遠隔操作型アクチュエータ
【課題】 細長形状のガイド部の先端に設けられて作業具を支持する先端部材の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える遠隔操作型アクチュエータを提供する。
【解決手段】 細長形状のガイド部3と、その先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材2と、先端部材2に設けた作業具1と備える。ガイド部3内の姿勢操作部材31を姿勢変更用駆動源43で進退動作することにより、先端部材2を姿勢変更させる。姿勢変更用駆動源43を姿勢変更用制御手段63で制御する。ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を非接触で検出する姿勢検出装置9と、この姿勢検出装置9で検出された姿勢の情報を用いて姿勢変更制御手段63により前記姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を補正する校正手段65とを設ける。
【解決手段】 細長形状のガイド部3と、その先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材2と、先端部材2に設けた作業具1と備える。ガイド部3内の姿勢操作部材31を姿勢変更用駆動源43で進退動作することにより、先端部材2を姿勢変更させる。姿勢変更用駆動源43を姿勢変更用制御手段63で制御する。ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を非接触で検出する姿勢検出装置9と、この姿勢検出装置9で検出された姿勢の情報を用いて姿勢変更制御手段63により前記姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を補正する校正手段65とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、細長形状のガイド部の先端に設けた作業具の姿勢を遠隔操作で変更可能な遠隔操作型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
医療や機械加工等の分野で切削加工等の作業に用いられる遠隔操作型アクチュエータがある。この遠隔操作型アクチュエータは、直線形状や湾曲形状をした細長形状のガイド部の先端に工具、把持具等の作業具を設け、この作業具を遠隔操作で制御するようにしたものである。以下、骨の加工に用いられる医療用の遠隔操作型アクチュエータを例にとって、従来技術と課題について説明する。
【0003】
整形外科において、骨の老化等によって擦り減って使えなくなった関節を新しく人工のものに取り替える人工関節置換手術がある。この手術では、患者の生体骨を人工関節が挿入できるように加工する必要があるが、その加工には、術後の生体骨と人工関節との接着強度を高めるために、人工関節の形状に合わせて精度良く加工することが要求される。
【0004】
例えば、股関節の人工関節置換手術では、大腿骨の骨の中心にある髄腔部に人工関節挿入用の穴を形成する。人工関節と骨との接触強度を保つには両者の接触面積を大きくとる必要があり、人工関節挿入用の穴は、骨の奥まで延びた細長い形状に加工される。この加工には、細長形状のガイド部の先端に設けた工具を遠隔操作で回転させる遠隔操作型アクチュエータが用いられる。人工関節置換手術では、皮膚切開や筋肉の切断を伴う。すなわち、人体に傷を付けなければならない。その傷を最小限に抑えるためには、前記ガイド部は真っ直ぐでなく、適度に湾曲している方が良い場合がある。
【0005】
このような状況に対応するためのものとして、次のような従来技術がある。例えば、特許文献1は、ガイド部の中間部を2重に湾曲させて、パイプ部の先端側の軸心位置と基端側の軸心位置とをずらせたものである。このようにガイド部の軸心位置が先端側と軸心側とでずれているものは、他にも知られている。また、特許文献2は、ガイド部を180度回転させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,466,429号明細書
【特許文献2】米国特許第4,265,231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の医療用遠隔操作型アクチュエータは、工具の回転のみを遠隔操作で制御するだけであったため、人工関節挿入用の穴の深遠部で工具を正確に位置決めすることや、骨を複雑な形状に加工することが難しかった。そこで、上記問題を解決するために、図12(A),(B)に示すように、ガイド部3の先端に、工具1を回転自在に支持する先端部材2を姿勢変更可能に設け、この先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更可能にすることを試みた。具体的には、ガイド部3の内部に両端に貫通したガイド孔(図示せず)を設け、このガイド孔内に姿勢操作部材(図示せず)を進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を介して先端部材2に姿勢変更用の作用力を付与して、先端部材2を姿勢変更させることにした。姿勢操作部材をワイヤ等の可撓性を有するものにすれば、ガイド部3およびその内部のガイド孔が湾曲していても、先端部材2に姿勢変更用の作用力を伝達することができる。
【0008】
上記のように姿勢操作部材を介して先端部材2に姿勢変更用の作用力を付与する遠隔操作型アクチュエータは、先端部材2の姿勢を安定して保持するために、先端部材2が受ける外力に打ち克つだけの予圧を姿勢操作部材により先端部材に与えておく。また、先端部材2の姿勢変更動作は、先端部材2の基準姿勢に対する姿勢変更の程度に応じて、姿勢操作部材を進退させて先端部材に作用力を付与することで行う。
【0009】
通常、先端部材2の中立姿勢は、図12(A)のようにガイド部3に対し先端部材2が真っ直ぐな状態、すなわちガイド部3の中心線CL1と先端部材2の中心線CL2とが合致する状態とされる。しかし、組み立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部3に対する先端部材3の真直度が若干異なるため、図12(B)のようにガイド部3の中心線CL1と先端部材2の中心線CL1とが完全には合致しないのが普通である。言い換えると、実際に先端部材2が真っ直ぐな状態にあるときの姿勢操作部材の進退位置は、設計上で先端部材2が真っ直ぐな状態となる進退位置とは限らない。
【0010】
したがって、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更できるようにするには、製品ごとに実際に先端部材2が真っ直ぐな状態にあるときの姿勢操作部材の進退位置である初期位置を把握しておき、設計上で先端部材2が真っ直ぐな状態となる進退位置と前記初期位置との差分だけ姿勢操作部材の進退量を補正して先端部材2の姿勢変更制御を行わなければならない。あるいは、先端部材が各姿勢にあるときの先端部材の姿勢と姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶手段に記憶しておき、目標とする先端部材の姿勢に適合する姿勢操作部材の進退位置を前記記憶手段の記憶内容から探し出すようにしても良い。
【0011】
この発明の目的は、細長形状のガイド部の先端に設けられて作業具を支持する先端部材の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える遠隔操作型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかる遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、先端部材に設けた作業具により、所定の作業が行われる。その場合に、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って姿勢変更制御手段で姿勢変更用駆動源を制御して、姿勢操作部材を進退させる。それにより、姿勢操作部材が先端部材に対し作用して、ガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材が姿勢変更する。姿勢変更用駆動源は、先端部材から離れた位置に設けられており、上記先端部材の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材はガイド孔に挿通されているため、姿勢操作部材が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材に対し適正に作用することができ、先端部材の姿勢変更動作が正確に行われる。
【0014】
組立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部に対する先端部材の真直度が若干異なる。つまり、製品ごとにガイド部に対し先端部材が真っ直ぐな状態であるときの姿勢操作部材の進退位置が異なる。そこで、姿勢検出装置によりガイド部に対する先端部材の姿勢を検出し、校正手段により、姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて姿勢変更制御手段により姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する。それにより、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える。姿勢検出装置は先端部材に非接触で先端部材の姿勢を検出するため、先端部材の衛生状態を良好に保つことができる。
【0015】
この発明において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢が前記ガイド部と平行であるときの前記姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶する記憶手段を設け、前記校正手段により、前記記憶手段に記憶された前記初期位置の情報を用いて前記指令値を補正するのが良い。
上記のように記憶手段に記憶された初期位置の情報を用いて指令値を補正することにより、精度の良い姿勢変更制御を行うことができる。通常、先端部材がガイド部と平行である状態の姿勢が初期姿勢とされる。よって、先端部材の姿勢がガイド部と平行であるときの姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶手段に記憶させておけば、校正手段による指令値の補正が容易である。
【0016】
また、この発明において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢と、前記姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶する記憶手段を設け、前記校正手段により、前記記憶手段の記憶内容に従って前記指令値を生成するものとしても良い。
上記のように記憶手段の記憶内容に従って指令値を生成することにより、精度の良い姿勢変更制御を行うことができる。
【0017】
この発明において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する構成であって良い。
また、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部の中心線周りの異なる位相から前記ガイド部および前記先端部材を撮影する複数のカメラと、これら複数のカメラで撮影された複数の像から前記ガイド部に対する前記先端部材の3次元の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有するものであっても良い。
【0018】
例えば、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像から先端部材だけの像とガイド部だけの像とをそれぞれ抽出し、先端部材だけの像の中心線とガイド部だけの像の中心線とが成す角度を、慣性主軸を求める方法を用いて推定するものである。
