説明

運転危険予測学習支援システム

【課題】教習者の効率的な運転技術習得を支援する運転危険予測学習支援システムを提供する。
【解決手段】
車両の運行状況を画像データとして記録する第1記録部と、前記車両を運転する教習者の運転操作に関する情報、前記車両に同乗する教官の運転指示動作に関する情報および前記車両の走行に関する情報を記録する第2記録部と、前記運転操作、前記運転指示動作および前記走行における変化のうち時間的変化率が所定値以上の変化を挙動としてそれぞれ検出する挙動検出部と、検出された各挙動間の関連性を検出する関連性検出部と、検出された前記関連性に基づき前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する編集部とを備える運転危険予測学習支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、教習者の効率的な運転技術習得を支援する運転危険予測学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全国の自動車教習所では、若者の自動車離れや将来の少子化の影響等を見据え、車載カメラやドライブシミュレータなどの設備投資を導入し、教習者の効率的な学習を支援している。
【0003】
例えば、車載カメラは、教習者の運転技術の確認用に導入されている。車載カメラは教習者の運転記録には有用であるが、初心者である教習者が自己の運転記録を見てもポイントの把握が容易ではない。それゆえ、教習時に同乗していた教官による的確な評価が効率的な学習の実現に不可欠である。しかしながら、現在の教習所の指導体制においては、教官の人数が限られているため、教官が教習者の運転記録を逐一チェックして適切なアドバイスを行うことは時間の制約等から困難である。
【0004】
一方、ドライブシミュレータも効率的な運転技術習得のため導入されている。しかしながら、ドライブシミュレータは実際の路上で起こりうる全ての危険の可能性をシミュレートしているわけではないため、必ずしも実際の運転状況を反映するものではない。また、ドライブシミュレータによる運転技能の習得は、おおむね受け身であるため、形式的な作業になることが多い。さらに、教習者はドライブシミュレータを用いなければ自分の運転を見返す術がなく、教習者の自主的な学習が困難である。
【0005】
そのため、教習者の運転中のデータを記録装置によって記録し、記録されたデータを解析して教習者の運転特性を診断する技術や、当該技術を用いたソフトウェアの開発など、教習時間以外の教習者の自主的な学習をサポートする様々な技術が提案されている。
【0006】
例えば、教習者の運転操作情報や車両の走行情報を記録し、記録された情報から教習者の運転技術を診断し、教習後に診断結果とともに関連する走行情報を記録した画像データを教習者に提示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、車両の特徴的な挙動をセンサで記録し、これを診断装置で診断することによって、教習者の運転技術を効率的に診断するシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、教習中の車両の周囲や教習者の画像データおよび運転操作の出力等を記録して教習者に表示することにより、教習者が教習中の運転状況を的確に把握できる技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開1998−97179号公報
【特許文献2】特開2002−211265号公報
【特許文献3】特開2008−064774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
路上運転において、事故の回避に最も重要な要素は、危険をはらむ場面を素早く認知する危険予測であり、質の高いドライバーの養成には、危険を生じる可能性の高い運転操作や車両の状況をピンポイントで抜き出し、教習者が繰り返し復習できる環境を整えることが重要である。
【0009】
ここで、「危険をはらむ場面」とは、危険を生じるおそれのある場面のことである。例えば、教習において結果として無事故であった場面でも、教官からみて危険が生じる可能性が高いと認識される場面は、危険をはらむ場面に該当する。
具体例として、教習者が見通しの悪い交差点で一時停止せずに通過した場合や、前後の確認を十分せずにバックをした場合などは、教習の結果、無事故であったとしても、危険をはらむ場面に該当し、安全性の面からこのような危険運転を見過ごすべきではない。
【0010】
また、カーブ時にハンドル等に視線が集中してしまう癖が教習者にある場合、結果としてうまくカーブできたとしても、危険をはらむ場面として認識される。
さらに、運転中に話しかけられると混乱してブレーキとアクセルとを取り違えてしまう癖が教習者にある場合も、最終的にブレーキを適切なタイミングで踏んでいたとしても、危険をはらむ場面として認識される。
【0011】
このような教習者の不注意や癖は、教習者自身によっても見過される可能性が高く、実際に事故につながる可能性の高い場面(例えば、運転中の不注意によるニアミス等のヒヤリ、ハットする場面)に遭遇して初めて認識される場合が多い。
【0012】
一方、車載カメラに教習者の運転状況を記録しても、初心者である教習者が短時間の教習時間内で記録画像を分析して、危険をはらむ場面を特定するのは極めて困難である。それゆえ、危険をはらむ場面の特定には、教官による記録画像のチェックが必要不可欠といえるが、教習所における教官の限られた人数を考慮すると実現が容易ではない。また、教習者の悪い癖を改めさせるには、教習者に繰り返し問題を認識させる必要があるが、教習時間の制約上、これも困難がある。
【0013】
それゆえ、致命的な事故につながる可能性の高い教習者の不注意や癖など、致命的な事故につながる可能性の高い場面を特定し、教習者が自分自身で繰り返し復習できる効率的な学習支援装置の実現が求められていた。
【0014】
