説明

遺伝物質の送達用の組成物

本発明は、遺伝物質を取り込ませたエキソソーム、及びそれらを作製する方法並びにin vivoで遺伝物質を送達するためのこうしたエキソソームの使用に関し、特に、遺伝子療法又は遺伝子サイレンシングの方法におけるこのようなエキソソームの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、核酸又は遺伝物質の送達用の組成物に関する。特に、本発明は、遺伝物質を取り込ませたエキソソーム、及びそれらを作製する方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
核酸は、機能しない遺伝子を置換するために[1]、並びに例えばmiRNA[2]、shRNA[3]及びsiRNA[4]などのRNA干渉(RNAi)エフェクター分子を介する病原性変異の中和のために、遺伝子療法において日常的に使用される。裸のDNA及びRNAは、急速なクリアランス[5]、ヌクレアーゼ[6]、臓器特異的な分布の欠如及び細胞の取り込みの低効率のためにin vivoでの送達が困難であるので、通常、特別な遺伝子送達ビヒクルが送達に使用される。
【0003】
ウイルスベクター及びカチオン性リポソームは、最先端の送達ビヒクル技術であり、すでに臨床試験においてこれらの送達ビヒクルの多くが比較的成功している[7]。これらの成功にもかかわらず、多くの用途を限定する顕著な制限が残っており、中でも極めて顕著なのは、ほとんどのウイルスベクターにおける免疫認識[8、9、10]及びレンチウイルスなどのウイルスにおける変異原性組込み[11];並びにリポソームにおける炎症性の毒性及び急速なクリアランス[12、13、14、15]である。先天性免疫系による認識は急性炎症応答をもたらし、このことは、現在の戦略の取込み及び再投与の問題[16、17、18]を克服するため、患者を日和見感染の不当なリスクにさらす可能性がある免疫抑制戦略の使用を必要とし得る。送達ビヒクルに対して産生された抗体も、後続の投与における導入遺伝子の発現を劇的に低下させる[19]。
【0004】
現在の戦略は、これらの特有のリスク及び制限により、一般的には、重症複合免疫不全[20]のように療法の利益がリスクを明らかに上回る致命的な疾患、眼などの免疫特権部位[1]のように特別な環境にある疾患、又は遺伝子ワクチン[21]に限定されている。しかし、筋緊張性ジストロフィーのように、慢性的で衰弱性であるが致命的ではない遺伝的疾患の場合、治癒的な介入には、はるかに低いリスク特性と、数年ではなく、何十年もの間、矯正的な遺伝子療法を維持する能力とが必要とされる。この種の疾患の潜在的な許容できないリスクの例は、上記の免疫抑制戦略であり、近年の関節リウマチのためのAAV遺伝子療法試験において、試験管理者に知られずに被験者によって服用された免疫抑制薬によって引き起こされた日和見感染による健常な患者の死亡[22]によって強調される。肥満、心疾患及び精神医学的疾患を含む、遺伝的要素を有することが示される疾患の数の増加と共に、早期の(preemptive)遺伝的解決法のために、感受性遺伝子の修飾には非常に大きな可能性があるが、リスクがさらに低下され、長期の持続性が実現される場合に限定される。したがって、致死疾患以外にも遺伝子療法の使用を拡大させるために、良好な送達効率を維持すると同時に、免疫認識及び炎症を回避することができる技術を開発することが必須である。
【0005】
この解決法のうちの1つは、遺伝子送達用におけるエキソソームの使用にあり得る。エキソソームは、多小胞体と原形質膜との融合後に細胞外環境に放出される、エンドサイトーシス由来の小さな膜結合小胞(30〜100nm)である。エキソソームの生成は、B細胞、T細胞、及び樹状細胞(DC)などの多くの免疫細胞について記載されている。Bリンパ球及び成熟DCに由来するエキソソームは、MHC−II、MHC−I、CD86及びICAM−1を発現し[23、24]、実験モデル及び臨床試験において、特異的な抗腫瘍性のT細胞傷害性応答及び抗腫瘍性免疫を誘導するために使用されてきた[24、25]。エキソソームを介した遺伝子送達の可能性は、ヒトの肥満細胞に対するネズミ科動物のmRNA及びmiRNAの送達[26]で示されており、神経膠腫に由来するエキソソーム[27]は、外因性DNAプラスミドによって生成されるmRNAを異種の細胞に移入することが実証されている。しかし、外因性DNA、siRNA及び他の修飾オリゴヌクレオチドの取り込み及び送達については、まだ実証されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、エキソソームに外因性遺伝物質、及び特に、外因性プラスミドDNA、siRNA及び修飾オリゴヌクレオチドを取り込ませることに成功した。したがって、本発明は、エキソソームに外因性遺伝物質を取り込ませる方法、こうした外因性遺伝物質を取り込ませたエキソソーム、並びに遺伝子療法及び遺伝子サイレンシングのための核酸の送達におけるこれらの使用に関する。
【0007】
また、本発明者らは、エキソソームが選択した組織を標的できるように、エキソソーム中にターゲティング部分を導入することにも成功した。したがって、本発明は、エキソソームの表面で発現されるターゲティング部分を有するエキソソーム、及びエキソソーム膜貫通タンパク質とターゲティング部分とを含む融合タンパク質、並びにこうした融合タンパク質をコードする核酸構築物に関する。エキソソームは、外因性遺伝物質を取り込ませることができ、遺伝子療法及び遺伝子サイレンシングのための核酸の送達において使用することができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、外因性遺伝物質を取り込ませたエキソソームを含む組成物が提供される。
【0009】
別の態様において、本発明は、in vivoで遺伝物質を送達する方法において使用される、遺伝物質を包含するエキソソームを含む組成物であって、該エキソソームが未成熟樹状細胞に由来する、組成物を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、エキソソームに遺伝物質を取り込ませる方法であって、エキソソームの組成物を用意するステップと、エレクトロポレーションによって該エキソソームに遺伝物質を取り込ませるステップとを含む、方法を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、エキソソームに遺伝物質を取り込ませる方法であって、エキソソームの組成物を用意するステップと、カチオン性リポソームトランスフェクション剤を使用して、トランスフェクションによってエキソソームに核酸を取り込ませるステップとを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、エキソソームを含む組成物が提供され、前記エキソソームは、エキソソームの表面で発現されるターゲティング部分を含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、エキソソーム膜貫通タンパク質を含むポリペプチド、及び異種のターゲティングペプチドを提供し、ターゲティングペプチドは、標的となる細胞の表面に存在する部分に結合し、ポリペプチドがエキソソーム中に存在する場合には、ターゲティングペプチドがエキソソームの表面に存在する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド構築物を提供し、該構築物は、例えば、本発明のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに有効に連結される小胞体−ターゲティングシグナルペプチドなどの、5’エキソソーム膜貫通シグナル配列をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、エキソソームが選択した組織又は細胞種を標的させる方法であって、本発明に従って宿主細胞にポリヌクレオチド構築物をトランスフェクトするステップと、宿主細胞において構築物を発現させるステップと、構築物が発現されている宿主細胞からエキソソームを得るステップとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】未成熟樹状細胞由来のエキソソームの特徴解析:(a)2%酢酸ウラニルで染色されたエキソソーム(ネガティブ染色されたエキソソーム)の電子顕微鏡写真;(b)エキソソームに存在する膜タンパク質であるLamp2の抗体でプローブされたエキソソームのウエスタンブロット;(c)5種の異なる精製により精製した樹状細胞エキソソームのPBS中での動的光散乱粒径測定
【図2】樹状細胞のトランスフェクション:(a)樹状細胞内へのトランスフェクション用のLamp−2bの改変。(SP=シグナルペプチド;TP=ターゲティングペプチド;TM=膜貫通;CT=細胞質尾部);(b)トランスフェクトしていない樹状細胞(CTRL)又はpLamp2b−FLAG(FLAG−Lamp2b)でトランスフェクトした細胞及びこれらの細胞から回収したエキソソームにおける抗−FLAG又は抗−Lamp2を用いたウエスタンブロット;(c)MSP及びRVGの配列に特異的なプライマーを使用した、pLamp2b−MSP、pLamp2b−RVG、又は何もなしでトランスフェクトした樹状細胞のqRT−PCR;(d)エキソソームプルダウンアッセイにおける、正常エキソソーム及びFLAGエキソソームと抗−FLAGビーズ又は抗−AGO1ビーズ(非結合対照)とのインキュベート後の抗−Lamp1でのウエスタンブロット;(e)精製したMSP−エキソソームの動的光散乱粒径測定。
【図3】エキソソームとのプラスミドのエレクトロポレーション及びそれに続くDNアーゼ(DNase)保護アッセイ:(a)エキソソーム及びpEGFP−NADプラスミドの様々な処理についてのDNアーゼ保護アッセイ。線状DNAは、pEGFP−NADをEcoRIで切断することによって作製した。(前=プラスミドの添加前に予めエレクトロポレーションを行ったエキソソーム)(b)異なるエレクトロポレーション設定におけるDNアーゼによるDNアーゼ分解と環状プラスミドにとの比較(c)異なるトランスフェクション試薬でのpEGFP−NADのトランスフェクション後のDNアーゼ保護アッセイ(d)トランスフェクション試薬1〜3及びpEGFP−NADでのエキソソームのトランスフェクション後のDNアーゼ保護アッセイ(材料及び方法を参照されたい)。
【図4】エキソソームを介した、細胞内へのpEGFP−NADの送達:(a)DNアーゼ処理後の、野生型エキソソーム、pEGFP−NADでトランスフェクトして、RVG−Lamp2b(RVG−エキソソーム)を発現しているエキソソーム、及びプラスミド単独と比較した、Neuro2A細胞のトランスフェクション。(b及びc)トランスフェクション試薬単独に対する、正常エキソソーム、RVG−エキソソーム又はMSP−エキソソームでのトランスフェクション後のeGFPの倍率変化のqRT−PCR定量。
