説明

遊技機

【課題】遊技球均し樋における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ遊技球の積み重ね状態を解消することが可能な遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のパチンコ遊技機10によれば、遊技球を蛇行させる蛇行形状部120の底面は、第1傾斜面121と、第1傾斜面121の下端部に連続しかつ第1傾斜面121より傾斜が急な第2傾斜面122とを有している。積み重ね状態で上辺個別流下樋101を流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第1傾斜面121から第2傾斜面122に乗り移ると、一の遊技球の流下速度が加速されて、第1傾斜面121上に位置する後続の遊技球から引き離され、一の遊技球と後続の遊技球との間に隙間が形成される。或いは、蛇行形状部120を流下する間に形成された遊技球間の隙間が拡大する。この隙間に上段の遊技球が割り込んで球均しが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の従来の遊技機として、遊技球均し樋を流下する間に遊技球の流下経路を蛇行させることで遊技球を揺さ振り、遊技球の積み重ね状態を解消する側面凹凸部を遊技球均し樋の途中に備えたものが知られている。この遊技機では、側面凹凸部の終端側で蛇行経路の屈曲を鋭角にして遊技球を激しく揺さ振るように構成していた。その理由は、側面凹凸部の終端側では球圧が大きくなり、積み重ね状態を解消するためには、より大きな衝撃が必要になるからであると推測される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149568号公報(段落[0008]〜[0015]、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技球の蛇行経路を鋭角にしたために遊技球均し樋における遊技球の流下速度が低下し、遊技球の払い出しが緩慢になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、遊技球均し樋における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ遊技球の積み重ね状態を解消することが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、遊技球均し樋の底面には、遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、第1傾斜面の下端部から遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面と、第2傾斜面の下端部に連なりかつ第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面とが備えられ、遊技球均し樋のうち第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部と、第3傾斜面を上方から覆うと共に下流側に向かうに従って第3傾斜面に接近し、積み重ね状態で流下してくる遊技球のうち最上段の遊技球と摺接して1列1段に均す球均し部材とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項2の発明に係る遊技機は、水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、遊技球均し樋の底面には、遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、第1傾斜面の下端部から遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面とが備えられ、遊技球均し樋のうち第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部を備え、側面凹凸部は、遊技球均し樋における1対の樋内側面にそれぞれ複数ずつ突出形成されて上下方向に延びた複数の蛇行生成突条で構成され、それら複数の蛇行生成突条は、各樋内側面において遊技球均し樋の長手方向に等ピッチで並べられると共に、1対の樋内側面の間で等ピッチの1/2だけずらされ、第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上、3倍未満とし、複数の蛇行生成突条のうちの1つを第2傾斜面における流下方向の途中に配置したところに特徴を有する。
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項3の発明に係る遊技機は、水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、遊技球均し樋の底面には、遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、第1傾斜面の下端部から遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面とが備えられ、遊技球均し樋のうち第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部を備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の遊技機において、側面凹凸部は、第1傾斜面を有した部分の樋内側面から第2傾斜面を有した部分の樋内側面に亘って形成されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の遊技機において、遊技球均し樋のうち第1傾斜面の下端部と遊技球均し樋の終端部との間に、第2傾斜面の下端部に連なりかつ第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面が備えられ、第3傾斜面を上方から覆うと共に下流側に向かうに従って第3傾斜面に接近し、積み重ね状態で流下してくる遊技球のうち最上段の遊技球と摺接して1列1段に均す球均し部材が備えられたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の何れか1項に記載の遊技機において、側面凹凸部は、遊技球均し樋における1対の樋内側面にそれぞれ複数ずつ突出形成されて上下方向に延びた複数の蛇行生成突条で構成され、それら複数の蛇行生成突条は、各樋内側面において遊技球均し樋の長手方向に等ピッチで並べられると共に、1対の樋内側面の間で等ピッチの1/2だけずらされ、何れか一方の樋内側面における1つの蛇行生成突条を境界突条として、第1傾斜面と第2傾斜面との境界部分に配置したところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の遊技機において、第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上、3倍未満とし、境界突条と異なる樋内側面に形成されかつ境界突条の次の蛇行生成突条を、第2傾斜面における流下方向の途中に配置したところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の遊技機において、遊技球均し樋のうち第1傾斜面の下端部と遊技球均し樋の終端部との間に、第2傾斜面の下端部に連なりかつ第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面が備えられ、境界突条と同じ樋内側面に形成されかつ境界突条の次の蛇行生成突条を、第2傾斜面と第3傾斜面との境界部分に配置したところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項3乃至6の何れか1項に記載の遊技機において、第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上としたところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか1項に記載の遊技機において、上面開放の溝形状をなしかつ幅方向の中央に仕切壁を設けることで1対の遊技球均し樋を併設した構造の樋集合体を備え、樋集合体における1対の外側壁を仕切壁より高くし、第1傾斜面における仕切壁の高さを最高で遊技球の直径の3倍以上4倍未満とし、第2傾斜面における仕切壁の高さを最高で遊技球の直径の2倍以上3倍未満としたところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れか1項に記載の遊技機において、遊技球均し樋の始端部には、遊技球を貯留する遊技球タンクが接続され、遊技球タンクの底面と、遊技球均し樋の始端部の底面との間に段差部が設けられたところに特徴を有する。