説明

遠心式ファンの成形用金型、遠心式ファンの成形方法、および遠心式ファンの成形装置

【課題】複数のブレードが円周方向に傾斜した遠心式ファンを成形する際に、成形した遠心式ファンの離型を容易に行うことが可能な成形用金型、その成形用金型を用いた成形方法、および成形装置を提供すること。
【解決手段】金型1からシロッコファンを脱離するときには、アンダーカット構造を形成しているシロッコファンのブレード間から、固定型10のブレード形成コア部123および可動型20のブレード形成コア部223を螺旋移動させて引き抜いている。したがって、シロッコファンの金型1からの脱離を容易に行うころができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式ファンの成形用金型、その成形用金型を用いた遠心式ファンの成形方法、および遠心式ファンの成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば下記特許文献1に開示された遠心式ファンであるシロッコファンの成形用金型がある。シロッコファンは回転軸線を中心として円周状に配置された複数のブレード(羽根部分)を有しており、上記従来技術の成形用金型では、これら複数のブレードを、固定金型本体の内部に嵌合された固定側リングと可動金型本体に嵌合された可動側リングとの間に形成したキャビティ(製品部)の外側部分で成形するようになっている。
【0003】
すなわち、シロッコファンの複数のブレードに対応したキャビティの外側部分は、固定金型と可動金型との型開き方向に延設され、シロッコファンの複数のブレードは回転軸線と平行に延びるように成形されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−34548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の成形用金型で成形される遠心式ファンに対し、風量アップや騒音低下を目的として、回転軸線を中心として円周状に配置した複数のブレードのそれぞれの延設方向を、回転軸線と平行な方向に対し円周方向に同一角度で傾斜させた遠心式ファンのニーズがある。
【0005】
このような遠心式ファンでは、複数のブレードが型開き方向にアンダーカット構造を形成するため、成形時に成形用金型から離型することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、複数のブレードが円周方向に傾斜した遠心式ファンを成形する際に、成形した遠心式ファンの離型を容易に行うことが可能な成形用金型、その成形用金型を用いた成形方法、および成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の成形用金型では、
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、回転軸線(110)と平行な方向に対して同一所定角度で円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形するための成形用金型であって、
型閉めした際に遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、回転軸線(110)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、
固定型(10)および可動型(20)の少なくともいずれかは、
製品部(30)のうち複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、
ブレード成形コア部(123、223)を、複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有することを特徴としている。
【0008】
これによると、螺旋移動手段(150、250)により、ブレード成形コア部(123、223)を、傾斜した複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動することができる。したがって、複数のブレード(101)が円周方向に傾斜し、複数のブレード(101)が型開き方向にアンダーカット構造を形成した遠心式ファン(100)を成形する際であっても、成形した遠心式ファン(100)の離型を容易に行うことが可能である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明の成形用金型では、螺旋移動手段(150、250)は、ブレード成形コア部(123、223)に対し型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、ブレード成形コア部(123、223)が螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有することを特徴としている。
【0010】
これによると、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動することが容易である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明の成形用金型では、応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、ブレード成形コア部(123、223)を遠心式ファン(100)回転軸線(110)を中心とする回動が自在なように支持する支持部材(124、224)を有し、この支持部材(124、224)を介してブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することを特徴としている。
【0012】
これによると、ブレード成形コア部(123、223)は、支持部材(124、224)を介して型開き方向の応力を付勢されたときに、案内手段(121a、123b、221a、223b)により回動され、容易に螺旋状運動を行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明の成形用金型では、応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、支持部材(124、224)に係合しつつ型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、スライド部材(125、225)のスライド動作に伴なってブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することを特徴としている。
【0014】
これによると、型開き方向とは異なる方向からのスライド部材(125、225)のスライドにより、支持部材(124、224)を介してブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明の成形用金型では、
スライド部材(125)は固定型(10)に設けられるとともに、
固定型(10)は、製品部(30)に溶融樹脂を供給するための供給通路(13)を形成する通路形成部(122)を備え、
固定型(10)に設けられたスライド部材(125)には、スライド動作時の干渉を避けるように、通路形成部(122)に対応する部位に欠損部(125d)が形成されていることを特徴としている。
【0016】
これによると、スライド部材(125)を設けても欠損部(125d)により通路形成部(122)との干渉を防止できるので、溶融樹脂の供給通路(13)が複雑になることを防止できる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明の成形用金型では、
スライド部材(225)は可動型(20)に設けられるとともに、
可動型(20)は、製品部(30)から遠心式ファン(100)を押し出すためのエジェクタ手段(23、24、222)を備え、
可動型(20)に設けられたスライド部材(225)には、スライド動作時の干渉を避けるように、エジェクタ手段(23、24、222)に対応する部位に欠損部(225d)が形成されていることを特徴としている。
【0018】
これによると、スライド部材(125)を設けても欠損部(225d)エジェクタ手段(23、24、222)との干渉を防止できるので、エジェクタ手段(23、24、222)が複雑になることを防止できる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明の成形方法では、
