遊技機
【課題】証紙部材を引き出した状態でも前扉を保持枠に対して問題なく閉じることができる遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技機1は、遊技盤5と、遊技盤5を保持するための前枠3と、保持枠としての前枠3の前面に開閉可能に取り付けられた前扉6と、遊技盤5に取り付けられる右コーナー飾り34に設けられ、証紙を貼るための証紙部材としての証紙台35と、この証紙台35を回動自在に支持する証紙台支持部および飾り側支持部とを含んでいる。証紙台35は、貼着面が右コーナー飾り34の前面に沿う閉位置およびこの閉位置よりも正面側に変位可能に設けられている。前扉6の閉じ動作時に、前扉6と証紙第35とが干渉しないので、前扉6を前枠3に対して確実に閉じることができる。
【解決手段】遊技機1は、遊技盤5と、遊技盤5を保持するための前枠3と、保持枠としての前枠3の前面に開閉可能に取り付けられた前扉6と、遊技盤5に取り付けられる右コーナー飾り34に設けられ、証紙を貼るための証紙部材としての証紙台35と、この証紙台35を回動自在に支持する証紙台支持部および飾り側支持部とを含んでいる。証紙台35は、貼着面が右コーナー飾り34の前面に沿う閉位置およびこの閉位置よりも正面側に変位可能に設けられている。前扉6の閉じ動作時に、前扉6と証紙第35とが干渉しないので、前扉6を前枠3に対して確実に閉じることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機は、外枠と、その外枠の正面側に開閉可能に取り付けられ、遊技盤を保持する保持枠と、保持枠の左側辺まわりに正面側を覆うように、横開き可能に取り付けられた前扉とを備えている。
このようなパチンコ機では、国家公安委員会での型式検定で適合評価を受けていることを明示するため、遊技盤の前面の所定部分に証紙(そのパチンコ機の機械番号等が記載された証紙)を付す必要がある。近年では、遊技盤の右下隅に証紙台を設け、この証紙台の前面に証紙を貼着する構成が知られている。
【0003】
このような証紙台として、所定の鉛直軸線周りに回動可能に設けた証紙台が知られている(たとえば特許文献1)。証紙台は遊技盤の前面に沿う姿勢と、正面側に引き出された姿勢との間で変位可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−62309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のパチンコ機では、証紙台を正面側に引き出した状態では、証紙台が前扉に干渉し、この状態で前扉を保持枠に対して閉じることができないようになっている。そのため、証紙台を引き出した状態から前扉を保持枠に対して閉じる際には、まず、引出し状態にある証紙台を閉じ、証紙台が閉じた後に前扉の閉動作を行う必要がある。
しかしながら、引出し状態にある証紙部材(証紙台)をいちいち閉じるのは面倒である。そのため、証紙部材に対して個別の閉動作を行うことなく、前扉を保持枠に対して閉じることができることが望ましい。
【0006】
この発明は、このような背景の下でなされたものであり、証紙部材を引き出した状態でも前扉を保持枠に対して問題なく閉じることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、遊技盤(5)と、前記遊技盤を保持する保持枠(3)と、前記保持枠の前面に開閉可能に取り付けられた前扉(6)と、前記遊技盤に設けられ、証紙を貼るための証紙部材(35)と、前記証紙部材を回動自在に支持する証紙部材支持部(39)とを含み、前記証紙部材は、前記証紙部材の前面(56)が前記遊技盤の前面に沿う閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられており、前記前扉の前記保持枠に対する閉動作によって、前記閉位置よりも正面側に位置している前記証紙部材に前記前扉が当接することにより、前記証紙部材が前記閉位置側に向けて移動される、遊技機(1)である。
【0008】
なお、括弧内の数字またはギリシャ文字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、証紙部材が回動自在に設けられている。この証紙部材は、閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられている。証紙部材が閉位置よりも正面側に位置している状態で、開けられている前扉が閉じられると、当該前扉が証紙部材に当接し、これにより、証紙部材が閉位置側に向けて移動するようになる。そのため、前扉を閉じる動作(単に、「閉動作」と言う場合がある。)において、前扉と証紙部材とが干渉しない。したがって、証紙部材を引き出した状態でも、前扉を保持枠に対して確実に閉じることができる。
【0009】
また、前記閉位置よりも正面側に位置する前記証紙部材を前記閉位置に向けて移動させるときの当該証紙部材の回動の方向が、前記前扉の前記閉動作時における当該前扉の回動の方向と同じであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記証紙部材の正面側への回動を規制する回動規制手段(57,58,73,74)をさらに含み、前記回動規制手段は、前記前扉と前記証紙部材とが当接するときにおける、当該前扉の先端側から基端側に向かう方向と、前記証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が、90°未満の予め定める第1角度(β)より大きくなるのを規制する第1規制手段(57,58,73,74)を含む、請求項1記載の遊技機である。
【0010】
この構成によれば、前扉と証紙部材とが当接するときは、前扉の先端側から基端側に向かう方向と、証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が90°未満である。そのため、前扉と証紙部材との当接により、証紙部材に対し、当該証紙部材を閉位置に向けて移動させるための押圧力が作用する。したがって、前扉の閉動作の際に前扉と当接した(押し当てられた)証紙部材は、閉位置へ向けて移動し、これにより、証紙部材をスムーズに閉位置側へと導くことができる。
【0011】
請求項3に記載のように、前記回動規制手段は、前記閉位置に対する前記前扉の回動角度が、90°未満の予め定める第2角度(α)より大きくなるのを規制する第2規制手段(57,58,73,74)を含んでいてもよい。
前記証紙部材は、前記閉動作中の前記前扉と当接するための当接部(52)を有していてもよい。
【0012】
また、請求項4に記載のように、前記閉位置にある前記証紙部材を前記閉位置にロックさせるロック構造(62,65)をさらに含んでいてもよい。この場合、証紙部材を閉位置に保持しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機主要部の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す遊技機主要部の背面図である。
【図3】図1に示す遊技機主要部の右側面図である。
【図4】図1に示す遊技機主要部の左側面図である。
【図5】図1に示す遊技機主要部の平面図である。
【図6A】図1に示す遊技機主要部から前扉を取り除いた状態を示す正面図である。
【図6B】図6Aに示す右コーナー飾りの正面図である。
【図6C】図6Aに示す右コーナー飾りの要部背面図である。
【図6D】図6Cに示す切断面線D-Dから見た断面図である。
【図7】図6Aに示す証紙台および図6Bに示す証紙台支持部の拡大正面図である。
【図8】図7の切断面線VIII-VIIIから見た断面図である。
【図9A】証紙台支持部の斜視図である(その1)。
【図9B】証紙台支持部の斜視図である(その2)。
【図10】図6Aに示す証紙台の斜視図である。
【図11】図6Aに示す証紙台の背面図である。
【図12】図6Aに示す証紙台の底面図である。
【図13】証紙台が閉位置にあるときの証紙台の周辺の拡大斜視図である。
【図14】図13の切断面線XIV-XIVから見た断面図である。
【図15】第2係合突起と証紙台支持部の上下の係合突起との位置関係を示す概略的な平面図である。
【図16】証紙台を最も正面側に引き出した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機1主要部の外観構成を示す斜視図である。図2〜図5は、それぞれ、遊技機1の背面図、右側面図、左側面図および平面図である。この実施形態では、遊技機1は、遊技盤5に向けて遊技玉を発射して遊技を行うパチンコ機である。
【0015】
図1に示すように、遊技機1は、遊技店内に配列された島設備への取付け(設置)のための上下左右の枠からなる矩形の外枠(図示しない)と、外枠の正面側に片開き(横開き)可能に取り付けられ、数字や図柄等を表示するための可変表示装置(図示しない)等が備えられた遊技盤5を保持するための前枠(保持枠)3とを備えている。
前枠3は上下左右の枠を有し、正面形状が矩形をなしている。前枠3はたとえば合成樹脂製であり、外枠の前面側に当接する正面視矩形状の枠本体2(図6A参照)と、枠本体2の内側上部に配置される上部装着部3A(図6A参照)と、この枠本体2の内側の下部分に配置される下部装着部3B(図6A参照)とを一体に備えている。上部装着部3Aには遊技盤5が収容保持されており、下部装着部3Bには、発射手段(図示しない)が収容保持されている。上部装着部3Aの正面側には、当該部分を覆うように前扉6が取り付けられている。
【0016】
前扉6は、前枠3の前面の左側辺の上端部および下端部にそれぞれ配設された蝶番4A,4Bによって、蝶番4A,4Bの回動軸まわり、すなわち前枠3の前面の左側辺まわりに回動可能に支持されている。そのため、前扉6は横開き(右開き)可能に設けられている。
前扉6には、遊技盤5に対向する位置に略円形の開口8が形成されている。この開口8は大型化しており、前扉6に対して高い比率を占めている。開口8にはガラス板などの透明板9が嵌められていて(覆われていて)、前扉6を閉じた状態(閉状態)で、その透明板9を介して、透明板9の奥側の遊技盤5を視認することができるようになっている。前扉6の前面上部には、左右一対のスピーカ10が配設されている。前扉6の前面下部には、遊技機1の演出用に用いられる、一または複数(図1ではたとえば3つ)の演出ボタン13が配設されている。また、前扉6の前面における開口8、スピーカ10および演出ボタン13が配設されている領域を除く領域には、種々の装飾ランプ11が分散して配設されている。
【0017】
前扉6の右下部には、前扉6を前枠3に施錠するための鍵機構12が設けられている。この鍵機構12では、前扉6を前枠3に対して閉じることにより施錠されるようになっている。また、鍵機構12の鍵穴12Aに遊技店の店員などが鍵を挿入して所定方向に回転させることにより、鍵機構12が解錠されて、前扉6を開けることが可能になっている。