また、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像の全体の傾きを求めた後、求められた傾きと垂直な直線を切取り線として前記カメラで撮影された像のうち前記ガイド部の部分を切取り前記先端部材の部分だけを抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを前記先端部材の傾きとするものとしても良い。
姿勢推定手段が上記いずれであっても、カメラで撮影された像からガイド部に対する先端部材の姿勢を精度良く推定することができる。
【0019】
姿勢推定手段を上記構成とする場合、前記カメラで撮影された像から一部分だけを抽出する作業をパターンマッチングの手法を用いて行うのが良い。パターンマッチングの手法を用いれば、カメラで撮影された像から一部分だけを容易に抽出できる。
【0020】
この発明において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材に向けて等間隔で複数条の光線を照射する光照射手段と、この光照射手段により照射された前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像における前記複数条の光線の当たった箇所の間隔から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する構成であっても良い。
光照射手段によりガイド部および先端部材に複数条の光線を当てた場合、ガイド部に対し先端部材が平行でないと、カメラで撮影された像におけるガイド部の光線の当たった箇所の間隔と、先端部材の光線の当たった箇所の間隔が異なる。この間隔の違いから、ガイド部に対する先端部材の姿勢を推定することができる。
【0021】
この発明において、前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出は、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で行うのが良い。前記姿勢操作部材により前記先端部材に与える予圧は、例えば前記姿勢変更用駆動源の推力によるものとする。
遠隔操作型アクチュエータに設けられている姿勢変更用駆動源の推力で先端部材に予圧を与えれば、予圧を与えるための手段を別に設ける必要がない。
【0022】
前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で行う場合、前記姿勢検出装置は、前記予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段を有し、この予圧付与確認手段で予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を行うようにする。
【0023】
この発明の遠隔操作型アクチュエータを使用する方法は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の遠隔操作型アクチュエータを使用し、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与え状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢の検出を行わせる。
【発明の効果】
【0024】
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたため、細長形状のガイド部の先端に設けられて作業具を支持する先端部材の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。
【図2】(A)は同遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の断面図、(B)はそのIIB−IIB断面図、(C)は先端部材と駆動軸との連結構造を示す図、(D)は先端部材のハウジングを基端側から見た図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】同遠隔操作型アクチュエータにおける先端部材とカメラとの位置関係を示す正面図に、各カメラの画像を表示した図である。
【図5】同遠隔操作型アクチュエータの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(A),(B),(C)は同遠隔操作型アクチュエータの姿勢推定手段による姿勢推定の過程を示すカメラの画像である。
【図7】(A)〜(E)は姿勢推定手段による異なる姿勢推定の過程を示すカメラの画像である。
【図8】(A)は異なる遠隔操作型アクチュエータの姿勢検出装置の一状態を示す側面図、(B)は同姿勢検出装置の光照射手段により光を当てられた先端部材およびガイド部の先端部の状態を示す平面図である。
【図9】(A)は異なる遠隔操作型アクチュエータの姿勢検出装置の異なる状態を示す側面図、(B)は同姿勢検出装置の光照射手段により光を当てられた先端部材およびガイド部の先端部の状態を示す平面図である。
【図10】さらに異なる遠隔操作型アクチュエータの制御系の一部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同遠隔操作型アクチュエータのテーブル作成制御手段による制御のフローチャートである。
【図12】(A)は遠隔操作型アクチュエータの一部の一状態を示す側面図、(B)は異なる状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施形態を図1〜図6と共に説明する。図1において、この遠隔操作型アクチュエータは、アクチュエータ本体5と、このアクチュエータ本体5を制御するコントローラ7と、アクチュエータ本体5の先端部材2の姿勢を検出するためのカメラ8とを備える。アクチュエータ本体5とコントローラ7、およびコントローラ7とカメラ8とは、それぞれ電気ケーブル(図示せず)で結ばれている。
【0027】
アクチュエータ本体5は、作業具である回転式の工具1を保持する先端部材2と、この先端部材2が先端に姿勢変更自在に取付けられた湾曲した細長形状のガイド部3と、このガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aとでなる。駆動部ハウジング4aは、内蔵の作業具用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cを共に駆動部4を構成する。この例では、ガイド部3は、先端付近および基端付近が直線状で、中間部は曲率がほぼ一律な円弧状である。ガイド部3は、全体が直線状であってもよい。
【0028】
図2(A)に示すように、先端部材2は、略円筒状のハウジング11の内部に、一対の軸受12によりスピンドル13が回転自在に支持されている。スピンドル13は、先端側が開口した筒状で、中空部に工具1のシャンク1aが嵌合状態に挿入され、回り止めピン14によりシャンク1aが回転不能に結合される。この先端部材2は、先端部材連結部15を介してガイド部3の先端に取付けられる。先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、ガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、先端部材2の中心線CL1上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。これにより、ガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、任意方向に姿勢変更自在に支持される。
【0029】
ガイド部3は、駆動部ハウジング4a内の作業具用駆動源41(図1、図3)の回転力を前記スピンドル13へ伝達する駆動軸22を有する。この例では、駆動軸22はワイヤとされ、ある程度の弾性変形が可能である。ワイヤの材質としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。図2(C)に示すように、スピンドル13と駆動軸22とは、自在継手等の継手23を介して回転伝達可能に接続されている。継手23は、スピンドル13の閉塞した基端に設けられた溝13aと、駆動軸22の先端に設けられ前記溝13aに係合する突起22aとで構成される。上記溝13aと突起22aとの連結箇所の中心は、前記案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置である。駆動軸22と突起22aとは別部材として構成してもよい。
【0030】
図2(A),(B)に示すように、ガイド部3は、このガイド部3の外郭となる外郭パイプ25を有し、この外郭パイプ25の中心に前記駆動軸22が位置する。駆動軸22は、それぞれ軸方向に離れて配置された複数の転がり軸受26によって回転自在に支持されている。各転がり軸受26間には、これら転がり軸受26に予圧を発生させるためのばね要素27A,27Bが設けられている。ばね要素27A,27Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受26の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素27Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素27Bとがあり、これらが交互に配置されている。前記抜け止め部材21は、固定ピン28により外郭パイプ25のパイプエンド部25aに固定され、その先端内周部で転がり軸受29を介して駆動軸22の先端部を回転自在に支持している。パイプエンド部25aは、外郭パイプ25と別部材とし、溶接等により結合してもよい。
【0031】
外郭パイプ25の内径面と駆動軸22の間には、互いに120度の位相にある周方向位置に、外郭パイプ25と同じ湾曲形状で両端に貫通する3本のガイドパイプ30が設けられている。そして、各ガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に、姿勢操作部材31(31U,31L,31R)が進退自在に挿通されている。姿勢操作部材31は、ワイヤ31aと両端の柱状ピン31bとでなる。ワイヤ31aの材料としては、前記駆動軸22と同様に、金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤ31aは単線であっても、撚り線であってもよい。また、形状記憶合金を用いても良い。
【0032】
先端部材2側の柱状ピン31bの先端は球面状で、その球面状の先端が、図2(D)に示すように、ハウジング11の基端面に形成された径方向の溝部11bの底面に当接している。溝部11bおよび姿勢操作部材31は回転防止機構37を構成し、溝部11bに挿入された姿勢操作部材31の先端部が溝部11bの側面に当たることで、先端部材2がガイド部3に対して先端部材2の中心線CL1回りに回転するのを防止している。
【0033】
また、図2(A),(B)に示すように、外郭パイプ25の内径面と駆動軸22の間には、前記ガイドパイプ30とは別に、このガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に、複数本の補強シャフト34が配置されている。これらの補強シャフト34は、ガイド部3の剛性を確保するためのものであり、ガイドパイプ30と同外径で同じ湾曲形状である。ガイドパイプ30と補強シャフト34の配列間隔は等間隔とされている。ガイドパイプ30および補強シャフト34は、外郭パイプ25の内径面におよび前記転がり軸受26の外径面に接している。これにより、転がり軸受26の外径面を支持している。
【0034】
図1および図3に駆動部ハウジング4aの内部を示す。
作業具用駆動機構4bは、例えば電動モータからなる作業具用駆動源41を備える。作業具用駆動源41は、後部が駆動部ハウジング4aから突出した状態で設けられており、その出力軸41aの先端が前記駆動軸22の基端に結合させてある。
【0035】
姿勢変更用駆動機構4cは、各姿勢操作部材31(31U,31L,31R)にそれぞれ対応する姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を備える。姿勢変更用駆動源43は、例えば電動リニアアクチュエータであり、図1の左右方向に移動する出力ロッド43aの動きが、増力伝達機構44を介して前記姿勢操作部材31に伝達される。出力ロッド43aの動作位置、すなわち姿勢操作部材31の進退位置は、進退検出手段45(45U,45L,45R)にそれぞれ検出される。
【0036】
前記増力伝達機構44は、支軸44a回りに回動自在なレバー44b(43bU,43bL,43bR)を有し、このレバー44bにおける支軸44aからの距離が長い作用点P1(P1U,P1L,P1R)に出力ロッド43aの力が作用し、支軸44aからの距離が短い力点P2(P2U,P2L,P2R)で姿勢操作部材31に力を与える構成であり、姿勢変更用駆動源43の出力が増力して姿勢操作部材31に伝達される。増力伝達機構44を設けると、小さな出力のリニアアクチュエータでも姿勢操作部材31に大きな力を与えることができるので、リニアアクチュエータの小型化が可能になる。なお、駆動軸22は、レバー44bに形成された開口46(図3)を貫通させてある。
【0037】
図1において、前記カメラ8は、先端部材2の姿勢をこの先端部材2に非接触で検出するためのものであり、後述する姿勢推定手段71と共に姿勢検出装置9を構成する。カメラ8は、先端部材2の全体とガイド部3の先端部を撮影するように設置される。図1では1個のカメラ8だけが図示されているが、実際には図4に示すように、複数個(例えば2個)のカメラ8で、先端部材2およびガイド部3の中心線CL1,CL2周りの異なる位相(例えば直交2軸方向)から撮影する。姿勢推定手段71については、後で説明する。
【0038】
図5のブロック図に示すように、コントローラ7は、各種制御を行うコンピュータ60が内蔵されている。コンピュータ60は、工具回転用駆動源41を制御する回転制御装置61と、姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を制御する姿勢制御装置62とを備える。また、姿勢制御装置62は、姿勢変更制御手段63と初期位置制御手段64と補正手段65とを備える。補正手段65は、請求項1で言う校正手段である。
【0039】
回転制御装置61は、回転操作具66からの回転指令信号に応じてドライバ67に出力し、工具回転用駆動源41をオン・オフする。これにより、スピンドル13が回転および回転停止させられる。回転操作具66は、コントローラ7に設けられていてもよく、あるいは駆動源ハウジング4aに設けられていてもよい。
【0040】
姿勢制御装置62の姿勢変更制御手段63は、姿勢変更操作具68からの姿勢変更指令信号の入力値に応じてドライバ69に出力し、姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を駆動する。姿勢変更操作具68は、先端部材2を任意方向の姿勢変更操作と、その姿勢変更の程度の設定とを前記入力値となる姿勢変更指令信号の出力により行うものである。姿勢変更操作具68は、コントローラ7に設けられていてもよく、あるいは駆動源ハウジング4aに設けられていてもよい。
【0041】
例えば、先端部材2を図2(A)において先端が下向きとなる側に姿勢変更する場合は、各姿勢変更用駆動源43U,43L,43Rに出力して、上側の姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させる。それにより、姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。このとき、各姿勢操作部材31の進退量が適正になるように、各姿勢変更用駆動源43が制御される。各姿勢操作部材31を逆に進退させると、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0042】
また、先端部材2を図2(A)において先端が右向き、すなわち紙面の裏側向きとなる側に姿勢変更する場合は、姿勢変更用駆動源43L,43Rに出力して、上側の姿勢操作部材31Uは静止させた状態で、左側の姿勢操作部材31Lを先端側へ進出させ、かつ右側の姿勢操作部材31Rを後退させる。それにより、左側の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は案内面F1,F2に沿って右向きに姿勢変更する。左右の姿勢操作部材31L,31Rを逆に進退させると、右の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0043】
姿勢制御装置62の初期位置制御手段64は、製品組立完成時や先端部材2の交換時に、先端部材2が初期姿勢にあるときの姿勢操作部材31の進退位置である初期位置を求めて記憶する初期位置制御を行う。初期姿勢とは、先端部材2がガイド部3に対し真っ直ぐな姿勢、すなわち先端部材2の中心線CL1とガイド部3の中心線CL2とが合致する姿勢を言う。設計上では、先端部材2が初期姿勢にあるときは、各姿勢操作部材31の進退位置が同じに設定されている。しかし、実際に組み立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部3に対する先端部材2の真直度が若干異なるため、各姿勢操作部材31の初期位置が完全に同じにならないのが普通である。そこで、製品ごとに各姿勢操作部材31の初期位置を把握しておき、この初期位置の情報を姿勢変更制御手段63による制御に反映させることで、姿勢変更制御の精度を向上させるのである。
【0044】
初期位置制御手段64は、姿勢推定手段71と初期位置記憶手段72とでなる。姿勢推定手段71は、カメラ8で撮影された先端部材2およびガイド部3の先端部の像から、ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を推定する手段である。具体的な推定方法については後で説明する。初期位置記憶手段72は、先端部材2が初期姿勢であるときの各姿勢操作部材31の進退位置である初期位置を記憶する手段である。また、初期位置制御手段64には、次に説明する初期位置制御を実行させる初期位置制御実行操作具73が接続されている。
【0045】
初期位置制御実行操作具73を操作することで、初期位置制御が実行される。各姿勢操作部材31が後退位置にある状態から、各姿勢操作部材31を前進させて、先端部材2と姿勢操作部材31との間に所定の予圧を与える。これにより、先端部材2が一定の姿勢に固定される。姿勢変更用駆動源43の推力で姿勢操作部材31を前進させて先端部材2に予圧を与えるため、予圧を与えるための手段を別に設ける必要がない。
なお、姿勢検出装置9は、先端部材2に予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段9a(図5)を有し、この予圧付与確認手段9aで予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢の検出を行う。
【0046】
次に、図4のように、先端部材2およびガイド部3の先端部をカメラ8で撮影し、その撮影された画像から、姿勢推定手段71により先端部材2の姿勢を推定する。通常、最初の段階では、先端部材2が初期姿勢にならない。そこで、先端部材2の姿勢を監視しながら各姿勢操作部材31を進退させて、先端部材2が初期姿勢になるようにする。このときの各姿勢操作部材31の進退位置を検出し、その値を初期位置として初期位置記憶手段72に記憶させる。これら一連の動作は、初期位置制御手段64により自動的に行われる。なお、カメラ8で撮影する場合に、図示のように、光源として平行光源8aを用いるのが好ましい。平行光源8aは、平行光を投光する光源であり、その平行光は、カメラ8の光軸と平行で、先端部材2を挟んでカメラ8に向かう方向とする。
【0047】
補正手段65は、初期位置記憶手段64に記憶されている初期位置の情報を用いて、前記姿勢変更制御手段62により姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を補正する。姿勢変更制御手段63は、前記指令値を姿勢変更用駆動源43へ出力して、姿勢操作部材31を進退させる。これにより、製品ごとに異なる姿勢操作部材31の初期位置に応じた適正な姿勢変更制御を行うことができ、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更させられる。
【0048】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出の一方法を図6(A)〜(C)と共に説明する。図6(A),(B)は、それぞれカメラ8で撮影された像の例である。図6(A)のように先端部材2がガイド部3に対し真っ直ぐな場合も、図6(B)のように曲率中心Oで屈曲している場合も、ガイド部3の先端部の姿勢を基準にして先端部材2の姿勢を推定することができる。例えば、図6(B)の像から先端部材2の姿勢を推定するには、図6(C)のように先端部材2のみの像を抽出する。先端部材2の像とガイド部3の像の分離は、例えばパターンマッチングにより行う。そして、抽出された先端部材2の像から、慣性主軸を求める式(1),(2)を用いて、先端部材2の中心線CL1とガイド部3の中心線CL2との成す角度θを推定する。
【0049】
【数1】
mG、nG:投影像の重心の画素、f(m,n):各画素のデータ(輝度)、m:横方向の画素、n:縦方向の画素
なお、p,qは式(2)の(m−mG)、(n−nG)における、べき乗の係数のことである。式(1)のM11の場合、(m−mG)、(n−nG)が共に1乗であり、M11=ΣΣ(m−mG)×(n−nG)×f(m,n)となる。M20の場合、(m−mG)が2乗、(n−nG)が0乗であり、M20=ΣΣ(m−mG)×(m−mG)×f(m,n)となる。
mG、nGは像の重心となる画素を示し、図6(C)の投影像では先端部材2の面積の重心で、先端部材2の中心線CL1上の点になる。例えば、先端部材2の像の形状が円や長方形なら中心になるが、図6(C)では先端部材2の径が変化しているため、軸方向長さの中心から若干左右にずれた位置になる。m、nは画素を示し、680×480画素の画像データの場合、mは0〜679、nは0〜479の値をとる。また、例えばf(m,n)は横方向に左からm−1番目、縦方向に上からn−1番目の画素の輝度値を指す。
【0050】
上記操作を互いに直交2軸方向から撮影する2つのカメラ8の画像について行うことにより、先端部材2の3次元の姿勢を推定することができる。このようなカメラ8の画像を用いた光学式の姿勢検出方法は、先端部材2に非接触で先端部材2の姿勢を検出するため、先端部材2の衛生状態を良好に保つことができる。
【0051】
この遠隔操作型アクチュエータの動作を説明する。
回転操作具66を操作して工具回転用駆動源41を駆動させると、その回転力が駆動軸22を介してスピンドル13に伝達されて、スピンドル13と共に工具1が回転する。回転する工具1により、骨等の切削を行う。加工中は、加工箇所の形状や加工の進行に応じ、姿勢変更用操作具56の操作により姿勢変更用駆動源43を駆動させて、姿勢操作部材31を介して、先端部材2の任意の方向に変更する。
【0052】
姿勢変更用駆動源43は、先端部材2から離れた位置に設けられており、上記先端部材2の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材31はガイド孔30aに挿通されているため、姿勢操作部材31が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材2に対し適正に作用することができ、先端部材2の姿勢変更動作が正確に行われる。また、スピンドル13と駆動軸22との連結箇所の中心が案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置であるため、先端部材2の姿勢変更によって駆動軸22に対して押し引きする力がかからず、先端部材2を円滑に姿勢変更できる。
【0053】
また、先端部材2がガイド部3に対して先端部材2の中心線C1L回りに回転するのを防止する回転防止機構37が設けられているため、姿勢変更用駆動機構4cや姿勢制御装置62の故障等により工具1を保持する先端部材2が制御不能となった場合でも、先端部材2が中心線CL1回りに回転して加工箇所の周りを傷つけたり、先端部材2自体が破損したりすることを防止できる。
