運搬用容器
【課題】作業性の向上、保管や運搬時等における省スペース化、機械的強度の向上を図り、異なる容量仕様に対しても蓋体が共用される。
【解決手段】4面の外周壁部5にそれぞれ手掛け部14と嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10を形成するとともに外周部に略逆U字状の係止フランジ部12を形成した容器本体2の開口部7に、廃棄時等において外周部に逆U字状の係合フランジ部20を形成した蓋体3を組み付けて密封する。
【解決手段】4面の外周壁部5にそれぞれ手掛け部14と嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10を形成するとともに外周部に略逆U字状の係止フランジ部12を形成した容器本体2の開口部7に、廃棄時等において外周部に逆U字状の係合フランジ部20を形成した蓋体3を組み付けて密封する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせ状態で保管されるとともに密閉状態を保持して運搬することが可能な、例えば医療現場から出る医療廃棄物等を収納して処理場へと運搬される医療廃棄物処理用容器として好適に用いられる運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関からは、使用済みの注射器、血液が付着したガーゼや脱脂綿、おむつや衣料類等の様々な医療廃棄物が発生する。これらの医療廃棄物は、種類に応じて専用の運搬用容器内に捨てられ、運搬用容器をそのまま医療機関から処理場へと運搬して焼却等の処理が行われる。運搬用容器は、一般に内部に廃棄物の収納空間部を構成した有底角筒体に形成された合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する矩形板体に形成された蓋体とから構成される(例えば、特許文献1を参照)。
運搬用容器は、蓋体を取り外した状態で、多数個の容器本体が下段側の収納空間部内に上段側を嵌合するようにして順次積み重ねた状態で保管される。運搬用容器は、使用時には積み重ねた容器本体が上段側から順次引き抜かれて1個ずつに分離されて各現場に廃棄物の種類毎に設置されて、分別された廃棄物が収納空間部内に捨てられるようにする。運搬用容器は、容器本体に蓋体が組み付けられて各現場から集積所へと搬出され、回収運搬車に乗せられて処理場へと搬送されて所定の廃棄処分が行われる。
【0003】
運搬用容器は、上述したように多数個の容器本体を積み重ねせた状態とすることにより省スペース化を図って保管、運搬が行われるようにする。運搬用容器は、容器本体の開口部に蓋体を組み付けて廃棄処理が行われるが、蓋体により収納空間部が密閉状態に保持されるとともに転倒等した場合でも蓋体が外れて廃棄物が飛散しないように容器本体と蓋体に相対して係合される適宜の係合機構を設けることにより安全性が確保されるように構成される。運搬用容器は、容器本体と蓋体に設けた係合機構が一種のロック手段を構成し、組み付けた蓋体を再び取り外すことができないようにする。
運搬用容器は、集積所での待機時や回収運搬車に乗せられて処理場へと搬送される等に際して、下段の蓋体上に上段の容器本体を順次載せて複数個が多段に積層される。特許文献1に記載の先願運搬用容器においては、積層状態で衝撃等が加えられた場合でも上段の運搬用容器が落下されないように、容器本体の底面部と蓋体の外周部に相対係合する係合構造が一体に形成される。ところで、運搬用容器は、処分場等において回収運搬車から降ろして処理工程へと送り込む際に、例えばローラベルト等に載せられて搬送される。先願運搬用容器においては、その際に容器本体の底面部に形成した係合構造を構成するリブがローラに突っかかって転倒し或いはローラ間にはまり込んでスムーズに搬送することが困難となり作業性を低下させる虞がある。
【0004】
運搬用容器には、外周壁部に、持ち運び用の手掛け部や補強及び積み重ね時のガイドとなる高さ方向の凹部が形成される。先願運搬用容器を含む従来の運搬用容器は、手掛け部や凹部を相対する外周壁部に形成した構造であり、手掛け部が作業者に向けられた状態で積み込み等を行うことが必要な方向特性を有しており、作業性を低下させていた。また、従来の運搬用容器においては、容器本体の開口部位の外周部位に蓋体を組付固定するための係合部が形成されるために、積み重ね時において各容器本体間に係合部を逃げるための高さ方向のスペースが必要であり、全体の高さも大きくなるといった問題があった。
運搬用容器としては、容器本体の収納空間部の容量を異にした複数種が用いられ、収納空間部の容量仕様に応じて容器本体や蓋体の外形寸法仕様を異にして形成される。運搬用容器は、回収運搬車に載せて搬送する等に際して、大小にかかわらず搭載することが可能ないわゆるランダム搭載が困難となって作業性を低下させるとともに、スペース効率も低下し、さらに不揃いにより安定性も低下するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−313459公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運搬用容器においては、上述したように多数個の容器本体を積み重ねせて省スペース化を図って保管、運搬が行われるが、積み重ねた高さ方向についても省スペース化が必要である。運搬用容器においては、上下に重なり合う容器本体間においていわゆる空気抜き作用が充分に行われることにより、積み重ねや分解が容易に行われる必要がある。運搬用容器においては、各種の作業を行う際に向きや姿勢を一定方向に合わせる方向特性を有しないようにすることにより、作業性の向上が図られるようになる。
運搬用容器においては、床面上をスライド移動し或いはローラベルト等の搬送手段に載せて搬送するといった作業が行われる。運搬用容器においては、かかる作業に際して底面の外周縁部位等において引掛かり等が生じることなくスムーズに移動することが可能であることが必要である。運搬用容器においては、転倒等した場合でも内部から液体等がこぼれ出すことがなく充分な密閉性が保持される必要があり、また容器本体に対して蓋体が組み付けた状態を確実に保持される必要がある。
本発明は、作業性の向上、保管や運搬時等における省スペース化、機械的強度の向上を図るとともに、容量仕様を異にしても蓋体の共用化を図る運搬用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明に係る運搬用容器は、長方形若しくは正方形の外形を以って形成された底壁部と、この底壁部の外周縁から外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成されることにより底壁部よりも大きな開口寸法を有する長方形若しくは正方形の開口部を有する収納空間部を内部に構成する4面の外周壁部とからなる有底角筒状に形成された合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する長方形若しくは正方形の外形を以って形成された合成樹脂製の蓋体とから構成される。
容器本体は、各外周壁部に、略逆U字状の断面形状を以って開口縁の全域に亘って一体に形成されるとともに内側面に係止部を設けた係止フランジ部と、それぞれの外側面に係止フランジ部の下方に位置し一体に突出形成された4個の手掛け部と、これら各手掛け部と対向位置するそれぞれの外側面に係止フランジ部の対向部位から下方に向かって次第に幅広とされて底壁部に開放される高さ方向の嵌合ガイド凹部を構成する4個の嵌合ガイドリブ部を形成してなる。蓋体は、外周縁の全周に亘り容器本体側の係止フランジ部を被着可能な略逆U字状の断面形状を以って一体に立設されるとともに係止部と相対して係合部を設けた係合フランジ部を有し、係止フランジ部に囲まれた空間部を容器本体の下方部位の嵌合空間部として構成してなる。
【0008】
運搬用容器においては、容器本体の4面の外周壁部にそれぞれ手掛け部と嵌合ガイド凹部を構成する嵌合ガイドリブ部を形成したことにより、特定の方向や姿勢に制限されることなく載置し或いは手掛け部を把持して持ち運びが可能とされて使い勝手の向上が図られるとともに重ね合わせすることが可能となり、嵌合ガイドリブ部による外周壁部の機械的強度の向上が図られる。運搬用容器においては、略逆U字状の係止フランジ部に対して略逆U字状の係合フランジ部を相対係合させて容器本体に対して蓋体を組みつけることにより機械的強度の向上が図られて容器本体の開口部位の高さを低減して形成することが可能であり、多数個を重ね合わせた状態でスペースの効率化が図られるようになる。運搬用容器においては、相対係合される係止フランジ部と係合フランジ部の間に係合部を形成したことにより、スペースの効率化を図って容器本体に対して蓋体が組み付け状態を確実に保持される。
運搬用容器は、底壁部の底面側に外周縁部位に沿って全域に亘って断面円弧状の外周リブ部を一体に形成し、この外周リブ部を介して各外周壁部を一体に立ち上がり形成してもよい。運搬用容器は、外周リブ部により底壁部の機械的強度の向上が図られるとともに、安定した状態で載置されるようになる。運搬用容器は、断面円弧状の外周リブ部により床面上を安定した状態でスライド移動させることが可能であり、またローラベルト等の搬送手段に載せて搬送する等に際しも引掛りによる転倒等の発生が防止され、作業の効率化が図られるようになる。
【0009】
運搬用容器は、蓋体に、容器本体に組み付けた状態において係止フランジ部の上縁部と突き当たる係合フランジ部の内面に、全域に亘って線接触状態で当接する突当て凸部を形成してもよい。運搬用容器は、係合フランジ部に係止フランジ部を係合させて蓋体を容器本体に組み付けた状態において、突当て凸部が全域に亘って線接触状態で突き当たることにより隙間の発生を無くして収納空間部の密封性が確保される。
運搬用容器は、蓋体に、係合フランジ部の外側面に薄肉のヒンジ部を介して複数のロック片部を一体に形成してもよい。運搬用容器は、これらロック片部を容器本体に組み合わされた状態でヒンジ部を介して回動して係止フランジ部と相対係合させることにより、蓋体のロック状態がより確実に保持される。
