説明

遊技機

【課題】 遊技機の検査に必要な多くの情報を検査用に容易に取り出せるようにし、以って検査の手間の軽減と効率の改善を図る。
【解決手段】 遊技制御装置には、入賞検出手段からの検出信号と、賞球検出手段からの検出信号が入力され、該検出信号を検査情報として取り出すための検査情報取り出し部を備え、検査情報取り出し部には、遊技制御装置の回路基板に形成されたスルーホール群、若しくは配線パターンで構成されるとともに、外部の検査装置に接続可能な所定の信号端子を取付可能であり、入賞検出手段から当該遊技制御装置の演算処理部に入力される検出信号と、賞球検出手段から当該遊技制御装置に入力される検出信号を、該演算処理部を介さずに前記検査情報取り出し部に伝達するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、所定の第三者機関の検定を受けなければ販売することができない遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、射幸心をあおるおそれのある遊技機(例えば、パチンコ遊技機)の販売は、「遊技機の認定及び形式の検定等に関する規則(国家公安委員会規則第四号)」に基づく第三者機関の検定、すなわち、同規則で定められた技術基準のすべてを満たしていることの検定を受けなければ行うことができない。
ところで、上記技術基準には、例えば、遊技球(以下、場合により単に球という)の発射装置の性能に関する規格(同規則別表第二のイ)の「1分間に百個を超える遊技球を発射することができるものでないこと」や、遊技球の獲得に係る遊技機の性能に関する規格(同規則別表第二のロ)の「1個の遊技球が入賞口に入賞した場合に、15個を超える数の遊技球を獲得することができるものでないこと」など、多くの検査項目が定められている。このため、遊技機個々の検査に際しては相当な手間と時間を要しているのが実情であり、第三者機関における検査コストのアップはもちろんのこと、さらには、検定の遅れから計画的な遊技機の市場投入を行い難いなどの不都合が指摘されている。
【0003】
上記検査を行う場合、例えば、上記二つの規格(同規則別表第二のイ、ロ)の検査を行う場合であっても、少なくとも、遊技球の発射を示す情報、入賞口への入賞を示す情報および賞球数の情報が必要である。これらの情報を検査装置に与えることにより、「1分間に百個を超える遊技球を発射することができるものでないこと」および「1個の遊技球が入賞口に入賞した場合に、15個を超える数の遊技球を獲得することができるものでないこと」を検定することができる。
また、上記検査には、遊技制御装置が遊技機の通常の運転中に出力する遊技情報(大当たり信号などの遊技状態情報や、ソレノイド駆動信号などの遊技制御情報)も必要になるし、遊技機の通常の運転では従来どこからも出力されない情報が必要になる場合もある。
このような従来の遊技機としては、例えば以下の特許文献1に開示のものがある。
【特許文献1】特開平11−226221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機は、専ら遊技店における遊技の用途に特化した構成をとっており、言い換えるならば、第三者機関における検査に必要な情報をそのまま提供できる構成を備えていない(検査情報取り出し用の専用の端子や必要な全てのセンサを備えていない)。このため、第三者機関における検査の際に、少なくとも前記情報を検出するためのセンサ類などをいちいち取り付けなければならず、しかも、適当な取り付け箇所がない場合には部材に穴を開けたりしなければならず、きわめて検査に手間がかかって非効率であるという問題点があった。
なお、近時のパチンコ遊技機の中には、各センサの信号を検査に利用できるものの、これらセンサの出力を検査用に取り出す専用の部位が設けられていないため、各センサの信号ケーブルを取り外して検査装置に接続し直さなければならず、さらに、すべてのセンサが扱いやすい位置にあるとは限らないことなどから、検査の手間がかかって非効率である点で同様の問題がある。
また、近時のパチンコ遊技機の中には、遊技店の管理用コンピュータ等に遊技情報を出力するための端子を備えているものがあり、この端子を検査に流用することも考えられるが、やはり、信号ケーブルを取り外して検査装置に接続し直さなければならず相当の手間がかかる。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、遊技機の検査に必要な多くの情報を検査用に容易に取り出せるようにし、以って検査の手間の軽減と効率の改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、請求項1記載の遊技機は、遊技盤に設けられる入賞口への入賞を検出する入賞検出手段と、
当該遊技機における遊技制御を行う演算処理部を有する遊技制御装置と、
前記入賞検出手段の入賞検出に基づき排出装置を駆動して、入賞口に対応する賞球を遊技者に付与可能な排出制御装置と、
前記排出装置から排出される賞球を検出する賞球検出手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御装置には、
前記入賞検出手段からの検出信号と、前記賞球検出手段からの検出信号が入力され、
該検出信号を検査情報として取り出すための検査情報取り出し部を備え、
前記検査情報取り出し部には、
前記遊技制御装置の回路基板に形成されたスルーホール群、若しくは配線パターンで構成されるとともに、外部の検査装置に接続可能な所定の信号端子を取付可能であり、
前記入賞検出手段から当該遊技制御装置の演算処理部に入力される検出信号と、前記賞球検出手段から当該遊技制御装置に入力される検出信号を、該演算処理部を介さずに前記検査情報取り出し部に伝達するように構成したことを特徴とする。
ここで、「遊技情報」とは、遊技機の通常の運転状態で遊技制御装置から出力される情報(検査のためだけに出力される情報を除くもの)を意味し、少なくとも遊技状態情報(例えば、大当たり状態であることを示す大当たり信号)と、遊技制御情報(例えば、遊技盤上の役物作動用のソレノイドを駆動するソレノイド駆動信号)とが含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機によれば、検査の手間を軽減できるとともに、検査効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】遊技盤の正面図である。
【図2】遊技機の裏面図である。
【図3】検査用ケーブル接続ユニット等の拡大図である。
【図4】検査用ケーブル接続ユニット(検査用コネクタなし)等の拡大図である。
【図5】遊技機の制御系統を示す図である。
【図6】検査用ケーブル接続ユニットの端子接続構成を示す図である。
【図7】遊技制御プログラムのフローチャートある。
【図8】検査用ケーブル接続ユニット等の利用状態を示す図である。
【図9】遊技機の制御系統(第2形態例)を示す図である。
【図10】遊技制御装置のユニット(第2形態例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施の形態をパチンコ遊技機に適用した例として図面を参照して説明する。
(第1形態例)
まず、第1形態例を説明する。
A.遊技機の正面構成
図1はパチンコ遊技機の遊技盤1を示す正面図であり、遊技盤1の前面の略円形領域にはガイドレール2で取り囲まれた遊技領域3が形成されている。
遊技領域3には、例えば、複数の識別情報(以下、場合により特図という)を変動表示する表示画面4aを有する特別図柄表示装置4、開閉扉5aにより開閉される大入賞口5bを有する特別変動入賞装置5、左右一対の開閉部材6aを有し特図始動口として機能する普通変動入賞装置6(いわゆる普電)、この普通変動入賞装置6の前面中央に位置して後述する普通図柄(以下、場合により普図という)を表示する普通図柄表示器7、左右1個ずつのスルーチャッカー形式の普通図柄始動口8a、8b、左右2個ずつの一般入賞口9a、9b、10a、10b、風車と呼ばれる複数の打球方向変換部材11a〜11d、電飾用のサイドランプ12a、12b、アウト穴13、特別変動入賞装置5の両側や下側に設けられたランプ14a、14bおよび飾り15などが備えられている。
【0010】
表示画面4aの周囲を装飾するセンターケース16の上部には4個の特図始動記憶表示器17が設けられており、普通変動入賞装置6の前面に位置する普通図柄表示器7の周囲には4個の普図始動記憶表示器18が設けられている。
また、センターケース16の上端面中央位置には1個の一般入賞口19が設けられており、さらに、特別変動入賞装置5の両側上面にも左右1個ずつの一般入賞口20a、20bが設けられている。したがって、図示の遊技盤1の場合、独立した一般入賞口は、符号9a、9b、10a、10b、19、20a、20bで示すように、全部で7個設けられている。
【0011】
