説明

遠隔管理システム、建物管理装置、遠隔管理装置および遠隔管理方法

【課題】遠隔管理者が保有するロジックおよび現地建物管理者が保有する現場知見をともに活用する。
【解決手段】建物管理装置2は、各設備機器1に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを設定する限界抑制パターン設定手段22と、限界抑制パターンを遠隔管理装置3に通知する通信手段21とを備え、遠隔管理装置3は、限界抑制パターンを取得する限界抑制パターン取得手段32と、各設備機器1に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定する抑制パターン設定手段34と、抑制パターンと限界抑制パターンとを比較する第1比較手段35と、比較結果に基づいて、抑制パターンまたは限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する第1設定手段36と、変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器1に通知する通信手段11とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物内に設置された複数の設備機器を管理する遠隔管理システム、建物管理装置、遠隔管理装置および遠隔管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内に設置された複数の設備機器を管理するシステムでは、設備機器に対する利用者による制御に加えて、管理者(現地建物管理者)による制御を可能としている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示されるシステムでは、利用者からの制御指示と管理者からの制御指示とを比較し、省エネ性および快適性の観点から、管理者からの制御指示が増エネルギーに寄与すると判断した場合には、これを拒否する。これにより、2つの制御指示に対して合理的な調整を行うことができる。なお、管理者は現場知見に基づいて制御指示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−281466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、省エネ促進などのため、空調や照明などの専門企業(遠隔管理者)が提供する遠隔監視、遠隔操作のサービスが普及し始めている。遠隔管理者は、省エネノウハウなどを実行するためのロジックを保有しており、これを活用することで管理対象の設備機器の省エネ促進を図ることができる。
【0005】
しかしながら、遠隔管理者が保有するロジックによる遠隔操作を優先すると、現地建物管理者の現場知見による管理操作の利点が損なわれることになる。そのため、安全性や快適性などにおいて不具合が生じるおそれがある。
【0006】
例えば、照明の照度操作を行う場合、遠隔管理者の省エネノウハウにより決定される照度では、建物の安全管理上の最低限の照度以下になってしまう危険性がある。
また、例えば、空調の温度設定値操作を行う場合、遠隔管理者の省エネノウハウにより決定される設定値では、居住者の体感する快適性が過度に犠牲になってしまう危険性がある(室内温度センサ設置箇所が居住者の周囲温度を計測できていない場合や、日射の影響を受ける系統で居住者の快適感を室内温度だけでは推し量れない場合、室内温度計測値が必ずしも設定値通りに制御できているわけではない場合など)。
【0007】
逆に、現地建物管理者の現場知見による管理操作を優先すると、遠隔管理者が保有するロジックが活用できなくなり、省エネ促進が図れない。また、単に両者の操作を受け付けてしまうと、事実上のコンフリクトが発生するおそれがある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遠隔管理者が保有するロジックおよび現地建物管理者が保有する現場知見をともに活用することができる遠隔管理システム、建物管理装置、遠隔管理装置および遠隔管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る遠隔管理システムは、所定の建物内に設置され、当該建物内に設置された各設備機器を管理する建物管理装置と、当該建物外に設置され、当該各設備機器を管理する遠隔管理装置とを備え、建物管理装置は、各設備機器に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを設定する限界抑制パターン設定手段と、限界抑制パターン設定手段により設定された限界抑制パターンを遠隔管理装置に通知する建物側通信手段とを備え、遠隔管理装置は、建物側通信手段により通知された限界抑制パターンを取得する限界抑制パターン取得手段と、各設備機器に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定する抑制パターン設定手段と、抑制パターン設定手段により設定された抑制パターンと、限