説明

過熱保護回路および通信装置

【課題】装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことが可能な過熱保護回路および通信装置を提供する。
【解決手段】過熱保護回路101は、元電源電圧を受けて動作し、温度検出回路11から出力される検出電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、検出電圧のレベルが第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、元電源電圧から動作電源電圧を生成する電源回路13をオフするための制御信号を出力するための比較回路22を備える。検出電圧のレベルが第2の基準電圧のレベルと等しくなるときの温度は、電源回路13を備える装置の所定の使用温度範囲外である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱保護回路および通信装置に関し、特に、装置の電源を制御する過熱保護回路および通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサを用いて装置の過熱保護を行なう構成の一例として、たとえば、特開平9−222448号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、電源と負荷とを導通させるオン状態と遮断するオフ状態とに切換えられるスイッチ手段が設けられた回路において、上記スイッチ手段と直列に正特性サーミスタを配するとともに、この正特性サーミスタの両端電位のうちの少なくとも一方の電位に基づき故障の有無を判定して判定信号を出力する故障判定手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−222448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度センサを用いて装置の過熱保護を行なう構成の他の例として、温度センサの出力信号によってCPU(Central Processing Unit)に割り込みをかけ、CPUが電源オフ等の過熱保護制御を行なう構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、このような構成では、CPUが暴走している場合、過熱保護制御が実行されず、過熱状態が継続してしまう可能性がある。
【0006】
また、宅内に設置された装置に毛布がかぶされている等、装置が過熱状態となるような異常は、人が介在しないと解消されない場合も多い。過熱原因が解消されていなければ、過熱保護制御によって一旦装置内の温度が低下したとしても、過熱状態が繰り返される可能性がある。
【0007】
また、非特許文献1にも、このような問題点を解決するための構成は開示されていない。
【0008】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことが可能な過熱保護回路および通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる過熱保護回路は、元電源電圧から動作電源電圧を生成するための電源回路を備えた装置に用いられる過熱保護回路であって、上記元電源電圧を受けて動作し、温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧を出力するための温度検出回路と、上記元電源電圧を受けて動作し、上記検出電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、上記検出電圧のレベルが上記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、上記電源回路をオフするための制御信号を出力するための比較回路とを備え、上記検出電圧のレベルが上記第2の基準電圧のレベルと等しくなるときの上記温度は、上記装置の所定の使用温度範囲外である。
【0010】
このような構成により、制御信号によって一旦電源回路がオフされると、人間が介在しない限り動作電源電圧が復帰しないようにすることができるため、上記装置の使用温度範囲の境界付近で上記装置の電源回路がオン・オフを繰り返すことを防ぐことができる。また、CPUによる電源制御を行なうことなく、あるいはCPUによる電源制御とは別個に、上記装置の動作電源電圧を制御することができる。したがって、装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことができる。
【0011】
好ましくは、上記比較回路は、上記検出電圧に基づいて上記第1の基準電圧および上記第2の基準電圧を生成し、上記過熱保護回路は、さらに、上記元電源電圧のレベル変化による上記元基準電圧のレベル変化をキャンセルするように上記元基準電圧を補正するための補正回路を備える。
【0012】
このような構成により、制御信号によって電源回路のオン・オフが切り替わる温度が変動することを抑制し、制御信号による電源回路の制御を安定させることができる。
【0013】
より好ましくは、上記補正回路は、上記検出電圧のレベルが、上記第1の基準電圧のレベルと略等しくなる状態における上記元基準電圧のレベル変化をキャンセルする。
【0014】
電源の変動に対して元基準電圧を補正しようとすると、元基準電圧の電圧値は複雑な軌跡をたどることになり、この補正を実現する回路も複雑になる。しかしながら、元電源電圧の変動幅は、目標電圧値に対し、通常、数%程度に仕様で決められている。高々数%程度の変動であれば、その範囲内で補正される元基準電圧は、直線で近似できる。すなわち、補正回路は、直線で近似された元電源電圧の変動をキャンセルすればよいことから、簡易な構成とすることができる。
【0015】
より好ましくは、上記補正回路は、上記元電源電圧を分圧するための分圧回路と、定電圧を出力するための定電圧回路と、上記分圧回路によって分圧された電圧と上記定電圧回路の出力電圧との差を増幅し、上記元基準電圧として出力するための差動増幅回路とを含む。
