説明

部分的に圧潰可能な半剛性ボトル

栄養成分および他の液体を提供するための部分的に圧潰可能なボトル(10)および部分的に圧潰可能なボトルの使用方法が提供される。実施形態の全般において、本開示は、剛性壁(20)および半剛性壁(30)を有するボトル(10)を提供する。半剛性壁(30)は、圧潰状態で剛性壁(20)の内側に適合するように構成および配置される。ボトル(10)は、例えば、約100mL〜約5000mLの適当な容量を保つようにサイズを決定されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、健康および栄養に関する。より具体的には、本開示は、栄養成分および他の液体の貯蔵および投与に有用なボトルおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]食物または他の形式の栄養を経口摂取できない哺乳動物、(人の)患者などへの栄養成分の投与は、しばしば非常に重要である。例えば、口より下の個所の消化器へ食物を直接堆積させる補給チューブを有する経腸ボトルは、患者が食物を経口摂取できない期間または経口摂取を拒む期間に生命を持続させるためにしばしば使用される。ボトル、補給チューブ、および他の人工的な投与システムおよび投与経路は、急性疾患の治療中に一時的に使用できる。慢性疾患の場合、このようなシステムおよび経路は、患者の余命期間にわたって持続する治療計画の一部として使用できる。使用期間にかかわらず、これらの装置は、患者に栄養補給するための唯一の手段をしばしば提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]しばしば「フォーミュラ(formula)」と称される液体栄養成分は、一般に補給容器に貯蔵されて患者に投与される。従来の剛性のフォーミュラ容器は、特に臨床現場における欠点を有する。例えば、尖った物による容器の穴あけは、複数の要素の収集および取扱いを伴うので、栄養成分への汚染物質の混入の機会をもたらす。さらに、フォーミュラが患者に投与されるときに、剛性ボトル中に残された空間は、微生物、特に細菌が集まる空間を提供し、これにより、フォーミュラが汚染され、場合によっては、溶液の開封後期限(hang time)が減少する。フォーミュラが患者に摂取される直接経路を考慮すると、汚染されたフォーミュラは、治療が困難である深刻な院内感染を含む感染を引き起こす。汚染されたフォーミュラは、補給チューブ内における微生物の成長を引き起こし、チューブの水洗および/または交換が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示は、栄養成分および他の液体を提供するための部分的に圧潰可能なボトルおよび部分的に圧潰可能なボトルの使用方法に関する。実施形態の全般において、本開示は、剛性壁および半剛性壁を有するボトルを提供する。半剛性壁は、圧潰状態で剛性壁の内側に適合(adapt)するように構成(construct)および配置(arrange)される。ボトルは、例えば、約100mL〜約5000mLの適当な容量を保つようにサイズを決定されうる。
【0005】
[0005]一実施形態において、半剛性壁は、約15mbar〜約80mbarの範囲の加圧により圧潰可能である。半剛性壁は、約40mbar〜約60mbarの範囲の加圧で圧潰可能でもよい。さらに、半剛性壁は、約45mbar〜約55mbarの範囲の加圧で圧潰可能でもよい。半剛性壁は、約50mbarの加圧で圧潰可能でもよい。
【0006】
[0006]一実施形態において、半剛性壁は、剛性壁の表面積よりも大きいまたは等しい表面積を有する。剛性壁および半剛性壁は、ボトルの対向する面を形成しうる。一実施形態において、半剛性壁は、襞付けされていない。
【0007】
[0007]他の実施形態において、本開示は、首部を形成しかつ剛性壁を有する本体を有する経腸ボトルを提供する。半剛性壁は、圧潰状態で剛性壁の内側に適合するように構成および配置される。首部には、蓋部が取り付けられる。蓋部からは、経腸補給チューブが延びる。
【0008】
[0008]他の実施形態において、本開示は、非経口投与のために患者に栄養成分を供給する方法を提供する。本方法は、容器に栄養成分を充填することを含む。容器は、剛性壁および半剛性壁を有する。半剛性壁は、圧潰状態で剛性壁の内側に適合するように構成および配置される。本方法は、容器から延びる経腸補給チューブを通じて栄養成分を患者に経腸投与することをさらに含む。
【0009】
[0009]さらに他の実施形態において、本開示は、患者への投与のための経腸補給フォーミュレーション(formulation)の汚染の可能性を低減する方法を提供する。本方法は、経腸ボトルに栄養成分を充填することを含む。経腸ボトルは、剛性壁および半剛性壁を有する。半剛性壁は、圧潰状態で剛性壁の内側に適合するように構成および配置される。本方法は、栄養成分を患者に経腸投与することをさらに含む。半剛性壁は、栄養成分が投与されるにつれて圧潰するように構成および配置される。