【図5】エキソソームを介したsiRNA送達を用いたGAPDHのノックダウン:(a、b)正常エキソソーム又は修飾エキソソームを用いた、Neuro2A(a)及びC2C12(b)細胞に対して適用されるCy5標識GAPDH siRNAの代表的な画像。エレクトロポレーションを行っていないエキソソーム及びsiRNAを、対照として加えた。(c、d)siRNA単独(siRNA)、siRNAとリポフェクトアミン2000(Invitrogen)(siRNA+LP)、正常エキソソーム(エキソソーム)、MSPエキソソーム(MSPエキソ)及びRVGエキソソーム(RVGエキソ)でのトランスフェクションの2日後に回収したNeuro2A細胞及びC2C12細胞におけるGAPDHレベルについてのqPCR。(p<0.05)(e、f)同様のトランスフェクション後のGAPDHレベルについての代表的なウエスタンブロット。
【図6】エキソソームを介したsiRNA送達を用いたシクロフィリンBのノックダウン:(a、b)siRNA単独(siRNA)、siRNAとリポフェクトアミン2000(Invitrogen)(siRNA+LP)、正常エキソソーム(エキソソーム)、MSPエキソソーム(MSPエキソ)及びRVGエキソソーム(RVGエキソ)でのトランスフェクションの2日後に回収したNeuro2A細胞及びC2C12細胞におけるシクロフィリンBレベルについてのqPCR。(p<0.05)(c、d)同様のトランスフェクション後のシクロフィリンBレベルについての代表的なウエスタンブロット。
【図7】エキソソームとのエレクトロポレーション後のCy3及びCy5で標識されたsiRNAの保持。a、蛍光は、siRNA重量と直線的に相関している。b及びc、以下のb及びcの後に保持された標識siRNAの絶対重量、b、3μgのsiRNAを、例えば3μgのRVG−エキソソームを用いて、200μlの緩衝液中、x軸上に示している設定でエレクトロポレーションした;c、3μgのsiRNAを、例えば3μgのRVG−エキソソームを用いて、x軸上に示している量の緩衝液中、400V 125μFでエレクトロポレーションした。全ての試験を二重で実施した。
【図8】正常エキソソームを用いた2’−OMeオリゴヌクレオチド及びモルホリノの送達:エキソソームを用いた場合と用いない場合の、Cy3標識した(a)2’−OMeオリゴヌクレオチド又は(b)PMOのトランスフェクションから24時間後のC2C12細胞の蛍光画像。
【図9】標的化エキソソームを用いたin vivoでのsiRNAの送達は、CNS特異的な遺伝子ノックダウンをもたらすこと:a、b、c、d、未処理の対照(100%)に対して標準化した、150μgの裸のGAPDH siRNA又は未改変エキソソーム、MSP−エキソソーム若しくはRVG−エキソソーム中に封入されたsiRNAの静脈内注射から3日後のマウスの線条体、中脳、皮質、四頭筋、脾臓、肝臓、腎臓及び心臓におけるGAPDH qPCR。e、未処理のマウス(対照)、又は空のRVG−エキソソームを1日目及び8日目に2回静脈内注射し、次いで、RVG−エキソソームに封入されたGAPDH siRNA(150μg)を22日目に注射し、その後、25日目に屠殺したマウス(3回注射)の線条体、皮質及び中脳から抽出したRNAのGAPDH qPCR。f、g、屠殺する6日前及び3日前の別々の2回でRVG−エキソソームに封入されたsiRNA(150μg)を注射したマウスのGAPDH qPCR及び代表的なウエスタンブロット。150μgのRVG−エキソソーム中に封入されたそれぞれ150μgの2種類のBACE−1 siRNAを、屠殺する3日前にマウスに静脈内注射し、皮質切片を、i、BACE−1 qPCR、h、BACE−1ウエスタンブロット及びj、β−アミロイド1〜42 ELISAでアッセイした。qPCRは全て、18S RNA値に対して標準化した。は、未処理の対照に対し、p<0.05であることを示している。各試料群において3匹のマウスに注射を行い、全てのエラーバーは標準偏差(n=3)を反映している。
【発明の詳細な説明】
【0017】
本発明は、エキソソーム、及び遺伝子送達ビヒクルとしてのその使用を目的とする。エキソソームは、多小胞体と原形質膜との融合後に細胞外環境に放出される、エンドサイトーシス由来の小さな膜結合小胞である。したがって、本出願は、こうしたエキソソームを含む組成物を目的とする。典型的には、エキソソームは、直径が30と100nmとの間であるが、200nmまでの同様な由来の膜粒子を含むことができる。本明細書中で使用される場合、エキソソームとは、多胞体から分泌される、エンドソーム由来のナノ粒子を指す。
【0018】
エキソソームは、Bリンパ球、Tリンパ球、樹状細胞(DC)及び肥満細胞などの免疫細胞を含む多様な種類の細胞によって生成される。エキソソームは、例えば、神経膠腫細胞、血小板、網状赤血球、ニューロン、腸上皮細胞及び腫瘍細胞によっても生成される。本出願に従って使用されるエキソソームは、上記で特定した細胞を含む、任意の好適な細胞から得ることができる。エキソソームは、血漿、尿、羊水及び悪性浸出液のような、生理液からも単離されている。
【0019】
本発明の好ましい態様において、エキソソームは、DC、好ましくは未成熟DC由来である。未成熟DCから生成されるエキソソームは、MHC−II、MHC−I又はCD86を発現しない。したがって、こうしたエキソソームは無感作(naive)T細胞を有意な程度まで刺激せず、混合リンパ球反応において応答を誘導することができない。したがって、未成熟樹状細胞から生成されるエキソソームは、遺伝物質の送達において、特に、in vivoでの使用、例えば遺伝子療法において、使用するのに理想的な候補である。
【0020】
したがって、本発明の第1の態様によれば、樹状細胞由来のエキソソームは、in vivoでの遺伝物質の送達における使用のために提供される。
【0021】
本発明の代替の態様において、エキソソームは、エキソソームが送達される患者における免疫応答の発生を低減又は回避するように、患者由来の自己の細胞、ハプロタイプ適合の異種の細胞、又は異種の幹細胞のいずれからも得ることができる。この特定の目的のために、任意のエキソソーム生成細胞を利用することができる。
【0022】
上記に概説したように、エキソソームは、多様な型の細胞によって生成され、生理液からも単離されている。したがって、本発明によれば、エキソソームは、上述のように、任意の好適な細胞型から、又は生理液からの単離によって、得ることができる。典型的には、本発明の方法は、細胞培地又は組織上清からのエキソソームの単離を含む。
【0023】
細胞から生成されたエキソソームは、任意の好適な方法によって培地から回収することができる。典型的には、エキソソームの調製物は、細胞培養物又は組織上清から、遠心分離、濾過又はこれらの方法の組合せによって調製することができる。例えば、エキソソームは、分画遠心法、すなわち、より大きな粒子をペレット化する低速(<20000g)の遠心分離に続くエキソソームをペレット化する高速(>100000g)の遠心分離、適切なフィルター(例えば、0.22μmのフィルター)を用いた大きさによる濾過、勾配超遠心分離(例えば、ショ糖勾配での)又はこれらの方法の組合せによって調製することができる。
【0024】
本発明によれば、エキソソームには外因性遺伝物質が取り込まれる。特に、本発明によれば、エキソソームは調製され、次いで、所望の送達用遺伝物質を取り込ませる。
【0025】
好適な送達用遺伝物質としては、外因性DNAプラスミド及びsiRNAなどが挙げられる。好適な遺伝物質としては、修飾オリゴヌクレオチド並びに例えばmiRNA及びshRNAのような他のRNA干渉エフェクター部分なども挙げられる。本発明の一態様によれば、エキソソーム中に取り込ませる遺伝物質は、エキソソームと典型的に関連している遺伝物質ではなく、例えば、核酸は、細胞から産生されてエキソソーム中に組み込まれるmRNA又はmiRNAではないことが好ましい。特に、本発明は、遺伝物質を、すでに細胞から単離されているエキソソーム調製物の中に取り込ませる能力に関する。したがって、外因性遺伝物質とは、エキソソームと通常は関連していない核酸を含む遺伝物質を指す。特に好ましい実施形態において、核酸物質は、エキソソーム中に典型的には見出されない、プラスミドDNA、又はsiRNA及び修飾オリゴヌクレオチドのような他の核酸である。
【0026】
エキソソーム中に組み込むための核酸は、一本鎖又は二本鎖であってもよい。一本鎖核酸としては、ホスホジエステルに、2’O−メチル、2’メトキシ−エチル、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、及び/又はホスホロチオエート骨格化学を有するものなどが挙げられる。典型的には、例えばプラスミドDNA及び低分子干渉RNA(siRNA)を含む二本鎖核酸が導入される。
【0027】
エキソソーム中に取り込ませる遺伝物質は、それを送達しようとする細胞内でのその遺伝物質の望ましい効果及びその効果が達成される機構に基づいて選択される。例えば、核酸は、遺伝子療法において、例えば、細胞又は細胞群において所望の遺伝子を発現させるために、有用となり得る。こうした核酸は、典型的には、所望の遺伝子をコードするプラスミドDNA又はウイルスベクターの形態であり、治療する細胞に送達されるとプラスミドDNAが発現されるように、プロモーター、エンハンサーなどの適切な制御配列に有効に連結される。遺伝子療法の影響を受けやすい疾患の例としては、B型血友病(第IX因子)、嚢胞性線維症(CTFR)及び脊髄性筋萎縮症(SMN−1)などが挙げられる。
【0028】
核酸は、例えば、免疫応答を引き起こすことが望まれるものに対する1種又は複数の抗原を発現させるために予防接種にも使用することができる。したがって、エキソソーム中に取り込ませる核酸は、腫瘍抗原、例えばウイルス、細菌又は真菌の病原体などの病原体からの抗原を含むがこれらに限定されない、免疫応答を引き起こすことが望まれるものに対する1種又は複数の抗原をコードしていてもよい。
【0029】
核酸は、遺伝子サイレンシングにおいても使用することができる。こうした遺伝子サイレンシングは、療法において異常な遺伝子発現のスイッチを切るために、又は動物モデルの試験において単一又は複数の遺伝的なノックアウトを作製するために有用となり得る。典型的には、こうした核酸は、siRNAの形態で提供される。例えば、siRNAなどのRNAi分子を使用して、筋緊張性ジストロフィーの治療のために筋肉細胞において複数のCUGリピートを有するDMPKをノックダウンすることができる。他の例では、ハンチントン病の原因となる変異体のハンチントン遺伝子(htt)を低下させるshRNAを発現しているプラスミドを、ニューロン特異的エキソソームを用いて送達することができる。他の標的遺伝子としては、アルツハイマー病の治療のためのBACE−1などが挙げられる。ras、c−myc及びVEGFR−2のように、いくつかの癌遺伝子も、siRNA又はshRNAで標的され得る。脳を標的としたsiRNAを取り込ませたエキソソームは、アルツハイマー病におけるBACE−1のサイレンシング、パーキンソン病におけるアルファ−シヌクレインのサイレンシング、ハンチントン病におけるhttのサイレンシング及び虚血性の損傷を減少させるために脳卒中の治療において使用されるニューロンのカスパーゼ−3のサイレンシングにおいて特に有用となり得る。
