説明

遠隔会議システム

【課題】会議参加者が携帯するユーザ端末を用いての遠隔会議における情報共有の利便性を向上させた遠隔会議システムを提供する。
【解決手段】この遠隔会議システムは、会議接続装置12、22を含む拠点システム10、20にネットワーク3を介して会議サーバ1、資料管理サーバ2が接続され、サーバ2が拠点10、20毎にユーザ端末16〜17、26〜27を利用するためのコンテンツを格納し、拠点10、20へコンテンツを送信する。会議接続装置12、22により得られたユーザ端末16〜17、26〜27の個人識別情報、ユーザ間で共有する資料を識別する資料ID、及び会議接続装置識別情報に基づいて、サーバ1が資料IDをサーバ2に送信し、個人識別情報と装置識別情報とを対応付けて会議を識別する会議セッション単位で管理する。サーバ2は、資料IDに対応するコンテンツをサーバ1から受信された個人識別情報宛てに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムを利用して複数の拠点間を接続し、遠隔での協業作業を実現する遠隔会議システムに係り、詳しくは会議参加者が携帯するユーザ端末を用いての遠隔会議における情報共有の利便性を向上させた遠隔会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遠隔会議システムとしては、例えば電子黒板に会議資料を表示すると共に、電子黒板に書き込まれたメモを会議資料に所定のタイミングで上書きして履歴データを記録し、記録した履歴データを共有ワークスペース・サーバに会議リソースとして保存するようにし、電子黒板に書き込まれたメモを会議資料に所定のタイミングで上書きして履歴データを記録することで電子黒板の保存操作を行う必要をなくし、利用者の利便性をさらに高めるようにした「遠隔会議システム」(特許文献1参照)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−5589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に係る技術は、電子黒板に書き込まれた会議のメモを履歴データとして自動的に保存することで利用者の利便性を高めるものであるが、昨今の携帯可能なユーザ端末を会議の参加者の殆どが携帯しているにも関わらず、こうしたユーザ端末が有効に活用(適用)されておらず、電子黒板が設置された場所以外での遠隔会議の参加者への利便性が充分に図られていないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、会議参加者が携帯するユーザ端末を用いての遠隔会議における情報共有の利便性を向上させた遠隔会議システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の第1の手段は、複数の会議拠点に設備されたコンピュータ機能の会議接続装置を含む拠点システムに対してネットワークを介して会議サーバと資料管理サーバとが接続され、資料管理サーバが複数の拠点システム毎に複数のユーザ端末を利用するためのコンテンツを格納すると共に、ネットワークを介して複数の拠点システムへコンテンツを送信可能な遠隔会議システムであって、複数の拠点システムにおける会議接続装置は、複数のユーザ端末の通信接続されるものから受信した個人識別情報、ユーザ間で共有する資料を識別する資料ID、及び当該会議接続装置を識別する会議接続装置識別情報を会議サーバに送信する第1の通信部を有し、会議サーバは、複数の会議接続装置から資料ID、個人識別情報、及び会議接続装置識別情報を受信し、資料IDを資料管理サーバに送信する第2の通信部と、個人識別情報と会議接続装置識別情報とを対応付けて会議を識別する会議セッション単位で会議管理テーブルとして格納する第1の記憶部と、を有し、資料管理サーバは、資料を資料IDと対応付けて格納する第2の記憶部と、会議サーバから送信された資料IDに対応するコンテンツを第2の記憶部から読み出す制御部と、読み出されたコンテンツを会議サーバから受信された個人識別情報に宛てて送信する第3の通信部と、を有することを特徴とする。
【0007】
第2の手段に係る遠隔会議システムは、第1の手段において、個人識別情報は、個人IDと複数のユーザ端末についてのユーザ端末IPアドレスとから構成され、会議接続装置識別情報は、会議セッションIDと複数の会議接続装置についての会議接続装置ID及び会議接続装置IPアドレスとから構成され、資料会議サーバは、読み出されたコンテンツを個人識別情報に宛てて送信する際、複数の会議接続装置のうちの該当する装置を経由して会議セッションIDと個人IDとの組み合わせに基づいて送信すべきユーザ端末IPアドレスを検索することを特徴とする。
【0008】
第3の手段に係る遠隔会議システムは、第1の手段又は第2の手段において、複数の拠点システムにおける会議接続装置は、複数のユーザ端末における特定ユーザ端末を特権ユーザ端末として区別し、資料管理サーバは、特権ユーザ端末以外の一般ユーザ端末に対してコンテンツの表示位置を切り替える機能を備え、特権ユーザ端末は、資料管理サーバに対してコンテンツの表示位置の変更を指示し、資料管理サーバは、特権ユーザ端末による指示に従ってコンテンツの表示位置情報を一般ユーザ端末に対して送信し、一般ユーザ端末は、表示位置情報に従ってコンテンツの表示位置を変更することを特徴とする。
【0009】
第4の手段に係る遠隔会議システムは、第3の手段において、資料管理サーバが備える資料管理テーブルは、複数のユーザ端末についてのコンテンツを更新するためのコンテンツ更新フラグを有し、複数のユーザ端末は、所定の周期で資料管理サーバと通信することによりコンテンツ更新フラグを定期的に監視すると共に、コンテンツに対応する特権ユーザ端末上でコンテンツの内容の更新があればコンテンツ更新フラグを有効にし、一般ユーザ端末でコンテンツの変更内容を反映させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遠隔会議システムによれば、会議の参加者各自がユーザ端末を持つ場合でも、ユーザが特別な事前設定をすることなく、簡便に資料を同じ会議に参加している参加者に対して共有することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る遠隔会議システムの全体的構成を示した概略ブロック図である。
【図2】図1に示す遠隔会議システムに備えられる会議サーバの細部構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示す遠隔会議システムに備えられる資料管理サーバの細部構成を示したブロック図である。