運搬用容器は、収納空間部の容量を異にする複数の容量仕様体が使い分けされる。運搬用容器は、各容量仕様体が、外周壁部が開口部からの高さ寸法を異にして形成されることにより、収納空間部の容量を異にするが開口部の開口寸法を同一にして構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成された本発明に係る運搬用容器によれば、容器本体の4面の外周壁部にそれぞれ手掛け部と嵌合ガイド凹部を構成する嵌合ガイドリブ部を形成したことにより特定の方向や姿勢に制限されることなく載置し或いは手掛け部を把持して持ち運びすることが可能とされて使い勝手の向上が図られるとともに重ね合わせることが可能となり、また外周壁部の機械的強度の向上が図られる。本発明に係る運搬用容器によれば、容器本体と蓋体が、略逆U字状の係止フランジ部に略逆U字状の係合フランジ部を相対係合させて機械的強度の向上を図るとともに組み付け状態を強固に保持する係合構造を構成して一体化することから、容器本体の開口部位の高さが低減されて多数個を積み重ねた状態で高さ方向を含む省スペース化が図られるとともに、万一転倒した場合でも容器本体から蓋体が外れて内容物の漏れ出しや飛散が生じることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態として示す運搬用容器を構成する容器本体の正面図である。
【図2】同容器本体の平面図である。
【図3】同容器本体の底面図である。
【図4】同容器本体の上縁部位の構成を示す要部断面図である。
【図5】同容器本体の下縁部位の構成を示す要部断面図である。
【図6】同容器本体の積み重ね操作を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態として示す運搬用容器を構成する蓋体の平面図である。
【図8】同蓋体の断面図である。
【図9】同蓋体の外周部位の構成を示す要部断面図である。
【図10】同蓋体の外周部位の構成及び容器本体に組み付けた状態を示す要部断面図である。
【図11】小容量仕様の運搬用容器を構成する容器本体の正面図である。
【図12】運搬用容器の使用形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
運搬用容器1は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材により一体に形成された容器本体2と、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材により一体に形成されて容器本体2に組み合わされる蓋体3とから構成される。運搬用容器1は、例えば50リッター容量のペール缶と称される容器である。運搬用容器1も、医療機関の各現場に複数個が設置され、所定の容器本体2内に分別された使用済みの注射器等の様々な医療廃棄物が捨てられるようにする。運搬用容器1は、容器本体2に蓋体3を組み付けて各現場から運び出されて集積所へと搬出され、集積所において回収運搬車に乗せられて産業廃棄物処理場へと搬送され再利用されることなくそのまま所定の廃棄処分が行われる。
運搬用容器1は、詳細を後述するように容器本体2に蓋体3を組み付けると外部から開蓋操作を不能とするロック構造により強固に一体化された構成となる。運搬用容器1は、このロック構造によって搬出や一時保管或いは回収運搬車に搭載して搬送する途中等において転倒等することがあっても蓋体3が外れて医療廃棄物が飛散するといった事態の発生を防止する。また、運搬用容器1は、不心得者等が蓋体3を開けて中から医療廃棄物を不正入手するといった行為を防止させる。運搬用容器1は、かかる医療廃棄物の処理用として用いられる場合に、再利用を不可として使い捨てされる。なお、運搬用容器1は、かかる用途に限定されないことは勿論である。
【0013】
容器本体2は、図1乃至図3に示すように、投影形状が長方形状の底壁部4と、4面の第1外周壁部5A乃至第4外周壁部5D(以下、個別に説明する場合を除いて外周壁部5と総称する。)とからなる直方台形状の有底筒体からなる。容器本体2は、底壁部4と外周壁部5により囲まれた内部に、上方を開口した廃棄物を収納する収納空間部6が構成される。容器本体2は、図1及び図2に示すように、外周壁部5が底壁部4から、外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成され、収納空間部6の開口部7が底壁部4よりも大きな開口寸法を有して形成される。なお、容器本体2は、直方台形状の有底筒体に限定されず、例えば立方台形状の有底筒体であってもよい。
容器本体2には、図3及び図5に示すように、底壁部4の底面側にそれぞれ円弧状の断面形状を以って突出する外周リブ部8と内周リブ部9が一体に形成されている。容器本体2は、底壁部4の外周縁が矩形枠状の外周リブ部8により縁取られるとともに、この外周リブ部8を介して外周壁部5が周回りに一体に立ち上がる構成となっている。容器本体2は、内周リブ部9が、外周リブ部8で囲まれた矩形領域内に、相似形の矩形枠を構成して一体に形成される。容器本体2は、底壁部4が、上述した矩形枠状の外周リブ部8と内周リブ部9を一体に形成したことにより機械的強度の向上が図られ、薄型化による軽量化やコスト低減が図られる。なお、容器本体2は、底壁部4の底面側に外周リブ部8のみを形成した構造であってもよい。
【0014】
容器本体2は、運搬用容器1を取り扱うに際して床面上をスライド移動し或いはローラベルト等の搬送手段に載せて搬送するといった作業が行われる。容器本体2は、底壁部4の底面側に上述した円弧状の断面形状でありかつ途切れの無い枠状を以って突出する外周リブ部8と内周リブ部9を一体に形成したことにより作業性の向上が図られる。容器本体2は、底壁部4の外周縁を縁ち取る外周リブ部8により、安定した姿勢で載置することが可能である。容器本体2は、あらゆる移動方向に対しても外周リブ部8や内周リブ部9が床面やローラに引掛かり等することが無いために、スムーズな取り扱いが行われて作業性の向上が図られる。
容器本体2には、図1乃至図3に示すように、外周壁部5の外側面に、第1嵌合ガイド凹部11A乃至第4嵌合ガイド凹部11D(以下、個別に説明する場合を除いて嵌合ガイド凹部11と総称する。)を構成する第1嵌合ガイドリブ部10A乃至第4嵌合ガイドリブ部10D(以下、個別に説明する場合を除いて嵌合ガイドリブ部10と総称する。)が形成されている。嵌合ガイドリブ部10は、外周壁部5の外側面に、幅方向の略中央部に位置して底壁部4から開口部7に亘って収納空間部6内に突出するやや幅広の高さ方向の凸部からなる。嵌合ガイドリブ部10は、突出量を一定として底壁部4側から開口部7側に向かって次第に幅狭とされた側面形状が縦長の台形凸部からなる。
【0015】
容器本体2は、図1に示すように、上述した嵌合ガイドリブ部10を形成することにより4面の外周壁部5にそれぞれ縦長台形の嵌合ガイド凹部11が構成される。嵌合ガイドリブ部10は、その下辺部位が円弧状に面取りされて底壁部4の底面に回り込んでおり、上述した外周リブ部8や内周リブ部9と同様に引掛かりの発生を防止する作用が奏されるようにする。嵌合ガイドリブ部10は、後述するように多数個の容器本体2を積み重ねる際に、位置決めと嵌合ガイドの作用を奏する。
容器本体2は、上述したように嵌合ガイド凹部11を構成する高さ方向の嵌合ガイドリブ部10を形成したことにより、外周壁部5が凹凸の断面形状となって機械的強度の向上や薄型化による軽量化やコスト低減が図られる。容器本体2は、4面の外周壁部5に嵌合ガイド凹部11が形成されるために、多数個の容器本体2をそれぞれ向き合わせすることなく積み重ねることが可能であり作業性の向上が図られるとともに、周囲4面において上段側容器本体2Uの嵌合ガイド凹部11Uに下段側容器本体2Lの収納空間部6L内に突出した嵌合ガイドリブ部10Lを嵌合するようにして積み重ねることにより積み重ね状態が保持される。
【0016】
容器本体2には、図1、図2及び図4に示すように、外周壁部5の上端縁、すなわち開口部7の開口縁に全周に亘って連続する係止フランジ部12が一体に形成される。係止フランジ部12は、後述するように蓋体3を一体化する部位として作用し、図4に示すように、外周壁部5の上縁部位を全域に亘って外側に略逆U字状に折り返すことにより形成される。係止フランジ部12は、外壁部位12Aと内壁部位12Bが逆U字状の折返し頂点部12Cを介して連設されてなり、外壁部位12Aが所定の高さを以って開口部7を鉢巻状に取り囲む構造部位を構成する。
容器本体2は、上述した略逆U字状の断面形状を有する係止フランジ部12を形成したことにより、外周壁部5の上縁部位が全周に亘って2重壁構造を構成することにより機械的強度の向上が図られる。容器本体2は、外周壁部5の上縁部位が折返し頂点部12Cにより厚み有する円滑な曲面として構成され、取り扱い時において作業者等の指先を傷付けるといった事態発生の防止が図られて安全性が確保される。
【0017】
係止フランジ部12には、図4に示すように、円弧状の折返し頂点部12Cのやや下方に位置して内壁部位12Bに全周に亘って環状の係止凹部13が形成される。係止凹部13は、円弧状の環状溝として形成され、後述するように容器本体2に対して蓋体3を組み付けた状態において外部からの開蓋操作を禁止する係止構造を構成する。
容器本体2には、図1、図2及び図4に示すように、4面の外周壁部5に第1手掛け部14A乃至第4手掛け部14D(以下、個別に説明する場合を除いて手掛け部14と総称する。)が設けられる。手掛け部14は、図4に示すように、上述した嵌合ガイドリブ部10により構成された嵌合ガイド凹部11の上端部位に対向位置して、係止フランジ部12の外壁部位12Aの下縁部に一体に突出形成される。
【0018】
手掛け部14は、図4に示すように、係止フランジ部12の外壁部位12Aの下縁部から一体に形成された断面逆L字状の手掛け壁部位15と、この手掛け壁部位15の両側面を閉塞して外周壁部5と一体化する側面壁部位16(16A、16B)と、側面壁部位16を補強するリブ17(17A、17B)とからなり、内部に嵌合ガイド凹部11に開放される手掛け空間部18を構成する。手掛け部14は、手掛け壁部位15の横幅が嵌合ガイド凹部11の横幅よりもやや大きく、側面壁部位16が外周壁部5の外側面から一体に立設される。
手掛け部14は、手掛け空間部18内に嵌合ガイド凹部11の上端部位が入り込んだ構造とし、後述するように多数個の容器本体2を重ね合わせた状態で、下段側容器本体2Lの嵌合ガイド凹部11Lに嵌合された上段側容器本体2Uの嵌合ガイドリブ部10Uと側面壁部位16との間に空気出入り用の隙間を構成する。手掛け部14は、後述するように下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12の高さ分突出した状態で積み重ねられ、相対嵌合される嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11との間から空気の出入りが有効に行われるようにする。