下部装着部3Bの正面側には、当該部分を覆うように下部開閉板(図示しない)が取り付けられている。下部開閉板には、遊技に使用する遊技玉を貯留しておくための上皿(図示しない)と、上皿から溢れた遊技玉を、オーバーフロー路(図示しない)を通して受け止める下皿(図示しない)とが上下に並んで設けられている。また、下皿の右側には、遊技玉を遊技盤5に打ち出す際に操作されるハンドル(図示しない)が配設されている。
【0018】
なお、図1、図3および図4では、下部開閉板の図示を省略している。それに伴って、上皿、下皿およびハンドルの図示も省略している。しかしながら、この遊技機1には、前述の通り前扉6の下方に下部開閉板が設けられており、その下部開閉板に、上皿、下皿およびハンドルが配設されている。
図2に示すように、前枠3はたとえば樹脂材料を用いて形成されていて、その中央部および右部(図2に示す左部)には窓15が形成されている。窓15内は、主制御基板や電源基板など種々の基板を配置するためのスペースである。
【0019】
前枠3は、玉受け部と、玉整流部と、賞玉払出装置と、玉通路とを備えている。玉受け部は、上面が開放された箱状に形成されている。玉受け部は、この遊技機1が設置される遊技機島内の玉循環機構(図示せず)から供給された遊技玉を貯留しておくための玉受け部である。玉受け部の下部に形成された玉出口は玉整流部と連通している。玉整流部の下端は賞玉払出装置に接続されており、これにより、玉整流部に流入した遊技玉は、一列に整列して賞玉払出装置に供給されるようになっている。賞玉払出装置から払い出される遊技玉は、玉通路および前枠3の下部に形成された供給口(図示しない)を通って、賞玉または貸玉として上皿(図示しない)に払い出される。図2では、前枠3の各構成要素(玉受け部、玉整流部、賞玉払出装置、および玉通路)は図示されていない。
【0020】
図1および図3〜図5に示すように、前扉6の前面は、透明板9よりも一段正面寄りに位置する略平坦な前面部21(図1および図4参照)と、前扉6の右側辺部に、前扉6の右側辺に沿って配置された右辺ユニット22と、前扉6の上辺部に、前扉6の上辺に沿って配置された上辺ユニット20とを備えている。図1に示すように、前面部21には、前述のスピーカ10、装飾ランプ11および演出ボタン13が配設されている。
【0021】
右辺ユニット22の右側面には、装飾パネル23を有する装飾パネル部24が設けられている。この実施形態では、右辺ユニット22における下部分25を除く部分が装飾パネル部24(図1および図3参照)として機能する。なお、図3にはパネル収容部30に装飾パネル23が収容された状態を示している。
図3および図4に示すように、右辺ユニット22の下部分25の前端面は、前面部21の前面よりもやや正面側に位置する平坦面である。また、右辺ユニット22における下部分25を除く部分には、正面側に向けて膨出する略扁平状をなす膨出部26が設けられている。膨出部26は、右辺ユニット22の上半分に相当する上部分27と、右辺ユニット22の上下方向の中央部に相当する中央部分28とを備えている。上部分27の前端面は、下部分25の前端面よりも一定量正面側に向けて膨出し、かつ下部分25の前端面と平行をなしている。中央部分28の前端面は、上方に向かうに従って正面側に向かうように傾斜する傾斜面である。中央部分28の前端面の上端部は上部分27の前端面につながっており、また、中央部分28の前端面の下端部は下部分25の前端面につながっている。
【0022】
図1および図5に示すように、上辺ユニット20は、前扉6における上辺部のほぼ全域から、正面側に向けて膨出する略扁平状のものである。上辺ユニット20は水平平坦面からなる上面を有しており、この上辺ユニット20の上面は、右辺ユニット22の上端面(膨出部26の上端面)と同一の平面上に位置している。上辺ユニット20の前面は緩やかな凸湾曲面に形成されている。上辺ユニット20の左端部の正面側は後方に向けて大きく切り欠かれており、略円弧状の凹湾曲面からなる凹部29が形成されている。たとえば、この遊技機1と同様の遊技機が複数台、横一列に並べられたときに、ある遊技機1の前扉6を開状態にしたとき、上辺ユニット20と、その遊技機1の左隣の遊技機1の右辺ユニット22(または、各遊技機1の左隣にある台間機(図示しない))とが干渉しないように、この凹部29が形成されている。上辺ユニット20の前面の右端部は、右辺ユニット22の上部分27の前端面と同一平面を有している。
【0023】
図3に示すように、装飾パネル部24は、装飾パネル23と、装飾パネル23を外部から視認可能に収容保持するためのパネル収容部30とを備えている。装飾パネル23は、パネル収容部30に対し着脱可能に設けられている。パネル収容部30は上下方向に長手を有する扁平箱状をなしている。
図6Aは、図1に示す遊技機1主要部から前扉6を取り除いた状態を示す正面図である。
【0024】
遊技盤5は、ベニヤ板の合板等により略矩形状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、中央部に略円形の遊技領域Sが設定されている。この遊技領域Sの周縁には、発射手段(図示しない)から発射された遊技玉を、遊技領域Sの左側上部に導くための略円弧状のガイドレール31が配設されている。また、ガイドレール31に対向して内レール32が配設されている。内レール32の先端は遊技領域Sの上部まで延びていて、発射手段により発射された遊技玉は、内レール32とガイドレール31との間を通って遊技領域Sの左側上部へと導かれる。遊技領域Sには、液晶表示装置を含む構成のセンター役物33、多数本の障害釘(図示しない)、入賞役物(図示しない)、通過ゲート(図示しない)等の各種遊技部品が配設されている。遊技領域Sの左側上部からガイドレール31および内レール32に沿って右斜め上方に向けて放たれた遊技玉は、遊技盤5の盤面に沿って多数本の障害釘の間を通って流下していく。
【0025】
前枠3は、枠本体2上板の内側に位置する上支持枠201、下部装着部3Bの上縁側に位置する下支持枠202、枠本体2左縦板の内側に位置する左支持枠203、および枠本体2右縦板の内側に位置する右支持枠204によって矩形枠状に形成されている。支持枠201〜204内に遊技盤5を収容保持することができるようになっている。前枠3は、当該前枠3に対して遊技盤5を前方から着脱することが可能なように形成されている。
【0026】
また、前枠3の前端面またはその周囲には、前枠3に前側から装着された遊技盤5を離脱可能に固定するための遊技盤ロック部材100A,100Bが、上下一対に配設されている。遊技盤ロック部材100Aは、たとえば上支持枠201の右上端部近傍に配設されている。遊技盤ロック部材100Bは、たとえば下支持枠202の右上端部近傍に配設されている。また、遊技盤(ベニヤ盤)5には、これら遊技盤ロック部材100A,100Bに対応してたとえば外縁側に内向き凹入状の切欠部101A,101Bが形成されている。この実施形態では、切欠部101Aは遊技盤5の右上隅に形成されており、また、切欠部101Bは遊技盤5の右下隅に形成されている。
【0027】
各遊技盤ロック部材100A,100Bは、たとえば、前後方向に延びる所定の回転軸線まわりに回転可能に設けられたロック爪を備えている。
各遊技盤ロック部材100A,100Bのロック爪を回転させて、遊技盤5の切欠部101A,101B周辺の前面にロック爪を突出させて、遊技盤5(ベニヤ盤)の前面とロック爪とを係合させることにより、遊技盤5を支持枠201〜204内(下部装着部3B)にロックさせることができる。一方、遊技盤ロック部材100A,100Bのロック爪を回転させて、遊技盤5の切欠部101A,101B周辺の前面からロック爪を退避させることにより、遊技盤5(ベニヤ盤)とロック爪との係合を解除することができ、これにより、遊技盤5を支持枠201〜204内(下部装着部3B)から離脱させることが可能になる。なお、遊技盤ロック部材100A,100Bの構成については、たとえば特開2008-289541号に詳細に説明されているので、本明細書では、遊技盤ロック部材100A,100Bの詳細な構成は省略する。また、遊技盤ロック部材100A,100Bは、遊技盤5の前面と係合する構成に限られず、遊技盤5の端面などに形成された係合溝との係合により遊技盤5の脱落防止が図られた構成であってもよいのは言うまでもない。
【0028】
このような遊技機1では、上部装着部3Aにおいて、遊技盤5の側方に遊技盤ロック部材100A,100Bを配設する必要がある。上部装着部3Aの大きさには制約があるので、遊技盤ロック部材100A,100Bの配設スペースを確保するために、遊技盤5の正面視の大きさに制約が生じることが考えられる。その一方で、近年の遊技機(パチンコ機)では、遊技盤5の遊技領域Sをできるだけ広面積にすることが求められている。
【0029】
この実施形態では、下方の遊技盤ロック部材100Bの前方(すなわち遊技盤5の右下隅)に、次に述べる証紙台(証紙部材)35を配置した。いわゆるデッドスペースである遊技盤ロック部材100Bの前方に証紙台35を配置したので、遊技盤5の前面に証紙台35を配置する場合と比較して、遊技盤5の盤面のスペースの有効活用を図ることができる。
【0030】
遊技盤5の盤面における遊技領域Sの下方および右方には、右コーナー飾り34が配設されている。右コーナー飾り34の右下部には、遊技機1の機械番号等を表示した証紙を貼着するための正面視矩形状の証紙台35が設けられている。前述したように、証紙台35の背面側には、遊技盤ロック部材100Bが設けられている。また、遊技盤5の盤面における遊技領域Sの上方および左方には、左コーナー飾り36が配設されている。遊技領域Sのほぼ全周は、これら右および左コーナー飾り34,36によって取り囲まれている。右および左コーナー飾り34,36は、それぞれ、樹脂材料を用いて形成された装飾部材であり、互いに組み付けられた状態で遊技盤5の盤面に圧入固定またはネジ止めされている。
【0031】
図6Bは右コーナー飾り34の正面図である。図6Bでは、証紙台35(図6A参照)を取り外した状態を示している。
右コーナー飾り34は、前扉6の前面の右部に設けられる(遊技領域Sの右縁を区画する)右区画部材37と、前扉6の前面の下部に設けられる(遊技領域Sの下縁を区画する)下区画部材38とを備えている。右区画部材37の下部を除く部分は、略円状の遊技領域Sの右縁部に沿う略円弧状をなしている。右区画部材37の左側辺は、ガイドレール31の右部分を構成している。右区画部材37の下部は、上下方向に延びる直線状をなしている。
【0032】
