説明

遊技装置用のアドレス設定システム

【課題】ネットワーク接続された所定の遊技装置に対して、入力ミスによるアドレスデータの誤入力を回避して、ネットワーク上のアドレスを正確に設定する。
【解決手段】遊技場の複数箇所に設置され、所定のネットワークを介して接続される遊技装置3,20に固有のアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システム1であって、携帯可能に設けられ、アドレスデータを遊技装置毎に送信する端末装置50と、各遊技装置3,20に対応して設けられ、端末装置50から送信されたアドレスデータを受信する受信装置3,4と、を備え、端末装置50は、予め作成されたアドレスデータを外部から取得して送信する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場の複数箇所に設置された台間装置(遊技媒体の貸出機、遊技情報の表示機、各台計数機など)、台コンピュータ、島金庫、島端計数機などの遊技装置に固有のアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システムに関し、特に、これらの遊技装置に携帯可能な端末装置でアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場の複数箇所に設置された設置された台間装置(遊技媒体の貸出機、遊技情報の表示機、各台計数機など)、台コンピュータ、島金庫、島端計数機などの遊技装置は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)などの所定のネットワークにより接続され、これらの遊技装置からの遊技信号は、ホールコンピュータなどの管理装置において集中管理されるようになっている。
このような遊技装置は、ネットワーク上において固有のアドレス(例えば、IPアドレス)が付与されることで当該遊技装置が特定され、管理装置が遊技信号を遊技装置毎に集計できるようになっている。
【0003】
このようなネットワーク接続された遊技装置の一部入替えや、新たな遊技装置の導入にあたり、管理装置において、入替えた遊技装置や新たな遊技装置のアドレスを決定するとともに、決定したアドレスを各遊技装置に設定する必要がある。
この場合の設定方法として、遊技装置に備えるアドレス設定用のスイッチ(例えば、DIPスイッチ)を手動で操作する方法と、遊技装置に備えるアドレスメモリに非接触で記憶させて設定する方法がある。
特許文献1には、アドレス発信器を用いて、遊技台間装置と光通信を行い、予め手動で入力したアドレスを送信してアドレスメモリに記憶させる発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−34527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなアドレス設定方法は、以下のような問題を解決することができなかった。
ネットワーク上で複数の遊技装置に対して同一のアドレスが設定された場合には、データの衝突が生じ、データ送受不能となるが、上述のいずれの設定方法においても、複数の遊技装置に同一のアドレスが設定されるおそれがあった。
すなわち、手動でアドレス設定用のスイッチを操作して行う場合でも、特許文献1のように、アドレス発信器を用いて、予め手動で入力したアドレスを送信してアドレスメモリに記憶させる場合でも、設定者の誤りにより、複数の遊技装置に対して同一のアドレスが設定される危険性を排除することは困難である。
【0006】
また、ホールコンピュータなどの管理装置は、遊技装置として機能する台コンピュータを介して、遊技台から出力される遊技信号を収集し、遊技データ(例えば、大当り回数データ、遊技媒体の払出数データ、遊技媒体の投入数データ、ゲーム数データ、スタート数データなど)を集計して管理している。
遊技装置には、この台コンピュータの他に、遊技台毎に隣接して設置されている遊技媒体の貸出装置、遊技情報の表示機、各台計数機などがあり、これらの遊技装置から出力される遊技信号(例えば、売上信号、遊技媒体の貸出数信号、計数された遊技媒体の計数値信号)は、上記の遊技データと密接に係わることから、これらの遊技装置と遊技台とは、管理装置において一対となるように対応付けて管理する必要がある。
このため、まず、管理装置において、一の遊技台を特定可能な情報(例えば、遊技台番号)を設定し、さらにこの遊技台に隣接して、又は対応して設置される遊技装置のアドレスを関連付けて設定し、この設定に基づいて、各遊技装置に対してアドレスを設定することで、この関連付けられたアドレスから送信されるデータを一の遊技台からの遊技信号として集計するようになっている。
しかしながら、各遊技装置に対してアドレスの設定を間違えると、この関連付けに齟齬が生じ、例えば、各々離れた場所に設置された遊技台と遊技装置とが対応付けられ、意味不明なデータを集計することになる場合も生じる。
