説明

選択的に金属化された熱転写ラベル

基材に転写するための選択的に金属化された熱転写ラベル(10)は、キャリア層(3)および該キャリア層に適用されたリリース層(4)を含む支持部(1)、ならびに、該リリース層に適用された保護層(5)、該保護層に適用された金属化性層(6)、該金属化性層に適用された金属層(7)、該金属層に適用されかつ該金属層と所望の基材との両者に接着するように構成される金属転写接着剤層(8)および該金属層に適用されかつ所望の基材に接着するが該金属層には接着しないように構成される非金属転写インク層(9)を含む転写部(2)を含む。キャリア層(3)に熱および圧力が適用される際、金属転写接着剤(8)は金属層と基材との両者に接着し、一方非転写インク層(9)は基材のみに接着する。よって、金属層の金属転写接着剤(8)と接触する部分のみが、金属化性層(6)および保護層(5)の対応する部分とともに基材に転写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写ラベルに関する。より詳細には、本発明は、単一工程ラベル適用プロセスにて、ラベルの非金属インク部の転写とともにラベルの金属仕上げ部の選択的な転写を可能にする、選択的に金属化された熱転写ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルはほぼ全ての産業において広範囲に使用されている。例えば、ラベルは、携帯電話ケースからゴルフクラブシャフトまでに亘る消費財等の物品上への転写印に使用されている。典型的には、ラベルは、熱および圧力の適用時に基材に接着されることができる熱可塑性カラー層からなる。印が適用される品物の多くは剛体または半剛体であり、従ってラベル転写は熱転写法を用いて行なうことができる。
【0003】
品物に転写される印またはマーキングは高品質なものであることが最も重要である。多くの場合、品物は長期間使用することを意図するものである。例えば、携帯電話は少なくとも多数年耐えることが意図され、ゴルフクラブも同様である。そのために、印刷された印(例えば、製造者名、商標等)は、長持ちし、磨耗しにくく、そして化学劣化および環境劣化に耐えるものであるべきである。
【0004】
加えて、幾つかの用途においては、ラベルが物品に適用された際、ラベルは金属化された仕上げ部を有することが望ましい。先行技術は、望ましい金属化効果を実現するために種々の技術を導入してきた。
【0005】
公知の逐次技術では、標準的な金属熱スタンプ箔が用いられ、そして熱スタンプ機を用いて印の金属部分が基材に転写される。次いで、任意の数の先行技術の方法,例えばパッド印刷もしくは直接スクリーニング印刷、または単純に標準的な熱転写ラベルを用いて印の非金属部分を基材に適用する。しかし、この技術は、より高価で、望ましい効果を実現するために長時間が必要な多工程プロセスを必要とする場合がある。
【0006】
先行技術によって用いられる第2の技術は、フィルムを選択的に脱金属化し、フィルムの選択的に脱金属化された領域に非金属印を印刷し、そして得られたラベルを標準的な熱転写設備を用いて転写することである。この技術では、減圧金属化アルミニウム箔層の上に保護マスクが印刷される。保護マスクは、印の金属化部分の所望の形状で箔上に印刷される。次いで、箔層は、フィルム全体に亘って腐食性ペーストを印刷し、フィルムを水浴に通してアルミニウム層をフィルムから除去することによって脱金属化される。この手法では、アルミニウム箔層は保護マスクによって被覆された領域内に残る。次いで、印の非金属部分がラベルのアルミニウム箔層が除去された領域内に印刷され、そしてラベルは、従来の適用方法を用いて基材に適用される。この技術は、先の技術と異なり1工程プロセスにて基材にラベルを適用することが可能であるが、腐食性洗浄剤の使用が必須であり、そして該腐食性洗浄剤による排水を処理するために追加的なコストが必要であることにより、この技術の使用はより望ましくないものとなっている。
【0007】
従って、ラベルの非金属インク部の転写とともにラベルの金属仕上げ部の選択的な転写を可能にする、効率的で高品質の選択的に金属化された熱転写ラベルのニーズが存在する。望ましくは、このようなラベルは多くの環境に対して化学的に耐性である。より望ましくは、このようなラベルは、腐食性洗浄剤を使用することなく製造される。最も望ましくは、このようなラベルは単一工程適用プロセスにて基材に適用され、ラベルの金属部分のクリーンで鮮明な転写をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
選択的に金属化された熱転写ラベルは、好ましい態様において、キャリア層および該キャリア層に適用されたリリース層を含む支持部、ならびに、該リリース層に適用された保護層、該保護層に適用された金属化性層、該金属化性層に適用された金属層、該金属層に適用され、金属層および所望の基材の両者に接着するように構成される金属転写接着剤層、および該金属層に適用され、所望の基材に接着するが金属層には接着しないように構成される非金属転写インク層を含む転写部を含む。
【0009】