【0016】
元基準電圧の補正回路は、定電圧源および差動増幅回路で簡単に構成することができる。一般的に、高い電圧の定電圧源は安定しにくく精度も悪い。これに対して、上記補正回路で使用する定電圧源は、その出力電圧が増幅される。このような構成により、低い電圧の定電圧源を使用することができるため、安価な回路構成で、消費電力も低く抑えることができる。
【0017】
好ましくは、上記過熱保護回路は、さらに、上記検出電圧を増幅して上記比較回路へ出力するための増幅回路を備え、上記増幅回路は、増幅後の上記検出電圧のレベルが上昇して上記第1の基準電圧のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる。
【0018】
このように、増幅回路において、入力電圧すなわち検出電圧の変化に対する、増幅回路の出力電圧の変化を急峻に設定することにより、元電源電圧の変動による増幅回路の出力電圧の変動を抑制することができる。すなわち、制御信号によって電源回路のオン・オフが切り替わる温度が変動することを防ぎ、制御信号による電源回路の制御を安定させることができる。
【0019】
より好ましくは、上記増幅回路は、増幅後の上記検出電圧のレベルが下降して上記第2の基準電圧のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる。
【0020】
このような構成により、第2の基準電圧に対応する温度付近における元電源電圧のレベル変動による増幅回路の出力電圧の変動も抑制することができるため、第2の基準電圧に対応する温度の設定の自由度を高めることができる。
【0021】
好ましくは、上記過熱保護回路は、さらに、上記検出電圧と増幅基準電圧との差を増幅した差動増幅電圧を上記比較回路へ出力するための差動増幅回路を備え、上記比較回路は、上記差動増幅電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、上記差動増幅電圧のレベルが上記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、上記電源回路をオフするための制御信号を出力し、上記差動増幅電圧のレベルが上記第2の基準電圧のレベルより小さくなった場合には、上記差動増幅電圧のレベルが上記第1の基準電圧のレベルより大きくなるまで、上記電源回路をオンするための制御信号を出力する。
【0022】
このように、検出電圧を差動増幅する構成により、比較回路の入力電圧のオフセットをキャンセルすることができるため、比較回路の入力電圧のレベル範囲を広げることができる。これにより、増幅回路において差動増幅ではなく単なる増幅を行なう構成と比べて、温度検出に基づく電源制御の精度を高めることができる。
【0023】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信装置は、元電源電圧から動作電源電圧を生成するための電源回路と、上記動作電源電圧を受けて動作する演算処理部と、過熱保護回路とを備える通信装置であって、上記過熱保護回路は、上記元電源電圧を受けて動作し、温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧を出力するための温度検出回路と、上記元電源電圧を受けて動作し、上記検出電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、上記検出電圧のレベルが上記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、上記電源回路をオフするための制御信号を出力するための比較回路とを含み、上記検出電圧のレベルが上記第2の基準電圧のレベルと等しくなるときの上記温度は、上記通信装置の所定の使用温度範囲外である。
【0024】
このような構成により、制御信号によって一旦電源回路がオフされると、人間が介在しない限り動作電源電圧が復帰しないようにすることができるため、上記装置の使用温度範囲の境界付近で上記装置の電源回路がオン・オフを繰り返すことを防ぐことができる。また、CPUによる電源制御を行なうことなく、あるいはCPUによる電源制御とは別個に、上記装置の動作電源電圧を制御することができる。したがって、装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る通信装置における過熱保護回路の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における温度検出回路の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における温度検出素子の温度特性を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の出力特性を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における比較回路の構成を示す図である。