【0019】
以上のように構成された容器本体2は、未使用時には多数個が積み重ねられてスタック体50(図12を参照)を構成することにより、省スペース化を図って保管、運搬が行われる。容器本体2は、図6に示すように、下段側容器本体2Lの収納空間部6U内に上段側容器本体2Uを順次嵌合することにより積み重ねが行われる。容器本体2は、上述したように底壁部4の外形寸法に対して収納空間部6の開口寸法が大きな直方台形状の有底筒体であることから、下段側容器本体2Lの収納空間部6U内に上段側容器本体2Uをその底壁部4U側から落とし込むようにして嵌合することが可能である。
【0020】
上段側容器本体2Uは、下段側容器本体2Lに対して、図6(A)に示すように外周壁部5Uの嵌合ガイド凹部11Uを収納空間部6L内に突出した嵌合ガイドリブ部10Lに嵌合させるようにして収納空間部6L内に押し込まれる。上段側容器本体2U及び下段側容器本体2L(容器本体2)は、上述したように4面の外周壁部5に嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10を形成したことにより、多数個についてそれぞれの向きを気にすることなく下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを順次積み重ねることが可能である。
容器本体2においては、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを収納空間部6内に奥深く押し込むにしたがって、嵌合ガイド凹部11と嵌合ガイドリブ部10のクリアランスが次第に小さくなって嵌合ガイド凹部11内の空気が次第に圧縮される。容器本体2においては、上述したように外周壁部5に、手掛け空間部18内に嵌合ガイド凹部11の上端部位を入り込ませるとともに側面壁部位16との間に空気出入り用の隙間を構成した手掛け部14が設けられている。容器本体2においては、上述した隙間から空気が抜けることにより、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを奥深くまでスムーズに押し込むことが可能である。
【0021】
容器本体2においては、図6(B)に示すように、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12U側の外壁部位12A及び内壁部位12Bの下端縁を係止フランジ部12L側の折返し頂点部12Cに突き当たるまで押し込むことが可能である。容器本体2においては、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12Uの高さ寸法分突出した状態で積み重ねられる。容器本体2においては、4面の外周壁部5において嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11が嵌合することにより、安定した状態で多数個が積み重ねられる。容器本体2においては、最下段の容器本体に対して多数個の容器本体をそれぞれ収納空間部6内に嵌合して係止フランジ部12の高さ分の範囲で積み重ねることが可能であり、保管時等において高さ方向のスペース効率化が図られる。
容器本体2においては、使用に際して下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを、手掛け部14を持って引き上げることにより分離する。容器本体2においては、相対嵌合している嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11の上方部位において、上述した手掛け部14により手掛け空間部18を介して隙間が構成されている。容器本体2においては、上段側容器本体2Uを引き上げるにしたがって隙間を介して嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11の間に空気が流れ込み、下段側容器本体2Lから上段側容器本体2Uを分離することが可能となる。
【0022】
運搬用容器1においては、廃棄処理を行う際に容器本体2に対して開口部7を閉塞して蓋体3が組み付けられる。運搬用容器1は、蓋体3が、未使用時には上述したように多段に積み重ねた容器本体2とは別に、多段に重ね合わせた状態で保管される。蓋体3は、容器本体2に組み付けると後述するロック構造により外部からの開蓋操作を不能として収納空間部6を密封する。
【0023】
蓋体3は、図7及び図8に示すように、投影形状が長方形状の天井壁部19と、この天井壁部19の外周縁の全周に亘って係合フランジ部20が一体に立ち上がり形成された直方形状の浅皿状体からなる。蓋体3は、天井壁部19が容器本体2の開口部7を閉塞するに足る外形寸法を有し、図9に示すように外周段部21を介してその外周部に全域に亘って係合フランジ部20を一体に立設してなる。
蓋体3は、外周段部21に天井壁部19と係合フランジ部20に連設された多数のリブ22を形成して天井壁部19の強度向上が図られている。蓋体3は、外周段部21により囲まれた天井壁部19の上面が、保管或いは運搬時において上段運搬用容器1Uの積み重ね面を構成する。
蓋体3は、係合フランジ部20が、図9に示すように天井壁部19の外周部から外周段部21を介して立ち上がる枠状立壁からなる内壁部位20Bと、この内壁部位20Bの上端から逆U字状に折り返す折返し頂点部20Cと、この折返し頂点部20Cを介して下方へと折り返されて内壁部位20Bと対向する外壁部位20Aとから構成される。係合フランジ部20は、これら各部位により囲まれて、下方に開口する係合空間部23を構成してなる。
【0024】
係合フランジ部20は、図9に示すように、外壁部位20Aと内壁部位20Bが容器本体2側の係止フランジ部12とほぼ等しい高さを以って形成される。係合フランジ部20は、折返し頂点部20Cが、容器本体2側の折返し頂点部12Cよりも大きな曲率の折り返し部として形成され、各構成部位で囲まれた係合空間部23が係止フランジ部12の外形とほぼ同等の大きさとされて後述するように係止フランジ部12に係合される。
係合フランジ部20には、廃棄等に際して蓋体3を容器本体2に組み付けると、図9鎖線で示すように係合空間部23内に全域に亘って係止フランジ部12が嵌合される。係合フランジ部20は、係止フランジ部12と共同して容器本体2に対する蓋体3の組付け状態を確実に保持するとともに再開蓋操作を不能とするロック構造を構成する。係合フランジ部20には、内壁部位20Bの内面に係合空間部23に全域に亘って突出してロック構造を構成する円弧状断面の係合凸部24が一体に形成されている。
係合凸部24は、蓋体3を容器本体2に組み付けて係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を嵌合すると、図9に示すように容器本体2側の係止フランジ部12に形成した係止凹部13と全域に亘って相対係合する。なお、係合凸部24は、周囲を閉鎖された係合空間部23に突出して形成される部位であるが、蓋体3の成形に際していわゆる金型の無理抜き法により形成することが可能である。
【0025】
蓋体3は、容器本体2に対して、天井壁部19により収納空間部6の開口部7を覆い、係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を全域に亘って嵌合するようにして組み付けられる。蓋体3は、係合フランジ部20の係合空間部23内において係合凸部24が係止凹部13と係合することにより、容器本体2に組み付けられた状態が保持される。蓋体3は、容器本体2に組み付けられた状態において、外周部位が係合フランジ部20に係止フランジ部12が嵌合した多重壁構造となり運搬用容器1が転倒等しても破損が生じることは無く機械的強度の大きな運搬用容器1を構成する。
容器本体2と蓋体3は、上述したように外部から視認されない蓋体3側の係合フランジ部20に構成された係合空間部23内において係止凹部13と係合凸部24が係合するロック構造を構成することで、外部から開蓋操作を行われないようにする。また、容器本体2と蓋体3は、このロック構造を多重壁構造の係合部位内に構成したことにより、例えば係合部位を全体に亘って破壊しなければ開蓋することができない構造を構成して組み付け状態が確実に保持される。
なお、容器本体2と蓋体3は、係止フランジ部12の内壁部位12Bの内面に係止凹部13を形成するとともに、相対する係合フランジ部20の内壁部位20Bの内面に係合凸部24を形成してロック構造を構成したが、かかるロック構造に限定されないことは勿論である。容器本体2と蓋体3は、係止フランジ部12の外壁部位12Aの外面に係止凹部13を形成するとともに、係合フランジ部20の内壁部位20Bの内面に係合凸部24を形成してもよい。
【0026】
また、容器本体2と蓋体3は、係止凹部13と係合凸部24を相対係合する断面円弧状の凹部と凸部により構成したが、かかる形状に限定されないことは勿論である。容器本体2と蓋体3は、例えば高さ方向に対して次第に突出量が大きくなり、上端或いは下端において係止段部を形成した楔状の凸部の組み合わせによりロック構造を構成するようにしてもよい。かかるロック構造は、さらにロック強度が大きい。
【0027】
運搬用容器1は、医療現場に設置して用いることから容器本体2の収納空間部6には様々な医療廃棄物が投入される。運搬用容器1は、容器本体2に蓋体3を組み付けてそのまま廃棄処分されるが、保管時や運搬時において転倒等した場合に開口部7と蓋体3との間に隙間がある場合に液漏れ等が生じる虞がある。運搬用容器1は、上述したロック構造により容器本体2に対して蓋体3が組み付け状態を強固に保持されるが、さらに蓋体3に開口部7との密封性を保持する密封構造が設けられる。
蓋体3は、上述したように係合フランジ部20と係止フランジ部12を嵌合して容器本体2に組み付けられ、その際に係合フランジ部20の折返し頂点部20Cの内面に係止フランジ部12の折返し頂点部12Cが突き当てられる。係合フランジ部20には、図9に示すように、折返し頂点部20Cの内面に、全域に亘ってリブ状の突当て凸部25が一体に形成される。
【0028】
蓋体3は、容器本体2に組み付けた状態において、係合フランジ部20の突当て凸部25が相対する係止フランジ部12の折返し頂点部12Cに対して全域に亘って線接触状態で当接する。蓋体3は、係合フランジ部20と係止フランジ部12の間において面接触による隙間の発生を無くし、容器本体2の開口部7を全域に亘って確実に密封する。
