説明

遠隔監視装置

【課題】停電時のバックアップ電源を不要とし、停電発生時刻を正確に記憶することができるデマンド監視装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係るデマンド監視システム100のデマンド監視装置1は、電力量を計量してその計量データをデマンド監視装置1に出力する電力量計7と、電力量計7から受信した計量データに基づいて契約電力量を超過したか否かを判断して、その結果をサーバ8に出力するデマンド監視装置1と、デマンド監視装置1の状態を受信して消費電力量を抑制するサーバ8と、上限値や判断結果を表示する表示手段9と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視装置に関し、特に、電力量を監視するデマンド監視装置において、正確な停電発生時刻を記憶し、サーバに送信するものに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の使用に際しては、契約電力量を超えることがあると違約金の支払や基本料金の引き上げが生じるため、契約電力量を超えないように調整する必要がある。例えば、使用電力量が大きい企業においては、デマンド監視装置を各工場や事業所に設置して、サーバにより電力量をリアルタイムに監視して、超過電力の抑制に努めている。また、各企業は、各工場や事業所から送られる使用電力データと共に、停電が発生した場合の停電発生時刻をログ情報としてサーバに送信するようにしている。
【0003】
図6(a)は従来のデマンド監視システムの構成の一例を示す図であり、(b)は制御手段の内部構成を示すブロック図である。従来のデマンド監視システム200は、電力量を計測してその計測データをデマンド監視装置50に出力する電力量計56と、電力量計56から受信した計測データに基づいてデマンド電力量を算出して、その結果をサーバ55に出力するデマンド監視装置50と、デマンド監視装置50の状態を受信して消費電力量を抑制するサーバ55と、を備えている。尚、デマンド監視装置50は、契約電力量の上限値や、目標とする電力量などを設定する入力手段53と、電力量計56からの計測データを受信して、デマンド電力量を算出し、目標とする電力量や、契約電力量との比較を行い、警報等を発する制御手段51と、目標値、上限値や比較結果を表示する表示手段54と、サーバ55との通信を仲介する通信インターフェース52と、を備えている。また、制御手段51は、基準となる時刻情報を生成する時計ユニット60と、停電時に各部に電源を供給するバックアップ電源62と、時計ユニット60から生成される時刻情報を記憶するフラッシュメモリ63と、それらの動作を制御する制御ユニット61と、を備えている。
【0004】
ここで、停電が発生すると、制御手段51の電源がバックアップ電源62に切り替わり、制御ユニット61は時計ユニット60から時刻情報を読み出して、フラッシュメモリ63に書き込む。これにより、フラッシュメモリ63には停電発生直後の時刻が記録される。その後、電源が復旧すると、制御ユニット61はフラッシュメモリ63に記憶した停電発生時刻を通信インターフェース52を介してサーバ55に送信する。
特許文献1には、電力デマンド監視装置において、一時的に高負荷の電力がかかる時に、使用電力量が契約電力量を超過して警報が発せられるといった誤動作を防止する電力デマンド監視装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−61991公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示す従来のデマンド監視システム200では、制御手段51にバックアップ電源62を必要とするため、装置の小型化を阻害し、コストアップに繋がるといった課題がある。また、バックアップ電源62に充分な充電が成されていない時に停電が発生すると、フラッシュメモリ63への書き込みが完了しない状態が起こり得るといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、停電時のバックアップ電源を不要とし、停電発生時刻を正確に記憶することができるデマンド監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、監視対象装置の監視情報を受け入れて、当該監視情報又は当該監視情報に所定の演算を施したものをサーバに送出する遠隔監視装置であって、時刻情報を所定の時間周期で出力する時刻計時手段と、複数の記憶エリアから構成され、前記時刻情報を前記各記憶エリアに記憶しておく時刻情報記憶手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記時刻計時手段により前記時刻情報が出力されると、予め決められた記憶順序に従って前記各記憶エリアに前記時刻情報を記憶するように前記時刻情報記憶手段を制御し、停電が発生した後に電源復旧が検知された場合に、前記時刻情報記憶手段に記憶された時刻情報を前記複数の記憶エリアから読み出し、該読み出した時刻情報の中から前記停電発生時刻に該当する時刻情報を選定して前記サーバに送信することを特徴とする。
