説明

選択放射遮断の光学素子

【課題】入射放射線の選択された電磁波部分を遮断すると同時に残りの大部分を通す一つ以上の層をもつ光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子100を形成する層102、104、106は発光物質を含み、当該発光物質は発光放射線として選択された波長帯を吸収し放出することで、選択された波長帯を遮断する。発光放射線の大部分が、光学素子の境界に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学素子に関する。具体的に述べると、本発明は光学素子の中でも、一部の電磁放射線を光学素子が選択的に遮断させ、同時に残りの電磁放射線を光学素子が通すことに関する。
【0002】
ここで述べる“光学素子”とは、可視光だけに限らず、全ての電磁放射線が当てはまり、マイクロ波、赤外線、可視線、紫外線、X線、ガンマ線を含むが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
今日、ガラスの使用は自動車業界、建設業界など様々な分野において増加している。ガラスが自動車業界や建設業界で使用される時、太陽熱の放射線のある要素を遮断できることが望ましい。例えば、熱帯の国々では、熱的快適性の改善とエアーコンディションのコスト削減のために、太陽の熱放射線に含まれる赤外線が遮断されることが望ましい。同様に、寒い地域では、建物内部から外部へのヒート・ロスを減少させることが理想的とされている。
【0004】
先行技術として、電磁放射線に含まれる赤外線及び紫外線要素を減少させるための方法はいくつか存在している。例えば、表面を金属化したガラス、着色ガラス、電子クロムガラスがそれに当たる。加えて、望ましい質のガラスにするためのいくつかのカバー材がある。
【0005】
表面を金属化したガラスや着色ガラスはよく使用されるが、これらは赤外線と共に可視線も遮断してしまう。更に、赤外線を吸収することで着色ガラスは熱くなる結果、赤外線の原因となる。
【0006】
電子クロムガラスは多層膜(44〜55膜)で、その中で外膜と透明帯の次の膜は透明電極となっている。透明電極に適用される電圧は、膜媒体の透明度を制御する。しかし、この方法は高価で、よってオフィスや産業建築で広く使用することはできない。
【0007】
最も普及されている放射線制御手段は、標準ガラスと結合したカバー材の使用である。合成されたカバー材は、赤外線への吸収係数が可視線への吸収係数よりもかなり高いとされる。しかし、このように赤外線を吸収したカバー材は、それによってガラスプレートを加熱し、結果、ガラスプレートは赤外線の原因となる。更に、結果として生じたガラスプレートの透過係数は、可視線に対し、一般のガラスプレートよりも低くなる。
【0008】
別の種類の光学素子としては、太陽放射線の望ましくない要素を妨げるために発光物質を使う。しかし、発光物質はガラスにいくらか色を及ぼす傾向を持っている。例えば、ある種の光学素子は色素を使い、赤外線遮断物質がガラスにいくらか色を与えるため、結果、内装の自然なライティングをかなり妨害する。
【0009】
よって、既存の方法では太陽放射線の望ましくない部分を遮断する第一の手段として、反射や吸収を使っている。司法権においては、反射を用いた放射線制御の使用は法律で禁止されている。更に、これらの既存方法は、赤外線を遮断せず、十分なレベルで光学素子を介して可視線を通すことはできない。
【0010】
上述の討論から、電磁放射線の選択された部分の選択遮断効率を改善し、同時に可視線を十分に通すシステムと方法が必要とされる。よって、光学素子は、赤外線や紫外線といった電磁放射線の選択部分のみを遮断するべきではなく、改善された効率と共に可視線を通すようにするべきである。更に、光学素子の理想的な特性をもつために、層の追加は避けたほうが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、電磁放射線の第一の波長帯を遮断しながら、電磁放射線の第二の波長帯を十分に通す光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
よって、本発明は一つまたはそれ以上の層をもつ光学素子を提供する。これらの層はそれぞれ対面式で光学連結されている。一つ以上のガラス層の少なくとも一つは、電磁放射線の第一の波長帯を遮断すると同時に電磁放射線の第二の波長帯を通すための一つ以上の発光物質を含む。
【0013】
本発明の様々な実施形態によると、第一の波長帯は赤外線または紫外線に対応する。発光物質はスペクトル的に、少なくとも赤外線又は紫外線のどちらか一つを発光放射線に変化させる。発光放射線は内部で光学素子の一つ以上の層に反射され、光学素子の境界に導かれる。
【0014】