【0054】
この遠隔操作型アクチュエータは、例えば人工関節置換手術において骨の髄腔部を削るのに使用されるものであり、施術時には、先端部材2の全部または一部が患者の体内に挿入して使用される。このため、上記のように先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更できれば、常に工具1を適正な姿勢に保持した状態で骨の加工をすることができ、人工関節挿入用穴を精度良く仕上げることができる。
【0055】
細長形状であるガイド部3には、駆動軸22および姿勢操作部材31を保護状態で設ける必要があるが、外郭パイプ25の中心部に駆動軸22を設け、外郭パイプ25と駆動軸22との間に、姿勢操作部材31を収容したガイドパイプ30と補強シャフト34とを円周方向に並べて配置した構成としたことにより、駆動軸22および姿勢操作部材31を保護し、かつ内部を中空して軽量化を図りつつ剛性を確保できる。また、全体のバランスも良い。
【0056】
駆動軸22を支持する転がり軸受26の外径面を、ガイドパイプ30と補強シャフト34とで支持させたため、余分な部材を用いずに転がり軸受26の外径面を支持できる。また、ばね要素27A,27Bにより転がり軸受26に予圧がかけられているため、ワイヤからなる駆動軸22を高速回転させることができる。そのため、スピンドル13を高速回転させて加工することができ、加工の仕上がりが良く、工具1に作用する切削抵抗を低減させられる。ばね要素27A,27Bは隣合う転がり軸受26間に設けられているので、ガイド部3の径を大きくせずにばね要素27A,27Bを設けることができる。
【0057】
初期位置姿勢を先端部材2が真っ直ぐな姿勢とし、その姿勢は図6(A)に示すガイド部3の先端部の像から姿勢を推定できる。まず、ガイド部3の先端部の像を抽出し、ガイド部3の直線状部分からなる先端部の側縁であるエッジEを検出する。エッジEはガイド部の画像の上部または下部のエッジである。エッジEが直線で近似され、その直線情報から姿勢を推定する。すなわち、エッジEの直線情報からガイド部3の先端部の姿勢を推定し、その姿勢を基準に先端部材2の姿勢を推定する。初期位置姿勢は、先端部材2がガイド部3の先端部と平行となる姿勢のことである。したがって、ガイド部3のエッジEの直線情報からガイド部3の姿勢を推定し、その姿勢を基準に先端部材2の相対角度を求め、先端部材2の角度を推定する必要がある。
【0058】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出の異なる方法を図7と共に説明する。まず、図7(A)のように、先端部材2およびガイド部3の先端部を含む全体像の傾き角度θ1を求める。こうして得られた傾き角度θ1は、実際の先端部材2の傾き角度θとの間に差がある。次に、傾き角度θ1に垂直な方向で曲率中心Oを通る直線L1を切取り線として、全体像のうちガイド部3の部分を切取って、図7(B)のような工具1を含む先端部材2だけの像を抽出する。そして、その像の傾き角度θ2を求める。さらに、図7(C)のように、前記傾き角度θ2に垂直な方向で曲率中心Oを通る直線L2を元の全体像に対する切取り線としてガイド部3の部分を切取って、図7(D)のような先端部材2だけの像を抽出する。そして、その像の傾き角度θ3を求める。
【0059】
このように、全体像から先端部材2だけの像を抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを先端部材2の傾きとする。抽出操作と傾き取得操作とを繰り返し行うことにより、得られる傾き角度が実際の傾き角度θに次第に近づき、最終的には図7(E)のように実際の傾き角度θとほぼ一致する。
【0060】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出のさらに異なる方法を図8(A),(B)および図9(A),(B)と共に説明する。この姿勢検出装置9は、カメラ8と姿勢推定手段71の他に、ガイド部3の直線状の先端部および先端部材2に向けて等間隔で複数条の光線75aを照射する光照射手段75を有する。光照射手段75によりガイド部3の先端部および先端部材2に複数条の光線75aを当てた場合、図8(A)のように、ガイド部3の先端部に対し先端部材2が平行であれば、図8(B)のように、カメラ8で撮影された像におけるガイド部3の光の当たった箇所の間隔ΔLと、先端部材2の光の当たった箇所の間隔ΔDとが同じになる。しかし、図9(A)のように、ガイド部3の先端部に対し先端部材2が平行でないと、図9(B)のように、カメラ8で撮影された像におけるガイド部3の光の当たった箇所の間隔ΔL´と、先端部材2の光の当たった箇所の間隔ΔD´とが異なる。この間隔の違いから、姿勢推定手段71により、ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を推定することができる。
【0061】
また、姿勢制御装置62は図10に示す構成としてもよい。この姿勢制御装置62は、姿勢変更制御手段63とテーブル作成制御手段81と照合手段82とを備える。照合手段82は、請求項1で言う校正手段である。テーブル作成制御手段81は、姿勢推定手段71と姿勢・進退位置関係テーブル83とでなる。姿勢・進退位置関係テーブル83は、請求項1で言う記憶手段である。姿勢推定手段71は、前記同様の構成である。また、テーブル作成制御手段81には、次に説明するテーブル作成制御を実行させるテーブル作成制御実行操作具84が接続されている。
【0062】
テーブル作成制御実行操作具84を操作することで、テーブル作成制御手段81により、図11のフローチャートに示すテーブル作成制御が実行される。すなわち、姿勢操作部材31を指示された進退位置へ移動させ(S1)、先端部材2の姿勢をカメラ8の画像から姿勢推定手段71で推定する(S2)。そのときの姿勢操作部材31の進退位置および先端部材2の姿勢を、姿勢・進退位置関係テーブル83に記録する(S3)。次に、姿勢操作部材31の別の進退位置を指示する(S4)。以下、前記同様に、姿勢操作部材31の移動(S1)、先端部材2の姿勢の推定(S2)、姿勢操作部材31の進退位置および先端部材2の姿勢の記録(S3)、姿勢操作部材31の進退位置の指示(S4)を繰り返して、姿勢操作部材31の進退位置と先端部材2の姿勢との関係を示すデータを姿勢・進退位置関係テーブル83に作成する。
【0063】
照合手段82は、姿勢変更制御手段63からの求めに応じて、姿勢・進退位置関係テーブル83に記録されているデータを照合して、姿勢変更操作具68によって指示された先端部材2の姿勢に適合する姿勢操作部材31の進退位置で探し出し、姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を生成する。姿勢変更制御手段63は、前記指令値を姿勢変更用駆動源43へ出力して、姿勢操作部材31を進退させる。これにより、製品ごとに異なる先端部材2の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行うことができ、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更させられる。
【0064】
上記実施形態は、作業具が回転する工具1である例を示すが、作業具は把持具等の他の作業具であってもよい。また、この発明は、医療用の遠隔操作型アクチュエータに限らず、機械加工等の他の分野で用いられる遠隔操作型アクチュエータにも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1…工具(作業具)
2…先端部材
3…ガイド部
8…カメラ
9…姿勢検出装置
9a…予圧付与確認手段
22…駆動軸
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…作業具用駆動源
43…姿勢変更用駆動源
62…姿勢制御装置
63…姿勢変更制御手段
65…補正手段(校正手段)
68…姿勢変更操作具
71…姿勢推定手段
72…初期位置記憶手段
75…光照射手段
75a…光線
82…照合手段(校正手段)
83…姿勢・進退位置関係テーブル(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、細長形状のガイド部の先端に設けた作業具の姿勢を遠隔操作で変更可能な遠隔操作型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
医療や機械加工等の分野で切削加工等の作業に用いられる遠隔操作型アクチュエータがある。この遠隔操作型アクチュエータは、直線形状や湾曲形状をした細長形状のガイド部の先端に工具、把持具等の作業具を設け、この作業具を遠隔操作で制御するようにしたものである。以下、骨の加工に用いられる医療用の遠隔操作型アクチュエータを例にとって、従来技術と課題について説明する。
【0003】
整形外科において、骨の老化等によって擦り減って使えなくなった関節を新しく人工のものに取り替える人工関節置換手術がある。この手術では、患者の生体骨を人工関節が挿入できるように加工する必要があるが、その加工には、術後の生体骨と人工関節との接着強度を高めるために、人工関節の形状に合わせて精度良く加工することが要求される。
【0004】
例えば、股関節の人工関節置換手術では、大腿骨の骨の中心にある髄腔部に人工関節挿入用の穴を形成する。人工関節と骨との接触強度を保つには両者の接触面積を大きくとる必要があり、人工関節挿入用の穴は、骨の奥まで延びた細長い形状に加工される。この加工には、細長形状のガイド部の先端に設けた工具を遠隔操作で回転させる遠隔操作型アクチュエータが用いられる。人工関節置換手術では、皮膚切開や筋肉の切断を伴う。すなわち、人体に傷を付けなければならない。その傷を最小限に抑えるためには、前記ガイド部は真っ直ぐでなく、適度に湾曲している方が良い場合がある。
【0005】
このような状況に対応するためのものとして、次のような従来技術がある。例えば、特許文献1は、ガイド部の中間部を2重に湾曲させて、パイプ部の先端側の軸心位置と基端側の軸心位置とをずらせたものである。このようにガイド部の軸心位置が先端側と軸心側とでずれているものは、他にも知られている。また、特許文献2は、ガイド部を180度回転させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,466,429号明細書
【特許文献2】米国特許第4,265,231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の医療用遠隔操作型アクチュエータは、工具の回転のみを遠隔操作で制御するだけであったため、人工関節挿入用の穴の深遠部で工具を正確に位置決めすることや、骨を複雑な形状に加工することが難しかった。そこで、上記問題を解決するために、図12(A),(B)に示すように、ガイド部3の先端に、工具1を回転自在に支持する先端部材2を姿勢変更可能に設け、この先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更可能にすることを試みた。具体的には、ガイド部3の内部に両端に貫通したガイド孔(図示せず)を設け、このガイド孔内に姿勢操作部材(図示せず)を進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を介して先端部材2に姿勢変更用の作用力を付与して、先端部材2を姿勢変更させることにした。姿勢操作部材をワイヤ等の可撓性を有するものにすれば、ガイド部3およびその内部のガイド孔が湾曲していても、先端部材2に姿勢変更用の作用力を伝達することができる。
【0008】
上記のように姿勢操作部材を介して先端部材2に姿勢変更用の作用力を付与する遠隔操作型アクチュエータは、先端部材2の姿勢を安定して保持するために、先端部材2が受ける外力に打ち克つだけの予圧を姿勢操作部材により先端部材に与えておく。また、先端部材2の姿勢変更動作は、先端部材2の基準姿勢に対する姿勢変更の程度に応じて、姿勢操作部材を進退させて先端部材に作用力を付与することで行う。
【0009】
通常、先端部材2の中立姿勢は、図12(A)のようにガイド部3に対し先端部材2が真っ直ぐな状態、すなわちガイド部3の中心線CL1と先端部材2の中心線CL2とが合致する状態とされる。しかし、組み立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部3に対する先端部材3の真直度が若干異なるため、図12(B)のようにガイド部3の中心線CL1と先端部材2の中心線CL1とが完全には合致しないのが普通である。言い換えると、実際に先端部材2が真っ直ぐな状態にあるときの姿勢操作部材の進退位置は、設計上で先端部材2が真っ直ぐな状態となる進退位置とは限らない。
【0010】
したがって、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更できるようにするには、製品ごとに実際に先端部材2が真っ直ぐな状態にあるときの姿勢操作部材の進退位置である初期位置を把握しておき、設計上で先端部材2が真っ直ぐな状態となる進退位置と前記初期位置との差分だけ姿勢操作部材の進退量を補正して先端部材2の姿勢変更制御を行わなければならない。あるいは、先端部材が各姿勢にあるときの先端部材の姿勢と姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶手段に記憶しておき、目標とする先端部材の姿勢に適合する姿勢操作部材の進退位置を前記記憶手段の記憶内容から探し出すようにしても良い。
【0011】
この発明の目的は、細長形状のガイド部の先端に設けられて作業具を支持する先端部材の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える遠隔操作型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかる遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、先端部材に設けた作業具により、所定の作業が行われる。その場合に、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って姿勢変更制御手段で姿勢変更用駆動源を制御して、姿勢操作部材を進退させる。それにより、姿勢操作部材が先端部材に対し作用して、ガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材が姿勢変更する。姿勢変更用駆動源は、先端部材から離れた位置に設けられており、上記先端部材の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材はガイド孔に挿通されているため、姿勢操作部材が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材に対し適正に作用することができ、先端部材の姿勢変更動作が正確に行われる。
【0014】
組立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部に対する先端部材の真直度が若干異なる。つまり、製品ごとにガイド部に対し先端部材が真っ直ぐな状態であるときの姿勢操作部材の進退位置が異なる。そこで、姿勢検出装置によりガイド部に対する先端部材の姿勢を検出し、校正手段により、姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて姿勢変更制御手段により姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する。それにより、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える。姿勢検出装置は先端部材に非接触で先端部材の姿勢を検出するため、先端部材の衛生状態を良好に保つことができる。
【0015】
この発明において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢が前記ガイド部と平行であるときの前記姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶する記憶手段を設け、前記校正手段により、前記記憶手段に記憶された前記初期位置の情報を用いて前記指令値を補正するのが良い。
上記のように記憶手段に記憶された初期位置の情報を用いて指令値を補正することにより、精度の良い姿勢変更制御を行うことができる。通常、先端部材がガイド部と平行である状態の姿勢が初期姿勢とされる。よって、先端部材の姿勢がガイド部と平行であるときの姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶手段に記憶させておけば、校正手段による指令値の補正が容易である。
【0016】
また、この発明において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢と、前記姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶する記憶手段を設け、前記校正手段により、前記記憶手段の記憶内容に従って前記指令値を生成するものとしても良い。
上記のように記憶手段の記憶内容に従って指令値を生成することにより、精度の良い姿勢変更制御を行うことができる。
【0017】
この発明において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する構成であって良い。
また、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部の中心線周りの異なる位相から前記ガイド部および前記先端部材を撮影する複数のカメラと、これら複数のカメラで撮影された複数の像から前記ガイド部に対する前記先端部材の3次元の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有するものであっても良い。
【0018】
例えば、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像から先端部材だけの像とガイド部だけの像とをそれぞれ抽出し、先端部材だけの像の中心線とガイド部だけの像の中心線とが成す角度を、慣性主軸を求める方法を用いて推定するものである。
また、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像の全体の傾きを求めた後、求められた傾きと垂直な直線を切取り線として前記カメラで撮影された像のうち前記ガイド部の部分を切取り前記先端部材の部分だけを抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを前記先端部材の傾きとするものとしても良い。
姿勢推定手段が上記いずれであっても、カメラで撮影された像からガイド部に対する先端部材の姿勢を精度良く推定することができる。
【0019】
姿勢推定手段を上記構成とする場合、前記カメラで撮影された像から一部分だけを抽出する作業をパターンマッチングの手法を用いて行うのが良い。パターンマッチングの手法を用いれば、カメラで撮影された像から一部分だけを容易に抽出できる。
【0020】
この発明において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材に向けて等間隔で複数条の光線を照射する光照射手段と、この光照射手段により照射された前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像における前記複数条の光線の当たった箇所の間隔から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する構成であっても良い。
光照射手段によりガイド部および先端部材に複数条の光線を当てた場合、ガイド部に対し先端部材が平行でないと、カメラで撮影された像におけるガイド部の光線の当たった箇所の間隔と、先端部材の光線の当たった箇所の間隔が異なる。この間隔の違いから、ガイド部に対する先端部材の姿勢を推定することができる。
【0021】
この発明において、前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出は、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で行うのが良い。前記姿勢操作部材により前記先端部材に与える予圧は、例えば前記姿勢変更用駆動源の推力によるものとする。
遠隔操作型アクチュエータに設けられている姿勢変更用駆動源の推力で先端部材に予圧を与えれば、予圧を与えるための手段を別に設ける必要がない。
【0022】
前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で行う場合、前記姿勢検出装置は、前記予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段を有し、この予圧付与確認手段で予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を行うようにする。
【0023】
この発明の遠隔操作型アクチュエータを使用する方法は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の遠隔操作型アクチュエータを使用し、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与え状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢の検出を行わせる。
【発明の効果】
【0024】
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたため、細長形状のガイド部の先端に設けられて作業具を支持する先端部材の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、製品ごとに異なる先端部材の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。
【図2】(A)は同遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の断面図、(B)はそのIIB−IIB断面図、(C)は先端部材と駆動軸との連結構造を示す図、(D)は先端部材のハウジングを基端側から見た図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】同遠隔操作型アクチュエータにおける先端部材とカメラとの位置関係を示す正面図に、各カメラの画像を表示した図である。
【図5】同遠隔操作型アクチュエータの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(A),(B),(C)は同遠隔操作型アクチュエータの姿勢推定手段による姿勢推定の過程を示すカメラの画像である。
【図7】(A)〜(E)は姿勢推定手段による異なる姿勢推定の過程を示すカメラの画像である。
【図8】(A)は異なる遠隔操作型アクチュエータの姿勢検出装置の一状態を示す側面図、(B)は同姿勢検出装置の光照射手段により光を当てられた先端部材およびガイド部の先端部の状態を示す平面図である。
【図9】(A)は異なる遠隔操作型アクチュエータの姿勢検出装置の異なる状態を示す側面図、(B)は同姿勢検出装置の光照射手段により光を当てられた先端部材およびガイド部の先端部の状態を示す平面図である。
【図10】さらに異なる遠隔操作型アクチュエータの制御系の一部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同遠隔操作型アクチュエータのテーブル作成制御手段による制御のフローチャートである。
【図12】(A)は遠隔操作型アクチュエータの一部の一状態を示す側面図、(B)は異なる状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施形態を図1〜図6と共に説明する。図1において、この遠隔操作型アクチュエータは、アクチュエータ本体5と、このアクチュエータ本体5を制御するコントローラ7と、アクチュエータ本体5の先端部材2の姿勢を検出するためのカメラ8とを備える。アクチュエータ本体5とコントローラ7、およびコントローラ7とカメラ8とは、それぞれ電気ケーブル(図示せず)で結ばれている。
【0027】
アクチュエータ本体5は、作業具である回転式の工具1を保持する先端部材2と、この先端部材2が先端に姿勢変更自在に取付けられた湾曲した細長形状のガイド部3と、このガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aとでなる。駆動部ハウジング4aは、内蔵の作業具用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cを共に駆動部4を構成する。この例では、ガイド部3は、先端付近および基端付近が直線状で、中間部は曲率がほぼ一律な円弧状である。ガイド部3は、全体が直線状であってもよい。
【0028】
図2(A)に示すように、先端部材2は、略円筒状のハウジング11の内部に、一対の軸受12によりスピンドル13が回転自在に支持されている。スピンドル13は、先端側が開口した筒状で、中空部に工具1のシャンク1aが嵌合状態に挿入され、回り止めピン14によりシャンク1aが回転不能に結合される。この先端部材2は、先端部材連結部15を介してガイド部3の先端に取付けられる。先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、ガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、先端部材2の中心線CL1上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。これにより、ガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、任意方向に姿勢変更自在に支持される。
【0029】
ガイド部3は、駆動部ハウジング4a内の作業具用駆動源41(図1、図3)の回転力を前記スピンドル13へ伝達する駆動軸22を有する。この例では、駆動軸22はワイヤとされ、ある程度の弾性変形が可能である。ワイヤの材質としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。図2(C)に示すように、スピンドル13と駆動軸22とは、自在継手等の継手23を介して回転伝達可能に接続されている。継手23は、スピンドル13の閉塞した基端に設けられた溝13aと、駆動軸22の先端に設けられ前記溝13aに係合する突起22aとで構成される。上記溝13aと突起22aとの連結箇所の中心は、前記案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置である。駆動軸22と突起22aとは別部材として構成してもよい。
【0030】
図2(A),(B)に示すように、ガイド部3は、このガイド部3の外郭となる外郭パイプ25を有し、この外郭パイプ25の中心に前記駆動軸22が位置する。駆動軸22は、それぞれ軸方向に離れて配置された複数の転がり軸受26によって回転自在に支持されている。各転がり軸受26間には、これら転がり軸受26に予圧を発生させるためのばね要素27A,27Bが設けられている。ばね要素27A,27Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受26の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素27Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素27Bとがあり、これらが交互に配置されている。前記抜け止め部材21は、固定ピン28により外郭パイプ25のパイプエンド部25aに固定され、その先端内周部で転がり軸受29を介して駆動軸22の先端部を回転自在に支持している。パイプエンド部25aは、外郭パイプ25と別部材とし、溶接等により結合してもよい。
【0031】
外郭パイプ25の内径面と駆動軸22の間には、互いに120度の位相にある周方向位置に、外郭パイプ25と同じ湾曲形状で両端に貫通する3本のガイドパイプ30が設けられている。そして、各ガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に、姿勢操作部材31(31U,31L,31R)が進退自在に挿通されている。姿勢操作部材31は、ワイヤ31aと両端の柱状ピン31bとでなる。ワイヤ31aの材料としては、前記駆動軸22と同様に、金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤ31aは単線であっても、撚り線であってもよい。また、形状記憶合金を用いても良い。
【0032】
先端部材2側の柱状ピン31bの先端は球面状で、その球面状の先端が、図2(D)に示すように、ハウジング11の基端面に形成された径方向の溝部11bの底面に当接している。溝部11bおよび姿勢操作部材31は回転防止機構37を構成し、溝部11bに挿入された姿勢操作部材31の先端部が溝部11bの側面に当たることで、先端部材2がガイド部3に対して先端部材2の中心線CL1回りに回転するのを防止している。
【0033】
また、図2(A),(B)に示すように、外郭パイプ25の内径面と駆動軸22の間には、前記ガイドパイプ30とは別に、このガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に、複数本の補強シャフト34が配置されている。これらの補強シャフト34は、ガイド部3の剛性を確保するためのものであり、ガイドパイプ30と同外径で同じ湾曲形状である。ガイドパイプ30と補強シャフト34の配列間隔は等間隔とされている。ガイドパイプ30および補強シャフト34は、外郭パイプ25の内径面におよび前記転がり軸受26の外径面に接している。これにより、転がり軸受26の外径面を支持している。
【0034】
図1および図3に駆動部ハウジング4aの内部を示す。
作業具用駆動機構4bは、例えば電動モータからなる作業具用駆動源41を備える。作業具用駆動源41は、後部が駆動部ハウジング4aから突出した状態で設けられており、その出力軸41aの先端が前記駆動軸22の基端に結合させてある。
【0035】
姿勢変更用駆動機構4cは、各姿勢操作部材31(31U,31L,31R)にそれぞれ対応する姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を備える。姿勢変更用駆動源43は、例えば電動リニアアクチュエータであり、図1の左右方向に移動する出力ロッド43aの動きが、増力伝達機構44を介して前記姿勢操作部材31に伝達される。出力ロッド43aの動作位置、すなわち姿勢操作部材31の進退位置は、進退検出手段45(45U,45L,45R)にそれぞれ検出される。
【0036】
前記増力伝達機構44は、支軸44a回りに回動自在なレバー44b(43bU,43bL,43bR)を有し、このレバー44bにおける支軸44aからの距離が長い作用点P1(P1U,P1L,P1R)に出力ロッド43aの力が作用し、支軸44aからの距離が短い力点P2(P2U,P2L,P2R)で姿勢操作部材31に力を与える構成であり、姿勢変更用駆動源43の出力が増力して姿勢操作部材31に伝達される。増力伝達機構44を設けると、小さな出力のリニアアクチュエータでも姿勢操作部材31に大きな力を与えることができるので、リニアアクチュエータの小型化が可能になる。なお、駆動軸22は、レバー44bに形成された開口46(図3)を貫通させてある。
【0037】
図1において、前記カメラ8は、先端部材2の姿勢をこの先端部材2に非接触で検出するためのものであり、後述する姿勢推定手段71と共に姿勢検出装置9を構成する。カメラ8は、先端部材2の全体とガイド部3の先端部を撮影するように設置される。図1では1個のカメラ8だけが図示されているが、実際には図4に示すように、複数個(例えば2個)のカメラ8で、先端部材2およびガイド部3の中心線CL1,CL2周りの異なる位相(例えば直交2軸方向)から撮影する。姿勢推定手段71については、後で説明する。
【0038】
図5のブロック図に示すように、コントローラ7は、各種制御を行うコンピュータ60が内蔵されている。コンピュータ60は、工具回転用駆動源41を制御する回転制御装置61と、姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を制御する姿勢制御装置62とを備える。また、姿勢制御装置62は、姿勢変更制御手段63と初期位置制御手段64と補正手段65とを備える。補正手段65は、請求項1で言う校正手段である。
【0039】
回転制御装置61は、回転操作具66からの回転指令信号に応じてドライバ67に出力し、工具回転用駆動源41をオン・オフする。これにより、スピンドル13が回転および回転停止させられる。回転操作具66は、コントローラ7に設けられていてもよく、あるいは駆動源ハウジング4aに設けられていてもよい。
【0040】
姿勢制御装置62の姿勢変更制御手段63は、姿勢変更操作具68からの姿勢変更指令信号の入力値に応じてドライバ69に出力し、姿勢変更用駆動源43(43U,43L,43R)を駆動する。姿勢変更操作具68は、先端部材2を任意方向の姿勢変更操作と、その姿勢変更の程度の設定とを前記入力値となる姿勢変更指令信号の出力により行うものである。姿勢変更操作具68は、コントローラ7に設けられていてもよく、あるいは駆動源ハウジング4aに設けられていてもよい。
【0041】
例えば、先端部材2を図2(A)において先端が下向きとなる側に姿勢変更する場合は、各姿勢変更用駆動源43U,43L,43Rに出力して、上側の姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させる。それにより、姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。このとき、各姿勢操作部材31の進退量が適正になるように、各姿勢変更用駆動源43が制御される。各姿勢操作部材31を逆に進退させると、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0042】
また、先端部材2を図2(A)において先端が右向き、すなわち紙面の裏側向きとなる側に姿勢変更する場合は、姿勢変更用駆動源43L,43Rに出力して、上側の姿勢操作部材31Uは静止させた状態で、左側の姿勢操作部材31Lを先端側へ進出させ、かつ右側の姿勢操作部材31Rを後退させる。それにより、左側の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は案内面F1,F2に沿って右向きに姿勢変更する。左右の姿勢操作部材31L,31Rを逆に進退させると、右の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0043】
姿勢制御装置62の初期位置制御手段64は、製品組立完成時や先端部材2の交換時に、先端部材2が初期姿勢にあるときの姿勢操作部材31の進退位置である初期位置を求めて記憶する初期位置制御を行う。初期姿勢とは、先端部材2がガイド部3に対し真っ直ぐな姿勢、すなわち先端部材2の中心線CL1とガイド部3の中心線CL2とが合致する姿勢を言う。設計上では、先端部材2が初期姿勢にあるときは、各姿勢操作部材31の進退位置が同じに設定されている。しかし、実際に組み立てられた遠隔操作型アクチュエータは、部品の加工精度や組立精度等により製品ごとにガイド部3に対する先端部材2の真直度が若干異なるため、各姿勢操作部材31の初期位置が完全に同じにならないのが普通である。そこで、製品ごとに各姿勢操作部材31の初期位置を把握しておき、この初期位置の情報を姿勢変更制御手段63による制御に反映させることで、姿勢変更制御の精度を向上させるのである。
【0044】
初期位置制御手段64は、姿勢推定手段71と初期位置記憶手段72とでなる。姿勢推定手段71は、カメラ8で撮影された先端部材2およびガイド部3の先端部の像から、ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を推定する手段である。具体的な推定方法については後で説明する。初期位置記憶手段72は、先端部材2が初期姿勢であるときの各姿勢操作部材31の進退位置である初期位置を記憶する手段である。また、初期位置制御手段64には、次に説明する初期位置制御を実行させる初期位置制御実行操作具73が接続されている。
【0045】
初期位置制御実行操作具73を操作することで、初期位置制御が実行される。各姿勢操作部材31が後退位置にある状態から、各姿勢操作部材31を前進させて、先端部材2と姿勢操作部材31との間に所定の予圧を与える。これにより、先端部材2が一定の姿勢に固定される。姿勢変更用駆動源43の推力で姿勢操作部材31を前進させて先端部材2に予圧を与えるため、予圧を与えるための手段を別に設ける必要がない。
なお、姿勢検出装置9は、先端部材2に予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段9a(図5)を有し、この予圧付与確認手段9aで予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢の検出を行う。
【0046】
次に、図4のように、先端部材2およびガイド部3の先端部をカメラ8で撮影し、その撮影された画像から、姿勢推定手段71により先端部材2の姿勢を推定する。通常、最初の段階では、先端部材2が初期姿勢にならない。そこで、先端部材2の姿勢を監視しながら各姿勢操作部材31を進退させて、先端部材2が初期姿勢になるようにする。このときの各姿勢操作部材31の進退位置を検出し、その値を初期位置として初期位置記憶手段72に記憶させる。これら一連の動作は、初期位置制御手段64により自動的に行われる。なお、カメラ8で撮影する場合に、図示のように、光源として平行光源8aを用いるのが好ましい。平行光源8aは、平行光を投光する光源であり、その平行光は、カメラ8の光軸と平行で、先端部材2を挟んでカメラ8に向かう方向とする。
【0047】
補正手段65は、初期位置記憶手段64に記憶されている初期位置の情報を用いて、前記姿勢変更制御手段62により姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を補正する。姿勢変更制御手段63は、前記指令値を姿勢変更用駆動源43へ出力して、姿勢操作部材31を進退させる。これにより、製品ごとに異なる姿勢操作部材31の初期位置に応じた適正な姿勢変更制御を行うことができ、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更させられる。
【0048】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出の一方法を図6(A)〜(C)と共に説明する。図6(A),(B)は、それぞれカメラ8で撮影された像の例である。図6(A)のように先端部材2がガイド部3に対し真っ直ぐな場合も、図6(B)のように曲率中心Oで屈曲している場合も、ガイド部3の先端部の姿勢を基準にして先端部材2の姿勢を推定することができる。例えば、図6(B)の像から先端部材2の姿勢を推定するには、図6(C)のように先端部材2のみの像を抽出する。先端部材2の像とガイド部3の像の分離は、例えばパターンマッチングにより行う。そして、抽出された先端部材2の像から、慣性主軸を求める式(1),(2)を用いて、先端部材2の中心線CL1とガイド部3の中心線CL2との成す角度θを推定する。
【0049】
【数1】
mG、nG:投影像の重心の画素、f(m,n):各画素のデータ(輝度)、m:横方向の画素、n:縦方向の画素
なお、p,qは式(2)の(m−mG)、(n−nG)における、べき乗の係数のことである。式(1)のM11の場合、(m−mG)、(n−nG)が共に1乗であり、M11=ΣΣ(m−mG)×(n−nG)×f(m,n)となる。M20の場合、(m−mG)が2乗、(n−nG)が0乗であり、M20=ΣΣ(m−mG)×(m−mG)×f(m,n)となる。
mG、nGは像の重心となる画素を示し、図6(C)の投影像では先端部材2の面積の重心で、先端部材2の中心線CL1上の点になる。例えば、先端部材2の像の形状が円や長方形なら中心になるが、図6(C)では先端部材2の径が変化しているため、軸方向長さの中心から若干左右にずれた位置になる。m、nは画素を示し、680×480画素の画像データの場合、mは0〜679、nは0〜479の値をとる。また、例えばf(m,n)は横方向に左からm−1番目、縦方向に上からn−1番目の画素の輝度値を指す。
【0050】
上記操作を互いに直交2軸方向から撮影する2つのカメラ8の画像について行うことにより、先端部材2の3次元の姿勢を推定することができる。このようなカメラ8の画像を用いた光学式の姿勢検出方法は、先端部材2に非接触で先端部材2の姿勢を検出するため、先端部材2の衛生状態を良好に保つことができる。
【0051】
この遠隔操作型アクチュエータの動作を説明する。
回転操作具66を操作して工具回転用駆動源41を駆動させると、その回転力が駆動軸22を介してスピンドル13に伝達されて、スピンドル13と共に工具1が回転する。回転する工具1により、骨等の切削を行う。加工中は、加工箇所の形状や加工の進行に応じ、姿勢変更用操作具56の操作により姿勢変更用駆動源43を駆動させて、姿勢操作部材31を介して、先端部材2の任意の方向に変更する。
【0052】
姿勢変更用駆動源43は、先端部材2から離れた位置に設けられており、上記先端部材2の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材31はガイド孔30aに挿通されているため、姿勢操作部材31が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材2に対し適正に作用することができ、先端部材2の姿勢変更動作が正確に行われる。また、スピンドル13と駆動軸22との連結箇所の中心が案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置であるため、先端部材2の姿勢変更によって駆動軸22に対して押し引きする力がかからず、先端部材2を円滑に姿勢変更できる。
【0053】
また、先端部材2がガイド部3に対して先端部材2の中心線C1L回りに回転するのを防止する回転防止機構37が設けられているため、姿勢変更用駆動機構4cや姿勢制御装置62の故障等により工具1を保持する先端部材2が制御不能となった場合でも、先端部材2が中心線CL1回りに回転して加工箇所の周りを傷つけたり、先端部材2自体が破損したりすることを防止できる。
【0054】
この遠隔操作型アクチュエータは、例えば人工関節置換手術において骨の髄腔部を削るのに使用されるものであり、施術時には、先端部材2の全部または一部が患者の体内に挿入して使用される。このため、上記のように先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更できれば、常に工具1を適正な姿勢に保持した状態で骨の加工をすることができ、人工関節挿入用穴を精度良く仕上げることができる。
【0055】
細長形状であるガイド部3には、駆動軸22および姿勢操作部材31を保護状態で設ける必要があるが、外郭パイプ25の中心部に駆動軸22を設け、外郭パイプ25と駆動軸22との間に、姿勢操作部材31を収容したガイドパイプ30と補強シャフト34とを円周方向に並べて配置した構成としたことにより、駆動軸22および姿勢操作部材31を保護し、かつ内部を中空して軽量化を図りつつ剛性を確保できる。また、全体のバランスも良い。
【0056】
駆動軸22を支持する転がり軸受26の外径面を、ガイドパイプ30と補強シャフト34とで支持させたため、余分な部材を用いずに転がり軸受26の外径面を支持できる。また、ばね要素27A,27Bにより転がり軸受26に予圧がかけられているため、ワイヤからなる駆動軸22を高速回転させることができる。そのため、スピンドル13を高速回転させて加工することができ、加工の仕上がりが良く、工具1に作用する切削抵抗を低減させられる。ばね要素27A,27Bは隣合う転がり軸受26間に設けられているので、ガイド部3の径を大きくせずにばね要素27A,27Bを設けることができる。
【0057】
初期位置姿勢を先端部材2が真っ直ぐな姿勢とし、その姿勢は図6(A)に示すガイド部3の先端部の像から姿勢を推定できる。まず、ガイド部3の先端部の像を抽出し、ガイド部3の直線状部分からなる先端部の側縁であるエッジEを検出する。エッジEはガイド部の画像の上部または下部のエッジである。エッジEが直線で近似され、その直線情報から姿勢を推定する。すなわち、エッジEの直線情報からガイド部3の先端部の姿勢を推定し、その姿勢を基準に先端部材2の姿勢を推定する。初期位置姿勢は、先端部材2がガイド部3の先端部と平行となる姿勢のことである。したがって、ガイド部3のエッジEの直線情報からガイド部3の姿勢を推定し、その姿勢を基準に先端部材2の相対角度を求め、先端部材2の角度を推定する必要がある。
【0058】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出の異なる方法を図7と共に説明する。まず、図7(A)のように、先端部材2およびガイド部3の先端部を含む全体像の傾き角度θ1を求める。こうして得られた傾き角度θ1は、実際の先端部材2の傾き角度θとの間に差がある。次に、傾き角度θ1に垂直な方向で曲率中心Oを通る直線L1を切取り線として、全体像のうちガイド部3の部分を切取って、図7(B)のような工具1を含む先端部材2だけの像を抽出する。そして、その像の傾き角度θ2を求める。さらに、図7(C)のように、前記傾き角度θ2に垂直な方向で曲率中心Oを通る直線L2を元の全体像に対する切取り線としてガイド部3の部分を切取って、図7(D)のような先端部材2だけの像を抽出する。そして、その像の傾き角度θ3を求める。
【0059】
このように、全体像から先端部材2だけの像を抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを先端部材2の傾きとする。抽出操作と傾き取得操作とを繰り返し行うことにより、得られる傾き角度が実際の傾き角度θに次第に近づき、最終的には図7(E)のように実際の傾き角度θとほぼ一致する。
【0060】
姿勢検出装置9による先端部材2の姿勢検出のさらに異なる方法を図8(A),(B)および図9(A),(B)と共に説明する。この姿勢検出装置9は、カメラ8と姿勢推定手段71の他に、ガイド部3の直線状の先端部および先端部材2に向けて等間隔で複数条の光線75aを照射する光照射手段75を有する。光照射手段75によりガイド部3の先端部および先端部材2に複数条の光線75aを当てた場合、図8(A)のように、ガイド部3の先端部に対し先端部材2が平行であれば、図8(B)のように、カメラ8で撮影された像におけるガイド部3の光の当たった箇所の間隔ΔLと、先端部材2の光の当たった箇所の間隔ΔDとが同じになる。しかし、図9(A)のように、ガイド部3の先端部に対し先端部材2が平行でないと、図9(B)のように、カメラ8で撮影された像におけるガイド部3の光の当たった箇所の間隔ΔL´と、先端部材2の光の当たった箇所の間隔ΔD´とが異なる。この間隔の違いから、姿勢推定手段71により、ガイド部3に対する先端部材2の姿勢を推定することができる。
【0061】
また、姿勢制御装置62は図10に示す構成としてもよい。この姿勢制御装置62は、姿勢変更制御手段63とテーブル作成制御手段81と照合手段82とを備える。照合手段82は、請求項1で言う校正手段である。テーブル作成制御手段81は、姿勢推定手段71と姿勢・進退位置関係テーブル83とでなる。姿勢・進退位置関係テーブル83は、請求項1で言う記憶手段である。姿勢推定手段71は、前記同様の構成である。また、テーブル作成制御手段81には、次に説明するテーブル作成制御を実行させるテーブル作成制御実行操作具84が接続されている。
【0062】
テーブル作成制御実行操作具84を操作することで、テーブル作成制御手段81により、図11のフローチャートに示すテーブル作成制御が実行される。すなわち、姿勢操作部材31を指示された進退位置へ移動させ(S1)、先端部材2の姿勢をカメラ8の画像から姿勢推定手段71で推定する(S2)。そのときの姿勢操作部材31の進退位置および先端部材2の姿勢を、姿勢・進退位置関係テーブル83に記録する(S3)。次に、姿勢操作部材31の別の進退位置を指示する(S4)。以下、前記同様に、姿勢操作部材31の移動(S1)、先端部材2の姿勢の推定(S2)、姿勢操作部材31の進退位置および先端部材2の姿勢の記録(S3)、姿勢操作部材31の進退位置の指示(S4)を繰り返して、姿勢操作部材31の進退位置と先端部材2の姿勢との関係を示すデータを姿勢・進退位置関係テーブル83に作成する。
【0063】
照合手段82は、姿勢変更制御手段63からの求めに応じて、姿勢・進退位置関係テーブル83に記録されているデータを照合して、姿勢変更操作具68によって指示された先端部材2の姿勢に適合する姿勢操作部材31の進退位置で探し出し、姿勢変更用駆動源43へ出力する指令値を生成する。姿勢変更制御手段63は、前記指令値を姿勢変更用駆動源43へ出力して、姿勢操作部材31を進退させる。これにより、製品ごとに異なる先端部材2の真直度に応じた適正な姿勢変更制御を行うことができ、先端部材2を目標とする姿勢に正確に変更させられる。
【0064】
上記実施形態は、作業具が回転する工具1である例を示すが、作業具は把持具等の他の作業具であってもよい。また、この発明は、医療用の遠隔操作型アクチュエータに限らず、機械加工等の他の分野で用いられる遠隔操作型アクチュエータにも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1…工具(作業具)
2…先端部材
3…ガイド部
8…カメラ
9…姿勢検出装置
9a…予圧付与確認手段
22…駆動軸
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…作業具用駆動源
43…姿勢変更用駆動源
62…姿勢制御装置
63…姿勢変更制御手段
65…補正手段(校正手段)
68…姿勢変更操作具
71…姿勢推定手段
72…初期位置記憶手段
75…光照射手段
75a…光線
82…照合手段(校正手段)
83…姿勢・進退位置関係テーブル(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、
前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、
前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたことを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢が前記ガイド部と平行であるときの前記姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶する記憶手段を設け、前記校正手段は、前記記憶手段に記憶された前記初期位置の情報を用いて前記指令値を補正する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢と、前記姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶する記憶手段を設け、前記校正手段は、前記記憶手段の記憶内容に従って前記指令値を生成する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部の中心線周りの異なる位相から前記ガイド部および前記先端部材を撮影する複数のカメラと、これら複数のカメラで撮影された複数の像から前記ガイド部に対する前記先端部材の3次元の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像から先端部材だけの像とガイド部だけの像とをそれぞれ抽出し、先端部材だけの像の中心線とガイド部だけの像の中心線とが成す角度を、慣性主軸を求める方法を用いて推定するものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項7】
請求項4または請求項5において、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像の全体の傾きを求めた後、求められた傾きと垂直な直線を切取り線として前記カメラで撮影された像のうち前記ガイド部の部分を切取り前記先端部材の部分だけを抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを前記先端部材の傾きとするものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、前記カメラで撮影された像から一部分だけを抽出する作業をパターンマッチングの手法を用いて行う遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材に向けて等間隔で複数条の光線を照射する光照射手段と、この光照射手段により照射された前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像における前記複数条の光線の当たった箇所の間隔から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢を検出する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10において、前記姿勢操作部材により前記先端部材に与える予圧は、前記姿勢変更用駆動源の推力によるものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項12】
請求項10または請求項11において、前記姿勢検出装置は、前記予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段を有し、この予圧付与確認手段で予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を行う遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項13】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の遠隔操作型アクチュエータを使用する方法であって、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与え状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢の検出を行わせる遠隔操作型アクチュエータの使用方法。
【請求項1】
細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けた作業具と、この作業具を駆動させる作業具用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源と、姿勢変更操作具から与えられる入力値に従って前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢変更制御手段とを備え、
前記ガイド部は、前記作業具用駆動源の駆動力を前記作業具に伝達する駆動軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、前記姿勢変更用駆動源により駆動されて進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、
前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢をこの先端部材に非接触で検出する姿勢検出装置と、前記姿勢変更操作具から与えられる入力値に応じて前記姿勢変更制御手段により前記姿勢変更用駆動源へ出力する指令値を、前記姿勢検出装置で検出された姿勢の情報を用いて補正または生成する校正手段とを設けたことを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢が前記ガイド部と平行であるときの前記姿勢操作部材の進退位置を初期位置として記憶する記憶手段を設け、前記校正手段は、前記記憶手段に記憶された前記初期位置の情報を用いて前記指令値を補正する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1において、前記姿勢検出装置によって検出された前記先端部材の姿勢と、前記姿勢操作部材の進退位置との関係を記憶する記憶手段を設け、前記校正手段は、前記記憶手段の記憶内容に従って前記指令値を生成する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部の中心線周りの異なる位相から前記ガイド部および前記先端部材を撮影する複数のカメラと、これら複数のカメラで撮影された複数の像から前記ガイド部に対する前記先端部材の3次元の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像から先端部材だけの像とガイド部だけの像とをそれぞれ抽出し、先端部材だけの像の中心線とガイド部だけの像の中心線とが成す角度を、慣性主軸を求める方法を用いて推定するものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項7】
請求項4または請求項5において、前記姿勢推定手段は、前記カメラで撮影された像の全体の傾きを求めた後、求められた傾きと垂直な直線を切取り線として前記カメラで撮影された像のうち前記ガイド部の部分を切取り前記先端部材の部分だけを抽出する抽出操作と、抽出された像の傾きを取得する傾き取得操作とを任意に定められた回数だけ繰り返して行い、最終的な傾き取得操作により得られた像の傾きを前記先端部材の傾きとするものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、前記カメラで撮影された像から一部分だけを抽出する作業をパターンマッチングの手法を用いて行う遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記姿勢検出装置は、前記ガイド部および前記先端部材に向けて等間隔で複数条の光線を照射する光照射手段と、この光照射手段により照射された前記ガイド部および前記先端部材を撮影するカメラと、このカメラで撮影された像における前記複数条の光線の当たった箇所の間隔から前記ガイド部に対する前記先端部材の姿勢を推定する姿勢推定手段とを有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与えた状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢を検出する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10において、前記姿勢操作部材により前記先端部材に与える予圧は、前記姿勢変更用駆動源の推力によるものである遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項12】
請求項10または請求項11において、前記姿勢検出装置は、前記予圧が与えられた状態であることを確認する予圧付与確認手段を有し、この予圧付与確認手段で予圧が与えられた状態にあることが確認された状態で前記姿勢検出装置による前記先端部材の姿勢の検出を行う遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項13】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の遠隔操作型アクチュエータを使用する方法であって、前記姿勢操作部材により前記先端部材に予圧を与え状態で、前記姿勢検出装置により前記先端部材の姿勢の検出を行わせる遠隔操作型アクチュエータの使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−217787(P2011−217787A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86836(P2010−86836)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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