説明

還元炉の操業方法

【課題】加熱炉を含む製造設備を有するプラント系において、その系外への排水を実質的に無くすことができ、それにより清澄化設備を不要とし得、また、従来清澄化設備で発生していた固形スラッジなどを無くすことができ、鉄分や亜鉛分などを固形スラッジの形で集めるのではなく、処理または再利用しやすい形態の飛灰として回収することができる技術を提供する。
【解決手段】還元炉の排ガスを冷却塔内にて処理する還元炉の操業方法であって、前記還元炉で製造された還元鉄および/またはその原料の一部と接触した水を、濾過することなく、前記冷却塔内の排ガスに噴霧し蒸発させることにより排ガス中の固形分ダストを除去することを特徴とする還元炉の操業方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元炉の操業方法に関する技術分野に属し、特には、還元炉を含む製造設備内における用水のブローダウン水の処理方法および還元炉からの排ガスの冷却方法に関する技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
プラントで使用する用水は、用途によって一以上の系統からなる。例えば、還元鉄製造設備においては、機器の間接冷却水、プロセス水と呼ばれる直接冷却水がある。また、脱ハロゲン・脱アルカリなどを行う場合には、アルカリやハロゲンを含んだ洗浄水がある。また、ボイラーに使用するボイラー水がある。これらの用水は原水の供給量が限られるために通常プラント内で循環使用される。これらの用水はそれぞれ水質が異なっており別々に処理されるが、循環使用を繰り返すにつれて濃縮度が高まる。このため、いずれも濃縮度をおさえるために通常ブローダウン、即ち、排水を行う。
【0003】
例えば、間接冷却水は還元鉄等の被冷却物と直接は接触しないため、比較的懸濁物質(suspended solids;SS)等の浮遊物質(以下、単に浮遊物質という)の混入が少ないものの、繰り返し使用される間に溶解塩類の濃度が高くなり、ついには飽和濃度になってそれらが析出したり、また、水質によっては腐食性が強くなるため、濃縮度を一定以下に抑える必要があり、最終的にはブローダウンが必要になる。
【0004】
プロセス水(直接冷却水)は被冷却物と直接接触するため、浮遊物質が多くなり、沈降分離式の固液分離装置などを設置して浮遊物質を沈降・除去して、浮遊物質含有量を低減したプロセス水を循環利用する。このとき、浮遊物質を多く含んだブローダウン、即ち、系外への排水が必要になる。脱ハロゲン・脱アルカリを行う場合は、溶解塩の濃度が高くなるので、脱塩のためのブローダウンが避けられない。ボイラー水では、固形分量の蓄積を避けるため、あるいはアルカリやシリカなど特殊成分の濃度上昇を抑えるため、ブローダウンは不可欠である。
【0005】
以上のように、用水系統においてはブローダウンが必ずといっていいほど必要になる。
【0006】
このようなブローダウンに際し、プラント全体としてみた場合、プラントから排出される水の量は少ない方が良いのはもちろんであるが、排水する水質も制限される。これらの規制は地域によって異なるが、例えば浮遊物質を多く含む用水は凝集、沈降、ろ過などの操作で清澄化する必要がある。清澄化設備は複数のプラントで共用する場合も多い。
【0007】
一方、加熱炉からの排ガスは、通常、大気に排出するまでに何らかの方法で冷却される。この冷却方法としては、他の流体と熱交換をしたり大気を導入して希釈するなどの方法があるが、水を噴霧することが容易で効果も顕著であるため、よく行われている。
【0008】
このような排ガスの冷却の具体例としては図4に示すものがある。これは、還元鉄を製造する回転炉床炉の排ガスを水スプレーを用いて冷却するものである。この場合、通常、スプレー水としては原水(SS:5mg/L以下)を用いる。原水を使用する理由はいくつかあり、その理由としては、(1) スプレー水として原水ではなく、浮遊物質を含む水を使用すると、浮遊物質も排ガスに吹き込まれ、浮遊物質が飛灰として集じん設備で捕集され好ましくないこと、即ち、通常の飛灰はその性質に応じて適当な処理方法で処理されるが、飛灰の量が増えるのが好ましくなく、又、性質の異なる飛灰が混入することが嫌われることや、(2) スプレー水として原水ではなく、カルシウム硬度や浮遊物質の高い水を使用すると、スケールを生成して配管閉塞を引き起こす可能性があること等があげられる。
