説明

選択的ブロードキャストのための無線ネットワークの構築方法

ZigBee(登録商標)無線標準規格を採用する無線システムを構築し操作するための方法が示される。該方法は、優位に、論理的に他の無線装置と結び付けられる無線装置のグループが、メッセージに対して低レイテンシで応答することを可能とする。前記方法は、生成され、論理的に結び付けられた装置へ発行されるグループ識別子を有し、該識別子の詳細は予めインストールされたバインディング・テーブルに備えられる。動作中、論理的に他の装置に結び付けられた装置からの無線メッセージは、装置連繋器によって受け取られ、該連繋器は、生成されたグループ識別子を有する該メッセージをブロードキャストする(100)。一致するグループ識別子を以前に受け取っていた装置だけが(140)、前記ブロードキャスト・メッセージに応答する(150)。ブロードキャストは受信応答されないので、高速なシステム応答が達成される。これは、ユーザが論理的に結び付けられた無線照明スイッチの操作におけるランプの迅速な動作を期待する照明利用において重要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内の装置が、ブロードキャスト・メッセージに対して選択的に応答することのできるような、無線ネットワークを構築するための方法に関する。本発明は、ZigBee(登録商標)無線標準規格を使用する無線装置への、特別な、しかし非排他的な、利用を有する。更に、前記装置は、メッセージへのタイムリーな応答が要求される照明装置において利用されるであろう。
【背景技術】
【0002】
IEEE及びジグビー・アライアンス・グループは、現在のところ、ISM周波数帯内の、868MHz、915MHz又は2.4GHzで動作するZigBee(IEEE802.15.4)として知られた、低消費電力、低価格のデジタル無線標準規格の標準化を進めている。標準規格策定者(www.ZigBee.com)は、試験及び制御から計測及び照明までの、ZigBeeの幅広い利用を想定している。一般に、マスタ−スレーブ又はスター型構成がピコネットを形成するために採用され、いくつかのピコネットは、マスタデバイスの無線スタックにおけるネットワーク層によって処理されるソースデバイスからデスティネーションデバイスへのメッセージのルーティングと共存しても良い。
【0003】
ZigBee標準規格は、装置の「ペアリング」又は「バインディング」を許容し、したがって、例えば、壁に取り付けられたZigBee無線モジュールを組み込んだ照明スイッチは、ZigBee無線モジュールを組み込んだ適切なランプにバインドされ得る。照明スイッチを操作するユーザは、該スイッチの無線モジュールに、マスタ無線装置又は照明スイッチ、いくつかのランプ、及びおそらく他の装置を有するピコネットを連繋する連繋器無線装置によって受け取られる無線メッセージを転送させる。連繋器は、そして、記憶された照明スイッチのアドレスに関連するデバイスアドレスのバインディング・テーブルを調べる。連繋器は、そして、メッセージを、例えば該メッセージを受け取ることで照明を点灯する、バインドされた装置(この例ではスイッチにバインドされたランプ)に送る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2001年4月19日に公開された、出願人の同時係属中のWO01/28156は、照明の文脈において、論理リンク、バインディング、又はペアリングを、より詳細に開示する。特に、バインディング又はペアリングテーブルは、一例では、セットアップモードにおいて、スイッチ及びランプの押しボタンの手動操作によって生成される。しかしながら、オフィス又は倉庫における照明装置においては、無線制御される照明ネットワークの中に非常に多くのランプが存在し、それらのいくつか又はほとんどは天井に備え付けられ、したがって、設置技術者にはアクセスしづらい。そのようなネットワークを構築する他の方法は、一時的に、技術者を、ネットワークに接続されたラップトップ又は他のコンピュータに結び付け、装置を発見し、そして手動でネットワークのバインディング・テーブルを構築することに、作業者を巻き込む。そのような設置は、専門的な構築の必要性のために時間を費やし、多くの設計を要求し、そしてエンドユーザにとって高価であると分かる。
【0005】
加えて、ランプが、制御メッセージを生じさせる無線ランプスイッチの無線範囲外となり得るので、いったん構築されると、妥当な領域を超えて展開され、かつ、おそらく、多くのピコネットを有するネットワークに関する問題が生じ得る。このような場合、無線装置のネットワーク層は、ピコネットを介して制御メッセージをデスティネーションデバイスに送るためのルーティング手法を採用する。ルーティングは、典型的には、大規模ネットワークにおいて多くのホッピングを含み、このため、メッセージの伝送に遅延を生じさせるであろう。