本発明のデマンド監視装置は、電源が復旧したときに可能な限り正確な停電発生時刻をサーバに通報するために、通電時は時刻情報記憶手段の複数の記憶エリアに所定の時間周期で時刻情報を記憶しておき、電源が復旧した時に、停電発生時刻に該当する時刻情報を選定してサーバに送信する。従って、時刻情報を記憶する時間周期が短いほど停電発生時刻の誤差を少なくすることができる。これにより、電源が復旧したときに、実際に停電した時刻に最も近い時刻を停電発生時刻として通報することができる。
【0008】
請求項2は、前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報が連続性のある時刻情報である場合は、最も遅い時刻の時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする。
時刻情報記憶手段には、所定の時間周期で変化する時刻情報が記憶される。従って、各時刻情報は連続性を持って記憶されるはずである。しかし、停電は何時発生するかわからないが、例えば、時刻情報を記憶するタイミングとタイミングの間で停電が発生した場合は、記憶された時刻情報の間には連続性が保たれるので、直近の時刻(最も遅い時刻)が最も停電時刻に近いといえる。これにより、簡単な方法により停電時刻を特定することができる。
【0009】
請求項3は、前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報の中に時刻として認識不可能である時刻情報がある場合は、時刻として認識可能な時刻情報の中で最も遅い時刻の時刻情報か、又は該時刻情報に前記所定の時間周期を加算した時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする。
時刻を書き込み中に停電が発生した場合は、正確な時刻が記憶される可能性は低い。即ち、そのときの時刻情報は、時刻として認識不可能な可能性がある。しかし、それ以前に記憶された時刻情報は正確な時刻を記憶しているはずである。従って、本発明では、時刻として認識不可能な情報の直前に記憶された時刻情報をサーバに送信するか、或いは、その時刻情報に所定の時間周期(例えば、1秒)を加算した時刻が停電の時刻に一致するはずであるので、その時刻情報をサーバに送信する。これにより、時刻情報を書き込み中に停電が発生しても、正確な停電発生時刻をサーバに送信することができる。
【0010】
請求項4は、前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した各時刻情報が時刻として認識可能であるが、前記所定の時間周期で記憶されていない場合は、時刻を特定できない旨を前記サーバに送信することを特徴とする。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合、低い確率で記憶された時刻情報が時刻として認識可能な情報として記憶されるときがある。例えば、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する際、このような状態が発生した場合は、何れの時刻が正確な停電時刻であるかを判断することはできない。このような時は、サーバに対して時刻を特定できない旨を送信する。これにより、サーバは時刻情報を書き込み中に停電が発生したことを認識することができる。
【0011】
請求項5は、前記記憶エリアを少なくとも3エリア備え、前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記3エリアの記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した各時刻情報が時刻として認識可能であるが、前記3エリアの記憶エリアの時刻情報の中に連続性がない記憶エリアがある場合、それ以外の連続性のある時刻情報のうち最も遅い時刻の時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合、低い確率で記憶された時刻情報が時刻として認識可能なときがある。このとき、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する場合は、何れの時刻が正確な停電発生時刻であるかを判断することはできない。そこで、本発明では、記憶エリアを3エリアとして、時刻情報が認識不可能なエリア以外に記憶された他の2つの記憶エリアの時刻情報のうち、遅い時刻を停電時刻としてサーバに送信する。これにより、どのようなタイミングで時刻情報が記憶されても、必ず正確な停電発生時刻をサーバに送信することができる。