上述の設定方法では、このようなアドレスの関連付けまで考慮されていないことから、上記の不都合を解決することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、各遊技装置に対して誤りなく、ネットワーク上のアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の遊技装置用のアドレス設定システムは、遊技場の複数箇所に設置され、所定のネットワークを介して接続される遊技装置に固有のアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システムであって、携帯可能に設けられ、前記アドレスデータを前記遊技装置毎に送信する端末装置と、前記各遊技装置に対応して設けられ、前記端末装置から送信された前記アドレスデータを受信する受信装置と、を備え、前記端末装置は、予め作成された前記アドレスデータを外部から取得して送信する構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末装置が、予め作成されたアドレスデータを外部から取得して送信することから、入力ミスによるアドレスデータの誤入力を回避することができ、各遊技装置に対して、ネットワーク上のアドレスを正確に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技装置用のアドレス設定システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る管理装置で各遊技台に対応して記憶される遊技装置のアドレスデータを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る遊技装置用のアドレス設定システムを構成する各装置間で送受されるデータの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技装置用のアドレス設定システムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、遊技装置用のアドレス設定システムの構成を模式的に示す説明図である。
この図に示すように、遊技場には、パチンコ機、スロットマシンなどの複数の遊技台2をはじめとして、遊技媒体の貸出装置、遊技台の遊技データを表示する台間表示機、遊技媒体を計数する計数機などの遊技台毎に設置される台間遊技装置、又は図示しない遊技機島金庫、両替機などの遊技機島毎に設置される遊技装置が予め定められたレイアウトに従って複数箇所に設置されており、これらの遊技装置は、ホールコンピュータ(管理装置)で集中管理可能なように、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク:LAN)により接続されている。
各遊技装置には、ネットワーク上の固有のアドレス(例えば、IPアドレス)が割り当てられ、ホールコンピュータ(管理装置)とのデータ通信に際して、このアドレスをデータに付して送受信することで、ホールコンピュータ(管理装置)が受信したデータから送信元の遊技装置を特定し、遊技装置毎のデータを集計して管理できるように構成されている。
【0012】
そして、本実施形態のアドレス設定システム1では、遊技台2毎に設置され、遊技媒体の貸出しと大当り回数やスタート回数などの遊技データの表示を行う台間装置3と、4台の遊技台2毎に設置され、遊技台2から出力される遊技信号を収集する台コンピュータ20とを遊技装置とし、これらがホールコンピュータである管理装置40とデータ通信可能に接続されるように、端末装置50から無線通信で送信されるアドレスデータが台間装置3と台コンピュータ20に設定されるようになっている。
また、台間装置3と台コンピュータ20は各遊技台2に対応して一対で設置されていることから、管理装置40は、これらから出力される遊技信号を一の遊技台2からの遊技信号として集計可能なよう、遊技台2を特定可能な遊技台番号毎に、台間装置3と台コンピュータ20に設定されるアドレスデータを一対にして管理している。
【0013】
具体的には、台間装置3は、無線通信でデータを送受信する送受信装置(例えば、赤外線通信装置)が内蔵され、端末装置50との間でデータを送受可能に構成されている。
また、台コンピュータ20は、4つの入出力ポート(P1〜P4)が設けられ、それぞれが店員の呼び出しを行う呼出ランプ4と遊技台2とに、入出力インターフェイスとなるIOC(入出力コントローラ)30を介して接続されている。呼出ランプ4は、無線通信でデータを送受信する送受信装置(例えば、赤外線通信装置)が内蔵され、端末装置50との間でデータを送受可能に構成されている。