好ましくは、保護層および金属化性層は、別個の層で同じ材料から形成される。金属化性層および/または金属層においては、印刷または型押し等によってホログラフィー像を形成することができる。
【0010】
基材にラベルを転写するために従来の熱転写設備を用いてポリエステルフィルムに熱および圧力が適用される際には、金属転写接着剤が金属層および基材の両者に接着する一方、非転写インク層は基材のみに接着する。よって、金属転写接着剤と接触する金属層の「選択された」部分のみが金属化性層および保護層の対応する部分とともに基材に転写され、一方非転写インク部は、金属層、金属化性層および保護層の対応する部分を伴わずに基材に転写される。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲とともに以下の詳細な説明および図面から明白となろう。
【0012】
本発明の利益および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を検討することで当業者により容易に明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の原理を採用する選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図であり、ラベルはキャリア上またはウエブ上に形成されるものとして示している。
【図2】図2は、基材に適用されたものとしての、図1に示す選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図である。
【図3】図3は、保護層および金属化性層が同じ材料から形成されている、キャリア上またはウエブ上の選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図である。
【図4】図4は、基材に適用されたものとしての、図3の選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図である。
【図5】図5は、保護層および金属化性層が同じ材料から形成されており、そして金属化性層および金属層において形成されるホログラフィー像が示されている、キャリア上またはウエブ上の選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図である。
【図6】図6は、基材に適用されたものとしての、図5の選択的に金属化された熱転写ラベルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は種々の形態の態様を許容するが、本開示は発明の例示であって示される特定の態様への発明の限定を意図しないと解釈すべきであるという理解で、幾つかの好ましい態様が図面に示され、そして以下に記載される。
【0015】
明細書の本項の表題、すなわち「発明の詳細な説明」は米国特許商標庁の要求によるものであって、本明細書に開示される主題を限定する意味を含むものでなく、またそれを暗示するものでもないことを更に理解すべきである。
【0016】
図1を参照し、本発明に係る選択的に金属化された熱転写ラベル10を示す。好ましい態様において、ラベル10は、支持部1および転写部2を含む。支持部1はキャリア層3およびキャリア層3に適用されたリリース層4を含む。転写部2は、リリース層4に適用された保護層5および保護層5に適用された金属化性層6を含む。転写部2は、金属化性層6に適用された金属層7、ならびに金属層7に適用された金属転写接着剤層8および非金属転写インク層9を更に含む。
【0017】
キャリア層3は、紙またはプラスチックフィルムであり、先行技術において周知のものである。しかし、少なくともポリエチレンおよび非配向ポリプロピレンのような幾つかの他のプラスチック材料と比べて、ポリエステルが、より好ましい機械的特性を有し、後続の層を印刷するためのより好適な表面を与えるという理由で、ポリエステルフィルムが好ましい。加えて、ポリエチレンと異なり、ポリエステルは、典型的には基材へのラベル10の転写中に直面するある温度で軟化して粘着性になる傾向がない。
【0018】
好ましい態様において、キャリア層3は、当業界で周知の透明度92ゲージ(gauge)(92ga)の非処理包装グレードポリエステルフィルムである。容易に理解できるように、キャリア層3に透明材料を使用することの1つの利益は、所望の場合、キャリア層3を介して層群を見ることによってラベル10の後に印刷された層の品質を(典型的には不透明である金属層7の適用まで)検査できることである。
【0019】
リリース層4は、好ましくは、ラベル10の転写部2からクリーンに分離され、基材に転写するラベル10の他の層の部分とともに、(目視で)何ら視覚的に認識できる程度には基材に転写されないリリース物質である。そのために、リリース層4は、熱および圧力の下で基材にラベル10が適用される際に、保護層5がリリース層4に接着するよりも強くキャリア層3に接着するように構成する。好ましくは、リリース層4は、キャリア層3が透明であるのと同じ理由で透明である。
【0020】
