説明

遮音カバー

【課題】重量を増加させることなく遮音性能を向上させることが可能な遮音カバーを提供すること。
【解決手段】空気層を介して騒音発生源(エンジン12)の少なくとも一部を覆うカバー本体2と、騒音発生源(エンジン12)とカバー本体2とを結合する結合部3とを備え、結合部3は、弾性体構造を有しており、カバー本体2には、ばねと質量とを有する動吸振器(振動部4)が設けられている遮音カバー1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のエンジン、排気管等の騒音発生源の近傍に設置される遮音カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等は、エンジンが稼動すると、エンジン本体、オイルパン、排気管などが振動し、騒音を発生させる。この騒音対策として、騒音発生源の近傍で遮音する遮音カバーが各種提案されている。
【0003】
特許文献1には、2層の表面板およびこれらに挾まれる吸音材層をそれぞれ所定の平面形状に成形して積層し、積層板の周縁部のほぼ全体にわたって折り返し部を形成した積層成形平板をカバーの形状に成形した遮熱性、遮音性カバーが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、オイルパンカバーのカバー本体の周囲にオイルパン周囲における取付フランジに対向する対向フランジを形成し、対向フランジの内面に形成された発泡体にオイルパンを取付ける雄ねじの頭部を収容可能な凹部を形成し、凹部に雄ねじの頭部を収容した発泡体が取付フランジに密着するように構成することで、取付フランジ部分における振動を抑制した車両用エンジンのオイルパンカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−350970号公報
【特許文献2】特開2004−278446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、騒音発生源の近傍に遮音カバーを設置した場合、ある特定周波数において遮音カバーが共振する共鳴透過現象が発生する。共鳴透過現象が発生する周波数(共鳴透過周波数)は、遮音カバーの重量と、騒音発生源と遮音カバーとの間の空気層の剛性(空気層がばねとして作用したときのばね定数)と、騒音発生源と遮音カバーとの結合部の剛性(結合部がばねとして作用したときのばね定数)とで決定される。共鳴透過現象により遮音カバーに伝わった振動は、遮音カバーから再放射されるので、遮音性能が悪化する。
【0007】
この問題に対しては、従来、騒音発生源と遮音カバーとの間に吸音材を挿入したり、遮音カバーの重量を増加させたりする等の対策が採られているが、いずれも重量の増加を伴うため、省エネの観点から要請されている軽量化の流れに逆行するものとなっている。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、重量を増加させることなく遮音性能を向上させることが可能な遮音カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の遮音カバーは、空気層を介して騒音発生源の少なくとも一部を覆うカバー本体と、前記騒音発生源と前記カバー本体とを結合する結合部と、を備え、前記結合部は、弾性体構造を有しており、前記カバー本体には、ばねと質量とを有する動吸振器が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
この構成によれば、結合部が弾性体構造を有しているので、結合部の剛性を低くすることができる。その結果、共鳴透過周波数が低くなり、重量を増加させることなく遮音性能を向上させることができる。さらに、カバー本体に動吸振器が設けられているので、騒音発生源の加振周波数のうち、動吸振器の固有振動数と一致する周波数においては、遮音カバーが振動する代わりに動吸振器が振動することとなり、遮音カバーの振動を最小限に抑えることができる。その結果、動吸振器の固有振動数において、遮音性能を大幅に向上させることができる。
【0011】
また、本発明において、前記動吸振器が、前記カバー本体に形成された半島形状の振動部であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、遮音カバーの重量を増加させることなく、遮音性能を大幅に向上させることができる。さらに、振動部周りにこの振動部を形成するスリットが設けられることとなるので、このスリットを通過する空気層内の空気に粘性抵抗による減衰作用と動圧損失による減衰作用とが生じて、スリットを通過した音波は吸音される。その結果、カバー本体の放射効率が低下し、カバー本体からの再放射が低減して、遮音性能をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明において、前記カバー本体が、複数の平面を組み合わせて構成されており、当該複数の平面のうちの少なくとも一面に前記振動部が形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、カバー本体が曲面で構成された場合と比較して、カバー本体の剛性が低くなり、カバー本体の放射効率(振動から音への変換効率)を低下させることができる。その結果、カバー本体からの再放射が低減し、遮音性能を向上させることが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記振動部を形成するスリットの面積が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることが好ましい。
【0016】
このように、スリットの面積がカバー本体の表面積に対して0.05%以上1.25%以下の割合である場合には、高周波数における遮音性能を維持しつつスリットの吸音による遮音性能を得ることができ、遮音性能をより向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明において、前記カバー本体には、複数の微細孔が設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によると、微細孔を通過する空気層内の空気に粘性抵抗による減衰作用と動圧損失による減衰作用とが生じて、微細孔を通過した音波は吸音されるので、遮音性能をより向上させることができる。
【0019】
また、本発明において、前記スリットの面積と前記複数の微細孔の合計面積との総和が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることが好ましい。
【0020】
このように、スリットの面積と複数の微細孔の合計面積との総和が、カバー本体の表面積に対して0.05%以上1.25%以下の割合である場合には、高周波数における遮音性能を維持しつつスリットの吸音による遮音性能を得ることができ、遮音性能をより向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の遮音カバーによれば、結合部が弾性体構造を有しているので、結合部の剛性を低くすることができる。その結果、共鳴透過周波数が低くなり、重量を増加させることなく遮音性能を向上させることができる。さらに、カバー本体に動吸振器が設けられているので、騒音発生源の加振周波数のうち、動吸振器の固有振動数と一致する周波数においては、遮音カバーが振動する代わりに動吸振器が振動することとなり、遮音カバーの振動を最小限に抑えることができる。その結果、動吸振器の固有振動数において、遮音性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車両を示す概略側面図である。
【図2】エンジンカバーの概略図である。
【図3】結合部周辺の概略上面図である。
【図4】等価モデルを表す図である。
【図5】周波数と遮音性能との関係を示すグラフである。
【図6】周波数と遮音性能との関係を示すグラフである。
【図7】振動部周辺の概略上面図である。
【図8】周波数と遮音性能との関係を示すグラフである。
【図9】開口率と遮音性能向上量との関係を示すグラフである。
【図10】エンジンカバーの概略図である。
【図11】結合部の概略側面図である。
【図12】エンジンカバーの概略図である。
【図13】結合部の概略側面図である。
【図14】結合部の概略斜視図である。
【図15】結合部の概略側面図である。
【図16】周波数と遮音性能との関係を示すグラフである。
【図17】周波数と遮音性能との関係を示すグラフである。
【図18】カバー本体の端部の概略斜視図である。
【図19】カバー本体の端部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
[第1実施形態]
(車両の構成)
エンジンカバー1(遮音カバー)は、図1に示すように、自動車等の車両11に設けられている。車両11には、エンジン12、エンジンオイルを溜めるオイルパン13、および、エンジン12から排出された排気ガスが通る排気管14が設けられており、これらは、エンジン12が稼働されると振動して騒音を発生させる。そして、エンジンカバー1は、空気層21を介して騒音発生源であるエンジン12の上面を覆って、エンジン12からの騒音を遮音している。なお、エンジンカバー1は、エンジン12の全部を覆っていてもよい。
【0025】
(エンジンカバーの構成)
エンジンカバー1は、図2に示すように、カバー本体2と、カバー本体2とエンジン12とを結合する結合部3とを有しており、カバー本体2には振動部4(動吸振器)が形成されている。
【0026】
(カバー本体)
カバー本体2は、21個の平面2a〜2uが組み合わされて形成されており、カバー本体2の四隅に位置する平面2r,2s,2t,2uには、結合部3がそれぞれ設けられている。各平面2a〜2uは、エンジン12から発生する騒音の周波数に基づいて決定される曲げ波の波長の1/2以上の長さの平坦部を有している。このように、カバー本体2を曲面で構成するよりも、複数の平面を組み合わせて構成する方が、カバー本体2の剛性が低くなり、カバー本体2内を伝搬する曲げ波の波長が短くなるので、カバー本体2の放射効率(振動から音への変換効率)を低減させることができる。
【0027】
(結合部)
図2のA部を拡大した図3に示すように、結合部3は、カバー本体2に穿孔された取付穴5と、この取付穴5に挿通されて、エンジン12に締結されるボルトやピン等の締結部材(図示せず)とを有している。また、カバー本体2には、結合部3を中心にして、開口部6が設けられている。なお、エンジン12とカバー本体2とは、ボルト等の締結部材を用いずに結合されていてもよい。この場合、取付穴5は不要である。
【0028】
開口部6は、図3(a)に示すように、結合部3を中心とする同一円周上に4つ設けられていてもよいし、図3(b)に示すように、結合部3を中心とする2つの異なる円周上に4つずつ設けられていてもよいし、図3(c)に示すように、結合部3を中心として渦巻状に設けられていてもよい。また、開口部6は、図3(d)に示すように、結合部3を挟むように直線状に2つ設けられていてもよいし、図3(e)に示すように、結合部3を中心とする円弧と直線とが組み合わされた形状で2つ設けられていてもよい。開口部6の数、形状およびサイズは、結合部3が所望の剛性となるように、適宜選択される。このように、カバー本体2に開口部6を設けることにより、結合部3には弾性体構造が付与されることとなり、結合部3の剛性が低減する。その結果、共鳴透過周波数が低くなり、重量を増加させることなく遮音性能を向上させることができる。
【0029】
ここで、結合部3に弾性体構造が付与されることにより(即ち、結合部3の剛性が低減することにより)共鳴透過周波数が低くなる原理ついて説明する。図4(a)に示すように、エンジン12とカバー本体2との間に位置する結合部3および空気層21をそれぞればねと考えると、図4(b)に示すように、カバー本体2の等価質量32と、結合部3および空気層21の並列ばね31とを用いた等価モデルで表すことができる。
【0030】
図4(a)において、エンジン12から騒音が発生すると、結合部3および空気層21をばねとしてカバー本体2が共振して遮音性能が悪化する共鳴透過現象が発生する。共鳴透過現象が発生する周波数(共鳴透過周波数)は、カバー本体2の重量をM、空気層21の剛性(空気層21がばねとして作用したときのばね定数)をKa、結合部3の剛性(結合部3がばねとして作用したときのばね定数)をKとすると、(Ka+K)/Mの平方根に比例する。共鳴透過現象によりカバー本体2に伝わった振動は、カバー本体2から再放射されるので、エンジンカバー1の遮音性能は悪化する。
【0031】
また、図4(a)に示すように、結合部3を介して、エンジン12からカバー本体2に振動が伝達する。カバー本体2に伝わった振動は、カバー本体2から再放射されるので、エンジンカバー1の遮音性能は悪化する。
【0032】
カバー本体2が共振して遮音性能が悪化する共鳴透過現象が発生する場合、エンジンカバー1の遮音性能は、カバー本体2の重量Mと空気層21の剛性Kaと結合部3の剛性Kとで決定される共鳴透過周波数で決まる。エンジン12とカバー本体2との配置関係上、空気層21の剛性Kaを変更することはできないので、図3に示すように、カバー本体2に開口部6を設けることにより、結合部3の剛性Kを低くしている。これにより、共鳴透過周波数が低くなるので、重量を増加させることなくエンジンカバー1の遮音性能を向上させることができる。
【0033】
また、このように、カバー本体2に開口部6を設けることで、部品点数の増加が回避され、コストの上昇を抑制することができる。
【0034】
また、共鳴透過周波数は、カバー本体2の固有振動数と共鳴周波数とで決定される。カバー本体2の共鳴周波数は、カバー本体2の重量をM、空気層21の剛性をKaとすると、Ka/Mの平方根に比例する。カバー本体2の固有振動数は、カバー本体2の重量をM、結合部3の剛性をKとすると、K/Mの平方根に比例する。軽量化の観点からカバー本体2の重量を軽くした場合、結合部3の剛性がそのままであれば、カバー本体2の固有振動数および共鳴周波数は高くなり、共鳴透過周波数も高くなるので、遮音性能は悪化する。一方、カバー本体2の重量を軽くした場合に、合わせて結合部3の剛性を低くすると、カバー本体2の固有振動数、つまり、共鳴透過周波数を低く維持することが可能になり、エンジンカバー1の遮音性能は維持され、または向上する。そして、結合部3の剛性を低くして、カバー本体2の固有振動数を共鳴周波数以下に設定すると、共鳴透過周波数が低くなるので、エンジンカバー1の遮音性能を向上させることができる。
【0035】
また、複数の平面を組み合わせてカバー本体2を構成すると、カバー本体2の剛性が低
くなるので、カバー本体2の放射効率(振動から音への変換効率)が低くなる。これによ
り、カバー本体2からの再放射が低減するので、エンジンカバー1の遮音性能を向上させることができる。
【0036】
なお、結合部3からなるバネを空気層21からなるバネより大幅に柔らかくすると、結合部3の剛性はエンジンカバー1の遮音性能になんら影響を与えなくなる。この場合、エンジンカバー1の遮音性能は空気層21の剛性のみで決まる。
【0037】
(実験結果)
本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、実施例のカバー本体2の重量の2倍の重量のカバー本体を用いたエンジンカバーを比較例として、実施例と比較例とで結合部の剛性を同じにして、遮音性能をそれぞれ測定した。但し、実施例、比較例ともにカバー本体に振動部は形成されていない。遮音性能測定結果を図5(a)に示す。実施例のカバー本体2の重量が、比較例のカバー本体の重量の1/2で、結合部の剛性が同じであれば、実施例のカバー本体2の固有振動数および共鳴周波数は比較例のカバー本体の固有振動数および共鳴周波数よりも高くなり、実施例の共鳴透過周波数は、比較例の共鳴透過周波数よりも高くなる。そのため、約315Hzよりも低い周波数領域においては、実施例のエンジンカバー1は比較例と比べて遮音性能が改善するが、約315Hzよりも高い周波数領域においては、実施例のエンジンカバー1は比較例と比べて遮音性能が悪化し、全体としても実施例の方が遮音性能が悪化することがわかる。
【0038】
次に、本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、実施例のカバー本体2の重量の2倍の重量のカバー本体を用いたエンジンカバーを比較例として、実施例のエンジンカバー1の結合部3の剛性を比較例のエンジンカバーの結合部の剛性よりも低くして、実施例のカバー本体2の固有振動数を共鳴周波数以下に設定して、遮音性能をそれぞれ測定した。但し、実施例、比較例ともにカバー本体に振動部は形成されていない。遮音性能測定結果を図5(b)に示す。実施例のカバー本体2の重量が、比較例のカバー本体の重量の1/2で、且つ、実施例の結合部3の剛性を低くして、実施例のカバー本体2の固有振動数を共鳴周波数以下に設定すると、実施例の共鳴透過周波数は、図5(a)の場合と比較して低減し、比較例の共鳴透過周波数と略同じとなった。また、遮音性能も比較例と比べてやや向上した。この結果より、カバー本体2の重量を軽くしても、結合部の剛性を低くして共鳴透過周波数を低減させれば、遮音性能が向上することがわかる。
【0039】
以上より、エンジンカバー1の遮音性能は、カバー本体2の固有振動数と共鳴周波数とで決定される共鳴透過周波数で決まり、この共鳴透過周波数は、結合部の剛性を低くすれば低くなり、共鳴透過周波数が低いほど遮音性能が向上することがわかる。
【0040】
次に、本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、曲面で構成されたカバー本体を用いたエンジンカバーを比較例として、遮音性能をそれぞれ測定した。但し、実施例、比較例ともにカバー本体に振動部は形成されていない。遮音性能測定結果を図6に示す。カバー本体2が複数の平面を組み合わせて構成された実施例のエンジンカバー1の方が、カバー本体が曲面で構成された比較例のエンジンカバーよりも、遮音性能が向上することがわかる。
【0041】
(動吸振器)
図2に示すように、カバー本体2の平面2aには、振動部4(動吸振器)が形成されている。振動部4は、この振動部4を拡大した図7に示すように、2つの振動片7、8を有しており、これら2つの振動片7、8は、それぞれ、平面2aの厚み方向に貫通した半島形状の切り込み7a、8a(以下、スリット7a、8aと記載する。)を入れることによって形成されたものである。振動片7、8は、先端に錘(質量)のついた板ばねと考えることができ、振動片7、8により動吸振器が形成されることとなる。なお、振動片7、8は、振動片7、8と平面2aとを連結する連結部7b、8bが互いに対向し、且つ平面2aに垂直な平面において互いに面対称となるように形成されている。
【0042】
そして、エンジン12の加振周波数のうち、振動片7、8の固有振動数と一致する周波数においては、エンジンカバー1が振動する代わりにこの振動片7、8が振動することとなり、エンジンカバー1の振動を最小限に抑えることができる。その結果、振動片7、8の固有振動数付近において、遮音性能を大きく向上させることができる。
【0043】
また、振動片7、8の固有振動数は、振動片7、8の形状寸法(具体的には、振動片7、8の長手方向の長さ、幅、厚み)を変えることにより自在に調整可能である。したがって、振動片7、8の固有振動数を調整することで、エンジン12の加振周波数のうち、振動を抑制したい周波数を選択して遮音することが可能となる。
【0044】
また、振動部4(動吸振器)がプレス加工によりカバー本体2に一体に形成されているので、エンジンカバー1の重量を増加させることなく遮音性能を向上させることができる。さらに、部品点数の増加が回避されるのでコストの上昇も抑制でき、動吸振器を取り付ける手間も省くことができる。
【0045】
また、振動部4の周りには振動部4を形成するスリット7a、8aが設けられており、その開口率(カバー本体2の表面積に対する、スリット7a、8aの面積の割合)は0.1%に設定されている。スリット7a、8aを通過する空気層21内の空気には、スリット7a、8aに起因した粘性抵抗による減衰作用が生じる。この粘性抵抗により、空気層21内の空気が有する空気振動の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、空気振動が減衰するので、スリット7a、8aを通過した音波は吸音される。また、スリット7a、8aを通過する空気層21内の空気には、スリット7a、8aに起因した動圧の圧損抵抗(動圧損失)による減衰作用が生じる。この動圧損失により、空気層21内の空気が有する空気振動の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、空気振動が減衰するので、スリット7a、8aを通過した音波は吸音される。
【0046】
即ち、振動部4は、動吸振器として固有振動数付近の周波数において遮音性能を向上させるとともに、振動部4を形成するスリット7a、8aによって、特に共鳴透過周波数付近において吸音による遮音効果を奏している。なお、スリット幅は1mm以下であることが好ましい。スリット幅が1mmより大きいと、減衰作用が生じにくくなり、遮音性能が低下してしまうからである。
【0047】
なお、本実施形態において、振動片7、8はコの字状(図7参照)の切り込み(スリット)を入れることによって形成されているが、切り込み(スリット)は半島形状であればコの字状に限られない。例えば、振動部4の先端の幅が連結部7b、8bの幅と異なるようにしてもよい。また、本実施形態において、振動部4は2つの振動片7、8を有しているが、振動片は1又は3つ以上であってもよい。さらに、振動部4は複数設けられていてもよい。また、本実施形態において、振動部4はカバー本体2の平面2aに形成されているが、その他の平面に形成されていてもよいし、複数の平面に形成されていてもよい。なお、動吸振器は、ばねと質量からなる動吸振器であって、カバー本体2に取り付けられたものであってよい。但し、その場合には、スリットの吸音による遮音効果は得られなくなる。
【0048】
(実験結果)
本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、振動部4が形成されていない以外は実施例と同じ構造であるエンジンカバーを比較例として、遮音性能を測定した。その結果を図8に示す。なお、実施例において、スリット7a、8aの開口率は0.1%とし、振動片7、8の固有振動数は1000Hzに調整した。図8に示すとおり、実施例のエンジンカバー1は、比較例と比べて1000Hz付近において遮音性能が大幅に向上していることがわかる。また、実施例のエンジンカバー1は、比較例と比べて250Hz付近、即ち、共鳴透過周波数付近においても、遮音性能が大幅に向上していることがわかる。この結果より、1000Hz付近では、振動部4が動吸振器として作用してエンジンカバー1の振動を抑制し、250Hz付近、即ち、共鳴透過周波数付近では、振動部4周りのスリット7a、8aの吸音による遮音効果を奏していることがわかる。
【0049】
(開口率)
本実施形態においてスリット7a、8aの開口率は0.1%としているが、開口率はこれに限られるものではない。例えば、スリット7a、8aの開口率を大きくすると吸音による遮音効果は向上する。しかしながら、スリット7a、8aの開口率を大きくしていくと、音波がスリット部を通過する割合が大きくなるため高周波数において遮音性能の低下を招くこととなる。したがって、スリット7a、8aの開口率は、スリット7a、8aの吸音による遮音性能の向上量と高周波数における遮音性能の低下量の総和を考慮して定めなければならない。そこで、開口率と遮音性能の向上量との関係を計算により測定した。
【0050】
図9は、スリット7a、8aの開口率と遮音性能の向上量の関係を示したグラフである。ここで、横軸は開口率であり、縦軸は開口のないエンジンカバーと比較したときの平均遮音性能の向上量を示したものである。なお、平均遮音性能とは、0〜2000Hzまでの遮音性能の平均値を算出したものである。図9に示すとおり、開口率約0.05%において、開口のないエンジンカバーに比べて遮音性能が顕著に向上し始め、開口率約0.7%において最も遮音性能が向上する。即ち、開口率約0.7%において、スリット7a、8aの吸音による遮音性能の向上量が高周波数における遮音性能の低下量に比べて大きく上回っていることがわかる。その後、開口率が約0.7%よりも大きくなると、徐々にエンジンカバーの遮音性能は低下し、開口率が約1.25%を超えたところでスリットによる遮音性能向上の効果が薄れ、開口率が約1.3%を超えると、開口のないエンジンカバーに比べて遮音性能が低下する。
【0051】
したがって、スリットの開口率は0.05〜1.25%の範囲に設定してあれば、開口のないエンジンカバーに比べて遮音性能を向上させることができる。本実施形態においては、高周波数での遮音性能を十分維持しつつ吸音による遮音効果を得るため、スリットの開口率を0.1%としているが、例えば開口率を0.3〜1.1%の範囲、より好ましくは0.5〜0.9%の範囲に設定すれば、吸音による遮音効果が大きく得られるとともに、全体の遮音性能も十分向上させることができる。
【0052】
(変形例)
図10は、本実施形態の変形例を示し、前記したエンジンカバー1に複数の微細孔9が設けられたものである。微細孔9によって、スリット7a、8aと同様、微細孔9を通過する空気層内の空気に粘性抵抗による減衰作用と動圧損失による減衰作用とが生じて、微細孔9を通過した音波が吸音される。
【0053】
したがって、スリット7a、8aとこの複数の微細孔9とを合わせた開口率(スリット7a、8aの面積と複数の微細孔9の合計面積の総和のカバー本体2の表面積に対する割合)が0.05〜1.25%の範囲になるように設定しても、前記した結果(図9参照)と同様に、開口のないエンジンカバーに比べて遮音性能を向上させることができる。また、開口率を0.3〜1.1%の範囲、より好ましくは0.5〜0.9%の範囲に設定すれば、吸音による遮音効果が大きく得られるとともに、全体の遮音性能も十分向上させることができる。なお、微細孔9の直径は1mm以下とすることが好ましい。微細孔9の直径が1mmより大きいと、減衰作用が生じにくくなり、遮音性能が低下してしまうからである。
【0054】
また、複数の微細孔9のみの開口率(カバー本体2の表面積に対する、複数の微細孔9の合計面積の割合)が0.05〜1.25%の範囲になるように設定しても、前記した結果(図9参照)と同様に、開口のないエンジンカバーに比べて遮音性能を向上させることができる。したがって、例えば、動吸振器が、ばねと質量からなるスリットを有さない動吸振器である場合には、複数の微細孔9の開口率を当該範囲に設定することで、スリットとを設けた場合と同様の遮音性能を得ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図11を用いて説明する。本実施形態のエンジンカバー(遮音カバー)51は、カバー本体2の四隅に結合部3と構造の異なる結合部53が設けられている点で、第1実施形態のエンジンカバー1と異なっている。
【0056】
結合部53は、カバー本体2に穿孔された貫通穴56と、貫通穴56に取り付けられた一対の固定部材54a,54bと、一対の固定部材54a,54bの間に設けられた一対の弾性体55a,55bと、を有している。
【0057】
固定部材54aには、弾性体55aが当接するフランジ部58aが設けられている。固定部材54bには、弾性体55bが当接するフランジ部58bが設けられている。また、固定部材54aに設けられた凸部59aは、固定部材54bに設けられた凹部59bに嵌合されている。一対の固定部材54a,54bには、エンジン12に設けられたボルト穴57に螺合されるボルト(締結部材)22が挿通されている。このボルト22により、一対の固定部材54a,54bはエンジン12に固定されている。なお、エンジン12に締結される締結部材は、ボルト22に限定されず、ピンやビス等であってもよい。
【0058】
一対の弾性体55a,55bは、カバー本体2を狭持している。本実施形態において、一対の弾性体55a,55bは、コイルばねであるが、これに限定されない。
【0059】
カバー本体2は、エンジン12に対して固定されておらず、一対の弾性体55a,55bにより狭持されている。このように、一対の弾性体55a,55bでカバー本体2を狭持することにより、結合部53には弾性体構造が付与されることとなり、結合部53の剛性が低減される。これにより、カバー本体2の重量と空気層21の剛性と結合部53の剛性とで決定される共鳴透過周波数が低くなるので、重量を増加させることなく遮音性能を向上させることができる。
【0060】
また、第1実施形態においては、結合部3の取付穴5がカバー本体2に設けられているので、結合部3の剛性を、カバー本体2の全体の形状やカバー本体2との位置関係を考慮して設計する必要がある。これに対して、本実施形態においては、結合部53とカバー本体2とが別体であるので、結合部53の剛性を設計する際に、カバー本体2の全体の形状やカバー本体2との位置関係を考慮する必要がない。よって、結合部53の剛性を、弾性体55a,55bのばね定数に基づいて容易に設計することができる。
【0061】
その他の構成は、第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0062】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のエンジンカバー(遮音カバー)101は、図12に示すように、エンジン112の一部を覆っている。なお、エンジンカバー101がエンジン112の全部を覆っていてもよい。エンジン112とエンジンカバー101との間には空気層21があり、エンジンカバー101が有するカバー本体2とエンジン112とは、第2実施形態と同様の結合部53によって結合されている。そして、カバー本体2の端部とエンジン112との間には隙間が存在している。
【0063】
カバー本体2は、図13、図14に示すように、結合部53によって、エンジン112が有する凸部112aと結合されている。そして、カバー本体2は、その端部2xの一部がエンジン112の方に向かって折り曲げられており、折り曲げられた端部2xは凸部112aの側面112bに面接触している。なお、カバー本体2の端部2xの全部が折り曲げられて、凸部112aの側面112bに面接触していてもよい。
【0064】
なお、第1実施形態および第2実施形態と同様に、カバー本体2は複数の平面が組み合わされて構成されており、カバー本体2には2つの振動片7、8を有した振動部4が設けられている。また、振動片7、8の周りには振動片7、8を形成するスリット7a、8aが設けられており、スリット7a、8aの開口率は0.1%に設定されている。なお、カバー本体2には複数の微細孔9が設けられていてもよい。また、カバー本体2の固有振動数は、カバー本体2の共鳴周波数以下に設定されている。
【0065】
カバー本体2の端部2xの一部をエンジン112(凸部112a)に面接触させることによって、カバー本体2の端部2xと凸部112aとの隙間の一部がカバー本体2の端部2xで覆われる。これにより、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制されるので、遮音性能を向上させることができる。
【0066】
また、エンジン112が振動するのに伴ってエンジン112(凸部112a)とカバー本体2との間に相対変位が生じ、面接触部分で摩擦が生じる。これにより、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、振動が減衰されるので、遮音性能を向上させることができる。そして、凸部112aの側面112bに接触させるカバー本体2の端部2xの面積を広狭させることで、摩擦発生量をコントロールすることができる。
【0067】
なお、図15に示すエンジンカバー(遮音カバー)102のように、カバー本体2の端部2yの一部または全部が断面C字状に折り曲げられることで、カバー本体2の端部2yの一部または全部が凸部112aの側面112bに線接触していてもよい。この場合においても、カバー本体2の端部2yと凸部112aとの隙間の少なくとも一部がカバー本体2の端部2yで覆われるので、カバー本体2の端部2yとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制される。また、エンジン112(凸部112a)とカバー本体2との相対変位により線接触部分で摩擦が生じるので、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、振動が減衰される。これにより、カバー本体2からの再放射が低減する。
【0068】
その他の構成は、第2実施形態と同じであるので、その説明を省略する。なお、結合部53の代わりに第1実施形態の結合部3および開口部6を備えた構成であってもよい。
【0069】
(実験結果)
本実施形態であるエンジンカバー101を実施例とし、カバー本体2の端部とエンジン112との間に隙間があるエンジンカバーを比較例として、遮音性能をそれぞれ測定した。その結果を図16に示す。400Hzよりも高い周波数領域において、実施例のエンジンカバー101の遮音性能は、比較例のエンジンカバーの遮音性能よりも向上することがわかる。これは、カバー本体2の端部2xの少なくとも一部をエンジン112に接触させることで、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部がカバー本体2の端部2xで覆われ、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制されるからである。
【0070】
(計算結果)
次に、本実施形態であるエンジンカバー101を実施例とし、実施例のエンジンカバー101に対して、カバー本体2の端部2xとエンジン112との間に生じる摩擦による減衰が10分の1のエンジンカバーを比較例として、遮音性能をそれぞれ計算した。その結果を図17に示す。エンジンカバー110を設置したことで騒音が大きくなる周波数である1000Hzにおいて、実施例のエンジンカバー101の遮音性能は、比較例のエンジンカバーの遮音性能よりも向上することがわかる。これは、エンジン112とカバー本体2の端部2xとの間に相対変位が生じることで接触部分に生じる摩擦力によりカバー本体2における振動減衰が大きくなり、比較例よりも振動が大きく減衰されるからである。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のエンジンカバー201は、図18に示すように、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の一部を覆う金属製の遮蔽部材61を有している点で、第3実施形態のエンジンカバー101と異なっている。なお、遮蔽部材61が、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の全部を覆っていてもよい。ここで、図示していないが、第1実施形態の結合部3または第2実施形態の結合部53により、エンジン112とカバー本体2とが結合されている。
【0072】
遮蔽部材61は、一端側から他端側にかけて断面C字状に折り曲げられており、遮蔽部材61の一端部は、ボルト62によりエンジン112に剛結されているとともに、遮蔽部材61の他端部は、カバー本体2とともに、ボルト63によりエンジン112の凸部112aに取り付けられている。このように、遮蔽部材61が一端側から他端側にかけて断面C字状に折り曲げられることで、遮蔽部材61には弾性が付与されている。
【0073】
なお、ボルト63の頭部と遮蔽部材61との間や、遮蔽部材61とカバー本体2との間に、ボルト63が挿通するコイルばねを設けてもよい。この場合、遮蔽部材61の弾性を大きくすることができる。また、ボルト63の代わりに、第1実施形態の結合部3または第2実施形態の結合部53によって、エンジン112が有する凸部112aとカバー本体2と遮蔽部材61の他端部とが結合されていてもよい。
【0074】
カバー本体2の端部2xの少なくとも一部は、エンジン112の凸部112aに面接触している。これにより、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部がカバー本体2の端部2xで覆われるので、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制される。また、面接触部分で摩擦が生じることにより、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、振動が減衰される。
【0075】
また、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の一部から漏れた騒音は、この隙間を覆う遮蔽部材61により外部へ漏れるのが抑制される。これにより、遮音性能を向上させることができる。
【0076】
また、遮蔽部材61が有する弾性により、遮蔽部材61は制振性を発揮する。そのため、遮蔽部材61を介してエンジン112からカバー本体2に伝達する振動の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、エンジン112からカバー本体2に伝達する振動が減衰されるので、カバー本体2の共振が抑制される。これにより、遮音性能を向上させることができる。
【0077】
なお、図19に示すエンジンカバー202のように、制振性を有する二重コルゲート板や制振鋼板などで構成された遮蔽部材71を、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部を覆うように、カバー本体2およびエンジン112の面に沿って取り付けてもよい。ここで、カバー本体2の端部2xの少なくとも一部はエンジン112に線接触しており、遮蔽部材71とカバー本体2とはボルト63とこれに螺合するナット64とで結合されている。
【0078】
この場合においても、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部がカバー本体2の端部2xで覆われるので、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制される。また、線接触部分で摩擦が生じることにより、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、振動が減衰される。また、遮蔽部材71によって、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部が覆われるので、この隙間から漏れた騒音が外部へ漏れるのが抑制される。また、遮蔽部材71が有する制振性によって、遮蔽部材71を介してエンジン112からカバー本体2に伝達する振動が減衰されるので、カバー本体2の共振が抑制される。
【0079】
その他の構成は、第3実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0080】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0081】
例えば、エンジンカバー1を遮音カバーとして説明したが、遮音カバーはオイルパンカバーや排気管カバー、さらにはスクリュー圧縮機の遮音カバーであってもよい。
【0082】
また、一の遮音カバーにおいて、第1実施形態のエンジンカバー1と、第2実施形態のエンジンカバー51とを併用してもよい。第3実施形態のエンジンカバー101および第4実施形態のエンジンカバー201についても同様である。
【0083】
また、カバー本体2は、21個の平面2a〜2uが組み合わされて形成されているが、平面の数はこれに限定されるものではない。また、カバー本体2が曲面から形成され、その曲面に動吸振器が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、51、101、102、201、202 エンジンカバー(遮音カバー)
2 カバー本体
2a〜2u 平面
2x、2y 端部
3、53 結合部
4 振動部
5 取付穴
6 開口部
7、8 振動片
7a、8a スリット
7b、8b 連結部
9 微細孔
11 車両
12、112 エンジン
13 オイルパン
14 排気管
21 空気層
54a、54b 固定部材
55a、55b 弾性体
56 貫通穴
57 ボルト穴
61、71 遮蔽部材
112a 凸部
112b 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気層を介して騒音発生源の少なくとも一部を覆うカバー本体と、
前記騒音発生源と前記カバー本体とを結合する結合部と、
を備え、
前記結合部は、弾性体構造を有しており、
前記カバー本体には、ばねと質量とを有する動吸振器が設けられていることを特徴とする遮音カバー。
【請求項2】
前記動吸振器が、前記カバー本体に形成された半島形状の振動部であることを特徴とする請求項1に記載の遮音カバー。
【請求項3】
前記カバー本体が、複数の平面を組み合わせて構成されており、
当該複数の平面のうちの少なくとも一面に前記振動部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遮音カバー。
【請求項4】
前記振動部を形成するスリットの面積が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることを特徴とする請求項2又は3に記載の遮音カバー。
【請求項5】
前記カバー本体には、複数の微細孔が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の遮音カバー。
【請求項6】
前記スリットの面積と前記複数の微細孔の合計面積との総和が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることを特徴とする請求項5に記載の遮音カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate