説明

道路情報収集装置

【課題】車両の周囲環境を示すデータとして、橋桁、トンネルの有無の情報を収集することのできる道路情報収集装置を提供することが課題である。
【解決手段】車両が走行する道路に関する情報を収集する道路情報収集装置であり、車両周囲の照度を検出する照度センサ11と、この照度センサ11で検出される照度の変化率に基づいて、トンネルの有無の情報、或いは橋桁の有無の情報を収集する周囲環境収集手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上における各種の情報を取得する道路情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた各種センサの出力値に基づいて、道路の路面に関する情報を収集する技術が知られている。このような道路情報収集装置の従来例として、例えば、特開2000−338865号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
【特許文献1】特開2000−338865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の道路情報収集装置においては、車両が走行する路面に関する情報のみを収集しており、例えば、トンネルの有無や橋桁の有無等の道路情報については収集しておらず、道路情報収集装置としては改良の余地があった。
【0004】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、車両の周囲環境に関するデータを収集することが可能な道路情報収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、車両が走行する道路に関する情報を収集する道路情報収集装置において、車両周囲の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段で検出される照度の変化率に基づいて、トンネルの有無の情報、及び橋桁の有無の情報を収集する周囲環境収集手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両が走行する路面に関する情報以外の、車両の周囲環境を示す情報として、トンネルの有無の情報、橋桁の有無の情報を収集するので、車両の走行に関するより多くの情報を取得することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の構成を示すブロック図、図2は、各構成要素の車両搭載説明図である。図1、図2に示すように、該道路情報収集装置100は、車両の3軸方向(X軸、Y軸、Z軸方向)への変動を検出する3軸ジャイロセンサ1と、該3軸ジャイロセンサ1の出力信号に基づいて、車両のロール量、ピッチング量、及びX、Y、Z軸の各方向への変位量、X軸、Z軸方向への変位率を求め、これらの信号を出力する分岐器2と、を有している。
【0008】
また、車両の左前部(FL)、右前部(FR)、左後部(RL)、及び右後部(RR)のそれぞれの部位の車高(路面、バネ上車体間の距離)を検出する車高センサ3,4,5,6と、これらの各車高センサ3〜6にて検出された車高データを増幅する増幅アンプ7と、を有している。
【0009】
更に、車両が走行する路面の凹凸を検出するための、圧電型の上下加速度計8と、該上下加速度計8より出力される信号を増幅する増幅アンプ9と、を有している。
【0010】
また、分岐器2、及び増幅アンプ7,9より出力される各信号を増幅するメインアンプ10と、該メインアンプ10の出力信号を車載演算装置50へ取り込むための入力端子14と、を有している。
【0011】
更に、車両周囲の照度を検出する照度センサ(照度検出手段)11と、車線変更判断用のウインカー信号を検出するウインカーセンサ12と、路側帯近傍に存在する障害物を検出する赤外線センサ13と、車両の操舵方向を検出する舵角センサ18と、路面に敷設されている白線を検出する白線認識カメラ19と、車輪速センサ20と、を有しており、これらの各構成要素は、車載演算装置50の入力端子14と接続されている。
【0012】
車載演算装置50は、前述した入力端子14の外に、時系列データ演算部15と、頻度処理演算部16と、頻度処理結果記録部17と、を有しており、演算装置制御用PC51の制御下で動作するようになっている。車載演算装置50は、記録開始スイッチ51aを有している。
【0013】
次に、上述のように構成された本実施形態の動作について説明する。図3〜図10は、本実施形態の動作を示すフローチャートであり、図3は、車両のピッチング量に基づいて路面勾配値を計測する場合、図4は、車両のロール量に基づいてカント量(道路横断面プロファイル)を計測する場合、図5は、Z軸回りの角速度に基づいてカーブ半径を計測する場合、図6は、車両の上下加速度に基づいて路面の凹凸状態を計測する場合、図7は、車両周囲の照度に基づいて、橋桁、トンネルの存在及びその長さを計測する場合、図8は、路側帯に存在する障害物を検出する場合、図9は、路面に存在する障害物を検出する場合、そして、図10は、路面に敷設された白線を検出する場合、をそれぞれ示している。
【0014】
まず、図3に示すフローチャートに基づいて、車両のピッチング量を計測する手順について説明する。
【0015】
同図に示すステップS1の処理では、3軸ジャイロセンサ1にて、車両のピッチング量を検出する。次いで、ステップS2では、各車高センサ3,4,5,6にて、4輪部位における、対路面との距離を計測する。
【0016】
そして、ステップS3では、FL車高センサ3、及びFR車高センサ4にて検出される前輪2輪の路面間距離と、RL車高センサ5、及びRR車高センサ6にて検出される後輪2輪の路面間距離と、に基づいて、車両の姿勢分のみを検出する。
【0017】
その後、ステップS4では、3軸ジャイロセンサ1で検出されたピッチング量から、車両姿勢分のみを減算し、路面縦断プロファイルを作成する。
【0018】
これを、図11を参照しながら説明する。同図(a)は、車両が勾配を有する路面を走行しているときの様子を示す説明図であり、図示のように、3軸ジャイロセンサ1にて検出されるピッチング量は、路面の実勾配分と、車両姿勢分とを加算した値として検出されることになる。従って、この検出結果から、車両姿勢分を減算することにより、路面の実勾配分を求める。
【0019】
具体的には、同図(b)に示すように、以下の(1)式にて車両姿勢分θを求めることができる。
【0020】
θ=tan−1{(a′−a)+(b−b′)}/c ・・・(1)
ここで、aは勾配0%でのフロントサスペンションストローク初期値、bは勾配0%でのリアサスペンションストローク初期値、a′は加減速により変化したフロントサスペンションストローク、b′は加減速により変化したリアサスペンションストローク、cはホイールベースである。
【0021】
そして、3軸ジャイロセンサ1にて検出されるピッチング量、及び(1)式で求められる車両姿勢分θに基づいて、路面の実勾配分を求め、これを道路縦断プロファイルとする。
【0022】
次いで、図3のステップS5では、ローパスフィルタ(図示省略)により、道路縦断プロファイルから、路面凹凸等の高周波成分を取り除く処理を行う。そして、ステップS6では、求められた路面縦断プロファイルを、現在の路面縦断プロファイルとして、頻度処理演算部16が有するメモリ(図示省略)内に、一時的に記録する。
【0023】
その後、ステップS7では、車両の走行距離が10m分進んだかどうかが判断され、10m進んだ場合には(ステップS7でYES)、ステップS8にて、現在の路面縦断プロファイルから、前回の処理にてメモリに記録されている路面縦断プロファイルを減算する処理が行われる。
【0024】
そして、ステップS9では、上記の減算結果に基づき、今回の測定値と前回の測定値(10m手前の測定値)との間の勾配変化率が±0.5%以上あるかどうかの判定が行われる。そして、勾配変化率が±0.5%以内である場合には(ステップS9でNO)、再度ステップS1からの処理が行われる。
【0025】
また、±0.5%以上である場合には(ステップS9でYES)、ステップS10にて、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断され、オンとされている場合には、ステップS11にて、路線キロポスト(位置を示す指標)を記録する処理が行われる。
【0026】
以下これを、図12に示す説明図を参照しながら説明する。同図(a)は、累積走行距離と路面実勾配(%)との関係を示す特性図であり、同図に示すように、車両の走行に伴い、10m間隔で路面実勾配データが収集される。そして、このデータに基づき、路面実勾配10m毎の差分を演算し、この差分の、全体に対する比率を求める。その結果、同図(b)に示す如くのデータを得ることができる。そして、差分の比率が0.5%以上となったときに、路面実勾配値を記録保存する。即ち、図3に示すステップS12の、路面勾配値を記録する処理が行われる。更に、ステップS13にて、現在の路面勾配値と、10m前の勾配値とが図1に示す頻度処理結果記録部17に記録される。
【0027】
その結果、以下の表1に示すように、路線キロポイント(路線KP)における勾配変化率(%)、10m前の勾配値(%)、及び現在勾配値(%)を得ることができる。
【表1】

【0028】
こうして、路線の勾配値を求め、記録保存することができるようになる。また、勾配値の変化の大きさが所定値以上のとき、即ち、0.5%以上変化したときにのみ、路面の勾配値が記録される。従って、不要なデータの書き込みを回避することができ、頻繁なデータの更新を防止することができる。
【0029】
次に、図4に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、車両のカント量を計測する。
【0030】
まず、ステップS51では、3軸ジャイロセンサ1にて、車両のロール量を検出する。次いで、ステップS52では、各車高センサ3,4,5,6にて、4輪部位における、対路面との距離を計測する。そして、ステップS53では、FL車高センサ3、及びRL車高センサ5にて検出される左側2輪の路面間距離と、FR車高センサ4、及びRR車高センサ6にて検出される右側2輪の路面間距離と、に基づいて、車両の姿勢分のみを算出する。
【0031】