【0030】
2’−O−Me化合物を含むアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及びPNAを使用することができる。例えば、こうしたオリゴヌクレオチドは、、例えば、変異体のジストロフィン遺伝子を、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療のために筋肉細胞に送達する、ヘアピンループを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば、筋緊張性ジストロフィーの治療において、及びトランススプライシングオリゴヌクレオチドを、例えば、脊髄性筋萎縮の治療のために、エキソンスキッピングを誘導することができるように設計ことができる。
【0031】
外因性遺伝物質は、いくつかの異なる技術によってエキソソーム中に導入することができる。本発明の特に好ましい実施形態では、エレクトロポレーション又はトランスフェクション試薬の使用によって、エキソソームに取り込ませる。本発明者らは、エキソソームは大きさが小さいにもかかわらず、エレクトロポレーションを使用してエキソソームに外因性遺伝物質を取り込ませることが依然として可能であることを同定した。これは、エキソソームの大きさが細胞と比較して小さいことからみて驚くべきことである。エキソソームの大きさを考慮に入れて細胞のエレクトロポレーションに使用される電圧の推定は、エキソソームのエレクトロポレーションに過度に高い電圧が必要とされるであろうと示唆していた。しかし、驚いたことに、発明者らは、エレクトロポレーションを使用してエキソソームにプラスミドDNA及びsiRNAを取り込ませることが可能であることを同定した。典型的な電圧は、例えば20V/cm〜100V/cmのように、20V/cm〜1000V/cmの範囲内であり、この場合の静電容量は、例えば25μFと125μFとの間のように、典型的には25μFと250μFとの間である。
【0032】
本発明の代替の態様において、本発明者らは、トランスフェクション剤を使用してエキソソームに取り込ませることが可能であることも同定した。エキソソームの大きさが小さいにもかかわらず、従来のトランスフェクション剤を、遺伝物質を用いたエキソソームのトランスフェクションに使用することができる。本発明に従って使用される好ましいトランスフェクション試薬としては、カチオン性リポソームを含む。
【0033】
ターゲティング
【0034】
本発明は、所望の細胞型又は組織に対するエキソソームのターゲティングにも関する。このターゲティングは、標的化する細胞の表面で発現される細胞表面部分に結合するターゲティング部分をエキソソームの表面で発現させることによって達成される。典型的には、ターゲティング部分は、エキソソームの表面で典型的に発現される膜貫通タンパク質との融合タンパク質として発現されるペプチドである。
【0035】
より詳細には、エキソソームは、ペプチドなどのターゲティング部分をその表面で発現させることによって、特定の細胞型又は組織を標的することができる。好適なペプチドは、標的となる細胞の細胞表面に見出されるレセプター又はそのリガンドのような細胞表面部分に結合するものである。適なターゲティング部分の例は、ターゲティング部分が、エキソソームの表面で発現させることが可能で、エキソソーム中への膜タンパク質の挿入を妨げない限り、短いペプチド、scFv及び完全なタンパク質である。典型的には、ターゲティングペプチドは、膜貫通エキソソームタンパク質に対して異種のものである。ペプチドターゲティング部分は、典型的には、100アミノ酸未満の長さであってもよく、例えば、50アミノ酸未満の長さ、30アミノ酸未満の長さ、最小の長さの10、5又は3アミノ酸までである。
【0036】
ターゲティング部分は、例えば筋肉、脳、肝臓、膵臓及び肺などの特定の組織型を標的となるように、又は腫瘍のような患部組織を標的となるように選択することができる。本発明の特に好ましい実施形態において、エキソソームは脳組織を標的とする。
【0037】
ターゲティング部分の特定の例としては、骨格筋を標的とするための、ファージディスプレイによって発見された筋肉特異的ペプチド[33]、ニューロンを標的とするための、アセチルコリンレセプターに結合する狂犬病ウイルス糖タンパク質の29アミノ酸断片[36]又は神経成長因子レセプターを標的とする神経成長因子の断片[37]などが挙げられ、また、セクレチンレセプターに結合するセクレチンペプチドを使用して、胆管及び膵臓上皮を標的とすることができる[38]。代替として、scFv抗体を含む、免疫グロブリン及びそれらの誘導体も、癌遺伝子療法のために、VEGFRのような特異的抗原を標的とする融合タンパク質として発現させることができる。代替として、NGFRに結合してニューロン特異的ターゲティングを与えるNGFのように、レセプターの天然のリガンドを,特異性を与える融合タンパク質として発現させることもできる。
【0038】
該ペプチドターゲティング部分は、エキソソーム膜貫通タンパク質との融合タンパク質として発現させることによってエキソソームの表面で発現される。いくつかのタンパク質は、エキソソームと関連していることが知られている;すなわち、それらは、形成されるとエキソソーム中に組み込まれる。本発明に従って使用される好ましいタンパク質は、膜貫通タンパク質であるものである。例としては、Lamp−1、Lamp−2、CD13、CD86、フロチリン、シンタキシン−3、CD2、CD36、CD40、CD40L、CD41a、CD44、CD45、ICAM−1、インテグリンアルファ4、LiCAM、LFA−1、Mac−1アルファ、Mac−1ベータ、Vti−1A、Vti−1B、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD9、CD18、CD37、CD53、CD63、CD81、CD82、CXCR4、FcR、GluR2/3、HLA−DM(MHC II)、免疫グロブリン、MHC−I又はMHC−IIの構成要素、TCRベータ及びテトラスパニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特に好ましい実施形態において、膜貫通タンパク質は、Lamp−1、Lamp−2、CD13、CD86、フロチリン、シンタキシン−3から選択される。特に好ましい一実施形態において、膜貫通タンパク質はLamp−2である。Lamp−2の配列については、配列番号1に記載している。
【0039】
以下の節は、本発明の全てのポリペプチドの一般的な特徴に関し、特に、本発明のポリペプチド内に含まれるアミノ酸配列の変動、変化、修飾又は誘導体化に関する。本明細書に記載のポリペプチドのこうした変動、変化、修飾又は誘導体化は、ポリペプチドが、本開示の後続の節に明記するようないずれかのさらに必要とされる活性又は特徴を保持するのに必要であることが理解されるであろう。
【0040】
本発明のポリペプチドの異型は、本開示の後節でさらに詳細に説明している特定レベルのアミノ酸同一性によって定めることができる。アミノ酸同一性は、任意の好適なアルゴリズムを使用して算出することができる。例えば、Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290〜300;Altschul,S,Fら(1990)J Mol Biol 215:403〜10に記載されているように、例えば、PILEUP及びBLASTのアルゴリズムは(典型的には、これらの初期設定に基づいて)相同性を算出すること又は配列を並べること(例えば、同等の配列又は対応する配列を特定することなどに使用することができる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して一般公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントしたときに一致するか又はいくらかの正の値の閾値スコアTを満たすかのいずれかの、調べる配列中で、長さがWである、短いワードを特定することによって、高スコア配列対(HSP)をまず特定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前掲)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを包含するHSPの検索を開始するシードとして機能する。このワードヒットは、累積アライメントスコアが増大し得る限り、各配列に沿って両方向に拡張される。各方向におけるワードヒットの拡張は、以下の場合に終了する:累積アライメントスコアが、その最大達成値から数量Xだけ低下したとき;1つ又は複数の負のスコアの残基アライメントが蓄積したために、累積スコアがゼロ又はゼロ未満になったとき;又はいずれかの配列が末端に到達したとき。BLASTアルゴリズムパラメータのW、T及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、初期設定として、ワードの長さ(W)11、BLOSUM62スコア行列(Henikoff及びHenikoff(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915〜10919を参照されたい)アライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。
【0041】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計解析を行う;例えば、Karlin及びAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2種のポリヌクレオチド配列間又はアミノ酸配列間で偶然に一致が生じるであろう確率の指標を提供する、最小合計確率(P(N))である。例えば、ある配列が別の配列と類似していると考えられるのは、第1の配列と第2の配列との比較における最小合計確率が、約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満の場合である。これに対して、UWGCGパッケージは、相同性を算出するために使用することができるBESTFITプログラムを提供する(例えば、その初期設定に基づいて使用される)(Devereuxら(1984)Nucleic Acids Research 12、387〜395)。
【0042】
本発明のポリペプチドの異型は、置換異型も含むことが理解されるであろう。置換異型は、好ましくは、1個又は複数のアミノ酸を同数のアミノ酸で置換して、保存的なアミノ酸置換を作製する置換を含む。例えば、アミノ酸は、同様の特性を有する代替のアミノ酸、例えば、別の塩基性アミノ酸、別の酸性アミノ酸、別の中性アミノ酸、別の荷電アミノ酸、別の親水性アミノ酸、別の疎水性アミノ酸、別の極性アミノ酸、別の芳香族アミノ酸又は別の脂肪族アミノ酸で置換されてもよい。好適な置換基を選択するために使用できる20種の主要アミノ酸のいくつかの特性は、以下の通りである:
【0043】
【表1】

【0044】
本発明において使用されるポリペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在しない化学的性質を含むように又は化合物の安定性及びターゲティング特異性を増大させるように改変されてもよい。合成の方法によってポリペプチドを作製する場合には、こうしたアミノ酸を作製中に導入することもできる。また、合成又は組換えによる作製後に、ポリペプチドを改変することもできる。
【0045】
いくつかの側鎖修飾は、当技術分野において知られており、ポリペプチドの側鎖に対して行い、本明細書に明記され得るような、任意のさらに必要とされる活性又は特徴をポリペプチドに保持させることができる。
【0046】
本節に記載の異型ポリペプチドは、アミノ酸配列は配列番号1にあるものとは異なるが、エキソソームの膜内に挿入される能力を保持するものである。
【0047】
異型配列は、典型的には、少なくとも1、2、3、5、10、20、30、50、100個又はより多くの変異(アミノ酸の置換、欠失又は挿入であってもよい)によって異なる。例えば、改変ポリペプチドがエキソソームの膜内に挿入されるのであれば、1〜100、2〜50、3〜30又は5〜20アミノ酸の置換、欠失又は挿入を行うこともできる。
【0048】
典型的には、Lamp−2の異型であるポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と、約50%、55%又は65%を超える同一性、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、少なくとも97%又は少なくとも99%の同一性を有する。配列番号1の異型の同一性は、シグナル配列を除き、配列番号1に示している配列の少なくとも30、50、100、200、250、300、350又はそれ以上連続したアミノ酸の領域にわたって、又はより好ましくは配列番号1の全長にわたって評価することができる。
【0049】
本発明において使用されるLamp−2ポリペプチドの断片は、典型的には長さが、少なくとも55アミノ酸、100、150、200、又は250アミノ酸である。
【0050】
エキソソーム膜貫通タンパク質は、ターゲティング部分を組み込むように改変される。したがって、エキソソーム膜貫通タンパク質は、ターゲティング部分を含む融合タンパク質として発現される。ターゲティング部分は、エキソソームの表面に存在する膜貫通タンパク質の部分に配置されるよう膜貫通タンパク質中に組み込まれる。本発明の好ましい態様において、エキソソーム膜貫通タンパク質はLamp−2であり、ターゲティング部分は融合タンパク質として発現され、ターゲティング部分は、Lamp−2タンパク質のN末端付近に存在し、例えば、シグナル配列を含めずに、Lamp−2のN末端アミノ酸から30、又は20アミノ酸の範囲内にある。
【0051】
ターゲティング部分と残りの膜貫通タンパク質の部分との間には、例えば、膜貫通タンパク質のフォールディングの際にターゲティング部分からの干渉を回避するために、スペーサー配列又はリンカー配列が備えられていてもよい。
【0052】
リンカー配列又はスペーサー配列は、典型的には1〜10アミノ酸の長さであり、典型的には1〜8アミノ酸の長さであり、例えば2、3又は4アミノ酸の長さである。リンカー中に組み込むのに好適なアミノ酸は、アラニン、アルギニン、セリン又はグリシンである。好適なリンカーとしては、Ala−Arg及びSer−Gly−Glyなどが挙げられる。
【0053】
本発明の特に好ましい態様において、膜貫通タンパク質はLamp−2であり、ターゲティング部分はタンパク質のN末端又はその近くに存在し、リンカー配列でLamp−2から分離される。
【0054】
本発明の実施において、ターゲティング部分は、ターゲティング部分とエキソソーム膜貫通タンパク質とを含む融合タンパク質を、エキソソームを生成するために使用する細胞内で発現させることによってエキソソーム中に導入する。細胞内でのこの融合タンパク質の発現は、融合タンパク質が細胞から生成されるとエキソソーム中に組み込まれることを可能にする。
【0055】
例えば、融合タンパク質を発現させた、DNAプラスミドなどのポリヌクレオチド構築物を細胞内にトランスフェクトする。細胞内へのポリヌクレオチド構築物の導入には、任意の好適な方法を使用することができる。ポリヌクレオチド構築物は、コードする融合タンパク質が細胞内で発現されるように、好適なプロモーター配列を含む。タンパク質が生成されると小胞体の膜内に組み込まれるように、シグナルペプチド配列も含まれる。次いで、膜タンパク質は、エキソソーム中に組み込まれる前に、エキソソーム/リソームの区画に続いて輸出される。シグナル配列は、典型的には、エキソソーム膜貫通タンパク質のシグナルペプチド配列である。例えば、シグナルペプチド配列は、例えば実施例に示すように、Lamp−2由来であることが好ましい。
【0056】
エキソソームの生成に好ましい細胞については、上記でさらに詳細に述べている。典型的には、好ましい細胞、例えば未成熟樹状細胞などを、上記のようなポリヌクレオチド構築物でトランスフェクトし、それによって本発明の融合タンパク質が細胞内で発現されるようになる。細胞によって生成されるエキソソームは、その後、回収することができる。こうしたエキソソームは、エキソソームがターゲティング部分を通して所望の組織又は細胞型に標的化されるように、膜内に挿入される融合タンパク質を有する。
【0057】
細胞から生成されたエキソソームは、任意の好適な方法によって培地から回収することができる。典型的には、エキソソームの調製物は、細胞培養物又は組織上清から、遠心分離、濾過又はこれらの方法の組合せによって調製することができる。例えば、エキソソームは、分画遠心法、すなわち、より大きな粒子をペレット化する低速(<20000g)の遠心分離に続くエキソソームをペレット化する高速(>100000g)の遠心分離、適切なフィルター(例えば、0.22μmのフィルター)を用いた大きさによる濾過、(例えば、スクロース勾配での)勾配超遠心分離(例えば、ショ糖勾配での)又はこれらの方法の組合せによって調製することができる。
【0058】
本発明の好ましい一態様によれば、標的化されたエキソソームに外因性遺伝物質を取り込ませる。特に、本発明によれば、エキソソームを、本明細書に記載のターゲティング部分を用いて調製し、次いで、所望の送達用遺伝物質又は上記のものを取り込ませる。
【0059】
本発明の他の実施形態では、特定のターゲティング部分がエキソソーム中に含まれている必要性はない。例えば、エキソソームは、療法が必要とされる部位に直接投与することもできる。これに対して、例えば、エキソソームが免疫原をコードする遺伝物質を包含する場合には、特異的部位を直接標的とする必要はないこともあり、送達、例えば、皮内又は筋肉の送達は、いかなる特定の細胞型にもエキソソームを標的化することなく、所望の免疫応答を引き起こすために十分なこともある。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、エキソソームの表面にターゲティング部分が含まれていない。しかし、エキソソームは、特定の組織型を標的とする可能性がより高いように選択される。例えば、例えば成熟樹状細胞由来のエキソソームのT細胞に対するよく立証された親和性のように、異なる細胞由来のエキソソームは、それらの生理学的機能によって必要とされるような、特定の細胞サブタイプに対する天然の親和性を有してもよい。この親和性は、上記の積荷を組織に特異的に送達するために利用することができる。
【0061】
送達/投与
【0062】
本発明の構築物は、任意の好適な方法によって投与することができる。ヒト又は動物の対象に対する投与は、非経口、筋肉内、脳内、血管内、皮下、又は経皮の投与から選択することができる。典型的には、送達の方法は、注射によるものである。注射は、筋肉内又は血管内(例えば、静脈内)が好ましい。医師は、個々の患者ごとに必要とされる投与経路を決定することができるであろう。
【0063】
構築物は、組成物として送達されることが好ましい。組成物は、非経口、筋肉内、脳内、血管内(静脈内を含む)、皮下、又は経皮の投与用に製剤化することができる。非経口投与用の組成物は、緩衝液、希釈剤及び他の好適な添加物を包含し得る無菌水溶液を含んでいてもよい。本発明の構築物は、薬学的に許容される担体、濃化剤、希釈剤、緩衝液、保存剤、及び他の薬学的に許容される担体又は賦形剤などをエキソソームに加えて含み得る、医薬組成物として製剤化されてもよい。
【0064】
「薬学的に許容される担体」(賦形剤)とは、1種又は複数の核酸を対象に送達するための薬学的に許容される溶剤、懸濁化剤又は他の任意の薬理学的に不活性なビヒクルである。典型的な薬学的に許容される担体としては、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖及び他の糖、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又はリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、水素化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書に記載の組成物は、医薬組成物中に従来通り見出される他の補助成分をさらに包含していてもよい。したがって、例えば、組成物は、さらなる適合可能な薬学的に活性な物質を包含していてもよく、又は本発明の組成物の多様な剤形を物理的に調製する際に有用なさらなる物質、例えば、色素、香味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などを包含していてもよい。しかし、こうした物質は、添加する場合には、本明細書に記載の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げてはならない。
【0066】
治療有効量の組成物を投与する。その用量は、多様なパラメータによって、特に、治療する患者の状態の重症度、年齢、及び体重;投与の経路;並びに必要とされるレジメンによって、決定することができる。医師は、いかなる特定の患者に必要とされる投与の経路及び用量を決定することができるであろう。最適用量は、個々の構築物の相対的な効力によって変化してもよく、in vitro及びin vivoの動物モデルにおいて有効であることが見出されているEC50に基づいて一般的に推定することができる。一般的に、用量は、0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重である。典型的な日用量は、特定の構築物の効力、治療する対象の年齢、体重及び状態、疾患の重症度並びに投与の頻度及び経路により、約0.1〜50mg/kg体重、好ましくは約0.1mg/kg体重〜10mg/kg体重である。投与が筋肉内注射又は全身(静脈内又は皮下)注射によるものであるかどうかによって、異なる用量の構築物を投与することができる。好ましくは、単回筋肉内注射の用量は、約5〜20μgの範囲内である。好ましくは、単回又は反復の全身注射の用量は、10〜100mg/kg体重の範囲内である。
【0067】
構築物のクリアランス(及びいずれかの標的分子の分解)のために、患者は、繰り返し、例えば、1日1回若しくはそれ以上、週1回、月1回又は年1回、治療を受けなければならないこともある。当業者は、体液又は体組織における測定された構築物の滞留時間及び濃度に基づいて、投与の繰り返しの速度を容易に推定することができる。成功した治療の後に、患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、このとき、構築物は、0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重の範囲に及ぶ維持量で、1日1回又はそれ以上から、20年毎に1回まで、投与する。
【0068】
以下の実施例によって本発明を以下でさらに詳細に説明している。
【実施例】
【0069】
本発明者らは、ネズミ科動物の骨髄から採取した樹状細胞からエキソソームが再現性よく生成され得るかどうかを決定することを目的とした。Quahら[28]から改変したプロトコルを使用して、骨髄細胞は、C57BL/6マウスの大腿骨から採取され、穏やかにすり潰して分離され、前駆細胞の増殖を刺激する、10ng/mlのGM−CSFを含むDC培地(材料及び方法を参照されたい)の存在下で培養した。4日後に、非接着細胞が除去され、樹状細胞が培養物中に残された。7日後に、GM−CSFを除去し、GM−CSFを含まない新しいDC培地を、単離したエキソソームに添加した。次の2日間にわたり1日ごとに、細胞残屑を除去するためにまず10,000gで、次いで、エキソソームをペレット化するために120,000gで、培養上清を遠心分離することによってエキソソームを回収した。次いで、これらのエキソソームを、適切な量の0.1M酢酸アンモニウム緩衝液中に再懸濁した。
【0070】
生成されるエキソソームは、電子顕微鏡、エキソソームタンパク質(Lamp2b)に対する抗体を用いたウエスタン(図1b)及び動的光散乱(図1c)によって決定されたように(図1a)、直径が80nmでピークに達している粒径分布を有し、一貫性があり、物理的に均質であった。。
【0071】
ターゲティングリガンドのトランスフェクションは、所望の細胞型を効果的に標的とするために、エキソソームの特異性を変更することを必要とする。図2aは、ターゲティングリガンドがどのようにLamp2b中に挿入されるかを図示している。これは、エキソソームの外に突出すると予測されるN末端を有するI型膜タンパク質なので、ターゲティングリガンドは、シグナルペプチドの後のN末端に結合される必要がある。シグナルペプチドは、膜挿入に必要であるが、成熟タンパク質では切り離される。さらに、ターゲティングペプチドがLamp2bタンパク質のフォールディングに影響を及ぼすのを防ぐために、ターゲティングペプチドの両側にリンカーが配置される(Ala−Arg−{ターゲティングペプチド}−Ser−Gly−Gly)。最終的に、ターゲティングペプチドは、エキソソームの外表面上に位置していなければならず、それにより、エキソソームにターゲティング能力を与える。3種の異なるペプチド−ニューロン特異的狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)ペプチド(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNG)[32]、in vivoでのファージディスプレイによって同定された筋特異的ペプチド(MSP)(ASSLNIA)[33]、及びFLAGエピトープ−を、Lamp2b中に別々にクローニングし、エキソソーム精製の4日前に樹状細胞内にトランスフェクトした。MSP及びRVGはいずれも器官特異性のために選択したのに対して、ターゲティングリガンド部位におけるFLAGエピトープは改変したLamp2bと未改変の外因性Lamp2bとを識別するために使用した。エキソソームの表面でターゲティングリガンドを発現させる能力に対する主な障害は、初代培養の樹状細胞はトランスフェクトされ難く、トランスフェクション後に分化する可能性があることである。樹状細胞は、ウイルスによって活性化される可能性が高く[30]、それにより、結果として生じたエキソソーム中に組み込まれるであろう免疫賦活性分子が生じるので、ウイルスベクターでの感染も理想的ではない。したがって、いくつかのトランスフェクション試薬を試験して、Mirus BioのTransIT−LT1試薬は、eGFP発現プラスミドであるpEGFP−NADによるトランスフェクション試薬なしでの単独での添加に比べて、ネズミ科動物のGAPDHに対して標準化したeGFP mRNAにおいて49900倍上昇して、効率よく樹状細胞を形質導入するようであったので、これを選択した。さらに重要なことには、このトランスフェクションは、細胞の形態の観察に基づき、樹状細胞を有意に活性化しないようである。未成熟樹状細胞は、体積に対する表面積の比率が低いコンパクトな丸い細胞であるのに対し、活性化した樹状細胞は、特徴的な樹状突起の伸長を有し、体積に対する表面積の比率が高い[31]。
【0072】
一方、FLAGリガンドに対するウエスタンブロットは、pLamp2b−FLAGのトランスフェクション後に、FLAG−Lamp2b(115kDa)が樹状細胞及び対応するエキソソームにおいて発現されるが、正常細胞及びエキソソームにおいては発現されないことを明らかに実証している(図2b)。MSP及びRVGの配列に特異的なプライマーを使用した、pLamp2b−MSP及びpLamp2b−RVGでトランスフェクトした樹状細胞のqRT−PCRで、MSP−Lamp2b及びRVG−Lamp2bの発現を検証した(図2c)。
【0073】
エキソソーム上でのLamp2bのトポロジーは知られていなかったので、抗−FLAGビーズを用いたプルダウンアッセイを設計して、ターゲティングエピトープの方向性を確立した。抗−FLAG抗体又は非特異的抗体(Ago1)を、プロテイン−Aセファロースビーズ(Sigma)に結合させた。次いで、これらのビーズを、未改変エキソソーム又はFLAG−エキソソームと共にインキュベートし、その後、結合していないものを除去するために3回洗浄した。FLAGエピトープが内側のみにあり、抗体が近づくことができない場合には、未改変エキソソームもFLAG−エキソソームも、ビーズ上に保持されないはずである;FLAGエピトープが外側にある場合には、FLAG−エキソソームは保持されるが、未改変エキソソームは保持されないであろう。プルダウン後、保持されたエキソソームを、変性させ、エキソソームの存在のマーカーの役目を果たす別のエキソソームタンパク質であるLAMP−1に対するウエスタンブロットによって検出した。別のエキソソーム特異的タンパク質であるLamp1のウエスタンブロットにより、抗−FLAGビーズによってFLAG−エキソソームの保持が増加するが、対照の抗−Ago−1(非特異的)ビーズによっては増加しないことが示された(図2d)。この結果は、ターゲティング部分が外側のエキソソーム表面に局在し、そのターゲティングの可能性のあることが実証される。これらの改変は、MSP−エキソソームの動的光散乱に基づき、改変したエキソソームの物理的特性に影響を及ぼさないようである(図2e)。
【0074】
プロトコル:樹状細胞のトランスフェクション
【0075】
採取後4日目に、5μgのpEGFP−NAD又はpLamp2b誘導体及び5μlのTransIT LT1トランスフェクション試薬(Mirus Bio)を用いて、6穴プレート中、10細胞で、樹状細胞のトランスフェクションを行った。7日目に、培地を交換し、8日目に、培養上清からエキソソームを単離する。
【0076】
プロトコル:エキソソームを用いたトランスフェクション及びエレクトロポレーション並びにDNアーゼ保護アッセイ
【0077】
以下の試験には、EGFP発現プラスミドであるpEGFP−NADをDNAの積荷として使用し、Cy5で標識された抗−GAPDH siRNA及び標識されていない抗−マウスシクロフィリンBをRNAの積荷として使用し、mdxマウスにおけるエキソンスキッピング用に設計された、Cy3で標識された2’−OMeオリゴヌクレオチド及びCy3で標識されたモルホリノ(Haifang Yinからの寄贈)を使用した。
【0078】
環状及び線状のpEGFP−NADをエキソソームと共にエレクトロポレーションし、次いで、DNアーゼIに10分間曝露した。DNAをエキソソーム中に取り込ませるのに成功した場合、DNアーゼは、エキソソームの内側に接近できず、DNAを消化することができなくなる;逆に、DNAがエキソソーム中に局在しない場合には、DNアーゼの存在は、DNAの分解及びプラスミドシグナルの損失を引き起こす。プラスミドDNAに対してDNアーゼ保護アッセイを行ったとき、エキソソームと共に行ったエレクトロポレーションは、環状DNAプラスミドを分解から保護するようであるが、線状DNAは保護しないようであり(図3a)、また、より低い電気容量は、エキソソーム中へのDNAの取り込みを増加させるようである(図3b)。エレクトロポレーションされたエキソソームから放出された因子がDNアーゼ活性を阻害したという可能性を排除するために、対照として、予めエレクトロポレーションを行ったエキソソームにDNAを添加した。これに加えて、スーパーコイル状の画分は選択的に保護されるようである(より上のバンド)。この理由としては、エキソソームはそれ自身が20〜30nmであるが、長さが1868ntの開環状プラスミドは直径で100nmを超えることもあり、一方、スーパーコイル状プラスミドはよりコンパクトでかなり少ない体積を占め[34]、それゆえに、スーパーコイル状プラスミドが選択的に保護されたのであろう。