運搬用容器1は、上述したように係止フランジ部12の係止凹部13と係合フランジ部20の係合凸部24により、容器本体2と蓋体3との間にロック構造を構成する。運搬用容器1は、上述したロック構造が、係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を全域に亘って確実に嵌合させることにより所定のロック機能が奏される。運搬用容器1には、この嵌合操作が確実に行われたことを確認し、さらに容器本体2と蓋体3の組み付け状態を確実に保持するために、蓋体3に複数個のロック片部26(26A乃至26D)が形成されている。
【0029】
蓋体3には、図7に示すように係合フランジ部20の一方長辺の外側面に長さ方向に離間して一対のロック片部26A、26Bが一体に形成されるとともに、相対する他方長辺の外側面にも長さ方向に離間して一対のロック片部26C、26Dが一体に形成される。なお、蓋体3は、4個のロック片部26に限定されず、また必要に応じて係合フランジ部20の短辺に形成してもよい。
ロック片部26は、図10に示すように、係合フランジ部20の外壁部位20Aから薄肉のヒンジ部28を介して一体に突出形成され、先端部を直角に折曲してロック部29を一体に形成してなる。ロック片部26は、ヒンジ部28を介して外壁部位20A側へと折曲した際に、ロック部29が外壁部位20Aの下端から突出する長さ(高さ)を有して形成される。
ロック片部26は、容器本体2に対して蓋体3を組み付けた状態において、ヒンジ部28を介して外壁部位20A側へと折曲される。ロック片部26は、図10(B)に示すように係合フランジ部20の外壁部位20Aの下端から突出した係止フランジ部12の外壁部位12Aの下端にロック部29が相対係合する。ロック片部26は、これにより係合フランジ部20と係止フランジ部12の嵌合状態を保持する。
【0030】
上述した実施の形態として示した運搬用容器1は、50リッター容量の運搬用容器であるが、医療現場においては収納空間部の容量を異にする複数仕様の運搬用容器も混在して使用される。本発明においては、容量仕様に応じて大きさを異にする容器本体が用いられるが、蓋体については同一仕様のものを共用することが可能である。図11に第2の実施の形態として示した容器本体40は、20リッター容量の運搬用容器である。容器本体40は、基本的な構成を上述した運搬用容器1と同様に構成されることから、対応する部位には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
容器本体40も、4面の外周壁部41を底壁部4の各辺の外周縁からそれぞれ外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成するが、開口部7を上述した50リッター容量仕様の容器本体2と同一の開口寸法を以って形成する。容器本体40は、外周壁部41が、開口部7を構成する上端縁から所定の高さ寸法Hに形成されることにより内部に20リッター容量の収納空間部6を構成する。容器本体40は、底壁部4の外形寸法が50リッター容量仕様の容器本体2の底壁部4よりも大きな外形寸法を以って形成される。
なお、容器本体40にも、外周壁部41に開口部7を囲んで組み付けられた蓋体3の係合フランジ部20が係合される係止フランジ部12が周回りに一体に形成される。容器本体40にも、4面の外周壁部41に縦長台形の嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10が形成されて機械的強度の向上が図られる。容器本体40にも、4面の外周壁部41にそれぞれ手掛け部14が一体に形成されている。
【0032】
容器本体40は、上述したように大型の容器本体2と同一形状の開口部7を構成して形成されることにより、蓋体3が共用して用いられる。容器本体40においても、未使用時には多数個が多段に積み重ねられて保管され、廃棄処理を行う際に開口部7を閉塞して蓋体3が組み付けられる。容器本体40においても、組み付けた蓋体3が、相対係合した係止フランジ部12と係合フランジ部20及びこれらの間に構成されたロック構造により外部からの開蓋操作を不能として収納空間部6を密封する。
なお、容器本体40は、容量仕様に応じて外周壁部41が開口部7からの高さ寸法を異にして形成されるが、上述したように開口部7が同一形状を以って形成される。容器本体40も、保管或いは運搬時において等に際して下段の運搬用容器1Lの蓋体3Lの天井壁部19上に積み重ねられる。容器本体40は、この場合に同一仕様の運搬用容器ばかりでなく、容量仕様を異にする運搬用容器上にも積み重ねることが可能である。
【0033】
以上のように構成された容器本体2、40と蓋体3とから構成される運搬用容器1は、未使用状態において容器本体2、40と蓋体3が分離され、図12(A)に示すようにそれぞれ多数個が積み重ねられてスタック体50として保管される。運搬用容器1は、容器本体2、40が嵌合ガイド凹部11内から空気抜き構造により有効な空気抜きが行われることで、簡易な作業により多数個を積み重ねることが可能である。運搬用容器1は、容量仕様を異にする容器本体2と容器本体40が、同一形状の開口部7、すなわち投影形状を同一とすることにより、同図(B)に示すようにそれぞれのスタック体50を側面が接触するようにして並べて保管することが可能であり、保管の省スペース化が図られるようにする。
【0034】
運搬用容器1は、例えば医療現場からの要求によって、図12(C)に示すようにスタック体50から容器本体2或いは容器本体40及び蓋体3がそれぞれ1個ずつに分離されて提供される。運搬用容器1は、容器本体2、40が上述した空気抜き構造により嵌合ガイド凹部11内への有効な空気流入が行われて簡易な作業により1個ずつに分離することが可能である。運搬用容器1は、医療現場においてそれぞれから発生する各種医療廃棄物が容器本体2や容器本体40の収納空間部6内に廃棄される。運搬用容器1は、医療現場において容器本体2、40に対して蓋体3が組み付けられて収納空間部6を密封した状態で廃棄処分が行われる。
運搬用容器1は、図12(D)に示すように各医療現場を回る運搬車に乗せられて集積所等に運搬されるが、同図に示すように容量仕様を異にするものであっても種別を合わせる手間を不要にして順次積み重ねることが可能である。また、運搬用容器1は、外周壁部5、41の各面に手掛け部14を形成したことにより、特定の方向や姿勢に制限されることなく手掛け部を把持して持ち運びすることが可能であり、使い勝手の向上による作業の大幅な効率化が図られる。
【0035】
運搬用容器1は、例えば集積所等においてパレットに載せ替えられて処分場に搬送されるが、その際にも図12(E)に示すように容量仕様を異にするものであっても種別を合わせることなく順次積み重ねられる。運搬用容器1は、各工程において行われる積み重ね作業を効率化するとともに、高さ方向を含む省スペース化が図られるようにする。運搬用容器1は、上述したように各工程において、4面の外周壁部5に形成した手掛け部14や底壁部4の外周リブ部8や内周リブ部9の構造により作業性の向上を図り転倒等が生じることなく取り扱うことが可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 運搬用容器、2 容器本体、3 蓋体、4 底壁部、5 外周壁部、6 収納空間部、7 開口部、8 外周リブ部、9 内周リブ部、10 嵌合ガイドリブ部、11 嵌合ガイド凹部、12 係止フランジ部、13 係止凹部、14 手掛け部、18 手掛け空間部、19 天井壁部、20 係合フランジ部、21 外周段部、23 係合空間部、24 係合凸部、25 突当て凸部、26 ロック片部、40 容器本体、41 外周壁部、50 スタック体
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせ状態で保管されるとともに密閉状態を保持して運搬することが可能な、例えば医療現場から出る医療廃棄物等を収納して処理場へと運搬される医療廃棄物処理用容器として好適に用いられる運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関からは、使用済みの注射器、血液が付着したガーゼや脱脂綿、おむつや衣料類等の様々な医療廃棄物が発生する。これらの医療廃棄物は、種類に応じて専用の運搬用容器内に捨てられ、運搬用容器をそのまま医療機関から処理場へと運搬して焼却等の処理が行われる。運搬用容器は、一般に内部に廃棄物の収納空間部を構成した有底角筒体に形成された合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する矩形板体に形成された蓋体とから構成される(例えば、特許文献1を参照)。
運搬用容器は、蓋体を取り外した状態で、多数個の容器本体が下段側の収納空間部内に上段側を嵌合するようにして順次積み重ねた状態で保管される。運搬用容器は、使用時には積み重ねた容器本体が上段側から順次引き抜かれて1個ずつに分離されて各現場に廃棄物の種類毎に設置されて、分別された廃棄物が収納空間部内に捨てられるようにする。運搬用容器は、容器本体に蓋体が組み付けられて各現場から集積所へと搬出され、回収運搬車に乗せられて処理場へと搬送されて所定の廃棄処分が行われる。
【0003】
運搬用容器は、上述したように多数個の容器本体を積み重ねせた状態とすることにより省スペース化を図って保管、運搬が行われるようにする。運搬用容器は、容器本体の開口部に蓋体を組み付けて廃棄処理が行われるが、蓋体により収納空間部が密閉状態に保持されるとともに転倒等した場合でも蓋体が外れて廃棄物が飛散しないように容器本体と蓋体に相対して係合される適宜の係合機構を設けることにより安全性が確保されるように構成される。運搬用容器は、容器本体と蓋体に設けた係合機構が一種のロック手段を構成し、組み付けた蓋体を再び取り外すことができないようにする。
運搬用容器は、集積所での待機時や回収運搬車に乗せられて処理場へと搬送される等に際して、下段の蓋体上に上段の容器本体を順次載せて複数個が多段に積層される。特許文献1に記載の先願運搬用容器においては、積層状態で衝撃等が加えられた場合でも上段の運搬用容器が落下されないように、容器本体の底面部と蓋体の外周部に相対係合する係合構造が一体に形成される。ところで、運搬用容器は、処分場等において回収運搬車から降ろして処理工程へと送り込む際に、例えばローラベルト等に載せられて搬送される。先願運搬用容器においては、その際に容器本体の底面部に形成した係合構造を構成するリブがローラに突っかかって転倒し或いはローラ間にはまり込んでスムーズに搬送することが困難となり作業性を低下させる虞がある。