好ましい態様において、リリース層4の組成物は:約0.5質量%のセルロースアセテートレジン(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)(約4.0質量%のジアセトンアルコール(Astro Chemicals,Inc.,Springfield,MA)の溶媒混合物中に溶解したもの);47.5質量%の酢酸エチル(Ashland Distribution,Dublin,OH);および48.0質量%のメチルエチルケトン(MEK)(Ashland Distribution,Dublin,OH)を含む。上記組成物は、固形分約0.5%および揮発性有機化合物(VOC)約99.5%を含む。
【0021】
リリース層4を形成するために、好ましい態様において、360Qシリンダー(Pamarco Technologies,Inc.,Roselle,NJ)を用いて直接グラビア印刷によって上記組成物をキャリア層3上に堆積させる。キャリア層3上へのリリース層組成物の堆積後、その非揮発性成分のみを残してVOCを蒸発させてリリース層4を形成する。好ましい態様において、リリース層4のドライコート質量は0.05ポンド/3000平方フィート未満である。
【0022】
保護層5は、典型的には、ラベル10の転写部2に対して、これが基材に適用された後に化学耐性および環境耐性の外表面を与えるように設計されたラッカー物質である。種々のこのようなラッカー物質は先行技術において周知である。
【0023】
好ましい態様において、保護層5は、熱および圧力の下でラベル10が基材に適用される際に、金属化性層6が保護層5に接着するよりも弱くリリース層4に接着するように構成する。加えて、保護層5は、ラベル10が基材に適用された際に金属層7が視認できるように好ましくは透明である。
【0024】
好ましくは、保護層5の組成物は:約36.0質量%のEPON 1001−B−80レジン溶液(約80質量%のフェノール,4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス−,ポリマー,2,2’−[(1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス[オキシラン]を有するもの、および約20質量%のMEKから構成される)(Hexion Specialty Chemicals,Inc.Houston,TX);約34.5質量%のMEK(Ashland Distribution,Dublin,OH);約22.5質量%のChempol CCP 18−3984ヒドロキシル官能性アクリルポリオール(CCP Polymers,Kansas City,MO);約3.0質量%のCymel 303架橋剤(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);約1.6質量%のCycat 4040触媒(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);約1.0質量%のBYK−310シリコーン表面添加剤(BYK−Chemie GmbH,Wesel,Germany);約1.0質量%のSlipayd SL177スリップ剤(TMC Materials,Worcester,MA);約0.2質量%の、50.0質量%イソプロパノール99%(Ashland Distribution,Dublin,OH)および50.0質量%リン酸85%(Hubbard Hall,Waterbury,CT)の混合物;ならびに約0.1質量%のBentone 34レオロジー添加剤(Rheox,Inc.,Heightstown,NJ)を含む。上記組成物は、固形分約49.0質量%およびVOC約51.0質量%を含む。
【0025】
好ましい態様において、保護層5を形成するために、360Qシリンダー(Pamarco Technologies,Inc.,Roselle,NJ)を用い直接グラビア印刷によってリリース層4上に上記組成物を堆積させる。好ましい態様において、リリース層4上への保護層組成物の堆積後、温度300°F超で保護層5を硬化させ、VOCを蒸発させてその硬化した非揮発性成分のみを残して保護層5を形成する。好ましい態様において、保護層5のドライコート質量は約1.00ポンド/3000平方フィートである。
【0026】
本発明の幾つかの態様において、特定用途において保護層5の更なる化学耐性および環境耐性が必要でない場合には保護層5を省略してもよい。
【0027】
金属化性層6は、保護層5に接着し、そしてこれに金属層7を容易に適用できる組成および表面を与える。好ましい態様において、熱および圧力の下でラベル10が基材に適用される際、少なくとも金属層7が金属化性層6に接着するのと同程度に強く金属化性層6が保護層5に接着する。
【0028】
好ましくは、金属化性層6は、保護層5のように透明で、ラベル10の基材への適用時に金属層7が視認できる。しかし、本発明の幾つかの態様において、金属化性層6は着色していてもよい。金属化性層6を着色することにより、ラベル10が基材に適用された後に金属化性層6を通して金属層7を見る際に、金属層7の外見色が変わることができる。例えば、金属層7が元の金属性の銀色(好ましい態様におけるものとして、金属層7がアルミニウムから構成される場合等)を有する場合、着色する金属化性層6は、金属性の金、青、緑、赤または他の所望の金属色を有すると思われる金属層7を形成できる。金属化性層6を着色するのに使用できる混合可能な顔料および色素は当業者に公知であり、そして自動車グレード顔料分散液(UV安定性が必要な用途において)および溶媒溶解性色素(UV安定性が必要でない用途において)が挙げられる。
【0029】
好ましい態様において、金属化性層6の組成物は:約65.5質量%のMEK溶媒(Ashland Distribution,Dublin,OH);約33.0質量%のクリアベース(約48.5質量%のニトロセルロース溶液(101078(390−C5−175),Akzo Nobel,Arnhem,Amsterdamより)から構成される);約13.0質量%の酢酸エチル99%エステル(Ashland Distribution,Dublin,OH);約10.0質量%のCymel 370レジン架橋剤(Cytec Industries,Inc.,West Paterson,NJ);約10.0質量%のEpon 828液体エポキシレジン(Hexion Specialty Chemicals,Inc.,Houston,TX);約5.0質量%のMEK溶媒(Ashland Distribution,Dublin,OH);約5.0質量%のCymel U−80レジン(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);約4.5質量%のトルエン溶媒(Ashland Distribution,Dublin,OH);約2.0質量%のUvinul N−3035(N−35)シアノアクリレート光安定剤(BASF Corporation,Florham Park,NJ)および約2.00質量%のUvinul 3039(N−539)シアノアクリレート光安定剤(BASF Corporation,Florham Park,NJ);約1.0質量%のCycat 4040触媒(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);ならびに約0.3質量%の、50質量%イソプロパノール99%(Ashland Distribution,Dublin,OH)および50.0質量%リン酸85%(Hubbard Hall,Waterbury,CT)の混合物;を含む。上記組成物は、固形分約15.0質量%およびVOC約85.0質量%を含む。
【0030】
好ましい態様において、金属化性層6を形成するために、360Qシリンダー(Pamarco Technologies,Inc.,Roselle,NJ)を用いて直接グラビア印刷によって保護層5上に上記組成物を堆積させる。好ましい態様において、保護層5上への金属化性層組成物の堆積後、金属化性層6を温度300°F超で硬化させ、VOCを蒸発させてその硬化した非揮発性成分のみを残して金属化性層6を形成する。好ましい態様において、金属化性層6のドライコート質量は約0.30ポンド/3000平方フィートである。
【0031】
好ましい態様における金属層7はアルミニウムから構成される。金属層7を形成するために、先行技術において周知の標準的な耐性金属化技術によって金属化性層6上にアルミニウムを堆積させる。好ましい態様において、光学密度約2.2から約2.5の範囲まで金属層7を堆積させる。加えて、金属層7は、熱および圧力の下で基材にラベル10が適用される際に少なくとも金属転写接着剤層8が金属層7に接着するのと同程度に強く金属化性層6に接着するように構成する。
【0032】
金属転写接着剤層8は、金属層7と特定基材(これにラベル10が適用されることになる)との両者に接着するように構成する(好ましい態様のラベル10の場合、基材としてはPETG化粧瓶および塗装されたグラファイトゴルフクラブシャフトが挙げられる)。更に、金属転写接着剤層8は、好ましくは、熱および圧力の下で基材にラベル10が適用される際に、少なくとも接着剤層8が特定基材(これにラベル10が適用されることになる)(PETGおよびグラファイトゴルフクラブシャフト)に接着するのと同程度に強く金属層7に接着する。
【0033】
好ましい態様において、金属転写接着剤層8の組成物は:約50.2質量%のUCAR VMCA溶液ビニルレジン(The Dow Chemical Company,Midland,MI);約14.4質量%のAdhesion Resin LTH(Degussa Coatings and Colorants,Parsippany,NJ);約11.0質量%のSST−3微細化Teflon(登録商標)(Shamrock Technologies,Inc.,Newark,NJ);約12.8質量%のヒュームドシリカ(Cabot Corporation,Boston,MA);約10.38質量%のS160可塑剤(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN);および約1.2質量%のFoamex N消泡剤(Tego Chemie Service GmbH,Essen,Germany);から構成される。上記組成物は、固形分約37.5質量%およびVOC約62.5質量%を含有する。
【0034】
