説明

遊離塩素検出用膜センサ

本発明は、水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサ及びその製造方法を提供する。膜センサの成分は反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬及び指示薬である。膜センサは、特定寸法又は形状に適合するように形成することができる。膜センサは、水溶液に曝露されると膨潤又は溶解して試薬を放出し、試薬が遊離塩素と反応できるようになる。或いは膜センサは水溶液に曝露されると膨潤し、水溶液が膜センサ内に拡散して膨潤した膜センサ内に含有されている試薬と反応するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの光学的分析に使用するセンサ、特に水中の遊離塩素を検出・定量する膜センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の給水及び様々な種類の装置、例えば食品加工装置及び血液透析機器などの医療用装置に、通例塩素を消毒剤又は殺菌剤として用いている。水溶液中の有効塩素の量は水溶液の殺菌又は消毒作用に直接関係するので、有効塩素を迅速かつ正確に定量する試験が重要である。
【0003】
遊離有効塩素は、水溶液中の含塩素化合物、例えば次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン及び(強酸溶液の場合)遊離塩素を包含する。遊離有効塩素は、低コストであり、利便性が高く、比較的低濃度で抗菌剤として有効であるため、給水及び装置の殺菌剤として広く使用されている。
【0004】
水中の遊離塩素は、溶存ガス(Cl2)、次亜塩素酸(HOCl)及び次亜塩素酸イオン(OCl-)の1つ又は2つ以上として存在する水中の残留塩素の濃度と定義される。これらの3つの形態の遊離塩素は通常平衡状態で共存し、それらの相対的比率は水のpH及び温度に左右される。全塩素は、遊離塩素及び殺菌に有効な結合塩素種(例えば、クロロアミンなどの酸化剤)を含む。したがって、殺菌率の1つの尺度は遊離塩素の総濃度である。殺菌率の別の尺度は遊離塩素と殺菌に有効な結合塩素種との総濃度である。
【0005】
流体中の揮発性及び不揮発性化合物を定量するセンサ法及び膜センサは既知である。通常、これらのパラメータの定量はこの目的のために特別に設計された専用のセンサシステムを用いて行う。このようなセンサシステムは電気化学、光学、音響及び磁気などの様々な原理で動く。例えば、センサシステムを使用して生物学、化学及び生化学サンプルの光学的検査を行う。比色用液体試薬及び固体試薬で機能する種々の分光センサが開発されている。実際、分析化学においての分光光度指示薬が、市販の多くの光学センサ及びブローブの最適な試薬となっている。
【0006】
光学センサは他の種類のセンサと比べて多くの利点を有するが、最も重要なのは広範な変換原理であり、光学センサは他のセンサを使用できない被分析物(分析対象物質)に応答する。また、光学センサでは、被分析物の分光学的特徴を測定する被分析物の「直接」検出だけでなく、検出試薬を用いた被分析物の「間接」検出も行うことができる。このような試薬は、被分析物種と相互作用すると、その光学的特性、例えば弾性又は非弾性散乱、吸収、発光強度、発光寿命又は偏光状態に変化が起こる。重要なことに、この種の間接検出は、その化学的選択性を分光測定による化学的選択性と組み合わせることで、通常は厄介な干渉作用を克服できることが多い。
【0007】
分光測光指示薬は、本来、水性用途に開発されたので、光学検出へ適用するには固体支持体中への固定化が重要な課題となる。試薬型光学センサ用のポリマー(重合体)材料は複雑な多成分組成となることが多い。重要な組成成分は、化学的感応性試薬(指示薬)、ポリマーマトリックス、微量の補助添加剤及び共通溶媒又は混合溶媒を含む。従来、ある望ましい機能を得るのに最良のセンサ材料組成を予測することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−003346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遊離塩素を検出する光学膜センサが必要とされている。特に、遊離塩素を検出・定量可能な試薬含有薄膜センサの経済的で時間のかからない製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、水中の遊離塩素を検出・定量する膜センサ及びこの膜センサの製造方法を提供する。本発明は、膜センサと接触したり、膜センサ中へ拡散する水溶液中への指示薬及びバッファの浸出性と膜厚とをコントロールすることによって応答性になる、遊離塩素を検出・定量する膜センサの製造に関する。
【0011】
本発明の1実施形態では、水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサを開示する。膜センサの成分は、反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬及び指示薬からなる。膜センサは、特定寸法又は形状に適合するように形成することができる。膜センサは水溶液に曝露されると膨潤する。膜センサが膨潤し、膨潤により膜中に水溶液が拡散すると試薬が遊離塩素に曝露され、塩素感応性試薬が遊離塩素と反応し、かくして膜の応答は有効遊離塩素の濃度を反映する。
【0012】
別の実施形態では、水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサの製造方法を開示する。製造方法は、反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬及び指示薬を混合する工程を含む。所望により、膜センサは、特定寸法又は形状に適合するよう形成することもできる。膜センサは水溶液に曝露されると溶解し、かくして試薬が遊離塩素に曝露される。或いは、膜センサは水溶液に曝露されると膨潤し、かくして塩素感応性試薬が膜の外へ拡散し、遊離塩素と反応する。
【0013】
本発明を特徴づける新規な事項は本明細書に付属する特許請求の範囲に記載する通りである。本発明の構成、実施上の効果及び本発明の使用により得られる利益を一層よく理解できるように、以下に添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。添付図面は本発明の多くの形態の例を示すものである。図面は本発明を実現し使用する手段のすべてを限定するものではない。当然、本発明の構成要素の変更や置換は可能である。本発明は、記載した構成要素それぞれの下位の組合せや構成及びそれらの使用方法も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1実施形態の遊離塩素膜センサの応答曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び請求項で用いる近似表現は、数量を修飾し、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動しうる数量を表現する際に適用される。したがって、「約」などの用語で修飾された値は特定された正確な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。文脈上又は文言で示していない限り、範囲の限定はその上下限を組合せたり、交換することができ、このような範囲は、特定され、すべての下位範囲を含む。実施例または明示されているところ以外は、明細書及び特許請求の範囲で使用される、成分の量、反応条件等に関連する全ての数または表示は、全ての場合、用語「約」で修飾されるものと理解すべきである。
【0016】
ここで用いる用語「含む」、「含有する」、「からなる」、「有する」、「もつ」又は類似の表現は、非限定的な包含を示す。例えば、列挙した要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもこれらの要素に限定されず、列挙していなかったり、このようなプロセス、方法、物品又は装置に固有でない要素を含んでもよい。用語「有効遊離塩素」及び「遊離塩素」は、しばしば産業界で互換できる用語として用いられ、本明細書では、用語の一般的な用法を前提とし、「遊離塩素」で遊離塩素と有効遊離塩素の両方を指す。
【0017】
本発明は水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサ及びこの膜センサの製造方法を提供する。センサ材料は、低濃度の化学種に曝露すると紫外(UV)、可視又は近赤外(IR)スペクトル領域で光学的特性を変化する。膜(フィルム)は一般に、化学的感応性の被分析物に特異な試薬(例えば、蛍光指示薬又は比色指示薬)、ポリマーマトリックス又はポリマーマトリックスの組合せ及び微量の補助添加剤を含有するポリマー系組成物であり、膜はこれらの成分の共通溶媒又は混合溶媒への溶液から製造する。被分析物特異試薬をポリマーマトリックス内部に固定化して膜センサを形成する。微量の補助添加剤の例には、界面活性剤及び内部バッファがあるが、これらに限らない。当業界で既知の他の添加剤も含有することができる。
【0018】
膜センサに用いるポリマーは、センサで検出可能なある化学種又は一群の化学種である所定の被分析物に対して透過性にすることができる。被分析物特異試薬は、被分析物の濃度を関数として光学的特性(例えば、吸光度、蛍光)に変化を起こす。被分析物特異試薬は膜内で光学的特性に変化を起こし、応答する変化が溶液からの干渉種の存在に影響を受けないことが望ましい。当業者に既知の光学検出システムを用いて、変化又は光学的特性の測定を行い、被分析物のレベル、即ち濃度を求める。本発明では、被分析物は遊離塩素である。
【0019】
特定の被分析物に対する所望の応答は、追加の成分を膜中に含むように膜センサの上記組成を調整することにより実現できる。例えば、ポリマーマトリックス成分が追加のポリマーとなるようにポリマーマトリックス成分を選択して固定化された被分析物特異試薬の酸化電位を調整することで、所望のセンサ応答を実現できる。
【0020】
膜センサのポリマーマトリックスは、所定の被分析物に対し透過性であることが好ましい。ポリマーマトリックスは、反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物及び会合ポリマーマトリックスを形成する試薬を含有するものである。寸法(即ち、分子量)、疎水性/親水性、相(即ち、被分析物が液体、気体又は固体のいずれであるか)、溶解性、イオン電荷、コロイド物質又は粒状物質の拡散抑制能力、又は被分析物自体以外の水サンプルの組成例えば測定中の水サンプルのpHに基づき、被分析物に対し膜センサを選択的に透過性にすることができる。
【0021】
被分析物特異試薬をポリマーマトリックス中に取込むか、ポリマーマトリックスに塗工して膜センサを製造する。被分析物特異試薬として用いる物質は、指示薬として当業界で既知の染料及び試薬を含む。ここで用いる用語「被分析物特異試薬」は、比色性、光互換性、熱変色性、蛍光性、弾性散乱性、非弾性散乱性、偏光性又は物性及び化学種を検出するのに有効な他の光学的特性を示す指示薬である。被分析物特異試薬には、有機及び無機の染料及び顔料、ナノ結晶、ナノ粒子、量子ドット、有機蛍光色素、無機蛍光色素及び同様な物質があるが、これらに限らない。本発明の1実施形態では、指示薬はシリングアルダジンである。
