説明

選択的水素化によるC4オレフィン混合物の製造方法及び該ガス流のメタセシス方法

【課題】メタセシス触媒をあまり失活させることなく、メタセシス反応に利用可能な高濃度の1−ブテンを含有するC4オレフィン混合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、100〜500ppmの1,3−ブタジエン及び10ppm未満の1,2−ジエンを含有するC4オレフィン混合物を提供する。本発明はまた、このC4オレフィン混合物の製造方法を提供し、2−ペンテン及び/又は3−へキセンを調製するメタセシス反応におけるC4オレフィン混合物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C4オレフィン混合物及びその製造方法に関する。また本発明は、メタセシス触媒を用いてこのC4オレフィン混合物のメタセシスを行って2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むオレフィン混合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンのメタセシスは、近年有機合成の分野において極めて重要な手段となっている。工業規模においてもいろいろな応用が見受けられ、その例としては、フィリップス社の2−ブテンのエテノリシス(エテンのメタセシス開裂)によるプロペンの製造方法や、シェル(SHOP)社のメタセシス反応を重要ステップとする内部オレフィンの製造方法があげられる。
【0003】
より最近の例としては、シクロオレフィンのエテノリシスによるα,ω−ジエンの合成があげられる(シェル社のFEAST法)。
【0004】
しかしながら、メタセシス反応の広い応用のうえでの障害となり、工業的な製造方法の開発あたり大きな影響を及ぼしている点がある。それは、他の工業的な触媒システムと比較して、メタセシス触媒の失活が比較的速いことである。使用されるメタセシス活性を示す遷移金属触媒が高価であることが多いため、例えば供給原料中の不純物による引き起こされる触媒の失活を、減らす又は抑えることが望ましい。
【0005】
メタセシス触媒の失活の原因については、過去に徹底的に議論されている。その例としては、非特許文献1が挙げられる。
【0006】
原理的には、二種の失活ルートが想定されている。一つはその触媒固有の不可避な失活ルートであり、他方は原料ガス流中の特定不純物により引き起こされる失活メカニズムである。これらの原料ガス流中の不純物は、可逆的に触媒に作用することもあれば、不可逆的な触媒毒となることもある。
【0007】
文献中では、特にイソブテン及び1,3−ブタジエンは失活性物質とされている。これらの化合物がカチオン性の機構によりオリゴマーを生成しやすく、生成したオリゴマーが拡散障壁として作用するからである。極性・塩基性成分もまた、重要な失活性物質とされている。この影響は既知であり、原料ガスを吸着により精製することで、例えば保護床(例えば、モレキュラーシーブ)を用いること、この影響を除くことができる。酸素含有化合物のメタセシス触媒への影響についての詳細な実験が、非特許文献2に記載されている。特に、ゼオライトあるいは酸化アルミニウムが、原料ガスの吸着による精製に使用可能である。
【0008】
アセチレン化合物や1,3−ジエンの影響も同様に重要であるとされている(特許文献1参照)。これらの成分はかなりの失活を引き起こすため、反応を経済的に進めるためには、何らかの対策を打つ必要がある。
【0009】
C4原料ガス中に存在する1,3−ジエン及びアセチレン化合物を処理するために選択的水素化を行うことが記されているが、これにより1−ブテンから2−ブテンへの異性化が進行する。このため、この方法では1−ブテンを高濃度に保ったまま1,2−ジエンを選択的に除去することはできない。しかしながら、メタセシス反応の目的が多量の3−へキセンの製造である場合、1−ブテンは必要である。特許文献2は、C4留分の選択的水素化の必要性について言及している。この出願書では、1,3−ブタジエンを0〜50ppmの濃度に減少させ、C−C二重結合の異性化を極度に抑えることのできる「低異性化」条件を示している。
【0010】
特許文献3には、メタセシスに用いるC4ガス流の好ましい前処理方法が記載されている。ここでは、1,3−ブタジエン及びアセチレン化合物の除去を、抽出及び/又は選択的水素化により行っている。特許文献3によれば、ジエン類合計の最大許容濃度は10ppm未満である。
【0011】
しかしながら、上述した特許文献2及び特許文献3に記載された前処理では、低濃度の失活性成分及び高濃度の1−ブテンを同時に含むガス流を得ることはできない。
【0012】
【特許文献1】EP742234A1
【特許文献2】WO03/070669A2
【特許文献3】DE10013253A1
【非特許文献1】J. Mol. Cat. 1991, 65, p.39〜 50 (Commereuc等)、Catalysis today 1999, 51, p.289〜299 (J. C. Mol)、及びJ. Mol. Cat. 1991, 65, p.219〜235 (J. C. Mol)
【非特許文献2】J. A. K. du Plissis, J. Mol. Cat. A: Chemical, 1989, 133, p.181〜186
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、メタセシス触媒をあまり失活させることなく、メタセシス反応に利用可能な高濃度の1−ブテンを含有するC4オレフィン混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、上記目的は、特に強力な失活性物質である1,2−ジエン類の濃度を少なくとも10ppmに低下させた、100〜500ppmの1,3−ブタジエンを含むC4オレフィン混合物により達成することができる。本発明により、1,2−ジエン類(例えば、プロパジエンまたは1,2−ブタジエン)のメタセシス触媒失活作用が、共役ジエン類(例えば、1,3−ブタジエン)又はアルキン類(例えば、1−ブチン)及びアルキネン(例えば、ブテニン)の効果を上回ることが明らかになった。
【0015】
したがって、本発明はC4オレフィン混合物を提供する。
【0016】
本発明によるC4オレフィン混合物は、1,3−ブタジエンを100〜500ppm、好ましくは110〜400ppm、特に好ましくは120〜300ppmの濃度で含み、またプロパジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエンまたは2,3−ペンタジエンなどの集積ジエン類を10ppm未満、好ましくは1〜10ppm、特に好ましくは2〜10ppmの濃度で含有する。
【0017】
ある特定の実施例においては、前記集積ジエンは1,2−ジエン類である。
【0018】
上記C4オレフィン混合物中の2−ブテンに対する1−ブテンの比は、好ましくは1.2〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.6である。C4オレフィン混合物中の1−ブテンの含有量は、混合物中に、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%である。
【0019】
本発明によるC4オレフィン混合物は、1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、イソブテン、イソブタンおよびn−ブタンを含む。
【0020】
本発明のC4オレフィン混合物は、スチームクラッカー由来の原料を、集積ジエンの含有量を10ppm未満にまで減少させ同時に1−ブテンの異性化をほんの少量に抑えることの可能な水素化の特定条件下で処理することで得ることができる。メタセシスによるC4オレフィンガス流の2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含む混合物への変換に特に好ましく用いられる原料ガス流が、このように製造される。
【0021】
したがって、本発明のC4オレフィン混合物は、スチームクラッカー排出ガスの選択的水素化により得ることができる。
【0022】
本発明はまた、スチームクラッカーからのC4ガス流を水素化することによるC4オレフィン混合物の製造方法を提供する。この水素化は、少なくとも二段の水素化段階により行なうことが好ましい。
【0023】
本発明の方法の好ましい実施様態においては、スチームクラッカーからのC4ガス流は、少なくとも二段階で水素化される。第1の段階においては、水素化金属として少なくとも1種の元素周期律表の第VIII族の金属を含み更に促進剤を酸化物担体上に含む触媒上で、このガス流が水素化される。なおこの触媒では、少なくとも80%の上記元素周期律表の第VIII族の金属が、触媒表面と、触媒表面から計算された触媒半径の80%以下となる侵入深さとの間の層に実質的に均一に分布しており、またその促進剤は実質的に触媒の全断面に均一に分布している。
【0024】
好ましくは、この触媒は2.5〜10mmの直径を有しており、少なくとも80%の元素周期律表の第VIII族の金属が、触媒表面と触媒表面から計算された1000μm以下の侵入深さとの間の層に実質的に均一に分布し、その促進剤は触媒の全断面にわたり実質的に均一に分布している。
【0025】
したがって、本発明は、シェル構造を形成する元素周期律表の第VIII族の金属と内部に完全に浸透した促進剤とを含む触媒を提供する。
【0026】
元素周期律表の族の名称は、CAS(ケミカルアブストラクトツサービス)の命名法に従っている。
【0027】
本発明に用いられる触媒の直径は2.5〜10mmである。好ましくは、本発明の触媒の直径が2.5〜5mmであり、特に好ましくは2.5〜3.5mmである。
【0028】
本発明による触媒では、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に好ましくは100%の上記元素周期律表の第VIII族の金属が、触媒表面と触媒表面から計算された1000μm以下の侵入深さとの間の層に実質的に均一に分布している。
【0029】
本発明による触媒は、例えば元素周期律表の第VIII族の金属(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt)を含む。本発明において好ましくは、この金属がパラジウムである。本発明による触媒は、さらに少なくとも一つ促進剤を含む。この促進剤は、例えば、元素周期律表の第VIII族の金属であってもよいし、第IB族や第IIB族の金属(Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg)であってもよい。好ましくは、本発明による触媒は、上記元素周期律表の第VIII族の金属に加えて、さらに元素周期律表の第IB族の少なくとも一つの金属含む。この場合、特に好ましいのは銀である。特に好ましくは、本発明による触媒は、パラジウム及び銀を含有する。
【0030】
本発明による触媒は、いかなる形状でもよく、例えば押出物、中空押出物、ペレット、輪、球形粒子あるいは球であってよい。本発明による触媒は、押出物の形状であることが好ましい。
【0031】
上記金属は、純粋な金属であってもよいし、化合物、例えば金属酸化物の形であってもよい。水素化の処理条件においては、これらは一般に金属の形で存在する。いかなる酸化物でも金属への転換は、水素化反応容器中あるいは容器外で公知の方法、例えば前還元により、水素化工程で触媒を使用する前に行うことができる。また、必要ならあるいは前還元された触媒の操作に好ましいなら、更に表面不活性化処理を行ってもよい。
【0032】
周期律表の第VIII族の金属触媒の含有量は、特にパラジウムの含有量は、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、特に好ましく少なくとも0.15重量%である。この含有量はまた、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.6重量%以下である。これより低含有量あるいは高含有量であってもよいが、その場合活性が低くなりすぎたり原料費が高価となるため、通常経済的に満足できるものではない。単一の水素化金属、特にパラジウムの使用が特に好ましい。
【0033】
元素周期律表の第VIII族の水素化金属と添加剤あるいはドーパントとの含有量の比は、個々の場合に応じて最適化される。促進剤、特に好ましくは銀に対する元素周期律表の第VIII族の金属、特に好ましくはパラジウムの原子比率は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは2〜7、特に好ましくは2.5〜6である。
【0034】
本発明による水素化触媒の酸化物担体は、好ましくは酸化アルミニウム、特に好ましくはδ−、θ−及びα−酸化アルミニウムの混合物である。この担体は、不可避不純物以外に、他の添加剤を含んでいてもよい。例えば、元素周期律表の第IIA、IIIB、IVB、IIIA及びIVA金属の酸化物のような他の無機酸化物が存在してもよく、特に、二酸化けい素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、及び酸化カルシウムが存在してもよい。担体中の酸化アルミニウム以外の酸化物の最大含有量は、実際に存在する酸化物により異なるが、構造中のどのような変化も大きなX線回折パターンの変化として現れるため、個々の場合に応じて水素化触媒のX線回折パターンを用いて決定すべきである。一般に、酸化アルミニウム以外のこのような酸化物の含有量は、50重量%未満、好ましくは30重量%未満、特に好ましくは10重量%未満である。酸化アルミニウムの純度は99%より高いことが好ましい。
【0035】
担体の調製には、適当なアルミニウム含有素材、好ましくはベーマイトを水、希酸や希塩基のようなペプタイザを用いて素練りすればよい。酸としては例えば、硝酸等の鉱酸やギ酸等の有機酸が用いられる。塩基としては、アンモニア等の無機塩基を用いることが好ましい。酸や塩基は通常水に溶解して用いられる。水あるいは希硝酸をペプタイザとして用いることが好ましい。ペプタイザの非水成分濃度は、一般的には0〜10重量%、好ましくは0〜7重量%,特に好ましくは0〜5重量%である。素練り後、担体を成形、乾燥、か焼する。
【0036】
ベーマイト(γ−AlO(OH))は、どこでも購入可能な商品ではあるが、実際に担体を調製する直前に、既知の方法によりアルミニウム塩溶液、例えば硝酸アルミニウム溶液を塩基性として沈殿を生成し、その沈殿物を単離、洗浄、乾燥、焼成して調整することもできる。ベーマイトは、粉末の形で使用することが好ましい。適当な市販ベーマイト末としては、例えばUOP社のバーサル(Versal(登録商標)250があげられる。ベーマイトをペプタイザとともに加湿し、例えばニーダ、ミキサーあるいはパン・ミルで激しく混合する。混合物が容易に成形可能となるまで素練りを続ける。次に、混合物を常法、例えばラム押出、スクリュー押出、錠剤成形あるいは凝集によって成形して、好ましい形の担体とする。いかなる既知の方法を成形に用いてもよい。必要ならあるいは好ましければ、通常の添加剤を用いてもよい。このような添加剤の例としては、押出成形助剤や錠剤成形助剤、例えばポリグリコール類やグラファイトがある。
【0037】
バーンアウト材のように焼成後の担体の細孔構造に予見可能な影響を及ぼす添加剤、例えばポリマー、繊維材料、木の実殻等の天然バーンアウト材、あるいは他の通常の添加剤を、成形前の担体原料組成物に混合して使用してもよい。ある特定の粒径分布をもつベーマイトを用いることが好ましく、また出来上りの担体が、総細孔体積の50〜90%が平均直径が0.01〜0.1μmの範囲の細孔であり総細孔体積の10〜50%が平均直径が0.1〜1μmの範囲の細孔である細孔分布となるようにバーンアウト材を添加することが好ましい。このために必要な方法は、当業界で公知である。
【0038】
成形に続いて、成形体を常法により、一般には60℃より高温、好ましくは80℃より高温、より好ましくは100℃より高温、特に好ましくは120〜300℃の範囲の温度で乾燥する。乾燥は、成形体中の水が実質的に完全に成形体から除かれるまで、通常数時間続けられる。乾燥時間は通常1〜30時間の範囲であるが、それは設定乾燥温度に依存し、温度が高ければ高いほど乾燥時間は短くなる。乾燥はまた、減圧にすることでさらに促進することができる。
【0039】
乾燥の後、成形体は焼成されて、最終の担体となる。焼成温度は、一般的には900〜1150℃の範囲、好ましくは1000〜1120℃の範囲、特に好ましくは1050〜1100℃の範囲である。焼成時間は、一般的には0.5〜5時間、好ましくは1〜4時間、特に好ましくは1.5〜3時間の範囲である。焼成は通例の炉、例えば回転式管状炉、トンネル釜、ベルト焼結炉あるいはマッフル炉で行われる。乾燥後、成形体を冷却せずに、そのままを焼成してもよい。
【0040】
本発明の触媒の比表面積(BET,Brunauer−Emmet−Teller、ドイツ工業規格DIN66131に従って、77Kでの窒素吸着により測定)は、20〜250m2/g、好ましくは50〜150m2/g、特に好ましくは60〜90m2/gである。既知の方法により、例えば微細なあるいは比較的粗い原材料を用いて、あるいは焼成時間や焼成温度を変えことで、この表面積を変化させてもよい。BET表面積と同様、細孔体積もまた既知の方法によって変化させてよいが、その水銀ポロシメトリーによる測定値は、一般的には0.3〜1.0ml/gの範囲、好ましくは0.4〜0.9ml/gの範囲、特に好ましくは0.5〜0.8ml/gである。
【0041】
焼成後、このように調整した担体上に、活性成分及び必要なら他の添加剤を付着させる。
【0042】
本発明による触媒の担体は、以下のX線回折パターンを示すことが好ましい。
【0043】
【表1】