下区画部材38の右部を除く部分は、遊技領域Sの下縁部に沿う略円弧状をなしている。下区画部材38の上辺はガイドレール31の下部分を構成しており、その左右方向の途中部には、遊技盤5の下側に形成されたアウト口(図示しない)を取り囲むアウト口周縁部40が一体的に形成されている。下区画部材38の右端部は、右方向に向かうに従って上方に向かうように傾斜する直線状の接続部分75を介して、右区画部材37の下端部につながっている。
【0033】
右コーナー飾り34の下区画部材38の右側辺の後面には、証紙台35(図6A参照)を回動自在に支持するための証紙台支持部(証紙部材支持部)39が取り付けられている。
図6Cは、右コーナー飾り34の要部背面図である。
下区画部材38には、証紙台支持部39の後述する上および下係合突起44,45にそれぞれロック係合するための上下一対の係合孔103,104(図13等も併せて参照)が、前後に貫通して形成されている。この上および下係合突起44,45(図9A等参照)に係合孔103,104がそれぞれロック係合することにより、下区画部材38に対する証紙台35(図6A参照)の固定が達成される。なお、下区画部材38には、後方に向けて突出する補強用のリブが多数本設けられている。
【0034】
図6Dは、図6Cに示す切断面線D-Dから見た断面図である。
図6Cおよび図6Dに示すように、下区画部材38の右端部の後面には、証紙台35(図6A参照)を支持するための上下一対の飾り側支持部105,106を備えている。上および下飾り側支持部105,106は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上および下飾り側支持部105,106は、鉛直面からなる後面105A,106Aを有している。飾り側支持部105,106の各後面105A,106Aには、半円筒溝を有する飾り側軸受け部107,108がそれぞれ形成されている。飾り側軸受け部107,108の半円筒溝は、所定の鉛直軸線を中心として形成されており、前方に向けて凹んだ半円筒面を有している。飾り側軸受け部107は、対応する上軸部59(図11等参照)の周面の前半分領域を受け、後述する支持部側軸受け部49とともに証紙台35の上軸部59を回転可能に支持している。また、飾り側軸受け部108は、対応する下軸部60(図11等参照)の周面の前半分領域を受け、後述する支持部側軸受け部50とともに証紙台35の下軸部60を回転可能に支持している。
【0035】
図7は、証紙台35および証紙台支持部39の拡大正面図である。図8は、図7の切断面線VIII-VIIIから見た断面図である。図9Aは、証紙台支持部39をその右斜め下から見た斜視図である。図9Bは、証紙台支持部39をその右斜め上から見た斜視図である。図7は、証紙台支持部39を図9Bに示す矢視VIIから見ていることになる。
証紙台支持部39は、前面が開放した略箱状をなしている。証紙台支持部39は、前後方向に直交する矩形の奥底板41と、奥底板41の右辺から正面側に突出する矩形の右側板42と、奥底板41の左辺から正面側に突出する矩形の左側板43と、奥底板41の上辺から正面側に突出する板状の上係合突起44と、奥底板41の下辺から正面側に突出する板状の下係合突起45とを備えている。右側板42の前端縁は、左側板43の前端面(前端縁)よりも後方に位置している。上係合突起44は、奥底板41の上辺から正面側に突出する板状の突出片44Aと当該突出片44Aの先端から上方に張り出す係合爪44Bとを備えている。下係合突起45は、それぞれ奥底板41の下辺からそれぞれ正面側に突出する板状の突出片45Aと突出片45Aの先端から下方に張り出す係合爪45Bとを備えている。上および下係合突起44,45の前端(係合爪44B,45Bの前端)は前後方向に関して、左側板43の前端面に揃っている。上および下係合突起44,45の係合爪44B,45Bが右コーナー飾り34の係合孔103,104(図13等参照)にそれぞれロック係合することにより、上および下係合突起44,45と係合孔103,104(図13等参照)と強固に係合し、これにより、証紙台支持部39の右コーナー飾り34に対する取付け固定が達成される。
【0036】
証紙台支持部39は、証紙台35を支持するための上下一対の支持板47,48を備えている。上および下支持板47,48は、上下方向に間隔を空けて互いに水平に延びており、それぞれ右側板42と左側板43とを連結する支持板である。
上支持板47の下面には、上係合突起109が一体的に形成されている。上係合突起109は前後方向に延びており、その前端部は、所定の鉛直軸線を中心とする、前方に凸の半円筒面状からなる上係合面111を有している。上係合突起109の上係合面111は、後述する第2係合突起67に係合可能に設けられている。
【0037】
下支持板48の上面には、下係合突起110が一体的に形成されている。下係合突起110は前後方向に延びており、その前端部は、所定の鉛直軸線を中心とする、前方に凸の半円筒面状からなる下係合面112を有している。下係合突起110の下係合面112は、後述する第2係合突起68に係合可能に設けられている。
上および下支持板47,48は、それぞれ前後方向に関して右側板42の前端面と略同一の鉛直面上にある前端面を有している。上および下支持板47,48の各前端面には、半円筒溝を有する支持部側軸受け部49,50がそれぞれ形成されている。証紙台支持部39の右コーナー飾り34に対する取付け状態で、支持部側軸受け部49,50の半円筒溝は、所定の鉛直軸線を中心として形成されており、後方に向けて凹んだ半円筒面を有している。
【0038】
証紙台35の後述する軸部59,60がそれぞれ支持部側軸受け部49,50に受けられる。具体的には、支持部側軸受け部49は、上軸部59の周面の後ろ半分領域だけを受け、飾り側軸受け部107とともに証紙台35の上軸部59を回転可能に支持している。また、支持部側軸受け部50は、下軸部60の周面の後ろ半分領域だけを受け、飾り側軸受け部108とともに証紙台35の下軸部60を回転可能に支持している。
【0039】
右側板42の前端面には、証紙台35を閉位置に配置したときに、証紙台35のアーム57,58と干渉しないように、凹み51が形成されている。
図10、図11および図12は、それぞれ、証紙台35の構成を示す図である。図10は斜視図であり、図11は背面図であり、図12は底面図である。
証紙台35は、証紙(図示しない)を貼着するための矩形板状の証紙貼着板53と、証紙貼着板53の背面に形成され、略四角環状をなす枠部54(図11参照)と、枠部54の基端部に設けられ、証紙台35を証紙台支持部39に回動自在に取り付けるための取付け部55と、枠部54の先端部に設けられ、前扉6の後面と当接するための当接用突部(当接部)52とを備えている。証紙貼着板53、枠部54、取付け部55および当接用突部52は、合成樹脂材料を用いて一体に形成されている。
【0040】
証紙貼着板53の前面は、平坦な鉛直面からなる貼着面56である。証紙(図示しない)には、遊技機1の機種情報として、当該遊技機1の機械番号、製造情報および製造業者名が記載されている。また、遊技機1の製造情報として、製造業者および製造年月をそれぞれ記号で表わした製造情報を例示することができる。
取付け部55は、枠部54の左辺部から左方に向けて突出する水平板状の上下一対のアーム57,58と、上側のアーム57の上面から上方に向けて突出する円筒突起状の上軸部59と、下側のアーム58の下面から下方に向けて突出する円筒突起状の下軸部60とを備えている。
【0041】
上軸部59は、その前半分が、右コーナー飾り34の飾り側軸受け部107(図6Cおよび図6D参照)の半円筒溝によって受けられており、その後ろ半分が、証紙台支持部39の支持部側軸受け部49(図9B等参照)の半円筒溝によって受けられている。そして、この上軸部59は双方の半円筒溝に挟まれつつ、当該双方の半円筒溝によって前後方向に(比較的軽く)押圧されている。
【0042】
下軸部60は、その前半分が、右コーナー飾り34の飾り側軸受け部108(図6C等参照)の半円筒溝によって受けられており、その後ろ半分が、証紙台支持部39の支持部側軸受け部50(図9B等参照)の半円筒溝によって受けられている。そして、この下軸部60は双方の半円筒溝に挟まれつつ、当該双方の半円筒溝によって前後方向に(比較的軽く)押圧されている。
【0043】
換言すると、証紙台35は、上下の支持部側軸受け部49,50および上下の飾り側軸受け部107,108によって、支持部側軸受け部49,50の半円筒溝および飾り側軸受け部107,108の半円筒溝で区画される円筒溝の中心まわりに(すなわち、一対の軸部59,60を通る鉛直軸線まわりに)回動自在に支持されている。
さらに換言すると、証紙台35は、上下の支持部側軸受け部49,50と、上下の飾り側軸受け部107,108によって挟持されている。これにより、右コーナー飾り34(証紙台支持部39)からの証紙台35の脱落を未然に防止することができる。
【0044】
ゆえに、右コーナー飾り34および証紙台支持部39によって証紙台35が回転自在に支持されるとともに、その右コーナー飾り34および証紙台支持部39と、証紙台35との結合を強固にすることができる。
アーム57,58はそれぞれ溝(後述する。回動規制手段)73,74を通って、右コーナー飾り34を前後方向に横断している。
【0045】
当接用突部52は、枠部54の上辺部に連続して、当該上辺部よりも先端側に突出している。当接用突部52の先端部には、当接用突部52の先端側の端面と、当接用突部52の後端面とを接続するテーパ面からなる当接面52Aが形成されている。当接面52Aは、証紙台35の先端部(自由端部)の後面に配置されている。当接面52Aは鉛直方向に沿って延びる平坦面であり、平面視で、貼着面56の延長面と約45°をなして交差している。
【0046】
証紙貼着板53の上端面には、当該上端面を覆うとともにその前辺から正面側に少量だけ突出する突条61が形成されている。突条61の上面(すなわち証紙台35の上端面)には、基端部(図10で示す左奥側)と先端部(図10で示す右手前側)との中間部分に、上方に突出する第1係合突起(ロック構造)62が形成されている。第1係合突起62は、貼着面56に直交する断面形状が上に凸の三角状をなしており、正面側の係合面63と、奥側の係合面64とを備えている。これら係合面63,64と、突条61の上面(水平面)とのなす角度はそれぞれたとえば20〜30°である。この第1係合突起62は、証紙台35が閉位置にある状態で、後述する第1係合凹部(ロック構造)65(図13および図14参照)と対向する部分に形成されている。証紙台35が閉位置にある状態では、第1係合突起62と係合凹部65とが係合する。
【0047】
また、各アーム57,58の基端には、先端側とは反対側に向けて突出する円筒状の第2係合突起67,68が形成されている。これら一対の第2係合突起67,68は小突起であり、互いに同等の諸元を有している。
