遊技機
【課題】入賞装置において、入賞口から流入した遊技球を迅速に検出可能とする。
【解決手段】入賞口37から装置本体30内へ入賞した遊技球を検出する球検知スイッチSは、入賞口37に開口する装置本体30内の入賞空間46において、入賞口37の遊技球が主として流入する開口端37Aと反対側の開口端37B側に臨む部位に配設される。そして球検知スイッチSは、遊技球が通過する球検出口56を、遊技球が主として流入する開口端37A側へ向けた状態で配置されている。
【解決手段】入賞口37から装置本体30内へ入賞した遊技球を検出する球検知スイッチSは、入賞口37に開口する装置本体30内の入賞空間46において、入賞口37の遊技球が主として流入する開口端37Aと反対側の開口端37B側に臨む部位に配設される。そして球検知スイッチSは、遊技球が通過する球検出口56を、遊技球が主として流入する開口端37A側へ向けた状態で配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤に配設された入賞装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、遊技盤の前盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の装飾部材(所謂センター役物)が配設されており、この装飾部材の開口部を介して複数の図柄を変動表示する液晶式やドラム式等の図柄表示装置を後方から臨ませると共に、該遊技盤における装飾部材の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での図柄変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている(特許文献1)。このようなパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら自重により次第に流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置の入賞口に入賞することにより、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当り遊技や小当り遊技等の当り遊技が発現されるよう構成されている。そして、前記当り遊技の発現に伴い、遊技盤に設けられた特別入賞装置の入賞口を開閉扉が開放するラウンド遊技が行なわれて、多数の賞球を遊技者が獲得し得る機会が付与され、当り遊技の終了に伴い開閉扉が特別入賞装置の入賞口を閉鎖してパチンコ球の入賞を規制するようになっている。
【0003】
前記特許文献1に開示された特別入賞装置(電動式入賞装置)は、入賞口が形成された本体内の入賞空間(通出室)に、該入賞口を介して該入賞空間へ入賞したパチンコ球を検出する球検出スイッチ(検出スイッチおよび特別検出スイッチ)が配設されている。これら球検出スイッチは、当該パチンコ機を総合的に制御する主制御装置に検出信号を送出するようになっており、両球検出スイッチによる球検出信号の送出数を主制御装置がカウントして、各ラウンド遊技毎に予め設定された数(例えば10個)のパチンコ球を両球検出スイッチで検出したら、前記開閉扉を閉制御して入賞口を閉鎖するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−84813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された特別入賞装置は、前記本体内の入賞空間において、左右方向における中央寄りでかつ後方の奥まった位置に、球検出口が上下に開口する向きで配置されている。また、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球の多くは、該遊技領域における前記装飾部材の左側部分を流下するようになるため、前記特別入賞装置の左側から入賞口を介して本体の入賞空間へ流入するようになる。このため、本体の入賞空間に流入したパチンコ球は、該入賞空間の右方へ移動するので前記球検出スイッチの方向へ円滑に移動しないことがあり、入賞口から入賞空間へ流入してから該球検出スイッチにより検出されるまでにタイムラグが発生し易い。すなわち、先に入賞空間に流入した先行のパチンコ球が球検出スイッチで検出されるまでの間に、次行のパチンコ球が該入賞空間に流入する事象が発生し易く、場合によっては2〜3個のパチンコ球が流入することもあり得る。従って、特許文献1に開示された従来の特別入賞装置では、前述したように、各ラウンド遊技毎の規定数のパチンコ球を該球検出スイッチして前記開閉扉が入賞口を閉鎖する前に更にパチンコ球が流入するから、規定数以上の入賞を発生させてしまう不都合がある。また、入賞空間へ流入したパチンコ球が球検出スイッチの方向へ円滑に移動できないので、同時に複数個のパチンコ球が集中して該入賞空間内に流入した場合には、球詰まりが発生するおそれもある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、入賞口から流入した遊技球を迅速に検出可能とした入賞装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(10)が画成された遊技盤(D)に配設され、該遊技領域(10)を流下する遊技球が入賞可能な入賞口(37)を有する本体(30)と、前記本体(30)に前記入賞口(37)を開閉可能に設けられた開閉手段(31)と、前記本体(30)内に配置され、前記入賞口(37)から該本体(30)内へ入賞した遊技球を検出する検出手段(S)とを備え、所定の開放条件の成立により前記開閉手段(31)を開動作して前記入賞口(37)を開き、所定の閉鎖条件の成立により該開閉手段(31)を閉動作して該入賞口(37)を閉じるよう構成された入賞装置(21)を備えた遊技機において、
前記入賞装置(21)の前記検出手段(S)は、前記入賞口(37)に開口する前記本体(30)内の入賞空間(46)において、前記遊技領域(10)から前記入賞口(37)を介して該入賞空間(46)内へ流入する遊技球の主たる流入方向の下流側に配置されるよう構成したことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、入賞装置の入賞口から該入賞装置の入賞空間へ流入した遊技球が検出手段の方向へ円滑に移動するようになるから、該検出手段による該遊技球の検出が迅速になされる。従って入賞装置は、予め設定された規定数の遊技球が入賞口から本体の入賞空間に流入し、該遊技球が検出手段で検出されて所定条件が成立すると開閉手段が迅速に閉動作されるため、規定数以上の遊技球が流入することを防止し得る。また、本体の入賞空間にへ複数の遊技球が同時に流入しても、遊技球が円滑に検出手段で検出されるから球詰まりが発生し難い。
【0009】
請求項2に係る発明では、
前記入賞装置(21)は、前記入賞口(37)に対して、左右一方の開口端(37A)側から遊技球が主として流入するよう構成され、
前記検出手段(S)は、前記本体(30)内において前記入賞口(37)の遊技球が主として流入する開口端(37A)と反対側の開口端(37B)側に臨む部位に、遊技球が通過する球検出口(56)を、前記遊技球が主として流入する開口端(37A)側へ向けた状態で配置されていることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、入賞口に対して左右一方の開口端側から本体内へ通入した遊技球は、入賞口の前記開口端と反対側の開口端側に臨む部位へ移動するので、該反対側の開口端側に臨む部位に配置した検出手段で検出され易くなる。しかも検出手段は、遊技球が通過する球検出口を、遊技球が主として流入する開口端側へ向けた状態で配置されているから、遊技球が該球検出口をスムーズに通過して遊技球の検出が迅速になされる。
【0010】
請求項3に係る発明では、
前記本体(30)内には、前記入賞口(37)から前記検出手段(S)に向けて延在する案内部(60)が設けられ、
前記入賞口(37)から前記入賞空間(46)へ流入した遊技球を、前記案内部(60)で前記検出手段(S)へ案内するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、入賞口から本体内に流入した遊技球が、案内部により検出手段に向けて案内される。
【0011】
請求項4に係る発明では、
前記案内部(60)は、前記入賞口(37)の前記遊技球が主として流入する左右一方の開口端(37A)側が該入賞口(37)に最も近く、前記検出手段(S)に近づくにつれて該入賞口(37)から遠ざかるように設けられていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、入賞口に対して左右一方の開口端側から本体内へ流入した遊技球が、案内部に沿って検出手段に向けて円滑に案内されるので、検出手段による遊技球の検出が迅速になされる。
【0012】
請求項5に係る発明では、
前記案内部(60)は、前記本体(30)内の下壁または上壁の少なくとも一方に、前記入賞空間(46)へ突出するように設けられていることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、案内部が本体の上壁または下壁に一体に形成されるので、製造工数や部品点数が増加することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、入賞装置の入賞口から流入した遊技球を迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】遊技盤と、該遊技盤の後側に配設される設置部材と、設置部材の後側に配設される図柄表示装置とを、前側から見た分解斜視図である。
【図4】遊技盤と、該遊技盤の後側に配設される設置部材と、設置部材の後側に配設される図柄表示装置とを、後側から見た分解斜視図である。
【図5】実施例に係る特別入賞装置を開閉扉が閉鎖位置にある状態で示す斜視図である。
【図6】実施例に係る特別入賞装置を開閉扉が開放位置にある状態で示す斜視図である。
【図7】実施例に係る特別入賞装置の平面図である。
【図8】実施例に係る特別入賞装置の正面図である。
【図9】図8のIX−IX線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図10】図9のX−X線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図11】図9のXI−XI線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図12】入賞口を介して入賞空間へパチンコ球が流入する状態を示す説明図である。
【図13】(a)は、変更例に係る特別入賞装置を開閉扉が開放位置にある状態で示す斜視図であり、(b)は、変更例に係る特別入賞装置の正面図である。
【図14】遊技領域の右下に特別入賞装置が配設された遊技盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、一般的なパチンコ機Pを例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機Pを前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0016】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、前記遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置20の始動入賞口20Aへのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置Hが着脱可能に配設されている。また、前記中枠Bの前面側には、前記遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板26で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下方には、パチンコ球を貯留する下球皿Fが前記中枠Bに組み付けられる。更に、前記前枠Cの下部位置に、パチンコ球を貯留する上球皿Eが一体的に組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。
