現でき、上下方向距離を充分にとれないセンター役物に対しても良好に適用することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によると、球導入口に導入された直後や、球放出口から放出する直前に遊技球を接触部材に接触させることで、有効に減速することが可能になると共に、球導入口と球放出口との間に他の接触部材を配置しなくてよいことから、球導入口と球放出口間の通路の長さを自在に設定することができる。従って、センター役物のサイズに応じた最適な減速手段を提供することができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によると、減速手段として機能する接触部材を、装飾部材を兼ねる風車部材の一部を成す重り部としたので、該重り部に遊技球を接触させて有効に減速させると共に風車部材を回転させることができ、従って、減速効果と装飾効果の双方を得ることができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、球導入口から導入した遊技球をできる限り減速させて球放出口から放出し、当該遊技球を振分け部上で緩やかに転動させて落下位置を振り分けることができ、従って、どの位置に落下するかを遊技者にゆっくりと視認させ、演出性を高めることができる。
【0020】
請求項5に係る本発明によると、遊技機が雀球遊技機であるため、球導入口から導入された遊技球を減速してステージに放出した後、いずれかの入球口に入球させることができるので、減速されてステージ上を緩やかに転動する遊技球がどの入球口に入球し、どの麻雀牌図柄を取得できるかのワクワク、ドキドキ感(喜悦感)を遊技者に享受させ、興趣を高めることができる。そして、雀球遊技機では、通常複数の入球口が並列しているため、それら入球口に遊技球を均等に振り分けることが遊技上の重要なポイントになっており、従って、本発明の減速手段により遊技球を十分に減速できることで、振り分け精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る遊技機の実施の形態として、遊技場等に設置される雀球遊技機について図1ないし図9を参照して説明するが、本発明は、雀球遊技機に限らず、遊技領域にセンター飾りを備える遊技機であればパチンコ遊技機やアレンジ式遊技機等にも適用可能であることは勿論である。なお、図1は本実施形態における雀球遊技機を示す斜視図、図2は図1における遊技盤面部を抜粋して示す斜視図、図8は図1における操作パネルの構成を示す正面図、図9は図1における画像表示装置に表示する画面例を説明するための図である。
【0022】
本実施の形態では、27種の牌の図柄を各4個、計108個の牌を使用して遊技を行う雀球遊技機1を例に挙げて説明する。この27種の牌の図柄は、例えば、萬子が「一萬」〜「九萬」の9種、筒子が「一筒」〜「九筒」の9種、索子が「一索」と「九索」の2種、字牌が「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」の7種である。従って、萬子と筒子が数牌となり、索子の「一索」と「九索」は、順子を形成することができないので字牌に含めている。これにより、本実施形態における牌種とは、上記の「萬子」、「筒子」、「字牌」の3種を示すことになる。
【0023】
なお、上記した2種の数牌は、例えば、萬子を「一萬」〜「九萬」の9種類の図柄、索子を「一索」〜「九索」の9種類の図柄から構成し、字牌は筒子の「一筒」と「九筒」、及び「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」から構成される麻雀牌の図柄を有する雀球遊技機にすることも可能である。また例えば、索子を「一索」〜「九索」の9種類の図柄、筒子を「一筒」〜「九筒」の9種類の図柄から構成し、字牌は筒子の「一萬」と「九萬」、及び「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」から構成される麻雀牌の図柄を有する雀球遊技機にすることも可能である。
【0024】