【0004】
運搬用容器には、外周壁部に、持ち運び用の手掛け部や補強及び積み重ね時のガイドとなる高さ方向の凹部が形成される。先願運搬用容器を含む従来の運搬用容器は、手掛け部や凹部を相対する外周壁部に形成した構造であり、手掛け部が作業者に向けられた状態で積み込み等を行うことが必要な方向特性を有しており、作業性を低下させていた。また、従来の運搬用容器においては、容器本体の開口部位の外周部位に蓋体を組付固定するための係合部が形成されるために、積み重ね時において各容器本体間に係合部を逃げるための高さ方向のスペースが必要であり、全体の高さも大きくなるといった問題があった。
運搬用容器としては、容器本体の収納空間部の容量を異にした複数種が用いられ、収納空間部の容量仕様に応じて容器本体や蓋体の外形寸法仕様を異にして形成される。運搬用容器は、回収運搬車に載せて搬送する等に際して、大小にかかわらず搭載することが可能ないわゆるランダム搭載が困難となって作業性を低下させるとともに、スペース効率も低下し、さらに不揃いにより安定性も低下するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−313459公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運搬用容器においては、上述したように多数個の容器本体を積み重ねせて省スペース化を図って保管、運搬が行われるが、積み重ねた高さ方向についても省スペース化が必要である。運搬用容器においては、上下に重なり合う容器本体間においていわゆる空気抜き作用が充分に行われることにより、積み重ねや分解が容易に行われる必要がある。運搬用容器においては、各種の作業を行う際に向きや姿勢を一定方向に合わせる方向特性を有しないようにすることにより、作業性の向上が図られるようになる。
運搬用容器においては、床面上をスライド移動し或いはローラベルト等の搬送手段に載せて搬送するといった作業が行われる。運搬用容器においては、かかる作業に際して底面の外周縁部位等において引掛かり等が生じることなくスムーズに移動することが可能であることが必要である。運搬用容器においては、転倒等した場合でも内部から液体等がこぼれ出すことがなく充分な密閉性が保持される必要があり、また容器本体に対して蓋体が組み付けた状態を確実に保持される必要がある。
本発明は、作業性の向上、保管や運搬時等における省スペース化、機械的強度の向上を図るとともに、容量仕様を異にしても蓋体の共用化を図る運搬用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明に係る運搬用容器は、長方形若しくは正方形の外形を以って形成された底壁部と、この底壁部の外周縁から外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成されることにより底壁部よりも大きな開口寸法を有する長方形若しくは正方形の開口部を有する収納空間部を内部に構成する4面の外周壁部とからなる有底角筒状に形成された合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する長方形若しくは正方形の外形を以って形成された合成樹脂製の蓋体とから構成される。
容器本体は、各外周壁部に、略逆U字状の断面形状を以って開口縁の全域に亘って一体に形成されるとともに内側面に係止部を設けた係止フランジ部と、それぞれの外側面に係止フランジ部の下方に位置し一体に突出形成された4個の手掛け部と、これら各手掛け部と対向位置するそれぞれの外側面に係止フランジ部の対向部位から下方に向かって次第に幅広とされて底壁部に開放される高さ方向の嵌合ガイド凹部を構成する4個の嵌合ガイドリブ部を形成してなる。蓋体は、外周縁の全周に亘り容器本体側の係止フランジ部を被着可能な略逆U字状の断面形状を以って一体に立設されるとともに係止部と相対して係合部を設けた係合フランジ部を有し、係止フランジ部に囲まれた空間部を容器本体の下方部位の嵌合空間部として構成してなる。
【0008】
運搬用容器においては、容器本体の4面の外周壁部にそれぞれ手掛け部と嵌合ガイド凹部を構成する嵌合ガイドリブ部を形成したことにより、特定の方向や姿勢に制限されることなく載置し或いは手掛け部を把持して持ち運びが可能とされて使い勝手の向上が図られるとともに重ね合わせすることが可能となり、嵌合ガイドリブ部による外周壁部の機械的強度の向上が図られる。運搬用容器においては、略逆U字状の係止フランジ部に対して略逆U字状の係合フランジ部を相対係合させて容器本体に対して蓋体を組みつけることにより機械的強度の向上が図られて容器本体の開口部位の高さを低減して形成することが可能であり、多数個を重ね合わせた状態でスペースの効率化が図られるようになる。運搬用容器においては、相対係合される係止フランジ部と係合フランジ部の間に係合部を形成したことにより、スペースの効率化を図って容器本体に対して蓋体が組み付け状態を確実に保持される。
運搬用容器は、底壁部の底面側に外周縁部位に沿って全域に亘って断面円弧状の外周リブ部を一体に形成し、この外周リブ部を介して各外周壁部を一体に立ち上がり形成してもよい。運搬用容器は、外周リブ部により底壁部の機械的強度の向上が図られるとともに、安定した状態で載置されるようになる。運搬用容器は、断面円弧状の外周リブ部により床面上を安定した状態でスライド移動させることが可能であり、またローラベルト等の搬送手段に載せて搬送する等に際しも引掛りによる転倒等の発生が防止され、作業の効率化が図られるようになる。
【0009】
運搬用容器は、蓋体に、容器本体に組み付けた状態において係止フランジ部の上縁部と突き当たる係合フランジ部の内面に、全域に亘って線接触状態で当接する突当て凸部を形成してもよい。運搬用容器は、係合フランジ部に係止フランジ部を係合させて蓋体を容器本体に組み付けた状態において、突当て凸部が全域に亘って線接触状態で突き当たることにより隙間の発生を無くして収納空間部の密封性が確保される。
運搬用容器は、蓋体に、係合フランジ部の外側面に薄肉のヒンジ部を介して複数のロック片部を一体に形成してもよい。運搬用容器は、これらロック片部を容器本体に組み合わされた状態でヒンジ部を介して回動して係止フランジ部と相対係合させることにより、蓋体のロック状態がより確実に保持される。
運搬用容器は、収納空間部の容量を異にする複数の容量仕様体が使い分けされる。運搬用容器は、各容量仕様体が、外周壁部が開口部からの高さ寸法を異にして形成されることにより、収納空間部の容量を異にするが開口部の開口寸法を同一にして構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成された本発明に係る運搬用容器によれば、容器本体の4面の外周壁部にそれぞれ手掛け部と嵌合ガイド凹部を構成する嵌合ガイドリブ部を形成したことにより特定の方向や姿勢に制限されることなく載置し或いは手掛け部を把持して持ち運びすることが可能とされて使い勝手の向上が図られるとともに重ね合わせることが可能となり、また外周壁部の機械的強度の向上が図られる。本発明に係る運搬用容器によれば、容器本体と蓋体が、略逆U字状の係止フランジ部に略逆U字状の係合フランジ部を相対係合させて機械的強度の向上を図るとともに組み付け状態を強固に保持する係合構造を構成して一体化することから、容器本体の開口部位の高さが低減されて多数個を積み重ねた状態で高さ方向を含む省スペース化が図られるとともに、万一転倒した場合でも容器本体から蓋体が外れて内容物の漏れ出しや飛散が生じることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態として示す運搬用容器を構成する容器本体の正面図である。
【図2】同容器本体の平面図である。
【図3】同容器本体の底面図である。
【図4】同容器本体の上縁部位の構成を示す要部断面図である。
【図5】同容器本体の下縁部位の構成を示す要部断面図である。
【図6】同容器本体の積み重ね操作を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態として示す運搬用容器を構成する蓋体の平面図である。
【図8】同蓋体の断面図である。
【図9】同蓋体の外周部位の構成を示す要部断面図である。
【図10】同蓋体の外周部位の構成及び容器本体に組み付けた状態を示す要部断面図である。
【図11】小容量仕様の運搬用容器を構成する容器本体の正面図である。
【図12】運搬用容器の使用形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
運搬用容器1は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材により一体に形成された容器本体2と、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材により一体に形成されて容器本体2に組み合わされる蓋体3とから構成される。運搬用容器1は、例えば50リッター容量のペール缶と称される容器である。運搬用容器1も、医療機関の各現場に複数個が設置され、所定の容器本体2内に分別された使用済みの注射器等の様々な医療廃棄物が捨てられるようにする。運搬用容器1は、容器本体2に蓋体3を組み付けて各現場から運び出されて集積所へと搬出され、集積所において回収運搬車に乗せられて産業廃棄物処理場へと搬送され再利用されることなくそのまま所定の廃棄処分が行われる。
運搬用容器1は、詳細を後述するように容器本体2に蓋体3を組み付けると外部から開蓋操作を不能とするロック構造により強固に一体化された構成となる。運搬用容器1は、このロック構造によって搬出や一時保管或いは回収運搬車に搭載して搬送する途中等において転倒等することがあっても蓋体3が外れて医療廃棄物が飛散するといった事態の発生を防止する。また、運搬用容器1は、不心得者等が蓋体3を開けて中から医療廃棄物を不正入手するといった行為を防止させる。運搬用容器1は、かかる医療廃棄物の処理用として用いられる場合に、再利用を不可として使い捨てされる。なお、運搬用容器1は、かかる用途に限定されないことは勿論である。
【0013】