界抑制パターン取得手段により取得された限界抑制パターンとを比較する比較手段と、比較手段による比較結果に基づいて、抑制パターンまたは限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する設定手段と、設定手段により設定された変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器に通知する遠隔側通信手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上記のように構成したので、遠隔管理者が保有するロジックおよび現地建物管理者が保有する現場知見をともに活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る遠隔管理システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る遠隔管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る遠隔管理装置の動作を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る遠隔管理システムの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る遠隔管理装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る遠隔管理システムの構成を示す図である。
遠隔管理システムは、図1に示すように、所定の建物内の複数の施設に設置された複数の設備機器(例えば空調機や照明など)1と、この建物内に設けられ、各設備機器1を現場で管理する建物管理装置2と、建物外に設けられ、各設備機器1を遠隔で管理する遠隔管理装置3とから構成されている。なお、建物管理装置2は現地建物管理者により操作され、遠隔管理装置3は空調や照明などの専門企業(遠隔管理者)により操作される。
【0013】
設備機器1は、通信手段11、設定値取得手段12および制御手段13から構成されている。
通信手段11は、遠隔管理装置3との間でデータのやり取りを行うものである。
【0014】
設定値取得手段12は、自機の現在のパラメータ設定値(例えば温度や照度などの設定値)を示す情報を取得するものである。この設定値取得手段12により取得された現在のパラメータ設定値を示す情報は、自機の属する系統を示す情報とともに設定情報として、通信手段11を介して遠隔管理装置3に通知される。
制御手段13は、通信手段11を介して遠隔管理装置3から取得した変更抑制パターン情報に基づいて、自機の動作を制御するものである。この変更抑制パターン情報には、自機のパラメータ設定値に関する変更指示情報(変更抑制パターン)が含まれており、制御手段13は、自機のパラメータ設定値を変更抑制パターンが示す値に変更する。
【0015】
建物管理装置2は、通信手段(建物側通信手段)21および限界抑制パターン設定手段22から構成されている。
通信手段21は、遠隔管理装置3との間でデータのやり取りを行うものである。
【0016】
限界抑制パターン設定手段22は、各設備機器1に関するパラメータの許容限度値(上下限値)を示す限界抑制パターンを設定するものである。この限界抑制パターンは、現地建物管理者の現場知見に基づいて設定される。
この限界抑制パターン設定手段22により設定された限界抑制パターンを示す情報は、当該設備機器1の属する系統を示す情報とともに限界抑制パターン情報として、通信手段21を介して遠隔管理装置3に通知される。
【0017】
遠隔管理装置3は、通信手段(遠隔側通信手段)31、限界抑制パターン取得手段32、設定値取得手段33、抑制パターン設定手段34、第1比較手段(比較手段)35、第1設定手段(設定手段)36、第2比較手段37および第2設定手段38から構成されている。
【0018】
通信手段31は、各設備機器1や建物管理装置2との間でデータのやり取りを行うものである。
限界抑制パターン取得手段32は、通信手段31を介して、建物管理装置2からの限界抑制パターン情報を取得するものである。なお、この限界抑制パターン情報に含まれる限界抑制パターンは、遠隔管理装置3側で設定変更することはできない。
設定値取得手段33は、通信手段31を介して、各設備機器1からの設定情報を取得するものである。
【0019】
抑制パターン設定手段34は、各設備機器1に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定するものである。この抑制パターンは、遠隔管理者が保有するロジック(例えば省エネノウハウを実行するためのロジック)に基づいて設定される。
【0020】
第1比較手段35は、系統ごとに、抑制パターン設定手段34により設定された抑制パターンと、限界抑制パターン取得手段32により取得された限界抑制パターンとを比較するものである。
第1設定手段36は、第1比較手段35による比較結果に基づいて、系統ごとに、抑制パターンまたは限界抑制パターンを仮の変更抑制パターンに設定するものである。