【図4】図1に示す遠隔会議システムに備えられる拠点システム内の会議接続装置の細部構成を示したブロック図である。
【図5】図1に示す遠隔会議システムに備えられる拠点システム内のユーザ端末の細部構成を示したブロック図である。
【図6】図1に示す遠隔会議システムに備えられる拠点システム内の会議接続装置が備える個人ID管理テーブルのファイル構成を例示した図であり、(a)は第1の拠点システムが備える個人ID管理テーブルのファイル構成に関する図、(b)は第2の拠点システムが備える個人ID管理テーブルのファイル構成に関する図である。
【図7】図1に示す遠隔会議システムに備えられる会議サーバが備える会議管理テーブルのファイル構成を例示した図である。
【図8】図1に示す遠隔会議システムに備えられる資料管理サーバが備える資料管理テーブルのファイル構成を例示した図である。
【図9】図1に示す遠隔会議システムの各部における映像を用いた遠隔会議を開始するときの接続開始シーケンスを例示した図である。
【図10】図1に示す遠隔会議システムの各部における資料を共有する場合の資料準備、資料表示の表示位置変更、及び資料更新の機能に係る資料共有開始シーケンスを例示した図である。
【図11】図1に示す遠隔会議システムに備えられる拠点システム内の各部におけるローカル資料を共有しての映像符号化、画面合成の機能に係るローカル資料共有開始シーケンスを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の遠隔会議システムについて、具体的な実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る遠隔会議システムの全体的構成を示した概略ブロック図である。この遠隔会議システムは、会議の参加者各自が携帯するユーザ端末16、17、26、27を用いて簡便に資料共有を行う機能を持たせたもので、基本構成上では、複数(ここでは説明を簡単にするため2箇所とする)の会議拠点に設備されたコンピュータ機能の会議接続装置12、22を含む拠点システム10、20に対してネットワーク3を介してコンピュータ機能の会議サーバ1と資料管理サーバ2とが接続されて構成され、資料管理サーバ2が各拠点システム10、20毎にユーザ端末16、17とユーザ端末26、27とを利用するためのコンテンツを格納すると共に、ネットワーク3を介して各拠点システム10、20へコンテンツを送信可能となっている。
【0014】
このうち、会議サーバ1は、遠隔会議の管理を行うサーバであり、各会議接続装置12、22との通信を行い、同時に遠隔地での会議を実現させるものである。後文で詳述するように、各会議接続装置12、22は、ユーザ端末16、17とユーザ端末26、27との通信接続されるものから受信した個人識別情報、ユーザ間で共有する資料を識別する資料ID、及び会議接続装置12、22を識別する会議接続装置識別情報を会議サーバ1に送信する第1の通信部を有する。因みに、ここでの個人識別情報は、個人IDと各ユーザ端末16、17、26、27についてのユーザ端末IPアドレスとから構成される。会議接続装置識別情報は、会議セッションIDと各会議接続装置12、22についての会議接続装置ID及び会議接続装置IPアドレスとから構成される。
【0015】
また、会議サーバ1は、各会議接続装置12、22から資料ID、個人識別情報、及び会議接続装置識別情報を受信し、資料IDを資料管理サーバ2に送信する第2の通信部と、個人識別情報と会議接続装置識別情報とを対応付けて会議を識別する会議セッション単位で会議管理テーブルとして格納する第1の記憶部と、を有する。
【0016】
資料管理サーバ2は、電子化された資料を管理するサーバであり、パソコンやタブレットのような端末から資料を閲覧、編集、共有することができる機能を備えている。この資料管理サーバ2は、後文で詳述するように、資料を資料IDと対応付けて格納する第2の記憶部と、会議サーバ1から送信された資料IDに対応するコンテンツを第2の記憶部から読み出す制御部と、読み出されたコンテンツを会議サーバ1から受信された個人識別情報に宛てて送信する第3の通信部と、を有する。具体的には、読み出されたコンテンツを個人識別情報に宛てて送信する際、各会議接続装置12、22のうちの該当する装置を経由して会議セッションIDと個人IDとの組み合わせに基づいて送信すべきユーザ端末IPアドレスを検索する機能を持つ。
【0017】
ネットワーク3は、インターネットのような汎用的な接続回線である。各拠点システム10、20は、それぞれが遠隔会議を行う拠点であり、外部とはネットワーク3で接続されて異なる場所に設置されている。拠点システム10、20における無線ルータ11、21は、無線LANの親機になる機能を備えたルータであり、それぞれネットワーク3と接続され、ファイアーウォール機能や外部からのアクセスを可能にする機能を備えている。拠点システム10は、子機として、会議接続装置12とユーザ端末16、17とを有しており、無線ルータ11がそれぞれのネットワーク3への通信と、子機間の通信を仲介する。拠点システム20についても同様に、子機として、会議接続装置22とユーザ端末26、27とを有しており、無線ルータ21がそれぞれのネットワーク3への通信と、子機間の通信を仲介する。
【0018】
外部からのアクセスを可能にする方法としては、ポートフォワードを用いてネットワーク3からの各子機への通信を可能にする場合を挙げられるが、ポートフォワード以外の機能を用いて実現してもよい。
【0019】
各拠点システム10、20における会議接続装置12、22は、会議に接続するための装置であり、これに接続されたモニタ13、23は会議接続装置12、22からの映像信号を画面に表示する表示装置である。同様に、会議接続装置12、22に接続されたマイク・スピーカ14、24は、会議接続装置12、22へ対してマイクで収集した音声を入力すると共に、会議接続装置12、22から出力された音声信号を音声にして出力する音声入出力装置であり、マイクからの入力音声信号と会議接続装置12、22から受けた出力音声信号との情報を利用してエコーをキャンセルする機能を備えている。同様に、会議接続装置12、22に接続されたカメラ15、25は、会議場の映像を撮影して映像信号に変換して会議接続装置12、22へ送る撮像装置である。映像信号はモニタ13、23上の表示画面上に画像情報として表示される。
【0020】