本発明の実施形態によると、一つ以上の層の少なくとも一つの層が、少なくともひとつの反射物質又は少なくともひとつの着色物質の少なくとも一方を含んでいる。更に別の実施形態によると、光学素子は高分子層を含んでおり、高分子層は一つ以上の発光物質を含んでいる。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、光学素子は複数の層を含んでおり、複数の層は複数層の第一層からの発光放射線が、複数層の第二層によって遮断されるように配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、入射放射線の選択部分の遮断効果を80%改善する。更に、本発明は残りの大部分の可視線を透過可能にする。よって、本発明は効率的な赤外線放射の抑制と共に光学素子における大部分の可視線の透過を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の様々な実施形態は、添付の図面とともに述べるが、本発明はこれらの説明や図面によって限定されるものではない。
【0018】
本発明は、電磁放射線の第一の波長帯を遮断させると同時に電磁放射線の第二の波長帯を通す一つ以上の層を含む光学素子を提供する。特に、前記光学素子は、第一の波長帯を遮断させるように、前記一つ以上の層の少なくとも一つに一つ以上の発光物質が分散されている。前記一つ以上の発光物質は、第一の波長帯に対応する入射放射線の選択部分を吸収し、スペクトル的に第一の波長帯を発光放射線に変換する。続いて、発光放射線の大部分は一つ以上の層の境界に導かれる。
【0019】
図1は本発明の実施形態により、光学素子100の略図の説明図である。光学素子100は、対面で互いに光学結合している層102、層104、層106と名付けられた一つ以上の層を含んでいる。層104は一つ以上の発光物質108を含んでいる。また、図1は入射し透過された電磁波、光学界面1−1’、光学界面2−2’、光学界面3−3’、光学界面4−4’を説明している。
【0020】
第一の波長帯と第二の波長帯を含む入射放射線は、光学素子100に入射し、層102、層104、層106を通る。一つ以上の発光物質108は第一の波長帯を吸収し、発光放射線に変化させる。発光放射線は光学素子100の境界に導かれる。第二の波長帯は透過電磁波として、光学素子100を通り抜ける。
【0021】
本発明の実施形態によると、光学素子100に入射する入射放射線は、紫外線、可視線、そして赤外線を含んでいる。一つ以上の発光物質108は赤外線と紫外線を吸収し、可視線を光学素子100に通過させる。
【0022】
本発明の別の実施形態によると、入射放射線は赤外線、紫外線、そして可視線を含む太陽熱の放射線である。紫外線は電磁放射線ベースによって分けられるUV−A、UV−B、そしてUV−Cを含んでいる。UV−Aは315nmから400nmの波長帯で、UV−Bは280nmから315nmの波長帯で、UV−Cは100nmから280nmの波長帯である。
【0023】
本発明の実施形態によると、第一波の波長帯は約600nmから約2500nmまで様々で、一方、第二波の波長帯は約400nmから約600nmまで様々である。
【0024】
本発明の別の実施形態によると、第一波の波長帯は約100nmから約400nmまで様々で、第二波の波長帯は約400nmから約600nmまで様々である。
【0025】
更に本発明の別の実施形態によると、第一波の波長帯は約100nmから約400nmと約600nmから約2500nmまで様々で、一方、第二波の波長帯線は約400nmから約600nmまで様々である。
【0026】
層102、層104、そして層106は、お互い対面で光学結合されている。光学界面2−2’は層102と層104の間の界面である。同様に、光学界面3−3’は層104と層106の間の界面である。光学界面1−1’と光学界面4−4’はそれぞれ周囲と層102また周囲と層106の間の界面である。一つ以上の層は、有機ガラス又は無機ガラスで構成されている。一つ以上の層の物質例としては、ポリメタクリル酸メチル、石英などがあげられるが、それに限ったものではない。
【0027】
本発明の実施形態によると、光学素子100はまた、一つ以上の発光物質108を含む高分子層を含んでいる。高分子層は光学素子100の表面の少なくとも一つに適用されている。高分子層に使われている物質の例としては、ポリビニル・ブチラール(PVB)があるが、それに限ったものではない。本発明の実施形態によると、高分子層は光学素子100の表面の少なくとも一つに適用されている接着層である。
【0028】
一つ以上の発光物質108は層104に均等分布されている。それぞれの発光物質108は吸収帯としての特徴を持っている。吸収帯は、発光物質108が吸収できる波長帯で、スペクトル的により高い波長帯に変化する。一つ以上の発光物質108は、有機や無機のどちらであってもよい。有機発光物質の例としては、有機染料があげられるが、それに限ったものではない。同様に、無機発光物質の例としては、一つ以上の希土類元素があげられるが、それに限ったものではない。一つ以上の希土類元素は、セリウム、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、テルビウム、またはそれらの化合物からなるグループから選択されるものである。本発明の様々な実施形態によると、一つ以上の希土類元素は純元素状、希土類元素の塩、または合成物とされる。一つ以上の発光物質108を含んだ一つ以上の層は、光学的に活性層とされる。
【0029】
更に別の実施形態によると、反射物質又は着色物質は、一つ以上の発光物質108に添加するために使用される。反射物質の例としては、硫化鉛(PbS)、硫化銅(CuS)、硫化鉛と硫化銅の合成物(PbS−CuS)などの金属硫化物があげられるが、それに限ったものではない。
【0030】
光学素子100の様々な応用としては、建物の窓枠や自動車の窓ガラス、遮へい窓、サンルーフ、遮光板などがあげられるが、それに限ったものではない。
【0031】
本発明の様々な実施形態は以下において、第一波の波長帯は赤外線に、第二波の波長帯は可視線に、そして一つ以上の発光物質108は一つ以上の希土類元素になることを説明する。注目すべきは、本発明の様々な実施形態は、図1で説明されるように、第一波の波長帯、第二波の波長帯、そして発光物質のその他のバリエーションで同等に応用できることである。
【0032】
図2は本発明の実施形態として、光学要素100における発光放射線の経路を説明する。層104は層104に分散された一つ以上の希土類元素108を含んでいる。図2もまた、典型的な粒子として一つ以上の希土類元素108から放出される光線202、光線204、光線208、粒子Pを示している。可視線と紫外線を含む入射放射線が光学素子100に当たる時、層102は影響を受けずに入射放射線を通す。入射放射線が層104を通る時、一つ以上の希土類元素108の各粒子は赤外線を吸収し、その後、全方向に長波長帯の発光放射線を放出する。光線202及び光線204に代表される少量の発光放射線がそれぞれ、光学素子100の前後の表面から放出される。しかし、光線206及び光線208に代表される大量の発光放射線は、光学素子100の光学界面1−1’と光学界面4−4’の総内部反射により、光学素子100に閉じ込められ、光学素子100の境界に導かれる。
【0033】
総内部反射により光学素子100に「閉じ込められた」発光放射線の量は、一つ以上の層の相対屈折率となる。一つ以上の層の相対屈折率は周囲媒質によって求められる。本発明の実施形態として、光学素子100は空気に囲まれている。よって、光学素子100に閉じ込められる発光放射線の量は、式1により求められる。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで‘r’は一つ以上の層の相対屈折率で、‘n’は総内部反射の角度である。
【0036】
光学素子の前後表面の間から放出され、閉じ込められ、境界に導かれる全発光放射線の割合は式2により求められる。
【0037】
【数2】

【0038】
よって、‘N’は‘r’で表されることができ、式3により求められる。
【0039】
【数3】

【0040】
一つ以上の層を作るために使われるガラス材は、1.5に近い屈折率を有し、通常のケイ酸塩又は無機ガラスを含んでいる。よって、式3でr=1.5となる。
【0041】
【数4】

【0042】
よって、発光放射線の約75%が光学素子100の境界から放出される。更に、光学素子100の光学界面1−1’と光学界面4−4’は横ばいとなり、各界面を通る発光放射線は約12.5%と考えられる。可視線は光学素子100を十分に通り抜ける。
【0043】
図3は本発明の一つの実施形態として、光学素子300の縦続接続の略図を説明する。光学素子300は層302、層304、層306、層310を含んでいる。層304と層308はそれぞれ、希土類元素312と希土類元素314を含んでいる。層304と層308はまた、それぞれ光学活性層304と光学活性層308と言い換えることができる。同様に、層302、層306、層310はそれぞれ、光学活性層302、光学活性層306、光学活性層310とされる。赤外線と紫外線を含む入射放射線は、光学素子300へ入射する。入射放射線が層304を通る時、希土類元素312は赤外線波長帯の選択部分を吸収し、スペクトル的に形質転換の放射線を発光放射線として放出する。
【0044】
本発明の実施形態として、希土類元素312及び希土類元素314は、希土類元素314の吸収帯を希土類元素312の発光放射線帯に一致させる。よって、層306を横断する間に、希土類元素312から放出された発光放射線は、希土類元素314によって吸収される。この一つ以上の層の配列は、効果的に赤外線を遮断する。
【0045】
当業者は、説明したカスケード効果を光学活性層及び光学不活性層の様々な組み合わせによって配置された多層膜に拡張されることができる。
【0046】
図4は本発明の一つの実施形態として、単層ガラスである光学素子400の略図を説明する。単層ガラス402は、一つ以上の希土類元素404を含んでいる。図4もまた、典型的な粒子とする一つ以上の希土類元素404から放出される光線406、光線408、光線410、光線412、粒子Sを示している。光学素子400はまた、3つの境界にあるミラー反射層414を含んでいる。赤外線と可視線を含む入射放射線が単層ガラス層402を通る時、一つ以上の希土類元素404が赤外線を吸収し、発光放射線を放出する。光線406及び光線408といった発光放射線が、光学素子400の表面から放出され、光線410及び光線412といった大部分の発光放射線が単層402の境界に導かれ、放出される。図に示すように、光学素子400の一つ以上の境界がミラー反射層414で覆われた場合、ミラー反射層414に関係なく、発光放射線は残りの境界から放出される。
【0047】
図5は本発明の一つの実施形態として、表面に欠陥のある不連続面を持つ光学素子500の略図を説明する。光学素子500は、境界502aと境界502bをもつ層502、境界504aと境界504bをもつ層504、境界506aと境界506bをもつ層506、反射コーティング508、不連続面510、そして典型的な粒子とする一つ以上の希土類元素512を含んでいる。図で示されるように、光学素子は光学素子500の表面に不連続面510を含んでいる。不連続面510は、光学素子500を通り抜ける発光放射線ゾーンを含んでいる。このような不連続面は、溝、窪み、へこみ、うねり、又は突起とすることができる。別の修正箇所は、境界502aと境界502bの角をそいで斜面を形成することができる。境界504a、境界506a、境界506bを含む残りの境界を反射コーティング508で覆い、これらの層を反射層にさせ、発光放射線を残りの境界を通るようにさせる。
【0048】
不連続面510は、発光放射線を光学素子500の選択部分に導くために用いることができ、それにより発光放射線を様々な目的に役立つように取り出すことができる。
【0049】
図6Aから図6Eは本発明の様々な実施形態として、光学素子から放出された発光放射線を制御する様々な方法を説明する。
【0050】
図6Aは光学素子600、フレーム602、壁604、入射放射線側とする外側A、そして透過電磁波側とする内部Bを示している。光学素子600はフレーム602に配置することによって壁604に固定されている。可視線と赤外線を含む入射放射線は、光学素子600へ入射する。光学素子600は発光放射線を放出し、結果、フレーム602の温度を上昇させる。
【0051】
図6Bは光学素子600、ミラー反射層で覆われた境界606、境界608、金属シート610を示している。発光放射線は反射素子を持たない境界608から放出される。小さな隙間が境界608の前方に残され、発光放射線は壁604を熱することはない。境界608からの発光放射線に影響を受ける壁604の部分は金属シート610で覆うことができる。また、境界608を刻むことで(図では示されていない)、発光放射線を壁604の外側A刻面の表面で反射されるようにしてもよい。
【0052】
図6Cは、光線612の発光放射線からフレーム602と壁604を守る配置を示している。光学素子600の個体の一部は、凸面を与えられる。これらの一部において、光学素子600の内部表面から前方表面に入射する角度は臨界角より下がり、よって、全体的な発光放射線が起こらず、発光放射線は光線612として光学素子から逃げる。
【0053】
図6Dは、発光放射線からフレーム602と壁604を守る配置を示している。この図は、軸614、回転ミラー616、ガラス618を示している。回転ミラー616は、軸614の境界の一つにそって付けられており、図に記載している実線と破線の二つの定位置に位置する。一年で暑い月の間は、赤外線からの最大保護を求めるために回転ミラー616は破線で示される位置にする。その場合、境界608から逃げた全放射線がミラー616により壁604の外側Aに反射される。一年で太陽が照ってはいるが、気温が低い間は、回転ミラー616が実線で示された位置に回転する。この場合、境界608から逃れ、回転ミラー616で反射された発光放射線は、ガラス618を通じて内部Bに移動する。
【0054】
図6Eは、光学素子600から発光放射線が取り出される配置を示している。この図は、吸収式温水器620と断熱層622を含む放射タップユニットを示している。光学素子600の境界606は、断熱層622で覆われたパイプから吸収式温水器622に連結している。放射タップユニットは、境界606を通って光学素子から放射された発光放射線を取り出す。
【0055】
放射タップユニットで取り出された発光放射線(以下、タップされた放射線とも言う)は、様々に応用して使用することができる。このタップされた放射線は、天気の良い日に温水を提供することに使用でき、毎日、家庭用として、又は建物の集中暖房システムの貯蔵タンクに送られて使用することができる。タップされた放射線はまた、再び放出された放射線を電子エネルギーに変換して光電池に使用することができる。更に、タップされた放射線は、パネル外部の可視部分により、視覚的なハイライト効果で装飾的な目的に使用することができる。
【0056】
よって、本発明は入射放射線の選択部分の遮断効率を約80%改善する。更に、本発明は残りの入射放射線の十分に通過させ、それにより効率的な赤外線遮断と共に、大部分の光学素子を透過可能にする。更に、本発明は様々な有益な目的のために発光放射線を取り出される。タップされた発光放射線の応用は、光電池、装飾などがあげられるが、それに限ったものではない。
【0057】
本発明の様々な実施形態の説明や描写により、本発明がこれらの実施形態だけに限られたものでないことは明らかである。クレームで述べられたように、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、多くの改良、変化、バリエーション、代用、同等物がこの技術によってもたらされることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のひとつの実施形態の光学素子の概念図である。
【図2】本発明の実施形態による光学素子の発光放射線の経路の説明図である。
【図3】本発明のひとつの実施形態の光学素子の縦続接続の説明図である。
