説明

遠隔操作型アクチュエータ

【課題】 細長いパイプ部の先端に設けられた工具の姿勢を、遠隔操作で精度良く変更することができる遠隔操作型アクチュエータを提供する。
【解決手段】 細長形状のスピンドルガイド部3と、その先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材2と、先端部材2に回転自在に設けた工具1とを備える。スピンドルガイド部3は、スピンドル13に回転を伝達する回転軸22と、両端に貫通したガイド孔30aとを内部に有する。ガイド孔30a内に進退自在に挿通した姿勢操作部材31を姿勢変更用駆動源42で進退動作させて、先端部材2を姿勢変更させる。姿勢変更用駆動源42を制御する姿勢制御手段53は、姿勢操作部材31を動作開始位置である基準位置から目標位置へ移動させる制御を行うとき、一時的に姿勢操作部材を目標位置から遠ざかる側に移動させる過程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工具の姿勢を遠隔操作で変更可能で、医療用、機械加工等の用途で用いられる遠隔操作型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用として骨の加工に用いられたり、機械加工用としてドリル加工や切削加工に用いられたりする遠隔操作型アクチュエータがある。遠隔操作型アクチュエータは、直線形状や湾曲形状をした細長いパイプ部の先端に設けた工具を遠隔操作で制御する。ただし、従来の遠隔操作型アクチュエータは、工具の回転のみを遠隔操作で制御するだけであったため、複雑な形状の加工や外からは見えにくい箇所の加工が難しかった。また、ドリル加工では、直線だけではなく、湾曲状の加工が可能なことが求められる。さらに、切削加工では、溝内部の奥まった箇所の加工が可能なことが求められる。以下、医療用を例にとって、遠隔操作型アクチュエータの従来技術と課題について説明する。
【0003】
整形外科分野において、骨の老化等によって擦り減って使えなくなった関節を新しく人工のものに取り替える人工関節置換手術がある。この手術では、患者の生体骨を人工関節が挿入できるように加工する必要があるが、その加工には、術後の生体骨と人工関節との接着強度を高めるために、人工関節の形状に合わせて精度良く加工することが要求される。
【0004】
例えば、股関節の人工関節置換手術では、大腿骨の骨の中心にある髄腔部に人工関節挿入用の穴を形成する。人工関節と骨との接触強度を保つには両者の接触面積を大きくとる必要があり、人工関節挿入用の穴は、骨の奥まで延びた細長い形状に加工される。このような骨の切削加工に用いられる医療用アクチュエータとして、細長いパイプ部の先端に工具を回転自在に設け、パイプ部の基端側に設けたモータ等の回転駆動源の駆動により、パイプ部の内部に配した回転軸を介して工具を回転させる構成のものがある(例えば特許文献1)。この種の医療用アクチュエータは、外部に露出した回転部分は先端の工具のみであるため、工具を骨の奥まで挿入することができる。
【0005】
人工関節置換手術では、皮膚切開や筋肉の切断を伴う。すなわち、人体に傷を付けなければならない。その傷を最小限に抑えるためには、前記パイプ部は真っ直ぐでなく、適度に湾曲している方が良い場合がある。このような状況に対応するためのものとして、次のような従来技術がある。例えば、特許文献2は、パイプ部の中間部を2重に湾曲させて、パイプ部の先端側の軸心位置と基端側の軸心位置とをずらせたものである。このようにパイプ部の軸心位置が先端側と軸心側とでずれているものは、他にも知られている。また、特許文献3は、パイプ部を180度回転させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−301149号公報
【特許文献2】米国特許第4,466,429号明細書
【特許文献3】米国特許第4,265,231号明細書
【特許文献4】特開2001−17446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生体骨の人工関節挿入用穴に人工関節を嵌め込んだ状態で、生体骨と人工関節との間に広い隙間があると、術後の接着時間が長くなるため、前記隙間はなるべく狭いのが望ましい。また、生体骨と人工関節の接触面が平滑であることも重要であり、人工関節挿入用穴の加工には高い精度が要求される。しかし、パイプ部がどのような形状であろうとも、工具の動作範囲はパイプ部の形状の制約を受けるため、皮膚切開や筋肉の切断をできるだけ小さくしながら、生体骨と人工関節との間の隙間を狭くかつ両者の接触面が平滑になるように人工関節挿入用穴を加工するのは難しい。
【0008】
一般に、人工関節置換手術が行われる患者の骨は、老化等により強度が弱くなっていることが多く、骨そのものが変形している場合もある。したがって、通常考えられる以上に、人工関節挿入用穴の加工は難しい。
【0009】
そこで、本出願人は、人工関節挿入用穴の加工を比較的容易にかつ精度良く行えるようにすることを目的として、先端に設けた工具の姿勢を遠隔操作で変更可能とすることを試みた。工具の姿勢が変更可能であれば、パイプ部の形状に関係なく、工具を適正な姿勢に保持することができるからである。しかし、試作品で試験を行った結果、遠隔操作用の操作部材の動作方向によって操作部材に生じる摩擦抵抗の向きが変わることや、摩擦抵抗で操作部材が弾性変形することにより、操作部材を繰り返し動作する場合に操作部材の動作量に誤差が生じる場合のあることが分かった。
【0010】
なお、細長いパイプ部を有しない遠隔操作型アクチュエータでは、手で握る部分に対して工具が設けられた部分が姿勢変更可能なものがある(例えば特許文献4)が、遠隔操作で工具の姿勢を変更させるものは提案されていない。
【0011】
この発明の目的は、細長いパイプ部の先端に設けられた工具の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、特に遠隔操作用の操作部材を繰り返し動作させたときに摩擦抵抗の方向の違いに起因する誤差を低減できる遠隔操作型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかる遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に回転自在に設けた工具と、この工具を回転させる工具回転用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備え、前記先端部材は、前記工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる可撓性の姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させる。前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢制御手段を設け、この姿勢制御手段は、前記姿勢操作部材を動作開始位置である基準位置から目標位置へ移動させる制御を行うとき、定められた規則に従い、一時的に姿勢操作部材を目標位置から遠ざかる側に移動させる過程を含むことを特徴とする。前記基準位置は、動作開始位置つまり動作開始直前の現在位置のことであり、原点位置等の特定の位置に限らない。