図13は、証紙台35が閉位置にあるときの証紙台35の周辺の拡大斜視図である。図14は、図13の切断面線XIV-XIVから見た断面図である。図15は、第2係合突起67,68と証紙台支持部39の上下の係合突起109,110との位置関係を示す概略的な平面図である。図15(a)は証紙台35を正面側に最も引き出した状態(最大の引出し状態)を示し、図15(b)は証紙台35を閉じ動作させている状態を示している。
【0048】
図6B、図13および図14を参照して、右コーナー飾り34の前面の右下部には、前側部分には、証紙台35を収容するための収容空間72が形成されている。接続部分75によって、収容空間72の背面の一部が区画されている。証紙台35が閉位置にあるときは、証紙台35が収容空間72に収容されており、貼着面56の前面が、右コーナー飾り34の前面(すなわち遊技盤5の前面)と略同一面上に位置している。証紙台35は、右開き可能に設けられている。
【0049】
下区画部材38には、当該下区画部材38の右側辺から、この右側辺と直交する方向に入り込んだ長尺の上下一対の溝73,74が形成されている。各溝73,74は下区画部材38の前後面を貫通している。各溝73,74の上下幅は、アーム57,58の上下厚みよりも若干大きく設定されている。各溝73,74は、証紙台35を閉位置から正面側に引き出すときに、証紙台35のアーム57,58が溝73,74に嵌って下区画部材38に干渉しないように設けられている。また、溝73,74の底部(左底部)は、正面側に引き出された証紙台35のアーム57,58の前端面と当接して、証紙台35の引出し角度を規制している。この溝73,74の深さ(溝73,74の左底部の位置)は、証紙台35を最大の引出し角度(後述するα)以上正面側に引き出せないように設定されている。
【0050】
右区画部材37の下端面には、第1係合突起62と係合するための係合凹部65が形成されている。係合凹部65は、右区画部材37の下端面における前後方向の途中部から接続部分75の前面上部にわたって形成されている。証紙台35が閉位置にあるときは、第1係合突起62が係合凹部65に嵌合する。
図13に示す状態から、作業者が証紙台35に対し、この証紙台35を正面側に引き出すように力を加えることにより、第1係合突起62と係合凹部65との係合は解除される。具体的には、第1係合突起62の係合面63が、右区画部材37の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越える。第1係合突起62の係合面63が、下区画部材38の下端面(水平面)とのなす角度はたとえば20〜30°であるので、第1係合突起62(係合面63)と係合凹部65との係合は強固ではない。そのため、比較的弱い力でこれらの係合を解除することができる。これにより、証紙台35を閉位置から正面側へと引き出すことができる。証紙台35は、閉位置から正面側に引き出された状態で、軸部59,60を中心として回転自在な状態とされる。
【0051】
図16は、証紙台35を最も正面側に引き出した状態(最大の引出し状態)を示す平面図である。前述のように、この遊技機1では、証紙台35の引出し角度が規制されている。この実施形態では、証紙台35の最大の引出し角度(第2角度。証紙台35の貼着面56の、遊技盤5の前面(および右コーナー飾り34の前面)に対する引出し角度)αが88°に設定されている。
【0052】
また、見方を変えると、前扉6と証紙台35とが当接している状態における、当該前扉6の先端側から基端側に向かう方向と、証紙台35の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度(第1角度)βが77°程度をなしている。このとき、前述のように、証紙台35は回転自在とされている。
図15(a)に示すように、証紙台35の引出し角度が最大(α)になる状態(最大の引出し状態)で、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68とが係合する。換言すると、上下の係合突起109,110および第2係合突起67,68の相対位置は、証紙台35の最大の引出し状態で係合するように設定されている。そして、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68との係合により、証紙台35は、最大の引出し状態に保持(維持)される。
【0053】
なお、この実施形態では、上下の係合突起109,110の各係合面111,112は、証紙台35の各アーム57,58の姿勢変化によらずに、常時各アーム57,58の先端部に接触している。各アーム57,58の姿勢変化によらずに、各係合面111,112と各アーム57,58の先端部とが接触できるように、各アーム57,58の先端部の先端面は、図15(a),(b)に示すように、第2係合突起67,68が形成される部分を除いて半円筒面に形成されている。
【0054】
ところで、遊技機1において、遊技盤5の交換やメンテナンス後には、引出し状態にある証紙台35をまず閉じ、証紙台35が閉じた後に前扉6の閉動作を行う必要がある。しかしながら、引出し状態にある証紙台35をいちいち閉じるのは面倒であり、そのため、証紙台35に対して個別の閉動作を行うことなく、前扉6を前枠3に対して閉じることができることが望ましい。
【0055】
証紙台35が最も引き出された状態(図16に示す状態)で、作業者が、開けられている前扉6を閉じるために前扉6を奥側へ向けて回動させると(前扉6の閉動作が行われると)、前扉6の後面が証紙台35の当接面52Aに当接する。この状態で、当接面52Aは前扉6の後面に沿っており、そのため、前扉6の後面と当接面52Aの全域とが当接するようになる。
【0056】
このとき、前記の角度βが77°程度であるので、前扉6と証紙台35の当接面52Aとの当接により、証紙台35に対して、平面視で反時計回り(図16に示す時計回り)の押圧力(すなわち回転トルク)が作用する。このとき、図15(b)に示すように、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68との係合が解除される。具体的には、各第2係合突起67,68が、対応する上下の係合突起109,110の係合面111,112を乗り越える。これにより、証紙台35は、上軸部59および下軸部60をそれぞれ中心として平面視で反時計回りに回動可能になる。その後、前扉6の閉動作に連動して、証紙台35が閉位置に向けて回動する。
【0057】
そして、前扉6が前枠3に対して閉じられる。前扉6が閉じられることにより、鍵機構12(図1参照)が施錠される。
また、前扉6が閉じられるのと略同等のタイミングで、証紙台35も閉位置に配置される。具体的には、前扉6との当接によって勢い付けられた証紙台35では、第1係合突起62(係合面64)が、下区画部材38の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越えて係合凹部65と係合する。第1係合突起62の係合面64が、下区画部材38の下端面(水平面)とのなす角度はたとえば20〜30°であるので、第1係合突起62は比較的容易に、下区画部材38の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越えることができる。証紙台35が閉位置にあるときは、第1係合突起62と係合凹部65との係合により、証紙台35は、閉位置にある状態に保持される。
【0058】
以上にようにこの実施形態では、前扉6の閉動作に証紙台35が干渉せず、ゆえに、前扉6を確実に閉じることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、証紙台支持部39が配設される右コーナー飾り34の下区画部材38が、右区画部材37と一体形成された構成を例に挙げたが、下区画部材38は右区画部材37と分離した状態で設けられていてもよい。また、証紙台支持部39を右区画部材37に取り付けることもできる。この場合、前述の実施形態のように下区画部材38が右区画部材37と一体的に設けられてもよいし、また下区画部材38が右区画部材37と分離された状態で設けられていてもよい。
【0059】
また、証紙台支持部39を右コーナー飾り34とは別部材に設けたが、右コーナー飾り34と一体に設けるものであってもよい。
また、証紙台35の一対のアーム57,58が右コーナー飾り34に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制される構成を取り上げたが、また、証紙台35のアーム57,58が、右コーナー飾り34ではなく、証紙台支持部39(たとえば左側板43の右面)に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制されてもよい。また、証紙台35の証紙貼着板53(の前面)が証紙台支持部39や右コーナー飾り34に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制されるようになっていてもよい。その他、証紙台35の引出し角度を規制するための機構を別途備える構成であってもよい。
【0060】
また、本発明の一実施形態では、遊技機1としてパチンコ機を例に挙げて説明したが、本発明はパチンコ機に限らず、パチスロ機等の他の遊技機にも適用可能である。
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 遊技機
3 前枠(保持枠)
5 遊技盤
6 前扉
35 証紙台(証紙部材)
39 証紙台支持部(証紙部材支持部)
52 当接用突部(当接部)
56 貼着面(証紙部材の前面)
57 アーム(回動規制手段)
58 アーム(回動規制手段)
62 第1係合突起(ロック構造)
65 第1係合凹部(ロック構造)
73 溝(回動規制手段)
74 溝(回動規制手段)
α 角度(第2角度)
β 角度(第1角度)
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機は、外枠と、その外枠の正面側に開閉可能に取り付けられ、遊技盤を保持する保持枠と、保持枠の左側辺まわりに正面側を覆うように、横開き可能に取り付けられた前扉とを備えている。
このようなパチンコ機では、国家公安委員会での型式検定で適合評価を受けていることを明示するため、遊技盤の前面の所定部分に証紙(そのパチンコ機の機械番号等が記載された証紙)を付す必要がある。近年では、遊技盤の右下隅に証紙台を設け、この証紙台の前面に証紙を貼着する構成が知られている。
【0003】