特別図柄表示装置4は、カラーで静止画や動画が表示可能な、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、冷陰極管型のディスプレイ(CRT)であってもよく、あるいは、機械的な表示手段(例えば、回転ドラム機構)を有する表示装置であってもよい。普通図柄表示器7は、例えば、一桁の数字を表示する7セグメントの表示部を有し液晶またはLED等よりなる表示器であり、この場合、上記普通図柄(普図)は一桁の数字である。特図始動記憶表示器17は特図の始動記憶の数を表示するものであり、同様に、普図始動記憶表示器18は普図の始動記憶の数を表示するものである。
【0012】
なお、遊技盤1の遊技領域3には、通常、天釘やヨロイ釘といった多数の障害釘が設けられるが、ここでは、図面の繁雑化を防ぐため一部を除いて省略している。また、同様に図示を略しているが、遊技盤1には、その他の各種装飾ランプやLED等が設けられていてもよい。例えば、本実施の形態の遊技盤1の場合、右上隅に、残賞球(賞球払出予定数と賞球払出実数の差)の有無を表示する残賞球有無表示器21が設けられている。なお、残賞球有無表示器21の代わりに残賞球の数を表示する残賞球数表示器を設けてもよく、あるいは、その両方を設けてもよい。
また、本発明では、遊技盤1における遊技領域3の構成はどのようなものでもよく、任意の構成を取り得る。「第1種」以外のタイプに属するパチンコ遊技機であってもよい。なお、本形態例では、いわゆる「第1種」に属するタイプのものに適用した例を説明する。
【0013】
ここで、遊技盤1に設けられた、特別変動入賞装置5、普通変動入賞装置6および一般入賞口9a、9b、10a、10b、19、20a、20bは、これらの入賞口のいずれかに球が入ると、予め設定された数(15個を超えない数)の入賞球が払い出されるから、遊技球の獲得に直接的に関与する入賞口である。また、普通図柄始動口8a、8bはスルーチャッカー式の始動口であって、後述の普図変動ゲームを実行して普図当たり(例えば、普図が「7」で停止)となった場合に、上記入賞口の一つである普通変動入賞装置6の一対の開閉部材6aを逆ハの字に開いて普通変動入賞装置6への入賞を促すものである。したがって、本明細書では、遊技盤1に設けられた、特別変動入賞装置5、普通変動入賞装置6および一般入賞口9a、9b、10a、10b、19、20a、20bを総称する用語として「入賞口」を使用することにする。
【0014】
また、上記各入賞口の盤面裏側“下方”の適宜位置には各入賞口ごとのセンサ(図5において符号31〜37,40〜42で示す)が設けられている。また、普通図柄始動口8a、8bに対しては、ここを通過する遊技球を検出する普図始動ゲートセンサ(図5において符号38,39で示す)が設けられている。また、ガイドレール2を伝って遊技盤1に打込まれる発射球を検出するための発射球検出センサ(図5において符号43で示す)も設けられており、この発射球検出センサ43は遊技領域3に発射された球をダブることなく(二重に検出することなく)確実に1球ずつ検出できる適切な位置、例えば、遊技領域3の入り口に設けられている。これらのセンサ31〜43は遊技球の通過を検出する、例えば、通過型の磁気センサであるが、他のタイプ、例えば、光学センサなどであってもよい。なお、“下方”とは、対応する入賞口に入った球を検出可能な適切な位置を意味する便宜的な言葉である。
【0015】
ここで、センサ31〜37は7個の一般入賞口9a、9b、10a、10b、19、20a、20bの各入賞球を独立して検出する入賞球検出センサである。また、センサ38は盤面左側の普通図柄始動口8aの入賞球(通過球)を検出する普図始動ゲートセンサであり、センサ39は盤面右側の普通図柄始動口8bの入賞球(通過球)を検出する普図始動ゲートセンサであり、センサ40は普通変動入賞装置6の入賞球を検出する特図始動センサであり、センサ41は特別変動入賞装置5の大入賞口5bの入賞球のうち一般入賞した球を検出するカウントセンサであり、センサ42は特別変動入賞装置5の大入賞口5bの入賞球のうち継続入賞(いわゆるV入賞)した球を検出する継続センサである。
【0016】
すなわち、本実施の形態の遊技盤1は、7個の入賞球検出センサ31〜37と、2個の普図始動ゲートセンサ38、39と、1個の特図始動センサ40と、1個のカウントセンサ41と、1個の継続センサ42と、1個の発射球検出センサ43とを有しており、これらのセンサ(但し、普図始動ゲートセンサ38、39と発射球検出センサ43を除く)は、遊技盤1に設けられた各入賞口、すなわち、特別変動入賞装置5、普通変動入賞装置6および一般入賞口9a、9b、10a、10b、19、20a、20bへの入賞を個別に検出する入賞検出手段を構成する。
【0017】
B.遊技機の裏機構
次に、図2はパチンコ遊技機(以下、遊技機100という)の裏機構を示す図である。なお、図示の遊技機100はカード式の球貸機100a(CRサンドユニット)を併設するいわゆるCR機と称されるものであるが、これに限定されない。
図2において、遊技機100の裏機構に向かって左側には遊技制御装置101が設けられており、その下側には音制御装置102と排出制御装置103が設けられ、さらにその下側には発射ユニット104と発射制御装置105が設けられている。また、裏機構の中央部付近には装飾制御装置106と表示制御装置107が設けられており、その下側には電源供給ユニット108が設けられている。なお、図5において後述する電源供給装置150は、この場合この電源供給ユニット108内の回路基板等により実現された装置である。
【0018】
遊技制御装置101は遊技に必要な各種制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。音制御装置102は遊技状態に応じた各種の効果音を生成して遊技機100の前面等に配設されたスピーカ(図示略)から出力する制御を行うものであり、所定のケース内にこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。排出制御装置103は球の排出に必要な各種電気部品(例えば、後述の排出ユニット112の電気的駆動源)の制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。
発射ユニット104は遊技機100の前面下部に設けられた発射操作ノブ(不図示)の操作に応じて、球を発射するための機構である。発射制御装置105は球の発射に必要な各種電気部品(例えば、発射ユニット104の電気的駆動源)の制御を行うもので、所定のケースにこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。装飾制御装置106は遊技機100の前面等に配設された装飾用ランプ類の作動(点灯または消灯もしくは点滅)を制御するもので、所定のケース内にこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。
表示制御装置107は遊技制御装置101から出力される指令などに従ってセンター役物を制御し、センター役物の前面表示部(すなわち、特別図柄表示装置4の表示画面4a)に所定の画像を表示させるもので、所定のケース内にこの制御機能を実現するための制御基板が実装されている。電源供給ユニット108(電源供給装置150)は遊技機100の外部からの電源(例えば、AC24V電源)を受けて、遊技機100の各部、例えば、遊技制御装置101、音制御装置102、排出制御装置103、発射ユニット104、発射制御装置105、装飾制御装置106および表示制御装置107などに必要な各種電源を発生して各々に供給する。
【0019】
遊技機100の裏機構の上部付近から右側端部付近を経由して下部付近に至る経路上(遊技球を貯留しさらに排出する経路上)には、貯留タンク109、横方向の誘導路110、屈曲接続ユニット111、排出ユニット112が順番に設けられている。
また、遊技機100の裏機構の下部には、球排出口114が設けられ、さらにこの球排出口114の上方には、入賞球集合棚(不図示)や入賞球流下樋(不図示)が設けられている。なお、入賞球集合棚と入賞球流下樋は部材の陰に隠れて見えない。
【0020】
貯留タンク109は排出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク109の球数不足は不図示の補給センサによって検出され、不足のときは島設備から球が補給されるようになっている。貯留タンク109に貯留された球は誘導路110と屈曲接続ユニット111(半端センサユニット)によって排出ユニット112に導かれ、排出ユニット112は導かれた球を所定の球排出指令信号(排出制御装置103からの信号)に従って、遊技機100の前面に設けられた不図示の上皿へ所要数排出(ここでの排出は賞球排出と貸球排出が含まれる)する。
【0021】