この発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、教習者の運転操作に関する情報、教官の運転指示動作に関する情報および車両の走行に関する情報から危険をはらむ場面につながる特定の情報を収集し、教習者の効率的な運転技術習得を支援する運転危険予測学習支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明による運転危険予測学習支援システムは、車両の運行状況を画像データとして記録する第1記録部と、前記教習者の運転操作に関する情報、前記車両に同乗する教官の運転指示動作に関する情報および前記車両の走行に関する情報を記録する第2記録部と、前記運転操作、前記運転指示動作および前記走行における変化のうち時間的変化率が所定値以上の変化を挙動としてそれぞれ検出する挙動検出部と、検出された各挙動間の関連性を検出する関連性検出部と、検出された前記関連性に基づき前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する編集部とを備える運転危険予測学習支援システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明による運転危険予測学習支援システムによれば、教習者の運転操作に関する情報、教官の運転指示動作に関する情報および車両の走行に関する情報から運転操作、運転指示動作および車両走行の挙動の関連性を検出し、それらの関連性に基づき、特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像を生成することにより、教習者の効率的な運転技術習得の支援が実現できる。
【0017】
また、直接的な事故には至らずとも、事故につながる可能性の高い危険をはらむ場面(特に、教習者単独では気づきにくい運転操作の癖や、運転中の不注意によるニアミス等のヒヤリ、ハットする場面)を挙動の関連性から特定し、教習者に繰り返し認識させることにより、危険の事前回避のための効率的な学習が実現できる。
【0018】
車両に同乗する教官が教習中に危険をはらむ場面に遭遇したと判断した場合、適切なタイミングで運転指示動作(例えば、教官のブレーキ、アクセルまたは音声指示など)を行うことにより、教習者の運転操作や車両の動きに直接反映されないような場面も、重要な場面として特定可能になる。その結果、教習者が見落としがちな運転操作や車両走行も、教官の運転指示動作との関連性で重要なものと判断されれば、教習画像に編集される。当該編集画像を教習者が繰り返し復習することにより、効率的な危険予測学習が実現可能となる。
【0019】
具体的な例としては、視界の開けた直線コース上に出ると、油断や安心感からよそ見をしてしまう癖をもつ教習者の運転の場合、このような危険な運転特性は、実際に事故でも生じないかぎり、運転操作や車両の動作として明示的には現れない。
【0020】
しかしながら、当該教習者と同乗する教官が、このような教習者の危険な運転に気づいた時点で所定の運転指示動作を行うことにより、教習者の危険な運転特性が、当該運転指示動作との関連性によって明示的に記録される。その結果、運転操作に関する情報および車両走行に関する情報に直接反映されない危険をはらむ場面も、明示的なデータとして記録可能になり、危険の事前回避に役立つ運転危険予測学習支援が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施形態に係る運転危険予測学習支援システムを示す説明図である。
【図2】この発明の実施形態に係る運転危険予測学習支援システムの概要を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施形態に係る教習情報記録装置の詳細を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施形態に係るメモリ媒体の詳細を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の詳細を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施形態に係る教習情報記録装置の教習情報の検出手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の解析手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の関連挙動の検出手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施形態に係る教習コースの一例を示す説明図である。
【図10】この発明の実施形態に係る各挙動間の関連性の検出の一例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の教習画像の編集の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明による運転危険予測学習支援システムは、車両の運行状況を画像データとして記録する第1記録部と、前記車両を運転する教習者の運転操作に関する情報、前記車両に同乗する教官の運転指示動作に関する情報および前記車両の走行に関する情報を記録する第2記録部と、前記運転操作、前記運転指示動作および前記走行における変化のうち時間的変化率が所定値以上のものを挙動としてそれぞれ検出する挙動検出部と、検出された各挙動間の関連性を検出する関連性検出部と、検出された前記関連性に基づき、前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する編集部とを備える。
【0023】
「車両の運行状況」とは、運転席から見た車両前方の状況、サイドミラーやバックミラーに映る車両後方の状況など、教習中の車両の状況である。
「画像データ」とは、車載カメラが撮影した車両の運行状況の画像データである。
【0024】
「運転操作に関する情報」とは、車両を運転する教習者のハンドル操作によるハンドルの回転角(ステアリング回転角)や、教習者によるアクセルまたはブレーキの踏込圧など、教習者による教習中の車両の操作に関する情報である。
【0025】
「運転指示動作に関する情報」とは、教習者が運転する車両に同乗する教官によるアクセルまたはブレーキの踏込圧、教官によるスイッチ入力情報の有無など、教官による教習中の指示に関する情報である。教習者に対する教官の指示音声も含まれる。
【0026】
「車両走行に関する情報」とは、車両の加速度センサやスピードセンサ、GPS(Global Positioning System)受信機など、教習中の車両の走行に関する情報である。
【0027】
「挙動」とは、運転操作に関する情報、運転指示動作に関する情報および車両走行に関する情報のうち、時間的変化率が所定値のものである。
挙動の具体例としては、運転操作挙動の場合、教習者による急ブレーキや急アクセル、ハンドルの急回転、また運転指示動作挙動の場合、教官による急ブレーキや急アクセル、スイッチ入力情報の検出、指示音声の検出、さらに車両走行挙動の場合、車両の急加速や急旋回、バック走行への切り替えなどが挙げられる。
【0028】
「関連性」のある挙動(関連挙動)とは、時系列的に連動する一連の挙動であり、例えば、教習者がアクセルを強く踏み込んだ直後に、車両が急加速した場合や、教習者がハンドルを急回転した直後に教官がブレーキをかけ、車両が急カーブした場合などがあげられる。
【0029】
「特定の画像」とは、例えば事故につながる可能性の高い場面(例えば、運転中の不注意によるニアミス等のヒヤリ、ハットする場面)に関連するものと認識される画像である。
【0030】
「編集」とは、第1記録部に記録された画像のうち、特定の画像のみ収集して教習用の画像を生成することである。編集部は、互いに関連する挙動をひとまとまりの画像として収集し合成することにより教習画像を生成する。
【0031】
「教習用の画像」とは、教官が不在でも教習者独自で繰り返し反復学習可能な画像である。
【0032】
この発明による運転危険予測学習支援システムにおいて、前記関連性検出部は、前記運転指示動作における挙動を含む所定期間内に前記運転操作による挙動または前記車両走行による挙動が存在する場合、前記運転指示動作に関する情報に対して前記運転操作または前記車両走行における挙動を関連性のある挙動として検出し、前記編集部は、前記画像データから前記所定期間の画像データを収集し、教習用の画像として編集するものであってもよい。
【0033】
このようにすれば、教官が運転指示動作挙動を発した前後で運転操作挙動や車両走行挙動が生じた場合、それらの挙動は関連性のある挙動(関連挙動)として、当該教官の運転指示動作挙動と併せて編集部により収集され、教習用の画像として編集される。
具体的には、教官によるアクセル、ブレーキおよび音声等の教官の挙動時点やスイッチ入力した時点を含む所定の期間内に挙動があるか否かで挙動間の関連性を検出する。
【0034】
具体的な例として、教習者が誤ってアクセルを強く踏み込みすぎた直後に教官がブレーキを踏んだ場合や、教官が所定の運転指示動作を行った直後に教習者が当該運転指示動作に従って急ハンドルや急ブレーキ等の操作を行った場合などがあげられる。なお、急ハンドルは急ブレーキでなく、音声や身振りによって教習者に指示を行う場合、教官は、所定のスイッチを入力することにより運転指示動作を行ったことを示す。
【0035】
それゆえ、運転指示動作挙動と深い関連性を有する原因または結果の挙動のみが、教官の意図に沿わない(すなわち、教官が望ましくないと判断した)挙動として、編集部により収集される。一方、当該運転指示動作挙動と関連性のない挙動は、教官の意図に沿った(すなわち、教官が望ましいと判断した)挙動として省かれる。その結果、効率的な学習支援を実現する教習画像を作成できる。
【0036】
一方、教官の意図に沿う挙動の例としては、教習者による急アクセルや急ハンドル等の挙動が適切と教官が判断したため、当該挙動の前後で運転指示動作がない場合などがあげられる。このような場合、当該挙動に関するかぎり、教習者は正しい操作を身につけているため、編集部の収集対象から省かれ、教官の意図に沿った実践的な教習画像の編集が実現できる。それゆえ、教官による画像の編集等の作業が不要であり、教官の手間が省ける。また、教官の意図するポイントのみを、教習者だけで何度も繰り返し復習でき、効率的な学習支援が実現できる。
【0037】
この発明による運転危険予測学習支援システムにおいて、優先して収集すべき前記各挙動の優先度を設定する優先挙動設定部をさらに備え、前記編集部は、前記関連性および前記優先度に基づき、前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集するものであってもよい。
【0038】
この発明による運転危険予測学習支援システムにおいて、優先して収集すべき前記各挙動の優先度を設定する優先挙動設定部をさらに備え、前記編集部は、前記関連性および前記優先度に基づき、前記音声データから特定の場面の音声データを収集し、教習用の音声として編集するものであってもよい。
【0039】
このようにすれば、運転技術は高いが危険予測が甘い傾向にある教習者には、運転指示動作挙動のうち教官のアドバイスを優先して編集した教習画像を提供し、一方、慎重に運転するが、運転技術が未熟な教習者には、運転操作を優先して編集した教習画像を提供することにより、教習者の学習目的に合わせた効率的な学習支援が実現できる。
【0040】
この発明による運転危険予測学習支援システムにおいて、教官の運転指示動作に関する情報は、教官による少なくとも1種類のスイッチ入力情報をさらに含み、前記編集部は、前記関連性および前記優先度および前記スイッチ入力情報に基づき、前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集するものであってもよい。
【0041】
このようにすれば、教官が周囲の状況に応じて対応する種類のスイッチを入力することにより、具体的な状況に応じた教習画像が提供でき、教官の指導方針に沿った効率的な学習支援が実現できる。
【0042】
例えば、車両の内部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報1を、車両1の外部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報2として、その入力情報を考慮して編集した教習画像を提供することにより、教官の指導方針に沿った効率的な学習支援が実現可能となる。
【0043】
この発明による運転危険予測学習支援システムにおいて、前記教習者および前記教官の音声を音声データとして記録する第3記録部をさらに備え、前記運転指示動作に関する情報は、教官の音声による情報からなり、前記編集部は、前記所定期間の音声データを収集し、前記教習用の音声として編集する機能をさらに備えるものであってもよい。
【0044】
このようにすれば、教官が運転指示動作としての音声を発した前後で運転操作挙動や車両走行挙動が生じた場合、それらの挙動は関連性のある挙動として記録されるが、当該音声もデータとして記録され、編集画像に組み込まれて教習者に提供される。その結果、教習画像を確認しながら、場面に応じた教官のアドバイスを聞いて繰り返し復習できるため、効率的な学習支援が実現できる。
【0045】
例えば、教官が教習者にカーブすべき旨の指示音声を発した後に、教習者がハンドルを操作して車両をカーブさせた場合や、教習者が車両を加速しすぎた後に、教官がスピードを落とす旨の指示音声を発した場合などが該当する。このとき、教官の音声が関連挙動を記録した教習画像とともに教習者に提示されるため、教習者は危険をはらむ場面の重要なポイントを教官の的確なアドバイスとして聞くことができ、効率的な学習が可能となる。
【0046】
一方、急カーブや急加速、ブレーキ等以外の運転操作に関する情報や車両走行に関する情報に特段の変化(挙動)が見られないときに教官が音声を発した場合、関連挙動として記録されない。それゆえ、教習者の運転操作や車両の動作とは無関係に、教官が単なる感想や雑談等を行ったとしても、これらの音声情報は運転操作挙動や車両走行挙動とは無関係な音声として除外できるため、効率的な学習支援が実現できる。
【0047】
以下、図面に基づいて、この発明による運転危険予測学習システムについて詳述する。なお、以下の説明はすべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0048】
図1は、この発明の実施形態に係る運転危険予測学習支援システムを示す説明図である。
図1(A)に示すように、教習情報記録装置100は、車両1に搭載される。教習中に車両1のセンサによって検出されたデータは、図1(B)に示すように、教習情報記録装置100に接続されたDVD−RAM等のメモリ媒体20に記録される。教習後、メモリ媒体20を教習情報記録装置100からはずし、図1(C)に示すように、教習情報解析装置200に接続することにより、運転危険予測学習支援が実現する。
【0049】
なお、この実施形態において、教習情報記録装置100は、車両に搭載されるものを想定しているが、車両のセンサによって検出されたデータを、インターネット接続を通じて、直接パーソナルコンピュータ内のメモリに記録する形式であってもよい。
【0050】
≪運転危険予測学習支援システムの概要≫
この発明の運転危険予測学習支援システムの構成について、図2に基づいて説明する。
【0051】
図2は、この発明の実施形態に係る運転危険予測学習支援システムの概要を示すブロック図である。
図2に示されるように、この発明の構成例にかかる運転危険予測学習支援システム300は、教習情報記録装置100および教習情報解析装置200を含む。
教習情報記録装置100は、第1記録部s100および第2記録部s200を含む。
教習情報解析装置200は、編集部270、挙動検出部250および関連性検出部260を含む。
【0052】
教習情報記録装置100は、第1記録部s100および第2記録部s200を含む。
第1記録部s100は、運転中の教習者から見た車両1の運行状況を記録する。
第2記録部s200は、教習中に車両1を運転する教習者の運転操作に関する情報と、車両1の車両走行に関する情報と、車両1に同乗する教習者の教官の運転指示動作に関する情報とをそれぞれ検出し、検出されたデータを時系列的に記録する。
なお、教習情報解析装置200の詳細な構成例については、後に詳述する。
【0053】
教習情報解析装置200は、教習情報記録装置100によって記録された時系列データを読み込んで解析する機能を有する。
なお、教習情報解析装置200の詳細な構成例については、後に詳述する。
【0054】
≪教習情報記録装置の詳細な構成≫
この発明の教習情報記録装置の構成について、図3に基づいて説明する。
【0055】
図3は、この発明の実施形態に係る教習情報記録装置100の詳細を示すブロック図である。
図3に示されるように、この発明の構成例にかかる教習情報記録装置100は、IDリーダs11、日時検出部s12、第1CPU110、第1バッファ部120、第1メモリ媒体接続部130、第1記録部s100、第2記録部s200および第3記録部s300を含む。
【0056】
第2記録部s200は、運転操作情報記録部s210、運転指示動作情報記録部s220、車両走行情報記録部s230を含む。
運転操作情報記録部s210は、ステアリングセンサs211、アクセルセンサs212、ブレーキセンサs213を含む。
運転指示動作情報記録部s220は、教官マイクs221、教官アクセルセンサs222,教官ブレーキセンサs223を含む。
車両走行情報記録部s230は、GPS受信機s231、加速度センサs232、スピードセンサs233を含む。
【0057】
第1CPU110は、教習情報記録装置の各部を制御する。第1CPU110は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路のいずれか、またはそれらの組み合わせで構成されてもよい。
【0058】
第1バッファ部120は、第1CPU110によってデータアクセスされ、一時的にデータを記憶するワークメモリとして使用するRAM(Random Access Memory)である。第1バッファ部120は、第1メモリ媒体接続部130において読み出された画像データおよび音声データ等の各種教習情報を、第1CPU110を経由して保存する。なお、各部とバスで接続されていて、DMA(Direct Memory Access)により、第1CPU110を介さずにデータ転送を行ってもよい。
【0059】
第1メモリ媒体接続部130は、メモリ媒体20を着脱自在に収容して、教習情報記録装置100からのデータの書き込みを支援する。
【0060】
IDリーダs11は、教習者のID(識別情報)を記録したIC(Integrated Circuit)カードや磁気カード等のIDカード10が挿入されたとき、IDカード10から教習者のIDその他の個人情報を読み取り、教習者の認証を行う。認証された個人情報は、IDとともにメモリ媒体20に記録される。
日時検出部s12は、教習が行われた日付と教習中の時刻を検出する。なお、図示しないGPS衛星からGPS受信機s231を用いて時刻を受信してもよい。
【0061】
第1記録部s100は、車載カメラを含み、当該車載カメラは、車両1の運転席から見た車両前方の状況、サイドミラーやバックミラーに映る車両後方の状況など、教習者から見た教習中の車両の運行状況を撮像し、画像として記録する。
第2記録部s300は、車内マイクを含み、当該車内マイクは、車両1内部の教習者および教官の音声を記録する。
【0062】
第2記録部s200は、教習中の教習者、教官および車両の各データをそれぞれ運転操作情報記録部s210、運転指示動作情報記録部s220および車両走行情報記録部s230により時系列的に検出する。
【0063】
運転操作情報記録部s210は、s211〜s213を含む各種センサを通じて、教習中の教習者の運転操作に関する情報を検出する。
ステアリングセンサs211は、教習者が操作したハンドル回転角(ステアリング回転角)を検出する。
アクセルセンサs212は、教習中の教習者によるアクセルの踏込圧を検出する。
ブレーキセンサs213は、教習中の教習者によるブレーキの踏込圧を検出する。
【0064】
運転指示動作情報記録部s220は、s221からs223を含む各種センサを通じて、教習中の教官の運転指示動作に関する情報を検出する。
教官マイクs221は、教習中に教官が発した音声を検出する。
なお、教官マイクs221は、マイクのスイッチ等と連動していてもよく、例えば、教官が教習者に指示を出すためマイクのスイッチを入れたときに入力音声が検出されるものであってもよい。
【0065】
教官アクセルセンサs222は、教習中の教官によるアクセルの踏込圧を検出する。
教官ブレーキセンサs223は、教習中の教官によるブレーキの踏込圧を検出する。
【0066】
車両走行情報記録部s230は、s231からs233を含む各種センサを通じて、教習中の車両の走行に関する情報を検出する。
