説明

過熱水蒸気湿潤器

【課題】これまで、部屋の加湿は加湿器などにより加湿調整を行っていたが、湿度は温度に影響を受けるために、湿度が保たれていても空気中の水分量は不足している場合があった。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、水タンクから導入した水を飽和水蒸気発生部で加熱沸騰し飽和水蒸気を発生させ、その飽和水蒸気を過熱水蒸気発生部に導入して過熱し、過熱水蒸気を発生させ、放出部から空気中に放出し、空気中水分量を増加、加湿することを特徴とする過熱水蒸気湿潤器を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気を利用して空気中水分量制御を行う湿潤器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術による加湿器は、室内の湿度を上昇させることを目的に、機器内部の水タンクに収容されている水を加熱蒸発や超音波振動により気化させて空気中に放出し、室内空気を加湿している。
【0003】
湿度は温度に影響を受けるために、仮に相対湿度の値が保たれていても、肌の美容的観点や医学的にウィスル観戦防止の観点から望ましい空気中の水分量は不足している場合があった。
また、従来の加湿器からは、殺菌されない飽和水蒸気が放出されるため健康被害なども確認されていた。
【0004】
尚、過熱水蒸気の利用については、調理、焼却、殺菌に利用されているものの室内空気中の水分量の調整を目的とした装置、所謂、湿潤器への利用については周知の装置は見あたらなかった。
【0005】
また、先行技術文献調査の結果においても特許の先願、論文発表もなかった。
類似の技術としてサウナの昇温装置への過熱水蒸気利用は見られるが、サウナ室の加熱昇温を目的としたものであり、空気中水分量制御を目的とした本発明とはその目的、作用、効果ともに、明らかに違うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術による加湿器の問題点は、室内の湿度を上昇させることを目的に、機器内部の水タンクに収容されている水を加熱蒸発や超音波振動により気化させて空気中に放出し、室内空気を加湿しているため、相対湿度を上昇させることは可能でも、肌の美容的観点や医学的にウィスル観戦防止の観点から望ましい空気中の水分量を確保することは難しいという点である。
また、従来技術による加湿器からは、殺菌されない飽和水蒸気が放出されるためウィルス感染等の健康被害なども確認されていたという点である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、常圧のまま過熱水蒸気を空気中に放出させて、空気中の水分量を調整、制御できる過熱水蒸気湿潤器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、水タンクから導入した水を飽和水蒸気発生部で加熱沸騰し飽和水蒸気を発生させ、その飽和水蒸気を過熱水蒸気発生部に導入して過熱し、過熱水蒸気を発生させ、放出部から空気中に放出し、空気中水分量を増加、加湿することを特徴とする過熱水蒸気湿潤器を用いる。
また、電気ヒーター加熱により飽和水蒸気を発生させる飽和水蒸気発生部の、電気ヒーターへの給電量や給電パターンを制御して発生させる飽和水蒸気量を調整し過熱水蒸気発生量を制御することを特徴とする過熱水蒸気湿潤器を用いる。
【0009】
また、装置内または装置外に設けた湿度測定装置で測定した湿度値と、使用者または工場出荷時点で予め設定した湿度値とを比較し、電気ヒーターへ給電量や給電パターンの制御を行い発生させる飽和水蒸気量の調整し過熱水蒸気発生量を制御することを特徴とする過熱水蒸気湿潤器を用いる。
また、水タンクと飽和水蒸気発生部の間の配管途中に中空糸膜フィルターを設けたことを特徴とする過熱水蒸気湿潤器を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水と電気だけを使った湿潤器で、飽和水蒸気発生部(ヒーター)の電圧を制御することにより、常圧のままの過熱水蒸気を空気中に放出させて、空気中の水分量がコントロールできる。
【0011】
また、過熱水蒸気を空気中に放出させることにより、無機物(鉄・ガラス等)には飽和して湿気を含むが、有機物(人間・紙・衣類等)には飽和することなく水分を含ませながら乾燥させることが可能になる。
【0012】
また、過熱水蒸気を室内の空気中に放出させることにより、室内を過熱水蒸気で充満させて浮遊物を室外へ放出させることが出来る。
また、過熱水蒸気を人間の体(体毛含む)に当てることにより、水の粒子が体内に吸収され保湿効果が得られる。
【0013】
また、過熱水蒸気を空気中に放出させることにより、人間の体、室内の有機物・無機物に対し発生する静電気を軽減出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のによる過熱水蒸気湿潤器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明に係る実施の形態について、図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明を用いた過熱水蒸気湿潤器の説明図である。
水タンク1.から供給される水は、先ず中空糸膜フィルター2,を通りカルキ等の不純物を除去されてから飽和水蒸気発生部3,に至る。
【0017】
飽和水蒸気発生部3,には電気ヒーターh1,が設置され供給された水を加熱沸騰させ飽和水蒸気Ss,となり上昇し過熱水蒸気発生部4,に至る。
【0018】
過熱水蒸気発生部4,は、入口5,第1加熱層K1,第2加熱層K2,第3加熱層K3,からなり電気ヒーターh2,の再加熱により飽和水蒸気Ss,を過熱水蒸気Sk,に過熱する。
過熱水蒸気Sk,は過熱水蒸気発生部出口6,から空気中に放出される。
【0019】
高温となる飽和水蒸気発生部3,から過熱水蒸気発生部出口6,外側は過熱水蒸気の飽和を防止するため断熱材で被覆することが望ましい。
本実施例の構成によれば、ヒーターh1,およびヒーターh2,への電力供給量または供給パターンを変えることにより、飽和水蒸気Sk,の発生量を制御することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本装置は、家庭用または、公共施設の湿潤器(空気中水分制御装置)としての活用、並びに工場・事業所での静電気対策、病院や介護施設エステティックサロン等で保湿対策、有機物の乾燥効果応用として木材の乾燥・魚類等の一夜干し(水分を補給しながら)に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0021】
1,水タンク
2,中空糸膜フィルター
3,飽和水蒸気発生部
4,過熱水蒸気発生部
5,入口
6,出口
h1.電気ヒーター
h2,電気ヒーター
P,ばらつき防止板
K1,第1加熱層
K2,第2加熱層
K3,第3加熱層
Sk,過熱水蒸気
Ss,飽和水蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水タンクから導入した水を飽和水蒸気発生部で加熱沸騰し飽和水蒸気を発生させ、その飽和水蒸気を過熱水蒸気発生部に導入して過熱し、過熱水蒸気を発生させ、放出部から空気中に放出し、空気中水分量を増加させ加湿することを特徴とする過熱水蒸気湿潤器。
【請求項2】
電気ヒーター加熱により飽和水蒸気を発生させる飽和水蒸気発生部の、電気ヒーターへの給電量や給電パターンを制御して発生させる飽和水蒸気量を調整し過熱水蒸気発生量を制御することを特徴とする請求項1記載の過熱水蒸気湿潤器。
【請求項3】
装置内または装置外に設けた湿度測定装置で測定した湿度値と、使用者または工場出荷時点で予め設定した湿度値とを比較し、電気ヒーターへ給電量や給電パターンの制御を行い発生させる飽和水蒸気量の調整し過熱水蒸気発生量を制御することを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の過熱水蒸気湿潤器。
【請求項4】
水タンクと飽和水蒸気発生部の間の配管途中に中空糸膜フィルターを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の過熱水蒸気湿潤器。

【図1】
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【公開番号】特開2011−242111(P2011−242111A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128320(P2010−128320)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(510155944)
【Fターム(参考)】