説明

運動時身体状態測定システム及び運動時身体状態測定装置

【課題】 利用者が自身の運動時身体状態を把握して矯正することを可能とする運動時身体状態測定システム及び運動時身体状態測定装置を提供する。
【解決手段】 利用者が歩行する床面に設置されたセンサタイル10では、複数の圧力センサにより利用者の歩行に基づく圧力が計測され、その計測値が管理装置20に出力される。管理装置20では、センサタイル10から出力された計測値に基づいて、利用者の歩行の特徴を示す歩行パラメータが算出される。歩行パラメータと標準パラメータとを比較した差分パラメータが算出される。差分パラメータに基づいて利用者の歩行状態が特定されて、その情報が携帯端末30に送信される。携帯端末30では、管理装置20から利用者の歩行状態を受信すると、その歩行状態がディスプレイ35に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の運動時の身体状態を測定する運動時身体状態測定システム及び運動時身体状態測定装置に関し、詳細には、利用者が自身の運動時の身体状態を把握して矯正することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力センサを用いて人間の運動時の身体状態を分析する各種技術が知られている。例えば、歩行に基づく2次元の圧力分布を一定時間間隔で時系列圧力分布画像として取得し、時系列圧力分布画像を時間方向に重畳して重畳画像を作成し、重畳画像から抽出した複数の足圧塊領域ごとに時系列圧力分布画像との対応付けを行い、それに基づき歩行の特徴を示すパラメータを取得するものが知られている。この歩行パターン処理装置によれば、歩行動作の空間的及び時間的パラメータを自動的かつ安定的に、被験者に負担を与えることなく取得することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、2次元圧力分布画像に現れる足圧分布領域の重心位置を、圧力センサからの2次元圧力分布像列について検出し、その重心位置の軌跡における凹凸のピーク位置を初期クラスタ中心として、2次元圧力分布画像の重畳画像における圧力値を持つ画素を、各画素の位置情報に基づいてグルーピングして、そのグルーピングした領域を足領域として出力するものが知られている。この歩行パターン処理装置によれば、人物や動物などの歩行動作における多種多様な歩行パターンに対応して、2次元圧力分布画像列から足領域を正確に抽出することができる(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平9−91437号公報
【特許文献2】特開平10−228540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術では、歩行の特徴を示すパラメータや歩行者の足領域を抽出することで、被験者の歩行パターンを正確に分析することができる。しかしながら、この歩行パターンは、足の大きさ,足の形状,歩幅,進行方向,重心位置などを定量的に示したものにすぎない。一方、被験者たる歩行者は、自分の運動時の身体状態が健康上又は外見上といった観点から、正しいのか誤っているのかを把握したい場合がある。このような場合、歩行者が自分の歩行パターンを参照しても、歩行時の足の傾き,歩行の安定性,歩行時の姿勢などといった運動時の身体状態を把握することはできなかった。
【0005】
また、運動時の身体状態が健康上又は外見上という観点から誤っている場合、歩行者がその改善方法を知りたいと思っても、従来では運動時の身体状態を改善させるようなアドバイスを提示する技術は存在せず、運動時の身体状態を改善するのが困難であった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、利用者が自身の運動時の身体状態やその変化を容易に把握することができるとともに、各利用者の運動時の身体状態に応じて適切なアドバイスを提示することができる運動時身体状態測定システム及び運動時身体状態測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の運動時身体状態測定システムは、利用者の運動時の身体状態に関して計測を行う運動時身体状態計測装置から出力される計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定装置と、該利用者の運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示装置とからなる運動時身体状態測定システムであって、前記運動時身体状態特定装置は、前記運動時身体状態計測装置から出力される計測値を取得する計測値取得手段と、前記計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態の特徴を示す運動時身体状態パラメータを算出する運動時身体状態パラメータ算出手段と、運動時の正しい身体状態での運動時身体状態の特徴を示す標準パラメータを記憶する標準パラメータ記憶手段と、前記運動時身体状態パラメータと前記標準パラメータとを比較して、両者の比較演算結果を示す比較演算パラメータを算出する比較演算パラメータ算出手段と、前記比較演算パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定手段と、前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態を前記運動時身体状態提示装置に送信する運動時身体状態送信手段とを備え、前記運動時身体状態提示装置は、前記運動時身体状態特定装置から送信された運動時身体状態を受信する運動時身体状態受信手段と、前記運動時身体状態受信手段により受信された運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の運動時身体状態測定システムは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記運動時身体状態特定装置は、前記比較演算パラメータを前記運動時身体状態提示装置に送信する比較演算パラメータ送信手段を備え、前記運動時身体状態提示装置は、前記運動時身体状態特定装置から送信された前記比較演算パラメータを受信する比較演算パラメータ受信手段と、前記利用者について少なくとも前回の運動時身体状態パラメータを記憶する履歴情報記憶手段と、前記比較演算パラメータ受信手段により受信された比較演算パラメータと、前記履歴情報記憶手段に記憶された前回の運動時身体状態パラメータとを比較して、両者の変化量を示す変化量パラメータを算出する変化量パラメータ算出手段と、前記変化量パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度を特定する状態変化度特定手段と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度を提示する状態変化度提示手段とを備えている。
【0009】
また、請求項3に係る発明の運動時身体状態測定システムは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記運動時身体状態提示装置は、前記運動時身体状態及び前記状態変化度の少なくとも1つと、前記利用者に提示すべきアドバイス情報とが対応付けられたアドバイス情報記憶手段と、前記運動時身体状態受信手段により受信された運動時身体状態と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度との少なくとも1つに基づいて、前記アドバイス情報記憶手段から前記アドバイス情報を取得するアドバイス情報取得手段と、前記アドバイス情報取得手段により取得されたアドバイス情報を提示するアドバイス情報提示手段とを備えている。
【0010】
また、請求項4に係る発明の運動時身体状態測定システムは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記標準パラメータ記憶手段は、身長及び性別に応じて複数の前記標準パラメータを記憶しており、前記比較演算パラメータ算出手段は、前記運動時身体状態パラメータと、前記利用者の身長及び性別に応じた前記標準パラメータと比較して、前記比較演算パラメータを算出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明の運動時身体状態測定システムは、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記運動時身体状態、前記状態変化度及び前記アドバイス情報は、前記利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明の運動時身体状態測定装置は、利用者の運動時の身体状態に関して計測を行う運動時身体状態計測手段と、前記運動時身体状態計測手段から出力される計測値を取得する計測値取得手段と、前記計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態の特徴を示す運動時身体状態パラメータを算出する運動時身体状態パラメータ算出手段と、運動時の正しい身体状態での運動時身体状態の特徴を示す標準パラメータを記憶する標準パラメータ記憶手段と、前記運動時身体状態パラメータと前記標準パラメータとを比較して、両者の比較演算結果を示す比較演算パラメータを算出する比較演算パラメータ算出手段と、前記比較演算パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定手段と、前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示手段とを備えている。