図1に示すように、本雀球遊技機1は遊技機本体1aを備えてなり、該遊技機本体1aの前面部は、基本的には遊技盤面部(遊技領域)2a、操作パネル3、操作パネル3の下方に設けられた遊技球発射レバー4、メダル受け皿5、音声や効果音(以下、一括して音声という)を出力する音声出力装置であるスピーカー6、ランプ装置7等から構成される。なお、符号1bは、遊技機本体1aに対して開閉可能に支持された前扉を示す。
【0025】
図2に示すように、遊技盤面部2aの略中央部には、所要の演出表示を行うための液晶表示装置等の画像表示装置38を開口部13から露出した状態のセンター飾り(センター役物)12が配置され、該センター飾り12の上方には表示部37が配置され、センター飾り12の左右下方には入球口11a,11bが配置されている。センター飾り12の右方には、遊技球が通過可能なアタッカー作動通過口10が配置され、該アタッカー作動通過口10の直下方には、アタッカー9が配置されている。このアタッカー9は、和了した際の上がり役が特別役(例えばビッグ役)である場合に開放して後続ゲーム中に自摸牌の選択を自由にするための可変入球口を構成している。また、アタッカー作動通過口10は、特別役で和了した際に遊技球の入球が有効となって、該入球に対応してアタッカー9を開放させる。
【0026】
遊技盤面部2aにおける入球口11c〜11e、…とステージSとの間には、入球口11c〜11e、…の直ぐ上方にて各入球口の入球幅を規制するための多数の障害釘(図示せず)が打ち込まれている。なお、遊技盤面部2aには、風車(図示せず)や上記とは別の障害釘(図示せず)が設けられている。
【0027】
ステージSの下方に複数個(本実施形態では25個)配列された上記入球口11c、11d、11e、…は、一索及び九索を除いた牌の図柄25種(図柄は図示せず)に対応して、25個が設けられている。また、入球口11a,11bにはそれぞれ「一索」と「九索」が表示されており、また入球口11cには「一萬」、入球口11dには「二萬」、入球口11eには「三萬」というように、所要の麻雀牌図柄が順次表示されている。
【0028】
一方、操作パネル3には、図8に示すように、液晶表示装置等からなる画像表示部14、メダル投入口15、及び各種の操作ボタンが設けられている。この各種の操作ボタンとして、13個のボタンが横方向に並設された捨て牌ボタン16a、16b、…、16m、自摸牌捨てボタン17、リーチボタン18、牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21、払い出しボタン22、遊技終了ボタン23、遊技開始ボタン24、及びリジェクト(REJECT)ボタン25が配置されている。なお、遊技者がこれらの各ボタン、例えば自摸牌決定ボタン21を操作すると、自摸牌決定信号が発生し、この信号が、マイクロコンピュータから構成される制御部(図示せず)に入力される。そして、該制御部に搭載されているソフトウエア(プログラム)は、入力された信号ごとに、ゲームを進行させるために予め設定された処理を実行するようになっている。
【0029】
画像表示部14には、その表示面に種々の表示部が設定され、遊技者に対してゲームの進行に応じて必要な情報や画像及び演出用画像をこの表示部に表示するようにしている。例えば、図9に示すように、表示面の上部横方向には、遊技メダル貯留枚数表示部26、残り遊技球数表示部27、風牌表示部28、表ドラ表示部29、裏ドラ表示部30、上がり牌表示部31、特別遊技のうち、ビッグゲームの権利を得ることができる上がり役を示すビッグゲーム上がり役表示部32、更に、チャンスゲームの権利を得ることができる上がり役を示すチャンスゲーム上がり役表示部33、捨て牌の図柄を表示する捨て牌表示部34が設けられ、ゲームの進行に応じて牌の図柄、演出画像、数値等が表示される。なお、上述した、ビッグゲームの権利を得ることができる上がり役及びチャンスゲームの権利を得ることができる上がり役を「特別役」と称すると共に、該特別役以外の上がり役を「通常役」と称する。
【0030】
更に、画像表示部14の表示面の下部横方向には、13個の手牌の図柄を表示する手牌表示部35、及び自摸した牌の図柄を表示する自摸牌表示部36が設けられている。なお、手牌表示部35及び自摸牌表示部36に表示している各図柄の下部には、捨て牌ボタン16a、16b、…、に対応するボタン名(A、B、C、D、E、・・・)が表示されている。また、表示される麻雀牌の図柄はカラーで表示される。
【0031】