排出ユニット112は、遊技球が重力で流れ落ちるように基本的に上下方向に形成された遊技球流路(図示略)と、この遊技球流路の上部に設けられた払出ユニット112a(図5に示す。以下同様)と、この遊技球流路の下部に設けられた流路切換ユニット112bとに分けられる。流路切換ユニット112bの下部には、排出される遊技球を検出する排出球検出手段が設けられており、この排出球検出手段としては、貸球として排出された遊技球を検出する貸球検出センサ112eと、賞球として排出された遊技球を検出する賞球検出センサ112fとが設けられ、このうち賞球検出センサ112f(正確には、第1賞球検出センサと第2賞球検出センサ)が、本発明の遊技価値検出手段に相当している。
遊技球流路は、貯留タンク109から誘導路110により誘導されて屈曲接続ユニット111を経た遊技球が上端側から流下するもので、流路切換ユニット112bに形成された分岐部(図示略)において二つに分岐し、一方が賞球として排出された遊技球を通過させるための賞球流路(図示略)となっており、他方が貸球として排出された遊技球を通過させるための貸球流路(図示略)となっている。分岐部には、遊技球流路の上流側に対して賞球流路又は貸球流路の何れか一方を閉じる位置に揺動可能な流路切換弁(図示略)が設けられ、この流路切換弁が流路切換ソレノイド112gに駆動されて何れか一方の位置に揺動することにより、遊技球流路の下流側に排出された遊技球が、賞球流路と貸球流路のうちのいずれか一方を通過する構成となっている。
また、この形態例の排出ユニット112は、上記遊技球流路が2列設けられた2条タイプであり、遊技球流路に付随する構成要素(流路切換弁や排出球検出手段など)も、これに対応して2組設けられている。
【0022】
払出ユニット112aには、2列の遊技球流路に対応した2枚のスプロケット(図示略)と、これらを一括駆動する1個の球排出モータ112c(例えば、パルスモータ)と、この球排出モータ112cの回転出力をスプロケットに伝達するための歯車機構(図示略)と、重力によるスプロケットの不用意な回転(即ち、遊技球の不用意な排出)を防止するための停止部材(図示略)と、この停止部材を駆動するストッパーソレノイド112dとを有する。
上記スプロケットは、遊技球流路の上部に設けられた開口(図示略)から外周部が部分的に遊技球流路内に位置するように配置され、外周の歯と歯の間(即ち、谷部)に遊技球Kが1個宛はまり込む寸法形状となっており、必ずこのスプロケットの回転を伴って遊技球がこのスプロケットの箇所を通過する構成となっている(即ち、スプロケットが回転しなければ上記開口の箇所を遊技球が通過できない構成となっている)。
球排出モータ112cは、上記スプロケット41を所定量(所定角度又は所定回転量)だけ回転させて、遊技球を所定数下流側に排出する動作を駆動制御するためのものである。なおこの球排出モータ112cは、排出制御装置103によって制御される。
停止部材は、爪が形成された先端側が前記歯車機構の歯車に対して進退するように揺動自在となっている。この停止部材の基端は、例えば引張バネ(図示略)によって付勢されており、この付勢力の向きは、上記爪を歯車の外周に押し付ける向きに設定されている。また、この停止部材の爪は、上記歯車の外周に押し付けられたときに、上記歯車の歯に係合し歯車機構の回転(即ち、各スプロケットの回転)を阻止する。
また、ストッパーソレノイド112dは、前記停止部材の背面側に配置されて、励磁されると前記停止部材を引きつける力(上記歯車から後退させる力)を発生させ、非励磁状態では前記停止部材を解放するものである。このストッパーソレノイド112dも、排出制御装置103によって制御される。
【0023】
このように構成された払出ユニット112aでは、排出制御装置103の制御によりストッパーソレノイド112dが作動すると(励磁されると)、上述の引きつける力により前記停止部材の先端側が後退方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合した状態が解除され、前記スプロケットが回転可能状態になる。そして、この回転可能状態において、排出制御装置103の制御により球排出モータ112cが作動して前記スプロケットが排出方向に所定量だけ回転することによって、それに対応した数量の遊技球が下流側に送り出され、重力により遊技球流路を流れ落ちてゆく。また、こうして所定量の遊技球が排出された直後には、排出制御装置103の制御により球排出モータ112cの回転が停止されるとともに、ストッパーソレノイド112dが即座に非作動状態(非励磁状態)に戻される。これにより、前記付勢力によって停止部材の先端側が前進方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合状態となり、前記スプロケットの回転が阻止されて重力の作用で所定量を越える量の遊技球が流下してしまう誤動作が確実に防止される。なお、遊技球の排出中(即ち、賞球排出又は貸球排出の最中)に停電があり、球排出モータ112cやストッパーソレノイド112dの作動が排出制御装置103による停電処理により停止した場合にも、上述した停止部材の作用で遊技球の流下が即座に阻止される。
次に、貸球検出センサ112eは、前述した貸球流路を通過する遊技球(即ち、貸球)を検出するセンサであり、賞球検出センサ112fは、前述の賞球流路32を通過する遊技球(即ち、賞球)を検出するセンサである。なお、これらセンサ112e,112fの検出出力は、排出制御装置103に入力されており、さらにこれらセンサのうち賞球検出センサ112fの検出出力は、遊技制御装置101にも入力されている。また、これらセンサ112e,112fは、遊技球流路が2条あることに対応して、各遊技球流路にそれぞれ1個宛設けられており、後述する図5では、例えば一方の賞球検出センサ112fを第1賞球検出センサ112f、他方の賞球検出センサ112fを第2賞球検出センサ112fと称している。
【0024】
次に、遊技盤1の特別変動入賞装置5、普通変動入賞装置6および一般入賞口9a、9b、10a、10b、19、20a、20bに入った入賞球ならびにアウト穴13に入ったアウト球は、遊技盤1の裏面に設けられた前述の入賞球集合棚に集められ、前述の入賞球流下樋を介して球排出口114から島設備に戻されるようになっており、同様に、排出ユニット112の上流側に待機中の球も遊技店の営業終了時等に不図示の球抜きソレノイドを駆動することによって球排出口114から島設備に戻されるようになっている。
なお、排出ユニット112の上流側に待機中の球(一般に100個程度の球)が有るかどうかは、屈曲接続ユニット111の内部に設けられた半端センサ111a(予備球センサなどともいう)によって検出されるようになっている。
【0025】
また、図2において符号117で示すものは基枠体である。この基枠体117は合成樹脂製の一体成型品で形成されており、遊技機100の前面枠(図示略)の裏側に固定された金属フレーム119に着脱可能に取り付けられている。なお、前面枠は、遊技機100の前面側に設けられた額縁状の枠体であり、パチンコ機100を設置している木製の機枠118に対して開閉可能に取り付けられているものである。
そして、上記基枠体117に上述の各構成部品のうちのいくつかの構成部品、すなわち、本実施の形態の場合、排出制御装置103、発射ユニット104、発射制御装置105、貯留タンク109、屈曲接続ユニット111、排出ユニット112、入賞球集合棚(不図示)、入賞球流下樋(不図示)および球排出口114などが着脱可能に取り付けられている。以下、基枠体117に取り付けられたこれらの構成部品のことを便宜的に「枠取り付け部品」ということにする。
【0026】
金属フレーム119には遊技盤収納部120が形成されており、この遊技盤収納部120には遊技盤1(図1参照)が着脱可能に取り付けられている。そして、遊技盤1の裏側には上述の各構成部品のうち基枠体117に取り付けられた構成部品以外のもの、すなわち、本実施の形態の場合、遊技制御装置101、音制御装置102、装飾制御装置106、表示制御装置107および電源供給ユニット108などが着脱可能に取り付けられている。以下、遊技盤1に取り付けられた構成部品のことを便宜的に「盤取り付け部品」ということにする。
【0027】
ここで、上述の「枠取り付け部品」と「盤取り付け部品」の例は、あくまでも一例にすぎない。「盤取り付け部品」は専ら遊技盤1の機種に依存する構成部品であればよく、「枠取り付け部品」はそれ以外の部品、すなわち、機種依存性のない部品(言い換えれば様々な機種の遊技盤1に共通に使用できる部品)であればよい。このような考え方に立って「枠取り付け部品」と「盤取り付け部品」を分類しておくことにより、図示の遊技機100にあっては、金属フレーム119の遊技盤収納部120から遊技盤1を取り外すことにより、その遊技盤1に取り付けられた「盤取り付け部品」、すなわち、遊技制御装置101、音制御装置102、装飾制御装置106、表示制御装置107および電源供給ユニット108などの構成部品を一緒に取り外すことができる。この場合、遊技盤1は機種依存性部材に相当する。
【0028】
ところで、枠取り付け部品や盤取り付け部品は、上記例示の構成部品のみに限らない。それ以外の部品も含まれている。例えば、枠取り付け部品には上記例示の構成部品のほかに、球貸し機接続ユニット121や遊技店用第1ケーブル接続ユニット123などが含まれており、また、盤取り付け部品には上記例示の構成部品のほかに、遊技店用第2ケーブル接続ユニット124や検査用ケーブル接続ユニット125などが含まれている。
【0029】
これらの接続ユニットは外部装置などからの信号ケーブルを接続するためのものであり、具体的には、球貸し機接続ユニット121は球貸機100aからの信号ケーブルを接続し、遊技店用第1ケーブル接続ユニット123および遊技店用第2ケーブル接続ユニット124は遊技店の管理用コンピュータ(管理装置ともいう)からの信号ケーブルを接続し、さらに、検査用ケーブル接続ユニット125は第三者機関の検査装置からの信号ケーブルを接続するためのものであり、特に、この検査用ケーブル接続ユニット125は本発明の検査情報取り出し部に相当し、その端子(後述する検査用コネクタ125cの端子群125d、或いはプリント基板125aに形成されたスルーホール群125e)は、本発明の検査情報取り出し部を構成する要素である。
なお、検査装置は第三者機関のものに限らない。第三者機関における検査に先立って当該遊技機の製造会社でも同等の検査を行うから、製造会社の検査装置であってもよい。以下、説明の簡単化のために第三者機関の検査装置で代表する。
【0030】
これらの接続ユニット121〜125は接続相手のケーブルコネクタに合致した形状の受け側コネクタを備えている。例えば、遊技店用第1ケーブル接続ユニット123はいくつかのコネクタ123aを備えており、このコネクタ123aを介して遊技店の管理用コンピュータと遊技機100との間で所要の信号のやり取りを行うようになっている。
遊技店用第1ケーブル接続ユニット123を介して遊技店の管理用コンピュータとの間でやり取りされる信号は「枠取り付け部品」の各々に必要な信号や「枠取り付け部品」の各々で発生した信号であり、例えば、発射制御装置105に対する発射停止信号(入力信号)、貯留タンク109の貯留球不足を示す球切れ信号(出力信号)、貸し出された遊技球の数を示す球貸し信号(出力信号)、払い出された賞球の数を示す賞球数信号(出力信号)、遊技機100の金枠(ガラス枠)の開放を示す金枠開放信号(出力信号)などである。なお金枠とは、前述した前面枠(図示略)のさらに前面側に開閉自在に取り付けられて、遊技盤1の前面を覆うクリア部材(通常は、ガラス)を支持する枠体であり、この場合図示省略している。
【0031】
一方、遊技店用第2ケーブル接続ユニット124もいくつかのコネクタ(後述)を備えており、そのコネクタを介して遊技店の管理用コンピュータと遊技機100との間で所要の信号のやり取りを行うようになっている。遊技店用第2ケーブル接続ユニット124を介して遊技店の管理用コンピュータとの間でやり取りされる信号は基本的に「盤取り付け部品」の一つである遊技制御装置101で発生したいくつかの信号であり、その信号の方向は遊技機100から管理用コンピュータへの方向(遊技機100から見て出力信号)である。この出力信号としては、例えば、特図の変動回数を示す図柄確定回数信号、大当たり中の状態を示す大当たり信号、大当たり中および普図又は特図の高確率中を示す確率変動信号、不正監視の結果として不正と判定された場合のエラー信号などが該当する。
【0032】
図3は遊技店用第2ケーブル接続ユニット124および検査用ケーブル接続ユニット125の拡大図である。これら二つの接続ユニット124、125は個別のプリント基板124a、125aで作られており、各々のプリント基板124a、125bを所定のベース部材127の凹部127aにはめ込み、さらに、ベース部材127と一体のリブ127b〜127eによって位置決めし、且つ、ネジ127f、127gによって固定している。
遊技店用第2ケーブル接続ユニット124のプリント基板124aには、遊技制御装置101からのケーブル128を接続するためのコネクタ124bが備えられているとともに、遊技店の管理用コンピュータからの信号ケーブル(不図示)を接続するためのコネクタ124c〜124eが備えられている。ここで、コネクタ124cは、例えば、図柄確定回数信号用であり、コネクタ124dは、例えば、大当たり信号用であり、コネクタ124eは、例えば、確率変動信号用である。
【0033】
一方、検査用ケーブル接続ユニット125のプリント基板125aには、遊技制御装置101からのケーブル129を接続するためのコネクタ125bが備えられるとともに、第三者機関の検査装置からの信号ケーブル130(正確には同信号ケーブル130の先端に設けられたコネクタ130a)を接続するためのコネクタ125c(以下、検査用コネクタ125cと呼ぶ)が備えられている。この検査用コネクタ125cは、この場合、基板直付けタイプのものであり、例えば、検査用コネクタ125cの端子群125dをプリント基板125aに形成されたスルーホール群125e(図4参照)に差し込んで半田付けし、あるいは、検査用コネクタ125cの端子群125dをプリント基板125aのプリント配線パターン(不図示)に半田付けして固定し、第三者機関等における検査時に、その検査用コネクタ125cに図外の検査装置から延びる検査用ケーブル130のコネクタ130aを接続して使用する。
【0034】
なお、検査用コネクタ125cの固定作業は、当該遊技機100の製造会社で行ってもよいし、第三者機関で行ってもよい。すなわち、検査用コネクタ125cを取り付けた状態で第三者機関に渡してもよいし、スルーホール群125eまたはプリント配線パターンを露出させた状態で第三者機関に渡してもよい。前者の場合、第三者機関での作業(検査用コネクタ125cの固定作業)が必要となり、作業効率の点で劣るが、完成品の遊技機100に検査用コネクタ125cが取り付けられていないため、納入先の遊技店でケーブルの接続ミスや検査用コネクタ125cを利用した不正な情報取得を回避できる上、遊技機100の設置時に未使用コネクタ(検査用コネクタ125c)の存在に悩むこともないというメリットが得られる。
また、検査用コネクタ125cを使用しない構成としてもよい。例えば、プリントパターンの露出部分にロジックアナライザ等のプローブを当接させることにより、当該露出部分から検査情報を取り出すことができるからである。
【0035】
C.制御系統
図5は遊技機100における制御系統を示す図である。図5において、遊技制御装置101はパチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用演算処理装置(遊技用マイクロコンピュータ)160と、高精度発振器(例えば、XTAL発振器)の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)161と、入出力処理部162と、リセットパルス幅生成回路163とを含んで構成される。遊技用演算処理装置160は、後述の遊技制御プログラムを実行するCPU160a、同プログラムを格納するROM160bおよび作業用メモリ(RAM160c)などをワンチップ化して内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
CPU160は、前述の入賞検出手段を含む各種センサ類の出力に基づいて、遊技盤1における遊技の進行を制御すべく、遊技制御情報(例えば、ソレノイド駆動信号等)を生成して出力し、さらに必要に応じて遊技状態を示す遊技状態情報(例えば、大当たり信号)を生成して出力するとともに、遊技者に遊技価値を供給するための遊技価値情報(後述の賞球データ等)を生成して送信する機能する。
なお、RAM160cは遊技価値情報を格納するメモリエリアを有しており、少なくともこのメモリエリアをバッテリバックアップできるようになっている。このバッテリバックアップ構成については後述する。
【0036】
入出力処理部162は、入力処理及び出力処理を行う回路で、図6に示すように、入力インターフェース162aと、インバータ162bと、入力ポート162cと、バスバッファ162dと、出力ポート162eと、出力インターフェース162fとを有する。なお、出力ポート162eは、バスバッファ162dを介してCPU160aに接続されている。
また、インバータ162bは、入力インターフェース162aを介して負論理の形態で入力された各センサの信号を正論理の形態に反転する変換回路(例えば、ノット回路)である。
入力インターフェース162aには、遊技盤1に設けられた前述の各センサ、すなわち、7個の入賞球検出センサ31〜37、2個の普図始動ゲートセンサ38、39、1個の特図始動センサ40、1個のカウントセンサ41、1個の継続センサ42および1個の発射球検出センサ43からの各検出信号が入力されるとともに、半端センサ111a、賞球払出数検出センサ112f、オーバーフローセンサ171および金枠センサ172からの各検出信号が入力される。
なお、入出力処理部162からは、各センサの信号がそのまま取り出され、検査用ケーブル接続ユニット125の所定の端子(後述する端子A)に出力されている(詳細後述する)。
【0037】
出力ポート162eからは、遊技盤1に設けられた各入賞口のうち駆動源を有するもの、すなわち、特別変動入賞装置5や普通変動入賞装置6の各駆動源(図6に示す大入賞口ソレノイド5aや普通電動役物ソレノイド6a)を駆動するための駆動信号(ソレノイド出力信号)が出力されるとともに、普通図柄表示器7に普通図柄を表示するための表示信号が出力され、さらに、遊技機100の裏機構に設けられた各装置、すなわち、音制御装置102、排出制御装置103、発射制御装置105(図5においては図示省略)、装飾制御装置106および表示制御装置107へ所要の情報(制御信号やデータ;例えば、排出制御装置103に対しては賞球データを含む賞球制御情報)が出力されるほか、遊技店用第1ケーブル接続ユニット123、遊技店用第2ケーブル接続ユニット124および検査用ケーブル接続ユニット125の各々に対して所要の外部出力信号が出力される。なお、検査用ケーブル接続ユニット125の各端子に出力される検査情報の内容等については、後述する。
【0038】
ここで、排出制御装置103は、図5に示すように、CPU201、ROM202、RAM203、所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)204、入出力インターフェース205を含んで構成されている。
CPU201は、遊技球の排出(賞球排出および貸球排出を含む)に必要な処理を行い、ROM202は排出制御に必要なプログラム等を格納し、RAM203はワークメモリとして使用される。なお、RAM203は遊技価値情報を格納するメモリエリアを有しており、少なくともこのメモリエリアをバッテリバックアップできるようになっている。このバッテリバックアップ構成については後述する。
入出力インターフェース205には、遊技制御装置101からの賞球制御情報(賞球データなど)が入力されるとともに、前述の貸球検出センサ112eおよび賞球検出センサ112fからの検出信号が入力されている。また、入出力インターフェース205からは、前述の球排出モータ112c、ストッパーソレノイド112dへ駆動信号が出力され、さらに、図5では図示省略しているが、前述の残賞球有無表示器21(或いは残賞球数表示器)へ表示信号が出力されている。
排出制御装置103は、遊技制御装置101から送信された賞球制御情報のうちの賞球データ(遊技価値情報)をRAM203の前記メモリエリアに順次加算記憶するとともに、そのメモリエリアの加算記憶に基づいて所要の排出処理を行う。
【0039】
次に、電源供給装置150は、DC5V生成回路(ロジック電源回路)151、停電検出回路152、逆流防止用のダイオード153を含んで構成される。
DC5V生成回路151には電源供給装置150からDC12Vが供給されており、DC5V生成回路151はDC12VをDC5Vに変換して上記CPU160a,201等の各素子の動作に必要な電源を供給する。但し、RAM160c,203には、不可逆手段として機能するダイオード153を介して、また配線154a,154bや155a,155bを通して、DC5V生成回路151からDC5Vが供給される。また、DC5V生成回路151からのDC5Vは電源供給装置150の内部に配置されたコンデンサ(スーパキャパシタ)156にも供給されるようになっている。コンデンサ156は、配線154a,154bや155a,155bを介して、RAM160c,203に接続されている。
【0040】
ここで、コンデンサ156は、バックアップ電源であり、通常運転時(非停電時)にダイオード153を介して充電され、停電時はRAM160c,203をバックアップするものである。即ち、コンデンサ156は、これらRAM160c,203の記憶内容(特に、前述したメモリエリア)を保持すべくこれらRAM160c,203に対してバックアップ電源を供給する。
また、停電検出回路152は、DC5V生成回路への電源供給が断たれたことを検出(例えば、DC32Vが所定の電圧まで低下したとき停電として検出)するもので、停電になると、事前に停電検出信号を出力した後、CPU160c及び201に強制的にリセット信号を入力してこれらCPUの動作(即ち、各マイクロコンピュータの動作)を停止させるものである。このような構成であれば、停電の際に各CPUが正常に動作できる電圧時(完全にダウンする前に)に各CPUを停止させて、停電により各CPUが不安定になってRAM160c,203に不定な値が書き込まれるなどの不具合が防止できる
【0041】
D.検査情報取り出し部の詳細
図6は、前述の検査用ケーブル接続ユニット125の各端子(即ち、本発明の検査情報取り出し部)に出力される信号の内容や、これら信号の取り出し構成を示す図である。なお図6において符号141で示すものは、前述の遊技店用第2ケーブル接続ユニット124におけるコネクタの端子群(例えば、大当たり信号用のコネクタ124dの端子など)である。
検査用ケーブル接続ユニット125の端子(前述した検査用コネクタ125cの端子群125d、或いはプリント基板125aに形成されたスルーホール群125e)は、この場合4種類(端子A〜D)に分類される。このうち、端子Aが本発明の第1種検査信号端子に相当し、端子Bが本発明の第2種検査信号端子に相当し、端子C及びDが本発明の第3種検査信号端子に相当する。
【0042】
端子A(第1種検査信号端子)は、各種センサ(入賞検出手段に相当する前述のセンサ31〜37,40〜42、普図始動ゲートセンサ38,39、発射球検出センサ43、遊技価値検出手段である賞球検出センサ112fなど)の出力をそのまま取り出すことが可能な端子であり、この場合各センサの信号それぞれに対して独立の端子が設けられている。ここで、「そのまま取り出す」とは、遊技制御装置101におけるCPU160a(演算処理部)を介さずに入力ポート162cよりも手前側(入力側)から生データとして取り出すことを意味する。この場合、この端子Aに属する各端子は、対応するセンサからの入力系統におけるインバータ162bの出力側(入力ポート162cの入力側)に接続されており、各センサからの信号(即ち、各センサ信号)が入力ポート162cに入力される際の形態でこの端子Aの対応する端子に出力される構成となっている。
このように、生データとして各センサの出力信号が取り出せると、前述した第3者機関によって、各センサを検査用にわざわざ取り付けて行う検査(従来のやり方)と実質的に同一の検査が、極めて容易に(即ち、各センサを検査用に取り付けたり、ケーブルを接続し直したりする作業を要することなく)行える。また、各センサの信号をそのまま取り出せるので、演算処理手段(この場合、CPU160a)の影響を受けずに確実に各センサの信号を読み取ることができて、検査の信頼性が高く維持できる利点もある。
【0043】
なお図6では、煩雑化を避けるため、各センサの入力系統やこの入力系統から前述の如く分岐する端子Aへの接続回線を1本の線で図示しているが、この場合実際には、必要に応じて各センサに対応する分だけの複数の系統や接続回線があることはいうまでもない。出力系統や他の端子B〜Dへの接続回線についても同様である。
また、端子Aに出力される信号としては、この場合少なくとも次のものがある。即ち、特図始動センサ40の出力である始動口入賞信号、普図始動ゲートセンサ38、39の出力であるゲート通過信号、入賞球検出センサ31〜37の出力である普通入賞口入賞信号、継続センサ42の出力である特定領域通過信号、賞球検出センサ112fの出力である賞球信号、発射球検出センサ43の出力である発射球信号などがある。
【0044】
端子B(第2種検査信号端子)は、出力ポート162eに接続され、各センサの信号に基づいてCPU160aが検査用に加工生成した信号(検査用信号)が出力される端子群である。
この端子Bに出力される信号としては、この場合少なくとも次のものがある。即ち、特別変動入賞装置5の開閉扉(大入賞口)5aの開状態を示す特別電動役物作動中信号(第1種特別電動役物作動中信号)、普通変動入賞装置6の開閉部材6aの開放状態を示す普通電動役物作動中信号、大当たり中に出力される役物連続作動装置作動信号、普図当たりを示す普通図柄当たり信号などがある。
【0045】
端子C(第3種検査信号端子)は、遊技制御装置101の遊技制御情報の出力系統における出力ポート162eの出力側の回線(出力回線)から分岐する回線に接続され、前記遊技制御情報の出力を取りだすことが可能な端子群である。
この端子Cに出力される信号としては、この場合少なくとも次のものがある。即ち、特別変動入賞装置5(大入賞口ソレノイド5a)のソレノイド出力信号に対応する第1種特別電動役物開放信号、普通変動入賞装置6(普通電動役物ソレノイド6a)のソレノイド出力信号に対応する普通電動役物開放信号がある。
また、端子D(第3種検査信号端子)は、遊技制御装置101の遊技状態情報の出力系統における出力ポート162eの出力側の回線(出力回線)から分岐する回線に接続され、前記遊技状態情報の出力を取りだすことが可能な端子群である。
この端子Dに出力される信号としては、この場合少なくとも、特別図柄大当たり信号(特図当たりを示す信号)がある。
なお、上記端子C及びDに出力される信号は、検査の必要性に無関係に遊技上の必要性等から出力される信号を、分岐させて取り出して検査用に流用するものである。
【0046】
E.遊技の概要
次に、本例の遊技機100で行われる遊技の概要について説明する。
ガイドレール2を介して遊技領域3に打込まれた遊技球が、特図の始動口(チャッカー)を兼ねた普通変動入賞装置6に入賞すると、特別図柄表示装置4の表示画面4aの複数の変動表示領域(例えば上下または左右の3箇所)において多数の特図(数字、文字、記号、模様等よりなるもの)が変動(例えば、スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、変動表示ゲームが行われる。そして、この変動表示ゲームの結果(停止した特図の組合せ)が特定表示結果(例えば、「777」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる遊技価値が付与された状態となる。なお制御上は、例えば特図の始動口への遊技球の入賞があったことを条件(始動条件)として、大当り乱数(遊技価値判定用乱数)などの各種乱数の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め停止図柄(大当りとするか否か)やリーチアクションを行うか否かなどが決定され、この決定に応じて上記変動表示が開始される。
【0047】
また、いわゆる時短(時間短縮)の制御が行われている場合には、特図の変動の開始から終了までの時間が通常よりも短縮され、その分だけ特図の変動表示ゲームの頻度が実質的に増加して有利となる。また、いわゆる確率変動の制御によって大当りの確率が高確率に設定されていると、通常よりも大当りとなる確率が増加する。
【0048】
この大当りになると、特別変動入賞装置5の開閉扉5aが、規定時間(例えば、30秒)を越えない範囲内において、例えば10個入賞までの期間だけ一時的に開放される開放動作が行われる。そして、この開放動作は、継続入賞球の検出(継続センサ42による入賞球の検出)が行われることを条件に、例えば、16ラウンドまで複数回行われる。
また、上記特図の変動表示ゲーム中または大当り中に、普通変動入賞装置6にさらに遊技球が入賞したときには、特図始動記憶表示器17が点灯してこの場合4個まで記憶され、変動表示ゲームまたは大当りが終了した後に、その記憶(即ち、始動記憶)に基づいて上記特図の変動表示ゲームが繰り返される。
【0049】
一方、遊技中に、遊技球が普通図柄始動口8a、8bに入賞(通過)したときは、普通図柄表示器7の普図(この場合、一桁の数字)の変動表示による普図の変動表示ゲームが行われる。そして、この変動表示ゲーム結果(停止した普図)が所定の態様(例えば、「7」)であれば、普図当りと呼ばれる遊技価値が付与された状態となる。
この普図当りの状態になると、普通変動入賞装置6の一対の開閉部材6aが逆ハの字に開いた開放状態に、例えば0.5秒程度保持される遊技が行われる。これにより、普通変動入賞装置6に遊技球が入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図の変動表示ゲーム中に、普通図柄始動口8a、8bにさらに遊技球が入賞したときには、普図始動記憶表示器18が点灯してこの場合4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。
【0050】
F.制御系の動作
次に、前述した制御系により行われる本例の遊技機100の制御について説明する。
図7は、遊技制御装置101の遊技用演算処理装置(遊技用マイクロコンピュータ)160により行われる遊技プログラムのフローチャートを示す図である。この制御処理は、所定の基準時間(例えば、2ms)毎に1シーケンスずつ行われる。即ち、最終ステップの残余時間処理S22において、遊技用マイクロコンピュータ160に上記基準時間間隔のリセット信号が入るたびに、ステップS1から実行される。
【0051】
処理が開始されると、ステップS1においてまず電源の投入時であるか否かを判定する電源投入判定処理を行い、電源投入時であれば初期化処理を行って、ROM160bの正常判定処理やRAM160cにおけるワークエリアのイニシャライズ、I/Oレジスタの設定、システム内部のレジスタの設定処理およびフラグのイニシャライズ等が行われる。また、電源投入時でなければ、ステップS2に進んで入力処理を行い、入出力処理部162からの信号を取り込む。これにより、所要の入力情報(半端センサ111a、オーバーフローセンサ171、金枠センサ172、発射球検出センサ43および賞球検出センサ112fなどの検出信号)が取得される。次いで、ステップS3で出力処理を行い、入出力処理部162に遊技情報の信号(遊技制御情報や遊技状態情報)を出力する。これにより、入出力処理部162に接続される遊技盤1上の各器具が駆動され、例えば特別変動入賞装置5の駆動等が行われる。また、前述した検査用ケーブル接続ユニット125の端子B〜Dに各種検査情報が出力される。
【0052】
次いで、ステップS4〜S11のうちの一つの処理を時分割で順次行う。ステップS4〜S11の概要は以下のとおりである。
<ステップS4:排出制御情報編集処理>
排出制御情報編集処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から排出制御装置103へ送信する賞球制御情報に関する編集が行われる。
<ステップS5:排出制御装置通信処理>
排出制御装置通信処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から排出制御装置103へ賞球制御情報を送信するための処理を行う。
<ステップS6:音声制御装置通信処理>
音声制御装置通信処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から音制御装置102へ音声制御信号(例えば、遊技ゲームの効果音の制御信号)を送信するための処理を行う。
<ステップS7:装飾制御装置通信処理>
装飾制御装置通信処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から装飾表示制御装置106へ装飾制御信号を送信するための処理を行う。これにより、遊技盤1の各種装飾ランプやLED等を装飾発光させて遊技を演出することが行われる。
【0053】
<ステップS8:表示制御装置通信処理>
表示制御装置通信処理では、後述する表示制御装置送信情報編集処理S20で行われる送信情報の設定に基づいて、実際に表示制御装置107に対して所定の表示制御信号を出力するための処理が実行される(つまり、送信領域にセットされているコマンドデータを送信するための処理が実行される)。これにより、特別図柄表示装置4の表示画面4aにて複数の特図が複数列で変動表示等され、変動表示ゲームが行われる。
<ステップS9〜ステップS11:スルー処理>
スルー処理では、何も処理を行わずに、これらのステップをスルーする。
【0054】
次に、図示の遊技プログラムでは、以上の時分割処理がなされた後に、ステップS12で乱数生成処理を行う。乱数生成処理では、特図に関連する乱数および普図に関連する乱数の更新が行われる。特図に関連する乱数としては、例えば、大当り乱数(大当りとするか否かを決定するための乱数)、リーチ乱数(リーチ態様決定用の乱数)、大当り停止図柄乱数(大当り停止図柄決定用の乱数)、などがある。乱数の生成では、特図および普図の乱数を例えば「1」ずつインクリメントして更新することが行われる。したがって、本ルーチンが繰り返される毎に、特図および普図の乱数が変り、大当り或いは普図当りの乱数抽出値がアトランダム性を保つようになる。
【0055】
次いで、ステップS13でセンサ入力処理を行う。ここでは、入賞球検出センサ31〜37、普図始動ゲートセンサ38、39、特図始動センサ40、カウントセンサ41および継続センサ42からの入力監視を行うとともに、これらセンサからの入力信号に基づいて、特図変動や普図変動の始動記憶の更新、特図や普図などに関連する乱数の抽出、賞球数記憶、大当り時のラウンド継続の設定、などの処理を行う。
次いで、ステップS14〜S21のうちの一つの処理を時分割で順次行う。ステップS14〜S21の概要は以下のとおりである。
【0056】
<ステップS14:特別図柄ゲーム処理>
特別図柄ゲーム処理では、特図をスクロールさせる前の始動記憶監視、図柄停止監視および大当り処理の何れかに対応した処理が行われる。
<ステップS15:普通図柄ゲーム処理>
普通図柄ゲーム処理では、遊技球が普通図柄始動口8a、8bに入賞(通過)したときに、普通図柄表示器7の普図(この場合、一桁の数字)の変動表示による変動表示ゲームについての処理を行い、普図当りとなった場合には対応する普図当り処理を行う。