各拠点システム10、20におけるユーザ端末16、26は、会議の参加者が所有している端末であり、その表示画面上に表示された内容を見ながらタッチパネルで操作して、資料の閲覧やドキュメントの編集等の様々な処理を行うことができる。因みに、各拠点システム10、20における会議接続装置12、22は、それらの制御画面を表示して操作することで操作用端末としても利用できる。また、各拠点システム10、20におけるユーザ端末17、27は、ユーザ端末16、26と同等な機能を備えており、ユーザ端末16、26の所持者とはそれぞれ別の所持者が所有している端末である。
【0021】
図2は、この遠隔会議システムに備えられる会議サーバ1の細部構成を示したブロック図である。この会議サーバ1は、通信バス105を介してストレージ部102、映像合成部104、上述した第2の通信部に対応する通信部103、メモリ101、及び制御部100の各部が接続され、制御部100が所定のプログラムに従って通信バス105を介して装置内のその他の各部の動作を制御して処理を実施する。
【0022】
各部構成のうち、メモリ101は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の高速にアクセス可能な一時記録媒体が実装されており、制御部100、映像合成部104、及び通信部103での処理に必要なバッファとして使用される。
【0023】
ストレージ部102は、制御部100の処理に必要なデータや、会議に関する各種のデータベースが保存されている。比較的、小規模な場合はHDD(Hard Disk drive)として実装すれば良いが、大規模な場合にはストレージ専用サーバと接続することで多くのデータを扱うことが可能である。
【0024】
通信部103は、ネットワーク3との間で通信を行い、受信したデータをメモリ101に蓄える機能と、メモリ101に用意された送信用データをネットワーク3へ送出する機能と、を備えている。通信はIP(Internet Protocol)等のプロトコルを用いて行う。
【0025】
映像合成部104は、メモリ101上のバッファに蓄積された複数の映像と音声のストリームとを合成して一つのストリームに変換するものである。また、その際に異なる圧縮フォーマットの相互変換も行うことが可能である。
【0026】
通信バス105は、各部間の制御やデータ通信を行い、メモリバスと制御用バスとにより多重経路での通信を行うことが可能なものである。アクセス速度が求められる場合には、高速なバスと低速なバスとを分けて構成することも可能である。
【0027】
図3は、この遠隔会議システムに備えられる資料管理サーバ2の細部構成を示したブロック図である。この資料管理サーバ2は、通信バス204を介してストレージ部202、上述した第3の通信部に対応する通信部203、メモリ201、及び制御部200の各部が接続され、制御部200が所定のプログラムに従って通信バス204を介して装置内のその他の各部の動作を制御して処理を実施する。
【0028】
各部構成のうち、メモリ201は、DRAM等の高速にアクセス可能な一時記録媒体が実装されており、制御部200、通信部203の処理に必要なバッファとして使用される。
【0029】
ストレージ部202は、制御部200の処理に必要なデータや、各種資料のデータ、資料に関する各種のデータベースが保存されている。比較的、小規模な場合はHDDとして実装されれば良いが、大規模な場合にはストレージ専用サーバと接続することで多くのデータを扱うことが可能である。
【0030】
通信部203は、ネットワーク3との間で通信を行い、受信したデータをメモリ201に蓄える機能と、メモリ201に用意された送信用データをネットワーク3へ送出する機能と、を備えている。通信はIP等のプロトコルを用いて行う。
【0031】
通信バス204は、各部間の制御やデータの通信を行い、メモリバスと制御用バスとにより多重経路での通信を行うことが可能なものである。アクセス速度が求められる場合には、高速なバスと低速なバスとを分けて構成することも可能である。
【0032】
図4は、この遠隔会議システムに備えられる拠点システム10内の会議接続装置12の細部構成を示したブロック図である。この会議接続装置12は、通信バス309を介してストレージ部302、画面合成部303、映像出力部305、映像入力部306、音声入力部307、音声出力部308、メモリ301、制御部300、及び上述した第1の通信部に対応する通信部304の各部が接続され、制御部300が所定のプログラムに従って通信バス309を介して装置内のその他の各部の動作を制御して処理を実施する。
【0033】
各部構成のうち、メモリ301は、DRAM等の高速にアクセス可能な一時記録媒体が実装されており、制御部300を含む各部の処理に必要なバッファとして使用される。
【0034】
ストレージ部302は、制御部300の処理に必要なデータや、管理に必要なテーブル等が保存されており、HDDやフラッシュメモリを実装して構成される。
【0035】
画面合成部303は、メモリ301上のバッファに蓄積された複数の映像と音声のストリーム又は静止画を合成して一つのストリームに変換するものである。変換の際に異なる圧縮フォーマットの相互変換も行うことも可能である。
【0036】
通信部304は、無線ルータ11との間で無線通信を行い、受信したデータをメモリ301に蓄える機能と、メモリ301に用意された送信用データを無線ルータ11へ送出する機能と、を備えている。通信はIP等のプロトコルを用いて行う。
【0037】
映像出力部305は、メモリ301上にフレームバッファとして蓄えられた映像をモニタ13へ出力すると共に、モニタ13が対応するフォーマットに合わせて信号を変換する機能を備えている。
【0038】
映像入力部306は、カメラ15からの映像信号を受信し、メモリ301上のバッファに蓄積すると共に、アナログ/デジタル変換機能を備え、カメラ15がアナログカメラであって、アナログ映像信号が入力された場合にも対応可能となっている。
【0039】
音声入力部307は、マイク・スピーカ14から音声信号を受信し、メモリ301上のバッファに蓄積すると共に、アナログ/デジタル変換機能を備え、アナログ音声信号が入力された場合にも対応となっている。
【0040】
音声出力部308は、マイク・スピーカ15へ音声信号を出力する。
【0041】
通信バス309は、各部間の制御やデータの通信を行うもので、メモリバスと制御用バスとにより多重経路での通信を行うことが可能なものである。アクセス速度が求められる場合には、高速なバスと低速なバスとを分けて構成することも可能である。
【0042】
因みに、拠点システム20内の会議接続装置22についても、同様な機能構成となっている。
【0043】
図5は、この遠隔会議システムに備えられる拠点システム10内のユーザ端末16の細部構成を示したブロック図である。このユーザ端末16は、通信バス406を介してストレージ部402、表示部403、タッチ入力部404、メモリ201、制御部400、及び通信部405の各部が接続され、制御部400が所定のプログラムに従って通信バス406を介して装置内のその他の各部の動作を制御して処理を実施する。
【0044】
各部構成のうち、メモリ401は、DRAM等の高速にアクセス可能な一時記録媒体が実装されており、制御部400を含む各部の処理に必要なバッファとして使用される。
【0045】
ストレージ部402は、制御部400の処理に必要なデータや、各種ユーザ固有のデータ、ユーザが手元に蓄積している資料等が保存されている。このユーザ端末16は持ち運び可能なので、フラッシュメモリ等の軽量な記録媒体を実装して構成されることが好ましい。
【0046】
表示部403は、表示画面として液晶パネルを備えており、それを制御することで画面表示を行う。具体的には、メモリ401上のフレームバッファを画面として液晶パネル上に表示する。
【0047】
タッチ入力部404は、液晶パネル上に展開された接触検知センサを備えており、その入力信号を解析、補正することにより、表示画面上のどの位置がタッチされたかを検出する。
【0048】
通信部405は、無線ルータ11との間で無線通信を行い、受信したデータをメモリ401に蓄える機能と、メモリ401に用意された送信用データを無線ルータ11へ送出する機能と、を備えている。通信はIP等のプロトコルを用いて行う。
【0049】
通信バス406は、各部間の制御やデータの通信を行うもので、メモリバスと制御用バスとによる多重経路での通信を行うことが可能である。アクセス速度が求められる場合には、高速なバスと低速なバスとを分けて構成することも可能である。
【0050】
因みに、その他のユーザ端末17や拠点システム20内のユーザ端末26、27についても、同様な機能構成となっている。
【0051】
図6は、この遠隔会議システムに備えられる拠点システム10、20内の会議接続装置12、22が備える個人ID管理テーブルのファイル構成を例示した図であり、同図(a)は第1の拠点システム10が備える個人ID管理テーブル30のファイル構成に関する図、同図(b)は第2の拠点システム20が備える個人ID管理テーブル31のファイル構成に関する図である。
【0052】
図6(a)を参照すれば、個人ID管理テーブル30は、会議接続装置12がストレージ部302内に備えるテーブルであり、項目要素として、個人ID、ユーザ端末IPアドレス、属性、会議セッションIDを持っている。
【0053】
ここでの個人IDとは、ユーザ端末16、17が持っている識別のためのIDであり、ユーザ端末16、17を使用している人物固有のIDである。例えば社員番号等を例示できる。図6(a)に示す例では、ユーザ端末16の個人IDが1000に対応し、またユーザ端末17の個人IDが1001に対応している。
【0054】
ユーザ端末IPアドレスは、ユーザ端末16、17が持つIPアドレスである。属性は、対応する個人IDを持つユーザ端末16、17から外部の装置への操作の権限を表している。この権限によって、可能な操作が変わってくる。ここでのユーザ端末16は特権ユーザであり、ユーザ端末17は一般ユーザであるが、属性の詳細については後文で説明する。会議セッションIDは、対応する個人IDの人物が参加している会議のIDを示している。
【0055】
図6(b)を参照すれば、個人ID管理テーブル31は、会議接続装置22が備えるテーブルである。項目要素の意味については、上述した個人ID管理テーブル30の場合と同様である。
【0056】
図6(b)に示す例では、ユーザ端末26の個人IDが1002に対応し、ユーザ端末27の個人IDが1003に対応している。ここでのユーザ端末26、27は何れも一般ユーザであるが、属性の詳細については後文で説明する。
【0057】
図7は、この遠隔会議システムに備えられる会議サーバ1が備える会議管理テーブル40のファイル構成を例示した図である。この会議管理テーブル40は、会議サーバ1がストレージ部102内に備えるテーブルであり、項目要素として、会議セッションID、会議接続装置ID、会議接続装置IPアドレス、個人IDを持っている。
【0058】
会議セッションIDは、上述した個人ID管理テーブル30、31が備えるものと対応しており、同様の意味である。会議接続装置IDは、会議サーバ1が管理している各会議接続装置12、22を一意に識別するためのIDである。実施例1では、会議接続装置IDが100は会議接続装置12に対応し、会議接続装置IDが200は会議接続装置22に対応している。会議接続装置IPアドレスは、各会議接続装置12、22が持つIPアドレスを表している。個人IDは、上述した個人ID管理テーブル30、31が備えるものと対応しており、同様の意味である。
【0059】
図8は、この遠隔会議システムに備えられる資料管理サーバ2が備える資料管理テーブル50のファイル構成を例示した図である。この資料管理テーブル50は、資料管理サーバ2のストレージ部202内に備えるテーブルであり、項目要素として、資料ID、会議接続装置ID、会議接続装置IPアドレス、共有可能会議セッションID、個別許可個人ID、コンテンツ更新フラグを持っている。
【0060】
資料IDは、ストレージ部202に蓄えられている資料データを一意に識別するIDである。会議接続装置ID及び会議接続装置IPアドレスは、会議サーバ1が備えるものと対応しており、同様の意味である。共有可能会議セッションIDは、対応する資料IDを持つ資料を、どの会議セッションIDの会議の参加者と共有しても良いか示すものである。ここでは、会議セッションIDが指定されていれば、指定の会議の参加者と対応する資料を共有しても良いことを示し、何も指定されていなければ、その資料は会議では共有されないことを示す。個別許可個人IDは、対応する資料を共有しても良い人物の個人IDを表す。ここに示されたIDの人物からのリクエストがあった場合に、対応する資料を公開しても良いことを表す。コンテンツ更新フラグは、対応するコンテンツの内容に更新があることを示すフラグである。更新がある場合は1を示し、更新が無い場合は0を示す。
【0061】
図9は、この遠隔会議システムの各部における映像を用いた遠隔会議を開始するときの接続開始シーケンスを例示した図である。
【0062】
この接続開始シーケンスは、拠点システム10と拠点システム20との2拠点間での遠隔会議を開始する場合を示しており、各拠点にはユーザ端末16、17とユーザ端末26、27との所有者であり、それぞれ2名ずつの会議参加者がおり、会議参加者は個人用のユーザ端末16、17、26、27を用いて遠隔会議を行う場合の手順を例示している。
【0063】
具体的に云えば、この接続開始シーケンスでは、ユーザ端末16を持った参加者が起点となって会議を開始する場合を示しているが、まず会議を始める前に拠点システム10における会議接続装置12の制御のために、ユーザ端末16から会議接続装置12を探索(ステップS101)する操作を行う。このときのユーザ端末16の操作は、タッチパネルを用いて行うもので、具体的には図5に示したタッチ入力部404でタッチ入力を検出し、制御部400が実行しているプログラムへの入力とすることでタッチ操作が実現する。ユーザはユーザ端末16上の表示部403で表示されたユーザインタフェースに従い、探索操作を実行する。探索操作が実行されると、通信部405から同じローカルネットワーク上の端末に対して応答を求めるブロードキャストパケットを送信して装置を探索(ステップS102)する。
【0064】
会議接続装置12は、ブロードキャストパケットを図4に示した通信部304経由で受信すると、制御部300がパケットの内容を解析し、装置を探索するパケットであることを検知して応答準備(ステップS103)となる。そして、制御部300は、会議接続装置12のIPアドレスと、装置の名称、認証の要否を内包した応答メッセージをブロードキャストパケットの送信元であるユーザ端末16に対し、通信部304経由して送信することで応答(ステップS104)する。但し、ここでの認証の要否は予め設定されてあるものとする。
【0065】
ユーザ端末16は、応答のメッセージを受信すると、制御部400が表示部403を制御して応答に含まれる装置の名称を接続先の候補として表示するため、会議参加者は表示された接続先の候補をタッチで選択することでログイン(ステップS105)して、ユーザ端末16の個人IDと、ユーザ端末16についてのユーザ端末IPアドレス及び属性とを含むログイン要望を会議接続装置12へ通知(ステップS106)する。但し、ここでの属性の内容は予めユーザ端末16の所持者が設定しておくものとする。具体的な内容としては、特権ユーザと一般ユーザとがある。因みに、認証の要否に応じて、制御部400は、ログイン要望の内容に暗号化を施すこともでき、またパスワード認証が必要であれば、それに必要な相互通信も係るログイン要望を通知(ステップS106)する処理で行う。
【0066】
会議接続装置12は、ログイン要望を通信部304経由で受け取ると、制御部300がストレージ部302を制御し、そこに記録されている個人ID管理テーブル30に接続されたユーザ端末16の個人IDと、ユーザ端末16についてのユーザ端末IPアドレス及び属性とを要素として持つレコードを追加して登録(ステップS107)を行う。具体例は、個人IDが1000、ユーザ端末IPアドレスが192.168.1.1、属性が特権ユーザ、会議セッションIDがこの時点では空白である場合を例示できる。
【0067】
個人ID管理テーブル30の更新が完了すると完了の応答通知を通信部304経由でユーザ端末16へ送って完了通知(ステップS108)を行う。
【0068】
尚、図9中の接続開始シーケンスには記載していないが、同様にしてユーザ端末17からの登録から完了通知に至る処理も行われる。この結果の具体例は、個人IDが1001、ユーザ端末IPアドレスが192.168.1.2、属性が一般ユーザ、会議セッションIDがこの時点では空白であるレコードを個人ID管理テーブル30に追加する場合を例示できる。
【0069】
レコードの登録が完了すると、制御部300は、個人ID管理テーブル30を参照し、通信部304を制御して、ログインがあったことをネットワーク3を介して会議サーバ1へ通知(ステップ109)する。通知する情報は、会議接続装置IDと、会議接続装置IPアドレス、及び個人IDである。但し、会議接続装置ID及び会議接続装置IPアドレスは予め会議接続装置12が保有しているものとする。
【0070】
会議サーバ1の制御部100は、通信部103経由で受信したログインに関する情報を参照し、会議管理テーブル40にレコードを追加する。追加する情報は、会議接続装置ID、会議接続装置IPアドレス、及び個人IDである。追加時は、会議セッションIDは空白である。
【0071】
会議接続装置12からの登録では、会議接続装置IDは100、会議接続装置IPアドレスは、11.22.33.44、個人IDは1000と1001の2つを含むレコードが登録される。
【0072】
会議接続装置12の動作と同様に、拠点システム20における会議接続装置22からの登録も行われる。会議接続装置22からの登録では、会議接続装置IDが200、会議接続装置IPアドレスが55.66.77.88、個人IDが1002、1003の2つを含むレコードが登録される場合を例示できる。
【0073】
次に、会議サーバ1は、会議管理テーブル40の状態が更新されると、制御部100が判断して接続可能な会議接続装置のIDを各会議接続装置12、22へネットワーク3を介して通知することにより、状態を通知(ステップS111)する処理を行う。
【0074】
ここでは例えば会議接続装置12が状態通知を受け取ると、個人ID管理テーブル30を参照してユーザ端末16へ状態を通知(ステップS112)する。通知された内容には、接続可能な会議接続装置12のIDが示されている。設定によっては、ユーザ端末16が会議接続装置12へ問い合わせを行うようにしても良い。
【0075】
以上により、遠隔会議開始前の手順が済むことになるため、引き続いてユーザ端末16を持った参加者が遠隔会議の開始に移行する。
【0076】
この場合、まず参加者がユーザ端末16を操作して接続可能な会議接続装置12から実際に遠隔会議を開始する装置をタッチパネルで選択して会議開始(ステップS113)とする。因みに、ここでは拠点システム20における会議接続装置22で実際に会議を行うものとする。
【0077】
そこで、ユーザ端末16では、制御部400が選択した会議接続装置22のID(即ち、200)をパラメータにしたメッセージを生成し、会議接続装置12へ送信して会議の開始依頼(ステップS114)を行う。
【0078】
会議接続装置12では、通信部304を介して受け取ったメッセージに自身のID(即ち、100)を加えて会議サーバ1に対して会議の開始依頼(ステップS115)を送信する。
【0079】
会議サーバ1の制御部100では、通信部103を介して受け取ったメッセージを解析すると共に、会議管理テーブル40を参照して会議に参加する接続装置を決定する。決定の方法としては、会議の開始依頼をした接続装置のID、参加対象に指定された接続装置のID、並びに会議管理テーブル40を参照し、対応する会議接続装置IDを持つレコードに対して会議管理テーブル40内で一意に定まるID(会議セッションID)を付与してレコードに記入する。ここでは、会議接続装置IDが100、200のものに対して会議セッションIDとして1を設定する。また、合わせて会議開始に必要な映像合成部104の初期化等も行って会議開始(ステップS116)を行う。
【0080】
会議の準備が完了すると、会議サーバ1は、会議開始を示すメッセージを会議接続装置22へ送信して会議の開始(ステップS117)を設定する。会議開始を示すメッセージには、会議セッションIDが含まれており、それを受け取った会議接続装置22は個人ID管理テーブル31に登録されている各個人IDに対応する会議セッションIDに受け取ったIDを設定する。また、合わせて動画の送信準備を開始する。
【0081】
会議接続装置22では、会議の開始(ステップS117)に合わせ、会議開始の依頼に対する応答メッセージを会議接続装置12へ送信して開始依頼応答(ステップS118)を行う。応答メッセージには、会議セッションIDが含まれており、それを受け取った会議接続装置12は、個人ID管理テーブル30に登録されている各個人IDに対応する会議セッションIDに受け取ったIDを設定する。また、合わせて動画の送信準備を開始する。この送信準備のために、会議接続装置12の制御部300は、映像出力部305、映像入力部306、音声入力部207、及び音声出力部308の動作に必要な初期化処理を行う。
【0082】
そして、送信準備ができると、映像データと音声データとを入力し、制御部300は、メモリ301上に展開されたデータの圧縮処理や、ストリーム化処理、暗号化処理を行い、通信部304を介して会議サーバ1に対して動画ストリーム(ステップS119)を送信する。
【0083】
同様にして、遠隔会議装置22からも会議サーバ1に対して動画ストリーム(ステップS120)を送信する。
【0084】
そこで、会議サーバ1は、映像ストリームを図2に示した通信部103で受けるとメモリ101へ蓄積し、映像合成部104が受け取った2つの動画ストリームを合成して一つの画面の動画ストリームへ変換することにより、映像合成(ステップS121)を行う。
【0085】
更に、会議サーバ1は、会議接続装置12、22に対して合成された動画ストリーム(ステップS122)を送信する。ここでの動画ストリームは会議が終了するまで、継続的に送信される。
【0086】
会議接続装置12を例にすれば、通信部304を介してメモリ301へバッファリングされた動画ストリームは、制御部300が処理して映像データと音声データとにデコードし、デコードされたそれぞれのデータを映像出力部305、音声出力部308から出力することで遠隔会議を開始することができる。
【0087】
図10は、この遠隔会議システムの各部における資料を共有する場合の資料準備、資料表示の表示位置変更、及び資料更新の機能に係る資料共有開始シーケンスを例示した図である。
【0088】
図10では、図9で説明した遠隔会議の開始に伴い、資料を共有するための手順について説明したものであり、既に遠隔会議が開始している状態でユーザ端末16がその他のユーザ端末に対して資料共有を開始する場合の手順を示している。
【0089】
但し、ここでは各ユーザ端末16、17、26、27が遠隔会議開始時点で、資料管理サーバ2からの制御メッセージを受け取れるような通信を確立していることを前提とする。例えば資料管理サーバ2のアドレスを各ユーザ端末16、17、26、27が予め知っていれば、通信確立が可能になる。この通信確立時には会議セッションIDも合わせて通信することで、その通信がどの遠隔会議セッションに属しているかを識別することができる。
【0090】
具体的に云えば、この資料共有開始シーケンスでは、まずユーザ端末16上で画面を操作して資料共有を開始するためのボタンを入力して共有開始(ステップS201)を行う。但し、この時点でユーザ端末16は資料管理サーバ2へアクセスして共有したい資料のIDを入手しているものとする。
【0091】
次に、ユーザ端末16の個人IDと共有を希望する資料IDを含めたメッセージとを会議接続装置12へ送信して共有を希望(ステップS202)する処理を行う。
【0092】
会議接続装置12は、メッセージを受信すると、制御部300が個人ID管理テーブル30の属性を参照し、共有を希望してきた個人IDが特権ユーザであるか否かを判定(ステップS203)する。仮に、共有を希望してきた個人IDが一般ユーザであった場合には、資料共有不可であるので、エラーのメッセージをユーザ端末16に応答する。図6(a)に示した個人ID管理テーブル30のように個人IDが1000である場合、属性が特権ユーザであるため、資料共有可能と判断する。
【0093】
ここでは、資料共有可能な場合を説明しているので、会議接続装置12は、会議サーバ1に対して共有開始(ステップS204)を伝えるメッセージを送信する。このメッセージには、会議接続装置IDと共有を希望(ステップS202)する処理で受信した資料IDとが含まれている。
【0094】
そこで、会議サーバ1の制御部100は、会議管理テーブル40を参照し、送られてきた会議接続装置IDが含まれる会議セッションIDを検索する。見つかった会議セッションIDに対応する会議接続装置22に対して共有を開始するように、資料管理サーバ2に対して共有開始(ステップS205)のメッセージを送信する。メッセージには資料ID、会議セッションID、会議接続装置ID、及び会議接続装置IPアドレスが含まれる。
【0095】
メッセージを受け取った資料管理サーバ2の図3に示した制御部200は、資料管理テーブル50を参照し、受け取った資料IDに対応する会議接続装置ID、会議接続装置IPアドレス、及び会議セッションIDを共有可能会議セッションIDへ登録し、コンテンツ更新フラグを0にセットして資料準備(ステップS206)とする。
【0096】
そして、資料管理サーバ2の制御部200は、遠隔会議開始時点に確立した通信を用いて、資料IDに対応する会議セッションIDを持つユーザ端末26に対して資料IDを用いて資料配信指示(ステップS207)を行う。この資料配信指示(ステップS207)は、同じ会議に参加するその他のユーザ端末17、27でも同様に行われるが、以後はユーザ端末26を代表例として説明する。
【0097】
資料配信指示を受けたユーザ端末26は、指示された資料IDについて資料管理サーバ2に対して資料取得(ステップS208)を行い、資料を取得すると画面に資料表示(ステップS209)する。
【0098】
以上は、共有する資料の表示位置を変えない動作について説明したが、資料の表示位置を変えるようにすることも可能である。
【0099】
こうした場合、例えば資料配信者であるユーザ端末16上でページめくり(ステップS210)の操作を行うと、ユーザ端末16はページめくりによって変更された表示位置の情報を資料IDと共に資料管理サーバ2に対して通知して表示位置指示(ステップS211)を行う。
【0100】
資料管理サーバ2は、資料IDに対応する会議セッションIDに関連するユーザ端末26に対して表示位置指示(ステップS212)を行う。
【0101】
そして、表示位置指示(ステップS212)の通知を受け取ったユーザ端末26は、指示された表示位置に合わせて資料表示(ステップS213)を行う。因みに、ここではユーザ端末17、27についても同様な処理が行われる。
【0102】
また、共有する資料の更新を行うことも可能であり、こうした場合には、例えば資料配信者であるユーザ端末16上で資料の内容を更新する操作を行って資料更新(ステップS214)すると、更新したデータを資料管理サーバ2へ送信する更新データ送信(ステップS215)が行われる。このときの更新データの送信方法としては、資料全体を送信しても良いし、差分のみを送信しても良い。
【0103】
そこで、資料管理サーバ2は、更新データを受信すると、コンテンツ更新フラグを1にセットする。ユーザ端末26は資料表示(ステップS209)の開始以後、定期的に資料会議サーバ2に対してコンテンツ更新フラグについての更新確認(ステップS216)を行う。
【0104】
コンテンツ更新フラグの更新確認(ステップS216)を行った際、コンテンツ更新フラグが1にセットされており、且つ共有可能会議セッションIDに示されたIDの会議に参加している場合、資料管理サーバ2は、更新ありの応答をユーザ端末26へ返す。応答には、更新された資料IDが含まれている。
【0105】
例えば応答を受け取ったユーザ端末26は、資料管理サーバ2に対して更新された資料IDに含めた資料取得(ステップS217)を行い、資料データを受け取ると内容が更新された資料表示(ステップS218)を行う。因みに、ここではユーザ端末17、27についても同様な処理が行われる。
【0106】
要するに、ここでの遠隔会議システムでは、各拠点システム10、20における会議接続装置12、22がユーザ端末16、17とユーザ端末26、27とにおける特定ユーザ端末を特権ユーザ端末として区別(上述した説明ではユーザ端末16が特権ユーザ端末)した場合、資料管理サーバ2が特権ユーザ端末(ユーザ端末16)以外の一般ユーザ端末(ユーザ端末17、26、27)に対してコンテンツの表示位置を切り替える機能を備え、特権ユーザ端末(ユーザ端末16)が資料管理サーバ2に対してコンテンツの表示位置の変更を指示したとき、資料管理サーバ2が特権ユーザ端末(ユーザ端末16)による指示に従ってコンテンツの表示位置情報を一般ユーザ端末(ユーザ端末17、26、27)に対して送信し、これによって、一般ユーザ端末(ユーザ端末17、26、27)が表示位置情報に従ってコンテンツの表示位置を変更する機能が構築されることを示している。
【0107】
また、ここでは資料管理サーバ2が備える資料管理テーブル50が各ユーザ端末16、17、26、27についてのコンテンツを更新するためのコンテンツ更新フラグを有する場合、各ユーザ端末16、17、26、27が所定の周期で資料管理サーバと通信することによりコンテンツ更新フラグを定期的に監視すると共に、コンテンツに対応する特権ユーザ端末(ユーザ端末16)上でコンテンツの内容の更新があればコンテンツ更新フラグを有効にし、これに伴って一般ユーザ端末(ユーザ端末17、26、27)でコンテンツの変更内容を反映させる機能を持つことを示している。
【0108】
ところで、資料をユーザ端末16から会議接続装置12、22経由でユーザ端末17、26、27に配布する方法としては、以下に説明するような他の方法を用いることも可能である。
【0109】
即ち、第1番目の処理として、図10に示した会議接続装置12から会議サーバ1へ向けた共有開始(ステップS204)で会議サーバ1が会議接続装置12から受信した資料IDを、資料管理サーバ2へ向けた共有開始(ステップS205)の処理により特定された会議接続装置12、22に対して会議セッションIDと共に送信する。第2番目の処理として、会議接続装置12、22が資料管理サーバ2に対して受信した資料IDに対応する資料を要求し、資料管理サーバ2から資料を受信する。第3番目の処理として、会議接続装置12、22が会議サーバ1から受信した会議セッションIDに基づいて個人ID管理テーブル30、31からユーザ端末IPアドレスを特定する。第4番目の処理として、会議接続装置12、22が特定されたユーザ端末IPアドレスに対して先に資料管理サーバ2から受信した資料を送信する。
【0110】
このような第1〜第4番目の処理を実施することにより、ユーザ端末17、26、27が資料管理サーバ2から直接資料を取得する場合に比べ、資料の配布ルートが限られるため、よりセキュアな資料展開が可能になる。
【0111】
図11は、この遠隔会議システムに備えられる拠点システム10内の各部におけるローカル資料を共有しての映像符号化、画面合成の機能に係るローカル資料共有開始シーケンスを例示した図である。
【0112】
図11では、例えば一方の拠点システム10におけるユーザ端末16の操作で会議接続装置12からの確認を経てローカル資料を共有できる場合の手順について説明したものであり、既に遠隔会議が開始している状態でユーザ端末16がローカル資料共有を開始する場合の手順を示している。
【0113】
具体的に云えば、この資料共有開始シーケンスでは、まずユーザ端末16上で画面を操作してローカル資料共有を開始するための共有ボタンを押す(ステップS301)処理を行い、会議接続装置12に対して共有依頼(ステップS302)を行う。但し、この時点でユーザ端末16は資料管理サーバ2へアクセスして共有したいローカル資料のIDを入手しているものとする。
【0114】
次に、共有依頼(ステップS302)された会議接続装置12は、制御部300が個人ID管理テーブル30の個人IDを参照し、共有を希望してきた個人IDが会議参加者であることを確認(ステップS303)する。
【0115】
ここでは、ローカル資料を共有する場合を説明しているので、会議接続装置12は、ユーザ端末16に対して共有を許可する応答(ステップS304)を伝えるメッセージを送信する。このメッセージには、会議接続装置IDと共有依頼(ステップS302)する処理で受信したローカル資料IDとが含まれている。
【0116】
そこで、ユーザ端末16の制御部400は、メモリ401に蓄積されて表示部403の表示画面上に表示展開された映像符号化(ステップS305)に供するローカル資料のデータを会議接続装置12に対して画面送信(ステップS306)する処理を行う。
