説明

遮光装置兼用照明器具

【課題】遮光装置兼用照明器具において、1種類の光源のみを用いた安価な構成で、建物の採光開口に設けられたときに、必要に応じて使用状態を変化させることで、拡散した光と、指向性の強い光とを選択的に室内に照射することができるようにする。
【解決手段】遮光装置兼用照明器具10は、互いに略平行に配置され、外光を遮光する状態と採光する状態との間で回動自在な長尺状の複数枚のスラット11と、スラット11の長手方向に沿う一端面に設けられたLED14と、スラット11に設けられた導光板12と、を備える。スラット11が外光を遮光する状態にあるとき、LED14から出射されて導光板12に入射された光は、導光板12中を導光して拡散され、採光空間である室内に照射される。また、スラット11が外光を採光する状態にあるとき、LED14から出射された光は、直接、室内の天井や床に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光装置兼用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明、又はディスプレイとして用いるために、有機ELやLEDフィルム等を取り付けたブラインドが知られている。
【0003】
例えば、発光するELシートで構成されたスラットを備えるブラインドが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、スラットに太陽電池と、シート状二次電池と、シート状光源と、を備えるブラインドも知られている(例えば、特許文献2参照)。これらブラインドは、窓の室内側に設置され、スラットを回動させることで外光を遮光及び採光し、さらに、光源で部屋を全体的に照らすことができる。しかし、これらブラインドは、指向性が強い光を照射できないため、室内の床や、天井などの特定の場所を照らすことには適していない。
【0004】
また、LEDがスラットのエッジ部に設置され、特定の場所を照らすことのできるブラインドが知られている(例えば、特許文献3参照)。このブラインドは、スラットの開き角度を調整することによって、室内の床や、天井などを照らすことができるが、指向性が強いために部屋を全体的に照らすことには適していない。
【0005】
また、スラットが略水平状態にあるとき、スラットの下を向く面にLEDを有し、スラットの上を向く面に反射材を有し、各スラット間に拡散部を有する導光板が備えられたブラインドが知られている(例えば、特許文献4参照)。スラットが外光を遮光する状態のとき、LEDの出射光が導光板の拡散部を通過することで、室内を全体的に照らすことができる。しかし、スラットが外光を採光する状態でLEDから光が出射されたとき、この光は、隣り合うスラットの反射材によって反射され、天井に照射されてしまい、指向性の強い光で部屋の床を照らすことができない。
【0006】
そこで、スラットの平面部に有機EL、端面部にLEDを設置することによって、有機ELからの光が室内を全体的に照らし、LEDからの光が室内の床や天井を狙って照らすことができるブラインドが考えられる。しかし、2種類の光源が必要となるため、コストが高価となる。
【特許文献1】特開2000−303758号公報
【特許文献2】特開2001−82058号公報
【特許文献3】特開2006−184561号公報
【特許文献4】特開2007−146395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、1種類の光源のみを用いた安価な構成で、建物の採光開口に設けられたときに、必要に応じて使用状態を変化させることで、拡散した光と、指向性の強い光とを選択的に室内に照射できる遮光装置兼用照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、互いに略平行に配置され、外光を遮光する状態と採光する状態との間で回動自在な長尺状の複数枚のスラットを備えた遮光装置兼用照明器具において、前記スラットの長手方向に沿う一端面に設けられた光源と、前記スラットに設けられ、前記光源から出射された光を導光して照射する導光板と、を備え、前記スラットが外光を遮光する状態にあるとき、前記光源からの光が隣り合う導光板の長手方向に沿う他端面へ入射されるように構成したものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記スラットが外光を採光する状態にあるとき、前記スラットの下を向く面が前記導光板の照射面となり、前記とは他方の面が外光を反射する反射面となるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、スラットが外光を遮光する状態にあるとき、光源から出射されて導光板に入射された光は、導光板中を導光して拡散され、採光空間である室内に照射される。また、スラットが外光を採光する状態にあるとき、光源から出射された光は、直接、室内の天井や床に照射される。したがって、一つの光源で、拡散した光と、指向性の強い光とを選択的に室内に照射することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、スラットが外光を採光する状態にあるとき、外光がスラットの反射面で反射されて天井に照射されることで、間接照明の効果を得ることができる。さらに、スラットが外光を遮光する状態にあるとき、外光をスラットの反射面で反射することによって、室内に熱が籠ることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る遮光装置兼用照明器具(以下、照明器具という)について図1乃至図5(a)(b)(c)を参照して説明する。図1、及び図2(a)(b)に示されるように、本実施形態の照明器具10は、互いに略平行に設けられ回動自在な長尺状の複数枚のスラット11と、スラット11を自在に回動させるための回動ロープ18と、スラット11に形成された貫通孔に通され、スラット11を上昇、下降させるための上昇、下降ロープ19と、を備える。照明器具10は、建物の窓の室内側に設置され、スラット11を回動させることで、外光を採光、又は遮光することができる。
【0013】
スラット11は、導光板12と、導光板12の長手方向に沿う端面に設けられた光源保持部13と、光源保持部13に保持された光源としてのLED14と、導光板12に積層して設けられた反射材15と、導光板12と反射材15との間に挟まれた拡散手段16と、を備える。LED14は、導線17によって電源を供給される。スラット11は、回動ロープ18が操作されることにより、外光を採光する状態(以下、開状態という)と、外光を遮光する状態(以下、閉状態という)との間で回動自在とされている。
【0014】
導光板12は、一定の厚みを持った長尺状であり、スラット11が外光を採光する状態(以下、開状態という)にあるとき、スラット11の下を向く面に設けられ、屈折率が1より大きい透明材料、例えば、透明なアクリル樹脂や、ポリカーボネート樹脂などから形成される。
【0015】
反射材15は、長尺の板状で、外光を反射させる面と、導光板12を導光する光を反射させる面とから成り、スラット11が開状態にあるとき、スラット11の上を向く面に、外光を反射させる面を上にして設けられる。反射材15の材料は、合成樹脂で作製された反射シート等の一般的な材料を用いることができ、それぞれの面ごとに同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
【0016】
LED14は、例えば、狭角配光タイプの砲弾型白色LEDを用いることができる。光源は、狭角配光であって、小型の光源であればよく、LED14に代えてランプその他の光源を用いてもよい。光源保持部13は、LED14を給電、及びスラット11に保持するためのソケット(不図示)と、ソケットに電力を供給するための配線(不図示)とを備える。光源保持部13の材料は、一般的なソケット、及び配線を用いることができる。
【0017】
拡散手段16は、導光板12と反射材15との間の面に、長手方向に沿って縞状に、白色インク、又は透明インクを塗布したり、導光板12をエッチングして凹凸をつける等の方法で設けられる。拡散手段16の形状パターンは、縞状の他に、ドット状、梨子地状などでもよい。
【0018】
上昇、下降ロープ19の下端部は、最下段のスラット11の下の位置に備えられたボトムレール(不図示)に取り付けられている。上昇、下降ロープ19が引き上げられると、ボトムレールが上昇し、ボトムレールに持ち上げられるようにして下段のスラット11から順次上昇する。逆に、上昇、下降ロープ19が引き下げられると、ボトムレールが下降し、上段のスラット11から順に上昇前の位置へと戻る。
【0019】
次に、上記のように構成された照明器具10の動作を説明する。図3(a)はスラット11が開状態にあり、図3(b)はスラット11が閉状態にある。スラット11は、開状態から、光源保持部13側に設けられた方の回動ロープ18を矢印A方向に引き上げ、他方の回動ロープ18を矢印B方向に引き下げることで、スラット11が矢印C方向に回動し、閉状態になる。スラット11が開状態では、LED14から出射された光が直接、採光空間である室内に照射される。照射光を矢印で示している。スラット11が閉状態では、LED14から出射された光が、隣り合うスラット11の導光板12の長手方向の端面へ入射される。この入射された光は、導光板12の表面で全反射21を繰り返して導光板12全体へと広がり、拡散手段16で拡散22され、導光板12表面への入射角度が大きくなると、導光板12表面で全反射21せずに外部つまり室内へと照射される。したがって、スラット11は、その使用状態を変化させることにより、指向性の強い光と、拡散した光とを選択的に照射することができる。
【0020】
図4(a)(b)(c)は、夜間などにおいてLEDを点灯させての器具使用状態を示している。照明器具10は、室内31の窓32付近に設置されている。同図(a)(b)に示されるように、スラット11が開状態のとき、スラット11から出射された指向性の強い光33は、スラット11の回動角度を変えることで、室内31の天井、床などの特定の場所を照射する。また、同図(c)に示されるように、スラット11が閉状態のとき、スラット11から出射された拡散光34は、室内31を全体的に照射する。
【0021】
図5(a)(b)(c)は、日中などにLEDを点灯させない器具使用状態を示している。同図(a)(b)に示されるように、スラット11が開状態のとき、窓32を透過した外光35は、スラット11の回動角度を変えることで、反射材15で反射されて室内31の天井を照射するか、又は反射されずに室内31の床を照射し、採光される。反射された外光35が天井を照らすことで、間接照明の効果を得ることができる。また、同図(c)に示されるように、スラット11が閉状態のとき、外光35は、スラット11の反射材15によって屋外に向かって反射される。これにより、単に遮光するよりも熱が室内31に籠り難くなる。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、照明器具10にスラット11を回動させるための駆動部と、室内の明るさを検知するセンサと、をさらに設けて、室内の輝度を自動で調整できる形態のものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る遮光装置兼用照明器具の外観図。
【図2】(a)は同器具に用いられるスラットの外観図、(b)は同スラットの側面図
【図3】(a)はスラットが開状態にあってLEDから光が照射されている状態を示す側面図、(b)はスラットが閉状態にあって導光板から光が照射されている状態を示す側面図。
【図4】(a)はスラットが開状態にあってLEDから出射された光が天井を照らした状態を示す側面図、(b)は同光が床を照らした状態を示す側面図、(c)はスラットが閉状態にあって導光板から光が拡散して照射された状態を示す側面図。
【図5】(a)はスラットが開状態にあって反射材で反射された外光が天井を照らした状態を示す側面図、(b)は同外光を採光する状態を示す側面図、(c)はスラットが閉状態にあって外光を反射材で反射する状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0024】
10 遮光装置兼用照明器具
11 スラット
12 導光板
14 LED(光源)
15 反射材
16 拡散手段
31 室内
33 指向性の強い光
34 拡散光
35 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略平行に配置され、外光を遮光する状態と採光する状態との間で回動自在な長尺状の複数枚のスラットを備えた遮光装置兼用照明器具において、
前記スラットの長手方向に沿う一端面に設けられた光源と、
前記スラットに設けられ、前記光源から出射された光を導光して照射する導光板と、を備え、
前記スラットが外光を遮光する状態にあるとき、前記光源からの光が隣り合う導光板の長手方向に沿う他端面へ入射されるように構成したことを特徴とする遮光装置兼用照明器具。
【請求項2】
前記スラットが外光を採光する状態にあるとき、前記スラットの下を向く面が前記導光板の照射面となり、前記とは他方の面が外光を反射する反射面となることを特徴とする請求項1に記載の遮光装置兼用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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