容器本体2は、図1乃至図3に示すように、投影形状が長方形状の底壁部4と、4面の第1外周壁部5A乃至第4外周壁部5D(以下、個別に説明する場合を除いて外周壁部5と総称する。)とからなる直方台形状の有底筒体からなる。容器本体2は、底壁部4と外周壁部5により囲まれた内部に、上方を開口した廃棄物を収納する収納空間部6が構成される。容器本体2は、図1及び図2に示すように、外周壁部5が底壁部4から、外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成され、収納空間部6の開口部7が底壁部4よりも大きな開口寸法を有して形成される。なお、容器本体2は、直方台形状の有底筒体に限定されず、例えば立方台形状の有底筒体であってもよい。
容器本体2には、図3及び図5に示すように、底壁部4の底面側にそれぞれ円弧状の断面形状を以って突出する外周リブ部8と内周リブ部9が一体に形成されている。容器本体2は、底壁部4の外周縁が矩形枠状の外周リブ部8により縁取られるとともに、この外周リブ部8を介して外周壁部5が周回りに一体に立ち上がる構成となっている。容器本体2は、内周リブ部9が、外周リブ部8で囲まれた矩形領域内に、相似形の矩形枠を構成して一体に形成される。容器本体2は、底壁部4が、上述した矩形枠状の外周リブ部8と内周リブ部9を一体に形成したことにより機械的強度の向上が図られ、薄型化による軽量化やコスト低減が図られる。なお、容器本体2は、底壁部4の底面側に外周リブ部8のみを形成した構造であってもよい。
【0014】
容器本体2は、運搬用容器1を取り扱うに際して床面上をスライド移動し或いはローラベルト等の搬送手段に載せて搬送するといった作業が行われる。容器本体2は、底壁部4の底面側に上述した円弧状の断面形状でありかつ途切れの無い枠状を以って突出する外周リブ部8と内周リブ部9を一体に形成したことにより作業性の向上が図られる。容器本体2は、底壁部4の外周縁を縁ち取る外周リブ部8により、安定した姿勢で載置することが可能である。容器本体2は、あらゆる移動方向に対しても外周リブ部8や内周リブ部9が床面やローラに引掛かり等することが無いために、スムーズな取り扱いが行われて作業性の向上が図られる。
容器本体2には、図1乃至図3に示すように、外周壁部5の外側面に、第1嵌合ガイド凹部11A乃至第4嵌合ガイド凹部11D(以下、個別に説明する場合を除いて嵌合ガイド凹部11と総称する。)を構成する第1嵌合ガイドリブ部10A乃至第4嵌合ガイドリブ部10D(以下、個別に説明する場合を除いて嵌合ガイドリブ部10と総称する。)が形成されている。嵌合ガイドリブ部10は、外周壁部5の外側面に、幅方向の略中央部に位置して底壁部4から開口部7に亘って収納空間部6内に突出するやや幅広の高さ方向の凸部からなる。嵌合ガイドリブ部10は、突出量を一定として底壁部4側から開口部7側に向かって次第に幅狭とされた側面形状が縦長の台形凸部からなる。
【0015】
容器本体2は、図1に示すように、上述した嵌合ガイドリブ部10を形成することにより4面の外周壁部5にそれぞれ縦長台形の嵌合ガイド凹部11が構成される。嵌合ガイドリブ部10は、その下辺部位が円弧状に面取りされて底壁部4の底面に回り込んでおり、上述した外周リブ部8や内周リブ部9と同様に引掛かりの発生を防止する作用が奏されるようにする。嵌合ガイドリブ部10は、後述するように多数個の容器本体2を積み重ねる際に、位置決めと嵌合ガイドの作用を奏する。
容器本体2は、上述したように嵌合ガイド凹部11を構成する高さ方向の嵌合ガイドリブ部10を形成したことにより、外周壁部5が凹凸の断面形状となって機械的強度の向上や薄型化による軽量化やコスト低減が図られる。容器本体2は、4面の外周壁部5に嵌合ガイド凹部11が形成されるために、多数個の容器本体2をそれぞれ向き合わせすることなく積み重ねることが可能であり作業性の向上が図られるとともに、周囲4面において上段側容器本体2Uの嵌合ガイド凹部11Uに下段側容器本体2Lの収納空間部6L内に突出した嵌合ガイドリブ部10Lを嵌合するようにして積み重ねることにより積み重ね状態が保持される。
【0016】
容器本体2には、図1、図2及び図4に示すように、外周壁部5の上端縁、すなわち開口部7の開口縁に全周に亘って連続する係止フランジ部12が一体に形成される。係止フランジ部12は、後述するように蓋体3を一体化する部位として作用し、図4に示すように、外周壁部5の上縁部位を全域に亘って外側に略逆U字状に折り返すことにより形成される。係止フランジ部12は、外壁部位12Aと内壁部位12Bが逆U字状の折返し頂点部12Cを介して連設されてなり、外壁部位12Aが所定の高さを以って開口部7を鉢巻状に取り囲む構造部位を構成する。
容器本体2は、上述した略逆U字状の断面形状を有する係止フランジ部12を形成したことにより、外周壁部5の上縁部位が全周に亘って2重壁構造を構成することにより機械的強度の向上が図られる。容器本体2は、外周壁部5の上縁部位が折返し頂点部12Cにより厚み有する円滑な曲面として構成され、取り扱い時において作業者等の指先を傷付けるといった事態発生の防止が図られて安全性が確保される。
【0017】
係止フランジ部12には、図4に示すように、円弧状の折返し頂点部12Cのやや下方に位置して内壁部位12Bに全周に亘って環状の係止凹部13が形成される。係止凹部13は、円弧状の環状溝として形成され、後述するように容器本体2に対して蓋体3を組み付けた状態において外部からの開蓋操作を禁止する係止構造を構成する。
容器本体2には、図1、図2及び図4に示すように、4面の外周壁部5に第1手掛け部14A乃至第4手掛け部14D(以下、個別に説明する場合を除いて手掛け部14と総称する。)が設けられる。手掛け部14は、図4に示すように、上述した嵌合ガイドリブ部10により構成された嵌合ガイド凹部11の上端部位に対向位置して、係止フランジ部12の外壁部位12Aの下縁部に一体に突出形成される。
【0018】
手掛け部14は、図4に示すように、係止フランジ部12の外壁部位12Aの下縁部から一体に形成された断面逆L字状の手掛け壁部位15と、この手掛け壁部位15の両側面を閉塞して外周壁部5と一体化する側面壁部位16(16A、16B)と、側面壁部位16を補強するリブ17(17A、17B)とからなり、内部に嵌合ガイド凹部11に開放される手掛け空間部18を構成する。手掛け部14は、手掛け壁部位15の横幅が嵌合ガイド凹部11の横幅よりもやや大きく、側面壁部位16が外周壁部5の外側面から一体に立設される。
手掛け部14は、手掛け空間部18内に嵌合ガイド凹部11の上端部位が入り込んだ構造とし、後述するように多数個の容器本体2を重ね合わせた状態で、下段側容器本体2Lの嵌合ガイド凹部11Lに嵌合された上段側容器本体2Uの嵌合ガイドリブ部10Uと側面壁部位16との間に空気出入り用の隙間を構成する。手掛け部14は、後述するように下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12の高さ分突出した状態で積み重ねられ、相対嵌合される嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11との間から空気の出入りが有効に行われるようにする。
【0019】
以上のように構成された容器本体2は、未使用時には多数個が積み重ねられてスタック体50(図12を参照)を構成することにより、省スペース化を図って保管、運搬が行われる。容器本体2は、図6に示すように、下段側容器本体2Lの収納空間部6U内に上段側容器本体2Uを順次嵌合することにより積み重ねが行われる。容器本体2は、上述したように底壁部4の外形寸法に対して収納空間部6の開口寸法が大きな直方台形状の有底筒体であることから、下段側容器本体2Lの収納空間部6U内に上段側容器本体2Uをその底壁部4U側から落とし込むようにして嵌合することが可能である。
【0020】
上段側容器本体2Uは、下段側容器本体2Lに対して、図6(A)に示すように外周壁部5Uの嵌合ガイド凹部11Uを収納空間部6L内に突出した嵌合ガイドリブ部10Lに嵌合させるようにして収納空間部6L内に押し込まれる。上段側容器本体2U及び下段側容器本体2L(容器本体2)は、上述したように4面の外周壁部5に嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10を形成したことにより、多数個についてそれぞれの向きを気にすることなく下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを順次積み重ねることが可能である。
容器本体2においては、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを収納空間部6内に奥深く押し込むにしたがって、嵌合ガイド凹部11と嵌合ガイドリブ部10のクリアランスが次第に小さくなって嵌合ガイド凹部11内の空気が次第に圧縮される。容器本体2においては、上述したように外周壁部5に、手掛け空間部18内に嵌合ガイド凹部11の上端部位を入り込ませるとともに側面壁部位16との間に空気出入り用の隙間を構成した手掛け部14が設けられている。容器本体2においては、上述した隙間から空気が抜けることにより、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを奥深くまでスムーズに押し込むことが可能である。
【0021】
容器本体2においては、図6(B)に示すように、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12U側の外壁部位12A及び内壁部位12Bの下端縁を係止フランジ部12L側の折返し頂点部12Cに突き当たるまで押し込むことが可能である。容器本体2においては、下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uが、係止フランジ部12Uの高さ寸法分突出した状態で積み重ねられる。容器本体2においては、4面の外周壁部5において嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11が嵌合することにより、安定した状態で多数個が積み重ねられる。容器本体2においては、最下段の容器本体に対して多数個の容器本体をそれぞれ収納空間部6内に嵌合して係止フランジ部12の高さ分の範囲で積み重ねることが可能であり、保管時等において高さ方向のスペース効率化が図られる。
