説明

遮断器

【課題】接触チューリップを損傷することなく開閉ピンを操作することができる遮断器を得る。
【解決手段】絶縁筒13と、フランジ10aと、フランジ10bと、フランジ10bの開口部に向けて延設された接触チューリップ2aと、接触チューリップ2aと対向してフランジ10aの開口部に向けて延設された接触チューリップ2bと、開閉軸22に沿って接続位置と遮断位置とを切り替える開閉ピン11と、接触チューリップ2aと略平行に延設された外ガイド3aと、接触チューリップ2bと略平行に延設された外ガイド3bと、開閉ピン11の投入方向に変形する接触フィンガー16aを支持可能に段付ボルト5aに保持された金属ガイド1aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所あるいは変電所等において使用される遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス遮断器として、例えば下記特許文献1の図2に開示された遮断器がある。この従来の遮断器は、消孤室の中において開閉軸線に対して斜め方向に配置された弾性的なフィンガー状の接触チューリップを複数有しており、これらの接触チューリップのフィンガーは、開閉軸線に対して周方向に並べて配置され、スリットによって分離されている。この従来の遮断器は、開閉ピンの投入操作により接触チューリップと開閉ピンとが接触して通電状態となり、開閉ピンの遮断操作により開閉ピンが下方に移動し電流遮断状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−329191号公報(「0021」、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示される従来の遮断器は、フィンガー状の接触チューリップを用いているため、開閉ピンの投入・遮断の操作によって、接触チューリップと開閉ピンが摺動し、開閉ピンと接触チューリップの接触面が荒れる。その結果として、開閉ピンと接触チューリップとの摩擦が増大し、接触チューリップのフィンガーの先端部が変形する場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接触チューリップを損傷することなく開閉ピンを操作することができる遮断器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、加熱室を囲う筒状の絶縁性の壁部と、前記壁部の一端側に配設された第1の通電部材と、前記壁部の他端側に配置された第2の通電部材と、前記第1の通電部材に電気的に接続され、前記第2の通電部材の開口部に向けて延設された第1の開閉部材と、前記第2の通電部材に電気的に接続され、前記第1の開閉部材と対向して前記第1の通電部材の開口部に向けて延設された第2の開閉部材と、開閉軸線に沿って往復駆動して接続位置と遮断位置とを切り替える第3の開閉部材と、前記第1の開閉部材と前記加熱室との間に、前記第1の開閉部材に近設して前記第1の開閉部材と略平行に延設された第1のガイドと、前記第3の開閉部材の投入方向に変形する前記第1の開閉部材を支持可能に設置され、前記加熱室側から前記第1のガイドおよび前記第1の開閉部材に挿通した第1の締結部材に保持される第2のガイドと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、フィンガーの開閉軸線に対して内側に金属製ガイドを設けるようにしたので、接触チューリップの変形が弾性変形内に抑えられ、接触チューリップを損傷することなく開閉ピンを操作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる遮断器の遮断状態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態にかかる遮断器の投入状態を示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示される金属ガイドの構成例を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示される接触チューリップの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる遮断器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる遮断器の遮断状態を示す断面図であり、図2は、本発明の実施の形態にかかる遮断器の投入状態を示す断面図であり、図1および図2には、遮断器の消弧室の要部の構成が示されている。なお、遮断状態とは、後述する接触チューリップ2aと接触チューリップ2bとが導通していない状態を示し、投入状態とは、接触チューリップ2aと接触チューリップ2bが導通している状態を示す。図3は、図1に示される金属ガイド1a、1bの構成例を示す断面図であり、図3には金属ガイド1a、1bのA−A線に沿う矢視断面図が併記されている。図4は、図1に示される接触チューリップ2a、2bの構成例を示す断面図であり、図4には接触フィンガー16a、16bを含む接触チューリップのA−A線に沿う矢視断面図が併記されている。なお、図1の開閉軸22より左側の断面は、図4の中心線より左側の断面に相当し、図1の開閉軸22より右側の断面は、図4の中心線より右側の断面に相当する。また、図示例では、遮断器が開閉ピン11(第3の開閉部材)を中心に回転対称に構成されている。
【0011】
図1および図2において、遮断器の上側には通電部材であるフランジ10a(第1の通電部材)が配置され、遮断器の下側にはフランジ10b(第2の通電部材)が配置されている。
【0012】
フランジ10aの開口の端部には、接触チューリップ2aが通電接続されている。この接触チューリップ2aは、弾性的な複数の接触フィンガー16aを備えている。これらの接触フィンガー16aは周方向に並べて配置され、スリット14(図4参照)によって相互に分離されるとともに、フランジ10bの開閉ピン11導入部(フランジ10bの開口部)に向かって延設されている。なお、以下の説明では、接触チューリップ2aおよび接触フィンガー16aを第1の開閉部材と称する。
【0013】
フランジ10bの内部には、接触チューリップ2bが通電接続されている。この接触チューリップ2bは、接触チューリップ2aと同様に、弾性的な複数の接触フィンガー16bを備えている。これらの接触フィンガー16bは周方向に並べて配置され、スリット14によって相互に分離されるとともに、フランジ10aの開口部に向かって延設されている。なお、以下の説明では、接触チューリップ2bおよび接触フィンガー16bを第2の開閉部材と称する。
【0014】
接触チューリップ2aと接触チューリップ2bは、開閉軸22方向において互いに対向して配置されている。
【0015】
開閉ピン11は、図示しない開閉駆動装置によって開閉軸22方向に往復駆動される。
【0016】
図2の投入位置では、各接触フィンガー16a、16bは、開閉ピン11の外側に接触し橋絡されている。なお、接触に際して、各接触フィンガー16a、16bは、開閉ピン11に比較的大きな接触圧力を加える。
【0017】
図1の遮断位置では、開閉ピン11が開閉駆動装置によって下向きに引っ張られるため、開閉ピン11の端部が接触チューリップ2bよりも下方に位置する場合、接触フィンガー16aと接触フィンガー16bとの間にアーク室9が形成される。また、開閉ピン11が下方に駆動中であり、かつ、開閉ピン11の端部が接触フィンガー16aと接触フィンガー16bとの間に位置する場合には、接触フィンガー16aと開閉ピン11と間にアーク室9が形成される。
【0018】
アーク室9は、加熱室7によって取り囲まれている。この加熱室7は、アーク室9に接続され、加熱室7の外側は、フランジ10aとフランジ10bとの間に配設された絶縁材料製の絶縁筒13(壁部)によって閉鎖されている。絶縁筒13の軸方向は開閉軸22方向となっている。アーク室9および加熱室7には絶縁性のガスが充填されている。
【0019】
接触フィンガー16aの内側(加熱室7側)には、外ガイド3a(第1のガイド)が接触フィンガー16aと略平行に延設されている。
同様に、接触フィンガー16bの内側(加熱室7側)には、外ガイド3b(第2のガイド)が接触フィンガー16bと略平行に延設されている。
【0020】
アーク室9には、フランジ10aに取り囲まれた圧力室8aと、フランジ10bに取り囲まれた圧力室8bとが接続されている。
【0021】
接触チューリップ2aの基端(フランジ10a側の端部)と外ガイド3aの一端は、共にボルト6aによってフランジ10aに着脱可能に固定される。すなわち、接触チューリップ2aの基端にはボルト挿通穴23a(図4のボルト挿通穴23に相当)が形成されると共に、外ガイド3aの一端にも図示しないボルト挿通穴が形成され、これらのボルト挿通穴に挿通されたボルト6aをフランジ10aに螺入することによって、接触チューリップ2aおよび外ガイド3aは、フランジ10aに着脱可能に固定される。
同様に、接触チューリップ2bの基端にはボルト挿通穴23b(図4のボルト挿通穴23に相当)が形成されると共に、外ガイド3bの一端にも図示しないボルト挿通穴が形成され、これらのボルト挿通穴に挿通されたボルト6bをフランジ10bに螺入することによって、接触チューリップ2bおよび外ガイド3bは、フランジ10bに着脱可能に固定される。
【0022】
外ガイド3aの他端には、絶縁リング4aが取り付けられている。また、外ガイド3aの一端と外ガイド3aの他端との間には、加熱室7から圧力室8a側に向けて挿通される段付ボルト5a(第1の締結部材)の挿通穴が形成されている。
同様に、外ガイド3bの他端には、絶縁リング4bが取り付けられている。また、外ガイド3bの一端と外ガイド3bの他端との間には、加熱室7から圧力室8b側に向けて挿通される段付ボルト5b(第2の締結部材)の挿通穴が形成されている。
【0023】
各接触フィンガー16a、16bには、図4に示すように、スリット14が形成されると共に、スリット14の一部を成し段付ボルト5aより一回り径が大きいパイプ12a(第1のパイプ)を挿通可能なパイプ挿通穴15が形成されている。
なお、各接触フィンガー16a、16bと各外ガイド3に形成されたボルト挿通穴の位置あるいはボルト挿通穴の角度は、開閉ピン11の投入時または遮断時に、各金属ガイド1が開閉ピン11に接触することなく、かつ、各接触フィンガー16a、16bの動作を妨げることがない態様であればよい。
【0024】
金属ガイド1a(第2のガイド)は、開閉ピン11の投入方向に変形する接触フィンガー16aを支持可能に設置され、段付ボルト5aに保持されている。すなわち、金属ガイド1aは、開閉ピン11の押圧力により圧力室8a側に変形する接触フィンガー16aの変形量を弾性変形内に抑制するように、段付ボルト5aによって外ガイド3aに吊した状態で、接触フィンガー16aの圧力室8a側に設置されている。
同様に、金属ガイド1b(第4のガイド)は、開閉ピン11の引抜力により圧力室8b側に変形する接触フィンガー16bの変形量を弾性変形内に抑制するように、段付きボルト5bによって外ガイド3bに吊した状態で、接触フィンガー16bの圧力室8b側に設置される。
【0025】
段付ボルト5aは、ボルト頭から先端に向かって縮径する段付き円柱状を呈しており、金属ガイド1aの雌ねじ部21aに螺入される雄ねじ部と、金属ガイド1aの接触フィンガー16a側の面に当接する頭部とで構成される。
金属ガイド1aは、この段付ボルト5aを締め付けることによって、接触フィンガー16a側に移動し、段付ボルト5aの頭部に当接したところで固定される。このとき、金属ガイド1aと接触フィンガー16aとの間には隙間が形成される。
さらに、接触フィンガー16aのパイプ挿通穴15には中空のパイプ12aが挿入され、その一端は、外ガイド(第1のガイド)3aに当接し、その他端は金属ガイド1aに当接する。このパイプ12aによって、段付ボルト5aの頭部で固定された金属ガイド1aが加熱室7側に移動することが抑制され、金属ガイド1aと、外ガイド(第1のガイド)3aとの間の隙間が一定に保たれる。すなわち、金属ガイド1aは、外ガイド(第1のガイド)3aと隙間を保った状態で設置されている。
【0026】
同様に、段付ボルト5bは、ボルト頭から先端に向かって縮径する段付き円柱状を呈しており、金属ガイド1bの雌ねじ部21bに螺入される雄ねじ部と、金属ガイド1bの接触フィンガー16b側の面に当接する頭部とで構成される。
金属ガイド1bは、この段付ボルト5bを締め付けることによって、接触フィンガー16b側に移動し、段付ボルト5bの頭部に当接したところで固定される。このとき、金属ガイド1bと接触フィンガー16bとの間には隙間が形成される。
さらに、接触フィンガー16bのパイプ挿通穴15には中空のパイプ12b(第2のパイプ)が挿入され、その一端は外ガイド(第3のガイド)3bに当接し、その他端は金属ガイド1bに当接する。このパイプ12bによって、段付ボルト5bの頭部で固定された金属ガイド1bが加熱室7側に移動することが抑制され、金属ガイド1bと外ガイド(第3のガイド)3bとの間の隙間が一定に保たれる。すなわち、金属ガイド1bは、外ガイド(第3のガイド)3bと隙間を保った状態で設置されている。
【0027】
なお、本実施の形態にかかる遮断器は、一例として金属ガイド1aと金属ガイド1bとを有しているが、金属ガイド1aのみ有する態様であってもよい。金属ガイド1bが無い場合、開閉ピン11が圧力室8b側に引き抜かれる際に、接触フィンガー16bが開閉ピン11の移動方向に変形する可能性はあるものの、金属ガイド1aによって接触フィンガー16aの変形が弾性変形内に抑えられると共に、段付ボルト5bおよび金属ガイド1bを省略することで遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0028】
また、本実施の形態にかかる遮断器では、金属ガイド1aと接触フィンガー16aとの対向面に隙間を形成するように金属ガイド1aが吊設されているが、これに限定されるものではなく、金属ガイド1aを接触フィンガー16aに当接するように構成してもよい。例えば、段付ボルト5aの代わりに普通ボルトを用いると共に、パイプ12aを用いずに、金属ガイド1aを普通ボルトで固定した場合、金属ガイド1aと接触フィンガー16aとの対向面の隙間が無くなるため接触フィンガー16aの変形量が小さくなるものの、接触フィンガー16aの変形は、上述同様に弾性変形内に抑えられる。また、パイプ12aを不要としたことで組立工程数が減少するとともに、遮断器のコストを低廉化することが可能である。
同様に、金属ガイド1bを接触フィンガー16bに当接するように構成してもよい。すなわち、段付ボルト5bの代わりに普通ボルトを用いると共に、パイプ12bを用いずに、金属ガイド1bを普通ボルトで固定した場合、金属ガイド1bと接触フィンガー16bとの対向面の隙間が無くなるため接触フィンガー16bが金属ガイド1bに接触する可能性はあるものの、接触フィンガー16bの変形は弾性変形内に抑えられる。また、パイプ12bを不要としたことで組立工程数が減少するとともに、遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0029】
また、本実施の形態にかかる遮断器では、各金属ガイド1a、1bがパイプ12a、12bを用いて設置されているが、これに限定されるものではなく、パイプ12a、12bを用いずに段付ボルト5a、5bのみで各金属ガイド1a、1bを吊設するように構成してもよい。以下、金属ガイド1aを例にして具体的に説明する。金属ガイド1aは、開閉軸22を中心として環状に形成され、段付ボルト5aは、開閉軸22に対してハの字状に設置されている。そのため、金属ガイド1aは、開閉軸22方向には若干遊動する可能性があるものの、段付ボルト5aの軸方向には遊動せずに保持される。このように構成した場合、金属ガイド1aと接触フィンガー16aとの間の隙間を精度よく規定することはできないものの、接触フィンガー16aの変形を弾性変形内に抑えることは可能である。また、パイプ12aを不要としたことで遮断器のコストを低廉化することが可能である。金属ガイド1bに関しても同様である。
【0030】
また、本実施の形態にかかる遮断器では、パイプ12と段付ボルト5とを組み合わせて各金属ガイド1が設置されているが、これに限定されるものではなく、パイプ12と普通ボルトとを組み合わせてもよい。このように構成しても接触フィンガー16の変形を弾性変形内に抑えることが可能である。また、普通ボルトを用いることで組立工程数が減少するとともに、遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0031】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、外ガイド3bと金属ガイド1bとを組み合わせているが、金属ガイド1bを取り付けない構成でもよい。開閉ピン11の先端部が接触フィンガー16bを押圧した場合、接触フィンガー16bの先端部は、外ガイド3b側に変形することとなるが、接触フィンガー16bの変形量は、接触フィンガー16bが絶縁リング4bに当接するまでの範囲となり、その結果、接触フィンガー16bの変形は弾性変形内に抑えられる。また、金属ガイド1bと段付ボルト5bが不要となるため遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0032】
以下、動作を説明する。
まず、開閉ピン11が圧力室8a側に挿入される際の動作を説明する。
遮断状態の開閉ピン11(図1)が圧力室8a側に挿入され、開閉ピン11が接触フィンガー16aと接触したとき、接触フィンガー16aは、開閉ピン11の圧力室8a側への押圧力によって変形する。より具体的には、接触フィンガー16aの変形量は、接触フィンガー16aと開閉ピン11との間に生じる摩擦力や、開閉ピン11先端部の開閉軸22側への押圧力の大きさに比例して増大する。ここでは、開閉ピン11の先端部の押圧力が支配的になるものとして説明すると、開閉ピン11が圧力室8a側に移動することによって、開閉ピン11の先端部が接触フィンガー16aを押圧することになるため、接触フィンガー16aの先端部は、金属ガイド1a側に変形することとなる。ただし、その変形量によっては、弾性変形の許容範囲を超えて塑性変形を起こすため、開閉ピン11への接触圧力が低下して、いわゆる接触チューリップ2aが損傷した状態となる。
本実施の形態にかかる遮断器では、外ガイド3aに吊設された金属ガイド1aが接触フィンガー16aの圧力室8a側に設置されているため、接触フィンガー16aの変形量は、接触フィンガー16aが金属ガイド1aに当接するまでの範囲となり、その結果、接触フィンガー16aの変形は弾性変形内に抑えられる。
【0033】
次に、開閉ピン11が引き抜かれる際の動作を説明する。
投入状態の開閉ピン11(図2)が圧力室8b側に引き抜かれる際、接触フィンガー16bは、開閉ピン11との接触面における摩擦力によって金属ガイド1b側に変形する。この引き抜き動作で変形した接触フィンガー16bは、金属ガイド1bとの対向面に振動を与えることとなるため、金属ガイド1bに螺入されている段付ボルト5bが緩む可能性がある。
ただし、本実施の形態にかかる遮断器では、外ガイド3bに吊設された金属ガイド1bが、接触フィンガー16bと隙間を空けた状態で、接触フィンガー16bの圧力室8b側に設置されている。従って、接触フィンガー16bは、通常の開閉ピン11の引き抜き動作では金属ガイド1bに接触しないため、上述したような緩みが抑制される。
なお、開閉ピン11との接触面における摩擦力が大きくなるなどの要因で、接触フィンガー16bの変形量が、通常の引き抜き動作時の変形量よりも大きくなる場合には、接触フィンガー16bが金属ガイド1bに当接するため、上述したように、接触フィンガー16bの変形は弾性変形内に抑えられる。
【0034】
以上に説明したように、本実施の形態にかかる遮断器は、加熱室7を囲う筒状の絶縁筒と、絶縁筒13の一端側に配設されたフランジ10aと、絶縁筒13の他端側に配置されたフランジ10bと、フランジ10aに電気的に接続されフランジ10bの開口部(開閉ピン11の挿入部)に向けて延設された接触チューリップ2aと、フランジ10bに電気的に接続され接触チューリップ2aと対向してフランジ10aの開口部に向けて延設された接触チューリップ2bと、開閉軸22に沿って接続位置と遮断位置とを切り替える開閉ピン11と、接触フィンガー16aと加熱室7との間に接触フィンガー16aが遊動可能に接触フィンガー16aと略平行に延設された外ガイド3aと、開閉ピン11の投入方向に変形する接触フィンガー16aを支持可能に加熱室7側から外ガイド3aおよび接触フィンガー16aに挿通した段付ボルト5aに保持された金属ガイド1aと、を備えるようにしたので、開閉ピン11の押圧力により圧力室8a側に変形する接触フィンガー16aの変形量が弾性変形内に抑制され、接触フィンガー16aを損傷することなく開閉ピン11を操作することが可能である。その結果、接触フィンガー16aの損傷が軽減され、遮断器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができると共に、接触フィンガー16aの交換に伴うコストを抑制することも可能である。
【0035】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、金属ガイド1aに螺入されるネジ部と金属ガイド1aに当接する頭部とを有する段付ボルト5aを用いて、金属ガイド1aを接触フィンガー16aに近設するようにしたので、段付ボルト5aおよびパイプ12aを併用した場合に比べて金属ガイド1aと接触フィンガー16aとの間の隙間を精度よく規定することはできないものの、接触フィンガー16aの変形を弾性変形内に抑えることは可能である。また、パイプ12aを不要としたことで遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0036】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、接触フィンガー16aに形成された穴に挿通され段付ボルト5aを内包するパイプ12aを備え、パイプ12aの一端が外ガイド3aに当接しパイプ12aの他端が金属ガイド1aに当接するようにしたので、このパイプ12aと普通ボルトとを組み合わせた場合でも、接触フィンガー16aの変形を弾性変形内に抑えることが可能である。また、普通ボルトを用いることで遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0037】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、接触フィンガー16bと加熱室7との間に、接触フィンガー16bに近設して接触フィンガー16bと略平行に延設された外ガイド3bを備えるようにしたので、接触フィンガー16bの変形を弾性変形内に抑えることが可能である。また、このように構成すれば、金属ガイド1bと段付ボルト5bが不要となるため遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0038】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、開閉ピン11の遮断方向に変形する接触フィンガー16bを支持可能に設置され、加熱室7側から外ガイド3bおよび接触フィンガー16bに挿通した段付ボルト5bに保持された金属ガイド1bを備えるようにしたので、開閉ピン11の引抜力により圧力室8b側に変形する接触フィンガー16bの変形量を弾性変形内に抑制することが可能である。
【0039】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、金属ガイド1bに螺入されるネジ部と金属ガイド1bに当接する頭部とを有する段付ボルト5bを用いて、金属ガイド1bを接触フィンガー16bに近設するようにしたので、段付ボルト5bおよびパイプ12bを併用した場合に比べて金属ガイド1bと接触フィンガー16bとの間の隙間を精度よく規定することはできないものの、接触フィンガー16bの変形を弾性変形内に抑えることは可能である。また、パイプ12bを不要としたことで遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0040】
また、本実施の形態にかかる遮断器は、接触フィンガー16bに形成された穴に挿通され段付ボルト5bを内包するパイプ12bを備え、パイプ12bの一端が外ガイド3bに当接しパイプ12bの他端が金属ガイド1bに当接するようにしたので、このパイプ12bと普通ボルトとを組み合わせた場合でも、接触フィンガー16bの変形を弾性変形内に抑えることが可能である。また、普通ボルトを用いることで遮断器のコストを低廉化することが可能である。
【0041】
なお、本実施の形態では、金属ガイド1a、1bを用いているが、金属製に限定されるものではなく、高温高圧に耐えうる材料であれば金属以外の材料を用いてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態では、金属ガイド1a、1bの吊設構造を遮断器に適用した場合の構成例が示されているが、この金属ガイド1a、1bの吊設構造は、遮断器に限定されるものではなく、本実施の形態にかかる接触チューリップ2a、2bに相当する接触子を備えた開閉器などにも広く適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明は、発電所あるいは変電所等において使用される遮断器に適用可能であり、特に、接触チューリップを損傷することなく開閉ピンを操作することができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1a 金属ガイド(第2のガイド)
1b 金属ガイド(第4のガイド)
2a 接触チューリップ(第1の開閉部材)
2b 接触チューリップ(第2の開閉部材)
3a 外ガイド(第1のガイド)
3b 外ガイド(第3のガイド)
4a、4b 絶縁リング
5a 段付ボルト(第1の締結部材)
5b 段付ボルト(第2の締結部材)
6a、6b ボルト
7 加熱室
8a、8b 圧力室
9 アーク室
10a フランジ(第1の通電部材)
10b フランジ(第2の通電部材)
11 開閉ピン(第3の開閉部材)
12a パイプ(第1のパイプ)
12b パイプ(第2のパイプ)
13 絶縁筒
14 スリット
15 パイプ挿通穴
16a 接触フィンガー(第1の開閉部材)
16b 接触フィンガー(第2の開閉部材)
21 雌ねじ部
22 開閉軸
23 ボルト挿通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室を囲う筒状の絶縁性の壁部と、
前記壁部の一端側に配設された第1の通電部材と、
前記壁部の他端側に配置された第2の通電部材と、
前記第1の通電部材に電気的に接続され、前記第2の通電部材の開口部に向けて延設された第1の開閉部材と、
前記第2の通電部材に電気的に接続され、前記第1の開閉部材と対向して前記第1の通電部材の開口部に向けて延設された第2の開閉部材と、
開閉軸線に沿って往復駆動して接続位置と遮断位置とを切り替える第3の開閉部材と、
前記第1の開閉部材と前記加熱室との間に、前記第1の開閉部材に近設して前記第1の開閉部材と略平行に延設された第1のガイドと、
前記第3の開閉部材の投入方向に変形する前記第1の開閉部材を支持可能に設置され、前記加熱室側から前記第1のガイドおよび前記第1の開閉部材に挿通した第1の締結部材に保持される第2のガイドと、
を備えることを特徴とする遮断器。
【請求項2】
前記第1の締結部材は、前記第2のガイドに螺入されるネジ部と、前記第2のガイドに当接する頭部とを有し、
前記第2のガイドは、前記第1の開閉部材の変形量を抑制可能に、前記第1の開閉部材に近設されていること、を特徴とする請求項1に記載の遮断器。
【請求項3】
前記第1の締結部材を内包し、前記第1の開閉部材に形成された穴に挿通される第1のパイプを備え、
前記第1のパイプは、一端が前記第1のガイドに当接し他端が前記第2のガイドに当接すること、を特徴とする請求項1または2に記載の遮断器。
【請求項4】
前記第2の開閉部材と前記加熱室との間に、前記第2の開閉部材に近設して前記第2の開閉部材と略平行に延設された第3のガイドを備えたこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の遮断器。
【請求項5】
前記第3の開閉部材の遮断方向に変形する前記第2の開閉部材を支持可能に設置され、前記加熱室側から前記第3のガイドおよび前記第2の開閉部材に挿通した第2の締結部材に保持される第4のガイドを備えたこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の遮断器。
【請求項6】
前記第2の締結部材は、前記第4のガイドに螺入されるネジ部と、前記第4のガイドに当接する頭部とを有し、
前記第4のガイドは、前記第2の開閉部材の変形量を抑制可能に、前記第2の開閉部材に近設されていること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の遮断器。
【請求項7】
前記第2の締結部材を内包し、前記第2の開閉部材に形成された穴に挿通される第2のパイプを備え、
前記第2のパイプは、一端が前記第3のガイドに当接し他端が前記第4のガイドに当接すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−238493(P2011−238493A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109638(P2010−109638)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】