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の遊技機において、第1傾斜面の傾斜角度を3〜5[deg]とし、第2傾斜面の傾斜角度を33〜35[deg]とし、第2傾斜面の上端部と下端部との間の高低差を遊技球の直径と略同一としたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、1列複数段の積み重ね状態で流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第1傾斜面から第2傾斜面に乗り移ると、一の遊技球の流下速度が速まって第1傾斜面上に位置する後続の遊技球から引き離され、一の遊技球と後続の遊技球との間に隙間が形成或いは隙間が拡大する。この隙間に、上段の遊技球が割り込むことで積み重ね状態を解消することができる。つまり、本発明の遊技機は、従来のように遊技球の蛇行経路を鋭角にして激しく揺さ振るのではなく、遊技球の流下速度を途中で加速させることで積み重ね状態を解消するので、遊技球均し樋における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ積み重ね状態を解消することができる。
【0019】
また、万が一、第2傾斜面より下流側の第3傾斜面で遊技球が積み重ね状態になった場合でも、最上段の遊技球が球均し部材と摺接して下段の遊技球間に割り込み、積み重ね状態を解消することができる。また、第3傾斜面を流下する遊技球は、直前に第2傾斜面を流下することで加速されるので、球均し部材と第3傾斜面との間での球詰まりを防止することができる。
【0020】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、1列複数段の積み重ね状態で流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第1傾斜面から第2傾斜面に乗り移ると、一の遊技球の流下速度が速まって第1傾斜面上に位置する後続の遊技球から引き離され、一の遊技球と後続の遊技球との間に隙間が形成或いは隙間が拡大する。この隙間に、上段の遊技球が割り込むことで積み重ね状態を解消することができる。つまり、本発明の遊技機は、従来のように遊技球の蛇行経路を鋭角にして激しく揺さ振るのではなく、遊技球の流下速度を途中で加速させることで積み重ね状態を解消するので、遊技球均し樋における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ積み重ね状態を解消することができる。
【0021】
また、第2傾斜面で遊技球の流下速度が加速されると共に、第2傾斜面の途中に配置された蛇行生成突条によって遊技球の進行方向が変化して遊技球が揺さ振られるので、これらの作用で積み重ね状態を効果的に解消することが可能になる。
【0022】
[請求項3,4,12の発明]
請求項3の発明によれば、1列複数段の積み重ね状態で流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第1傾斜面から第2傾斜面に乗り移ると、一の遊技球の流下速度が速まって第1傾斜面上に位置する後続の遊技球から引き離され、一の遊技球と後続の遊技球との間に隙間が形成或いは隙間が拡大する。この隙間に、上段の遊技球が割り込むことで積み重ね状態を解消することができる。つまり、本発明の遊技機は、従来のように遊技球の蛇行経路を鋭角にして激しく揺さ振るのではなく、遊技球の流下速度を途中で加速させることで積み重ね状態を解消するので、遊技球均し樋における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ積み重ね状態を解消することができる。
【0023】
ここで、側面凹凸部を、遊技球均し樋のうち第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成して、遊技球均し樋のうち第2傾斜面を有した部分の樋内側面には形成しない構成とすれば、第1傾斜面を流下する遊技球が側面凹凸部によって流下抵抗を受けるのに対し、第2傾斜面を流下する遊技球は側面凹凸部から流下抵抗を受けなくなるので、第2傾斜面における遊技球の流下速度と第1傾斜面における遊技球の流下速度の差が大きくなり、遊技球の間に形成される隙間をより大きくすることができる。
【0024】
また、請求項4の構成のように、側面凹凸部を、第1傾斜面を有した部分の樋内側面から第2傾斜面を有した部分の樋内側面に亘って形成すれば、第2傾斜面を流下する間に遊技球を蛇行させることができ、側面凹凸部の全長を従来より短縮しても、十分な球均し効果を得ることができる。
【0025】
ここで、請求項12の構成のように、第1傾斜面の傾斜角度を3〜5[deg](好ましくは4[deg])とし、第2傾斜面の傾斜角度を33〜35[deg](好ましくは34[deg])にすると共に、第2傾斜面の上端部と下端部との間の高低差を遊技球の直径と略同一にすると、流下速度を良好に保ちつつ、積み重ね状態を確実に解消することができた。
【0026】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、万が一、第2傾斜面より下流側の第3傾斜面で遊技球が積み重ね状態になった場合でも、最上段の遊技球が球均し部材と摺接して下段の遊技球間に割り込み、積み重ね状態を解消することができる。また、第3傾斜面を流下する遊技球は、直前に第2傾斜面を流下することで加速されるので、球均し部材と第3傾斜面との間での球詰まりを防止することができる。
【0027】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、積み重ね状態で流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第2傾斜面の上端部から流下し始めるとき、一の遊技球の後続の遊技球は、第1傾斜面と第2傾斜面の境界部分に配置された境界突条と接触して流下抵抗を受けるので、一の遊技球と後続の遊技球との間に形成される隙間をより大きくすることが可能となる。
【0028】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、第2傾斜面で遊技球の流下速度が加速されると共に、第2傾斜面の途中に配置された蛇行生成突条によって遊技球の進行方向が変化して遊技球が揺さ振られるので、これらの作用で積み重ね状態を効果的に解消することが可能になる。
【0029】
[請求項8の発明]
請求項8の発明によれば、第2傾斜面から、より傾斜角度の緩やかな第3傾斜面に乗り移ることで遊技球に衝撃が付与されると共に、第2傾斜面と第3傾斜面との境界部分に配置された蛇行生成突条によって遊技球の進行方向が変化して遊技球が揺さ振られるので、これらの作用で積み重ね状態を効果的に解消することが可能になる。
【0030】
[請求項9の発明]
請求項9の発明によれば、遊技球を十分に加速することができる。
【0031】
[請求項10の発明]
請求項10の発明によれば、第1傾斜面を流下する間に遊技球は最大で4段まで積み重ねが許容され、第2傾斜面を流下する間に遊技球は最大で3段まで積み重ねが許容される。そして、遊技球が第1傾斜面から第2傾斜面に移動する間に側面凹凸部の作用によって遊技球の積み重ね状態は3段以下にされるので、第2傾斜面を流下する間に仕切壁を越えて遊技球が隣の遊技球均し樋に移動することを防止することができる。また、樋集合体における1対の外側壁が仕切壁より高くなっているので、遊技球が遊技球均し樋の下方にこぼれ落ちることを防止することができる。
【0032】
[請求項11の発明]
請求項11の発明によれば、遊技球タンクに貯留された遊技球が遊技球均し樋の始端部に集中して球圧が大きくなるが、遊技球タンクから遊技球均し樋に移動するときに遊技球は段差部を落下して衝撃を受けるので、この衝撃により、遊技球の球圧による遊技球均し樋の始端部における球詰まり(球噛み)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
【図2】パチンコ遊技機を前面斜め上方から見た斜視図
【図3】パチンコ遊技機の側面図
【図4】パチンコ遊技機の分解斜視図
【図5】パチンコ遊技機の分解斜視図