【0009】
一方、濃縮度を一定以下に保つために間接冷却水と直接冷却水のブローダウンはプラントから系外へ排出される。還元鉄製造設備から排出されるブローダウンで排出規制がかかる項目としては、浮遊物質量や亜鉛などがある。通常、浮遊物質の排出量は200mg/L(日平均150mg/L)以下、亜鉛は5mg/L以下に規制されている。地域や業種によっては更に厳しい規制がかかり、例えば排水量の多い鉄鋼業などは浮遊物質を40mg/L以下に制限される地域もある。
【0010】
直接冷却水中の浮遊物質は多いので、清澄化設備が必要になる場合が多い。浮遊物質は清澄化設備で固形スラッジなどの形で集められる。製鉄ダストを製鉄原料とする場合、間接冷却水や直接冷却水に亜鉛分が混入する可能性がある。ブローダウン中の亜鉛分が高い場合は排出規制値以下に抑える必要がある。亜鉛分を除去する方法としてはアルカリを加えて沈殿させる沈殿法やイオン交換法などがあるが、設備費や運転費がかかる。
【特許文献1】特開2001-26426号公報
【特許文献2】特開平10-337432 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年環境への影響を最小限にするために排水量を減らすことが社会的に要請されている。通常のプラントにおいては、用水の系統ごとにブローダウンを行うため、排水量が多く、また、排出のために清澄化設備が必要になり、鉄分や亜鉛分などを含む固形スラッジが発生するという問題点がある。また、鉛、六価クロムなどの除去やBOD,CODの低減処理が必要になることもある。
【0012】
一方で、排ガス冷却のための噴霧水に原水を使用すると、水の使用量が増加し操業コストが高くなるという問題点がある。
【0013】
なお、排ガス冷却のための噴霧水として、原水ではなく、カルシウム硬度や浮遊物質の高い水を使用すると、前述の如く、スケールを生成して配管閉塞を引き起こす可能性がある。この回避策に少し関連する技術として、分野は異なるが、特開2001-26426号公報記載の技術がある。この特開2001-26426号公報記載の技術は、培焼炉への廃塩酸溶液の高圧スプレーラインでSiO2やCaO が配管内で析出成長し配管が閉塞したり、あるタイミングで剥離してノズルを閉塞することによる操業停止を回避するために液体サイクロンを設置して固形物を除去するというものである。しかしながら、この技術においては、液体サイクロンと沈降分離装置の組み合わせからとれるスケールの量は濃度が低いためにわずかであり、また、固形物の排出箇所が増えるために操業の負荷が増し、さらに設備費が高価であるという問題点がある。
【0014】
また、排ガス冷却に関連する技術として、特開平10-337432 号公報記載の排ガス処理方法がある。これは、熱設備から排出される排ガスを処理する排ガス処理方法において、排ガスを湿式集塵機−ベンチュリスクラバーで集塵処理をし、水冷却器で冷却した循環水と共にガス冷却器に導入して低温の飽和ガスに冷却処理をし、加熱装置で所定温度に加熱処理をし、バグフィルタに導入して粉塵捕集処理をするものである。しかしながら、この方法においては、高温排ガスをベンチュリスクラバー、ガス冷却器で一旦冷却した後、加熱装置で加熱処理するため、操業コストが高くなり、また、設備費も高価になるという問題点がある。
【0015】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、還元炉を含む製造設備を有するプラント系において、その系外への排水を実質的に無くすことができ、それにより清澄化設備を不要とし得、また、従来清澄化設備で発生していた固形スラッジなどを無くすことができ、鉄分や亜鉛分などを固形スラッジの形で集めるのではなく、処理または再利用しやすい形態の飛灰として回収することができる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成することのできた本発明に係る技術は還元炉の操業方法に係わり、具体的には、本発明に係る還元炉の操業方法は請求項1記載の還元炉の操業方法であり、それは次のような構成としたものである。