このような構成により、台間装置3は、端末装置50から送信されるアドレスデータを直接受信して、受信したアドレスデータを自己のアドレスとしてアドレスメモリ(不揮発性メモリ、SRAMなど)に記憶し、台コンピュータ20は、端末装置50から送信されるアドレスデータを、呼出ランプ4を介して受信して、受信したアドレスデータを自己のアドレスとしてアドレスメモリ(不揮発性メモリ、SRAMなど)に記憶することで、それぞれがアドレス設定を行うようになっている。
【0014】
また、各台間装置3は、ネットワーク回線用のケーブル60cによって、中継装置10と接続され、各台コンピュータ20は、ネットワーク回線用のケーブル60bによって、中継装置10と接続されている。
さらに、中継装置10は、図示しない遊技機島毎に複数箇所に設置されるとともに、各中継装置10は、ネットワーク回線用のケーブル60aを介して、管理装置40に接続されている。
これにより、管理装置40が、端末装置50によってアドレスが設定された遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)と、中継装置10を介して、データ通信可能に接続されるようになっている。
以下に、端末装置50、中継装置10、管理装置40のそれぞれの構成について詳述する。
【0015】
まず、端末装置50について説明する。
図2は、端末装置50の構成を示すブロック図である。
端末装置50は、本発明の端末装置の一例であり、遊技場の店員や、遊技場の管理者などの遊技場係員に携帯されるリモコン装置として構成されている。
端末装置50は、各遊技台2に対応して設置された各遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータを外部から取得するとともに、各遊技装置に取得したアドレスデータを送信可能に構成されている。
【0016】
具体的には、図2に示すように、端末装置50は、文字読取部501と、ICタグリーダ502と、入力部503と、無線LAN通信部504と、赤外線通信部505と、表示部506と、外部メモリ507と、これらの各部を制御するCPU(中央演算処理装置)、制御プログラムやデータが記録されたROM、及び作業領域となるRAMなどの記憶手段、入出力インターフェイスを備えるコンピュータからなる制御部508と、を備えている。
CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することで、各部が以下のように機能する。
【0017】
文字読取部501は、情報読取手段の一例であり、CCDカメラなど撮像手段で文字データを光学的に読取り、この文字データを予め記憶したテキストデータと照合することで文字を特定し、テキスト変換するOCR(Optical Character Recognition)機能を備え、遊技台2毎に付された遊技台番号(例えば、呼出ランプ4に貼付された番号)を読取ることができるようになっている。
各遊技装置のアドレスデータは、管理装置40において、対応して設置された遊技台2(遊技台番号)毎に一対にして管理されているとともに、端末装置50は、遊技台2(遊技台番号)とこの遊技台2(遊技台番号)に対応する各遊技装置のアドレスデータを管理装置40から取得するため、遊技台番号を読取ることで、これに対応する台間装置3と台コンピュータ20のアドレスデータを同時に特定することができる。
ICタグリーダ502は、ICタグに記録されたID情報を読取る読取手段であり、各遊技台2の制御基板(主基板)ケースに貼付されたICタグシール(不図示)から当該遊技台を特定可能な固有のID情報を読取るようになっている。
入力部503は、テンキーからなる操作部であり、所定のデータ(例えば、遊技台番号、台間装置3と台コンピュータ20を区別する機種コード、アドレスデータなど)を入力するとともに、遊技台番号に対応するアドレスデータの検索、各遊技装置へのアドレスデータの送信、文字読取部501による遊技台番号の読取りの開始などを指定して実行させる。
【0018】
無線LAN通信部504は、管理装置40の無線LAN端末装置40aと無線通信を行う通信手段であり、管理装置40において予め作成された、遊技台番号と、この遊技台番号に対応する遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータを受信する。
これにより、端末装置50は、外部で予め作成されたアドレスデータをそのまま取得することができるため、アドレスの入力ミスをなくすことができる。
また、無線LAN通信部504は、ICタグリーダ502により読込まれた遊技台固有のID情報を、文字読取部501により読込まれた遊技台番号とともに管理装置40に送信する。
これにより、管理装置40はこの遊技台固有のID情報毎に遊技データを管理することができるため、以下のような作用効果を奏することができる。
【0019】