【図6】内枠の正面図
【図7】ガラス扉を開放した状態のパチンコ遊技機の正面図
【図8】パチンコ遊技機を後面斜め下方から見た斜視図
【図9】パチンコ遊技機の背面図
【図10】遊技板を取り外した状態のパチンコ遊技機の背面図
【図11】貯留タンク、上辺樋及び側辺樋の斜視図
【図12】貯留タンク及び上辺樋の平面図
【図13】蛇行形状部の平面図
【図14】図13におけるZ−Z線側断面図
【図15】遊技球が積み重ね状態となった場合の蛇行形状部の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図15に基づいて説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機10の遊技板11のうち、遊技者と対向する前面には、ガイドレール12で囲まれた遊技領域R1が設けられ、その遊技領域R1が、ガラス窓95W(図2参照)を通して視認可能となっている。
【0035】
遊技領域R1のほぼ中央部には、表示装置13が設けられ、表示装置13の下方には、上始動入賞口14A、下始動入賞口14B、大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。遊技領域R1のうち、表示装置13の左側方には始動ゲート18と風車17とが備えられ、始動入賞口14A,14Bの左右両側には、一般入賞口20、21がガイドレール12に沿って設けられている。さらに、これら入賞口以外に、遊技領域R1には図示しない複数の釘が起立している。
【0036】
パチンコ遊技機10の前面のうち、ガラス窓95Wの上部及び両側部には装飾ランプ97が設けられており、上端両角部にはスピーカ98,98が設けられている。これら装飾ランプ97及び各スピーカ98は、パチンコ遊技機10の前面側に膨出している(図2及び図3参照)。
【0037】
ガラス窓95Wの下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられている。これら上皿26及び下皿27は、スピーカ98と同様にパチンコ遊技機10の前方に膨出している。パチンコ遊技機10の前面における右下角部には、操作ノブ28が備えられている。この操作ノブ28を操作すると、上皿26に貯留された遊技球が、順次、遊技領域R1に向けて弾き出され、それら遊技球が遊技領域R1を流下する。その遊技球が遊技領域R1を流下する途中で上記した各入賞口14A,14B,15,20,21に入球すると、賞球として所定数の遊技球が上皿26に払い出される。なお、上皿26が満杯の場合は下皿27に払い出される。
【0038】
上皿26に備えた球移動ボタン29を押すと、上皿26から下皿27に遊技球が移動する。また、上皿26には、球移動ボタン29の他に、遊技に使用するための遊技ボタン30,31が備えられている(図2参照)。
【0039】
以下、遊技板11の前面に備えた表示装置13等について詳説する。表示装置13は、液晶モジュール(詳細には、TFT−LCDモジュール)で構成され、遊技板11の中央部に貫通形成された表示取付孔(図示せず)に対し、遊技板11の後面側から取り付けられている。また表示取付孔には、遊技板11の前面側から枠形構造の装飾枠23(図1を参照)が取り付けられ、その装飾枠23によって表示装置13の周囲が囲まれている。
【0040】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は、その始動ゲート18に内蔵したゲートスイッチ(図示せず)によって検出される。この検出信号に基づいて、普通図柄表示部38において普通図柄が変動表示される。
【0041】
普通図柄表示部38は、風車17の下方に設けられている。普通図柄表示部38は、普通図柄としての2桁の数字を表示可能な7セグメントLED表示器で構成されている。
【0042】
普通図柄表示部38は、始動ゲート18を遊技球が通過すると、2桁の数字(普通図柄)を所定期間に亘って変動表示した後、停止表示する。例えば、停止表示された2桁の数字が同じ(ゾロ目)の場合には、下始動入賞口14Bが開放状態になって、遊技球が入賞し易い状態になる。また、普通図柄表示部38が変動表示している間に始動ゲート18を通過した遊技球は、所定数(例えば、4つ)まで累積カウントされる。この累積カウント数(保留数)は、遊技領域R1に備えた保留数用のLEDの点灯数によって遊技者に報知される。
【0043】
上下の各始動入賞口14A,14Bは、所謂、ポケット構造をなして上方に向かって開口している。各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技板11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技板11の裏側に回収される。
【0044】
上側に配置された上始動入賞口14Aの上面開口は遊技球を1つずつ受け入れ可能な大きさになっている。下側に配置された下始動入賞口14Bは、上始動入賞口14Aの真下に配置されている。下始動入賞口14Bの開口幅も、遊技球を1つずつ受け入れ可能な大きさになっている。下始動入賞口14Bの上面開口の左右両側には可動翼14C,14Cが備えられている。これら両可動翼14C,14Cは、常には起立状態になっている。この起立状態では、両可動翼14C,14Cによって下始動入賞口14Bへの遊技球の入賞が禁止される。
【0045】
これに対し、普通図柄表示部38の2桁の数字がゾロ目で停止表示すると、下始動入賞口14Bが開放状態となる。即ち、遊技板11の裏に設けたソレノイド(図示せず)により、下始動入賞口14Bに備えた可動翼14C,14Cが所定期間(例えば、0.5秒間)に亘って左右に倒される。可動翼14C,14Cが左右に倒れると、その倒れた可動翼14C,14Cに案内されて遊技球が下始動入賞口14Bに入賞可能となる。
【0046】
上下の始動入賞口14A,14Bの何れかに遊技球が入賞すると、各始動入賞口14A,14B内に設けたセンサがその遊技球を検出し、その検出信号に基づいて、予め定められた所定数(例えば、1個の入賞につき5個)の遊技球(賞球)が上皿26に払い出される。また、各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、「大当たり遊技」を行うか否かを決定する当否判定の権利が発生し、その当否判定結果が表示装置13によって遊技者に報知される。
【0047】
具体的には、表示装置13には、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「9」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、両始動入賞口14A,14Bの何れかに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが、変動表示(上下方向にスクロール表示)され、所定時間後に、例えば、左、中、右の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。このとき、例えば、全ての特別図柄13A,13B,13Cが同じ図柄、即ち、ゾロ目になった場合(図1に示す状態)に、遊技が「通常遊技」から「大当たり遊技」に移行する。
【0048】
ここで、表示装置13にて特別図柄13A,13B,13Cが変動表示している最中又は「大当たり遊技」の最中に各始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球の数は、所定の限度数まで累積カウント(保留)され、特別図柄13A,13B,13Cが外れの図柄組み合わせで停止表示又は「大当たり遊技」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄13A,13B,13Cの変動表示が開始される。なお、累積カウント数(保留数)は、遊技領域R1に備えた保留数用のLEDの点灯数によって遊技者に報知される。
【0049】
大入賞口15は、遊技板11の前面に開放して横長形状をなしており、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、上記したように特別図柄13A,13B,13Cがゾロ目で停止表示した場合に、可動扉15Tが前側に倒れて大入賞口15が開放し、可動扉15Tをガイドにして大入賞口15に遊技球が入賞可能になる。大入賞口15に遊技球が入賞すると予め定められた所定数(例えば、1個の入賞につき15個)の遊技球(賞球)が上皿26に払い出される。なお、大入賞口15に入った遊技球は、遊技板11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技板11の裏側に回収される。
【0050】
ここで、可動扉15Tが開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉15Tの開放時間が30秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したか、の何れかの終了条件が先に満たされた場合に終了する。また、「大当たり遊技」は、最大で、例えば15ラウンドまで継続される。以上が、遊技板11の前面に備えた表示装置13等に関する説明である。
【0051】
図4及び図5に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10は、一般のものと同様に、遊技ホールの遊技島に固定される外枠82と、外枠82の内側に嵌合された内枠75と、内枠75の内側に嵌合された遊技板11と、内枠75の前面に取り付けられた前面枠95とで構成されている。
【0052】
外枠82は、木製の長板を縦長矩形状に接合した構造をなしている。外枠82のうち一方の側辺、具体的には、パチンコ遊技機10の正面視左側の側辺には、上下両端位置にヒンジ部85,85が設けられている。また、外枠82のうちヒンジ部85と反対側の側辺(具体的には、右側辺)には、上下一対の係止片86,86が取り付けられている(図5参照)。なお、外枠82のうちヒンジ部85,85を備えた左側辺の外側面には、図示しないプリペイドカードユニットが取り付けられている。
【0053】
内枠75は、外枠82の前面開口に対応した矩形構造をなしている。内枠75のうち、パチンコ遊技機10の正面視左側の側辺には、上下1対のヒンジ部76,76が備えられている。このヒンジ部76,76と外枠82のヒンジ部85,85とが連結して、内枠75が外枠82の左側縁部を中心にして回動可能となっている。なお、内枠75のうちヒンジ部76,76とは反対側の右側辺には、外枠用係止具(図示せず)が備えられており、その外枠用係止具が外枠82に備えた係止片86,86(図5参照)と係止することで、内枠75を外枠82の内側に嵌め込んだ状態で施錠することができる。
【0054】
内枠75の前面のうちヒンジ部76,76とは反対側の右側辺には、後述する前面枠95と係止する前面枠用係止具74,74が設けられている(図6参照)。
【0055】
図4及び図5に示すように、遊技板11は、縦長略長方形の木板における上下両角部を斜めにカットした形状になっている。図5に示すように、遊技板11のうち、遊技領域R1が設けられた前面とは反対の後面には、機構ハウジング49が取り付けられている。機構ハウジング49は、例えば、可動役物のモータやLED等の電気部品を収容すると共に、各入賞口14A,14B,15,20,21及びアウト口16に入球した遊技球を回収して遊技ホールに備えた球循環システムに送るための球通路(図示せず)を備えている。また、機構ハウジング49の後面に重ねて、例えば、メイン制御基板50、サブ制御基板51、サブドライブ基板52、演出・音声制御基板53が取り付けられている。これら各基板50〜53によって、表示装置13における表示画像、スピーカ98の出力、装飾ランプ97の点灯、可動翼14C,14Cの開閉動作、遊技の当否確率の変更等の各種制御を行っている。なお、前記各基板50〜53は、個別に透明な樹脂ケースに収容されている。
【0056】
図6に示すように、内枠75の中央部には、遊技板11を嵌め込んで固定するための遊技板嵌合部77が設けられている。遊技板嵌合部77は、遊技板11の形状に対応して縦長略長方形となっており、内枠75を前後方向に貫通している。遊技板嵌合部77のうち、内枠75の後面側の開口縁からは抜止壁77Aが内側に張り出している。この抜止壁77Aにより、内枠75の後面側への遊技板11の抜け止めが図られている。
【0057】
また、内枠75の前面側への遊技板11の抜け止めを図るため、遊技板嵌合部77のうち正面視、左側の側辺には1対の固定抜止部93,93が設けられ、遊技板嵌合部77の右上角部には上部係止部材92が備えられ、さらに、遊技板嵌合部77の下辺の右端位置には下部係止部材91が設けられている。これらのうち、上部係止部材92及び下部係止部材91は、遊技板11を抜け止めした係止状態と、離脱可能とした係止解除状態とに切り替え操作可能となっており、遊技板11は、遊技板嵌合部77の前面側の開口から着脱可能となっている。
【0058】
抜止壁77Aの所定位置には位置決突部77Bが一体形成されている。位置決突部77Bは、抜止壁77Aから遊技板嵌合部77の前面開口に向かって突出しており、遊技板嵌合部77の内側に遊技板11を嵌め込むと、遊技板11に形成された位置決孔部(図示せず)に位置決突部77Bが突入嵌合して、遊技板嵌合部77内における遊技板11の上下左右の移動を規制する。
【0059】
前面枠95は内枠75の前面に回動可能に取り付けられている。具体的には、前面枠95のうち、パチンコ遊技機10の正面視左側の側辺における上下両端部にはヒンジ部99,99が備えられており(図4及び図5参照)、それらヒンジ部99,99が、内枠75の上端位置に備えたヒンジ部76と遊技板嵌合部77の下端位置に備えたヒンジ部79とにそれぞれ連結している。これにより、前面枠95が、内枠75の左側縁部に連結され、内枠75及び遊技板11の前面に重ね合わされた位置(図1及び図2に示す状態)と、内枠75の前面を開放した位置(図7に示す状態)との間で回動可能となっている。
【0060】
前面枠95の中央部には、遊技板11の遊技領域R1に対応したガラス窓95Wが備えられている。そして、上記したように、遊技者は、パチンコ遊技機10の前面側からガラス窓95Wを通して遊技板11の遊技領域R1を視認可能となっている。
【0061】
図7に示すように前面枠95の後面、即ち、内枠75との対向面には、複数の金属補強板94が敷設されている。これら金属補強板94のうち、ヒンジ部99,99とは反対側の右側辺に沿って延びた金属補強板94には、上下1対の係止片94A,94Aが形成されている(図5参照)。その係止片94A,94Aが内枠75に備えた前面枠用係止具74,74(図6参照)と係止することで、前面枠95を内枠75に対して施錠することができる。
【0062】
ここで、内枠75の前面に設けられた鍵孔72に鍵を挿して左に回動操作すると、内枠75に備えた前面枠用係止具74,74が作動し、前面枠95と内枠75との施錠が解除されて前面枠95が内枠75に対して回動可能となる。また、鍵を右に回動操作すると、内枠75に備えた外枠用係止具(図示せず)が作動し、内枠75と外枠82との施錠が解除されて、内枠75が外枠82に対して回動可能となる。
【0063】
ところで、内枠75(遊技板嵌合部77)に対して遊技板11を嵌合状態にした場合、遊技板11の後面に固定された機構ハウジング49及び各基板50〜53(図5参照)が、図8に示すようにパチンコ遊技機10の後方側に突出する。これに対し、内枠75のうち、遊技板嵌合部77の開口縁(例えば、抜止壁77A)からは、保護囲壁70が後方に向けて突出している(図10参照)。この保護囲壁70により、機構ハウジング49が上方及び両側方から覆われている。
【0064】
保護囲壁70の後面開口には、後面カバー71が回動可能かつ着脱可能に組み付けられている。この後面カバー71は、保護囲壁70の後面開口における上側部分を閉塞可能な大きさをなし、通常は閉塞状態に固定されている。後面カバー71は、機構ハウジング49の後面に取り付けられた各基板50〜53のうち、メイン制御基板50を除く各基板51〜53を後方から覆っている(図8及び図9参照)。
【0065】
なお、保護囲壁70の後面開口のうち下側部分は常時開放されており、メイン制御基板50はここに配置されている。
【0066】
図8に示すように、内枠75の後面のうちメイン制御基板50の下方には、発射装置56、電源基板54、払出制御基板55が前後方向に重ね合わされた状態で取り付けられている。また、内枠75の後面視右側辺には球払出装置57が取り付けられている。発射装置56は、操作ノブ28の回動操作に応じて、遊技球を遊技領域R1に向けて発射する。払出制御基板55は、メイン制御基板50から受けた信号に基づいて球払出装置57を駆動する。球払出装置57は、払出制御基板55から受けた信号に基づいて所定数の遊技球を上皿26に払い出す。払出制御基板55と電源基板54も、上述した他の基板50〜53と同様に個々に透明な樹脂ケースに収容されている。
【0067】
さて、保護囲壁70の上端部には遊技球タンク73が設けられ、遊技ホールに備えた球循環システムから遊技球タンク73へと遊技球が供給されて一時的に貯留される。この遊技球タンク73に貯留された遊技球が、保護囲壁70の上辺に沿って保護囲壁70の後面視右側に移動してから、保護囲壁70の後面視、右側辺部分を鉛直下方に移動し、球払出装置57を介して前記した上皿26に払い出されるようになっている。
【0068】
具体的には、図11に示すように、遊技球タンク73は、保護囲壁70の上面に一体形成された側壁を有して上面が開放した容器構造をなしている。遊技球タンク73は保護囲壁70の後面視左寄り位置に配置され(図9参照)、保護囲壁70の前後方向の略全体に亘った大きさになっている。さらに、遊技球タンク73における後面視右側の後端部からは、上辺樋100が右方向に向かって延在し、その上辺樋100の終端部が、保護囲壁70の後面視、右側辺部分に備えた側辺樋130の上端部に連絡されている。なお、上辺樋100は、保護囲壁70の内側に配置された機構ハウジング49との干渉を避けるために、遊技球タンク73の後端角部から斜め後方に向かって延び途中で屈曲している(図12参照)。ここで、上辺樋100は、本発明の「樋集合体」に相当する。
【0069】
遊技球タンク73の底面は、後面視右側の後端部、即ち、上辺樋100の始端部に向かって緩やかに下っており、貯留された遊技球が重力で上辺樋100に向かって移動するようになっている。また、遊技球タンク73の底面と上辺樋100の始端部の底面との間には段差部73Aが設けられている。段差部73Aの高低差は、例えば、遊技球の半径以上かつ直径未満となっている。なお、遊技球タンク73の底面には、板金73Kが敷設されてアース接続され、これにより、遊技球の静電気が除去されるようになっている。
【0070】
図12に示すように、上辺樋100は、遊技球が1列になって流下可能な幅(具体的には遊技球の直径より若干大きい幅)を有した1対の上辺個別流下樋101,101をパチンコ遊技機10の前後方向に並べて備えた構造をなし、保護囲壁70の後端部に配置されている。上辺樋100は、遊技球タンク73から側辺樋130に向けて下るように傾斜しかつ、上辺樋100の各上辺個別流下樋101,101の中間部分は、パチンコ遊技機10の前後方向に蛇行した形状になっている。そして、各上辺個別流下樋101では、遊技球タンク73から1列かつ複数段に積み重なった状態(積み重ね状態)で流下してきた遊技球群を、蛇行形状部120にて蛇行させることで衝撃を与え、積み重ね状態の解消、即ち、各上辺個別流下樋101を流下する遊技球を1列1段にする所謂「球均し」を行っている。なお、各上辺個別流下樋101は、本発明の「遊技球均し樋」に相当し、蛇行形状部120は、本発明の「側面凹凸部」に相当する。
【0071】
上辺樋100のうち、蛇行形状部120よりも上流側部分は、遊技球タンク73と蛇行形状部120との間を直線状に連絡している。同様に上辺樋100のうち、蛇行形状部120より下流側部分は、蛇行形状部120と側辺樋130の上端部との間を直線状に連絡している。そして、各上辺個別流下樋101を流下する遊技球は、蛇行形状部120に至るまで直線状の流下経路となり、蛇行形状部120で蛇行して積み重ね状態が解消された後、側辺樋130の上端に至るまで再び直線状の流下経路となる。なお、上辺樋100の構成については後に詳説する。
【0072】
図11に示すように、側辺樋130は、遊技球が一列になって流下可能な幅(具体的には、遊技球の直径より若干大きい幅)の1対の側辺個別流下樋131,131をパチンコ遊技機10の左右方向に並べて備え、保護囲壁70の後端面に配置されている。そして、上辺樋100の1対の上辺個別流下樋101,101が、側辺樋130の1対の側辺個別流下樋131,131の上端部に連通している。また、図3に示すように、各側辺個別流下樋131も上辺個別流下樋101と同様に前後方向に蛇行している。側辺樋130では、各側辺個別流下樋131を蛇行形状としたことで遊技球の流下速度を抑えるようになっている。図10に示すように、側辺樋130の下端部は遊技板嵌合部77における下端寄り位置に配置されて球払出装置57に接続されている。なお、各側辺個別流下樋131の中間部には、それぞれ球カウンタ132が備えられ、各側辺個別流下樋131を通過する遊技球数、即ち、球払出装置57から上皿26に払い出された遊技球数をカウントする。
【0073】
本発明を適用した上辺樋100の構成についてさらに詳説する。上辺樋100の幅方向(パチンコ遊技機10の前後方向)の中央には仕切壁102が設けられている。仕切壁102は、上辺樋100の底面から垂直に起立して上辺樋100の長手方向(延在方向)に沿って延びている。この仕切壁102と、上辺樋100における1対の外側壁103,103とによって、上辺樋100には2つの上辺個別流下樋101,101が形成されている。仕切壁102の上流側端部は、遊技球タンク73と上辺樋100との間の段差部73Aに交差している。仕切壁102の高さは、上辺樋100の中間部分、即ち、蛇行形状部120が形成された部分で最高となっており、中間部分から上流側及び下流側に向かうに従って低くなっている。具体的には、上流側端部で遊技球の直径未満となっており、最も高い中間部分で遊技球の直径の3倍以上4倍未満となっており、下流側端部で遊技球の直径とほぼ同じとなっている。
【0074】
また、上辺樋100における1対の外側壁103,103は、各上辺個別流下樋101内を遊技球が積み重ね状態で流下した場合に遊技球が上辺樋100の下方に零れないように、仕切壁102より高くなっている。なお、図13に示すように、上辺樋100の底壁の所定位置には、上辺樋100に入ったゴミ等を排出するための開口部104が形成されている。また、図示しないが、1対の外側壁103,103の上端部間には、上辺樋100の変形を防止するための補強用梁が差し渡されている。
【0075】
図12に示すように、各上辺個別流下樋101,101の中間部分に設けられた蛇行形状部120は、仕切壁102を挟んで対称な蛇行形状となっている。
【0076】
図13に示すように、蛇行形状部120のうち上辺個別流下樋101の幅方向で対向した仕切壁102及び外側壁103の樋内側面は、共に波状面となっている。即ち、仕切壁102及び外側壁103の樋内側面には、相手側の樋内側面に向かって突出しかつ上下方向(図13における紙面と直交方向)に延びた山形の蛇行生成突条TPが、上辺個別流下樋101の長手方向に等ピッチで形成されている。また、同じ樋内側面に隣り合って形成された2つの蛇行生成突条TP,TPの間の樋内側面は略扁平U字形に凹みかつ上下方向に延びた凹条となっている。また、仕切壁102に形成された蛇行生成突条TPと外側壁103に形成された蛇行生成突条TPは、上辺個別流下樋101の長手方向で前記等ピッチの1/2だけ位相をずらして配置されている。即ち、仕切壁102と外側壁103とのうち、一方の樋内側面に形成された蛇行生成突条TPが、他方の樋内側面に形成された凹条(2つの蛇行生成突条TP,TPの間の樋内側面)と上辺個別流下樋101の幅方向で対向するように配置されている。
【0077】
この蛇行形状部120を流下するとき、遊技球は、仕切壁102に形成された蛇行生成突条TPと外側壁103に形成された蛇行生成突条TPとに交互に接触することで進行方向が交互に反転し、パチンコ遊技機10の前後方向に蛇行する。
【0078】
なお、本実施形態では、同じ樋内側面に形成された蛇行生成突条TPのピッチが約20.6[mm](遊技球の直径の1倍以上2倍未満)であり、凹条の深さ(蛇行生成突条TPの突出量)が約2[mm]となっている。
【0079】
図14には、上辺樋100のうち蛇行形状部120及びその下流側部分の断面が示されている。同図に示すように、各上辺個別流下樋101(上辺樋100)の底面は、全体として遊技球タンク73から側辺樋130に向けて下るように傾斜した滑らかな平坦面となっている。しかしながら、蛇行形状部120が設けられた部分は、水平方向に対して一定の傾斜角度ではなく、互いに傾斜角度が異なる傾斜面同士が連続した複合傾斜面となっている。即ち、蛇行形状部120の上流側部分の底面は、水平方向に対する傾斜角が比較的緩やかな第1傾斜面121となっている。第1傾斜面121の下端部には、第1傾斜面121よりも傾斜が急な第2傾斜面122が連続している。さらに、第2傾斜面122の下端部には、第2傾斜面122より傾斜が緩やかな第3傾斜面123が連続している。
【0080】
第1傾斜面121は、蛇行形状部120(上辺個別流下樋101の中間部分)の上流側端部よりもさらに上流側(遊技球タンク73側)に向かって延びている。また、第3傾斜面123は、蛇行形状部120の下流側端部から上辺個別流下樋101の終端部、即ち、側辺樋130の各側辺個別流下樋131の上端部に至るまで延びている。つまり、蛇行形状部120は、上辺個別流下樋101(上辺樋100)のうち、第1傾斜面121の途中位置から第3傾斜面123の途中位置に至る範囲に形成されており、その蛇行形状部120の中間部分に第2傾斜面122が設けられている。
【0081】
本実施形態では、第1傾斜面121と第3傾斜面123の傾斜角度が同一であり、例えば、4[deg]となっている。一方、第2傾斜面122の傾斜角度は34[deg]となっている。また、第2傾斜面122の全長は、遊技球の直径の2倍(具体的には、22mm)となっており、第2傾斜面122の上端部と下端部との間の高低差は、遊技球の直径と略同一となっている。なお、第2傾斜面122の傾斜角度は、33〜35[deg]の範囲で適宜設定すればよい。また、第1傾斜面121の傾斜角度は、3〜5[deg]の範囲で適宜設定すればよい。また、第3傾斜面123は、必ずしも第1傾斜面121と同一の傾斜角度でなくてもよい。
【0082】
前後に並んだ2つの上辺個別流下樋101,101のうち、後側に配置された上辺個別流下樋101は、第1傾斜面121より上流側にさらに2つの傾斜面を有している。具体的には、最も上流側に、遊技球タンク73の後端縁と平行に延びかつ第1傾斜面121と同一の傾斜角度の第1緩斜面125を備え、第1緩斜面125と第1傾斜面121との間に、第1緩斜面125より傾斜が急でかつ第2傾斜面122より傾斜が緩やかな第2緩斜面126を備えている。
【0083】
各蛇行形状部120における蛇行生成突条TPと第1〜第3の傾斜面121,122,123との位置関係は以下のようになっている。図14に示すように、第1傾斜面121が形成された範囲に配置されている複数の蛇行生成突条TPのうち、最も下流側に位置する蛇行生成突条TP(以下、「第1の蛇行生成突条TP1」という)は、外側壁103,103の樋内側面に形成されており、第1傾斜面121と第2傾斜面122との境界部分に配置されている。なお、第1の蛇行生成突条TP1は、本発明の「境界突条」に相当する。
【0084】
また、第1の蛇行生成突条TP1とは別の樋内側面、即ち、仕切壁102の樋内側面に形成されかつ第1の蛇行生成突条TP1より下流側で最も近い位置に配置された蛇行生成突条TP(以下、「第2の蛇行生成突条TP2」という)は、第2傾斜面122の上端部と下端部との中間位置、より詳細には、第2傾斜面122のやや上端部側に偏在して設けられている。
【0085】
さらに、第1の蛇行生成突条TP1と同じ樋内側面、即ち、外側壁103,103の樋内側面に形成されかつ、第1の蛇行生成突条TP1より下流側で最も近い位置に配置された蛇行生成突条TP(以下、「第3の蛇行生成突条TP3」という)は、第2傾斜面122と第3傾斜面123との境界部分に配置されている。
【0086】
第1〜第3傾斜面121,122,123に対する仕切壁102の高さは以下のようになっている。まず、第1傾斜面121からの仕切壁102の高さは、最大で遊技球の直径の3倍以上4倍未満となっており、図15に示すように、遊技球が最大で4段に積み重ね可能な高さとなっている。また、第2傾斜面122からの仕切壁102の高さは、遊技球の直径の2倍以上3倍未満でほぼ一定となっており、図15に示すように遊技球が最大で3段に積み重ね可能な高さとなっている。遊技球が第1傾斜面121から第2傾斜面122に移動する間に蛇行形状部120の作用によって遊技球の積み重ね状態は3段以下にされるので、第2傾斜面122を流下する間に仕切壁102を越えて遊技球が隣の上辺個別流下樋101に移動することを防止することができる。さらに、第3傾斜面123からの仕切壁102の高さは下流側に向かうに従って徐々に低くなっている。具体的には、最も高い上流端で遊技球の直径の2倍以上3倍未満となっており、最も低い下流端で遊技球の直径とほぼ等しくなっている。
【0087】
図14に示すように、第3傾斜面123の上方には、球均し板127が設けられている。球均し板127は、外側壁103,103の上端縁間に差し渡されて、各上辺個別流下樋101,101における第3傾斜面123を上方から覆っている。また、球均し板127は下流側に向かうに従って第3傾斜面123に接近するように傾斜している。そして、第3傾斜面123と球均し板127との間の間隔は、上流側で遊技球の直径の2倍以上3倍未満であり、下流側で遊技球の直径より若干大きい程度となっている。なお、球均し板127は、本発明の「球均し部材」に相当する。
【0088】
球均し板127の上面には、球均し板127を貫通して上辺個別流下樋101,101内に出没可能な球止め部材128が備えられている(図11及び図12参照)。球止め部材128は鎌形状をなしており、上下方向に回動可能となっている。例えば、球払出装置57の交換やメンテナンスを行うために、球払出装置57への遊技球の供給を停止する場合や、側辺樋130から遊技球を抜き取る場合には、球止め部材128を手動操作して上辺個別流下樋101,101内に突出させることで、遊技球を上辺樋100内に堰き止めることができる。
【0089】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。操作ノブ28を操作して遊技球を遊技領域R1に打ち込むと、それら遊技球が遊技領域R1を流下する途中で入賞口14A,14B,15,20,21に入賞し、遊技板11の裏面に備えた遊技球検出スイッチにて検出される。その検出信号が払出制御基板55(図10を参照)に付与されると、遊技球が入賞した入賞口に応じて所定数の遊技球(賞球)が球払出装置57から上皿26に払い出される。球払出装置57が遊技球を払い出しているとき、遊技球タンク73に貯留された遊技球が自重で上辺樋100(各上辺個別流下樋101)及び側辺樋130(各側辺個別流下樋131)を流下し球払出装置57へと供給される。
【0090】
球払出装置57から払い出された遊技球数は、各側辺個別流樋131,131を通過する際に球カウンタ132,132にて計数され、その計数値が、予め設定された賞球数に達すると、球払出装置57が遊技球の払い出しを停止する。払い出しが停止すると、各上辺個別流下樋101内及び各側辺個別流下樋131内には、流下方向で遊技球がほぼ隙間無く連なった状態で堰き止められる。
【0091】
入賞口14A,14B,15,20,21に、再度、遊技球が入賞し、球払出装置57が払い出しを再開すると、各上辺個別流下樋101及び各側辺個別流下樋131内で止まっていた遊技球が再び球払出装置57に向かって移動を開始する。
【0092】
ところで、遊技球タンク73には、払い出す遊技球が不足しないように多数の遊技球が積み重ね状態で貯留されており、球払出装置57による遊技球の払い出しが行われると、遊技球タンク73内の遊技球が一斉に上辺樋100に向かって移動する。このとき、遊技球タンク73内の遊技球が上辺樋100(各上辺個別流下樋101)の始端部に集中して球圧が大きくなるが、遊技球タンク73から上辺樋100に移動するときに遊技球は段差部73Aを落下して衝撃を受けるので、この衝撃により、遊技球の球圧による上辺樋100の始端部における球詰まり(球噛み)を防止することができる。
【0093】
遊技球タンク73内の遊技球群は上辺樋100に移動すると同時に、2つの上辺個別流下樋101,101の何れか一方に振り分けられ、各上辺個別流下樋101内で1列に整列する。但し、各上辺個別流下樋101に移動した直後は、依然として積み重ね状態(1列複数段の状態)のままである。
【0094】
各上辺個別流下樋101内を、1列複数段の積み重ね状態で移動する遊技球群は、やがて蛇行形状部120に達する。この蛇行形状部120を通過する間に、積み重ね状態が軽減又は解消される。詳細には、蛇行形状部120を積み重ね状態の遊技球群が蛇行しながら流下することで積み重ね状態の遊技球に衝撃が与えられ(前後に揺さ振られ)、また、最下段の遊技球列において前後に並んだ遊技球同士の間に隙間が形成される。そして、上段の遊技球が下段の遊技球間に割り込むことで積み重ね状態が軽減又は解消される。
【0095】
ここで、蛇行形状部120の底面は、上流側から第1傾斜面121、第2傾斜面122、第3傾斜面123となっており、第2傾斜面122の傾斜角度が、第1傾斜面121より大きくなっている。従って、積み重ね状態の遊技球の最下段における一の遊技球が、第1傾斜面121から第2傾斜面122に移動して流下する際に、一の遊技球の流下速度が速まって、その一の遊技球と第1傾斜面122上に位置する後続の遊技球との間に隙間が形成される。或いは、蛇行形状部120を蛇行する間に形成された遊技球同士の間の隙間が拡大する。この隙間に上段の遊技球が割り込むことにより、遊技球の積み重ね状態を解消することができる。
【0096】
また、蛇行形状部120を構成する複数の蛇行生成突条TPのうち第1の蛇行生成突条TP1が、第1傾斜面121のうち第1傾斜面121と第2傾斜面122との境界部分に配置されており、前記一の遊技球が第2傾斜面122を流下し始めるとき、一の遊技球の後続の遊技球は、第1の蛇行生成突条TP1に接触して流下抵抗を受けるので、一の遊技球と後続の遊技球との間に形成される隙間をより大きくすることが可能となる。
【0097】
また、第2の蛇行生成突条TP2が、第2傾斜面122の上端部と下端部との中間位置に配置されており、第2傾斜面122にて遊技球の流下速度が加速されると共に、第2傾斜面122の途中で遊技球の進行方向が反転して揺さ振られるので、これらの作用によっても上段に積み重なった遊技球が下段に落下しやすくなり、積み重ね状態を効果的に解消することが可能になる。
【0098】
さらに、第3の蛇行生成突条TP3が、第2傾斜面122と第3傾斜面123との境界部分に配置されており、第2傾斜面122から、より傾斜の緩やかな第3傾斜面123に乗り移ることで遊技球に振動が付与されると共に、その第2傾斜面122と第3傾斜面123との境界部分で遊技球の進行方向が反転して揺さ振られるので、これらの作用によって上段に積み重なった遊技球が下段に落下しやすくなり、積み重ね状態を効果的に解消することが可能になる。
【0099】
上述したように、球払出装置57が遊技球の払い出しを行っている場合には、蛇行形状部120を通過する間に遊技球の積み重ね状態がほぼ解消されて、各上辺個別流下樋101の第3傾斜面123では、通常、遊技球が1列1段になって流下する。ところが、球払出装置57による遊技球の払い出しが停止している場合には、各上辺個別流下樋101内に遊技球がほぼ隙間無く連なって停止しているため、その連なった遊技球の上を別の遊技球が転がって流下し、第3傾斜面123において遊技球が積み重ね状態となり得る。
【0100】
第3傾斜面123において遊技球が積み重ねになっている状態で遊技球の払い出しが再開された場合は、積み重ね状態の遊技球群における最上段の遊技球が、球均し板127と摺接して下方に押される。そして、各上辺個別流下樋101の終端部に向かうに従って球均し板127と第3傾斜面123との間隔が狭まり、各上辺個別流下樋101の終端部では、遊技球の直径より若干大きい程度にまで接近するので、遊技球が上辺個別流下樋101の終端部に至るまでに、上段の遊技球が下段の遊技球間に割り込んで1列1段の状態になる。従って、側辺樋130の各側辺個別流下樋131には、各上辺個別流下樋101から遊技球が1つずつ転入する。これにより、複数の遊技球が側辺個別流下樋131に同時に流れ込むことによる球詰まりを防止することができる。
【0101】
また、球払出装置57が遊技球の払い出しを行っている場合、第3傾斜面123を流下する遊技球は、直前に第2傾斜面122を流下することで加速されるので、球均し板127と第3傾斜面123との間での球詰まりを防止することができる。
【0102】
ここで、第3傾斜面123を設けずに、第2傾斜面122から直接、側辺個別流下樋131に転入するように構成した場合、球払出装置57による遊技球の払い出しが停止したときに側辺個別流下樋131の始端部分にかかる球圧が大きくなって球詰まり(球噛み)が生じ易くなる。これに対し、本実施形態では、第2傾斜面122と側辺個別流下樋131の始端部分との間に、第2傾斜面122より傾斜角が緩やかな第3傾斜面123を設けたので、遊技球の払い出しが停止したときに側辺個別流下樋131の始端部分にかかる球圧を抑えることができ、球詰まりの発生を防止することができる。また、本実施形態の第2傾斜面122を延長して第2傾斜面122を直接、側辺個別流下樋131に接続した場合には、上辺個別流下樋101の下方側(下面側)に形成された各種基板や駆動装置等の配置スペースが狭くなり得るが、本実施形態の構成によれば、各種基板や駆動装置等の配置スペースを比較的大きくすることができる。
【0103】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、1列複数段に重なった積み重ね状態で上辺個別流下樋101を流下する遊技球のうち最下段に位置する一の遊技球が、第1傾斜面121から第2傾斜面122に乗り移ると、一の遊技球の流下速度が速まって第1傾斜面121上に位置する後続の遊技球から引き離され、一の遊技球と後続の遊技球との間に隙間が形成される。或いは、蛇行形状部120を蛇行することで形成された遊技球同士の間の隙間が拡大する。そして、この隙間に上段の遊技球が割り込むことで積み重ね状態を解消することができる。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機10は、従来のように遊技球の蛇行経路を鋭角にして激しく蛇行させるのではなく、遊技球の流下速度を途中で加速することで積み重ね状態を解消するので、上辺個別流下樋101における遊技球の流下速度の低下を防止しつつ、積み重ね状態を解消することができる。
【0104】
また、蛇行形状部120における底面に第2傾斜面122を設けず、第1傾斜面121だけで構成して傾斜角度を一定にした場合、積み重ね状態を完全に解消するために必要な蛇行形状部120の全長、ひいては上辺樋100の全長が長くなるため、遊技球タンク73の大きさが制限されたり、配置スペースが足りなくなるという不具合が生じる。これに対し、本実施形態のように、蛇行形状部120の途中に第2傾斜面122を設けた構成にすれば、効果的に積み重ね状態を解消することができるので、蛇行形状部120の全長、ひいては上辺樋100の全長を短縮することが可能となり、上述した不具合を解消することができる。
【0105】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0106】
(1)前記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、遊技球を使用する遊技機であれば、パチンコ遊技機10以外の遊技機に本発明を適用してもよい。
【0107】
(2)前記実施形態では、蛇行形状部120を第1傾斜面121の途中から第3傾斜面123の途中に至る範囲に設けていたが、第1傾斜面121の途中から第2傾斜面122の下端部に至るまでの範囲に蛇行形状部120を設けてもよい。
【0108】
(3)また、第1傾斜面121を有した部分だけに蛇行形状部120を設け、第2傾斜面122を有した部分では、遊技球の流下経路が直線状になるように構成してもよい。このようにすれば、第1傾斜面121を流下する遊技球が蛇行形状部120から流下抵抗を受けるのに対し、第2傾斜面122を流下する遊技球は蛇行形状部120から流下抵抗を受けなくなるので、第2傾斜面122における遊技球の流下速度と第1傾斜面121における遊技球の流下速度の差が大きくなり、遊技球の間の隙間をより大きくすることが可能となる。
【0109】
(4)前記実施形態では、外側壁103,103の高さを仕切壁102より高くなるように構成していたが、外側壁103,103と仕切壁102とを同じ高さとしてもよい。
【0110】
(5)前記実施形態では、上辺樋100に、本発明の「遊技球均し樋」に相当する上辺個別流下樋101を2列に備えていたが、3列以上備えていてもよい。また、「遊技球均し樋」を1つだけ備えた構成としてもよい。具体的には、上辺樋100に仕切壁102を設けず、外側壁103,103の間隔を遊技球が1列になって通過可能な間隔にしてもよい。この場合、上辺樋100が本発明の「遊技球均し樋」に相当する。
【0111】
(6)前記実施形態では、上辺個別流下樋101に第2傾斜面122を1つだけ設けていたが、2つ以上の第2傾斜面122を設けてもよい。即ち、第1傾斜面121とその下端部に連続する第2傾斜面122とからなる複合傾斜面を、上辺個別流下樋101の長手方向に複数連続させてもよい。
【0112】
(7)前記実施形態では、第3傾斜面123の上方に、板状の球均し板127を設けていたが、積み重ね状態の遊技球と当接可能でかつ揺動可能な振り子式の球均し部材を設けてもよい。また、球均し板127は平板でなくてもよく、例えば、仕切壁102の上端縁に沿って下面側に膨出するように弓なりに湾曲した湾曲板でもよい。
【0113】
(8)前記実施形態では、遊技球タンク73と側辺樋130との間を繋ぐ上辺樋100(各上辺個別流下樋101)に対して本発明を適用したが、上辺樋100以外で遊技球が流下する遊技球均し樋に本発明を適用してもよい。