その後、ステップS54では、3軸ジャイロセンサ1より求められるロール量から、前述の処理で求められた車両姿勢分のみを減算し、路面横断プロファイルを算出する。次いで、ステップS55では、ローパスフィルタ(図示省略)により、路面凹凸等に起因して生じる高周波成分を取り除く処理が行われる。
【0032】
そして、ステップS56では、求められた路面横断プロファイルを、現在の路面横断プロファイルとして、メモリ内に一時的に記憶する。
【0033】
ステップS57では、車両の走行距離が10m進んだかどうかが判断され、10m進んだ場合には(ステップS57でYES)、ステップS58にて、走行距離が10m進んだ時点でのステアリング舵角量を記憶する処理が行われる。また、ステップS59にて、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断される。
【0034】
記録開始スイッチ51aがオンとされている場合には(ステップS59でYES)、ステップS60にて、路線キロポストを記録する処理が行われ、ステップS61にて、路面カント量を記録する処理が行われ、更に、ステップS62にて、ステアリング舵角量を記録する処理が行われる。
【0035】
そして、このような処理により、車両走行路の、路面のカント量、ステアリング舵角、及び路線キロポストの関係を、収集することができる。
【0036】
次に、図5に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、路面のカーブ半径を収集する処理が行われる。
【0037】
まず、ステップS71では、3軸ジャイロセンサ1にて、Z軸回りの角速度を計測する(Z軸は、路面と垂直な方向)。次いで、ステップS72では、4輪分の車輪速から、車体速度を推定する処理が行われる。
【0038】
その後、ステップS73では、前述の処理で求められた角速度と車体速度とに基づいて、路面の曲率を推定する処理が行われる。そして、ステップS74にて、車両が1m進んだかどうかが判断され、ステップS75では、車両が1m進む毎に、路面の曲率をメモリ内に記憶する。
【0039】
ステップS76では、車両の走行距離50m分のデータ(曲率のデータ)が記憶されたかどうかが判断され、50m分のデータが蓄積された場合には(ステップST76でYES)、ステップS77にて、走行距離50m毎の曲率の移動平均を求める処理が行われる。
【0040】
次いで、ステップS78にて、この曲率が指定曲率「A」に達したかどうかが判断され、「A」に達した場合には、ステップS79にて、指定曲率「A」に達した路線のキロポストを記憶する。
【0041】
そして、ステップS80では、路面の曲率が指定曲率「B」(AとBの大きさの関係は任意である)に達するまでの間、最大極大率を更新し続ける。ステップS81にて、曲率が指定曲率「B」に達した場合には、ステップS82にて、指定曲率「B」に達したときの路線キロポストを一時的に記憶する処理が行われる。また、ステップS83にて、最大曲率(上述の処理で更新された最大曲率)を一時的に記憶する。
【0042】
ステップS84では、車線変更が無かったかどうかが判断され、無かった場合には(ステップS84でYES)、ステップS85にて、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断され、オンとされた場合には(ステップST85でYES)、ステップS86にて、指定曲線「A」に達した路線のキロポストを記録し、且つ、ステップS87にて、指定曲線「B」に達した路線のキロポストを記憶する。更に、ステップS88にて、最大キロポストが記録される。
【0043】
このようにして、図5に示す処理では、車両が走行する路面の曲率半径を求め、且つ路線キロポストの対応を示すデータを入手することができる。
【0044】
次に、図6に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、車両の上下加速度を検出することにより、最大車体角度を求める。
【0045】
まず、ステップS91では、路面凹凸計測用の上下加速度計8にて車体の上下加速度を計測する処理が行われる。次いで、ステップS92では、前輪2輪と、後輪2輪のそれぞれの路面間距離に基づいて、車両の姿勢分のみを演算する処理が行われる。
【0046】
ステップS93では、ステップS92の処理で求められる上下加速度が、指定上下加速度「A」に達したかどうかが判断され、指定上下加速度「A」に達した場合には(ステップS93でYES)、ステップS94にて、指定加速度「A」に達した路線のキロポストを一時的に記録する処理が行われる。
【0047】
ステップS95では、指定上下加速度「B」に達するまでの間、最大上下加速度を更新し続ける処理が行われ、ステップS96では、指定上下加速度「B」に達するまでの間、最大車体角度を更新し続ける処理が行われる。
【0048】
ステップS97では、上下加速度が指定上下加速度「B」に達したかどうかが判断され、達した場合には(ステップST97でYES)、ステップS98にて、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断される。オンとされている場合には(ステップS98でYES)、ステップS99にて、指定上下加速度「A」に達した路線のキロポストを記録し、ステップS100にて、指定上下加速度「B」に達した路線のキロポストを記録する処理が行われる。
【0049】
更に、ステップS101にて、最大上下加速度が記録され、ステップS102にて、最大車体角度が記録される。
【0050】
このようにして、図6に示すフローチャートの処理では、車両が走行する路面の、上下方向の加速度、及び車体角度を計測することができる。
【0051】
次に、図7に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、車両周囲の照度を検出することにより、車両がトンネル内を走行しているかどうかを検出するものである。
【0052】
まず、ステップS21では、照度センサ11にて車両外部の照度を計測する。次いで、ステップS22では、計測された照度が、予め設定した指定照度[1](日中の屋外よりもやや暗い照度)に達しているかどうかが判断され、指定照度[1]に達した場合には(ステップS22でYES)、ステップS23にて、この検出位置における路線キロポストを一時記憶する。
【0053】
その後、ステップS24では、指定照度[2](トンネル内の照度程度のレベル;指定照度[2]<指定照度[1])に達する前に、指定照度[3](日中の屋外の照度程度のレベル;指定照度[3]>指定照度[1])になったかどうかが判断される。
【0054】
そして、指定照度[2]に達する前に指定照度[3]になった場合には(ステップS24でYES)、車両が橋桁の影となる部分等を通過したものと判断し、再度ステップS21からの処理を繰り返す。
【0055】
他方、指定照度[2]に達した場合には(ステップST24でNO)、車両がトンネル内に進入したものと判断し、ステップS25にて、入口照度勾配(Lx/m)を求め、これをメモリ内に一時的に記憶する。なお、Lxは照度、mは距離を示し、Lx/mは、単位距離当たりの照度変化を示す。
【0056】
次いで、ステップS26では、照度センサ11にて検出される照度が、指定照度[2]に達するまでの間、即ち、指定照度[3]と指定照度[2]の間の照度が継続されている間、トンネルの長さを更新し続ける。更に、ステップS27にて、指定照度[2]に達するまでの間、最小照度を更新し続ける。
【0057】
その後、指定照度[2]に達した場合には、ステップS28でYESとなり、ステップS29にて、出口照度勾配(Lx/m)を求める。
【0058】
以下、照度勾配を求めるときの様子を、図13を参照しながら、詳細に説明する。同図(a)は、車両がトンネル内に進入し、該トンネルを通過するまでの間の、周囲の照度変化を示す特性図である。同図に示すように、トンネルの入口付近では、照度は、屋外の照度レベルの指定照度[3]程度となっており、その後、指定照度[1]、指定照度[2]の順に、照度が徐々に小さくなる。
【0059】
他方、車両がトンネルの出口付近に達すると、指定照度[1]、指定照度[3]の順に、照度が徐々に大きくなる。
【0060】
図13(b)は、累積走行距離と照度の関係を示す特性図であり、同図に示すように、トンネルの入口付近では、照度が急激に低下し、出口付近では、照度が急激に上昇している。そして、照度勾配(Lx/m)の大きさに基づいて、トンネル内を走行しているか否かを判断することができ、ひいては、トンネル長さの測定が可能であることが理解される。
【0061】
そして、図7に示すステップS30では、記録開始スイッチ51aがオンとされたかどうかが判断され、オンとされた場合には、ステップS31にて、指定照度[1]に達した地点における、路線のキロポストを記録する処理が行われる。
【0062】
そして、ステップS23で記録した路線キロポストのデータと、ステップS31にて記録した路線キロポストのデータとに基づいて、ステップS32では、トンネル長さを求め、この結果を頻度処理結果記録部17に記録する。
【0063】
更に、ステップS33にて、トンネル内の最小照度を記録する処理が行われ、ステップS34にて、トンネル入口、及び出口における照度勾配(Lx/m)が記録され、ステップS35にて、指定照度[2]に達した際の、路線キロポストが記録される。
【0064】
その結果、例えば、以下の表2に示す如くのデータを得ることができる。
【表2】

【0065】
こうして、車両がトンネル内を通過することにより、路線上にトンネルが存在することを記録することができ、且つ、該トンネルの長さをも記録することができるのである。
【0066】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、路側帯に存在する障害物を検出する際の動作について説明する。まず、ステップS41では、赤外線センサ13にて、路側帯に存在する対象物(障害物)からの反射量を計測する。次いで、ステップS42にて、車両(移動物体)と対象物(停止物体)とを切り分ける処理を行う。
【0067】
そして、ステップS43にて、対象物からの反射量が指定反射量に達したかどうかが判断され、指定反射量に達した場合には(ステップS43でYES)、その対象物が障害物であるものと判断して、ステップS44にて、この反射量をメモリ内に記憶する。
【0068】
次いで、ステップS45にて、指定反射量に達した路線のキロポストを一時的に記憶する。
【0069】
その後、ステップS46にて、記録開始スイッチ51aがオンとされると、ステップS47にて、測定された障害物の反射量を、頻度処理結果記録部17内に記録する。同時に、ステップS48にて、指定反射量に達した路線のキロポストを頻度処理結果記録部17内に記録する。
【0070】
こうして、車両が走行する道路の路側帯に存在する障害物を検出することができるのである。
【0071】
以下、図14を参照しながら、障害物を検出する動作を具体的に説明する。図14(a)は、障害物を検出する様子を示す説明図であり、同図(b)は、車両の累積走行距離と赤外線反射量との関係を示す特性図である。
【0072】
同図(a)に示すように、車両の赤外線センサ13より、赤外線が照射されると、路側帯に存在する看板等の障害物により、この赤外線が反射され、赤外線センサ13に取り込まれる。
【0073】
そして、同図(b)に示すように、反射量のレベルが「4」以上となった場合には、この物体が障害物であるものと判断する。その結果、以下の表3に示す如くのデータを得ることができる。
【表3】

【0074】
このようにして、図8に示すフローチャートの処理を用いることにより、路側帯の障害物の存在を確実に検出することができるようになる。
【0075】
次に、図9に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、路面に存在する障害物を検出する処理が行われる。
【0076】
まず、ステップS111では、赤外線センサ13により、路面の反射量を計測する処理が行われる。次いで、ステップS112では、車両と路面を切り分ける処理が行われる。
【0077】
そして、ステップS113では、計測される反射量が、指定反射量に達したかどうかが判断され、更に、ステップS114にて、ブレーキが踏まれていないかどかが判断される。次いで、指定反射量に達し、且つブレーキが踏まれていない場合には、ステップS115にて、対象路面を障害物と判断し、このときの反射量を一時的に記憶する処理が行われる。
【0078】
更に、ステップS116では、指定反射量に達したときの路線キロポストを記憶する。
【0079】
ステップS117では、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断され、オンとされている場合には(ステップS117でYES)、ステップS118にて、対象路面を障害物と判断し、反射量を記録する。
【0080】
また、ステップS119では、指定反射量に達した路線のキロポストを記録する処理が行われる。
【0081】
このようにして、図9に示すフローチャートの処理では、路面に存在する障害物を検出することができるのである。
【0082】
次に、図10に示すフローチャートについて説明する。ここでの処理では、路面に敷設されている白線、及び白線の継続距離を収集する。
【0083】
まず、ステップS121では、白線認識カメラ19にて、路面に敷設された白線を捕捉する。次いで、ステップS122にて、当該車両が車線変更していないかどうかの判断が行われる。車線変更していない場合には(ステップS122でYES)、ステップS123にて、捕捉された白線が所定距離分継続しているかどうかが判断される。
【0084】
そして、所定距離分継続している場合には(ステップS123でYES)、ステップS124にて、継続開始キロポストを、一時的に記憶する処理が行われる。次いで、ステップS125にて、対象白線の継続距離を計測し続ける。
【0085】
ステップS126にて、車線変更していないかどうかが判断され、車線変更していない場合には(ステップS126でYES)、ステップS127にて、白線が途切れていないかどうかが判断される。白線が途切れていない場合には(ステップS127でYES)、ステップS128にて、記録開始スイッチ51aがオンとされているかどうかが判断され、オンとされている場合には(ステップS128でYES)、ステップS129にて、継続開始位置の路線キロポストを記録する処理が行われる。
【0086】
他方、ステップS130にて、継続終了の路線キロポストが記録される。更に、ステップS131にて、白線継続距離が記録される。
【0087】
こうして、路面に敷設された白線が検出され、該白線のデータが収集されるのである。
【0088】
このようにして、本実施形態に係る道路情報収集装置では、車両が路線を走行することにより、当該路線の各種の情報、即ち、路面勾配値、路面のカント量、走行路のカーブ半径、路面の凹凸状態、トンネルの存在及びその長さ、路側帯に存在する障害物、路面に存在する障害物、及び、路面に敷設された白線、を計測し、これらのデータを記録保存することができるので、路線走行時に有用な道路情報を容易、且つ高精度に収集することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
橋桁、トンネルなどの道路情報を収集する上で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置が有する各構成要素が、車体に配置される様子を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、車両のピッチング量に基づいて路面勾配値を計測する場合を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、車両のロール量に基づいてカント量を計測する場合を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、Z軸回りの角速度に基づいてカーブ半径を計測する場合を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、車両の上下加速度に基づいて路面の凹凸状態を計測する場合を示す。
【図7】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、車両周囲の照度に基づいて、トンネルの存在及びその長さを計測する場合を示す。
【図8】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、路側帯に存在する障害物を検出する場合を示す。
【図9】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、路面に存在する障害物を検出する場合を示す。
【図10】本発明の一実施形態に係る道路情報収集装置の動作を示すフローチャートであり、路面に敷設された白線を検出する場合を示す。
【図11】車両が勾配を有する路面を走行しているときの様子を示す説明図である。
【図12】累積走行距離と路面実勾配(%)との関係を示す特性図である。
【図13】赤外線センサにより、路側帯に存在する障害物を検出する様子を示す説明図である。
【図14】(a)は障害物を検出する様子を示す説明図、(b)は車両の累積走行距離と赤外線反射量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0091】
1 3軸ジャイロセンサ
2 分岐器
3 FL車高センサ
4 FR車高センサ
5 RL車高センサ
6 RR車高センサ
7 増幅アンプ
8 上下加速度計
9 増幅アンプ
10 メインアンプ
11 照度センサ
12 ウインカーセンサ
13 赤外線センサ
14 入力端子
15 時系列データ演算部
16 頻度処理演算部
17 頻度処理結果記録部
18 舵角センサ
19 白線認識カメラ
20 車輪速センサ
50 車載演算装置
51 演算装置制御用PC
51a 記録開始スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路に関する情報を収集する道路情報収集装置において、
車両周囲の照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段で検出される照度の変化率に基づいて、トンネルの有無の情報、及び橋桁の有無の情報を収集する周囲環境収集手段と、
を具備したことを特徴とする道路情報収集装置。
【請求項2】
前記周囲環境収集手段は、第1指定照度、及びこの第1指定照度よりも暗い第2指定照度、及び前記第1指定照度よりも明るい第3指定照度を設定し、
前記照度検出手段にて検出される照度が、前記第1指定照度未満となり、その後、前記第2指定照度に達することなく前記第3指定照度となったとき、このときの走行路に橋桁が存在するものと判定することを特徴とする請求項1に記載の道路情報収集装置。
【請求項3】
前記周囲環境収集手段は、第1指定照度、及びこの第1指定照度よりも暗い第2指定照度、及び前記第1指定照度よりも明るい第3指定照度を設定し、
前記照度検出手段にて検出される照度が、前記第3指定照度、第1指定照度、第2指定照度の順に徐々に照度が小さくなり、その後、第2指定照度、第1指定照度、第3指定照度の順に徐々に照度が大きくなった場合に、このときの走行路にトンネルが存在するものと判定することを特徴とする請求項1に記載の道路情報収集装置。
【請求項4】
前記周囲環境収集手段は、前記照度検出手段で検出される照度が前記第2指定照度未満となってから、第2指定照度以上となるまでの間で、最小となる照度を記録することを特徴とする請求項3に記載の道路情報収集装置。
【請求項5】
前記周囲環境収集手段は、予め収集されている情報に対して、新たに収集された情報に変化が発生したときにのみ、その情報を取得することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の道路情報収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−12098(P2007−12098A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280276(P2006−280276)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【分割の表示】特願2002−151244(P2002−151244)の分割
【原出願日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】