【0012】
請求項6は、前記時刻情報に誤り訂正符号を付加して前記時刻記憶手段に記憶することを特徴とする。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合、低い確率で記憶された時刻情報が時刻として認識可能なときがある。このとき、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する場合は、何れの時刻が正確な停電発生時刻であるかを判断することはできない。そこで、本発明では、それぞれの時刻情報に誤り訂正符号を付加する。これにより、どちらが正確な情報かを判断することができ、記憶エリアを少なくすることができる。
請求項7は、前記時刻情報記憶手段は、不揮発性RAMにより構成されていることを特徴とする。
不揮発性メモリの中には、代表的なフラッシュメモリがある。しかし、フラッシュメモリは、書き込み回数が数万回から数十万回で寿命に達してしまう。即ち、1秒間隔で書き込みを繰り返すと、約1日で寿命に達する計算である。そこで本発明では、不揮発性RAMを使用することにより、書き換え回数が10兆回とほぼ無限大に近く、且つ書き換え速度が非常に速いといった特徴を有する。
請求項8は、前記遠隔監視装置が、電力量計から出力される電力量情報を受け入れて当該電力量情報又は当該電力量情報に所定の演算を施したものをサーバに送出するデマンド監視装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通電時は時刻情報記憶手段の複数の記憶エリアに所定の時間周期で時刻情報を記憶しておき、電源が復旧した時に、停電発生時刻に該当する時刻情報を選定してサーバに送信するので、電源が復旧したときに、実際に停電した時刻に最も近い時刻を停電発生時刻として通報することができる。
また、時刻を記憶するタイミングとタイミングの間で停電が発生した場合は、記憶された時刻情報の間には連続性があり、直近の時刻(最も遅い時刻)が最も停電時刻に近いといえるので、簡単な方法により停電発生時刻を特定することができる。
また、時刻情報として認識不可能な情報の直前に記憶された時刻情報をサーバに送信するか、或いは、その時刻情報に所定の時間周期(例えば、1秒)を加算した時刻が停電の時刻に一致するはずであり、その時刻情報をサーバに送信するので、時刻情報を書き込み中に停電が発生しても、正確な停電発生時刻をサーバに送信することができる。
【0014】
また、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する場合は、それらの時刻情報に連続性がない場合は、何れの時刻が正確な停電発生時刻であるかを判断することはできない。そのような時は、サーバに対して時刻を特定できない旨を送信するので、サーバは時刻情報を書き込み中に停電が発生したことを認識することができる。
また、記憶エリアを3エリアとして、時刻情報が認識不可能なエリア以外に記憶された他の2つの記憶エリアの時刻情報のうち、遅い時刻を停電発生時刻としてサーバに送信するので、どのようなタイミングで時刻情報を記憶されても、必ず正確な停電時刻をサーバに送信することができる。
また、それぞれの時刻情報に誤り訂正符号を付加するので、どちらが正確な情報かを判断することができ、記憶エリアを少なくすることができる。
また、不揮発性RAMを使用することにより、書き換え回数が10兆回と略無限大に近く、且つ書き換え速度が非常に速いといった特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るデマンド監視システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、記憶エリアが2つの場合の不揮発性RAMに記憶する時刻情報の内容を示す図であり、(b)は、記憶エリアが3つの場合の不揮発性RAMに記憶する時刻情報の内容を示す図である。
【図3】記憶エリアが2つ、又は3つの場合の不揮発性RAMに記憶する動作を説明するフローチャートである。
【図4】(a)は2つの記憶エリアの場合で、記憶するタイミングとタイミング間で停電が発生した場合の動作を示す図であり、(b)は2つの記憶エリアの場合で、時刻情報を記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識不可能な場合の動作を示す図であり、(c)は2つの記憶エリアの場合で、時刻情報を記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識可能な場合の動作を示す図であり、(d)は3つの記憶エリアの場合で、時刻情報を記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識可能な場合の動作を示す図ある。
【図5】本発明のデマンド監視装置の動作を説明するフローチャートであり、(a)は記憶エリアが2つの場合を示す図であり、(b)は記憶エリアが3つの場合を示す図である。
【図6】(a)は従来のデマンド監視システムの構成の一例を示す図であり、(b)は制御手段の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係るデマンド監視システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係るデマンド監視システム100のデマンド監視装置1は、電力量を計量してその計量データをデマンド監視装置1に出力する電力量計7と、電力量計7から受信した計量データに基づいてデマンド電力量を算出して、その結果をサーバ8に出力するデマンド監視装置1と、デマンド監視装置1の状態を受信して消費電力量を抑制するサーバ8と、目標値や上限値や比較結果を表示する表示手段9と、を備えている。
【0017】
また、デマンド監視装置1は、電力量計7から出力される電力量データに基づいてデマンド電力量を算出する電力量計測部(電力量計測手段)2と、基準クロックにより計時された時刻情報を所定の時間周期で出力する時計ユニット(時刻計時手段)3と、複数の記憶エリアから構成され、停電した時刻に最も近い停電発生時刻を含む時刻情報を各記憶エリアに記憶しておく不揮発性RAM(時刻情報記憶手段)5と、これらを制御する制御部(制御手段)4と、電力量計測部2により算出されたデマンド電力量や、目標値や上限値との比較結果や予め設定した電力量を超過した場合の警報情報などを、デマンド監視装置1を監視するサーバ8に警報信号を送信する送信部6と、を備えている。
制御部4は、時計ユニット3により時刻情報が出力されると、予め決められた記憶順序に従って各記憶エリアに時刻情報を記憶するように不揮発性RAM5を制御し、停電が発生した際に電源復旧がなされた場合に、不揮発性RAM5に記憶された時刻情報を複数の記憶エリアから読み出し、読み出した時刻情報の中から停電発生時刻に該当する時刻情報を選定してサーバ8に送信する。
【0018】
次に、本実施形態に係るデマンド監視装置1の概略動作について説明する。電力量計7からは、常時、電力量に対応する電力量データが出力される。例えば、電力量に応じたパルス幅を出力する形態でも良い。その電力量データは電力量計測部2に入力されて、リアルタイムにデマンド電力量がデジタル信号として制御部4に入力される。また、時計ユニット3からは、一定の時間周期で時刻情報が制御部4に入力される。制御部4では、それらの時刻情報を不揮発性RAM5の予め決められた複数の記憶エリアに順次記憶して行く。また、制御部4は電力量計測部2により算出されたデマンド電力量と、予め設定した目標電力量や契約電力量との比較結果を、送信部6を介してサーバ8に送信する。それと同時に、表示手段9にその情報を表示する。サーバ8では、その情報を受信すると、図示しない負荷を制御して電力量が契約電力量を超過しないように制御する。或いは、警報を発してその旨を報知する。
【0019】
また、デマンド監視の監視対象で停電が発生すると、当該デマンド監視装置の全ての制御が停止するため、サーバ8はデマンド監視装置1が故障したのか、停電で停止したのかを判断することができない。そこで、電源が復旧すると(停電が解消された場合と、電源が手動で投入された場合)、制御部4は、不揮発性RAM5の複数のエリアに記憶された時刻情報を読出し、その中から停電発生時刻に該当する時刻情報を選定してサーバ8に送信する。尚、停電発生時刻に該当する時刻情報を選定する方法については後述する。
このように、本実施形態のデマンド監視装置1は、停電したときに可能な限り正確な停電発生時刻をサーバ8に通報するために、通電時は不揮発性RAM5の複数の記憶エリアに所定の時間周期で時刻情報を順次記憶しておき、電源が復旧した時に、停電が発生した時刻の直近の時刻を停電発生時刻とみなしてサーバ8に送信する。従って、記録する時間周期を短くするほど停電発生時刻の誤差を少なくすることができる。これにより、電源が復旧したときに、実際に停電した時刻に最も近い時刻を停電発生時刻として通報することができる。
【0020】
図2(a)は、記憶エリアが2つの場合の不揮発性RAMに記憶する時刻情報の内容を示す図であり、図2(b)は、記憶エリアが3つの場合の不揮発性RAMに記憶する時刻情報の内容を示す図である。