【0017】
前記中枠Bの右下方位置には、該中枠Bに配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置が作動されることで、前記上球皿Eに貯留されたパチンコ球が所定間隔(例えば、0.6秒間隔)で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、前記図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが(図3、図4参照)、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、前記上球皿Eは、前記前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0018】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図2〜図4に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、前記中枠Bに設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域10が設けられると共に、その後側には設置部材90が配設されている。遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が前記遊技領域10として構成されている。これにより、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。但し、前記内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するようにしてもよい。
【0019】
前記遊技盤Dには、図2〜図4に示すように、中央に大きな貫通口14が形成され、前後に開口して遊技演出領域とされる表示窓口15Aが形成された枠状装飾部材15が、該貫通口14の開口縁に配設されている。この枠状装飾部材15の前部には、図柄表示装置Hで行なわれる遊技内容に合わせた装飾が施されている。そして、前記設置部材90に対して後側から着脱可能に配設された図柄表示装置Hの表示部H1や、該設置部材90の前側に配設される第1〜第3の可動演出装置91,92,93および装飾部材等が、枠状装飾部材15の表示窓口15Aに臨むように配設されている。また遊技盤Dには、図4に示すように、前記貫通口14の下方において、該遊技盤Dの左右中央に第1装着口16が開設されると共に、該第1装着口16の左側に第2装着口17が開設されている。第1装着口16には、始動入賞装置20および特別入賞装置(入賞装置)21が上下に配設されると共に、第2装着口17には、4つの入賞口22Aが左右に配列された普通入賞具22が配設される。なお、図2に示すように、遊技盤Dの前面における前記遊技領域10内には、多数の球案内釘23、球通過ゲート24および回転球案内具25等が配設されている。
【0020】
前記始動入賞装置20、特別入賞装置21および普通入賞具22には、各々に入賞したパチンコ球を検出する球検出スイッチが個別に配設されている(特別入賞装置21に配設された球検出スイッチは図6に符号Sで指示するが、始動入賞装置20および普通入賞具22は図示省略する)。始動入賞装置20に配設された球検出スイッチ、特別入賞装置21に配設された球検出スイッチSおよび普通入賞具22に配設された球検出スイッチの各球検出信号は、前記設置部材90の後側に取り付けられて当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に送出される。前記主制御装置は、前記始動入賞装置20の球検出スイッチからの検出信号を受けると、大当たり抽選を行なうと共に、前記設置部材90の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生した場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示され、前記特別入賞装置21の開閉扉31が開放位置に姿勢変位して入賞口37が開放される(図6参照)。また主制御装置は、前記特別入賞装置21の球検出スイッチSからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、前記普通入賞具22の球検出スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0021】
(特別入賞装置)
前記特別入賞装置21は、図3〜図11に示すように、前記遊技盤Dの前記第1装着口16に取り付けられ、前方に開口する入賞口37を介してパチンコ球が入賞可能な入賞空間46を内部に画成する装置本体(本体)30と、装置本体30に配設されて入賞口37を開閉する開閉扉(開閉手段)31と、該開閉扉31を開閉動作させる開閉機構32と、入賞口37を介して入賞空間46内に流入したパチンコ球を検出する前記球検出スイッチ(検出手段)33を備えている。前記装置本体30は、図5および図6に示すように、横長に形成された平板状の台板部35と、該台板部35の裏側に固定される本体部36とから構成されており、遊技盤Dに開設された前記第1装着口16内に本体部36を前側から挿入した状態で、台板部35を遊技盤Dの前面にネジ止めすることで遊技盤Dに固定されるようになっている。
【0022】
ここで、実施例のパチンコ機Pの遊技盤Dは、図2および図3に示すように、第1装着口16に取付固定された前記特別入賞装置21が、遊技盤Dの遊技領域10における左右中央の最下部に位置しており、該特別入賞装置21の真上には、該特別入賞装置21の入賞口37の左右幅より幅狭に形成された前記始動入賞装置20が配設されている。また遊技盤Dは、前記枠状装飾部材15と前記盤面飾り部材13との間に画成された流下経路が、遊技領域10の中央底部に向けて特別入賞装置21の下方へ延在していて、該流下経路に流入したパチンコ球は、始動入賞装置20および該特別入賞装置21には流入し得ない。そして、前記打球発射装置から発射されて、枠状装飾部材15の左側領域を流下するたパチンコ球は、始動入賞装置20が障害となって殆どが始動入賞装置20の左側を流下して特別入賞装置21の前方へ到来し、前記始動入賞装置20の上方を右方へ移動した一部のパチンコ球は、該始動入賞装置20の右側を流下して特別入賞装置21の前方へ到来するようになる。従って実施例の特別入賞装置21では、主に入賞口37における左の開口端37A側へパチンコ球が到来し、該左の開口端37A側から入賞口37を介して入賞空間46へ該パチンコ球が流入するように構成されている。すなわち、実施例の前記始動入賞装置20は、特別入賞装置21へのパチンコ球の流入経路を規制する規制手段として機能する。
【0023】
(台板部について)
前記台板部35は、図5〜図8に示すように、後面の外縁部分が平坦に形成されて前記遊技盤Dの前面に当接する横長板状に形成され、横長矩形状の前記入賞口37が、前後に開口するよう開設されている。台板部35は、上縁の左右部が上方へ突出すると共に下縁の左右部が下方へ突出した形状に形成されており、左右上下の各突出部分には、装置本体30を遊技盤Dに固定するネジ(図示せず)が挿通するネジ孔38が1個ずつ形成されている。そして、台板部35の後側には、前記入賞口37を一回り大きく囲繞する横長の枠部39が後方へ突設されており、この枠部39には前記本体部36の前端部分が整合するようになっている。また、台板部35において、前記入賞口37の上側において左右に延在する上縁部40には、前側および入賞口37側に開口する凹状の段部40Aが形成されており、前記開閉扉31を閉鎖位置(後述)に変位した状態で、該開閉扉31の自由端縁部31Aが該段部40Aの前面に当接するようになっている。なお、台板部35の前面は、所要の加飾が施されている。
【0024】
(本体部)
前記本体部36は、図5〜図7および図9に示すように、複数の部材を組み付けて構成されている。すなわち本体部36は、前記台板部35の前記枠部39に対し後方から当接する第1本体部材42と、該第1本体部材42に対し後側から取り付けられる第2本体部材43と、該第2本体部材43に対し後側から取付けられる第3本体部材44との3部材から構成されている。そして本体部36は、台板部35の前記枠部39に整合した第1本体部材42を挟んで第2本体部材43を該台板部35にネジで組み付け、第3本体部材44を該第2本体部材43にネジで組み付けるように構成されている。前記第1本体部材42、第2本体部材43および第3本体部材44は、透明の合成樹脂材から形成されており、本体部36の後側等からの光の透過が可能となっている。なお、本体部36は、成形上の都合や前記開閉機構32の配設上に支障が発生しなければ、単一部材、2部材または4部材以上から構成してもよい。
【0025】
本体部36は、上方から見て略口字形に構成されていて、上下に貫通する開口45が形成されており、特別入賞装置21の上方に配設される前記始動入賞口37に入賞したパチンコ球が前記開口45を通過して下方へ落下するのを許容するようになっている。本体部36の内部は、図9に示すように、該本体部36内の前記入賞口37に臨む前側部分から右側部分に亘って前記入賞空間46が略L字形に形成され、該入賞空間46における屈曲部分の左側には、前記球検出スイッチSを設置するための第1設置部47が設けられている。また、本体部36の内部の左側部分には、前記開閉機構32を配設する第2設置部48が設けられている。更に、本体部36の後部外側には、演出照明装置80を取付けるための第3設置部49が設けられている。
【0026】
(入賞空間)
前記入賞空間46は、図7、図9〜図11に示すように、前記入賞口37の開口領域内に連通するよう前側が開口して該入賞口37からのパチンコ球の流入が可能な第1球通路50と、前記第1球通路50の右側に連通するよう前から後方に延在する第2球通路51とからなる。そして、前記第2球通路51の後部には、前記本体部36の底部を貫通して外方へ開口する球排出口52が形成されている。従って、入賞口37の前側に移動したパチンコ球は、図12に示すように、該入賞口37から第1球通路50内へ流入した後、該第1球通路50内を右方へ移動して第2球通路51の前側へ移動し、該第2球通路51内を後方へ移動して前記球排出口52を介して外部へ排出されるようになっている。なお、第1球通路50の底面50Aは、入賞口37における左の開口端37A側に臨む側が最も高く、第1球通路50は右下がりに傾斜する一方、第2球通路51の底面50Bは、前側が前記底面50Aより低くかつ後下がりに傾斜しており、入賞空間46は前記球排出口52に向けて緩やかな下り勾配となるように形成されているので、該入賞空間46に流入したパチンコ球が円滑に球排出口52へ案内されるようになっている。
【0027】
