説明

遷移金属錯体の担体上へのグラフト化

【課題】遷移金属錯体を支持する方法と、この方法で得られる支持された触媒成分。
【解決手段】金属サイトが互いに分離され且つ支持体の表面から離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属(late transition metal)錯体をベースにした支持(担持)された触媒系の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレンおよびその他のオレフィンのポリマーは商業的ポリマーの代表である。これらのポリマーは潤滑剤やグリースのための低分子量のものから繊維、フィルム、成形品、エラストマー等を製造するためのより高い分子量のポリマーまで極めて広い範囲で多量に使用されている。大抵の場合、ポリマーは遷移金属をベースにした触媒を用いたオレフィンの重合で得られる。ポリマーの特性、コストおよび純度はこの化合物の種類に大きく影響される。ポリオレフィンの重要性から、触媒系の改良が常に求められ、新しい触媒系が提案されている。
【0003】
エチレンの重合および共重合用触媒としては種々の均一触媒(homogeneous catalysts)または不均一触媒(heterogeneous catalysts)が知られている。最もよく知られている触媒は周期律表の第III族および第IV族金属の有機金属錯体を含むチグラー型(Ziegler-type)触媒か、クロム錯体を含むフィリップ型(Philipps-type)触媒系である。メタロセン触媒型はシクロペンタジエニル環上およびブリッジ上の置換基の種類や寸法を変えることによって多種多様なシイグルサイト系が作れるという可能性を与える。また、ニッケルベースの触媒もある。これは古くからα−オレフィンの重合に使われている。ある種の触媒系は極性媒体に対して一定の寛容レベルを有している。
【0004】
文献に記載の多くの触媒系の中で、活性種を重合媒体中でインシチュー(in situ、その場)で形成する発明に関するものがいくつかある。例えば、下記文献にはニッケル錯体と安息香酸誘導体との組合せが記載されている。
【特許文献1】米国特許第US-A-3,637,636号明細書
【0005】
下記文献にはニッケル錯体と第3有機リンリガンドとの組合せが記載されている。
【特許文献2】米国特許第US-A-3,661,803号明細書
【0006】
下記文献にはニッケル錯体と第3有機リンリガンドとの組合せが記載されている。
【特許文献3】米国特許第US-A-3 686,159号明細書
【特許文献4】米国特許第US-A-3 647,914号明細書
【0007】
下記文献にはニッケル錯体とグリコール酸、チオグリコール酸またはチオ乳酸との組合せが記載されている。
【特許文献5】米国特許第US-A-3,661,803号明細書
【0008】
下記文献には酸化状態がゼロのニッケル錯体とリン酸を生じるリガンドとの組合せが記載されている。
【特許文献6】米国特許第US-A-3,686,159号明細書
【0009】
下記文献には独立した触媒系と、ニッケル錯体からリガントの一つを抽出できるアクセプタ化合物から成る活性な重合統が記載されている。
【特許文献7】米国特許第US-A-4,716,205号明細書
【特許文献8】英国特許第BG-60,319号公報
【0010】
さらに、下記文献に記載のように、オレフィンの重合にFe、Ni、Co、Pdの錯体を使用することも公知である。
【特許文献9】国際特許第WO-96/23010号公報
【0011】
この特許にはα−ジイミンニッケル錯体と所定のルイス酸またはブロンステッド酸とを組合せたエチレンの共重合方法が記載されている。これらの錯体の最も一般的な活性化剤はMAOである。
【0012】
後遺の遷移金属錯体およびその均一重合での使用法は下記文献に記載されている。
【非特許文献1】Ittel et al. (S. T. Ittel, L. K. Johnson and M. Brookhart, in Chem. Rev. 2000,1169)
【非特許文献2】Gibson and (V. C. Gibson, S. K. in Chem. Rev., 2003,283)
【0013】
オレフィン重合のために遷移金属(late transition metal)錯体をベースにした不均一触媒系を作る必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、オレフィン重合用の遷移金属(late transition metal)錯体をベースにした不均一触媒系を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリオレフィンを製造するためのモノサイト担体触媒系を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、気相またはスラリー重合法で使用する、固化(hardened、硬化)した触媒顆粒を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記触媒顆粒のフラグメンテーションを良くすることにある。
本発明のさらに他の目的は、モルホロジーが改良されたポリマーの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、自由流動(free flow)するポリマ樹脂の製造方法、従って、反応器の汚れの少ない製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の具体例は、下記の(a)〜(h)の段階から成る、遷移金属(late transition metal)錯体の支持方法にある:
(a)多孔質材料からなる支持体を用意し、
(b)上記支持体の表面上に下記(i)と(ii)をグラフトし:
(i) 一般式:RnR’3-n−Si−L−Xのシラン
(ここで、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルであり、各Rは互いに同じでも異なっていてもよく、R’はハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルコキシであり、各R’は互いに同じでも異なっていてもよく、nは0〜2の整数であり、Lはリジッドまたは可撓性のある「リンカー(linker)」またはアームであり、Xは付加反応または置換反応によって共有結合可能な官能基である)
(ii)モルホロジー、寸法、種類および支持体上へのグラフト能の点で上記シラン(i)に匹敵する分散剤(ただし、上記のX官能基は有さない)
(ただし、シランと上記分散剤との比は1:20〜1:1、好ましくは1:10〜1:8である)
(c)グラフトされた支持体を必要な場合には硬化し、不動態化(passivating)し、
(d)極性溶媒中に溶解した下記一般式(I)または(II)の先駆体化合物を用意し、
【0016】
【化8】

【0017】
(ここで、R1は水素、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、R2は水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、R3は水素、官能基で置換されたヒドロカルビルまたは上記シランのXと反応可能な反応性基であり、R4は水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、必要な場合には、一般式(I)または(II)の先駆体のケトン基は下記のようにアセタールまたはケタールで保護されていてもよく:
【0018】
【化9】

【0019】
(e)段階(d)の先駆体化合物を付加反応または置換反応または縮合反応によって上記「リンカー」またはアーム上へ共有結合でアンカーし、
(f)必要な場合には、段階(e)の成分を酸性溶媒中で第1アミンR5−NH2および/または第2アミンR6−NH2(ここで、R5およびR6はヒドロカルビル、置換したヒドロカルビル、不活性官能基、好ましくは置換または未置換のアリールまたはシクロアルキルであり、互いに同じでも異なっていてもよい)と反応させて、出発物先駆体が一般式(I)の場合には下記一般式(III)のリガントを作り、出発物先駆体が一般式(II)の場合には一般式(IV)のリガントを作り:
【0020】
【化10】

【0021】
または
【化11】

【0022】
(g)段階(f)のリガントを極性溶媒中に溶解した金属錯体MYm(ここで、金属Mは周期律表の第8、9または10族金属またはランタニドまたはVまたはMnであり、Yはハロゲンまたはアルコラートまたはカルボキシレートまたはホスフェートまたはアルキルまたはアリールまたはボレート、例えばBF4またはB(パーフルオロ化アリール)4またはPF6であり、mは金属Mの価数に等しい整数である)と錯体化して、下記の支持された錯体(V)または(VI)を作り:
【0023】
【化12】

【0024】
または
【化13】

【0025】
(h)支持された遷移金属錯体を回収する、この支持された遷移金属錯体は金属中心が分散しており、且つ、支持体表面から離されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の第2具体例では、ステップ(b)の (i)のシランが官能基NH2を有し、このシラン上へ固定されるステップ(d)の先駆体がケトン、好ましくはアルファまたはベータジケトンまたはビス−アシル−ピリジンまたはサリチルアルデヒドであり、より好ましくは下記式で表されるビス−アシル−ピリジンである:
【0027】
【化14】

【0028】
先駆体がジケトンの場合には必要に応じて上記の一つのアミンR5−NH2を下記一般式(Vll')に示すようにジケトンの未反応な末端と反応させることができる。
【0029】
【化15】

【0030】
後者反応が存在する場合、この反応は下記一般式(VIII)に示すようにジケトンが互いに隣接する2つの官能基の間に「ブリッジ」を形成するのを防止するのに十分な分布で官能基が分布している場合に可能になる。
【0031】
【化16】

【0032】
上記「ブリッジ」が形成される場合、分散させるのは官能基が互いに離された状態を保ってモノサイトの形成をし易くするためである。
この第2具体例でも、金属間化合物がリガントと錯体化される。この金属は支持された錯体IXおよびXを得るための本発明の上記第1具体例で記載のものから選択できる。さらに、この.金属はZr、HfまたはTiから選択することもできる。ラフトされるリガントがN、N'−ビス−サリチリデンジアミン(Salen)の場合、最も好しい金属はZrである。
【0033】
【化17】

【0034】
本発明の第3の具体例では、ステップd)および燃料被覆の化合物が、一緒に固着ステップの前に反応を起こす一般式XIまたはXIIの分子を提供するためにそれぞれアミンを有する先駆体Iまたは先駆体IIの反応生成物。
【0035】
【化18】

