説明

遮蔽シール

【目的】 遮蔽シールにおいて表示面上に残置される残置部と、剥離される剥離部との界面剥離強度が安定したシールを提供する。
【構成】 残置部と剥離部との間に、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈したものをコーティングしてなるプライマー層を設けた遮蔽シール。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は例えば葉書の通信面や書類の記載面等に貼着することによって通信面、記載面等の文字、図形、模様等が遮蔽され、これを剥離した時、通信面や記載面には一部が残置するものの、これを通じて文字、図形、模様等が明確に視認できる遮蔽シールに関する。
【0002】
【従来の技術】遮蔽シールは親展シールとも呼ばれ、例えば葉書の通信面の全面や、特定部分に貼着され、葉書の発送から受取に至る間は、貼着部分は他人に視認されることなく、通信文の秘密を保持し、名宛人が、これを受取り、貼着部分を剥離することによって、これまで遮蔽された部分が名宛人に明確に視認できるものであることはよく知られ、このため、従来のものにあっては、離型紙、残置部としての透明粘着剤層、透明ポリプロピレン樹脂層、剥離部としての遮蔽層であるインキ層、表紙を、この順序に積層形成し、これを使用する時には、離型紙を剥がし、透明粘着剤層を通信文上に押圧して貼付けることにより通信文は遮蔽され、この葉書の受取人は剥離部の表紙を摘んで剥離すると、通信文が視認できるが、この時の剥離は残置部の透明ポリプロピレン樹脂層と、剥離部のインキ層との間で剥離される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構成の遮蔽シールは、製造後、この遮蔽シールを貼付するまでの間や、貼付後、発送し、受取人が受取るまでの間は、剥離することなく、受取人が剥離する時には容易に剥離できることが要求されるが、従来のものでは、剥離される剥離部の遮蔽層の遮蔽力を強化するために、全面印刷されたインキ面を遮蔽層とし、残置部としての透明ポリプロピレン樹脂層が、前記インキ面である遮蔽層に接して構成されているので、インキに含まれる諸成分とポリプロピレン樹脂とが、加工条件、例えばインキの成分、乾燥条件、成型温度等の僅かな変動や、経時変化によって、物理的、化学的に結合してしまうことがあり、認定された所期の界面剥離強度とはならないで、このため種々なトラブルの原因となることがある。このようなことからこの発明は所期の界面剥離強度が安定して得られる遮蔽シールを提出することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記した課題を達するために、この発明は、葉書、ラベル等の表示体1の表面の文字、模様等からなる表示面2に貼付され、使用に際して、表示面2上に残置される残置部12と、この残置部12を残してして剥離される剥離部9との間に、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈したものをコーティングしてなるプライマー層5を設けた遮蔽シールとしたものである。
【0005】この発明にあっては剥離部9は表紙3と遮蔽層4とからなるが、これ以外に合成樹脂層8が設けられてもよく、図2、図3、図4における合成樹脂層8はそれを示す。
【0006】この発明における遮蔽層4は金属箔、金属蒸着フイルム、印刷インキによる印刷面あるいは顔料により着色された合成樹脂層のいずれかである。
【0007】この発明にあっては残置部12は透明合成樹脂層6と透明粘着剤層7とからなるもの、あるいは透明合成樹脂層6と、透明接着性樹脂層11からなるもののほか、透明接着性樹脂層11のみからなっても良い。
【0008】この発明になる遮蔽シールは、表示面2に貼付される前には、残置部12の透明粘着剤層7あるいは透明接着性樹脂層11には離型紙10を有しているものである。
【0009】この発明にあっては残置部12からの剥離部9の剥離は、プライマー層5を中心として両部が剥離するが、その状態としては、プライマー層5が2分して残置部12と剥離部9とにそれぞれ付着して剥離したり、残置部12にプライマー層5が残って、剥離部9にはプライマー層5が全く付着しないで剥離したり、それとは反対に剥離部9にプライマー層5が残って、残置部12にはプライマー層5が全く付着しないで剥離したりするもので、その状態を予測することはできない。
【0010】
【作用】遮蔽シールを構成する残置部と剥離部との間に、アクリル系、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈したものをコーティングしてなるプライマー層を設けたことによって、遮蔽シールを剥離する時には、このプライマー層を中心として剥離されて、極めて安定した界面剥離強度が得られる。
【0011】