【0010】
[0010]本開示の一利点は、改良された部分的に圧潰可能なボトルを提供することである。
【0011】
[0011]本開示の他の利点は、改良された経腸補給ボトルを提供することである。
【0012】
[0012]本開示のさらに他の利点は、汚染を最小化する改良された経腸栄養の投与方法を提供することである。
【0013】
[0013]本開示のさらに他の利点は、患者への空気の投与量を最小化する改良された経腸栄養の投与方法を提供することである。
【0014】
[0014]他の特徴および利点は、ここで説明され、以下の詳細な説明および図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の一実施形態に係るボトルの斜視図である。
【図2】本開示の一実施形態に係るボトルの圧潰状態における斜視図である。
【図3】本開示の一実施形態に係る、投与アセンブリに接続されたボトルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0018]本開示は、栄養成分および他の流体を供給するための部分的に圧潰可能なボトルに関する。ボトルは、栄養成分または流体がボトルから個体または患者へ投与されながら部分的に圧潰するように、構成および配置される。これによって、ボトルは、投与中における汚染物質および空気の進入を防止できる。
【0017】
[0019]ここで、用語「栄養成分(nutritional composition)」は、非限定的に、完全な栄養成分、部分的または不完全な栄養成分、および疾患専用または症状専用の栄養成分を含む。完全な栄養成分(つまり、必須の主要栄養素および微量栄養素を全て含む栄養成分)は、患者のための単独の栄養源として使用できる。患者は、このような完全な栄養成分から栄養所要量を100%入手できる。部分的または不完全な栄養成分は、必須の主要栄養素および微量栄養素を全ては含有しておらず、患者のための単独の栄養源としては使用できない。部分的または不完全な栄養成分は、栄養補助剤として使用できる。
【0018】
[0020]ここで、用語「微生物(Microbeまたはmicrobial)」は、微小な(通常、裸眼で視認するには小さ過ぎる)生物を意味し、細菌、真菌、古生菌、原生生物、ならびに、プランクトン、プラナリアおよびアメーバなどの微小植物(緑藻類と称される)および微小動物、ウイルス、および感染または疾患を発生可能な非生物を含む。
【0019】
[0021]疾患専用または症状専用の栄養成分は、栄養または薬剤を投与する成分であり、完全または部分的な栄養成分でありうる。疾患専用または症状専用の栄養成分は、術後感染症を低減するためにNestle Nutrition社から販売されているImpact(登録商標)、糖尿病または高血糖症の人のために同社から販売されているDiabetisource AC(登録商標)、および肺疾患症の患者または人工呼吸器を必要とする人のために同社から販売されているNovasource(登録商標)Pulmonary等、所定の状況を補助するために作られた成分である。
【0020】
[0022]図1、図2に示すように、一実施形態において、本開示は、剛性壁20および半剛性壁30を有するボトル10を提供する。半剛性壁30は、圧潰形態(図2参照)で剛性壁20の内側22に適合するように構成および配置される。半剛性壁30は、半剛性壁30と剛性壁20の境界をなす折畳み線40まで、全面に沿って圧潰しうる。ボトル10は、ボトルが完全に充填されるとき、部分的に充填されるとき、または空のときに立て置きできるように幅広な基部を有しうる。
【0021】
[0023]ボトル10は、ボトル10の首部14に取り付けられる気密性の蓋部50をさらに含みうる。蓋部50は、補給アセンブリまたは補給チューブへの接続を容易にするための通路を形成する立上部52を含みうる。
【0022】
[0024]ここで、用語「半剛性壁」は、柔軟性/伸縮性を有し、圧力を加えられた後に元の形状または位置に復帰しない材料を意味する。ここで、用語「剛性壁」は、堅くまたは曲がり、圧力を加えられた後に元の形状またはほぼ元の形状に復帰する材料を意味する。
【0023】
[0025]半剛性壁30は、ボトル10に対する所望の陰圧(吸引/真空など)または陽圧(圧縮など)で部分的または完全に圧潰するように構成および配置されうる。例えば、圧力は、ボトル10の内容物を患者に投与中にボトル10から栄養成分/液体が取り除かれることで生じうる。よって、栄養成分/液体が取り除かれるときに、真空圧が半剛性壁30を圧潰させ、ボトル10の内側に空気が侵入しない。あるいは、圧力は、半剛性壁30の外側を圧迫または圧縮することで生じうる。