【0036】
あるいは、金属MをZr、Hf、Tiから選択し、先駆体を式(XIII)のものにすることもできる。
【0037】
【化19】

【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
多孔性の支持体は一種以上のシリカ、TiO2、アルミナまたは架橋したポリスチレンまたはポリプロピレンのような有機ポリマー、その混合物の中から選択するのが好ましい。好ましいのはシリカである。
【0039】
多孔性の無機酸化物粒子は下記の特数の少なくとも一つを有するのが好ましい:
(1) 3.5〜30ナノメートルの直径を有する気孔(pore)を含む。
(2) 0.4〜4cm3/gの気孔率(porosity)を有する。
(3) 100〜1500の比表面積を有する。
(4) 0.1〜500ナノメートルの平均直径を有する
【0040】
支持体は多様な種類の中から選択できる。支持体の種類、ヒドロオキシル化またはヒドロオキシル化状態および保水能力に応じて必要な脱水処理を行って所望の表面−OH基含有比、強度にすることができる。当業者はルーチンの作業で脱水処理およびデヒドロオキシル化処理をして支持体に加える必要のある所望の表面−OH基含有量となるようにすることができる。
【0041】
出発ザの支持体はシリカにするのが好ましい。一般にはシリカを不活性雰囲気下、例えば窒素またはアルゴン下、大気圧下または約10-5バールの減圧下で、100〜1000℃、好ましくは140〜800℃に少なくとも60分間加熱する。
この熱処理時にはシリカに例えばNH4Clを混ぜて脱水を加速することができる。
【0042】
上記ステップ(b)の(i)のシランで「リンカー」が可撓性のあるアームの場合には、そのリンカーは1〜12の炭素原子を有するアルキル、エーテルまたはチオエーテルの中から選択できる。この「リンカー」がリジッドなアームの場合には、それはアリール、モノ−またはビ−フェノール、ナフタリンまたはポリアリールエーテルまたはエーテルジ−フェノールの中から選択でき、好ましくはフェニルにする。リジッドなリンカーアームの効果は、望ましくない干渉を制限して、活性サイトを支持体表面から遠ざけることにある。
【0043】
官能基Xは付加反応または置換反応共有結合ができるものでなければならない。それはハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、イソシアネートまたはグリシジルの中から選択できる。好ましくはハロゲンまたはアミノにする。
分散剤は支持体のSiに対してシランと同じ反応基を有するのが好ましい。この分散剤の効果は、官能基X、そして後では金属のアクティブサイトを互いに離し、サイト間相互作用を制限し、真のモノサイトを作ることにある。
【0044】
エクシマーを使用した発光スペクトルの散乱効率から分子構造が互いに近くにあるか否か、分子構造がフリーか、大きい分子または固形物に結合しているかを調べることができる。エクシマーは媒体中での拡散によって作られる一対の分子、好ましくは一方の分子M*は励起状態にあり、他方の分子Mは基底状態にある全く同じ分子を指定する。MとM*との間に起る相互作用によってM*の励起エネルギーの一部が消費され、残りのエネルギはMM*対間で共有される。このMM*対が存在する時間は数ナノ秒間で、反発状態へ戻るときに放射光を発する。[図1]はMM*対のエネルギレベルを表している。錯体はユーズであり、最終状態が反発状態であるので放射光の幾何特性は一定しない。従って、エクシマーの発光スペクトルは構造化されておらず、例えばピレンでの実験的スペクトルを表す[図2]に示すように赤へシフトする。グラフトされた官能基の分布をテストするために、グラフトされた官能基を互いに十分に近い場合にエクシマー形成するピレンのような分子と反応させることができる。
【0045】
グラフト反応は60〜120℃の温度で不活性雰囲気下で実行される。
硬化を行なう場合には、硬化は150〜200℃の温度で行ない、不動態化(passivation)をシリル化剤、例えばクロロトリメチルシラン、トリメチルシリルイミダゾール、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドまたはグラフトされたシランのX官能基に対して不活性なその他の不動態化剤で行なう。
【0046】
本発明の先駆体(I)および(11)での置換基は広範囲から選択でき、その寸法、位置および種類は最終ポリマーに所望される性質に従って選択される。本発明の好ましい実施例では錯体化される金属はFeまたはCoである。先駆体(I)を選択した場合の好ましい置換基R1は全て同じメチルであり、両方のR2は水素であり、R3はハロゲン、ヒドロキシルまたはNH2であるのが好ましい。
本発明の他の好ましい実施例では錯体化される金属はNiまたはPdである。先駆体(II)が選択されたと記載の好ましい置換基R1は全て同じメチルであり、両方のR3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシルまたはNH2であり、R4は水素であるのが好ましい。
【0047】
本発明の第1および第3の具体例では、アンカー反応は20〜130℃の温度で不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、トルエンまたはクロロホルム中で6〜48時間実行される。
本発明の第2具体例では、温度は第1具体例と同じ条件下であるが、媒体は必ず酸の選択し、溶剤はトルエンまたはアルコールを選択して、アンカー反応を実する。
【0048】
ステップ(f)のアミンとの反応は実行するのが好ましい。好ましくは2種類のアミンを存在させ、R5とR6は同じものにする。最も好ましくはR5とR6は置換したフェニルである。
最後に、仕上げられた支持(担体)された触媒成分を通常の方法で濾過し、洗浄し、乾燥する。
【0049】
本発明はさらに、上記方法で得られる支持された遷移金属化合物に関するもので、その特徴は金属サイトが支持体の表面に分散され且つ支持体表面から離されており、共有結合が非常に安定である点にある。
【0050】
触媒顆粒は固化(haedened)される。さらに、重合中に成長するポリマーによって触媒顆粒がフラグメンテーションを起こし、その結果、得られたポリマーはより良いモルホロジーになる。
【0051】
本発明はさらに、下記の(a)と(b)の段階から成る、活性な遷移金属触媒系の製造方法を提供する:
(a)一般式(V),(VI),(IX)または(X)の支持された遷移金属触媒成分を用意し:
【0052】
【化20】

【0053】
または
【化21】

【0054】
または
【化22】

【0055】
(b)イオン化作用を有する活性化剤を用いて上記の支持された遷移金属触媒成分を活性化する。
【0056】
活性サイトを作るのに必要な活性化剤は金属−ハロゲン結合を金属−炭素結合に変化させることができる化合物またはその混合物であり、アルキル化されたアルミの誘導体から選択できる。好ましくは下記一般式のアルミニウムのアルキル誘導体から選択する:
【0057】
【化23】

【0058】
ここで、Ra基は1〜12の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル、例えばエチル、イソブチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルまたはアルコキシまたはアリールで、互いに同じでも、異なっていてもよく、X'はハロゲンまたは水素であり、nは1〜3の整数であり、ただし、少なくとも1つのRa基はアルキルである。このアルキル化剤はアルミニウムアルキルであるのが好ましく、より好ましくはトリイソブチルアルミニウムである(TIBAL)またはトリエチルアルミニウム(TEAL)である。他の好ましいアルキル化剤はアルミノキサンである。
【0059】
本発明で使用可能なアルモキサンは周知であり、好ましくは、下記一般式(A) 、(B)で表されるオリゴマー状の直鎖および/または環式のアルキルアルモキサンである:
【0060】
オリゴマー状の直鎖アルモキサン
【化24】

【0061】
環式のアルキルアルモキサン
【0062】
【化25】

【0063】
(ここで、nは1〜40、好ましくは10〜20であり、mは3〜40、好ましくは3〜20であり、RはC1〜C8アルキル基、好ましくはメチルである)
このアルモキサンは一般に例えばアルミニウムトリメチルと水から作られ、直鎖および環式の化合物の混合物が得られる。
【0064】
共触媒としてボランまたはボレートを使うことができるが、先ず最初に上記金属錯体をアルキル化剤で処理しなければならない。適当な硼素含有活性化剤はトリフェニルカルベニウムボロネート、例えば下記文献に記載のテトラキス−ペンタフルオロフェニル−ボラート−トリフェニルカルベニウム:
【特許文献10】欧州特許第EP−A−0427696号公報
【化26】

【0065】
または、下記文献に記載の下記の一般式のものにすることができる:
【特許文献11】欧州特許第EP-A-0277004号公報(第6頁、第3行目〜第7頁、第7行):
【化27】

【0066】
これら共触媒は金属に対して大過剰を使用する。アルミニウムアルキルを使用する場合のアルミニウム/金属の比Al/Mは100〜300にする。アルミノキサンを使用する場合のAl/M比は5〜2000である。
【0067】
本発明はさらに、オレフィン重合用の活性な触媒系を提供する。
本発明はさらに、下記段階から成るオレフィンの重合方法を提供する:
(a)下記一般式V、VI、IXまたはXの支持された遷移金属触媒成分を用意し:
【0068】
【化28】

または
【0069】
【化29】

【0070】
(b)上記の触媒成分をイオン化作用を有する活性化剤で活性化し、
(c)モノマーと任意成分のコモノマを反応器に注入し、
(d)重合条件を維持し、
(e)制御されたモルホロジーを有するポリマーを回収する。
【0071】
本発明の支持された触媒系を用いて得られるポリマーは制御されたモルホロジーを有する。さらに、本発明のポリマ樹脂は自由流動し、反応器の汚染を防止できる。
本発明で使用可能なモノマーはアルファオレフィン、好ましくはエチレンおよびプロピレンである。
【0072】
[図2]はシクロヘキサンを溶剤としたピレンの各種濃縮で得られた実験スペクトルA〜Gで、ピレンの濃縮は下記である:
ピレンの濃縮は、次のようである:
A:10-2mol/l
B:7.75 ×10-3mol/l
C:5.5 ×10-3mol/l
D:3.25 ×10-3mol/l
E:10-3mol/l
G:10-4mol/l
この図は下記文献からコピーしたものである。
【0073】
【非特許文献3】Birks and Christophorou in Spectrochimica, 19,401, 1963
【実施例】
【0074】
支持体用の出発原料はシリカで、グレイス・デーヴィソン社からG5Hの名称で購入したもので、その比表面積は515 m2/g、気孔体積は1.85 m3/g、孔の直径は14.3 nm、(Brunauer-Emmet-Teller)指数CBETは103である。
【0075】
コーティングによるグラフ化の一般的実験手法*:
* この手法は下記文献に記載の以前に発表したものを採用した
【非特許文献4】「Towards total hydrophobisation of MCM-41 silica surface」、T. Martin, A. Galarneau. D. Brunel, V. Izard, V. Hulea, A. C. Blanc, S. Abramson, F. Di Renzo and F. Fajula. Stud. Surf Sci. 2001, 135, 29-0-02
【0076】
官能化
シリカ支持体(3g)を減圧(1Torr)下に180℃で1時間加熱して予備活性化した。次いで、アルゴン下で室温まで冷却し、乾燥したトルエン(90mL)をグラフト剤(5分子/nm2)と一緒に加えた。グラフト化剤が4−クロルメチルフェニルトリメトキシシランのみの場合、l3g(2.7mL、12mmol)の処理済みのシランを使用した。4−クロルメチルフェニルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランで希釈した場合には、4−クロルメチルフェニルトリメトキシシラン(0.3g、0.27 mL、12mmol)とフェニルトリメトキシシラン(2.68g、2.03 mL、10.87mmol)との混合物を4-クロルメチルフェニルトリメトキシシラン1と当量にフェニルトリメトキシシラン9と当量の比で加えた。
【0077】
グラフト剤がパラ−アミノフェニルトリメトキシシランのみの場合には、2.66g(12.48mmol)の処理済みのシランを使用した。グラフト剤のパラ−アミノフェニルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランで希釈した場合には、パラ−アミノフェニルトリメトキシシラン(0.53g、2.5mmol)とフェニルトリメトキシシラン(1.97g、1.86 mL、9.96 mmol)との混合物を2当量のパラ−アミノフェニルトリメトキシシランと8当量のフェニルトリメトキシシランの比で加えた。
各懸濁液をアルゴン下に1時間室温で撹拌した後、反応混合物に水(224L、添加したシランリに対して1.5当量)、パラ−トルエンスルホン酸(118mg、添加したシランリに対して0.05当量)、弗化アンモニウム(23118mg、添加したシランリに対して0.05当量)を加えた。室温で1時間撹拌し、60℃に6時間加熱し、120℃で1時間加熱する。この最後のステップの間、Dean-Starc装置を使用して共沸蒸留した。
官能化されたシリカを濾過で分離し、トルエン(2×200mL)、メタノール(2×200mL)、メタノール/水混合物(容積比1:1)(2×200mL)、メタノール(1×200mL)そしてジエチルエーテル(2×200mL)で順次洗浄した。最後に分離したサンプルをジクロロメタン/ジエチルエーテルの混合物(容積比1:1)でソックスレー抽出した。
官能化されたシリカの硬化
コーティングによるグラフト化後、グラフトされた支持体を170℃の温度で一晩加熱した。細孔組織が保存されたことを確認した。グラフト化剤が4-クロルメチルフェニルトリメトキシシランの場合、気孔の平均直径は約10.2nmの値へゆっくりと低下し、CBET値は約49へ低下した。含水率は約2、2であり、有機含有量は約21.5%で、これはグラフト鎖量で約1.8 grafts/nm2に対応する。
グラフト化剤がパラ−アミノフェニルトリメトキシシランの場合、気孔の平均直径はゆっくりと約10.8nmに低下し、CBET値は約67へ低下した。含水率は約3.06%であり、有機含有量は約15.8%で、これはグラフト鎖量で約1.9 grafts/nm2に対応する(リジッドなアームをグラフトした場合)。
【0078】
ハロゲノヒドロカルビルヒラン−グラフト化シリカの不動態化
連結されたハロゲノ鎖を含む原料を150℃で8時間一晩脱気した後、室温へ冷却し、乾燥トルエン中に懸濁させた。N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)(2.8mL、14mmol.g-1)を加え、反応混合物を60℃の温度で一晩撹拌した。固形物を濾過分離し、トルエン(2×200mL)、メタノール(2×200mL)、ジクロルエタン(2×200mL)およびジエチルエーテル(2×200mL)で順次洗浄する。最後に、固形物をジクロロメタン/ジエチルエーテル混合物(1:1)でソックスレー抽出した。
この不動態化ステップ後に、グラフト化剤が4-クロルメチルフェニルトリメトキシシランのみの場合には気孔の平均直径はゆっくりと約10.6 nmへ低下し、CBET値は約42へ低下した。含水率は約1.5%であり、有機含有量は約21.9%で、これはグラフト量で約1.8 grafts/nm2に対応する。
グラフト化剤が4-クロルメチルフェニルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランで希釈(1当量の4-クロルメチルフェニルトリメトキシシランと9当量のフェニルトリメトキシシランの比)した場合には、不動態化ステップの後に気孔の平均直径はゆっくりと約11.4 nmへ低下し、CBET値は約36へ低下した。含水率は約1.7%であり、有機含有量は約16.9%で、これはグラフト量で約1.8 grafts/nm2、0.2クロルメチルフェニルシラングラフト/nm2に対応する。
【0079】
アミノヒドロカルビルヒラン−グラフト化シリカの不動態化
不動態化の操作は上記の官能化シリカで使用したもの同じであるが、トリメチルシラン剤はクロロトリメチルシラン、好ましくはトリメチルシリルイミダゾールにする。
不動態化ステップ後、グラフト化剤がp-アミノフェニルトリメトキシシランノ場合の気孔の平均直径は約12.3 nmであり、CBET値は約33へ低下した。含水率は約1.1%で、有機含有量は約15.76%で、グラフト量は約1.9 grafts/nm2である。
グラフト化剤がp-アミノフェニルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランに希釈(2と当量のp-アミノフェニルトリメトキシシラン対8当量のフェニルトリメトキシシラン)した場合には、不動態化ステップ後に気孔の平均直径は約13.1nmであり、CBET値は約28へ低下した。含水率は約0.8%で、有機含有量は約16%で、グラフト量は約1.9 grafts/nm2で、0.38p-アミノフェニルシラングラフト/nm2である。
【0080】
Feの場合の第1具体例
化合物(I)の例としての4−ヒドロキシ−2,6−ジアセチルピリジンの合成
【0081】
【化30】

【0082】
ステップ1
アルゴン下に2、6-ジアセチルピリジンの溶液(1.0g、65mLの無水のトルエン中に6.13 mmol)中に、15.5mL(282 mmol)のエチレングリコールと、6.5mL(59.8 mmol)のクロロトリメチルシランとを加えた。共沸留出液を回収するためのDean-Stark装置を備えたフラスコ中で反応混合物を120℃で24時間加熱した。
反応有機相をK2CO3(5%)水溶液で2回洗浄し、次に純水(15mL)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。減圧下に溶剤を蒸留後、純粋な2,6−{ビス−エチレンアセタール}ピリジン(2)が得られた。
【0083】
ステップ2
市販のメタ−クロロ安息香酸(58%)(mCPBA)の溶液を精製して得た6.7gのメタ−クロロ安息香酸(100%)(mCPBA)のジクロロメタン(200mL)溶液中に、ジクロロメタン(50mL)中の2,6−{ビス−エチレンアセタール}ピリジン(3.2g)の溶液、をゆっくり加えた。反応混合物を63℃で1週間加熱した。冷却後、有機相をK2CO3(10%)水溶液(80mL)で2回洗浄し、次に純水で洗浄した。水相を集め、ジクロロメタン(80mL)で抽出した。有機相を集め、Na2CO4で乾燥した。減圧下に溶剤を蒸留後、集めた生成物をフラッシュクロマトグラフィカラム(平均気孔直径が60?で、粒径が70〜200μmのS. D. Sシリカ)で分離した。未反応の2,6−{ビス−エチレンアセタール}ピリジンは溶離液として酢酸エチルを用いて集めた。溶離液としてメタノールを使用して回収された1.7 gの純粋の2,6−{ビス−エチレンアセタール}ピリジン−N−オキサイド(3)の収率は50%である。
【0084】
ステップ3
コンデンサを備えたフラスコ中に、1 gの2,6−{ビス−エチレンアセタール}ピリジン−N−オキサイド(3)と無水酢酸とを撹拌し、135℃で20時間加熱した。冷却後、媒体をNa2CO4溶液で処理してpHを塩基性にした。水相をジエチルエーテル(3×50mL)では抽出した。エーテル溶液を乾燥し、溶媒を蒸発させた後、4-アセチルオキシ−2、6-{ビス−エチレンアセタール}ピリジンと4−ヒドロキシ-2,6−-{ビス−エチレンアセタール}ピリジンのみを含む混合物(A)を回収した。
【0085】
ステップ4
上記混合物(A)の0.8gを25mLのジオキサンに溶かした。25mLのHCI水溶液を加え、得られた溶液を90℃で1時間加熱した。冷却後、溶液をNaOH(1.3M)溶液で処理してpHを塩基性にした。水相はCH2Cl2(3×50mL)で抽出した。得られた水相をHCI水溶液(1N)で酸性化し、次に、NH3で塩基化し、蒸発させた。回収した材料をCH2Cl2(3×50mL)で抽出した。この第2の有機相をNa2CO4で処理し、減圧下に溶剤を蒸留した後に、純粋な4-ヒドロキシ-2,6-ジアセチルピリジンを得た。
第1の有機相はNa2SO4で処理した。減圧下に溶剤を蒸留した後に回収した生成物は2、6-ジアセチルピリジンと4-メチル-2,6-ジアセチルピリジンを副産物として含んでいた。
【0086】
ステップ4
クロルメチルフェニル−グラフト化されたシリカ上での4-ヒドロキシ-2,6-ジアセチルピリジンのヘテロ化
1.グラフト化剤が4-クロルメチルフェニルトリメトキシシランのみの場合
先ず最初に4-ヒドロキシ-2、6- ジアセチルピリジンのケトン官能基をステップ1に従って保護した。保護されたジケトン(0,86g、3.2 mmoL)の溶液、テトラのヒドロフラン溶液(3 0 mL)中のトリエチルアミン(0.43mL、32 mmoL)を予め150℃の温度で減圧下に一晩活性化した4-クロルメチルフェニルトリメトキシシラン(ncl=1.6mmol)を含む1.2gの不動態化されたシリカに加えた。懸濁液を撹拌下に70℃の温度で30時間加熱した。冷却後、濾過で固形物を分離した後、ソックスレー装置でTHF(2×50mL)、MeOH(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
【0087】
ケトンの脱保護
25mLのジオキサンのHCI水溶液(1N)を予め150℃の温度で減圧下に活性化させた1.2 gの固形物に加えた。懸濁液を撹拌下に1時間加熱した。冷却後、固形物を濾過で分離した後、ジオキサン(2×50mL)、MeOH(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
イミン
150℃の温度での減圧下の一晩の賦活後に、1.3gの上記固形物をトルエン(50mL)溶液中の2,6−ジイソプロピル-アニリン(0.57g、3.2mmoL)およびパラ-トルエンスルホン酸(0.152g、0.8 mmoL)と接触させる。懸濁液を撹拌下に120℃で30時間加熱し、共沸蒸留した。冷却後、固形物を濾過で分離した後、ソックスレー装置でトルエン(2×50mL)、CH2Cl2(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
メタレーション
1.5 gの上記固形物を150℃で一晩で脱気した。冷却後、乾燥THF(40mL)中の無水FeCl2(0.2g、1.6 mmoL)溶液を加え、懸濁液を窒素下で18時間還流した。固形物を濾過で分離し、次いで、THF(3×50mL)、ペンタン(3×50mL)で洗浄し、それから減圧下に室温で乾燥した。
【0088】
Feの場合の第2具体例
2、6−ジアセチルピリジンのアンカー
(トルエン(50mL)中の0.25 g(1.5 mmoL)の2、6-ジアセチルピリジンと0.145 mg(0.76 mmoL)のパラ-トルエンスルホン酸(50mL)とを、1.5 gの150℃の温度で減圧下に一晩賦活したp-アミノフェニルトリメトキシシラン(nNH2=2.0mmoL)を含む不動態化したシリカに加える。懸濁液を120℃に30時間加熱し、共沸蒸留する。冷却後、固形物を濾過で分離した後、ソックスレー装置でトルエン(2×50mL)、CH2Cl2(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
【0089】
ジケトンの未反応末端の反応
減圧下での150℃の温度での一晩の賦活ステップ後に、1.7gの上記固形物(nNH2=2.0mmoL)をトルエン(50mL)溶液中で2,6-ジイソプロピル−アニリン(0.57g、3.2mmoL)およびパラ-トルエンスルホン酸(0.152g、0.8mmoL)と接触させた。懸濁液を攪拌下に120℃に30時間加熱し、共沸蒸留する。冷却後、固形物を濾過で分離した後、ソックスレー装置でトルエン(2×50mL)、CH2Cl2(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
【0090】
メタレーション
2.0gの上記固形物を減圧下での150℃の温度で一晩賦活した(nビス(イミン)ピリジン=2.0mmoL)。冷却後、乾燥THF(40mL)中の無水FeCI2溶液(25g、2mmoL)を加え、懸濁液を窒素下に18時間還流された。冷却後、固形物を濾過で分離した後、ソックスレー装置でTHF(2×50mL)、そしてペンタン(3×50mL)で洗浄し、減圧下、室温で乾燥した。
【0091】
Feの場合の第3具体例
4-ヒドロキシターピリジンのヘテロ化
テトラヒドロフラン(30mL)溶液中の0.8g(3.2 mmoL)の4-ヒドロキシターピリジンと0.43mL(3 mmoL)のトリエチルアミンとを、1.2 gの150℃の温度で減圧下に一晩賦活した4-クロルメチルフェニルトリメトキシシラン(ncl=1.6 mmol)を含む1.2gの不動態化されたシリカに加えた。懸濁液を撹拌下に70℃の温度で30時間加熱した。冷却後、濾過で固形物を分離した後、ソックスレー装置でTHF(2×50mL)、MeOH(2×50mL)、EtO2(2×50mL)、次いでCH2Cl2/EtO2混合物(1:1)で洗浄した。
【0092】
メタレーション
ターピリジンを含むシリカ1gを150℃で一晩脱気した。冷却後、乾燥THF(40mL)中の無水FeCl2溶液を加え、懸濁液を窒素下で18時間還流した。冷却後、濾過で固形物を分離した後、THF(2×50mL)次いでペンタン(3×50mL)で洗浄し、乾燥した。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】エクシマMM*のエネルギー準位を表す図。
【図2】シクロヘキサンを溶剤としたピレンの各種濃縮で得られた実験スペクトルA〜G。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(h)の段階から成る、遷移金属(late transition metal)錯体の支持方法:
(a)多孔質材料からなる支持体を用意し、
(b)上記支持体の表面上に下記(i)と(ii)をグラフトし:
(i) 一般式:RnR’3-n−Si−L−Xのシラン
(ここで、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルであり、各Rは互いに同じでも異なっていてもよく、R’はハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルコキシであり、各R’は互いに同じでも異なっていてもよく、nは0〜2の整数であり、Lはリジッドまたは可撓性のある「リンカー(linker)」またはアームであり、Xは付加反応または置換反応によって共有結合可能な官能基である)
(ii)モルホロジー、寸法、種類および支持体上へのグラフト能の点で上記(i)のシランに匹敵する分散剤(ただし、上記のX官能基は有さない)
(ただし、シランと上記分散剤との比は1:20〜1:1、好ましくは1:10〜1:8である)
(c)グラフトされた支持体を必要な場合には硬化し、不動態化(passivating)し、
(d)極性溶媒中に溶解した下記一般式(I)または(II)の先駆体化合物を用意し、
【化1】