【0013】
この構成によれば、工具回転用駆動源の回転が回転軸を介して先端部材のスピンドルに伝達され、このスピンドルに保持された工具が回転することにより、骨等の切削が行われる。このときの先端部材の姿勢は、姿勢操作部材の先端の位置によって決定される。姿勢変更用駆動源により姿勢操作部材を進退させると、この姿勢操作部材の先端の位置が変わり、先端部材が姿勢変更する。姿勢変更用駆動源は、先端部材から離れた位置に設けられており、上記先端部材の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材はガイド孔に挿通されているため、姿勢操作部材が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材に対し適正に作用することができ、先端部材の姿勢変更動作が正確に行われる。また、姿勢操作部材は可撓性であるため、スピンドルガイド部が湾曲した状態でも姿勢変更動作が確実に行われる。
【0014】
姿勢操作部材は、細長形状のスピンドルガイド部の両端に貫通したガイド孔に挿通されており、細くて長く剛性が低いため、外力の影響を受けて進退方向の長さが変わる。つまり、姿勢操作部材はばね系であると見なせる。姿勢操作部材の進退、すなわち先端部材に対する作用力が増大する側への移動と減少する側への移動とで、姿勢操作部材とガイド孔の内周面との間で生じる摩擦の向きが異なる。また、姿勢操作部材を先端部材に対する作用力が増大する側へ移動させる場合は、姿勢操作部材と先端部材との接触部の摩擦が大きいが、作用力が減少する側へ移動させる場合は、姿勢操作部材と先端部材との接触部の摩擦はほとんど生じない。これらのことから、先端部材の姿勢変更時、姿勢変更用駆動源により姿勢操作部材に付与する駆動力が一定であっても、姿勢操作部材の進退の状況が異なれば、姿勢操作部材の長さが変わり、姿勢操作部材の先端の位置が一定しない。これは、先端部材の姿勢変更制御の精度に影響する。姿勢制御手段が、姿勢操作部材を基準位置から目標位置へ移動させる制御を行うとき、一時的に姿勢操作部材を目標位置を越えて移動させ、その後戻るように目標位置へ移動させると、上記姿勢操作部材の長さが変わる要因を排除することができる。それにより、常に一定の精度で先端部材の姿勢変更制御を行える。
【0015】
この発明において、前記姿勢操作部材は、前記先端部材側に配置された剛体の先端力伝達部材と、前記姿勢変更用駆動源側に配置された剛体の基端力伝達部材と、これら先端力伝達部材と基端力伝達部材間で力を伝達する可撓性で長尺な中間力伝達部材とでなっていても良い。
先端力伝達部材および基端力伝達部材を剛体とすることで、姿勢操作部材の作用力を先端部材に確実に伝達することができ、かつ姿勢変更用駆動源の駆動力を姿勢操作部材に確実に伝達することができる。また、中間力伝達部材を可撓性で長尺とすることで、姿勢操作部材全体を可撓性とすることができる。
【0016】
この発明において、前記姿勢制御手段は、前記姿勢操作部材を基準位置から前記先端部材に対する作用力が減少する側の目標位置へ移動させるとき、目標位置を越えて移動させた後、目標位置まで戻すように前記姿勢変更用駆動源を制御するのが良い。
姿勢操作部材を先端部材に対する作用力が増大する側へ移動させる場合と減少する側へ移動させる場合とを比較すると、他の部材との摩擦の関係で、減少する側へ移動させる場合の方が、姿勢操作部材の先端の移動量が大きい。すなわち、作用力が増大する側へ移動させる場合と減少する側へ移動させる場合とで、姿勢操作部材の先端の移動量に差が生じる。姿勢操作部材を基準位置から先端部材に対する作用力が減少する側の目標位置へ移動させるとき、目標位置を越えて移動させた後、目標位置まで戻すようにすれば、上記移動量の差を解消して、姿勢操作部材に付与する駆動力が一定である場合には姿勢操作部材の先端の移動量を一定にできる。それにより、先端部材の姿勢変更制御の精度が向上する。
【0017】
この発明において、前記先端部材は前記先端部材連結部の円筒状または球面状の案内面に沿って姿勢変更するものであり、前記ガイド孔およびこのガイド孔内に挿通された姿勢操作部材を、前記案内面の曲率中心の周りの複数箇所に設け、前記姿勢変更用駆動源を各姿勢操作部材に対して個別に設け、前記複数の姿勢操作部材の前記先端部材への作用力の釣り合いにより前記先端部材の姿勢を変更、維持させるものとしても良い。
この構成であると、複数の姿勢操作部材で先端部材に作用力を付与して、先端部材の姿勢を変更、維持させるため、先端部材の姿勢安定性を高めることができる。このように複数の姿勢操作部材で先端部材を姿勢変更させる場合、前記姿勢制御手段を以下のように構成することができる。
【0018】
すなわち、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、各姿勢操作部材が同じ方向に移動して動作を完了するように前記姿勢変更用駆動源を制御するのが良い。
各姿勢操作部材が同じ方向に移動して動作を完了すれば、他の部材との摩擦の関係が各姿勢操作部材で同じになるため、動作完了時点における各姿勢操作部材の先端の移動量をほぼ同じにできる。
【0019】
また、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、各姿勢操作部材につき、目標位置を越えた位置まで移動させた後、目標位置まで戻すように前記姿勢変更用駆動源を制御しても良い。
目標位置を越えた位置を適正に設定することにより、互いに異なる方向に移動する複数の姿勢操作部材について、動作完了時点における各姿勢操作部材の先端の移動量をほぼ同じにできる。
【0020】
また、前記姿勢制御手段は、各姿勢操作部材を同期して駆動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御するのが良い。
各姿勢操作部材を同期して駆動すれば、先端部材の姿勢変更を短時間で円滑に行える。
【0021】
上記各姿勢制御手段の思想を組み合わせて、姿勢制御手段を構成しても良い。
例えば、第1の手法にかかる姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置の手前の位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材および減少する姿勢制御部材を、それぞれの目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する。
【0022】