【図4】本発明のひとつの実施形態の単一のガラス層を含む光学素子の説明図である。
【図5】本発明のもうひとつの実施形態による表面が変形した光学素子の説明図である。
【図6A】本発明の様々な実施形態によって光学素子から放出された発光放射線を制御するための様々な方法を説明する。
【図6B】本発明の様々な実施形態によって光学素子から放出された発光放射線を制御するための様々な方法を説明する。
【図6C】本発明の様々な実施形態によって光学素子から放出された発光放射線を制御するための様々な方法を説明する。
【図6D】本発明の様々な実施形態によって光学素子から放出された発光放射線を制御するための様々な方法を説明する。
【図6E】本発明の様々な実施形態によって光学素子から放出された発光放射線を制御するための様々な方法を説明する。
【符号の説明】
【0059】
100 光学素子
102 層
104 層
106 層
1−1’ 光学界面
2−2’ 光学界面
3−3’ 光学界面
4−4’ 光学界面
108 発光物質
202 光線
204 光線
206 光線
208 光線
300 光学素子
302 光学活性層
304 光学活性層
306 光学活性層
308 光学活性層
310 光学活性層
312 希土類元素
314 希土類元素
400 光学素子
402 単層ガラス
404 希土類元素
406 光線
408 光線
410 光線
412 光線
414 ミラー反射層
500 光学素子
502 層
502a 境界
502b 境界
504 層
504a 境界
504b 境界
506 境層
506a 界
506b 境界
508 反射コーティング
510 不連続面
512 希土類元素
600 光学素子
602 フレーム
604 壁
606 境界
608 境界
610 金属シート
612 光線
614 軸
616 回転ミラー
618 ガラス
620 吸収式温水器
622 断熱層
A 入射放射線側とする外側
B 透過電磁波側とする内部
P 粒子
S 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の層を有し、これら層の少なくとも一つの層が少なくとも一つの発光物質を含み、当該発光物質がスペクトル的に第一の波長帯に対応する入射放射線を発光放射線に変化させ、また、少なくとも一つの層は大部分の発光放射線を総内部反射させるような屈折率を有し、それにより大部分の発光放射線が当該層の境界に導かれることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第一の波長帯は少なくとも一つの波長帯が約600nmから約2500nmの間であり、または約100nmから約400nmの間であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記一つ以上の層は第二の波長帯に対応する入射放射線に対して実質的に透明であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第二の波長帯は約400nmから約600nmの間であることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが有機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが無機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが有機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが無機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項9】
前記無機発光物質は少なくとも一つの希土類元素を含んでいることを特徴とする請求項8に記載の光学素子。
【請求項10】
前記少なくとも一つの希土類元素は、セリウム、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、テルビウムからなる群から選択された元素またはその化合物であることを特徴とする請求項9に記載の光学素子。
【請求項11】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが、少なくとも一つの反射物質と少なくとも一つの着色物質を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項12】
更に、高分子層を含み、前記高分子層は一つ以上の発光物質を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項13】
前記一つ以上の層の少なくとも一つが不連続となり、前記発光放射線を一つ以上の層の境界へ導くことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項14】
前記少なくとも一つの光学素子の境界が反射物質を塗布し、前記反射物質は前記発光放射線を残りの境界に導くことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項15】
前記光学素子は建物の窓ガラスとして使用されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項16】
前記光学素子は自動車の窓ガラス、遮へい窓、サンルーフ、遮光板の一つとして使用されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項17】
一つ以上の層を有し、これら層の少なくとも一つの層が少なくとも一つ以上の希土類元素を含み、前記希土類元素がスペクトル的に第一の波長帯に対応する入射放射線を発光放射線に変化させ、また、少なくとも一つの層は大部分の発光放射線を総内部反射させるような屈折率を有し、それにより大部分の発光放射線が当該層の境界に導かれることを特徴とする光学素子。
【請求項18】
前記第一の波長帯は少なくとも一つの波長帯が約600nmから約2500nmの間であり、または約100nmから約400nmの間であることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項19】
前記一つ以上の層は第二の波長帯に対応する入射放射線に対して実質的に透明であることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項20】
前記第二の波長帯は約400nmから約600nmの間であることを特徴とする請求項19に記載の光学素子。
【請求項21】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが有機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項22】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが無機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項23】
前記少なくとも一つの希土類元素は、セリウム、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、テルビウムからなる群から選択された元素またはその化合物であることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項24】
更に、高分子層を含み、前記高分子層は一つ以上の希土類元素を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項25】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが、少なくとも一つの反射物質と少なくとも一つの着色物質を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項26】
前記一つ以上の層の少なくとも一つが不連続となり、前記発光放射線を一つ以上の層の境界へ導くことを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項27】
前記少なくとも一つの光学素子の境界が反射物質を塗布され、前記反射物質は前記発光放射線を残りの境界に導くことを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項28】
前記光学素子は建物の窓ガラスとして使用されていることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項29】
前記光学素子は自動車の窓ガラス、遮へい窓、サンルーフ、遮光板の一つとして使用されていることを特徴とする請求項17に記載の光学素子。
【請求項30】
複数の光学活性層を有し、当該複数の光学活性層の第一の光学活性層がスペクトル的に、第一の波長帯に対応する入射放射線を第一の発光放射線に変化させ、一部の第一の発光放射線が複数光学活性層の第二の光学活性層に入射し、スペクトル的に第二の光学活性層が第一の発光放射線を第二の発光放射線に変化させることを特徴とする光学素子。
【請求項31】
前記第二の発光放射線の一部が複数の光学活性層の第三の光学活性層に入射し、第三の光学活性層がスペクトル的に、第二の発光放射線を第三の発光放射線に変化させることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項32】
前記複数の光学活性層は大部分の発光放射線を総内部反射させるような屈折率を有し、それにより大部分の発光放射線が複数の光学活性層の境界に導かれることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項33】
前記第一の波長帯は少なくとも一つの波長帯が約600nmから約2500nmの間であり、または約100nmから約400nmの間であることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項34】
前記複数の光学活性層は第二の波長帯に対応する入射放射を十分透過させることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項35】
前記第二の波長帯は約400nmから約600nmの間であることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項36】
前記複数の光学活性層は少なくとも一つが有機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項37】
前記複数の光学活性層は少なくとも一つが無機ガラス層を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項38】
前記複数の光学素子層は一つ以上の発光物質を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項39】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが有機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項38に記載の光学素子。
【請求項40】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが無機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項38に記載の光学素子。
【請求項41】
前記無機発光物質は少なくとも一つが希土類元素を含んでいることを特徴とする請求項40に記載の光学素子。
【請求項42】
前記少なくとも一つの希土類元素は、セリウム、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、テルビウムからなる群から選択された元素またはそれらの合成物であることを特徴とする請求項41に記載の光学素子。
【請求項43】
更に、高分子層を含み、前記高分子層は一つ以上の発光物質を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項44】
前記一つ以上の層は少なくとも一つが、少なくとも一つの反射物質と少なくとも一つの着色物質を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項45】
前記一つ以上の層の少なくとも一つが不連続となり、前記発光放射線を複数の光学活性層の境界へ導くことを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項46】
前記光学素子は建物の窓ガラスとして使用されていることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項47】
前記光学素子は自動車の窓ガラス、遮へい窓、サンルーフ、遮光板の一つとして使用されていることを特徴とする請求項30に記載の光学素子。
【請求項48】
放射線遮断システムであって、
a.一つ以上の層を有し、これら層の少なくとも一つの層が少なくとも一つの発光物質を含み、前記発光物質がスペクトル的に第一の波長帯に対応する入射放射線を発光放射線に変化させ、また、少なくとも一つの層は大部分の発光放射線を総内部反射させる相対屈折率に基づき配置されており、それにより大部分の発光放射線が当該層の境界に導かれる光学素子と、
b.前記一つ又またはそれ以上の境界から放出される大部分の発光放射線を取り出す放射タップユニット、と
を含むことを特徴とする放射線遮断システム。
【請求項49】
前記第一の波長帯は少なくとも一つの波長帯が約600nmから約2500nmの間であり、または約100nmから約400nmの間であることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項50】
前記一つ以上の層は第二の波長帯に対応する入射放射を十分透過させることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項51】
前記第二の波長帯は約400nmから約600nmの間であることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項52】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが有機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項53】
前記一つ以上の発光物質は少なくとも一つが無機発光物質を含んでいることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項54】
前記無機発光物質は少なくとも一つの希土類元素を含んでいることを特徴とする請求項53に記載の放射線遮断システム。
【請求項55】
前記少なくとも一つの希土類元素は、セリウム、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、テルビウムからなる群から選択された元素またはその化合物であることを特徴とする請求項54に記載の放射線遮断システム。
【請求項56】
前記放射線遮断システムは建物の窓ガラスとして使用されていることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。
【請求項57】
前記放射線遮断システムは自動車の窓ガラス、遮へい窓、サンルーフ、遮光板の一つとして使用されていることを特徴とする請求項48に記載の放射線遮断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate