説明

運転者監視装置

【課題】車両走行に起因する体動を外乱成分として除去し、また加速度検出部と座圧検出部の取付誤差による検出角度のずれによる影響を軽減することで、運転者の状態推定の精度を向上した運転者監視装置を提供する。
【解決手段】加速度検出部10は加速度を計測し、加速度変換手段31は加速度検出部10より得られた加速度計測情報を用いて、加速度の方向を表す加速度方向情報と加速度の大きさを表す加速度大きさ情報とを有する加速度変換情報に変換し、座圧検出部20は座面に複数備えられ、座面に掛かる座圧を検出し、座圧変換手段32は座圧検出部20より得られた座圧計測情報を用いて、座圧の推移する方向を表す座圧推移方向情報を有する座圧変換情報に変換し、加速度影響判断手段33は、加速度方向情報と座圧推移方向情報が略同方向の場合、車両運転者の姿勢変化が車両走行に起因するものとする車両走行起因体動であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の眠気等による異常な姿勢変化(体動)を検知する運転者監視装置であって、車両本来の走行により生じる加速度契機の姿勢変化を外乱として判定する運転者監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者が座るシート座面部に複数の圧力センサを備え、前記圧力センサにより、運転者の姿勢を判定し、検知された運転者の姿勢が異常と判断した場合に、警報装置を作動させ、運転者に注意を喚起するシステムが特許文献1等に開示されている。
【0003】
しかしながら、このような圧力センサにより運転者の姿勢を判定する場合、車両の振動や運転者の操作等の外乱により、運転者の眠気・身体異常等の状態検出の精度が低くなるという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献2のように、座面及び背面に圧力センサを設置し、運転者の重心点の移動量の積を算出し、この算出された値が閾値を超えたとき、
1)ステアリングに設置された操舵角センサにより得られたステアリング角度が閾値を超えている場合、車両左右方向の加速度が発生していると判断する。
2)また、加速度の大きさが閾値を超えている場合、車両前後方向の加速度が発生していると判断する。
上記の条件1)、2)により加速度が発生していると判断した場合、どのような体動があったとしても運転者の姿勢変化を異常と判定しないことで、車両走行に起因する運転者の姿勢変化を除去し、運転者の姿勢変化の検出精度を上げる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−293085号公報
【特許文献2】特開平11−326084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような運転者監視装置は、車両前後方向の加速度と車両左右方向の加速度をそれぞれ別々のアルゴリズムで検出しているので、車両方向に対して斜め(右前、左前、右後、左後)方向の加速度が発生した場合に検出する手段がないという問題点があった。
また、このような運転者監視装置は、加速度の大きさもしくは操舵角センサの値が所定値以上の場合に、圧力センサがどのような体動を検知していても、車両走行に起因する体動であり、異常と判断しない。
さらに、加速度検出部と、座圧検出部とは、アフターパーツ等で搭載される機会があり、このような場合においては、加速度検出部と、座圧検出部の検出角度にずれが生じる恐れがある。図13に加速度検出部10と、座圧検出部20との配置例を示す。図13(a)は理想的な配置であり、図13(b)と図13(c)は、比較例であり、加速度検出部10による加速度方向情報θaと、座圧検出部20により測定された座圧推移方向情報θbにずれが生じ、車両走行に起因する運転者の体動も異常な体動として車両運転者に報知される恐れがあった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みなされ、圧力検出部による圧力推移方向情報と加速度検出部により測定された加速度方向情報から、車両走行に起因する体動を外乱成分として除去し、また加速度検出部と座圧検出部の取付誤差による検出角度のずれによる影響を軽減することで、運転者の状態推定の精度を向上した運転者監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1では、加速度を計測する加速度検出部と、前記加速度検出部より得られた加速度計測情報を用いて、加速度の方向を表す加速度方向情報と加速度の大きさを表す加速度大きさ情報とを有する加速度変換情報に変換する加速度変換手段と、
座面に複数備えられ、前記座面に掛かる座圧を検出する座圧検出部と、前記座圧検出部より得られた座圧計測情報を用いて、前記座圧の推移する方向を表す座圧推移方向情報を有する座圧変換情報に変換する座圧変換手段と、
車両運転者に対して加速度の影響の有無を判断する加速度影響判断手段と、を備えた運転者監視装置において、
前記加速度影響判断手段は、前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報が略同方向の場合、車両運転者の姿勢変化が車両走行に起因するものとする車両走行起因体動であると判断するものであり、
斯かる構成により、座圧検出部(圧力センサ)により検出された車両運転者の座圧推移方向情報と、加速度検出部(加速度センサ)により検出された加速度方向情報とにより、車両走行に起因する外乱成分のみを除去し、運転者の状態推定の精度を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2では、前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報との角度誤差を算出する角度誤差算出手段を有するものである。
【0010】
また、請求項3では、前記角度誤差算出手段は、前記車両が進行を始めたことを判断する車両進行判定手段が前記車両が進行したと判断したとき、前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報との角度の差異を前記角度誤差とするものである。
【0011】
また、請求項4では、前記角度誤差算出手段は、前記車両進行判定手段の初回の進行判定時のみ前記角度誤差を算出するものであり、初回の走行により、精度よく、また簡易な検出設定により、角度の補正を行うことができる。
【0012】
また、請求項5では、前記角度誤差算出手段は、前記角度誤差を前記加速度方向情報または、前記座圧推移方向情報に反映するように設定されているものであり、斯かる構成により、加速度検出部と座圧検出部の取付誤差等による検出角度のずれの影響を除去することで、運転者の状態推定の精度を向上させることができる。
【0013】
また、請求項6では、前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も減少した前記座圧検出部の位置から、同じ時間内における前記座圧推移大きさ情報が最も増加した前記座圧検出部の位置への方向へと設定されるものである。
【0014】
また、請求項7では、前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が減少した前記座圧検出部の平均位置から、同じ時間内における前記座圧推移大きさ情報が増加した前記座圧検出部の平均位置への方向へと設定されるものである。
【0015】
また、請求項8では、前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、複数の前記座圧検出部の中心点から、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も増加した前記座圧検出部の位置への方向へと設定される、
または、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も減少した前記座圧検出部の位置から、座圧検出部の中心点への方向へと設定されるものであり、
上記請求項6乃至8の発明により、座圧検出部(圧力センサ)により検出された座圧推移方向情報と、加速度検出部(加速度センサ)により検出された加速度方向情報との比較により、車両走行に起因する外乱成分のみを除去し、運転者の状態推定の精度を向上させることができる。
【0016】
また、請求項9では、前記加速度変換手段は、加速度の方向を加速度角度区画に分類し、前記座圧変換手段は、座圧推移の方向を座圧角度区画に分類し、
前記加速度影響判断手段は、前記加速度角度区画と前記座圧角度区画が同じもしくは、その隣同士の区画であれば、車両運転者の姿勢変化が車両走行に起因するものとする車両走行起因体動であると判断するものであり、
斯かる構成により、座圧検出部(圧力センサ)により検出された車両運転者の座圧推移方向情報と、加速度検出部(加速度センサ)により検出された加速度方向情報との測定誤差や計算誤差の影響を加味しながら外乱成分を除去し、運転者の状態推定の精度を向上させることができる。
【0017】
また、請求項10では、前記座圧変換情報より車両運転者の状態が異常か、否かを判定する状態判定部を有し、前記状態判定部が前記車両運転者の状態を異常と判定し、かつ前記加速度影響判断手段が、車両運転者の姿勢変化が車両走行起因体動ではないと判断した際、運転者に異常姿勢であることを報知する警告部を有するものであり、斯かる構成により、車両運転者の姿勢異常を車両運転者に報知し、注意を喚起することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、圧力検出部による圧力推移方向情報と加速度検出部により測定された加速度方向情報から、車両走行に起因する体動を外乱成分として除去し、また加速度検出部と座圧検出部の取付誤差による検出角度のずれによる影響を軽減することで、運転者の状態推定の精度を向上した運転者監視装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る運転者監視装置のブロック構成図
【図2】上記発明に係る加速度検出部の加速度変換情報を示した図であり、(a)は車両に対する加速度検出部の配置の一実施例であり、(b)は加速度計測情報を加速度方向情報と加速度大きさ情報に変換した際のベクトル図
【図3】上記発明に係る座圧検出部を座面に配置した際の配置例
【図4】上記発明に係る座圧検出部の配置図
【図5】上記発明に係る座圧検出部の座圧計測情報の時間変化における説明図
【図6】上記発明に係る座圧推移方向情報への変換例であり、(a)は座圧検出部の配置例であり、(b)は座圧推移方向情報を第一実施形態で算出した例であり、(c)は座圧推移方向情報を第二実施形態で算出した例であり、(d)は座圧推移方向情報を第三実施形態で算出した例である
【図7】上記発明に係る座圧推移方向情報への変換例であり、(a)は座圧検出部の配置例であり、(b)は座圧推移方向情報を第一実施形態で算出した例であり、(c)は座圧推移方向情報を第二実施形態で算出した例であり、(d)は座圧推移方向情報を第三実施形態で算出した例である
【図8】上記発明に係る座圧推移方向情報への変換例であり、(a)は座圧検出部の配置例であり、(b)は座圧推移方向情報を第一実施形態で算出した例であり、(c)は座圧推移方向情報を第二実施形態で算出した例であり、(d)は座圧推移方向情報を第三実施形態で算出した例である
【図9】上記発明に係る座圧推移方向情報への変換例であり、(a)は座圧検出部の配置例であり、(b)は座圧推移方向情報を第一実施形態で算出した例であり、(c)は座圧推移方向情報を第二実施形態で算出した例であり、(d)は座圧推移方向情報を第三実施形態で算出した例である
【図10】上記発明における加速度方向情報と座圧推移方向情報の方向成分を複数の角度区画に分類した第四実施形態における説明図
【図11】上記発明における加速度方向情報と座圧推移方向情報の方向成分を複数種の角度区画に分類した第五実施形態における説明図
【図12】上記発明における加速度方向情報と座圧推移方向情報の方向成分を複数の角度区画に分類した際の加速度影響判断手段の判断例
【図13】上記発明における加速度方向情報と座圧推移方向情報との角度誤差の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、一実施形態に係わる運転者監視装置について説明する。
図1は本発明に係る運転者監視装置100のブロック構成図であり、運転者監視装置100は、加速度検出部10と、座圧検出部20と、制御部30と、警告部40と、を備える。
【0021】
図2は、車両に対する加速度検出部10の配置の一実施例であり、加速度検出部10は、車両水平方向と平行である第一加速度成分αxと、第二加速度成分αyとを有する加速度計測情報を検出する。
これらの加速度計測情報(第一加速度成分αxと、第二加速度成分αy)は、後述する加速度変換手段31にて、加速度方向情報θaと、加速度大きさ情報Aに変換される。
【0022】
図3は、座圧検出部20を車両のシート座面210に配置した際の一実施例であり、
図4は、座圧検出部20を車両のシート座面210に配置した際の上面図である。
座圧検出部20は、2次元の座圧方向(第一座圧方向成分βx、第二座圧方向成分βy)を検出するために少なくとも3個の第一乃至第三座圧検出部20a〜20cにより構成され、それぞれがシート座面210に働く座圧計測情報を計測し、この座圧計測情報を制御部30に出力する。
【0023】
制御部30は、加速度変換手段31と、座圧変換手段32と、加速度影響判断手段33と、状態判定部34と、を備える。
【0024】
加速度変換手段31は、前記加速度検出部10より、出力された第一加速度成分αxと、第二加速度成分αyとから式1、2に表すように加速度方向情報θaと、加速度大きさ情報Aに変換する。
【数1】

・・・(式1)
【数2】


・・・(式2)
【0025】
座圧変換手段32は、座圧検出部20より出力された座圧計測情報から後述する運転者体動情報と、座圧推移方向情報θbと、を有する座圧変換情報を算出する。
【0026】
加速度影響判断手段33は、加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbとを比較し、加速度方向情報θa±30°の範囲内に座圧推移方向情報θbが含まれている場合、座圧検出部20により検出された運転者の体動が車両走行に起因する体動である車両走行起因体動であると判断する。
【0027】
状態判定部34は、座圧検出部20から出力される座圧計測情報から、車両運転者の体動が異常であるかを判断する。
【0028】
警告部40は、前記のように状態判定部34が車両運転者の体動が異常であるとした際に、車両運転車にスピーカーやブザー等の発音手段40aの出力する音声にて運転者に報知するが、加速度影響判断手段33が運転者の体動を車両走行起因体動であると判断した際は、警告部40は警告を行わない。
しかし、状態推定部34が車両運転者の体動が異常であり、かつ加速度影響判断手段33が運転者の体動を車両走行起因体動であると判断したとき、警告部40は、発音手段40a等に、車両運転者に体動が異常であることを報知させ、車両のインストルメントパネルやカーナビ等の表示部40bに運転者の体動が車両走行起因体動であることを表示させてもよい。
【0029】
以上の構成からなる運転者監視装置100の動作を簡潔に述べれば、
(1)加速度変換手段31は、前記加速度検出部10より得られた加速度計測情報から加速度方向情報θaと、加速度大きさ情報Aとを算出する。
(2)座圧変換手段32は、座圧検出部20より出力された座圧計測情報から運転者体動情報と座圧推移方向情報θbを算出する。
(3)状態判定部34は、運転者体動情報が異常であると判断した際、警告部40に体動異常信号を出力し、運転者に注意を喚起させる。
(4)加速度影響判断手段33は、前記加速度方向情報θaと前記座圧推移方向情報θbが略同一方向の場合、上記運転者体動情報が車両走行起因体動であると判断し、状態判定部34に体動異常信号を出力させない。
【0030】
以下、本実施形態の座圧推移方向情報について、図5乃至図12を参照して説明する。
【0031】
<座圧推移方向情報>
図5は、座圧検出部の座圧計測情報の時間変化の計測結果の説明図であり、(G11)は、座圧計測情報の時間変化が増加傾向にある場合の例であり、(G12)は、増加傾向にあるものの変化量が少ないものであり、
(G21)は、減少傾向にある場合の例であり、(G22)は減少傾向にあるものの変化量が少ないものであり、
(G31,G32)は、増加傾向、減少傾向に属さない座圧変化が少ない例と、ノイズの例を示した図である。
【0032】
(第一実施形態)
図6(b)は、座圧推移方向情報θbを、座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部の位置から座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置の方向へと設定した際の図である。図6においては、座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部の位置が座圧検出部20aであり、座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置が座圧検出部20dなので、座圧推移方向情報θbは、約135°と算出される。
【0033】
図7(b)の座圧検出部の配置において、座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部の位置が座圧検出部21cであり、座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置が座圧検出部21bなので、座圧推移方向情報θbは、約180°と算出される。
【0034】
図8(b)の座圧検出部の配置において、座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部の位置が座圧検出部22cであり、座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置が座圧検出部22gなので、座圧推移方向情報θbは、約248°と算出される。
【0035】
図9(b)の座圧検出部の配置において、座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部の位置が座圧検出部23aであり、座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置が座圧検出部23bなので、座圧推移方向情報θbは、約0°と算出される。
【0036】
(第二実施形態)
図6(c)は、座圧推移方向情報を、座圧推移大きさ情報が減少した座圧検出部の平均位置から座圧推移大きさ情報が増加した座圧検出部の平均位置の方向へと設定した際の図である。図6においては、座圧推移大きさ情報が減少した座圧検出部の位置が座圧検出部20dのみであるので減少した座圧検出部の平均位置は20dとなり、座圧推移大きさ情報が増加した座圧検出部の位置が20a,20bであるので増加した座圧検出部の平均位置はP1となり、座圧推移方向情報θbは、約120°と算出される。(座圧検出部の他配置例については、図7(c)、図8(c)、図9(c)を参照)
【0037】
(第三実施形態)
図6(d)は、座圧推移方向情報を、座圧検出部20の中心点Oから、所定時間における座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部G11の位置への方向へと設定した際の説明図である。図6においては、座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置が座圧検出部20dなので、座圧推移方向情報θbは、約135°と算出される。
または、上記では、「座圧推移方向情報を、座圧検出部20の中心点Oから、所定時間における座圧推移大きさ情報が最も増加した座圧検出部の位置への方向へと設定」としたが、座圧推移方向情報を、所定時間における座圧推移大きさ情報が最も減少した座圧検出部G21の位置から、座圧検出部の中心点Oへの方向へと設定してもよい。(座圧検出部の他配置例については、図7(d)、図8(d)、図9(d)を参照)
【0038】
(第四実施形態)
上記実施形態では、「加速度変換手段31は加速度方向情報θaとを算出し、座圧変換手段32は座圧推移方向情報θbを算出し、加速度影響判断手段33は、加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbとを比較する」とあるが、図10に示すように、加速度変換手段31は、加速度計測情報より、加速度の方向を複数の加速度角度区画に分類し、座圧変換手段32は、座圧計測情報より、座圧推移の方向を座圧角度区画に分類し、加速度影響判断手段33は、上記の加速度角度区画と座圧角度区画が略同じもしくは、その隣の区画であれば、加速度影響判断手段33は、座圧検出部20により検出された運転者体動情報が車両走行に起因する体動である車両走行起因体動であると判断する。
【0039】
例えば、加速度角度区画がA2であった場合、図10に示すように座圧角度区画がA1、A2、A3であれば、加速度影響判断手段33は、車両走行起因体動であると判断し、座圧角度区画がA4乃至A8であれば、加速度影響判断手段33は、車両走行起因体動であると判断しない。
【0040】
(第五実施形態)
また、図11に示すように、角度区画を複数種設けてもよい。この場合は、例えば、加速度角度区画がA2であった場合、座圧角度区画がB23、A2、B12であれば、加速度影響判断手段33は、車両走行起因体動であると判断し、座圧角度区画がそれ以外であれば、加速度影響判断手段33は、車両走行起因体動であると判断しない。角度区画に分類した際の加速度影響判断手段33の判断例を図12の表に整理した。表における○記号は、加速度影響判断手段33が車両走行起因体動であると判断し、表における×記号は、加速度影響判断手段33が車両走行起因体動であると判断しないことを示す。
【0041】
以下、本実施形態の角度誤差算出手段について、図13を参照して説明する。
【0042】
<角度誤差算出手段>
図13は、加速度検出部10と座圧検出部20とを配置した際の角度誤差を示した図であり、図13(a)は、加速度検出部10の車両と、第一加速度成分αx、第二加速度成分αyとの位置関係を表した図であり、図13(b)は座圧検出部20のシート座面210に配置した際の上面図であり、図13(c)は加速度方向情報θaと座面推移方向情報θbとの関係を示した図である。
【0043】
加速度検出部10と座圧検出部20とは、アフターパーツとして、車両に備えられることもあり、図13(a2)、図13(b3)のように角度がずれることがある。この場合、図13(c2)、図13(c3)のように、加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbとで検出角度の誤差が生じる。このことにより、加速度影響判断手段33が、加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbを略同方向であると判断しない恐れがある。
【0044】
よって、制御部30は、このような誤差角度φを検出する角度誤差算出手段45を備えてもよい。制御部30が車両ECU300からIGN−ON後の最初の走行(前進)を検出すると、角度誤差算出手段45は、加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbを比較し、誤差角度φを求め、この誤差角度φにより加速度方向情報θaもしくは、座圧推移方向情報θbを補正する。
【0045】
斯かる構成により、加速度検出部10と座圧検出部20とをアフターパーツとして装着した際の設置による加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbとの角度誤差φを補正し、加速度影響判断手段33がより正確に車両走行起因体動であるか、否かの判断を行うことができる。また、角度誤差算出手段45は、IGN−ON後の最初の走行時(前進)に検出加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbとを比較することで、測定誤差の生じにくい前進時に加速度方向情報θaと座圧推移方向情報θbを測定し、より正確な角度誤差φを検出することができる。
【符号の説明】
【0046】
100 運転者監視装置
10 加速度検出部
20,21,22,23 座圧検出部
30 制御部
31 加速度変換手段
32 座圧変換手段
33 加速度影響判断手段
34 状態判定手段
35 角度誤差算出手段
36 車両進行判定手段
40 警告部
40a 発音手段
40b 表示手段
200 シート
210 シート座面
220 シート背面
300 車両ECU
500 車両
θa 加速度方向情報
θb 座圧推移方向情報
φ 角度誤差
A 加速度大きさ情報
O 中心点
αx 第一加速度成分
αy 第二加速度成分
βx 第一座圧方向成分
βy 第二座圧方向成分



【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度を計測する加速度検出部と、前記加速度検出部より得られた加速度計測情報を用いて、加速度の方向を表す加速度方向情報と加速度の大きさを表す加速度大きさ情報とを有する加速度変換情報に変換する加速度変換手段と、
座面に複数備えられ、前記座面に掛かる座圧を検出する座圧検出部と、前記座圧検出部より得られた座圧計測情報を用いて、前記座圧の推移する方向を表す座圧推移方向情報を有する座圧変換情報に変換する座圧変換手段と、
車両運転者に対して加速度の影響の有無を判断する加速度影響判断手段と、を備えた運転者監視装置において、
前記加速度影響判断手段は、前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報が略同方向の場合、車両運転者の姿勢変化が車両走行に起因するものとする車両走行起因体動であると判断すること、を特徴とする運転者監視装置。
【請求項2】
前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報との角度誤差を算出する角度誤差算出手段を有すること、を特徴とする請求項1に記載の運転者監視装置。
【請求項3】
前記角度誤差算出手段は、前記車両が進行を始めたことを判断する車両進行判定手段が、前記車両が進行したと判断したとき、前記加速度方向情報と前記座圧推移方向情報との角度の差異を前記角度誤差とすること、を特徴とする請求項2に記載の運転者監視装置。
【請求項4】
前記角度誤差算出手段は、前記車両進行判定手段の初回の進行判定時のみ前記角度誤差を算出すること、を特徴とする請求項3に記載の運転者監視装置。
【請求項5】
前記角度誤差算出手段は、前記角度誤差を前記加速度方向情報または、前記座圧推移方向情報に反映するように設定されていること、を特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の運転者監視装置。
【請求項6】
前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も減少した前記座圧検出部の位置から、同じ時間内における前記座圧推移大きさ情報が最も増加した前記座圧検出部の位置への方向へと設定されること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の運転者監視装置。
【請求項7】
前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が減少した前記座圧検出部の平均位置から、同じ時間内における前記座圧推移大きさ情報が増加した前記座圧検出部の平均位置への方向へと設定されること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の運転者監視装置。
【請求項8】
前記座圧変換情報は、前記座圧検出部の所定時間に変化する大きさを表す座圧推移大きさ情報を有し、前記座圧推移方向情報は、複数の前記座圧検出部の中心点から、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も増加した前記座圧検出部の位置への方向へと設定される、
または、所定時間における前記座圧推移大きさ情報が最も減少した前記座圧検出部の位置から、座圧検出部の中心点への方向へと設定されること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の運転者監視装置。
【請求項9】
前記加速度変換手段は、加速度の方向を加速度角度区画に分類し、前記座圧変換手段は、座圧推移の方向を座圧角度区画に分類し、
前記加速度影響判断手段は、前記加速度角度区画と前記座圧角度区画が同じもしくは、その隣同士の区画であれば、車両運転者の姿勢変化が車両走行に起因するものとする車両走行起因体動であると判断すること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の運転者監視装置。
【請求項10】
前記座圧変換情報より車両運転者の状態が異常か、否かを判定する状態判定部を有し、前記状態判定部が前記車両運転者の状態を異常と判定し、かつ前記加速度影響判断手段が、車両運転者の姿勢変化が車両走行起因体動ではないと判断した際、運転者に異常姿勢であることを報知する警告部を有すること、を特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の運転者監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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