【0022】
本発明では、水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサを開示する。膜センサの成分は、反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬及び指示薬からなる。膜センサは、特定の寸法又は形状に適合するように形成することができる。膜センサは水溶液に曝露されると膨潤し、これにより遊離塩素を含有する溶液が膜中に拡散すると吸着又は付着した試薬を遊離塩素に曝露することが可能となり、遊離塩素を含有する溶液が塩素特異試薬と反応する。1実施形態では、膜センサの厚さは約20μm未満である。別の実施形態では、膜センサの厚さは約5μm未満である。膜センサは約0.1ppm〜約2.0ppmレベルの遊離塩素を検出することができる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサの製造方法を開示する。製造方法は、反応性物質を含有するポリマー基材、有機ポリヒドロキシ化合物、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬及び指示薬を混合する工程を含む。膜センサは、特定寸法又は形状に適合するように形成することができる。膜センサは、水溶液に曝露されると膨潤又は溶解し、試薬を放出し、かくして試薬が遊離塩素と反応できるようになる。或いは、膜センサは、水溶液に曝露されると膨潤し、水溶液を膜センサ中に拡散させ、水溶液と膨潤した膜センサ内に含有されている試薬との反応が可能になる。
【0024】
別の実施形態の膜センサでは、膜センサの成分が、成分間で水素結合架橋を形成するように作用し、特定寸法又は形状を形成するのに望ましい粘度及びコンシステンシをもつ膜を形成する。さらに他の実施形態では、膜センサは、定量すべき遊離塩素と反応、錯体形成又は相互作用する指示薬を放出する。膜センサは、遊離塩素との反応又は会合に応答して光学的特性を変化させる試薬を取込んでおり、この場合、反応又は会合による変化を可視光の吸収、透過又は発光により検出することができる。
【0025】
本発明の他の実施形態は、試薬放出性膜センサを提供し、この場合膜センサの成分が、湿潤又は膨潤膜センサをほぼ所望のpHにするようにバッファとして作用し、所定の比率の会合ポリマーマトリックスを形成する試薬、有機ポリヒドロキシ化合物及び反応性物質を含有するポリマー基材でキャリヤマトリックスを形成する。湿潤又は溶解膜のキャリヤマトリックスを化学反応が最も効果的になるのに望ましいpH付近にバッファ処理する。1実施形態では、膜センサは、キャリヤマトリックスのバッファとして働いてpH約6〜約7の溶液を生成する。
【0026】
なお、膜センサを製造するのに用いる反応性物質を含有するポリマー基材は、検出の選択性、感度及び限界などの検出特性に影響をもたらすことができる。したがって、膜センサに適当な材料は、所望の応答時間、所望の透過率、所望の溶解度、透明度、硬度及び対象物質に関連する他の特徴を与えることができるポリマー基材から選択される。
【0027】
適当なポリマー基材には、導電性ポリマー、例えばポリ(アニリン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)など;炭素主鎖ポリマー、例えばポリ(ジエン)、ポリ(アルケン)、ポリ(アクリル)、ポリ(メタクリル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルチオエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ハロゲン化ビニル)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(スチレン)、ポリ(アリーレン)など;非環式のヘテロ原子主鎖ポリマー、例えばポリ(オキシド)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(無水物)、ポリ(ウレタン)、ポリ(スルホネート)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(チオエステル)、ポリ(スルホン)、ポリ(スルホンアミド)、ポリ(アミド)、ポリ(ウレア)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(シラン)、ポリ(シラザン)など;複素環主鎖ポリマー、例えばポリ(ベンゾオキサゾール)、ポリ(オキサジアゾール)、ポリ(ベンゾチアジノフェノチアジン)、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ピラジノキノキサリン)、ポリ(ピロメリットイミド)、ポリ(キノキサリン)、ポリ(ベンゾイミダゾール)、ポリ(オキシインドール)、ポリ(オキソイソインドリン)、ポリ(ジオキソイソインドリン)、ポリ(トリアジン)、ポリ(ピリダジン)、ポリ(ピペラジン)、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピペリジン)、ポリ(トリアゾール)、ポリ(ピラゾール)、ポリ(ピロリジン)、ポリ(カルボラン)、ポリ(オキサビシクロノナン)、ポリ(ジベンゾフラン)、ポリ(フタリド)、ポリ(アセタール)、ポリ(無水物)、炭水化物及びこれらの組合せが挙げられる。ポリマー基材は、ホモポリマー(単独重合体)、上記のポリマー(重合体)又は樹脂のモノマー(単量体)成分のコポリマー(共重合体)、或いは当業者に既知の方法で製造された前記樹脂のポリマーブレンドとすることができる。
【0028】
熱可塑性ポリマーをポリマー基材として用いることができ、例えばポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリインデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリビニルピリジン、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリビニルメチルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリメタクリル酸、ポリアミドメタクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリアセトアルデヒド、ポリクロラール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ビスフェノールと炭酸とのポリカーボネート、ポリ(ジエチレングリコール/ビスアリルカーボネート)、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,12−ナイロン、ポリエチルアスパラテート、ポリエチルグルタメート、ポリリジン、ポリプロリン、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローストリブチレート、ポリウレタン樹脂などの樹脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などのオルガノポリシロキサン、オルガノポリゲルマニウム化合物及び上記のポリマー又は樹脂のモノマー成分のコポリマー(重合体)又は共重縮合体が挙げられる。さらに、上記のポリマーのブレンドを使用することもできる。
【0029】
本発明に従ってポリマー基材として使用できる別の種類のポリマーはヒドロゲルである。ここで定義する「ヒドロゲル」は、親水性ポリマーの三次元網状構造であり、親水性ポリマーが互いに結びついて水膨潤性であるが水不溶性の構造を形成している。用語「ヒドロゲル」は、米国特許第5744794号に記載されているように湿潤状態の親水性ポリマーにも乾燥状態の親水性ポリマー(キセロゲル)にも適用されるものである。
【0030】
このようなヒドロゲルを結びつけるのに多数の異なる方法を用いることができる。第1に、ヒドロゲルの結びつけに親水性ポリマーの放射線架橋又はラジカル架橋を使用することができ、例には、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピル−N'−アクリルアミド)、ポリ(エチレンイミン
)、ナトリウム/カリウムポリ(アクリレート)、多糖類例えばキサンテート、アルギネート、グアーガム、アガロースなど、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロース誘導体、上記材料のモノマー成分のコポリマー及びこれらの組合せが挙げられる。第2に、結びつけに親水性ポリマー及びモノマーと適当な多官能モノマーとの化学的架橋を用いることができ、例には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート及び他のジ−及びトリ−アクリレート及びメタクリレートなどの適当な化学薬品で架橋されたポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート);ヒドロキシエチルメタクリレートモノマーとジメタクリレートエステル架橋剤との共重合体;ヒドロキシル基末端ポリ(エチレングリコール)とポリイソシアネートとの反応又はトリオールなどの多官能モノマーの存在下でのジイソシアネートとの反応により製造されたポリ(エチレンオキシド)系ポリウレタン;ジアルデヒド、ジエポキシド及び多塩基酸で架橋されたセルロース誘導体;及びこれらの組合せがある。第3に、結びつけに親水性モノマー及びポリマーのブロック及びグラフトコポリマーへの導入を用いることができ、例には、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、アクリル酸(AA)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(アクリルアミド−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)及びポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)などの適当なポリマーとポリ(エチレンオキシド)とのブロック及びグラフトコポリマー;ポリ(ビニルピロリドン)−コ−ポリスチレンコポリマー;ポリ(ビニルピロリドン)−コ−ビニルアルコールコポリマー;ポリウレタン;ポリウレタンウレア;ポリ(エチレンオキシド)を基材としたポリウレタンウレア;ポリウレタンウレアとポリ(アクリロニトリル)−コ−ポリ(アクリル酸)とのコポリマー;ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(アクリル酸)の様々な誘導体;及びこれらの組合せがある。親水性ポリマーと別のポリマー間で分子錯体形成が起こることもあり、例には、ポリ(エチレンオキシド)ヒドロゲルのポリ(アクリル酸)及びポリ(メタクリル酸)との錯体及びこれらの組合せがある。最後に、結びつけに高分子量親水性ポリマーのからみあい架橋を用いることができ、例には、多官能アクリル又はビニルモノマーと混合した高分子量ポリ(エチレンオキシド)を基材としたヒドロゲルがある。
【0031】
前述のように、上記のポリマーのモノマー成分のコポリマー(共重合体)又は共重縮合体及び上記ポリマーのブレンドを用いることもできる。これらの材料の適用例が、Michie他の"Distributed pH and water detection using fiber-optic sensors and hydrogels," J. Lightwave Technol. 1995, 13, 1415-1420、Bownassらの "Serially multiplexed point sensor for the detection of high humidity in passive optical networks," Opt. Lett. 1997, 22, 346-348及び米国特許第5744794号に記載されている。
【0032】
前述のように、適当な溶媒、例えば、限定するわけではないが、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ベンゼン、イソプロピルアルコール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジアセテート及びペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)にポリマーマトリックスを構成するヒドロゲルを溶解する。一般に、樹脂を含有する溶液の溶媒濃度は約70重量%以上、1実施形態では約75重量%〜約90重量%、別の実施形態では約80重量%である。以下に例として使用する1つの好ましいポリマー基材は、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)を1−メトキシ−2−プロパノール(PM)とジエチレングリコールメチルエーテル(DM)からなる溶媒に溶解した溶液である。
【0033】
別の実施形態は、ヒドロゲル又はゾル−ゲルから、ヒドロキシル基含有低分子量有機ポリヒドロキシ化合物と水素結合又は相互作用し同時に可塑剤又は架橋剤と反応するヒドロキシル基が簡単に得られる膜組成物を提供する。この結果、所望の出荷形状にキャスト又は成形するのに望ましい流体特性又は剪断誘起流体特性を示す混合物粘度となる。1実施形態では、ポリマー基材はpHEMAであり、有機ポリヒドロキシ化合物はグリセリンであり、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬はホウ酸である。別の実施形態では、指示薬はシリングアルダジンである。
【0034】
膜センサは、特定寸法又は形状にキャスト又は成形するのに望ましい流体特性又は剪断誘起流体特性を示す粘度をもつ。1実施形態では、膜の粘度は、約100cps〜約5000cpsである。
【0035】
1実施形態は、分子量が約100〜約10000000のポリマー基材を含有する膜センサを提供する。別の実施形態では、ポリマー基材の分子量が約1000〜約500000である。また、本発明は膜センサを提供し、膜センサは、有機ポリヒドロキシ化合物の含量が膜センサに対し約3重量%〜約20重量%であり、会合ポリマーマトリックスを形成する試薬の含量が膜センサに対し約3重量%〜約20重量%であり、その結果約100cps〜約5000cpsの粘度になる。さらに、指示薬の含量は膜センサに対して約0.5重量%〜約2重量%である。
【0036】
なお、上述した本発明の実施形態への種々の改変及び変更は当業者に明らかである。本発明の要旨及び技術的範囲から逸脱したり、本発明に伴う効果を低減したりすることなく、このような改変及び変更が可能である。したがって、このような改変及び変更は特許請求の範囲に含まれるものとする。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、実施例が特許請求の範囲に限定をあたえると解釈すべきではない。特記しない限り、実施例においてすべての「ppm」と「%」は重量基準である。
【0038】
実施例1
2.5〜3.5μmの膜を形成した。ジエチレングリコールメチルエーテル/1−メトキシ−2−プロパノール(65/35)溶媒系に11.5重量%のpHEMA、4.5〜7.0重量%のホウ酸、5.0〜9.5重量%のグリセリン及び1.3重量%のシリングアルダジンを混合した。形成した膜は合成冷却水中で0.1ppm〜2.0ppmの遊離塩素を検出した。遊離塩素の検量線だけでなく本組成物のスクリーン印刷の実現性を確認した。
【0039】
実施例2
以下の2段階混合により必要な物質から遊離塩素インクを調製した。
【0040】
【表1】

【0041】
3.5x5インチのポリカーボネートプレート上に得られたインクをスクリーン印刷した。溶媒を蒸発させ、乾燥した正方形の薄膜センサを得た。流体サンプラーをプレートの上に置き、サンプラープレートにシリンジで約3.0mlの水を添加した。それに伴って起こる膜センサの色変化を市販の96ウェルプレートリーダーで測定した。530nmでの吸光度をスポットクラスター平均にて求めた。表1にこの実施例の結果を示し、図1に、遊離塩素濃度(ppm)に対する吸光度のグラフを示す。
【0042】
【表2】

【0043】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱することなく、当業者によるこれらの実施形態への種々の改変や置換が可能である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態だけでなく、特許請求の範囲に入る全ての実施形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分として
a)反応性物質を含有するポリマー基材、
b)有機ポリヒドロキシ化合物、
c)会合ポリマーマトリックスを形成する試薬、及び
d)指示薬を含有する、
水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサ。
【請求項2】
特定寸法又は形状に適合するように形成することができる、請求項1記載の薄膜センサ。
【請求項3】
薄膜センサは水溶液に曝露されると膨潤又は溶解し、前記試薬を放出し、前記試薬が遊離塩素と反応できるようになる、請求項1又は請求項2記載の薄膜センサ。
【請求項4】
薄膜センサは水溶液に曝露されると膨潤し、水溶液が薄膜センサ内に拡散して前記試薬と反応するようになる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項5】
前記成分が、水素結合架橋を形成し、特定寸法又は形状を形成するのに望ましい粘度及びコンシステンシをもつ膜を形成する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項6】
定量すべき遊離塩素と反応、錯体形成又は相互作用する指示薬を放出する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項7】
遊離塩素との反応又は会合に応答して光学的特性を変化させる試薬を取込んでいる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項8】
遊離塩素との反応又は会合が、可視光の吸収、透過又は発光により検出される、請求項7記載の薄膜センサ。
【請求項9】
反応性物質を含有するポリマー基材から、ヒドロキシル基含有低分子量有機ポリヒドロキシ化合物と水素結合又は相互作用し、また可塑剤又は架橋試薬と反応するヒドロキシル基が簡単に得られる、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項10】
反応性物質を含有するポリマー基材が、ポリ(アニリン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(アルケン)、ポリ(ジエン)、ポリ(アクリル)、ポリ(メタクリル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルチオエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ハロゲン化ビニル)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(スチレン)、ポリ(アリーレン)、ポリ(オキシド)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(無水物)、ポリ(ウレタン)、ポリ(スルホネート)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(チオエステル)、ポリ(スルホン)、ポリ(スルホンアミド)、ポリ(アミド)、ポリ(ウレア)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(シラン)、ポリ(シラザン)、ポリ(ベンゾオキサゾール)、ポリ(オキサジアゾール)、ポリ(ベンゾチアジノフェノチアジン)、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ピラジノキノキサリン)、ポリ(ピロメリットイミド)、ポリ(キノキサリン)、ポリ(ベンゾイミダゾール)、ポリ(オキシインドール)、ポリ(オキソイソインドリン)、ポリ(ジオキソイソインドリン)、ポリ(トリアジン)、ポリ(ピリダジン)、ポリ(ピペラジン)、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピペリジン)、ポリ(トリアゾール)、ポリ(ピラゾール)、ポリ(ピロリジン)、ポリ(カルボラン)、ポリ(オキサビシクロノナン)、ポリ(ジベンゾフラン)、ポリ(フタリド)、ポリ(アセタール)、ポリ(無水物)、炭水化物、上記材料のモノマー成分のコポリマー及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項11】
反応性物質を含有するポリマー基材がヒドロゲルを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項12】
ヒドロゲルが、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピル−N'−アクリルアミド)、ポリ(エチレンイミン)
、ナトリウムポリ(アクリレート)、カリウムポリ(アクリレート)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロース誘導体、上記材料のモノマー成分のコポリマー及びこれらの組合せからなる群から選択される親水性ポリマーのラジカル架橋によって結びつけられている、請求項11記載の薄膜センサ。
【請求項13】
ヒドロゲルが、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート及びこれらの組合せからなる群から選択される化学薬品との化学的架橋によって結びつけられているポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)ヒドロゲルである、請求項11記載の薄膜センサ。
【請求項14】
ヒドロゲルが、ジアルデヒド、ジエポキシド、多塩基酸及びこれらの組合せからなる群から選択される化学薬品との化学的架橋によって結びつけられているセルロース誘導体である、請求項11記載の薄膜センサ。
【請求項15】
ヒドロゲルが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ(アクリルアミド−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)及びこれらの組合せからなる群から選択されるポリマーとポリ(エチレンオキシド)とのグラフトコポリマーである、請求項11記載の薄膜センサ。
【請求項16】
ヒドロゲルが、ポリ(ビニルピロリドン)−コ−ポリスチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンウレアとポリ(エチレンオキシド)との組合せ、ポリウレタンウレアとポリ(アクリロニトリル)−コ−ポリ(アクリル酸)との組合せ、ポリ(アクリロニトリル)誘導体、ポリ(ビニルアルコール)誘導体、ポリ(アクリル酸)誘導体及びこれらの組合せからなる群から選択されるグラフトコポリマーである、請求項11記載の薄膜センサ。
【請求項17】
反応性物質を含有するポリマー基材がポリマーブレンドを含む、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項18】
反応性物質を含有するポリマー基材がpHEMAである、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項19】
有機ポリヒドロキシ化合物がグリセリンである、請求項1乃至請求項18のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項20】
会合ポリマーマトリックスを形成する試薬がホウ酸である、請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項21】
指示薬がシリングアルダジンである、請求項1乃至請求項203のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項22】
薄膜センサの粘度が特定寸法又は形状にキャスト又は成形するのに望ましい流体特性又は剪断誘起流体特性を有する、請求項1乃至請求項21のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項23】
粘度が約100cps〜約5000cpsである、請求項22記載の薄膜センサ。
【請求項24】
反応性物質を含有するポリマー基材の分子量が約100〜約10000000である、請求項1乃至請求項23のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項25】
反応性物質を含有するポリマー基材の分子量が約1000〜約500000である、請求項1乃至請求項24のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項26】
有機ポリヒドロキシ化合物の含量が薄膜センサに対して約3重量%〜約20重量%である、請求項1乃至請求項25のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項27】
会合ポリマーマトリックスを形成する試薬の含量が薄膜センサに対して約3重量%〜約20重量%である、請求項1乃至請求項26のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項28】
指示薬の含量が薄膜センサに対して約0.5重量%〜約2重量%である、請求項1乃至請求項27のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項29】
有機ポリヒドロキシ化合物と会合ポリマーマトリックスを形成する試薬とが薄膜センサのバッファとして働いてpH約6〜約7にする、請求項1乃至請求項28のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項30】
厚さが約20μm未満である、請求項1乃至請求項29のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項31】
約0.1ppm〜約2.0ppmレベルの遊離塩素を検出する、請求項1乃至請求項30のいずれか1項記載の薄膜センサ。
【請求項32】
a)反応性物質を含有するポリマー基材、
b)有機ポリヒドロキシ化合物、
c)会合ポリマーマトリックスを形成する試薬、及び
d)指示薬を混合する工程を含む、
水中の遊離塩素を検出・定量する試薬含有薄膜センサの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−532477(P2010−532477A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514984(P2010−514984)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067358
【国際公開番号】WO2009/006027
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】