【0044】
このX線回折パターンは、EP0992284A2、9頁、6〜9行目に記載の方法で測定されたものである。
【0045】
X線回折パターンにより、測定材料の具体的な構造を示すものである。本発明の触媒の構造は、上述の反射の出現により十分明確となる。上記の特徴的な反射に加えて、3.48、2.55、2.38、2.09、1.78、1.74、1.62、1.60、1.57、1.42、1.40及び/又は1.37[Å]の格子面間隔に相当する一つ以上の反射が、適当な強度でX線回折パターンに観測されることがある。また、これ以外にいくつかの反射が、本発明の触媒のX線回折パターンに観測されることがある。
【0046】
触媒活性成分及び必要なら他の添加剤を、本発明の触媒担体に担持させることができる。
【0047】
金属、添加剤及び/又はドーパントを、既知の方法で、例えば気相塗布(化学蒸着あるいは物理蒸着)するあるいは担持物質及び/又は化合物を含む溶液へ担体材料を浸漬するにより、担体に担持させることができる。
【0048】
好ましいのは、担持物質及び/又は前駆化合物を含む溶液への含浸であり、これらの化合物は、さらに触媒を調製してゆく過程で付着物質にまで変換される。複数の担持物質を、複数の工程で個別に及び/又は少量ずつ、あるいは単一工程で一挙に及び全量を担持させてもよい。単一の含浸処理での一挙に担持させることが好ましい。含浸後または個別含浸処理後の担持触媒を乾燥し、焼成および適当なら他の既知の後処理、例えば活性化と表面不活性化処理を行って、使用可能な触媒に変換する。
【0049】
活性成分、添加剤及び/又はドーパントを担体に含浸させる方法は既知である。一般には、担持成分の塩溶液を担体に含浸させる。その際に、この溶液がほぼ完全に担体の細孔中に吸収されるように液量を調整する(「初期湿潤」法)。担持触媒が含浸及び変換後、最終の触媒となった時に、各担持成分が触媒上に所望の濃度で存在するように、溶液中の塩濃度を選択する。触媒調製時やその後の使用の際に妨げとなる残渣が残らないように、これらの塩を選択する。通常、硝酸塩またはアンモニウム塩が用いられる。
【0050】
基本的には、本発明の触媒の調製に、当業界で既知のすべての含浸工程が利用可能である。
【0051】
しかしながら、本発明による触媒は、初期湿潤法により金属硝酸塩の硝酸溶液を、一段階で担体に含浸させて製造することが好ましい。
【0052】
硝酸パラジウムと亜硝酸パラジウムの両方を含む含浸溶液を使用することが特に好ましい。
【0053】
さらに元素周期律表の第IB族の金属、好ましくは硝酸銀を、含浸溶液に添加することも好ましい。
【0054】
一般に、含浸溶液のpHは、5以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、特に好ましくは0.5以下である。pHの下限は、一般的には0.2、好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。特に好ましいpH範囲は、0.3〜0.5である。
【0055】
含浸後、含浸された担体を常法により、一般的には60℃より高温で、好ましくは80℃より高温で、さらに好ましくは100℃より高温で、特に好ましくは120〜300℃の範囲の温度で乾燥する。乾燥は、含浸された触媒中の水がほぼ完全になくなるまで、通常数時間続けられる。乾燥時間は、通常1〜30時間の範囲であるが、乾燥時間は設定乾燥温度により変動し、乾燥温度が高ければ乾燥時間は短くなる。減圧として乾燥を促進させてもよい。
【0056】
本発明の方法においては、含浸担体材料を例えば回転管状炉中で攪拌しながら、含浸触媒を乾燥することが特に好ましい。
【0057】
本発明において特に好ましくは、乾燥用空気流を管状炉内に向流で供給する。
【0058】
乾燥後、触媒を常法により焼成する。この焼成は、基本的には、担持される成分やこのような成分の前駆体である含浸塩類を変換するためのものであり、この点で、担体材料の製造のためのあるいは担体構造を作成のための焼成とは異なっている。金属硝酸塩の含浸の場合、硝酸塩類は基本的に金属及び/又は金属酸化物と硝酸ガスに分解され、金属類は触媒中に残り、ガスは除去される。
【0059】
焼成温度は、一般的には200〜900℃、好ましくは280〜800℃、特に好ましくは300〜700℃である。焼成時間は、一般的には0.5〜20時間、好ましくは0.5〜10時間、特に好ましくは0.5〜5時間の範囲である。焼成は通常の炉、例えば回転式管状炉、ベルト焼成炉あるいはマッフル炉で行われる。乾燥後、担持・乾燥された触媒を冷却することなく、直接引き続いて焼成してもよい。
【0060】
本発明の方法においては、触媒の乾燥及び焼成を回転式管状炉で同時に行うことが得に好ましい。
【0061】
触媒は焼成後、基本的には使用可能な状態にある。必要ならあるいは好ましければ、既知の方法で前還元して活性化させてもよいし、また適当なら、表面不活性化処理を行ってから水素化反応容器に入れてもよい。
【0062】
しかしながら、水素化触媒の還元は通常、水素化反応容器中で自然に進行する。還元を行う場合、当業界公知の方法により、まず窒素あるいは他の不活性ガスで不活性な状態を作る。水素含有ガスを、純ガスとしてあるいは不活性ガスと混合して用いて、還元を行う。この前還元の処理温度は、一般的には5〜200℃、好ましくは20〜150℃である。
【0063】
本発明による触媒の再生もまた、15〜500℃の温度で、水素化反応容器内であるいは容器外で行うことができる。
【0064】
上述の触媒を用いるスチームクラッカーからの排出ガスの水素化は、5〜50bargの圧力で行うことが好ましい。入口温度は、20〜100℃であることが好ましく、温度上昇は10〜60℃であることが好ましい。新規ガス流供給量(whsv)は、0.5〜15kg/lhであることが好ましい。循環ガス流と新規ガス流との比は2〜20であることが好ましく、空塔速度は20〜400m/hであることが好ましい。水素とブタジエンの比は1〜1.5であることが好ましい。
【0065】
好ましくは、この水素化により、1,3−ブタジエンの含有量が100〜500ppm、好ましくは110〜400ppm、特に好ましくは120〜300ppmであり、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエンまたは2,3−ペンタジエンのような集積ジエンの含有量が10ppm未満、好ましくは1〜10ppm、特に好ましくは2〜10ppmであるC4オレフィン混合物が得られる。
【0066】
水素化後のC4ガス流中の1−ブテンの含有量は、好ましくは30%、さらに好ましくは40%、特に好ましくは50%(イソブテン除去後の残留イソブテンは、好ましくは0.5〜4%,特に好ましくは1〜3%)であり、一方1−ブテンと2−ブテンの比は、好ましくは1.2〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.6である。
【0067】
特に好ましい実施様態においては、本発明の方法を、複数の段階で、特に好ましくは3段階で実施する。
【0068】
本実施様態においては、第一の水素化段階において、スチームクラッカーから排出される水素化用ガス流が、実質的に水素を溶解限界まで含む液相状態で、本発明の触媒上でほぼガス状にある水素含有相と反応させられる。あるいは、水素化を実質的に液相中でのみで行うこともでき、この場合、すべての水素は溶液中に存在する。
【0069】
入口温度は好ましくは20〜100℃、更に好ましくは30〜90℃、特に好ましくは30〜80℃である。水素化は、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは20〜50℃、特に好ましくは25〜45℃の温度上昇を伴って進行する。
【0070】
第一水素化中の圧力は、5〜50barg、更に好ましくは5〜30barg、特に好ましくは10〜30bargである。
【0071】
第一水素化段階における新規ガス流供給量(whsv)は、好ましくは0.5〜15kg/lh、更に好ましくは1〜10kg/lh、特に好ましくは1.5〜8kg/lhである。
【0072】
この第一水素化段階における水素化は、好ましくは空塔速度として20〜400m/hとなるように行うことが好ましい。
【0073】
第一水素化段階における水素とブタジエンの比は、好ましくは0.7〜1.5、更に好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.9〜1.0であり、かつ出口のブタジエンの含有量は、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは2〜6重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。循環ガス流と新規ガス流との比は、好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜15、特に好ましくは5〜12である。
【0074】
第一水素化段階において水素化に用いられる水素中の不活性化合物の含有量は、好ましくは0〜30体積%、特に好ましくは0〜15体積%にできる。
【0075】
第二の水素化段階は、基本的には適当ないかなる触媒上でも行うことが可能である。
【0076】
この第二水素化段階に用いる水素化触媒は、例えば元素周期律表の第VIII族元素の少なくとも一つ元素(うち一つは、好ましくはパラジウム)を含む触媒であってよい。触媒中のこの元素の含有量は、この触媒あたり好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0077】
この触媒は、好ましくは少なくとも一種の促進剤、さらに好ましくは元素周期律表の第IB族元素、特に好ましくは銀を含む。促進剤の量は、好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0078】
特に好ましくは、触媒中のパラジウム/銀の総原子比率は、0.1〜10であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0079】
この触媒は酸化物担体を含むことが好ましく、酸化アルミニウム(Al22)が担体材料として好ましい.この担体材料のBET表面積は、好ましくは1〜250m2/g、更に好ましくは30〜150m2/g、特に好ましくは60〜90m2/gである。
【0080】
本方法の第二段階の水素化は以下のように行うことが好ましい。
【0081】
第二段階の水素化は、基本的には、水素を溶解限界まで含む液状のC4オレフィン混合相を、ほぼガス状の水素含有相と反応させて実施する。あるいは、水素化をほぼ液相でのみで行うことも可能で、この場合すべての水素は溶液中に存在する。
【0082】
第二段階での圧力は、好ましくは5〜50barg、更に好ましくは5〜30barg、特に好ましくは10〜30bargである。
【0083】
第二水素化段階の入口温度は、好ましくは20〜100℃、更に好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜90℃である。水素化は、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは5〜20℃、特に好ましくは5〜15℃の温度上昇を伴う。
【0084】
この際の新規ガス流供給量(whsv)は、好ましくは0.5〜15kg/lh、更に好ましくは1〜12kg/lh、特に好ましくは2〜10kg/lhである。
【0085】
循環式であるいはワンパス式で水素化を行ってもよい。循環ガス流と新規ガス流の比は、好ましくは0〜20、更に好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜7である。
【0086】
第二水素化段階での空塔速度は、20〜400m/hであることが好ましい。
【0087】
第二水素化段階でのブタジエンに対する水素の比は、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1〜1.3である。
【0088】
本発明の方法が少なくとも3段階で行われる場合、第二水素化段階の出口の1,3−ブタジエンの含有量は、好ましくは0.005〜0.05重量%、更に好ましくは0.01〜0.5重量%、特に好ましくは0.1〜0.2重量%である。集積ジエン類の合計量は、好ましくは0〜100重量ppm、特に好ましくは0〜10重量ppmである。
【0089】
本発明の方法を2段階で行う場合、1,3−ブタジエンの含有量が、100〜500ppm、好ましくは110〜400ppm、特に好ましくは120〜300ppmであり、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエンまたは2,3−ペンタジエン等の集積ジエンの含有量が、10ppm未満、好ましくは1〜10ppm、特に好ましくは2〜10ppmであるC4オレフィン混合物が得られる。
【0090】
第二水素化段階出の反応は、第一の水素化段階と同様に、公知の条件下、例えば断熱的にあるいは気化冷却しながら行われる。
【0091】
第二水素化段階で用いられる水素中の不活性化合物の含有量は、好ましくは0〜30体積%、特に好ましくは0〜15体積%である。
【0092】
i−ブテンを除去後の水素化C4混合物中の1−ブテンの含有量は、好ましくは30%、更に好ましくは40%、特に好ましくは50%であり、かつ1−ブテンと2−ブテンの比は、好ましくは1.2〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.6である。
【0093】
さらに、本発明の方法は、これ以外に、1,2−ジエンの含有量を決定する水素化段階又は方法を有していてもよい。
【0094】
本発明の方法が第3の水素化(精密水素化)段階を含む場合、この水素化段階は以下の条件で実施することが好ましい。
【0095】
本発明の方法において第3水素化段階を実施する場合、適当な触媒(第一水素化段階で用いられた触媒を含む)が用いられる。
【0096】
この第3水素化段階に使用される水素化触媒としては、例えば少なくとも一つの元素周期律表の第VIII族元素(うち一つ好ましくはパラジウム)を含む触媒が挙げられる。触媒中のこの元素の含有量は、この触媒あたり好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0097】
この触媒は、好ましくは少なくとも一種の促進剤、好ましくは元素周期律表の第IB族元素、特に好ましくは銀を含む。促進剤の量は、好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5%重量%である。
【0098】
触媒中のパラジウム/銀の総原子比率は、好ましくは0.1〜10であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0099】
この触媒は酸化物担体を含むことが好ましく、酸化アルミニウム(Al22)が担体材料として好ましい。この担体材料のBET表面積は、好ましくは1〜250m2/g、更に好ましくは30〜150m2/g、特に好ましくは60〜90m2/gである。
【0100】
第3の工程段階における水素化は、基本的には、水素を溶解限界の状態で含む液状のC4オレフィン混合相と、ほぼガス状の水素含有相とを用いて行うことができる。あるいは、水素化をほぼ液相のみで行うこともできるが、この場合すべての水素は溶液中に存在する。
【0101】
圧力は、好ましくは5〜30barg、特に好ましくは10〜30bargである。第3水素化段階の入口温度は、好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜85℃である。その際の温度上昇は、好ましくは0〜20℃に、特に好ましくは0〜10℃に設定される。
【0102】
新規ガス流供給量(whsv)は、好ましくは1〜12kg/lh、特に好ましくは3〜10kg/lhである。
【0103】
水素とブタジエンの比は、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8である。
【0104】
水素化に使用する水素中の不活性化合物の含有量は、好ましくは0〜30体積%、特に好ましくは0〜15体積%である。
【0105】
水素化後のC4ガス流中の1−ブテンの含有量は、好ましくは30%、更に好ましくは40%、特に好ましくは50%(イソブテン除去後の残留イソブテンは、好ましくは0.5〜4%、特に好ましくは1〜3%)であり、一方1−ブテンと2−ブテンの比は、好ましくは1.2〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.6である。
【0106】
反応は公知の方法、例えば断熱的にあるいは気化冷却しながら行うことができる。
【0107】
この第3水素化段階の出口のブタジエンの含有量は、好ましくは0.07〜0.05重量%、特に好ましくは0.01〜0.02重量%である。
【0108】
第3水素化段階後のガス流中の残留ジエンの総量は、0〜10重量ppmであることが好ましい。
【0109】
本発明のある好ましい実施例においては、本発明の方法は、100〜500ppm、好ましくは110〜400ppmの1,3−ブタジエン含有量を持つ本発明のC4オレフィンガス流を調製するのに適当である。1,3−ブタジエン含有量は、特に好ましくは120〜300ppmであり、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエンあるいは2,3−ペンタジエンのような集積1,2−ジエン類の含有量は、10ppm未満、好ましくは1〜10ppm、特に好ましくは2〜10ppmである。
【0110】
本発明はまた、上述の選択的水素化方法によって得られるC4オレフィン混合物を提供する。
【0111】
本発明はまた、メタセシス触媒上で上述のC4オレフィン混合物を反応させて2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むオレフィン混合物を製造する製造方法を提供する。本発明において、「2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むオレフィン混合物」とは、2−ペンテン及び/又は3−へキセンと純粋な2−ペンテン及び純粋な3−へキセンを含む混合物を意味する。
【0112】
メタセシスは、例えば、WO00/39058又はDE−A−10013253記載の方法により実施することができる。
【0113】
簡単に言えば、オレフィンのメタセシス(不均化)とは、二重結合の開裂と再編によって進行する金属触媒による可逆的な二重結合間の不均化であり、次式で示される。
【0114】
【化1】

【0115】
非環式オレフィンのメタセシスの場合、ある一つのオレフィンが二つの分子量の異なるオレフィンに変換される自己メタセシス(例えば:プロペン→エテン+2−ブテン)と、二つの異なるオレフィン間の反応である交差メタセシス(あるいは共メタセシス)(プロペン+1−ブテン→エテン+2−ペンテン)とを区別する必要がある。反応物質の一つがエテンの場合、この反応は一般にエテノリシスと呼ばれる。
【0116】
好ましいメタセシス触媒は、基本的には、均一及び不均一遷移金属化合物、具体的には元素周期律表VI〜VIII族の遷移元素の化合物、あるいはこれらの化合物を含有する均一および不均一触媒である。
【0117】
本発明においては通常、C4ガス流に関係するいかなるメタセシス工程をも使用することができる。
【0118】
DE19932060A1は、1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンを含む出発ガス流を反応させてC2〜C6のオレフィン類を製造するC5/C6オレフィンの製造方法を開示している。具体的には、ここでブタンからプロペンが製造されている。また、へキセンとメチルペンテンが製品として排出されている。メタセシスのために、エテンを導入してはいない。適当なら、メタセシスで生じたエテンを反応容器に循環させている。
【0119】
しかしながら、本発明において好ましいメタセシス方法とは、本発明により処理されたC4オレフィン炭化水素を含む上記のラフィネートII出発ガス流から、2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むガス流を製造するものである。第一の実施様態においては、この方法は次の工程からなる。
【0120】
a)少なくとも一つの元素周期律表の第VIb、Vllb、又はVIII遷移族の金属の化合物を含むメタセシス触媒の存在下で、メタセシス反応を実施し、この反応で、出発流中に存在するブテン類をエテンと反応させて、エテン、プロペン、ブテン、2−ペンテン、3−へキセン及びブタンを含む混合物を得、ブテンに対して最大0.6モルに相当する量のエテンを使用することができ、
b)まず、その排出流を、蒸留により、C2〜C3オレフィン類を含む低沸点留分Aと、C4〜C6オレフィ類及びブタンを含む高沸点留分とに分離し、
c)ついで、b)で得られた低沸点留分Aを蒸留により、エテン含有留分とプロペン含有留分に分離し、エテン含有留分は工程段階a)に再循環し、プロペン含有留分は生成物として排出し、
d)ついで、b)で得られた高沸点留分を、蒸留により、ブテン及びブタンを含む低沸点留分Bと、2−ペンテンを含む中間沸点留分Cと、3−へキセンを含む高沸点留分Dとに分離し、
e)B留分及び必要であればC留分の一部又は全部を、工程段階a)に再循環させ、D留分及び必要であればC留分を、生成物として排出する。
【0121】
第二の実施様態は、以下の工程からなる。
【0122】
a)少なくとも一つの元素周期律表の第VIb、Vllb、又はVIII遷移族の金属の化合物を含むメタセシス触媒の存在下にメタセシス反応を実施し、この反応で、出発流中に存在するブテン類をエテンと反応させて、エテン、プロペン、ブテン、2−ペンテン、3−へキセン及びブタンを含む混合物を得、ブテンに対して最大0.6モルに相当する量のエテンを使用することができ、
b)まず、その際の出発流を、蒸留により分離し、蒸留塔の塔頂から除去される低沸点C2留分、次いで同様に蒸留塔の塔頂より除去される低沸点C3留分を分離し、C4〜C6オレフィン類とブタンを含む高沸点留分を得、
c)工程段階(2)で得たこの低沸点C2留分を工程段階(1)に再循環させ、低沸点C3留分を生成物として排出し、
d)次いでb)で得た高沸点留分を、蒸留によって、ブテン及びブタンを含む低沸点留分Bと、2−ペンテンを含む中間沸点留分Cと、3−へキセンを含む高沸点留分Dとに分離し、
e)B留分及び必要であればC留分の一部又は全部を、工程段階a)に再循環させ、D留分及び必要であればC留分を、生成物として排出する。
【0123】
第二の実施様態と第一の実施様態の違いは、第二の実施様態では、B)工程およびC)工程の代わりにa)工程で得た出発流から、C2留分(低沸点留分A1)がまず、蒸留塔の塔頂を経由して分離され、次いでC3留分(低沸点留分A2)が蒸留塔の塔頂を経由して分離され、C4〜C6オレフィン類とブタンを含む高沸点留分が得られるとともに、この高沸点留分がd)工程で処理されることである。
【0124】
個々のガス流や留分は、それぞれ特定の化合物を含むか、それらからなる。それぞれが複数のガス流や複数の化合物からなる場合、比較的少量の他の炭化水素の存在の可能性を除外できない。
【0125】
一段反応では、C4オレフィン類を、好ましくはn−ブテン及びブタンを含む本本発明による留分は、適当なら可変量のエテンと、均一あるいは好ましくは不均一メタセシス触媒上でメタセシス反応させられて、(不活性)ブタンや、未反応の1−ブテン、2−ブテン、及びメタセシス生産品(エテン、プロペン、2−ペンテン及び3−へキセンなど)の混合生成物を与える。好ましい生成物である2−ペンテン及び/又は3−へキセンは排出されるとともに、残留する生成物および未反応化合物は、全量又は部分的に、メタセシスに循環させられる。基本的には全量循環させること好ましく、蓄積を避けるためほんの少量が廃棄される。理想条件下では蓄積が起こらないので、3−へキセン以外のすべての成分がメタセシスに循環させられる。
【0126】
本発明によれば、本発明のC4原料ガス流中で、ブテン当たり最大0.6モル当量、好ましく最大0.5モル当量のエテンが使用される。したがって、先行技術と比較して、ほんの少量のエテンが使用されているにすぎない。エテンを追加しない場合、この工程で反応生成物当たり多くとも約1.5%のエテンが生成し、このエテンは循環使用される(DE19932060A1参照)。本発明によれば、既知のプロペン工程よりきわめて少量のエテンが消費されるにすぎないため、結果として多量のエテンを使用することが可能となる。
【0127】
さらに、本発明によれば、反応容器出口のC4生成物及びC5生成物のうち、可能な限り多量の製品が循環される。同様に、特に、未反応の1−ブテン及び2−ブテンと生成する2−ペンテン類が循環される。
【0128】
少量のイソブテン類がC4原料ガス流中に存在する場合、少量の分岐炭化水素が生成することもある。
【0129】
メタセシス排出ガス中に生成する分岐C5炭化水素及び分岐C6炭化水素の量は、C4原料ガス中のイソブテンの含有量により決まるが、できれば極めて少なく(<3%)することが好ましい。
【0130】
本発明の方法を、化学式で表すとすると、メタセシス反応容器内で進行する反応は、以下の三つの重要な個別反応に分離できる。
【0131】
【化2】

【0132】
【化3】

【0133】
【化4】

【0134】
最終製品としてプロペン及び3−へキセン(本発明において、3−へキセンはいずれの異性体も含む)あるいは2−ペンテンのどれが必要かに応じて、エテン使用量を変えたり特定のガス流を循環させて平衡状態を移動させたりして、本反応の見かけの物質収支を任意に変更可能である。例えば、2−ペンテンをメタセシス工程に循環させて1−ブテンと2−ブテンとの交差メタセシスを抑えて、1−ブテンがほとんど消費されないようにして、3−へキセンの収率をあげる事ができる。その際、選択的に起こる1−ブテンから3−へキセンへの自己メタセシスにおいてエテンがさらに生成することなり、このエテンが2−ブテンとさらに反応して、所望の製品のプロペンが生成する。
本方法で使用される本発明のC4ガス留分中のブテンの含有量は、1〜100重量%、好ましくは60〜90重量%である。このブテンの含有量は、1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンからなる。
【0135】
必要ならメタセシス反応に先立って、本発明による上述のC4オレフィン混合物を、吸着剤保護床上で、好ましく高表面積酸化アルミニウム又はモレキュラーシーブ上で適度に処理して、妨害不純物を除いてもよい。
【0136】
b)工程から得られるC2〜C3オレフィン類を含む低沸点留分Aは、蒸留により、エテン含有留分とプロペン含有留分とに分割される。エテン含有留分はa)工程、つまりメタセシスに循環し、プロペン含有留分は製品として排出する。
【0137】
d)工程での低沸点留分B、中間沸点留分C及び高沸点留分Dへの分離は、例えば、隔壁カラムで実施される。ここでは、低沸点留分Bが塔頂から得られ、中間沸点留分Cが塔中央の排出路から、また高沸点留分Dが塔底から得られる。
【0138】
しかしながら、この方法を柔軟に管理し得られるいろいろな量の製品をより良好に処理するには、b)工程で得られた高沸点留分を二段分留することが好ましい。b)で得た高沸点留分をまず蒸留により、ブテンとブタンを含む低沸点留分Bと、2−ペンテンと3−へキセンを含む高沸点留分に分離することが好ましい。この高沸点留分は次いで、蒸留によりC留分とD留分に分けられる。
【0139】
好ましくは、メタセシス反応は、無機担体上に担持された、異性化活性をほとんど持たない元素周期律表の第VL.b、VII.b又はVIII族遷移金属の化合物から選択される不均一メタセシス触媒の存在下で実施される。
【0140】
メタセシス触媒として好ましいのは、担体に担持されたレニウム酸化物であり、この担体としては、γ−酸化アルミニウム又はAl22/B22/SiO2混合担体が好ましい。
【0141】
特に、レニウム酸化物の含有量が、1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは6〜12重量%のRe27/γ−Al22が、触媒として好ましい。
【0142】
メタセシスは、液相モードで、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜80℃で、又2〜200bar、特に好ましくは5〜30barの圧力で実施される。
【0143】
メタセシスを気相で行う場合は、温度は好ましくは、20〜300℃、特に好ましくは50〜200℃である。この場合、圧力は、好ましくは1〜20bar、特に好ましくは1〜5barである。
【0144】
本発明はまた、次に副工程(1)〜(4)からなるC5/C6オレフィン類の製造方法を提供する。
【0145】
(1)適切な場合にはブタジエン選択的溶媒を用いてブタジエンを抽出し、次いで残留するブタジエン及びアセチレン不純物を本発明の選択的水素化にかけて分離し、n−ブテン及びイソブテンを含み、基本的にブタジエン及びアセチレン化合物を含まない反応生成物を与える。
【0146】
(2)酸触媒の存在下に前段で得た生成物とアルコールとを反応させてエーテルを合成してイソブテンの除去し、これらのエーテル及びアルコールを同時に又はエステル化後に除去して、n−ブテン及び酸素含有不純物を含む反応産物得る(なお、エーテルは廃棄してもよいし、最解離させてイソブテンとして回収してもよい、またイソブテン除去のための蒸留工程は、エステル化工程の後に実施可能であり、導入されるC3−、i−C4−及びC5−炭化水素類のいずれも、上記エーテルの処理の間に蒸留により除去してもよい)、あるいはオリゴイソブテンあるいはポリイソブテンからイソブテンを選択的に分離するのに適した酸強度をもつ酸触媒の存在下で、前段で得た反応産物のイソブテンをオリゴマー化あるいは重合して残留イソブテンの含有量が0〜15%であるガス流を与える。
【0147】
(3)適当な好ましい吸着材料上で、前工程の生成物の酸素含有不純物を除去する。
【0148】
(4)上述のようなラフィネートIIガス流のメタセシス反応を行う。
【0149】
この選択的水素化は、上述のように実施される。
【0150】
具体的には、メタセシス工程は次のように実施することが好ましい。
【0151】
好ましくは、エステル化/重合(又は蒸留)後に得られるラフィネートIIガス流は、高表面積酸化アルミニウム、シリカゲル、アルミノケイ酸塩、あるいはモレキュラーシーブを含む少なくとも一つの保護床上で精製される。この保護床は、C4ガス流を乾燥させるとともに、続くメタセシス工程で触媒毒として作用する物質を除去する。好ましい吸着材料としては、セレソルブCD、CDO、3A及びNaXやモレキュラーシーブ(13X)が挙げられる。精製は乾燥塔で行われ、その際の温度及び圧力は、全成分が液相となるように選択される。適当なら、この精製工程を、続くメタセシス工程への供給ガスの予熱に用いる。
【0152】
残留するラフィネートIIガス流は、ほとんど水、酸素含有化合物、有機塩化物及びイオウ化合物を含んでいない。一般的に、この操作はC4出発ガス流に適用可能である。
【0153】
このエーテル化工程で、メタノールを用いてMTBEを製造する場合、ジメチルエーテルが二次成分として生成するため、複数の精製工程を組み合わせ、同時に又は逐次に運転することが必要となる場合がある。
【0154】
メタセシス触媒としては、特に不均一レニウム触媒が好ましく、このような例としては、Re27/γ−Al22あるいは他の混合担体があげられ、上記他の混合担体の例としては、SiO2/Al22、B22/SiO2/Al22、Fe22/Al22などがあげられ、これらの担体上の金属の含有量は文献に既知である。上記のレニウム酸化物の含有量は、担体により異なるが、1〜20%の範囲、好ましくは3〜10%の範囲である。
【0155】
これらの触媒は、一般的には焼結後直ちに使用され、さらなる活性化(例えば、アルキル化剤による)は不要である。活性の低下した触媒を、空気流中で炭素残渣とともに400℃より高温で燃焼させ、不活性ガス雰囲気下で放冷することにより、何度も再生させることが可能である。
【0156】
不均一触媒の比較の結果、Re27/Al22が、ごく温和な条件(T=20〜80℃)でも活性を有するが、MO2/SiO2(M=Mo又はW)は、温度が約100〜150℃になって初めて活性を有し、このためC=C二重結合の異性化が二次反応として起こることが明らかとなった。
【0157】
また、次のような触媒系が知られている。
・(C55)とSiO2から合成したWO2/SiO2、J. Mol Catal. 1995, 95, 75-83;
・[MoNO)2(OR)2]n、SnEU、AlCl2からなる三成分系、J. Mol. Catal 1991, 64, 171〜178, J. Mol. Catal 1989, 57, 207〜220;
・高活性触媒前駆体からのニトリドモリブデン(VI)錯体、J. Organomet. Chem. 1982, 229, C19〜C23;
・不均一SiO2担持のMoO2及びWO2触媒、J. Chem. Soc., Faraday Trans./1982, 78, 2583-2592;
・担持Mo触媒、J. Chem. Soc., Faraday Trans. / 1981, 77, 1763-1777;
・活性タングステン触媒前駆物質、J. Am. Chem. Soc. 1980, 102(21), 6572-6574;
・アセトニトリル(ペンタカルボニル)タングステン、J. Catal. 1975, 38, 482-484;
・トリクロロ(ニトロシル)モリブデン(II)触媒前駆物質、Z. Chem. 1974, 14, 284- 285;
・W(CO)5PPH2/EtAlCl2、J. Catal. 1974, 34, 196-202;
・WCl6/n−BuLi、J. Catal. 1973, 28, 300-303;
・WCl6−n−BuLi、J. Catal. 1972, 26, 455-458;
FR2726563:O3ReO[Al(OR)(L)xO]nReO2、ただし、R=C1〜C40炭化水素、n=1〜10、x=0又は1、L=溶媒、
EP−A−1910675、EP−A−1290474、BE899897:タングステン、2−置換フェノキシドラジカル、及びハロゲン、アルキル、カルベン基などの他の四種のリガンドを有する触媒系
FR2499083:オキソタングステン、モリブデン又はレニウムのルイス酸錯体を含む触媒系。
【0158】
US4,060,468:タングステン塩、2,6−ジクロロフェノール等の酸素含有芳香族化合物、及び必要に応じて分子状酸素を含む触媒系
BE776,564:遷移金属塩、有機金属化合物、及びアミンを含む触媒系
【0159】
触媒、特に担持触媒のサイクル寿命を伸ばすには、供給ガスを保護床で生成することが好ましい。この保護床は、C4ガス流を乾燥させるとともに、続くメタセシス工程で触媒毒として作用する物質を除去する。好ましい吸着材料としては、セレソルブCD、CDO、3A及びNaXや、モレキュラーシーブ(13X)が挙げられる。精製は乾燥塔で実施し、その際の温度や圧力は、全成分が液相で存在するように調整する。必要なら、この精製工程を続くメタセシス工程に供給するガスの余熱に用いてもよい。複数の精製工程を組み合わせ、同時または逐次で運転することも好ましい。
【0160】
メタセシス工程の圧力や温度は、全反応成分が液相で存在するように選択される(通常0〜150℃、好ましくは20〜80℃、p=2〜200bar)。また、特に原料ガス流が比較的高濃度のイソブテンを含む場合、反応を気相で行い及び/又は比較的低酸性の触媒を使用することが好ましい。
【0161】
一般に、反応は1秒〜1時間、好ましくは30秒〜30分で完了する。反応は、反応容器内、例えば耐圧ガス容器、流管、反応蒸留装置内で、連続的あるいは間歇的におこなわれるが、流管の使用が好ましい。
【0162】
本発明はまた、C4オレフィン混合物の2−ペンテン及び/又は3−へキセンの製造への利用を提供する。
【0163】
本発明を、以下の実施例により説明する。
【0164】
実施例
手順
スチームクラッカーからのC4ガス流を3段階で水素化する。その第一の水素化段階として、本発明により提供される触媒を用いて水素化する。
【0165】
出発ガス流の成分及びそれぞれの段階で得られる成分を表1に示す。本実施例は、本発明による触媒を用いた水素化及び本発明の方法により、スチームクラッカーから産出される1,2−ジエンの割合を最小化し、また1−ブテンの含有量を最大化する(この場合重量で50.70%)ことが可能であることを示している。
【0166】
各工程の条件は表1に示したとおりである。
【0167】
【表2】

【0168】
【表3】

【0169】
【表4】

【0170】
メタセシスの手順
明細書に示した工程によって調整されたオレフィン流、例えば粗C4留分を本発明による選択的水素化法により処理し、存在するイソブテンを文献既知の方法を用いてエステル化により除き、残存量を3%未満としたものを用いる。
【0171】
それぞれに示した成分を含有するC4オレフィンガス流を、まず酸素含有化合物を除去するために13Xモレキュラーシーブに通し、40バールの反応圧まで加圧し、新たにエテンを加えて所定の比の混合物(差分重量測定)とし、適当なC4循環ガス流を設定する。このC4循環ガス流を設定することにより、総ブテン変換率が60%になる。上記の方法で得られたC4を系から除き、ブタンが蓄積しないようにする(C4パージ)。第3カラムから分離されたC5循環ガス流を、反応容器のある程度上流に全量循環させ、1−ブテンと2−ブテン間の交差メタセシスを抑制する。反応混合物を、500mlの管型反応容器中、文献記載の方法で調製された10%Re27触媒(Al22上)によってメタセシスする。反応温度はそれぞれに指示されている。
【0172】
排出ガスを3つのカラムによりC2/3ガス流、C4ガス流、C5ガス流及びC6ガス流に分離し、各ガス流をガスクロマトグラフィーにより分析する。
【0173】
24時間一定反応温度で運転し各収支を求めた。
【0174】
実施例1(比較例、本発明ではない)
93ppmの1,3−ブタジエン及び25ppmのプロパジエンを含むラフィネートIIを使用
プラントの設定
触媒上の空間速度(反応容器の総流量): 5.0kg/kg触媒/h
ラフィネートII:870g/h
C4循環ガス流:630g/h
エテンガス:65g/h
【0175】
供給ガスの組成
1−ブテン:52.8%
2−ブテン:34.1%
n−ブタン:9.4%
i−ブタン:1.9%
i−ブテン:1.8%
(残りは不活性なC3−、C4−及びC5−炭化水素)
結果の提示:
【0176】
【表5】