容器本体2においては、使用に際して下段側容器本体2Lに対して上段側容器本体2Uを、手掛け部14を持って引き上げることにより分離する。容器本体2においては、相対嵌合している嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11の上方部位において、上述した手掛け部14により手掛け空間部18を介して隙間が構成されている。容器本体2においては、上段側容器本体2Uを引き上げるにしたがって隙間を介して嵌合ガイドリブ部10と嵌合ガイド凹部11の間に空気が流れ込み、下段側容器本体2Lから上段側容器本体2Uを分離することが可能となる。
【0022】
運搬用容器1においては、廃棄処理を行う際に容器本体2に対して開口部7を閉塞して蓋体3が組み付けられる。運搬用容器1は、蓋体3が、未使用時には上述したように多段に積み重ねた容器本体2とは別に、多段に重ね合わせた状態で保管される。蓋体3は、容器本体2に組み付けると後述するロック構造により外部からの開蓋操作を不能として収納空間部6を密封する。
【0023】
蓋体3は、図7及び図8に示すように、投影形状が長方形状の天井壁部19と、この天井壁部19の外周縁の全周に亘って係合フランジ部20が一体に立ち上がり形成された直方形状の浅皿状体からなる。蓋体3は、天井壁部19が容器本体2の開口部7を閉塞するに足る外形寸法を有し、図9に示すように外周段部21を介してその外周部に全域に亘って係合フランジ部20を一体に立設してなる。
蓋体3は、外周段部21に天井壁部19と係合フランジ部20に連設された多数のリブ22を形成して天井壁部19の強度向上が図られている。蓋体3は、外周段部21により囲まれた天井壁部19の上面が、保管或いは運搬時において上段運搬用容器1Uの積み重ね面を構成する。
蓋体3は、係合フランジ部20が、図9に示すように天井壁部19の外周部から外周段部21を介して立ち上がる枠状立壁からなる内壁部位20Bと、この内壁部位20Bの上端から逆U字状に折り返す折返し頂点部20Cと、この折返し頂点部20Cを介して下方へと折り返されて内壁部位20Bと対向する外壁部位20Aとから構成される。係合フランジ部20は、これら各部位により囲まれて、下方に開口する係合空間部23を構成してなる。
【0024】
係合フランジ部20は、図9に示すように、外壁部位20Aと内壁部位20Bが容器本体2側の係止フランジ部12とほぼ等しい高さを以って形成される。係合フランジ部20は、折返し頂点部20Cが、容器本体2側の折返し頂点部12Cよりも大きな曲率の折り返し部として形成され、各構成部位で囲まれた係合空間部23が係止フランジ部12の外形とほぼ同等の大きさとされて後述するように係止フランジ部12に係合される。
係合フランジ部20には、廃棄等に際して蓋体3を容器本体2に組み付けると、図9鎖線で示すように係合空間部23内に全域に亘って係止フランジ部12が嵌合される。係合フランジ部20は、係止フランジ部12と共同して容器本体2に対する蓋体3の組付け状態を確実に保持するとともに再開蓋操作を不能とするロック構造を構成する。係合フランジ部20には、内壁部位20Bの内面に係合空間部23に全域に亘って突出してロック構造を構成する円弧状断面の係合凸部24が一体に形成されている。
係合凸部24は、蓋体3を容器本体2に組み付けて係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を嵌合すると、図9に示すように容器本体2側の係止フランジ部12に形成した係止凹部13と全域に亘って相対係合する。なお、係合凸部24は、周囲を閉鎖された係合空間部23に突出して形成される部位であるが、蓋体3の成形に際していわゆる金型の無理抜き法により形成することが可能である。
【0025】
蓋体3は、容器本体2に対して、天井壁部19により収納空間部6の開口部7を覆い、係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を全域に亘って嵌合するようにして組み付けられる。蓋体3は、係合フランジ部20の係合空間部23内において係合凸部24が係止凹部13と係合することにより、容器本体2に組み付けられた状態が保持される。蓋体3は、容器本体2に組み付けられた状態において、外周部位が係合フランジ部20に係止フランジ部12が嵌合した多重壁構造となり運搬用容器1が転倒等しても破損が生じることは無く機械的強度の大きな運搬用容器1を構成する。
容器本体2と蓋体3は、上述したように外部から視認されない蓋体3側の係合フランジ部20に構成された係合空間部23内において係止凹部13と係合凸部24が係合するロック構造を構成することで、外部から開蓋操作を行われないようにする。また、容器本体2と蓋体3は、このロック構造を多重壁構造の係合部位内に構成したことにより、例えば係合部位を全体に亘って破壊しなければ開蓋することができない構造を構成して組み付け状態が確実に保持される。
なお、容器本体2と蓋体3は、係止フランジ部12の内壁部位12Bの内面に係止凹部13を形成するとともに、相対する係合フランジ部20の内壁部位20Bの内面に係合凸部24を形成してロック構造を構成したが、かかるロック構造に限定されないことは勿論である。容器本体2と蓋体3は、係止フランジ部12の外壁部位12Aの外面に係止凹部13を形成するとともに、係合フランジ部20の内壁部位20Bの内面に係合凸部24を形成してもよい。
【0026】
また、容器本体2と蓋体3は、係止凹部13と係合凸部24を相対係合する断面円弧状の凹部と凸部により構成したが、かかる形状に限定されないことは勿論である。容器本体2と蓋体3は、例えば高さ方向に対して次第に突出量が大きくなり、上端或いは下端において係止段部を形成した楔状の凸部の組み合わせによりロック構造を構成するようにしてもよい。かかるロック構造は、さらにロック強度が大きい。
【0027】
運搬用容器1は、医療現場に設置して用いることから容器本体2の収納空間部6には様々な医療廃棄物が投入される。運搬用容器1は、容器本体2に蓋体3を組み付けてそのまま廃棄処分されるが、保管時や運搬時において転倒等した場合に開口部7と蓋体3との間に隙間がある場合に液漏れ等が生じる虞がある。運搬用容器1は、上述したロック構造により容器本体2に対して蓋体3が組み付け状態を強固に保持されるが、さらに蓋体3に開口部7との密封性を保持する密封構造が設けられる。
蓋体3は、上述したように係合フランジ部20と係止フランジ部12を嵌合して容器本体2に組み付けられ、その際に係合フランジ部20の折返し頂点部20Cの内面に係止フランジ部12の折返し頂点部12Cが突き当てられる。係合フランジ部20には、図9に示すように、折返し頂点部20Cの内面に、全域に亘ってリブ状の突当て凸部25が一体に形成される。
【0028】
蓋体3は、容器本体2に組み付けた状態において、係合フランジ部20の突当て凸部25が相対する係止フランジ部12の折返し頂点部12Cに対して全域に亘って線接触状態で当接する。蓋体3は、係合フランジ部20と係止フランジ部12の間において面接触による隙間の発生を無くし、容器本体2の開口部7を全域に亘って確実に密封する。
運搬用容器1は、上述したように係止フランジ部12の係止凹部13と係合フランジ部20の係合凸部24により、容器本体2と蓋体3との間にロック構造を構成する。運搬用容器1は、上述したロック構造が、係合フランジ部20の係合空間部23内に係止フランジ部12を全域に亘って確実に嵌合させることにより所定のロック機能が奏される。運搬用容器1には、この嵌合操作が確実に行われたことを確認し、さらに容器本体2と蓋体3の組み付け状態を確実に保持するために、蓋体3に複数個のロック片部26(26A乃至26D)が形成されている。
【0029】
蓋体3には、図7に示すように係合フランジ部20の一方長辺の外側面に長さ方向に離間して一対のロック片部26A、26Bが一体に形成されるとともに、相対する他方長辺の外側面にも長さ方向に離間して一対のロック片部26C、26Dが一体に形成される。なお、蓋体3は、4個のロック片部26に限定されず、また必要に応じて係合フランジ部20の短辺に形成してもよい。
ロック片部26は、図10に示すように、係合フランジ部20の外壁部位20Aから薄肉のヒンジ部28を介して一体に突出形成され、先端部を直角に折曲してロック部29を一体に形成してなる。ロック片部26は、ヒンジ部28を介して外壁部位20A側へと折曲した際に、ロック部29が外壁部位20Aの下端から突出する長さ(高さ)を有して形成される。
ロック片部26は、容器本体2に対して蓋体3を組み付けた状態において、ヒンジ部28を介して外壁部位20A側へと折曲される。ロック片部26は、図10(B)に示すように係合フランジ部20の外壁部位20Aの下端から突出した係止フランジ部12の外壁部位12Aの下端にロック部29が相対係合する。ロック片部26は、これにより係合フランジ部20と係止フランジ部12の嵌合状態を保持する。
【0030】
上述した実施の形態として示した運搬用容器1は、50リッター容量の運搬用容器であるが、医療現場においては収納空間部の容量を異にする複数仕様の運搬用容器も混在して使用される。本発明においては、容量仕様に応じて大きさを異にする容器本体が用いられるが、蓋体については同一仕様のものを共用することが可能である。図11に第2の実施の形態として示した容器本体40は、20リッター容量の運搬用容器である。容器本体40は、基本的な構成を上述した運搬用容器1と同様に構成されることから、対応する部位には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
容器本体40も、4面の外周壁部41を底壁部4の各辺の外周縁からそれぞれ外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成するが、開口部7を上述した50リッター容量仕様の容器本体2と同一の開口寸法を以って形成する。容器本体40は、外周壁部41が、開口部7を構成する上端縁から所定の高さ寸法Hに形成されることにより内部に20リッター容量の収納空間部6を構成する。容器本体40は、底壁部4の外形寸法が50リッター容量仕様の容器本体2の底壁部4よりも大きな外形寸法を以って形成される。
なお、容器本体40にも、外周壁部41に開口部7を囲んで組み付けられた蓋体3の係合フランジ部20が係合される係止フランジ部12が周回りに一体に形成される。容器本体40にも、4面の外周壁部41に縦長台形の嵌合ガイド凹部11を構成する嵌合ガイドリブ部10が形成されて機械的強度の向上が図られる。容器本体40にも、4面の外周壁部41にそれぞれ手掛け部14が一体に形成されている。
