説明

過塩基性カルボン酸金属塩複合グリースおよび製造方法

過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩の複合グリースが、脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩(このアルカリ土類金属塩は、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有する)を変換剤と反応させてグリース前駆体を生成することにより調製される。次いで、このグリース前駆体を錯化剤と反応させて、主としてバテライトを含む、変性された非ニュートン過塩基性カルボン酸金属塩複合グリースを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国受理官庁によりPCT出願として出願されており、2008年9月5日に申請された米国特許仮出願第61/094,598号の優先権および他の任意の利益を請求するものである。この仮出願の全開示を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属石鹸から調製された複合グリースに関する。より詳細には、本発明は、製造工程中に1種または複数種の錯化剤を用いて、過塩基性カルボン酸金属塩から調製されたバテライト・グリースに関する。
【背景技術】
【0003】
過塩基性アルカリ土類金属石鹸グリースの製造としては1ステップ法または2ステップ法のいずれかが挙げられる。代表的な2ステップ法では、非晶質過塩基性アルカリ金属石鹸(これは、カルボン酸塩、スルホン酸塩、フェナートもしくは他の有機酸系のもの、またはこれらの混合物とすることができる)を最初に単離し、次いでこれらの非晶質過塩基性アルカリ金属石鹸を結晶形に変換する。非晶質過塩基性アルカリ金属石鹸は、通常適切な粘度の炭化水素液体に分散した非晶質の炭酸塩コアを持ったミセル構造の形をしている。こうした液状グリース前駆体は、通常200〜400mgKOH/gmまたはさらに高いTBNを有する。一方、1ステップ法では、非晶質過塩基性アルカリ金属石鹸を分離せず、同じ反応器または何らかのグリース釜において1ステップで非晶形から結晶形への変換をその場で行う。非晶形から結晶形へのこの形態変化に伴い、最初の過塩基性材料はニュートン液体から非ニュートン・ゲルまたは揺変性グリースへ変わる。単純金属石鹸グリースまたは複合石鹸グリースのいずれかとしての、大部分の中性または中性に近い金属石鹸増粘グリースとは異なり、この高TBN過塩基性金属石鹸増粘グリースは添加剤を使用することなく望ましい性能特徴の多くを有する。こうした性能特徴としては、優れた耐摩耗性、高荷重担持能力、高い滴点、優れた煎断安定性または機械的強度、およびグリースの製造に伴う過塩基性金属石鹸増粘剤の性質および化学プロセスに応じたその他多くが挙げられる。
【0004】
グリースの製造に際しての重要なステップは増粘剤のミクロ構造の形成である。グリース中の結晶材料(またはマトリックス)のミクロ構造は、潤滑油の取込みと放出を可能にする。これは過塩基性金属石鹸増粘剤を有するグリースにとってさらに重要である。なぜならば、単に増粘剤ミクロ構造は、潤滑油の取込みと放出を可能にするだけでなく、増粘剤それ自体が性能添加剤としても働き、仕上げグリースに性能属性の多くを与えるからである。温度、圧力、滞在時間およびけん化の化学量論量などの加工条件は、形成される増粘剤ミクロ構造に大きな影響を与える。グリース製造方法は、グリース製造プロセスに含まれる物理変化および化学反応に基づいて、変換段階、複合体形成段階および仕上げ段階などの一段法または多段法として特徴づけることもできる。したがって、その結果、プロセス条件およびプロセス段階が、仕上げグリースの性能属性の多くを決定する。
【0005】
酸中和および洗浄特性を有し、例えば自動車やトラック車体の防錆用下塗りなどの様々な用途ならびに様々な他の目的に有用な、揺変性グリースまたはグリース状過塩基性カルボン酸金属塩もしくは他の過塩基性金属含有組成物が当技術分野で知られている。こうしたグリースまたはグリース状組成物はそれ自体でまたは他の成分と混合してかなり広範囲で使用されており、様々な環境で使用される組成物が製造されている。さらに、一般に、これらは、かなり優れた超高圧および耐摩耗性、高い滴点、かなり優れた耐機械的破壊性、耐塩水噴霧および水腐食性、高温熱安定性、ならびに他の望ましい特性を特徴とする。
【0006】
過塩基性カルボン酸金属塩は、一般に、炭化水素、カルボン酸、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム)または金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)ならびにメタノールおよび水などの促進剤の混合物を炭酸塩化することにより製造される。炭酸塩化に際して、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムは二酸化炭素ガスと反応して炭酸カルシウムを生成する。カルボン酸は、過剰のCaOまたはCa(OH)で中和されてカルボン酸塩を生成する。カルボン酸カルシウムを過塩基性にする公知の先行技術プロセスでは、300mgKOH/gm以上のTBNを有する高アルカリ性材料が製造される。TBNは予備アルカリの大きさであり、1グラムの試料中にあるアルカリ成分を中和するのに必要な酸の量と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。化学量論的に調製されたカルボン酸カルシウムだけから得ることができるものより高い全塩基価を有する添加剤を、一般に「過塩基性」と呼ぶ。あるいは「超塩基性」と呼ぶ。
【0007】
加熱しながら、かつ/または激しく混合しながら、スルホン酸カルシウムまたは他の過塩基性金属含有材料の過塩基性ニュートン溶液に変換剤を添加すると、非ニュートンコロイド分散系が形成される。これらの変換剤としては、多くのものの中でも以下が挙げられる:水;アルコール、例えば、メタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、その他多くのアルコール、またはこれらの混合物、あるいは水とアルコールの混合物;アルキレングリコール;アルキレングリコールのモノ低級アルキルエーテル、例えば、エチレングリコールのモノメチルエーテル;ならびに、その他多くのもの、例えば、酢酸およびプロピオン酸によって例示される低級脂肪族カルボン酸;ケトン;アルデヒド;アミン;リン酸;アルキルおよび芳香族アミン;ある種のイミダゾリン;アルカノールアミン;ならびに、二酸化炭素それ自体、または二酸化炭素を水と組み合わせるとさらによい。得られた非ニュートンコロイド分散系は、その調製で利用される特定の条件、比率および成分に応じて、ゲルの形をしていることもあり、またはグリースの形をしていることもある。
【0008】
先行技術の過塩基性カルシウム含有ニュートン溶液では、ニュートン溶液の調製中に生成する炭酸カルシウムは、通常非晶形であるように見える。しかし、ニュートン溶液を非ニュートン・コロイド分散系に変換すると、溶解した非晶質炭酸カルシウム塩または複合体は、通常炭酸カルシウムの固体結晶粒子(一般にカルサイトの形態)に変化する。次いで、これが成長して、40〜50オングストローム(Å)以上、例えば、1000Åまたは5000Åまでの法に及ぶことがある粒径を形成するようになる。過塩基性カルボン酸金属塩の炭酸カルシウム成分は、金属カルボン酸塩ミセル構造のコアを形成する。
【0009】