このような証紙台として、所定の鉛直軸線周りに回動可能に設けた証紙台が知られている(たとえば特許文献1)。証紙台は遊技盤の前面に沿う姿勢と、正面側に引き出された姿勢との間で変位可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−62309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のパチンコ機では、証紙台を正面側に引き出した状態では、証紙台が前扉に干渉し、この状態で前扉を保持枠に対して閉じることができないようになっている。そのため、証紙台を引き出した状態から前扉を保持枠に対して閉じる際には、まず、引出し状態にある証紙台を閉じ、証紙台が閉じた後に前扉の閉動作を行う必要がある。
しかしながら、引出し状態にある証紙部材(証紙台)をいちいち閉じるのは面倒である。そのため、証紙部材に対して個別の閉動作を行うことなく、前扉を保持枠に対して閉じることができることが望ましい。
【0006】
この発明は、このような背景の下でなされたものであり、証紙部材を引き出した状態でも前扉を保持枠に対して問題なく閉じることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、遊技盤(5)と、前記遊技盤を保持する保持枠(3)と、前記保持枠の前面に開閉可能に取り付けられた前扉(6)と、前記遊技盤に設けられ、証紙を貼るための証紙部材(35)と、前記証紙部材を回動自在に支持する証紙部材支持部(39)とを含み、前記証紙部材は、前記証紙部材の前面(56)が前記遊技盤の前面に沿う閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられており、前記前扉の前記保持枠に対する閉動作によって、前記閉位置よりも正面側に位置している前記証紙部材に前記前扉が当接することにより、前記証紙部材が前記閉位置側に向けて移動される、遊技機(1)である。
【0008】
なお、括弧内の数字またはギリシャ文字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、証紙部材が回動自在に設けられている。この証紙部材は、閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられている。証紙部材が閉位置よりも正面側に位置している状態で、開けられている前扉が閉じられると、当該前扉が証紙部材に当接し、これにより、証紙部材が閉位置側に向けて移動するようになる。そのため、前扉を閉じる動作(単に、「閉動作」と言う場合がある。)において、前扉と証紙部材とが干渉しない。したがって、証紙部材を引き出した状態でも、前扉を保持枠に対して確実に閉じることができる。
【0009】
また、前記閉位置よりも正面側に位置する前記証紙部材を前記閉位置に向けて移動させるときの当該証紙部材の回動の方向が、前記前扉の前記閉動作時における当該前扉の回動の方向と同じであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記証紙部材の正面側への回動を規制する回動規制手段(57,58,73,74)をさらに含み、前記回動規制手段は、前記前扉と前記証紙部材とが当接するときにおける、当該前扉の先端側から基端側に向かう方向と、前記証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が、90°未満の予め定める第1角度(β)より大きくなるのを規制する第1規制手段(57,58,73,74)を含む、請求項1記載の遊技機である。
【0010】
この構成によれば、前扉と証紙部材とが当接するときは、前扉の先端側から基端側に向かう方向と、証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が90°未満である。そのため、前扉と証紙部材との当接により、証紙部材に対し、当該証紙部材を閉位置に向けて移動させるための押圧力が作用する。したがって、前扉の閉動作の際に前扉と当接した(押し当てられた)証紙部材は、閉位置へ向けて移動し、これにより、証紙部材をスムーズに閉位置側へと導くことができる。
【0011】
請求項3に記載のように、前記回動規制手段は、前記閉位置に対する前記前扉の回動角度が、90°未満の予め定める第2角度(α)より大きくなるのを規制する第2規制手段(57,58,73,74)を含んでいてもよい。
前記証紙部材は、前記閉動作中の前記前扉と当接するための当接部(52)を有していてもよい。
【0012】
また、請求項4に記載のように、前記閉位置にある前記証紙部材を前記閉位置にロックさせるロック構造(62,65)をさらに含んでいてもよい。この場合、証紙部材を閉位置に保持しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機主要部の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す遊技機主要部の背面図である。
【図3】図1に示す遊技機主要部の右側面図である。
【図4】図1に示す遊技機主要部の左側面図である。
【図5】図1に示す遊技機主要部の平面図である。
【図6A】図1に示す遊技機主要部から前扉を取り除いた状態を示す正面図である。
【図6B】図6Aに示す右コーナー飾りの正面図である。
【図6C】図6Aに示す右コーナー飾りの要部背面図である。
【図6D】図6Cに示す切断面線D-Dから見た断面図である。
【図7】図6Aに示す証紙台および図6Bに示す証紙台支持部の拡大正面図である。
【図8】図7の切断面線VIII-VIIIから見た断面図である。
【図9A】証紙台支持部の斜視図である(その1)。
【図9B】証紙台支持部の斜視図である(その2)。
【図10】図6Aに示す証紙台の斜視図である。
【図11】図6Aに示す証紙台の背面図である。
【図12】図6Aに示す証紙台の底面図である。
【図13】証紙台が閉位置にあるときの証紙台の周辺の拡大斜視図である。
【図14】図13の切断面線XIV-XIVから見た断面図である。
【図15】第2係合突起と証紙台支持部の上下の係合突起との位置関係を示す概略的な平面図である。
【図16】証紙台を最も正面側に引き出した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機1主要部の外観構成を示す斜視図である。図2〜図5は、それぞれ、遊技機1の背面図、右側面図、左側面図および平面図である。この実施形態では、遊技機1は、遊技盤5に向けて遊技玉を発射して遊技を行うパチンコ機である。
【0015】
図1に示すように、遊技機1は、遊技店内に配列された島設備への取付け(設置)のための上下左右の枠からなる矩形の外枠(図示しない)と、外枠の正面側に片開き(横開き)可能に取り付けられ、数字や図柄等を表示するための可変表示装置(図示しない)等が備えられた遊技盤5を保持するための前枠(保持枠)3とを備えている。
前枠3は上下左右の枠を有し、正面形状が矩形をなしている。前枠3はたとえば合成樹脂製であり、外枠の前面側に当接する正面視矩形状の枠本体2(図6A参照)と、枠本体2の内側上部に配置される上部装着部3A(図6A参照)と、この枠本体2の内側の下部分に配置される下部装着部3B(図6A参照)とを一体に備えている。上部装着部3Aには遊技盤5が収容保持されており、下部装着部3Bには、発射手段(図示しない)が収容保持されている。上部装着部3Aの正面側には、当該部分を覆うように前扉6が取り付けられている。
【0016】
前扉6は、前枠3の前面の左側辺の上端部および下端部にそれぞれ配設された蝶番4A,4Bによって、蝶番4A,4Bの回動軸まわり、すなわち前枠3の前面の左側辺まわりに回動可能に支持されている。そのため、前扉6は横開き(右開き)可能に設けられている。
前扉6には、遊技盤5に対向する位置に略円形の開口8が形成されている。この開口8は大型化しており、前扉6に対して高い比率を占めている。開口8にはガラス板などの透明板9が嵌められていて(覆われていて)、前扉6を閉じた状態(閉状態)で、その透明板9を介して、透明板9の奥側の遊技盤5を視認することができるようになっている。前扉6の前面上部には、左右一対のスピーカ10が配設されている。前扉6の前面下部には、遊技機1の演出用に用いられる、一または複数(図1ではたとえば3つ)の演出ボタン13が配設されている。また、前扉6の前面における開口8、スピーカ10および演出ボタン13が配設されている領域を除く領域には、種々の装飾ランプ11が分散して配設されている。
【0017】
前扉6の右下部には、前扉6を前枠3に施錠するための鍵機構12が設けられている。この鍵機構12では、前扉6を前枠3に対して閉じることにより施錠されるようになっている。また、鍵機構12の鍵穴12Aに遊技店の店員などが鍵を挿入して所定方向に回転させることにより、鍵機構12が解錠されて、前扉6を開けることが可能になっている。
下部装着部3Bの正面側には、当該部分を覆うように下部開閉板(図示しない)が取り付けられている。下部開閉板には、遊技に使用する遊技玉を貯留しておくための上皿(図示しない)と、上皿から溢れた遊技玉を、オーバーフロー路(図示しない)を通して受け止める下皿(図示しない)とが上下に並んで設けられている。また、下皿の右側には、遊技玉を遊技盤5に打ち出す際に操作されるハンドル(図示しない)が配設されている。
【0018】
なお、図1、図3および図4では、下部開閉板の図示を省略している。それに伴って、上皿、下皿およびハンドルの図示も省略している。しかしながら、この遊技機1には、前述の通り前扉6の下方に下部開閉板が設けられており、その下部開閉板に、上皿、下皿およびハンドルが配設されている。
図2に示すように、前枠3はたとえば樹脂材料を用いて形成されていて、その中央部および右部(図2に示す左部)には窓15が形成されている。窓15内は、主制御基板や電源基板など種々の基板を配置するためのスペースである。
【0019】
前枠3は、玉受け部と、玉整流部と、賞玉払出装置と、玉通路とを備えている。玉受け部は、上面が開放された箱状に形成されている。玉受け部は、この遊技機1が設置される遊技機島内の玉循環機構(図示せず)から供給された遊技玉を貯留しておくための玉受け部である。玉受け部の下部に形成された玉出口は玉整流部と連通している。玉整流部の下端は賞玉払出装置に接続されており、これにより、玉整流部に流入した遊技玉は、一列に整列して賞玉払出装置に供給されるようになっている。賞玉払出装置から払い出される遊技玉は、玉通路および前枠3の下部に形成された供給口(図示しない)を通って、賞玉または貸玉として上皿(図示しない)に払い出される。図2では、前枠3の各構成要素(玉受け部、玉整流部、賞玉払出装置、および玉通路)は図示されていない。
【0020】
図1および図3〜図5に示すように、前扉6の前面は、透明板9よりも一段正面寄りに位置する略平坦な前面部21(図1および図4参照)と、前扉6の右側辺部に、前扉6の右側辺に沿って配置された右辺ユニット22と、前扉6の上辺部に、前扉6の上辺に沿って配置された上辺ユニット20とを備えている。図1に示すように、前面部21には、前述のスピーカ10、装飾ランプ11および演出ボタン13が配設されている。