【0013】
また、請求項7に係る発明の運動時身体状態測定装置は、請求項6に記載の発明の構成に加え、前記利用者について少なくとも前回の運動時身体状態パラメータを記憶する履歴情報記憶手段と、前記比較演算パラメータ受信手段により受信された比較演算パラメータと、前記履歴情報記憶手段に記憶された前回の運動時身体状態パラメータとを比較して、両者の変化量を示す変化量パラメータを算出する変化量パラメータ算出手段と、前記変化量パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度を特定する状態変化度特定手段と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度を提示する状態変化度提示手段とを備えている。
【0014】
また、請求項8に係る発明の運動時身体状態測定装置は、請求項7に記載の発明の構成に加え、前記運動時身体状態及び前記状態変化度の少なくとも1つと、前記利用者に提示すべきアドバイス情報とが対応付けられたアドバイス情報記憶手段と、前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度との少なくとも1つに基づいて、前記アドバイス情報記憶手段から前記アドバイス情報を取得するアドバイス情報取得手段と、前記アドバイス情報取得手段により取得されたアドバイス情報を提示するアドバイス情報提示手段とを備えている。
【0015】
また、請求項9に係る発明の運動時身体状態測定装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記標準パラメータ記憶手段は、身長及び性別に応じて複数の前記標準パラメータを記憶しており、前記比較演算パラメータ算出手段は、前記運動時身体状態パラメータと、前記利用者の身長及び性別に応じた前記標準パラメータと比較して、前記比較演算パラメータを算出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に係る発明の運動時身体状態測定装置は、請求項6乃至9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記運動時身体状態、前記状態変化度及び前記アドバイス情報は、前記利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の運動時身体状態測定システムでは、運動時身体状態特定装置において、比較演算パラメータに基づいて利用者の運動時身体状態が特定されて、運動時身体状態提示装置において、その運動時身体状態が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態を的確に把握することができる。
【0018】
また、請求項2に係る発明の運動時身体状態測定システムでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、運動時身体状態提示装置において、変化量パラメータに基づいて利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度が特定されて、その状態変化度が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態の変化を的確に把握することができる。
【0019】
また、請求項3に係る発明の運動時身体状態測定システムでは、請求項2に記載の発明の効果に加え、運動時身体状態提示装置において、利用者の運動時身体状態や状態変化度に基づいてアドバイス情報が特定されて、そのアドバイス情報が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態に応じたアドバイスを受けることができ、このアドバイスに従って運動時身体状態を矯正することができる。
【0020】
また、請求項4に係る発明の運動時身体状態測定システムでは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、利用者の身長及び性別に応じた標準パラメータを用いて、運動時身体状態パラメータとの比較結果である比較演算パラメータが算出される。よって、利用者の身長及び性別に応じて、最適な標準パラメータが用いられるため、より正確に利用者の運動時身体状態などを特定することができる。
【0021】
また、請求項5に係る発明の運動時身体状態測定システムでは、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加え、運動時身体状態、状態変化度及びアドバイス情報は、その利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものである。よって、利用者は自身の運動時身体状態などを正確に理解することができ、その運動時身体状態を確実に矯正することができる。
【0022】
また、請求項6に係る発明の運動時身体状態測定装置では、比較演算パラメータに基づいて利用者の運動時身体状態が特定されて、その運動時身体状態が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態を的確に把握することができる。
【0023】
また、請求項7に係る発明の運動時身体状態測定装置では、請求項6に記載の発明の効果に加え、変化量パラメータに基づいて利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度が特定されて、その状態変化度が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態の変化を的確に把握することができる。
【0024】
また、請求項8に係る発明の運動時身体状態測定装置では、請求項7に記載の発明の効果に加え、利用者の運動時身体状態や状態変化度に基づいてアドバイス情報が特定されて、そのアドバイス情報が利用者に提示される。よって、利用者は自身の運動時身体状態に応じたアドバイスを受けることができ、このアドバイスに従って運動時身体状態を矯正することができる。
【0025】
また、請求項9に係る発明の運動時身体状態測定装置では、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明の効果に加え、利用者の身長及び性別に応じた標準パラメータを用いて、運動時身体状態パラメータとの比較結果である比較演算パラメータが算出される。よって、利用者の身長及び性別に応じて、最適な標準パラメータが用いられるため、より正確に利用者の運動時身体状態などを特定することができる。
【0026】
また、請求項10に係る発明の運動時身体状態測定装置では、請求項6乃至9のいずれかに記載の発明の効果に加え、運動時身体状態、状態変化度及びアドバイス情報は、その利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものである。よって、利用者は自身の運動時身体状態などを正確に理解することができ、その運動時身体状態を確実に矯正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態では、「利用者の運動時の身体状態」として利用者の歩行状態を特定及び提示等する歩行状態測定システム1を例示する。歩行状態測定システム1は、複数のセンサタイル10から出力される計測値に基づいて利用者の歩行状態を特定する管理装置20と、管理装置20で特定された歩行状態をその利用者に提示する携帯端末30とで構成される。
【0028】
まず、本実施形態に係る歩行状態測定システム1の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、歩行状態測定システム1についての全体構成図である。図2は、センサタイル10を説明するための平面図である。図3は、歩行状態測定システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の歩行状態測定システム1では、被験者となる利用者が歩行する床面に、利用者の足底からの圧力を計測する複数のセンサタイル10が設置されている。複数のセンサタイル10は管理装置20と接続されており、利用者が複数のセンサタイル10上を歩行するのに応じて、各センサタイル10における計測値が管理装置20に出力される。