【0079】
好適なエレクトロポレーションのプロトコルに伴う問題点は、一貫性のない結果、及び成功した場合であっても低いレベルの保護であることが多いこと(結果は示していない)によって取り上げられる。スペルミンでDNAを人工的に凝縮することは、結果としてDNアーゼ保護の減少を引き起こし(結果は示していない)、これはおそらく、使用するスペルミンの濃度が正しい大きさの凝縮を引き起こすのに極めて重大であるからであろう[35]。少なすぎて凝縮が起こらなくても、あまりに多く大きな凝集体が形成されたことも、スペルミンの添加が実際にはDNアーゼ保護のレベルを低下させた原因である可能性がある。
【0080】
エレクトロポレーションの代わりにトランスフェクションを利用した別々のアプローチは、開環状プラスミドについての有意なDNアーゼ保護の結果となった。1μgのpEGFP−NADプラスミドを、1μlのトランスフェクション試薬、エキソソーム(3μg)と混合して、DMEMで100μlにした。この溶液を、37℃で3時間インキュベートし、次いで、1μlのRQ DNアーゼI(Promega)及び10μlのRQ DNアーゼ緩衝液を添加して、37℃で10分間のDNアーゼ処理を行った。DNアーゼは、DNアーゼI保護アッセイの前に、又は24穴の型中のNeuro2A細胞若しくはC2C12細胞に全溶液を直接添加する前に、10μlのSTOP緩衝液(Promega)によって不活化された。3種の異なるトランスフェクション試薬(1:リポフェクトアミン2000(Invitrogen);2:TransIT LT1(Mirus Bio)3:TurboFect(Fermantas))を使用してエキソソーム中に開環状pEGFP−NADを送達し、予備的な結果により、試薬3は、有意なDNアーゼ保護をもたらすことが示唆され(図3d)、これにより、トランスフェクション試薬を使用してエキソソーム中に遺伝的積荷を取り込ませることができることが示唆される。トランスフェクション試薬単独での対照実験は、トランスフェクション試薬がそれ自体によって保護を与えるわけではないことが示しされているようである(図3c)。開環状プラスミドはエキソソームには大きすぎると予測されるという事実があるにもかかわらず、トランスフェクション試薬の添加は、エキソソームの大きさを増加させるさらなる疎水性分子を提供するだけでなく、プラスミドを凝縮するのにも貢献し得る。
【0081】
DNアーゼ保護アッセイ用に、エレクトロポレーションを行った溶液20μlを70μlの蒸留水、10μlのRQ DNアーゼ緩衝液及び1μlのRQ DNアーゼI(Promega)に添加して、37℃で10分間インキュベートした後に、10μlのSTOP緩衝液で反応を阻害した。10μlの各試料を、0.8%アガロースTAEゲル中の各レーン上で泳動させた。
【0082】
プロトコル:エキソソームによる、Neuro2A細胞及びC2C12細胞内への遺伝物質の送達
【0083】
エレクトロポレーション及びトランスフェクションによってエキソソームが容易にDNAプラスミドを取り込むことが見出されたので、本発明者らは、pEGFP−NADを取り込ませたエキソソームはin vitroで細胞をトランスフェクトすることができるであろうと仮定した。本発明者らは、トランスフェクション試薬3(図3c)を、エキソソームなしで、野生型エキソソーム又はpLamp2b−RVG(RVG−エキソソーム)若しくはpLamp2b−MSP(MSP−エキソソーム)でトランスフェクトした樹状細胞から回収したエキソソームと共のpEGFP−NADに添加し、pEGFP−NAD及びトランスフェクション試薬のみでの試料を含めて、インキュベート後混合物をDNアーゼ処理した。次いで、これらの細胞を、混合物で直接に2日間トランスフェクトし、その結果、qRT−PCRによるRNAレベル(図4b及び4c)及びGFP蛍光によるタンパク質レベル(図4a)のいずれにおいても、エキソソームは、標的細胞内へpEGFP−NADを効率よく移入したことが示唆される。さらに、結果より、RVG及びMSPのペプチドは、特異的にNeuro2A細胞及びC2C12細胞に対する親和性を増大させることによって、pEGFP−NADの取り込みを改良し、また、この現象は細胞型に依存していることが示唆される。
【0084】
エキソソームはもとよりDNAプラスミドを取り込み、RNAを包含することができること[26]を考慮に入れると、siRNAもエキソソームによって容易に取り込まれるはずである。本発明者らは、エキソソームは、siRNAも送達することができるであろうと仮定した。それゆえに、よく特徴付けされ、Cy5で標識された、GAPDHに対するsiRNA(Ambion)を、野生型エキソソーム、RVG−エキソソーム及びMSP−エキソソーム中にエレクトロポレーションして、Neuro2A細胞及びC2C12細胞に直接適用した。次いで、これらの細胞を、2日後に画像化し、siRNA及びエレクトロポレーションを行っていないエキソソームのみで処理した対照細胞と比較した場合に、より多い蛍光が示された(図5a及びb)。その後、エキソソームを用いた細胞のトランスフェクションのために同様なプロトコルを行い、18SのRNAに対して標準化したGAPDHのqRT−PCR(図5c及びd)により、標的化したエキソソームにおいて、2日後に、対照と比較して有意なノックダウンが示され、これにより、トランスフェクション後にsiRNAが細胞質中に放出されて内因性の標的を能動的に抑制すること、及びターゲティング部分がsiRNAを所望の細胞型に、すなわち、ニューロン特異的RVGをニューロンNeuro2A細胞に、筋肉特異的MSPをC2C12筋芽細胞に、効果的に送達することが示唆された。このノックダウンを、GAPDHタンパク質のウエスタンブロットでさらに確認した(図5e及びf)。
【0085】
特異的送達のさらなる証拠として、ネズミ科動物のシクロフィリンBに対する第2のsiRNA(PPIB)(Ambion)も同様にトランスフェクトし、qPCR及びウエスタンブロットによって測定されたように、同様なノックダウンパターンが示された(図6)。異なるエレクトロポレーションプロトコルの取り込ませる効率を定量化するために、いずれかの鎖上でCy3フルオロフォア及びCy5フルオロフォアで標識された、ネズミ科動物の3μgのPPIB siRNAを、例えば3μgのRVG−エキソソームと混合し、Eppendorf Hypoosmolar Bufferをベースとしたエレクトロポレーション緩衝液に添加して、Biorad GenePulsar II上で4mmキュベット中でエレクトロポレーションを行った。次いで、この混合物をPBSで希釈し、120,000gで60分間スピンダウンしてエキソソームを精製する。結果として生じたペレットを100μlの再蒸留水に再懸濁し、これにより、浸透圧によってエキソソームを溶解させて封入されたsiRNAがその中に放出されると予測される。次いで、560nmの励起及び610nmの発光で蛍光プレートリーダーを用いてsiRNA含有量を測定し、保持されたsiRNAを、水中の純粋なsiRNAの標準曲線に対して定量した。図7に示すように、最適なエレクトロポレーション設定である、400V及び125μFでのエレクトロポレーション後に、最初のsiRNAのうちの20%以上(0.73μg)が保持された。さらに、エレクトロポレーション緩衝液の量を減らすことによって混合物を濃縮することは、取り込ませる量を一定のレベルまで増加させるようであった。
【0086】
最後に、標識2’−OMeオリゴヌクレオチド(100pmol)及びPMO(100pmol)の正常エキソソームを用いたトランスフェクションをC2C12細胞において試み、適用の1日後に画像化した。2種の小さなオリゴヌクレオチド種のうち、2’−OMeオリゴヌクレオチドは、C2C12細胞内へ効果的に送達されるようであり(図8a)、一方、モルホリノ(PMO)送達は、未修飾エキソソームを用いたエキソソームを介した送達によって改良されないようである(図8b)。この試験から、本発明者らは、送達用のエキソソーム中に、2’−OMe、モルホリノ、チオヌクレオチド、化学的に改変されたsiRNA及びペプチド核酸を含む多様な非天然オリゴヌクレオチドを取り込ませることが可能であると考える。
【0087】
材料
【0088】
他に明記しない限り、全ての化学物質は、Sigma−Aldrich UKから入手し、使用した全ての酵素は、New England Biolabsから入手した。
【0089】
細胞培養
【0090】
樹状細胞は、DC培地(DMEM Glutamax、10%FBS、非必須アミノ酸#及び抗生物質)中で培養した。C2C12細胞は、20%FBS及び抗生物質を補ったDMEM Glutamax中で培養した。Neuro2A細胞は、10%FBSを補ったEMEM中で培養した。細胞は全て、5%CO中、37℃で培養した。
【0091】
プラスミド
【0092】
Lamp2bはC2C12細胞のcDNAを用いてクローニングされ、シグナルペプチド配列の後にグリシンリンカーと共にXhoI及びBspEIの制限酵素認識部位を挿入した。次いで、完全な構築物を、pEGFP−C1ベクター中にNheI及びHindIIIの制限酵素認識部位でCMVプロモーターの下流にクローニングし、この過程でeGFPを取り除いた。RVG[32]、MSP[33]及びFLAGタグをコードするように設計されたプライマーを使用して、Lamp2bのN末端のXhoIとBspEIとの間にターゲティングリガンドを導入した(図6a)。ペプチド用のプライマー配列は、
【0093】
【化1】

【0094】
【化2】

【0095】
【化3】

【0096】
【化4】

【0097】
【化5】

【0098】
【化6】

【0099】
【化7】

【0100】
トランスフェクション
【0101】
採取後4日目に、5μgのpEGFP−NAD又はpLamp2b誘導体及び5μlのTransIT LT1トランスフェクション試薬(Mirus Bio)を用いて、6穴プレート中、10細胞で、樹状細胞のトランスフェクションを行った。また、8日目に、エキソソームの単離を行う。
【0102】
逆転写qPCR
【0103】
逆転写は、500ngのRNA及びランダムプライマーを用いて、Precision Reverse Transcription Kit(Primer Design)を製造業者の説明に従って使用して行った。qPCR試験は、0.5nMの各プライマー及び2μlの各cDNA調製物を含む、20μlの反応物中で、Precision qPCR Mastermix(Primer Design)を製造業者の説明書に従って使用して、ABI7000サーマルサイクラー上で行った。
【0104】
qPCRプライマー配列
【0105】
【化8】

【0106】
【化9】

【0107】
【化10】

【0108】
【化11】

【0109】
【化12】

【0110】
マウスシクロフィリンB:Mm_PPIB_1_SG_Quantitect Primer Assay(Qiagen)
【0111】
ウエスタンブロッティング
【0112】
細胞試料及びエキソソームを、0.1%SDS、プロテアーゼ阻害剤混合物及びDNアーゼを含有する10mMトリス pH7.4緩衝液中に溶解した。試料を、NuPAGE(登録商標)Novex 4〜12% Bis−Tris Gel(Invitrogen)上で分離させて、PVDF膜(Amersham Biosciences)に転写した。次いで、この膜を、PBS中の10%ミルクで1時間ブロッキングして、抗−Lamp2抗体(Abcam)については1:5000、抗−GAPDH(Abcam)及び抗−シクロフィリンB(Abcam)については1:10000の希釈率で、一次抗体と共に90分間インキュベートした。膜を、1:5000希釈率のHRP結合二次抗体と共に室温で45分間インキュベートし、その後、フィルムの露光を行った。全てのステップの後に、PBSTで3回、それぞれ10分間の洗浄を行った。
【0113】
エキソソームを用いたトランスフェクション及びエレクトロポレーション並びにDNアーゼ保護アッセイ
【0114】
1μgのpEGFP−NADプラスミドを、1μlのトランスフェクション試薬、3μgのエキソソームと混合して、DMEMで100μlにした。この溶液を、37℃で3時間インキュベートし、次いで、1μlのRQ DNアーゼI(Promega)及び10μlのRQ DNアーゼ緩衝液を添加して、37℃で10分間のDNアーゼ処理を行った。DNアーゼは、24穴の型中のNeuro2A細胞に全溶液を直接添加する前に、10μlのSTOP緩衝液(Promega)によって不活化した。
【0115】
エキソソームは、200μlのエレクトロポレーション緩衝液(1.15mM リン酸カリウム pH7.2、25mM KCl、21% Optiprep)中6μgのタンパク質濃度まで取り込ませ、2μgのpEGFP−NAD又は100pmolのシクロフィリンsiRNAを加えて、混合し、4mmキュベット中でエレクトロポレーションを行った。DNアーゼ保護アッセイのために、エレクトロポレーションを行った溶液20μlを70μlの蒸留水、10μlのRQ DNアーゼ緩衝液及び1μlのRQ DNアーゼI(Promega)に添加して、37℃で10分間インキュベートした後に、10μlのSTOP緩衝液で反応を阻害した。10μlの各試料を、0.8%アガロースTAEゲル中の各レーン上で泳動させた。
【0116】
エキソソームを用いた、細胞のトランスフェクション
【0117】
100ul(エレクトロポレーション)又は全混合物(トランスフェクション)を完全培地中のNeuro2A細胞に添加した。siRNAの場合、24時間後に培地を交換する。エキソソームの添加の48時間後に細胞を回収した。
【0118】
エキソソームプルダウンアッセイ
【0119】
20μlのプロテインAセファロースビーズ(Sigma P9424)を、500μlのPBS及び2mg/mlのBSA中、4℃で一晩インキュベートした。このプロトコルでは、ビーズを、100g、4℃で2分間の遠心分離によるステップ中にペレット化させる。ビーズを、1mlのPBSで、各洗浄につき5分間、続けて3回洗浄した。1μlのウサギ抗−FLAG(Sigma F2555)又は1μlのウサギ抗−Ago1(Upstate 07−599)を、2mg/mlのBSAを含む100μlのPBS中、4℃で4時間、ビーズ上にロードし、ビーズを上記のように続けて3回洗浄した。正常エキソソーム及びFLAG−エキソソームを、200gで10分間遠心して混入している残屑を除去し、200μlのPBS中、10μg/mlのタンパク質濃度となるようにビーズに添加した。インキュベーション後、ビーズを上記のように続けて3回洗浄し、次いで、0.1%のSDS中に溶出させ、全ての上清をポリアクリルアミドゲルにロードした。エキソソームタンパク質であるLamp1に対するウエスタンブロットを用いて、抗体によってプルダウンされたエキソソームの存在を検出した。
【0120】
統計
【0121】
他に明記しない限り、全ての試験を三重で実施した。本報告書中で用いている全てのエラーバーは、標準偏差である。データの統計解析は、SPSSプログラム16.0を使用して、ノンパラメトリックKrusckal Wallis検定を用い、続いてMann−Whitney U検定を用いることによって行った。
【0122】
エキソソームを介した、脳に対するsiRNAの標的化全身性送達
【0123】
上記のように、免疫学的に不活性なエキソソームをネズミ科動物の骨髄由来の樹状細胞から採取し、これらのエキソソームの組織特異性を変えるために、ターゲティング部分−筋特異的ペプチド(MSP)及びニューロン特異的狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)、をエキソソーム膜タンパク質であるLamp2b上に遺伝子的に改変した。エキソソームを介した、in vivoでの全身性siRNA送達の可能性を調べ、組織分布の特性を決定するために、高発現される遍在性のハウスキーピングGAPDH遺伝子を標的として選択した。本発明者らは、150μgの最適化したGAPDH siRNAを、未改変のエキソソーム、RVG−エキソソーム又はMSP−エキソソームのいずれかの150μgと共にエレクトロポレーションし、次いで、これらのエキソソームを超遠心によって精製して、封入されていない上清中のsiRNAを除去した。C57BL/6マウスにお静脈注射する前に、エキソソームを80μlの5%グルコース中に再懸濁した。裸のsiRNA(150μg)の注射は、報告されている尾静脈送達後のsiRNA隔離[42]と一致して、脾臓、肝臓及び腎臓における検出可能なGAPDHのサイレンシングという結果をもたらした(図9a)。これに対して、エキソソームに封入されたsiRNAは、これらの器官に対する天然の親和性を有していないようであり、非特異的な取り込みに対して耐性であった。未修飾のエキソソームの全身性投与は、解析したいずれの器官においても、GAPDHサイレンシングを誘導しなかった(図9b)。MSP−エキソソームの注射は、脳及び腎臓において、わずかな、しかし有意ではないGAPDHのサイレンシングを生じたのに対し(図9c)、RVG−エキソソームの注射は、RVGリガンドの標的−ニコチン性アセチルコリンレセプターを発現させている組織[32]であるいくつかの脳領域において、GAPDHのmRNAの有意なノックダウンという結果をもたらした(図9d)。また、本発明者らは、注射の3日後に、腎臓において、GAPDHのmRNAレベルの有意ではない低下も認めた。MSP−エキソソームではin vivoでの組織特異性が認められなかったが、相対的に弱いMSPのターゲティング能力[43]及び筋肉組織の存在量の多さによって、筋肉細胞中で平均siRNA濃度がかなり低くなるため、それと一致してより低い遺伝子ノックダウンの結果となっている可能性もある。
【0124】
本発明者らは、次に、エキソソームの再投与が、ウイルス[44、45]及びリポソームにおいて以前に記載されている、導入遺伝子送達効率の低下につながるかどうかを調べた。本発明者らは、この疑問を評価するために、2つの異なる試験を設計した。第一に、本発明者らは、空のRVG−エキソソームを動物に予め接種することが、送達の効力を低下させるかどうかを調べた。これらの動物に、エレクトロポレーションを行った、GAPDH siRNAを含んでいるRVG−エキソソームの注射の3週間前及び2週間前に、同じ用量で空のRVG−エキソソームを注射した。次いで、これらの動物を3日後に屠殺し、脳のGAPDHのノックダウンを評価した。結果より、未感作マウスと感作マウスとの間のサイレンシング効力における最低限の低下が示され(図9d対9e)、標的化エキソソームは送達効力を失うことなく複数回再投与することができることが実証された。最後に、結果を確認するために、本発明者らは、GAPDHのsiRNAを同じ濃度で含んでいる2種類の用量のRVG−エキソソームを3匹のマウスに注射した。動物は、組織採取の7日前及び3日前に注射され、脳におけるGAPDHのmRNA及びタンパク質のノックダウンを評価した。GAPDH mRNA(50.2%±9.1%、p<0.05)及び皮質内のタンパク質レベル(19.6%±2.3%、有意でない)で、ノックダウンが認められた(図9f、g)。これらの試験より、前記の結果が実証され、RVG−エキソソームは送達効力を失うことなく複数回再投与することができ、長期の標的サイレンシングを可能にすることが示された。
【0125】
GAPDHでのノックダウンの成功を考慮に入れて、アルツハイマー病(AD)の病因における重要な酵素であるBACE−1を、本技術の治療可能性を評価するための標的とした。APPを過剰発現している遺伝子導入マウス[46、47]及び正常マウス[48]における過去の試験により、BACE−1は、抗−ADの治療の介入に有力な候補であることが示唆されている。本発明者らは、in vitroで以前に実証されている、2種類のBACE−1 siRNAを正常C57BL/6マウスに送達した。150μgのRVG−エキソソーム及び150μgの各BACE−1 siRNAにエレクトロポレーションを行い、精製し、送達前に5%グルコース中に再懸濁した。投与3日後の皮質における有意なmRNA(72%±18%)及びタンパク質(60%±13%)のノックダウン(図9h、i)。さらに、本発明者らは、アルツハイマーの病状におけるアミロイドプラークの主要成分である、β−アミロイド1〜42の合計含有量における20%の減少を示した(図9j)。この結果は、BACE−1阻害剤の脳室内注射後の正常マウスにおいて示されているβ−アミロイド1〜40の減少と比較可能である[48]。この試験は、神経変性疾患に関する遺伝子の長期サイレンシングに理想的には適している可能性のある、本技術の治療可能性を示した。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
外因性遺伝物質を取り込ませたエキソソームを含む組成物。
【請求項2】
前記エキソソームが樹状細胞に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記外因性遺伝物質が、治療用タンパク質又は免疫原をコードしているDNAプラスミドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記外因性遺伝物質がsiRNAである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記プラスミドが、遺伝子療法の方法において使用される治療用タンパク質をコードする、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記プラスミドが、免疫原に対する免疫応答を引き起こす方法において使用される、前記免疫原をコードする、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記エキソソームが、前記エキソソームの表面で発現されるターゲティング部分を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ターゲティング部分が、標的とされる細胞上に存在する部分に結合するペプチドを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記エキソソームが、改変されて前記ペプチドターゲティング部分を組み込んでいるエキソソーム膜貫通タンパク質を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記エキソソーム膜貫通タンパク質が、Lamp−1、Lamp−2、CD13、CD86、フロチリン、シンタキシン−3から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記エキソソーム膜貫通タンパク質がLamp−2bである、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
in vivoで遺伝物質を送達する方法において使用される、前記遺伝物質を包含するエキソソームを含む組成物であって、前記エキソソームが未成熟樹状細胞に由来する、組成物。
【請求項13】
ヒト以外の動物モデルにおける遺伝子サイレンシングの方法であって、請求項4に記載のエキソソームを前記動物に投与するステップを含み、前記siRNAが、サイレンシングされる遺伝子を対象とする方法。
【請求項14】
エキソソームに遺伝物質を取り込ませる方法であって、エキソソームの組成物を提供するステップと、エレクトロポレーションによって前記エキソソームに遺伝物質を取り込ませるステップとを含む、方法。
【請求項15】
エレクトロポレーションが20v/cm〜100v/cmの間の電圧で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エキソソームに遺伝物質を取り込ませる方法であって、エキソソームの組成物を提供するステップと、カチオン性リポソームトランスフェクション剤を使用して、トランスフェクションによって前記エキソソームに核酸を取り込ませるステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記エキソソームが樹状細胞に由来する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−524052(P2012−524052A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505223(P2012−505223)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000762
【国際公開番号】WO2010/119256
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(503342649)アイシス イノヴェイション リミテッド (13)
【Fターム(参考)】