【0032】
容器本体40は、上述したように大型の容器本体2と同一形状の開口部7を構成して形成されることにより、蓋体3が共用して用いられる。容器本体40においても、未使用時には多数個が多段に積み重ねられて保管され、廃棄処理を行う際に開口部7を閉塞して蓋体3が組み付けられる。容器本体40においても、組み付けた蓋体3が、相対係合した係止フランジ部12と係合フランジ部20及びこれらの間に構成されたロック構造により外部からの開蓋操作を不能として収納空間部6を密封する。
なお、容器本体40は、容量仕様に応じて外周壁部41が開口部7からの高さ寸法を異にして形成されるが、上述したように開口部7が同一形状を以って形成される。容器本体40も、保管或いは運搬時において等に際して下段の運搬用容器1Lの蓋体3Lの天井壁部19上に積み重ねられる。容器本体40は、この場合に同一仕様の運搬用容器ばかりでなく、容量仕様を異にする運搬用容器上にも積み重ねることが可能である。
【0033】
以上のように構成された容器本体2、40と蓋体3とから構成される運搬用容器1は、未使用状態において容器本体2、40と蓋体3が分離され、図12(A)に示すようにそれぞれ多数個が積み重ねられてスタック体50として保管される。運搬用容器1は、容器本体2、40が嵌合ガイド凹部11内から空気抜き構造により有効な空気抜きが行われることで、簡易な作業により多数個を積み重ねることが可能である。運搬用容器1は、容量仕様を異にする容器本体2と容器本体40が、同一形状の開口部7、すなわち投影形状を同一とすることにより、同図(B)に示すようにそれぞれのスタック体50を側面が接触するようにして並べて保管することが可能であり、保管の省スペース化が図られるようにする。
【0034】
運搬用容器1は、例えば医療現場からの要求によって、図12(C)に示すようにスタック体50から容器本体2或いは容器本体40及び蓋体3がそれぞれ1個ずつに分離されて提供される。運搬用容器1は、容器本体2、40が上述した空気抜き構造により嵌合ガイド凹部11内への有効な空気流入が行われて簡易な作業により1個ずつに分離することが可能である。運搬用容器1は、医療現場においてそれぞれから発生する各種医療廃棄物が容器本体2や容器本体40の収納空間部6内に廃棄される。運搬用容器1は、医療現場において容器本体2、40に対して蓋体3が組み付けられて収納空間部6を密封した状態で廃棄処分が行われる。
運搬用容器1は、図12(D)に示すように各医療現場を回る運搬車に乗せられて集積所等に運搬されるが、同図に示すように容量仕様を異にするものであっても種別を合わせる手間を不要にして順次積み重ねることが可能である。また、運搬用容器1は、外周壁部5、41の各面に手掛け部14を形成したことにより、特定の方向や姿勢に制限されることなく手掛け部を把持して持ち運びすることが可能であり、使い勝手の向上による作業の大幅な効率化が図られる。
【0035】
運搬用容器1は、例えば集積所等においてパレットに載せ替えられて処分場に搬送されるが、その際にも図12(E)に示すように容量仕様を異にするものであっても種別を合わせることなく順次積み重ねられる。運搬用容器1は、各工程において行われる積み重ね作業を効率化するとともに、高さ方向を含む省スペース化が図られるようにする。運搬用容器1は、上述したように各工程において、4面の外周壁部5に形成した手掛け部14や底壁部4の外周リブ部8や内周リブ部9の構造により作業性の向上を図り転倒等が生じることなく取り扱うことが可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 運搬用容器、2 容器本体、3 蓋体、4 底壁部、5 外周壁部、6 収納空間部、7 開口部、8 外周リブ部、9 内周リブ部、10 嵌合ガイドリブ部、11 嵌合ガイド凹部、12 係止フランジ部、13 係止凹部、14 手掛け部、18 手掛け空間部、19 天井壁部、20 係合フランジ部、21 外周段部、23 係合空間部、24 係合凸部、25 突当て凸部、26 ロック片部、40 容器本体、41 外周壁部、50 スタック体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形若しくは正方形の外形を以って形成された底壁部と、この底壁部の外周縁から外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成されることにより前記底壁部よりも大きな開口寸法を有する長方形若しくは正方形の開口部を有する収納空間部を内部に構成する4面の外周壁部とからなる有底角筒状に形成され、前記各外周壁部に、略逆U字状の断面形状を以って開口縁の全域に亘って一体に形成されるとともに内側面に係止部を設けた係止フランジ部と、それぞれの外側面に前記係止フランジ部の下方に位置し一体に突出形成された4個の手掛け部と、これら各手掛け部と対向位置するそれぞれの外側面に前記係止フランジ部の対向部位から下方に向かって次第に幅広とされて前記底壁部に開放される高さ方向の嵌合ガイド凹部を構成する4個の嵌合ガイドリブ部を形成してなる合成樹脂製の容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する長方形若しくは正方形の外形を以って形成され、外周縁の全周に亘り前記容器本体側の前記係止フランジ部を被着可能な略逆U字状の断面形状を以って一体に立設されるとともに前記係止部と相対して係合部を設けた係合フランジ部を有し、前記係止フランジ部に囲まれた空間部を前記容器本体の下方部位の嵌合空間部として構成してなる合成樹脂製の蓋体
とから構成される運搬用容器。
【請求項2】
前記底壁部には、底面側の外周縁部位に沿って全域に亘って断面円弧状の外周リブ部が一体に形成されるとともに、この外周リブ部を介して前記外周壁部を一体に立ち上がり形成してなる請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記蓋体には、前記容器本体に組み付けた状態において前記係止フランジ部の上縁部と突き当たる前記係合フランジ部の内面に、全域に亘って線接触状態で当接する突当て凸部が形成される請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記蓋体には、前記係合フランジ部の外側面に薄肉のヒンジ部を介して複数のロック片部が一体に形成され、これらロック片部を前記容器本体に組み合わされた状態で前記ヒンジ部を介して回動して前記係止フランジ部と相対係合させてロック状態とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項5】
前記外周壁部が前記開口部からの高さ寸法を異にして形成されることにより、前記収納空間部の容量を異にするが前記開口部の開口寸法を同一とした複数の容量仕様体を構成する請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項1】
長方形若しくは正方形の外形を以って形成された底壁部と、この底壁部の外周縁から外方に向かって次第に傾斜する立壁として一体に立ち上がり形成されることにより前記底壁部よりも大きな開口寸法を有する長方形若しくは正方形の開口部を有する収納空間部を内部に構成する4面の外周壁部とからなる有底角筒状に形成され、前記各外周壁部に、略逆U字状の断面形状を以って開口縁の全域に亘って一体に形成されるとともに内側面に係止部を設けた係止フランジ部と、それぞれの外側面に前記係止フランジ部の下方に位置し一体に突出形成された4個の手掛け部と、これら各手掛け部と対向位置するそれぞれの外側面に前記係止フランジ部の対向部位から下方に向かって次第に幅広とされて前記底壁部に開放される高さ方向の嵌合ガイド凹部を構成する4個の嵌合ガイドリブ部を形成してなる合成樹脂製の容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を閉塞するに足る外形寸法を有する長方形若しくは正方形の外形を以って形成され、外周縁の全周に亘り前記容器本体側の前記係止フランジ部を被着可能な略逆U字状の断面形状を以って一体に立設されるとともに前記係止部と相対して係合部を設けた係合フランジ部を有し、前記係止フランジ部に囲まれた空間部を前記容器本体の下方部位の嵌合空間部として構成してなる合成樹脂製の蓋体
とから構成される運搬用容器。
【請求項2】
前記底壁部には、底面側の外周縁部位に沿って全域に亘って断面円弧状の外周リブ部が一体に形成されるとともに、この外周リブ部を介して前記外周壁部を一体に立ち上がり形成してなる請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記蓋体には、前記容器本体に組み付けた状態において前記係止フランジ部の上縁部と突き当たる前記係合フランジ部の内面に、全域に亘って線接触状態で当接する突当て凸部が形成される請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記蓋体には、前記係合フランジ部の外側面に薄肉のヒンジ部を介して複数のロック片部が一体に形成され、これらロック片部を前記容器本体に組み合わされた状態で前記ヒンジ部を介して回動して前記係止フランジ部と相対係合させてロック状態とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項5】
前記外周壁部が前記開口部からの高さ寸法を異にして形成されることにより、前記収納空間部の容量を異にするが前記開口部の開口寸法を同一とした複数の容量仕様体を構成する請求項1に記載の運搬用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−168283(P2011−168283A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31355(P2010−31355)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(510035864)NEXT STAGE 株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(510035864)NEXT STAGE 株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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