ついで、センター飾り12及び該センター飾り12に備えた減速手段等の詳細な構造を、図3ないし図7を参照して説明する。なお、図3はセンター飾りを遊技盤面部から取り外した状態で示す斜視図、図4はセンター飾りに備えた減速装置を示す正面図である。
【0032】
図3に示すように、センター飾り(センター役物)12は、開口部13の上部に演出装置40を有し、開口部13の下部に、遊技球Baを転動させるステージSを有し、開口部13の左右に球案内部43,43を有し、これら球案内部43,43それぞれの上部に風車部材56,56を有し、演出装置40の左右に、遊技領域2aに打ち出された遊技球Baを導入するワープ導入口(球導入口)41,41を有している。左右の球案内部43,43は、それぞれワープ導入口41,41から導入された遊技球BaをステージSに放出する球放出口43aを有している(右側の球放出口43aは図示していない)。
【0033】
ステージSは、球放出口43aから放出された遊技球Baを緩やかに転動させて、入球口11c、11d、11e、…への落下位置を振り分ける振分け部54を有している。該振分け部54は、球放出口43aから放出された遊技球Baを最初に転動させる緩斜面39と、該緩斜面39の左右幅方向の一側と他側に亘るように突出形成された横長の凸部49a,49b,49c,49dと、これら凸部49a〜49dの前側に位置して略々球面状に突出形成された凸部50a,50b,50c,50dと、を有している。また、振分け部54は、凸部50aと凸部50bの間、凸部50bと凸部50cの間、凸部50cと凸部50dの間の手前側にそれぞれ設けられた凸部52a,52b,52c,52dを有している。
【0034】
なお、上記緩斜面39は、全体的にセンター飾り12の奥側から手前側に下降するように緩く傾斜している。凸部50aは凸部49aの前側に位置しているが、他の凸部50b,50c,50dは、凸部49aと凸部49bの間、凸部49bと凸部49cの間、凸部49cと凸部49dの間の手前側にそれぞれ設けられている。また、凸部52a〜52dはいずれも、凸部50a〜50dと同様の形状をその前半分を除去した形で突出形成されている。
【0035】
図4に示すように、ワープ導入口41と球放出口43aとの間の通路46内には、ワープ導入口41から導入された遊技球Baの流下速度を低減する減速手段として風車部材56及び弁部材42が配置されている。通路46は、図4の上下方向に長く形成されており、ワープ導入口41から導入した遊技球Baを開口部13の外方側に一旦送り出して流下させるような湾曲形状を呈している。通路46内は、全体的には遊技球Baを余裕をもって通過させ得るように広く形成されているが、風車部材56及び弁部材42の配置部位は、これより広く形成されている。
【0036】
風車部材56及び弁部材42は、それぞれ、回動軸56a,47によって通路46内に回動自在に支持され、かつ該通路46内を流下する遊技球Baに接触可能に垂下する接触部材(重り部)57,48を有している。風車部材56はワープ導入口41の近傍に配置され、弁部材42は球放出口43aの近傍に配置されている。つまり、風車部材56の接触部材57がワープ導入口41の近傍に配置され、弁部材42の接触部材48が球放出口43aの近傍に配置されている。接触部材57は、回動軸56aを中心として垂下する重り部であり、風車部材56の一部を構成している。また接触部材48も、回動軸47を中心として垂下する重り部である。これら接触部材57,48は、球放出口43aから放出の遊技球Baをその転動速度を低減して振分け部54(図3参照)に向かわせるように機能する。
【0037】
また、図5は風車部材を前側から見た状態で示す図であり、(a)は重り部が垂下した安定状態を示す斜視図、(b)は重り部が上方に回動した状態を示す斜視図、(c)は(a)に示す風車部材を示す正面図である。図6は風車部材を後側から見た状態で示す図であり、(a)は重り部が垂下した安定状態を示す斜視図、(b)は重り部が横を向いた回動状態を示す斜視図、(c)は重り部が上方に回動した状態を示す斜視図である。
【0038】
