説明

遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有するガラス製品の製造方法

【課題】遠赤外線放射効果を有し、且つ低線量の放射線によるホルミシス効果を有するガラス製品の製造方法を提供する。
【解決手段】二酸化ケイ素、ソーダ灰、石灰石、ぼう硝等の原料に、ガラス屑を混合したガラス製造における原材料粉末90〜95重量%に、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有する角閃石粉末5〜10重量%を混合して攪拌し、前記混合物を1500〜1600℃の高温で加熱して、前記混合物を溶解・ガラス化させてガラス素地を形成し、然る後、該ガラス素地を用いてガラス製品に仕上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製品の製造方法に関するものであって、特に遠赤外線放射効果を有し、且つ低線量の放射線によるホルミシス効果を有するガラス製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠赤外線放射性および低線量の放射線によるホルミシス効果を有する窓ガラス、ガラス製花瓶、あるいはガラス製置物等のガラス製品は実用に供されておらず、また過去の特許文献を遡及検索しても前記のようなガラス製品の公知例は1件もなく、単に下記の特許文献1において、遠赤外線放射物質を含んでいる遠赤外線放射ガラスから成る照明用ガラス製品が開示されているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−501046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、従来は遠赤外線放射効果および低線量の放射線によるホルミシス効果を有するガラス製品は実用に供されておらず、また先行技術文献には全く開示されていないため、例えば、ガラス製品が、一般家屋、あるいはビル等の建築物の窓ガラスの場合、特に冬季においては、該窓ガラスに太陽光、あるいは室内暖房の熱が蓄熱されず、窓ガラスからの冷気が室内に入り込むため、室内が非常に寒くなり、従って暖房効率が悪く、更に前記室内暖房の熱により、窓ガラスが曇っても、曇り止め効果がないという課題があった。
【0005】
更に、前記ガラス製品が、道路に設置されるカーブミラーの場合、該カーブミラーが外気温の変化により曇って、見えにくくなっても、その曇りを防止する手段がないので、自然にその曇りがなくなるのを待つしか方法がないという課題があった。
【0006】
また更に、前記ガラス製品が、浴室や洗面所の鏡である場合、浴室や洗面所の湯気で鏡が曇って、見えにくくなってしまい、拭いてもその曇りが取れないという課題があった。
【0007】
そして更に、従来は、ガラス製品に、遠赤外線放射効果の外に、低線量の放射線によるホルミシス効果を保持させるという発想がなく、従って室内の居住者等にホルミシス効果を与えるということができないという課題があった。
【0008】
本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、ガラス製品の製造工程中において、遠赤外線放射効果を有し、且つ低線量の放射線によるホルミシス効果を有する天然放射性鉱物である角閃石の微粉末を、ガラス製造の原材料に混合して溶解・ガラス化させてガラス素地とし、このガラス素地を適宜加工して、一般家屋、ビル等の建築物における窓ガラス、あるいはカーブミラー、浴室や洗面所の鏡として使用することにより、またはガラス製花瓶、あるいはガラス製置物として使用することにより、太陽光、あるいは室内の暖房、または、浴室や洗面所の湯気による熱を受けて、前記ガラス製品中の角閃石が蓄熱して自己発熱し、窓ガラス等のガラス製品を加温して、該ガラス製品の曇りを防止する一方、ガラス製品が、窓ガラス、あるいは浴室や洗面所の鏡、またはガラス製花瓶、ガラス製置物の場合、遠赤外線を室内、浴室や洗面所へ放射して、該室内、浴室や洗面所を加温し、更に天然放射性鉱物である角閃石から低線量の放射線が放射されて居住者等にホルミシス効果を与えると共に、前記角閃石が放射性鉱物であるため、マイナスイオンが発生して、居住者にマイナスイオン効果を与えることができる遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有するガラス製品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二酸化ケイ素、ソーダ灰、石灰石、ぼう硝等の原料に、ガラス屑を混合したガラス製造における原材料粉末90〜95重量%に、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有する角閃石粉末5〜10重量%を混合して攪拌し、前記混合物を1500〜1600℃の高温で加熱して、前記混合物を溶解・ガラス化させてガラス素地を形成し、然る後、該ガラス素地を用いてガラス製品に仕上げることにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