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、回転軸線(101)と平行な方向に対して同一所定角度で円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形する方法であって、
型閉めした際に遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、回転軸線(101)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、固定型(10)および可動型(20)の少なくともいずれかは、製品部(30)のうち複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有する成形用金型(1)を用い、
製品部(30)内に充填した溶融樹脂が固化した後、固定型(10)と可動型(20)とを型開きする型開き工程と、
型開き工程の後に、固化した樹脂からなる遠心式ファン(100)を可動型(20)から脱離する脱離工程と、
脱離工程(20)の前に、螺旋移動手段(150、250)を作動して、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動工程とを備えることを特徴としている。
【0020】
これによると、脱離工程の前に、螺旋移動手段(150、250)の作動により、ブレード成形コア部(123、223)を、傾斜した複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動することができる。したがって、複数のブレード(101)が円周方向に傾斜し、複数のブレード(101)が型開き方向にアンダーカット構造を形成した遠心式ファン(100)を成形する際であっても、成形した遠心式ファン(100)の離型を容易に行うことが可能である。
【0021】
また、請求項8に記載の発明の成形方法では、
成形用金型(1)の螺旋移動手段(150、250)は、ブレード成形コア部(123、223)に対し固定型(10)および可動型(20)の型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、ブレード成形コア部(123、223)が螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有し、
螺旋移動工程では、応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)によりブレード成形コア部(123、223)に型開き方向に応力を付勢し、案内手段(121a、123b、221a、223b)によりブレード成形コア部(123、223)が螺旋状に移動するように案内することを特徴としている。
【0022】
これによると、螺旋移動工程では、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に容易に移動することができる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明の成形方法では、
成形用金型(1)の応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、ブレード成形コア部(123、223)を回動自在に支持する支持部材(124、224)を有し、
螺旋移動工程では、支持部材(124、224)を介してブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することを特徴としている。
【0024】
これによると、ブレード成形コア部(123、223)に、支持部材(124、224)を介して型開き方向の応力を付勢して、案内手段(121a、123b、221a、223b)により回動させることで、容易に螺旋状運動を行わせることができる。
【0025】
また、請求項10に記載の発明の成形方法では、
成形用金型(1)の応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、支持部材(124、224)に係合しつつ型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、
螺旋移動工程では、スライド部材(125、225)をスライドしてブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することを特徴としている。
【0026】
これによると、型開き方向とは異なる方向からスライド部材(125、225)をスライドさせて、支持部材(124、224)を介してブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することができる。
【0027】
また、請求項11に記載の発明の成形方法では、
ブレード成形コア部(123)および螺旋移動手段(150)は固定型(10)に設けられ、
固定型(10)における螺旋移動工程が完了した後に、型開き工程を行うことを特徴としている。
【0028】
一般的に、金型(1)を型開きするときには、成形品(100)は可動型(20)側に保持され、固定型(10)から離される。請求項11に記載の発明によれば、金型(1)が型開きするときには、固定型(10)のブレード成形コア部(123)はアンダーカット構造の複数のブレード(101)間から抜けている。したがって、型開きを容易に行うことができる。
【0029】
また、請求項12に記載の発明の成形方法では、
ブレード成形コア部(223)および螺旋移動手段(250)は可動型(20)に設けられ、
型開き工程を開始した後に、可動型(20)における前記螺旋移動工程を行うことを特徴としている。
【0030】
上述したように、一般的に金型(1)を型開きするときには、成形品(100)は可動型(20)側に保持され、固定型(10)から離される。請求項12に記載の発明によれば、金型(1)が型開きを開始するときには、可動型(20)のブレード成形コア部(223)はアンダーカット構造の複数のブレード(101)間にある。したがって、型開きを開始するときに、遠心式ファン(100)を確実に可動型(20)側に保持することができる。
【0031】
また、請求項13に記載の発明の成形方法では、可動型(20)における螺旋移動工程が完了した後に、脱離工程を行うことを特徴としている。
【0032】
これによると、可動型(20)から遠心式ファン(100)を脱離するときには、可動型(20)のブレード成形コア部(223)はアンダーカット構造の複数のブレード(101)間から抜けている。したがって、遠心式ファン(100)の脱離を容易に行うことができる。
【0033】
また、請求項14に記載の発明の成形装置では、
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、回転軸線(101)と平行な方向に対して同一所定角度で円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形するための成形装置であって、
型閉めした際に遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、回転軸線(101)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、固定型(10)および可動型(20)の少なくともいずれかは、製品部(30)のうち複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の延設方向に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有する成形用金型(1)と、
成形用金型(1)の動作を制御する制御手段(50)とを備え、
制御手段(50)は、
製品部(30)内に充填した溶融樹脂が固化した後、固定型(10)と可動型(20)とを型開きし、
固定型(10)と可動型(20)とを型開きした後に、固化した樹脂からなる遠心式ファン(100)を可動型(20)から脱離し、
遠心式ファン(100)を可動型(20)から脱離する前に、螺旋移動手段(150、250)を作動して、ブレード成形コア部(123、223)を複数のブレード(101)の傾斜面に沿って回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動することを特徴としている。
【0034】
これによると、請求項7に記載の成形方法を行うことができる。
【0035】
また、請求項15に記載の発明の成形装置では、
成形用金型(1)の螺旋移動手段(150、250)は、ブレード成形コア部(123、223)に対し固定型(10)および可動型(20)の型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、ブレード成形コア部(123、223)が螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有し、
ブレード成形コア部(123、223)を螺旋状に移動する際に、
制御手段(50)は、ブレード成形コア部(123、223)に対し型開き方向に応力を付勢するように応力付勢手段(15、25)を制御し、
案内手段(121a、123b、221a、223b)は、応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)により付勢された応力により、ブレード成形コア部(123、223)が螺旋状に移動するように案内することを特徴としている。
【0036】
これによると、請求項8に記載の成形方法を行うことができる。
【0037】
また、請求項16に記載の発明の成形装置では、
成形用金型(1)の応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、ブレード成形コア部(123、223)を回転軸線(110)を中心として回動自在に支持する支持部材(124、224)を有し、ブレード成形コア部(123、223)に対し型開き方向に応力を付勢する際には、支持部材(124、224)を介して応力の付勢が行われることを特徴としている。
【0038】
これによると、請求項9に記載の成形方法を行うことができる。
【0039】
また、請求項17に記載の発明の成形装置では、
成形用金型(1)の応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、支持部材(124、224)に係合しつつ型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、
制御手段(50)は、ブレード成形コア部(123、223)を螺旋状に移動する際に、スライド部材(125、225)をスライドしてブレード成形コア部(123、223)に型開き方向の応力を付勢することを特徴としている。
【0040】
これによると、請求項10に記載の成形方法を行うことができる。
【0041】
また、請求項18に記載の発明の成形装置では、
ブレード成形コア部(123)および螺旋移動手段(150)は固定型(10)に設けられ、
制御手段(50)は、固定型(10)の螺旋移動手段(150)を作動して、固定型(10)のブレード成形コア部(123)の螺旋状移動が完了した後に、固定型(10)と可動型(20)とを型開きすることを特徴としている。
【0042】
これによると、請求項11に記載の成形方法を行うことができる。
【0043】
また、請求項19に記載の発明の成形装置では、
ブレード成形コア部(223)および螺旋移動手段(250)は可動型(20)に設けられ、
制御手段(50)は、固定型(10)と可動型(20)との型開きを開始した後に、可動型(20)のブレード成形コア部(223)を螺旋状に移動することを特徴としている。
【0044】
これによると、請求項12に記載の成形方法を行うことができる。
【0045】
また、請求項20に記載の発明の成形装置では、
制御手段(50)は、可動型(20)のブレード成形コア部(223)の螺旋状移動が完了した後に、遠心式ファン(100)を可動型(20)から脱離することを特徴としている。
【0046】
これによると、請求項13に記載の成形方法を行うことができる。
【0047】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0049】
図1は、本発明を適用した一実施形態における遠心式ファンであるシロッコファン100の製造に用いる金型1の概略構造を示す断面図であり、図2は、金型1内の要部構成を説明するための斜視図である。また、図3および図4は、金型1の構成間の係合構造を示す断面図である。
【0050】
図5は、金型1を含む成形装置(成形システム)の概略構成を示すブロック図である。また、図6は、この成形装置により成形される樹脂製(例えば、ポリプロピレン製、ポリアミド製)のシロッコファン100の概略構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。また、図7は、シロッコファン100の概略構造を示す斜視図である。
【0051】
図6および図7に示すように、本実施形態の成形品であるシロッコファン100は、回転軸線110を中心として円周状に配置された複数のブレード(ファンブレード)101と、これら複数のブレード101を図6(b)および図7図示底面側(下方側)において相互に連結するとともに中心に回転軸接続孔を有するディスク部102と、複数のブレード101を図6(b)および図7図示上方側において相互に連結するシュラウドリング103とにより構成されている。
【0052】
そして、複数のブレード101は、それぞれの延設方向が、回転軸線110と平行な方向に対して同一所定角度で円周方向に傾斜している。
【0053】
図1に示すように、金型1は、図示しない射出成形機の固定プラテンに取り付ける固定盤11を有する固定型10と、固定プラテンに対し進退可能な図示しない可動プラテンに取り付ける可動盤21を有する可動型20とにより構成されている。
【0054】
固定型10の型板部12の可動型20側および可動型20の型板部22の固定型10側には、それぞれ凹凸形状が形成され、固定型10と可動型20とが型合せ(型閉め)されると、固定型10と可動型20との間に空間が形成されるようになっている。この空間がシロッコファン100を成形するための製品部30である。
【0055】
ちなみに、固定型10と可動型20とは、製品部30で成形されるシロッコファン100の回転軸線110の方向に開閉するようになっている。
【0056】
製品部30は、シロッコファン100の複数のブレード101に対応したブレード成形部、ディスク部102に対応したディスク成形部32、およびシュラウドリング103に対応したリング成形部33により構成されている。
【0057】
固定型10内には、製品部30への溶融樹脂の供給通路をなすスプルー13が形成され、スプルー13の下流端には製品部30への溶融樹脂の注入口となるゲート14が設けられている。ゲート14は、製品部30のほぼ中心である、ディスク成形部32の回転軸接続孔わきに対応する部位に形成されている。
【0058】
図1では図示していないが、図2に示すように、固定型10の型板部12は、本体部121の内部に、通路形成部122、ブレード成形コア部123、支持ブロック124、および楔プレート125を備えている。
【0059】
図2のA−A線断面図(縦断面図)を図12(a)に、図2のB−B線断面図(横断面図)を図12(b)に示すように、固定型10の通路形成部122は、内部にスプルー13が形成され、図示左方端面(固定盤11側と反対側の端面)は製品部30ディスク成型部32(図1参照)の図示右方側面となっている、略円柱形状部材である。
【0060】
固定型10のブレード成形コア部123は、ディスク成型部32(図1参照)の図示右方側面の外周側の一部、リング成形部33(図1参照)の図示右方側面、およびブレード成形部31(図1参照)のうちディスク成形部32(図1参照)の図示右方側となる部位を備えており、通路形成部122の外周面に摺接する略円筒形状部材である。
【0061】
ブレード成形コア部123には、図示右方側端部の外周側に、鍔状に張り出した環状突起部123aが形成されている。また、ブレード成形コア部123の外周面には、外方に向かって突出した円柱形状をなす一対のガイドピン123bが形成されている。
【0062】
図3(a)に図2C−C線断面図(ガイドピン123b軸方向断面図)を、図3(b)に図2D−D線断面図(ガイドピン123b径方向断面図)を示すように、このガイドピン123bは、固定型10の本体部121の内側に形成されたガイド溝121a内に挿設されるものである。
【0063】
ガイド溝121aの延設方向は、型開閉方向(図2図示左右方向)に対し、ブレード成形部31の傾斜角度(シロッコファン100のブレード101の傾斜角度)と同一角度で傾斜している。このガイド溝121aとガイドピン123bとで、本実施形態における案内手段を構成している。
【0064】
なお、ガイドピン形状は円柱形状に限定されるものではない。また、本体部121側にガイドピンを形成し、ブレード成形コア部123側にガイド溝を形成するものであってもよい。
【0065】
図12に示すように、ブレード成形コア部123の図示右方側には、支持部材である支持ブロック124が配設されている。支持ブロック124も通路形成部122の外周面に摺接する略円筒形状部材であり、図示左方側端面近傍には、ブレード成形コア部123の環状突起部123aが係合する環状溝部124aが形成されている。
【0066】
この環状突起部123aと環状溝部124aとの係合関係により、支持ブロック124は、ブレード成形コア部123を、遠心式ファン100回転軸線110を中心として回動自在に支持している。
【0067】
支持ブロック124の図示右方側には、スライド部材である楔形状の楔プレート125が配設されている。楔プレート125は、図12(b)図示下方側に突出した接続端125aを備えている。この接続端125aは、後述する駆動手段としての油圧シリンダ15(図5参照)の出力端が接続するものである。
【0068】
楔プレート125は、図12(b)図示上方側ほど厚さが薄くなる楔状をなしており、支持ブロック124側の面が、型開き方向に直交する面に対して傾斜した傾斜面125bとして形成されている。なお、前述の支持ブロック124の図示右方側面(楔プレート125側面)は、楔プレート125の傾斜面125bに沿う傾斜面124bとして形成されている。
【0069】
図2および図12では図示を省略しているが、図4に断面構造を示すように、楔プレート125の傾斜面125bには、図2図示上下方向に延びる係合突起125cが形成されており、支持ブロック124の傾斜面124bには、係合突起125cに対応する形状の係合溝124cが延設されている。
【0070】
なお、係合突起および係合溝の形状は、図示した形状に限定されるものではない。また、楔プレート125の傾斜面125bに係合溝を設け、支持ブロック124の傾斜面124bに係合突起を設けるものであってもよい。
【0071】
この係合突起125cと係合溝124cとの係合関係により、楔プレート125が駆動手段により型開閉方向に直交する方向に進退すると、支持ブロック124が型開閉方向に移動するようになっている。
【0072】
すなわち、楔プレート125が図2、図12(b)図示下方側にスライドすると、支持ブロック124を介してブレード成形コア部123に型開き方向の応力が付勢される。この付勢力により、ブレード成形コア部123は、ガイド溝121aとガイドピン123bとからなる案内手段に案内されて、ブレード成形部31で成形されるブレード101の傾斜に沿ってシロッコファン100の回転軸線110を中心として螺旋状に移動するようになっている。
【0073】
ここで、支持ブロック124、楔プレート125、油圧シリンダ15からなる構成が、本実施形態における固定型10側の応力付勢手段に相当する。また、この応力付勢手段をなす支持ブロック124、楔プレート125、および油圧シリンダ15と案内手段をなすガイド溝121aおよびガイドピン123bとからなる構成が、本実施形態における固定型10側の螺旋移動手段である螺旋駆動機構150である。
【0074】
なお、楔プレート125には、スライド動作時に通路形成部122との干渉を避けるように、通路形成部122に対応する部位にU字溝125dが形成されている。このU字溝125dは、本実施形態における固定型スライド部材に形成された欠損部に相当する。この欠損部は、通路形成部122との干渉を避ける形状に形成されるものであればU字溝125dに限定されるものではなく、例えば長円形状等であってもよい。
【0075】
一方、図2に示すように、可動型20の型板部22は、本体部221の内部に、ガイドコア部222、ブレード成形コア部223、支持ブロック224、および楔プレート225を備えている。
【0076】
図12に示すように、可動型20のガイドコア部222は、図示左方端部が可動盤21内に埋設されるとともに、内部にエジェクタピン23が挿設され、エジェクタプレート24によりエジェクタピン23が製品部30内に突き出されるときに、エジェクタピン23をガイドするようになっている。
【0077】
ガイドコア部222の図示右方端面(可動盤21側と反対側の端面)は製品部30ディスク成型部32(図1参照)の図示右方側面となっている。
【0078】
可動型20のブレード成形コア部223は、リング成形部33(図1参照)の図示左方側面、およびブレード成形部31(図1参照)のうちディスク成形部32(図1参照)の図示左方側となる部位を備えており、ガイドコア部222の外周面に摺接する略円筒形状部材である。
【0079】
ブレード成形コア部223には、図示左方側端部の外周側に、鍔状に張り出した環状突起部223aが形成されている。また、ブレード成形コア部223の外周面には、外方に向かって突出した円柱形状をなす一対のガイドピン223bが形成されている。
【0080】
このガイドピン223bは、可動型20の本体部221の内側に形成されたガイド溝221a内に挿設されるものである。ガイドピン223bとガイド溝221aとの係合構成は固定型10側と同様になっており、ガイド溝221aの延設方向は、型開閉方向(図示左右方向)に対し、ブレード成形部31の傾斜角度(シロッコファン100のブレード101の傾斜角度)と同一角度で傾斜している。このガイド溝221aとガイドピン223bとで、本実施形態における案内手段を構成している。
【0081】
なお、可動型20側のガイドピン形状も円柱形状に限定されるものではない。また、本体部221側にガイドピンを形成し、ブレード成形コア部223側にガイド溝を形成するものであってもよい。
【0082】
ブレード成形コア部223の図示左方側には、支持部材である支持ブロック224が配設されている。支持ブロック224も略円筒形状部材であり、図示右方側端面近傍には、ブレード成形コア部223の環状突起部223aが係合する環状溝部224aが形成されている。
【0083】
この環状突起部223aと環状溝部224aとの係合関係により、支持ブロック224は、ブレード成形コア部223を、遠心式ファン100回転軸線110を中心として回動自在に支持している。
【0084】
支持ブロック224の図示左方側には、スライド部材である楔形状の楔プレート225が配設されている。楔プレート225は、図12(b)図示下方側に突出した接続端225aを備えている。この接続端225aは、後述する駆動手段としての油圧シリンダ25(図5参照)の出力端が接続するものである。
【0085】
楔プレート225は、図12(b)図示上方側ほど厚さが薄くなる楔状をなしており、支持ブロック224側の面が、型開き方向に直交する面に対して傾斜した傾斜面225bとして形成されている。なお、前述の支持ブロック224の図示左方側面(楔プレート225側面)は、楔プレート225の傾斜面225bに沿う傾斜面224bとして形成されている。
【0086】
楔プレート225の傾斜面225bおよび支持ブロック224の傾斜面224bには、固定型10側と同様に、係合突起と、係合突起に対応する形状の係合溝が延設されている。
【0087】
なお、可動型20側の係合突起および係合溝の形状も、図4に図示した形状に限定されるものではない。また、楔プレート225の傾斜面225bに係合溝を設け、支持ブロック224の傾斜面224bに係合突起を設けるものであってもよい。
【0088】
この係合突起と係合溝との係合関係により、楔プレート225が駆動手段により型開閉方向に直交する方向に進退すると、支持ブロック224が型開閉方向に移動するようになっている。
【0089】
すなわち、楔プレート225が図2、図12(b)図示下方側にスライドすると、支持ブロック224を介してブレード成形コア部223に型開き方向の応力が付勢される。この付勢力により、ブレード成形コア部223は、ガイド溝221aとガイドピン223bとからなる案内手段に案内されて、ブレード成形部31で成形されるブレード101の傾斜に沿ってシロッコファン100の回転軸線110を中心として可動盤21側に螺旋状に移動するようになっている。
【0090】
ここで、支持ブロック224、楔プレート225、油圧シリンダ25からなる構成が、本実施形態における可動型20側の応力付勢手段に相当する。また、この応力付勢手段をなす支持ブロック224、楔プレート225、および油圧シリンダ25と案内手段をなすガイド溝221aおよびガイドピン223bとからなる構成が、本実施形態における可動型10側の螺旋移動手段である螺旋駆動機構250である。また、エジェクタピン23、エジェクタプレート24、およびガイドコア部222からなる構成が、本実施形態におけるエジェクタ手段に相当する。
【0091】
なお、楔プレート225には、スライド動作時にガイドコア部222およびエジェクタピン23との干渉を避けるように、ガイドコア部222およびエジェクタピン23に対応する部位にU字溝225dが形成されている。このU字溝225dは、本実施形態における可動型スライド部材に形成された欠損部に相当する。この欠損部は、ガイドコア部222およびエジェクタピン23との干渉を避ける形状に形成されるものであればU字溝225dに限定されるものではなく、例えば長円形状等であってもよい。
【0092】
図5に示すように、本実施形態の成形装置の主要構成要素は、前述した固定型10および可動型20とからなり両型10、20のそれぞれに油圧シリンダ15、25を搭載した金型1、可動型20を作動して金型1を開閉するための型開閉ユニット60、可動型20のエジェクタ手段に作用して金型1の製品部30から成形品を取り出すためのエジェクタ機構70、および金型1内に溶融樹脂を射出するための周知の射出ユニット(射出充填手段)40とを備えている。
【0093】
制御装置50は、射出ユニット40、金型1を搭載した型開閉ユニット60、エジェクタ機構70を作動制御するためのものであり、本実施形態における制御手段に相当する。
【0094】
制御装置50は、金型1の型閉め、射出ユニット40による型閉めした金型1製品部30への溶融樹脂の射出充填、充填した製品部30内の溶融樹脂冷却固化、製品部30内の溶融樹脂冷却固化後の金型1の型開き、および型開きした金型1の製品部30からの固化したシロッコファン100の取り出しを順次行なう周知の成形サイクルを実行するように、射出ユニット40、型開閉ユニット60、およびエジェクタ機構70に信号を出力するとともに、これらのユニットや機構からの作動完了信号やデータ信号を入力するようになっている。
【0095】
また、制御装置50は、金型1に内蔵された油圧シリンダ15、25に作動信号を出力するとともに、油圧シリンダ15、25からの作動状態信号を入力するようになっている。
【0096】
制御装置50は、内部に記憶手段を備えており、図示しない入力手段である入力装置から入力されたシロッコファン100の成形条件等を記憶するとともに、射出ユニット40、型開閉ユニット60、エジェクタ機構70、および油圧シリンダ15、25からの信号に基づいて、成形サイクルの進捗状況を把握できるようになっている。
【0097】
制御装置50は、タイマー手段であるタイマー51を備えており、タイマー51に予め設定された時間が経過すると、射出ユニット40および型開閉ユニット60等に作動信号を出力するようになっている。
【0098】
次に、上記構成の成形装置による遠心式ファンであるシロッコファン100の製造方法について説明する。
【0099】
図8〜11は、シロッコファン100を成形する一成形サイクルを説明するための金型1工程別概略断面図である。
【0100】
図5に示す制御装置50が射出ユニット40、型開閉ユニット60、エジェクタ機構70、および油圧シリンダ15、25等を制御しシロッコファン100を成形するときには、まず、図8に示すように、固定型10と可動型20とを合わせて金型1を型閉めする。
【0101】
次に、図9に示すように、型閉めした金型1のスプルー13の上流側端部に射出ユニット40(図5参照)の図示しないノズル部を当接して溶融した液状の樹脂を射出する。これにより、溶融樹脂は、スプルー13を流れ、ゲート14を介して製品部30内に充填される。
【0102】
このとき、金型1の内壁面の温度を、射出充填する樹脂の流動特性および結晶化等に伴なう収縮特性に基づいて設定した所定温度としている。これによると、製品部30内に注入した溶融樹脂を、比較的高温で低粘度を維持したまま充填することができるとともに、充填した樹脂の結晶化を進行することができる。
【0103】
製品部30に充填された溶融樹脂が冷却固化し、シロッコファン100が成形されたら、図10に示すように、固定型10と可動型20とを型開きし、エジェクタ機構70を作動させて、図11に示すように、シロッコファン100を離型し、図示しない取り出し装置によりシロッコファン100を両型10、20間から取り出す。
【0104】
ここで、図8に示す工程が、金型1を型閉めする型閉め工程である。そして、図9に示す工程が、金型1の製品部30に溶融樹脂を射出充填する充填工程であるとともに、充填工程で充填した製品部30内の溶融樹脂を冷却固化する冷却工程である。
【0105】
また、図10に示す工程が、金型1を型開きする型開き工程であり、図11に示す工程が、型開きした金型1の製品部30から固化したシロッコファン100を取り出す取り出し工程である。
【0106】
上述した成形サイクル中に、冷却工程を完了した後、型開き工程および取り出し工程を行う所謂離型工程において、本発明を適用した金型1の特徴的な作動を行う。ここで、本実施形態の要部構成の作動について説明する。
【0107】
図12(a)、13(a)、15(a)、16(a)、18(a)は、図2のA−A線における工程別断面図であり、図12(b)、13(b)、15(b)、16(b)、18(b)は、図2のB−B線における工程別断面図である。また、図14は、図13における図6(a)E−E線に相当する位置の断面図であり、図17は、図16における図6(a)F−F線に相当する位置の断面図である。また、図19は、成形装置が離型工程を行なう場合の動作を示すタイムチャートである。
【0108】
ちなみに、図12は、図9に示す状態を詳細に図示した図に相当し、図15は、図10に示す状態を詳細に図示した図に相当する。また、図18は、図11に示す状態を詳細に図示した図に相当する。
【0109】
図12に示すように、充填工程が実行されて金型1製品部30内に溶融樹脂が注入され、冷却工程が実行されて製品部30内にシロッコファン100が成形されると、制御装置50は、図13(b)に示すように、油圧シリンダ15を駆動して楔プレート125を図示下方側にスライドさせる。
【0110】
これに伴ない、楔プレート125に係合する支持ブロック124が図示右方側に移動する。さらに、この支持ブロック124の移動に伴ない、支持ブロック124に係合するブレード形成コア部123に図示右方向(固定型における実質的な型開き方向)の応力が付勢される。
【0111】
ブレード成形コア部123は、支持ブロック124に回動自在に支持されているとともに、図示右方側に移動するときには、図13(a)に示すように、ガイドピン123bが固定型本体部121のガイド溝121aにガイドされているため、通路形成部122を中心として螺旋状に移動する。
【0112】
すなわち、図14に示すように、ブレード成形コア部123は、製品部30ブレード成形部31で成形されるシロッコファン100の傾斜したブレード101に沿って(ブレード101が延びる方向に沿って)、シロッコファン100の回転軸線110(図14では図示略)を中心として螺旋状に移動する。
【0113】
このようにして、アンダーカット構造をなすブレード101間からブレード成形コア部123を引き抜く。
【0114】
図13に示すように、ブレード成形コア部123を螺旋移動してブレード101間からの引き抜きが完了したら、制御装置50は型開閉ユニット60(図5参照)を作動させて、図15に示すように、可動型20を固定型10から引き離し金型1の型開きを行う。
【0115】
このとき、シロッコファン100のブレード101の一部は、可動型20のブレード成形コア部223内にあるため、シロッコファン100と固定型10との摩擦結合力よりもシロッコファン100と可動型20との摩擦結合力の方が非常に大きい。したがって、シロッコファン100が可動型20側に確実に保持された状態で、金型1は型開きする。
【0116】
金型1の型開きが行われると、次に、可動型20においてシロッコファン100のブレード101間からブレード成形コア部223を引き抜く動作が行われる。
【0117】
制御装置50は、図16(b)に示すように、油圧シリンダ25を駆動して楔プレート225を図示下方側にスライドさせる。
【0118】
これに伴ない、楔プレート225に係合する支持ブロック224が図示左方側に移動する。さらに、この支持ブロック224の移動に伴ない、支持ブロック224に係合するブレード形成コア部223に図示左方向(可動型における実質的な型開き方向)の応力が付勢される。
【0119】
ブレード成形コア部223は、支持ブロック224に回動自在に支持されているとともに、図示左方側に移動するときには、図16(a)に示すように、ガイドピン223bが可動型本体部221のガイド溝221aにガイドされているため、螺旋状に移動する。
【0120】
すなわち、図17に示すように、ブレード成形コア部223は、製品部30ブレード成形部31で成形されるシロッコファン100の傾斜したブレード101に沿って(ブレード101が延びる方向に沿って)、シロッコファン100の回転軸線110(図17では図示略)を中心として螺旋状に移動する。
【0121】
このようにして、アンダーカット構造をなすブレード101間からブレード成形コア部223を引き抜く。
【0122】
図16に示すように、ブレード成形コア部223を螺旋移動してブレード101間からの引き抜きが完了したら、制御装置50はエジェクタ機構70(図5参照)を作動させて、図18に示すように、エジェクタプレート24を図示右方向に押し出し、エジェクタピン23により可動型20からシロッコファン100を突き出し脱離させる。
【0123】
図13に示す工程が、本実施形態における固定型10側の螺旋移動工程であり、図15に示す工程が、本実施形態における型開き工程である。また、図16に示す工程が、本実施形態における可動型20側の螺旋移動工程であり、図18に示す工程が、本実施形態における脱離工程である。
【0124】
図19に示すように、本実施形態では、固定型10の螺旋移動工程を完了した直後に、型開き工程を開始している。また、型開き工程を開始した後に、可動型20の螺旋移動工程を開始している。さらに、可動型20の螺旋移動工程を完了した直後に、脱離工程を開始している。
【0125】
型開き工程は、固定型10の螺旋移動工程を完了した直後もしくはそれ以降に行うものであればよく、可動型20の螺旋移動工程は、型開き工程を開始した後に行うものであればよい。また、脱離工程は、可動型20の螺旋移動工程を完了した直後もしくはそれ以降に行うものであればよい。
【0126】
具体的には、金型1の型開きは、ブレード101間から固定型10のブレード成形コア部123を引き抜いた直後もしくはそれ以降に行うものであればよい。また、可動型20のブレード成形コア部223の螺旋移動の開始は、型開きによりシロッコファン100が可動型10から離れた直後もしくはそれ以降に行うものであればよい。また、可動型20からのシロッコファン100のエジェクト(脱離)は、ブレード101間から可動型20のブレード成形コア部223を引き抜いた直後もしくはそれ以降に行うものであればよい。
【0127】
したがって、型開き工程が完了する前にブレード101間から可動型20のブレード成形コア部223の引き抜きが完了するような場合には、ブレード101間からブレード成形コア部223の引き抜きが完了し、かつ、固定型10と可動型20との型開き寸法がシロッコファン100の高さ寸法(図18図示左右方向寸法)より大きくなっていれば(シロッコファン100を突き出しても固定型10と干渉することのない空間が確保されていれば)、シロッコファン100のエジェクトを開始することができる。
【0128】
上述の構成および作動によれば、金型1からシロッコファン100を脱離するときには、アンダーカット構造を形成しているシロッコファン100のブレード101間から、固定型10のブレード形成コア部123および可動型20のブレード形成コア部223が引き抜かれている。したがって、シロッコファン100の金型1からの脱離(離型)を容易に行うころができる。
【0129】
また、シロッコファン100の傾斜したブレード101間から、固定型10のブレード形成コア部123および可動型20のブレード形成コア部223を引き抜く動作は、各ブレード形成コア部123、223のシロッコファン100回転軸線110を中心とした螺旋状の移動によって行われている。したがって、複数のブレード101間からブレード成形コア部123、223のそれぞれを一括して引き抜くことが容易である。
【0130】
また、ブレード形成コア部123、223の引き抜き動作は、シロッコファン100の回転軸線110方向への移動に伴なう引き抜きであり、径外方向に引き抜くものではないため、金型1が大型化することを抑制することができる。
【0131】
また、金型1の型開き工程は、固定型10のブレード形成コア部123螺旋移動工程が完了した後に行なっている。すなわち、型開きするときには、ブレード形成コア部123は、アンダーカット構造の複数のブレード101間から抜けている。したがって、成形したシロッコファン100を可動型20側に保持しての型開きに際して、シロッコファン100のブレード101を固定型10から容易に脱離することができる。
【0132】
また、金型1の型開き工程を開始した後に、可動型20のブレード形成コア部223螺旋移動工程を開始している。すなわち、金型1の型開きを開始するときには、ブレード成形コア部223はアンダーカット構造の複数のブレード101間にある。したがって、型開き時に成形したシロッコファン100を可動型20側に確実に保持することができる。
【0133】
また、エジェクタピン23によるシロッコファン100の可動型20からの脱離工程は、可動型20のブレード形成コア部223螺旋移動工程が完了した後に行っている。すなわち、シロッコファン100を可動型20からエジェクトするときには、ブレード成形コア部223はアンダーカット構造の複数のブレード101間から抜けている。したがって、シロッコファン100の脱離を容易に行うことができる。
【0134】
また、ブレード形成コア部123、223のブレード101の延設方向に沿った螺旋移動は、ブレード形成コア部123、223に対し型開き方向(シロッコファン100回転軸線110方向)の応力を付勢し、この応力付勢に伴ないブレード成形コア部123、223が型開き方向に移動するときに、ガイドピン123b、223bとガイド溝121a、223bとの案内機能により容易に行うことができる。
【0135】
また、ブレード形成コア部123、223に対する型開き方向の応力付勢は、楔プレート125、225の型開き方向に直交する方向へのスライド動作に伴い、支持ブロック124、224が型開き方向に移動することにより行われる。
【0136】
ブレード形成コア部123、223に対する応力付勢を型開き方向に直交する方向、すなわち、金型1の側方側から行うことができる。したがって、応力付勢を行う機構が溶融樹脂の供給経路や成形品のエジェクタ手段と干渉し難く、応力付勢のための駆動手段である油圧シリンダ15、25の取り付けも極めて容易である。
【0137】
また、ブレード成形コア部123、223は、支持ブロック124、224に回動自在に支持されているので、ガイドピン123b、223bとガイド溝121a、223bとの案内機能により容易に螺旋移動させることができる。
【0138】
(他の実施形態)
上記一実施形態では、ブレード成形コア部123、223を螺旋移動させるための駆動手段は油圧シリンダ15、25であったが、これに限定されるものではない。例えば、エアシリンダであってもよいし、サーボモータであってもよい。
【0139】
また、上記一実施形態では、油圧シリンダ15、25によりにより楔プレート125、225を型開き方向に直交する方向にスライドしていたが、型開き方向に交差するいずれかの方向にスライド部材をスライドして、型開き方向の応力を付勢するものであってもよい。
【0140】
また、例えばサーボモータ等を採用して、駆動手段の金型1への内蔵が容易であれば、楔プレートを用いずに、支持ブロック124、224に直接型開き方向の応力付勢を行うものであってもよい。
【0141】
また、駆動手段の出力端が螺旋移動できるものであれば、ブレード成形コア部123、223を駆動手段により直接螺旋運動させるものであってもよい。
【0142】
また、上記一実施形態では、シロッコファン100のブレード101とディスク部102との位置関係およびブレード101とシュラウドリング103との配置関係より、固定型10および可動型20の両方にブレード成形コア部123、223を設けて螺旋移動させるものであってが、シロッコファンの形状によっては、固定型10および可動型20のいずれかのみにブレード成形コア部を設けて螺旋移動させるものであってもよい。
【0143】
また、上記一実施形態では、金型1で成形する遠心式ファンはシロッコファン100であったが、これに限定されるものではない。例えば、ターボファンであってもよい。シロッコファン以外の遠心式ファンであっても、回転軸線を中心として円周状に配置された複数のブレードのそれぞれの延設方向が、回転軸線と平行な方向に対して同一所定角度で円周方向に傾斜した遠心式ファンであれば、本発明を適用して有効である。
【0144】
また、上記一実施形態では、金型1が横型(開閉方向が水平方向の金型)であるものとして説明したが、縦型(開閉方向が垂直方向の金型)であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明を適用した一実施形態における遠心式ファンであるシロッコファン100の製造に用いる金型1の概略構造を示す断面図である。
【図2】金型1内の要部構成を説明するための斜視図である。
【図3】金型1の構成間の係合構造を示す断面図であり、(a)は図2のC−C線断面図、(b)は図2のD−D線断面図である。
【図4】金型1の構成間の係合構造を示す断面図であり、図2の支持ブロック124と楔プレート125との間の係合関係を示している。
【図5】成形装置(成形システム)の概略構成を示すブロック図である。
【図6】成形品であるシロッコファン100の概略構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図7】成形品であるシロッコファン100の概略構造を示す斜視図である。
【図8】成形サイクルを説明するための金型1の工程別概略断面図である。
【図9】成形サイクルを説明するための金型1の工程別概略断面図である。
【図10】成形サイクルを説明するための金型1の工程別概略断面図である。
【図11】成形サイクルを説明するための金型1の工程別概略断面図である。
【図12】シロッコファン100成形時の型開き取り出し工程を説明するための金型1の工程別断面図であり、(a)は、図2のA−A線断面を、(b)は図2のB−B線断面を示している。
【図13】シロッコファン100成形時の型開き取り出し工程(離型工程)を説明するための金型1の工程別断面図であり、(a)は、図2のA−A線断面を、(b)は図2のB−B線断面を示している。
【図14】図13の図6(a)E−E線相当位置の断面図である。
【図15】シロッコファン100成形時の型開き取り出し工程を説明するための金型1の工程別断面図であり、(a)は、図2のA−A線断面を、(b)は図2のB−B線断面を示している。
【図16】シロッコファン100成形時の型開き取り出し工程を説明するための金型1の工程別断面図であり、(a)は、図2のA−A線断面を、(b)は図2のB−B線断面を示している。
【図17】図16の図6(a)F−F線相当位置の断面図である。
【図18】シロッコファン100成形時の型開き取り出し工程を説明するための金型1の工程別断面図であり、(a)は、図2のA−A線断面を、(b)は図2のB−B線断面を示している。
【図19】成形装置が型開き取り出し工程(離型工程)を行なう場合の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0146】
1 金型
10 固定型
13 スプルー(供給通路)
15、25 油圧シリンダ(駆動手段、応力付勢手段の一部、螺旋移動手段の一部)
20 可動型
23 エジェクタピン(エジェクタ手段の一部)
24 エジェクタプレート(エジェクタ手段の一部)
30 製品部
50 制御装置(制御手段)
100 シロッコファン(遠心式ファン)
101 ブレード
110 回転軸線
121a、221a ガイド溝(案内手段の一部、螺旋移動手段の一部)
122 通路形成部
123、223 ブレード成形コア部
123b、223b ガイドピン(案内手段の一部、螺旋移動手段の一部)
124、224 支持ブロック(支持部材、応力付勢手段の一部、螺旋移動手段の一部)
125、225 楔プレート(スライド部材、応力付勢手段の一部、螺旋移動手段の一部)
125d、225d U字溝(欠損部)
150、250 螺旋駆動機構(螺旋移動手段)
222 ガイドコア部(エジェクタ手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、前記回転軸線(110)と平行な方向に対して同一所定角度で前記円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形するための成形用金型であって、
型閉めした際に前記遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、前記回転軸線(110)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、
前記固定型(10)および前記可動型(20)の少なくともいずれかは、
前記製品部(30)のうち前記複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、
前記ブレード成形コア部(123、223)を、前記複数のブレード(101)の前記延設方向に沿って前記回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有することを特徴とする遠心式ファンの成形用金型。
【請求項2】
前記螺旋移動手段(150、250)は、
前記ブレード成形コア部(123、223)に対し、前記固定型(10)および前記可動型(20)の型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、
前記ブレード成形コア部(123、223)が前記螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有することを特徴とする請求項1に記載の遠心式ファンの成形用金型。
【請求項3】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記回転軸線(110)を中心として回動自在に支持する支持部材(124、224)を有し、前記支持部材(124、224)を介して前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向の応力を付勢することを特徴とする請求項2に記載の遠心式ファンの成形用金型。
【請求項4】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記支持部材(124、224)に係合しつつ前記型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、前記スライド部材(125、225)のスライド動作に伴なって前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向の応力を付勢することを特徴とする請求項3に記載の遠心式ファンの成形用金型。
【請求項5】
前記スライド部材(125)は前記固定型(10)に設けられるとともに、
前記固定型(10)は、前記製品部(30)に溶融樹脂を供給するための供給通路(13)を形成する通路形成部(122)を備え、
前記固定型(10)に設けられた前記スライド部材(125)には、スライド動作時の干渉を避けるように、前記通路形成部(122)に対応する部位に欠損部(125d)が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の遠心式ファンの成形用金型。
【請求項6】
前記スライド部材(225)は前記可動型(20)に設けられるとともに、
前記可動型(20)は、前記製品部(30)から前記遠心式ファン(100)を押し出すためのエジェクタ手段(23、24、222)を備え、
前記可動型(20)に設けられた前記スライド部材(225)には、スライド動作時の干渉を避けるように、前記エジェクタ手段(23、24、222)に対応する部位に欠損部(225d)が形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遠心式ファンの成形用金型。
【請求項7】
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、前記回転軸線(101)と平行な方向に対して同一所定角度で前記円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形する方法であって、
型閉めした際に前記遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、前記回転軸線(101)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、前記固定型(10)および前記可動型(20)の少なくともいずれかは、前記製品部(30)のうち前記複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記複数のブレード(101)の前記延設方向に沿って前記回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有する成形用金型(1)を用い、
前記製品部(30)内に充填した溶融樹脂が固化した後、前記固定型(10)と前記可動型(20)とを型開きする型開き工程と、
前記型開き工程の後に、固化した樹脂からなる前記遠心式ファン(100)を前記可動型(20)から脱離する脱離工程と、
前記脱離工程(20)の前に、前記螺旋移動手段(150、250)を作動して、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記複数のブレード(101)の傾斜面に沿って前記回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動工程とを備えることを特徴とする遠心式ファンの成形方法。
【請求項8】
前記螺旋移動手段(150、250)は、前記ブレード成形コア部(123、223)に対し前記固定型(10)および前記可動型(20)の型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、前記ブレード成形コア部(123、223)が前記螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有し、
前記螺旋移動工程では、前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)により前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向に応力を付勢し、前記案内手段(121a、123b、221a、223b)により前記ブレード成形コア部(123、223)が前記螺旋状に移動するように案内することを特徴とする請求項7に記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項9】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記回転軸線(110)を中心として回動自在に支持する支持部材(124、224)を有し、
前記螺旋移動工程では、前記支持部材(124、224)を介して前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向の応力を付勢することを特徴とする請求項8に記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項10】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記支持部材(124、224)に係合しつつ前記型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、
前記螺旋移動工程では、前記スライド部材(125、225)をスライドして前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向の応力を付勢することを特徴とする請求項9に記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項11】
前記ブレード成形コア部(123)および前記螺旋移動手段(150)は前記固定型(10)に設けられ、
前記固定型(10)における前記螺旋移動工程が完了した後に、前記型開き工程を行うことを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項12】
前記ブレード成形コア部(223)および前記螺旋移動手段(250)は前記可動型(20)に設けられ、
前記型開き工程を開始した後に、前記可動型(20)における前記螺旋移動工程を行うことを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項13】
前記可動型(20)における前記螺旋移動工程が完了した後に、前記脱離工程を行うことを特徴とする請求項12に記載の遠心式ファンの成形方法。
【請求項14】
回転軸線(110)を中心として円周状に配置された複数のブレード(101)のそれぞれの延設方向が、前記回転軸線(101)と平行な方向に対して同一所定角度で前記円周方向に傾斜した遠心式ファン(100)を成形するための成形装置であって、
型閉めした際に前記遠心式ファン(100)の形状に対応した製品部(30)を形成するとともに、前記回転軸線(101)方向に開閉する固定型(10)および可動型(20)を備え、前記固定型(10)および前記可動型(20)の少なくともいずれかは、前記製品部(30)のうち前記複数のブレード(101)に対応した部位が形成されたブレード成形コア部(123、223)と、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記複数のブレード(101)の前記延設方向に沿って前記回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動する螺旋移動手段(150、250)とを有する成形用金型(1)と、
前記成形用金型(1)を動作制御する制御手段(50)とを備え、
前記制御手段(50)は、
前記製品部(30)内に充填した溶融樹脂が固化した後、前記固定型(10)と前記可動型(20)とを型開きし、
前記固定型(10)と前記可動型(20)とを型開きした後に、固化した樹脂からなる前記遠心式ファン(100)を前記可動型(20)から脱離し、
前記遠心式ファン(100)を前記可動型(20)から脱離する前に、前記螺旋移動手段(150、250)を作動して、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記複数のブレード(101)の傾斜面に沿って前記回転軸線(110)を中心として螺旋状に移動することを特徴とする遠心式ファンの成形装置。
【請求項15】
前記螺旋移動手段(150、250)は、前記ブレード成形コア部(123、223)に対し前記固定型(10)および前記可動型(20)の型開き方向に応力を付勢する応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)と、前記ブレード成形コア部(123、223)が前記螺旋状に移動するように案内する案内手段(121a、123b、221a、223b)とを有し、
前記ブレード成形コア部(123、223)を前記螺旋状に移動する際に、
前記制御手段(50)は、前記ブレード成形コア部(123、223)に対し前記型開き方向に応力を付勢するように前記応力付勢手段(15、25)を制御し、
前記案内手段(121a、123b、221a、223b)は、前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)により付勢された前記応力により、前記ブレード成形コア部(123、223)が前記螺旋状に移動するように案内することを特徴とする請求項14に記載の遠心式ファンの成形装置。
【請求項16】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記ブレード成形コア部(123、223)を、前記回転軸線(110)を中心として回動自在に支持する支持部材(124、224)を有し、前記ブレード成形コア部(123、223)に対し前記型開き方向に応力を付勢する際には、前記支持部材(124、224)を介して前記応力の付勢が行われることを特徴とする請求項15に記載の遠心式ファンの成形装置。
【請求項17】
前記応力付勢手段(124、125、15、224、225、25)は、前記支持部材(124、224)に係合しつつ前記型開き方向に交差する方向にスライドする楔状のスライド部材(125、225)を有し、
前記制御手段(50)は、前記ブレード成形コア部(123、223)を前記螺旋状に移動する際に、前記スライド部材(125、225)をスライドして前記ブレード成形コア部(123、223)に前記型開き方向の応力を付勢することを特徴とする請求項16に記載の遠心式ファンの成形装置。
【請求項18】
前記ブレード成形コア部(123)および前記螺旋移動手段(150)は前記固定型(10)に設けられ、
前記制御手段(50)は、前記固定型(10)の前記螺旋移動手段(150)を作動して、前記固定型(10)の前記ブレード成形コア部(123)の前記螺旋状移動が完了した後に、前記固定型(10)と前記可動型(20)とを型開きすることを特徴とする請求項14ないし請求項17のいずれかに記載の遠心式ファンの成形装置。
【請求項19】
前記ブレード成形コア部(223)および前記螺旋移動手段(250)は前記可動型(20)に設けられ、
前記制御手段(50)は、前記固定型(10)と前記可動型(20)との型開きを開始した後に、前記可動型(20)の前記ブレード成形コア部(223)を前記螺旋状に移動することを特徴とする請求項14ないし請求項18のいずれかに記載の遠心式ファンの成形装置。
【請求項20】
前記制御手段(50)は、前記可動型(20)の前記ブレード成形コア部(223)の前記螺旋状移動が完了した後に、前記遠心式ファン(100)を前記可動型(20)から脱離することを特徴とする請求項19に記載の遠心式ファンの成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−18641(P2008−18641A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193250(P2006−193250)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】