【0030】
管理装置20は、各センサタイル10と有線で接続され、かつ各携帯端末30と無線により接続可能なコンピュータ機器である。管理装置20では、各センサタイル10から出力される計測値に基づいて利用者の歩行状態が特定されて、その歩行状態が携帯端末30に送信される。なお、本実施形態では、携帯端末30がセンサタイル10及びその近傍に存在している場合にのみ、その携帯端末30との間で無線通信が実行されるような位置に、管理装置20が設置されているものとする。
【0031】
携帯端末30は、利用者が携帯可能な小型かつ軽量の筐体をなし、管理装置20と無線通信により接続可能なコンピュータ機器である。携帯端末30では、受信した歩行状態が音声又は画像によって出力される。よって、利用者は携帯端末30を参照することで、自分の歩行状態を把握することができる。なお、本実施形態では、利用者は携帯端末30を携帯しながらセンサタイル10上を歩行しているものとする。
【0032】
図2に示すように、センサタイル10は、板状の基板10bに複数の圧力センサ10aが配置された構成をなし、利用者がセンサタイル10上を歩行すると、その利用者の足底により複数の圧力センサ10aが押圧される。そして、各圧力センサ10aで計測された結果(計測値)が、タイル状センサ10に設けられたデータ出力部(図示外)を介して、外部の管理装置20に一定時間間隔で出力される。また、センサタイル10に設けられた記憶領域(図示外)には、各圧力センサ10aに固有のセンサIDが記憶されており、このセンサIDも計測値とともに管理装置20に出力される。なお、本実施形態のセンサタイル10は一辺が30cmの平面視正方形の薄板状をなし、利用者が歩行する床面には複数のセンサタイル10が密接して設置されているものとする(図1参照)。
【0033】
図3に示すように、歩行状態測定システム1は、センサタイル10,管理装置20,携帯端末30が電気的に接続された構成をなす。
【0034】
まず、管理装置20では、管理装置20の制御を司るCPU21と、各種データを一時的に記憶するRAM22と、BIOS等を記憶したROM23と、外部のRFIDタグとの間で無線通信を実行するRFIDタグリーダ26と、管理装置20を操作するための入力装置27とに加え、ハードディスク装置(以下、HDDとよぶ)24,CD−ROMドライブ25,I/Oインタフェイス28,通信インタフェイス29が、バスを介して相互に接続されている。
【0035】
HDD24には、CPU21で実行される制御プログラム(後述の「管理装置のメイン処理」(図4参照)を実行するためのプログラムを含む)や、後述のセンサ位置テーブル100(図6参照)及び標準パラメータデータベース200(図8参照)など、各種情報が記憶されている。また、CD−ROMドライブ25に挿入されるCD−ROMには、管理装置20の制御プログラムが記憶されており、導入時に制御プログラムがCD−ROMからHDD24にセットアップされて記憶される。
【0036】
そして、センサタイル10のデータ出力部(図示外)がI/Oインタフェイス28と接続されており、センサタイル10から計測値が出力されると管理装置20に入力される。また、通信インタフェイス29が、携帯端末30とデータ通信するための有線又は無線のネットワークに接続されており、管理装置20から各種情報を携帯端末30に送信可能となっている。
【0037】
次に、携帯端末30では、携帯端末30の制御を司るCPU31と、各種データを一時的に記憶するRAM32と、BIOS等を記憶したROM33と、各種データを表示するディスプレイ35と、各種データを音声出力するスピーカ36と、利用者が携帯端末30を操作するための入力装置37とに加え、HDD34,通信インタフェイス39が、バスを介して相互に接続されている。
【0038】
HDD34には、CPU31で実行される制御プログラム(後述の「携帯端末のメイン処理」(図10参照)を実行するためのプログラムを含む)や、後述の履歴情報データベース300(図12参照)及びアドバイス情報データベース400(図16〜図19参照)、標準パラメータデータベース200から読み込まれた利用者の標準パラメータレコードなど、各種情報が記憶されている。
【0039】
そして、通信インタフェイス39が、管理装置20とデータ通信するための有線又は無線のネットワークに接続されており、管理装置20から送信された各種情報を受信可能となっている。なお、本実施形態では、通信インタフェイス29,39はそれぞれ図示しないアンテナを介して無線通信で接続される。
【0040】
また、携帯端末30には、外部のRFIDタグリーダとの間で無線通信を実行するRFIDタグ38が内蔵されている。RFIDタグ38には、携帯端末30に固有のID情報が記憶されており、RFIDタグリーダ26によってID情報が読み取り可能である。このような構成により、管理装置20では、RFIDタグ38に記憶されるID情報を取得することで、携帯端末30を保有する利用者を特定することができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る歩行状態測定システム1で実行される処理の流れを、管理装置20における処理と、携帯端末30における処理とに分けて説明する。
【0042】
まず、管理装置20で実行される処理について、図4乃至図9を参照して説明する。図4は、管理装置20のメイン処理を示すフローチャートである。図5は、床圧力分布入力処理(S1)の詳細を示すフローチャートである。図6は、センサ位置テーブル100のデータ構成を示す図である。図7は、差分パラメータ算出処理(S4)の詳細を示すフローチャートである。図8は、標準パラメータデータベース200のデータ構成を示す図である。図9は、歩行状態特定処理(S5)の詳細を示すフローチャートである。なお、管理装置20におけるメイン処理(図4)は、管理装置20に電源が投入され、センサタイル10上を歩行する利用者について歩行状態の測定が開始されると、HDD24に記憶された制御プログラムに基づいてCPU21により実行される。
【0043】
図4に示すように、管理装置20のメイン処理では、まず各センサタイル10(圧力センサ10a)から出力された複数の計測値に基づいて圧力分布図を作成する床圧力分布入力処理(S1)が実行される。
【0044】
図5に示すように、床圧力分布入力処理(S1)では、各センサタイル10に具備された複数の圧力センサ10aから出力されたセンサID及び計測値が取得される(S11)。そして、HDD24に記憶されたセンサ位置テーブル100を参照し、各圧力センサ10aのセンサ位置が取得される(S13)。
【0045】
図6に示すように、センサ位置テーブル100は、各圧力センサ10aのセンサIDと配置場所(センサ位置)とが対応付けて記憶されている。例えば、S11において計測値とともにセンサID「1」が取得された場合は、S13において当該圧力センサ10aの配置場所としてセンサ位置(1,1)が取得される。
【0046】
一方、S11で取得された計測値のうち、S13でセンサ位置が取得できなかったものについては、そのセンサ位置を計測値から補間することで、圧力分布図を作成する(S15)。この補間方法の一例を説明すると、まず補間すべき圧力センサ10aのセンサ位置(計測値を特定できなかったセンサ位置)である補間点を中心として、圧力分布図の範囲を4つに分割する。次に、各分割された範囲ごとに補間点に一番近い圧力センサ10aの計測値を特定し、この4つの計測値について補間点までの距離の逆数を重みとした平均値を算出する。なお、条件に合う4つの計測値が存在しない場合は、条件に合う計測値のみで平均値を算出すればよい。そして、この平均値が、補間点に存在する圧力センサ10aによって計測されるべき計測値として設定される。
【0047】
このように、図5に示す床圧力分布入力処理(S1)では、複数の圧力センサ10aのセンサID及び計測値に基づいて、各圧力センサ10aの配置場所(センサ位置)に対応して各計測値が分布された圧力分布図が、一定時間間隔で作成される。
【0048】
メイン処理(図4)に戻り、利用者の歩行の特徴を示す歩行パラメータを算出する歩行パラメータ算出処理が実行される(S2)。以下、歩行パラメータを算出する方法の一例を説明する。まず、床圧力分布入力処理(S1)において一定時間間隔で作成された圧力分布図を時系列圧力分布画像として取得する。次に、この時系列圧力分布画像を時間方向に重畳して重畳画像を作成する。次に、この重畳画像から複数の足圧塊領域を抽出する。次に、この複数の足圧塊領域ごとに時系列圧力分布画像との対応付けを行う。そして、この対応付けに基づいて、歩行の特徴を示す歩行パラメータを取得する。なお、このような歩行パラメータの算出手法は公知技術であるから、詳細は省略する(例えば、特開平9−91437号公報、特開平10−228540号公報などを参照)。
【0049】