(ここで、R1は水素、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、R2は水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、R3は水素、官能基で置換されたヒドロカルビルまたは上記シランのXと反応可能な反応性基であり、R4は水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、必要な場合には、一般式(I)または(II)の先駆体のケトン基は下記のようにアセタールまたはケタールで保護されていてもよく:
【化2】

(e)段階(d)の先駆体化合物を付加反応または置換反応または縮合反応によって上記「リンカー」またはアーム上へ共有結合でアンカーし、
(f)必要な場合には、段階(e)の成分を酸性溶媒中で第1アミンR5−NH2および/または第2アミンR6−NH2(ここで、R5およびR6はヒドロカルビル、置換したヒドロカルビル、不活性官能基、好ましくは置換または未置換のアリールまたはシクロアルキルであり、互いに同じでも異なっていてもよい)と反応させて、出発物先駆体が一般式(I)の場合には下記一般式(III)のリガントを作り、出発物先駆体が一般式(II)の場合には一般式(IV)のリガントを作り:
【化3】

または
【化4】

(g)段階(f)のリガントを極性溶媒中に溶解した金属錯体MYm(ここで、金属Mは周期律表の第8、9または10族金属またはランタニドまたはVまたはMnであり、Yはハロゲンまたはアルコラートまたはカルボキシレートまたはホスフェートまたはアルキルまたはアリールまたはボレート、例えばBF4またはB(パーフルオロ化アリール)4またはPF6であり、mは金属Mの価数に等しい整数である)と錯体化して、下記の支持された錯体(V)または(VI)を作り:
【化5】

または
【化6】

(h)支持された遷移金属錯体を回収する、この支持された遷移金属錯体は金属センタ(metallic centres)が分散しており且つ支持体表面から離されていることを特徴とする。
【請求項2】
支持体がシリカである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
「リンカー」が可撓性のあるアームであり、アルキルまたはエーテルまたはチオエーテルである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
「リンカー」がリジッドなアームであり、アリール、ナフタレン、ポリアリールエーテルまたはエーテルジ−フェノールの中から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
リジッドなアームがフェニルである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
官能基がハロゲンまたはアミノである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上記金属がFeまたはCoであり、上記先駆体が一般式(I)の化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記金属がNiまたはPdであり、上記先駆体が一般式(II)の化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記金属がZr、HfまたはTiであり、上記先駆体が下記一般式(XIII)の化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法:
【化7】

【請求項10】
一般式(I)または一般式(II)の置換基R1が全て置換されたメチルであり、一般式(I)の置換基R2が水素であり、一般式(I)または一般式(II)の置換基R3がヒドロキシルまたはNH2であり、一般式(II)の置換基R4が水素である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
段階(f)のアルキル−またはアリール−アミンとの反応を実行し、R5とR6が同じものである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
5とR6が置換したフェニルである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
活性サイトが支持体の表面上に分散しており且つ支持体の表面から離されている請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で得られる、支持された遷移金属触媒成分。
【請求項14】
下記(a)と(b)の段階から成る支持された遷移金属触媒系の製造方法:
(a)請求項13の支持された遷移金属成分を用意し、
(b)イオン化作用を有する活性化剤を用いて上記触媒成分を活性化する。
【請求項15】
活性化剤がアルミニウムアルキルまたはアルミノキサンである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法で得られる活性な支持された遷移金属触媒系。
【請求項17】
下記(a)〜(d)の段階から成るオレフィンのオリゴマー化または重合方法:
(a)請求項16の活性な支持された触媒系を反応器中へ噴射し、
(b)モノマーと必要に応じて用いられるコモノマーとを反応器中に噴射し、
(c)重合条件を維持し、
(d)制御されたモルホロジーを有するポリマーを回収する。
【請求項18】
モノマーがエチレンまたはプロピレンある請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項17または18の方法で得られる制御されたモルホロジーを有するポリマー。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519794(P2007−519794A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550170(P2006−550170)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050234
【国際公開番号】WO2005/075522
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】