【0177】
急速な失活が起こり、望ましい3−へキセン及びプロペンの生成は、たった3日後にほとんどゼロになる。
【0178】
実施例2(比較例、本発明ではない)
93ppmの1,3−ブタジエン及び25ppmのプロパジエンを含むラフィネートIIを使用
プラントの設定
触媒上の空間速度(反応容器の総流量):3.0kg/kg触媒/h
ラフィネートII:500g/h
C4循環ガス流:400g/h
エテンガス:40g/h
【0179】
供給ガスの組成
1−ブテン:53.3%
2−ブテン:32.8%
n−ブタン:9.1%
i−ブタン:1.9%
i−ブテン:1.8%
(残りは不活性なC3−、C4−及びC5−炭化水素)
結果の提示:
【0180】
【表6】

【0181】
急速な失活が起こり、望ましい3−へキセン及びプロペンの生産はたった2日後にほとんどゼロになる。
【0182】
実施例3(本発明)
150ppmの1,3−ブタジエンと2ppmのプロパジエンを含むラフィネートIIを使用
プラントの設定
触媒の空間速度:5kg/kg触媒/h
ラフィネートII:930g/h
C4循環ガス流:560g/h
エテンガス:70g/h
【0183】
供給ガスの組成
1−ブテン:51.3%
2−ブテン:33.3%
n−ブタン:10.6%
i−ブタン:2.1%
i−ブテン:2.2%
(残りは不活性なC3−、C4−及びC5−炭化水素)
結果の提示:
【0184】
【表7】

【0185】
触媒活性は、反応温度を適当に上昇させることによって一定に保つことができる。所望の生成物の収量はしたがって実施例1や2よりかなり多くなる。
【0186】
実施例4(本発明)
62ppmの1,3−ブタジエン、2ppmのプロパジエン及び8ppmの1,2−ブタジエンを含むラフィネートIIを使用
プラントの設定
触媒上の空間速度:6kg/(kg of cat/h)
ラフィネートII:1120g/h
C4循環ガス流:650g/h
エテンガス:98g/h
【0187】
供給ガスの組成
1−ブテン:51.5%
2−ブテン:32.4%
n−ブタン:11.6%
i−ブタン:2.2%
i−ブテン:1.8%
(残りは不活性なC3−、C4−及びC5−炭化水素)
結果の提示:
【0188】
【表8】

【0189】
触媒活性は、反応温度を適当に上昇させることによって一定に保つことができる。所望の生成物の収量はしたがって実施例1や2よりかなり多くなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100〜500ppmの1,3−ブタジエン及び10ppm未満の集積ジエンを含有することを特徴とするC4オレフィン混合物。
【請求項2】
集積1,2−ジエンの含有量が10ppm未満である請求項1に記載のC4オレフィン混合物。
【請求項3】
混合物中の2−ブテンに対する1−ブテンの比が1.2〜2.0である請求項1又は2に記載のC4オレフィン混合物。
【請求項4】
混合物中の1−ブテンの含有量が、混合物に対して、少なくとも30重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物。
【請求項5】
混合物が1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、イソブテン、イソブタン及びn−ブタンを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物。
【請求項6】
スチームクラッカーからのC4流を水素化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物の製造方法。
【請求項7】
水素化を少なくとも2種の水素化段階で行う請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第一の水素化段階における水素化を、酸化物担体上に、水素化金属として元素周期律表の第VIII族の少なくとも一種の金属と、さらに促進剤とを含む触媒上で実施し、少なくとも80%の元素周期律表の第VIII族の金属が、触媒表面と、触媒表面から計算される触媒半径の80%以下に相当する侵入深さとの間の層に実質的に均一に分布し、促進剤が、触媒の断面全体に実質的に均一に分布している請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
触媒が2.5〜10mmの直径を有し、少なくとも80%の元素周期律表の第VIII族の金属が、触媒表面と、触媒表面から計算される1000μm以下の侵入深さとの間の層に実質的に均一に分布し、促進剤が、断面全体に実質的に均一に分布している請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化物担体がδ−、θ−及びα−酸化アルミニウムの混合物である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記元素周期律表の第VIII族の金属がパラジウムである請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記促進剤が元素周期律表の第IB族の金属である請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記元素周期律表の第IB族の金属が銀である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
元素周期律表の第IB族の金属に対する元素周期律表の第VIII族の金属の原子比率が0.1〜10である請求項6〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法によって得られることを特徴とするC4オレフィン混合物。
【請求項16】
請求項1〜5又は15のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物をメタセシス触媒上で反応させることを特徴とする2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むオレフィン混合物の製造方法。
【請求項17】
(1)請求項1〜3又は11のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物を、元素周期律表の第VI.b、VII.b又はVIII遷移族の金属の化合物のうち少なくとも1種を含むメタセシス触媒の存在下で、メタセシス反応に付し、前記メタセシス反応において、C4オレフィン混合物中のブテンをエテンと反応させることによりエテン、プロペン、ブテン、2−ペンテン、3−へキセン及びブタンを含む混合物を得、ブテンに対して0.6モル当量以下のエテンを使用し、
(2)初めに、当該方法において得られた出発流を、蒸留によって、場合によりC2〜C3オレフィン類を含む低沸点留分Aと、C4〜C6オレフィン類及びブタンを含む高沸点留分とに分離し、
(3)次に、(2)で得られた低沸点留分Aを、蒸留によって、エテン含有留分とプロペン含有留分とに分離し、エテン含有留分を工程段階(1)に再循環させ、プロペン含有留分を生成物として排出し、
(4)次に、(2)で得られた高沸点留分を、蒸留によって、ブテン及びブタンを含む低沸点留分Bと、2−ペンテンを含む中間沸点留分Cと、3−へキセンを含む高沸点留分Dとに分離し、
(5)留分B及び必要であれば留分Cの全部又は一部を工程段階(1)に再循環させ、留分D及び必要であれば留分Cを生成物として排出する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(1)請求項1〜3又は11のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物を、元素周期律表の第VI.b、VII.b又はVIII.遷移族の金属の化合物のうち少なくとも1種を含むメタセシス触媒の存在下で、メタセシス反応に付し、前記メタセシス反応中、C4オレフィン混合物中のブテンをエテンと反応させてエテン、プロペン、ブテン、2−ペンテン、3−へキセン及びブタンからなる混合物を得、ブテンに対して0.6モル当量以下のエテンを使用し、
(2)初めに、当該方法において得られた出発流を、蒸留によって、蒸留塔の塔頂を介して除去される低沸点C2留分、同様にして次に蒸留塔の塔頂を介して除去される低沸点C3留分に分離し、C4〜C6オレフィン類及びブタンを含む高沸点留分を得、
(3)工程段階(2)で得られた低沸点C2留分を工程段階(1)に再循環させ、低沸点C3留分を生成物として排出し、
(4)次に、(2)で得られた高沸点留分を、蒸留によって、ブテン及びブタンを含む低沸点留分B、2−ペンテンを含む中間沸点留分C、及び3−へキセンを含む高沸点留分Dに分離し、
(5)留分B及び必要であれば留分Cの全部あるいは一部を工程段階(1)に再循環させ、留分D及び必要であれば留分Cを生成物として排出する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
2−ペンテン及び/又は3−へキセンを含むオレフィン混合物の製造への請求項1〜5又は15のいずれか1項に記載のC4オレフィン混合物の使用。

【公表番号】特表2008−515953(P2008−515953A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536096(P2007−536096)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011027
【国際公開番号】WO2006/040160
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】