ところで、歩行パラメータ算出処理(S2)で取得される歩行パラメータは、「足角」,「同時接地時間」,「重心位置」,「重心移動変動係数」などのパラメータ項目ごとに、利用者の歩行の特徴を数値的に表現したデータである。「足角」は、進行方向に対して、踵とつま先とを結ぶ直線が傾斜する角度を示す項目である。「同時接地時間」は、歩行中に両足がともに接地する時間間隔を示す項目である。「重心位置」は、圧力センサ10aによる計測値が最も大きい重心の位置を示す項目である。「重心移動変動係数」は、歩行中に重心位置が変動する割合の大きさを示す項目である。
【0050】
次に、携帯端末30からID情報を読み取って、利用者の個人情報を取得する個人情報取得処理が実行される(S3)。すなわち、センサタイル10上を歩行する利用者が存在する場合、その利用者が携行する携帯端末30のRFIDタグ38とRF送受信を実行して、そのRFIDタグ38内のID情報をRFIDタグリーダ26を介して読み取る。そして、このID情報に基づいてHDD24内の利用者情報データベース(図示外)を参照し、当該ID情報に対応する利用者の個人情報が取得される。本実施形態では、S3で取得される個人情報は、利用者の「身長」及び「性別」を示すデータであるものとする。
【0051】
次に、歩行パラメータと標準パラメータとを比較して、両者の差分を示す差分パラメータを算出する差分パラメータ算出処理が実行される(S4)。
【0052】
図7に示すように、差分パラメータ算出処理(S4)では、まず標準パラメータデータベース200が開かれ(S21)、個人情報取得処理(S3)で取得された「身長」及び「性別」をキーにして標準パラメータデータベース200が検索され、その「身長」及び「性別」に応じた標準パラメータが読み込まれる(S23)。
【0053】
図8に示すように、標準パラメータデータベース200は、利用者の個人情報(ここでは、「身長」及び「性別」)に対応して、理想的な正しい歩行状態での歩行パラメータが標準パラメータとして複数定義されている。例えば、個人情報取得処理(S3)において、利用者の「身長」が150cm、「性別」が女性であることが特定された場合、S23では「足角」=0°,「同時接地時間」=0.3s,「重心位置」=18cm,「重心移動変動係数」=0.009を示す標準パラメータが取得される(図8参照)。
【0054】
次に、S3で取得された歩行パラメータの「足角」(以下、「足角」歩行パラメータ)から、S23で取得された標準パラメータの「足角」(以下、「足角」標準パラメータ)を減算して、差分パラメータX11とする(S25)。「同時接地時間」歩行パラメータを「同時接地時間」標準パラメータで除算して、差分パラメータX12とする(S27)。「重心位置」歩行パラメータを「重心位置」標準パラメータで除算して、差分パラメータX13とする(S29)。「重心移動変動係数」歩行パラメータから「重心移動変動係数」標準パラメータを減算して、差分パラメータX14とする(S31)。最後に、差分パラメータX11,X12,X13,X14を、メイン処理(図4)に返す(S33)。
【0055】
このように、図7に示す差分パラメータ算出処理(S4)では、S3で取得された個人情報に応じて最適な標準パラメータを取得し、S2で取得された歩行パラメータとこの標準パラメータを比較することで、差分パラメータX11,X12,X13,X14が算出される。
【0056】
メイン処理(図4)に戻り、差分パラメータに基づいて利用者の歩行状態を特定する歩行状態特定処理が実行される(S5)。
【0057】
図9に示すように、歩行状態特定処理(S5)では、まず「足角」に関する差分パラメータX11に基づいて、歩行状態angleが設定される。すなわち、差分パラメータX11が5よりも大きい場合(S41:YES)、歩行状態angle=「内股」が設定される(S43)。差分パラメータX11が−5よりも小さい場合(S41:NO,S45:YES)、歩行状態angle=「外股」が設定される(S47)。差分パラメータX11が−5以上かつ5以下である場合(S41:NO,S45:NO)、歩行状態angle=「正しい」が設定される(S49)。
【0058】
次に、「同時接地時間」に関する差分パラメータX12に基づいて、歩行状態lineが設定される。すなわち、差分パラメータX12が1.2よりも大きい場合(S51:YES)、歩行状態line=「足を引きずっている」が設定される(S53)。差分パラメータX12が1.2以下である場合(S51:NO)、歩行状態line=「正しい」が設定される(S55)。
【0059】
次に、「重心位置」に関する時間差分パラメータX13に基づいて、歩行状態postureが設定される。すなわち、差分パラメータX13が1.2よりも大きい場合(S57:YES)、歩行状態posture=「重心が後ろ」が設定される(S59)。差分パラメータX13が0.8よりも小さい場合(S57:NO,S61:YES)、歩行状態posture=「重心が前」が設定される(S63)。差分パラメータX13が0.8以上かつ1.2以下である場合(S57:NO,S61:NO)、歩行状態posture=「正しい」が設定される(S65)。
【0060】
次に、「重心移動変動係数」に関する差分パラメータX14に基づいて、歩行状態variationが設定される。すなわち、差分パラメータX14が0.001よりも大きい場合(S67:YES)、歩行状態variation=「歩行不安定」が設定される(S69)。差分パラメータX14が0.001以下である場合(S67:NO)、歩行状態variation=「歩行安定」が設定される(S71)。
【0061】
最後に、歩行状態angle,line,posture,variationを、メイン処理(図4)に返す(S73)。
【0062】
このように、図9に示す歩行状態特定処理(S5)では、S4で算出された差分パラメータX11,X12,X13,X14に基づいて、利用者の歩行状態angle,line,posture,variationが、S4で新たな差分パラメータが算出されるごとに特定される。
【0063】
メイン処理(図4)に戻り、歩行パラメータ算出処理(S2)で算出された歩行パラメータと、歩行状態特定処理(S5)で取得された歩行状態とを、通信インタフェイス29を介して携帯端末30へ無線送信するデータ送信処理が実行される(S6)。その後、S1へ戻り、少なくとも利用者がセンサタイル10上を歩行している間は、メイン処理(図4)が繰り返し実行される。
【0064】
次に、携帯端末30で実行される処理について、図10乃至図20を参照して説明する。図10は、携帯端末30のメイン処理を示すフローチャートである。図11は、変化量パラメータ算出処理(S102)の詳細を示すフローチャートである。図12は、履歴情報データベース300のデータ構成を示す図である。図13及び図14は、状態変化度特定処理(S103)の詳細を示すフローチャートである。図15は、アドバイス情報特定処理(S104)の詳細を示すフローチャートである。図16乃至図19は、アドバイス情報データベース400のデータ構成を示す図である。図20は、ディスプレイ35への表示態様の一例を示す図である。なお、携帯端末30におけるメイン処理(図10)は、携帯端末30に電源が投入され、センサタイル10上を歩行する利用者について歩行状態の測定が開始されると、HDD34に記憶された制御プログラムに基づいてCPU31により実行される。
【0065】
図10に示すように、携帯端末30のメイン処理では、まず管理装置20から無線送信された歩行状態及び歩行パラメータを、通信インタフェイス39を介して受信するデータ受信処理が実行される(S101)。そして、S101で受信した歩行パラメータと前回の歩行パラメータとを比較して、両者の差分を示す変化量パラメータを算出する変化量パラメータ算出処理が実行される(S102)。
【0066】
図11に示すように、変化量パラメータ算出処理(S102)では、まず履歴情報データベース300が開かれ(S111)、前回の歩行パラメータ(以下、前回パラメータという)が読み込まれる(S113)。また、S23で標準パラメータデータベース200から取得された利用者の標準パラメータが読み込まれる(S114)。
【0067】
図12に示すように、履歴情報データベース300には、管理装置20で作成された利用者に関する歩行パラメータ及び歩行状態が履歴として複数記憶されているが、少なくとも前回分の歩行パラメータ及び歩行状態が記憶されていればよい。なお、履歴情報データベース300に記憶されている歩行パラメータ及び歩行状態は、管理装置20から送信された歩行パラメータ及び歩行状態と同様に、「足角」,「同時接地時間」,「重心位置」,「重心移動変動係数」に関するデータ項目を備えている。
【0068】