図5(a),(b),(c)に示すように、風車部材56は、円板部材56bと、該円板部材56bの中心に位置して回転中心cに一致する回動軸56aと、円板部材56bの前側にて回動軸56aを中心に放射状に形成された複数の羽根状部59と、円板部材56bの後側にて回動軸56aから外方に延びるように形成された接触部材57と、を有している。更に、円板部材56bの後側には、回動軸56aを中心として放射状に延びる、接触部材57より短い複数の羽根部材58が設けられている。接触部材57は、その先端に膨出部57bを有しており、ワープ導入口41に飛び込んだ遊技球の衝突で回動軸56aを中心に、図6(a)の状態から、図6(b)の状態、図6(c)の状態へと回動させられ、図6(c)の状態から時計回り方向に回動して、膨出部57bが垂下する状態に復帰し、或いは、図6(c)の状態から更に回動して、膨出部57bが垂下する状態に戻る。なお、符号57aは連結部である。
【0039】
上記構成を有する風車部材56及び弁部材42は、いずれか一方のみを配置するだけでも遊技球Baの流下速度を低減する効果を得ることができる。しかし、例えば回動軸56a,47を支持する部位にトーションバネを介在する等で接触部材57,48の回動負荷(遊技球の通過を抑える方向の抗力)を比較的大きくし、或いは、接触部材57を重量(質量)の比較的大きい材料(金属材料等)で作製すれば、ワープ導入口41と球放出口43a間の通路46内に接触部材57,48のいずれか一方を設け場合の減速作用をより有効にすることができる。
【0040】
具体的には、風車部材56の接触部材57及び弁部材42の接触部材48による反力(運動している物体を減速するために必要なエネルギー)は、それぞれ、金属製で一定の重量を有する遊技球Baの転動移動(流下)時の運動エネルギー(運動している物体が持つエネルギー)よりも小さくなるように設定されている。これは、遊技球Baが、例えば風車部材56の接触部材57の反力に負けて停止し、或いは、弁部材42の接触部材48の反力に負けて停止すると、通路46内で球詰まりを起こす虞があるためである。そのため、接触部材57,48に付与する上記トーションバネのバネ力を適切に設定したり、重量が適切になるように材質を選定したりしている。また、風車部材56は、ワープ導入口41内に設けられていて、風車部材56の位置(待機状態の角度)が一定に維持されなければ玉噛み(接触部材57と遊技球Baとが噛み合って停止する状態)する虞もあるが、接触部材57が風車部材56の重り部であることから、待機状態での風車部材56の角度が一定となり、上記玉噛みを効果的に防止することができる。
【0041】
続いて、上述した雀球遊技機1の遊技手順とこの手順に伴う各処理の概要について説明する。
【0042】
1ゲームは、遊技者がメダル投入口15へメダルを投入して、遊技開始ボタン24を押圧し、14個の手牌が配牌されることによりスタートする。そして、遊技者が捨て牌ボタン16a、16b、…、等の各種の操作ボタンやセンサから発生する入力信号及び制御信号に基づいて、1ゲームが進行して行くことになる。
【0043】
つまり、遊技者がメダル投入口15にメダルを投入し、遊技開始ボタン24を押圧すると、1ゲームの遊技が開始できる状態になり、引き続き、ゲームを開始するために必要な14個の配牌の図柄が自動的に決められ、図9に示すような牌の図柄の画像が、画像表示部14の手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示される。更に、図9に示すような表ドラ及び裏ドラの牌の図柄の画像が、画像表示部14の表ドラ表示部29と裏ドラ表示部30に表示され、ビッグ役及びチャンス役がビッグゲーム上がり役表示部32と、チャンス上がり役表示部33とにそれぞれ表示される。そして、遊技の開始条件が整ったことが画面表示又は音声で遊技者に報知される。
【0044】
この状態において、遊技者は、手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示されている牌の図柄から、捨て牌を選択する操作を行う。遊技者は、捨てる牌の図柄を決定すると、この捨て牌の図柄に対応する捨て牌ボタン16a、16b、16c、…、或いは自摸牌捨てボタン17のいずれか1つを選択(オン)してこの牌を捨てる。すると、遊技球が遊技球発射位置に1球送られ、遊技球発射レバー4の操作で遊技盤面2内に遊技球を発射できる状態になる。
【0045】