<ステップS16:図柄変動処理>
図柄変動処理では、特図をスクロールさせる処理が行われ、所定時間経過後に、図柄変動が停止して大当り或いは外れの何れかになる。
【0057】
<ステップS17:装飾制御情報編集処理>
装飾制御情報編集処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から装飾表示制御装置106へ送信する装飾制御情報の編集(例えば、サイドランプ12a、12b、14a、14b等の装飾をどのようにするかの編集)を行う。
<ステップS18:ソレノイド編集処理>
ソレノイド編集処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から、特別変動入賞装置5(大入賞口ソレノイド5a)や普通変動入賞装置6(普通電動役物ソレノイド6a)へ送信するソレノイド駆動信号の編集を行う。なお、ここで編集されたソレノイド駆動信号は、ステップS3の処理を介して出力ポート162eから出力され、大入賞口ソレノイド5aや普通電動役物ソレノイド6aに送信されるとともに、前述したように検査用ケーブル接続ユニット125の端子Cにも出力される。
<ステップS19:不正監視処理>
不正監視処理では、特別変動入賞装置5に対するノーカウントの監視、その他の不正監視が行われ、不正等の場合には、例えば後述のステップS21の外部端子情報編集処理にてエラー信号を外部の管理装置に出力するような編集が行われる。
【0058】
<ステップS20:表示制御装置送信情報編集処理>
表示制御装置送信情報編集処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から表示制御装置107へ送信する表示制御情報(コマンドデータよりなる表示制御信号)の編集を行う(つまり、コマンドデータを選択して送信領域にセットする)。
<ステップS21:外部端子情報編集処理>
外部端子情報編集処理では、遊技用マイクロコンピュータ160から遊技店用第1ケーブル接続ユニット123や遊技店用第2ケーブル接続ユニット124を介して管理用コンピュータ等へ送信する遊技店用外部端子情報の編集を行うとともに、検査用ケーブル接続ユニット125を介して第三者機関の検査装置へ送信する前述の検査用信号の編集(即ち、情報の加工生成)を行う。
遊技店用外部端子情報や検査用信号の内容は既述のとおりである。
【0059】
以上のとおり構成したので、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)遊技店用のケーブル接続ユニット(遊技店用第1ケーブル接続ユニット123および遊技店用第2ケーブル接続ユニット124)とは別に検査専用のケーブル接続ユニット、すなわち、検査用ケーブル接続ユニット125(検査情報取り出し部)を設けたので、図8に示すように、当該遊技機100を遊技店に設置する際は、遊技店用のケーブル接続ユニット(遊技店用第1ケーブル接続ユニット123および遊技店用第2ケーブル接続ユニット124)と遊技店の管理コンピュータ等との間を接続し、一方、第三者機関等で検査を行う際は、検査用ケーブル接続ユニット125と検査装置との間を接続するという使い方をすることができる。
したがって、検査用ケーブル接続ユニット125の端子群125d(前述の端子A〜D)に出力されている検査情報については、第三者機関等では検査用ケーブル130の接続作業(および所要の検査作業)だけが発生し、言い換えれば、冒頭で説明した検査用センサの取り付け作業やケーブルを接続し直す作業が発生せず、その結果、検査の手間と効率の向上を図ることができる。
【0060】
(2)しかもこの場合、検査用ケーブル接続ユニット125(検査情報取り出し部)から取り出し可能な検査情報には、入賞検出手段等のセンサの出力に加えて、遊技制御装置101で生成される遊技情報や、遊技制御装置101で検査用に加工された信号が含まれている。すなわち、検査に必要なすべての情報または主要な情報がほとんど取り出し可能であるから、冒頭で説明した検査用センサの取り付け作業やケーブルを接続し直す作業は全く生じない(或いは、ほとんど生じない)。また、第三者機関等の検査装置などによって、入賞検出手段等のセンサの出力から、必要な他の情報(遊技情報に相当する情報など)を加工生成する必要もない。
(3)また、検査用ケーブル接続ユニット125は、入賞検出手段等のセンサ出力を取り出すことが可能な第1種検査信号端子(端子A)や、遊技制御装置101で検査用に加工した信号を取りだすことが可能な第2種検査信号端子(端子B)や、遊技情報を取りだすことが可能な第3種検査信号端子(端子C,D)を有している。このため、各情報を取り出すための検査用ケーブル130の接続は、上述したようなコネクタ125cの装着作業(或いは、ロジックアナライザ等のプローブを当接させる作業)により極めて容易に可能である。したがって、検査効率を大幅に向上できる。
【0061】
(4)また、本形態例の場合には、入賞検出手段等の各センサの出力(第1種検査信号端子(端子A)への出力)が、全て生データとしてそのまま出力されている。このため、前述したように、第3者機関によって、各センサを検査用にわざわざ取り付けて行う検査(従来のやり方)と実質的に同一の検査が、極めて容易に(即ち、各センサを検査用に取り付けたり、ケーブルを接続し直したりする作業を要することなく)行える。また、各センサの信号をそのまま取り出せるので、演算処理手段(この場合、CPU160a)の影響を受けずに確実に各センサの信号を読み取ることができて、検査の信頼性が高く維持できる利点もある。
(5)また本形態例では、遊技情報を取りだすことが可能な第3種検査信号端子(端子C,D)が、遊技情報の本来の出力回線から分岐する回線に接続された端子よりなる。すなわち、本来出力されている遊技情報を検査用に単に流用する構成となっているため、このように遊技情報が検査専用に取り出せる取り出し部を備える構成でありながら、回路構成が簡素になる利点がある。
【0062】
(6)また、検査用ケーブル接続ユニット125に検査用コネクタ125cを取り付けない状態にしておけば、第三者機関等で遊技機側の検査用コネクタ125cの取り付け作業が必要となって効率の点で劣るものの、完成品の遊技機100に検査用コネクタ125cが取り付けられていないため、納入先の遊技店でケーブルの接続ミスや検査用コネクタ125cを利用した不正な情報取得を回避できる上、遊技機100の設置時に未使用コネクタ(検査用コネクタ125c)の存在に悩むこともないという効果が得られる。
(7)また、上記同様に検査用ケーブル接続ユニット125に検査用コネクタ125cを取り付けない状態にしておけば、第三者機関等で、検査用コネクタ125cの取り付け位置(のプリントパターン露出部分に)にロジックアナライザ等のプローブを当接させて検査することも可能であり、この場合には、検査用ケーブルの接続のためのコネクタの取り付け作業が全く不要になる効果が得られる。
(8)また本形態例では、検査情報取り出し部を構成する検査用ケーブル接続ユニット125を遊技店用ケーブル接続ユニット123,124とを別体としたので、遊技店への設置時にケーブル接続のミスを防止することができる。
(9)また本形態例では、検査情報取り出し部を構成する検査用ケーブル接続ユニット125を機種依存性の部材上に設けたので、機種変更(遊技盤の交換)の際に検査情報取り出し部も一緒に交換することができ、機種変更の容易性を向上できる。
【0063】
(第2形態例)
次に、図9,図10により第2形態例の特徴部分を説明する。なお、他の構成は第1形態例と同様でよいので、重複する説明を省略する。
本形態例では、図9,図10に示すように、本発明の検査情報取り出し部が、遊技制御装置101を構成する回路基板(図示略)に設けられた4個の検査用端子群411〜414により構成されている。各検査用端子群411〜414は、この場合上記回路基板に形成されたスルーホール群であるが、配線パターンやピン状の電極等で構成されていてもよい。各検査用端子群411〜414には、それぞれ別個の検査用コネクタ421〜424(図10に示す)が取り付け可能で、これらコネクタを介してこの場合4本の検査用ケーブル(図示略)が接続可能となっている。
なお、各検査用コネクタの取り付けや、各検査用ケーブルの配線は、例えば遊技制御装置101のユニットケース402(図10に示す)を一時的に取り外して行ってもよいし、ユニットケース402の開口を介して行ってもよい。ここでいう開口は、予め設けたものでもよいし、検査時に加工して設けてもよいし、手作業で容易に開口が設けられるように予め切り取り線等を加工しておいたものでもよい。
そして、各検査用端子群411〜414のそれぞれのスルーホール(或いはこれらスルーホールに差し込まれる各検査用コネクタ421〜424のそれぞれのピン端子)は、図6に例示したような検査用に取り出される各種の信号のいずれかにそれぞれ割り当てられていて、それぞれの信号を取り出すための端子(即ち、本発明の検査情報取り出し部を構成する検査信号端子)として機能する(但し正確には、電位差などとして信号を読み取るためのコモン端子或いはグランド端子などは除く)。