例えば、複数の遊技台2を遊技場内の異なる設置場所に移動(遊技台の入れ替え)した場合には、遊技台2の所在が不明になることもあるが、ICタグリーダ502により読込まれた固有のID情報を、文字読取部501により読込まれた遊技台番号とともに管理装置40に送信することで、管理装置40が移動元と移動先の遊技台をそれぞれの固有のID情報から特定できる。このため、管理装置40は、固有のID情報毎に遊技台2を管理することで、移動先の遊技台番号において、新たに集計する遊技データを以前に集計した遊技データに継続させることができる。
【0020】
赤外線通信部505は、台間装置3及び呼出ランプ4に設けられた送受信装置と赤外線通信を行う通信手段であり、アドレスデータをこれらの遊技装置に送信する。
これにより、アドレスデータを受信した台間装置3は、このアドレスデータを自己のアドレスとしてアドレスメモリに記憶することで、アドレスが設定される。
また、台コンピュータ20は、呼出ランプ4が受信したアドレスデータを、IOC30を介して受け取るとともに、このIOC30に対応した入力ポート(P1〜P4)のアドレス(ポートアドレス)として、アドレスメモリに記憶することで、アドレスが設定される。
このように、本実施形態の端末装置50は、遊技装置に対して非接触でアドレスを設定できるため、DIPスイッチ等を操作してアドレス設定を行う手動設定の場合に比べ、作業効率を向上させることができる。
また、赤外線通信部505は、各遊技装置と中継装置10(管理装置40)との接続状態を示す状態データ(後述の成立データ/不成立データ)を各遊技装置に設けられた送受信装置から受信する。
これにより、端末装置50において、各遊技装置のネットワーク上の接続状態を把握することができ、各遊技装置一台ずつに対してアドレスを設定しながら、ネットワーク接続の成否を確認できる。
【0021】
表示部506は、液晶表示器などの表示手段として構成され、文字読取部501により読込まれた遊技台番号、ICタグリーダ502により読込まれたID情報、送信するアドレスデータ、台間装置3と台コンピュータ20を区別する機種コード、受信した状態データなどを表示する。
外部メモリ507は、端末装置50に着脱可能な記録媒体(例えば、メモリカード、USBメモリなど)であり、管理装置40において予め作成された各遊技台2に対応した遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータが記録され、このアドレスデータを記憶手段(RAM)に読込んで、赤外線通信部505により送信することができる。これにより、端末装置50は、外部で予め作成されたアドレスデータをそのまま取得することができるため、アドレスの入力ミスをなくすことができる。
【0022】
また、端末装置50は、送信済みのアドレスデータを記憶手段(RAM)に記憶し、新たにアドレスデータを送信するときに、記憶手段(RAM)に記憶された送信済みのアドレスデータと、新たに送信するアドレスデータを比較・照合し、これらが同一の場合には、新たなアドレスデータの送信は行わない(重複送信禁止手段)。
これにより、同一のアドレスが異なる遊技装置に設定されることを回避できるようになっている。
【0023】
このような構成により、端末装置50は、管理装置40において予め作成された、遊技台2の遊技台番号とこの遊技台2に対応する各遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータを、無線LAN通信部504を介して、管理装置40の無線LAN端末装置40aから直接、又は、このアドレスデータが記録された外部メモリ507を介して、間接的に取得する。
そして、端末装置50は、文字読取部501又は入力部503により遊技台番号が入力されるとともに、この入力された遊技台番号に対応する台間装置3と台コンピュータ20のアドレスデータを、取得したアドレスデータから検索して各々取り出す。
さらに、端末装置50は、入力部503を操作して、アドレスを設定する対象となるいずれかの遊技装置を選定し(この場合、台間装置3又は台コンピュータ20いずれかの機種コードを選択する)、該当する遊技装置に対して取り出したアドレスデータを赤外線通信部505により送信する。
【0024】
このように、本実施形態の端末装置50は、予め作成されたアドレスデータを加工することなく、そのまま各遊技装置に送信して設定させることができることから、アドレスの入力ミスをなくすことができる。
また、文字読取部501により、遊技台番号を読み取り、読取った遊技台番号に対応して設置された遊技装置のアドレスを、該当する遊技装置に送信することができるため、遊技台を特定する手間が省け、アドレス設定作業の労力が軽減される。
特に、本実施形態の場合、遊技装置は各遊技台に対応して設置されていることから、遊技台番号が特定できれば、対応する遊技装置も同時に特定できる。
そこで、台間装置3と台コンピュータ20のアドレスデータを、対応して設置されている遊技台2の遊技台番号毎に対応付けて管理しておくことで、遊技台番号が鍵となり、遊技台番号が特定されることで遊技装置のアドレスを簡単に特定することができる。
なお、本実施形態では、アドレスデータを無線通信により各遊技装置に送信したが、台間装置3と台コンピュータ20に、端末装置50とケーブル接続可能な通信ポートを設けて、直接送信することもできる。
【0025】
次に、中継装置10は、管理装置40と各遊技装置との中継装置(LAN上のブリッジやルータなど)であり、予め管理装置40から送信された各遊技台2に対応する遊技装置のアドレスデータを記憶し、このアドレスデータと各遊技装置から送信されるアドレスデータとの照合結果に基づいて各遊技装置との通信を成立させる。
【0026】
中継装置10は、複数の通信部101a〜101cと、管理装置40から予め送信された各遊技台に対応する遊技装置のアドレスデータを記憶するアドレス記憶部102と、これらの各部を制御するCPU(中央演算処理装置)、制御プログラムやデータが記録されたROM、及び作業領域となるRAMなどの記憶手段、入出力インターフェイスを備えるコンピュータからなる制御部103と、を備えている。
【0027】
本実施形態で接続される各装置は、イーサネット(登録商標)、トークンリングなど各々LAN接続プロトコルが異なるため、管理装置40と通信を行う通信部101aと、台コンピュータ20と通信を行う通信部101bと、台間装置3と通信を行う通信部101cと、が設けられている。
中継装置10は、管理装置40と予め通信可能に接続されていて(IPアドレス設定済み)、一の中継装置10が支配・管理する各遊技台2に対応する遊技装置のアドレスデータが管理装置40から送信されるとともに、このアドレスデータがアドレス記憶部102に記憶されている。
そして、各中継装置10は、アドレス記憶部102に記憶されているアドレスデータと、台間装置3と台コンピュータ20とから送信されるアドレスデータとを照合して、この照合結果に基づいて、これらと管理装置40とを通信可能に接続させる。
【0028】
具体的には、台間装置3と台コンピュータ20は、端末装置50からアドレスデータが送信されると、一時的にRAM等に記憶するとともに、中継装置10に対して、記憶したアドレスデータを通信部101b,101cを介して送信する。
中継装置10は、アドレス記憶部102に記憶されているアドレスデータと、各遊技装置から送信されるアドレスデータとを照合して、一致したときには、管理装置40との通信を確立させるために、その遊技装置との間で所定のデータ(通信成立を示す成立データを含む)を送受する処理を行うとともに、管理装置40に成立データを送信する。遊技装置は、中継装置10からの成立データの受信により、一時的にRAM等に記憶したアドレスデータを自己のアドレスメモリに記憶する(アドレス設定)。
一方、一致しないときには、中継装置10は、通信不成立を示す不成立データをその遊技装置に返信する。
【0029】
各遊技装置に対応して設けられた送受信装置は、端末装置50と通信可能に接続されていることから、各遊技装置が中継装置10から受信したデータ(成立データ/不成立データ)を、端末装置50は、この送受信装置を介して受信するとともに、このデータを表示部506に表示させることができる。
これにより、端末装置50において、各遊技装置に対してアドレスを設定しながら、各遊技装置に送信したアドレスデータに基づいて、各遊技装置と管理装置40とが通信可能に接続されたか否かをその場で確認することができるようになっている。
【0030】
次に、管理装置40は、各遊技台2からの遊技信号を、台コンピュータ20を介して収集し、遊技媒体の売上げを示す遊技信号を、台間装置3から収集して、遊技台2毎の遊技データを集計・管理するホールコンピュータ(遊技情報処理装置)として構成されている。
管理装置40は、各遊技装置から送信される送信元アドレスが付された遊技信号が、いずれの遊技台2に対応する遊技装置からの遊技信号かを判別するために、遊技台2の遊技台番号と、この遊技台2に対応して設置されている台間装置3と台コンピュータ20のアドレスデータとを関連付けて、ハードディスクなどの記憶装置に記憶している。
【0031】
図4は、管理装置40に記憶されている各遊技台に対応する遊技装置のアドレスデータを示す説明図である。
この図に示すように、遊技台番号(遊技台2)毎に、支配・管理する中継装置10が割当てられ、中継装置10毎に、管理する台コンピュータ20と、台間装置3が割当てられている。
本実施形態では、例えば、一の中継装置10が32台の遊技台を管理するように、各中継装置10に、各々8台の台コンピュータ20と、32台の台間装置3が割当てられている。
そして、台コンピュータ20のポート(P1〜P4)と台間装置3は、すべての遊技台2に対応するように、各々固有のアドレスデータが設定されるとともに、このアドレスデータの構成は、接続経路が判別可能なように階層化されている。
例えば、台コンピュータ20のポートアドレスは、三層構造となっており、上位アドレスで管理される中継装置10(中継装置番号)を示し、中位アドレスでその台コンピュータ番号を示し、下位アドレスでこの台コンピュータに接続されるIOC30のポート(P1〜P4)を示すようにしてある。
これにより、このアドレスが付された遊技信号を受信した管理装置40は、送信元の遊技台2(台コンピュータ20のポート)を特定して、遊技信号を収集するのみならず、この遊技台2に接続されている台コンピュータ20と中継装置10を特定できるようになっている。
また、同様に、台間装置3のアドレスは、二層構造となっており、上位アドレスで管理される中継装置10(中継装置番号)を示し、下位アドレスでその台間装置番号を示すようにしてある。
これにより、このアドレスが付された遊技信号を受信した管理装置40は、送信元の台間装置3を特定して、遊技信号を収集するのみならず、この台間装置3に接続されている中継装置10を特定できるようになっている。
【0032】
このようなアドレスデータは、管理装置40に備えるキーボードやマウスなどの入力手段により、液晶ディスプレイなど表示手段を視認しながら、モニタ画面上で作成できるようになっている。また、アドレスデータを他のコンピュータで作成し、管理装置40に転送してもよい。
そして、この作成された、遊技台番号とこの遊技台番号に対応する各遊技装置のアドレスデータは、中継装置10と端末装置50に、転送されるようになっている。
【0033】
具体的には、中継装置10には、ネットワーク回線用のケーブル60aを介して送信し、端末装置50には、無線LAN端末装置40aから発信して送信するか、又はアドレスデータを記録した記録媒体(外部メモリ507)を端末装置50に装着することで行われる。その結果、端末装置50は、予め作成されたアドレスデータを各遊技装置に送信することができるとともに、中継装置10は、予め作成されたアドレスデータをアドレス記憶部に記憶し、各遊技装置から送信されるアドレスデータと照合することができる。
【0034】
以上のように構成された遊技装置用のアドレス設定システム1における各装置間で送受されるデータの流れについて、図5のフローチャートを用いて説明する。
図5に示すように、まず、管理装置40は、各遊技台2に対応して設置された各遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータを中継装置10と端末装置50に送信する(S1)。
端末装置50は、アドレスデータを受信すると(S3)、外部メモリ507に記憶する。
そして、端末装置50は、遊技場の係員の操作により、各呼出ランプ3に付された遊技台番号を読取り(S4)、記憶したアドレスデータの中から、この読取った遊技台番号に対応する各遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスデータを検索して取得する(S5)。
さらに、端末装置50は、遊技場の係員の操作により、アドレスを設定する対象となるいずれかの遊技装置を選定し(この場合、台間装置3又は台コンピュータ20いずれかの機種コードを選択する)、送信するアドレスデータを記憶手段(RAM)に読み込む(S6)。
このとき、送信するアドレスデータを、既に送信した送信済みのアドレスデータと比較し(S7)、送信するアドレスデータが送信済みの場合には(S7−Yes)、表示部506において所定の警告表示を行うとともに、アドレスを設定する対象となる遊技装置を再選定するか(S6)、異なる遊技台番号を読取るように(S4)、指示する表示を行い、同一のアドレスデータを送信しないようになっている。
一方、送信するアドレスデータが送信済みでない場合には(S7−No)、設定対象となる遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)にアドレスデータを送信する(S8)。
【0035】
遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)は、アドレスデータを受信すると(S9)、受信したアドレスデータをこの遊技装置を管理する中継装置10に送信する(S10)。
中継装置10は、管理する遊技装置からアドレスデータを受信すると(S11)、受信したアドレスデータと、管理装置40から予め送信され、アドレス記憶部102に記憶したアドレスデータとを比較・照合する(S12)。
中継装置10は、照合結果が一致しないとき(S13−No)、ネットワーク接続不能であることを示す不成立データを、アドレスデータを送信した遊技装置に送信する(S14)。
この不成立データを受信した遊技装置は、送受信装置を介して、端末装置50に不成立データを送信する(S15)。これにより、端末装置50は、不成立データを受信するとともに(S16)、不成立を表示部506に表示させることで(S17)、遊技場の係員に接続不成立を認識させて、対策を講じさせる。
【0036】