【0024】
[0026]一実施形態において、半剛性壁30は、約15mbar〜約80mbarの範囲の加圧で圧潰可能である。半剛性壁30は、約40mbar〜約60mbarの範囲の加圧で圧潰可能でもよい。さらに、半剛性壁30は、約45mbar〜約55mbarの範囲の加圧で圧潰可能でもよい。半剛性壁30は、約50mbarの加圧で圧潰可能でもよい。
【0025】
[0027]一実施形態において、半剛性壁30の首部の下は、剛性壁20の首部14の下の表面積よりも大きくまたは等しい表面積を有する。剛性壁20と半剛性壁30は、ボトル10の対向する面を形成しうる。半剛性壁30は、圧潰可能となるように襞付けされなくてもよい。一実施形態において、半剛性壁30は、襞付けされていないが圧潰可能である。
【0026】
[0028]図3に示すように、他の実施形態において、経腸ボトル110は、首部114を形成しかつ剛性壁120および半剛性壁130を有する本体112を有する。半剛性壁130は、圧潰形態で剛性壁120の内側122に適合するように構成および配置される。半剛性壁130は、半剛性壁130と剛性壁120の境界をなす折畳み線140まで、全面に沿って圧潰しうる。ボトル110は、ボトルが完全に充填されるとき、部分的に充填されるとき、または空のときに立て置きできるように幅広な基部を有しうる。
【0027】
[0029]ボトル110は、首部114に取り付けられる気密性の蓋部150をさらに含みうる。首部114は、幅広な首部であり、蓋部150は、再密閉可能なねじ切りされた蓋部でありうる。蓋部150は、補給アセンブリまたは補給チューブへの接続を容易にするための通路を形成する立上部152を含みうる。
【0028】
[0030]投与アセンブリ160は、蓋部150の立上部152に取り付け可能であり、立上部152から延設可能である。投与アセンブリ160は、グリップ面162と、グリップ面162に接続される経腸補給チューブ164と、経腸補給チューブ164の端部に接続される患者アクセス端168とを含みうる。投与アセンブリ160は、ボトル110の使用中にボトル110から患者へのフォーミュラの栄養成分または移動経路を提供する。
【0029】
[0031]患者アクセス端168は、適当な患者アクセス終端(terminal)、先端(tip)、または適当な構造でありうる。当業者は、患者の体において意図されるアクセス個所、フォーミュラの性質、および他の適当な配慮を含む、様々な配慮に基づき適当な患者アクセス端168を選択しうる。適当な患者アクセス端168の例は、ニードル、先に配置されたニードルおよび他のアクセス装置に接続するように配置されるルアコネクタ、患者に先に配置されたアクセス口に接続可能な構造、胃へのアクセスを提供する胸壁口、空腸口および他の適当なアクセス口など、および適当な方法でボトル110からフォーミュラを投与可能な他の構造を含む。また、補給チューブ164および患者アクセス端168は、経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、または他の適当な形状として配置されうる。
【0030】
[0032]ボトル10、110は、例えば約100mL〜5000mLなど、適当な容量を保つようにサイズを決定可能であり、両容量間の任意の容量、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、1000mL、1500mL、2000mL、2500mL、3000mL、3500mL、4000mL、4500mL、5000mLを含むいくつかの好適な実施形態などを含むことが意図される。
【0031】
[0033]半剛性壁30、130および剛性壁20、120は、単層フィルムまたは多層フィルムなど、部分的または完全な柔軟性を有する任意の適当な材料から構成されうる。単層フィルムまたは多層フィルムは、それらのコストおよびリサイクル性から選択されうる。単層フィルムまたは多層フィルムは、それらのバリア特性からも選択されうる。
【0032】
[0034]単層フィルムまたは多層フィルムの適当な材料は、例えば、ポリエチレン(「PE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレンテレフタレート(「PET」)などのポリオレフィンでもよい。単層フィルムまたは多層フィルムは、例えば、エチレンビニルアルコール(「EVOH」)、ポリアミド(「PA」)(ナイロン、Mxd6など)などの酸素バリア材料を含みうる。単層フィルムまたは多層フィルムは、光バリアを提供しうる。それらは、光/紫外線に対する部分的または完全なバリアを提供しうる。例えば、フィルムは、部分的に不透明でもよい。フィルムは、ボトル内の栄養成分を視認可能としながらも、光に不安定で紫外線に反応し易い物質を保護しうる。