また、図7および図9に示すように、前記第2球通路51の内部には、前記第1球通路50と連通する位置に、第1球通路50から第2球通路51に向けて凹状の曲面をなす第1案内片53が形成されている。この第1案内片53は、第1球通路50から第2球通路51に移動したパチンコ球を、該第2球通路51の後方へ円滑に変向させるよう機能する。また、図10に示すように、第2球通路51の後側における球排出口52の上部には、該第2球通路51から前記球排出口52に向けて凹状の曲面をなす第2案内片54が形成されている。この第2案内片54は、第2球通路51を移動したパチンコ球を、球排出口52側(下方)へ円滑に変向させるよう機能する。
【0028】
(球検出スイッチ)
前記球検出スイッチSは、図9および図10に示すように、長方形のブロック状に形成されたケース体55に、パチンコ球の通過が許容される形状、サイズに開口した球検出口56と、スイッチ基板(図示せず)を収容する収容部57とが、該ケース体55の長手方向に並んで設けられている。球検出口56は、ケース体55の厚み方向(高さ方向)に貫通するように形成されたリング状の球検知センサ58により形成されている。この球検知センサ58は前記スイッチ基板と電気的に接続されており、前記スイッチ基板から導出された配線59は、前記設置部材90の後側に配設された中継基板(図示せず)に接続されて、該中継基板を介して前記主制御装置に電気的に接続されている。従って、前記球検出口56をパチンコ球が通過すると前記球検知センサ58がこれを検出し、前記スイッチ基板から主制御装置へ検出信号が送出される。
【0029】
前記球検出スイッチSが設置される前記第1設置部47は、図7〜図10に示すように、遊技領域10から前記入賞口37を介して該入賞空間46内へ流入するパチンコ球の主たる流入方向の下流側、すなわち該入賞口37の右の開口端37Bに臨む部位に位置している。そして第1設置部47は、前記球検出スイッチSを、パチンコ球が通過する球検出口56が入賞空間46の前記第1球通路50に整合した縦向き姿勢で保持するように構成されている。ここで縦向き姿勢とは、前記入賞空間46の第1球通路50におけるパチンコ球の移動方向と、球検出スイッチSの球検出口56におけるパチンコ球の通過方向とを一致させた状態を意味する。すなわち球検出スイッチSは、パチンコ球が通過する球検出口56を、入賞口37における該パチンコ球が主として流入する左の開口端37A側へ向けた状態で配置されている。従って、入賞口37の左の開口端37A側から入賞空間46の第1球通路50内へ流入したパチンコ球は、該第1球通路50内を右方へ移動して前記球検出スイッチSの球検出口56を通過した後、第2球通路51へ移動して前記球排出口52を介して外部へ迅速に排出されるよう構成されている。なお、第1設置部47の前側には、該第1設置部47に配置した球検出スイッチSのケース体55に係止する保持片63が配設され、該該ケース体55はこの保持片63により安定的に保持されるようになっている。
【0030】
また前記第1設置部47は、図9および図11に示すように、第1球通路50の底面が右下がりの傾斜に形成されていることに伴い、該第1球通路50の底面に対して垂直の姿勢となるように球検出スイッチSを保持するようになっている。すなわち、第1設置部47に設置した球検出スイッチSは、下側より上側が僅かに右側へ偏倚して右側へ傾いた状態で保持されており、これにより前記球検出口56は、第1球通路50の傾斜に合わせて傾いている。従って、入賞空間46の第1球通路50を右方へ移動するパチンコ球は、球検出スイッチSの前記球検出口56をスムーズに通過するようになり、該パチンコ球が球検出口56の開口縁に接触して引掛かることが防止される。
【0031】
(案内部)
また、実施例の特別入賞装置21では、図6〜図9および図12に示すように、本体部36内の入賞空間46における入賞口37に臨む第1球通路50に、前記入賞口37から前記球検出スイッチSに向けて延在する案内部60が設けられている。前記案内部60は、その左端が前記入賞口37における左の開口端37A側に隣接すると共に、その右端が前記球検出スイッチSの左側に隣接している。また前記案内部60は、その左端が入賞口37に最も近く、前記球検出スイッチSに近づくにつれて該入賞口37から遠ざかるように設けられている。
【0032】
そして前記案内部60は、図6〜図9および図12に示すように、左右方向における中途において、左側に位置する第1案内壁61と右側に位置する第2案内壁62とに分割されている。前記第1案内壁61は、図9および図12に示すように、本体部36の上壁に下方へ突出するように設けられ、パチンコ球を当て受けて案内する球案内面61Aを前部に備えている。前記球案内面61Aは、その左端が前記入賞口37の直後に位置し、右方に行くにつれて後方へ変位すると共に下方に行くにつれて後方へ変位するよう傾斜状に形成されている。このように第1案内壁61を本体部36の上壁に設けたのは、特別入賞装置21の左上方から開閉扉31に落下して跳ね上がったパチンコ球を、該第1案内壁61で当て受けると共に、安定させて入賞空間46内へ導くようにするためである。
【0033】
前記第2案内壁62は、図9および図12に示すように、前記第1案内壁61より後方において、本体部36の下壁に上方へ突出するように設けられ、パチンコ球を当て受けて案内する球案内面62Aを前部に備えている。前記球案内面62Aは、右方に行くにつれて後方へ変位すると共に、上方に行くにつれて後方へ変位するよう傾斜状に形成されている。しかも前記球案内面62Aは、図9および図12に示すように、球検知スイッチSから離れた端部(左端)においては前記底面50Aに対する傾斜角度が最も大きく(急傾斜)、該球検知スイッチSに近づくにつれて底面50Aに対する傾斜角度が漸次小さくなり、前記球検出スイッチSに近接した端部(右端)においては底面50Aに対する傾斜角度が最も小さく(緩傾斜)なるように形成されている。このように第2案内壁62の球案内面62Aを形成したのは、入賞空間46内に流入して該球案内面62Aに接触したパチンコ球を、加速させながら球検知スイッチSに向けて導くようにして、該パチンコ球の検出および排出を早くするためである。
【0034】
従って実施例の特別入賞装置21は、入賞口37における左の開口端37A側に落下したパチンコ球を、前記案内部60の第1案内壁61で安定化させながら入賞空間46の第1球通路50内へ案内し、該第1球通路50内へ流入した該パチンコ球を、前記案内部60の第2案内壁62で右方へ案内して球検出スイッチSへ案内する。なお、案内部60は、本体部36の上壁に下方へ突出した案内壁だけで構成してもよいし、本体部36の下壁に上方へ突出した案内壁だけで構成してもよいし、本体部36の上壁から下壁に亘って連設した案内壁で構成してもよい。
【0035】
(開閉扉)
前記開閉扉31は、図2、図5〜図10に示すように、前記入賞口37の開口形状に略合致する横長矩形板状に形成されて、その左右側端の下部には側外方へ反対向きに突出する支軸65,65が設けられている。そして開閉扉31は、前記両支軸65,65を前記台板部35および本体部36の間に挟持させることで、揺動自在な状態で本体部36の前側に取り付けられている。すなわち、前記開閉扉31は、略垂直状態まで起立して、自由端縁部31Aが上方へ延出して前記入賞口37を閉鎖する閉鎖位置(図5、図7、図8参照)と、水平近くまで前方へ回転して、自由端縁部31Aが前方へ延出して該入賞口37を開放する開放位置(図6、図9参照)との間で姿勢変位する。ここで前記開閉扉31は、該開閉扉31の前面の左右両側に、前方へ突出したストッパ67,67が設けられている。これらストッパ67は、図11に2点鎖線で示すように、開閉扉31が開放位置まで変位すると両ストッパ67が台板部35の前面に当接して、パチンコ球を受け止めた該開閉扉31が開放位置より下方へ過回転することが防止されるようになっている。また、前記開閉扉31の左下端部には、前記閉鎖位置にある状態で水平後方へ開口する連係凹部66が形成されており(図6、図9、図11参照)、この連係凹部66には、前記開閉機構32の連係部材72が連係接続するよう構成されている。更に、図6および図12に示すように、開閉扉31の裏面における左側には、該開閉扉31の開放状態において、自由端縁部31Aから入賞空間46側に向かうにつれて右方へ変位する傾斜案内面68が形成されると共に、該開閉扉31の裏面における右側には、自由端縁部31Aから入賞空間46側に向かうにつれて左方へ変位する傾斜案内面68が形成されている。これにより、開閉扉31の左側または右側に落下したパチンコ球は、前記傾斜案内面68で入賞口37の左右中央方向へ案内される。
【0036】
(開閉機構)
前記開閉機構32は、図9および図11に示すように、ソレノイド70と、このソレノイド70のプランジャ71に連係されると共に前記開閉扉31の連係凹部66に連係される連係部材72とを備えている。前記ソレノイド70は、前記第2設置部48における後部に、前記プランジャ71を水平前方へ延出させた状態で設置されている。このソレノイド70は、前記プランジャ71に圧縮コイルバネ73が配設されており、非励磁状態では前記圧縮コイルバネ73の弾性力によりプランジャ71が前方へ延出した状態保持され、励磁状態では該プランジャ71が圧縮コイルバネ73の弾性力に抗して後方へスライドするように構成されている。
【0037】
前記連係部材72は、図9および図11に示すように、後方が前記プランジャ71の先端に係合する本体部74と、本体部74の左右側面から左方および右方へ同一軸線上で延出する支軸部75,75と、前記本体部36の前面から前方へ延出して前記開閉扉31の連係凹部66に後方から突入係合するレバー部76とを備えている。前記プランジャ71は、前記本体部36の後方上部に係合し、前記各支軸部75,75およびレバー部76は、前記プランジャ71の係合位置より下方に設けられている。そして連係部材72は、前記本体部36における第2設置部48の左右両部に設けた支持孔77,77に前記両支軸部75,75を枢支させることで、両支軸部75,75を回転中心として前後に回転可能に配設される。従って前記連係部材72は、前記ソレノイド70の非励磁状態においては前記レバー部76が水平前方へ延出する姿勢に保持され、該レバー部76と前記連係凹部66の下壁との係合により前記開閉扉31を前記閉鎖位置に保持する。また前記連係部材72は、前記ソレノイド70が励磁されると、前記レバー部76が前上がりの傾斜状に延出する姿勢に変位し、該レバー部76が前記連係凹部66の上壁を上方へ押し上げることにより前記開閉扉31を前記開放位置に向けて姿勢変位させ得る。
【0038】
(演出照明装置)
前記演出照明装置80は、図7に示すように、前方に向けて光を照射する複数のLED81を実装した基板82と、前記基板82に接続されて図示省略した中継基板に接続される配線83とを備えており、前記LED81を本体部36の後壁に対向させた姿勢で前記第3設置部49に配設されている。これにより、演出照明装置80のLED81を発光させた際には、その照射光が装置本体30(本体部36)の後壁面を透過して入賞空間46内を照明すると共に、開放した前記入賞口37を介して遊技盤Dの前方を照射するように構成されている。
【0039】
(実施例の作用)
実施例のパチンコ機Pは、前述したように、操作ハンドルGにより発射操作を行なうことで打球発射装置が作動し、上球皿E内に貯留された各パチンコ球が、遊技盤Dの遊技領域10内へ所定間隔で打ち出される。遊技領域10へ打ち出された各パチンコ球は、該遊技領域10における前記枠状装飾部材15の左側部分を、前記球案内釘23や回転球案内具25等に接触しながら流下し、該パチンコ球の一部は、前記始動入賞装置20の始動入賞口20Aや普通入賞具22の入賞口22Aに入賞する。前記始動入賞装置20にパチンコ球が入賞して、該始動入賞装置20の球検出スイッチからの検出信号を前記主制御装置が受信すると、該主制御装置は、大当たり抽選を行なう一方、統括制御装置に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置に制御信号を出力して、球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0040】
