説明

遊技機

【課題】 材質表示記号を遊技者に視認可能に配置しても遊技者が違和感を感じることのない、更に遊技者が材質表示記号を有効に活用できる遊技機を提供する
【解決手段】 制御コンピュータ26によって遊技を制御するとともに、制御コンピュータ26が決定した遊技状態を内部状態表示装置21によって遊技者に対して視認可能するものである。内部状態表示装置21は複数の発光源20aを有する発光部20を備えている。材質表示記号22が付された構成部品の一つについて、材質表示記号22を発光部20の近傍で且つ遊技者に視認可能な位置に配置する。材質表示記号22を構成する複数の記号は、複数の発光源20aの並びに沿うように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機等の遊技機に関する
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ機等の遊技機では、そのリサイクルを容易とするため、各構成部品にその材質を示す材質表示記号を付すようになっている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−290459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1の技術では、材質表示記号は遊技者にとって必要の無いもの(邪魔なもの)であるとの認識の下、材質表示記号を遊技者が視認困難又は視認不能な位置に付しているが、一方、リサイクル性の観点からは、材質表示記号を遊技者側に露出しておいて、遊技機を分解しなくとも構成部品の材質を特定できるほうがよい。
【0004】
本発明はこのようなジレンマを解消するためになされたものであって、その目的は、遊技者が材質表示記号を遊技に活用できる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、制御コンピュータが決定した遊技状態を内部状態表示装置によって遊技者に対して視認可能とする遊技機において、材質表示記号が付された構成部品について、材質表示記号を内部状態表示装置の発光部の近傍で且つ遊技者に視認可能に配置するとともに、材質表示記号を構成する複数の記号を、発光部を構成する複数の発光源の並びに沿うように配置したものである。
【0006】
このように、本発明においては、材質表示記号を遊技者に視認可能に配置しているので、リサイクル時には遊技機を分解する事無く構成部品の材質を把握することができる。
【0007】
また、材質表示記号を構成する複数の記号を複数の発光源の並びに沿うように配置しているので、遊技者は材質表示記号を構成する複数の記号と発光源との位置関係から、内部状態表示装置の点灯態様を把握することが容易となる。つまり、活用できて、違和感を解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の遊技機をパチンコ機に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、パチンコ機が備える遊技盤10を示す正面図である。この遊技盤10には、ベニヤ製の基板11の前面側に、外レール12、内レール13、遊技くぎ14等の遊技部品が取り付けられている。遊技盤10の前面側には、外レール12と内レール13とで囲まれることで、略円形状をなす遊技領域15が区画形成されている。
【0009】
図1及び図2に示すように、遊技領域15の中央部には図柄表示装置16が配置されている。図柄表示装置16は特別図柄表示部17と、特別図柄表示部17を囲むように設けられた飾り枠18とを備えている。飾り枠18には、普通図柄表示部19と、内部状態表示装置21とが備えられている。
【0010】
遊技領域15において、図柄表示装置16の下方には、可動式の羽根を備え羽根が閉じた状態で略球1個分開口する特別図柄始動口23と、普通図柄始動口24と、扉式の大入賞口25とがそれぞれ配置されている。
【0011】
パチンコ機の遊技を制御する制御コンピュータ26は、遊技領域15を転動落下する遊技球が普通図柄始動口24へ入賞することに基づき、普通図柄当り抽選及びこの抽選結果の表示を普通図柄表示部19で行い、さらに、抽選結果が当りの場合には、特別図柄始動口23の羽根を開放する当り遊技を遊技者に対して提供する。
【0012】
また、制御コンピュータ26は、遊技領域15を転動落下する遊技球が特別図柄始動口23へ入賞することに基づき、特別図柄当り抽選及びこの抽選結果の表示を特別図柄表示部17で行い、さらに、抽選結果が当りの場合には、大入賞口25を開放する大当り遊技を遊技者に対して提供する。
【0013】
また、制御コンピュータ26は、大当り遊技終了後に特別図柄当り抽選の当り確率を上げる確変状態にするか否かや、大当り遊技終了後に普通図柄当り抽選の当り確率を上げる時短状態にするか否かを抽選し、抽選結果に応じて確変状態や時短状態を遊技者に対して提供する。なお、確変状態は次回大当りするまで継続するようになっており、時短状態は特別図柄当り抽選が所定回数行なわれたことにより終了するようになっている。
【0014】
次に、内部状態表示装置21について詳細に説明する。
図2は図1において内部状態表示装置21付近を拡大した図である。内部状態表示装置21は飾り枠18において特別図柄表示部17の右上に配されている。内部状態表示装置21は発光部20を有している。発光部20は、6個の発光源20aを左右方向に一列に配してなる。制御コンピュータ26と接続されており、制御コンピュータ26が発光部20を制御することにより、パチンコ機の内部状態の変化によって発光部20の点灯態様を変化させている。
【0015】
図3は図2の3−3縦断面図であり、基板11に固定されるベース板30と、ベース板30に固定される飾り部材31・飾り部材32及び特別図柄表示部17を示している。内部状態表示装置21の発光部20はベース板30と飾り部材31の間に配置されている。飾り部材31はポリカーボネートの成型品であって、光が透過する透明又は半透明のものが採用されている。したがって、内部状態表示装置21の発光部20から光が照射されると、照射された光が飾り部材31を透過することにより遊技者から視認することが出来るようになっている。
【0016】
図4及び図5は、内部状態表示装置21の発光源20が示す点灯態様の図である。この点灯態様の意味について以下に説明する。
図4は内部状態表示装置21の発光部20の内、左から1番目と2番目と3番目の発光源20aの点灯態様を示しており、3つの発光源20aにより、確変状態・時短状態の有無を報知している。
図4の点灯態様(a)はパチンコ機が確変状態で無く、時短状態で無いことを示すものであり、左から1番目の発光源20aが点灯し、左から2番目と3番目は消灯した状態である。
また、図4の点灯態様(b)はパチンコ機が確変状態で無く、時短状態であることを示すものであり、左から1番目と3番目の発光源20aが点灯し、2番目は消灯した状態である。
また、図4の点灯態様(c)はパチンコ機が確変状態であり、時短状態で無いことを示すものであり、左から2番目の発光源20aが点灯し、左から1番目と3番目は消灯した状態である。
また、図4の点灯態様(d)はパチンコ機の状態が確変状態であり、時短状態であることを示すものであり、左から2番目と3番目の発光源20aが点灯し、1番目は消灯した状態である。
【0017】
図5は内部状態表示装置21の発光部20の内、左から4番目と5番目と6番目の発光源20aの点灯態様を示しており、3つの発光源20aにより、特別図柄当り抽選の状態や結果を報知している。
図5の点灯態様(a)は特別図柄表示部17にて特別図柄が変動中を示すものであり、左から4番目と5番目と6番目の3つの発光源20aが交互に点灯と消灯を繰り返す表示を行う。
また、図5の点灯態様(b)は特別図柄当り抽選の結果が当りで、特別図柄表示部17で特別図柄が変動停止した状態であり、且つ、大当り遊技終了後に確変状態と時短状態が付与されることを示すものであり、左から4番目の発光源20aが点灯して左から5番目と6番目が消灯した状態である。
また、図5の点灯態様(c)は特別図柄当り抽選の結果が当りで、特別図柄表示部17で特別図柄が変動停止した状態であり、且つ、大当り遊技終了後に確変状態が付与され、時短状態が付与されないことを示すものであり、左から4番目と6番目の発光源20aが点灯して左から5番目が消灯した状態である。
また、図5の点灯態様(d)は特別図柄当り抽選の結果が当りで、特別図柄表示部17で特別図柄が変動停止した状態であり、且つ、大当り遊技終了後に確変状態が付与されず、時短状態が付与されることを示すものであり、左から5番目の発光源20aが点灯して右から4番目と6番目が消灯した状態である。
また、図5の点灯態様(e)は特別図柄当り抽選の結果が当りで、特別図柄表示部17で特別図柄が変動停止した状態であり、且つ、大当り遊技終了後に確変状態と時短状態が付与されないことを示すものであり、左から5番目と6番目の発光源20aが点灯して左から4番目が消灯した状態である。
また、図5の点灯態様(f)は特別図柄当り抽選の結果がハズレを示すものであり、左から6番目の発光源20aが点灯して左から4番目と5番目が消灯した状態である。
【0018】
この内部状態表示装置21を設ける主目的は、パチンコ機の検査に用いられるものであり、規則として現在のパチンコ機の内部状態を正確に表示するように定められている。したがって、図4及び図5で表示する内部状態表示装置21の表示態様は遊技者には視認可能な位置に設けられているが、表示される表示態様にどのような意味があるかについては、遊技者に対して積極的には知らせないことが一般的である。
【0019】
そして、遊技者に積極的に見せる表示装置としては、特別図柄表示部17が設けられている。つまり、大当りや、確変状態・時短状態を獲得できるか否かをゲームとして遊技者に期待を持たせて報知する為、内部状態表示装置21にてパチンコ機の現在の状況を報知していても特別図柄表示部17では可能性を示す表示のみを行い、遊技者には正確に教えないという表示を行うようにしている。例えば確変状態は遊技者に教えないような表示を行ったりしている。
【0020】
次に本実施例の特徴部分について説明する。図2に示すように、飾り部材31にはこの材質を意味する材質表示記号22が表記されている。そして、材質表示記号22として、「>PC<」と表記している。この材質表示はJIS K 6899-1 2000(ISO1043-1 1997)で定められている記号を用いており、飾り部材31はポリカーボネートであることから材質表示記号22は「PC」となる。また、識別マーク(プラスチックを意味するマーク)と材質表示記号22とを離して表示する場合は逆くさび括弧「><」を必要とする為、「>PC<」と表記している。材質表示記号22は遊技者に視認可能に配置されるとともに、内部状態表示装置21が有する複数の発光源20aの並びに沿うように配置されている。
【0021】
飾り部材31に表記された「>PC<」と内部状態表示装置21が有する複数の発光源20aとの位置関係として、左から2番目の発光源20aの直上には「>」が配置され、左から3番目の発光源20aの直上には「P」が配置され、左から4番目の発光源20aの直上には「C」が配置され、左から5番目の発光源20aの直上には「<」が配置されている。
【0022】
このような材質表示記号22は例えば次のようにして遊技者に活用される。
特別図柄表示部17が、確変状態や時短状態を遊技者に分からないように表示する場合、遊技を行う上で少しでも早くパチンコ機の状態を知りたいと考える遊技者がいる。このような遊技者は特別図柄表示部17だけではなく、パチンコ機全体を見て、大当りした時にパチンコ機の状態を報知しているものを探し、内部状態表示装置21に気づいた遊技者はどのような点灯態様で表示されているときにパチンコ機がどのような状態になるかを探ることとなる。この場合、単純に内部状態表示装置21が有する発光源20aが複数配置されているだけでは、点灯態様を把握することが困難となるが、材質表示記号22を内部状態表示装置21が有する複数の発光源20aの並びに沿うように配置したことにより、例えば「>」と「P」のランプが光っていたとか、一番左のランプと「C」のランプが光っていたといったように点灯態様を材質表示記号22の記号を目印として使うことにより把握を容易にさせることができる。
【0023】
また、パチンコ機の紹介する雑誌が存在しており、雑誌には内部状態表示装置21の点灯態様がどのような状態を意味するかを購読者に教えているものがある。このような場合、雑誌を購読した遊技者は、実際に遊技するときに内部状態表示装置21を確認することによりパチンコ機の内部状態を把握することができるようになる。しかしながら一般に内部状態表示装置21は複数の発光源によって構成されていることが多く、内部状態表示装置21の点灯態様を遊技者は事前に頭に入れておき、遊技している時に内部状態表示装置21の点灯態様からパチンコ機の内部状態を把握することとなるが、発光源の数が多くなると覚えにくいものである。その為、雑誌に開示されている内部状態表示装置21の点灯態様を覚える時や実際に遊技している時に材質表示記号22を目印として使うことにより、内部状態表示装置21の点灯態様を把握し易くすることができる。
【0024】
なお、本実施例では、発光源20aの直上に材質表示記号22を配置した例を記載したが、これに限定されるものではなく、例えば2つの発光源20aの間の直上に配置するなど、遊技者が材質表示記号22を目印として使用することが出来れば良い。
【0025】
上記構成の本実施形態においては次のような効果を奏する。
材質表示記号22を飾り部材31に遊技者から視認可能な位置に表示したことにより、飾り部材31をリサイクルする時に飾り枠18を分解する前に飾り部材31の材質を認識することができる。また、内部状態表示装置21が有する発光源20aの並びに沿うように材質表示記号22を配置したことにより、内部状態表示装置21の発光部20の点灯態様を把握する目印として遊技者は活用することができる。
【0026】
(別例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば上記実施形態を次のように変更してもよい。
例えば図7及び図8に示すように、ベース板30と飾り部材31の間に内部状態表示装置21が設けられており、飾り部材32にこの材質を材質表示記号22にて表記するとともに、表記される位置を内部状態表示装置21が有する複数の発光源20aの並びに沿うように配置することも可能である。
【0027】
例えば図9に示すように、飾り部材31に穴を設け、穴を塞ぐようにランプカバー33を設けることも可能である。
【0028】
例えば、内部状態表示装置21の取付位置として飾り枠18以外にも遊技者が視認可能な位置であれば取り付け可能である。又、遊技盤だけでなく、遊技盤を取り付ける遊技枠側に取り付けることも可能である。
【0029】
例えば、遊技機としてパチンコ機を適用した一具体例を示したが、じゃん球・アレンジボール・スロット・パロットなどに対しても勿論適用可能である。
【0030】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】遊技盤の正面図。
【図2】図1における飾り枠の拡大図。
【図3】飾り枠の断面図。
【図4】内部状態表示装置の表示例1。
【図5】内部状態表示装置の表示例2。
【図6】別例を示す飾り枠の拡大図。
【図7】別例を示す飾り枠の断面図1。
【図8】別例を示す飾り枠の断面図2。
【符号の説明】
【0032】
10…遊技盤、20…発光部、20a…発光源、21…内部状態表示装置、22…材質表示記号、31・32…飾り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成部品からなり、少なくとも一つの前記構成部品に対して該構成部品の材質を示す材質表示記号が付された遊技機であって、
該遊技機は、制御コンピュータによって遊技を制御するとともに、該制御コンピュータが決定した遊技状態を内部状態表示装置によって遊技者に対して視認可能にするものであり、
該内部状態表示装置は複数の発光源で構成された発光部を備え、
該内部状態表示装置は、前記遊技状態の変化に応じて前記発光部の点灯態様を変化させるものであり、
前記材質表示記号が付された前記構成部品について、該材質表示記号を前記発光部の近傍で且つ遊技者に視認可能に配置するとともに、該材質表示記号を構成する複数の記号を、前記複数の発光源の並びに沿うように配置したことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−178187(P2009−178187A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17168(P2008−17168)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式會社 (978)
【Fターム(参考)】