【0033】
[0035]本開示の他の実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、ボトルの適当な部分に取り付けられる吊下げ機構(不図示)を有しうる。吊下げ機構は、フックまたはループでもよい。ボトルは、パッケージの一部(パッケージラベルの一部またはパッケージの周囲部など)として組み込まれた吊下げ機構を有するパッケージの一部として販売されてもよい。
【0034】
[0036]部分的に圧潰可能なボトルは、無菌で充填され、適当な無菌処理および無菌充填により、より美味な製品を収容しうる。ボトルは、微温処理または超高温に晒されうる。ボトルは、蒸留(retort)処理(フルバス、蒸気、連続、バッチなど)に晒されてもよい。
【0035】
[0037]部分的に圧潰可能なボトルは、チューブ補給用および経腸補給用の栄養製品、乳幼児用フォーミュラ、調味料、ミルクおよび経腸フォーミュラを収容し、投与するために使用されうる。補給中にボトルの部分的な圧潰を可能にすることで、開放補給(open feeding)システムおよび剛性の通気ボトルと比較して、24時間における内容物中の汚染微生物が少ないことから、安全性の増加が判断される。このことは、汚染された製品による感染症数の減少(抗生物質の必要性の低下など)および入院日数の減少によって、健康上および経済上の利益をもたらす。
【0036】
[0038]部分的に圧潰可能なボトルの形状は、静脈内(「IV」)袋と混同されるリスクを低減しうる。ボトルは、例えば安全性の増加によって、健康上および経済上の利益をもたらす。このことは、ボトルの汚染から生じる発症率の低下によりなされうる。このような汚染は、ボトル内の栄養成分を摂取する患者における下痢および感染症を引き起こしうる。補給チューブ内における微生物の異常増殖が低減可能となり、チューブの寿命が延長可能となる。本開示の実施形態におけるボトルの使用は、一般の経腸ボトルよりも貯蔵空間の必要性を低減させうる。
【0037】
[0039]製造時において、部分的に圧潰可能なボトルは、他の柔軟性袋と比べて、密封すべき材料継ぎ目を減少させうる(縦継ぎ目、横継ぎ目、二重点/三重点など)。ボトルは、液漏れのリスクを低減でき、密封継ぎ目の検査を簡略化できる。
【0038】
[0040]他の実施形態において、本開示は、非経口投与のために患者への栄養成分を供給する方法を提供する。本方法は、容器に栄養成分を充填することを含む。容器は、剛性壁および半剛性壁を有する。半剛性壁は、圧潰形態で剛性壁の内側に適合するように構成および配置される。本方法は、容器から延びる経腸補給チューブを通じて栄養成分を患者に経腸投与することをさらに含む。
【0039】
[0041]ここで、用語「約」は、数値範囲における数を意味すると理解されうる。さらに、ここでの数値範囲は、範囲内における全ての整数、分数を含むものと理解される。
【0040】
[0042]ここで、「完全な栄養」は、投与の対象となる動物のための単独の栄養源に十分になりうる、十分な種類および程度の主要栄養素(タンパク質、脂肪および炭水化物)および微量栄養素を含む栄養製品である。患者は、このような完全な栄養成分から栄養所要量を100%摂取できる。
【0041】
[0043]ここで、「不完全な栄養」は、投与の対象となる動物のための単独の栄養源に十分になりえない、十分な程度の主要栄養素(タンパク質、脂肪および炭水化物)および微量栄養素を含まない栄養製品である。部分的または不完全な栄養成分は、栄養補助剤として利用できる。
【0042】
[0044]ここで、「長期投与」は、6週間を超える連続投与でありうる。
【0043】
[0045]ここで、哺乳動物は、非限定的に、げっ歯動物、水生哺乳動物、犬および猫などの家畜、羊、豚、牛および馬などの家畜、および人を含む。用語「哺乳動物」が使用されている場合、哺乳動物により発揮される効果または発揮を意図される効果をもたらしうる他の動物にも適用されることが期待される。
【0044】
[0046]栄養製品は、例えば、酸味料、追加増粘剤、pH調整バッファまたはpH調整剤、キレート剤、着色料、乳化剤、添加剤、着香料、ミネラル、浸透物質、医薬的に許容された担体、保存料、安定剤、糖類、甘味料、調質剤、および/またはビタミンなどの1以上である従来の食品添加料を含む、何種類かの任意の追加成分をさらに含む。任意の成分は、適当な量で添加されうる。
【0045】
[0047]ここで、用語「患者(patient)」は、動物、具体的には哺乳動物、より具体的には、ここで定義されるように、治療を受ける人または受けることを意図される人を含むと理解される。
【0046】