前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として、所定の大当たり条件が発生した場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されると共に、前記特別入賞装置21のソレノイド70が励磁制御される。これにより特別入賞装置21では、ソレノイド70の前記プランジャ71が後退することで、前記開閉扉31が前記開放位置に姿勢変位して入賞口37が開放される。
【0041】
遊技領域10へ打ち出して枠状装飾部材15の左側部分を流下した各パチンコ球は、特別入賞装置21の直上に前記始動入賞口20が位置していることにより、主に特別入賞装置21の左上方や左側方から該特別入賞装置21の前側へ到来するようになる。従って、特別入賞装置21の前側へ到来したパチンコ球は、図12に示すように、開放位置に保持されている前記開閉扉31で受け止められた後に、主に前記入賞口37における左の開口端37A側から本体部36内に形成された前記入賞空間46の第1球通路50内へ流入する。始動入賞装置20の上方を右方へ移動したパチンコ球は、該始動入賞装置20の右方を流下して、特別入賞装置21の右上方から該特別入賞装置21の前方へ到来して、前記開閉扉31で受け止められた後、前記傾斜案内面68で入賞口37における左の開口端37A側へ案内され、前記入賞空間46の第1球通路50内へ流入する。
【0042】
前記入賞口37の左の開口端37A側から前記入賞空間46の第1球通路50へ流入したパチンコ球は、図9に示すように、流下時の勢いにより右方へ移動すると共に、前記案内部60における第1案内壁61または第2案内壁62に接触するようになる。第1案内壁61に接触したパチンコ球は、安定化された状態で入賞空間46の第1球通路50へ流入した後、第2案内壁62で案内されて加速しながら該第1球通路50を右方へ移動するようになる。そして、第2案内壁62に案内されて第1球通路50を右方へ移動したパチンコ球は、前記球検出スイッチSの球検出口56を通過し、この通過時に球検出センサ58で検出される。球検出スイッチSは、球検出センサ58によりパチンコ球を検出すると、検出信号を前記主制御装置へ送出する。
【0043】
球検出スイッチSの球検出口56を通過したパチンコ球は、前記第1案内片53に案内されて第2球通路51に向けて変向され、該第2球通路51内を後方へ移動した後、前記第2案内片54で案内されて前記球排出口52に向けて変向されて、該球排出口52を介して本体部36から外方へ迅速に排出される。
【0044】
前記入賞口37を介して入賞空間46内に流入した各パチンコ球が前記球検出スイッチSで順次検出されて、予め設定された規定数のパチンコ球を該球検出スイッチSが検出したら、前記ソレノイド70に対する励磁制御が解除される。これにより、ソレノイド70の前記プランジャ71が圧縮コイルバネ73の付勢により前方へ移動するので、前記連係部材72の姿勢変位に連動して開閉扉31が閉鎖位置へ回転することで入賞口37が閉鎖され、該入賞口37を介して入賞空間46へのパチンコ球の流入が阻止される。
【0045】
前述した実施例のパチンコ機Pでは、前記球検出スイッチSの球検出口56を、入賞口37においてパチンコ球が主として流入する左の開口端37A側と反対側の右の開口端37B側に、球検出口56を該左の開口端37Aに向けた状態で第1設置部47に配置して、入賞口37から入賞空間46へ流入したパチンコ球を、入賞空間46内に設けた案内部60で前記球検出口56に向けて右方へ移動させるように構成した。従って、入賞口37を介して入賞空間46内に流入したパチンコ球が、球検出スイッチSの球検出口56をスムーズに通過させるようにすることができ、当該パチンコ球の検出が迅速になされる。これにより前記特別入賞装置21では、予め設定された規定数のパチンコ球が入賞口37から入賞空間46内に流入し、該規定数のパチンコ球が球検出スイッチSで検出されると、開閉機構32のソレノイド70による励磁が解除されることで開閉扉31が迅速に閉動作される。従って、入賞口37を通過する時点から球検知スイッチSで検出されるまでの時間が短くなるから、規定数のパチンコ球が球検知スイッチSで検知されて開閉扉31を閉鎖位置に変位させることで、規定数以上のパチンコ球が入賞空間46内に流入することを好適に阻止し得る。また、入賞空間46内に複数のパチンコ球が同時に流入しても、該入賞空間46の第1球通路50内でパチンコ球の球詰まりが発生し難く、各パチンコ球を迅速に検出することができる。
【0046】
そして、実施例の特別入賞装置21では、前記入賞空間46の第1球通路50に、入賞口37から球検出スイッチSに向けて延在する案内部60が設けられているので、該入賞口37から入賞空間46の第1球通路50へ流入した遊技球を、該案内部60の第1案内壁61および第2案内壁62で前記球検出スイッチSに向けて適切に案内し得る。しかも案内部60は、入賞口37における左の開口端37A側が該入賞口37に最も近く、球検出スイッチSに近づくにつれて該入賞口37から遠ざかるように設けられているから、該入賞口37を介して入賞空間46の第1球通路50へ流入したパチンコ球を球検出スイッチSに向けてスムーズに案内することができる。更に、案内部60における第2案内壁62の球案内面62Aは、球検知スイッチSに近づくにつれて第1球通路50の底面50Aに対する後方への傾斜角度が漸次小さくなるように形成されているので、第1球通路50を球検知スイッチSに向けて移動するパチンコ球が加速されるようになり、球検出スイッチSによる検出タイミングを早めることができる。
【0047】
更に実施例の特別入賞装置21では、入賞空間46をL字形に形成して、球検出スイッチSで検出された後のパチンコ球を後方へ変向させるようにしたので、装置本体30を従来と同じ外形サイズに構成することができ、遊技盤Dの第1装着口16の形状を変更する必要がない。更に前記案内部60は、本体部36を構成する第1本体部材42における入賞空間46に臨む上壁に設けた第1案内壁61および第2本体部材43における該入賞空間46に臨む下壁に設けた第2案内壁62とから構成され、これら第1案内壁61および第2案内壁62が本体部36に一体に形成されているので、製造工数や部品点数が増加することがなく、よって製造コストが嵩むことを防止し得る。
【0048】
(変更例)
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)遊技領域10の右下に特別入賞装置21が配設された遊技盤D(図14参照)を備え、所定の大当たり条件が発生した場合に、前記操作ハンドルGの操作により打球発射力を強めた所謂「右打ち状態」として前記枠状装飾部材15の右側へパチンコ球を打ち出すタイプのパチンコ機において、上部に配設される規制手段として機能する遊技部品との関係から、遊技領域10から入賞口37を介して入賞空間46内へ流入するパチンコ球の主たる流入方向が該入賞口37の右の開口端37B側となる場合には、図13(a)および図13(b)に示すように、前記球検出スイッチSの配置位置を、該入賞口37の下流側である左の開口端37A側としてもよい。なお、このような構成とする場合には、前記開閉機構32の配設位置も左右逆となる。また、入賞空間46の第1球通路50の底面が左下がりの勾配となることに伴い、第1設置部47に設置された球検出スイッチSも、左側へ傾斜した姿勢とすることが好適である。
(2)球検出スイッチSは、パチンコ球が通過する前記球検出口56が、入賞口37におけるパチンコ球が主として流入する左の開口端37A側に向いた状態で第1設置部47に配置するようにすれば、前記実施例のようにケース体55の長手方向が前後方向に延在する向きで配置する形態に限定されず、該ケース体55の長手方向が上下方向に延在する向きで配置する形態であってもよい。この場合、前記球検出口56の上方に収容部57が位置するようにしてもよいし、該球検出口56の上方に収容部57が位置するようにしてもよい。
(3)入賞空間46は、実施例のようにL字形に延在するものに限定されず、前記第1球通路50だけから構成されて、前記球検出スイッチSの右側に隣接して球排出口52が形成されていてもよい。
(4)案内部60は、前記第1案内壁61を本体部36の下壁に入賞空間46へ突出するように設けると共に、前記第2案内壁62を本体部36の上壁に入賞空間46へ突出するように設けてもよい。また案内部60は、前記本体部36内の下壁だけに入賞空間46へ突出するように設けてもよいし、前記本体部36内の上壁だけに入賞空間46へ突出するように設けてもよい。更に案内壁60は、本体部36の下壁および上壁に連設して、第1球通路50の後側を塞ぐように設けてもよい。
(5)開閉手段は、実施例で例示した前後に揺動する開閉扉に限定されず、左右に揺動する揺動片から構成したものであってもよい。
(6)開閉扉31を開閉動作する開閉機構32の駆動手段は、ソレノイドに限らず、流体を使用するアクチュエータや、モーター等であってもよい。
(7)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 遊技領域,21 特別入賞装置(入賞装置),30 装置本体(本体)
31 開閉扉(開閉手段),37 入賞口,
37A 左の開口端(遊技球が主として流入する開口端)
37B 右の開口端(遊技球が主として流入する開口端と反対側の開口端)
46 入賞空間,56 球検出口,60 案内部,D 遊技盤
S 球検出スイッチ(検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤に配設された入賞装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、遊技盤の前盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の装飾部材(所謂センター役物)が配設されており、この装飾部材の開口部を介して複数の図柄を変動表示する液晶式やドラム式等の図柄表示装置を後方から臨ませると共に、該遊技盤における装飾部材の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での図柄変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている(特許文献1)。このようなパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら自重により次第に流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置の入賞口に入賞することにより、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当り遊技や小当り遊技等の当り遊技が発現されるよう構成されている。そして、前記当り遊技の発現に伴い、遊技盤に設けられた特別入賞装置の入賞口を開閉扉が開放するラウンド遊技が行なわれて、多数の賞球を遊技者が獲得し得る機会が付与され、当り遊技の終了に伴い開閉扉が特別入賞装置の入賞口を閉鎖してパチンコ球の入賞を規制するようになっている。
【0003】
前記特許文献1に開示された特別入賞装置(電動式入賞装置)は、入賞口が形成された本体内の入賞空間(通出室)に、該入賞口を介して該入賞空間へ入賞したパチンコ球を検出する球検出スイッチ(検出スイッチおよび特別検出スイッチ)が配設されている。これら球検出スイッチは、当該パチンコ機を総合的に制御する主制御装置に検出信号を送出するようになっており、両球検出スイッチによる球検出信号の送出数を主制御装置がカウントして、各ラウンド遊技毎に予め設定された数(例えば10個)のパチンコ球を両球検出スイッチで検出したら、前記開閉扉を閉制御して入賞口を閉鎖するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−84813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された特別入賞装置は、前記本体内の入賞空間において、左右方向における中央寄りでかつ後方の奥まった位置に、球検出口が上下に開口する向きで配置されている。また、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球の多くは、該遊技領域における前記装飾部材の左側部分を流下するようになるため、前記特別入賞装置の左側から入賞口を介して本体の入賞空間へ流入するようになる。このため、本体の入賞空間に流入したパチンコ球は、該入賞空間の右方へ移動するので前記球検出スイッチの方向へ円滑に移動しないことがあり、入賞口から入賞空間へ流入してから該球検出スイッチにより検出されるまでにタイムラグが発生し易い。すなわち、先に入賞空間に流入した先行のパチンコ球が球検出スイッチで検出されるまでの間に、次行のパチンコ球が該入賞空間に流入する事象が発生し易く、場合によっては2〜3個のパチンコ球が流入することもあり得る。従って、特許文献1に開示された従来の特別入賞装置では、前述したように、各ラウンド遊技毎の規定数のパチンコ球を該球検出スイッチして前記開閉扉が入賞口を閉鎖する前に更にパチンコ球が流入するから、規定数以上の入賞を発生させてしまう不都合がある。また、入賞空間へ流入したパチンコ球が球検出スイッチの方向へ円滑に移動できないので、同時に複数個のパチンコ球が集中して該入賞空間内に流入した場合には、球詰まりが発生するおそれもある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、入賞口から流入した遊技球を迅速に検出可能とした入賞装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(10)が画成された遊技盤(D)に配設され、該遊技領域(10)を流下する遊技球が入賞可能な入賞口(37)を有する本体(30)と、前記本体(30)に前記入賞口(37)を開閉可能に設けられた開閉手段(31)と、前記本体(30)内に配置され、前記入賞口(37)から該本体(30)内へ入賞した遊技球を検出する検出手段(S)とを備え、所定の開放条件の成立により前記開閉手段(31)を開動作して前記入賞口(37)を開き、所定の閉鎖条件の成立により該開閉手段(31)を閉動作して該入賞口(37)を閉じるよう構成された入賞装置(21)を備えた遊技機において、
前記入賞装置(21)の前記検出手段(S)は、前記入賞口(37)に開口する前記本体(30)内の入賞空間(46)において、前記遊技領域(10)から前記入賞口(37)を介して該入賞空間(46)内へ流入する遊技球の主たる流入方向の下流側に配置されるよう構成したことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、入賞装置の入賞口から該入賞装置の入賞空間へ流入した遊技球が検出手段の方向へ円滑に移動するようになるから、該検出手段による該遊技球の検出が迅速になされる。従って入賞装置は、予め設定された規定数の遊技球が入賞口から本体の入賞空間に流入し、該遊技球が検出手段で検出されて所定条件が成立すると開閉手段が迅速に閉動作されるため、規定数以上の遊技球が流入することを防止し得る。また、本体の入賞空間にへ複数の遊技球が同時に流入しても、遊技球が円滑に検出手段で検出されるから球詰まりが発生し難い。
【0009】
請求項2に係る発明では、
前記入賞装置(21)は、前記入賞口(37)に対して、左右一方の開口端(37A)側から遊技球が主として流入するよう構成され、
前記検出手段(S)は、前記本体(30)内において前記入賞口(37)の遊技球が主として流入する開口端(37A)と反対側の開口端(37B)側に臨む部位に、遊技球が通過する球検出口(56)を、前記遊技球が主として流入する開口端(37A)側へ向けた状態で配置されていることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、入賞口に対して左右一方の開口端側から本体内へ通入した遊技球は、入賞口の前記開口端と反対側の開口端側に臨む部位へ移動するので、該反対側の開口端側に臨む部位に配置した検出手段で検出され易くなる。しかも検出手段は、遊技球が通過する球検出口を、遊技球が主として流入する開口端側へ向けた状態で配置されているから、遊技球が該球検出口をスムーズに通過して遊技球の検出が迅速になされる。
【0010】
請求項3に係る発明では、
前記本体(30)内には、前記入賞口(37)から前記検出手段(S)に向けて延在する案内部(60)が設けられ、
前記入賞口(37)から前記入賞空間(46)へ流入した遊技球を、前記案内部(60)で前記検出手段(S)へ案内するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、入賞口から本体内に流入した遊技球が、案内部により検出手段に向けて案内される。
【0011】
請求項4に係る発明では、
前記案内部(60)は、前記入賞口(37)の前記遊技球が主として流入する左右一方の開口端(37A)側が該入賞口(37)に最も近く、前記検出手段(S)に近づくにつれて該入賞口(37)から遠ざかるように設けられていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、入賞口に対して左右一方の開口端側から本体内へ流入した遊技球が、案内部に沿って検出手段に向けて円滑に案内されるので、検出手段による遊技球の検出が迅速になされる。
【0012】
請求項5に係る発明では、
前記案内部(60)は、前記本体(30)内の下壁または上壁の少なくとも一方に、前記入賞空間(46)へ突出するように設けられていることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、案内部が本体の上壁または下壁に一体に形成されるので、製造工数や部品点数が増加することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、入賞装置の入賞口から流入した遊技球を迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】遊技盤と、該遊技盤の後側に配設される設置部材と、設置部材の後側に配設される図柄表示装置とを、前側から見た分解斜視図である。
【図4】遊技盤と、該遊技盤の後側に配設される設置部材と、設置部材の後側に配設される図柄表示装置とを、後側から見た分解斜視図である。
【図5】実施例に係る特別入賞装置を開閉扉が閉鎖位置にある状態で示す斜視図である。
【図6】実施例に係る特別入賞装置を開閉扉が開放位置にある状態で示す斜視図である。
【図7】実施例に係る特別入賞装置の平面図である。
【図8】実施例に係る特別入賞装置の正面図である。
【図9】図8のIX−IX線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図10】図9のX−X線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図11】図9のXI−XI線で破断した特別入賞装置の断面図である。
【図12】入賞口を介して入賞空間へパチンコ球が流入する状態を示す説明図である。
【図13】(a)は、変更例に係る特別入賞装置を開閉扉が開放位置にある状態で示す斜視図であり、(b)は、変更例に係る特別入賞装置の正面図である。
【図14】遊技領域の右下に特別入賞装置が配設された遊技盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、一般的なパチンコ機Pを例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機Pを前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0016】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、前記遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置20の始動入賞口20Aへのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置Hが着脱可能に配設されている。また、前記中枠Bの前面側には、前記遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板26で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下方には、パチンコ球を貯留する下球皿Fが前記中枠Bに組み付けられる。更に、前記前枠Cの下部位置に、パチンコ球を貯留する上球皿Eが一体的に組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。
【0017】
前記中枠Bの右下方位置には、該中枠Bに配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置が作動されることで、前記上球皿Eに貯留されたパチンコ球が所定間隔(例えば、0.6秒間隔)で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、前記図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが(図3、図4参照)、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、前記上球皿Eは、前記前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0018】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図2〜図4に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、前記中枠Bに設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域10が設けられると共に、その後側には設置部材90が配設されている。遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が前記遊技領域10として構成されている。これにより、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。但し、前記内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するようにしてもよい。
【0019】
前記遊技盤Dには、図2〜図4に示すように、中央に大きな貫通口14が形成され、前後に開口して遊技演出領域とされる表示窓口15Aが形成された枠状装飾部材15が、該貫通口14の開口縁に配設されている。この枠状装飾部材15の前部には、図柄表示装置Hで行なわれる遊技内容に合わせた装飾が施されている。そして、前記設置部材90に対して後側から着脱可能に配設された図柄表示装置Hの表示部H1や、該設置部材90の前側に配設される第1〜第3の可動演出装置91,92,93および装飾部材等が、枠状装飾部材15の表示窓口15Aに臨むように配設されている。また遊技盤Dには、図4に示すように、前記貫通口14の下方において、該遊技盤Dの左右中央に第1装着口16が開設されると共に、該第1装着口16の左側に第2装着口17が開設されている。第1装着口16には、始動入賞装置20および特別入賞装置(入賞装置)21が上下に配設されると共に、第2装着口17には、4つの入賞口22Aが左右に配列された普通入賞具22が配設される。なお、図2に示すように、遊技盤Dの前面における前記遊技領域10内には、多数の球案内釘23、球通過ゲート24および回転球案内具25等が配設されている。
【0020】
前記始動入賞装置20、特別入賞装置21および普通入賞具22には、各々に入賞したパチンコ球を検出する球検出スイッチが個別に配設されている(特別入賞装置21に配設された球検出スイッチは図6に符号Sで指示するが、始動入賞装置20および普通入賞具22は図示省略する)。始動入賞装置20に配設された球検出スイッチ、特別入賞装置21に配設された球検出スイッチSおよび普通入賞具22に配設された球検出スイッチの各球検出信号は、前記設置部材90の後側に取り付けられて当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に送出される。前記主制御装置は、前記始動入賞装置20の球検出スイッチからの検出信号を受けると、大当たり抽選を行なうと共に、前記設置部材90の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生した場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示され、前記特別入賞装置21の開閉扉31が開放位置に姿勢変位して入賞口37が開放される(図6参照)。また主制御装置は、前記特別入賞装置21の球検出スイッチSからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、前記普通入賞具22の球検出スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0021】
(特別入賞装置)
前記特別入賞装置21は、図3〜図11に示すように、前記遊技盤Dの前記第1装着口16に取り付けられ、前方に開口する入賞口37を介してパチンコ球が入賞可能な入賞空間46を内部に画成する装置本体(本体)30と、装置本体30に配設されて入賞口37を開閉する開閉扉(開閉手段)31と、該開閉扉31を開閉動作させる開閉機構32と、入賞口37を介して入賞空間46内に流入したパチンコ球を検出する前記球検出スイッチ(検出手段)33を備えている。前記装置本体30は、図5および図6に示すように、横長に形成された平板状の台板部35と、該台板部35の裏側に固定される本体部36とから構成されており、遊技盤Dに開設された前記第1装着口16内に本体部36を前側から挿入した状態で、台板部35を遊技盤Dの前面にネジ止めすることで遊技盤Dに固定されるようになっている。
【0022】
ここで、実施例のパチンコ機Pの遊技盤Dは、図2および図3に示すように、第1装着口16に取付固定された前記特別入賞装置21が、遊技盤Dの遊技領域10における左右中央の最下部に位置しており、該特別入賞装置21の真上には、該特別入賞装置21の入賞口37の左右幅より幅狭に形成された前記始動入賞装置20が配設されている。また遊技盤Dは、前記枠状装飾部材15と前記盤面飾り部材13との間に画成された流下経路が、遊技領域10の中央底部に向けて特別入賞装置21の下方へ延在していて、該流下経路に流入したパチンコ球は、始動入賞装置20および該特別入賞装置21には流入し得ない。そして、前記打球発射装置から発射されて、枠状装飾部材15の左側領域を流下するたパチンコ球は、始動入賞装置20が障害となって殆どが始動入賞装置20の左側を流下して特別入賞装置21の前方へ到来し、前記始動入賞装置20の上方を右方へ移動した一部のパチンコ球は、該始動入賞装置20の右側を流下して特別入賞装置21の前方へ到来するようになる。従って実施例の特別入賞装置21では、主に入賞口37における左の開口端37A側へパチンコ球が到来し、該左の開口端37A側から入賞口37を介して入賞空間46へ該パチンコ球が流入するように構成されている。すなわち、実施例の前記始動入賞装置20は、特別入賞装置21へのパチンコ球の流入経路を規制する規制手段として機能する。
【0023】
(台板部について)
前記台板部35は、図5〜図8に示すように、後面の外縁部分が平坦に形成されて前記遊技盤Dの前面に当接する横長板状に形成され、横長矩形状の前記入賞口37が、前後に開口するよう開設されている。台板部35は、上縁の左右部が上方へ突出すると共に下縁の左右部が下方へ突出した形状に形成されており、左右上下の各突出部分には、装置本体30を遊技盤Dに固定するネジ(図示せず)が挿通するネジ孔38が1個ずつ形成されている。そして、台板部35の後側には、前記入賞口37を一回り大きく囲繞する横長の枠部39が後方へ突設されており、この枠部39には前記本体部36の前端部分が整合するようになっている。また、台板部35において、前記入賞口37の上側において左右に延在する上縁部40には、前側および入賞口37側に開口する凹状の段部40Aが形成されており、前記開閉扉31を閉鎖位置(後述)に変位した状態で、該開閉扉31の自由端縁部31Aが該段部40Aの前面に当接するようになっている。なお、台板部35の前面は、所要の加飾が施されている。
【0024】
(本体部)
前記本体部36は、図5〜図7および図9に示すように、複数の部材を組み付けて構成されている。すなわち本体部36は、前記台板部35の前記枠部39に対し後方から当接する第1本体部材42と、該第1本体部材42に対し後側から取り付けられる第2本体部材43と、該第2本体部材43に対し後側から取付けられる第3本体部材44との3部材から構成されている。そして本体部36は、台板部35の前記枠部39に整合した第1本体部材42を挟んで第2本体部材43を該台板部35にネジで組み付け、第3本体部材44を該第2本体部材43にネジで組み付けるように構成されている。前記第1本体部材42、第2本体部材43および第3本体部材44は、透明の合成樹脂材から形成されており、本体部36の後側等からの光の透過が可能となっている。なお、本体部36は、成形上の都合や前記開閉機構32の配設上に支障が発生しなければ、単一部材、2部材または4部材以上から構成してもよい。
【0025】
本体部36は、上方から見て略口字形に構成されていて、上下に貫通する開口45が形成されており、特別入賞装置21の上方に配設される前記始動入賞口37に入賞したパチンコ球が前記開口45を通過して下方へ落下するのを許容するようになっている。本体部36の内部は、図9に示すように、該本体部36内の前記入賞口37に臨む前側部分から右側部分に亘って前記入賞空間46が略L字形に形成され、該入賞空間46における屈曲部分の左側には、前記球検出スイッチSを設置するための第1設置部47が設けられている。また、本体部36の内部の左側部分には、前記開閉機構32を配設する第2設置部48が設けられている。更に、本体部36の後部外側には、演出照明装置80を取付けるための第3設置部49が設けられている。
【0026】
(入賞空間)
前記入賞空間46は、図7、図9〜図11に示すように、前記入賞口37の開口領域内に連通するよう前側が開口して該入賞口37からのパチンコ球の流入が可能な第1球通路50と、前記第1球通路50の右側に連通するよう前から後方に延在する第2球通路51とからなる。そして、前記第2球通路51の後部には、前記本体部36の底部を貫通して外方へ開口する球排出口52が形成されている。従って、入賞口37の前側に移動したパチンコ球は、図12に示すように、該入賞口37から第1球通路50内へ流入した後、該第1球通路50内を右方へ移動して第2球通路51の前側へ移動し、該第2球通路51内を後方へ移動して前記球排出口52を介して外部へ排出されるようになっている。なお、第1球通路50の底面50Aは、入賞口37における左の開口端37A側に臨む側が最も高く、第1球通路50は右下がりに傾斜する一方、第2球通路51の底面50Bは、前側が前記底面50Aより低くかつ後下がりに傾斜しており、入賞空間46は前記球排出口52に向けて緩やかな下り勾配となるように形成されているので、該入賞空間46に流入したパチンコ球が円滑に球排出口52へ案内されるようになっている。
【0027】
また、図7および図9に示すように、前記第2球通路51の内部には、前記第1球通路50と連通する位置に、第1球通路50から第2球通路51に向けて凹状の曲面をなす第1案内片53が形成されている。この第1案内片53は、第1球通路50から第2球通路51に移動したパチンコ球を、該第2球通路51の後方へ円滑に変向させるよう機能する。また、図10に示すように、第2球通路51の後側における球排出口52の上部には、該第2球通路51から前記球排出口52に向けて凹状の曲面をなす第2案内片54が形成されている。この第2案内片54は、第2球通路51を移動したパチンコ球を、球排出口52側(下方)へ円滑に変向させるよう機能する。
【0028】
(球検出スイッチ)
前記球検出スイッチSは、図9および図10に示すように、長方形のブロック状に形成されたケース体55に、パチンコ球の通過が許容される形状、サイズに開口した球検出口56と、スイッチ基板(図示せず)を収容する収容部57とが、該ケース体55の長手方向に並んで設けられている。球検出口56は、ケース体55の厚み方向(高さ方向)に貫通するように形成されたリング状の球検知センサ58により形成されている。この球検知センサ58は前記スイッチ基板と電気的に接続されており、前記スイッチ基板から導出された配線59は、前記設置部材90の後側に配設された中継基板(図示せず)に接続されて、該中継基板を介して前記主制御装置に電気的に接続されている。従って、前記球検出口56をパチンコ球が通過すると前記球検知センサ58がこれを検出し、前記スイッチ基板から主制御装置へ検出信号が送出される。
【0029】
前記球検出スイッチSが設置される前記第1設置部47は、図7〜図10に示すように、遊技領域10から前記入賞口37を介して該入賞空間46内へ流入するパチンコ球の主たる流入方向の下流側、すなわち該入賞口37の右の開口端37Bに臨む部位に位置している。そして第1設置部47は、前記球検出スイッチSを、パチンコ球が通過する球検出口56が入賞空間46の前記第1球通路50に整合した縦向き姿勢で保持するように構成されている。ここで縦向き姿勢とは、前記入賞空間46の第1球通路50におけるパチンコ球の移動方向と、球検出スイッチSの球検出口56におけるパチンコ球の通過方向とを一致させた状態を意味する。すなわち球検出スイッチSは、パチンコ球が通過する球検出口56を、入賞口37における該パチンコ球が主として流入する左の開口端37A側へ向けた状態で配置されている。従って、入賞口37の左の開口端37A側から入賞空間46の第1球通路50内へ流入したパチンコ球は、該第1球通路50内を右方へ移動して前記球検出スイッチSの球検出口56を通過した後、第2球通路51へ移動して前記球排出口52を介して外部へ迅速に排出されるよう構成されている。なお、第1設置部47の前側には、該第1設置部47に配置した球検出スイッチSのケース体55に係止する保持片63が配設され、該該ケース体55はこの保持片63により安定的に保持されるようになっている。
【0030】
また前記第1設置部47は、図9および図11に示すように、第1球通路50の底面が右下がりの傾斜に形成されていることに伴い、該第1球通路50の底面に対して垂直の姿勢となるように球検出スイッチSを保持するようになっている。すなわち、第1設置部47に設置した球検出スイッチSは、下側より上側が僅かに右側へ偏倚して右側へ傾いた状態で保持されており、これにより前記球検出口56は、第1球通路50の傾斜に合わせて傾いている。従って、入賞空間46の第1球通路50を右方へ移動するパチンコ球は、球検出スイッチSの前記球検出口56をスムーズに通過するようになり、該パチンコ球が球検出口56の開口縁に接触して引掛かることが防止される。
【0031】
(案内部)
また、実施例の特別入賞装置21では、図6〜図9および図12に示すように、本体部36内の入賞空間46における入賞口37に臨む第1球通路50に、前記入賞口37から前記球検出スイッチSに向けて延在する案内部60が設けられている。前記案内部60は、その左端が前記入賞口37における左の開口端37A側に隣接すると共に、その右端が前記球検出スイッチSの左側に隣接している。また前記案内部60は、その左端が入賞口37に最も近く、前記球検出スイッチSに近づくにつれて該入賞口37から遠ざかるように設けられている。
【0032】
そして前記案内部60は、図6〜図9および図12に示すように、左右方向における中途において、左側に位置する第1案内壁61と右側に位置する第2案内壁62とに分割されている。前記第1案内壁61は、図9および図12に示すように、本体部36の上壁に下方へ突出するように設けられ、パチンコ球を当て受けて案内する球案内面61Aを前部に備えている。前記球案内面61Aは、その左端が前記入賞口37の直後に位置し、右方に行くにつれて後方へ変位すると共に下方に行くにつれて後方へ変位するよう傾斜状に形成されている。このように第1案内壁61を本体部36の上壁に設けたのは、特別入賞装置21の左上方から開閉扉31に落下して跳ね上がったパチンコ球を、該第1案内壁61で当て受けると共に、安定させて入賞空間46内へ導くようにするためである。
【0033】
前記第2案内壁62は、図9および図12に示すように、前記第1案内壁61より後方において、本体部36の下壁に上方へ突出するように設けられ、パチンコ球を当て受けて案内する球案内面62Aを前部に備えている。前記球案内面62Aは、右方に行くにつれて後方へ変位すると共に、上方に行くにつれて後方へ変位するよう傾斜状に形成されている。しかも前記球案内面62Aは、図9および図12に示すように、球検知スイッチSから離れた端部(左端)においては前記底面50Aに対する傾斜角度が最も大きく(急傾斜)、該球検知スイッチSに近づくにつれて底面50Aに対する傾斜角度が漸次小さくなり、前記球検出スイッチSに近接した端部(右端)においては底面50Aに対する傾斜角度が最も小さく(緩傾斜)なるように形成されている。このように第2案内壁62の球案内面62Aを形成したのは、入賞空間46内に流入して該球案内面62Aに接触したパチンコ球を、加速させながら球検知スイッチSに向けて導くようにして、該パチンコ球の検出および排出を早くするためである。
【0034】
従って実施例の特別入賞装置21は、入賞口37における左の開口端37A側に落下したパチンコ球を、前記案内部60の第1案内壁61で安定化させながら入賞空間46の第1球通路50内へ案内し、該第1球通路50内へ流入した該パチンコ球を、前記案内部60の第2案内壁62で右方へ案内して球検出スイッチSへ案内する。なお、案内部60は、本体部36の上壁に下方へ突出した案内壁だけで構成してもよいし、本体部36の下壁に上方へ突出した案内壁だけで構成してもよいし、本体部36の上壁から下壁に亘って連設した案内壁で構成してもよい。
【0035】
(開閉扉)
前記開閉扉31は、図2、図5〜図10に示すように、前記入賞口37の開口形状に略合致する横長矩形板状に形成されて、その左右側端の下部には側外方へ反対向きに突出する支軸65,65が設けられている。そして開閉扉31は、前記両支軸65,65を前記台板部35および本体部36の間に挟持させることで、揺動自在な状態で本体部36の前側に取り付けられている。すなわち、前記開閉扉31は、略垂直状態まで起立して、自由端縁部31Aが上方へ延出して前記入賞口37を閉鎖する閉鎖位置(図5、図7、図8参照)と、水平近くまで前方へ回転して、自由端縁部31Aが前方へ延出して該入賞口37を開放する開放位置(図6、図9参照)との間で姿勢変位する。ここで前記開閉扉31は、該開閉扉31の前面の左右両側に、前方へ突出したストッパ67,67が設けられている。これらストッパ67は、図11に2点鎖線で示すように、開閉扉31が開放位置まで変位すると両ストッパ67が台板部35の前面に当接して、パチンコ球を受け止めた該開閉扉31が開放位置より下方へ過回転することが防止されるようになっている。また、前記開閉扉31の左下端部には、前記閉鎖位置にある状態で水平後方へ開口する連係凹部66が形成されており(図6、図9、図11参照)、この連係凹部66には、前記開閉機構32の連係部材72が連係接続するよう構成されている。更に、図6および図12に示すように、開閉扉31の裏面における左側には、該開閉扉31の開放状態において、自由端縁部31Aから入賞空間46側に向かうにつれて右方へ変位する傾斜案内面68が形成されると共に、該開閉扉31の裏面における右側には、自由端縁部31Aから入賞空間46側に向かうにつれて左方へ変位する傾斜案内面68が形成されている。これにより、開閉扉31の左側または右側に落下したパチンコ球は、前記傾斜案内面68で入賞口37の左右中央方向へ案内される。
【0036】
(開閉機構)
前記開閉機構32は、図9および図11に示すように、ソレノイド70と、このソレノイド70のプランジャ71に連係されると共に前記開閉扉31の連係凹部66に連係される連係部材72とを備えている。前記ソレノイド70は、前記第2設置部48における後部に、前記プランジャ71を水平前方へ延出させた状態で設置されている。このソレノイド70は、前記プランジャ71に圧縮コイルバネ73が配設されており、非励磁状態では前記圧縮コイルバネ73の弾性力によりプランジャ71が前方へ延出した状態保持され、励磁状態では該プランジャ71が圧縮コイルバネ73の弾性力に抗して後方へスライドするように構成されている。
【0037】
前記連係部材72は、図9および図11に示すように、後方が前記プランジャ71の先端に係合する本体部74と、本体部74の左右側面から左方および右方へ同一軸線上で延出する支軸部75,75と、前記本体部36の前面から前方へ延出して前記開閉扉31の連係凹部66に後方から突入係合するレバー部76とを備えている。前記プランジャ71は、前記本体部36の後方上部に係合し、前記各支軸部75,75およびレバー部76は、前記プランジャ71の係合位置より下方に設けられている。そして連係部材72は、前記本体部36における第2設置部48の左右両部に設けた支持孔77,77に前記両支軸部75,75を枢支させることで、両支軸部75,75を回転中心として前後に回転可能に配設される。従って前記連係部材72は、前記ソレノイド70の非励磁状態においては前記レバー部76が水平前方へ延出する姿勢に保持され、該レバー部76と前記連係凹部66の下壁との係合により前記開閉扉31を前記閉鎖位置に保持する。また前記連係部材72は、前記ソレノイド70が励磁されると、前記レバー部76が前上がりの傾斜状に延出する姿勢に変位し、該レバー部76が前記連係凹部66の上壁を上方へ押し上げることにより前記開閉扉31を前記開放位置に向けて姿勢変位させ得る。
【0038】
(演出照明装置)
前記演出照明装置80は、図7に示すように、前方に向けて光を照射する複数のLED81を実装した基板82と、前記基板82に接続されて図示省略した中継基板に接続される配線83とを備えており、前記LED81を本体部36の後壁に対向させた姿勢で前記第3設置部49に配設されている。これにより、演出照明装置80のLED81を発光させた際には、その照射光が装置本体30(本体部36)の後壁面を透過して入賞空間46内を照明すると共に、開放した前記入賞口37を介して遊技盤Dの前方を照射するように構成されている。
【0039】
(実施例の作用)
実施例のパチンコ機Pは、前述したように、操作ハンドルGにより発射操作を行なうことで打球発射装置が作動し、上球皿E内に貯留された各パチンコ球が、遊技盤Dの遊技領域10内へ所定間隔で打ち出される。遊技領域10へ打ち出された各パチンコ球は、該遊技領域10における前記枠状装飾部材15の左側部分を、前記球案内釘23や回転球案内具25等に接触しながら流下し、該パチンコ球の一部は、前記始動入賞装置20の始動入賞口20Aや普通入賞具22の入賞口22Aに入賞する。前記始動入賞装置20にパチンコ球が入賞して、該始動入賞装置20の球検出スイッチからの検出信号を前記主制御装置が受信すると、該主制御装置は、大当たり抽選を行なう一方、統括制御装置に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置に制御信号を出力して、球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0040】
前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として、所定の大当たり条件が発生した場合には、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されると共に、前記特別入賞装置21のソレノイド70が励磁制御される。これにより特別入賞装置21では、ソレノイド70の前記プランジャ71が後退することで、前記開閉扉31が前記開放位置に姿勢変位して入賞口37が開放される。
【0041】
遊技領域10へ打ち出して枠状装飾部材15の左側部分を流下した各パチンコ球は、特別入賞装置21の直上に前記始動入賞口20が位置していることにより、主に特別入賞装置21の左上方や左側方から該特別入賞装置21の前側へ到来するようになる。従って、特別入賞装置21の前側へ到来したパチンコ球は、図12に示すように、開放位置に保持されている前記開閉扉31で受け止められた後に、主に前記入賞口37における左の開口端37A側から本体部36内に形成された前記入賞空間46の第1球通路50内へ流入する。始動入賞装置20の上方を右方へ移動したパチンコ球は、該始動入賞装置20の右方を流下して、特別入賞装置21の右上方から該特別入賞装置21の前方へ到来して、前記開閉扉31で受け止められた後、前記傾斜案内面68で入賞口37における左の開口端37A側へ案内され、前記入賞空間46の第1球通路50内へ流入する。
【0042】
前記入賞口37の左の開口端37A側から前記入賞空間46の第1球通路50へ流入したパチンコ球は、図9に示すように、流下時の勢いにより右方へ移動すると共に、前記案内部60における第1案内壁61または第2案内壁62に接触するようになる。第1案内壁61に接触したパチンコ球は、安定化された状態で入賞空間46の第1球通路50へ流入した後、第2案内壁62で案内されて加速しながら該第1球通路50を右方へ移動するようになる。そして、第2案内壁62に案内されて第1球通路50を右方へ移動したパチンコ球は、前記球検出スイッチSの球検出口56を通過し、この通過時に球検出センサ58で検出される。球検出スイッチSは、球検出センサ58によりパチンコ球を検出すると、検出信号を前記主制御装置へ送出する。
【0043】
球検出スイッチSの球検出口56を通過したパチンコ球は、前記第1案内片53に案内されて第2球通路51に向けて変向され、該第2球通路51内を後方へ移動した後、前記第2案内片54で案内されて前記球排出口52に向けて変向されて、該球排出口52を介して本体部36から外方へ迅速に排出される。
【0044】