好ましい態様において、金属転写接着剤層8を形成するために、メッシュスクリーン,好ましくはポリエステルメッシュスクリーン(1インチ当たり380ラインを有するもの)を通して金属層7の選択された部分の上に上記組成物をスクリーン印刷し、そして乾燥させる。好ましい態様において、金属転写接着剤層8の乾燥厚みは約0.0001”から0.0003”であるが、好ましくは約0.0001”である。
【0035】
非金属転写インク層9は、熱および圧力の下で基材にラベル10が適用される際に、金属層7に接着しないが特定基材(これにラベル10が適用されることになる)(好ましい態様のラベル10の場合、基材としてはPETG化粧瓶および塗装されたグラファイトゴルフクラブシャフトが挙げられる)のみに接着するように構成する。
【0036】
好ましい態様において、非金属転写インク層9の組成物は:約21.6質量%のUCAR VYHD溶液ビニルレジン(The Dow Chemical Company,Midland,MI);約4.6質量%のS160可塑剤(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN);約0.3質量%のFoamex N消泡剤(Tego Chemie Service GmbH,Essen,Germany);約1.4質量%のCab−O−Sil シリカエアロゲル(Cabot Corporation,Boston,MA);約17.5質量%の顔料;約47.2質量%のシクロヘキサノン溶媒(多くの供給元から市販で入手可能);約3.4質量%の二塩基エステル溶媒(多くの供給元から市販で入手可能);および約4.1質量%のAromatic 150溶媒(ExxonMobil Chemicals,Houston,TX);から構成される。上記組成物は固形分約45.4質量%およびVOC約54.6質量%を含有する。
【0037】
非金属転写インク層9の組成物中に使用される顔料が、非金属転写インク層9に所望される特定の1種または複数種の色に応じて変動できることが理解されよう。例えば、顔料は任意の数の有機および無機の顔料,例えば:二酸化チタン白色顔料(多くの供給元から市販で入手可能),Irgazin Red DPP−BO,Cromophtal Scarlet RN,Irgalite Yellow LBGおよびIrgalite Blue LGLD着色有機顔料(すべてCiba Specialty Chemicals,Tarrytown,NYから市販で入手可能),TiPure R960白色無機顔料(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DE),Monarch M120黒色無機顔料(Cabot Corporation,Boston,MA)ならびにBayferrox 318M酸化鉄黒色顔料(Bayer AG,Germany)の無数の組合せを含むことができる。顔料の先の列挙は、非金属転写インク層9の具体的な所望の色を生じさせるために使用できる顔料のわずかな部分を示すに過ぎず、そして多くの種々の顔料および顔料の組合せが可能であり、その全てが本発明の範囲に入ることが当業者に理解されよう。
【0038】
好ましい態様において、非金属転写インク層9を形成するために、上に金属転写接着剤層8が印刷される金属層7の部分とは異なる金属層7の部分の上に、上記組成物をスクリーン印刷する。非金属転写インク層9は、好ましくは、1インチ当たり270ラインのステンレススチールメッシュスクリーンを介してスクリーン印刷し、そして乾燥させる。好ましい態様において、非金属転写インク層9の乾燥厚みは、約0.0001”から0.0003”であるが、好ましくは約0.0002”である。
【0039】
ラベル10を基材に適用するために、従来の熱転写設備,例えば好ましい態様において(PETG瓶にラベル10を適用するための)Stamprite熱スタンプ機または(塗装されたグラファイトゴルフシャフトにラベル10を適用するための)USIゴルフシャフト機を用いて、キャリア層3に熱および圧力を適用する。
【0040】
図2に示すように、ラベル10のキャリア層3に熱および圧力を適用して基材11にラベル10を適用する際、非金属転写インク層9は、基材11のみに接着して金属層7には接着しない。しかし、金属転写接着剤層8は、基材11と金属層7との両者に接着する。
【0041】
金属転写接着剤層8は保護層5がリリース層4に接着するよりも強く基材11に接着するため、そして、保護層5、金属化性層6、金属層7および金属転写接着剤層8が、互いに、保護層5がリリース層4に接着するよりも強く接着するため、ラベル10への熱および圧力の適用後に(リリース層4と保護層5との界面で)支持部1が転写部2から離れるにつれて、金属層7のうち金属転写接着剤層8と接触する部分のみ(ならびに金属化性層6および保護層5の相補部分)が基材11に転写される。非金属転写インク層9は金属層7に接着しないため、金属層7、金属化性層6および保護層5の残りの部分(金属転写接着剤層8の外の部分)は基材11に転写されない。
【0042】
キャリア層3、リリース層4、保護層5、金属化性層6、金属層7、金属転写接着剤層8および非金属転写インク層9の特定組成は、基材11(これにラベル10が適用されることになる)の組成および金属層7の所望の色に応じて、非金属転写インク層9が基材11に接着するが金属層7には接着せず、保護層5がリリース層4に接着するよりも強く金属転写接着剤層8が基材11に接着し、そして保護層5、金属化性層6、金属層7および金属転写接着剤層8が互いに、保護層5がリリース層4に接着するよりも強く接着する限りにおいて、本明細書に開示する具体的組成から変動できることを理解すべきである。
【0043】
例えば、金属転写接着剤層8の組成物は、アルミニウム(または金属層7のために選ばれる任意の他の金属)および特定基材に接着する任意の数の塩基性レジンを基にすることができる。同様に、非金属転写インク層9の組成物は、アルミニウム(または金属層7のために選ばれる他の金属)に接着しないが特定基材には接着する任意の数の塩基性レジンを基にすることができる。
【0044】
一般論において、殆どのビニル(VMCA以外)、アクリル、エポキシ、フェノキシおよび塩素化ポリオレフィン(CPO)系レジンは、金属層7に接着しないが幅広い基材に接着する。よって、非金属転写インク層9はこのようなレジンから構成されることができる。例えば、好ましい態様において、PETGおよび塗装されたグラファイトに加えて、非金属転写インク層9のVYHD系組成物を用い、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチック、ポリカーボネート(PC)プラスチック、スチレンプラスチックおよびアクリルプラスチック等の他の基材にラベル10を適用できる。
【0045】
しかし、ポリプロピレンまたは熱可塑性オレフィン(TPO)基材にラベル10を適用することが所望される場合、例えば、金属転写接着層8の組成物は、VCMAに代えて、塩素化ポリオレフィン系レジン(金属層7とポリプロピレンおよびTPOの基材との両者に接着する、Eastman CPO 343−1等)を基にすることができ、そして非金属転写インク層9の組成物は、VYHDに代えて、異なる塩素化ポリオレフィン系レジン(金属層7に接着しないがポリプロピレンおよびTPOの基材には接着する、Eastman CPO 515−2等)を基にすることができる。
【0046】
特定基材(これにラベル10が適用されることになる)の組成に応じて使用できる、キャリア層3、リリース層4、保護層5、金属化性層6、金属層7、金属転写接着剤層8および非金属転写インク層9の種々の組成は当業者には公知であろう。全てのこのような種々の組成は本発明の範囲に入ると解釈されよう。
【0047】
ラベル110の他の態様においては、図3および4に示すように、保護層105aおよび金属化性層105bが同じ材料または配合の2つの別個の層である。保護層105aはリリース層104に適用され、そして金属化性層105bは保護層105aに適用される。この構成が転写時に優れたグラフィック解像度を与えることを見出した。実際、0.006インチの小ささの線太さをクリーンにかつ埋まってしまうことなく転写できることが注目されてきた。例えば、小文字の「o」を含む文が、他の選択的脱金属化プロセスと比べてクリーンかつ明瞭に、埋まっている円ではなく「o」の中央が開いているように見えるように転写される。
【0048】
該組成の各層は:約14.8質量%のMEK溶媒(Ashland Distribution,Dublin,OH);約43.0質量%のトルエン溶媒(Ashland Distribution,Dublin,OH);約26質量%のパラロイドA−646レジン(約45質量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)および約55質量%のMEKから構成される)(Rohm and Haas company,Philadelphia,PA);約14.36質量%のクリアベース(約48.5質量%ニトロセルロース溶液(101078 (390−C5−175) Akzo Nobel,Arnhem,Amsterdamより)から構成される;約1.80質量%のCymel 303架橋剤(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);ならびに約0.04質量%のCycat 296−9触媒(Cytec Industries Inc.,West Paterson,NJ);から構成される。
【0049】
残りの層、すなわちキャリア層3、リリース層4、金属層7、金属転写接着剤層8および非金属転写インク層9は、上で開示した第1のラベル10の態様のものと全て同じまたは類似の材料のものである。保護層105aはドライコート質量約0.40ポンド/3000平方フィートから約0.60ポンド/3000平方フィートを有し、そして好ましくはドライコート質量は約0.50ポンド/3000平方フィートである。金属化性層105bは、ドライコート質量約0.40ポンド/3000平方フィートから約0.60ポンド/3000平方フィートであり、そして好ましくはドライコート質量が約0.50ポンド/3000平方フィートである。
【0050】