[0048]本明細書および請求の範囲では、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上で明確に規定されていない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「a polypeptide」の参照は、2以上のポリペプチドの組合せなどを含む。
【0047】
[0049]本出願に含まれる数値範囲は、その範囲に含まれる全ての整数および分数を含むことを意図している。
【0048】
[0050]ここで、用語「短期投与」は、6週間未満の連続的な投与でありうる。
【0049】
[0051]ここで、「チューブ補給」は、経口投与を除く、非限定的に、経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、胃チューブ、経皮空腸瘻チューブ(Jチューブ)、経皮的内視鏡下胃瘻造設術{けいひてき ないしきょう かいろう ぞうせつじゅつ}を含む、動物の消化器系に投与される、完全または不完全な栄養製品でありうる。
【0050】
[0052]さらに他の実施形態において、本開示は、患者への投与のための経腸補給フォーミュレーションの汚染の可能性を低減させる方法を提供する。本方法は、経腸ボトルに栄養成分を充填することを含む。経腸ボトルは、剛性壁および半剛性壁を有する。半剛性壁は、圧潰形態で剛性壁の内側に適合するように構成および配置される。本方法は、栄養成分を患者に経腸投与することをさらに含む。半剛性壁は、栄養成分が投与されながら圧潰するように構成および配置される。
【0051】
[0053]部分的に圧潰可能なボトルを用いて栄養成分または経腸補給フォーミュレーションを投与することで、開放システムを有する従来の剛性ボトル(フォーミュラを消費するときに空気がボトルに進入可能であるなど)と比べて、チューブ補給の準備に要する看護時間が減少することから、使用性の向上を判断することができる。部分的に圧潰可能なボトルは、一般的な剛性の通気ボトル(使用中に通気孔が閉塞しうる)と比べて、取扱いが用意であり、看護士による操作が少ない。
【0052】
[0054]本開示の他の実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、空気に依存しないシステムがチューブ補給と経口補給の両方を可能にするので、使用の柔軟性をもたらす。一実施形態におけるボトルは、ポンプまたは重力によるチューブ補給のための投与セットの容易な接続をもたらしうる。
【0053】
[0055]一実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、環境負荷および廃棄負荷の低減をもたらしうる。例えば、一実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、蒸留されたガラスおよびプラスチックの剛性ボトルと比べて、低い二酸化炭素排出量を有するように構成されうる。一実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、蒸留された柔軟袋と比べて、低い二酸化炭素排出量を有するように構成されうる。一実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、プラスチックの剛性ボトルと比べて、少ないプラスチック材料を使用するように構成されうる。一実施形態における部分的に圧潰可能なボトルは、プラスチックの剛性ボトルと比べて、少ない廃棄量を有するように構成されうる。
【0054】
[0056]部分的に圧潰可能なボトルは、例えば、従来の押出ブロー成形、延伸ブロー成形(第1ステージおよび第2ステージ)または射出延伸ブロー成形などの適当な製造方法を用いて作成されうる。
【0055】
[0057]当然のことながら、本明細書に記載された目下の好適な実施形態に対する様々な変形および修正が当業者にとって明らかである。このような変更および修正は、目下の主題の精神および範囲から逸脱しない範囲、および意図される効果を減少させない範囲において可能である。よって、このような変更および修正は、請求の範囲に包含されるものと意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルであって、
剛性壁と、
半剛性壁であり、前記半剛性壁が圧潰状態で前記剛性壁の内側に適合するように構成および配置され、前記半剛性壁が約15mbar〜約80mbarの範囲の加圧により圧潰可能であり、前記半剛性壁が前記剛性壁の表面積よりも大きいまたは等しい表面積を有し、前記ボトルが約100mL〜約5000mLの範囲の容量を有する、半剛性壁と
を備えるボトル。
【請求項2】
経腸補給用のボトルである、請求項1に記載のボトル。
【請求項3】