【0021】
右辺ユニット22の右側面には、装飾パネル23を有する装飾パネル部24が設けられている。この実施形態では、右辺ユニット22における下部分25を除く部分が装飾パネル部24(図1および図3参照)として機能する。なお、図3にはパネル収容部30に装飾パネル23が収容された状態を示している。
図3および図4に示すように、右辺ユニット22の下部分25の前端面は、前面部21の前面よりもやや正面側に位置する平坦面である。また、右辺ユニット22における下部分25を除く部分には、正面側に向けて膨出する略扁平状をなす膨出部26が設けられている。膨出部26は、右辺ユニット22の上半分に相当する上部分27と、右辺ユニット22の上下方向の中央部に相当する中央部分28とを備えている。上部分27の前端面は、下部分25の前端面よりも一定量正面側に向けて膨出し、かつ下部分25の前端面と平行をなしている。中央部分28の前端面は、上方に向かうに従って正面側に向かうように傾斜する傾斜面である。中央部分28の前端面の上端部は上部分27の前端面につながっており、また、中央部分28の前端面の下端部は下部分25の前端面につながっている。
【0022】
図1および図5に示すように、上辺ユニット20は、前扉6における上辺部のほぼ全域から、正面側に向けて膨出する略扁平状のものである。上辺ユニット20は水平平坦面からなる上面を有しており、この上辺ユニット20の上面は、右辺ユニット22の上端面(膨出部26の上端面)と同一の平面上に位置している。上辺ユニット20の前面は緩やかな凸湾曲面に形成されている。上辺ユニット20の左端部の正面側は後方に向けて大きく切り欠かれており、略円弧状の凹湾曲面からなる凹部29が形成されている。たとえば、この遊技機1と同様の遊技機が複数台、横一列に並べられたときに、ある遊技機1の前扉6を開状態にしたとき、上辺ユニット20と、その遊技機1の左隣の遊技機1の右辺ユニット22(または、各遊技機1の左隣にある台間機(図示しない))とが干渉しないように、この凹部29が形成されている。上辺ユニット20の前面の右端部は、右辺ユニット22の上部分27の前端面と同一平面を有している。
【0023】
図3に示すように、装飾パネル部24は、装飾パネル23と、装飾パネル23を外部から視認可能に収容保持するためのパネル収容部30とを備えている。装飾パネル23は、パネル収容部30に対し着脱可能に設けられている。パネル収容部30は上下方向に長手を有する扁平箱状をなしている。
図6Aは、図1に示す遊技機1主要部から前扉6を取り除いた状態を示す正面図である。
【0024】
遊技盤5は、ベニヤ板の合板等により略矩形状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、中央部に略円形の遊技領域Sが設定されている。この遊技領域Sの周縁には、発射手段(図示しない)から発射された遊技玉を、遊技領域Sの左側上部に導くための略円弧状のガイドレール31が配設されている。また、ガイドレール31に対向して内レール32が配設されている。内レール32の先端は遊技領域Sの上部まで延びていて、発射手段により発射された遊技玉は、内レール32とガイドレール31との間を通って遊技領域Sの左側上部へと導かれる。遊技領域Sには、液晶表示装置を含む構成のセンター役物33、多数本の障害釘(図示しない)、入賞役物(図示しない)、通過ゲート(図示しない)等の各種遊技部品が配設されている。遊技領域Sの左側上部からガイドレール31および内レール32に沿って右斜め上方に向けて放たれた遊技玉は、遊技盤5の盤面に沿って多数本の障害釘の間を通って流下していく。
【0025】
前枠3は、枠本体2上板の内側に位置する上支持枠201、下部装着部3Bの上縁側に位置する下支持枠202、枠本体2左縦板の内側に位置する左支持枠203、および枠本体2右縦板の内側に位置する右支持枠204によって矩形枠状に形成されている。支持枠201〜204内に遊技盤5を収容保持することができるようになっている。前枠3は、当該前枠3に対して遊技盤5を前方から着脱することが可能なように形成されている。
【0026】
また、前枠3の前端面またはその周囲には、前枠3に前側から装着された遊技盤5を離脱可能に固定するための遊技盤ロック部材100A,100Bが、上下一対に配設されている。遊技盤ロック部材100Aは、たとえば上支持枠201の右上端部近傍に配設されている。遊技盤ロック部材100Bは、たとえば下支持枠202の右上端部近傍に配設されている。また、遊技盤(ベニヤ盤)5には、これら遊技盤ロック部材100A,100Bに対応してたとえば外縁側に内向き凹入状の切欠部101A,101Bが形成されている。この実施形態では、切欠部101Aは遊技盤5の右上隅に形成されており、また、切欠部101Bは遊技盤5の右下隅に形成されている。
【0027】
各遊技盤ロック部材100A,100Bは、たとえば、前後方向に延びる所定の回転軸線まわりに回転可能に設けられたロック爪を備えている。
各遊技盤ロック部材100A,100Bのロック爪を回転させて、遊技盤5の切欠部101A,101B周辺の前面にロック爪を突出させて、遊技盤5(ベニヤ盤)の前面とロック爪とを係合させることにより、遊技盤5を支持枠201〜204内(下部装着部3B)にロックさせることができる。一方、遊技盤ロック部材100A,100Bのロック爪を回転させて、遊技盤5の切欠部101A,101B周辺の前面からロック爪を退避させることにより、遊技盤5(ベニヤ盤)とロック爪との係合を解除することができ、これにより、遊技盤5を支持枠201〜204内(下部装着部3B)から離脱させることが可能になる。なお、遊技盤ロック部材100A,100Bの構成については、たとえば特開2008-289541号に詳細に説明されているので、本明細書では、遊技盤ロック部材100A,100Bの詳細な構成は省略する。また、遊技盤ロック部材100A,100Bは、遊技盤5の前面と係合する構成に限られず、遊技盤5の端面などに形成された係合溝との係合により遊技盤5の脱落防止が図られた構成であってもよいのは言うまでもない。
【0028】
このような遊技機1では、上部装着部3Aにおいて、遊技盤5の側方に遊技盤ロック部材100A,100Bを配設する必要がある。上部装着部3Aの大きさには制約があるので、遊技盤ロック部材100A,100Bの配設スペースを確保するために、遊技盤5の正面視の大きさに制約が生じることが考えられる。その一方で、近年の遊技機(パチンコ機)では、遊技盤5の遊技領域Sをできるだけ広面積にすることが求められている。
【0029】
この実施形態では、下方の遊技盤ロック部材100Bの前方(すなわち遊技盤5の右下隅)に、次に述べる証紙台(証紙部材)35を配置した。いわゆるデッドスペースである遊技盤ロック部材100Bの前方に証紙台35を配置したので、遊技盤5の前面に証紙台35を配置する場合と比較して、遊技盤5の盤面のスペースの有効活用を図ることができる。
【0030】
遊技盤5の盤面における遊技領域Sの下方および右方には、右コーナー飾り34が配設されている。右コーナー飾り34の右下部には、遊技機1の機械番号等を表示した証紙を貼着するための正面視矩形状の証紙台35が設けられている。前述したように、証紙台35の背面側には、遊技盤ロック部材100Bが設けられている。また、遊技盤5の盤面における遊技領域Sの上方および左方には、左コーナー飾り36が配設されている。遊技領域Sのほぼ全周は、これら右および左コーナー飾り34,36によって取り囲まれている。右および左コーナー飾り34,36は、それぞれ、樹脂材料を用いて形成された装飾部材であり、互いに組み付けられた状態で遊技盤5の盤面に圧入固定またはネジ止めされている。
【0031】
図6Bは右コーナー飾り34の正面図である。図6Bでは、証紙台35(図6A参照)を取り外した状態を示している。
右コーナー飾り34は、前扉6の前面の右部に設けられる(遊技領域Sの右縁を区画する)右区画部材37と、前扉6の前面の下部に設けられる(遊技領域Sの下縁を区画する)下区画部材38とを備えている。右区画部材37の下部を除く部分は、略円状の遊技領域Sの右縁部に沿う略円弧状をなしている。右区画部材37の左側辺は、ガイドレール31の右部分を構成している。右区画部材37の下部は、上下方向に延びる直線状をなしている。
【0032】
下区画部材38の右部を除く部分は、遊技領域Sの下縁部に沿う略円弧状をなしている。下区画部材38の上辺はガイドレール31の下部分を構成しており、その左右方向の途中部には、遊技盤5の下側に形成されたアウト口(図示しない)を取り囲むアウト口周縁部40が一体的に形成されている。下区画部材38の右端部は、右方向に向かうに従って上方に向かうように傾斜する直線状の接続部分75を介して、右区画部材37の下端部につながっている。
【0033】
右コーナー飾り34の下区画部材38の右側辺の後面には、証紙台35(図6A参照)を回動自在に支持するための証紙台支持部(証紙部材支持部)39が取り付けられている。
図6Cは、右コーナー飾り34の要部背面図である。
下区画部材38には、証紙台支持部39の後述する上および下係合突起44,45にそれぞれロック係合するための上下一対の係合孔103,104(図13等も併せて参照)が、前後に貫通して形成されている。この上および下係合突起44,45(図9A等参照)に係合孔103,104がそれぞれロック係合することにより、下区画部材38に対する証紙台35(図6A参照)の固定が達成される。なお、下区画部材38には、後方に向けて突出する補強用のリブが多数本設けられている。
【0034】
図6Dは、図6Cに示す切断面線D-Dから見た断面図である。
図6Cおよび図6Dに示すように、下区画部材38の右端部の後面には、証紙台35(図6A参照)を支持するための上下一対の飾り側支持部105,106を備えている。上および下飾り側支持部105,106は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上および下飾り側支持部105,106は、鉛直面からなる後面105A,106Aを有している。飾り側支持部105,106の各後面105A,106Aには、半円筒溝を有する飾り側軸受け部107,108がそれぞれ形成されている。飾り側軸受け部107,108の半円筒溝は、所定の鉛直軸線を中心として形成されており、前方に向けて凹んだ半円筒面を有している。飾り側軸受け部107は、対応する上軸部59(図11等参照)の周面の前半分領域を受け、後述する支持部側軸受け部49とともに証紙台35の上軸部59を回転可能に支持している。また、飾り側軸受け部108は、対応する下軸部60(図11等参照)の周面の前半分領域を受け、後述する支持部側軸受け部50とともに証紙台35の下軸部60を回転可能に支持している。
【0035】