ここで図6および7を参照し、ラベル210はホログラフィー像またはホログラフィー部220を含むことができることを見出した。このようなラベルにおいて、ホログラフィー像は、金属化性層205b/206または金属層207の中に形成できる。ラベルの本発明の形状(図6および7に示す)において、保護コート205aおよび金属化性層205bは同じ材料または配合の2つの別個の層であり、そして金属層207が金属化性層205bの上に適用される。金属層207は、当業者に理解できる方法を用いて適用される減圧金属化アルミニウム層207であることができる。
【0051】
いずれの構成においても、熱および圧力がキャリア層(フィルム)3に適用される際、転写部2,202が基材11に転写する。接着剤8は金属化性層6,105b,205bおよび保護層5,105a,205aとともに金属層7,207に接着する。
【0052】
上記のように、ホログラフィー部または像220は、金属化性層205bまたは金属層207のいずれかにおいて型押し等によって形成できる。非箔転写インク9は、基材11のみに接着して金属層207に接着しないように配合する。このように、この構成によってラベル210の金属ホログラフィー部220を非金属色とともに(非箔インク9から)選択的に転写することが可能になる。ホログラフィー像はラベル210内に作製でき、そして金属化性層205bおよび/または金属層207のいずれかにおいて、当業者によって理解できる方法によって形成(例えば印刷、型押し等)できる。
【0053】
本開示において、用語“a”または“an”は単数および複数の両者を包含すると解釈すべきである。逆に、複数の事項への言及はいずれも必要に応じて単数を包含するものとする。
【0054】
本明細書に引用する全ての特許は、本開示の記載において具体的にそのようになされているか否かに関わらず参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
上記から、本発明の新規な概念の真の精神および範囲から逸脱することなく多くの改変および変形を達成できることが認められよう。説明した具体的な態様に関しては何らの制限も意図されずまたは暗示されるものでないことを理解すべきである。開示は、添付の特許請求の範囲によって特許請求の範囲の範囲内の全てのこのような改変に及ぶことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア層;
該キャリア層に適用されたリリース層;
該リリース層に適用された保護層;
該保護層に適用された金属化性層;
該金属化性層に適用された金属層;
該金属層の第1の部分に適用された金属転写接着剤層;および
該金属層の第2の部分に適用された非金属転写層;
を含み、該金属転写接着剤層が、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着するように構成されており、そして、該非金属転写層が、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着しないように構成されている、基材に適用するための選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項2】
キャリア層がポリエステルフィルムを含む、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項3】
リリース層が、セルロースアセテートレジンを含む、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項4】
保護層が、ドライコート質量約0.50ポンド/3000平方フィートを有する、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項5】
金属化性層が保護層と同じ材料から形成されており、そして金属化性層および保護層が別個の層として形成されている、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項6】
金属化性層および保護層がニトロセルロース系材料から形成されている、請求項5に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項7】
ニトロセルロース系材料が、メチルエチルケトンおよびトルエンのうち一方または両方の溶媒中にある、請求項6に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項8】
金属化性層が着色されている、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項9】
金属化性層が、ドライコート質量約0.50ポンド/3000平方フィートを有する、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項10】
金属層がアルミニウムを含む、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項11】
金属転写接着剤層がビニル系レジンから構成されている、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項12】
非金属転写層が、ビニル系レジンを有するインクを含む、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項13】
金属化性層および金属層のうち一方または両方にホログラフィー像が形成されている、請求項1に記載の選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項14】
基材の第1の部分の上に配置された非金属転写インク層;
基材の第2の部分の上に配置された金属転写接着剤層;
該金属転写接着剤層の上に配置された金属層;
該金属層の上に配置された金属化性層;および
該金属化性層の上に配置された保護層;
を含む、熱および圧力を用いて基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項15】
金属化性層が保護層と同じ材料から形成されており、そして金属化性層および保護層が別個の層として形成されている、請求項14に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項16】
金属化性層および保護層がニトロセルロース系材料から形成されている、請求項15に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項17】
ニトロセルロース系材料が、メチルエチルケトンおよびトルエンのうち一方または両方の溶媒中にある、請求項16に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項18】
金属化性層および金属層のうち一方または両方にホログラフィー像が形成されている、請求項14に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項19】
キャリア層であってその上にリリース層を有するものを準備する工程;
該リリース層に保護層を適用する工程;
該保護層に金属化性層を適用する工程;
該金属化性層に金属層を適用する工程;
該金属層の第1の部分に金属転写接着剤を適用する工程;および
該金属層の第2の部分に非金属転写層を適用する工程;
を含み、該金属転写接着剤層を、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着するように構成し、そして、該非金属転写層を、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着しないように構成する、選択的に金属化された熱転写ラベルの製造方法。
【請求項20】
金属化性層を保護層と同じ材料から形成し、そして金属化性層および保護層を別個の層として適用する、請求項19に記載の選択的に金属化された熱転写ラベルの製造方法。
【請求項21】
金属化性層および保護層をニトロセルロース系材料から形成する、請求項20に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項22】
ニトロセルロース系材料が、メチルエチルケトンおよびトルエンのうち一方または両方の溶媒中にある、請求項21に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項23】
金属化性層および金属層のうち一方または両方にホログラフィー像を形成する、請求項19に記載の、基材に適用される選択的に金属化された熱転写ラベル。
【請求項24】
キャリア層、該キャリア層に適用されたリリース層、該リリース層に適用された保護層、該保護層に適用された金属化性層、該金属化性層に適用された金属層、該金属層の第1の部分に適用された金属転写接着剤層、および該金属層の第2の部分に適用された非金属転写層を有する、選択的に金属化された熱転写ラベルを準備する工程であって、金属転写接着剤層を、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着するように構成し、そして、該非金属転写層を、ラベルへの熱および圧力の適用時に金属層に接着しないように構成する工程;
基材を準備する工程;
該基材上に該ラベルを配置する工程;
該ラベルに熱および圧力を適用する工程;ならびに
キャリア層、リリース層の少なくとも一部、金属化性層の少なくとも一部、保護層の少なくとも一部、金属化性層の少なくとも一部および金属層の少なくとも一部を除去する工程;
を含む、選択的に金属化された熱転写ラベルを基材に適用する方法。
【請求項25】
金属化性層を保護層と同じ材料から形成し、そして金属化性層および保護層を別個の層として適用する、選択的に金属化された熱転写ラベルを基材に適用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502488(P2010−502488A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527399(P2009−527399)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/019387
【国際公開番号】WO2008/030486
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】