遠赤外線放射効果を有し、且つ低線量の放射線によるホルミシス効果を有する天然放射性鉱物である角閃石の微粉末を、ガラス製造の原材料に混合して溶解・ガラス化させてガラス素地とし、このガラス素地を適宜加工して、一般家屋、ビル等の建築物における窓ガラス、あるいはカーブミラー、浴室や洗面所の鏡、またはガラス製花瓶、あるいはガラス製置物等のガラス製品とすることにより、太陽光、あるいは室内の暖房、または、浴室や洗面所の湯気による熱を受けて、前記ガラス製品中の角閃石が蓄熱して自己発熱し、前記ガラス製品を加温して、該ガラス製品の曇りを防止する一方、前記ガラス製品が、窓ガラス、あるいは浴室や洗面所の鏡、またはガラス製花瓶、ガラス製置物等のガラス製品の場合、遠赤外線を室内、浴室や洗面所へ放射して、該室内、浴室や洗面所を加温し、更に天然放射性鉱物である角閃石から低線量の放射線が放射されて居住者等にホルミシス効果を与えると共に、前記角閃石が放射性鉱物であるため、マイナスイオンが発生して、居住者にマイナスイオン効果を与えることができる。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を詳細に説明すると、先ず、本発明製造方法において従来公知のガラス製造の原材料に混合する天然放射性鉱物は、岩手県遠野市に埋蔵されている花崗斑岩の一種である角閃石である。前記角閃石の効果については、既に多くの特許公報に開示されていると共に、その他の文献、並びにインターネットのウエブサイトに掲載されて広く知られている。
【0012】
そして、前記角閃石の生産者である岩手県遠野市所在の株式会社古代石器が、岩手県工業技術センターに該角閃石の定量分析を依頼したころ、前記角閃石はシリカ60重量%、酸化アルミニウム17重量%、酸化第二鉄17重量%、酸化チタン0.7重量%、酸化カルシウム6.2重量%、酸化マグネシウム2.7重量%、酸化ナトリウム3.3重量%、酸化カリウム1.6重量%等を含んでいるという分析結果が得られた。
【0013】
また、前記株式会社古代石器は、前記角閃石の遠赤外線放射率の測定を長野県工業試験場に依頼したところ、生体に良好な作用を及ぼすという4〜15μmの波長範囲内の遠赤外線放射率が、90%以上であるという測定結果が得られ、本発明で採用する前記角閃石は遠赤外線放射率が高いことが立証されている。
【0014】
更に、多数のインターネットのウエブサイトにおいて、前記角閃石が低線量の放射線を放射し、ホルミシス効果を有する旨記載されているので、この事実を確認するため、前記株式会社古代石器が、茨城県つくば市所在の財団法人放射線計測協会へ、角閃石のδ線量当量率の測定を依頼したところ、δ線量当量率が0.07μSv/hという測定結果が得られた。なお、この測定数値は、バックグラウンド(角閃石のないδ線量当量率が0.06μSv/h)を含んでおり、従って、前記δ線量当量率が0.07μSv/hの数値は、生体に全く悪い影響を及ぼすような数値ではなく、生体にとって安全な極めて低線量の放射線を放射していることが確認することができた。
【0015】
本発明者は、前記角閃石が極めて低線量の放射線を放射しているという測定結果から、該角閃石が低線量の放射線を放射するのは、特開2004−121685号公報の記載、並びに多数のインターネットのウエブサイトの記載から、前記角閃石にはカリウム40が含有されており、該カリウム40から低線量の放射線が放射されていると判断した。
【0016】
なお、前記特開2004−121685号に開示された鉱物は、石英斑岩である旨記載されているが、本願発明の角閃石が属する花崗斑岩の中で、特に斑晶の少ないものが石英斑岩と云われているので、両者は同一性状を有する鉱物であると判断できる。
【0017】
前記特開2004−121685号公報中に、カリウム40は、ラジウム、ウラン、トリウムのように取扱いに危険性がある物質ではなく、低放射能で法規制のない安全な物質である旨記載されていることからも、本発明で採用する角閃石は、低線量の放射線を放射するカリウム40を含有するものの、極めて安全な放射性鉱物であることができる。
【0018】
そして、前記角閃石はカリウム40を含有して低線量の放射線を放射しているので、前記特開2004−121685号公報にも記載されているように、カリウム40を含有する角閃石から発生する放射線は、安全性に優れた低線量のδ線が長期間継続して発生して、健康に効用があるとされるホルミシス効果が期待できる。放射線ホルミシス効果では、低線量の放射線が生理的な刺激を与えて活発化させることにより、成長、健康度、免疫性、回復力が高まるとされている。
【0019】
前記ホルミシス効果とは、1978年アメリカのミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー生化学教授の著書によって発表された概念であり、生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば、逆に良い作用を示す生理刺激作用をいい、具体的には、高線量の放射線が生体に悪い影響を及ぼすだけであるのに対して、低線量の放射線は逆に生体を刺激して老化抑制、ガン抑制、免疫機能の向上、発育・成長の促進、疾病への抵抗力の増加等、生体にとって有益な効果を生ずることをホルミシス効果という。
【0020】
また、多数のインターネットのウエブサイトにおいて、本発明で採用する角閃石がマイナスイオンを発生している旨の記載がある。前記株式会社古代石器は、その事実を確認するために、東京企躍波動測定室に角閃石粉末入りのコート紙におけるマイナスイオンの発生数の測定を依頼したところ、前記コート紙から66個のマイナスイオンを発生しているという測定結果が得られた。すなわち、コート紙に角閃石粉末を分散して練り込んでも、角閃石からマイナスイオンが放出されることを確認することができた。
【0021】
更に、前記特開2004−121685号公報には、カリウム40を含有している鉱物から発生する放射線により遠赤外線が励起され、遠赤外線の熱的作用効果等の遠赤外線放射効果、およびマイナスイオン効果を高めることができると記載されている。
【0022】
また更に、前記特開2004−121685号公報には、前記カリウム40を含有した鉱物より成るセラミックスを繊維製品に加工した場合、常温での温熱効果を確認したところ、1.2℃の皮膚の温度上昇が得られた旨の記載があることから、例えば遠赤外線放射特性を有すると共に、カリウム40を含有する角閃石を練り込んだ下着等を着用した場合、人体温により、角閃石が加温されると、遠赤外線放射効果が高められ、前記角閃石は蓄熱すると共に、前記カリウム40の励起作用により自己発熱し、人体温より2〜2.5℃程度高くなるものと思われる。
【0023】
そしてまた、前記前記特開2004−121685号公報、および多数のインターネットのウエブサイトにおいて、マイナスイオンが、身体に作用して血液を浄化したり、神経の鎮静作用、血圧降下作用、気分を爽快にする等、生体に有効に作用することが知れており、更に低線量の放射線の被曝は、刺激作用等により、身体の防御機能の活性化を促す効果、すなわち、ホルミシス効果を有することが知られている旨、記載されている。
【0024】
前記のように、本発明製造方法は、従来公知のガラス製造における原材料粉末に、前記遠赤外線放射効果を有し、且つ低線量の放射線を放射してホルミシス効果を有する天然放射性鉱物である角閃石粉末を混合して、ガラス製品を製造する製造方法である。以下、その製造方法につき詳細に説明する。
【0025】
すなわち、本発明は、二酸化ケイ素、ソーダ灰、石灰石、ぼう硝等の原料に、ガラス屑(カレット)を混合した従来公知のガラス製造における原材料粉末90〜95重量%に、前記角閃石を、好ましくは50μm程度の微細に紛砕して得られた角閃石粉末5〜10重量%を混合して攪拌混合し、前記混合物を1500〜1600℃の高温で加熱すると、前記混合物は溶解・ガラス化されてガラス素地が形成される。そして、このガラス素地を、従来公知の製造方法を用いて、板ガラス、ガラス製花瓶、ガラス製置物等のガラス製品に仕上げる。
【0026】
前記角閃石には、酸化第二鉄等の不純物が含まれているので、前記配合比率でガラス製品を製造すると、全体的に茶色に着色されたようなガラス製品となり、透明なガラス製品を製造することができない。
【0027】
また、前記角閃石の配合比率を下げると茶色の薄いガラス製品が得られるが、角閃石の量が少ないため、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果が低下する。逆に、角閃石の配合比率を上げると茶色の濃いガラス製品となるが、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果が向上する。前記のように、角閃石の配合比率により、茶色の濃淡、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果に差が出てくるので、製造するガラス製品の機能および目的に応じて、前記角閃石の配合比率を決定する必要がある。
【0028】
なお、本発明製造方法によって得られたガラス製品には、ガラス原材料粉末90〜95重量%に対して、角閃石粉末が5〜10重量%と少ないため、当然その遠赤外線放射率および放射線量も当然低下し、前記特許公開公報に記載された角閃石(原石)の遠赤外線放射率に比べて、相当低下すると思われる。しかしながら、仮に50%程度低下したとしても、当然遠赤外線は放射されると共に、微量放射線も放射されるので、角閃石が全く含有されていない普通のガラス製品に比べて、その遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を人体に及ぼすことができる。
【0029】
更に、ガラス製品中の角閃石が含有するカリウム40の励起作用により、遠赤外線が励起されて遠赤外線効果が高められ、前記ガラス製品中の角閃石が室内暖房、または浴室や洗面所の湯気により加温されて自己発熱して、該角閃石の加温時よりある程度高い温度を維持して放熱することにより、前記室内暖房、または浴室や洗面所の湯気によりガラス窓、浴室や洗面所の鏡等が曇るのを防止することができる。
【0030】
なお、本発明製造方法によって得られたガラス製品は、道路に設置されるカーブミラーにも使用できる。そして、本発明製造方法によって得られたガラス製品は、遠赤外線放射効果の外、ホルミシス効果をも有するが、カーブミラーとして使用する場合は、ホルミシス効果は無視して、遠赤外線放射効果のみを利用することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ケイ素、ソーダ灰、石灰石、ぼう硝等の原料に、ガラス屑を混合したガラス製造における原材料粉末90〜95重量%に、遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有する角閃石粉末5〜10重量%を混合して攪拌し、前記混合物を1500〜1600℃の高温で加熱して、前記混合物を溶解・ガラス化させてガラス素地を形成し、然る後、該ガラス素地を用いてガラス製品に仕上げることを特徴とする遠赤外線放射効果およびホルミシス効果を有するガラス製品の製造方法。

【公開番号】特開2010−260774(P2010−260774A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114469(P2009−114469)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(591173729)株式会社カナック企画 (12)
【Fターム(参考)】