【0006】
ユーザ又は消費者は、「スイッチを操作すること」で、1つのランプ又は多くのランプが、ほとんど同時に動作することを期待するので、照明装置においては、そのような遅延、又はレイテンシを最小化することは、特に重要である。照明装置に対する厳しいレイテンシ要求が、典型的な場合には規定され、大規模ネットワーク又は密なネットワークにおける複数ホッピングルーティング手法に関する問題を生成する。(スイッチが複数のランプと組み合わされた場合に生じるであろうように)1対多メッセージが要求された場合は、全ての対象装置が受信を知らせるまで、制御メッセージは、各装置へ再発行されなければならないので、問題は更に複雑になる。
【0007】
したがって、レイテンシが減少するにもかかわらず、装置のグループの選択的動作を可能とするネットワークを構築するための方法を提供するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、設置の際に設定されるバインディング・テーブルからのデータが、グループ識別子を生成するために使用される。連繋器は、そして、次に、各識別されたバインドされた装置へグループ識別子を発行(ユニキャスト)する。
【0009】
メッセージのペイロードに、グループ識別子、及びコマンド又は制御データを有するメッセージは、レイテンシを削減するために、その後、全ての装置に対してブロードキャストされる、すなわち「氾濫」する(ブロードキャスト・メッセージは、双方向受信応答を全く要求しないため)。しかしながら、全ての連繋器装置が、ブロードキャスト・メッセージを再ブロードキャストすることによってブロードキャストに特定の方法で応答する一方で、先立ってグループ識別子を受け取った該連繋器装置は、ブロードキャスト・メッセージの中の制御データにも応答する。
【0010】
この故に、構築の際に設けられるバインディング情報は、ネットワークの選択的応答とともに、メッセージのブロードキャストを可能にするために、優位に使用される。
【0011】
ZigBeeの照明実施例において、照明無線ネットワークは、バッテリにより電源を供給されたスレーブ又は機能削減された照明スイッチ、及びコンセントから電源を供給されたマスタ又は連繋器照明器具(ランプ)を有する。連繋器照明器具は、無線範囲内(1メートルから20メートル程度)の照明スイッチからのメッセージを受信することにより、メッセージをブロードキャストし(すなわち、MACレイヤのデスティネーション識別子を0xFFFFに設定する)、メッセージの中に、その照明スイッチのグループ識別子を含む(すなわち、ネットワークレイヤ・ヘッダフィールドには、適切なグループ識別子が挿入される)。他の連繋器照明器具は、前記メッセージを受信し、それがブロードキャストであることに注目し、いかなるグループ識別子の存在及び値にも注目し、そして、メッセージを再ブロードキャストする。その連繋器装置/照明器具におけるアプリケーション・レイヤ・コードは、また、先立って記憶されたグループ識別子と、受信されたグループ識別子とをチェックし、一致が検出された場合のみ、照明器具を、メッセージ内のコマンドデータに応じることによって、操作する。
【0012】
更なる実施例において、ブロードキャスト・メッセージは、ZigBeeスキームの中では受信応答されないので、送信元の連繋器は、ブロードキャストに続いて、各バインドされた照明器具にメッセージをユニキャストする。これは、ブロードキャストが、無線周波数の干渉やシャドーイングのために、受信者の1つによって受け取られないという場合における、全ての意図された論理的にリンク及びバインドされたグループ内の受信者の動作を保証する。
【0013】
更なる実施例において、ブロードキャストは、また、各受信照明器具によってデクリメントされる有効時間カウンタ(TTLカウンタ:time to live counter)を有する。カウント1のブロードキャストを受け取る照明器具は、メッセージを再ブロードキャストしない。この実施例は、未だ、メッセージの迅速な展開及びグループターゲットが可能であるにもかかわらず、ブロードキャストが、特定の有効範囲内(例えば、会社建物における広い部屋)に制限されることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、ここで、例示としてのみ、添付した図面を参照しつつ、開示される。
【0015】