次に、S101で受信された歩行パラメータの「足角」(以下、「足角」歩行パラメータ)から、S113で取得された前回パラメータの「足角」(以下、「足角」前回パラメータ)を減算したものを、変化量パラメータX21とする(S115)。「同時接地時間」歩行パラメータから「同時接地時間」前回パラメータを減算したものを、S114で取得された利用者の標準パラメータの同時接地時間(以下、「同時接地時間」標準パラメータ)で除算して、変化量パラメータX22とする(S117)。「重心位置」歩行パラメータから「重心位置」前回パラメータを減算したものを、「重心位置」標準パラメータで除算して、変化量パラメータX23とする(S119)。「重心移動変動係数」歩行パラメータから「重心移動変動係数」前回パラメータを減算したものを、変化量パラメータX24とする(S121)。最後に、変化量パラメータX21,X22,X23,X24を、メイン処理(図10)に返す(S123)。
【0069】
このように、図11に示す変化量パラメータ算出処理(S102)では、管理装置20から送信された歩行パラメータと、履歴情報データベース300に記憶される前回パラメータとを比較することで、変化量パラメータX21,X22,X23,X24が新たな歩行パラメータを受信するごとに算出される。
【0070】
メイン処理(図10)に戻り、変化量パラメータに基づいて利用者の歩行状態の変化度を示す状態変化度を特定する状態変化度特定処理が実行される(S103)。
【0071】
図13及び図14に示すように、状態変化度特定処理(S103)では、まず「足角」に関する変化量パラメータX21に基づいて、状態変化度angle_changeが設定される。
【0072】
変化量パラメータX21が0以上である場合(S131:YES)、歩行状態angleは前回と比べて改善していることを示す。よって、変化量パラメータX21が10よりも大きければ(S133:YES)、状態変化度angle_change=「大いに改善」が設定される(S135)。変化量パラメータX21が5より大かつ10以下であれば(S133:NO,S137:YES)、状態変化度angle_change=「改善」が設定される(S139)。変化量パラメータX21が0以上かつ5以下であれば(S133:NO,S137:NO)、状態変化度angle_change=「微量に改善」が設定される(S141)。
【0073】
一方、変化量パラメータX21が0未満である場合(S131:NO)、歩行状態angleは前回と比べて悪化していることを示す。よって、変化量パラメータX21が−10未満であれば(S143:YES)、状態変化度angle_change=「大いに悪化」が設定される(S145)。変化量パラメータX21が−10以上かつ−5未満であれば(S143:NO,S147:YES)、状態変化度angle_change=「悪化」が設定される(S149)。変化量パラメータX21が−5以上かつ0未満であれば(S143:NO,S147:NO)、状態変化度angle_change=「微量に悪化」が設定される(S151)。
【0074】
次に、「同時接地時間」に関する変化量パラメータX22に基づいて、状態変化度line_changeが設定される。
【0075】
変化量パラメータX22が0以上である場合(S153:YES)、歩行状態lineは前回と比べて改善していることを示す。よって、変化量パラメータX22が0.2よりも大きければ(S155:YES)、状態変化度line_change=「大いに改善」が設定される(S157)。変化量パラメータX22が0.05より大かつ0.2以下であれば(S155:NO,S159:YES)、状態変化度line_change=「改善」が設定される(S161)。変化量パラメータX22が0以上かつ0.05以下であれば(S155:NO,S159:NO)、状態変化度line_change=「微量に改善」が設定される(S163)。
【0076】
一方、変化量パラメータX22が0未満である場合(S153:NO)、歩行状態lineは前回と比べて悪化していることを示す。よって、変化量パラメータX22が−0.2未満であれば(S165:YES)、状態変化度line_change=「大いに悪化」が設定される(S167)。変化量パラメータX22が−0.2以上かつ−0.05未満であれば(S165:NO,S169:YES)、状態変化度line_change=「悪化」が設定される(S171)。変化量パラメータX22が−0.05以上かつ0未満であれば(S165:NO,S169:NO)、状態変化度line_change=「微量に悪化」が設定される(S173)。
【0077】
次に、「重心位置」に関する変化量パラメータX23に基づいて、状態変化度posture_changeが設定される。
【0078】
変化量パラメータX23が0以上である場合(S175:YES)、歩行状態postureは前回と比べて改善していることを示す。よって、変化量パラメータX23が0.2よりも大きければ(S177:YES)、状態変化度posture_change=「大いに改善」が設定される(S179)。変化量パラメータX23が0.05より大かつ0.2以下であれば(S177:NO,S181:YES)、状態変化度posture_change=「改善」が設定される(S183)。変化量パラメータX23が0以上かつ0.05以下であれば(S177:NO,S181:NO)、状態変化度posture_change=「微量に改善」が設定される(S185)。
【0079】
一方、変化量パラメータX23が0未満である場合(S175:NO)、歩行状態postureは前回と比べて悪化していることを示す。よって、変化量パラメータX23が−0.2未満であれば(S187:YES)、状態変化度posture_change=「大いに悪化」が設定される(S189)。変化量パラメータX23が−0.2以上かつ−0.05未満であれば(S187:NO,S191:YES)、状態変化度posture_change=「悪化」が設定される(S193)。変化量パラメータX23が−0.05以上かつ0未満であれば(S187:NO,S191:NO)、状態変化度posture_change=「微量に悪化」が設定される(S195)。
【0080】
次に、「重心位置変動係数」に関する変化量パラメータX24に基づいて、状態変化度variation_changeが設定される。
【0081】
変化量パラメータX24が0以上である場合(S197:YES)、歩行状態variationは前回と比べて改善していることを示す。よって、変化量パラメータX24が0.001よりも大きければ(S199:YES)、状態変化度variation_change=「大いに改善」が設定される(S201)。変化量パラメータX24が0.0001より大かつ0.001以下であれば(S199:NO,S203:YES)、状態変化度variation_change=「改善」が設定される(S205)。変化量パラメータX24が0以上かつ0.0001以下であれば(S199:NO,S203:NO)、状態変化度variation_change=「微量に改善」が設定される(S207)。
【0082】
一方、変化量パラメータX24が0未満である場合(S197:NO)、歩行状態variationは前回と比べて悪化していることを示す。よって、変化量パラメータX24が−0.001未満であれば(S209:YES)、状態変化度variation_change=「大いに悪化」が設定される(S211)。変化量パラメータX24が−0.001以上かつ−0.0001未満であれば(S209:NO,S213:YES)、状態変化度variation_change=「悪化」が設定される(S215)。変化量パラメータX24が−0.0001以上かつ0未満であれば(S209:NO,S213:NO)、状態変化度variation_change=「微量に悪化」が設定される(S217)。
【0083】
最後に、状態変化度angle_change,line_change,posture_change,variation_changeを、メイン処理(図10)に返す(S219)。
【0084】
このように、図13及び図14に示す状態変化度特定処理(S103)では、S102で算出された変化量パラメータX21,X22,X23,X24に基づいて、利用者の状態変化度angle_change,line_change,posture_change,variation_changeが、S102で新たな差分パラメータが算出されるごとに特定される。
【0085】
メイン処理(図10)に戻り、利用者の歩行状態及び状態変化度に基づいてアドバイス情報を特定するアドバイス情報特定処理が実行される(S104)。
【0086】
図15に示すように、アドバイス情報特定処理(S104)では、まずS101において受信した今回の歩行状態が読み込まれ(S301)、履歴情報データベース300に記憶されている前回の歩行状態が読み込まれ(S303)、S103において特定された状態変化度が読み込まれる(S305)。そして、これらの今回の歩行状態,前回の歩行状態,状態変化度をキーに、アドバイス情報データベース400からアドバイス情報が読み込まれ(S307)、アドバイス情報をメイン処理(図10)に返す(S309)。
【0087】
図16乃至図19に示すように、アドバイス情報データベース400は、「足角」,「同時接地時間」,「重心位置」,「重心移動変動係数」に関するデータ項目ごとに、今回の歩行状態,前回の歩行状態,状態変化度の組合せがアドバイス情報と対応付けられた複数のアドバイス定義テーブル401〜404によって構成されている。すなわち、各アドバイス定義テーブル401〜404では、キーとなる今回の歩行状態,前回の歩行状態,状態変化度の組合せによって1つのアドバイス情報を特定することができる。各アドバイス情報は、その内容を図柄で表わした「表示」と、その内容を文字で表した「アドバイス」という項目で構成されている。
【0088】
例えば、今回の歩行状態angle=「内股」,前回の歩行状態angle=「内股」であった場合、「足角」に関する複数のアドバイス定義テーブル401のうちで、図16に示すものが特定される。そして、状態変化度angle_change=「大いに悪化」である場合は、利用者に提示すべき「足角」に関するアドバイス情報として、警告を意味する赤色で内股を示す「表示」と、足を進行方向に向けて歩くという「アドバイス」が特定されることになる。
【0089】
同様にして、今回の歩行状態line,前回の歩行状態line,状態変化度line_changeをキーに、「同時接地時間」に関する複数のアドバイス定義テーブル402(図17参照)から、「同時接地時間」に関するアドバイス情報が特定される。また、今回の歩行状態posture,前回の歩行状態posture,状態変化度posture_changeをキーに、「重心位置」に関する複数のアドバイス定義テーブル403(図18参照)から、「重心位置」に関するアドバイス情報が特定される。また、今回の歩行状態variation,前回の歩行状態variation,状態変化度variation_changeをキーに、「重心位置変動係数」に関する複数のアドバイス定義テーブル404(図19参照)から、「重心位置変動係数」に関するアドバイス情報が特定される。
【0090】
このように、図15に示すアドバイス情報特定処理(S104)では、S101において受信された歩行状態、履歴情報データベース300に記憶された前回の歩行状態及びS103で特定された状態変化度に基づいて、最適なアドバイス情報が特定される。
【0091】
メイン処理(図10)に戻り、歩行状態,状態変化度,アドバイス情報をディスプレイ35において表示させる(S105)。その結果、ディスプレイ35には、図20に示すように、携帯端末30を携行する利用者の歩行状態及び状態変化度と、それに対するアドバイス情報が項目別に表示される。よって、携帯端末30の利用者は、自分の歩行状態やその変化を容易に把握することができ、またアドバイスに従って自分の歩行状態を矯正することができる。なお、S105において、ディスプレイ35への表示に代えて、またはディスプレイ35への表示とともに、歩行状態,状態変化度,アドバイス情報をスピーカ36から音声出力するようにしてもよい。
【0092】
最後に、S101において受信した歩行パラメータ及び歩行状態を、履歴情報データベース300に登録する(S106)。そして、この履歴情報データベース300に登録された最新の歩行パラメータ及び歩行状態が、次回の処理時では、前回の歩行パラメータ及び歩行状態として利用されることになる。その後、S101に戻り、管理装置20から新たな歩行パラメータ及び歩行状態を受信するのを契機として、上記のS101〜S106の処理が繰り返し実行される。
【0093】
以上、本実施形態の歩行状態測定システム1によれば、センサタイル10上を歩行した利用者は、携帯端末3を参照することで、自身の歩行状態(歩行時の足の傾き,歩行の安定性,歩行時の姿勢など)や、歩行状態の変化(例えば、改善したか悪化したかなど)を的確に把握することができる。また、利用者は自身の歩行状態に応じたアドバイスを受けることができ、このアドバイスに従って歩行状態を矯正することができる。
【0094】
また、差分パラメータ算出処理(S4)では、利用者の身長及び性別に応じて異なる標準パラメータを用いられて、歩行パラメータとの比較結果である差分パラメータが算出されるので、より正確に利用者の歩行状態などを特定することができる。さらに、歩行状態、歩行状態の変化及びアドバイス情報は、「足の傾き」、「足の引きずり」、「体の重心位置」、「歩行の安定性」という、一般の利用者でも容易に理解できる項目に関するものであるので、利用者は自身の歩行状態などを正確に把握することができ、その歩行状態を確実に矯正することができる。
【0095】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係る歩行状態測定装置40は、複数のセンサタイル10から出力される計測値に基づいて利用者の歩行状態を特定し、その歩行状態を利用者に提示するコンピュータ機器である。すなわち、歩行状態測定装置40は、第1の実施の形態における管理装置20及び携帯端末30の機能を具備している。
【0096】
まず、本実施形態に係る歩行状態測定装置40の構成について、図21を参照して説明する。図21は、歩行状態測定装置40の電気的構成を示すブロック図である。
【0097】
図21に示すように、歩行状態測定装置40では、歩行状態測定装置40の制御を司るCPU41と、各種データを一時的に記憶するRAM42と、BIOS等を記憶したROM43と、各種データを表示するディスプレイ46と、歩行状態測定装置40を操作するための入力装置47と、各種データを音声出力するスピーカ49とに加え、HDD44,CD−ROMドライブ45,I/Oインタフェイス48が、バスを介して相互に接続されている。
【0098】
HDD44には、CPU41で実行される制御プログラム(後述の「歩行状態測定装置のメイン処理」(図22参照)を実行するためのプログラムを含む)や、先述のセンサ位置テーブル100,標準パラメータデータベース200,履歴情報データベース300,アドバイス情報データベース400など、各種情報が記憶されている。そして、センサタイル10のデータ出力部(図示外)がI/Oインタフェイス48と接続されており、センサタイル10から計測値が出力されると歩行状態測定装置40に入力される。
【0099】
次に、本実施形態に係る歩行状態測定装置40で実行される処理の流れを、図22を参照して説明する。図22は、歩行状態測定装置40のメイン処理を示すフローチャートである。
【0100】
図22に示すように、歩行状態測定装置40のメイン処理では、管理装置20のメイン処理(図4)のS1〜S5と同様に、床圧力分布入力処理(S401),歩行パラメータ算出処理(S402),個人情報取得処理(S403),差分パラメータ算出処理(S404),歩行状態特定処理(S405)が実行される。
【0101】
本実施形態の歩行状態測定装置40はRFIDリーダ26を具備しておらず、また利用者は携帯端末30(RFIDタグ38)を携行していないため、以下のようにして利用者の個人情報が取得される。まず、利用者がセンサタイル10を歩行する前に、入力装置47を用いて自身のID情報を歩行状態測定装置40に入力する。すると、個人情報取得処理(S403)では、利用者により入力されたID情報に基づいてHDD44内の利用者情報データベース(図示外)を参照して、当該ID情報に対応する利用者の個人情報(「身長」及び「性別」)が取得される。
【0102】
次に、携帯端末30のメイン処理(図10)のS102〜S106と同様に、変化量パラメータ算出処理(S406),状態変化度特定処理(S407),アドバイス情報特定処理処理(S408),歩行状態等の表示(S409),歩行パラメータ及び歩行状態を履歴情報データベースに保存(S410)が実行される。その後、S401に戻り、利用者の歩行状態の測定が終了されるまで、S401〜S410が繰り返し実行される。
【0103】
ところで、第1の実施の形態では、各携帯端末30の履歴情報データベース300に、当該携帯端末30の利用者のみの履歴情報が記憶されていた。しかし、本実施形態の歩行状態測定装置40は複数の利用者によって用いられるため、履歴情報データベース300には各利用者の履歴情報がID情報と対応付けて保存されている。そして、変化量パラメータ算出処理(S406)やアドバイス情報特定処理(S408)では、利用者により入力されたID情報に基づいて、履歴情報データベース300から各利用者の履歴情報が読み出されて、第1の実施の形態と同様に処理される。また、S410では、各利用者の歩行パラメータ及び歩行状態がID情報ごとに履歴情報として記憶される。
【0104】
以上、本実施形態の歩行状態測定装置40によれば、センサタイル10上を歩行した利用者は、固有の携帯端末などを有していなくても、歩行状態測定装置40を参照することで、自身の歩行状態(歩行時の足の傾き,歩行の安定性,歩行時の姿勢など)や、歩行状態の変化(例えば、改善したか悪化したかなど)を的確に把握することができる。また、利用者は自身の歩行状態に応じたアドバイスを受けることができ、このアドバイスに従って歩行状態を矯正することができる。
【0105】