また、第2の手法にかかる姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する。
【0023】
また、第3の手法にかかる姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置の手前の第1の手前位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を、目標位置の手前で前記第1の手前位置よりも目標位置に近い第2の手前位置まで移動させ、第3過程で、前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する。
【0024】
また、第4の手法にかかる姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材および減少する側に移動させる姿勢制御部材を、それぞれの目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する。
【発明の効果】
【0025】
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に回転自在に設けた工具と、この工具を回転させる工具回転用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備え、前記先端部材は、前記工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる可撓性の姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させるものであって、前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢制御手段を設け、この姿勢制御手段は、前記姿勢操作部材を動作開始位置である基準位置から目標位置へ移動させる制御を行うとき、定められた規則に従い、一時的に姿勢操作部材を目標位置から遠ざかる側に移動させる過程を含むため、細長いパイプ部の先端に設けられた工具の姿勢を遠隔操作で精度良く変更することができ、特に遠隔操作用の姿勢操作部材を繰り返し動作させたときに摩擦抵抗の方向の違いに起因する誤差を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの全体構成を示す図である。
【図2】(A)は同遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびスピンドルガイド部の断面図、(B)はそのIIB−IIB断面図、(C)は先端部材と回転軸との連結構造を示す図、(D)は先端部材のハウジングを基端側から見た図である。
【図3】図2(A)とは異なる状態を示す先端部材およびスピンドルガイド部の断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】姿勢操作部材の異なる2つ状態を模式化して表した図である。
【図6】(A),(B),(C)は姿勢変更制御の第1の手法による先端部材の姿勢変更における姿勢操作部材の位置の変化を段階的に示す図である。
【図7】姿勢変更制御の第1の手法による先端部材の姿勢変更時における各姿勢操作部材の基端位置の変化を示すタイムチャートである。
【図8】姿勢変更制御の第1の手法による先端部材の姿勢変更時における先端部材の変位量の変化を示すタイムチャートである。
【図9】(A),(B),(C)は姿勢変更制御の第2の手法による先端部材の姿勢変更における姿勢操作部材の位置の変化を段階的に示す図である。
【図10】姿勢変更制御の第2の手法による先端部材の姿勢変更時における各姿勢操作部材の基端位置の変化を示すタイムチャートである。
【図11】姿勢変更制御の第2の手法による先端部材の姿勢変更時における先端部材の変位量の変化を示すタイムチャートである。
【図12】(A),(B),(C),(D)は姿勢変更制御の第3の手法による先端部材の姿勢変更における姿勢操作部材の位置の変化を段階的に示す図である。
【図13】姿勢変更制御の第3の手法による先端部材の姿勢変更時における各姿勢操作部材の基端位置の変化を示すタイムチャートである。
【図14】姿勢変更制御の第3の手法による先端部材の姿勢変更時における先端部材の変位量の変化を示すタイムチャートである。
【図15】(A),(B),(C)は姿勢変更制御の第4の手法による先端部材の姿勢変更における姿勢操作部材の位置の変化を段階的に示す図である。
【図16】姿勢変更制御の第4の手法による先端部材の姿勢変更時における各姿勢操作部材の基端位置の変化を示すタイムチャートである。
【図17】姿勢変更制御の第4の手法による先端部材の姿勢変更時における先端部材の変位量の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施形態を図1〜図4と共に説明する。図1において、この遠隔操作型アクチュエータは、回転式の工具1を保持する先端部材2と、この先端部材2が先端に姿勢変更自在に取付けられた細長形状のスピンドルガイド部3と、このスピンドルガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aと、この駆動部ハウジング4a内の工具回転用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cを制御するコントローラ5とを備える。駆動部ハウジング4aは、内蔵の工具回転用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cと共に駆動部4を構成する。
【0028】
図2および図3に示すように、先端部材2は、略円筒状のハウジング11の内部に、一対の軸受12によりスピンドル13が回転自在に支持されている。スピンドル13は、先端側が開口した筒状で、内径のスプライン部13aに工具1のシャンク1aが回転不能の嵌合し、抜け止めピン14によりシャンク1aの抜け止めがなされている。この先端部材2は、先端部材連結部15を介してスピンドルガイド部3の先端に取付けられる。先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。
【0029】
具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、スピンドルガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、スピンドル13の中心線CL1上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。これにより、スピンドルガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、姿勢変更自在に支持される。図2は、スピンドル13の中心線CL1とスピンドルガイド部3の中心線CL2が同一線である状態を示し、図3は両中心線CL1,CL2が互いに交差して角度θを持った状態を示す。
【0030】
スピンドルガイド部3は、駆動部ハウジング4a内の工具回転用駆動源41(図1)の回転力を前記スピンドル13へ伝達する回転軸22を有する。この例では、回転軸22はワイヤとされ、ある程度の弾性変形が可能である。ワイヤの材質としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。
【0031】
図2(C)に示すように、スピンドル13と回転軸22とは、自在継手等の継手23を介して、互いに回転伝達可能に連結されている。継手23は、スピンドル13の閉塞した基端に設けられた溝13aと、回転軸22の先端に設けられ前記溝13aに係合する突起22aとで構成される。上記溝13aと突起22aとの連結箇所の中心は、前記案内面F1,F2の曲率中心Oと動位置である。回転軸22と突起22aとは別部材で構成してもよい。
【0032】
スピンドルガイド部3は、このスピンドルガイド部3の外郭となる外郭パイプ25を有し、この外郭パイプ25の中心に前記回転軸22が位置する。回転軸22は、それぞれ軸方向に離れて配置された複数の転がり軸受26によって回転自在に支持されている。転がり軸受26は、スピンドルガイド3内の回転軸22を回転自在に支持する回転支持部材である。各転がり軸受26間には、これら転がり軸受26に予圧を発生させるためのばね要素27A,27Bが設けられている。ばね要素27A,27Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受26の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素27Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素27Bとがあり、これらが交互に配置されている。前記抜け止め部材21は、固定ピン28により外郭パイプ25のパイプエンド部25aに固定され、その先端内周部で転がり軸受29を介して回転軸22の先端部を回転自在に支持している。パイプエンド部25aは、外郭パイプ25と別部材とし、溶接等により結合してもよい。
【0033】
外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、互いに120度の位相にある周方向位置に、両端に貫通する3本のガイドパイプ30が設けられている。そして、各ガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に、姿勢操作部材31(31U,31L,31R)が進退自在に挿通されている。この例では、姿勢操作部材31は、ワイヤからなり可撓性で長尺な中間力伝達部材31aと、その両端にそれぞれ配置され柱状の剛体からなる先端力伝達部材31bおよび基端力伝達部材31cとで構成される。
【0034】
先端力伝達部材31bの先端は球面状で、その球面状の先端が、ハウジング11の基端面11に形成された径方向の溝部11bの底面に当接している。溝部11bおよび先端力伝達部材31bは回転防止機構37を構成し、溝部11bに挿入された先端力伝達部材31bの先端部が溝部11bの側面に当たることで、先端部材2がスピンドルガイド部3に対してスピンドル13の中心線CL1回りに回転するのを防止している。基端力伝達部材31cの基端も球面状で、その球面状の基端が、後記レバー43bの側面に当接している。
【0035】
また、外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、前記ガイドパイプ30とは別に、このガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に、複数本の補強シャフト34が配置されている。これらの補強シャフト34は、スピンドルガイド部3の剛性を確保するためのものである。ガイドパイプ30と補強シャフト34の配列間隔は等間隔とされている。ガイドパイプ30および補強シャフト34は、外郭パイプ25の内径面におよび前記転がり軸受26の外径面に接している。これにより、転がり軸受26の外径面を支持している。
【0036】
図1および図4に示すように、工具回転用駆動機構4bは、工具回転用駆動源41を備える。工具回転用駆動源41は、例えば電動モータであり、その出力軸41aが前記回転軸22の基端に結合させてある。また、姿勢制御用駆動機構4cは、各姿勢変更部材31(31U,31L,31R)(図2(B))にそれぞれ対応する3個の姿勢制御用駆動源42(42U,42L,42R)を備える。姿勢制御用駆動源42は、例えば電動リニアアクチュエータであり、内蔵されている回転モータ(図示せず)の回転運動を、逆入力防止機構を兼ねる回転・直線運動変換機構45を介して直線運動に変換し、出力ロッド42aに伝達する。出力ロッド42aは図1の左右方向に移動し、その出力ロッド42aの移動量すなわち姿勢制御用駆動源42の動作量が、動作量検出器46によって検出される。
【0037】
上記回転・直線運動変換機構45としては、三角ねじや台形ねじ等の滑りねじ型の送りねじ機構を採用できる。このような滑りねじ型の送りねじ機構を設けたことにより、姿勢制御用駆動源42は、姿勢操作部材31からの力で動作するのを防止する逆入力防止機能を有する。回転・直線運動変換機構45としては、滑りねじ型の他に、ボールねじやラック・ピニオン機構等を用いてもよい。その場合は、逆入力防止機構を別に設けるのが望ましい。この場合の逆入力防止機構としては、ウォームギア等が採用できる。その他、減速比の大きい減速機構も採用できる。
なお、逆入力防止機構は、必ずしも姿勢制御用駆動源42に設ける必要はなく、姿勢制御用駆動機構4cのどこか、すなわち姿勢制御用駆動源42と姿勢操作部材31との間に設ければよい。
【0038】
出力ロッド42aの直線運動は、増力伝達機構43を介して姿勢操作部材31に伝達される。増力伝達機構43は、支軸43a回りに回動自在なレバー43bを有し、このレバー43bにおける支軸43aからの距離が長い作用点P1に出力ロッド42aの力が作用し、支軸43aからの距離が短い力点P2で姿勢操作部材31に力を与える構成であり、姿勢制御用駆動源42の出力が増力して姿勢操作部材31に伝達される。レバー43bの中間部には肉厚の薄い起歪部43baが設けられ、この起歪部43baの両側に起歪部43baに発生する歪みを検出する歪みセンサ47が取付けられている。なお、回転軸22は、レバー43bに形成された開口44を貫通させてある。
【0039】
コントローラ5は、コンピュータおよびこれに実行されるプログラムからなる制御装置5Aと、上記コンピュータに対して入力する手動操作式の回転速度設定手段50および姿勢設定手段51とを備える。回転速度設定手段50は、スピンドル13の回転速度を設定するものである。姿勢設定手段51は、先端部材2のスピンドルガイド部3に対する目標姿勢を設定するものである。また、コントローラ5における制御装置5Aは、上記コンピュータとプログラムとで、工具回転用駆動源41を制御する工具回転制御手段52と、各姿勢制御用駆動源42を制御する姿勢制御手段53と、先端部材2に作用する外力を推定する外力推定手段54とが構成されている。