図は概略的であり、縮尺は正しくない、という点に留意されたい。これらの図の一部の相対的な寸法及び比率は、図面の明瞭性及び利便性の目的で、誇張され又は削減されている。同一の参照符号は、一般的に、変形された及び異なる実施例における、同一の又は類似の機構を参照するために使用される。
【0016】
図1は、照明又は照明器具の利用及び制御のために、ビルディングにおいて使用されるZigBee無線ネットワークの一部を図示する。ネットワークは、バッテリにより電源供給される無線ランプスイッチ10(SW1)、(SW2)、及びコンセントにより電源供給される無線照明器具L1からL10を採用する。照明器具は、それぞれ、メッセージが送信され受信され得る無線範囲を有する連繋(又は全機能)無線装置を有する。ZigBee無線標準規格を採用する本実施例において、前記範囲は、典型的には、半径10から30メートル程度を有するエリアをカバーするであろう。照明器具20(L1)の無線範囲は点線21によって、L5のものは点線29によって、L6のものは点線31によって、そしてL8のものは点線33によって、図に示される。明瞭性のために、装置L1からL10のいくつかのものだけの範囲が図に示されているということに留意されたい。図1の概略ダイアグラムは、したがって、広い倉庫に展開されたランプを表現しているであろうし、それらのいくつか(例えばL1,L3)は、互いの無線範囲に入っている。
【0017】
本実施例において、スイッチ装置SW2が装置L6によって連繋される一方で、ランプ装置L1はスイッチ装置SW1からのメッセージを連繋する。実際には、L1及びSW1は、L6とSW2とがそうであるように、マスタ/スレーブ ピコネットを形成する。他の連繋器装置は、各々、連繋器−連繋器間(すなわちクロスピコネット)メッセージ交換を可能にするZigBee標準規格によって、それら自身のそれぞれのピコネットを形成する。したがって、SW1によって発行される無線メッセージは、範囲内の他の連繋器ノード装置(例えばL3)へメッセージを転送し得るL1によって受け取られ、そして実行されるであろう。
【0018】
図2aは、照明バルブ20aに結合されたZigBee無線モジュール20の形態の、例示のネットワーク連繋器ノードL1を、より詳細に示す。図2bは、前記照明器具装置の一部の無線モジュール20を示す。前記モジュールは、アンテナ、及びマイクロコントローラ20c(μC)に結合されたトランシーバ20d(Tx/Rx)を有し、該マイクロコントローラは、フラッシュRAM20b(MEM)の形態のメモリ記憶に結合される。メモリは、ZigBee無線ソフトウェアスタック22を有するプログラムコードを記憶する。前記スタックは、最下層の物理レイヤ(PHYS)、その上の中間アクセス制御レイヤ(MAC)、その上のネットワークレイヤ(NWK)及び最上層のアプリケーションレイヤ(APP)である。
【0019】
NWK及びAPPレイヤが開発者によって規定され、顧客側において利用に先立って設置され得るのに対し、PHYS及びMACレイヤは、ZigBee準拠の無線モジュールL1からL10、SW1、SW2を具備する。本実施例では、(ZigBeeアライアンスによって規定された)照明装置コード及びプロファイルが提供される。また、直ぐに説明されることになるが、実行されるべき、グループ識別及び低レイテンシメッセージ転送を可能にするプログラムコードが提供される。
【0020】
図1に戻って、設置に際して、ユーザは、無線照明スイッチ装置10(SW1)が照明器具装置22(L2)、24(L4)、32(L8)、34(L9)、及び照明器具36(L10)を操作するために構築されるべきであることを要求したとする。設置技術者は、したがって、無線識別子L2、L4、L8、L9、及びL10を有する装置を、識別子SW1を有する装置に「バインド」しなければならない。(実際の装置識別子又は無線アドレスは、ZigBee標準規格においては、一意の64ビットIEEEアドレスとして規定されるが、簡潔及び例示のために、ここでは、L2,L4のように参照されるということに留意されたい。)
【0021】
これは、スイッチSW1を連繋する装置(L1)のメモリ20bにバインディング・テーブルを設定することによって達成される。本例に好適な装置L1に記憶された例示のバインディング・テーブルが、図3に示される。テーブル40は、スイッチ識別子(SW1)を有する第1カラム、及び該スイッチがバインドされるランプ装置アドレスを有する第2カラムを有する。
【0022】
テーブルの用意は、したがって、L1が、スイッチSW1からメッセージを受け取ること、「バインドされた」装置アドレスを検索すること、及び該メッセージを範囲内の(L1ピコネットのメンバであるかもしれないし、ないかもしれない)他の装置に転送すること、を可能にする。図1を参照すると、いわゆる当業者に公知のように、無線メッセージ内にデスティネーション・アドレス(L2)を含めることによって、L1は無線メッセージをL2に転送する。L3及びL4は、メッセージを「聞き」、該メッセージを無視するか、又はL2に転送することを試みるかのいずれかである。装置L1は、L2からの受信メッセージを受け取ることによって、L4のような、テーブル40において次にバインドされた装置にメッセージを目標付けるであろう。図1のネットワーク構成を考えるに、L8に到達するためのメッセージには、3ホップが、L9には4ホップが、L10には5ホップが要求される。したがって、発生(メッセージを送信するSW1)から応答(全てのバインドされたランプ照明器具)まで例えば250msという厳密なレイテンシ要求と比較した場合、受け入れ難い遅延が生じ得る。
【0023】
いわゆる当業者によって認識されるであろうように、照明又は他のセンサを想定した場合、様々なピコネット構成に散らばった、複数のランプ/センサ及びスイッチが存在するであろう。これらの当業者が認めるであろうように、バインドされたターゲットに到達するメッセージにおいて、レイテンシは、典型的には、ネットワークの大きさに関する指数法則のスケールで遅延する。したがって、各ターゲットへのメッセージの単純に繰り返されるネットワークルーティングは、広域ネットワークにおける装置利用の観点から、受け入れ難い遅延を招くであろう。
【0024】
そのような遅延を短縮させるための1つの方法は、元のメッセージを各意図された受信者にユニキャストするよりも、該元のメッセージをネットワーク中にブロードキャストすること、すなわち氾濫させることを有する。これは、無線メッセージ内に、該メッセージがブロードキャストであることを示すことを有する。これは、ZigBeeにおいては、メッセージのMACヘッダフィールド内のデスティネーション・アドレスを0xFFFF値に設定することによって達成される。そのようなブロードキャストは、典型的には、ZigBee標準規格において受信報告を要求せず、レイテンシを削減することを助ける。したがって、L1は、SW1からのメッセージを、範囲内のもの、L2,L3,L4にブロードキャストするであろう。データに応じた動作によって、これらの装置は、そして、メッセージを再ブロードキャストする。したがって、メッセージは、ネットワーク中にあふれる。しかしながら、ZigBee無線標準規格がブロードキャストのプロセスを有しているにもかかわらず、図1のネットワークへ、そのブロードキャスト処理を単純に適用することは、全てのランプ装置を点灯する(又は、もし点灯していれば消灯する)ことになるであろう。
【実施例1】
【0025】
したがって、現時点では、どの装置が応答すべきであるかをブロードキャスト・メッセージ内に示すことはできない。出願人は、これを解決するための効果的な方法を具現化する。設置の最中に戻り、バインディング・テーブル40(図3)は、技術者の設置及び構築作業の最中に、装置L1に提供される。
【0026】
更なる構築ステップにおいて、スイッチ1(SW1)にバインドされた装置のグループ(L2,L4,L8,L9,L10)を示す識別子が、この例では、装置L1のマイクロコントローラ及びプログラムコードによって生成される、ということが提案される。例えば、識別子は、簡潔に、最初に選択されたグループ番号、すなわち0、となり得るか、又はスイッチ装置「SW1」の実際の識別子になり得る。このグループ識別子は、そして、次に、装置L1によって、各バインドされた装置に送信(すなわちユニキャスト)され、各バインドされた装置は、該グループ識別子を受信することで、該識別子をメモリ20bに記憶し、該メッセージの受信を報告する。
【0027】
図4は、グループ識別子とともに使用するためのZigBee無線メッセージの構成を図示する。メッセージ50は、MACレイヤヘッダフィールドS[メッセージの開始]、LEN[メッセージ長]、FC[フレーム数]、及び識別子フィールド52DEST[メッセージのデスティネーション(又はターゲット)アドレス]、フィールド54SRC[メッセージのソース(送り側)アドレス]を有する。そして、グループ識別子が挿入されるであろうフィールド56、TTLカウンタが挿入されるであろうオプションフィールド58、及びコマンド又はメッセージのデータバイトのためのデータフィールド60が続く。
【0028】
図5は、選択された受信者へのグループ識別子を生成し提供するために、装置L1によって採用される処理ステップを図示する。処理は、技術者がバインディング・テーブルを装置に提供した後で、アプリケーション・レイヤ・コードによって起動される。ステップ70(CBT)において、装置L1のマイクロコントローラ20cは、記憶された20bバインディング・テーブル40のエントリをチェックし、エントリを検出することで、ステップ80へ進み、マイクロコントローラは、グループ識別子を生成する(G.G.ID)。この実施例において、識別子は、単純に、バインディング・テーブルにおけるアドレスエントリ「SW1」である。グループ識別子を生成したことにより、マイクロコントローラはステップ90を起動し、ここでグループ識別子に関連する各装置へのメッセージが生成され、送信される。したがって、フィールド52にデスティネーション・アドレス「L2」を有し、フィールド56にグループ識別子「SW1」を有するメッセージが生成され、装置L1によって送信される。メッセージを受信することで、受信側「L2」内のネットワークレイヤコードは、フィールド56からグループ識別子データ「SW1」を再生し、将来の使用のために該グループ識別子データをメモリ20bに記憶し、メッセージの受信を報告する。これは、装置L1のバインディング・テーブル40内にエントリがある各装置に対して、該装置L1によって繰り返される。したがって、ステップ90において、グループ識別子は、グループ識別子を記憶する各グループメンバにユニキャストされる。
【0029】
グループ識別子を備えることで、ネットワークは、図6に示されるような処理を行うことができ、ステップ100において、装置L1は、ユーザがスイッチを操作したということを示すスイッチSW1からメッセージを受け取る。装置L1は、バインディング・テーブルをチェックし、スイッチSW1にバインドされた1つより多くのエントリを検出することがブロードキャスト・メッセージ(B(M))を起動する。連繋器L1は、メッセージのデスティネーションフィールド52に、0xFFFFを挿入することにより、該メッセージがブロードキャスト・メッセージであることを示す。また、前記ブロードキャスト・メッセージのフィールド56に、該メッセージの送信側に関するグループ識別子「SW1」が挿入される。メッセージは、装置L1の送信機20dによって、無線で送信される。
【0030】
範囲内の装置は、続いて、ステップ110(Rx(M))において、ブロードキャスト・メッセージ受け取り、該受信装置のスタック22内のプログラムコードは、ステップ120において、該メッセージがブロードキャスト・メッセージであるか否かをチェックする(B)。そうである場合(適切なフィールド52における0xFFFFの存在によって示される)、前記装置は、経路130をスッテップ140へ進み、それによって、前記メッセージは、メッセージフィールド56におけるグループ識別子が検査される。メッセージがグループ識別子(例えば、今回の場合「SW1」)を有する場合、装置は、そのグループ識別子を、(もし存在するなら)該装置の以前に記憶されたグループ識別子と比較し、一致する場合は、処理フローは、処理ステップ150(PROC)に続く。このステップにおいて、装置は、メッセージコマンドデータ(フィールド60)をアプリケーションレイヤのプログラムコードに渡し、これは、例えば、ランプを点灯させ、最終的には、該装置は、ステップ160において、該メッセージを再ブロードキャストする(Re(B(M)))。
【0031】
ステップ120において、メッセージがブロードキャスト・メッセージでなく、該メッセージ内のデスティネーション・アドレスが受信装置のデスティネーション・アドレスでない場合、メッセージは他の装置へのユニキャストメッセージであり、受信装置は経路125をブロック127へ進み、メッセージは無視される。
【0032】
ステップ140において、メッセージがブロードキャストであるが、グループ識別子を含んでいない場合、フローは経路147を経由して続き、メッセージデータは再ブロードキャストされる。
【0033】
したがって、ZigBee無線標準規格内のブロードキャスト機構が、ブロードキャスト・メッセージに対する選択的応答を可能とするバインディングテーブルデータと共に、使用されるであろう。これは、照明のような低レイテンシ利用への典型的な利用を有し、そこではネットワークは広域に亘って設置され得、そこにおいてユーザはメッセージへのほとんど即座の応答を期待する。
【実施例2】
【0034】
他の実施例において、ブロードキャストの送信側は、ブロードキャストした後に、各バインドされた装置へ、さらなるメッセージをユニキャストしても良い。したがって、ブロードキャストを受け取らず又は応答しない、いかなるバインドされた装置も、自身に向けられた通常のメッセージを受け取るであろう。これは全ての意図された受信装置の動作を保証する手助けとなり、ユニキャストを受け取るそれらの装置は、もちろん、ブロードキャストに首尾よく応答した装置の後に動作するであろう。しかしながら、ランダムノイズ無線環境において、時折、ブロードキャストが少なくとも1つの装置によって受信されないことがあり得、この余分なステップは、スイッチングイベントというその特定の事例にとって、おそらく完全ではないが、ユーザに、システムが動作しているということを保証する。
【実施例3】
【0035】
更に他の実施例において、TTLカウンタデータは、ブロードキャストの誘起者によってブロードキャスト・メッセージ内に挿入され得る。ブロードキャストを受信する装置は、カウンタをチェックし、該カウンタを1減少させ、それを予め定められた閾値と比較し(例えばCOUNT>1?)、その比較結果に応じてメッセージをブロードキャストする。したがって、メッセージのホッピングの数は、恣意的に制限され得、それによって、効果的にブロードキャスト・グループメッセージの範囲を制限する。これは、不必要な無線トラフィックがない状態を保つ助けとなり、典型的には、既にメッセージを再ブロードキャストしたことを理解しない装置によって、繰り返し再ブロードキャストされることから、幾分ブロードキャストを助ける。
【0036】
上記において、ZigBee無線装置を採用するシステムが説明され、該システムは、ZigBee無線標準規格及び前述された方法に従って動作する。前記システム及び方法は、バインドデータが、バインドされた装置への選択的なブロードキャストを可能にするために再使用されるという、優位な構築ステップを可能にする。前述の実施例は照明システムを示すが、当業者は、低レイテンシな複数装置応答を要求する他の利用場面が本発明の観点を享受し得るということが分かる。
【0037】
更に、本発明の観点は、ZigBee無線標準規格を背景に示されているが、他の無線標準規格における利用、及び広域ネットワークにおけるネットワーク・レイテンシが課題である利用場面が、等しく享受する。加えて、ブロードキャストは連繋器から誘起されるとして示された。当業者は、前記装置に関連する生成されたグループ識別子、及びブロードキャスト・メッセージに該グループ識別子を挿入するためのプログラムコードが提供された、最初のリクエストを誘起する装置(照明スイッチSW1)それ自身が、ブロードキャストを発行するということを理解するであろう。
【0038】
本開示を読むことから、当業者にとって、他の変更が明らかとなろう。そのような変更は、低消費電力デジタル無線システムの設計、製造、展開、及び設定、それらの基幹施設及び構成部分において、既に知られた他の機構を有するであろうし、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、既にここで述べた機構の変わりに、又は該機構に加えて使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、照明装置に展開された無線ネットワークの図である。
【図2A】図2Aは、照明器具に適用された無線装置(L1)のブロック図である。
【図2B】図2Bは、照明器具に適用された無線装置(L1)のブロック図である。
【図3】図3は、装置L1によって記憶された例示のバインディング・テーブルである。
【図4】図4は、L1によって発行される、例示の無線メッセージである。
【図5】図5は、構築処理を具体的に示すフローチャートである。
【図6】図6は、以下の構成における、ネットワークブロードキャスト処理を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークにおいて、連繋器装置によってブロードキャストされるブロードキャスト・メッセージに選択的に応答するための無線装置のグループを構築するための方法において、
前記連繋器装置は、他の装置に論理的に結び付けられる識別された装置を示すバインディング・テーブルを記憶するものであって、
前記方法は、前記識別された装置のグループ識別子を生成し、ここで該識別された装置は、前記バインディング・テーブルに従って他の装置に論理的に結び付けられており、
前記生成されたグループ識別子を各識別された装置に転送し、
前記生成されたグループ識別子が各受信する識別された装置によって記憶される、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記構築に続き、前記他の装置の操作が、該他の装置から当該他の装置の連繋器装置へ送信されるべきコマンドデータを有する無線メッセージを生じさせ、
前記メッセージを受信することによって、前記連繋器装置が前記グループ識別子及び前記コマンドデータを含むブロードキャスト・メッセージを生成し、該メッセージをブロードキャストする、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
前記ブロードキャスト・メッセージを受け取る装置が、該ブロードキャストメッセージ内のコマンドデータに応答するか否かを決定するための少なくとも1つの要因として、該メッセージの前記グループ識別子と以前に記憶されたグループ識別子とをチェックする、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、
前記ブロードキャストに続き、前記連繋器装置が、ユニキャストされたメッセージの受信応答を行う前記グループ内の各メンバに、該メッセージをユニキャストする、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
前記受け取られたブロードキャスト・メッセージが、前記決定の後に該受信装置によって再ブロードキャストされる、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、
前記受け取られるブロードキャスト内に備えられたカウンタが該受信装置によってデクリメントされ、
前記メッセージの前記再ブロードキャストが、前記カウンタの前記デクリメントされた値と予め定められた閾値との比較に基づく、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記他の装置自身が、範囲内の別の装置へ、グループ識別子を有するメッセージをブロードキャストする、
無線装置のグループを構築するための方法。
【請求項8】
複数の無線装置を有し、
該無線装置のいくつかは、ピコネットを形成するために他の装置を連繋する連繋器装置であり、
前記ピコネットを有する無線ネットワークが形成され、
無線メッセージを有するネットワーク通信が、予め定められた無線標準規格にしたがって構成される無線システムであって、
少なくとも1つの連繋器装置が、
前記ネットワークの装置間の論理的な結びつきを示すバインディング・テーブルを記憶するための手段と、
前記論理的な結びつきに関するグループ識別子を生成するための手段と、
構築ステップにおいて、供給される前記グループ識別子をそれぞれ記憶する前記結び付けられた装置へ、該グループ識別子を供給するための手段と、
を有する無線システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線システムであって、
動作中において、前記グループ識別子をメッセージに挿入し、該メッセージを前記ネットワークにブロードキャストする前記連繋器装置によって、論理的に結び付けられた装置からのコマンドデータを有する無線メッセージが、受け取られる、
無線システム。
【請求項10】
請求項9記載の無線システムであって、
前記ブロードキャスト・メッセージを受け取る無線装置が、該メッセージの前記グループ識別子と、該無線装置の以前に記憶されたグループ識別子とを比較し、該グループ識別子比較に従って、該ブロードキャストメッセージ内のコマンドデータに応答する、
無線システム。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載のシステムで使用する連繋器無線装置であって、
該装置は、
前記ネットワークの装置間の論理的な結びつきを示すバインディング・テーブルを記憶するための手段と、
前記論理的な結びつきに関するグループ識別子を生成するための手段と、
前記グループ識別子を、前記結び付けられた装置に供給するための手段と、
後のブロードキャスト無線メッセージに前記グループ識別子を挿入するための手段と、
を有する連繋器無線装置。
【請求項12】
請求項8から10のいずれか一項に記載のシステムで使用する無線装置であって、
受け取ったグループ識別子を記憶するための手段と、
前記記憶されたグループ識別子と、後のブロードキャスト・メッセージに含まれるグループ識別子とを比較することによって、メッセージに応答するか否かを決定するための手段と、
を有する無線装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−527560(P2006−527560A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516522(P2006−516522)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001906
【国際公開番号】WO2004/109974
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】