オレイン酸などの高級カルボン酸の過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩の場合には、水と酢酸またはプロピオン酸などの変換剤を非晶質炭酸カルシウムとカルボン酸カルシウムのニュートン溶液に加えると、非晶質炭酸カルシウムはバテライト(球形の結晶炭酸カルシウム)に変換し、カルサイトはまったく形成されない。これは過塩基性スルホン酸カルシウムとは対照的である。過塩基性スルホン酸カルシウムを変換剤で処理すると、非晶質の過塩基性スルホン酸カルシウムからカルサイトのミセルまたはカルサイトとバテライトの混合物のミセルを形成する。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に記載された技術的現状にもかかわらず、錯化剤で変性された、主としてバテライトを含有するグリースの調製にさらなる改良が必要である。このグリースは、高い油取込み性の点で改善された収率を有し、かつ、煎断安定性、耐摩耗性、超高圧または荷重担持能力、滴点および有用な使用温度範囲について改善された性能特性を有するものである。
【0011】
一般に、本発明の一態様は、過塩基性カルボン酸金属塩複合グリースを提供することである。この過塩基性カルボン酸金属塩複合グリースは、脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩であって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有する、脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と;炭化水素液体、水、石灰、グリコール、ならびに酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸を含む変換剤と;リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種の錯化剤とを含む。
【0012】
本発明の別の態様は、複合グリースの調製方法を提供することである。この方法は、
脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩を提供するステップであって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有するステップと;
前記脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と変換剤とを反応させて、ニュートン・グリース前駆体を生成するステップであって、前記変換剤が、
炭化水素液体、
水、
石灰、
ポリオール、ならびに
酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸
を含むステップと;
前記ニュートン・グリース前駆体を少なくとも1種の錯化剤と反応させて、非ニュートン複合グリースを生成するステップであって、前記少なくとも1種の錯化剤が、リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択されるステップと
を含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、複合グリースの調製方法を提供することである。この方法は、
脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩を提供するステップであって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有するステップと;
前記脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と変換剤とを反応させて、揺変性の非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成するステップであって、前記変換剤が、
炭化水素液体、
水、
石灰、
ポリオール、ならびに
酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸
を含むステップと;
前記非ニュートン・グリース前駆体を少なくとも1種の錯化剤と反応させて、非ニュートン複合グリースを生成するステップであって、前記少なくとも1種の錯化剤が、リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択されるステップと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】バテライト形態の炭酸カルシウムの代表的なX線回折スペクトルである。
【図2】カルサイト形態の炭酸カルシウムの代表的なX線回折スペクトルである。
【図3】過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの調製に用いられる過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩の代表的なX線回折スペクトルである。
【図4】本発明の一実施形態による過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの代表的なX線回折スペクトルである。
【図5】本発明の一実施形態による、過塩基性スルホン酸カルシウム・グリース、過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの調製に用いられる過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩、および過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの代表的なFTIRスペクトルである。
【図6a】〜
【図6e】様々な過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの代表的なFTIRスペクトルである。
【図7】本発明の一実施形態による、過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの調製に用いられる過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩、および過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの代表的なFTIRスペクトルである。
【図8a】〜
【図8d】市販の過塩基性スルホン酸カルシウム・グリースの代表的なFTIRスペクトルである。
【図9】市販のスルホン酸カルシウム複合グリース(A)、オレイン酸カルシウム複合グリース(B)、およびニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム材料(C)の代表的なFTIRスペクトルである。
【図10】オレイン酸カルシウム複合グリースの生成中に非結晶質から結晶質炭酸カルシウムまでの変化を示す代表的なFTIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
複合グリースの調製方法では、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩を、水、石灰、炭化水素液体、グリコールならびに酢酸およびプロピオン酸などの短鎖カルボン酸を含む変換剤と反応させて、中間過塩基性グリース前駆体を生成する。次いで、この過塩基性グリース前駆体を、単独でまたは組み合わせて、リン酸、ホウ酸および/または脂肪族モノカルボン酸またはC12〜C24酸などの脂肪酸を含む錯化剤と結合させることができる。変換剤と反応させると、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩は、主としてバテライトを含む揺変性の非ニュートンゲル化グリース前駆体に変換される。錯化剤と結合させると、バテライト含有グリース前駆体はさらに変性されて、高い油取込み性の点で改善された収率を有し、かつ、耐機械剪断力、超高圧、耐摩耗性および滴点温度について改善された特性を有する、過塩基性複合グリースを生成する。