前記入賞口37を介して入賞空間46内に流入した各パチンコ球が前記球検出スイッチSで順次検出されて、予め設定された規定数のパチンコ球を該球検出スイッチSが検出したら、前記ソレノイド70に対する励磁制御が解除される。これにより、ソレノイド70の前記プランジャ71が圧縮コイルバネ73の付勢により前方へ移動するので、前記連係部材72の姿勢変位に連動して開閉扉31が閉鎖位置へ回転することで入賞口37が閉鎖され、該入賞口37を介して入賞空間46へのパチンコ球の流入が阻止される。
【0045】
前述した実施例のパチンコ機Pでは、前記球検出スイッチSの球検出口56を、入賞口37においてパチンコ球が主として流入する左の開口端37A側と反対側の右の開口端37B側に、球検出口56を該左の開口端37Aに向けた状態で第1設置部47に配置して、入賞口37から入賞空間46へ流入したパチンコ球を、入賞空間46内に設けた案内部60で前記球検出口56に向けて右方へ移動させるように構成した。従って、入賞口37を介して入賞空間46内に流入したパチンコ球が、球検出スイッチSの球検出口56をスムーズに通過させるようにすることができ、当該パチンコ球の検出が迅速になされる。これにより前記特別入賞装置21では、予め設定された規定数のパチンコ球が入賞口37から入賞空間46内に流入し、該規定数のパチンコ球が球検出スイッチSで検出されると、開閉機構32のソレノイド70による励磁が解除されることで開閉扉31が迅速に閉動作される。従って、入賞口37を通過する時点から球検知スイッチSで検出されるまでの時間が短くなるから、規定数のパチンコ球が球検知スイッチSで検知されて開閉扉31を閉鎖位置に変位させることで、規定数以上のパチンコ球が入賞空間46内に流入することを好適に阻止し得る。また、入賞空間46内に複数のパチンコ球が同時に流入しても、該入賞空間46の第1球通路50内でパチンコ球の球詰まりが発生し難く、各パチンコ球を迅速に検出することができる。
【0046】
そして、実施例の特別入賞装置21では、前記入賞空間46の第1球通路50に、入賞口37から球検出スイッチSに向けて延在する案内部60が設けられているので、該入賞口37から入賞空間46の第1球通路50へ流入した遊技球を、該案内部60の第1案内壁61および第2案内壁62で前記球検出スイッチSに向けて適切に案内し得る。しかも案内部60は、入賞口37における左の開口端37A側が該入賞口37に最も近く、球検出スイッチSに近づくにつれて該入賞口37から遠ざかるように設けられているから、該入賞口37を介して入賞空間46の第1球通路50へ流入したパチンコ球を球検出スイッチSに向けてスムーズに案内することができる。更に、案内部60における第2案内壁62の球案内面62Aは、球検知スイッチSに近づくにつれて第1球通路50の底面50Aに対する後方への傾斜角度が漸次小さくなるように形成されているので、第1球通路50を球検知スイッチSに向けて移動するパチンコ球が加速されるようになり、球検出スイッチSによる検出タイミングを早めることができる。
【0047】
更に実施例の特別入賞装置21では、入賞空間46をL字形に形成して、球検出スイッチSで検出された後のパチンコ球を後方へ変向させるようにしたので、装置本体30を従来と同じ外形サイズに構成することができ、遊技盤Dの第1装着口16の形状を変更する必要がない。更に前記案内部60は、本体部36を構成する第1本体部材42における入賞空間46に臨む上壁に設けた第1案内壁61および第2本体部材43における該入賞空間46に臨む下壁に設けた第2案内壁62とから構成され、これら第1案内壁61および第2案内壁62が本体部36に一体に形成されているので、製造工数や部品点数が増加することがなく、よって製造コストが嵩むことを防止し得る。
【0048】
(変更例)
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)遊技領域10の右下に特別入賞装置21が配設された遊技盤D(図14参照)を備え、所定の大当たり条件が発生した場合に、前記操作ハンドルGの操作により打球発射力を強めた所謂「右打ち状態」として前記枠状装飾部材15の右側へパチンコ球を打ち出すタイプのパチンコ機において、上部に配設される規制手段として機能する遊技部品との関係から、遊技領域10から入賞口37を介して入賞空間46内へ流入するパチンコ球の主たる流入方向が該入賞口37の右の開口端37B側となる場合には、図13(a)および図13(b)に示すように、前記球検出スイッチSの配置位置を、該入賞口37の下流側である左の開口端37A側としてもよい。なお、このような構成とする場合には、前記開閉機構32の配設位置も左右逆となる。また、入賞空間46の第1球通路50の底面が左下がりの勾配となることに伴い、第1設置部47に設置された球検出スイッチSも、左側へ傾斜した姿勢とすることが好適である。
(2)球検出スイッチSは、パチンコ球が通過する前記球検出口56が、入賞口37におけるパチンコ球が主として流入する左の開口端37A側に向いた状態で第1設置部47に配置するようにすれば、前記実施例のようにケース体55の長手方向が前後方向に延在する向きで配置する形態に限定されず、該ケース体55の長手方向が上下方向に延在する向きで配置する形態であってもよい。この場合、前記球検出口56の上方に収容部57が位置するようにしてもよいし、該球検出口56の上方に収容部57が位置するようにしてもよい。
(3)入賞空間46は、実施例のようにL字形に延在するものに限定されず、前記第1球通路50だけから構成されて、前記球検出スイッチSの右側に隣接して球排出口52が形成されていてもよい。
(4)案内部60は、前記第1案内壁61を本体部36の下壁に入賞空間46へ突出するように設けると共に、前記第2案内壁62を本体部36の上壁に入賞空間46へ突出するように設けてもよい。また案内部60は、前記本体部36内の下壁だけに入賞空間46へ突出するように設けてもよいし、前記本体部36内の上壁だけに入賞空間46へ突出するように設けてもよい。更に案内壁60は、本体部36の下壁および上壁に連設して、第1球通路50の後側を塞ぐように設けてもよい。
(5)開閉手段は、実施例で例示した前後に揺動する開閉扉に限定されず、左右に揺動する揺動片から構成したものであってもよい。
(6)開閉扉31を開閉動作する開閉機構32の駆動手段は、ソレノイドに限らず、流体を使用するアクチュエータや、モーター等であってもよい。
(7)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 遊技領域,21 特別入賞装置(入賞装置),30 装置本体(本体)
31 開閉扉(開閉手段),37 入賞口,
37A 左の開口端(遊技球が主として流入する開口端)
37B 右の開口端(遊技球が主として流入する開口端と反対側の開口端)
46 入賞空間,56 球検出口,60 案内部,D 遊技盤
S 球検出スイッチ(検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤に配設され、該遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口を有する本体と、前記本体に前記入賞口を開閉可能に設けられた開閉手段と、前記本体内に配置され、前記入賞口から該本体内へ入賞した遊技球を検出する検出手段とを備え、所定の開放条件の成立により前記開閉手段を開動作して前記入賞口を開き、所定の閉鎖条件の成立により該開閉手段を閉動作して該入賞口を閉じるよう構成された入賞装置を備えた遊技機において、
前記入賞装置の前記検出手段は、前記入賞口に開口する前記本体内の入賞空間において、前記遊技領域から前記入賞口を介して該入賞空間内へ流入する遊技球の主たる流入方向の下流側に配置されるよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入賞装置は、前記入賞口に対して、左右一方の開口端側から遊技球が主として流入するよう構成され、
前記検出手段は、前記本体内において前記入賞口の遊技球が主として流入する開口端と反対側の開口端側に臨む部位に、遊技球が通過する球検出口を、前記遊技球が主として流入する開口端側へ向けた状態で配置されている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記本体内には、前記入賞口から前記検出手段に向けて延在する案内部が設けられ、
前記入賞口から前記入賞空間へ流入した遊技球を、前記案内部で前記検出手段へ案内するよう構成した請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記案内部は、前記入賞口の前記遊技球が主として流入する左右一方の開口端側が該入賞口に最も近く、前記検出手段に近づくにつれて該入賞口から遠ざかるように設けられている請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記案内部は、前記本体内の下壁または上壁の少なくとも一方に、前記入賞空間へ突出するように設けられている請求項3または4記載の遊技機。
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤に配設され、該遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口を有する本体と、前記本体に前記入賞口を開閉可能に設けられた開閉手段と、前記本体内に配置され、前記入賞口から該本体内へ入賞した遊技球を検出する検出手段とを備え、所定の開放条件の成立により前記開閉手段を開動作して前記入賞口を開き、所定の閉鎖条件の成立により該開閉手段を閉動作して該入賞口を閉じるよう構成された入賞装置を備えた遊技機において、
前記入賞装置の前記検出手段は、前記入賞口に開口する前記本体内の入賞空間において、前記遊技領域から前記入賞口を介して該入賞空間内へ流入する遊技球の主たる流入方向の下流側に配置されるよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入賞装置は、前記入賞口に対して、左右一方の開口端側から遊技球が主として流入するよう構成され、
前記検出手段は、前記本体内において前記入賞口の遊技球が主として流入する開口端と反対側の開口端側に臨む部位に、遊技球が通過する球検出口を、前記遊技球が主として流入する開口端側へ向けた状態で配置されている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記本体内には、前記入賞口から前記検出手段に向けて延在する案内部が設けられ、
前記入賞口から前記入賞空間へ流入した遊技球を、前記案内部で前記検出手段へ案内するよう構成した請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記案内部は、前記入賞口の前記遊技球が主として流入する左右一方の開口端側が該入賞口に最も近く、前記検出手段に近づくにつれて該入賞口から遠ざかるように設けられている請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記案内部は、前記本体内の下壁または上壁の少なくとも一方に、前記入賞空間へ突出するように設けられている請求項3または4記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−59478(P2013−59478A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199392(P2011−199392)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
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