一方、中継装置10は、照合結果が一致したとき(S13−Yes)、ネットワーク接続成立を示す成立データを、アドレスデータを送信した遊技装置と管理装置40に送信する(S18)。
この成立データを受信した遊技装置は、送受信装置を介して、端末装置50に成立データを送信するとともに(S19)、端末装置50から送信されたアドレスデータをアドレスメモリに記憶してアドレス設定を行う(S20)。
このように、中継装置10からの接続成立を示す成立データに基づいてアドレス設定を行うため、誤ったアドレス設定を回避できる。
端末装置50は、成立データを受信すると(S21)、ネットワーク接続成立を表示して(S22)、遊技場の係員に接続成立を認識させるとともに、遊技装置に送信したアドレスデータを送信済みアドレスデータとして記憶する(S23)。
これにより、一の遊技装置毎にネットワーク接続成立を確認しつつ、アドレスを設定することができる。
管理装置40は、中継装置10から成立データを受信すると(S24)、そのアドレスデータを対応する遊技装置(台間装置3,台コンピュータ20)のアドレスとして登録する(S25)。
【0037】
以上のように構成された本実施形態の遊技装置用にアドレス設定システム1によれば、端末装置50が、予め作成されたアドレスデータを外部から取得して各遊技装置に送信することから、入力ミスによるアドレスデータの誤入力を回避することができ、各遊技装置に対して、ネットワーク上のアドレスを正確に設定することができる。
【0038】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、管理装置40と中継装置10を個別に設けたが、中継装置10をなくし、管理装置40を中継装置として機能させてもよい。
【0039】
また、端末装置50から管理装置40に送信可能なデータは、遊技台固有のID情報に限られない。
例えば、端末装置50が各遊技装置から上述した不成立データを受信し、その不成立の原因が予め作成された遊技台番号やアドレスデータの誤りであるような場合は、端末装置50において、この遊技装置に対応した正しい遊技台番号やアドレスデータを、入力部503から入力して修正するとともに、この修正した遊技台番号やアドレスデータを管理装置40に送信し、管理装置40に記憶された遊技台番号やアドレスデータをこの修正した遊技台番号やアドレスデータに更新することもできる。
【0040】
また、端末装置50において、遊技台2と各遊技装置のアドレスデータとの関連付けを行い、この関連付けられたデータを管理装置40に送信することもできる。
具体的には、本実施形態では、管理装置40において、遊技台2の遊技台番号と、この遊技台2に対応して設置されている台間装置3と台コンピュータ20のアドレスデータとの関連付けを行ったが、管理装置40では、アドレスデータのみ設定し、遊技台と各遊技装置のアドレスデータとの関連付けを端末装置50で行うとともに、この関連付けデータを管理装置40に送信して、管理装置40に記憶・設定させることもできる。
例えば、端末装置50は、管理装置40からアドレスデータのみを受信するとともに、文字読取部501により遊技台番号を読取り、読取った遊技台番号と、受信したアドレスデータとの関連付けを順次行い、この関連付けたデータを管理装置40に返信することもできる。
すなわち、図4における遊技台番号と各遊技装置のアドレスデータとの関連付けを端末装置50で行い、管理装置40が、この関連付けられたデータを端末装置50から受信するとともに、この関連付けられたデータに基づいて、各遊技装置とネットワーク通信を行うこともできる。
このように、携帯可能な端末装置50において、遊技台とこの遊技台と対応して設置されている遊技装置のアドレスデータとの関連付けを行うことで、予め関連付けを行う必要がなくなり、アドレス設定とネットワーク設計(構築)を、その場で同時に行うことができ、アドレス設定における作業効率をさらに向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、各遊技台2に対応して設置された台コンピュータ20と台間装置3を遊技装置としたが、アドレスを設定する対象となる遊技装置はこれらに限定されない。
例えば、台間装置3には、様々なものがあり、対応する遊技台で取得した遊技媒体をその場で計数可能に設けられた各台計数機や、会員カードが挿入されることで、予め貯玉された遊技媒体をその場で返却可能な返却装置、有価価値が記録されたICコインやプリペードカードを挿入すると、記録された有価価値を上限として遊技媒体を貸出す貸出装置、呼出ランプなども、ネットワーク上で管理する対象となる遊技装置である。
また、遊技機島毎に設置されたカード券売機、両替機、計数装置などもネットワーク上での管理する対象となる遊技装置である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、遊技場の複数箇所に設置されるネットワークの遊技装置に固有のアドレスを設定するシステムとして適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 アドレス設定システム