【0016】
複合グリースを調製する別の方法では、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩は、ニュートン過塩基性グリース前駆体から非ニュートン・グリースへの変換が完成する前に、最初に変換剤と反応し続いて錯化剤と反応することができる。変換剤としては、水、石灰、炭化水素液体、グリコールならびに酢酸およびプロピオン酸などの短鎖カルボン酸が挙げられる。錯化剤としては、リン酸、ホウ酸および/または脂肪族モノカルボン酸またはC12〜C24酸などの脂肪酸が挙げられる。変換剤および錯化剤の両方と反応させると、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩は、生産効率とプロセス単純化のために一段反応で、主としてバテライトを含む非ニュートン複合グリースに変換される。この一段反応で生成したバテライト含有複合グリースは、耐機械剪断力、超高圧、耐摩耗性および滴点温度について改善された特性を有する。
【0017】
本発明の一実施形態では、複合グリースの調製方法は2ステップ法であり、第1ステップは、適切なニュートン過塩基性金属石鹸溶液の製造プロセスを含み、第2ステップは、過塩基性金属石鹸溶液をニュートン溶液から非ニュートン・グリースへ変換する一段反応を含む。この一段反応では、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩と変換剤とを、中間過塩基性グリース前駆体がニュートン溶液のままであるように、所定の時間反応させる。引き続いて錯化剤を添加すると、中間ニュートン過塩基性グリース前駆体は、主としてバテライトを含む変性された非ニュートン過塩基性カルボン酸カルシウム複合グリースに変換される。
【0018】
本発明の別の実施形態では、複合グリースの調製方法は2ステップ法であり、第1ステップは適切なニュートン過塩基性金属石鹸溶液の製造プロセスを含み、第2ステップは二段反応を含む。この二段反応では、第一段反応は、ニュートン過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩と変換剤とを、中間過塩基性グリース前駆体が増粘揺変性非ニュートンゲル化生成物であるように、所定の時間反応させるステップを含む。反応の第二段では、錯化剤を添加してグリース前駆体と反応させると、中間増粘非ニュートン過塩基性グリース前駆体は、主としてバテライトを含む変性された非ニュートン過塩基性カルボン酸カルシウム複合グリースに変換される。
【0019】
カルボン酸塩のアルカリ土類金属は、カルシウム、バリウム、マグネシウムおよびストロンチウムからなる群から選択される。これらの金属は、金属酸化物および水酸化物に由来し、場合によっては、金属硫化物および水硫化物に由来する。例えば、グリース前駆体としては過塩基性カルボン酸カルシウムを挙げることができる。
【0020】
金属カルボン酸塩のカルボン酸部分としては、単独でまたは互いに組み合わせて8〜30個の炭素原子からなるC〜C30飽和および不飽和カルボン酸を含む、あるいはカルボン酸の反応性等価物を含む、脂肪酸を挙げることができる。有用なカルボン酸および脂肪酸の例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、およびこれらの酸の任意の混合物が挙げられるが、それだけに限らない。
【0021】
金属カルボン酸塩の生成には、さらに過塩基性カルボン酸アルカリ土類金属塩の生成を促進するアルコールが含まれる。アルコールとしては、少なくとも8個の炭素原子を含有する脂肪族アルコールが挙げられる。一例においては、8個〜14個またはそれ以上の炭素原子を有する脂肪族アルコールを使用することができる。こうした脂肪族アルコールの例としては、イソデカノール、ドデカノール、オクタノール、トリデカノール、テトラデカノールまたはこれらの混合物が挙げられる。過塩基性製品の製造に高級脂肪族アルコールを使用すると、促進剤としてのフェノールを反応から除外することができることが分かった。
【0022】
複合グリースの製造に使用される過塩基性カルボン酸金属塩は、少なくとも12.5重量%以上のカルシウムなどのアルカリ土類金属を含んで調製される。例えば、少なくとも15重量%の金属を含む高級金属含有過塩基性製品の調製では、ポリオールの使用が適切であることが見出されている。ポリオールは、グリコールまたはグリコールエーテルとすることができる。グリコールまたはグリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(butyl Carbitol(登録商標))、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0023】
複合グリースの製造に使用する過塩基性カルボン酸カルシウムの調製方法は、少なくとも1種の液化炭化水素、アルコール、およびグリコールエーテルなどのポリオールの存在下で、アルカリ土類金属塩基と脂肪酸とを、金属塩基と脂肪酸との当量比が1:1より大きい状態で反応させるステップを含む。この混合物を酸性化かつ炭酸塩化して、混合物内に非晶質のアルカリ土類金属炭酸塩を生成することができる。炭酸塩化中に、アルカリ土類金属塩基、液化炭化水素および少なくとも8個の炭素原子を有するアルコールを含む分散液の相対量を制御された塩基添加速度で添加して、安定な液体反応生成物を生成することができる。この反応中に、反応生成物から水が除去されて、長期保存可能な流動性液状過塩基性アルカリ土類金属塩が生成する。一般に、全プロセスを遊離酸素がない状態で行うことができ、この目的のために、窒素環境を使用することができる。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる用語「酸性ガス」とは、水と反応して酸を生成するガスを意味する。したがって、二酸化硫黄、三酸化硫黄、二酸化炭素、二硫化炭素、硫化水素などのガスは、開示される過塩基性カルボン酸金属塩の調製に有用な酸性ガスとして代表的なものである。二酸化炭素を用いると、アルカリ土類炭酸塩が形成される。硫黄ガスを用いると、硫酸塩、硫化物および亜硫酸塩が形成される。
【0025】
過塩基性材料の炭酸塩化中、この混合物は、混合物に含まれている水、すなわち塩基とカルボン酸の反応中に生成し過塩基性化反応中保持されている水の一部を飛ばすのに十分な温度に加熱することができる。二酸化炭素を用いた混合物の処理は高温で行うことが好ましく、このステップに用いられる温度の範囲は、75℃(165°F)〜200℃(390°F)の範囲の、周囲温度を超える任意の温度とすることができる。250℃(480°F)などのより高い温度を用いることもできるが、こうした高い温度を用いる明らかな利点はない。通常、80℃(175°F)〜150℃(300°F)の温度で十分である。
【0026】
アルカリ土類金属塩基、脂肪酸、ポリオール、液化炭化水素およびアルコールから水を除去した後、過塩基性材料は、反応生成物の揮発性成分を除去するために、165℃(330°F)までの温度で蒸留または真空ストリッピングすることができる。蒸留用語において「ストリッピング」とは、より揮発性の低い物質から揮発性成分を除去することである。真空ストリッピングは、最終製品のアルカリ土類金属含有量測定値が少なくとも約14.5%になり、不揮発物含有量が少なくとも約95%になるまで行う。
【0027】
複合グリースの調製に用いられる過塩基性材料は、熱力学的に安定したマイクロエマルジョンであると考えられる。このマイクロエマルジョンはミセルと連続相を有する。このミセルは、アルカリ土類金属炭酸塩と脂肪酸のカルボン酸アルカリ土類金属塩からなる。マイクロエマルジョンの連続相は、液化炭化水素およびアルコールからなる。
【0028】
過塩基性揺変性非ニュートンゲル化グリース前駆体の調製に利用される好適な変換剤としては、水;炭化水素液体、例えば、分枝、直鎖もしくは飽和環状構造の脂肪族炭化水素、ミネラルスピリット、非芳香族炭化水素およびポリアルファオレフィン(PAO)(Drakesol(登録商標)600はこうした炭化水素液体の好適な例である);石灰(CaOH);アルコール、例えば、メタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、およびその他多くのアルコール、またはこれらの混合物、あるいは水とアルコールの混合物;アルキレングリコール;アルキレンおよびプロピレングリコールのモノ低級アルキルエーテル、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのモノメチルエーテル;ならびに、その他多くのもの、例えば、酢酸およびプロピオン酸を含む低級脂肪族カルボン酸が挙げられる。
【0029】
複合グリースを形成するために過塩基性揺変性非ニュートン・ゲル化グリース前駆体に加えることができる好適な錯化剤としては、水;リン酸などのリンの酸;アルキルおよび芳香族アミン;ホウ素の酸、例えば、ホウ酸、四ホウ酸およびメタホウ酸;およびこうしたホウ素酸のエステル;ならびに、炭素原子12〜24個の脂肪族系酸または脂肪酸、例えば、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸(特にヒドロキシステアリン酸)は、通常、非置換脂肪酸と比べるとグリースの増粘力が高い。
【0030】
本発明の一実施形態では、複合グリースを調製するための一段反応が、カルサイトではなく主としてバテライト結晶の形の炭酸カルシウム結晶の形成を促進する条件下で、ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム材料を、水、石灰、炭化水素溶剤、プロピレングリコールおよび酢酸を含む変換剤と共に加熱してニュートン過塩基性グリース前駆体を生成するステップを含む。次いで、このニュートン過塩基性グリース前駆体を、水、リン酸、ホウ酸および/または12−ヒドロキシステアリン酸を含む少なくとも1種の錯化剤と結合させる。これらの錯化剤の少なくとも1種と結合すると、ニュートン・グリース前駆体は、引き続いて、主としてバテライトを含む増粘非ニュートン複合グリースに変換される。
【0031】
本発明の別の実施形態では、複合グリースを調製するための二段反応が、カルサイトではなく主としてバテライト結晶の形の炭酸カルシウム結晶の形成を促進する条件下で、ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム材料を、水、石灰、炭化水素溶剤、プロピレングリコールおよび酢酸を含む変換剤と共に加熱して揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成するステップを含む。次いで、このグリース前駆体を、水、リン酸、ホウ酸および/または12−ヒドロキシステアリン酸を含む少なくとも1種の錯化剤と結合させる。これらの錯化剤と結合すると、揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体は、引き続いて、主としてバテライトを含む非ニュートン複合グリースに変換される。
【0032】
以下の実施例は、主としてバテライトを含む複合グリースの成分ならびに量を例示するものであるが、これらの実施例は本発明の範囲を限定していると見なすべきではない。

〔実施例〕
バテライト含有変性過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成させる2ステップ一段法
【実施例1】
【0033】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.02g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(不揮発物(NVM)96.2%および全塩基価(TBN)330)2000.14g、石灰(CaOH)100.09g、ならびに、水200.06g、プロピレングリコール100.05gおよび酢酸150.07gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間30分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、錯化剤を、増粘中間非ニュートン・グリース前駆体に加えた。二次変換剤には、水100.13g、12−ヒドロキシステアリン酸149.99gおよびリン酸100.02gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)でおよそ1時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムとリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0034】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例2】
【0035】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1012.50g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.00g、石灰(CaOH)100.00g、ならびに、水200.01g、プロピレングリコール100.00gおよび酢酸150.07gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間30分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.01g、12−ヒドロキシステアリン酸150.0gおよびホウ酸100.00が含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)でおよそ1時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムとホウ酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。
【0036】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例3】
【0037】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.02g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.03g、石灰(CaOH)100.13g、ならびに、水200.00g、プロピレングリコール100.02gおよび酢酸150.03gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間15分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.04gと12−ヒドロキシステアリン酸150.03gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ1時間45分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、過塩基性オレイン酸カルシウム非ニュートン複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0038】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例4】
【0039】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.00g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.11g、石灰(CaOH)75.03g、ならびに、水203.00g、プロピレングリコール100.05gおよび酢酸175.02gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間15分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.02gと12−ヒドロキシステアリン酸150.00gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0040】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例5】
【0041】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.03g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.15g、石灰(CaOH)100.04g、ならびに、水200.43g、プロピレングリコール100.01gおよび酢酸150.03gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間15分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.03gと12−ヒドロキシステアリン酸200.05gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0042】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例6】
【0043】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1003.86g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.10g、石灰(CaOH)75.02g、ならびに、水200.02g、プロピレングリコール100.03gおよび酢酸175.00gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間15分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.03gと12−ヒドロキシステアリン酸200.06gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0044】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例7】
【0045】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.07g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.050g、石灰(CaOH)75.04g、ならびに、水200.06g、プロピレングリコール100.05gおよび酢酸175.03gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間20分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.00gと12−ヒドロキシステアリン酸250.01gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間5分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0046】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例8】
【0047】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.00g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.04g、石灰(CaOH)100.00g、ならびに、水200.12g、プロピレングリコール100.00gおよび酢酸175.01gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間10分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.05gと12−ヒドロキシステアリン酸200.00gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0048】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例9】
【0049】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.02g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.00g、石灰(CaOH)49.99g、ならびに、水200.04g、プロピレングリコール100.12gおよび酢酸175.04gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間45分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.02gと12−ヒドロキシステアリン酸200.03gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0050】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例10】
【0051】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.10g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.00g、石灰(CaOH)75.00g、ならびに、水200.00g、プロピレングリコール100.00gおよび酢酸250.00gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間10分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.01gと12−ヒドロキシステアリン酸200.10gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間30分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0052】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例11】
【0053】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1600.00g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)3200.00g、石灰(CaOH)120.00g、ならびに、水320.00g、プロピレングリコール160.00gおよび酢酸280.00gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ1時間35分で104℃(220°F)まで加熱して、中間ニュートン・グリース前駆体を生成した。次に、この中間ニュートン・グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水160.02gと12−ヒドロキシステアリン酸320.04gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ1時間45分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0054】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
バテライト含有変性過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成させる2ステップ二段法
【実施例12】
【0055】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.04g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.06g、石灰(CaOH)100.02g、ならびに、水200.03g、プロピレングリコール100.26gおよび酢酸150.01gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ2時間で104℃(220°F)まで加熱して、揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成した。次に、この揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体に錯化剤を加えた。二次変換剤には、水100.03gと12−ヒドロキシステアリン酸200.03gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ1時間20分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0056】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例13】
【0057】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1600.25g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)3200.06g、石灰(CaOH)160.00g、ならびに、水320.04g、プロピレングリコール160.00gおよび酢酸240.00gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ2時間で104℃(220°F)まで加熱して、揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成した。次に、この揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水160.00gと12−ヒドロキシステアリン酸320.11gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ2時間加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0058】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例14】
【0059】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.33g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.04g、石灰(CaOH)50.04g、ならびに、水200.00g、プロピレングリコール100.03gおよび酢酸150.02gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ2時間30分で104℃(220°F)まで加熱して、揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成した。次に、この揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.01gと12−ヒドロキシステアリン酸200.02gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ1時間15分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0060】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【実施例15】
【0061】
3ガロンのホバート・ミキサーに、Drakesol(登録商標)600 1000.07g、15.0%過塩基性オレイン酸カルシウム(NVM96.2%およびTBN330)2000.03g、石灰(CaOH)99.99g、ならびに、水200.01g、プロピレングリコール100.02gおよび酢酸122.03gを含む変換剤を入れた。この混合物を、撹拌しながらおよそ2時間で104℃(220°F)まで加熱して、揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成した。次に、この揺変性中間非ニュートン・ゲル化グリース前駆体に錯化剤を加えた。この錯化剤には、水100.00gと12−ヒドロキシステアリン酸200.03gが含まれていた。この混合物を、撹拌しながら104℃(220°F)〜138℃(280°F)の温度範囲でおよそ1時間30分加熱して、主としてバテライトを含む、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムで変性された、非ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースを生成した。この複合グリースは、食品用複合グリースと見なすことができる。
【0062】
この製品をX線回折法によって分析したが、検出しうるカルサイトまたはアラゴナイトは含まれていなかった。
【0063】
上で調製された過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの顕著な特徴としては、複合グリース中に、カルサイトではなく主としてバテライト結晶の形の炭酸カルシウム結晶が形成されることが挙げられる。図1および図2に、それぞれバテライトとカルサイトのX線回折(XRD)スペクトルを示した。比較のために、過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの調製に用いられる15%過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩のXRDスペクトルを図3に示す。また、過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースのXRDスペクトルを図4に示す。図3のXRDデータに基づいて、15%過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩は、非晶質の炭酸カルシウムを主として含んでおり、カルサイトおよび/またはバテライトとしての炭酸カルシウムは検出できるとしても実質上限定されたレベルであると結論付けることができる。さらに、図4に見られる過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースのXRDデータは、バテライトが、グリース中に存在する炭酸カルシウムの主な形態であることを明らかにしている。カルサイトの形態の炭酸カルシウムはグリース中に存在しないように見える。
【0064】
過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリース中に存在するバテライト形態の炭酸カルシウムの存在のさらなる証拠が図5に見られる。フーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトルが3つの異なる材料について提示されている。これらのスペクトルの主な特長は860〜880cm−1の領域内のピーク位置である。この領域のピークは炭酸カルシウムの形態に対応している。通常、858〜862cm−1の領域内のピークは非晶質炭酸カルシウムに対応しており、880〜885cm−1の範囲内のピークは炭酸カルシウムのカルサイト形態に対応しており、875〜877cm−1の範囲内のピークは炭酸カルシウムのバテライト形態に対応している。図5に見られるように、885.1cm−1にピークを有するスペクトルは、市販の過塩基性スルホン酸カルシウム・グリースに対応しており、主にカルサイト形態の炭酸カルシウムであることが分かる。856.7cm−1にピークを有するスペクトルは、市販の過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩液体に対応しており、主に非晶質の炭酸カルシウムを含んでいる。875.9cm−1にピークを有するスペクトルは、本発明の一実施形態による過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースに対応しており、バテライト形態の炭酸カルシウムを主として含んでいる。
【0065】
図7に、過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの調製に用いられる過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩液体、および過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースの測定結果を比較した別のFTIRスペクトルを示す。858.6cm−1にピークを有するスペクトルは、主に非晶質炭酸カルシウムを含む、市販の過塩基性オレイン酸カルシウムカルボン酸塩液体に対応する。875.0cm−1にピークを有するスペクトルは、バテライト形態の炭酸カルシウムを主に含む、本発明の一実施形態による過塩基性オレイン酸カルシウム複合グリースに対応する。
【0066】
図8a〜図8dに見られるように、市販の過塩基性スルホン酸カルシウム複合グリースの別のFTIRスペクトルを提示する。これらの図のそれぞれにおいて、炭酸カルシウムに対応するピークは880.8cm−1〜884.7cm−1の範囲内にあることが分かる。これは、カルサイト形態の炭酸カルシウムに対応する範囲に入るものである。
【0067】
赤外分析法は、複合グリースの変換過程を監視し特徴づけるためにも用いた。約863cm−1、877cm−1および882cm−1の赤外吸光度ピークは、それぞれ、非晶質炭酸カルシウム、バテライト炭酸カルシウムおよびカルサイト炭酸カルシウムの特徴であることが知られている。図9では、FTIRスペクトルは、ニュートン過塩基性オレイン酸カルシウム材料が860cm−1を中心とした代表的な広いピークを有することを明らかに示した。このピークのピーク位置と広さの両方は、過塩基性オレイン酸カルシウム材料に含まれる炭酸カルシウムの非晶質性を示す証拠である。一旦過塩基性オレイン酸カルシウム材料が非ニュートン・オレイン酸カルシウム複合グリースに変換されると、FTIRスペクトルは、860cm−1の広いピークが消えて875cm−1の鋭い新しいピートに置換されたことを示した。これは、非晶質炭酸カルシウムからバテライト形態の結晶質炭酸カルシウムへの変換と矛盾しない。比較として、市販の食品用スルホン酸カルシウム複合グリースのFTIRスペクトルも図9に示した。このスペクトルでは885cm−1に主ピートがある。これは、カルサイト形態の結晶質炭酸カルシウムを示している。
【0068】
赤外分析法は、図10に示したように、複合グリースの調製プロセスを始めから終わりまで記録するためにも用いた。これらのFTIRスペクトルは、グリース釜から採取した試料について20分ごとに記録された。過塩基性オレイン酸カルシウム材料がニュートン液体の形をしている場合、FTIRスペクトルは、室温から210°Fまで、860cm−1に1つだけの広いピークを示した。FTIRスペクトルは、220〜225°Fで860cm−1と875cm−1の両方に2つのピークを示した。この温度は、過塩基性オレイン酸カルシウム材料が揺変性の非ニュートン・ゲル・グリース前駆体に変換されているが、複合体形成反応が開始する前の点に対応するものである。一旦グリース釜が225°Fを超えて加熱され、グリース反応が最終の複合体形成反応段階に入ると、FTIRスペクトルは875cm−1に1つだけのピークを示した。全加熱工程中、875cm−1を超える波数の赤外吸収帯を観察することはできない。したがって、過塩基性オレイン酸カルシウム材料については、非晶質炭酸カルシウムをグリースに変換する場合、これはもっぱらバテライト形態の炭酸カルシウムに変換すると、赤外分析法から結論付けることができる。
【0069】
過塩基性化の化学は、食品用、生物分解性およびバイオベースとして登録することができるグリース配合物を提供する。過塩基性複合グリースは、オレイン酸カルシウムと、プロピレングリコールを含む材料から作られた促進剤と、水、石灰、12−ヒドロキシステアリン酸、および酢酸を含む変換剤とを含んでいる。これらすべては偶発的な食物接触についてのNSF登録のリストに記載されている。グリース配合物に用いられる炭化水素溶剤は、合成されたものでもよく、非合成のものでもよい。ゲル化した材料は、H1食品グレード・グリースを与える適切な油を用いることにより、NLGIグレード・グリースに調節することができる。例えば、天然の大豆油を用いることにより、植物由来の配合物をNLGI#2グリースに対応するように調節して、得られたグリースを生物分解性にすることができる。植物由来のオレイン酸と、キャノーラまたはヤシ油などの植物由来の油からなるレットダウン油とからグリースを作る場合、このグリースは、バイオベースおよび生物分解性に分類することができる。
【0070】
オレイン酸が天然の一価不飽和脂肪酸であるという事実により、任意選択の酸化防止添加剤を使用して複合グリースの耐酸化性を改善することができる。一実施形態では、過塩基性複合のグリースを調製する際に、アミン系酸化防止剤を利用することができる。例えば、アミン系酸化防止剤は、一般に複合グリース配合物全体の1.0重量%未満の量を加えることができる。さらに別の例では、アミン系酸化防止剤は、複合グリース配合物全体の約0.5重量%の量を加えることができる。
【0071】
錯化剤として12−ヒドロキシステアリン酸3.5%を用いたオレイン酸カルシウム複合グリースの実験的食品用バージョンで、いくつかの共通グリース性能試験を行った。この塩基グリース配合物は、過塩基性オレイン酸カルシウム・グリース出発物質と、錯化剤としての12−ヒドロキシステアリン酸との比について最適化された。この塩基グリース配合物は、さらに、添加した水酸化カルシウムと、グリース調製プロセス中に加えられた酸の総量との比についても最適化された。500時間のグリース酸化安定性試験(ASTM D942)で集めたデータ(このデータはアミン系酸化防止剤0.5%で強化された同じ塩基グリースで得られたものである)を除いて、他のすべての試験結果は、いかなる性能添加剤も含んでいない塩基グリースで得られた。これらの選択されたグリース性能試験の結果を表2に記載した。比較のために、市販のスルホン酸カルシウム複合グリースの1つの食品用タイプ(H1)の典型的な性能データも表2に記載した。
【0072】
【表1】

【0073】
上記の開示に基づき、本明細書に記載したバテライト含有複合グリースにより上述の目的が達成されることがここに明らかになった。したがって、どんな明白な変更も請求された本発明の範囲内に入ること、したがって特定の構成要素の選択は本明細書に開示され説明された本発明の精神から逸脱することなく決定することができることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩であって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有する、脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と;
炭化水素液体、
水、
石灰、
ポリオール、ならびに
酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸
を含む変換剤と;
リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種の錯化剤と
を含む過塩基性カルボン酸金属塩複合グリース。
【請求項2】
カルサイトが、前記グリース中で実質上測定不可能である、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項3】
バテライトが、前記グリース中に存在する炭酸カルシウムの主な形態である、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項4】
前記少なくとも1種の錯化剤の前記脂肪酸が12−ヒドロキシステアリン酸である、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項5】
過塩基性アルカリ土類金属塩の前記脂肪酸がオレイン酸である、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項6】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩のアルカリ土類金属が、カルシウム、バリウム、マグネシウムおよびストロンチウムからなる群から選択される、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項7】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩がオレイン酸カルシウムである、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項8】
前記ポリオールが、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールまたはグリコールエーテルである、請求項1に記載の複合グリース。
【請求項9】
複合グリースの調製方法であって、
脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩を提供するステップであって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有するステップと;
前記脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と変換剤とを反応させて、ニュートン・グリース前駆体を生成するステップであって、前記変換剤が、
炭化水素液体、
水、
石灰、
ポリオール、ならびに
酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸
を含むステップと;
前記ニュートン・グリース前駆体を少なくとも1種の錯化剤と反応させて、非ニュートン複合グリースを生成するステップであって、前記少なくとも1種の錯化剤が、リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択されるステップと
を含む方法。
【請求項10】
カルサイトが、前記グリース中で実質上測定不可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バテライトが、前記グリース中に存在する炭酸カルシウムの主な形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の錯化剤の前記脂肪酸が12−ヒドロキシステアリン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
過塩基性アルカリ土類金属塩の脂肪酸がオレイン酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩のアルカリ土類金属が、カルシウム、バリウム、マグネシウムおよびストロンチウムからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩がオレイン酸カルシウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
複合グリースの調製方法であって、
脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩を提供するステップであって、前記アルカリ土類金属塩が、少なくとも14.5%のアルカリ土類金属含有量および少なくとも95%の不揮発物含有量を有するステップと;
前記脂肪酸の過塩基性アルカリ土類金属塩と変換剤とを反応させて、揺変性の非ニュートン・ゲル化グリース前駆体を生成するステップであって、前記変換剤が、
炭化水素液体、
水、
石灰、
ポリオール、ならびに
酢酸およびプロピオン酸からなる群から選択される短鎖カルボン酸
を含むステップと;
前記非ニュートン・グリース前駆体を少なくとも1種の錯化剤と反応させて、非ニュートン複合グリースを生成するステップであって、前記少なくとも1種の錯化剤が、リン酸、ホウ酸、C12〜C24脂肪族モノカルボン酸およびC12〜C24脂肪酸からなる群から選択されるステップと
を含む方法。
【請求項17】
カルサイトが、前記グリース中で実質上測定不可能である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
バテライトが、前記グリース中に存在する炭酸カルシウムの主な形態である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の錯化剤の前記脂肪酸が12−ヒドロキシステアリン酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
過塩基性アルカリ土類金属塩の前記脂肪酸がオレイン酸である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩のアルカリ土類金属が、カルシウム、バリウム、マグネシウムおよびストロンチウムからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記過塩基性アルカリ土類金属塩がオレイン酸カルシウムである、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−502139(P2012−502139A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526071(P2011−526071)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041378
【国際公開番号】WO2010/027532
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(510267878)オーエムジー、アメリカズ、インク (3)
【Fターム(参考)】