遊技者が遊技球発射レバー4を操作して遊技盤面部2aに遊技球を発射すると、該遊技球のあるものは入球口11aや11bに入球し、あるものはワープ導入口41からセンター飾り12に進入し、ステージSを介して入球口11a、11b、11c、…に落下、入球する。その場合、ワープ導入口41に進入した遊技球Baは、風車部材56の接触部材57に接触し、その膨出部57bの反力に抗して該膨出部57bを押し退け、転動速度を減じられて通路46を流下する。当該遊技球Baは、通路46の下部側にて、弁部材42の接触部材48の反力に抗して該接触部材48を押し退ける際、転動速度を更に減じられて球放出口43aからステージSに放出される。
【0046】
すると、球放出口43aから放出された遊技球は、振分け部54の緩斜面39に沿って緩やかに転がり移動しながら、凸部49a〜49d、凸部50a〜50d、凸部52a〜52dのいずれかに当接しその転動方向を変えつつ、入球口11a、11b、11c、…側に落下する。
【0047】
遊技球が入球口11a、11b、11c、…の何れかに入球すると、該入球に対応する牌(自摸牌)の図柄が自摸牌表示部36に表示される。この牌を自摸ったことで和了(アガリ)しない場合、遊技者は、14個の手牌の中から不要と思われる1個の牌を捨てる捨て牌操作を行う。そして、遊技者は、このような操作を順次実行していき、所望の上がり役が聴牌(テンパイ)したと判断した時点で、リーチボタン18を操作してリーチをかけ、或いはリーチをかけずに、1ゲーム中で発射可能な遊技球数が尽きるまで上がり牌を自摸る操作を続ける。
【0048】
以上の本実施形態では、ワープ導入口41と球放出口43aとの間の通路46内に、遊技球の流下速度を低減する減速手段である風車部材56や弁部材42が回動自在に支持され、通路46内を流下する遊技球Baに接触可能に垂下する接触部材57,48が設けられている。これにより、ワープ導入口41に進入した遊技球Baに対する有効な減速効果が得られるため、減速手段を設ける部位やその設計に応じて、柔軟に対処できる構造が実現でき、上下方向距離を充分にとれないセンター飾り12に対しても良好に適用することができる。
【0049】
そして、ワープ導入口41に導入された直後、球放出口43aから放出する直前に遊技球Baを接触部材57,48に接触させることで、有効に減速することができると共に、ワープ導入口41と球放出口43aとの間に他の接触部材を配置しなくてよいことから、ワープ導入口41と球放出口43a間の通路46の長さを自在に設定することができる。このため、センター飾り12のサイズに応じた最適な減速手段を提供することができる。
【0050】
また、減速手段として機能する接触部材57を、装飾部材を兼ねる風車部材56の一部を成す重り部としたので、該重り部に遊技球を接触させて有効に減速させると共に風車部材56を回転させることができ、従って、減速効果と装飾効果の双方を得ることができる。更に、ワープ導入口41から導入した遊技球をできる限り減速させて球放出口43aから放出し、当該遊技球を振分け部54上で緩やかに転動させて落下位置を振り分けることができ、従って、どの位置に落下するかを遊技者にゆっくりと視認させ、演出性を高めることができる。
【0051】
そして、本実施形態では、本発明に係る遊技機を雀球遊技機1に適用したことで、ワープ導入口41から導入された遊技球を減速してステージSに放出した後、入球口11a、11b、11c、…のいずれかに入球させることができる。このため、減速されてステージS上を緩やかに転動する遊技球がどの入球口に入球し、どの麻雀牌図柄を取得できるかのワクワク、ドキドキ感(喜悦感)を遊技者に享受させ、興趣を高めることができる。そして、雀球遊技機1では、複数の入球口11c、11d、11e、…が並列しているため、それら入球口に遊技球を均等に振り分けることが遊技上の重要なポイントになっており、従って、本発明に係る接触部材57,48により遊技球を十分に減速できることで、振り分け精度が向上している。
【0052】
図7は、センター飾りに備えた減速装置の変形例を示す正面図である。同図に示すように、本変形例では、図4等で説明した先の実施形態においてワープ導入口41の近傍に配置された風車部材56を、弁部材42に置き換えており、従って、通路46の上部と下部にそれぞれ弁部材42を備えている。このような構成によっても、先の実施形態と略々同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