【0017】
即ち、請求項1記載の還元炉の操業方法(本発明に係る還元炉の操業方法)は、還元炉の排ガスを冷却塔内にて処理する還元炉の操業方法であって、前記還元炉で製造された還元鉄および/またはその原料の一部と接触した水を、濾過することなく、前記冷却塔内の排ガスに噴霧し蒸発させることにより排ガス中の固形分ダストを除去することを特徴とする還元炉の操業方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る還元炉の操業方法によれば、還元炉を含む製造設備を有するプラント系において、その系外への排水を実質的に無くすことができ、それにより清澄化設備を不要とし得、また、従来清澄化設備で発生していた固形スラッジなどを無くすことができ、従来清澄化設備で固形スラッジとして回収していた鉄分や亜鉛分などを処理または再利用しやすい形態の飛灰として回収することができるようになり、更には、排水中の浮遊物質が還元炉からの排ガス中の固形ダストと衝突して固形ダストの運動エネルギーを低減させ、これにより還元炉外に設置される冷却塔での集じん効率を高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
酸化金属還元用移動型炉床炉の如き加熱炉を有する製造設備内における用水のブローダウン水を、前記加熱炉から炉外に排出される排ガスに対して噴霧し蒸発させ、これにより排ガス中の固形分ダストを除去する(この技術を、以下、基本発明の技術という)。
【0020】
上記基本発明の技術によれば、加熱炉を含む製造設備(以下、プラントともいう)からのブローダウン水(排水)を前記加熱炉から炉外に排出される排ガスに対して噴霧し蒸発させることにより、プラント系外への排水を実質的に無くすこと(排水量を可能なかぎりゼロに近づけること)ができ、それにより清澄化設備も不要になる。また、従来清澄化設備で発生していた固形スラッジなどを無くすことができ、従来清澄化設備で回収していた鉄分や亜鉛分等の固形物は前記加熱炉の排ガス系統の冷却塔等で飛灰として集じんし、回収することができる。更に、ブローダウン水に含まれる浮遊物質は排ガス中の固形ダストとの衝突により、固形ダストの運動エネルギーを低減させ、これにより加熱炉外に設置される冷却塔での集じん効率を高めることができる。
【0021】
本発明に係る還元炉の操業方法は、前述のように、還元炉の排ガスを冷却塔内にて処理する還元炉の操業方法であって、前記還元炉で製造された還元鉄および/またはその原料の一部と接触した水を、濾過することなく、前記冷却塔内の排ガスに噴霧し蒸発させることにより排ガス中の固形分ダストを除去することを特徴とする還元炉の操業方法である。つまり、前記基本発明の技術での加熱炉が酸化金属還元用の移動型炉床炉等の還元炉であることに特定すると共に、前記基本発明の技術での排ガスに噴霧するブローダウン水(排水)が還元炉で製造された還元鉄および/またはその原料の一部と接触した水(以下、直接冷却水ともいう)であることに特定したものである。このように加熱炉が還元炉である場合、還元炉および周辺設備に使用される直接冷却水の中に、該還元炉で扱われる金属またはその化合物を含む浮遊物質が多く含まれており、この直接冷却水を使用することで集じん効率を高めることができ、また、還元炉から排ガスに飛散するダストの成分が該還元炉で取り扱われる金属またはその化合物を含む点で直接冷却水中の浮遊物質とほぼ同じであるので、排ガスで捕集されるダストの組成が変わらず、このため飛灰の処理の際に分離など特別な処理が必要とならない。特に、排水中に亜鉛を含む場合、排水から亜鉛を除去するための特別な操作を必要とせずに、亜鉛を回収できる。このような種々の作用効果を奏する。
【0022】
用水のうち浮遊物質:20mg/L(:mg/リットル)以上を含む直接冷却水を冷却塔内の排ガスに噴霧し蒸発させることにより、排ガス中の固形分ダストを除去する。このように浮遊物質:20mg/L以上の直接冷却水を噴霧することにより、浮遊物質と排ガス中の固形分ダストの衝突で固形分ダストの運動エネルギーが減少し、集じん効率が増す。このため、例えば、簡易な粗集じん方式である重力式・慣性式・遠心力式での集じんが可能となる。これにより、後段のバグフィルタなどで捕集される亜鉛などの濃度を増すことができる。
【0023】
本発明において、排ガス系統の複数のガス温度の位置に冷却水を噴霧する冷却塔を設置する場合においては、プラント内の用水のブローダウンを複数に分け、そのうち浮遊物質を多く含む水をガス温度の高い位置の冷却塔のみに噴霧するようにし、浮遊物質の少ない水をガス温度の低い位置の冷却塔に噴霧するようにすることが望ましい。その理由を以下記述する。排ガス温度の低い位置に噴霧する水は、冷却塔の大きさを大きくすることなく、水粒子を完全に蒸発させるためには、水の粒子径を小さくする必要がある。このため、ノズル径や配管径が小さくなり、スケールの形成による配管閉塞のおそれがある。浮遊物質の含有量が多い水をガス温度の高い位置の冷却塔に使用し、浮遊物質の少ない水をガス温度の低い位置の冷却塔に使用することにより、配管閉塞などのトラブルが減少する。
【0024】
浮遊物質を多く含むプロセス水と浮遊物質を多く含まない水を同じ冷却塔に使用し、その冷却塔でのガス温度をこれらの水により制御する場合、このガス温度を浮遊物質を多く含まない水の量で制御することが望ましい。それは、浮遊物質の量が多い水(SS:20mg/L以上)の水量を増減させると、配管内での流速が変動し、スケールが形成されたり、配管磨耗が発生したりするが、浮遊物質の量が多い水の流量を変化させないことで配管トラブルが減少するからである。
【実施例】
【0025】
〔実施例1〕
実施例1に係る還元炉の操業方法に関する技術概要を模式的に図1に示す。実施例1は製鉄ダストから還元鉄製造用の還元炉に適用した例である。即ち、還元炉が還元鉄製造用の還元炉(回転炉床炉)である場合の本発明の適用例である。その詳細を以下に説明する。
【0026】
還元炉(回転炉床炉)で製造された還元鉄は直接冷却水によって冷却される。このほか還元炉の水封に使用する水も、直接原料や製品の一部と接触するため、直接冷却水としている。本実施例では、直接冷却水中の浮遊物質は180mg/L(:mg/リットル)であり、また、その中の鉄分は60mg/Lである。
【0027】
還元炉からの排ガスを冷却塔に導くと共に、還元炉で製造された還元鉄の冷却および還元炉の水封に使用された水(用水のブローダウン水)即ち直接冷却水を冷却塔に導き、この直接冷却水を冷却塔内で前記排ガスに対して噴霧し蒸発させる。
【0028】
排ガスは、冷却塔内で冷却調温されると共に慣性集じんにより固形分が除去され、次いで、冷却塔の後段の集塵機で除塵される。
【0029】
製鉄ダストの還元炉からの排ガスには鉄分などの固形分と、亜鉛のように炉内で揮発して排ガス中で冷却されたり反応したりするにしたがって固化する成分とがある。本実施例では、冷却塔で慣性集じんにより固形分を除去している。これに代えて、重力集じんや遠心力集じんを行うことも可能である。
【0030】
後段の集塵機にはバグフィルタを使用し、亜鉛分などを除去している。バグフィルタのかわりにスクラバーや電気集塵機を使用することも可能である。
【0031】
直接冷却水中に含まれる浮遊物質は、冷却塔内で慣性集じんによりガスから分離され回収できる。また、このとき浮遊物質と排ガス中の固形分ダストの衝突で固形分ダストの運動エネルギーが減少し、固形分ダストの集じん効率が高まる。
【0032】
後段のバグフィルタで捕集されるダストは亜鉛精錬の原料となるが、このダストに混入する固形分ダストを前記固形分ダストの集じん効率の向上により減少させることができ、これにより亜鉛の濃度を高めることができる。
【0033】
本実施例において浮遊物質180mg/L(その中、鉄分60mg/L)の直接冷却水を冷却塔内に吹き込み噴霧したとき、冷却塔で集じんされたダストは1週間で約4.2t(トン)、バグフィルタで集じんされたダストは1週間で約46.5tであった。これに対して、原水を冷却塔内に吹き込んだとき、冷却塔で集じんされたダストは1週間で約3.5t、バグフィルタで集じんされたダストは1週間で約46.9tであった。そして、直接冷却水を噴霧した場合、約300kgのダストが直接冷却水から固形ダストとして回収できた。このように、それぞれに捕集されたダストは直接冷却水を用いた場合と原水を用いた場合とで組成に大きな差はみられず、同等の処理ができた。
【0034】
〔参考例1〕
参考例1に係る還元炉の操業方法に関する技術概要を模式的に図2に示す。参考例1は実施例1の排ガス設備に廃熱回収設備をつけて熱回収を行ったものである。その詳細を以下に説明する。
【0035】
最上流側の冷却塔の下流側に設けられた熱交換器の後段にも冷却塔を設置し、バグフィルター(集塵機)前の温度を調整している。ただし、本参考例1では、後段の冷却塔には間接冷却水のブローダウン水を使用している。これは、次のような理由による。
【0036】
後段の冷却塔でのガス温度が前段の冷却塔の場合に比べて低く、出口温度で150〜300℃であるので、冷却塔の大きさをあまり大きくせずに、水粒子を完全に蒸発させるためには、水の粒子径を小さくする必要があり、このため前段の冷却塔の場合に比べて細かな噴霧ノズルを使用することが必要であり、このため直接冷却水のような浮遊物質を多く含む水を使用した場合にはノズルや配管の閉塞のおそれがあり、このようなトラブル発生を避けるために浮遊物質量が少ない間接冷却水を使用しているのである。なお、前段の冷却塔の出口温度は350〜600℃である。また、後段の冷却塔で噴霧する間接冷却水に含まれる浮遊物質は10mg/Lで、直接冷却水に比べてはるかに少ない。
【0037】
〔参考例2〕
参考例2に係る還元炉の操業方法に関する技術概要を模式的に図3に示す。参考例2は、参考例1での前段の冷却塔(最上流側の冷却塔)で噴霧する水として直接冷却水と間接冷却水とを用いたものである。この詳細を以下説明する。
【0038】
冷却塔での排ガスの温度制御は噴霧水量で行うが、浮遊物質を多く含む直接冷却水の水量を下げると、配管内の流速が下がりスケールが堆積し、その逆に流量を上げると、配管内の流速が上がり配管の磨耗を促進する恐れがある。そこで、本実施例では、前段の冷却塔に噴霧する直接冷却水の量を一定に保ち、前段の冷却塔に噴霧する間接冷却水の量を増減させて排ガスの温度制御を行った。これにより、直接冷却水の水量を増減させることがなくなり、スケールの堆積や配管の磨耗を防ぐことができる。
【0039】
なお、直接冷却水を噴霧するノズルの本数を必要本数以上として順次切り替えて使用したり、配管系統にバイパスラインを設置して切り替えて使用することにより、運転を停止することなく清掃を行えるようにすると更によい。これは実施例1、参考例1、参考例2において共通していえることである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る還元炉の操業方法は、前述のような作用効果を奏するので、好適に用いることができて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1に係る還元炉の操業方法に関する技術の概要を模式的に示す図である。
【図2】参考例1に係る還元炉の操業方法に関する技術の概要を模式的に示す図である。
【図3】参考例2に係る還元炉の操業方法に関する技術の概要を模式的に示す図である。
【図4】従来例に係る還元炉の操業方法に関する技術の概要を模式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元炉の排ガスを冷却塔内にて処理する還元炉の操業方法であって、前記還元炉で製造された還元鉄および/またはその原料の一部と接触した水を、濾過することなく、前記冷却塔内の排ガスに噴霧し蒸発させることにより排ガス中の固形分ダストを除去することを特徴とする還元炉の操業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−190861(P2008−190861A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76138(P2008−76138)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【分割の表示】特願2001−221733(P2001−221733)の分割
【原出願日】平成13年7月23日(2001.7.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】