図7は、証紙台35および証紙台支持部39の拡大正面図である。図8は、図7の切断面線VIII-VIIIから見た断面図である。図9Aは、証紙台支持部39をその右斜め下から見た斜視図である。図9Bは、証紙台支持部39をその右斜め上から見た斜視図である。図7は、証紙台支持部39を図9Bに示す矢視VIIから見ていることになる。
証紙台支持部39は、前面が開放した略箱状をなしている。証紙台支持部39は、前後方向に直交する矩形の奥底板41と、奥底板41の右辺から正面側に突出する矩形の右側板42と、奥底板41の左辺から正面側に突出する矩形の左側板43と、奥底板41の上辺から正面側に突出する板状の上係合突起44と、奥底板41の下辺から正面側に突出する板状の下係合突起45とを備えている。右側板42の前端縁は、左側板43の前端面(前端縁)よりも後方に位置している。上係合突起44は、奥底板41の上辺から正面側に突出する板状の突出片44Aと当該突出片44Aの先端から上方に張り出す係合爪44Bとを備えている。下係合突起45は、それぞれ奥底板41の下辺からそれぞれ正面側に突出する板状の突出片45Aと突出片45Aの先端から下方に張り出す係合爪45Bとを備えている。上および下係合突起44,45の前端(係合爪44B,45Bの前端)は前後方向に関して、左側板43の前端面に揃っている。上および下係合突起44,45の係合爪44B,45Bが右コーナー飾り34の係合孔103,104(図13等参照)にそれぞれロック係合することにより、上および下係合突起44,45と係合孔103,104(図13等参照)と強固に係合し、これにより、証紙台支持部39の右コーナー飾り34に対する取付け固定が達成される。
【0036】
証紙台支持部39は、証紙台35を支持するための上下一対の支持板47,48を備えている。上および下支持板47,48は、上下方向に間隔を空けて互いに水平に延びており、それぞれ右側板42と左側板43とを連結する支持板である。
上支持板47の下面には、上係合突起109が一体的に形成されている。上係合突起109は前後方向に延びており、その前端部は、所定の鉛直軸線を中心とする、前方に凸の半円筒面状からなる上係合面111を有している。上係合突起109の上係合面111は、後述する第2係合突起67に係合可能に設けられている。
【0037】
下支持板48の上面には、下係合突起110が一体的に形成されている。下係合突起110は前後方向に延びており、その前端部は、所定の鉛直軸線を中心とする、前方に凸の半円筒面状からなる下係合面112を有している。下係合突起110の下係合面112は、後述する第2係合突起68に係合可能に設けられている。
上および下支持板47,48は、それぞれ前後方向に関して右側板42の前端面と略同一の鉛直面上にある前端面を有している。上および下支持板47,48の各前端面には、半円筒溝を有する支持部側軸受け部49,50がそれぞれ形成されている。証紙台支持部39の右コーナー飾り34に対する取付け状態で、支持部側軸受け部49,50の半円筒溝は、所定の鉛直軸線を中心として形成されており、後方に向けて凹んだ半円筒面を有している。
【0038】
証紙台35の後述する軸部59,60がそれぞれ支持部側軸受け部49,50に受けられる。具体的には、支持部側軸受け部49は、上軸部59の周面の後ろ半分領域だけを受け、飾り側軸受け部107とともに証紙台35の上軸部59を回転可能に支持している。また、支持部側軸受け部50は、下軸部60の周面の後ろ半分領域だけを受け、飾り側軸受け部108とともに証紙台35の下軸部60を回転可能に支持している。
【0039】
右側板42の前端面には、証紙台35を閉位置に配置したときに、証紙台35のアーム57,58と干渉しないように、凹み51が形成されている。
図10、図11および図12は、それぞれ、証紙台35の構成を示す図である。図10は斜視図であり、図11は背面図であり、図12は底面図である。
証紙台35は、証紙(図示しない)を貼着するための矩形板状の証紙貼着板53と、証紙貼着板53の背面に形成され、略四角環状をなす枠部54(図11参照)と、枠部54の基端部に設けられ、証紙台35を証紙台支持部39に回動自在に取り付けるための取付け部55と、枠部54の先端部に設けられ、前扉6の後面と当接するための当接用突部(当接部)52とを備えている。証紙貼着板53、枠部54、取付け部55および当接用突部52は、合成樹脂材料を用いて一体に形成されている。
【0040】
証紙貼着板53の前面は、平坦な鉛直面からなる貼着面56である。証紙(図示しない)には、遊技機1の機種情報として、当該遊技機1の機械番号、製造情報および製造業者名が記載されている。また、遊技機1の製造情報として、製造業者および製造年月をそれぞれ記号で表わした製造情報を例示することができる。
取付け部55は、枠部54の左辺部から左方に向けて突出する水平板状の上下一対のアーム57,58と、上側のアーム57の上面から上方に向けて突出する円筒突起状の上軸部59と、下側のアーム58の下面から下方に向けて突出する円筒突起状の下軸部60とを備えている。
【0041】
上軸部59は、その前半分が、右コーナー飾り34の飾り側軸受け部107(図6Cおよび図6D参照)の半円筒溝によって受けられており、その後ろ半分が、証紙台支持部39の支持部側軸受け部49(図9B等参照)の半円筒溝によって受けられている。そして、この上軸部59は双方の半円筒溝に挟まれつつ、当該双方の半円筒溝によって前後方向に(比較的軽く)押圧されている。
【0042】
下軸部60は、その前半分が、右コーナー飾り34の飾り側軸受け部108(図6C等参照)の半円筒溝によって受けられており、その後ろ半分が、証紙台支持部39の支持部側軸受け部50(図9B等参照)の半円筒溝によって受けられている。そして、この下軸部60は双方の半円筒溝に挟まれつつ、当該双方の半円筒溝によって前後方向に(比較的軽く)押圧されている。
【0043】
換言すると、証紙台35は、上下の支持部側軸受け部49,50および上下の飾り側軸受け部107,108によって、支持部側軸受け部49,50の半円筒溝および飾り側軸受け部107,108の半円筒溝で区画される円筒溝の中心まわりに(すなわち、一対の軸部59,60を通る鉛直軸線まわりに)回動自在に支持されている。
さらに換言すると、証紙台35は、上下の支持部側軸受け部49,50と、上下の飾り側軸受け部107,108によって挟持されている。これにより、右コーナー飾り34(証紙台支持部39)からの証紙台35の脱落を未然に防止することができる。
【0044】
ゆえに、右コーナー飾り34および証紙台支持部39によって証紙台35が回転自在に支持されるとともに、その右コーナー飾り34および証紙台支持部39と、証紙台35との結合を強固にすることができる。
アーム57,58はそれぞれ溝(後述する。回動規制手段)73,74を通って、右コーナー飾り34を前後方向に横断している。
【0045】
当接用突部52は、枠部54の上辺部に連続して、当該上辺部よりも先端側に突出している。当接用突部52の先端部には、当接用突部52の先端側の端面と、当接用突部52の後端面とを接続するテーパ面からなる当接面52Aが形成されている。当接面52Aは、証紙台35の先端部(自由端部)の後面に配置されている。当接面52Aは鉛直方向に沿って延びる平坦面であり、平面視で、貼着面56の延長面と約45°をなして交差している。
【0046】
証紙貼着板53の上端面には、当該上端面を覆うとともにその前辺から正面側に少量だけ突出する突条61が形成されている。突条61の上面(すなわち証紙台35の上端面)には、基端部(図10で示す左奥側)と先端部(図10で示す右手前側)との中間部分に、上方に突出する第1係合突起(ロック構造)62が形成されている。第1係合突起62は、貼着面56に直交する断面形状が上に凸の三角状をなしており、正面側の係合面63と、奥側の係合面64とを備えている。これら係合面63,64と、突条61の上面(水平面)とのなす角度はそれぞれたとえば20〜30°である。この第1係合突起62は、証紙台35が閉位置にある状態で、後述する第1係合凹部(ロック構造)65(図13および図14参照)と対向する部分に形成されている。証紙台35が閉位置にある状態では、第1係合突起62と係合凹部65とが係合する。
【0047】
また、各アーム57,58の基端には、先端側とは反対側に向けて突出する円筒状の第2係合突起67,68が形成されている。これら一対の第2係合突起67,68は小突起であり、互いに同等の諸元を有している。
図13は、証紙台35が閉位置にあるときの証紙台35の周辺の拡大斜視図である。図14は、図13の切断面線XIV-XIVから見た断面図である。図15は、第2係合突起67,68と証紙台支持部39の上下の係合突起109,110との位置関係を示す概略的な平面図である。図15(a)は証紙台35を正面側に最も引き出した状態(最大の引出し状態)を示し、図15(b)は証紙台35を閉じ動作させている状態を示している。
【0048】
図6B、図13および図14を参照して、右コーナー飾り34の前面の右下部には、前側部分には、証紙台35を収容するための収容空間72が形成されている。接続部分75によって、収容空間72の背面の一部が区画されている。証紙台35が閉位置にあるときは、証紙台35が収容空間72に収容されており、貼着面56の前面が、右コーナー飾り34の前面(すなわち遊技盤5の前面)と略同一面上に位置している。証紙台35は、右開き可能に設けられている。
【0049】
下区画部材38には、当該下区画部材38の右側辺から、この右側辺と直交する方向に入り込んだ長尺の上下一対の溝73,74が形成されている。各溝73,74は下区画部材38の前後面を貫通している。各溝73,74の上下幅は、アーム57,58の上下厚みよりも若干大きく設定されている。各溝73,74は、証紙台35を閉位置から正面側に引き出すときに、証紙台35のアーム57,58が溝73,74に嵌って下区画部材38に干渉しないように設けられている。また、溝73,74の底部(左底部)は、正面側に引き出された証紙台35のアーム57,58の前端面と当接して、証紙台35の引出し角度を規制している。この溝73,74の深さ(溝73,74の左底部の位置)は、証紙台35を最大の引出し角度(後述するα)以上正面側に引き出せないように設定されている。
【0050】
右区画部材37の下端面には、第1係合突起62と係合するための係合凹部65が形成されている。係合凹部65は、右区画部材37の下端面における前後方向の途中部から接続部分75の前面上部にわたって形成されている。証紙台35が閉位置にあるときは、第1係合突起62が係合凹部65に嵌合する。