前記半剛性壁が約40mbar〜約60mbarの範囲の加圧により圧潰可能である、請求項1に記載のボトル。
【請求項4】
前記半剛性壁が約45mbar〜約55mbarの範囲の加圧により圧潰可能である、請求項1に記載のボトル。
【請求項5】
少なくとも1つのアクティブバリア材料、または少なくとも1つのパッシブバリア材料、または少なくとも1つのアクティブバリア材料と少なくとも1つのパッシブバリア材料をさらに備える、請求項1に記載のボトル。
【請求項6】
吊下げ機構をさらに備える、請求項1に記載のボトル。
【請求項7】
前記剛性壁および前記半剛性壁が、少なくとも1つの単層材料、または少なくとも1つの多層材料、または単層材料と多層材料の組合せからなる、請求項1に記載のボトル。
【請求項8】
首部を形成しかつ前記剛性壁を有する本体と、
前記首部に取り付けられる蓋部と、
前記蓋部から延びる経腸補給チューブと
を備える、請求項1に記載のボトル。
【請求項9】
非経口投与のために患者に栄養成分を供給する方法であって、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記ボトルに前記栄養成分を充填し、
前記容器から延びる経腸補給チューブを通じて前記栄養成分を前記患者に経腸投与すること
を含む方法。
【請求項10】
前記患者が哺乳動物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記患者が人である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記栄養成分が投与されるにつれて前記半剛性壁が圧潰する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記ボトルの使用を含む医療費の低減方法であって、
前記医療費の低減が、他のボトルを使用した人と比べて経腸補給溶液の汚染が減少することに起因する方法。
【請求項14】
前記医療費の低減が、微生物感染の発生率の低下に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記医療費の低減が、真菌感染症(鵝口瘡{がこうそう})、尿路感染症、クロストリジウム・ディフィシレ関連下痢症、およびこれらの組合せからなる群から選択される、抗生物質の使用の減少に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記医療費の低減が、真菌感染症(鵝口瘡{がこうそう})、尿路感染症、クロストリジウム・ディフィシレ関連下痢症、抗生物質耐性菌、メチシリン耐性黄色{たいせい おうしょく}ブドウ球菌{きゅうきん}およびこれらの組合せからなる群から選択される、抗生物質の使用からの後遺症の減少に起因する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医療費の低減が、経腸溶液の開封後期限の増加に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記医療費の低減が、前記経腸チューブの閉塞の減少に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記医療費の低減が、看護時間の節約に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記医療費の低減が、他のボトルの使用時と比べて経腸補給ポンプからの警告数が減少することに起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記医療費の低減が、環境負荷または廃棄費用の減少に起因し、前記減少が、他のボトルと比べてボトル製造に用いられる材料が少ないことにより、他のボトルと比べて二酸化炭素排出量が減少することに起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記医療費の低減が、環境負荷または廃棄費用の低減に起因し、前記減少が、他のボトルと比べて廃棄量が少ないことにより、他のボトルと比べて二酸化炭素排出量が減少することに起因する、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−512706(P2012−512706A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542228(P2011−542228)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/066978
【国際公開番号】WO2010/080280
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】