【0117】
ローカル資料のデータを無線ルータ11を介して通信部304経由で受けた会議接続装置12では、画面合成部303がローカル資料のデータをメモリ301上のバッファに蓄積し、その蓄積された複数の映像と音声のストリーム又は静止画を合成して一つのストリームに変換して画面合成(ステップS307)を行い、ユーザ端末16に対して合成された動画ストリーム(ステップS309)を送信する。ユーザ端末16では、動画ストリームを受信して表示部403の表示画面上に表示した後、処理を完了(ステップS309)する。
【0118】
以上に説明した実施例1に係る遠隔会議システムでは、会議参加者各自がユーザ端末16、17、26、27を持つような場合でも、ユーザが特別な事前設定をすることなく、簡便に一つの資料をリアルタイムに同期をとって同じ会議に参加している参加者に対して共有することが可能になる。また、共有する資料の表示位置の指示情報を遠隔会議に参加する参加者が携帯するユーザ端末に対して送信して資料表示させることにより、資料の再取得を行わずに通信帯域を節約して資料表示の同期をとることもできる。
【0119】
尚、実施例1に係る遠隔会議システムでは、説明を簡単にするために異なる2つの拠点に拠点システム10、20が設置され、各拠点システム10、20でそれぞれ2つのユーザ端末16、17とユーザ端末26、27とを使用する場合について説明したが、拠点システムの数やそこで使用されるユーザ端末の数は任意に変更可能であり、3つ以上に増設することも可能であるため、本発明の遠隔会議システムは、実施例1で開示した構成のものに限定されない。
【符号の説明】
【0120】
1 会議サーバ
2 資料管理サーバ
3 ネットワーク
10、20 会議拠点システム
11、21 無線ルータ
12、22 会議接続装置
13、23 モニタ
14、24 マイク・スピーカ
15、25 カメラ
16、17、26、27 ユーザ端末
30、31 個人ID管理テーブル
40 会議管理テーブル
50 資料管理テーブル
100、200、300、400 制御部
101、201、301、401 メモリ
102、202、302、402 ストレージ部
103、203、304、405 通信部
104 映像合成部
105、204、309、406 通信バス
303 画面合成部
305 映像出力部
306 映像入力部
307 音声入力部
308 音声出力部
403 表示部
404 タッチ(接触操作)入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の会議拠点に設備されたコンピュータ機能の会議接続装置を含む拠点システムに対してネットワークを介して会議サーバと資料管理サーバとが接続され、前記資料管理サーバが前記複数の拠点システム毎に複数のユーザ端末を利用するためのコンテンツを格納すると共に、前記ネットワークを介して前記複数の拠点システムへ前記コンテンツを送信可能な遠隔会議システムであって、
前記複数の拠点システムにおける前記会議接続装置は、前記複数のユーザ端末の通信接続されるものから受信した個人識別情報、ユーザ間で共有する資料を識別する資料ID、及び当該会議接続装置を識別する会議接続装置識別情報を前記会議サーバに送信する第1の通信部を有し、
前記会議サーバは、前記複数の会議接続装置から前記資料ID、前記個人識別情報、及び前記会議接続装置識別情報を受信し、当該資料IDを前記資料管理サーバに送信する第2の通信部と、前記個人識別情報と前記会議接続装置識別情報とを対応付けて会議を識別する会議セッション単位で会議管理テーブルとして格納する第1の記憶部と、を有し、
前記資料管理サーバは、前記資料を前記資料IDと対応付けて格納する第2の記憶部と、前記会議サーバから送信された前記資料IDに対応する前記コンテンツを前記第2の記憶部から読み出す制御部と、読み出された前記コンテンツを前記会議サーバから受信された前記個人識別情報に宛てて送信する第3の通信部と、を有することを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項2】
請求項1記載の遠隔会議システムにおいて、前記個人識別情報は、個人IDと前記複数のユーザ端末についてのユーザ端末IPアドレスとから構成され、前記会議接続装置識別情報は、会議セッションIDと前記複数の会議接続装置についての会議接続装置ID及び会議接続装置IPアドレスとから構成され、前記資料会議サーバは、読み出された前記コンテンツを前記個人識別情報に宛てて送信する際、前記複数の会議接続装置のうちの該当する装置を経由して前記会議セッションIDと前記個人IDとの組み合わせに基づいて送信すべき前記ユーザ端末IPアドレスを検索することを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の遠隔会議システムにおいて、前記複数の拠点システムにおける前記会議接続装置は、前記複数のユーザ端末における特定ユーザ端末を特権ユーザ端末として区別し、前記資料管理サーバは、前記特権ユーザ端末以外の一般ユーザ端末に対して前記コンテンツの表示位置を切り替える機能を備え、前記特権ユーザ端末は、前記資料管理サーバに対して前記コンテンツの表示位置の変更を指示し、前記資料管理サーバは、前記特権ユーザ端末による前記指示に従って前記コンテンツの表示位置情報を前記一般ユーザ端末に対して送信し、前記一般ユーザ端末は、前記表示位置情報に従って前記コンテンツの表示位置を変更することを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項4】
請求項3記載の遠隔会議システムにおいて、前記資料管理サーバが備える資料管理テーブルは、前記複数のユーザ端末についての前記コンテンツを更新するためのコンテンツ更新フラグを有し、前記複数のユーザ端末は、所定の周期で前記資料管理サーバと通信することにより前記コンテンツ更新フラグを定期的に監視すると共に、前記コンテンツに対応する前記特権ユーザ端末上で前記コンテンツの内容の更新があれば前記コンテンツ更新フラグを有効にし、前記一般ユーザ端末で前記コンテンツの変更内容を反映させることを特徴とする遠隔会議システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−74307(P2013−74307A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209473(P2011−209473)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】