【実施例】図1はこの発明になる遮蔽シールの一例を、表示体に貼付した状態を示す縦断側面図、図2ないし図6R>6はそれぞれこの発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図であり、図において1は葉書、ラベル等の如き表示体であって、2はこの表示体1の表面に記載されたり印刷されたりした文字、模様等からなる表示面である。3は表紙であって、この表面には所望の印刷等が施されてもよい。4は遮蔽層であって、金属箔、金属蒸着フイルム、印刷インキによる印刷面、あるいは顔料により着色された合成樹脂層である。図1、図5、および図6に示す遮蔽シールにあっては表紙3と遮蔽層4とで剥離部9とされる。8は合成樹脂層であって、図2R>2に示す遮蔽シールにあっては表紙3の表面に設けられ、図3に示す遮蔽シールにあっては遮蔽層4としてアルミニウム箔、金属蒸着フイルム、もしくは顔料による着色合成樹脂を用いた場合、この遮蔽層4の上面に合成樹脂層8を設けたものを示し、図4に示す遮蔽シールにあっては、遮蔽層4として印刷インキによる印刷面もしくは顔料による着色合成樹脂を用いた場合、この遮蔽層4とプライマー層5との間に合成樹脂層8を設けたものを示し、いずれも、この合成樹脂層8は剥離部9に含まれる。6は透明合成樹脂層であり7は透明粘着剤層であって10は離型紙である。図1ないし図4に示す遮蔽シールにあっては、透明合成樹脂6と透明粘着剤層7とで残置部12とされる。11は透明接着性樹脂層であって、図5に示す遮蔽シールにあっては、透明合成樹脂層6と透明接着性樹脂層11とで残置部12となり、図6に示す遮蔽シールにあっては、透明接着性樹脂層11が残置部12となる。この残置部12と剥離部9との間にプライマー層5が設けられるが、このプライマー層5はアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈したものをコーティングした層である。
【0012】
【発明の効果】この発明にあっては残置部と剥離部との間にプライマー層が設けられ、このプライマー層はアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤により希釈したものをコーティングしたものであることから、遮蔽シールの剥離に際しては、このプライマー層を中心として残置部と剥離部とに分離して剥離することから極めて安定した界面剥離強度が得られるものとなり、例えば従来の界面剥離強度の最大・最小値のバラツキが15〜25gf/15mm程度のものを10gf/15mm以内におさめることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明になる遮蔽シールの一例を表示体に貼付した状態を示す縦断側面図。
【図2】この発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図。
【図3】この発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図。
【図4】この発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図。
【図5】この発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図。
【図6】この発明になる遮蔽シールの他の実施の一例を示す縦断側面図。
【符号の説明】
1 表示体
2 表示面
3 表紙
4 遮蔽層
5 プライマー層
6 透明合成樹脂層
7 透明粘着剤層
8 合成樹脂層
9 剥離部
10 離型紙
11 透明接着性樹脂層
12 残置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 葉書、ラベル等の表示体(1)の表面の文字、模様等からなる表示面(2)に貼付され、使用に際して、表示面(2)上に残置される残置部(12)と、この残置部(12)を残して剥離される剥離部(9)との間に、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硝化綿樹脂の一種あるいは二種以上の混合物を、水、アルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、等の溶剤により希釈したものをコーティングしてなるプライマー層(5)を設けてなることを特徴とする遮蔽シール。
【請求項2】 剥離部(9)は表紙(3)と遮蔽層(4)とからなることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項3】 剥離部(9)は表紙(3)と遮蔽層(4)に加えて合成樹脂層(8)とからなることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項4】 遮蔽層(4)は、金属箔、金属蒸着フイルム、印刷インキによる印刷面、あるいは顔料により着色された合成樹脂層であることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項5】 残置部(12)は透明合成樹脂層(6)と透明粘着剤層(7)、あるいは透明合成樹脂層(6)と透明接着性樹脂(11)とからなることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項6】 残置部(12)は透明接着性樹脂(11)のみからなることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項7】 表示面(2)に貼付される前の残置部(12)の透明粘着剤層(7)または透明接着性樹脂層(11)には離型紙(10)を有することを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。
【請求項8】 剥離部(9)の剥離に際しては、プライマー層(5)を中心として残置部(12)と剥離部(9)とが分離分別されることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平8−69252
【公開日】平成8年(1996)3月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−241795
【出願日】平成6年(1994)8月30日
【出願人】(591012392)日本マタイ株式会社 (17)