説明

遠隔操作装置

【課題】人の片方の掌で把持された状態で、当該掌で操作して所望の指令信号を入力できる遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】移動体を遠隔操作するための遠隔操作装置10であって、移動体の移動方向、移動速度、および加減速度の少なくともいずれかについての指令を入力可能なジョイスティック3と、入力された前記指令を移動体へ送信する送信部5と、ジョイスティックおよび前記送信部が設けられた本体7と、を備える。本体7の形状および寸法は、該本体が人の片方の掌で把持された状態で、該掌の親指でジョイスティック3が操作可能となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人状態で移動する移動体を遠隔操作するための遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体は、次のように、遠隔操作装置によって動作制御される。車両やロボットなどの移動体には、この移動体の周囲を撮像するカメラが搭載されている。このカメラが獲得した画像は、移動体の送信装置から送信される。送信された画像は、移動体から離れた位置にある受信装置に受信されてディスプレイ上に表示される。オペレータは、表示された画像を見て、遠隔操作装置を操作することで、移動体の移動方向、速度、加減速などの指令信号を入力する。入力された指令信号は、オペレータ側の送信装置により送信される。送信された指令信号は、移動体の受信装置に受信される。受信した指令信号に基づいて、移動体の制御装置は、移動体の動作を制御する。これにより、オペレータが入力した指令信号に従って、移動体の移動方向、速度、加減速などが制御される。
【0003】
このような技術は、例えば、下記の特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−532218号公報
【特許文献2】特許第3468325号
【特許文献3】特開平7−177580号公報
【特許文献4】特開2001−246177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の各特許文献には、人の片方の掌(手の平)で把持された状態で、当該片方の掌で操作して所望の指令信号を入力できる遠隔操作装置が開示されていない。例えば、従来では、人が、走ったり歩いたりしながら、片方の掌のみで遠隔操作装置を把持しつつ、当該片方の掌で所望の指令信号を入力するように遠隔操作装置を操作することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、人の片方の掌で把持された状態で、当該片方の掌で操作して所望の指令信号を入力できる遠隔操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によると、移動体を遠隔操作するための遠隔操作装置であって、
移動体の移動方向、移動速度、および加減速度の少なくともいずれかについての指令を入力可能なジョイスティックと、
入力された前記指令を移動体へ送信する送信部と、
前記ジョイスティックおよび前記送信部が設けられた本体と、を備え、
前記本体の形状および寸法は、該本体が人の片方の掌で把持された状態で、該掌の親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されている、ことを特徴とする遠隔操作装置が提供される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によると、前記本体は、前記ジョイスティックが設けられた操作面と、前記操作面に対する第1および第2の側面とを有し、これら第1および第2の側面は、前記操作面の両側に位置し、
前記本体の形状および寸法は、第1の側面を、前記掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面を、該指の付け根と前記親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該本体を、該指と該掌部分で挟持した状態で、前記親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されている。
【0009】
好ましくは、前記本体に内蔵され、前記本体の姿勢を検出する姿勢センサを備え、
前記本体の姿勢が、前記操作面が上を向いている姿勢にあると姿勢センサが検出しない時には、前記ジョイスティックにより指令が入力されても、当該指令が有効とならない。
【0010】
また、好ましくは、前記各側面には、誤作動防止ボタンが設けられており、
前記ジョイスティックおよび前記各誤作動防止ボタンの位置関係は、第1の側面の誤作動防止ボタンを前記掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面の誤作動防止ボタンを、該指の付け根と該掌の親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該指と該掌部分で前記本体を挟持した状態で、前記親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されており、
第1の側面の誤作動防止ボタンと、第2の側面の誤作動防止ボタンとの両方が押されていない時には、前記ジョイスティックにより指令が入力されても、当該指令が有効とならない。
【0011】
上述の遠隔制御装置は、前記ジョイスティックの移動可能方向を1方向に制限する制限機構を備え、
該制限機構は、U字型部材および固定部材を有し、
U字型部材は、1対の棒状部と、該各棒状部の軸方向一方側に位置しこれら1対の棒状部を互いに結合する結合部と、を有し、
前記1対の棒状部は、前記ジョイスティックの軸部と直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部を挟むように配置されており、