以上、本発明をその好適な実施形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態及び変形例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態及び変形例の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態における雀球遊技機を示す斜視図である。
【図2】図1における遊技盤面部を抜粋して示す斜視図である。
【図3】センター飾りを遊技盤面部から取り外した状態で示す斜視図である。
【図4】センター飾りに備えた減速装置を示す正面図である。
【図5】風車部材を前側から見た状態で示す図であり、(a)は重り部が垂下した安定状態を示す斜視図、(b)は重り部が上方に回動した状態を示す斜視図、(c)は(a)に示す風車部材を示す正面図である。
【図6】風車部材を後側から見た状態で示す図であり、(a)は重り部が垂下した安定状態を示す斜視図、(b)は重り部が横を向いた回動状態を示す斜視図、(c)は重り部が上方に回動した状態を示す斜視図である。
【図7】センター飾りに備えた減速装置の変形例を示す正面図である。
【図8】図1における操作パネルの構成を示す正面図である。
【図9】図1における画像表示装置に表示する画面例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 遊技機(雀球遊技機)
2a 遊技盤面部(遊技領域)
11c、11d、11e、… 入球口
12 センター役物(センター飾り)
41 球導入口(ワープ導入口)
42 減速手段(弁部材)
43a 球放出口
46 通路
48,57 接触部材
54 振分け部
56 減速手段(風車部材)
56a 回動軸
Ba 遊技球
S ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に、遊技球を転動させるステージと、該遊技領域に打ち出された遊技球を導入する球導入口と、該球導入口から導入された遊技球を前記ステージに放出する球放出口と、を有するセンター役物を備えた遊技機において、
前記球導入口と前記球放出口との間の通路内に、前記球導入口から導入された遊技球の流下速度を低減する減速手段を設け、
該減速手段は、前記通路内に回動自在に支持され、かつ該通路内を流下する遊技球に接触可能に垂下する接触部材を有してなる、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記接触部材は、前記球導入口及び前記球放出口のうちの少なくとも一方の近傍に配置されてなる、
請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記センター役物における前記球導入口の近傍に、回転自在な風車部材を有し、
前記接触部材は、該風車部材の一部を構成し、かつ該風車部材の回動軸を中心として垂下する重り部である、
請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記ステージは、前記球放出口から放出された遊技球を転動させてその落下位置を振り分ける振分け部を有し、
前記接触部材は、前記球放出口からの遊技球をその転動速度を低減して前記振分け部に向かわせてなる、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技機は、複数の牌種からなる麻雀牌の図柄に対応する複数の入球口を前記遊技領域に備え、かつ該遊技領域に打ち出されて前記球導入口から導入された遊技球を前記ステージを介して前記複数の入球口のいずれかに入球させ、該入球で得られた手牌図柄の組合せにより、予め設定された複数の上がり役のうちの少なくとも1つを完成させるように遊技し得る雀球遊技機である、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−237293(P2008−237293A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78588(P2007−78588)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】