GPS(Global Positioning System)受信機s231は、図示しない複数のGPS衛星から受信したデータをもとに、車両1の緯度、経度、速度、方位、時刻などの情報を検出する。
加速度センサs232は、教習中の車両1の加速度(前後方向および左右方向)を検出する。
スピードセンサs233は、教習中の車両1の速度(前後方向、左右方向および角速度)を検出する。
なお、スピードセンサs233等の代わりにGPS受信機s231で受信した車両1の速度等をデータとして用いてもよい。
【0067】
メモリ媒体20は、IDリーダs11および日時検出部s12により取得された情報と、第2記録部s200により検出された教習情報とを記録する。
なお、メモリ媒体20の詳細な構成例については、以下に詳述する。
【0068】
≪メモリ媒体の詳細な構成例≫
図4は、この発明の実施形態に係るメモリ媒体の詳細を示すブロック図である。
メモリ媒体20は、教習情報記録装置100の第1メモリ媒体接続部130および教習情報解析装置200の第2メモリ媒体接続部230に着脱自在に接続でき、教習中に教習情報記録装置100の各種センサs11,s12,s100,s200およびs300により検出された各種情報を、教習情報解析装置200にて再生可能となるように記録する。
【0069】
メモリ媒体20は、IDデータ21と、日時データ22と、画像データ23aおよび音声データ23bを含む運行状況データ23と、運転操作データ24a、運転指示動作データ24bおよび車両走行データ24cの教習情報データ24とを含む。これらの運行状況データ23および教習情報データ24は時系列的に記録される。
なお、この発明の実施形態においては、メモリ媒体20として、携帯用のDVD−RAM等の光ディスクを想定しているが、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであってもよい。
【0070】
≪教習情報解析装置の詳細な構成例≫
図5は、この発明の実施形態に係る教習情報解析装置200の詳細を示すブロック図である。
教習情報解析装置200は、優先挙動設定部210、バッファ部220、第2CPU230、第2メモリ媒体接続部240、挙動検出部250、関連性検出部260および編集部270を含む。
なお、この発明の実施形態に係る教習情報解析装置200は、パーソナルコンピュータ等のハードウェアにプログラム等をインストールすることにより構成されるものであってもよい。
【0071】
優先挙動設定部210は、教習画像で表示すべき挙動の優先順位を設定する。第2CPU220は、優先挙動設定部210の設定に基づき、教習者の運転操作挙動、教官の運転指示動作挙動および車両1の走行挙動のいずれを優先して、編集部270に画像を収集させるかを決定する。
【0072】
また、教官のスイッチ入力に応じて、教習画像で表示すべき挙動の優先順位を設定してもよい。例えば、車両の内部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報1を、車両1の外部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報2と入力した場合、車両内部の状況に起因する挙動を優先する場合は、スイッチ入力情報1に関連する挙動を優先表示させ、車両外部の状況に起因する挙動を優先する場合は、スイッチ入力情報2に関連する挙動を優先表示させるなどが挙げられる。
【0073】
さらに、運転者のステアリング挙動は重要度1、教官のブレーキ挙動は重要度3、教官のアドバイスは重要度2というように数値を割り当てておき、当該数値に基づき重要度の高い順に優先して教習画像に表示させてもよい。このように、運転操作、運転指示動作、車両走行における挙動の重要度の数値比率を調整できるようにすることで、教習者または教習目的に合わせたオリジナル教材の作成が可能となる。
【0074】
第2バッファ部240は、第2CPU220によってデータアクセスされ、一時的にデータを記憶するワークメモリとして使用するRAM(Random Access Memory)である。第2バッファ部240は、第2メモリ媒体接続部230を介して読み出された音声データおよび画像データ等の各種情報を、第2CPU220を経由して保存する。なお、各部とバスで接続されていて、DMA(Direct Memory Access)により、CPU220を介さずにデータ転送を行ってもよい。
【0075】
第2CPU220は、教習情報解析装置200の各部を制御する。第2CPU220は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路のいずれか、またはそれらの組み合わせで構成されてもよい。
【0076】
第2メモリ媒体接続部230は、メモリ媒体20を着脱自在に収容して、教習情報解析装置200へのデータの読み込みを支援する。
【0077】
挙動検出部250は、第2メモリ媒体接続部230を介し、メモリ媒体20に記録された各種データ23および24から、所定の挙動を検出する。
挙動検出部250は、運転操作挙動検出部251と、運転指示動作挙動検出部252と、車両走行挙動検出部253とを含む。
運転操作挙動の具体例としては、急ブレーキや急アクセル、ハンドルの角回転の時間など、運転指示動作挙動の具体例としては、教官による急ブレーキや急アクセル、スイッチ入力情報の検出など、車両走行挙動の具体例としては、車両1の急加速や急旋回、バック走行への切り替えなどの急激な変化が挙げられ、いずれの変化も、その時間的変化率があらかじめ設定された所定値以上の場合に挙動として検出される。
【0078】
関連性検出部260は、挙動検出部250により特定、検出された挙動を比較して、当該挙動が関連性を有する挙動かどうかを判定する。具体的には、各挙動を含む所定期間内に他の挙動が含まれるか否かで各挙動間の関連性を検出する。
【0079】
編集部270は、メモリ媒体20に記録された画像のうち、特定の画像のみ収集し、収集された画像を合成して、教習用の画像を生成する。具体的には、1つながりの関連挙動を含む所定の時間の音声データ24aおよび画像データ23a,25aを収集して編集・合成し、教習者に提示すべき教習画像を生成する。
【0080】
具体的には、編集部270は、関連性検出部260によって検出された関連性および優先挙動設定部210によって設定された優先度に基づき、前記音声または画像データを収集する。
なお、教官マイクs221に2つ以上のスイッチを設置し、教官が状況に応じて、車両1の内部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報1を、車両1の外部の状況に起因する運転指示動作の場合はスイッチ入力情報2として、その入力情報を考慮して、優先挙動設定部210が挙動の優先順位を設定するものであってもよい。