【図8】発明の第1の実施の形態に係る比較回路による基準電圧の生成を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る比較回路による基準電圧の生成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における、周囲温度と電源制御信号との関係を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅電圧の変動および電源制御信号が切り替わる温度の変動を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路において、補正回路を設けた比較回路の構成を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における補正回路の構成を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における補正回路による補正効果を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の構成を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の出力特性を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅電圧の変動および増幅回路のゲイン切り替えによる効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0028】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、通信装置201は、CPU(Central Processing Unit)を搭載した組み込み機器である。通信装置201は、温度検出回路11と、電源制御回路12と、システム電源(電源回路)13と、CPU(演算処理部)14と、PHY処理部15と、VOIP(Voice Over IP)処理部16と、周辺回路17とを備える。
【0030】
システム電源13は、通信装置201の外部から供給されるたとえば12Vの元電源電圧Vccを3.3V等の動作電源電圧VPに変換し、通信装置201における各回路に供給する。
【0031】
CPU14、PHY処理部15、VOIP処理部16および周辺回路17は、システム電源13から供給される動作電源電圧VPによって動作する。
【0032】
CPU14は、周辺回路17に接続され、通信装置201における各ユニットを制御する。
【0033】
PHY処理部15は、ネットワークから受信した通信信号に対して所定の通信プロトコルにおける物理層の信号処理を行なって通信データを生成し、CPU14へ出力する。
【0034】
CPU14は、PHY処理部15から受けた通信データをVOIP処理部16へ出力する。
【0035】
VOIP処理部16は、CPU14から受けた通信データから音声信号を生成し、通信装置201の外部の電話機等へ出力する。
【0036】
また、VOIP処理部16は、通信装置201の外部の電話機等から受けた音声信号から通信データを生成し、CPU14へ出力する。
【0037】
CPU14は、VOIP処理部16から受けた通信データをPHY処理部15へ出力する。
【0038】
PHY処理部15は、CPU14から受けた通信データに対して所定の通信プロトコルにおける物理層の信号処理を行なって通信信号を生成し、ネットワークへ出力する。
【0039】
温度検出回路11は、通信装置201において発熱量の大きい箇所に配置され、元電源電圧Vccを受けて動作し、周囲温度を検出する。
【0040】
電源制御回路12は、元電源電圧Vccを受けて動作し、温度検出回路11による温度検出結果に基づいて電源制御信号PSENを生成し、システム電源13へ出力する。
【0041】
システム電源13は、電源制御回路12から受けた電源制御信号PSENがたとえば論理ハイレベルになると、動作電源電圧VPの生成および出力を停止する。
【0042】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置における過熱保護回路の構成を示す図である。
【0043】
図2を参照して、過熱保護回路101は、温度検出回路11と、電源制御回路12とを含む。電源制御回路12は、増幅回路21と、比較回路22とを含む。
【0044】
温度検出回路11は、周囲温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧TDETを出力する。
【0045】
増幅回路21は、温度検出回路11から受けた検出電圧TDETを増幅し、増幅後の検出電圧TDETを増幅電圧VAMPとして出力する。
【0046】
比較回路22は、増幅回路21から受けた増幅電圧VAMPに基づいて電源制御信号PSENを生成する。
【0047】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における温度検出回路の構成を示す図である。
【0048】
図3を参照して、温度検出回路11は、温度検出素子71と、抵抗72とを含む。
【0049】
抵抗72は、元電源電圧Vccが供給される元電源ノードに接続された第1端と、第2端とを有する。温度検出素子71は、たとえばダイオードであり、抵抗72の第2端に接続されたアノードと、接地電圧の供給される接地ノードに接続されたカソードとを有する。
【0050】
温度検出素子71および抵抗72の接続ノードにおける電圧が、検出電圧TDETとして出力される。
【0051】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における温度検出素子の温度特性を示す図である。
【0052】
図4を参照して、温度検出素子71であるダイオードは、周囲温度が上昇すると順方向電圧VFが低下する特性を有する。図3に示す回路では、この順方向電圧VFが検出電圧TDETとなる。このダイオードの順方向電圧VFの温度特性は、たとえば−2mV/℃である。
【0053】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の構成を示す図である。
【0054】
図5を参照して、増幅回路21は、差動増幅回路31と、抵抗32〜35とを含む。差動増幅回路31は、抵抗32の第1端および抵抗33の第1端に接続された反転入力端子と、抵抗34の第1端および抵抗35の第1端に接続された非反転入力端子と、抵抗33の第2端に接続された出力端子とを有する。抵抗32は、第2端において検出電圧TDETを受ける。抵抗34は、第2端において増幅基準電圧AVrefを受ける。抵抗35の第2端が接地ノードに接続されている。
【0055】
差動増幅回路31は、元電源電圧Vccを受けて動作し、検出電圧TDETと増幅基準電圧AVrefとの差を増幅し、増幅した電圧を増幅電圧VAMPとして出力する。
【0056】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の出力特性を示す図である。
【0057】
図6を参照して、増幅回路21は、周囲温度が上昇して検出電圧TDETのレベルが低下すると、増幅電圧VAMPのレベルが上昇する特性を有する。
【0058】
このように、過熱保護回路101において増幅回路21を設ける構成により、温度変化に対する検出電圧TDETのレベル変化が小さい場合でも、比較回路22への出力電圧のレベル範囲を広げることができるため、より正確な電源制御を行なうことができる。
【0059】
再び図2を参照して、比較回路22は、ヒステリシス特性を有するヒステリシスコンパレータである。具体的には、比較回路22は、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1のレベルより大きくなった場合には、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1よりレベルの小さい基準電圧VT2のレベルより小さくなるまで、システム電源13をオフするための論理ハイレベルの電源制御信号PSENを出力する。また、比較回路22は、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT2のレベルより小さくなった場合には、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1のレベルより大きくなるまで、システム電源13をオンするための論理ローレベルの電源制御信号PSENを出力する。
【0060】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における比較回路の構成を示す図である。
【0061】
図7を参照して、比較回路22は、抵抗41,42と、コンパレータ43とを含む。
【0062】
コンパレータ43は、比較基準電圧(元基準電圧)CVrefを受ける反転入力端子と、抵抗41の第1端および抵抗42の第1端に接続された非反転入力端子と、抵抗42の第2端に接続された出力端子とを有する。抵抗41は、第2端において増幅電圧VAMPを受ける。
【0063】
コンパレータ43は、元電源電圧Vccを受けて動作する。コンパレータ43は、比較基準電圧CVrefと非反転入力端子における電圧Nrefとを比較し、増幅電圧VAMPが電圧Nrefより大きい場合には論理ハイレベルの信号を電源制御信号PSENとして出力し、増幅電圧VAMPが電圧Nrefより小さい場合には論理ローレベルの信号を電源制御信号PSENとして出力する。
【0064】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る比較回路による基準電圧の生成を示す図である。
【0065】
図8を参照して、コンパレータ43が論理ローレベルの信号を出力しているとき、比較回路22において、抵抗41および抵抗42が直列接続され、一方端に増幅電圧VAMPを受け、他方端に接地電圧を受ける分圧回路が形成される。このときの抵抗41および抵抗42の接続ノードにおける電圧Nrefが、基準電圧VT1となる。
【0066】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る比較回路による基準電圧の生成を示す図である。
【0067】
図9を参照して、コンパレータ43が論理ハイレベルの信号を出力しているとき、比較回路22において、抵抗41および抵抗42が直列接続され、一方端に元電源電圧Vccを受け、他方端に増幅電圧VAMPを受ける分圧回路が形成される。このときの抵抗41および抵抗42の接続ノードにおける電圧Nrefが、基準電圧VT2となる。
【0068】
すなわち、比較回路22は、増幅電圧VAMPに基づいて基準電圧VT1および基準電圧VT2を生成する。
【0069】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における、周囲温度と電源制御信号との関係を示す図である。
【0070】
図10を参照して、まず、周囲温度が通信装置201の所定の使用温度範囲内であるとき、比較回路22は、論理ローレベルの電源制御信号PSENを出力する。このとき、システム電源13は動作電源電圧VPの生成および出力を行なう。
【0071】
そして、周囲温度が上昇してT1を超えると、増幅電圧VAMPが基準電圧VT1を超える。そうすると、比較回路22は、論理ハイレベルの電源制御信号PSENを出力する。これにより、システム電源13は、動作電源電圧VPの生成および出力を停止する。
【0072】
その後、周囲温度が低下してT1を下回っても、周囲温度がT2を下回るまでは、比較回路22は、電源制御信号PSENを論理ハイレベルに維持する。このため、システム電源13は動作電源電圧VPの生成および出力を停止した状態を維持する。
【0073】
そして、周囲温度がさらに低下してT2を下回ると、増幅電圧VAMPが基準電圧VT2未満となる。そうすると、比較回路22は、論理ローレベルの電源制御信号PSENを出力する。これにより、システム電源13は、動作電源電圧VPの生成および出力を再開する。
【0074】
ここで、過熱保護回路101では、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT2のレベルと等しくなるときの温度T2が、通信装置201の所定の使用温度範囲外に設定される。
【0075】
具体的には、通信装置201の使用温度範囲がたとえば0℃以上60℃以下であるとすると、T1をたとえば60℃より高い温度に設定し、T2をたとえば0℃より低い温度に設定する。この設定は、たとえば増幅回路21または比較回路22における各抵抗の抵抗値等を調整することにより、容易に設定可能である。
【0076】