前記結合部には、ジョイスティックの前記軸部と平行な回転軸が設けられ、該回転軸周りに、U字型部材が回転自在となっており、
前記固定部材は、前記回転軸と反対側にて、前記1対の棒状部に嵌合するように前記本体に対し着脱可能に固定され、これにより、U字型部材の回転を不能することで、前記ジョイスティックが前記1対の棒状部に沿った方向にのみ操作可能となるように構成されてよい。
【0012】
上述の遠隔制御装置は、前記ジョイスティックの移動可能方向を1方向に制限する制限機構を備え、
該制限機構は、前記ジョイスティックの軸部の両側に位置する1対の可動部材を有し、
該1対の可動部材は、互いに対向する挟持面を有し、
これら1対の挟持面は、前記ジョイスティックの軸部と直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部を挟むように配置され、
前記各可動部材は、前記ジョイスティックの軸部に隣接する制限位置と、前記ジョイスティックの軸部から離れた非制限位置との間で移動可能となっており、
前記各可動部材が制限位置にある時には、前記ジョイスティックが前記1対の挟持面に沿った方向にのみ操作可能となるように構成されてもよい。
【0013】
2つの前記制限機構が、それぞれ、ジョイスティックの前記軸部の方向における2箇所に配置されており、これら制限機構の向きは、互いに90度だけ異なっている。
【0014】
前記移動体には、移動体の進行側の領域を含む範囲を撮像するカメラと、該カメラに撮像された画像データを送信する送信部とが設けられており、
上述の遠隔制御装置は、前記本体と別体であるとともに、前記送信部から送信された前記画像データを表示する表示装置を備え、
該表示装置は、人の頭部に装着可能であるとともに、人の頭部に装着された状態で人の視野内に位置するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明によると、遠隔制御装置の本体の形状および寸法は、該本体が人の片方の掌で把持された状態で、該掌の親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されている。よって、人の片方の掌で把持された状態で、当該片方の掌で操作して所望の指令信号を入力できる。
本発明の実施形態による効果は、以下で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による遠隔操作装置の構成図である。
【図2】遠隔操作装置の本体を把持する時に使用する人の掌部分を説明するための図である。
【図3】遠隔操作装置の本体を片方の掌で把持した状態を示す。
【図4】制限機構の構成を示す。
【図5】制限機構の別の構成を示す。
【図6】制限機構の操作部材を示す。
【図7】可動部材に設けた弾性部材と係合部材を示す。
【図8】表示装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による遠隔操作装置10の構成図である。図1において、(A)は、平面図であり、(B)は、(A)のB−B矢視図である。
遠隔操作装置10は、移動体を遠隔操作するための装置であり、ジョイスティック3、送信部5、本体7を備える。
【0019】
ジョイスティック3は、人に操作されることで、移動体の移動方向、移動速度および加減速度(即ち、加速度または減速度)の少なくともいずれかについての指令を入力可能に構成されている。ジョイスティック3に、人の手などから外力が作用していない状態では、ジョイスティック3は、操作面7aと垂直な基準方向を向いた基準姿勢をとっている。ジョイスティック3は、図1(B)に示す中心点Cを中心に任意の方向に傾けることができる。また、ジョイスティック3に外力が作用して前記基準姿勢から所定の方向に傾いた後、ジョイスティック3に作用する外力が無くなると、ジョイスティック3は、弾性的に基準姿勢に戻される。
【0020】
送信部5は、ジョイスティック3の操作により入力された前記指令を移動体へ送信する。
【0021】
本体7には、ジョイスティック3および送信部5が設けられている。また、本体7は、ジョイスティック3が設けられた操作面7aと、操作面7aと反対側に位置し操作面7aと反対側を向く裏面7bと、操作面7aおよび裏面7bに対する第1および第2の側面7c、7dとを有する。これら第1および第2の側面7c、7dは、操作面7aおよび裏面7bの両側に位置する。操作面7a、裏面7b、側面7c、7dは、それぞれ平面であってよい。
【0022】
本体7の形状および寸法は、該本体7が人の片方の掌で把持された状態で、該掌の親指でジョイスティック3が操作可能となるように設定されている。好ましくは、本体7の形状および寸法は、第1の側面7cを前記掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面7dを、第1の側面7cを押している該指の付け根と前記親指の付け根との間にある掌部分(即ち、図2のように、当該掌で本体7を握って把持した状態において、当該指の付け根から親指の付け根側へ離れた掌の領域A)で押すことで、該本体7を、該指と該掌部分で挟持した状態で、前記親指でジョイスティック3が操作可能となるように設定されている。図1の例では、本体7の形状は、略直方体である。
図2は、人の右の掌を開いた状態を示す。上述の掌の領域Aは、図2において一点鎖線で囲んだ領域であり、本実施形態では、当該領域に含まれる掌部分と、薬指、中指または人差し指とで上述のように本体7を挟持するようになっている。左手の掌で本体7を挟持する場合も同様である。なお、図2において、破線は、各指の付け根を示す。
図3は、本体7が人の片方の掌で把持された状態を示す。図3において、第1の側面7cを前記掌の薬指で押し、第2の側面7dを前記掌部分で押すことで、該本体7を、該薬指と該掌部分(領域A)で挟持した状態を示している。図3において、人の片手を細い破線で示している。
【0023】
本実施形態によると、以下の誤作動防止機能1、2の一方または両方が遠隔操作装置10に設けられる。
【0024】
(誤作動防止機能1)
本実施形態によると、遠隔操作装置10は、さらに姿勢センサ9を備える。姿勢センサ9は、本体7に内蔵され、本体7の姿勢を検出する。
本体7の姿勢が、操作面7aが上を向いている姿勢(例えば、操作面7aが鉛直方向を向いている姿勢)にあると姿勢センサ9が検出しない時には、ジョイスティック3により指令が入力されても、当該指令が有効とならず、当該指令が送信部5から移動体へ送信されないように遠隔操作装置10が構成されている。すなわち、本体7の姿勢が、操作面7aが上を向いている姿勢にあることを姿勢センサ9が検出しないことにより、ジョイスティック3の操作により入力された指令が、送信部5から移動体へ送信されることが阻止される。従って、人が、本体7の姿勢を、操作面7aが上を向く姿勢にした状態で、ジョイスティック3を操作して指令を入力することで、当該指令が送信部5から移動体へ送信されるか、または、当該指令が送信部5から移動体へ送信可能となる、送信可能となる場合には、さらに、本体7に設けられている操作手段(ボタンなど)を人が操作することで、当該指令が移動体に送信される。
【0025】
(誤作動防止機能2)
各側面7c、7dには、誤作動防止ボタン11が設けられている。ジョイスティック3および各誤作動防止ボタン11の位置関係は、第1の側面7cの誤作動防止ボタン11を、人の片方の掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面7dの誤作動防止ボタン11を、該指の付け根と該掌の親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該本体7を、該指と該掌部分で挟持した状態で、該掌の親指でジョイスティック3が操作可能となるように設定されている。
第1の側面7cの誤作動防止ボタン11と、第2の側面7dの誤作動防止ボタン11との両方が押されていない時には、ジョイスティック3により指令が入力されても、当該指令が有効とならず、当該指令が送信部5から移動体へ送信されない。すなわち、第1の側面7cの誤作動防止ボタン11と、第2の側面7dの誤作動防止ボタン11との両方が押されていないことにより、ジョイスティック3の操作により入力された指令が、送信部5から移動体へ送信されることが阻止される。従って、人が、図3のように、第1の側面7cの誤作動防止ボタン11を片方の掌の薬指、中指または人差し指(図3では薬指)で押し、第2の側面7dの誤作動防止ボタン11を、該指の付け根と前記親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該本体7を、該指と該掌部分で挟持した状態で、該掌の親指でジョイスティック3を操作して指令を入力すると、これにより、当該指令が送信部5から移動体へ送信されるか、または、当該指令が送信部5から移動体へ送信可能となる。送信可能となる場合には、さらに、本体7に設けられている操作手段(ボタンなど)を人が操作することで、当該指令が移動体に送信される。
なお、図1の例では、各誤作動防止ボタン11は、側面7c、7dに形成された窪み部8に設けている。これにより、本体7を落としてしまった場合、両方の窪み部8が何かに挟まるような場所に、本体7が落下しない限り、誤作動を防止できる。なお、窪み部8は、無くてもよい。
【0026】
より好ましくは、上述の誤作動防止機能1、2の両方を採用する。すなわち、本体7の姿勢が、操作面7aが上を向いている姿勢にあると姿勢センサ9が検出し、かつ、第1の側面7cの誤作動防止ボタン11と、第2の側面7dの誤作動防止ボタン11との両方が押されている時に、ジョイスティック3により指令が入力されると、当該指令が有効となる。この場合、他の点は、上述と同じである。これにより、ご作動を確実に防止できる。
【0027】
移動体の制御モードは、半自律走行モードと完全遠隔制御モードとの間で切り替え可能である。当該切り替えは、遠隔操作装置10の設けられた操作手段(この例では、切替ボタン13、15)により行われてよい。例えば、第1の切替ボタン13が押されると、ジョイスティック3の操作による指令入力が後述するような半自律走行モードに従ったものとなるとともに、半自律走行指令が送信部5から送信され当該半自律走行指令15が移動体の通信部に受信されると、移動体の制御モードが半自律走行モードに切り替えられる。一方、第2の切替ボタンが押されると、ジョイスティック3の操作による指令入力が後述するようなと完全遠隔制御モードに従ったものとなるとともに、完全遠隔制御指令が送信部5から送信され当該完全遠隔制御指令が移動体の通信部に受信されると、移動体の制御モードが完全遠隔制御モードに切り替えられる。
代わりに、遠隔操作装置10と移動体が、半自律走行モードと完全遠隔制御モードのいずれか一方で移動体を制御できるように予め構成されていてもよい。
【0028】
・半自律走行モード
移動体の制御モードが半自律走行モードである時には、移動体の制御は、以下の制御方法(1)〜(4)のいずれかで行われてよい。
なお、遠隔操作装置10および移動体は、下記(1)〜(4)の4つの制御方法の2つ以上が実行可能に構成されていてよい。この場合、遠隔操作装置10に設けた操作手段(ボタンなど)により、下記(1)〜(4)の2つ以上の実行可能な制御方法から所望の制御方法を選択してよい。選択されたら、選択した制御方法で後述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが切り替わる。代わりに、遠隔操作装置10と移動体が、下記(1)〜(4)のいずれの制御方法で移動体を制御できるように予め構成されていてもよい。
【0029】
(1)移動方向の第1制御方法
ジョイスティック3が、前記基準姿勢から左方向(図1(A)中に記載の左方向)側に傾くと、送信部5は、移動方向として左方向の指令を送信する。一方、移動体の通信部が、左方向の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体の左側前方に、目標点を設定し、ポテンシャル法などの経路計画手法により、移動体が現在位置から移動可能エリアを通って当該目標点に向かう経路を算出する。
同様に、前記基準姿勢から右方向(図1(A)中に記載の右方向)側に傾くと、送信部5は、移動方向として右方向の指令を送信する。一方、移動体の通信部が、右方向の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体の右側前方に、目標点を設定し、ポテンシャル法などの経路計画手法により、移動体が現在位置から移動可能エリアを通って当該目標点に向かう経路を算出する。
前記経路の算出において、移動体の現在位置から当該目標点までの途中に障害物があると移動体の制御部が認識した場合には、この障害物を回避する経路を計画する。
このように経路が計画・算出されたら、移動体の制御部は、当該経路に沿って移動体が移動するように移動体を制御する。
なお、移動体の制御部は、ジョイスティック3の左方向または右方向の傾き量(角度)に応じた分だけ、移動体の左側または右側に上述の目標点を設定してよい。すなわち、移動体の制御部は、当該傾き量が大きいほど、移動体から見て、移動体の前方から左側または右側にずれた方向において目標点を設定してよい。代わりに、当該傾き量にかかわらず、移動体の制御部は、移動体から見て、移動体の前方から左側または右側に一定角度だけずれた方向において目標点を設定してもよい。
【0030】
(2)移動方向の第2制御方法
ジョイスティック3が、前記基準姿勢から左方向(図1(A)中に記載の左方向)側に傾くと、送信部5は、移動方向として左方向の指令を送信するとともに、ジョイスティック3が左方向に傾いた量(角度)を方向変更量の指令として送信する。一方、移動体の通信部が、左方向の指令および方向変更量の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体の前方部が現在向いている方向から、移動方向を左側に、前記方向変更量に応じた分だけ移動体の移動方向を変更するように移動体を制御する。
同様に、ジョイスティック3が、前記基準姿勢から右方向(図1(A)中に記載の右方向)側に傾くと、送信部5は、移動方向として右方向の指令を送信するとともに、ジョイスティック3が右方向に傾いた量(角度)を方向変更量の指令として送信する。一方、移動体の通信部が、右方向の指令および方向変更量の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体の前方部が現在向いている方向から、移動方向を右側に、前記方向変更量に応じた分だけ移動体の移動方向を変更するように移動体を制御する。
【0031】
(3)移動速度の制御方法
ジョイスティック3が、前記基準姿勢から前方向(図1(A)中に記載の前方向)側に傾くと、送信部5は、前方向への移動速度の指令として、ジョイスティック3が前方向に傾いた量(角度)に応じた指令値を送信する。一方、移動体の通信部が、前方向への移動速度の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体が、当該指令の移動速度(前記指令値)で前方向に移動するように移動体を制御する。
同様に、ジョイスティック3が、前記基準姿勢から後方向(図1(A)中に記載の後方向)側に傾くと、送信部5は、後方向への移動速度の指令として、ジョイスティック3が後方向に傾いた量(角度)に応じた指令値を送信する。一方、移動体の通信部が、後方向への移動速度の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体が、当該指令の移動速度(前記指令値)で後方向に移動するように移動体を制御する。
(4)加減速の制御方法
ジョイスティック3が、前記基準姿勢から前方向(図1(A)中に記載の前方向)側に傾くと、送信部5は、現在の移動速度からの加速度の指令として、ジョイスティック3が前方向に傾いた量(角度)に応じた指令値を送信する。一方、移動体の通信部が、加速度の指令を送信部5から受信すると、移動体の通信部は、移動体が、当該指令の加速度(前記指令値に応じた加速度)で、現在の移動速度から(予め設定されている時間だけ)加速するように移動体を制御する。
同様に、ジョイスティック3が、前記基準姿勢から後方向(図1(A)中に記載の後方向)側に傾くと、送信部5は、現在の移動速度からの減速度の指令として、ジョイスティック3が後方向に傾いた量(角度)に応じた指令値を送信する。一方、移動体の通信部が、減速度の指令を送信部5から受信すると、移動体の制御部は、移動体が、当該指令の減速度(前記指令値に応じた減速度)で、現在の移動速度から(予め設定されている時間だけ)減速するように移動体を制御する。
【0032】
・完全遠隔制御モード
ジョイスティック3が、前記基準姿勢から傾けられると、当該傾き量(角度)の左右方向成分(図1(A)中に記載の左方向または右方向の成分。以下同様)および前後方向成分(図1(A)中に記載の前方向または後方向の成分。以下同様)とが本体7に内蔵された操作量検出部(図示せず)により検出されてよい。これにより、送信部5は、移動方向の指令として、検出された左右方向成分に基づいた指令を移動体に送信し、移動速度または加減速度の指令として、検出された前後方向成分に応じた指令値を移動体に送信する。これら送信された指令が、移動体の通信部に受信され、例えば、以下の(5)または(6)の制御方法が行われる。
なお、遠隔操作装置10および移動体は、下記(5)と(6)の2つの制御方法が実行可能に構成されていてよい。この場合、遠隔操作装置10に設けた操作手段(ボタンなど)により、実行可能な下記(5)と(6)の制御方法から所望の制御方法を選択してよい。選択されたら、選択した制御方法で後述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが切り替わる。代わりに、遠隔操作装置10と移動体が、下記(5)、(6)のいずれの制御方法で移動体を制御できるように予め構成されていてもよい。
【0033】
(5)移動方向と移動速度の制御方法
この制御方法では、以下のように、移動方向の制御と移動速度の制御の両方が同時に実行される。