【0040】
工具回転制御手段52は、前記回転速度設定手段50からの入力に応じてモータドライバ55に出力し、工具回転用駆動源41を駆動させる。
【0041】
姿勢制御手段53は、初期姿勢保持制御部53aと姿勢変更制御部53bとでなる。これら初期姿勢保持制御部53aおよび姿勢変更制御部53bは、前記姿勢設定手段51からの入力等に応じてモータドライバ56に出力し、姿勢制御用駆動源42を駆動させる。
【0042】
初期姿勢保持制御部53aは、先端部材2を定められた初期姿勢で姿勢保持可能とする初期姿勢保持力を各姿勢操作部材31に与えるように各姿勢制御用駆動源42を制御する。初期姿勢は、例えばスピンドル13の中心線CL1とスピンドルガイド部3の中心線CL2とが同一線となる姿勢である。先端部材2の姿勢は、先端部材2に作用する外力と各姿勢制御用駆動源42の推力とのバランスによって決定される。そこで、初期姿勢保持力を姿勢操作部材31に与えるように各姿勢制御用駆動源42を制御することで、先端部材2を初期姿勢に保持する。姿勢制御用駆動源42の推力によって、先端部材2の姿勢の維持、すなわち先端部材2の剛性確保を行うのである。
【0043】
姿勢変更制御部53bは、各姿勢操作部材31が互いに連係して進退して先端部材2を姿勢変更させるように各姿勢制御用駆動源42を制御する。
例えば、図2における上側の1つの姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させると、上側の姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図2(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。各姿勢操作部材31を逆に進退させると、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図2(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0044】
また、上側の姿勢操作部材31Uは静止させた状態で、左側の姿勢操作部材31Lを先端側へ進出させ、かつ右側の姿勢操作部材31Rを後退させると、左側の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は右向き、すなわち図2(A)において紙面の裏側向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。左右の姿勢操作部材31L,31Rを逆に進退させると、右の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
【0045】
上記先端部材2の姿勢変更制御において、先端部材2の姿勢は、先端部材2が初期姿勢にあるときの姿勢操作部材31の位置を原点位置として、この原点位置に対する姿勢操作部材31の進退量に応じて決定される。具体的には、姿勢変更制御部53bは、姿勢設定手段51で設定された先端部材2の目標姿勢をそれに相当する姿勢操作部材31の進退量に変換し、その変換した進退量に応じて姿勢制御用駆動源42の動作量を変化させる。このように、姿勢操作部材31の進退量に応じて姿勢制御用駆動源42の動作量を変化させれば、先端部材2の姿勢変更制御が単純化されて容易である。
【0046】
ところで、姿勢操作部材31の中間力伝達部材31aは、細くて長く可撓性であるため、外力によって進退方向に伸縮する。つまり、姿勢操作部材31は、図5に示すようなばね系であると見なせる。同図において、中間力伝達部材31aは、剛体31aaおよび一対のばね31ab,31acで表してある。図5のA部は、姿勢操作部材31が基端側(右側)へ移動後、静止した状態を示す。また、図5のB部は、姿勢操作部材31が先端側(左側)へ移動後、静止した状態を示す。姿勢操作部材31を駆動する駆動力の大きさはどちらも同じである。図中のf1は先端力伝達部材31bとガイド孔30aの内周面との間に生じる摩擦力、f2は中間力伝達部材31aとガイド孔30aの内周面との間に生じる摩擦力、f3は基端力伝達部材31cとガイド孔30aの内周面との間に生じる摩擦力、Kはばね31ab,31acのばね定数である。
【0047】
姿勢操作部材31を駆動する駆動力の大きさが同じであっても、図示のように、姿勢操作部材31が基端側へ移動する場合の方が、先端側へ移動する場合よりも、姿勢操作部材31の先端の移動量が大きくなる。これは、姿勢操作部材31の進退の方向によって前記摩擦力f1,f2,f3の向きが変わることによるもので、移動量の差ΔLは、ΔL={2(f2+2・f1)}/Kで表される。
【0048】
また、姿勢操作部材31が基端側へ移動する場合は、先端部材2に対する作用力が減少するため、姿勢操作部材31と先端部材2との接触部の摩擦がほとんど無いが、姿勢操作部材31が先端側へ移動する場合は、先端部材2に対する作用力が増大するため、姿勢操作部材31と先端部材2との接触部の摩擦が大きい。このことも、姿勢操作部材31の先端の移動量に差ΔLが生じる要因になる。
【0049】
先端部材2の姿勢は、各姿勢操作部材31の先端の相対位置によって決定される。上記のように、姿勢操作部材31の進退状況によって姿勢操作部材31の先端の移動量に差ΔLがあると、先端部材2の姿勢変更制御の精度に影響する。そこで、姿勢変更制御部53bでは、後段で説明するように、先端部材2の姿勢変更のため姿勢操作部材31を基準位置から目標位置へ移動させるとき、定められた規則Rに従い、一時的に姿勢操作部材31を目標位置から遠ざかる側に移動させるようにしている。基準位置は、動作開始位置つまり動作開始直前の現在位置のことであり、原点位置とは限らない。これにより、上記姿勢操作部材31の先端の移動量に差が生じる要因が排除され、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。この姿勢変更制御には幾通りかの手法がある。以下に説明する各手法では、先端部材2をX軸(図2(B))回りに上向きに屈曲させて、図2(A)の初期姿勢状態から図3の状態にする場合を例にする。前記定められた規則Rは、以下の何れかの手法で制御するものとされる。
【0050】
図6〜図8と共に、姿勢変更制御の第1の手法を説明する。
図6(A)は、屈曲動作前の状態を示す。このときの先端部材2の姿勢は初期姿勢であり、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端は基準位置P0にある。この状態から、第1過程により、姿勢操作部材31Uを先端部材2に対する作用力が減少する側に後退させ、姿勢操作部材31L,31Rを先端部材2に対する作用力が増大する側に前進させる。図6(B)のように、姿勢操作部材31Uについては、目標位置P1を越えた位置P1aまで後退させ、姿勢操作部材31L,31Rについては、目標位置P2の手前の位置P2aまでとする。上記位置P1a,P2aは、試験または計算により求められる。次に、図6(C)のように、第2過程により、姿勢操作部材31Uを前進させて目標位置P1に停止させ、かつ姿勢操作部材31L,31Rを前進させて目標位置P2に停止させる。これで、姿勢変更が完了する。なお、図6(A),(B),(C)は、図2(B)のVI−CL2−VI断面を簡略化して表した図である。図9、図12、図15についても同様である。
【0051】
図7は、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端位置の変化を示すタイムチャートである。また、図8は、先端部材2の先端の変位量を示すタイムチャートである。hは目標とする先端部材2の変位量である。これらの図におけるt1は第1過程終了時刻であり、t2は第2過程終了時刻である。
【0052】
この手法によれば、第1の過程で姿勢操作部材31Uを目標位置P1を越えた位置P1aまで後退させることで、姿勢操作部材31Uと姿勢操作部材31L,31Rとの変位差を一時的に大きくする。その後、第2の過程により、各姿勢操作部材31U,31L,31Rが同じ方向に移動して動作を完了する。このように、各姿勢操作部材31U,31L,31Rを同じ方向に移動して動作を完了させれば、各姿勢操作部材31U,31L,31Rに作用する摩擦力の方向が一定になり、摩擦力による各姿勢操作部材31U,31L,31Rの伸縮量も一定になる。そのため、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。
【0053】
なお、姿勢操作部材31Uの後退量が大きくなると、姿勢操作部材31Uの先端が先端部材2に付与する予圧が低下し、先端部材2の姿勢保持力が低下する。そのため、姿勢操作部材31Uを後退させる位置P1aは、上記予圧の低下を考慮して設定する。
【0054】
図9〜図11と共に、姿勢変更制御の第2の手法を説明する。
図9(A)は、屈曲動作前の状態を示す。このときの先端部材2の姿勢は初期姿勢であり、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端は基準位置P0にある。この状態から、第1過程により、姿勢操作部材31Uを先端部材2に対する作用力が減少する側に後退させ、姿勢操作部材31L,31Rを先端部材2に対する作用力が増大する側に前進させる。図9(B)のように、姿勢操作部材31Uについては、目標位置P1を越えた位置P1aまで後退させ、姿勢操作部材31L,31Rについては、目標位置P2まで前進させる。上記位置P1aは、試験または計算により求められる。次に、図9(C)のように、第2過程により、姿勢操作部材31Uを前進させて目標位置P1に停止させる。これで、姿勢変更が完了する。
【0055】
図10は、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端位置の変化を示すタイムチャートである。また、図11は、先端部材2の先端の変位量を示すタイムチャートである。hは目標とする先端部材2の変位量である。これらの図におけるt1は第1過程終了時刻であり、t2は第2過程終了時刻である。
【0056】
この手法が前記第1の手法と異なる点は、第1の過程で姿勢操作部材31L,31Rを目標位置P2まで移動させることである。そのため、第1の手法と比較して、先端部材2の予圧低下を緩和しつつ、姿勢操作部材31Uと姿勢操作部材31L,31Rとの変位差を大きくすることができる。また、第1の手法と同様に、各姿勢操作部材31U,31L,31Rに作用する摩擦力の方向が一定にできる。したがって、第2の手法によっても、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。
【0057】
図12〜図14と共に、姿勢変更制御の第3の手法を説明する。
図12(A)は、屈曲動作前の状態を示す。このときの先端部材2の姿勢は初期姿勢であり、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端は基準位置P0にある。この状態から、第1過程により、姿勢操作部材31Uを先端部材2に対する作用力が減少する側に後退させ、姿勢操作部材31L,31Rを先端部材2に対する作用力が増大する側に前進させる。図12(B)のように、姿勢操作部材31Uについては、目標位置P1を越えた位置P1aまで後退させ、姿勢操作部材31L,31Rについては、目標位置P2の手前の位置P2aまでとする。次に、図12(C)のように、第2過程により、姿勢操作部材31Uを前進させて目標位置P1の手前の位置P1bまで前進させ、かつ姿勢操作部材31L,31Rを前進させて目標位置P2に停止させる。上記位置P1a,P1b,P2aは、試験または計算により求められる。さらに、第3の過程により、姿勢操作部材31Uだけを前進させて目標位置P1に停止させる。これで、姿勢変更が完了する。
【0058】
図13は、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端位置の変化を示すタイムチャートである。また、図14は、先端部材2の先端の変位量を示すタイムチャートである。hは目標とする先端部材2の変位量である。これらの図におけるt1は第1過程終了時刻であり、t2は第2過程終了時刻、t3は第3過程終了時刻である。
【0059】
この手法は、前記第1の手法と第2の手法の中間的な制御手法であり、作用・効果も中間的である。この場合も、各姿勢操作部材31U,31L,31Rに作用する摩擦力の方向が一定にできるため、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。
【0060】
図15〜図17と共に、姿勢変更制御の第4の手法を説明する。
図15(A)は、屈曲動作前の状態を示す。このときの先端部材2の姿勢は初期姿勢であり、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端は基準位置P0にある。この状態から、第1過程により、姿勢操作部材31Uを先端部材2に対する作用力が減少する側に後退させ、姿勢操作部材31L,31Rを先端部材2に対する作用力が増大する側に前進させる。図15(B)のように、姿勢操作部材31Uについては、目標位置P1を越えた位置P1aまで後退させ、姿勢操作部材31L,31Rについては、目標位置P2を越えた位置P2bで前進させる。上記位置P1a,P2bは、試験または計算により求められる。次に、図15(C)のように、第2過程により、姿勢操作部材31Uを前進させて目標位置P1に停止させ、かつ姿勢操作部材31L,31Rを後退させて目標位置P2に停止させる。これで、姿勢変更が完了する。
【0061】
図16は、各姿勢操作部材31U,31L,31Rの基端位置の変化を示すタイムチャートである。また、図17は、先端部材2の先端の変位量を示すタイムチャートである。hは目標とする先端部材2の変位量である。これらの図におけるt1は第1過程終了時刻であり、t2は第2過程終了時刻である。ここで、図17では、先端位置の変位量がt1からt2までの間、hのまま変化していないが、P1a,P2bの設定が適切でない場合、時間とともに変位量が増加または増加することもある。
【0062】
この手法は、前記第2の手法と異なり、第1の過程で姿勢操作部材31L,31Rを目標位置P2を越えた位置P2bまで前進させる。そのため、第2の手法と比較して、先端部材2の予圧の減衰量を抑えつつ、姿勢操作部材31Uと姿勢操作部材31L,31Rとの変位差を大きくすることができ、先端部材2の角度屈曲量を大きくできる。この場合も、各姿勢操作部材31U,31L,31Rに作用する摩擦力の方向が一定にできるため、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。
【0063】
なお、第1の過程終了時における姿勢操作部材31L,31Rの前進量が大きすぎると、先端部材2が一時的に目標とする角度θを大きく越えて屈曲する可能性がある。そのため、姿勢操作部材31L,31Rを前進させる位置P2bは、上記先端部材2の一時的な変位の増大を考慮して設定する。なお、角度θは、先端部材2の先端の変位量がhであるときの、先端部材2の角度である。
【0064】
上記姿勢変更制御の際、動作量検出器46によって検出された姿勢制御用駆動源42の動作量を姿勢変更制御部53bにフィードバックして、制御を行う。動作量検出器46が設けられていると、姿勢制御用駆動源42の動作量を正確に検出することができ、その出力を姿勢変更制御部53bにフィードバックすることで、姿勢変更制御を精度良く行うことができる。
【0065】
外力推定手段54は、先端部材2に作用する外力と前記歪みセンサ47の出力信号との関係を演算式またはテーブル等により設定した関係設定手段(図示せず)を有し、歪みセンサ47から入力された信号から前記関係設定手段を用いて先端部材2に作用する外力を推定する。
【0066】
この遠隔操作型アクチュエータの動作を説明する。
工具回転用駆動源41を駆動すると、その回転が回転軸22を介してスピンドル13に伝達されて、スピンドル13と共に工具1が回転する。この回転する工具1により、骨等を切削が行われる。先端部材2が静止状態の初期姿勢にあるときは、初期姿勢保持制御部53aにより各姿勢制御用駆動源42を制御し、各姿勢操作部材31に初期姿勢保持力を与える。それにより、先端部材2に作用する力のバランスが保たれて、先端部材2の姿勢が維持される。
【0067】
使用時には、姿勢変更制御部53bにより姿勢変更用駆動源42を制御して、先端部材2の姿勢変更を行う。この先端部材2の姿勢変更制御には前記第1〜第4の手法のうちいずれかが適用されるが、どの手法であっても、各姿勢操作部材31の先端の移動量に差が生じないため、常に一定の精度で先端部材2の姿勢変更制御を行える。先端部材2の姿勢は、動作量検出器45の検出値から、姿勢検出手段46によって検出される。そのため、遠隔操作で先端部材2の姿勢を適正に制御できる。
【0068】
切削加工中に工具1や先端部材2に外力が作用すると、その力が姿勢操作部材31を介して増力伝達機構43のレバー43bに伝わり、レバー43bの脆弱部である起歪部43baに歪みが生じる。この歪みが歪みセンサ47に検出され、その出力信号が外力推定手段54に送信される。外力推定手段54は、この歪みセンサ47の出力信号から先端部材2に作用する外力を推定する。このように推定される外力の大きさに応じて遠隔操作型アクチュエータ全体の送り量や先端部材2の姿勢変更を制御することにより、先端部材2に作用する外力を適正に保った状態で、安全かつ正確に骨の切削加工を行える。
【0069】
また、先端部材2がスピンドルガイド部3に対して先端部材2の中心線CL1回りに回転するのを防止する回転防止機構37が設けられているため、姿勢操作部材31の進退を制御する姿勢操作用駆動機構4cや姿勢制御手段53の故障等により工具1を保持する先端部材2が制御不能となった場合でも、先端部材2が中心線CL1回りに回転して加工箇所の周りを傷つけたり、先端部材2自体が破損したりすることを防止できる。
【0070】
姿勢操作部材31はガイド孔30aに挿通されているため、姿勢操作部材31が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材2に対し適正に作用することができ、先端部材2の姿勢変更動作が正確に行われる。また、姿勢操作部材31を構成する姿勢操作ワイヤ31aは可撓性であるため、スピンドルガイド部3が湾曲部を有する場合でも先端部材2の姿勢変更動作が確実に行われる。さらに、スピンドル13と回転軸22との連結箇所の中心が案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置であるため、先端部材2の姿勢変更によって回転軸22に対して押し引きする力がかからず、先端部材2が円滑に姿勢変更できる。
【0071】
この遠隔操作型アクチュエータを、例えば人工関節置換手術にいて骨の髄腔部を削るのに使用されるものであり、施術時には、先端部材2の全部または一部が患者の体内に挿入される。このため、上記のように先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更できれば、常に工具1を適正な姿勢に保持した状態で骨の加工をすることができ、人工関節挿入用穴を精度良く仕上げることができる。
【0072】
細長形状であるスピンドルガイド部3には、回転軸22および姿勢操作部材31を保護状態で設ける必要があるが、外郭パイプ25の中心部に回転軸22を設け、外郭パイプ25と回転軸22との間に、姿勢操作部材31を収容したガイドパイプ30と補強シャフト34とを円周方向に並べて配置した構成としたことにより、回転軸22および姿勢操作部材31を保護し、かつ内部を中空化して軽量化を図りつつ剛性を確保できる。また、全体のバランスも良い。
【0073】
回転軸22を支持する転がり軸受26の外径面を、ガイドパイプ30と補強シャフト34とで支持させたため、余分な部材を用いずに転がり軸受26の外径面を支持できる。また、ばね要素27A,27Bにより転がり軸受26に予圧がかけられているため、ワイヤからなる回転軸22を高速回転させることができる。そのため、スピンドル13を高速回転させて加工することができ、加工の仕上がりが良く、工具1に作用する切削抵抗を低減させられる。ばね要素27A,27Bは隣合う転がり軸受26間に設けられているので、スピンドルガイド部3の径を大きくせずにばね要素27A,27Bを設けることができる。
【0074】
上記実施形態は、ガイドパイプ30および姿勢操作部材31を円周方向の3箇所に設けた構成であるが、外郭パイプ25内の互いに180度の位相にある2箇所にガイドパイプ30および姿勢操作部材31を設けた構成としてもよい(図示せず)。その場合、先端部材2は、1軸回りにのみ姿勢変更可能である。
【0075】
上記実施形態はスピンドルガイド部3が直線形状であるが、この発明の遠隔操作型アクチュエータは、姿勢操作部材31が可撓性であり、スピンドルガイド部3が湾曲した状態でも先端部材2の姿勢変更動作が確実に行われるので、スピンドルガイド部3を初期状態で湾曲形状としてもよい。あるいは、スピンドルガイド部3の一部分のみを湾曲形状としてもよい。スピンドルガイド部3が湾曲形状であれば、直線形状では届きにくい骨の奥まで先端部材2を挿入することが可能となる場合があり、人工関節置換手術における人工関節挿入用穴の加工を精度良く仕上げることが可能になる。スピンドルガイド部3を湾曲形状とする場合、外郭パイプ25、ガイドパイプ30、および補強シャフト34を湾曲形状とする必要がある。また、回転軸22は弾性変形しやすい材質を用いるのが良く、例えば形状記憶合金が適する。
【符号の説明】
【0076】
1…工具
2…先端部材
3…スピンドルガイド部
5…コントローラ
13…スピンドル
15…先端部材連結部
22…回転軸
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
31a…中間力伝達部材
31b…先端力伝達部材
31c…基端力伝達部材
41…工具回転用駆動源
42…姿勢変更用駆動源
53…姿勢制御手段
53b…姿勢変更制御部
CL1…スピンドルの中心線
CL2…回転軸の中心線
F1,F2…案内面
O…曲率中心
P0…基準位置
P1…目標位置
P2…目標位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に回転自在に設けた工具と、この工具を回転させる工具回転用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備え、
前記先端部材は、前記工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる可撓性の姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させる遠隔操作型アクチュエータであって、
前記姿勢変更用駆動源を制御する姿勢制御手段を設け、この姿勢制御手段は、前記姿勢操作部材を動作開始位置である基準位置から目標位置へ移動させる制御を行うとき、定められた規則に従い、一時的に姿勢操作部材を目標位置から遠ざかる側に移動させる過程を含むことを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記姿勢操作部材は、前記先端部材側に配置された剛体の先端力伝達部材と、前記姿勢変更用駆動源側に配置された剛体の基端力伝達部材と、これら先端力伝達部材と基端力伝達部材間で力を伝達する可撓性で長尺な中間力伝達部材とでなる遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記姿勢制御手段は、前記姿勢操作部材を基準位置から前記先端部材に対する作用力が減少する側の目標位置へ移動させるとき、目標位置を越えて移動させた後、目標位置まで戻すように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記先端部材は前記先端部材連結部の円筒状または球面状の案内面に沿って姿勢変更するものであり、前記ガイド孔およびこのガイド孔内に挿通された姿勢操作部材を、前記案内面の曲率中心の周りの複数箇所に設け、前記姿勢変更用駆動源を各姿勢操作部材に対して個別に設け、前記複数の姿勢操作部材の前記先端部材への作用力の釣り合いにより前記先端部材の姿勢を変更、維持させるものとした遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項4において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、各姿勢操作部材が互いに同じ方向に移動して動作を完了するように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、各姿勢操作部材につき、目標位置を越えた位置まで移動させた後、目標位置まで戻すように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれか1項において、前記姿勢制御手段は、各姿勢操作部材を同期して駆動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項4において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置の手前の位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材および減少する姿勢制御部材を、それぞれの目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項9】
請求項4において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項10】
請求項4において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置の手前の第1の手前位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を、目標位置の手前で前記第1の手前位置よりも目標位置に近い第2の手前位置まで移動させ、第3過程で、前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢制御部材を目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項11】
請求項4において、前記姿勢制御手段は、前記複数の姿勢操作部材を基準位置からそれぞれの目標位置へ移動させるとき、第1過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、かつ前記先端部材に対する作用力が減少する側に移動させる姿勢操作部材を目標位置を越えた位置まで移動させ、第2過程で、前記先端部材に対する作用力が増大する側に移動させる姿勢操作部材および減少する側に移動させる姿勢制御部材を、それぞれの目標位置まで移動させるように前記姿勢変更用駆動源を制御する遠隔操作型アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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