図では記憶する時間周期を1秒として説明する。図2(a)より、記憶エリアAには「13:01:10」(13時1分10秒と読む、以下同様)が記憶され、記憶エリアBには、「13:01:11」が記憶されている。説明の便宜上、時刻情報を更新したエリアのエリア名を○で囲んで示すこととする。そして1秒後には、記憶エリアAが更新されて「13:01:12」が記憶され、記憶エリアBは変化がなく「13:01:11」が記憶されている。同様にして2秒後には、記憶エリアBが更新されて「13:01:13」が記憶され、記憶エリアAは変化がなく「13:01:12」が記憶されている。同様にして3秒後には、記憶エリアAに戻って記憶エリアAが更新されて「13:01:14」が記憶され、記憶エリアBは変化がなく「13:01:13」が記憶されている。このように、前後関係は別として、記憶エリアAとBには必ず連続性のある時刻が記憶され、時刻情報を記憶中に停電が発生しなければ、この動作を停電が発生するまで繰り返す。尚、本実施形態でいう連続性のある時刻情報とは、複数の記憶エリアに記憶された各時刻情報が、前後関係を問わず所定の時間周期(本実施形態では1秒)で記憶されている場合を言う。例えば、エリアAに「13:01:12」、エリアBに「13:01:13」が記憶されている場合、両者の時間周期は1秒であるので、連続性があると判断する。また、エリアAに「13:01:13」、エリアBに「13:01:12」が記憶されている場合であっても構わない。従って、エリアAに「13:01:12」、エリアBに「13:01:14」が記憶されている場合は、両者の時間周期は2秒であるので、連続性がないと判断する。
【0021】
次に図2(b)より、記憶エリアAには「13:01:10」が記憶され、記憶エリアBには「13:01:11」が記憶され、記憶エリアCには、「13:01:12」が記憶されている。そして1秒後には、記憶エリアAが更新されて「13:01:13」が記憶され、記憶エリアBは変化がなく「13:01:11」が記憶され、記憶エリアCも変化がなく「13:01:12」が記憶されている。同様にして2秒後には、記憶エリアBが更新されて「13:01:14」が記憶され、記憶エリアAは変化がなく「13:01:13」が記憶され、記憶エリアCも変化がなく「13:01:12」が記憶されている。同様にして3秒後には、記憶エリアCが更新されて「13:01:15」が記憶され、記憶エリアAは変化がなく「13:01:13」が記憶され、記憶エリアBも変化がなく「13:01:14」が記憶されている。そして4秒後には、記憶エリアAに戻って、記憶エリアAが更新されて「13:01:16」が記憶され、記憶エリアBは変化がなく「13:01:14」が記憶され、記憶エリアCも変化がなく「13:01:15」が記憶されている。このように、前後関係は別として、記憶エリアA、B、Cには必ず連続性のある時刻が記憶され、時刻情報を記憶中に停電が発生しなければ、この動作を停電が発生するまで繰り返す。
【0022】
図3は、記憶エリアが2つ、又は3つの場合の不揮発性RAMに記憶する動作を説明するフローチャートである。図では記憶する時間周期を1秒として説明する。
制御部4は、時計ユニット3が1秒を計時すると(S1でY)、その時刻情報を制御部4に出力する(S2)。制御部4は、その時刻情報をAエリアのアドレスに記憶する(S3)。更に、時計ユニット3が1秒を計時すると(S4でY)、その時刻情報を出力する(S5)。制御部4は、その時刻情報をBエリアのアドレスに記憶する(S6)。記憶エリアが2つの場合は、ステップS1に戻ってこの動作を繰り返す。
ここで記憶エリアが3つの場合は、更に、時計ユニット3が1秒を計時すると(S7でY)、その時刻情報を制御部4に出力する(S8)。制御部4は、その時刻情報をCエリアのアドレスに記憶して(S9)、ステップS1に戻ってこの動作を繰り返す。
【0023】
図4(a)は、2つの記憶エリアの場合で、記憶するタイミングとタイミングの間で停電が発生した場合の動作であり、図4(b)は、2つの記憶エリアの場合で、記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識不可能な場合であり、図4(c)は2つの記憶エリアの場合で、記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識可能な場合であり、図4(d)は3つの記憶エリアの場合で、記憶中に停電が発生した場合で、記憶内容が時刻として認識可能な場合の動作である。
図4(a)より、時計ユニット3は、1秒周期で時刻情報を制御部4に出力する。そして、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:10」を記憶する。次の1秒後には、記憶エリアBのアドレスに時刻「13:01:11」を記憶する。また、次の1秒後には、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」を記憶する。そして、その直後にX点で停電が発生したとすると、それ以降は、時計ユニット3からは時刻情報は出力されなくなり(点線)、当然、不揮発性RAM5にも時刻情報は記憶されない。従って、この時点では、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」の時刻が記憶されており、記憶エリアBのアドレスに時刻「13:01:11」が記憶されている。その後、電源が復旧すると記憶エリアA、Bの時刻情報を読出し、記憶エリアAとBの時刻が1秒間隔で連続しているか否かを検証する。
【0024】
本実施形態では、「13:01:11」と「13:01:12」であるので連続性があると判断して、遅い時刻、この例では、「13:01:12」を停電発生時刻としてサーバ8に送信する。
不揮発性RAM5には、所定の時間周期(1秒)で変化する時刻情報が記憶される。従って、各時刻情報は連続性を持って記憶されるはずである。しかし、停電は何時発生するかわからないが、例えば、時刻情報を記憶するタイミングとタイミングの間で停電が発生した場合は、記憶された時刻情報の間には連続性が保たれるので、直近の時刻(最も遅い時刻)が最も停電発生時刻に近いといえる。これにより、簡単な方法により停電発生時刻を特定することができる。
【0025】
図4(b)より、時計ユニット3は、1秒周期で時刻情報を制御部5に出力する。そして、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:10」を記憶する。次の1秒後には、記憶エリアBのアドレスに時刻「13:01:11」を記憶する。また、次の1秒後には、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」を記憶する。そして、その直後にY点(時刻情報を書き込み中)で停電が発生したとすると、それ以降は、時計ユニット3からは時刻情報は出力されなくなり(点線)、当然、不揮発性RAM5にも時刻情報は記憶されない。従って、この時点では、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」の時刻が記憶されており、記憶エリアBのアドレスに「**:**:**」といった時刻として認識不可能なデータが記憶されているとする。その後、電源が復旧すると記憶エリアA、Bの時刻情報を読出し、記憶エリアAとBの時刻が1秒間隔で連続しているか否かを検証する。
【0026】
本実施形態では、「13:01:11」と「**:**:**」であるので連続性がないと判断して、時刻として認識可能な時刻、この例では、「13:01:12」か、或いは「13:01:12」に1秒を加算した「13:01:13」を停電発生時刻としてサーバ9に送信する。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合は、正確な時刻情報が記憶される可能性は低い。即ち、そのときの時刻情報は、時刻として認識不可能な情報の可能性がある。しかし、それ以前に記憶された時刻情報は正確な時刻を記憶しているはずである。従って、本実施形態では、時刻として認識不可能な情報の直前に記憶された時刻情報をサーバ8に送信するか、或いは、その時刻情報に所定の時間周期(例えば、1秒)を加算した時刻が停電発生時刻に一致するはずであるので、その時刻情報をサーバ8に送信する。これにより、時刻情報を書き込み中に停電が発生しても、正確な停電派生時刻をサーバ8に送信することができる。
【0027】
図4(c)より、時計ユニット3は、1秒周期で時刻情報を制御部5に出力する。そして、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:10」を記憶する。次の1秒後には、記憶エリアBのアドレスに時刻「13:01:11」を記憶する。また、次の1秒後には、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」を記憶する。そして、その直後にY点(時刻情報を書き込み中)で停電が発生したとすると、それ以降は、時計ユニット3からは時刻情報は出力されなくなり(点線)、当然、不揮発性RAM5にも時刻情報は記憶されない。従って、この時点では、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:12」の時刻が記憶されており、記憶エリアBのアドレスに例えば「13:15:20」が記憶されているとする。その後、電源が復旧すると記憶エリアA、Bの時刻情報を読出し、記憶エリアAとBの時刻が1秒間隔で連続しているか否かを検証する。
【0028】
本実施形態では、「13:01:12」と「13:15:20」であるので連続性がないが、両エリアの時刻情報は時刻として認識可能であるので、どちらが正しい時刻かを判断することができない。従って、その旨をサーバ8に送信する。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合、低い確率で記憶された時刻情報が時刻として認識可能なときがある。そのような場合、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する際、何れの時刻が正確な停電発生時刻であるかを判断することはできない。そのような時は、サーバ8に対して時刻を特定できない旨を送信する。これにより、サーバ8は時刻情報を書き込み中に停電が発生したことを認識することができる。
【0029】
図4(c)の場合、停電発生時刻を特定することができない。この原因は、記憶エリアが2つであるため、連続性の有無を判断できないためである。そこで、図4(d)のように、記憶エリアを3つにすることにより解決できる。即ち、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:01:10」を記憶する。次の1秒後には、記憶エリアBのアドレスに時刻「13:01:11」を記憶する。また、次の1秒後には、記憶エリアCのアドレスに時刻「13:01:12」を記憶する。そして、その直後にY点(時刻情報を書き込み中)で停電が発生したとすると、それ以降は、時計ユニット3からは時刻情報は出力されなくなり(点線)、当然、不揮発性RAM5にも時刻情報は記憶されない。
従って、この時点では、記憶エリアAのアドレスに時刻「13:15:20」の時刻が記憶されており、記憶エリアBのアドレスに「13:01:11」が記憶され、記憶エリアCのアドレスに「13:01:12」が記憶されているとする。その後、電源が復旧すると記憶エリアA、B、Cの時刻情報を読出し、記憶エリアA、B、Cのそれぞれの時刻が1秒間隔で連続しているか否かを検証する。
【0030】
本実施形態では、記憶エリアA「13:15:20」、記憶エリアB「13:01:11」、記憶エリアC「13:01:12」であるので、記憶エリアAとB間では連続性がないが、記憶エリアBとC間では連続性がある。従って、記憶エリアB「13:01:11」、記憶エリアC「13:01:12」のうち、遅い方の時刻である記憶エリアC「13:01:12」を停電発生時刻としてサーバ9に送信する。
時刻情報を書き込み中に停電が発生した場合、低い確率で記憶された時刻情報が時刻として認識可能なときがある。このとき、2つの記憶エリアに時刻情報を記憶する場合は、何れの時刻が正確な停電発生時刻であるかを判断することはできない。そこで、本実施形態では、記憶エリアを3エリアとして、時刻が認識不可能なエリア以外に記憶された他の2つの記憶エリアの時刻情報のうち、遅い時刻を停電発生時刻としてサーバ8に送信する。これにより、どのようなタイミングで時刻情報を記憶されても、必ず正確な停電発生時刻をサーバ8に送信することができる。
【0031】
図5は本発明のデマンド監視装置の動作を説明するフローチャートであり、図5(a)は記憶エリアが2つの場合であり、図5(b)は記憶エリアが3つの場合である。
図5(a)より、電源が復旧してデマンド監視装置1に電源が投入されると、制御部4はイニシャル動作(不揮発性RAM5以外のメモリの初期化、及び各ラッチ回路等のリセット。)を開始する。それにより、制御部4は電源が復旧したことを認識する(S11でY)。その情報により制御部4は、不揮発性RAM5から2つのエリアに記憶された時刻情報を読み出す(S12)。次に制御部4は、読み出した2つのエリアに記憶された時刻情報が、1秒周期で連続するか否かを検証する(S13)。検証の結果、連続する場合は(S13でY)、遅い方の時刻情報をサーバ8に送信する(S14)。
【0032】
一方、ステップS13で連続性が無い場合は(S13でN)、その2つの記憶エリアの情報が時刻として認識可能か否かを検証する(S15)。例えば、「13:67:01」のように、有り得ない時刻の場合は認識不可能として扱う(S15でN)。この場合は、時刻として認識可能な記憶エリアの時刻情報をサーバ8に送信する(S16)。
一方、ステップS15で2つの記憶エリアの情報が時刻として認識可能であるが、連続性が無い場合は、何れの時刻情報が正しいかを判断することができないので、その旨をサーバ8に送信する(S17)。この場合は、後で、他の情報からどちらの時刻情報が正しいかを判断する。
【0033】
図5(b)では、電源が復旧してデマンド監視装置1に電源が投入されると、制御部4はイニシャル動作(不揮発性RAM5以外のメモリの初期化、及び各ラッチ回路等のリセット。)を開始する。それにより、制御部4は電源が復旧したことを認識する(S21でY)。その情報により制御部4は、不揮発性RAM5から3つのエリアに記憶された時刻情報を読み出す(S22)。次に制御部4は、読み出した3つのエリアに記憶された時刻情報が、1秒周期で連続するか否かを検証する(S23)。検証の結果、連続する場合は(S23でY)、最も遅い方の時刻情報をサーバ8に送信する(S24)。
一方、ステップS23で連続性が無い場合は(S23でN)、その3つの記憶エリアの情報が時刻として認識可能か否かを検証する(S25)。例えば、「13:67:01」のように、有り得ない時刻の場合は認識不可能として扱う(S25でN)。この場合は、時刻として認識不可能な情報の直前の2つの記憶エリアの時刻情報のうち、遅い方の時刻情報をサーバサーバ8に送信する(S29)。
【0034】
一方、ステップS25で3つの記憶エリアの情報が時刻として認識可能であるが(S25でY)、連続性が無い場合は(S26でN)、何れの時刻情報が正しいかを判断することができないので、その旨をサーバ9に送信する(S28)。この場合は、後で、他の情報からどちらの時刻情報が正しいかを判断する。
一方、ステップS26で2つの記憶エリアで連続性がある場合は(S26でY)、遅い方の時刻情報をサーバ8に送信する(S27)。
【符号の説明】
【0035】
1 デマンド監視装置、2 電力量計測部、3 時計ユニット、4 制御部、5 不揮発性RAM、6 送信部、7 電力量計、8 サーバ、9 表示手段、100 デマンド監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象装置の監視情報を受け入れて、当該監視情報又は当該監視情報に所定の演算を施したものをサーバに送出する遠隔監視装置であって、
時刻情報を所定の時間周期で出力する時刻計時手段と、
複数の記憶エリアから構成され、前記時刻情報を前記各記憶エリアに記憶しておく時刻情報記憶手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記時刻計時手段により前記時刻情報が出力されると、予め決められた記憶順序に従って前記各記憶エリアに前記時刻情報を記憶するように前記時刻情報記憶手段を制御し、停電が発生した後に電源復旧が検知された場合に、前記時刻情報記憶手段に記憶された時刻情報を前記複数の記憶エリアから読み出し、該読み出した時刻情報の中から前記停電発生時刻に該当する時刻情報を選定して前記サーバに送信することを特徴とする遠隔監視装置。
【請求項2】
前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報が連続性のある時刻情報である場合は、最も遅い時刻の時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視装置。
【請求項3】
前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報の中に時刻として認識不可能である時刻情報がある場合は、時刻として認識可能な時刻情報の中で最も遅い時刻の時刻情報か、又は該時刻情報に前記所定の時間周期を加算した時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視装置。
【請求項4】
前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記複数の記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した各時刻情報が時刻として認識可能であるが、前記所定の時間周期で記憶されていない場合は、時刻を特定できない旨を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視装置。
【請求項5】
前記記憶エリアを少なくとも3エリア備え、前記制御手段は、電源復旧が検知された場合に、前記3エリアの記憶エリアから時刻情報を読み出し、読み出した各時刻情報が時刻として認識可能であるが、前記3エリアの記憶エリアの時刻情報の中に連続性がない記憶エリアがある場合、それ以外の連続性のある時刻情報のうち最も遅い時刻の時刻情報を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視装置。
【請求項6】
前記時刻情報に誤り訂正符号を付加して前記時刻記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の遠隔監視装置。
【請求項7】
前記時刻情報記憶手段は、不揮発性RAMにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の遠隔監視装置。
【請求項8】
前記遠隔監視装置が、電力量計から出力される電力量情報を受け入れて当該電力量情報又は当該電力量情報に所定の演算を施したものをサーバに送出するデマンド監視装置であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の遠隔監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99026(P2013−99026A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237221(P2011−237221)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】