【0034】
・移動方向の制御方法
上述の左右方向成分に基づいた指令として左方向の成分に基づいた指令を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が左方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体の左側前方に、目標点を設定し、ポテンシャル法などの経路計画手法により、移動体が現在位置から移動可能エリアを通って当該目標点に向かう経路を算出する。同様に、上述の左右方向成分に基づいた指令として右方向の成分に基づいた指令を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が右方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体の右側前方に、目標点を設定し、ポテンシャル法などの経路計画手法により、移動体が現在位置から移動可能エリアを通って当該目標点に向かう経路を算出する。
なお、移動体の制御部は、前記左方向成分または前記右方向成分の大きさに応じた分だけ、移動体の左側または右側に上述の目標点を設定してよい。すなわち、移動体の制御部は、当該大きさが大きいほど、移動体から見て、移動体の前方から左側または右側にずれた方向において目標点を設定してよい。代わりに、当該大きさにかかわらず、移動体の制御部は、移動体から見て、移動体の前方から左側または右側に一定角度だけずれた方向において目標点を設定してもよい。ここでの移動方向の制御における他の点は、上記(1)の「移動方向の第1制御方法」と同じであってよい。
【0035】
・移動速度の制御方法
上述の左右方向成分に基づいた指令と共に、前後方向成分に応じた指令値として前方向の成分に応じた指令値を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が前方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体が、受信した移動速度の指令(即ち、前記指令値に応じた速度)で前方向に移動するように移動体を制御する。同様に、上述の左右方向成分に基づいた指令と共に、前後方向成分に応じた指令値として後方向の成分に応じた指令値を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が後方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体が、受信した移動速度の指令(即ち、前記指令値に応じた速度)で後方向に移動するように移動体を制御する。
【0036】
(6)移動方向と加減速の制御方法
この制御方法では、以下のように、移動方向の制御と加減速度の制御の両方が同時に実行される。
・移動方向の制御方法
上述の左右方向成分に基づいた指令として左方向の成分に基づいた指令を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が左方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体の前方部が現在向いている方向から、移動方向を左側に、前記左方向の成分の大きさに応じた分だけ移動体の移動方向を変更するように移動体を制御する。同様に、上述の左右方向成分に基づいた指令として右方向の成分に基づいた指令を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が右方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体の前方部が現在向いている方向から、移動方向を右側に、前記右方向の成分の大きさに応じた分だけ移動体の移動方向を変更するように移動体を制御する。
【0037】
・加減速の制御方法
上述の左右方向成分に基づいた指令と共に、前後方向成分に応じた指令値として前方向の成分に応じた指令値を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が前方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体が、受信した前記指令値に応じた加速度で、現在の移動速度から(予め設定されている時間だけ)加速するように移動体を制御する。同様に、上述の左右方向成分に基づいた指令と共に、前後方向成分に応じた指令値として、後方向の成分に応じた指令値を移動体の通信部が送信部5から受信すると(即ち、ジョイスティック3が後方向側に傾けられたら)、移動体の制御部は、移動体が、受信した前記指令値に応じた減速度で、現在の移動速度から(予め設定されている時間だけ)減速するように移動体を制御する。
【0038】
遠隔操作装置10は、ジョイスティック3の移動可能方向を1方向に制限する制限機構20を備える。この制限機構20は、図1の例では、ジョイスティック3の移動可能方向(揺動可能方向)を、図1に示す左右方向(左方向と右方向)または前後方向(前方向と後方向)に制限する。これにより、半自律走行モード時において、ジョイスティック3の操作性が向上する。制限機構20は、例えば、以下の構成1または2を有するものであってよい。
以下、遠隔操作装置10に関して左右方向、前後方向という場合には、図1、図4〜図6に示す左右方向(左方向と右方向)または前後方向(前方向と後方向)を意味する。
【0039】
(構成1)
図4(A)は、図1の本体7の内部を透視して示した部分拡大図である。
制限機構20は、図4(A)に示すようにU字型部材21および固定部材23を有する。
【0040】
U字型部材21は、1対の棒状部21aと、該各棒状部21aの軸方向一方側に位置しこれら1対の棒状部21aを互いに結合する結合部21bと、を有する。1対の棒状部21aは、前記基準姿勢にあるジョイスティック3の軸部3aと直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部3aを挟むように軸部3aに隣接して配置されている。結合部21bには、前記基準姿勢にあるジョイスティック3の軸部3aと平行な回転軸21cが設けられ、該回転軸21c周りに、U字型部材21が回転自在となっている。
【0041】
固定部材23は、回転軸21cと反対側にて、1対の棒状部21aに嵌合するように本体7に対し着脱可能に固定され、これにより、U字型部材21の前記回転を不能することで、ジョイスティック3が1対の棒状部21aに沿った方向にのみ操作可能(即ち、傾くことが可能。以下同様)となる。図4の例では、固定部材23は、本体7に対し着脱可能に固定された状態で、上述のように1対の棒状部21aに嵌合する嵌合孔23aを有する。
【0042】
このような制限機構20が、ジョイスティック3の軸部3aの方向に、互いに独立して、上下(即ち、図4(A)の紙面と垂直な方向の上下)に2つ配置されており、これら制限機構20の向きは、互いに90度だけ異なっている。従って、上側の制限機構20により、ジョイスティック3の操作可能な方向を左右方向のみに制限することができ、下側の制限機構20により、ジョイスティック3の操作可能な方向を前後方向のみに制限することができる。
例えば、図4において、上側および下側の制限機構20のいずれの固定部材23も、上述のように本体7に固定していない状態では、人がジョイスティック3を基準姿勢から任意の方向に傾けることができ、この傾きに従って、各制限機構20のU字型部材21が、回転軸21c周りに回転する。一方、上側および下側の制限機構20のうち上側の制限機構20の固定部材23のみを、図4(B)のように、本体7に固定した状態では、人がジョイスティック3を基準姿勢から左右方向にのみ傾けることができ、この傾きに従って、下側の制限機構20のU字型部材21が、回転軸21c周りに回転する。上側および下側の制限機構20のうち下側の制限機構20の固定部材23のみを、上述のように本体7に固定した状態では、人がジョイスティック3を基準姿勢から前後方向にのみ傾けることができ、この傾きに従って、上側の制限機構20のU字型部材21が、回転軸21c周りに回転する。
なお、上側の制限機構20と下側の制限機構20の上下位置を互いに入れ替えてもよい。
【0043】
各制限機構20には、本体7に設けられたスイッチ22を有していてもよい。このスイッチ22は、対応する固定部材23が本体7に固定される(取り付けられる)と、当該固定部材23により押されることで、自動的に、ジョイスティック3の操作による指令入力が上述した半自律走行モードに従ったものとなるとともに、半自律走行指令が送信部5から送信され当該半自律走行指令15が移動体に受信されると、移動体の制御モードが半自律走行モードに切り替えられる。
この場合、ジョイスティック3の左右方向の操作(傾き)を制限する制限機構20(図4では、下側の制限機構20)のスイッチ22が上述のように押されると、上記(3)の「移動速度の制御方法」または上記(4)の「加減速度の制御方法」が自動的に選択されてよい。選択されたら、選択された制御方法で上述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが自動的に切り替わってよい。
一方、ジョイスティック3の前後方向の操作(傾き)を制限する制限機構20(図4では、上側の制限機構20)のスイッチ22が上述のように押されると、上記(1)の「移動方向の第1制御方法」または上記(2)の「移動方向の第1制御方法」が自動的に選択されてよい。選択されたら、選択された制御方法で上述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが切り替わってよい。
【0044】
(構成2)
図5(A)は、図1の本体7の内部を透視して示した部分拡大図である。
制限機構20は、図5(A)に示すように、ジョイスティック3の軸部3aの両側に位置する1対の可動部材25を有する。1対の可動部材25は、互いに対向する挟持面25aを有する。これら1対の挟持面25aは、ジョイスティック3の軸部3aと直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部3aを挟むように配置される。各可動部材25は、ジョイスティック3の軸部3aに隣接する制限位置(図5(A)の状態)と、ジョイスティック3の軸部3aから離れた非制限位置(図5(B)の状態)との間で移動可能となっている。
各可動部材25が制限位置にある時には、ジョイスティック3が1対の挟持面25aに沿った方向にのみ操作可能となる。一方、各可動部材25が非制限位置にある時には、ジョイスティック3の操作方向は制限されない。
【0045】
各可動部材25は、ガイドレール27に沿って移動自在となっている。また、各可動部材25には、図6(A)に示すように、操作部材29が設けられる。この図6(A)では、本体7の内部を破線で示している。操作部材29は、可動部材25に固定される根元部と、この根元部から、図6(A)の紙面と垂直な方向に本体7の外部まで延びる中間部と、中間部に結合され本体7の外部に位置する被操作部とを有する。人が、例えば指で、被操作部をガイドレール27に沿った方向に押すことで、可動部材25を上述の制限位置と非制限位置との間で移動させることができる。なお、本体7を構成するケーシングには、操作部材29の移動範囲にわたって前記中間部が該ケーシングを貫通する長孔28が形成されている。
【0046】
好ましくは、可動部材25には、図7のように、弾性部材31と係合部材33が設けられる。図7(A)は、図5(A)の部分拡大図であり、図7(B)は、図5(B)の部分拡大図であり、図7(C)は、図7(A)のC−C矢視図である。
弾性部材31(例えば、板ばね)は、可動部材25に取り付けられており、係合部材33を、可動部材25側からガイドレール27側に弾性的に押す。これにより、上述のように可動部材25が制限位置に移動させられると、係合部材33が、弾性部材31によりガイドレール27に設けた嵌合穴27aに挿入させられて、可動部材25を制限位置に把持させる。この状態から、所定の強さ以上の力で、被操作部を非制限位置側へ押さない限り、係合部材33が嵌合穴27aから外れず、可動部材25が制限位置から移動しない。