このような構成により、電源制御信号PSENが一旦論理ハイレベルなると、人間が通信装置201を操作しない限り電源制御信号PSENが論理ローレベルに復帰せず、動作電源電圧VPが電源制御回路12から出力されないことになる。これにより、通信装置201の使用温度範囲の境界付近で通信装置201の電源がオン・オフを繰り返すことを防ぐことができる。また、CPUによる電源制御を行なうことなく、あるいはCPUによる電源制御とは別個に、通信装置201の動作電源電圧VPを制御することができる。
【0077】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅電圧の変動および電源制御信号が切り替わる温度の変動を示す図である。
【0078】
元電源電圧Vccは、元電源電圧Vccを生成する電源の状態に応じてある範囲で変化する。
【0079】
図11を参照して、たとえば元電源電圧Vccから増幅回路21の増幅基準電圧AVrefを生成する場合には、増幅基準電圧AVrefが元電源電圧Vccに応じて変動し、これにより増幅回路21の出力電圧である増幅電圧VAMPが変動する。このため、比較回路22の出力電圧である電源制御信号PSENの論理レベルが切り替わる温度も元電源電圧Vccに応じて変動する。さらに、元電源電圧Vccから比較回路22の比較基準電圧CVrefを生成する場合には、図示はしていないが、比較基準電圧CVrefが元電源電圧Vccに応じて変動するため、電源制御信号PSENの論理レベルが切り替わる温度は、増幅電圧VAMPおよび比較基準電圧CVrefに応じて変動することになる。
【0080】
ここで、元電源電圧Vccの変化に対して過熱保護回路101の動作点を一定に維持するために増幅基準電圧AVrefおよび比較基準電圧CVrefの値を調整することは複雑であり、困難である。
【0081】
また、たとえば、増幅基準電圧AVrefおよび比較基準電圧CVrefを生成するために定電圧回路を用いる構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、通信装置201の使用温度の全範囲で各基準電圧を一定に維持することが必要となり、定電圧回路の製造コストが増大する。特に、増幅基準電圧AVrefは比較基準電圧CVrefと比べてレベルが小さいため、増幅基準電圧AVref用の定電圧回路の製造コストはより大きくなる。
【0082】
そこで、過熱保護回路101では、補正回路71を設ける。補正回路71は、たとえば比較回路22に含まれる。
【0083】
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路において、補正回路を設けた比較回路の構成を示す図である。
【0084】
図12を参照して、補正回路71は、元電源電圧Vccから比較基準電圧CVrefを生成するとともに、元電源電圧Vccのレベル変化による比較基準電圧CVrefのレベル変化をキャンセルするように比較基準電圧CVrefを補正する。
【0085】
ここで、過熱保護回路101では、前述のように、温度T2は通信装置101の使用温度範囲外に設定することから、温度T1付近における元電源電圧Vccのレベル変動のみを考慮すれば十分である。
【0086】
そして、元電源電圧Vccのレベル変動は一般に数%程度であることから、元電源電圧Vccのレベルがたとえば12V付近であるときの元電源電圧Vccの変動は直線で近似することができる。
【0087】
補正回路71は、元電源電圧Vccが12V付近であって増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1のレベルと略等しくなる状態における、元電源電圧Vccのレベル変化による比較基準電圧CVrefのレベル変化をキャンセルする。
【0088】
このように、補正回路71は、直線で近似された元電源電圧Vccのレベル変化をキャンセルすればよいことから、簡易な構成とすることができる。
【0089】
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における補正回路の構成を示す図である。
【0090】
図13を参照して、補正回路71は、差動増幅回路61と、抵抗62〜67と、定電圧回路68とを含む。差動増幅回路61は、抵抗62の第1端および抵抗63の第1端に接続された反転入力端子と、抵抗64の第1端および抵抗65の第1端に接続された非反転入力端子と、抵抗63の第2端に接続された出力端子とを有する。抵抗64は、第2端において定電圧回路68の出力電圧を受ける。抵抗65の第2端が接地ノードに接続されている。
【0091】
抵抗66および抵抗67は、分圧回路を構成し、元電源電圧Vccを分圧して抵抗62の第2端へ出力する。
【0092】
差動増幅回路61は、元電源電圧Vccを受けて動作し、抵抗66および抵抗67からなる分圧回路の出力電圧と定電圧回路68の出力電圧との差を増幅し、増幅した電圧を比較基準電圧CVrefとして出力する。
【0093】
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路における補正回路による補正効果を示す図である。
【0094】
図14を参照して、過熱保護回路101では、温度T1付近すなわち増幅電圧VAMPが基準電圧VT1付近となる状態において、比較基準電圧CVrefが元電源電圧Vccのレベル変化をキャンセルするように変化する。これにより、電源制御信号PSENの論理レベルが切り替わる温度が変動することを防ぎ、電源制御信号PSENによるシステム電源13の制御を安定させることができる。
【0095】
また、補正回路71における差動増幅回路61の基準電圧すなわち定電圧回路68の出力電圧は、増幅回路21における増幅基準電圧Arefを生成するための定電圧回路よりも、たとえば数V大きいレベルとなる。このため、定電圧回路68には高い精度が要求されず、製造コストを低減することができる。また、定電圧回路を、補正回路71用に1つ設ければよくなり、構成の簡易化を図ることができる。