図13に示す状態から、作業者が証紙台35に対し、この証紙台35を正面側に引き出すように力を加えることにより、第1係合突起62と係合凹部65との係合は解除される。具体的には、第1係合突起62の係合面63が、右区画部材37の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越える。第1係合突起62の係合面63が、下区画部材38の下端面(水平面)とのなす角度はたとえば20〜30°であるので、第1係合突起62(係合面63)と係合凹部65との係合は強固ではない。そのため、比較的弱い力でこれらの係合を解除することができる。これにより、証紙台35を閉位置から正面側へと引き出すことができる。証紙台35は、閉位置から正面側に引き出された状態で、軸部59,60を中心として回転自在な状態とされる。
【0051】
図16は、証紙台35を最も正面側に引き出した状態(最大の引出し状態)を示す平面図である。前述のように、この遊技機1では、証紙台35の引出し角度が規制されている。この実施形態では、証紙台35の最大の引出し角度(第2角度。証紙台35の貼着面56の、遊技盤5の前面(および右コーナー飾り34の前面)に対する引出し角度)αが88°に設定されている。
【0052】
また、見方を変えると、前扉6と証紙台35とが当接している状態における、当該前扉6の先端側から基端側に向かう方向と、証紙台35の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度(第1角度)βが77°程度をなしている。このとき、前述のように、証紙台35は回転自在とされている。
図15(a)に示すように、証紙台35の引出し角度が最大(α)になる状態(最大の引出し状態)で、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68とが係合する。換言すると、上下の係合突起109,110および第2係合突起67,68の相対位置は、証紙台35の最大の引出し状態で係合するように設定されている。そして、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68との係合により、証紙台35は、最大の引出し状態に保持(維持)される。
【0053】
なお、この実施形態では、上下の係合突起109,110の各係合面111,112は、証紙台35の各アーム57,58の姿勢変化によらずに、常時各アーム57,58の先端部に接触している。各アーム57,58の姿勢変化によらずに、各係合面111,112と各アーム57,58の先端部とが接触できるように、各アーム57,58の先端部の先端面は、図15(a),(b)に示すように、第2係合突起67,68が形成される部分を除いて半円筒面に形成されている。
【0054】
ところで、遊技機1において、遊技盤5の交換やメンテナンス後には、引出し状態にある証紙台35をまず閉じ、証紙台35が閉じた後に前扉6の閉動作を行う必要がある。しかしながら、引出し状態にある証紙台35をいちいち閉じるのは面倒であり、そのため、証紙台35に対して個別の閉動作を行うことなく、前扉6を前枠3に対して閉じることができることが望ましい。
【0055】
証紙台35が最も引き出された状態(図16に示す状態)で、作業者が、開けられている前扉6を閉じるために前扉6を奥側へ向けて回動させると(前扉6の閉動作が行われると)、前扉6の後面が証紙台35の当接面52Aに当接する。この状態で、当接面52Aは前扉6の後面に沿っており、そのため、前扉6の後面と当接面52Aの全域とが当接するようになる。
【0056】
このとき、前記の角度βが77°程度であるので、前扉6と証紙台35の当接面52Aとの当接により、証紙台35に対して、平面視で反時計回り(図16に示す時計回り)の押圧力(すなわち回転トルク)が作用する。このとき、図15(b)に示すように、上下の係合突起109,110と、第2係合突起67,68との係合が解除される。具体的には、各第2係合突起67,68が、対応する上下の係合突起109,110の係合面111,112を乗り越える。これにより、証紙台35は、上軸部59および下軸部60をそれぞれ中心として平面視で反時計回りに回動可能になる。その後、前扉6の閉動作に連動して、証紙台35が閉位置に向けて回動する。
【0057】
そして、前扉6が前枠3に対して閉じられる。前扉6が閉じられることにより、鍵機構12(図1参照)が施錠される。
また、前扉6が閉じられるのと略同等のタイミングで、証紙台35も閉位置に配置される。具体的には、前扉6との当接によって勢い付けられた証紙台35では、第1係合突起62(係合面64)が、下区画部材38の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越えて係合凹部65と係合する。第1係合突起62の係合面64が、下区画部材38の下端面(水平面)とのなす角度はたとえば20〜30°であるので、第1係合突起62は比較的容易に、下区画部材38の下端面における係合凹部65の前方部分を乗り越えることができる。証紙台35が閉位置にあるときは、第1係合突起62と係合凹部65との係合により、証紙台35は、閉位置にある状態に保持される。
【0058】
以上にようにこの実施形態では、前扉6の閉動作に証紙台35が干渉せず、ゆえに、前扉6を確実に閉じることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、証紙台支持部39が配設される右コーナー飾り34の下区画部材38が、右区画部材37と一体形成された構成を例に挙げたが、下区画部材38は右区画部材37と分離した状態で設けられていてもよい。また、証紙台支持部39を右区画部材37に取り付けることもできる。この場合、前述の実施形態のように下区画部材38が右区画部材37と一体的に設けられてもよいし、また下区画部材38が右区画部材37と分離された状態で設けられていてもよい。
【0059】
また、証紙台支持部39を右コーナー飾り34とは別部材に設けたが、右コーナー飾り34と一体に設けるものであってもよい。
また、証紙台35の一対のアーム57,58が右コーナー飾り34に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制される構成を取り上げたが、また、証紙台35のアーム57,58が、右コーナー飾り34ではなく、証紙台支持部39(たとえば左側板43の右面)に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制されてもよい。また、証紙台35の証紙貼着板53(の前面)が証紙台支持部39や右コーナー飾り34に当接することにより、証紙台35の引出し角度が規制されるようになっていてもよい。その他、証紙台35の引出し角度を規制するための機構を別途備える構成であってもよい。
【0060】
また、本発明の一実施形態では、遊技機1としてパチンコ機を例に挙げて説明したが、本発明はパチンコ機に限らず、パチスロ機等の他の遊技機にも適用可能である。
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 遊技機
3 前枠(保持枠)
5 遊技盤
6 前扉
35 証紙台(証紙部材)
39 証紙台支持部(証紙部材支持部)
52 当接用突部(当接部)
56 貼着面(証紙部材の前面)
57 アーム(回動規制手段)
58 アーム(回動規制手段)
62 第1係合突起(ロック構造)
65 第1係合凹部(ロック構造)
73 溝(回動規制手段)
74 溝(回動規制手段)
α 角度(第2角度)
β 角度(第1角度)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤と、
前記遊技盤を保持する保持枠と、
前記保持枠の前面に開閉可能に取り付けられた前扉と、
前記遊技盤に設けられ、証紙を貼るための証紙部材と、
前記証紙部材を回動自在に支持する証紙部材支持部とを含み、
前記証紙部材は、前記証紙部材の前面が前記遊技盤の前面に沿う閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられており、
前記前扉の前記保持枠に対する閉動作によって、前記閉位置よりも正面側に位置している前記証紙部材に前記前扉が当接することにより、前記証紙部材が前記閉位置側に向けて移動される、遊技機。
【請求項2】
前記証紙部材の正面側への回動を規制する回動規制手段をさらに含み、
前記回動規制手段は、前記前扉と前記証紙部材とが当接するときにおける、当該前扉の先端側から基端側に向かう方向と、前記証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が、90°未満の予め定める第1角度より大きくなるのを規制する第1規制手段を含む、請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記回動規制手段は、前記閉位置に対する前記前扉の回動角度が、90°未満の予め定める第2角度より大きくなるのを規制する第2規制手段を含む、請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記閉位置にある前記証紙部材を前記閉位置にロックさせるロック構造をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項1】
遊技盤と、
前記遊技盤を保持する保持枠と、
前記保持枠の前面に開閉可能に取り付けられた前扉と、
前記遊技盤に設けられ、証紙を貼るための証紙部材と、
前記証紙部材を回動自在に支持する証紙部材支持部とを含み、
前記証紙部材は、前記証紙部材の前面が前記遊技盤の前面に沿う閉位置と、この閉位置よりも正面側との間で変位可能に設けられており、
前記前扉の前記保持枠に対する閉動作によって、前記閉位置よりも正面側に位置している前記証紙部材に前記前扉が当接することにより、前記証紙部材が前記閉位置側に向けて移動される、遊技機。
【請求項2】
前記証紙部材の正面側への回動を規制する回動規制手段をさらに含み、
前記回動規制手段は、前記前扉と前記証紙部材とが当接するときにおける、当該前扉の先端側から基端側に向かう方向と、前記証紙部材の先端側から基端側に向かう方向とがなす角度が、90°未満の予め定める第1角度より大きくなるのを規制する第1規制手段を含む、請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記回動規制手段は、前記閉位置に対する前記前扉の回動角度が、90°未満の予め定める第2角度より大きくなるのを規制する第2規制手段を含む、請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記閉位置にある前記証紙部材を前記閉位置にロックさせるロック構造をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−66583(P2013−66583A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206953(P2011−206953)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]