【0081】
≪教習情報記録装置の検出手順の具体例≫
次に、教習情報記録装置100の検出手順について、図6に基づいて説明する。
【0082】
図6は、この発明の実施形態に係る教習情報記録装置の教習情報の検出手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、教習者およびその教官が車両1に乗り込むと、教習者は、教習者のIDカード10を車両1に搭載された教習情報記録装置100のIDリーダs11にセットし、メモリ媒体20を第1メモリ媒体接続部130にセットする。教習情報記録装置100の第1CPU110は、IDカード10およびメモリ媒体20を検出し、両方ともセットされたことを確認する(ステップS1)。
ここで、IDリーダs11は、セットされたIDカード10から教習者のIDを読み取る。なお、第1CPU110は、IDリーダs11が読み取ったIDが登録者のものであるか照合するようにしてもよい。
【0084】
続いて、第1CPU110は、第1メモリ媒体接続部130を通じてメモリ媒体20に教習者のIDおよび日時検出部s12が検出した日時を記録する(ステップS2)。
【0085】
次に、第1CPU110は、教官マイクs221から教習開始信号を受信すると、教習が開始されたものと判断する(ステップS3のYes)。このとき、第1CPU110は、第2記録部s200の各種センサに教習中の教習者・教官・車両1の各データを検出させ、第1メモリ媒体接続部130を通じてメモリ媒体20に記録させる(ステップS4)。
なお、第1CPU110は、教習開始信号を受信する代わりに、車両1のエンジンの始動等をもって教習が開始されたと判断するようにしてもよい。
【0086】
第1CPU110は、教官マイクs221から教習終了信号を受信すると、教習が終了したものと判断する(ステップS5のYes)。このとき、第1CPU110は、第2記録部s200の各データの検出および、メモリ媒体20への記録を終了させる。
なお、第1CPU110は、教習終了信号を受信する代わりに、車両1のエンジン停止等をもって教習が終了したと判断するようにしてもよい。
【0087】
教習が終了したとき、第1CPU110は、IDリーダs11および第1メモリ媒体接続部130からIDカード10およびメモリ媒体20をそれぞれ排出する(ステップS6)。
【0088】
≪教習情報解析装置の解析手順の具体例≫
次に、教習情報解析装置200の解析手順について、図7に基づいて説明する。
【0089】
図7は、この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の解析手順の一例を示すフローチャートである。
【0090】
まず、教習者は、教習情報解析装置200の第2メモリ媒体接続部230にメモリ媒体20をセットする。教習情報解析装置200の第2CPU220は、メモリ媒体20を検出する(ステップS11)。
【0091】
続いて、第2CPU220は、第2メモリ媒体接続部230を介してメモリ媒体20から各種情報(運転操作、運転指示動作、車両走行)の読出しを行う(ステップS12)。
【0092】
次に、運転操作、運転指示動作、車両走行の各種情報について、それぞれ運動操作挙動検出部251、運転指示動作挙動検出部252、車両走行挙動検出部253に設定した所定の条件に適合した挙動を検出する(ステップS13〜ステップS15)。
【0093】
その後、第2CPU220は、図示しない表示部に優先挙動設定画面を表示して、優先挙動の設定変更をすべきか、教習者に対し入力を要求する(ステップS16)。優先挙動の設定を行う場合(ステップS16の判定がYesの場合)、第2CPU220は、教習者の入力結果を優先挙動設定部210に反映させる(ステップS17)。一方、優先挙動の設定変更を行わない場合(ステップS16の判定がNoの場合)は、ステップS18に進む。
【0094】
続いて、関連性検出部260は、ステップS13〜ステップS15において検出された挙動に基づき、関連挙動の判定を行う(ステップS18)。
なお、関連挙動の判定手順の詳細については、図8にて説明する。
【0095】
次に、編集部270は、ステップS18において設定された関連挙動および優先挙動設定に基づき、教習画像として教習者に表示すべき画像・音声等を編集し(ステップS19)、編集した画像・音声等を表示画面に出力する(ステップS20)。
【0096】
画像・音声等を出力後、第2CPU220は、表示画面にメニュー画面を表示して、学習を終了すべきか、教習者に対し入力を要求する(ステップS21)。学習を終了しない場合(ステップS21の判定がNo)、ステップS16に戻り、CPU220は、優先挙動の設定変更を行うべきか、教習者に対して要求する。
なお、ステップS21のメニュー画面において、前回出力した画像をリピート等する選択肢を表示するようにしてもよい。この場合、ステップS20を再度繰り返すことになる。
【0097】
≪関連挙動の検出手順の詳細≫
次に、関連挙動の検出手順の詳細について、図8に基づいて説明する。
【0098】
図8は、この発明の実施形態に係る教習情報解析装置200の関連挙動の検出手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、第2CPU220は、ステップS14において検出された運転指示動作挙動の(教習開始時から教習終了時までの)時系列上の順番n(nは自然数)および検出すべき関連挙動の時系列上の順番m(mは自然数)に、1の値をセットする(ステップS31)。
【0100】
次に、第2CPU220は、n番目の運転指示動作挙動が音声による挙動か否かを判定する(ステップS32)。
第2CPU220は、n番目の運転指示動作挙動が音声によるものと判定した場合(ステップS32の判定がYesの場合)、関連性検出部260が当該n番目の運転指示動作挙動の前後で運転操作または車両走行挙動があるか否かを判定する(ステップS33)
【0101】
一方、第2CPU220は、n番目の運転指示動作挙動が音声による挙動でないものと判定した場合、すなわち、n番目の運転指示動作挙動が教官のブレーキ等または教官入力信号によるものと判定した場合は(ステップS32の判定がNoの場合)、ステップS34に進む。
【0102】
ステップS34において、n番目の運転指示動作挙動の前後で教習者または車両の挙動があるか否かの判定は、具体的には、当該n番目の運転指示動作挙動を含む所定期間(例えば、当該n番目の運転指示動作挙動の前後10秒の期間)とオーバーラップする運転操作または車両走行挙動の有無を、関連性検出部260が検出することにより行う。
【0103】