【0096】
なお、補正回路71は、温度T2付近における元電源電圧Vccのレベル変化をキャンセルしない。このため、基準電圧VT2は以下のように設定することが好ましい。すなわち、電源制御信号PSENが論理ハイレベルになって電源制御回路12が動作を停止した後、元電源電圧Vccのレベル変動によって電源制御信号PSENが論理ローレベルに切り替わり、電源制御回路12が誤って動作を再開しないように、元電源電圧Vccのレベル変動に対して十分に余裕を持たせた値に、基準電圧VT2を設定する。この基準電圧VT2の設定は、たとえば増幅回路21または比較回路22における各抵抗の抵抗値等を調整することにより、容易に行なうことができる。
【0097】
ところで、温度センサの出力信号によってCPUに割り込みをかけ、CPUが電源オフ等の過熱保護制御を行なう構成では、CPUが暴走している場合、過熱保護制御が実行されず、過熱状態が継続してしまう可能性がある。また、宅内に設置された装置に毛布がかぶされている等、装置が過熱状態となるような異常は、人が介在しないと解消されない場合も多い。過熱原因が解消されていなければ、過熱保護制御によって一旦装置内の温度が低下したとしても、過熱状態が繰り返される可能性がある。
【0098】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、温度検出回路11は、温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧TDETを出力する。比較回路22は、検出電圧TDETを増幅した増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1のレベルより大きくなった場合には、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT1よりレベルの小さい基準電圧VT2のレベルより小さくなるまで、システム電源13をオフするための電源制御信号PSENを出力する。そして、増幅電圧VAMPのレベルが基準電圧VT2のレベルと等しくなるときの温度は、通信装置201の所定の使用温度範囲外である。
【0099】
すなわち、比較回路22は、ヒステリシスを有し、低温側の閾値温度すなわち電源制御信号PSENの論理ローレベルへの復帰温度T2を通信装置201の使用温度範囲外に設定する。このような構成により、電源制御信号PSENが一旦論理ハイレベルになると、人間が介在しない限り動作電源電圧VPが復帰しないようにすることができるため、通信装置201の使用温度範囲の境界付近で通信装置201の電源がオン・オフを繰り返すことを防ぐことができる。また、CPUによる電源制御を行なうことなく、あるいはCPUによる電源制御とは別個に、通信装置201の動作電源電圧VPを制御することができる。
【0100】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、装置の過熱保護、および過熱原因の解消をより確実に行なうことができる。
【0101】
また、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、比較回路22は、増幅電圧VAMPに基づいて基準電圧VT1および基準電圧VT2を生成する。そして、補正回路71は、元電源電圧Vccのレベル変化による比較基準電圧CVrefのレベル変化をキャンセルするように比較基準電圧CVrefを補正する。
【0102】
このような構成により、電源制御信号PSENの論理レベルが切り替わる温度が変動することを抑制し、電源制御信号PSENによるシステム電源13の制御を安定させることができる。
【0103】
また、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、補正回路71は、増幅電圧VAMPのレベルが、基準電圧VT1のレベルと略等しくなる状態における比較基準電圧CVrefのレベル変化をキャンセルする。
【0104】
電源の変動に対して元基準電圧を補正しようとすると、元基準電圧の電圧値は複雑な軌跡をたどることになり、この補正を実現する回路も複雑になる。しかしながら、元電源電圧の変動幅は、目標電圧値に対し、通常、数%程度に仕様で決められている。高々数%程度の変動であれば、その範囲内で補正される元基準電圧は、直線で近似できる。すなわち、補正回路71は、直線で近似された元電源電圧Vccの変動をキャンセルすればよいことから、簡易な構成とすることができる。
【0105】
また、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、補正回路71において、抵抗66および抵抗67からなる分圧回路は、元電源電圧Vccを分圧する。定電圧回路68は、定電圧を出力する。そして、差動増幅回路61は、上記分圧回路によって分圧された電圧と定電圧回路68の出力電圧との差を増幅し、比較基準電圧CVrefとして出力する。
【0106】
元基準電圧の補正回路は、定電圧源および差動増幅回路で簡単に構成することができる。一般的に、高い電圧の定電圧源は安定しにくく精度も悪い。これに対して、上記補正回路で使用する定電圧源は、その出力電圧が増幅される。このような構成により、低い電圧の定電圧源を使用することができるため、安価な回路構成で、消費電力も低く抑えることができる。
【0107】
また、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、増幅回路21は、検出電圧TDETと増幅基準電圧AVrefとの差を増幅した増幅電圧VAMPを比較回路22へ出力する。
【0108】
このように、検出電圧TDETを差動増幅する構成により、比較回路22におけるコンパレータ43の入力電圧のオフセットをキャンセルすることができるため、コンパレータ43の入力電圧のレベル範囲を広げることができる。これにより、増幅回路21において差動増幅ではなく単なる増幅を行なう構成と比べて、温度検出に基づく電源制御の精度を高めることができる。
【0109】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、増幅回路21が設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。温度変化に対する検出電圧TDETのレベル変化が十分に大きい場合には、過熱保護回路101において増幅回路を設けない構成とすることも可能である。
【0110】
また、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、増幅回路21が検出電圧TDETの傾きを反転する構成であるとしたが、これに限定するものではない。増幅回路21において検出電圧TDETの傾きを反転せず、たとえば負の傾きのままで増幅回路21から増幅電圧VAMPを出力する構成であってもよい。この場合、後段のコンパレータ43は反転型となる。
【0111】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0112】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る過熱保護回路と比べて異なる元電源電圧Vccのレベル変動対策を施した過熱保護回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る過熱保護回路と同様である。
【0113】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の構成を示す図である。
【0114】
図15を参照して、過熱保護回路102は、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路と比べて、増幅回路21の代わりに増幅回路23を含む。
【0115】
増幅回路23は、差動増幅回路51と、抵抗R1〜R4と、ダイオードD1,D2と、ツェナーダイオードZD1,ZD2とを含む。
【0116】
差動増幅回路51は、抵抗R1の第1端、抵抗R2の第1端、抵抗R4の第1端およびダイオードD1のカソードに接続された反転入力端子と、検出電圧TDETを受ける非反転入力端子と、抵抗R2の第2端および抵抗R3の第1端に接続された出力端子とを有する。ツェナーダイオードZD1は、ダイオードD1のアノードに接続されたアノードと、抵抗R3の第2端に接続されたカソードとを有する。ツェナーダイオードZD2は、ダイオードD2のアノードに接続されたアノードと、抵抗R4の第2端に接続されたカソードとを有する。抵抗R1の第2端およびダイオードD2のカソードが接地ノードに接続されている。差動増幅回路51は、元電源電圧Vccを受けて動作する。
【0117】
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅回路の出力特性を示す図である。
【0118】
図16を参照して、増幅回路23は、増幅電圧VAMPが上昇して温度T1に対応する基準電圧VT1のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる。
【0119】
また、増幅回路23は、増幅電圧VAMPが下降して温度T2に対応する基準電圧VT2のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる。
【0120】
図16は、検出電圧TDETと増幅電圧VAMPとの関係を示している。具体的には、検出電圧TDETと増幅電圧VAMPとの関係は1次関数で表され、検出電圧TDETが電圧V1未満の場合には傾きが(1+R2/R1)となり、検出電圧TDETが電圧V1以上V2未満の場合には傾きが(1+(R2||R3)/R1)となり、検出電圧TDETが電圧V2以上の場合には傾きが(1+(R2||R3)/(R1||R4))となる。ここで、「A||B」は、並列接続された抵抗Aおよび抵抗Bの合成抵抗を示す。
【0121】
また、ダイオードD1の両端電圧をVD1とし、ダイオードD2の両端電圧をVD2とし、ツェナーダイオードZD1の両端電圧をVZD1とし、ツェナーダイオードZD2の両端電圧をVZD2とすると、電圧V1およびV2は、以下の式で表される。
V1=R1/R2×(VD1+VZD1)
V2=VD2+VZD2
【0122】
なお、R2はR3より十分に大きく、R1はR4より十分に大きい。
【0123】
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路における増幅電圧の変動および増幅回路のゲイン切り替えによる効果を示す図である。
【0124】
図17を参照して、図16に示すような増幅回路23の特性により、周囲温度が上昇して温度T1付近すなわち増幅電圧VAMPが基準電圧VT1付近になると、周囲温度の変化に対する増幅電圧VAMPの変化が急峻になり、また、周囲温度が低下して温度T2付近すなわち増幅電圧VAMPが基準電圧VT2付近になると、周囲温度の変化に対する増幅電圧VAMPの変化が急峻になる。
【0125】
このように、増幅回路23において、入力電圧すなわち検出電圧TDETの変化に対する、出力電圧すなわち増幅電圧VAMPの変化を急峻に設定することにより、図17に示すように元電源電圧Vccの変動による増幅電圧VAMPの変動を抑制することができる。
【0126】
すなわち、電源制御信号PSENの論理レベルが切り替わる温度が変動することを防ぎ、電源制御信号PSENによるシステム電源13の制御を安定させることができる。
【0127】
また、温度T2付近における元電源電圧Vccのレベル変動による増幅電圧VAMPの変動も抑制することができるため、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路と比べて、温度T2の設定の自由度を高めることができる。
【0128】
ただし、本発明の第1の実施の形態に係る過熱保護回路では、本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路と比べて、増幅回路21の特性すなわち周囲温度の変化に対する増幅電圧VAMPの変化を急峻にする必要がなくなり、回路構成が簡易となる。
【0129】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る過熱保護回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0130】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る過熱保護回路では、増幅回路23において差動増幅回路を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。差動増幅回路の代わりに増幅回路を用いる構成であってもよい。
【0131】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
11 温度検出回路
12 電源制御回路
13 システム電源(電源回路)
14 CPU(演算処理部)
15 PHY処理部
16 VOIP処理部
17 周辺回路
21,23 増幅回路
22 比較回路
31 差動増幅回路
32〜35 抵抗
41,42 抵抗
43 コンパレータ
51 差動増幅回路
61 差動増幅回路
62〜67 抵抗
68 定電圧回路
71 温度検出素子
72 抵抗
101,102 過熱保護回路
201 通信装置
D1,D2 ダイオード
R1〜R4 抵抗
ZD1,ZD2 ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元電源電圧から動作電源電圧を生成するための電源回路を備えた装置に用いられる過熱保護回路であって、
前記元電源電圧を受けて動作し、温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧を出力するための温度検出回路と、
前記元電源電圧を受けて動作し、前記検出電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、前記検出電圧のレベルが前記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、前記電源回路をオフするための制御信号を出力するための制御信号を出力するための比較回路とを備え、
前記検出電圧のレベルが前記第2の基準電圧のレベルと等しくなるときの前記温度は、前記装置の所定の使用温度範囲外である、過熱保護回路。
【請求項2】
前記比較回路は、前記検出電圧に基づいて前記第1の基準電圧および前記第2の基準電圧を生成し、
前記過熱保護回路は、さらに、
前記元電源電圧のレベル変化による前記元基準電圧のレベル変化をキャンセルするように前記元基準電圧を補正するための補正回路を備える、請求項1に記載の過熱保護回路。
【請求項3】
前記補正回路は、前記検出電圧のレベルが、前記第1の基準電圧のレベルと略等しくなる状態における前記元基準電圧のレベル変化をキャンセルする、請求項2に記載の過熱保護回路。
【請求項4】
前記補正回路は、
前記元電源電圧を分圧するための分圧回路と、
定電圧を出力するための定電圧回路と、
前記分圧回路によって分圧された電圧と前記定電圧回路の出力電圧との差を増幅し、前記元基準電圧として出力するための差動増幅回路とを含む、請求項2または請求項3に記載の過熱保護回路。
【請求項5】
前記過熱保護回路は、さらに、
前記検出電圧を増幅して前記比較回路へ出力するための増幅回路を備え、
前記増幅回路は、増幅後の前記検出電圧のレベルが上昇して前記第1の基準電圧のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる、請求項1に記載の過熱保護回路。
【請求項6】
前記増幅回路は、増幅後の前記検出電圧のレベルが下降して前記第2の基準電圧のレベルと略等しくなると高いゲインに切り替わる、請求項5に記載の過熱保護回路。
【請求項7】
前記過熱保護回路は、さらに、
前記検出電圧と増幅基準電圧との差を増幅した差動増幅電圧を前記比較回路へ出力するための差動増幅回路を備え、
前記比較回路は、前記差動増幅電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、前記差動増幅電圧のレベルが前記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、前記電源回路をオフするための制御信号を出力し、前記差動増幅電圧のレベルが前記第2の基準電圧のレベルより小さくなった場合には、前記差動増幅電圧のレベルが前記第1の基準電圧のレベルより大きくなるまで、前記電源回路をオンするための制御信号を出力する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の過熱保護回路。
【請求項8】
元電源電圧から動作電源電圧を生成するための電源回路と、
前記動作電源電圧を受けて動作する演算処理部と、
過熱保護回路とを備える通信装置であって、
前記過熱保護回路は、
前記元電源電圧を受けて動作し、温度を検出し、検出温度に応じたレベルを有する検出電圧を出力するための温度検出回路と、
前記元電源電圧を受けて動作し、前記検出電圧のレベルが第1の基準電圧のレベルより大きくなった場合には、前記検出電圧のレベルが前記第1の基準電圧よりレベルの小さい第2の基準電圧のレベルより小さくなるまで、前記電源回路をオフするための制御信号を出力するための比較回路とを含み、
前記検出電圧のレベルが前記第2の基準電圧のレベルと等しくなるときの前記温度は、前記通信装置の所定の使用温度範囲外である、通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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