2 遊技台
3 台間装置
4 呼出ランプ
10 中継装置
20 台コンピュータ
30 IOC
40 管理装置
50 端末装置
60 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場の複数箇所に設置され、所定のネットワークを介して接続される遊技装置に固有のアドレスを設定する遊技装置用のアドレス設定システムであって、
携帯可能に設けられ、前記アドレスデータを前記遊技装置毎に送信する端末装置と、
前記各遊技装置に対応して設けられ、前記端末装置から送信された前記アドレスデータを受信する受信装置と、を備え、
前記端末装置は、予め作成された前記アドレスデータを外部から取得して送信することを特徴とする遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項2】
前記端末装置は、所定の装置から送信される前記予め作成されたアドレスデータを受信する受信手段を備え、受信した前記アドレスデータ送信する請求項1記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項3】
前記端末装置は、前記予め作成されたアドレスデータが記録された所定の記録媒体を着脱可能に設けられ、前記記録媒体から前記アドレスデータを読み込んで送信する請求項1又は2記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項4】
前記遊技装置又はその近傍に、当該遊技装置を特定する情報が付され、
前記端末装置は、前記情報を読取る情報読取手段を備えるとともに、読取られた前記情報に対応した前記アドレスデータを送信する請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項5】
前記端末装置は、送信済みの前記アドレスデータと同一のアドレスデータを送信しない重複送信禁止手段を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項6】
前記各遊技装置と前記ネットワークを介して接続され、前記予め作成されたアドレスデータを記憶するとともに、このアドレスデータと各遊技装置から送信される前記受信装置が受信した前記アドレスデータとの照合結果に基づいて前記各遊技装置と通信可能に接続される中継装置を備え、
前記中継装置は、前記各遊技装置との接続状態を示す所定の状態データを前記各遊技装置に送信する請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項7】
前記受信装置は、前記状態データを受信可能に前記中継装置と接続され、
前記端末装置は、前記状態データを受信可能に前記受信装置と接続された請求項6記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項8】
前記各遊技装置と前記ネットワークを介して接続され、前記予め作成されたアドレスデータを記憶し、このアドレスデータに基づいて前記各遊技装置から出力される所定の遊技信号を前記遊技装置毎に集計する管理装置を備え、
前記端末装置は、所定のデータを入力する入力手段を備えるとともに、前記所定のデータを送信可能に前記管理装置と接続された請求項1〜7のいずれか一項に記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項9】
前記管理装置は、複数の遊技機から出力される所定の遊技信号を集計可能に前記各遊技機と接続され、
前記所定のデータとして、前記各遊技機に付された、当該遊技機を特定可能な固有のID情報が入力され、
前記管理装置は、前記固有のID情報毎に前記遊技信号を集計する請求項8記載の遊技装置用のアドレス設定システム。
【請求項10】
前記所定のデータとして、前記遊技装置又はその近傍に付された当該遊技装置を特定する情報が入力され、
前記端末装置は、この情報と前記予め作成されたアドレスデータとの関連付けを行うとともに、この関連付けたデータを前記管理装置に送信し、
管理装置は、前記関連付けたデータに基づいて前記各遊技装置から出力される前記遊技信号を前記遊技装置毎に集計する請求項8又は9記載の遊技装置用のアドレス設定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273717(P2010−273717A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126445(P2009−126445)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】