ところで、上記第1及び第2の実施の形態において、センサタイル10が本発明の「運動時身体状態計測装置」及び「運動時身体状態計測手段」に相当し、管理装置20が本発明の「運動時身体状態特定装置」に相当し、携帯端末30が本発明の「運動時身体状態提示装置」に相当する。
【0106】
そして、床圧力分布入力処理(S1,S401)を実行するCPU21,41が本発明の「計測値取得手段」に相当し、歩行パラメータ算出処理(S2,S402)を実行するCPU21,41が本発明の「運動時身体状態パラメータ算出手段」に相当し、標準パラメータデータベース200が本発明の「標準パラメータ記憶手段」に相当し、差分パラメータ算出処理(S4,S404)を実行するCPU21,41が本発明の「比較演算パラメータ算出手段」に相当し、運動時身体状態特定処理(S5,S405)を実行するCPU21,41が本発明の「運動時身体状態特定手段」に相当する。
【0107】
また、履歴情報データベース300が本発明の「履歴情報記憶手段」に相当し、変化量パラメータ算出処理(S102,S406)を実行するCPU31,41が本発明の「変化量パラメータ算出手段」に相当し、状態変化度特定処理(S103,S407)を実行するCPU31,41が本発明の「状態変化度特定手段」に相当する。
【0108】
また、アドバイス情報データベース400が本発明の「アドバイス情報記憶手段」に相当し、アドバイス情報特定処理(S104,S408)を実行するCPU31,41が、本発明の「アドバイス情報取得手段」に相当し、歩行状態等の表示(S105,S409)を実行するCPU31,41が、本発明の「運動時身体状態提示手段」、「状態変化度提示手段」及び「アドバイス情報提示手段」に相当する。
【0109】
また、データ送信処理(S6)を実行するCPU21が、本発明の「運動時身体状態送信手段」及び「比較演算パラメータ送信手段」に相当し、データ受信処理(S101)を実行するCPU31が、本発明の「運動時身体状態受信手段」及び「比較演算パラメータ受信手段」に相当する。
【0110】
なお、本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0111】
上記実施形態では、本発明を歩行状態測定システム1及び歩行状態測定装置40として実装した場合を例示したが、本発明は複数のコンピュータ機器を任意に組み合わせて実現することができる。例えば、第1の実施の形態において、管理装置20に履歴情報データベース300やアドバイス情報データベース400を具備させて、管理装置20で変化量パラメータ算出処理(S102),状態変化度特定処理(S103),アドバイス情報特定処理(S104)が実行されるようにしてもよい。そして、管理装置20で特定された歩行状態,状態変化度,アドバイス情報が携帯端末30に送信され、携帯端末30ではこれらの情報を提示する処理(S105)のみが実行されるような構成としてもよい。
【0112】
また、センサタイル10は、圧力センサ10aを用いて足底からの圧力を計測しているが、利用者の歩行に関する情報(歩行パターン)を有効に計測することができれば、他のセンサ種類を用いることができる。例えば、温度センサや光センサなどを用いて、センサタイル10上を歩行する利用者の歩行パターンを計測するようにしてもよい。
【0113】
また、個人情報取得処理(S3,S403)では、外部から取得した利用者のID情報に基づいて、当該利用者の身長や体重などの個人情報を特定している。しかし、RFIDタグ38にあらかじめ利用者の個人情報が記憶されており、この個人情報をRFIDタグリーダ26で読み取るようにしてもよい。また、利用者が入力装置47を介して直接個人情報を入力してもよい。
【0114】
そして、標準パラメータデータベース200では、個人情報として「身長」及び「性別」と標準パラメータとが対応付けられているが、本発明では個人情報として任意のデータを利用することができる。例えば、差分パラメータ算出処理(S4,S404)では、利用者の「年齢」や「体重」をキーとして、標準パラメータデータベース200から標準パラメータを取得するようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、利用者に提示される歩行状態、状態変化度及びアドバイス情報は、「足の傾き」、「足の引きずり」、「体の重心位置」、「歩行の安定性」という項目に関するものとした。しかし、これらのデータ項目は、利用者又は設計者の任意で他の内容とすることができ、例えば、「歩行のリズム」や「歩行の速度」といったデータ項目について分析及び提示するようにしてもよい。
【0116】
上記実施形態では、「利用者の運動時の身体状態」として利用者の歩行状態に関する推定・表示・改善方法を例示したが、本発明は利用者の走行状態に関する最適アドバイス提供などにも適用可能である。図23は、差分パラメータ算出処理(S4)の詳細を示す他のフローチャートである。
【0117】
例えば、管理装置20の標準パラメータデータベース200に、「歩行リズム」という項目と走行時の標準パラメータを追加しておく。そして、図23に示すように、差分パラメータ算出処理(S4)において、図7のS21〜23と同様に、標準パラメータデータベース200を開き(S501)、身長・性別をキーにして標準パラメータを読み込む(S503)。次に、歩行テンポから歩行状態であるか走行状態であるかを特定する(S505)。ここでは、「歩行リズム」標準パラメータが「歩行テンポ」歩行パラメータ以上であれば、状態パラメータXに「歩行状態」を設定する一方、「歩行リズム」標準パラメータが「歩行テンポ」歩行パラメータよりも小さければ、状態パラメータXに「走行状態」を設定する。次に、「足角」,「同時接地時間」,「重心位置」,「重心位置変動係数」について各歩行パラメータから各標準パラメータを減算して、差分パラメータX11,X12,X13,X14を算出する。そして、状態パラメータXと差分パラメータX11,X12,X13,X14とメイン処理(図10)に返す(S507〜S515)。
【0118】
以上の処理により、メイン処理(図10)においては、利用者が歩行状態であるかである走行状態かの判断が可能になる。そして、走行状態の場合には、利用者に自己の走行状態を提示したり、最適なアドバイスを提供したりすることが可能である。なお、同様にして、床運動やダンス時の身体状態などを「利用者の運動時の身体状態」として利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の運動時身体状態測定システム及び運動時身体状態測定装置は、利用者の運動時の身体状態を測定するとともに、利用者が自身の運動時身体状態を把握して矯正することができるシステム等として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】歩行状態測定システム1についての全体構成図である。
【図2】センサタイル10を説明するための平面図である。
【図3】歩行状態測定システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】管理装置20のメイン処理を示すフローチャートである。
【図5】床圧力分布入力処理(S1)の詳細を示すフローチャートである。
【図6】センサ位置テーブル100のデータ構成を示す図である。
【図7】差分パラメータ算出処理(S4)の詳細を示すフローチャートである。
【図8】標準パラメータデータベース200のデータ構成を示す図である。
【図9】歩行状態特定処理(S5)の詳細を示すフローチャートである。
【図10】携帯端末30のメイン処理を示すフローチャートである。
【図11】変化量パラメータ算出処理(S102)の詳細を示すフローチャートである。
【図12】履歴情報データベース300のデータ構成を示す図である。
【図13】状態変化度特定処理(S103)の詳細を示すフローチャートである。
【図14】状態変化度特定処理(S103)の詳細を示すフローチャートである。
【図15】アドバイス情報特定処理(S104)の詳細を示すフローチャートである。
【図16】アドバイス情報データベース400のデータ構成を示す図である。
【図17】アドバイス情報データベース400のデータ構成を示す図である。
【図18】アドバイス情報データベース400のデータ構成を示す図である。
【図19】アドバイス情報データベース400のデータ構成を示す図である。
【図20】ディスプレイ35への表示態様の一例を示す図である。
【図21】歩行状態測定装置40の電気的構成を示すブロック図である。
【図22】歩行状態測定装置40のメイン処理を示すフローチャートである。
【図23】差分パラメータ算出処理(S4)の詳細を示す他のフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
1 歩行状態測定システム
2 管理装置
3 携帯端末
10 センサタイル
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 HDD
25 CD−ROMドライブ
26 RFIDタグリーダ
27 入力装置
28 I/Oインタフェイス
29 通信インタフェイス
30 携帯端末
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 HDD
35 ディスプレイ
36 スピーカ
37 入力装置
38 RFIDタグ
39 通信インタフェイス
40 歩行状態測定装置
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 HDD
45 CD−ROMドライブ
46 ディスプレイ
47 入力装置
48 I/Oインタフェイス
49 スピーカ
100 センサ位置テーブル
200 標準パラメータデータベース
300 履歴情報データベース
400 アドバイス情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の運動時の身体状態に関して計測を行う運動時身体状態計測装置から出力される計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定装置と、該利用者の運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示装置とからなる運動時身体状態測定システムであって、
前記運動時身体状態特定装置は、
前記運動時身体状態計測装置から出力される計測値を取得する計測値取得手段と、
前記計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態の特徴を示す運動時身体状態パラメータを算出する運動時身体状態パラメータ算出手段と、
運動時の正しい身体状態での運動時身体状態の特徴を示す標準パラメータを記憶する標準パラメータ記憶手段と、
前記運動時身体状態パラメータと前記標準パラメータとを比較して、両者の比較演算結果を示す比較演算パラメータを算出する比較演算パラメータ算出手段と、
前記比較演算パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定手段と、
前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態を前記運動時身体状態提示装置に送信する運動時身体状態送信手段とを備え、
前記運動時身体状態提示装置は、
前記運動時身体状態特定装置から送信された運動時身体状態を受信する運動時身体状態受信手段と、
前記運動時身体状態受信手段により受信された運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示手段と
を備えたことを特徴とする運動時身体状態測定システム。
【請求項2】
前記運動時身体状態特定装置は、
前記比較演算パラメータを前記運動時身体状態提示装置に送信する比較演算パラメータ送信手段を備え、
前記運動時身体状態提示装置は、
前記運動時身体状態特定装置から送信された前記比較演算パラメータを受信する比較演算パラメータ受信手段と、
前記利用者について少なくとも前回の運動時身体状態パラメータを記憶する履歴情報記憶手段と、
前記比較演算パラメータ受信手段により受信された比較演算パラメータと、前記履歴情報記憶手段に記憶された前回の運動時身体状態パラメータとを比較して、両者の変化量を示す変化量パラメータを算出する変化量パラメータ算出手段と、
前記変化量パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度を特定する状態変化度特定手段と、
前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度を提示する状態変化度提示手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の運動時身体状態測定システム。
【請求項3】
前記運動時身体状態提示装置は、
前記運動時身体状態及び前記状態変化度の少なくとも1つと、前記利用者に提示すべきアドバイス情報とが対応付けられたアドバイス情報記憶手段と、
前記運動時身体状態受信手段により受信された運動時身体状態と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度との少なくとも1つに基づいて、前記アドバイス情報記憶手段から前記アドバイス情報を取得するアドバイス情報取得手段と、
前記アドバイス情報取得手段により取得されたアドバイス情報を提示するアドバイス情報提示手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の運動時身体状態測定システム。
【請求項4】
前記標準パラメータ記憶手段は、身長及び性別に応じて複数の前記標準パラメータを記憶しており、
前記比較演算パラメータ算出手段は、前記運動時身体状態パラメータと、前記利用者の身長及び性別に応じた前記標準パラメータと比較して、前記比較演算パラメータを算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の運動時身体状態測定システム。
【請求項5】
前記運動時身体状態、前記状態変化度及び前記アドバイス情報は、前記利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の運動時身体状態測定システム。
【請求項6】
利用者の運動時の身体状態に関して計測を行う運動時身体状態計測手段と、
前記運動時身体状態計測手段から出力される計測値を取得する計測値取得手段と、
前記計測値に基づいて、前記利用者の運動時身体状態の特徴を示す運動時身体状態パラメータを算出する運動時身体状態パラメータ算出手段と、
運動時の正しい身体状態での運動時身体状態の特徴を示す標準パラメータを記憶する標準パラメータ記憶手段と、
前記運動時身体状態パラメータと前記標準パラメータとを比較して、両者の比較演算結果を示す比較演算パラメータを算出する比較演算パラメータ算出手段と、
前記比較演算パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態を特定する運動時身体状態特定手段と、
前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態を提示する運動時身体状態提示手段と
を備えたことを特徴とする運動時身体状態測定装置。
【請求項7】
前記利用者について少なくとも前回の運動時身体状態パラメータを記憶する履歴情報記憶手段と、
前記比較演算パラメータ受信手段により受信された比較演算パラメータと、前記履歴情報記憶手段に記憶された前回の運動時身体状態パラメータとを比較して、両者の変化量を示す変化量パラメータを算出する変化量パラメータ算出手段と、
前記変化量パラメータに基づいて、前記利用者の運動時身体状態の変化を示す状態変化度を特定する状態変化度特定手段と、
前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度を提示する状態変化度提示手段と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の運動時身体状態測定装置。
【請求項8】
前記運動時身体状態及び前記状態変化度の少なくとも1つと、前記利用者に提示すべきアドバイス情報とが対応付けられたアドバイス情報記憶手段と、
前記運動時身体状態特定手段により特定された運動時身体状態と、前記状態変化度特定手段により特定された状態変化度との少なくとも1つに基づいて、前記アドバイス情報記憶手段から前記アドバイス情報を取得するアドバイス情報取得手段と、
前記アドバイス情報取得手段により取得されたアドバイス情報を提示するアドバイス情報提示手段と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の運動時身体状態測定装置。
【請求項9】
前記標準パラメータ記憶手段は、身長及び性別に応じて複数の前記標準パラメータを記憶しており、
前記比較演算パラメータ算出手段は、前記運動時身体状態パラメータと、前記利用者の身長及び性別に応じた前記標準パラメータと比較して、前記比較演算パラメータを算出することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の行状態測定装置。
【請求項10】
前記運動時身体状態、前記状態変化度及び前記アドバイス情報は、前記利用者における足の傾き、足の引きずり、体の重心位置、歩行の安定性の少なくとも1つに関するものであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の運動時身体状態測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−218202(P2006−218202A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36459(P2005−36459)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】