【0114】
(9)前記実施形態では、第2傾斜面122の全長を遊技球の直径の2倍としていたが2倍未満でもよい。但し、2倍以上、より好ましくは、2倍以上、3倍未満にすると良好な効果が得られる。
【0115】
(10)前記実施形態において、各上辺個別流下樋101のうち蛇行形状部120の上流側に、積み重ね状態の遊技球と当接可能でかつ揺動可能な振り子式の球均し部材を設けておき、蛇行形状部120に至る前に遊技球の積み重ね状態を所定段数以下に減少させる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10 パチンコ遊技機
57 球払出装置
73 遊技球タンク
73A 段差部
100 上辺樋(樋集合体)
101 上辺個別流下樋(遊技球均し樋)
102 仕切壁
103 外側壁
120 蛇行形状部(側面凹凸部)
121 第1傾斜面
122 第2傾斜面
123 第3傾斜面
127 球均し板(球均し部材)
TP 蛇行生成突条
TP1 第1の蛇行生成突条(境界突条)
TP2 第2の蛇行生成突条
TP3 第3の蛇行生成突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、
前記遊技球均し樋の底面には、前記遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、前記第1傾斜面の下端部から前記遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面と、前記第2傾斜面の下端部に連なりかつ前記第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面とが備えられ、
前記遊技球均し樋のうち前記第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、前記遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部と、
前記第3傾斜面を上方から覆うと共に下流側に向かうに従って前記第3傾斜面に接近し、前記積み重ね状態で流下してくる遊技球のうち最上段の遊技球と摺接して1列1段に均す球均し部材とを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、
前記遊技球均し樋の底面には、前記遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、前記第1傾斜面の下端部から前記遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面とが備えられ、
前記遊技球均し樋のうち前記第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、前記遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部を備え、
前記側面凹凸部は、前記遊技球均し樋における1対の樋内側面にそれぞれ複数ずつ突出形成されて上下方向に延びた複数の蛇行生成突条で構成され、
それら複数の蛇行生成突条は、前記各樋内側面において前記遊技球均し樋の長手方向に等ピッチで並べられると共に、前記1対の樋内側面の間で前記等ピッチの1/2だけずらされ、
前記第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上、3倍未満とし、
前記複数の蛇行生成突条のうちの1つを前記第2傾斜面における流下方向の途中に配置したことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
水平方向に対して傾斜して延びかつ遊技球1つ分の幅をなし、1列複数段の積み重ね状態で流下してくる遊技球を1列1段に均すための遊技球均し樋を備えた遊技機において、
前記遊技球均し樋の底面には、前記遊技球均し樋の始端部と終端部との間の中間部分で延びた第1傾斜面と、前記第1傾斜面の下端部から前記遊技球均し樋の終端部に向かって延びかつ水平方向に対する傾斜角が第1傾斜面より大きい第2傾斜面とが備えられ、
前記遊技球均し樋のうち前記第1傾斜面を有した部分の樋内側面に形成され、前記遊技球の流下経路を蛇行させる側面凹凸部を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
前記側面凹凸部は、前記第1傾斜面を有した部分の樋内側面から前記第2傾斜面を有した部分の樋内側面に亘って形成されたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技球均し樋のうち前記第1傾斜面の下端部と前記遊技球均し樋の終端部との間に、前記第2傾斜面の下端部に連なりかつ前記第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面が備えられ、
前記第3傾斜面を上方から覆うと共に下流側に向かうに従って前記第3傾斜面に接近し、前記積み重ね状態で流下してくる遊技球のうち最上段の遊技球と摺接して1列1段に均す球均し部材が備えられたことを特徴とする請求項3又は4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記側面凹凸部は、前記遊技球均し樋における1対の樋内側面にそれぞれ複数ずつ突出形成されて上下方向に延びた複数の蛇行生成突条で構成され、
それら複数の蛇行生成突条は、前記各樋内側面において前記遊技球均し樋の長手方向に等ピッチで並べられると共に、前記1対の樋内側面の間で前記等ピッチの1/2だけずらされ、
何れか一方の樋内側面における1つの前記蛇行生成突条を境界突条として、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との境界部分に配置したことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上、3倍未満とし、
前記境界突条と異なる前記樋内側面に形成されかつ前記境界突条の次の前記蛇行生成突条を、前記第2傾斜面における流下方向の途中に配置したことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記遊技球均し樋のうち前記第1傾斜面の下端部と前記遊技球均し樋の終端部との間に、前記第2傾斜面の下端部に連なりかつ前記第2傾斜面より水平方向に対する傾斜角が小さい第3傾斜面が備えられ、
前記境界突条と同じ前記樋内側面に形成されかつ前記境界突条の次の前記蛇行生成突条を、前記第2傾斜面と第3傾斜面との境界部分に配置したことを特徴とする請求項6又は7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記第2傾斜面の全長を、遊技球の直径の2倍以上としたことを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項10】
上面開放の溝形状をなしかつ幅方向の中央に仕切壁を設けることで1対の前記遊技球均し樋を併設した構造の樋集合体を備え、
前記樋集合体における1対の外側壁を前記仕切壁より高くし、
前記第1傾斜面における前記仕切壁の高さを最高で遊技球の直径の3倍以上4倍未満とし、前記第2傾斜面における前記仕切壁の高さを最高で遊技球の直径の2倍以上3倍未満としたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項11】
前記遊技球均し樋の始端部には、遊技球を貯留する遊技球タンクが接続され、前記遊技球タンクの底面と、前記遊技球均し樋の始端部の底面との間に段差部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の遊技機。
【請求項12】
前記第1傾斜面の傾斜角度を3〜5[deg]とし、前記第2傾斜面の傾斜角度を33〜35[deg]とし、前記第2傾斜面の上端部と下端部との間の高低差を遊技球の直径と略同一としたことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−24861(P2011−24861A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175036(P2009−175036)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(599104196)株式会社サンセイアールアンドディ (597)
【Fターム(参考)】