関連性検出部260が、n番目の運転指示動作挙動の前後で運転操作または車両走行挙動があると判定した場合(ステップS33の判定がYesの場合)、関連性検出部260は、当該n番目の運転指示動作挙動および当該運転指示動作挙動とオーバーラップする運転操作または車両走行挙動の互いに連動する挙動をひとまとめにしてm番目の関連挙動と認定する(ステップS34)。
関連挙動の認定後、第2CPU220は、mにm+1をセットする(ステップS35)。
【0104】
一方、関連性検出部260が、n番目の運転指示動作挙動の前後で運転操作または車両走行挙動がないと判定した場合(ステップS33の判定がNoの場合)、ステップS36に進む。
【0105】
ステップS36において、第2CPU220は、当該n番目の運転指示動作挙動が時系列上最後の運転指示動作挙動か否か判定する。最後の運転指示動作挙動であると判定した場合(ステップS36の判定がYesの場合)、関連挙動の検出は終了する。
一方、最後の運転指示動作挙動でないと判定した場合は(ステップS36の判定がNoの場合)、第2CPU220は、nにn+1をセットし(ステップS37)、ステップS32に戻って関連挙動の検出を続行する。
【0106】
≪実施形態の一例≫
次に、この発明の教習情報解析装置の実施形態の一例について、図9〜図11に基づいて説明する。
【0107】
図9は、この発明の実施形態に係る教習コースの一例を示す説明図である。
図10は、この発明の実施形態に係る各挙動間の関連性の検出の一例を示す説明図である。
【0108】
まず、教習者は図9に示すような教習コース2で車両1を矢印の進行方向の向きに走行させたものとする。車両1の第2記録部s200の各種センサは、教習開始時点から教習終了時点まで教官、教習者および車両の動作を検出・記録する。
【0109】
図10は、図9に対応する教習開始時点から教習終了時点までの教習中の運転操作、運転指示動作および車両走行挙動を時系列上で示した図である。ここで、図10の事例1から事例7は、それぞれ図9の事例1から事例7のポイントに対応した運転指示動作、運転操作または車両走行挙動に対応する。
以下、各事例における関連挙動の検出について説明する。
【0110】
≪事例1≫
事例1は、図9のカーブ1直前で、教官が教習者に「ブレーキ」(音声1)と言ったとき、教習者が直後にブレーキをかけ(動作1)、車両1の速度が低下(変化1)した状況を表す。
この場合、挙動検出部250により検出された運転操作、運転指示動作および車両走行の各挙動を含む所定期間(例えば、音声1の前後10秒間)が、図10の両方向の矢印で表されるものとする(以下、同様)。
【0111】
事例1において、運転指示動作挙動は音声であるが、音声1を含む所定期間と運転操作挙動(動作1)および車両走行挙動(変化1)が時系列上でオーバーラップするため、関連性検出部260は、当該運転操作および車両走行の互いに連動する挙動をひとまとめにして1番目の関連挙動と認定し、前記関連挙動を含む所定期間(P1で示される矢符の範囲)を編集すべき画像部分として記録する。
【0112】
≪事例2≫
事例2は、図9の交差点1において、教習者が一時停止せずに交差点を通過してしまったため、それに気づいた教官が教官マイクs221のスイッチを入力して教官入力信号を送信した状況を表す。
ここで、車両1の外部の状況に起因する運転指示動作として、教官はスイッチ入力信号2を入力するものとする。
この場合、挙動としては、教官によるスイッチ入力情報のみが検出される。
【0113】
事例2において、教官の挙動(スイッチ入力情報)は音声ではないため、関連性検出部260は、当該教官の挙動を2番目の関連挙動と認定し、前記関連挙動を含む所定期間(P2で示される矢符の範囲)を編集すべき画像部分として記録する。
【0114】
≪事例3≫
事例3は、図9の緩やかなカーブ2において、教習者が順調に運転しており、それを見た教官が「その調子だ」(音声3)と教習者に声をかけた状況を表す。
この場合、教習者および車両1の動作が比較的緩やかなものであり、挙動検出部250は、図10に示されるように、運転指示動作挙動のみを検出したものとする。
【0115】
事例3において、運転指示動作挙動は音声であるが、音声2を含む所定期間(例えば、音声2の前後10秒間)と時系列上でオーバーラップする運転操作または車両走行挙動がないため、当該運転指示動作挙動は、関連挙動として認定されない。それゆえ、運転操作または車両走行挙動に無関係な教官の雑談は、関連挙動として認定されない。
【0116】
≪事例4≫
事例4は、図9の急カーブ3において、教習者のブレーキの踏み込み(動作2)が弱すぎると判断した教官が強めにブレーキをかけ、車両の速度が低下(変化2)した状況を表す。
【0117】
事例4において、運転指示動作挙動(ブレーキ)は音声ではなく、当該運転指示動作挙動を含む所定期間(例えば、教官のブレーキの前後10秒間)と運転操作挙動(動作2)および車両走行挙動(変化2)が時系列上でオーバーラップするため、関連性検出部260は、当該運転指示動作、教習者および車両の互いに連動する挙動をひとまとめにして3番目の関連挙動と認定し、前記関連挙動を含む所定期間(P3で示される矢符の範囲)を編集すべき画像部分として記録する。
【0118】
≪事例5≫
事例5は、図9の直角カーブ4において、教習者がブレーキをかけつつハンドルを回転(動作3)させて、車両がうまく急旋回(変化3)した状況を表す。
【0119】
事例5において、教習者および車両1はともに急激な動作を示しており、挙動として認定されるが、教官はブレーキ等の操作もせず音声を発しているわけでもないので、当該教官の動作は挙動として認定されない。よって、事例5に係る挙動は、関連性検出部260の判定の対象外である。
【0120】
≪事例6≫
事例6は、図9の交差点2の手前において、(図示しない)後続車両が車両1に急激に近づいてきたため、教習者の注意を促すために教官がスイッチを入力して教官入力信号を送信し、教習者に警告(音声4)を発した状況を表す。
ここで、事例2と同様に、車両1の外部の状況に起因する運転指示動作として、教官はスイッチ入力信号2を入力するものとする。
【0121】
事例6において、教習者および車両1は通常の動作を示しており、挙動として認識されない。しかし、教官の挙動(スイッチ入力情報)は音声ではないため、教習者および車両1の挙動に関係なく、関連性検出部260は、当該教官の挙動を4番目の関連挙動と認定し、前記関連挙動を含む所定期間(P4で示される矢符の範囲)を編集すべき画像部分として記録する。
【0122】
ここで、教官は、当該関連挙動が、急接近する後続車両という主に外部の危険をはらむ場面に相当するものとして、スイッチ入力信号2を入力する。なお、後続車両が車両1から十分に離れて安全が確認できるまで、スイッチ入力信号2を入力することで、関連挙動を適切な時間の間持続させることができる。
【0123】
≪事例7≫
事例7は、図9の直線コースにおいて、安心してよそ見運転する教習者の注意を促すために、教官がスイッチを入力して教官入力信号を送信し、教習者に警告(音声5)を発した状況を表す。
ここで、車両1の内部の状況に起因する運転指示動作として、教官はスイッチ1を入力するものとする。
【0124】
事例7において、教習者および車両1は通常の動作を示しており、挙動として認識されない。しかし、教官の挙動(スイッチ入力情報)は音声ではないため、教習者および車両1の挙動に関係なく、関連性検出部260は、当該教官の挙動を5番目の関連挙動と認定し、前記関連挙動を含む所定期間(P5で示される矢符の範囲)を編集すべき画像部分として記録する。
【0125】
ここで、教官は、当該関連挙動が、直線コースにおける教習者のよそ見という主に内部の危険をはらむ場面に相当するものとして、スイッチ入力信号1を入力する。
【0126】
≪優先挙動設定に基づく画像・音声の合成・編集処理の一例≫
関連挙動の検出後、編集部270は、関連性検出部260により検出された画像・音声を、優先挙動設定および当該関連挙動に基づき合成する。
【0127】
図11は、この発明の実施形態に係る教習情報解析装置の教習画像の編集の一例を示す説明図である。
【0128】
優先挙動設定を「車両内外の危険をはらむ場面」に設定したとき、図11(A)に示すように、編集部270は、時系列上の順、すなわち、関連性検出部260により検出された前記関連挙動順に画像を合成する。
【0129】
一方、優先挙動設定を「車両内部の危険をはらむ場面」に設定したとき、編集部270は、前記関連挙動のうち、スイッチ入力信号1(車両1の内部の状況に起因する運転指示動作)によってタグ付けされた画像を優先して合成する。
具体的には、図11(B)に示すように、教官の信号入力がない関連挙動および信号入力1でタグ付けされた関連挙動を時系列的に合成する。
【0130】
優先挙動設定を「車両外部の危険をはらむ場面」に設定したとき、編集部270は、前記関連挙動のうち、スイッチ入力信号2(車両1の外部の状況に起因する運転指示動作)によってタグ付けされた画像を優先して合成する。
具体的には、図11(C)に示すように、教官の信号入力がない関連挙動および信号入力2でタグ付けされた関連挙動を時系列的に合成する。
【0131】
このようにして、教習目的に合わせた危険をはらむ場面をピンポイントで示すことが可能となる。
【符号の説明】
【0132】
1:車両
2:教習コース
10:IDカード
20:メモリ媒体
21:IDデータ
22:日時データ
23:運行状況データ
23a:画像データ
23b:音声データ
24:教習情報データ
24a:運転操作データ
24b:運転指示動作データ
24c:車両走行データ
100:教習情報記録装置
110:第1CPU
120:第1バッファ部
130:第1メモリ媒体接続部
200:教習情報解析装置
210:優先挙動設定部
220:第2CPU
230:第2メモリ媒体接続部
240:第2バッファ部
250:挙動検出部
251:運転操作挙動検出部
252:運転指示動作挙動検出部
253:車両走行挙動検出部
260:関連性検出部
270:編集部
300:運転危険予測学習支援システム
s11:IDリーダ
s12:日時検出部
s100:第1記録部(車載カメラ)
s200:第2記録部(情報記録部)
s210:運転操作情報記録部
s211:ステアリングセンサ
s212:アクセルセンサ
s213:ブレーキセンサ
s220:運転指示動作情報記録部
s221:教官マイク
s222:教官アクセルセンサ
s223:教官ブレーキセンサ
s230:車両走行情報記録部
s231:GPS受信機
s232:加速度センサ
s233:スピードセンサ
s300:第3記録部(車内マイク)
P1,P2,P3,P4,P5:関連挙動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行状況を画像データとして記録する第1記録部と、
前記車両を運転する教習者の運転操作に関する情報、前記車両に同乗する教官の運転指示動作に関する情報および前記車両の走行に関する情報を記録する第2記録部と、
前記運転操作、前記運転指示動作および前記走行における変化のうち時間的変化率が所定値以上の変化を挙動としてそれぞれ検出する挙動検出部と、
検出された各挙動間の関連性を検出する関連性検出部と、
検出された前記関連性に基づき前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する編集部とを備える運転危険予測学習支援システム。
【請求項2】
前記関連性検出部は、前記運転指示動作における挙動を含む所定期間内に前記運転操作による挙動または前記車両走行による挙動が存在する場合、前記運転指示動作に関する情報に対して前記運転操作または前記車両走行における挙動を関連性のある挙動として検出し、
前記編集部は、前記画像データから前記所定期間の画像データを収集し、教習用の画像として編集する請求項1に記載の運転危険予測学習支援システム。
【請求項3】
優先して収集すべき前記各挙動の優先度を設定する優先挙動設定部をさらに備え、
前記編集部は、前記関連性および前記優先度に基づき、前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する請求項1または2に記載の運転危険予測学習支援システム。
【請求項4】
前記教習者および前記教官の音声を音声データとして記録する第3記録部をさらに備え、
前記運転指示動作に関する情報は、教官の音声による情報からなり、
前記編集部は、前記所定期間の音声データを収集し、前記教習用の音声として編集する機能をさらに備える請求項2に記載の運転危険予測学習支援システム。
【請求項5】
優先して収集すべき前記各挙動の優先度を設定する優先挙動設定部をさらに備え、
前記編集部は、前記関連性および前記優先度に基づき、前記音声データから特定の場面の音声データを収集し、教習用の音声として編集する請求項4に記載の運転危険予測学習支援システム。
【請求項6】
教官の運転指示動作に関する情報は、教官による少なくとも1種類のスイッチ入力情報をさらに含み、
前記編集部は、前記関連性および前記優先度および前記スイッチ入力情報に基づき、前記画像データから特定の場面の画像データを収集し、教習用の画像として編集する請求項3または5に記載の運転危険予測学習支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−155285(P2012−155285A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16766(P2011−16766)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)