【0047】
このような制限機構20が、ジョイスティック3の軸部3aの方向に、図6(B)に示すように、互いに独立して、上下(即ち、図6(B)の紙面と垂直な方向の上下)に2つ配置されており、これら制限機構20の向きは、互いに90度だけ異なっている。従って、上側の制限機構20により、ジョイスティック3の操作可能な方向を左右方向のみに制限することができ、下側の制限機構20により、ジョイスティック3の操作可能な方向を前後方向のみに制限することができる。
なお、上側の制限機構20と下側の制限機構20の上下位置を互いに入れ替えてもよい。
【0048】
各制限機構20毎に、1対の可動部材25が共に制限位置にあるかどうかを検出するセンサ(例えば、マイクロスイッチ)が本体7に設けられていてもよい。
このセンサが、左右方向または前後方向に移動する1対の可動部材25が共に制限位置にあることを検出すると、自動的に、ジョイスティック3の操作による指令入力が上述した半自律走行モードに従ったものとなるとともに、半自律走行指令が送信部5から送信され当該半自律走行指令15が移動体に受信されると、移動体の制御モードが半自律走行モードに切り替えられる。
この場合、ジョイスティック3の左右方向の移動を制限する制限機構20の1対の可動部材25が共に制限位置にあることが前記センサにより検出されると、上記(3)の「移動速度の制御方法」または上記(4)の「加減速度の制御方法」が自動的に選択されてよい。選択されたら、選択された制御方法で上述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが自動的に切り替わってよい。
一方、ジョイスティック3の前後方向の移動を制限する制限機構20の1対の可動部材25が共に制限位置にあることが前記センサにより検出されると、上記(1)の「移動方向の第1制御方法」または上記(2)の「移動方向の第1制御方法」が自動的に選択されてよい。選択されたら、選択された制御方法で上述のように制御を行うことができるように遠隔操作装置10および移動体のモードが切り替わってよい。
【0049】
本発明の実施形態による遠隔操作装置10は、さらに表示装置35を備える。
表示装置35は、本体7と別体であるとともに、移動体に搭載されたカメラにより撮像された画像を表示する。すなわち、移動体には、移動体の進行側の領域を含む範囲(例えば、移動体の周囲)を撮像するカメラと、該カメラに撮像された画像データを送信する送信部とが設けられており、この送信部から送信された前記画像データが、表示装置35側の受信部(例えば、表示装置35に組み込まれた受信部)で受信され、受信された当該画像データが、表示装置35により表示されるようになっている。従って、人は、表示装置35に表示された画像を見ながら、遠隔操作装置10を操作することができる。
【0050】
好ましくは、表示装置35は、人の頭部に装着可能であるとともに、人の頭部に装着された状態で人の視野内に位置するようになっている。このような表示装置35は、ヘッドマウントディスプレイであってよく、バンドや他の適切な手段により人の頭部に装着可能であってよい。図8は、人の頭部37に装着した状態のヘッドマウントディスプレイ35を示す。図8(B)は、図8(A)のB−B矢視図である。図8において、符号35aは、人の頭部37に装着されたベルトを示し、符号35bは、人の視野に入る表示画面が設けられている表示部分を示す。
【0051】
(移動体)
上述した移動体は、上述のカメラ、レーザ光センサ、自己位置検出部、上述の制御部などを備える。
【0052】
カメラは、移動体(この例では、無人車両)に搭載され、移動体の近辺(好ましくは、移動体の前方側近辺)を撮像する。
【0053】
レーザ光センサは、移動体に搭載され、移動体の前方側にレーザ光を投光し、その反射光を受光することで、移動体の前方側に存在する物体の3次元形状を取得する。レーザ光センサは、例えば、レーザ光源を用いて、レーザ光源の光軸を光学的にまたは機械的に振るように構成されていてよい。
【0054】
自己位置検出部は、移動体の上述した現在位置を検出する。自己位置検出部は、例えば、GPSを用いて移動体の現在位置を検出する装置と、移動体の移動距離や移動方向を、移動体の車輪の回転数や車輪の向きの検出値に基づいて検出する装置とから構成されていてよい。
【0055】
制御部は、前記カメラにより取得した画像データと、レーザ光センサにより取得した移動体前方側の物体情報とに基づいて、上述の移動可能エリアや上述の障害物を認識する。なお、制御部は、予め設定または入力されている最終目標位置へ移動体が自律移動するように移動体を制御してよい。この自律移動のための構成や制御は、上述した点以外は、公知の適宜の手段などにより実行されてよい。
【0056】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
例えば、本発明の遠隔操作装置では、人がジョイスティック3を操作することで、移動体を遠隔制御できさえすればよいので、本発明によると、移動体の制御方法は、上述した(1)〜(6)の制御方法に限定されない。
【0058】
また、人がジョイスティック3を操作することで、移動体を遠隔制御できさえすればよいので、本発明の遠隔操作装置による制御対象の移動体は、走行する車両に限定されず、例えば、歩行するロボットや、飛行する飛行体であってもよい。
【0059】
本体7の寸法は、平均的な大人の掌の大きさを基準に上述のように設定されてもよいし、特別な大きさの掌の大きさを基準に特注品用として設定されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