【0021】
第2比較手段37は、系統ごとに、第1設定手段36により設定された仮の変更抑制パターンと、設定値取得手段33により取得された現在のパラメータ設定値とを比較するものである。
第2設定手段38は、第2比較手段37による比較結果に基づいて、系統ごとに、仮の変更抑制パターンまたは現在のパラメータ設定値を最終的な変更抑制パターンに設定するものである。この第2設定手段38により設定された最終的な変更抑制パターンを示す情報(変更抑制パターン情報)は、通信手段31を介して該当する設備機器1に送信される。
【0022】
次に、上記のように構成された遠隔管理システムの動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る遠隔管理装置3の動作を示すフローチャートである。
なお、建物管理装置2では、予め、限界抑制パターン設定手段22で、各設備機器1に関するパラメータに対して、現地建物管理者の現場知見に基づく限界抑制パターンを設定し、系統を示す情報とともに限界抑制パターン情報として遠隔管理装置3に通知している(限界抑制パターン設定ステップ、建物側通信ステップ)。
【0023】
遠隔管理装置3の動作では、図2に示すように、まず、限界抑制パターン取得手段32は、通信手段31を介して、建物管理装置2からの限界抑制パターン情報を取得する(ステップST1、限界抑制パターン取得ステップ)。
また、設定値取得手段33は、通信手段31を介して、各設備機器1からの設定情報(現在のパラメータ設定値を示す情報、系統を示す情報)を取得する(ステップST2)。
【0024】
次いで、抑制パターン設定手段34は、各設備機器1に関するパラメータに対して、遠隔管理者が保有するロジック(例えば省エネノウハウを実行するためのロジック)に基づいて、抑制パターンを設定する(ステップST3、抑制パターン設定ステップ)。
【0025】
次いで、第1比較手段35は、系統ごとに、抑制パターン設定手段34により設定された抑制パターンと、限界抑制パターン取得手段32により取得された限界抑制パターンとを比較する(ステップST4、比較ステップ)。
次いで、第1設定手段36は、第1比較手段35による比較結果に基づいて、系統ごとに、抑制パターンまたは限界抑制パターンを仮の変更抑制パターンに設定する(ステップST5、設定ステップ)。ここで、第1設定手段36は、遠隔管理装置3側で設定した抑制パターンが限界抑制パターンの範囲内である場合には抑制パターンを仮の変更抑制パターンに設定し、抑制パターンが限界抑制パターンの範囲外である場合には限界抑制パターンを仮の変更抑制パターンに設定する。
【0026】
次いで、第2比較手段37は、系統ごとに、第1設定手段36により設定された仮の変更抑制パターンと、設定値取得手段33により取得された現在のパラメータ設定値とを比較する(ステップST6)。
【0027】
次いで、第2設定手段38は、第2比較手段37による比較結果に基づいて、系統ごとに、仮の変更抑制パターンまたは現在のパラメータ設定値を最終的な変更抑制パターンに設定する(ステップST7)。ここで、第2設定手段38は、仮の変更抑制パターンの方が現在のパラメータ設定値より例えば省エネに貢献するものである場合には、仮の変更抑制パターンを最終的な変更抑制パターンに設定し、仮の変更抑制パターンより現在のパラメータ設定値の方が省エネに貢献するものである場合には、現在のパラメータ設定値を最終的な変更抑制パターンに設定する(パラメータ設定値の変更なし)。
この第2設定手段38により設定された最終的な変更抑制パターンを示す情報は、通信手段11を介して該当する設備機器1に通知され、当該設備機器1の制御手段13で、この変更抑制パターンへの設定値変更が行われる(制御ステップ)。
【0028】
次に、具体例を用いて、上記遠隔管理装置3の動作を説明する。図3はこの発明の実施の形態1に係る遠隔管理装置3の動作を説明する図である。なお、図3では、空調機により施設内を冷房している際に、遠隔管理装置3でパラメータ設定値(温度設定値)を変更する場合について示す。
図3では、系統(空調機)ごとに、抑制パターン設定手段34で設定された抑制パターン(温度設定値)と、限界抑制パターン取得手段32で取得された限界抑制パターン(上限温度設定値)と、設定値取得手段33で取得された現在のパラメータ設定値(温度設定値)とがそれぞれ示されている。
これらのデータを用いて、以下のようにして各系統に通知する変更抑制パターンを設定する。
【0029】
まず、系統Aについて、第1比較手段35は、抑制パターン(25.5℃)と限界抑制パターン(26℃)とを比較する。そして、第1設定手段36は、値の小さい抑制パターン(25.5℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。すなわち、遠隔管理装置3側で設定した抑制パターンが限界抑制パターンの範囲内に収まることから、省エネノウハウを活用可能と判断して抑制パターンを採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(25.5℃)と、現在のパラメータ設定値(25℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい仮の変更抑制パターン(25.5℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Aの該当する設備機器1に通知する。すなわち、現在のパラメータ設定値が仮の変更抑制パターンより温度が低いことから、無駄なエネルギーを消費していると判断し、省エネ促進のため、仮の変更抑制パターンを採用する。
【0030】
次に、系統Bについて、第1比較手段35は、抑制パターン(27℃)と限界抑制パターン(26.5℃)とを比較する。そして、第1設定手段36は、値の小さい限界抑制パターン(26.5℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。すなわち、遠隔管理装置3側で設定した抑制パターンが限界抑制パターンの範囲を超えていることから、抑制パターンを採用すると安全性や快適性に不具合を生じるおそれがあり、限界抑制パターンを採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(26.5℃)と、現在のパラメータ設定値(25℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい仮の変更抑制パターン(26.5℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Bの該当する設備機器1に通知する。
【0031】
次に、系統Cについて、第1比較手段35は、抑制パターン(26℃)と、限界抑制パターン(25℃)とを比較する。そして、第1設定手段36は、値の小さい限界抑制パターン(25℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(25℃)と、現在のパラメータ設定値(26.5℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい現在のパラメータ設定値(26.5℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Cの該当する設備機器1に通知する。すなわち、現在のパラメータ設定値が仮の変更抑制パターンより温度が高いことから、省エネ性が高く、また、この温度でも安全性や快適性にも問題がないものと判断し、パラメータ設定値の変更は行わない。
【0032】
次に、系統Dについて、第1比較手段35は、抑制パターン(26.5℃)と限界抑制パターン(26℃)とを比較する。そして、第1設定手段36は、値の小さい限界抑制パターン(26℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(26℃)と、現在のパラメータ設定値(27℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい現在のパラメータ設定値(27℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Cの該当する設備機器1に通知する。
【0033】
なお、図3の例では、冷房を行う空調機の温度設定値を変更する場合について示したが、暖房の場合には、上記動作の大小比較の採用が逆になる点以外は同様である。また、照明の照度を変更する場合等についても同様に動作させることができる。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、現地建物管理者の現場知見が厳密かつ限定的な数値管理ばかりではなく、ある程度の幅が有ることに着眼し、現地建物管理者(建物管理装置2)には現場知見に基づく限界抑制パターン(上下限値)を設定する権利を与え、遠隔管理者(遠隔管理装置3)側では限界抑制パターンを設定変更できないようにして、限界抑制パターンの範囲内で、省エネノウハウなどを実行するためのロジックに基づく抑制パターンを適用できるように構成したので、双方の知見を活用し、かつ適正に抑制でき、また、管理上の不備も抑制できる。
【0035】
なお、実施の形態1では、第2比較手段37および第2設定手段38において、仮の変更抑制パターンと現在のパラメータ設定値を比較して最終的な変更抑制パターンを設定するようにしているが、この処理を行わず、仮の変更抑制パターンをそのまま最終的な変更抑制パターンとして設備機器1に送信するようにしてもよい。
【0036】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係る遠隔管理システムの構成を示すブロック図である。図4に示す実施の形態2に係る遠隔管理システムは、図1に示す実施の形態1に係る遠隔管理装置3に可否設定手段39を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
可否設定手段39は、設備機器1のパラメータや系統ごとに、限界抑制パターンの設定可否を設定するものである。なお、この限界抑制パターンの設定可否は建物オーナの権限によって設定されるものであり、建物管理装置2側で設定変更することはできない。そして、限界抑制パターン設定が禁止とされている場合には、建物管理装置2による限界抑制パターンの設定は拒否され、第1設定手段35は、抑制パターンを仮の変更抑制パターンに設定する。
【0038】
次に、具体例を用いて、上記遠隔管理装置3の動作を説明する。図5はこの発明の実施の形態2に係る遠隔管理装置3の動作を説明する図である。なお、図5では、空調機により施設内を冷房している際に、遠隔管理装置3でパラメータ設定値(温度設定値)を変更する場合について示す。
図5では、系統(空調機)ごとに、抑制パターン設定手段34で設定された抑制パターン(温度設定値)と、可否設定手段39で設定された限界抑制パターン設定の許可・禁止情報と、限界抑制パターン取得手段32で取得された限界抑制パターン(上限温度設定値)と、設定値取得手段33で取得された現在のパラメータ設定値(温度設定値)とがそれぞれ示されている。
これらのデータを用いて、以下のようにして各系統に通知する抑制パターンを設定する。
【0039】
まず、系統A、Cでは、限界抑制パターン設定が許可されている。よって、実施の形態1(図3)と同様の処理が行われる。
一方、系統Bでは、限界抑制パターン設定が禁止されている。そのため、第1比較手段35は比較処理を実施せず、第1設定手段36は、抑制パターン(27℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(27℃)と、現在のパラメータ設定値(25℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい仮の変更抑制パターン(27℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Bの該当する設備機器1に通知する。
【0040】
また、系統Dでも、限界抑制パターン設定が禁止されている。そのため、第1比較手段35は比較処理を実施せず、第1設定手段36は、抑制パターン(26.5℃)を仮の変更抑制パターンとして採用する。
次いで、第2比較手段37は、仮の変更抑制パターン(26.5℃)と、現在のパラメータ設定値(27℃)とを比較する。そして、第2設定手段38は、値の大きい現在のパラメータ設定値(27℃)を最終的な変更抑制パターンとして採用し、通信手段31を介して系統Cの該当する設備機器1に通知する。
【0041】
以上のように、この実施の形態2によれば、建物オーナが限界抑制パターン設定の許可・禁止を設定可能とするように構成したので、実施の形態1における効果に加えて、系統ごとに、遠隔管理者が保有するロジックによる遠隔操作を優先するか否かを変えることも可能であり、柔軟な管理操作を行うことができる。
【0042】
なお、実施の形態1,2に係る遠隔管理システムは、1つの中央熱源機器を運転することによって、建物内の全ての施設を対象として空調を行うセントラル空調に適用可能である。また、複数の室外機と室内機を備え、建物内の施設ごとに空調を行うビル用マルチエアコン(ビルマル)にも適用可能である。
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 設備機器
2 建物管理装置
3 遠隔管理装置
11 通信手段
12 設定値取得手段
13 制御手段
21 通信手段(建物側通信手段)
22 限界抑制パターン設定手段
31 通信手段(遠隔側通信手段)
32 限界抑制パターン取得手段
33 設定値取得手段
34 抑制パターン設定手段
35 第1比較手段(比較手段)
36 第1設定手段(設定手段)
37 第2比較手段
38 第2設定手段
39 可否設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の建物内に設置され、当該建物内に設置された各設備機器を管理する建物管理装置と、当該建物外に設置され、当該各設備機器を管理する遠隔管理装置とを備えた遠隔管理システムにおいて、
前記建物管理装置は、
前記各設備機器に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを設定する限界抑制パターン設定手段と、
前記限界抑制パターン設定手段により設定された限界抑制パターンを前記遠隔管理装置に通知する建物側通信手段とを備え、
前記遠隔管理装置は、
前記建物側通信手段により通知された限界抑制パターンを取得する限界抑制パターン取得手段と、
前記各設備機器に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定する抑制パターン設定手段と、
前記抑制パターン設定手段により設定された抑制パターンと、前記限界抑制パターン取得手段により取得された限界抑制パターンとを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、抑制パターンまたは限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器に通知する遠隔側通信手段とを備えた
ことを特徴とする遠隔管理システム。
【請求項2】
前記遠隔管理装置は、
前記各設備機器から現在のパラメータ設定値を取得する設定値取得手段と、
前記設定手段により設定された変更抑制パターンと、前記設定値取得手段により取得されたパラメータ設定値とを比較する第2比較手段と、
前記第2比較手段による比較結果に基づいて、変更抑制パターンまたはパラメータ設定値を最終的な変更抑制パターンに設定する第2設定手段とを備え、
前記通信手段は、前記設定手段より設定された変更抑制パターンに換えて、前記第2設定手段により設定された変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器に通知する
ことを特徴とする請求項1記載の遠隔管理システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記比較手段により抑制パターンが限界抑制パターンの範囲内であると判断された場合には、抑制パターンを変更抑制パターンに設定し、抑制パターンが限界抑制パターンの範囲外であると判断された場合には、限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の遠隔管理システム。
【請求項4】
前記遠隔管理装置は、
限界抑制パターンの設定可否を設定する可否設定手段を備え、
前記設定手段は、前記可否設定手段により限界抑制パターンの設定が禁止されている場合には、抑制パターンを変更抑制パターンに設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遠隔管理システム。
【請求項5】
所定の建物内に設置され、当該建物内に設置された各設備機器を管理する建物管理装置において、
前記各設備機器に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを設定する限界抑制パターン設定手段と、
前記限界抑制パターン設定手段により設定された限界抑制パターンを、前記建物外に設置されて前記各設備機器を管理する遠隔管理装置に通知する建物側通信手段と
を備えたことを特徴とする建物管理装置。
【請求項6】
所定の建物外に設置され、当該建物内に設置された各設備機器を管理する遠隔管理装置において、
前記建物内に設置されて前記各設備機器を管理する建物管理装置により通知された、当該各設備機器に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを取得する限界抑制パターン取得手段と、
前記各設備機器に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定する抑制パターン設定手段と、
前記抑制パターン設定手段により設定された抑制パターンと、前記限界抑制パターン取得手段により取得された限界抑制パターンとを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、抑制パターンまたは限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器に通知する遠隔側通信手段と
を備えたことを特徴とする遠隔管理装置。
【請求項7】
所定の建物内に設置され、当該建物内に設置された各設備機器を管理する建物管理装置と、当該建物外に設置され、当該各設備機器を管理する遠隔管理装置とを備えた遠隔管理システムの遠隔管理方法において、
前記建物管理装置は、
前記各設備機器に関するパラメータの許容限度値を示す限界抑制パターンを設定する限界抑制パターン設定ステップと、
前記限界抑制パターン設定ステップにおいて設定した限界抑制パターンを前記遠隔管理装置に通知する建物側通信ステップとを有し、
前記遠隔管理装置は、
前記建物管理装置により通知された限界抑制パターンを取得する限界抑制パターン取得ステップと、
前記各設備機器に関するパラメータの所定の設定値を示す抑制パターンを設定する抑制パターン設定ステップと、
前記抑制パターン設定ステップにおいて設定した抑制パターンと、前記限界抑制パターン取得ステップにおいて取得した限界抑制パターンとを比較する比較ステップと、
前記比較ステップにおける比較結果に基づいて、抑制パターンまたは限界抑制パターンを変更抑制パターンに設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定した変更抑制パターンへのパラメータ設定値の変更指示を該当する設備機器に通知する遠隔側通信ステップとを有する
ことを特徴とする遠隔管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36725(P2013−36725A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175715(P2011−175715)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】