【0064】
なお、各検査用端子群411〜414(或いは各検査用コネクタ421〜424)は、検査信号端子の種類毎に分けられていてもよい(例えば、検査用端子群411が図6に示した端子Aに全て対応し、スルーホール群412が図6に示した端子Bに全て対応するといった構成でもよい)が、各種類のものが混在していてもよい(例えば、ひとつのコネクタ421に対応する検査用端子群411に、端子Aに属するものもあれば、端子Bに属するものもあるといった構成でもよい)。
また、各検査用端子群411〜414のスルーホールの中に、実際には信号が出力されていないものがあってもよい。すなわち、遊技機の機種によって取り出すべき検査用信号が異なるが、他の機種への改造の容易化、部品や設計の共用化等のために、複数機種(例えば全ての機種或いは特定の複数機種)の検査に必要な全ての検査用信号に対応した数だけ、上記スルーホールを設けておき、その機種に必要のないものについては、不使用としておいてもよい。
また、遊技制御装置101を構成する回路基板は、図10に示すように、ユニットケース402内に収納されて設けられているが、このユニットケース402を透明又は半透明として、上記回路基板の実装面の少なくとも主要部(例えば、主要なメモリ等の実装部分)や上記検査用端子群411〜414が収納状態においても透視可能となるように構成してもよい。このようにすれば、不正な改造が行われていないこと、及び、上記検査用端子群411〜414から不正に情報が取り出されていないことが容易に確認できる。
また、この第2形態例の構成であると、前述した第1形態例の効果に加えて以下のような効果が得られる。すなわち、遊技制御装置101に検査情報取り出し部を設けたので、検査用のケーブル接続ユニット(上述の検査用ケーブル接続ユニット125)を不要にできるとともに、同ユニットと遊技制御装置101との間のケーブル(図3のケーブル129)も不要にでき、したがって、コストダウンを図ることができるというメリットが得られる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は、以上の例に限定されない。例えば、以下のとおりに変形させてもよい。
例えば、遊技制御装置101のユニットケース402に検査情報取り出し部を構成する検査用コネクタや端子群を設けてもよい。
また、本発明の検査情報取り出し部は、蓋部材により脱着可能に覆うことが可能な構成としてもよい。この場合、蓋部材を取り外すことにより、第三者機関等における検査を支障なく行うことができる一方、遊技店への設置時には蓋部材によって検査情報取り出し部が隠されているので、ケーブルの接続ミスや不正な情報取得を回避できる上、遊技機の設置時に未使用端子や未使用コネクタの存在に悩むこともないという効果が得られる。
【0066】
また、検査情報取り出し部から取り出し可能な検査情報は、上記形態例において例示したものに限られない。例えば、遊技制御装置101で生成される遊技機エラー状態信号、普通図柄保留1個目〜保留4個目信号(普図始動記憶表示器18の保留数に対応する信号)、普通図柄高確率状態信号(普図の高確率中を示す確率変動信号)、普通図柄変動時間短縮状態信号(普図の時短制御中を示す信号)、普通電動役物開放延長状態信号(通常遊技状態と確変遊技状態とで普通電動役物の開放時間を異ならせている場合、通常と異なる延長されている時間だけ出力される信号)、特別電動役物入賞信号(カウントセンサ41の検出信号)、特別図柄保留1個目信号〜保留4個目信号(特図始動記憶表示器17の保留数に対応する信号)、特別図柄高確率状態信号(特図の高確率中を示す確率変動信号)、特別図柄変動時間短縮状態信号(特図の時短制御中を示す信号)などが含まれてもよい。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
次に、本願発明に関連する技術事項などにつき、以下に付記する。
本発明の遊技機によれば、遊技制御装置の入力ポートの前段においては入賞検出手段から該遊技制御装置の演算処理部に入力される信号を、該演算処理部を介さずに検査専用の検査情報取り出し部から取り出すことができ、遊技制御装置の出力ポートの後段においては遊技制御装置の演算処理部から出力される遊技情報を取り出すことができる。
したがって、第三者機関等における検査の際に、検査用センサを取り付けることなく、単に検査情報取り出し部から情報を取り出すだけで、所要の検査を行うことができる。その結果、検査の手間を軽減できるとともに、検査効率の向上を図ることができる。
しかも、検査情報取り出し部から取り出し可能な検査情報には、入賞検出手段等のセンサの出力に加えて、遊技制御装置で生成される遊技情報が含まれているので、検査に必要なすべての情報または主要な情報がほとんど取り出し可能であるから、冒頭で説明した検査用センサの取り付け作業やケーブルを接続し直す作業は全く生じない(或いは、ほとんど生じない)。また、第三者機関等の検査装置などによって、入賞検出手段等のセンサの出力から、必要な他の情報(遊技情報に相当する情報など)を加工生成する必要もない。
また、各センサの信号をそのまま取り出せるので、各センサを検査用にわざわざ取り付けて行う検査(従来のやり方)と実質的に同一の検査が、極めて容易に(即ち、各センサを検査用に取り付けたり、ケーブルを接続し直したりする作業を要することなく)行える。また、演算処理部により実行される当該遊技機の制御を行う遊技プログラムには、検査情報取り出し部に、所定の信号端子を取り付けた状態及び所定の信号端子を取り外した状態においても、第1の遊技情報として第1出力ポートを介して出力する信号の加工生成を行う編集処理を含ませて構成するので、遊技情報が検査専用に取り出せる構成でありながら、回路構成が簡素になる利点がある。
また、遊技制御装置から出力される遊技情報には、演算処理部で加工生成され、外部の管理装置に出力されずに取り出される検査情報としての第1の遊技情報と、外部の管理装置へ出力される遊技状態信号から分岐して取り出される検査情報としての第2の遊技情報とが含まれるので、遊技情報が検査専用に取り出せる構成でありながら、回路構成が簡素になる利点がある。
さらに、遊技制御装置に検査情報取り出し部を設けたので、検査用のケーブル接続ユニットを不要にできるとともに、同ユニットと遊技制御装置との間のケーブルも不要にでき、したがって、コストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 遊技盤
101 遊技制御装置
103 排出制御装置
112e 賞球払出数検出センサ(遊技価値検出手段)
123 遊技店用第1ケーブル接続ユニット
124 遊技店用第2ケーブル接続ユニット
125 検査用ケーブル接続ユニット(検査情報取り出し部)
125c 検査用コネクタ
125d 端子群(第1種〜第3種検査信号端子)
125e スルーホール群(第1種〜第3種検査信号端子)
411〜414 検査用端子群(第1種〜第3種検査信号端子)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設けられる入賞口への入賞を検出する入賞検出手段と、
当該遊技機における遊技制御を行う演算処理部を有する遊技制御装置と、
前記入賞検出手段の入賞検出に基づき排出装置を駆動して、入賞口に対応する賞球を遊技者に付与可能な排出制御装置と、
前記排出装置から排出される賞球を検出する賞球検出手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御装置には、
前記入賞検出手段からの検出信号と、前記賞球検出手段からの検出信号が入力され、
該検出信号を検査情報として取り出すための検査情報取り出し部を備え、
前記検査情報取り出し部には、
前記遊技制御装置の回路基板に形成されたスルーホール群、若しくは配線パターンで構成されるとともに、外部の検査装置に接続可能な所定の信号端子を取付可能であり、
前記入賞検出手段から当該遊技制御装置の演算処理部に入力される検出信号と、前記賞球検出手段から当該遊技制御装置に入力される検出信号を、該演算処理部を介さずに前記検査情報取り出し部に伝達するように構成したことを特徴とする遊技機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−192279(P2012−192279A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159650(P2012−159650)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【分割の表示】特願2008−121038(P2008−121038)の分割
【原出願日】平成12年1月24日(2000.1.24)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】