3 ジョイスティック、3a 軸部,5 送信部、7 本体、7a 操作面、7b 裏面、7c 第1の側面、7d 第2の側面、8 窪み部、9 姿勢センサ、10 遠隔操作装置、11 誤作動防止ボタン、20 制限機構、21 U字型部材、21a 棒状部,21b 結合部,21c 回転軸、23 固定部材、23a 嵌合孔、25 可動部材、25a 挟持面、27 ガイドレール、29 操作部材、31 弾性部材、33 係合部材、35 表示装置、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を遠隔操作するための遠隔操作装置であって、
移動体の移動方向、移動速度、および加減速度の少なくともいずれかについての指令を入力可能なジョイスティックと、
入力された前記指令を移動体へ送信する送信部と、
前記ジョイスティックおよび前記送信部が設けられた本体と、を備え、
前記本体の形状および寸法は、該本体が人の片方の掌で把持された状態で、該掌の親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されている、ことを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
前記本体は、前記ジョイスティックが設けられた操作面と、前記操作面に対する第1および第2の側面とを有し、これら第1および第2の側面は、前記操作面の両側に位置し、
前記本体の形状および寸法は、第1の側面を、前記掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面を、該指の付け根と前記親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該本体を、該指と該掌部分で挟持した状態で、前記親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記本体に内蔵され、前記本体の姿勢を検出する姿勢センサを備え、
前記本体の姿勢が、前記操作面が上を向いている姿勢にあると姿勢センサが検出しない時には、前記ジョイスティックにより指令が入力されても、当該指令が有効とならない、ことを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記各側面には、誤作動防止ボタンが設けられており、
前記ジョイスティックおよび前記各誤作動防止ボタンの位置関係は、第1の側面の誤作動防止ボタンを前記掌の薬指、中指または人差し指で押し、第2の側面の誤作動防止ボタンを、該指の付け根と該掌の親指の付け根との間にある掌部分で押すことで、該指と該掌部分で前記本体を挟持した状態で、前記親指で前記ジョイスティックが操作可能となるように設定されており、
第1の側面の誤作動防止ボタンと、第2の側面の誤作動防止ボタンとの両方が押されていない時には、前記ジョイスティックにより指令が入力されても、当該指令が有効とならない、ことを特徴とする請求項2または3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記ジョイスティックの移動可能方向を1方向に制限する制限機構を備え、
該制限機構は、U字型部材および固定部材を有し、
U字型部材は、1対の棒状部と、該各棒状部の軸方向一方側に位置しこれら1対の棒状部を互いに結合する結合部と、を有し、
前記1対の棒状部は、前記ジョイスティックの軸部と直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部を挟むように配置されており、
前記結合部には、ジョイスティックの前記軸部と平行な回転軸が設けられ、該回転軸周りに、U字型部材が回転自在となっており、
前記固定部材は、前記回転軸と反対側にて、前記1対の棒状部に嵌合するように前記本体に対し着脱可能に固定され、これにより、U字型部材の回転を不能することで、前記ジョイスティックが前記1対の棒状部に沿った方向にのみ操作可能となる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記ジョイスティックの移動可能方向を1方向に制限する制限機構を備え、
該制限機構は、前記ジョイスティックの軸部の両側に位置する1対の可動部材を有し、
該1対の可動部材は、互いに対向する挟持面を有し、
これら1対の挟持面は、前記ジョイスティックの軸部と直交する方向に延び、かつ、互いに平行であるとともに、該軸部を挟むように配置され、
前記各可動部材は、前記ジョイスティックの軸部に隣接する制限位置と、前記ジョイスティックの軸部から離れた非制限位置との間で移動可能となっており、
前記各可動部材が制限位置にある時には、前記ジョイスティックが前記1対の挟持面に沿った方向にのみ操作可能となる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
2つの前記制限機構が、それぞれ、ジョイスティックの前記軸部の方向における2箇所に配置されており、これら制限機構の向きは、互いに90度だけ異なっている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の遠隔操作装置。
【請求項8】
前記移動体には、移動体の進行側の領域を含む範囲を撮像するカメラと、該カメラに撮像された画像データを送信する送信部とが設けられており、
前記本体と別体であるとともに、前記送信部から送信された前記画像データを表示する表示装置を備え、
該表示装置は、人の頭部に装着可能であるとともに、人の頭部に装着された状態で人の視野内に位置するようになっている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の遠隔制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−129983(P2011−129983A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283893(P2009−283893)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(500302552)株式会社IHIエアロスペース (298)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】